(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】糸管理システム
(51)【国際特許分類】
D04B 35/12 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
D04B35/12
(21)【出願番号】P 2020132744
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】上山 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】下山 恭生
(72)【発明者】
【氏名】小村 善幸
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-140725(JP,A)
【文献】特開2014-169518(JP,A)
【文献】特開昭57-183456(JP,A)
【文献】実開平05-005885(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0282916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、
編地の編成データを記憶する記憶部と、
前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、
前記編機に糸を搬送する糸搬送装置と前記編機に配置された糸を新しい糸に交換する糸交換装置の少なくとも一方と、
を具備し、
前記制御部は
、
前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸搬送装置と前記糸交換装置の少なくとも一方によって当該糸の管理を行
い、
現在の前記糸残量では編成中の編地又は次に編成予定の編地を編成できない糸があると判断した場合、当該糸は前記管理条件を満たすと判断する、
糸管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記糸残量が所定の閾値以下の糸がある場合、当該糸は前記管理条件を満たすと判断する、
請求項1に記載の糸管理システム。
【請求項3】
前記編機に糸を搬送する糸搬送装置を具備し、
前記管理条件は糸搬送条件を含み、
前記制御部は、
前記糸搬送条件を満たす糸が複数の前記編機にあると判断した場合、前記糸残量の少ない順或いは糸切れとなる時間が早い順に前記糸搬送装置によって優先的に搬送する、
請求項1又は請求項2に記載の糸管理システム。
【請求項4】
編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、
編地の編成データを記憶する記憶部と、
前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、
前記編機に糸を搬送する糸搬送装置
と、
を具備し、
前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸搬送装置によって当該糸の管理を行い、
前記管理条件は糸搬送条件を含み、
前記制御部は、
前記糸搬送条件を満たす糸が複数の前記編機にあると判断した場合、前記糸残量の少ない順或いは糸切れとなる時間が早い順に前記糸搬送装置によって優先的に搬送する、
糸管理システム。
【請求項5】
編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、
編地の編成データを記憶する記憶部と、
前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、
前記編機に糸を搬送する糸搬送装置
と、
を具備し、
前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸搬送装置によって当該糸の管理を行い、
前記管理条件は糸搬送条件を含み、
前記制御部は、
前記糸搬送条件を満たす糸が複数の前記編機にあると判断した場合、前記糸搬送装置の位置情報を取得し、取得した前記糸搬送装置の位置情報に基づいて糸の搬送順を決定する、
糸管理システム。
【請求項6】
編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、
編地の編成データを記憶する記憶部と、
前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、
前記編機に配置された糸を新しい糸に交換する糸交換装置
と、
を具備し、
前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸交換装置によって当該糸の管理を行い、
前記管理条件は糸交換条件を含み、
前記制御部は、
前記編成データに基づいて、糸を編成に使用していない期間中に、前記糸交換条件を満たす糸を前記糸交換装置によって交換する、
糸管理システム。
【請求項7】
編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、
編地の編成データを記憶する記憶部と、
前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、
前記編機に配置された糸を新しい糸に交換する糸交換装置
と、
を具備し、
前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸交換装置によって当該糸の管理を行い、
前記管理条件は糸交換条件を含み、
前記制御部は、
現在の糸残量では次に編成予定の編地を編成できない糸があることにより、当該糸は前記糸交換条件を満たすと判断した場合、前記糸残量及び前記編成データに基づいて前記次に編成予定の編地をどこまで編めるかを算出し、算出結果に応じて当該糸を交換する時期を決定する、
糸管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編機に供給する糸を管理する糸管理システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、編機に供給する糸を管理する糸管理システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、コーンに巻かれた糸表面からの反射光を検知することにより、コーンに巻かれた糸の有無を検出することが開示されている。特許文献1に記載の技術において、制御装置は、コーンから糸がなくなると、ディスプレイに異常状態を表示させて編機を停止させる。作業者は、ディスプレイを見るだけで、コーンの糸の有無を知ることができ、糸のなくなったコーンを即座に新たなコーンに取り替えることができる。このようにして、編機に供給する糸を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、コーンから糸がなくなってから糸交換を行うので、編機を停止させる必要がある。このため、生産効率が低下する等の問題がある。したがって、糸の管理の最適化が望まれている。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、糸の管理の最適化を図ることができる糸管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、本発明に係る糸管理システムは、編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、編地の編成データを記憶する記憶部と、前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、前記編機に糸を搬送する糸搬送装置と前記編機に配置された糸を新しい糸に交換する糸交換装置の少なくとも一方と、を具備し、前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸搬送装置と前記糸交換装置の少なくとも一方によって当該糸の管理を行い、現在の前記糸残量では編成中の編地又は次に編成予定の編地を編成できない糸があると判断した場合、当該糸は前記管理条件を満たすと判断するものである。
このように構成することにより、糸の管理(糸管理)を最適化することができる。具体的には、管理条件を糸残量と編成データとの両方に基づいて算出し、当該管理条件に基づいて糸管理(糸搬送や糸交換)を行うため、最適な糸管理を行うことができる。また、このように構成することにより、糸切れの防止を図ることができる。具体的には、現在の糸残量では編成中の編地又は次に編成予定の編地を編成できない場合に糸管理を行うので、糸切れで編機が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記糸残量が所定の閾値以下の糸がある場合、当該糸は前記管理条件を満たすと判断するようにしてもよい。
このように構成することにより、糸切れの防止を図ることができる。具体的には、糸残量が所定の閾値以下となると糸管理を行うので、糸切れで編機が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0010】
また、前記編機に糸を搬送する糸搬送装置を具備し、前記管理条件は糸搬送条件を含み、前記制御部は、前記糸搬送条件を満たす糸が複数の前記編機にあると判断した場合、前記糸残量の少ない順或いは糸切れとなる時間が早い順に前記糸搬送装置によって優先的に搬送するようにしてもよい。
このように構成することにより、糸切れの防止を図ることができる。具体的には、糸残量が少ない糸或いは糸切れとなる時間が早い糸が優先的に搬送されるので、糸切れで編機が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0011】
また、編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、編地の編成データを記憶する記憶部と、前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、前記編機に糸を搬送する糸搬送装置と、を具備し、前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸搬送装置によって当該糸の管理を行い、前記管理条件は糸搬送条件を含み、前記制御部は、前記糸搬送条件を満たす糸が複数の前記編機にあると判断した場合、前記糸残量の少ない順或いは糸切れとなる時間が早い順に前記糸搬送装置によって優先的に搬送するようにしてもよい。
このように構成することにより、糸の管理(糸管理)を最適化することができる。また、このように構成することにより、糸切れの防止を図ることができる。具体的には、糸残量が少ない糸或いは糸切れとなる時間が早い糸が優先的に搬送されるので、糸切れで編機が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0012】
また、編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、編地の編成データを記憶する記憶部と、前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、前記編機に糸を搬送する糸搬送装置と、を具備し、前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸搬送装置によって当該糸の管理を行い、前記管理条件は糸搬送条件を含み、前記制御部は、前記糸搬送条件を満たす糸が複数の前記編機にあると判断した場合、前記糸搬送装置の位置情報を取得し、取得した前記糸搬送装置の位置情報に基づいて糸の搬送順を決定するようにしてもよい。
このように構成することにより、糸の管理(糸管理)を最適化することができる。また、このように構成することにより、糸切れの防止を図ることができる。具体的には、例えば糸搬送装置の位置が近い編機から糸を搬送することで、糸搬送に要する時間の短縮を図ることができる。
【0013】
また、編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、編地の編成データを記憶する記憶部と、前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、前記編機に配置された糸を新しい糸に交換する糸交換装置と、を具備し、前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸交換装置によって当該糸の管理を行い、前記管理条件は糸交換条件を含み、前記制御部は、前記編成データに基づいて、糸を編成に使用していない期間中に、前記糸交換条件を満たす糸を前記糸交換装置によって交換するようにしてもよい。
このように構成することにより、糸の管理(糸管理)を最適化することができる。また、このように構成することにより、編機を停止させずに糸交換を行うことができる。具体的には、糸を編成に使用していない期間(ヤーンキャリアが稼動していない期間)に糸交換を行うことで、編機の停止を防止することができる。
【0014】
また、編機に配置された糸の残量である糸残量を検出する糸残量検出部と、編地の編成データを記憶する記憶部と、前記編機に供給される糸の管理を行う制御部と、前記編機に配置された糸を新しい糸に交換する糸交換装置と、を具備し、前記制御部は、前記糸残量及び前記編成データに基づいて算出される管理条件を満たす糸があると判断した場合、前記糸交換装置によって当該糸の管理を行い、前記管理条件は糸交換条件を含み、前記制御部は、現在の糸残量では次に編成予定の編地を編成できない糸があることにより、当該糸は前記糸交換条件を満たすと判断した場合、前記糸残量及び前記編成データに基づいて前記次に編成予定の編地をどこまで編めるかを算出し、算出結果に応じて当該糸を交換する時期を決定するようにしてもよい。
このように構成することにより、糸の管理(糸管理)を最適化することができる。また、このように構成することにより、糸の使用率を向上させることができる。具体的には、例えば、現在編成中の編地の編成終了時に糸残量に余裕がない場合は、この時点で糸交換を行い、一方、糸残量に余裕がある場合は、次に編成予定の編地を途中まで編成してから糸交換を行うことにより、糸を最大限に使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、糸の管理の最適化を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る糸管理システムによって糸の管理が行われる横編機の全体的な構成を示した正面図。
【
図2】ニードルベッド及びキャリッジの構成を示した側面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る糸管理システムの構成を示したブロック図。
【
図4】糸搬送指示制御のフローチャートを示した図。
【
図5】糸交換指示制御のフローチャートを示した図。
【
図8】第一実施形態の優先順位設定処理のフローチャートを示した図。
【
図9】第一実施形態における糸搬送及び糸交換の一例を示した図。
【
図10】第二実施形態の優先順位設定処理のフローチャートを示した図。
【
図11】第三実施形態の優先順位設定処理のフローチャートを示した図。
【
図12】第三実施形態における糸搬送及び糸交換の一例を示した図。
【
図13】第四実施形態の優先順位設定処理のフローチャートを示した図。
【
図14】第四実施形態における糸搬送及び糸交換の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0018】
本発明の一実施形態に係る糸管理システム1は、横編機100に供給される糸の管理を行うものである。以下、糸管理システム1の説明の前に、まず、
図1及び
図2を用いて横編機100の全体的な構成について説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、横編機100は、主としてニードルベッド110、キャリッジ120、糸道レール130及び糸立台140を具備する。
【0020】
ニードルベッド110は、歯口Sを挟んで前後に互いに対向するように配置されている。前後のニードルベッド110は、前後中央側(互いに対向する側)に向かって上方に傾斜するような側面視逆V字状に配置されている(
図2参照)。各ニードルベッド110には、当該ニードルベッド110の長手方向(左右方向)に沿って多数の編針111が並ぶように設けられている。前後のニードルベッド110は、互いに編目の受け渡し(目移し)を行う際に、相対的に左右に移動することができる。
【0021】
キャリッジ120は、前後のニードルベッド110に対して上方から対向するように前後一対配置される。前後のキャリッジ120は、複数の糸道レール130を跨ぐように配置されたブリッジ120aにより連結されている。キャリッジ120は、サーボモータ(不図示)によって、ニードルベッド110の長手方向に沿って往復移動することができる。キャリッジ120には、ニードルベッド110の編針111を選択的に動作させるための選針機構(不図示)やカム機構(不図示)が設けられる。
【0022】
糸道レール130は、歯口Sの上方に、ニードルベッド110の長手方向に沿って延びるように複数配置される。糸道レール130には、編糸Yを給糸するヤーンキャリア131(
図1参照)が移動可能となるように支持されている。
【0023】
図1に示す糸立台140には、糸コーン141が設けられる。糸コーン141は、コーン141aに編糸Yが巻かれたものである。本実施形態では、糸コーン141は3つ設けられる。3つの糸コーン141の編糸Yは、横編機100の編成で使用されるものであり、例えば色や番手等が互いに異なっている。糸コーン141からの編糸Yは、適宜の給糸経路を経て、ヤーンキャリア131へと給糸される。
【0024】
このように構成された横編機100は、予め作成された編成データ等に基づいて、各部を制御する。具体的には、横編機100は、前記サーボモータの動作を制御することで、ニードルベッド110の長手方向に沿ってキャリッジ120を往復移動させることができる。キャリッジ120は、往復移動する際、給糸対象のヤーンキャリア131を連行する。この際、キャリッジ120に搭載されたカム機構(不図示)等により、編針111を歯口Sに対して進退させることで、ニット、タック、ミス等の編成動作と、前後のニードルベッド110間での編目の受け渡しを行うことができる。このようなキャリッジ120の往復移動を繰り返すことによって、編地Kが編成される。
【0025】
次に、
図3を用いて、糸管理システム1の構成について説明する。
【0026】
糸管理システム1は、横編機100が設けられた工場等において、横編機100に供給される編糸Yの管理(以下、「糸管理」という)を行うものである。より詳細には、糸管理システム1は、横編機100に新しい糸コーン141を搬送すること(以下、「糸搬送」という)、及び横編機100に配置された糸コーンを新しい糸コーン141に交換すること(以下、「糸交換」という)を実行することにより、横編機100に配置された糸コーン141が糸切れとならないように糸コーン141の管理を行う。本実施形態においては、糸管理システム1は、複数の横編機100に糸搬送及び糸交換を行う。
【0027】
糸管理システム1は、主として糸残量検出部10、記憶部20、糸搬送装置30、糸交換装置40及び制御部50を具備する。
【0028】
糸残量検出部10は、糸コーン141のコーン141aに巻かれた編糸Yの残りの長さ(以下、「糸残量」という)を検出するものである。糸残量検出部10は、適宜の場所に配置され、例えば横編機100の糸コーン141の近傍に配置される。糸残量検出部10は、糸コーン141の編糸Yの側面に光を照射する発光部(不図示)と、編糸Yの表面からの反射光を検知する受光部(不図示)とを備えている。そして、糸残量検出部10は、前記受光部によって検知される反射光の変化に基づいて、糸残量を検出することができる。なお、糸残量検出部10の構成は、上記構成に限定されるものではなく、任意の構成とすることができる。
【0029】
記憶部20は、編地Kの編成に用いる編成データ等のデータを記憶するものである。記憶部20は、各横編機100で用いる編成データを記憶している。編成データは、各横編機100に送られ、横編機100は当該編成データに基づいて編地Kを編成することができる。
【0030】
糸搬送装置30は、糸搬送を行うものである。すなわち、糸搬送装置30は、横編機100に新しい未使用の糸コーン141を搬送するものである。本実施形態においては、糸搬送装置30として自動搬送機(AGV)が用いられる。糸搬送装置30は、複数の横編機100間に設けられた所定の走路を走行可能に構成されている。前記走路は、新しい糸コーン141を保管する倉庫等の保管場所と各横編機100とをつなぐように形成されている。糸搬送装置30は、前記走路を走行することで、前記保管場所で新しい糸コーン141をピックアップし、当該糸コーン141を各横編機100の所定の配置場所に搬送することができる。
【0031】
糸交換装置40は、横編機100の糸交換を行うものである。糸交換装置40は、例えばスプライサーを備えている。糸交換装置40は、スプライサーに代えてノッターを備えていてもよい。糸交換装置40は、各横編機100に設けられている。糸交換装置40は、必要に応じて糸立台140にセットされた古い糸コーン141の編糸Yを任意の位置で切断し、当該編糸Yの端部と、糸搬送装置30によって搬送された新しい糸コーン141の編糸Yの端部とを、結び目が生じないようにつなぐことができる。そして、糸交換装置40は、糸立台140にセットされた古い糸コーン141のコーン141aを糸立台140から取り外し、糸搬送装置30によって搬送された新しい糸コーン141を糸立台140にセットすることができる。
【0032】
制御部50は、糸搬送装置30及び糸交換装置40の動作を制御するものである。制御部50は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部等を具備する。制御部50は、横編機100から種々の情報を取得する。また、制御部50は、糸残量検出部10から糸コーン141の糸残量を取得する。また、制御部50は、記憶部20から編成データを取得する。制御部50は、取得したこれらの情報に基づいて、糸搬送装置30及び糸交換装置40の動作を制御する。
【0033】
このように構成された糸管理システム1は、糸搬送装置30によって複数の横編機100に糸搬送し、また糸交換装置40によって糸交換を行うことができる。
【0034】
次に、
図4を用いて、糸搬送指示制御について説明する。
図4に示す糸搬送指示制御は、制御部50が、糸搬送装置30に対して糸搬送の準備及び実行を指示する制御を行うものである。また、
図4に示す糸搬送指示制御は、オペレーターの操作等により開始され、2巡目以降は、後述するステップS21でYESとなった場合に再び開始される。なお、以下では、糸コーン141を単に「糸」と称する場合もある。
【0035】
まず、ステップS10において、制御部50は、全ての横編機100が休止中であるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、各横編機100から当該横編機100が稼動しているか否かを示す稼動情報を取得する。そして、制御部50は、各横編機100の稼動情報に基づいて、全ての横編機100が休止中か或いは稼働中かを判定する。なお、「横編機100が稼働中」とは、横編機100の電源がオンとされた状態のことをいう。また、「横編機100が休止中」とは、横編機100の電源がオフとされた状態のことをいう。また、横編機100は、稼動中であっても、編地Kの編成を行っている時と、編地Kの編成が終了してから次の編地Kの編成開始までの間のように編成を行っていない時がある。以下では、「稼動中」のうち、横編機100が編地Kの編成を行っている時を、「横編機100が編成中」であるといい、横編機100が編地Kの編成を行っていない時を「横編機100が停止中」であるという。
【0036】
制御部50は、全ての横編機100が休止中であると判定した場合(ステップS10で「YES」)、
図4に示す糸搬送指示制御を終了する。一方、制御部50は、全ての横編機100が休止中というわけではない(稼動中の横編機100が存在する)と判定した場合(ステップS10で「NO」)、ステップS11に移行する。
【0037】
ステップS11において、制御部50は、各種情報を取得する。具体的には、制御部50は、稼働中の各横編機100にセットされた各糸コーン141の糸残量を取得する。当該糸残量は、糸残量検出部10によって検出される。また、制御部50は、稼動中の横編機100において編地Kの編成に用いられる編成データを記憶部20から取得する。また、制御部50は、各横編機100から編成の進捗状況等の情報を取得する。
【0038】
制御部50は、当該ステップS11の処理を行った後、ステップS12に移行する。
【0039】
ステップS12において、制御部50は、糸残量が「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」の糸コーン141があるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、ステップS11で取得された糸残量(稼動中の横編機100にセットされた糸コーン141の糸残量)が、予め設定された複数の段階のうちどの段階に該当するかを判断する。本実施形態においては、糸残量は、所定の基準に基づいて、「多い」、「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」の4段階に分類されている。なお、前記段階は、「多い」、「少ない」、「僅か」、「糸切れ」の順で糸残量が多くなるように設定されている。また、「糸切れ」とは、糸残量が0である場合である。そして、制御部50は、稼動中の横編機100の糸コーン141の現在の糸残量が、「多い」、「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」のいずれに該当するかを判断する。
【0040】
制御部50は、糸残量が「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」の糸コーン141があると判定した場合(ステップS12で「YES」)、ステップS15に移行する。一方、制御部50は、糸残量が「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」の糸コーン141がない(稼動中の横編機100にセットされた全ての糸コーン141の糸残量が「多い」に該当する)と判定した場合(ステップS12で「NO」)、ステップS13に移行する。
【0041】
ステップS13において、制御部50は、糸残量が現製品に対して不足するかを判定する。すなわち、制御部50は、現在の糸残量では現製品を編み切れない糸があるか否かを判定する。ここで、「現製品」とは、現在編成中の編地Kを示すものである。このステップにおいて、具体的には、制御部50は、ステップS11で取得された各種情報に基づいて、稼動中の横編機100にセットされた糸コーン141の現在の糸残量が現製品を編み切るのに必要な編糸Yの量より少ない糸コーン141があると判断した場合、糸残量が現製品に対して不足する糸があると判定する。一方、制御部50は、現在の糸残量が現製品を編み切るのに必要な編糸Yの量より少ない糸コーン141がないと判断した場合、糸残量が現製品に対して不足する糸がない(全ての糸コーン141の糸残量が現製品を編み切るのに十分である)と判定する。
【0042】
制御部50は、糸残量が現製品に対して不足する糸があると判定した場合(ステップS13で「YES」)、ステップS15に移行する。一方、制御部50は、糸残量が現製品に対して不足する糸がないと判定した場合(ステップS13で「NO」)、ステップS14に移行する。
【0043】
ステップS14において、制御部50は、糸残量が次製品に対して不足するかを判定する。すなわち、制御部50は、現在の糸残量では次製品を編み切れない糸があるか否かを判定する。ここで、「次製品」とは、現製品の次に編成予定の編地Kのことをいう。このステップにおいて、具体的には、制御部50は、ステップS11で取得された各種情報に基づいて、稼動中の横編機100にセットされた糸コーン141の現在の糸残量が現製品及び次製品を編み切るのに必要な編糸Yの量より少ない糸コーン141があると判断した場合、糸残量が次製品に対して不足する糸があると判定する。一方、制御部50は、現在の糸残量が現製品及び次製品を編み切るのに必要な編糸Yの量より少ない糸コーン141がないと判断した場合、糸残量が次製品に対して不足する糸がないと判定する。
【0044】
制御部50は、糸残量が次製品に対して不足する糸があると判定した場合(ステップS14で「YES」)、ステップS15に移行する。一方、制御部50は、糸残量が次製品に対して不足する糸がないと判定した場合(ステップS14で「NO」)、
図4に示す糸搬送指示制御を終了する。
【0045】
このように、稼動中の横編機100にセットされた糸コーン141が、所定の条件(ステップS12、ステップS13又はステップS14でYES)を満たす場合、制御部50は糸搬送が必要であると判断し、ステップS15以降に進む。以下、糸搬送が必要であると判断するための前記所定の条件を、糸搬送条件と称する。
【0046】
ステップS15において、制御部50は、糸搬送準備済みであるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸搬送条件を満たす糸コーン141について、後述する糸搬送準備指示(ステップS18参照)を糸搬送装置30に送信済みである場合、糸搬送準備指示済みであると判定する。一方、制御部50は、後述する糸搬送準備指示を、糸搬送装置30に送信済みでない場合、糸搬送準備指示済みでないと判定する。
【0047】
制御部50は、糸搬送準備済みであると判定した場合(ステップS15で「YES」)、ステップS19に移行する。一方、制御部50は、糸搬送準備済みでないと判定した場合(ステップS15で「NO」)、ステップS16に移行する。
【0048】
ステップS16において、制御部50は、糸搬送条件を満たす糸が複数あるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸搬送条件を満たし(ステップS12、ステップS13又はステップS14でYES)、かつ、糸搬送準備指示済みでない(ステップS15で「NO」)糸コーン141が複数あるか否かを判定する。
【0049】
制御部50は、糸搬送条件を満たす糸が複数あると判定した場合(ステップS16で「YES」)、ステップS17に移行する。一方、制御部50は、糸搬送条件を満たす糸が複数ない(1つである)と判定した場合(ステップS16で「NO」)、ステップS18に移行する。
【0050】
ステップS17において、制御部50は、優先順位設定処理を行う。具体的には、制御部50は、
図8に示す処理を行うことにより、糸搬送条件を満たす複数の糸コーン141の搬送順を決定する。すなわち、制御部50は、どの糸コーン141を優先的に搬送するかを決定する。以下、
図8を参照して、優先順位設定処理について説明する。
【0051】
図8に示すステップS70において、制御部50は、糸残量の少ない順に優先順位を設定する。具体的には、制御部50は、ステップS11で取得した糸残量に基づいて、当該糸残量が少ない糸コーン141ほど上位となるように、糸搬送条件を満たす複数の糸コーン141に対して優先順位を設定する。
【0052】
制御部50は、当該ステップS70の処理を行った後、
図8に示す優先順位設定処理を終了し、
図4に示すステップS18に移行する。
【0053】
ステップS18において、制御部50は、糸搬送準備指示を行う。具体的には、制御部50は、糸搬送装置30が糸搬送の準備を行う契機となる糸搬送準備指示を、糸搬送装置30に送信する。制御部50は、糸搬送条件を満たす糸コーン141が複数ある場合、ステップS17で設定した優先順位を糸搬送準備指示に紐付けて、当該糸搬送準備指示を糸搬送装置30に送信する。
【0054】
制御部50は、当該ステップS18の処理を行った後、ステップS19に移行する。
【0055】
ステップS19において、制御部50は、糸搬送準備完了報告があったか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸搬送準備指示を行った糸コーン141について、糸搬送装置30から後述する糸搬送準備完了報告(
図6に示すステップS54参照)を受け取っている場合、糸搬送準備済みであると判定する。一方、制御部50は、糸搬送条件を満たす糸コーン141について、糸搬送装置30から糸搬送準備完了報告を受け取っていない場合、糸搬送準備済みでないと判定する。
【0056】
制御部50は、糸搬送準備完了報告があったと判定した場合(ステップS19で「YES」)、ステップS20に移行する。一方、制御部50は、糸搬送準備完了報告がなかったと判定した場合(ステップS19で「NO」)、再びステップS19の処理を行う(ステップS19で「YES」となるまで処理を進めない)。
【0057】
ステップS20において、制御部50は、糸搬送実行指示を行う。具体的には、制御部50は、糸搬送装置30が糸搬送を実行する契機となる糸搬送実行指示を、糸搬送装置30に送信する。
【0058】
制御部50は、当該ステップS20の処理を行った後、ステップS21に移行する。
【0059】
ステップS21において、制御部50は、全ての糸搬送完了報告があったか否かを判定する。なお、後述するように、糸搬送完了報告(
図6に示すステップS59参照)は各糸コーン141ごとに個別に行われる。制御部50は、糸搬送実行指示があった全ての糸コーン141について糸搬送装置30から糸搬送完了報告を受け取った場合、全ての糸搬送完了報告があったと判定する。一方、制御部50は、全ての糸コーン141について糸搬送装置30から糸搬送完了報告を受け取っているわけではない(糸搬送完了報告を受け取っていない糸コーン141が存在する)場合、全ての糸搬送完了報告がなかったと判定する。
【0060】
制御部50は、糸搬送完了報告がなかったと判定した場合(ステップS21で「NO」)、再びステップS21の処理を行う。一方、制御部50は、糸搬送完了報告があったと判定した場合(ステップS21で「YES」)、
図4に示す糸搬送指示制御を終了する。
【0061】
なお、糸搬送準備指示(ステップS18)及び糸搬送実行指示(ステップS20)は、糸搬送実行指示があった全ての糸コーン141について、後述する糸搬送完了報告(
図6に示すステップS59参照)を糸搬送装置30から受け取った時点で、リセットされる。
【0062】
次に、
図5を用いて、糸交換指示制御について説明する。
図5に示す糸交換指示制御は、制御部50が、糸交換装置40に対して糸交換の準備及び実行を指示する制御を行うものである。
図5に示す糸交換指示制御は、各糸コーン141ごとに実行される。また、
図5に示す糸交換指示制御は、各糸コーン141の糸搬送が完了した後に実行される。
【0063】
まず、ステップS30において、制御部50は、糸搬送完了報告があったかを判定する。具体的には、制御部50は、後述する糸搬送完了報告(
図6に示すステップS59)を糸搬送装置30から受け取っている場合、糸搬送完了報告があったと判定する。一方、制御部50は、後述する糸搬送完了報告を糸搬送装置30から受け取っていない場合、糸搬送完了報告がなかったと判定する。
【0064】
制御部50は、糸搬送完了報告があったと判定した場合(ステップS30で「YES」)、ステップS31に移行する。一方、制御部50は、糸搬送完了報告がなかったと判定した場合(ステップS30で「NO」)、
図5に示す糸交換指示制御を終了する。
【0065】
ステップS31において、制御部50は、糸交換準備指示済みであるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸搬送完了報告があった糸コーン141について、後述する糸交換準備指示(ステップS33及びS40参照)を糸交換装置40に送信済みである場合、糸交換準備指示済みであると判定する。一方、制御部50は、糸搬送完了報告があった糸コーン141について、後述する糸交換準備指示を糸交換装置40に送信済みでない場合、糸交換準備指示済みでないと判定する。
【0066】
制御部50は、糸交換指示済みであると判定した場合(ステップS31で「YES」)、ステップS46に移行する。一方、制御部50は、糸交換指示済みでないと判定した場合(ステップS31で「NO」)、ステップS32に移行する。
【0067】
ステップS32において、制御部50は、糸残量が現製品に対して不足しているかを判定する。すなわち、制御部50は、現在の糸残量では現製品を編み切れないか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸搬送済みの糸コーン141と対応する、横編機100にセットされた糸コーン141の現在の糸残量が、現製品を編み切るのに必要な編糸Yの量より少ないと判断した場合、糸残量が現製品に対して不足すると判定する。一方、制御部50は、現在の糸残量が現製品を編み切るのに必要な編糸Yの量以上であると判断した場合、糸残量が現製品に対して不足しない(糸コーン141の糸残量が、現製品を編み切るのに十分である)と判定する。
【0068】
制御部50は、糸残量が現製品に対して不足すると判定した場合(ステップS32で「YES」)、ステップS33に移行する。一方、制御部50は、糸残量が現製品に対して不足しないと判定した場合(ステップS32で「NO」)、ステップS38に移行する。
【0069】
ステップS38において、制御部50は、糸残量が次製品に対して不足しているかを判定する。すなわち、制御部50は、現在の糸残量では次製品を編み切れないか否かを判定する。具体的には、制御部50は、現在の糸残量が現製品及び次製品を編み切るのに必要な編糸Yの量より少ないと判断した場合、糸残量が次製品に対して不足すると判定する。一方、制御部50は、現在の糸残量が現製品及び次製品を編み切るのに必要な編糸Yの量以上であると判断した場合、糸残量が次製品に対して不足しないと判定する。
【0070】
制御部50は、糸残量が次製品に対して不足していると判定した場合(ステップS38で「YES」)、ステップS39に移行する。一方、制御部50は、糸残量が次製品に対して不足していないと判定した場合(ステップS38で「NO」)、
図5に示す糸交換指示制御を終了する。
【0071】
このように、稼動中の横編機100にセットされた糸コーン141が、所定の条件(糸搬送条件を満たし、かつ、ステップS32又はS38でYES)を満たす場合、制御部50は糸交換が必要であると判断し、以降のステップに進む。以下、糸交換が必要であると判断するための前記所定の条件を、糸交換条件と称する。
【0072】
ステップS33において、制御部50は、糸交換準備指示を行う。具体的には、制御部50は、糸交換装置40が糸交換の準備を行う契機となる糸交換準備指示を、糸交換装置40に送信する。
【0073】
制御部50は、当該ステップS33の処理を行った後、ステップS34に移行する。
【0074】
ステップS34において、制御部50は、糸交換準備完了報告があったか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換準備指示を行った糸コーン141について、糸交換装置40から後述する糸交換準備完了報告(
図7に示すステップS64参照)を受け取っている場合、糸交換準備済みであると判定する。一方、制御部50は、糸搬送装置30から後述する糸交換準備完了報告を受け取っていない場合、糸交換準備済みでないと判定する。
【0075】
制御部50は、糸交換準備完了報告があったと判定した場合(ステップS34で「YES」)、ステップS35に移行する。一方、制御部50は、糸交換準備完了報告がなかったと判定した場合(ステップS34で「NO」)、再びステップS34の処理を行う。
【0076】
ステップS35において、制御部50は、横編機100が編成中であるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸搬送完了報告があった糸コーン141の横編機100から稼動情報を取得し、横編機100が編成中か或いは停止中かを判定する。
【0077】
制御部50は、横編機100が編成中であると判定した場合(ステップS35で「YES」)、ステップS36に移行する。一方、制御部50は、横編機100が編成中でない(横編機100が停止中である)と判定した場合(ステップS35で「NO」)、ステップS37に移行する。
【0078】
ステップS36において、制御部50は、ヤーンキャリア131が動作中であるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換条件を満たす糸コーン141の編糸Yを給糸するヤーンキャリア131が編地Kの編成のために動作中であるかを判定する。すなわち、制御部50は、糸交換条件を満たす糸コーン141の編糸Yが編地Kの編成に使用中であるか否かを判定する。
【0079】
制御部50は、ヤーンキャリア131が動作中であると判定した場合(ステップS36で「YES」)、ステップS35に処理を戻す。一方、制御部50は、ヤーンキャリア131が動作中でないと判定した場合(ステップS36で「NO」)、ステップS37に移行する。
【0080】
ステップS37において、制御部50は、キャリア使用開始までの時間がα分以上であるか否かを判定する。ここで、「α分」とは、糸交換に要する時間を示すものである。
【0081】
制御部50は、キャリア使用開始までの時間がα分以上であると判定した場合(ステップS37で「YES」)、ステップS45に移行する。一方、制御部50は、キャリア使用開始までの時間がα分以上でないと判定した場合(ステップS37で「NO」)、ステップS35に処理を戻す。
【0082】
一方、ステップS39において、制御部50は、残り編成時間が10分未満であるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、編成データ及び横編機100の編成の進捗情報に基づいて、残り編成時間が10分未満であるか否かを判定する。ここで、「残り編成時間」とは、現時点から現在編成中の編地Kの編成が終了するまでの時間を示すものである。
【0083】
制御部50は、残り編成時間が10分未満であると判定した場合(ステップS39で「YES」)、ステップS40に移行する。一方、制御部50は、残り編成時間が10分未満でないと判定した場合(ステップS39で「NO」)、再びステップS39の処理を行う。
【0084】
ステップS40において、制御部50は、糸交換準備指示を行う。具体的には、制御部50は、糸交換装置40が糸交換の準備を行う契機となる糸交換準備指示を、糸交換装置40に送信する。
【0085】
制御部50は、当該ステップS40の処理を行った後、ステップS41に移行する。
【0086】
ステップS41において、制御部50は、糸交換準備完了報告があったか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換準備指示を行った糸コーン141について、糸交換装置40から後述する糸交換準備完了報告(
図7に示すステップS64参照)を受け取っている場合、糸交換準備済みであると判定する。一方、制御部50は、糸交換装置40から後述する糸交換準備完了報告を受け取っていない場合、糸交換準備済みでないと判定する。
【0087】
制御部50は、糸交換準備完了報告があったと判定した場合(ステップS41で「YES」)、ステップS42に移行する。一方、制御部50は、糸交換準備完了報告がなかったと判定した場合(ステップS41で「NO」)、再びステップS41の処理を行う。
【0088】
ステップS42において、制御部50は、現製品の編成が終了したか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換準備指示を行った横編機100において、現製品の編成が終了し、横編機100が停止中であるか否かを判定する。
【0089】
制御部50は、現製品の編成が終了したと判定した場合(ステップS42で「YES」)、ステップS43に移行する。一方、制御部50は、現製品の編成が終了していないと判定した場合(ステップS42で「NO」)、再びステップS42の処理を行う。
【0090】
ステップS43において、制御部50は、次製品の編成の開始後の次のキャリア停止まで編み切れるか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換準備完了報告を受けた糸コーン141について、記憶部20に記憶された編成データに基づいて、次製品の編成時にヤーンキャリア131が最初に停止するまでに必要な編糸Yの量(必要糸量)を算出する。そして、制御部50は、現製品の編成終了時点の糸残量に基づいて、当該糸残量が前記必要糸量より多い又は前記必要糸量と同じである場合、次のキャリア停止まで編み切れると判断する。一方、制御部50は、現製品の編成終了時点の糸残量が前記必要糸量より少ない場合、次のキャリア停止まで編み切れないと判断する。
【0091】
制御部50は、次のキャリア停止まで編み切れると判定した場合(ステップS43で「YES」)、ステップS44に移行する。一方、制御部50は、次のキャリア停止まで編み切れないと判定した場合(ステップS43で「NO」)、ステップS45に移行する。
【0092】
ステップS44において、制御部50は、糸切れとなる直前のキャリア停止となったか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換準備完了報告を受けた糸コーン141について、次製品をどこまで編み切れるか(どこで糸切れとなるか)を算出する。そして、制御部50は、ヤーンキャリア131が停止する複数のタイミングのうち、糸切れとなる直前のヤーンキャリア131が停止するタイミングとなったか否かを判定する。
【0093】
制御部50は、糸切れとなる直前のキャリア停止となったと判定した場合(ステップS44で「YES」)、ステップS45に移行する。一方、制御部50は、糸切れとなる直前のキャリア停止となっていないと判定した場合(ステップS44で「NO」)、再びステップS44の処理を行う。
【0094】
ステップS45において、制御部50は、糸交換実行指示を行う。具体的には、制御部50は、糸交換装置40が糸交換を実行する契機となる糸交換実行指示を、糸交換装置40に送信する。
【0095】
制御部50は、当該ステップS45の処理を行った後、ステップS46に移行する。
【0096】
ステップS46において、制御部50は、糸交換完了報告があったか否かを判定する。具体的には、制御部50は、糸交換実行指示を行った糸コーン141について、後述する糸交換完了報告(
図7に示すステップS69参照)を糸交換装置40から受け取っているか否かを判定する。
【0097】
制御部50は、糸交換完了報告がなかったと判定した場合(ステップS46で「NO」)、再びステップS46の処理を行う。一方、制御部50は、糸交換完了報告があったと判定した場合(ステップS46で「YES」)、
図5に示す糸交換指示制御を終了する。
【0098】
なお、糸交換準備指示(ステップS33及びS40)及び糸交換実行指示(ステップS46)は、後述する糸交換完了報告(
図7に示すステップS69参照)を糸交換装置40から受け取った時点で、リセットされる。
【0099】
次に、
図6を用いて、糸搬送処理について説明する。
図6に示す糸搬送処理は、制御部50から送られた糸搬送準備指示(
図4に示すステップS18)、及び糸搬送実行指示(
図4に示すステップS20)に基づいて、糸搬送装置30の制御部が行うものである。
【0100】
ステップS50において、糸搬送装置30は、糸搬送準備指示があったか否かを判定する。具体的には、糸搬送装置30は、制御部50から糸搬送準備指示(
図4に示すステップS18)を受け取っている場合、糸搬送準備指示があったと判定する。一方、糸搬送装置30は、制御部50から糸搬送準備指示を受け取っていない場合、糸搬送準備指示がなかったと判定する。
【0101】
糸搬送装置30は、糸搬送準備指示があったと判定した場合(ステップS50で「YES」)、ステップS51に移行する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送準備指示がなかったと判定した場合(ステップS50で「NO」)、
図6に示す糸搬送処理を終了する。
【0102】
ステップS51において、糸搬送装置30は、糸搬送準備を行う。具体的には、糸搬送装置30は、所定の走路を走行し、前記保管場所から新しい糸コーン141をピックアップする等の糸搬送を行うための準備を行う。
【0103】
糸搬送装置30は、制御部50から複数の糸搬送準備指示を受け取っている場合、糸搬送準備指示があった全ての糸コーン141について、糸搬送準備を行う。
【0104】
糸搬送装置30は、当該ステップS51の処理を行った後、ステップS52に移行する。
【0105】
ステップS52において、糸搬送装置30は、糸搬送準備中であるか否かを判定する。具体的には、糸搬送装置30は、糸搬送準備を既に開始している場合、糸搬送準備中であると判定する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送準備を未だ開始していない場合、糸搬送準備中でないと判定する。
【0106】
糸搬送装置30は、糸搬送準備中であると判定した場合(ステップS52で「YES」)、ステップS53に移行する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送準備中でないと判定した場合(ステップS52で「NO」)、再びステップS52の処理を行う。
【0107】
ステップS53において、糸搬送装置30は、糸搬送準備が完了したか否かを判定する。具体的には、糸搬送装置30は、糸搬送準備指示があった全ての糸コーン141の糸搬送準備が完了した場合、糸搬送準備が完了したと判定する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送準備指示があった全ての糸コーン141の糸搬送準備が完了したわけではない(糸搬送準備が完了していない糸コーン141が存在する)場合、糸搬送準備が完了していないと判定する。
【0108】
糸搬送装置30は、糸搬送準備が完了したと判定した場合(ステップS53で「YES」)、ステップS54に移行する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送準備が完了していないと判定した場合(ステップS53で「NO」)、再びステップS53の処理を行う。
【0109】
ステップS54において、糸搬送装置30は、糸搬送準備完了報告を行う。具体的には、糸搬送装置30は、糸搬送準備が完了した旨の報告である糸搬送準備完了報告を制御部50に送信する。
【0110】
糸搬送装置30は、当該ステップS54の処理を行った後、ステップS55に移行する。
【0111】
ステップS55において、糸搬送装置30は、糸搬送実行指示があったか否かを判定する。具体的には、糸搬送装置30は、制御部50から糸搬送実行指示(
図4に示すステップS20)を受け取っている場合、糸搬送実行指示があったと判定する。一方、糸搬送装置30は、制御部50から糸搬送実行指示を受け取っていない場合、糸搬送実行指示がなかったと判定する。
【0112】
糸搬送装置30は、糸搬送実行指示があったと判定した場合(ステップS55で「YES」)、ステップS56に移行する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送実行指示がなかったと判定した場合(ステップS55で「NO」)、再びステップS55の処理を行う。
【0113】
ステップS56において、糸搬送装置30は、糸搬送を実行する。具体的には、糸搬送装置30は、所定の走路を走行し、ピックアップした新しい糸コーン141を、対象の横編機100に搬送する。
【0114】
ここで、糸搬送装置30は、制御部50から複数の糸搬送実行指示を受け取っている場合、
図4に示すステップS17で設定された優先順位に従って、順番に糸搬送を行う。
【0115】
糸搬送装置30は、当該ステップS56の処理を行った後、ステップS57に移行する。
【0116】
ステップS57において、糸搬送装置30は、糸搬送中であるか否かを判定する。具体的には、糸搬送装置30は、糸搬送を実行している場合、糸搬送中であると判定する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送を実行していない場合、糸搬送中でないと判定する。
【0117】
糸搬送装置30は、糸搬送中であると判定した場合(ステップS57で「YES」)、ステップS58に移行する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送中でないと判定した場合(ステップS57で「NO」)、再びステップS57の処理を行う。
【0118】
ステップS58において、糸搬送装置30は、糸搬送が完了したか否かを判定する。具体的には、糸搬送装置30は、糸搬送実行指示があった全ての糸コーン141の糸搬送が完了した場合、糸搬送が完了したと判定する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送実行指示があった全ての糸コーン141の糸搬送が完了したわけではない(糸搬送が完了していない糸コーン141が存在する)場合、糸搬送が完了していないと判定する。
【0119】
糸搬送装置30は、糸搬送が完了したと判定した場合(ステップS58で「YES」)、ステップS59に移行する。一方、糸搬送装置30は、糸搬送が完了していないと判定した場合(ステップS58で「NO」)、再びステップS58の処理を行う。
【0120】
ステップS59において、糸搬送装置30は、糸搬送完了報告を行う。具体的には、糸搬送装置30は、糸搬送が完了した旨の報告である糸搬送完了報告を制御部50に送信する。なお、糸搬送完了報告は、各糸コーン141ごとに個別に行われる。
【0121】
糸搬送装置30は、当該ステップS59の処理を行った後、
図6に示す糸搬送処理を終了する。
【0122】
次に、
図7を用いて、糸交換処理について説明する。
図7に示す糸交換処理は、制御部50から送られた糸交換準備指示(
図5に示すステップS33及びS40)、及び糸交換実行指示(
図5に示すステップS45)に基づいて、各横編機100に設けられた糸交換装置40の制御部それぞれが行うものである。
図7に示す糸交換処理は、各糸コーン141ごとに実行される。
【0123】
ステップS60において、糸交換装置40は、糸交換準備指示があったか否かを判定する。具体的には、糸交換装置40は、制御部50から糸交換準備指示(
図5に示すステップS33及びS40)を受け取っている場合、糸交換準備指示があったと判定する。一方、糸交換装置40は、制御部50から糸交換準備指示を受け取っていない場合、糸交換準備指示がなかったと判定する。
【0124】
糸交換装置40は、糸交換準備指示があったと判定した場合(ステップS60で「YES」)、ステップS61に移行する。一方、糸交換装置40は、糸交換準備指示がなかったと判定した場合(ステップS60で「NO」)、
図7に示す糸交換処理を終了する。
【0125】
ステップS61において、糸交換装置40は、糸交換準備を行う。
【0126】
糸交換装置40は、当該ステップS61の処理を行った後、ステップS62に移行する。
【0127】
ステップS62において、糸交換装置40は、糸交換準備中であるか否かを判定する。具体的には、糸交換装置40は、糸交換準備を既に開始している場合、糸交換準備中であると判定する。一方、糸交換装置40は、糸交換準備を未だ開始していない場合、糸交換準備中でないと判定する。
【0128】
糸交換装置40は、糸交換準備中であると判定した場合(ステップS62で「YES」)、ステップS63に移行する。一方、糸交換装置40は、糸交換準備中でないと判定した場合(ステップS62で「NO」)、再びステップS62の処理を行う。
【0129】
ステップS63において、糸交換装置40は、糸交換準備が完了したか否かを判定する。
【0130】
糸交換装置40は、糸交換準備が完了したと判定した場合(ステップS63で「YES」)、ステップS64に移行する。一方、糸交換装置40は、糸交換準備が完了していないと判定した場合(ステップS63で「NO」)、再びステップS63の処理を行う。
【0131】
ステップS64において、糸交換装置40は、糸交換準備完了報告を行う。具体的には、糸交換装置40は、糸交換準備が完了した旨の報告である糸交換準備完了報告を制御部50に送信する。
【0132】
糸交換装置40は、当該ステップS64の処理を行った後、ステップS65に移行する。
【0133】
ステップS65において、糸交換装置40は、糸交換実行指示があったか否かを判定する。具体的には、糸交換装置40は、制御部50から糸交換実行指示(
図5に示すステップS45)を受け取っている場合、糸交換実行指示があったと判定する。一方、糸交換装置40は、制御部50から糸交換実行指示を受け取っていない場合、糸交換実行指示がなかったと判定する。
【0134】
糸交換装置40は、糸交換実行指示があったと判定した場合(ステップS65で「YES」)、ステップS66に移行する。一方、糸交換装置40は、糸交換実行指示がなかったと判定した場合(ステップS65で「NO」)、再びステップS65の処理を行う。
【0135】
ステップS66において、糸交換装置40は、糸交換を実行する。
【0136】
糸交換装置40は、当該ステップS66の処理を行った後、ステップS67に移行する。
【0137】
ステップS67において、糸交換装置40は、糸交換中であるか否かを判定する。具体的には、糸交換装置40は、糸交換を実行している場合、糸交換中であると判定する。一方、糸交換装置40は、糸交換を実行していない場合、糸交換中でないと判定する。
【0138】
糸交換装置40は、糸交換中であると判定した場合(ステップS67で「YES」)、ステップS68に移行する。一方、糸交換装置40は、糸交換中でないと判定した場合(ステップS67で「NO」)、再びステップS67の処理を行う。
【0139】
ステップS68において、糸交換装置40は、糸交換が完了したか否かを判定する。
【0140】
糸交換装置40は、糸交換が完了したと判定した場合(ステップS68で「YES」)、ステップS69に移行する。一方、糸交換装置40は、糸交換が完了していないと判定した場合(ステップS68で「NO」)、再びステップS68の処理を行う。
【0141】
ステップS69において、糸交換装置40は、糸交換完了報告を行う。具体的には、糸交換装置40は、糸交換が完了した旨の報告である糸交換完了報告を制御部50に送信する。
【0142】
糸交換装置40は、当該ステップS69の処理を行った後、
図7に示す糸交換処理を終了する。
【0143】
以下、
図9を用いて、糸搬送及び糸交換の具体例を説明する。
図9は、各横編機100の糸残量等の状態、並びに各横編機100の糸交換及び糸搬送の必要性の有無を示している。
図9に示す例においては、3台の横編機100(横編機100A、横編機100B及び横編機100C)に糸搬送及び糸交換を行うものとする。また、横編機100Aは糸コーン141Aの編糸YAを、横編機100Bは糸コーン141Bの編糸YBを、横編機100Cは糸コーン141Cの編糸YCを編成に用いるものとする。なお、実際には、各横編機100には複数の糸コーン141が備えられ、複数の糸コーン141の編糸Yを編成に用いているが、説明の簡略化のため、
図9には1つの糸コーン141の状態しか示していない。
【0144】
図9に示すように、横編機100Aにおいては、糸コーン141Aは、糸残量が「僅か」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たす。また、糸コーン141Aは、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が現製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS32でYES)、糸交換条件を満たす。
【0145】
また、横編機100Bにおいては、糸コーン141Bは、糸残量が「多い」に該当し(
図4に示すステップS12でNO)、現製品及び次製品に対して十分であるので(
図4に示すステップS13及びS14でNO)、糸搬送条件を満たさない。また、糸コーン141Aは糸搬送条件を満たさないので、糸交換条件を満たさない。
【0146】
また、横編機100Cにおいては、糸コーン141Cは、糸残量が「少ない」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たす。また、糸コーン141Cは、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、糸交換条件を満たす。
【0147】
このように、糸搬送条件を満たす糸コーン141が複数の横編機100に存在するので(
図4に示すステップS16でYES)、優先順位設定処理(
図4に示すステップS17)が行われる。
【0148】
前述の如く、横編機100Aの糸コーン141Aの糸残量は「僅か」に該当し、横編機100Cの糸コーン141Cの糸残量は「少ない」に該当する。よって、糸コーン141Aと糸コーン141Cとでは、糸コーン141Aの方が糸コーン141Cよりも糸残量が少ない。よって、制御部50は、糸コーン141Aを第1位、糸コーン141Cを第2位に(糸コーン141Aの方が糸コーン141Cよりも上位となるように)、優先順位を設定する(
図8に示すステップS70)。
【0149】
糸搬送装置30は、まず糸コーン141A及び糸コーン141Cの糸搬送準備(
図6に示すステップS51)を行う。そして、糸搬送装置30は、糸コーン141A及び糸コーン141Cの糸搬送準備が完了すると(
図6に示すステップS53でYES)、制御部50に糸搬送準備完了報告を行う(
図6に示すステップS54)。
【0150】
制御部50は、糸搬送準備完了報告を受け取ると、糸搬送装置30に対して糸コーン141A及び糸コーン141Cの糸搬送実行指示を行う(
図4に示すステップS20)。糸搬送装置30は、糸搬送実行指示を受け取ると(
図6に示すステップS55でYES)、まず、優先順位が上位である糸コーン141Aを横編機100Aに搬送する。そして、糸搬送装置30は、横編機100Aへの糸コーン141Aの搬送が完了すると、横編機100Cに糸コーン141Cを搬送する。
【0151】
こうして、横編機100A及び横編機100Cに、新しい糸コーン141A及び糸コーン141Cが搬送されて糸搬送が完了する(
図6に示すステップS59、
図4に示すステップS21でYES)。そして、制御部50による糸搬送指示制御(
図4)、及び糸搬送装置30による糸搬送処理(
図6)が終了する。
【0152】
制御部50は、糸コーン141Aの糸搬送完了報告を受け取ると(
図5に示すステップS30でYES)、糸コーン141Aの糸残量が現製品に対して不足するか否かを判定する(
図5に示すステップS32)。糸コーン141Aの糸残量は現製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS32でYES)、制御部50は、横編機100Aに設けられた糸交換装置40Aに糸交換準備指示を行う(
図5に示すステップS33)。また、制御部50は、糸コーン141Cの糸搬送完了報告を受け取ると(
図5に示すステップS30でYES)、糸コーン141Cの糸残量が現製品に対して不足するか否かを判定する(
図5に示すステップS32)。糸コーン141Cの糸残量は次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、制御部50は、残り編成時間が10分未満になるのを待って糸交換装置40Cに糸交換準備指示を行う(
図5に示すステップS39、S40)。
【0153】
以下、まず横編機100Aの糸交換について説明する。
【0154】
糸交換装置40Aは、制御部50から糸交換準備指示を受け取ると(
図7に示すステップS60でYES)、糸交換準備を行う(
図7に示すステップS61)。そして、糸交換装置40Aは、糸交換準備が完了すると、制御部50に糸交換準備完了報告を送信する(
図7に示すステップS63でYES、S64)。
【0155】
制御部50は、糸交換装置40Aから糸交換準備完了報告を受け取る(
図5に示すステップS34でYES)。糸コーン141A1の編成状況(編糸YAのヤーンキャリア131)が停止中であるので(
図5に示すステップS36でNO)、糸交換に要する時間がヤーンキャリア131の次の稼動(10分後)までに間に合う場合(
図5に示すステップS37でYES)、制御部50は、横編機100Aの糸交換装置40Aに糸交換実行指示を行う(
図5に示すステップS45)。
【0156】
糸交換装置40Aは、制御部50から糸交換実行指示を受け取ると(
図7に示すステップS65でYES)、横編機100Aの糸交換を実行する(
図7に示すステップS66)。
【0157】
こうして、横編機100Aの糸交換が完了し(
図7に示すステップS69、
図5に示すステップS21でYES)、制御部50による糸交換指示制御(
図5)、及び糸交換装置40Aによる糸交換処理(
図7)が終了する。
【0158】
次に、横編機100Cの糸交換について説明する。
【0159】
横編機100Cの糸交換装置40Cは、制御部50から糸交換準備指示を受け取ると(
図7に示すステップS60でYES)、糸交換準備を行う(
図7に示すステップS61)。そして、糸交換装置40Cは、糸交換準備が完了すると、制御部50に糸交換準備完了報告を送信する(
図7に示すステップS63でYES、S64)。
【0160】
制御部50は、糸交換装置40Cから糸交換準備完了報告を受け取ると(
図5に示すステップS41でYES)、現製品の編成が終了するまで待機する(
図5に示すステップS42)。ここで、現製品の編成終了時点の糸残量で、次のキャリア停止まで編み切れる場合(
図5に示すステップS43でYES)、次製品の編成開始後、糸切れとなる直前のキャリア停止時に、糸交換装置40Cに糸交換実行指示を行う(
図5に示すステップS44、S45)。
【0161】
糸交換装置40Cは、制御部50から糸交換実行指示を受け取ると(
図7に示すステップS65でYES)、横編機100Cの糸交換を実行する(
図7に示すステップS66)。
【0162】
こうして、横編機100Cの糸交換が完了し(
図7に示すステップS69、
図5に示すステップS21でYES)、制御部50による糸交換指示制御(
図5)、及び糸交換装置40Cによる糸交換処理(
図7)が終了する。
【0163】
以上の如く、糸管理システム1においては、糸残量及び編成データの両方によって糸搬送装置30及び糸交換装置40を制御し、糸の管理を行う。具体的には、糸搬送条件(
図4に示すステップS12、S13、S14でYES)を糸残量と編成データとの両方に基づいて算出し、糸搬送条件を満たす糸コーン141について糸搬送を行う。また、糸交換条件(糸搬送条件を満たし、かつ、
図5に示すステップS32又はS38でYES)も同様に糸残量と編成データとの両方に基づいて算出し、糸交換条件を満たす糸コーン141について糸交換を行う。このように、糸残量及び編成データの両方によって算出される管理条件(糸搬送条件及び糸交換条件)を満たす糸コーン141がある場合に、糸搬送装置30及び糸交換装置40によって糸の管理(糸搬送及び糸交換)を行うので、糸の管理を最適化することができる。
【0164】
また、糸管理システム1においては、糸残量検出部10によって横編機100に配置された糸コーン141の糸残量を検出し、検出した糸残量が所定の閾値以下となった場合、具体的には、「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」のいずれかに該当するようになった場合(
図4に示すステップS12でYES)、当該糸コーン141について糸搬送及び糸交換を行う。したがって、糸切れで横編機100が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては横編機100の停止による生産効率の低下を抑制することができる。
【0165】
また、糸管理システム1においては、現在の糸残量では現製品(編成中の編地K)又は次製品(次に編成予定の編地K)を編成できない糸コーン141があると判断した場合(
図4に示すステップS13、S14でYES)、当該糸コーン141について糸搬送及び糸交換を行う。したがって、糸切れで横編機100が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0166】
また、糸管理システム1においては、糸残量等に基づいて、糸搬送条件を満たす糸コーン141がある場合に、都度糸搬送を行う。よって、予備の新しい糸コーン141を保管するスペースを各横編機100の近傍に設ける必要がない。このため、複数の横編機100の互いの間隔を比較的短く配置することができ、ひいては横編機100の配置場所の省スペース化を図ることができる。
【0167】
また、糸管理システム1においては、糸搬送条件を満たす糸コーン141が複数の横編機100にある場合、糸残量の少ない順に優先的に糸搬送を行う(
図4に示すステップS17、
図8に示すステップS70、
図6に示すステップS56)。したがって、糸切れで横編機100が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0168】
また、糸管理システム1においては、編糸Yを編成に使用していない(編糸Yのヤーンキャリア131が停止中である)期間中に、糸交換を行う(
図5に示すステップS36でNO、S42でYES)。したがって、横編機100を停止させることなく糸交換を行うことができる。
【0169】
また、糸管理システム1においては、現在の糸残量では現製品は編み切れるが次製品を編成できない糸コーン141があると判断した場合(
図5に示すステップS38でYES)、糸残量及び編成データに基づいて次製品をどこまで編めるかを算出し、算出結果に応じて当該糸コーン141を交換する時期を決定する(
図5に示すステップS43からS45)。したがって、例えば現製品の編成終了時に糸残量に余裕がない場合は(
図5に示すステップS43でNO)、この時点で糸交換を行う。一方、糸残量に余裕がある場合は(
図5に示すステップS43でYES)、次製品を途中まで編成してから糸交換を行う(
図5に示すステップS44でYES、S45)。これにより、糸コーン141に巻かれた編糸Yを最大限に使用することができ、ひいては編糸Yの使用率を向上させることができる。
【0170】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0171】
例えば、本実施形態においては、糸管理システム1は、糸搬送装置30及び糸交換装置40の両方を備えるものとしたが、糸搬送装置30又は糸交換装置40の少なくとも一方を備えていればよい。すなわち、糸搬送又は糸交換をオペレーターが手作業で行うようにしてもよい。
【0172】
また、本実施形態においては、糸搬送装置30として自動搬送機(AGV)を用いるものとしたが、ベルトコンベアやハンガーシステムを用いるものとしてもよい。
【0173】
また、本実施形態においては、横編機100それぞれが糸交換装置40を備えるものとしたが、1つの糸交換装置40が各横編機100の糸交換を行うようにしてもよい。
【0174】
また、本実施形態においては、
図4に示すステップS12において、制御部50は、糸残量が複数の段階(「少ない」、「僅か」又は「糸切れ」)のいずれに該当するかを判定するものとしたが、残りの糸の長さそのものに対して閾値を定め、当該閾値に基づいて判定を行ってもよい。また、閾値は残りの糸の重さに対して定めてもよい。
【0175】
また、本実施形態においては、糸搬送を行った後、糸交換を所定のタイミング(
図5に示すステップS42からS45等)で行うものとしたが、糸搬送を行うとすぐに糸交換をするようにしてもよい。また、例えば糸残量が所定の閾値以下となったときに、糸交換装置40が糸交換をするようにしてもよい。
【0176】
また、本実施形態においては、新しい糸コーン141は、横編機100とは別の保管場所にて保管されるものとしたが、予備の糸コーン141をストック可能なクリールスタンドを横編機100に併設するようにしてもよい。クリールスタンドは、回転することで、横編機100に供給される編糸Yを有する糸コーン141を切り替えることができるように構成されている。このようなクリールスタンドにおいては、使用中の糸コーンを使い切った場合、次の糸コーン141に自動的に切り替わり、ストック数が初期の値から1減算される。この場合、ストック数が極力「1」にならないように補充することで、糸切れを防止することができる。また、糸搬送装置30が、新しい糸コーン141をある程度ストックしていてもよい。
【0177】
また、本実施形態においては、編機として横編機100を例示して説明したが、編機は横編機100に限定されるものではなく、経編機や丸編機等の他の編機であってもよい。
【0178】
また、本実施形態においては、横編機100を停止させることなく糸交換を行うものとしたが、制御部50は、糸交換のために一時的に横編機100を停止させてもよい。
【0179】
また、本実施形態においては、糸残量検出部10によって直接的に糸残量を検出するものとしたが、糸残量の検出方法はこれに限定されるものではなく、例えば倉庫等にて未使用の糸コーン141の糸残量の初期値を事前に取得し、当該初期値から編成で消費した分を随時減算していくことで、間接的に糸残量を検出するようにしてもよい。
【0180】
また、制御部50は、例えば糸搬送が間に合わず糸残量が糸切れとなりそうな場合、糸切れとなる前に横編機100を停止させるようにしてもよい。これにより、横編機100の給糸経路に新たな糸を通し直すという作業を省くことができる。
【0181】
また、編成データは現製品と次製品とで同じであってもよく、或いは製品毎に異なっていてもよい。すなわち、横編機100は同じ種類の製品を繰り返し編成するものであってもよく、或いは異なる種類の製品を編成可能であってもよい。
【0182】
また、本実施形態においては、糸残量の少ない順に糸搬送の優先順位を設定するものとしたが(
図8に示すステップS70)、優先順位の設定方法はこれに限定されるものではない。以下、
図10を参照して、優先順位の設定方法の第二実施形態について説明する。
【0183】
図10に示すステップS80において、制御部50は、糸残量及び編成データに基づいて、糸切れとなるまでの時間を算出する。具体的には、制御部50は、糸残量及び編成データ等に基づいて、現時点から糸搬送条件(
図4に示すステップS12、S13、S14でYES)を満たす糸コーン141が糸切れとなるまでの時間を算出する。
【0184】
制御部50は、当該ステップS80の処理を行った後、ステップS81に移行する。
【0185】
ステップS81において、制御部50は、糸切れとなる時間が早い順に優先順位を設定する。具体的には、制御部50は、ステップS80で算出した糸切れとなる時間が短い糸コーン141ほど上位となるように、複数の糸コーン141に対して優先順位を設定する。
【0186】
制御部50は、当該ステップS81の処理を行った後、
図10に示す優先順位設定処理を終了する。
【0187】
このように、糸管理システム1においては、糸搬送条件を満たす糸コーン141が複数の横編機100にある場合、糸切れとなる時間が早い順に優先的に糸搬送を行う(
図4に示すステップS17、
図10に示すステップS81、
図6に示すステップS56)。したがって、糸切れで横編機100が停止してしまうのを抑制することができ、ひいては生産効率の低下を抑制することができる。
【0188】
以下、
図11を参照して、優先順位の設定方法の第三実施形態について説明する。
【0189】
図11に示すステップS90において、制御部50は、糸残量及び編成データ等に基づいて、糸搬送条件(
図4に示すステップS12、S13、S14でYES)を満たす糸コーン141が糸切れとなるまでの時間を算出する。
【0190】
制御部50は、当該ステップS90の処理を行った後、ステップS91に移行する。
【0191】
ステップS91において、制御部50は、GPS機能等により、糸搬送装置30の現在の位置情報を取得する。
【0192】
制御部50は、当該ステップS91の処理を行った後、ステップS92に移行する。
【0193】
ステップS92において、制御部50は、後述する方法によって、糸切れを最大限防止できる搬送ルートを決定する。ここで、「搬送ルート」とは、糸搬送装置30が糸搬送を行う際に、走路Xをどのように走行するかを示すものである。
【0194】
制御部50は、当該ステップS92の処理を行った後、ステップS93に移行する。
【0195】
ステップS93において、制御部50は、ステップS92で決定した搬送ルートに基づいて、優先順位を設定する。
【0196】
制御部50は、当該ステップS93の処理を行った後、
図11に示す優先順位設定処理を終了する。以下、
図12を用いて、糸搬送装置30の搬送ルート及び優先順位の決定方法の一例について説明する。
【0197】
図12に示す例においては、走路Xに沿って横編機100A、横編機100B、横編機100Cの順で並んでいる。また、糸搬送装置30は、横編機100Cの近傍に位置している。また、横編機100Aは糸切れまであと10分であり、横編機100Cは糸切れまであと12分である。この場合、仮に
図10に示すステップS81の方法に従えば、糸切れとなる時間が短い横編機Aの方から糸搬送を行うこととなる。
【0198】
但し、この場合、糸搬送装置30が横編機100Aから比較的遠い位置に位置しているため、横編機100Aまで糸搬送を行い、その後に横編機100Cまで糸搬送するとなると、糸搬送装置30の走行距離ひいては走行時間が比較的長くなる。このため、場合によっては、横編機100Aに対して先に糸搬送すると、その間に横編機100Cが糸切れとなる場合も起こり得る。
【0199】
よって、第三実施形態において、糸搬送装置30の位置情報と各横編機100の糸切れまでの時間を総合的に考慮して、糸切れを最大限防止できるように(糸切れとなる横編機100が生じないように)搬送ルート及び優先順位が決定される。例えば、糸切れまでの時間が長くても糸搬送装置30の位置に近い横編機100Cから優先的に糸搬送を行うことで、糸搬送に要する時間を短縮し、ひいては横編機100A及び横編機100Cの両方の糸切れを防ぐことが可能となる。
【0200】
以下、
図13を参照して、優先順位の設定方法の第四実施形態について説明する。
【0201】
図13に示すステップS100において、制御部50は、糸搬送条件を満たす糸コーン141のうち、糸残量が現製品に対して不足する糸コーン141があるか否かを判定する。具体的な内容は、
図5に示すステップS32と同様である。
【0202】
制御部50は、糸残量が現製品に対して不足する糸があると判定した場合(ステップS100で「YES」)、ステップS101に移行する。一方、制御部50は、糸残量が現製品に対して不足する糸がないと判定した場合(ステップS100で「NO」)、ステップS102に移行する。
【0203】
ステップS101において、制御部50は、糸残量が「僅か」となるまでの時間を算出する。具体的には、制御部50は、糸残量及び編成データ等に基づいて、現時点から糸残量が「僅か」に該当するようになるまでの時間を算出する。
【0204】
制御部50は、当該ステップS101の処理を行った後、ステップS102に移行する。
【0205】
ステップS102において、制御部50は、糸搬送条件を満たす糸コーン141のうち、糸残量が次製品に対して不足する糸コーン141があるか否かを判定する。具体的な内容は、
図5に示すステップS38と同様である。
【0206】
制御部50は、糸残量が次製品に対して不足する糸があると判定した場合(ステップS102で「YES」)、ステップS103に移行する。一方、制御部50は、糸残量が次製品に対して不足する糸がないと判定した場合(ステップS102で「NO」)、ステップS104に移行する。
【0207】
ステップS103において、制御部50は、残り編成時間を算出する。具体的には、制御部50は、糸残量が次製品に対して不足する糸コーン141が配置された横編機100について、編成データ等に基づいて、現時点から現製品の編成が終了するまでの時間を算出する。
【0208】
制御部50は、当該ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0209】
ステップS104において、制御部50は、優先順位を設定する。具体的には、制御部50は、以下の手順で優先順位を設定する。
【0210】
まず、制御部50は、糸残量が現製品に対して不足する(ステップS100でYES)糸コーン141、又は糸残量が次製品に対して不足する(ステップS102でYES)糸コーン141が、糸残量が現製品及び次製品に対して不足しない(ステップS100でNO、かつステップS102でNO)糸コーン141よりも上位となるように、優先順位を設定する。なお、糸残量が現製品及び次製品に対して不足しない糸コーン141とは、糸残量が
図4に示すステップS12の条件を満たすが、ステップS13及びS14の条件を満たさない糸コーン141である。
【0211】
次に、糸残量が現製品及び次製品に対して不足しない(ステップS100でNO、かつステップS102でNO)糸コーン141が複数ある場合、当該複数の糸コーン141のうち、糸残量が少ない順に(糸残量が少ないほど上位となるように)優先順位を設定する。
【0212】
次に、糸残量が現製品又は次製品に対して不足する(ステップS100又はS102でYES)糸コーン141が複数ある場合、当該複数の糸コーン141のうち、糸残量が僅かとなるまでの時間(ステップS101)又は残り編成時間(ステップS103)が早い順に、優先順位を設定する。
【0213】
制御部50は、当該ステップS104の処理を行った後、
図13に示す優先順位設定処理を終了する。
【0214】
以下、
図14を用いて、糸搬送及び糸交換の具体例の別例を説明する。
図14は、各横編機100の糸残量等の状態、並びに各横編機100の糸交換及び糸搬送の必要性の有無を示している。
図14に示す例においては、3台の横編機100(横編機100A、横編機100B及び横編機100C)に糸搬送及び糸交換を行うものとする。また、横編機100Aは、糸コーン141A1の編糸YA1、糸コーン141A2の編糸YA2、糸コーン141A3の編糸YA3を編成に用いている。また、横編機100Bは、糸コーン141B1の編糸YB1、糸コーン141B2の編糸YB2、糸コーン141B3の編糸YB3を編成に用いている。また、横編機100Cは、糸コーン141C1の編糸YC1、糸コーン141C2の編糸YC2、糸コーン141C3の編糸YC3を編成に用いている。
【0215】
図14に示すように、横編機100Aにおいては、糸コーン141A1は、糸残量が「僅か」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たす。また、糸コーン141A1は、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が現製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS32でYES)、糸交換条件を満たす。
【0216】
また、糸コーン141A2は、糸残量が「少ない」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たす。また、糸コーン141A2は、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、糸交換条件を満たす。
【0217】
また、糸コーン141A3は、糸残量が「多い」に該当し(
図4に示すステップS12でNO)、現製品及び次製品に対して十分であるので(
図4に示すステップS13及びS14でNO)、糸搬送条件を満たさない。また、糸コーン141A3は、糸搬送条件を満たさないので、糸交換条件を満たさない。
【0218】
横編機100Bにおいては、糸コーン141B1は、糸残量が「多い」に該当し(
図4に示すステップS12でNO)、現製品及び次製品に対して十分であるので(
図4に示すステップS13及びS14でNO)、糸搬送条件を満たさない。また、糸コーン141B1は、糸搬送条件を満たさないので、糸交換条件を満たさない。
【0219】
また、糸コーン141B2は、糸残量が「少ない」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たす。また、糸コーン141B2は、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、糸交換条件を満たす。
【0220】
また、糸コーン141B3は、糸残量が「多い」に該当し(
図4に示すステップS12でNO)、現製品及び次製品に対して十分であるので(
図4に示すステップS13及びS14でNO)、糸搬送条件を満たさない。また、糸コーン141B3は、糸搬送条件を満たさないので、糸交換条件を満たさない。
【0221】
横編機100Cにおいては、糸コーン141C1は、糸残量が「少ない」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たす。また、糸コーン141C1は、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、糸交換条件を満たす。
【0222】
また、糸コーン141C2は、糸残量が「多い」に該当し(
図4に示すステップS12でNO)、現製品及び次製品に対して十分であるので(
図4に示すステップS13及びS14でNO)、糸搬送条件を満たさない。また、糸コーン141C2は、糸搬送条件を満たさないので、糸交換条件を満たさない。
【0223】
また、糸コーン141C3は、糸残量が「僅か」に該当するので(
図4に示すステップS12でYES)、糸搬送条件を満たしているが、ここでは既に糸搬送がされたものとする。また、糸コーン141C3は、糸搬送条件を満たし、かつ、糸残量が次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、糸交換条件を満たす。
【0224】
このように、糸搬送条件を満たす糸コーン141が複数の横編機100に存在する(
図4に示すステップS16でYES)。具体的には、横編機100Aの糸コーン141A1及び糸コーン141A2、横編機100Bの糸コーン141B2、並びに横編機100Cの糸コーン141C1は、糸搬送条件を満たし、糸搬送準備指示済みでないので(
図4に示すステップS15でNO、S16でYES)、優先順位設定処理(
図4に示すステップS17)が行われる。
【0225】
前述の如く、糸搬送条件を満たす全ての糸コーン141の糸残量は、現製品又は次製品に対して不足している。すなわち、糸搬送条件を満たす糸コーン141のうち、現製品又は次製品に対して不足しないものは存在しない。
【0226】
糸搬送条件を満たす糸コーン141(糸コーン141A1、糸コーン141A2、糸コーン141B2及び糸コーン141C1)のうち、糸コーン141A1の糸残量は現製品に対して不足する。糸コーン141A1の糸残量は既に「僅か」に該当しているので、糸残量が「僅か」となるまでの時間は、0分である。
【0227】
また、糸コーン141A2、糸コーン141B2及び糸コーン141C1の糸残量は、次製品に対して不足する。糸コーン141A2が配置された横編機100Aの残り編成時間は、40分である。糸コーン141B2が配置された横編機100Bの残り編成時間は、25分である。糸コーン141C1が配置された横編機100Cの残り編成時間は、10分である。
【0228】
よって、糸コーン141A1、糸コーン141C1、糸コーン141B2、糸コーン141A2の順で、糸残量が僅かとなるまでの時間又は編成終了までの時間が早い。よって、糸コーン141A1を第1位、糸コーン141C1を第2位に、糸コーン141B2を第3位に、糸コーン141A2を第4位に、優先順位を設定する(
図8に示すステップS70)。
【0229】
糸搬送装置30は、まず糸コーン141A1、糸コーン141C1、糸コーン141B2及び糸コーン141A2の糸搬送準備(
図6に示すステップS51)を行う。そして、糸搬送装置30は、全ての糸搬送準備が完了すると(
図6に示すステップS53でYES)、制御部50に糸搬送準備完了報告を行う(
図6に示すステップS54)。
【0230】
制御部50は、糸搬送準備完了報告を受け取ると、糸搬送装置30に対して糸搬送実行指示を行う(
図4に示すステップS20)。糸搬送装置30は、糸搬送実行指示を受け取ると(
図6に示すステップS55でYES)、まず、優先順位が第1位である糸コーン141A1を横編機100Aに搬送するのであるが、同一の横編機100Aで使用される糸コーン141A2もともに搬送することができる。すなわち、糸搬送装置30は、横編機100Aに糸コーン141A1及び糸コーン141A2の糸搬送を行う。そして、糸搬送装置30は、横編機100Aへの糸搬送が完了すると、次に優先順位が第2位である糸コーン141C1を横編機100Cに搬送する。そして、糸搬送装置30は、横編機100Cへの糸搬送が完了すると、次に優先順位が第3位である糸コーン141B2を横編機100Bに搬送する。
【0231】
こうして、横編機100A、横編機100B及び横編機100Cに、新しい糸コーン141が搬送されて糸搬送が完了し(
図6に示すステップS59、
図4に示すステップS21でYES)、制御部50による糸搬送指示制御(
図4)、及び糸搬送装置30による糸搬送処理(
図6)が終了する。
【0232】
制御部50は、糸搬送完了報告を受け取ると(
図5に示すステップS30でYES)、糸交換条件を満たす糸コーン141に対応する糸交換装置40に糸交換準備指示を行う。具体的には、糸コーン141A1の糸残量は現製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS32でYES)、制御部50は、横編機100Aの糸交換装置40Aに糸交換準備指示を行う(
図5に示すステップS33)。また、糸コーン141C1、糸コーン141B2及び糸コーン141A2の糸残量は次製品に対して不足しているので(
図5に示すステップS38でYES)、制御部50は、残り編成時間が10分未満になるのを待って各糸交換装置40に糸交換準備指示を行う(
図5に示すステップS39、S40)。
【0233】
以下、まず横編機100Aの糸交換について説明する。
【0234】
糸コーン141A1の糸交換準備が完了すると、制御部50は、糸交換装置40Aから糸交換準備完了報告を受け取る(
図5に示すステップS34でYES)。糸コーン141A1の編成状況(編糸YA1のヤーンキャリア131)が停止中であり(
図5に示すステップS36でNO)、ヤーンキャリア131が10分後に稼動予定なので(
図5に示すステップS37でYES)、制御部50は、すぐに横編機100Aの糸交換装置40Aに糸交換実行指示を行う(
図5に示すステップS45)。また、糸コーン141A2の糸交換準備が完了すると、制御部50は、糸交換装置40Aから糸交換準備完了報告を受け取る(
図5に示すステップS34でYES)。糸コーン141A2が配置された横編機100Aは40分後に編成が終了する。ここで、現製品の編成終了時点の糸残量で、次のキャリア停止まで編み切れる場合(
図5に示すステップS43でYES)、制御部50は、次製品の編成開始後、糸切れとなる直前のキャリア停止時に、糸交換装置40Aに糸コーン141A2の糸交換実行指示を行う(
図5に示すステップS44、S45)。
【0235】
こうして、糸交換実行指示を受けた糸交換装置40Aは、すぐに糸コーン141A1の糸交換を行い、また次製品の編成開始後に糸コーン141A2の糸交換を行う。
【0236】
次に、横編機100Cの糸交換について説明する。
【0237】
糸コーン141C1の糸交換準備が完了すると、制御部50は、糸交換装置40Cから糸交換準備完了報告を受け取る(
図5に示すステップS41でYES)。糸コーン141C1が配置された横編機100Cは10分後に編成が終了する。ここで、現製品の編成終了時点の糸残量で、次のキャリア停止まで編み切れる場合(
図5に示すステップS43でYES)、制御部50は、次製品の編成開始後、糸切れとなる直前のキャリア停止時に、糸交換装置40Cに糸コーン141C1の糸交換実行指示を行う(
図5に示すステップS44、S45)。
【0238】
こうして、糸交換実行指示を受けた糸交換装置40Cは、次製品の編成開始後に糸コーン141C1の糸交換を行う。
【0239】
次に、横編機100Bの糸交換について説明する。
【0240】
糸コーン141B2の糸交換準備が完了すると、制御部50は、糸交換装置40Bから糸交換準備完了報告を受け取る(
図5に示すステップS41でYES)。糸コーン141B2が配置された横編機100Bは25分後に編成が終了する。ここで、現製品の編成終了時点の糸残量で、次のキャリア停止まで編み切れない場合(
図5に示すステップS43でNO)、制御部50は、現製品の編成終了後(25分後)すぐに、糸交換装置40Bに糸コーン141B2の糸交換実行指示を行う(
図5に示すステップS44、S45)。
【0241】
こうして、糸交換実行指示を受けた糸交換装置40Bは、現製品の編成終了後(25分後)すぐに糸コーン141B2の糸交換を行う。
【0242】
以上の如く、糸管理システム1においては、各横編機100の各糸コーン141の糸搬送及び糸交換を最適に行うことができ、ひいては糸切れの発生を抑制することができる。
【0243】
なお、本明細書及び図面に示した制御フローはあくまで一例であり、本発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0244】
1 糸管理システム
10 糸残量検出部
20 記憶部
30 糸搬送装置
40 糸交換装置
50 制御部
100 横編機
141 糸コーン