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特許7460462ディスクブレーキ装置及びディスクブレーキ用パッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ディスクブレーキ装置及びディスクブレーキ用パッド
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/095 20060101AFI20240326BHJP
   F16D 55/22 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16D65/095 C
F16D55/22 C
F16D65/095 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020107227
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001782
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000516
【氏名又は名称】曙ブレーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 勲
(72)【発明者】
【氏名】大竹 亮
(72)【発明者】
【氏名】森田 恵祐
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-096827(JP,U)
【文献】特開平09-053668(JP,A)
【文献】特開2013-228095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを挟むように該ロータの軸方向両側に配置される1対のパッドと、
前記1対のパッドのうち、少なくとも一方のパッドを軸方向に移動可能に支持するパッド支持部材と、
前記一方のパッドを前記ロータに向けて軸方向に押圧する複数のピストンと、
前記一方のパッドの周方向端部を径方向に押圧するパッドスプリングと、を備え、
前記一方のパッドは、ライニングと、裏板とからなり、
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有する、
ディスクブレーキ装置であって、
前記裏板は、前記複数のピストンのうち、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部に対して固定されており、かつ、残りのピストンの先端部に対して固定されていない、
ディスクブレーキ装置。
【請求項2】
ロータを挟むように該ロータの軸方向両側に配置される1対のパッドと、
前記1対のパッドのうち、少なくとも一方のパッドを軸方向に移動可能に支持するパッド支持部材と、
前記一方のパッドを前記ロータに向けて軸方向に押圧する複数のピストンと、
前記一方のパッドの周方向端部を径方向に押圧するパッドスプリングと、を備え、
前記一方のパッドは、ライニングと、裏板と、シム板とからなり、
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有しており
前記シム板は、前記裏板の裏面を覆うように前記裏板に取り付けられている、
ディスクブレーキ装置であって、
前記シム板の裏面は、前記複数のピストンのうち、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部に対して固定されており、かつ、残りのピストンの先端部に対して固定されておらず
前記残りのピストンの先端面は、前記シム板の前記裏面に対向している、
ディスクブレーキ装置。
【請求項3】
前記一方のパッドは、前記複数のピストンのうち、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部に対して、接着剤により接着固定されている、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置。
【請求項4】
前記一方のパッドは、前記複数のピストンのうち、回入側の端部に配置された1つのピストンの先端部に対してのみ固定されている、請求項1~のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置。
【請求項5】
前記パッド支持部材は、キャリパであり、
前記複数のピストンは、前記キャリパである前記パッド支持部材を構成するインナボディ又はアウタボディのいずれかに備えられた複数のシリンダに嵌装されている、
請求項1~のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置。
【請求項6】
ライニングと、裏板とからなり、パッド支持部材に対して軸方向に移動可能に支持され、複数のピストンによりロータに向けて軸方向に押圧される、ディスクブレーキ用パッドであって、
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有しており、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部が接触する部分に接着面を有するとともに、残りのピストンの先端部が接触する部分に非接着面を有しておりかつ、その裏面に、軸方向に突出した突起部をさらに有しており、
前記接着面は、シート状の接着剤により構成されており、前記裏板の前記突起部と係合した剥離紙により覆われ、前記裏板に対する位置決めが図られている、
ディスクブレーキ用パッド。
【請求項7】
ライニングと、裏板とからなり、パッド支持部材に対して軸方向に移動可能に支持され、複数のピストンによりロータに向けて軸方向に押圧される、ディスクブレーキ用パッドであって、
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有しており、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部が接触する部分に接着面を有するとともに、残りのピストンの先端部が接触する部分に非接着面を有しておりかつ、その裏面に、軸方向に突出した突起部をさらに有しており、
前記接着面は、シート状の接着剤により構成されており、前記裏板の前記突起部と直接係合することで、前記裏板に対する位置決めが図られている、
ディスクブレーキ用パッド。
【請求項8】
ライニングと、裏板と、シム板とからなり、パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に支持され、複数のピストンによりロータに向けて軸方向に押圧される、ディスクブレーキ用パッドであって、
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有し、かつ、その裏面に、軸方向に突出した突起部をさらに有しており、
前記シム板は、前記裏板の裏面を覆うように前記裏板に取り付けられており、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部が接触する部分に接着面を有するとともに、残りのピストンの先端部が接触する部分に非接着面を有しており
前記接着面は、シート状の接着剤より構成されており、前記裏板の前記突起部と係合した剥離紙により覆われ、前記裏板に対する位置決めが図られている、
ディスクブレーキ用パッド。
【請求項9】
ライニングと、裏板と、シム板とからなり、パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に支持され、複数のピストンによりロータに向けて軸方向に押圧される、ディスクブレーキ用パッドであって、
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有し、かつ、その裏面に、軸方向に突出した突起部をさらに有しており、
前記シム板は、前記裏板の裏面を覆うように前記裏板に取り付けられており、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部が接触する部分に接着面を有するとともに、残りのピストンの先端部が接触する部分に非接着面を有しており
前記接着面は、シート状の接着剤より構成されており、前記裏板の前記突起部と直接係合することで、前記裏板に対する位置決めが図られている、
ディスクブレーキ用パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ装置及びディスクブレーキ装置を構成するパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のディスクブレーキ装置としては、フローティング型と対向ピストン型との2種類の構造が広く知られている。いずれの構造の場合にも、ディスクブレーキ装置は、車輪とともに回転するロータの軸方向両側に配置された1対のパッドと、1対のパッドのうち、少なくとも一方のパッドを軸方向に移動可能に支持するパッド支持部材とを備え、1対のパッドをロータの軸方向両側面に押し付けることで、自動車の制動を行う。このようなディスクブレーキ装置においては、パッドとパッド支持部材とが衝突して、クロンク音(打音、カチン音)と呼ばれる異音を発生させる場合がある。
【0003】
特開2015-90201号公報には、クロンク音の発生を抑制できる、ディスクブレーキ装置の構造が開示されている。図24図26は、特開2015-90201号公報に記載された、ディスクブレーキ装置を示している。ディスクブレーキ装置1は、パッド支持部材であるキャリパ2と、インナパッド3及びアウタパッド4とを備えている。
【0004】
キャリパ2は、インナパッド3及びアウタパッド4のそれぞれを、軸方向(図24の上下方向、図25の表裏方向)に移動可能に支持する。キャリパ2は、ロータ5(図24参照)の軸方向両側に配置されたインナボディ6及びアウタボディ7と、インナボディ6とアウタボディ7とを軸方向にそれぞれ連結する、回入側連結部8、回出側連結部9及び中間連結部10とを備えている。回入側連結部8は、中間連結部10と周方向に対向する部分に、被突き当て面11を有している。
なお、ディスクブレーキ装置1に関して、軸方向、周方向及び径方向とは、特に断らない限り、ロータ5の軸方向、周方向及び径方向をいう。
【0005】
インナボディ6及びアウタボディ7のそれぞれは、インナパッド3及びアウタパッド4を軸方向に移動可能に支持するために、ピン12とガイド凹溝13とを備えている。ピン12は、インナボディ6及びアウタボディ7のそれぞれの周方向一方側部の径方向内側部に備えられており、ロータ5の中心軸と平行に配置されている。ガイド凹溝13は、インナボディ6及びアウタボディ7のそれぞれの周方向他方側部の軸方向内側部に設けられたガイド壁部14に備えられている。ガイド凹溝13は、ガイド壁部14の径方向中間部に備えられており、ガイド壁部14の軸方向内側面及び周方向一方側の側面にそれぞれ開口している。なお、図示の例では、周方向一方側が、車両前進時における回入側に相当し、周方向他方側が、車両前進時における回出側に相当する。インナボディ6及びアウタボディ7のそれぞれは、図示しない複数のシリンダを有しており、それぞれのシリンダには、ピストンが軸方向に移動可能に嵌装されている。
【0006】
インナパッド3及びアウタパッド4のそれぞれは、ライニング15と、ライニング15の裏面を支持した裏板16とを備えている。裏板16は、周方向一方側部の径方向内側部に、スライド係合部に相当する略矩形状の挿通孔17を有しており、周方向他方側部に、スライド係合部に相当する凸状の耳部18を有している。また、裏板16は、周方向一方側の側面の径方向外側部に、突き当て面19を備えている。
【0007】
挿通孔17には、インナボディ6及びアウタボディ7の周方向一方側部にそれぞれ備えられたピン12を軸方向に挿通している。これにより、挿通孔17は、ピン12に対して軸方向に移動可能に係合する。耳部18は、インナボディ6及びアウタボディ7の周方向他方側部にそれぞれ備えられたガイド凹溝13に対して、軸方向に移動可能に係合している。
【0008】
ディスクブレーキ装置1は、非制動時に、インナパッド3及びアウタパッド4にがたつきが生じることを防止するために、パッドスプリング20をさらに備えている。パッドスプリング20は、金属板製で、周方向一方側部に、1対の回入側押圧部21a、21bを備えており、周方向他方側部に、1対の回出側押圧部22a、22bを備えている。1対の回入側押圧部21a、21bのそれぞれは、インナパッド3及びアウタパッド4のそれぞれの裏板16の径方向外側縁部の周方向一方側部を、径方向内側に向けて押圧する。1対の回出側押圧部22a、22bのそれぞれは、インナパッド3及びアウタパッド4のそれぞれの裏板16の径方向外側縁部の周方向他方側部を、径方向内側に向けて押圧する。
【0009】
ディスクブレーキ装置1は、インナパッド3及びアウタパッド4のそれぞれに対し、制動時に、次のような方向のモーメントを生じさせる。以下、図26を参照して説明する。
【0010】
前進制動時には、図26の(A)に示すように、インナパッド3(アウタパッド4)を構成するライニング15の摩擦面中心A点に、周方向他方側(図26の左側、回出側)に向いたブレーキ接線力F1が作用する。これにより、ブレーキ接線力F1の作用線よりも径方向内側に備えられた挿通孔17と、ピン12とが係合し、ブレーキ接線力F1を支承する。このため、前進制動時には、インナパッド3(アウタパッド4)に、インナパッド3(アウタパッド4)を反時計回りに回動させようとする、モーメントM1が作用する。
【0011】
後進制動時には、図26の(B)に示すように、ライニング15の摩擦面中心A点に、周方向一方側(図26の右側、回入側)に向いたブレーキ接線力F2が作用する。これにより、裏板16の周方向一方側の側面のうち、ブレーキ接線力F2の作用線よりも径方向外側に備えられた突き当て面19と、被突き当て面11とが当接して、ブレーキ接線力F2を支承する。このため、後進制動時には、インナパッド3(アウタパッド4)に、インナパッド3(アウタパッド4)を反時計回りに回動させようとする、モーメントM1と同方向のモーメントM2が作用する。
【0012】
以上のように、特開2015-90201号公報に記載されたディスクブレーキ装置1は、前進制動時と後進制動時とで、インナパッド3及びアウタパッド4に作用するモーメントM1、M2の方向を一致させることができる。このため、前進制動と後進制動とを繰り返すような場合にも、インナパッド3及びアウタパッド4の姿勢を反時計回りに回動させたままの状態に維持でき、クロンク音の発生を抑制できる。
【0013】
さらに、パッドスプリング20は、インナパッド3及びアウタパッド4のそれぞれの裏板16の周方向両側部分を径方向内側に向けて押圧する。このため、非制動時の状態で、挿通孔17の内周面のうち、径方向外側に位置する径方向外側面を、ピン12の外周面のうち、径方向外側の端部に押し付けることができる。また、耳部18の径方向内側面を、ガイド凹溝13の径方向内側面に押し付けることができる。したがって、非制動時の状態においても、インナパッド3及びアウタパッド4の姿勢を安定させることができ、パッドのがたつきによるラトル音(異音)の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2015-90201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特開2015-90201号公報に記載されたディスクブレーキ装置1は、前進制動時及び後進制動時に、インナパッド3及びアウタパッド4に作用するモーメントM1、M2に基づいて、挿通孔17の内周面の径方向外側面と、ピン12の外周面の径方向外側の端部との間部分(図26中のX部分)に、隙間を生じやすくなる。このため、制動力を解除した際に、パッドスプリング20の押圧力に基づいて、挿通孔17の内周面の径方向外側面とピン12の外周面の径方向外側の端部とが勢い良く衝突し、クロンク音を発生させる可能性がある。
【0016】
特開2015-90201号公報に記載されたディスクブレーキ装置1のように、従来構造のディスクブレーキ装置においては、制動力を解除した際に、パッドの周方向一方側部又は周方向他方側部に備えられたスライド係合部とパッド支持部材とが勢い良く衝突して、クロンク音を発生させやすいという問題がある。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、クロンク音の発生を抑制できる、ディスクブレーキ装置及びディスクブレーキ用パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明ディスクブレーキ装置は、1対のパッドと、パッド支持部材と、複数のピストンと、パッドスプリングとを備える。
前記1対のパッドは、ロータを挟むように該ロータの軸方向両側に配置される。
前記パッド支持部材は、前記1対のパッドのうち、少なくとも一方のパッドを軸方向に移動可能に支持する。
前記複数のピストンは、前記一方のパッドを前記ロータに向けて軸方向に押圧する。
前記パッドスプリングは、前記一方のパッドの周方向端部を径方向に押圧する。
お、前記複数のピストンの数は、2個以上であれば足り、3個、4個、5個又はそれ以上でも良い。
【0019】
本発明の第1態様のディスクブレーキ装置では、前記一方のパッドは、ライニングと、裏板とからなり、前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有する。
前記裏板は、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上(一部)のピストンの先端部に対して固定されており、かつ、残りのピストンの先端部に対して固定されていない。
【0020】
本発明の第2態様のディスクブレーキ装置では、前記一方のパッドは、ライニングと、裏板と、シム板とからなり、前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有する。
前記シム板は、前記裏板の裏面を覆うように前記裏板に取り付けられている。
前記シム板の裏面は、前記複数のピストンのうち、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上(一部)のピストンの先端部に対して固定されており、かつ、残りのピストンの先端部に対して固定されていない。
前記残りのピストンの先端面は、前記シム板の前記裏面に対向している。
【0021】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記一方のパッドを、前記複数のピストンのうち、クロンク音の発生原因となる前記スライド係合部に最も近い位置に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部に対して固定することができる。
【0022】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記一方のパッドを、前記複数のピストンのうち、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部に対して、接着剤(粘着剤を含む)により接着固定することができる。
あるいは、本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記一方のパッドを、前記複数のピストンのうち、周方向に関して前記パッドスプリングが備えられた側に配置され、かつ、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上のピストンの先端部に対して、溶接、ろう接などの材料的接合手段、又は、ねじ止め、圧入、かしめなどの機械的接合手段により固定することもできる。
【0023】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、たとえば、回入側に配置された前記スライド係合部がクロンク音の発生原因になる場合に、前記一方のパッドを、前記複数のピストンのうち、回入側の端部に配置された1つのピストンの先端部に対してのみ固定することができる。
あるいは、たとえば、回出側に配置された前記スライド係合部がクロンク音の発生原因になる場合に、前記一方のパッドを、前記複数のピストンのうち、回出側の端部に配置された1つのピストンの先端部に対してのみ固定することもできる。
あるいは、前記一方のパッドを、前記複数のピストンのうち、中央部に配置されたピストンを除く、その他のピストンの先端部に対して固定することもできる。
【0024】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記パッド支持部材を、キャリパとし、前記複数のピストンを、前記キャリパである前記パッド支持部材を構成するインナボディ又はアウタボディのいずれかに備えられた複数のシリンダに嵌装されたものとすることができる。この場合には、本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置は、対向ピストン型のディスクブレーキ装置となる。
あるいは、前記パッド支持部材を、サポートとし、前記複数のピストンを、前記サポートである前記パッド支持部材に対して軸方向に移動可能に支持されたキャリパに備えられた複数のシリンダに嵌装されたものとすることができる。この場合には、本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置は、フローティング型のディスクブレーキ装置となる。
【0025】
本発明の第1態様及び第2態様のディスクブレーキ用パッドは、ライニングと、裏板とからなり、パッド支持部材に対して軸方向に移動可能に支持され、複数のピストンによりロータに向けて軸方向に押圧される。
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有しており、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上(一部)のピストンの先端部が接触する部分に接着面を有するとともに、残りのピストンの先端部が接触する部分に非接着面を有しておりかつ、その裏面に、軸方向に突出した突起部をさらに有している。
本発明の第1態様のディスクブレーキ用パッドでは、前記接着面は、シート状の接着剤(いわゆる接着テープ、両面テープ)により構成されており、前記裏板の前記突起部と係合した剥離紙により覆われ、前記裏板に対する位置決めが図られている。
本発明の第2態様のディスクブレーキ用パッドでは、前記接着面は、シート状の接着剤により構成されており、前記裏板の前記突起部と直接係合することで、前記裏板に対する位置決めが図られている。
【0026】
本発明の第3態様及び第4態様のディスクブレーキ用パッドは、ライニングと、裏板と、シム板とからなり、パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に支持され、複数のピストンによりロータに向けて軸方向に押圧される。
前記裏板は、周方向両側部のそれぞれに、前記パッド支持部材に対し軸方向に移動可能に係合するスライド係合部を有し、かつ、その裏面に、軸方向に突出した突起部をさらに有している。
前記シム板は、前記裏板の裏面を覆うように前記裏板に取り付けられており、かつ、前記複数のピストンのうち、回入側又は回出側の端部に配置されたピストンを含む、少なくとも1つ以上(一部)のピストンの先端部が接触する部分に接着面を有するとともに、残りのピストンの先端部が接触する部分に非接着面を有する。
本発明の第3態様のディスクブレーキ用パッドでは、前記接着面は、シート状の接着剤により構成されており、前記裏板の前記突起部と係合した剥離紙により覆われ、前記裏板に対する位置決めが図られている。
本発明の第4態様のディスクブレーキ用パッドでは、前記接着面は、シート状の接着剤により構成されており、前記裏板の前記突起部と直接係合することで、前記裏板に対する位置決めが図られている。
【0027】
本発明の技術的範囲からは外れるが、前記接着面、液状又はゼリー状の接着剤を塗布することにより構成することもできる。
【0028】
本発明では、前記裏板の周方向両側部に備えられた前記スライド係合部として、貫通孔である挿通孔、凸条の耳部(係合凸部)、凹状の切り欠きなどを採用することができる。
本発明では、前記裏板の周方向両側部に備えられた1対の前記スライド係合部の形態を、互いに異ならせても良いし、互いに同じとしても良い。たとえば、周方向一方側のスライド係合部を挿通孔とし、周方向他方側のスライド係合部を耳部とすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、クロンク音の発生を抑制できる、ディスクブレーキ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を示す正面図である。
図2図2は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を示す平面図である。
図3図3は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を示す底面図である。
図4図4は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を示す背面図である。
図5図5は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を示す側面図である。
図6図6は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、正面側、径方向外側かつ周方向一方側から見た斜視図である。
図7図7は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、正面側、径方向内側かつ周方向一方側から見た斜視図である。
図8図8は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、背面側、径方向内側かつ周方向一方側から見た斜視図である。
図9図9は、図2のA-A線断面図である。
図10図10は、図9からインナパッドを省略して示す図である。
図11図11は、図9のB-B線断面模式図である。
図12図12は、パッドを取り出して示す正面図である。
図13図13は、パッドを取り出して示す背面図である。
図14図14は、剥離紙を剥がす以前の状態のパッドを示す背面図である。
図15図15は、実施の形態の第2例を示す、図13に相当する図である。
図16図16は、実施の形態の第2例を示す、図14に相当する図である。
図17図17は、実施の形態の第3例を示す、図13に相当する図である。
図18図18は、実施の形態の第3例を示す、図14に相当する図である。
図19図19は、実施の形態の第4例を示す、図12に相当する図である。
図20図20は、実施の形態の第4例を示す、図13に相当する図である。
図21図21は、実施の形態の第5例を示す、図13に相当する図である。
図22図22は、実施の形態の第6例のディスクブレーキ装置を示す、図1に相当する図である。
図23図23は、実施の形態の第6例を示す、図9に相当する図である。
図24図24は、従来構造のディスクブレーキ装置を示す平面図である。
図25図25は、図24のC-C断面図である。
図26図26は、パッドを取り出して示す正面図であり、(A)は前進制動時の状態を示しており、(B)は後進制動時の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1図14を用いて説明する。
【0032】
〔ディスクブレーキ装置の全体構成〕
本例のディスクブレーキ装置1aは、自動車の制動を行うために使用する対向ピストン型のディスクブレーキ装置であり、パッド支持部材に相当するキャリパ2aと、1対のパッドであるインナパッド3a及びアウタパッド4aと、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれをロータ5に向けて軸方向に押圧する複数個(5個ずつ合計10個)のピストン27a、27b、27c、28a、28bとを備える。
【0033】
本例において、軸方向、周方向及び径方向とは、特に断らない限り、車輪とともに回転する円板状のロータ5(図2参照)の軸方向、周方向及び径方向をいう。図1図4図9図10図12図14の表裏方向、図2及び図3の上下方向、図5及び図11の左右方向が、それぞれ軸方向に相当し、軸方向に関してロータ5に近い側を軸方向内側といい、軸方向に関してロータ5から遠い側を軸方向外側という。また、図1図4図9図10図12図14の左右方向、図5及び図11の表裏方向が、それぞれ周方向に相当し、図1図3図9図10図12の右側、図4図13及び図14の左側、図5及び図11の裏側を、それぞれ周方向一方側といい、図1図3図9図12の左側、図4図13及び図14の右側、図5及び図11の表側を、それぞれ周方向他方側という。本例では、周方向一方側が、車両前進時における回入側、車両後進時における回出側となり、周方向他方側が、車両前進時における回出側、車両後進時における回入側となる。また、図1図4図5図9図14の上下方向、図2及び図3の表裏方向が、それぞれ径方向に相当し、図1図4図5図9図14の上側、図2の表側、図3の裏側が、それぞれ径方向外側であり、図1図4図5図9図14の下側、図2の裏側、図3の表側が、それぞれ径方向内側である。なお、回入側とは、キャリパ2aに対してロータ5が入り込む側をいい、回出側とは、キャリパ2aからロータ5が抜け出て行く側をいう。
【0034】
〔キャリパ〕
キャリパ2aは、軸方向視で略弓形状を有しており、車体に対して固定され、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれを、軸方向に移動可能に支持するものである。キャリパ2aは、ロータ5の円周方向の一部分を径方向外側から覆うように配置され、懸架装置を構成するナックルに支持固定される。キャリパ2aは、アルミニウム合金などの軽合金や鉄系合金製の素材に、鋳造加工などを施すことにより一体に成形されている。キャリパ2aは、インナボディ6aと、アウタボディ7aと、回入側連結部8aと、回出側連結部9aと、中間連結部10aとを備える。
【0035】
インナボディ6a及びアウタボディ7aは、ロータ5を挟むようにロータ5の軸方向両側に配置されている。インナボディ6aは、ロータ5よりも車両の幅方向内側(中央側)に配置されており、アウタボディ7aは、ロータ5よりも車両の幅方向外側に配置されている。回入側連結部8a及び回出側連結部9aのそれぞれは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向両側の端部同士を軸方向に連結する。回入側連結部8aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向一方側(回入側)の端部同士を軸方向に連結し、回出側連結部9aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向他方側(回出側)の端部同士を軸方向に連結する。中間連結部10aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向中間部同士を軸方向に連結する。
【0036】
インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれは、シリンダを5つずつ有している。具体的には、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれは、径方向外側部に配置された3つの外径側シリンダ23a、23b、23cと、径方向内側部に配置された2つの内径側シリンダ24a、24bとを有している。インナボディ6aに備えられた5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bと、アウタボディ7aに備えられた5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bとは、それぞれ軸方向に対向して配置されている。図示の例では、5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bのそれぞれのシリンダ径は、互いに同じである。ただし、本発明を実施する場合には、たとえば、回出側に配置されるシリンダの直径を、回入側に配置されるシリンダの直径よりも大きくするなど、シリンダ径を互いに異ならせることもできる。
【0037】
3つの外径側シリンダ23a、23b、23cと、2つの内径側シリンダ24a、24bとは、周方向に関して交互に配置されている。具体的には、周方向一方側から周方向他方側に向けて、外径側シリンダ23a→内径側シリンダ24a→外径側シリンダ23b→内径側シリンダ24b→外径側シリンダ23cの順に配置されている。このため、回入側の端部には、外径側シリンダ23aが配置されており、回出側の端部には、外径側シリンダ23cが配置されており、中央部には、外径側シリンダ23bが配置されている。
【0038】
3つの外径側シリンダ23a、23b、23cのそれぞれの中心は、ロータ5の中心を中心とする同一の仮想円上に配置されている。2つの内径側シリンダ24a、24bのそれぞれの中心は、ロータ5の中心を中心とする同一の仮想円上に配置されている。なお、3つの外径側シリンダ23a、23b、23cのうち、中央部に配置された外径側シリンダ23bの中心を、周方向両側の端部に配置された2つの外径側シリンダ23a、23cの中心よりも径方向内側に配置することもできる。
【0039】
インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれは、5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bのそれぞれの奥部にブレーキオイル(圧油)を給排するために、周方向に伸長した図示しない通油孔を備えている。通油孔は、5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bのそれぞれの奥部に開口している。通油孔の周方向他方方側の端部は、ブリーダスクリュ25により塞がれており、通油孔の周方向一方側の端部は、連通管26に接続されている。アウタボディ7aのそれぞれの軸方向外側面には、有底円筒状であるシリンダ23a、23b、23c、24a、24bの外郭形状の一部が現れている。
【0040】
インナボディ6aは、1対の取付ボス部32を有する。1対の取付ボス部32は、5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bの周方向両側に配置されている。取付ボス部32のそれぞれには、径方向に貫通したボルト挿通孔33が形成されている。キャリパ2は、ボルト挿通孔33を径方向外側から挿通した図示しないボルトを利用して、車体の懸架装置を構成するナックルに対し、直接固定するか又は図示しないアダプタを介して固定される。このため、取付ボス部32のそれぞれの径方向内側の端面は、座面として機能し、本例のキャリパ2は、ラジアルマウント式のキャリパとなる。
【0041】
ディスクブレーキ装置1aは、組立状態で、ロータ5を挟むようにロータ5の軸方向両側に配置されるインナパッド3a及びアウタパッド4aを、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに対して軸方向に移動可能に支持する。このために、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれは、ピン12aとガイド凹溝13aとを備える。
【0042】
ピン12aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向一方側部の径方向内側部に備えられており、ロータ5の中心軸と平行に配置されている。ピン12aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに支持固定(固設)されている。インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに支持固定された1対のピン12aは、互いに同軸に配置されている。1対のピン12aのそれぞれの先端部は、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの軸方向内側面から軸方向に突出しており、ロータ5の軸方向側面に対し、隙間を介して対向している。1対のピン12aのそれぞれの先端部は、略円柱状に構成されており、円筒面状の外周面形状を有している。なお、本例では、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向一方側部の径方向内側部を軸方向に貫通する通孔に、円柱状の頭部を有するボルトを軸方向内側から挿通し、さらに該通孔から突出した該ボルトの先端部にナットを螺合することで、該ボルトの頭部によりピン12aを構成している。ただし、本発明を実施する場合に、ピンを、インナボディ及びアウタボディと一体に備えることもできる。
【0043】
ガイド凹溝13aは、図7図9に示すように、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向他方側部の軸方向内側部に、軸方向に張り出すように設けられたガイド壁部14aに備えられている。ガイド凹溝13aは、ガイド壁部14aの径方向中間部に備えられており、ガイド壁部14aの軸方向内側面及び周方向一方側の側面にそれぞれ開口している。
【0044】
回入側連結部8a及び回出側連結部9aのそれぞれは、ロータ5の径方向外側に配置されており、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向の端部同士を軸方向に連結する。回入側連結部8aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向一方側(回入側)の端部同士を軸方向に連結しており、回出側連結部9aは、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向他方側(回出側)の端部同士を軸方向に連結している。回入側連結部8a及び回出側連結部9aは、ロータ5の外周縁に沿って円弧状に湾曲しており、所定の隙間を介して、ロータ5を径方向外方から覆う。回入側連結部8aは、中間連結部10aと周方向に対向する部分に、平坦面状の被突き当て面11aを有する。被突き当て面11aは、ブレーキ接線力に対して直交する仮想平面上に存在する。
【0045】
中間連結部10aは、ロータ5の径方向外側に配置されており、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれの周方向中間部同士を軸方向に連結する。
【0046】
〔ピストン〕
上述のように本例のディスクブレーキ装置1aは、キャリパ2aを構成するインナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに、3つの外径側シリンダ23a、23b、23cと2つの内径側シリンダ24a、24bとを有している。このうちの3つの外径側シリンダ23a、23b、23cのそれぞれには、外径側ピストン27a、27b、27cが軸方向に関する変位を可能に1つずつ嵌装されている。また、2つの内径側シリンダ24a、24bのそれぞれには、内径側ピストン28a、28bが軸方向に関する変位を可能に1つずつ嵌装されている。したがって、本例のディスクブレーキ装置1aは、インナボディ6aとアウタボディ7aとにそれぞれ5個ずつ、合計10個のピストンを備えている。
【0047】
図11に示すように、3つの外径側ピストン27a、27b、27c及び2つの内径側ピストン28a、28bは、それぞれ略有底円筒状に構成されており、それぞれの底部を外径側シリンダ23a、23b、23c及び内径側シリンダ24a、24bの奥部に向けて配置されている。つまり、外径側ピストン27a、27b、27c及び内径側ピストン28a、28bは、円形板状の底部を、軸方向外側(反ロータ側)に向け、円環状の先端部を、軸方向内側(ロータ側)に向けて配置されている。
【0048】
外径側ピストン27a、27b、27c及び内径側ピストン28a、28bのそれぞれの外周面と、外径側シリンダ23a、23b、23c及び内径側シリンダ24a、24bのそれぞれの内周面との間には、ピストンシール29が挟持されている。ピストンシール29は、外径側シリンダ23a、23b、23c及び内径側シリンダ24a、24bのそれぞれの内周面に形成されたシール溝30に装着されている。外径側ピストン27a、27b、27c及び内径側ピストン28a、28bのそれぞれの先端部と、外径側シリンダ23a、23b、23c及び内径側シリンダ24a、24bのそれぞれの開口縁部との間には、ダストカバー31が掛け渡されている。
【0049】
〔インナパッド及びアウタパッド〕
図12図14に示すように、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれは、ライニング(摩擦材)15aと、金属製の裏板(プレッシャプレート)16aと、シム板34とからなる。ライニング15aは、裏板16aの軸方向両側面のうち、ロータ5側を向いた表面に支持されている。裏板16aの軸方向両側面のうち、ロータ5とは反対側を向いた面(軸方向外側面)を、裏板16aの裏面という。インナパッド3aとアウタパッド4aとは、軸方向に関して対称な形状を有している。
【0050】
インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの裏板16aは、周方向一方側の端部(回入側端部)の径方向内側部に、ライニング15aから周方向に張り出した、略三角板状の張出部35を有する。張出部35は、制動時に作用するブレーキ接線力の作用線(摩擦面中心A点、図9参照)よりも径方向内側に位置している。張出部35の略中央部には、張出部35を軸方向に貫通した挿通孔17aを有する。挿通孔17aは、スライド係合部に相当する。
【0051】
挿通孔17aは、軸方向視で略矩形状に構成されており、裏板16a(張出部35)の軸方向両側にのみ開口している。挿通孔17aの内側には、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに備えられたピン12aを緩く挿通している。これにより、挿通孔17aは、ピン12aに対して軸方向に移動可能に係合する。挿通孔17aの中心軸とピン12aの中心軸とを一致させた状態で、ピン12aの円筒面状の外周面と、挿通孔17aの内周面を構成する4つの側面(径方向外側面、径方向内側面、周方向一方側の側面、周方向他方側の側面)との間には、それぞれ隙間が存在する。図示の例では、挿通孔17aを軸方向から見た形状を、四辺の長さが等しい略正方形状としている。
【0052】
裏板16aは、周方向一方側の側面のうち、制動時に作用するブレーキ接線力の作用線よりも径方向外側に位置する径方向外側の端部に、被突き当て面11aと周方向に対向する、平坦面状の突き当て面19aを備えている。
【0053】
裏板16aは、周方向他方側部の径方向中間部に、周方向他方側に向けて突出した凸状の耳部(係合凸部)18aを備えている。耳部18aは、スライド係合部に相当するもので、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに備えられたガイド凹溝13aに対して、軸方向に移動可能に係合する。このため、本例では、裏板16aの周方向両側部に備えられた1対のスライド係合部の形態が、互いに異なっている。
【0054】
裏板16aは、裏面の外周縁寄り部分に、それぞれが軸方向に突出した複数個(図示の例では6個)の突起部(ダボ)36を有している。突起部36のそれぞれは、略円柱状に構成されている。
【0055】
シム板34は、インナパッド3a及びアウタパッド4aの振動に起因して発生する、ブレーキ鳴きやライニング15aの偏摩耗を抑制するためのもので、裏板16aの裏面を覆うように裏板16aに取り付けられている。
【0056】
シム板34は、ステンレス鋼板などの金属板製で、平板状に構成されている。シム板34は、外周縁寄り部分に、複数個(図示の例では6個)の取付孔37を有している。取付孔37は、径方向幅よりも周方向幅の大きい長円形である。取付孔37のそれぞれには、裏板16aの裏面に備えられた突起部36が挿入されている。これにより、シム板34は、裏板16aに対して、周方向に関するわずかな相対変位を可能に、かつ、径方向に関する相対変位を不能に支持されている。突起部36のそれぞれの先端部には、突起部36を取付孔37の内側に挿通した状態で、かしめ部が形成されている。これにより、シム板34が、裏板16aから軸方向に脱落することが防止されている。
【0057】
インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれは、図7図9に示すように、裏板16aの周方向一方側部に備えられた挿通孔17aの内側に、インナボディ6a及びアウタボディ7aに備えられたピン12aを挿通し、かつ、裏板16aの周方向他方側部に備えられた耳部18aを、インナボディ6a及びアウタボディ7aに備えられたガイド凹溝13aに対して係合させることで、キャリパ2aに対し軸方向に移動可能に支持されている。インナパッド3a及びアウタパッド4aをキャリパ2aに支持した状態で、裏板16aの周方向一方側の側面に備えられた突き当て面19aは、回入側連結部8aに備えられた被突き当て面11aに対して周方向に対向する。
【0058】
〔パッドスプリング〕
本例のディスクブレーキ装置1aは、インナパッド3a及びアウタパッド4aに、非制動時にがたつきが生じることを防止するために、1対のパッドスプリング20a、20bをさらに備えている。なお、本発明を実施する場合には、前記図24に示した構造のように、1対のパッドスプリング20a、20bを一体とした構造を採用することもできる。
【0059】
パッドスプリング20aは、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの裏板16aの径方向外側縁部の周方向一方側部を、径方向内側に向けて押圧する。パッドスプリング20aは、インナパッド3a及びアウタパッド4aの径方向外側で、かつ、周方向に関して回入側連結部8aと中間連結部10aとの間部分に配置されている。パッドスプリング20aは、金属板製で、1対の回入側押圧部21c、21dを備える。1対の回入側押圧部21c、21dは、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの裏板16aの径方向外側縁部を、径方向内側に向けて押圧するとともに、軸方向外側及び周方向他方側に向けて押圧する。
【0060】
パッドスプリング20bは、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの裏板16aの径方向外側縁部の周方向他方側部を、径方向内側に向けて押圧する。パッドスプリング20bは、インナパッド3a及びアウタパッド4aの径方向外側で、かつ、周方向に関して回出側連結部9aと中間連結部10aとの間部分に配置されている。パッドスプリング20bは、金属板製で、1対の回出側押圧部22c、22dを備える。1対の回出側押圧部22c、22dは、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの裏板16aの径方向外側縁部の周方向他方側部を、径方向内側に向けて押圧する。
【0061】
〔制動時に作用するモーメント〕
本例のディスクブレーキ装置1aは、制動時に、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれに、前述した図24図26に示した構造と同様のモーメントを生じさせる。
【0062】
前進制動時には、図9に示すように、インナパッド3a(アウタパッド4a)のライニング15aの摩擦面中心A点に、周方向他方側(図9の左側、回出側)を向いたブレーキ接線力F1が作用する。これにより、挿通孔17aの内周面の周方向一方側の側面とピン12aの外周面の周方向一方側の端部とが係合して、ブレーキ接線力F1を支承する(いわゆる引きアンカ構造となる)。このため、前進制動時には、インナパッド3a及びアウタパッド4aに、周方向他方側部分を径方向内側に押し下げる方向のモーメントM1が作用する。なお、摩擦面中心A点とは、摩擦面の図心であり、ピストンの径や配置などによって定まる。
【0063】
後進制動時には、インナパッド3a(アウタパッド4a)のライニング15aの摩擦面中心A点に、周方向一方側(図9の右側、回入側)を向いたブレーキ接線力F2が作用する。これにより、突き当て面19aと被突き当て面11aとが当接することで、ブレーキ接線力F2を支承する(いわゆる押しアンカ構造となる)。このため、後進制動時には、インナパッド3a及びアウタパッド4aに、周方向他方側部分を径方向内側に押し下げる方向(モーメントM1と同方向)のモーメントM2が作用する。
【0064】
したがって、本例のディスクブレーキ装置1aによれば、前進制動時と後進制動時とで、インナパッド3a及びアウタパッド4aに作用するモーメントM1、M2の方向を一致させることができる。このため、たとえば車庫入れ時のように、前進制動と後進制動とを繰り返すような場合にも、インナパッド3a及びアウタパッド4aの姿勢を反時計回りに回動させたままの状態に維持できる。したがって、クロンク音の発生を抑制できる。
【0065】
ただし、前進制動時及び後進制動時には、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれに作用するモーメントM1、M2に基づいて、挿通孔17aの内周面のうち、径方向外側に位置する径方向外側面と、ピン12aの外周面のうちの径方向外側の端部との間部分に隙間が生じやすくなる。このため、何らかの対策を施さないと、制動力を解除した際に、パッドスプリング20aの押圧力に基づいて、挿通孔17aの内周面の径方向外側面が、ピン12aの外周面の径方向外側の端部に勢い良く衝突して、クロンク音を発生させやすくなる。
【0066】
そこで本例では、制動力を解除した際に、挿通孔17aの内周面の径方向外側面が、ピン12aの外周面の径方向外側の端部に勢い良く衝突して、クロンク音を発生させるのを抑制するために、次のような工夫を施している。
【0067】
〔クロンク音の発生抑制構造〕
本例では、クロンク音の発生を抑制するために、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢を、インナパッド3a及びアウタパッド4aをロータ5に向けて軸方向に押圧する5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、少なくとも1つ以上のピストンを利用して規制している。つまり、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢を、ピストンを利用して変化しにくくしている。
【0068】
具体的には、インナパッド3a及びアウタパッド4aを、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部に対してのみ固定している。インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれには、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、残りのピストンである4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部は、固定していない。
【0069】
本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれを、ライニング15aと、裏板16aと、シム板34とから構成している。このため、シム板34の軸方向外側面である裏面には、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部のみが固定されている。
【0070】
本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34の裏面を、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部に対して、接着剤38により接着固定している。
【0071】
このために、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれをキャリパ2aに組み込む以前に、図13に示すように、シム板34の裏面に、接着面39と、非接着面40とを予め設けておく。具体的には、被着体であるシム板34の裏面のうちで、外径側ピストン27aの先端部が接触する部分に、両面に粘着面を有するシート状の接着剤38を貼着して、当該部分に接着面39を設ける。つまり、接着面39を、シム板34の裏面に貼着されたシート状の接着剤38により構成する。これに対し、シム板34の裏面のうちで、残り4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部が接触する部分には、接着剤38を貼着せずに、当該部分を、シム板34の裏面により構成される非接着面40とする。シム板34の裏面のうち、4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部が接触する部分を含む、接着面39から外れた部分が、非接着面40となる。
【0072】
接着剤38は、たとえばアクリル系の粘着層を支持体の両面に備えた、いわゆる両面テープ(接着テープ)であり、薄手(たとえば0.01mm~コンマ数mm)に構成されている。接着剤38は、外径側ピストン27aの先端部の円形状の外縁よりもわずかに大きい、長円形状に構成されている。接着剤38により構成される接着面39は、外径側ピストン27aの先端部を接着固定する以前の状態で、図14に示すように、剥離紙41により覆われている。剥離紙41は、シート状の接着剤38よりも十分に大きい矩形状に構成されており、四隅部のそれぞれに略円形状の係合孔42を有している。
【0073】
剥離紙41に備えられた4つの係合孔42のうち、対角線上に配置された2つの係合孔42には、裏板16aの裏面に備えられた突起部36がそれぞれ挿通されている。具体的には、径方向外側部の周方向一方側に配置された係合孔42には、径方向外側部の周方向一方側の端部に配置された突起部36が挿通されている。また、径方向内側部の周方向他方側に配置された係合孔42には、径方向内側部の周方向一方側の端部に配置された突起部36が挿通されている。本例では、シート状の接着剤38をシム板34の裏面に貼着する際に、剥離紙41に備えられた2つの係合孔42に裏板16に備えられた2つの突起部36を挿通することで、裏板16aに対するシート状の接着剤38(接着面39)の位置決めを図っている。剥離紙41は、インナパッド3a及びアウタパッド4aをキャリパ2aに組み込む以前に、接着剤38から剥がされる。なお、シート状の接着剤38の厚さは十分に薄いため、シム板34の裏面からの接着剤38の厚さ(接着面39と非接着面40との高さの差)は十分に小さい。
【0074】
シム板34の裏面に、シート状の接着剤38から構成される接着面39と、シム板34の裏面から構成される非接着面40とを設けた後は、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれをキャリパ2aに組み込む。その後、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに備えられた5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bにブレーキオイルを送り込み、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのそれぞれを軸方向に押し出す。そして、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部を、接着面39に対して押し付けるとともに、残りの4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部を、非接着面40に対して押し付ける。これにより、シム板34の裏面には、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部のみが、接着剤38により接着固定される。残り4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部は、シム板34の裏面には接着固定されない。
【0075】
シム板34の裏面に外径側ピストン27aの先端部を接着固定する際には、キャリパ2aに対するインナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢(位置)を規制しておく。具体的には、パッドスプリング20aの押圧力を利用することで、挿通孔17aの内周面の径方向外側面とピン12aの外周面の径方向外側の端部とを当接させるとともに、挿通孔17aの内周面の周方向一方側の側面とピン12aの外周面の周方向一方側の端部とを当接させた状態で、シム板34の裏面に外径側ピストン27aの先端部を接着固定する。
【0076】
以上のような本例のディスクブレーキ装置1aの場合にも、制動時には、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに備えられた5つのシリンダ23a、23b、23c、24a、24bに、マスターシリンダからブレーキオイルを送り込む。これにより、インナボディ6a及びアウタボディ7aのそれぞれに備えられた5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bを軸方向に押し出し、インナパッド3a及びアウタパッド4aを、ロータ5の軸方向両側面に押し付ける。この結果、ロータ5が、インナパッド3a及びアウタパッド4aにより軸方向両側から強く挟持され、車両の制動が行われる。制動時には、前述したように、前進制動時及び後進制動時のいずれの場合にも、インナパッド3a及びアウタパッド4aに、同一方向のモーメントM1、M2が作用する。
【0077】
以上のような本例のディスクブレーキ装置1aによれば、制動力を解除した際に、クロンク音が発生することを抑制できる。
すなわち、本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34を、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部に対し、接着剤38により接着固定している。このため、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢を、外径側ピストン27aにより規制する(安定させる)ことができる。このため、前進制動時及び後進制動時に、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれに作用するモーメントM1、M2にかかわらず、挿通孔17aの内周面の径方向外側面とピン12aの外周面の径方向外側の端部との間部分(図9中のX部分)に、隙間が生じることを抑制できる。したがって、制動力を解除した際に、パッドスプリング20aの押圧力に基づいて、挿通孔17aの内周面の径方向外側面が、ピン12aの外周面の径方向外側の端部に勢い良く衝突することを防止できる。この結果、制動力を解除した際に、クロンク音が発生することを抑制できる。
【0078】
特に本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34を、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうちで、クロンク音の発生原因となる挿通孔17aに最も近い位置に配置された外径側ピストン27aに接着固定している。より具体的には、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34を、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうちで、クロンク音の発生源となる、挿通孔17aの内周面の径方向外側面とピン12aの外周面の径方向外側の端部との当接部から最も距離が短い、外径側ピストン27aに接着固定している。このため、挿通孔17aの内周面の径方向外側面とピン12aの外周面の径方向外側の端部との間部分に隙間が生じるのを防ぐのに必要となる、シム板34の裏面と外径側ピストン27aの先端部との接着力を小さく抑えることができ、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢を効果的に規制できる。したがって、制動力を解除した際に、クロンク音が発生するのを十分に抑制できる。
【0079】
また、制動時に作用するモーメントM1、M2にかかわらず、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢が不安定になることを抑制できるため、鳴き性能の向上を図ることもできる。本例では、裏板16aの裏面にシム板34を取り付けているため、制動時に、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれが振動することで、ブレーキ鳴きやライニング15aの偏摩耗が生じることを抑制することもできる。
【0080】
また、制動力を解除した際に、外径側ピストン27aが、ピストンシール29によって外径側シリンダ23aの奥側へと引き戻される力を利用して、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれを、ロータ5から引き離すことができる。このため、インナパッド3a及びアウタパッド4aの引き摺りを低減することができる。
【0081】
インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34を、5つのすべてのピストン27a、27b、27c、28a、28bの先端部に接着固定するのではなく、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部に対してのみ接着固定している。このため、接着面39の範囲(面積)を小さく抑えることができ、接着剤38の使用量を少なく抑えることができる。したがって、インナパッド3a及びアウタパッド4aのコスト上昇を抑えることができ、ディスクブレーキ装置1aのコスト低減を図れる。
【0082】
本例では、接着剤38を利用して、シム板34の裏面に外径側ピストン27aの先端部を接着固定しているため、たとえば溶接により溶接固定する場合に比べて、外径側ピストン27aに対する固定作業を簡略化することができる。特に本例では、シート状の接着剤38を利用しているため、たとえば液状の接着剤を利用した場合に比べて、作業者の熟練を要さずに、接着面39を必要な個所に均一に設けることができる。また、剥離紙41に備えられた係合孔42を利用して、裏板16aに対する接着剤38の位置決めを図ることができるため、専用の治具を使用せずに、接着剤38を適切な位置に貼着することができる。このため、インナパッド3a及びアウタパッド4aのコスト上昇を抑えることもできる。
【0083】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図15図16を用いて説明する。本例では、実施の形態の第1例と同様の構成要素には、実施の形態の第1例と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】
本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34に接着固定するピストンの数を、実施の形態の第1例の構造から変更している。
【0085】
すなわち、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34を、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、回入側の端部に配置された外径側ピストン27a、及び、外径側ピストン27aの周方向他方側に隣接配置された内径側ピストン28aのそれぞれの先端部に対して接着固定している。これに対し、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34には、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、残りのピストンである3つのピストン27b、27c、28bのそれぞれの先端部は固定していない。したがって、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34には、周方向一方側に配置された2つのピストン27a、28aの先端部のみが接着固定されている。
【0086】
本例では、シム板34の裏面に、外径側ピストン27a及び内径側ピストン28aのそれぞれの先端部を、1枚のシート状の接着剤38aを用いて接着固定している。接着剤38aは、外径側ピストン27a及び内径側ピストン28aのそれぞれの先端部を含む大きさを有する略長円形状に構成されている。接着剤38aにより構成される接着面39aは、外径側ピストン27a及び内径側ピストン28aのそれぞれの先端部を接着固定する以前の状態で、剥離紙41aにより覆われている。剥離紙41aは、シート状の接着剤38aよりも十分に大きい、略六角形状を有しており、4つの隅部に略円形状の係合孔42を有している。
【0087】
剥離紙41aに備えられた4つの係合孔42のうち、周方向一方側に配置された2つの係合孔42には、裏板16aの裏面に備えられた2つの突起部36がそれぞれ挿通されている。具体的には、径方向外側部の周方向一方側に配置された係合孔42には、径方向外側部の周方向一方側の端部に配置された突起部36が挿通されている。また、径方向内側部の周方向一方側に配置された係合孔42には、径方向内側部の周方向一方側の端部に配置された突起部36が挿通されている。本例では、シート状の接着剤38aをシム板34の裏面に貼着する際に、剥離紙41aに備えられた2つの係合孔42に裏板16aに備えられた2つの突起部36を挿通することで、裏板16aに対するシート状の接着剤38a(接着面39a)の位置決めを図っている。
【0088】
インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれは、キャリパ2a(図1参照)に組み込む以前の状態で、シム板34の裏面のうち、外径側ピストン27a及び内径側ピストン28aのそれぞれの先端部が接触する部分に、シート状の接着剤38aを貼着してなる、略長円形状の接着面39aを備えている。これに対し、シム板34aの裏面のうちで、接着面39aから外れた、3つのピストン27b、27c、28bのそれぞれの先端部が接触する部分を含む部分には、シム板34aの裏面により構成される非接着面40aを備えている。
【0089】
以上のような本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢を、外径側ピストン27aと内径側ピストン28aとの2つのピストンにより規制することができる。このため、前進制動時及び後進制動時に、挿通孔17aの内周面の径方向外側面とピン12aの外周面の径方向外側の端部との間に隙間が生じるのを、より有効に抑制できる。したがって、制動力を解除した際に、クロンク音が発生するのを、より有効に抑制できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例の構造と同じである。
【0090】
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図17図18を用いて説明する。本例では、実施の形態の第1例と同様の構成要素には、実施の形態の第1例と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0091】
本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34に接着固定するピストンの数を、実施の形態の第1例及び第2例の構造から変更している。
【0092】
すなわち、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34を、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、回入側の端部に配置された外径側ピストン27a、外径側ピストン27aの周方向他方側に隣接配置された内径側ピストン28a、回出側の端部に配置された外径側ピストン27c、及び、外径側ピストン27cの周方向一方側に隣接配置された内径側ピストン28bのそれぞれの先端部に対して接着固定している。これに対し、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34には、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、残りのピストンである中央部に配置された外径側ピストン27bの先端部は固定していない。したがって、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34には、中央部に配置された外径側ピストン27bを除く、4つのピストン27a、27c、28a、28bのそれぞれの先端部が接着固定されている。
【0093】
本例では、シム板34の裏面に、4つのピストン27a、27c、28a、28bのそれぞれの先端部を、1枚のシート状の接着剤38bを用いて接着固定している。接着剤38bは、全体が略U字形状を有しており、2つの本体部43a、43bと、連結部44とを有している。
【0094】
本体部43aは、中間部が凹んだ略長円形状(略矩形状)を有しており、外径側ピストン27a及び内径側ピストン28aのそれぞれの先端部を含む大きさを有する。本体部43bは、中間部が凹んだ略長円形状(略矩形状)を有しており、外径側ピストン27c及び内径側ピストン28bのそれぞれの先端部を含む大きさを有する。連結部44は、2つの本体部43a、43bを周方向に連結する。接着剤38bにより構成される接着面39bは、4つのピストン27a、27c、28a、28bのそれぞれの先端部を接着固定する以前の状態で、剥離紙41bにより覆われている。剥離紙41bは、シート状の接着剤38bとほぼ同じ大きさを有しており、径方向外側部に2つの係合孔42を有している。
【0095】
剥離紙41bに備えられた2つの係合孔42のうち、周方向一方側に配置された係合孔42には、径方向外側部の周方向一方側の端部に配置された突起部36が挿通されている。また、剥離紙41bに備えられた2つの係合孔42のうち、周方向他方側に配置された係合孔42には、径方向外側部の周方向他方側の端部に配置された突起部36が挿通されている。本例では、シート状の接着剤38bをシム板34の裏面に貼着する際に、剥離紙41bに備えられた2つの係合孔42に裏板16に備えられた2つの突起部36を挿通することで、裏板16aに対するシート状の接着剤38b(接着面39b)の位置決めを図っている。
【0096】
インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれは、キャリパ2a(図1参照)に組み込む以前の状態で、シム板34の裏面のうち、4つのピストン27a、27c、28a、28bのそれぞれの先端部が接触する部分に、シート状の接着剤38bを貼着してなる、略U字形状の接着面39bを備えている。これに対し、シム板34の裏面のうちで、接着面39bから外れた、中央部の外径側ピストン27bの先端部が接触する部分を含む部分には、シム板34の裏面により構成される非接着面40bを備えている。
【0097】
以上のような本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの姿勢を、中央部に配置された外径側ピストン27bを除く、4つのピストン27a、27c、28a、28bにより規制することができる。このため、前進制動時及び後進制動時に、挿通孔17aの径方向外側面とピン12aの径方向外側の端部との間に隙間が生じるのを、より有効に抑制できる。したがって、制動力を解除した際に、クロンク音が発生するのを、より有効に抑制できる。
【0098】
本例では、回出側に配置された外径側ピストン27c及び内径側ピストン28bのそれぞれの先端部を、シム板34の裏面に接着固定しているため、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれを、ロータ5(図2参照)から効果的に引き離すことができる。このため、インナパッド3a及びアウタパッド4aの引き摺りを十分に低減することができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第2例の構造と同じである。
【0099】
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、図19図20を用いて説明する。本例では、実施の形態の第1例と同様の構成要素には、実施の形態の第1例と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0100】
本例では、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれを、ライニング15aと、裏板16aとから構成している。すなわち、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれは、シム板を備えていない。
【0101】
そして本例では、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれの裏板16aを、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部に対して固定している。これに対し、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれの裏板16aには、5つのピストン27a、27b、27c、28a、28bのうち、残りのピストンである4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部は固定していない。したがって、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれの裏板16aには、外径側ピストン27aの先端部のみが固定されている。
【0102】
本例の場合にも、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれの裏板16aを、回入側の端部に配置された外径側ピストン27aの先端部に対して、シート状の接着剤38を利用して接着固定している。接着剤38は、外径側ピストン27aの先端部の円形状の外縁よりもわずかに大きい、長円形状に構成されている。
【0103】
インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれは、キャリパ2a(図1参照)に組み込む以前の状態で、裏板16aの裏面のうち、外径側ピストン27aの先端部が接触する部分に、シート状の接着剤38を貼着してなる、接着面39を備えている。これに対し、裏板16aの裏面のうちで、接着面39から外れた、4つのピストン27b、27c、28a、28bのそれぞれの先端部が接触する部分を含む部分には、裏板16aの裏面により構成される非接着面40cを備えている。
【0104】
以上のような本例の場合にも、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれの姿勢を、外径側ピストン27aにより規制することができる。このため、前進制動時及び後進制動時に、インナパッド3b及びアウタパッド4bのそれぞれに作用するモーメントM1、M2にかかわらず、挿通孔17aの内周面の径方向外側面とピン12aの外周面の径方向外側の端部との間部分に、隙間が生じることを抑制できる。したがって、制動力を解除した際に、クロンク音が発生することを抑制できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0105】
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、図21を用いて説明する。本例では、実施の形態の第1例と同様の構成要素には、実施の形態の第1例と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0106】
本例では、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれのシム板34に接着固定する接着剤38cの位置決め方法を、実施の形態の第1例の構造から変更している。
【0107】
すなわち、本例では、シート状の接着剤38cを、インナパッド3a及びアウタパッド4aのそれぞれの裏板16aに対して、剥離紙を利用して位置決めするのではなく、直接位置決めしている。このために、接着剤38cを、長円形状の本体部43cと、本体部43cから突出した位置決め部47とから構成している。位置決め部47には、係合孔42aが備えられている。
【0108】
本例では、シート状の接着剤38cをシム板34の裏面に貼着する際に、位置決め部47に備えられた係合孔42aに対して、裏板16aに備えられた突起部36を挿通することで、裏板16aに対するシート状の接着剤38c(接着面39)の位置決めを図っている。具体的には、係合孔42aには、径方向外側部の周方向一方側の端部に配置された突起部36を挿通している。
【0109】
以上のような本例では、接着剤38cの位置決めを図るのに剥離紙を利用しなくて済むため、剥離紙を接着剤38cに対して必要以上に大きくしなくて済む。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例の構造と同じである。
【0110】
[実施の形態の第6例]
実施の形態の第6例について、図22図23を用いて説明する。本例では、実施の形態の第1例と同様の構成要素には、実施の形態の第1例と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0111】
本例のディスクブレーキ装置1bは、キャリパ2bを構成するインナボディ6b及びアウタボディ7bのそれぞれに、3つのシリンダ45a、45b、45cを有している。
【0112】
インナボディ6b及びアウタボディ7bのそれぞれは、周方向両側部の軸方向内側部に、軸方向に張り出したガイド壁部14bを備えている。周方向一方側に配置されたガイド壁部14bには、径方向中間部に、軸方向内側面及び周方向他方側の側面にそれぞれ開口したガイド凹溝13bが設けられている。周方向他方側に配置されたガイド壁部14bには、径方向中間部に、軸方向内側面及び周方向一方側の側面にそれぞれ開口したガイド凹溝13bが設けられている。
【0113】
3つのシリンダ45a、45b、45cのそれぞれには、ピストン46a、46b、46cが軸方向に関する変位を可能に1つずつ嵌装されている。したがって、本例のディスクブレーキ装置1bは、インナボディ6bとアウタボディ7bとにそれぞれ3個ずつ、合計6個のピストンを備えている。
【0114】
キャリパ2bに対し軸方向に移動可能に支持されるインナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれは、ライニング15bと、金属製の裏板16bと、シム板(図示省略)とからなる。
【0115】
裏板16bは、周方向両側部の径方向中間部に、周方向にそれぞれ突出した凸状の耳部18bを備えている。1対の耳部18bのそれぞれは、スライド係合部に相当するもので、インナボディ6b及びアウタボディ7bのそれぞれに備えられた1対のガイド凹溝13bのそれぞれに対して、軸方向に移動可能に係合する。このため、本例では、裏板16bの周方向両側部に備えられた1対のスライド係合部の形態が、互いに同じである。
【0116】
本例では、クロンク音の発生を抑制するために、インナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれのシム板を、3つのピストン46a、46b、46cのうち、回入側の端部に配置されたピストン46aの先端部に対して接着固定している。これに対し、インナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれのシム板には、3つのピストン46a、46b、46cのうち、残りのピストンである2つのピストン46b、46cのそれぞれの先端部は固定していない。したがって、インナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれのシム板には、回入側の端部に配置されたピストン46aの先端部のみが固定されている。
【0117】
本例の場合にも、インナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれのシム板を、回入側の端部に配置されたピストン46aの先端部に対して、シート状の接着剤(図示省略)を利用して接着固定している。接着剤は、ピストン46aの先端部の円形状の外縁よりもわずかに大きい形状を有しており、シム板の裏面に貼着されている。
【0118】
インナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれは、キャリパ2bに組み込む以前の状態で、シム板の裏面のうち、回入側の端部に配置されたピストン46aの先端部が接触する部分に、シート状の接着剤を貼着してなる接着面を備えている。これに対し、シム板の裏面のうちで、接着面から外れた、2つのピストン46b、46cのそれぞれの先端部が接触する部分を含む部分には、シム板の裏面により構成される非接着面を備えている。
【0119】
以上のような本例の場合にも、インナパッド3c及びアウタパッド4cのそれぞれの姿勢を、ピストン46aにより規制することができる。このため、制動力を解除した際に、周方向一方側(回入側)に配置された耳部18bの径方向外側面及び径方向内側面と、周方向一方側に配置されたガイド凹溝13bの径方向内側面及び径方向外側面とが勢い良く衝突することを抑制でき、クロンク音が発生することを抑制できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0120】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0121】
本発明のディスクブレーキ装置は、実施の形態の各例で説明したような、対向ピストン型のディスクブレーキ装置に限らず、フローティングキャリパ型のディスクブレーキ装置に適用することもできる。フローティング型のディスクブレーキ装置に適用する場合には、ロータの軸方向両側に配置される1対のパッドのうち、ロータよりも車両の幅方向内側に配置されるインナパッドのみを、ピストンに対して固定する。また、フローティング型のディスクブレーキ装置に適用する場合には、パッド支持部材に相当するサポートは、1対のパッドのそれぞれを軸方向に移動可能に支持する構造を備えたものでも良いし、インナパッドのみを軸方向に移動可能に支持する構造を備えたものでも良い。
【0122】
本発明を実施する場合に、パッド支持部材に対するパッドの支持構造については、実施の形態の各例で説明した構造に限らず、従来から知られた各種構造を採用することができる。
【0123】
本発明を実施する場合に、パッドをロータに向けて軸方向に押圧するピストンの数は、実施の形態の各例で説明した構造に限定されない。また、パッドを構成する裏板又はシム板に対して固定されるピストンの位置及び数についても、実施の形態の各例で説明した構造に限定されない。また、シート状の接着剤を裏板又シム板の裏面に対して貼着する際に、専用の治具を利用して位置決めを図ることもできる。
【符号の説明】
【0124】
1、1a、1b ディスクブレーキ装置
2、2a、2b キャリパ
3、3a、3b、3c インナパッド
4、4a、4b、4c アウタパッド
5 ロータ
6、6a、6b インナボディ
7、7a、7b アウタボディ
8、8a 回入側連結部
9、9a 回出側連結部
10、10a 中間連結部(センターブリッジ)
11、11a 被突き当て面
12、12a ピン
13、13a、13b ガイド凹溝
14、14a、14b ガイド壁部
15、15a、15b ライニング
16、16a、16b 裏板
17、17a 挿通孔
18、18a、18b 耳部
19、19a 突き当て面
20、20a、20b パッドスプリング
21a、21b、21c、21d 回入側押圧部
22a、22b、22c、22d 回出側押圧部
23a、23b、23c 外径側シリンダ
24a、24b 内径側シリンダ
25 ブリーダスクリュ
26 連通管
27a、27b、27c 外径側ピストン
28a、28b 内径側ピストン
29 ピストンシール
30 シール溝
31 ダストカバー
32 取付ボス部
33 ボルト挿通孔
34 シム板
35 張出部
36 突起部(ダボ)
37 取付孔
38、38a、38b、38c 接着剤
39、39a、39b、39c 接着面
40、40a、40b、40c 非接着面
41、41a、41b 剥離紙
42、42a 係合孔
43a、43b、43c 本体部
44 連結部
45a、45b、45c シリンダ
46a、46b、46c ピストン
47 位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
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図22
図23
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図26