(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】消防車
(51)【国際特許分類】
A62C 27/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A62C27/00 508
(21)【出願番号】P 2020148928
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】横井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真由美
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-168607(JP,A)
【文献】実開昭60-71242(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0120834(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102274600(CN,A)
【文献】実開平4-35455(JP,U)
【文献】中国実用新案第204815470(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室と、前記運転室よりも後方に資機材が収納される荷室とを有した消防車であって、
前記荷室の上端と下端との間に、ホースが横倒しの状態で収納されるホース収納部を備え、
前記ホース収納部は、前記ホースが載置されるホース載置面と、前記ホースを前記ホース載置面に対して出し入れするための複数の出入口とを有し、
前記出入口は、前記荷室の側面及び後面に設けられていることを特徴とする消防車。
【請求項2】
前記出入口ごとに開閉体が設けられ、
前記開閉体は、前記出入口の少なくとも一部を塞いだ第一状態と、前記出入口を塞がない第二状態とに変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の消防車。
【請求項3】
前記開閉体は、板状又は棒状であり、前記出入口の一端から他端にかけて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の消防車。
【請求項4】
前記ホースの後端が一端に接続された送水配管と、
前記送水配管の他端が接続され流体を吸引するポンプとを備え、
前記送水配管の前記一端は、前記ホース収納部の前端の左右中央に配置され、水平に回動可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消防車。
【請求項5】
前記ホース収納部に、前記ホースを巻き取る巻取装置を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消防車。
【請求項6】
前記ホースの後端が一端に接続された送水配管と、
前記送水配管の他端が接続され流体を吸引するポンプとを備え、
前記送水配管の前記一端は、前記巻取装置の回転中心に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の消防車。
【請求項7】
前記ホース載置面の高さ位置は、前記荷室の1/2以上2/3以下の高さにあることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消防車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻いた状態で荷室に収納しておき消火活動時に展開して使用するホースを備えた消防車に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置を備えた消防車においては、当該ポンプ装置に接続されているホース(吸管)の先端を川や池等に投入するなどして消火剤となる水を吸引する。ホースは、不使用時には巻いた状態で消防車に収納されており、使用時に展開する。
ここで、特許文献1には、消防車の吸水ポンプの吸水口に取り付けた吸水管を巻き取る吸水管用ホースリールであって、吸水管を先端から巻き込むことができるようにホースリールのホイールの芯部に吸水管の先端を挿入可能な差込口を設けた吸水管用ホースリールが開示されており、段落0020には吸水管用ホースリールを左右に回動する方向に設けてよい旨が記載されている。
また、特許文献2には、消火液を流通させるためのホースを車体に装備する消防自動車において、 車体の略前後方向に沿った軸回りで回転可能に車体に縦姿勢で取り付けられ、ホースが周部に捲回されるホースリールと、ホースリールを前後方向両側から挟み込むように収容して車体の幅方向に貫通形成されるホース収納室と、ホース収納室内に連通して車体の幅方向両側部に開口形成され、開口範囲がホースリールの上端部から下端部にかけた範囲に及ぶ一対のホース取出し口を備える消防自動車が開示されている。
また、特許文献3には、装備品が搭載される床部を有する荷箱と、荷箱を下方側から支持したシャシフレームと、可撓性を有する長尺の管状体で形成され、ポンプの吸引側に接続される吸管とを備えた車両において、荷箱の床部とシャシフレームとの間に、車両後方に開口した開口部を介して吸管を出し入れ可能に収納する吸管収納空間が設けられ、吸管は、その長手方向の一端が定点で垂直軸回りに回転する回転体に保持されると共に、その長手方向の少なくとも一部領域を湾曲させた状態で、吸管収納空間に収納されていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-137706号公報
【文献】登録実用新案第3117700号公報
【文献】特開2014-129022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2は、ホースの収納及び展開を車両の側方から行うことができるが、後方から行うことはできない。また、ホースリールの設置を前提としたものであるため、それによる重量増加が必ず生じてしまう。また、荷室等のレイアウトは、ホースを縦向きに収納することを前提としたものとなる。
また、特許文献3は、ホースを横向きに収納するものであり、必ずしもホースリールを設置する必要はないが、ホースの収納及び展開は車両の後方からのみであり、側方から行うことはできない。
そこで本発明は、ホースの収納及び展開を側方からでも後方からでも行うことができるホースを備えた消防車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の消防車は、運転室10と、運転室10よりも後方に資機材が収納される荷室20とを有した消防車であって、荷室20の上端と下端との間に、ホース70が横倒しの状態で収納されるホース収納部80を備え、ホース収納部80は、ホース70が載置されるホース載置面81と、ホース70をホース載置面81に対して出し入れするための複数の出入口82とを有し、出入口82は、荷室20の側面及び後面に設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の消防車において、出入口82ごとに開閉体100が設けられ、開閉体100は、出入口82の少なくとも一部を塞いだ第一状態と、出入口82を塞がない第二状態とに変更可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の消防車において、開閉体100は、板状又は棒状であり、出入口82の一端から他端にかけて配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消防車において、ホース70の後端70bが一端90aに接続された送水配管90と、送水配管90の他端90bが接続され流体を吸引するポンプ60とを備え、送水配管90の一端90aは、ホース収納部80の前端の左右中央に配置され、水平に回動可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消防車において、ホース収納部80に、ホース70を巻き取る巻取装置140を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の消防車において、ホース70の後端70bが一端90aに接続された送水配管90と、送水配管90の他端90bが接続され流体を吸引するポンプ60とを備え、送水配管90の一端90aは、巻取装置140の回転中心に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消防車において、ホース載置面81の高さ位置は、荷室20の1/2以上2/3以下の高さにあることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】同ホースを収納した状態でのホース収納部を示す図
【
図4】同ホースを各出入口から展開した状態をひとまとめに表した図
【
図6】同左出入口の開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示す図
【
図7】同右出入口の開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示す図
【
図8】同後出入口の開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示す図
【
図9】同ホースを収納した状態でのホース収納部を示す図
【
図11】本発明の他の実施例による巻取装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施の形態による消防車は、運転室と、運転室よりも後方に資機材が収納される荷室とを有した消防車であって、荷室の上端と下端との間に、ホースが横倒しの状態で収納されるホース収納部を備え、ホース収納部は、ホースが載置されるホース載置面と、ホースをホース載置面に対して出し入れするための複数の出入口とを有し、出入口は、荷室の側面及び後面に設けられているものである。
本実施の形態によれば、側面からでも後面からでもホースの出し入れができる。また、荷室の中間部にホース収納部を設けることで、ホース収納部の上方及び下方にはホース以外の資機材を積載するスペースを設けることができるなど、従来よりもレイアウトの自由度が高まる。
【0014】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による消防車において、出入口ごとに開閉体が設けられ、開閉体は、出入口の少なくとも一部を塞いだ第一状態と、出入口を塞がない第二状態とに変更可能であるものである。
本実施の形態によれば、ホースを収納する際に、一つの出入口のみ開閉体を第一状態とし、二つの出入口は第二状態とすることで、ホース載置面に載せたホースが他の出入口からずり落ちることなく収納作業をスムーズに進めることができる。
【0015】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による消防車において、開閉体は、板状又は棒状であり、出入口の一端から他端にかけて配置されているものである。
本実施の形態によれば、開閉体が第一状態にあるときの出入口の隙間(開口)が小さくなるため、ホースのずり落ちをより確実に防止できる。また、開閉体を板状にした場合は出入口の隙間を小さくしやすく、開閉体を棒状にした場合はホースとの摩擦を小さくしやすい。
【0016】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれか一つの実施の形態による消防車において、ホースの後端が一端に接続された送水配管と、送水配管の他端が接続され流体を吸引するポンプとを備え、送水配管の一端は、ホース収納部の前端の左右中央に配置され、水平に回動可能であるものである。
本実施の形態によれば、どの出入口からでもホースの収納と展開をスムーズに行うことができる。
【0017】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第3のいずれか一つの実施の形態による消防車において、ホース収納部に、ホースを巻き取る巻取装置を備えているものである。
本実施の形態によれば、巻取装置を備えることで、ホースの収納と展開が容易となる。
【0018】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による消防車において、ホースの後端が一端に接続された送水配管と、送水配管の他端が接続され流体を吸引するポンプとを備え、送水配管の一端は、巻取装置の回転中心に配置されているものである。
本実施の形態によれば、ホースの後端と送水配管の一端との位置関係を適切なものとし、ホースの収納と展開をスムーズに行うことができる。
【0019】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれか一つの実施の形態による消防車において、ホース載置面の高さ位置は、荷室の1/2以上2/3以下の高さにあるものである。
本実施の形態によれば、従来よりもレイアウトの自由度をさらに高めることができる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の一実施例による消防車について説明する。
図1は本実施例による消防車の概略図であり、
図1(a)は上面図、
図1(b)は左側面図である。なお、一部においては荷室内部も示している。
消防車は、車両前部に設けられ運転操作装置等を有する運転室10と、車両後部に設けられ資機材を収納する荷室20と、運転室10と荷室20との間に設けられ水を貯留する水タンク30と、タイヤ40と、シャシフレーム50を備える。運転室10、荷室20、水タンク30は、下方に配設されたシャシフレーム50により支持されている。
また、荷室20の前部には、ポンプ60が設置されている。ポンプ60は、川や池等からの水の吸引に用いるものであり、送水配管90を介して可撓性のホース70と接続されている。ホース70は、その先端70aが川や池等に投入され水を吸い上げる吸菅である。送水配管90の一端90aはホース70の後端70bと接続されており、送水配管90の他端90bはポンプ60と接続されている。ホース70によって吸い上げられた水は、送水配管90を通してポンプ60へ送られ、消火剤として用いられる。
ホース70の寸法は、例えば、長さ約10m、内径約70mmである。ホース70は、曲げて収納することができるが、所定の剛性を有するため曲率をあまり大きくすることはできない。
【0021】
荷室20は、前パネル21、後パネル22、左パネル23、右パネル24、上パネル25、及び下パネル26を有し、箱状に形成されている。
荷室20の上端に位置する上パネル25と下端に位置する下パネル26との間には、ホース70が横倒しの状態で収納される空間として、ホース載置面81を有するホース収納部80が設けられている。
ここで、
図2はホース収納部を有する消防車のイメージ図である。なお、
図2中の矢印はホース70の展開方向を示している。ホース載置面81の高さ位置は、荷室20の1/2以上2/3以下の高さとすることが好ましい。ホース収納部80を荷室20の中間部に形成することで、従来よりもレイアウトの自由度を高めることができ、例えば、ホース収納部80の上方及び下方にホース70以外の資機材を積載するスペースを設けることができる。なお、
図2においては、ホース収納部80の下方にホースカー160を積載した状態を示している。
【0022】
図1に戻り、ホース収納部80は、上面をホース70が載置されるホース載置面81とするホース載置板81Aと、ホース70をホース載置面81に対して出し入れするための複数の出入口82とを有する。ホース載置面81は矩形であり水平に配置されている。
ホース載置板81Aは、前端に沿って立設した板状の前壁83と、左後端に立設した柱状の左後柱84と、ホース載置板81Aの右後端に立設した柱状の右後柱85を有する。
複数の出入口82は、荷室20の左側において前壁83と左後柱84との間に亘って設けられた左出入口82Aと、荷室20の右側において前壁83と右後柱85との間に亘って設けられた右出入口82Bと、荷室20の後側において左後柱84と右後柱85との間に亘って設けられた後出入口82Cである。各出入口82同士は連通している。このように荷室20の両側と後側に出入口82を設けることにより、現場の状況等に応じて側方からでも後方からでもホース70の出し入れをすることができる。また、出入口82同士が連通しているため、収納に用いた出入口82と展開に用いる出入口82を必ずしも同じとする必要はない。よって、例えば、左出入口82Aから収納したホース70を後出入口82Cから引き出して展開することができる。
各出入口82の寸法は、例えば、ホース70が長さ10m、内径70mmである場合は、幅を1500mm、高さを210mmとする。なお、本実施例では各出入口82の寸法を同一としているが、左出入口82A及び右出入口82Bと後出入口82Cとで幅の値を変えるなど、各出入口82の寸法を異ならせてもよい。
【0023】
図3はホースを収納した状態でのホース収納部を示す図であり、
図3(a)はホースを収納して全ての出入口の開閉体が第一状態にある様子を示し、
図3(b)は左出入口のみ開閉体を第二状態とした様子を示している。また、
図4はホースを各出入口から展開した状態をひとまとめに表した図である。
送水配管90の一端90aは、ホース収納部80の前端の左右中央に配置されている。また、前壁83には開口83Aが形成されており、送水配管90の一端90aは開口83Aを通してホース70の後端70bに接続されている。
図4に示すように、送水配管90の一端90aはスイベル等により水平に回動可能に構成されているため、どの出入口82からでもホース70の収納と展開をスムーズに行うことができる。
【0024】
各出入口82には、出入口82の少なくとも一部を塞ぐことが可能な開閉体100が設けられている。本例における開閉体100は板状としている。
開閉体100は、下端が複数のヒンジ110を介してホース載置板81Aに固定されている一方で、上端はフリーとされており、下端を回転軸として上下に回動させることができる。回動範囲は、例えば、上方へは水平+90度、下方へは水平-80度とする。これにより、開閉体100は、出入口82の少なくとも一部を塞いだ第一状態と、出入口82を塞がない第二状態とに変更可能である。開閉体100が第一状態にあるときは、開閉体100が邪魔となりホース70をホース載置面81に出し入れすることができない。
【0025】
また、前壁83、左後柱84、及び右後柱85には、内側への開閉体100の回動を規制する内側ストッパ(図示無し)と、外側への開閉体100の回動を規制する外側ストッパ120が複数設けられている。外側ストッパ120は、前壁83、左後柱84、及び右後柱85のそれぞれにおいて略中間高さの位置に設けられており、一部を開閉体100側に突出させることが可能な構成となっている。
開閉体100を第二状態から第一状態にする場合は、開閉体100をホース載置面81に対して略垂直に立設するまで上方へ回動させた後、外側ストッパ120の一部を突出させ開閉体100の前面と当接し得るようにすることで下方への回動を規制する。これにより、開閉体100が略鉛直に立設した第一状態が保持される。一方、開閉体100を第一状態から第二状態にする場合は、突出している外側ストッパ120の一部を引っ込めることにより下方への回動規制を解除する。これにより、開閉体100は自重で下方へ回動して斜めに垂れ下がり、第二状態となる。
【0026】
ホース70を収納する際は、ホース70が蜷局状に収納されるように、後端70b側から環状に湾曲させながらホース載置面81へ載せていくが、このときに収納に用いている出入口82以外の出入口82が開いていると、ホース載置面81に載せたホース70が他の出入口82からはみ出して上手く収納できないことがある。
そこで、ホース70を収納する際は、収納に用いる一つの出入口82のみ開閉体100を第一状態とし、その他の二つの出入口82は第二状態とする。これにより、ホース載置面81に載せたホース70が他の出入口82からずり落ちることなく収納作業をスムーズに進めることができる。
また、開閉体100は、本実施例のように、出入口82の一端から他端にかけて配置されていることが好ましい。これにより、開閉体100が第一状態にあるときの出入口82の隙間(開口)が小さくなるため、ホース70のずり落ちをより確実に防止できる。また、開閉体100を板状とすることで、棒状の場合と比べて出入口82の隙間を小さくすることができる。
【0027】
次に、開閉体100の他の例について説明する。
図5はホースの収納状態と展開状態を示す図であり、
図5(a)はホースを収納して全ての出入口の開閉体が第一状態にある様子を示し、
図5(b)は左出入口のみ開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示している。また、
図6は左出入口の開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示す図、
図7は右出入口の開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示す図、
図8は後出入口の開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示す図である。
本例における開閉体100は、基本的な構成は上述した板状の開閉体100と同様であるが、打ち抜き加工がされている点において異なっている。開閉体100をパンチングメタルとすることで、軽量化を図ることができる。
【0028】
次に、開閉体100のさらに他の例について説明する。
図9はホースを収納した状態でのホース収納部を示す図であり、
図9(a)は全ての出入口の開閉体が第一状態にある様子を示し、
図9(b)は一箇所の出入口の開閉体が第二状態にある様子を示している。また、
図10はホースの収納状態と展開状態を示す図であり、
図10(a)はホースを収納して全ての出入口の開閉体が第一状態にある様子を示し、
図10(b)は左出入口のみ開閉体を第二状態としてホースを展開した様子を示している。
本例における開閉体100は棒状である。また、ホース載置板81Aの四隅には、上下方向に形成された溝を有する端部保持具130が設けられている。溝の下端の位置はホース載置面81の近傍とし、溝の上端の位置は出入口82の略中間高さとしている。
棒状の開閉体100の両端は端部保持具130の溝に可動に嵌合しており、溝に沿って上端に移動させることで第一状態とし、溝に沿って下端に移動させることで第二状態とすることができる。開閉体100を棒状にすることで、板状の場合よりもホース70との摩擦を小さくできると共に、ホース70の収納状態を視認しやすくなる。
【0029】
次に、本発明の他の実施例による消防車について説明する。なお、上記した実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図11は本実施例による巻取装置を示す図である。また、
図12は巻取装置を有する荷室を示す図であり、
図12(a)は左側からみた斜視図、
図12(b)は右側からみた斜視図である。
本実施例においては、ホース収納部80に、ホース70を巻き取る巻取装置140を備えている。巻取装置140は、全体として円形状であり、上ガイド141と、下ガイド142を備え、水平に回転自在に構成されている。巻取装置140を備えることで、ホース70の収納及び展開が容易となる。
ホース70の後端70bは、巻取装置140の回転中心(回転軸近傍)において送水配管90の一端90aに接続されている。このため、収納状態において、ホース70の先端70aは最も外側に位置する。送水配管90は、ホース収納部80の上方を通り下方のポンプ60へと配設されている。これにより、ホース70の収納及び展開を、巻取装置140を用いてスムーズに行うことができる。
また、ホース70の後端70bの近傍にはホース70に沿うように直板状のホース保護ガイド150が設けられている。ホース70は局所的に強く曲がる力がかかると折れ曲がって破損するおそれがあるが、ホース保護ガイド150を設けることで、ホース70が引っ張られた際の曲がり具合を緩和させ、破損を防止することができる。
また、ホース保護ガイド150の先端150aにはゴム等の柔らかい材料を用いることが好ましい。これにより、ホース70がホース保護ガイド150によって傷つくことを防止することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 運転室
20 荷室
60 ポンプ
70 ホース
70b 後端
80 ホース収納部
81 ホース載置面
82 出入口
90 送水配管
90a 一端
90b 他端
100 開閉体
140 巻取装置