(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】水噴霧設備の点検補助装置
(51)【国際特許分類】
A62C 37/50 20060101AFI20240326BHJP
A62C 35/68 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A62C37/50
A62C35/68
(21)【出願番号】P 2020162875
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100188547
【氏名又は名称】鈴野 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】本郷 裕文
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-274028(JP,A)
【文献】特開2014-083344(JP,A)
【文献】特開2011-104032(JP,A)
【文献】特開2015-130927(JP,A)
【文献】特開平06-028586(JP,A)
【文献】特開2002-102380(JP,A)
【文献】特開2001-259069(JP,A)
【文献】特開2009-011693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水噴霧設備における自動弁装置の水噴霧ヘッド側に設けられた手動弁の閉状態を検出する弁センサと、
前記自動弁装置を覆うカバーの閉鎖状態を検出するカバーセンサと、
前記弁センサと前記カバーセンサの検出状態により報知する報知手段と、を備え、
前記弁センサ、前記カバーセンサ、及び前記報知手段の発光素子を直列に接続し、
前記カバーセンサは、前記カバーが開放状態の時に導通し、前記閉鎖状態の時に非導通となり、
前記弁センサは、前記手動弁が開状態の時に導通し、前記閉状態のときに非導通となり、
前記
発光素子は、点検による
前記弁センサの前記閉状態と
前記カバーセンサの前記閉鎖状態の遷移にともない
前記手動弁を閉じることを促す報知を行うことを特徴とする水噴霧設備の点検補助装置。
【請求項2】
前記
発光素子は、常時は定電圧を供給しポンプの作動時には間欠的に電圧を供給する消火栓の赤色灯用電源線を電源とすることを特徴とする請求項1に記載の水噴霧設備の点検補助装置。
【請求項3】
前記報知手段として
、前記発光素子である第1の発光素子と、前記第1の発光素子と色の異なる第2の発光素子を有し、
前記
第2の発光素子を
前記第1の発光素子と並列に接続して、前記弁センサと前記カバーセンサに直列に接続し、
前記弁センサは、前記手動弁が開状態の時に前記
第1の発光素子に導通し、前記閉状態のときに前記
第2の発光素子に導通することを特徴とする請求項1または2に記載の水噴霧設備の点検補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災の際に水噴霧ヘッドに加圧水を供給し、水を噴霧する水噴霧設備に関する。
【背景技術】
【0002】
高速自動車道トンネル等には、通報設備、消火設備、水噴霧設備を含むトンネル防災システムが設けられている。トンネル防災システムにより、トンネル内の火災を通報し、水噴霧等により消火することができる。特許文献1は、水噴霧設備における自動弁装置が記載されている。自動弁装置は、火災時に通報等によって自動的に弁が開き、水噴霧ヘッドから水を噴霧させて消火を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水噴霧設備の自動弁装置は、定期的に点検を行う必要がある。点検では、自動弁装置の主弁を開けて水の放出を確認する。点検の際には、消火の際と同様に水噴霧ヘッドから水を噴霧させて、実放水により自動弁装置の作動確認をすることができる。しかし、実放水を行う際には、トンネルを通行止めにすることになる。そのため、水噴霧ヘッドから水を噴霧させない自動弁装置の点検も行われる。この点検の際には、点検実施者が、自動弁装置を覆うカバーを開けた後、自動弁装置と水噴霧ヘッドの間にある手動弁(テスト用制水弁)を閉じてから自動弁装置の主弁を開ける。そして、テスト放水弁からの水の放出を点検実施者が確認する。手動弁を閉じずに主弁を開けると、自動車が走行しているトンネル内で水噴霧ヘッドから水が噴霧することとなる。本発明は、このような水噴霧ヘッドから実放水しない点検における、水噴霧ヘッドからの誤噴霧を防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、水噴霧設備における自動弁装置の水噴霧ヘッド側に設けられた手動弁の閉状態を検出する弁センサと、前記自動弁装置を覆うカバーの閉鎖状態を検出するカバーセンサと、前記弁センサと前記カバーセンサの検出状態により報知する報知手段と、を備え、電源に前記弁センサと、前記カバーセンサと、前記報知手段を接続し、前記報知手段は、点検による前記閉状態と前記閉鎖状態の遷移にともない報知を行う、水噴霧設備の点検補助装置を設ける。
【発明の効果】
【0006】
本発明の点検補助装置により、自動弁装置の実放水をさせない動作点検時に、点検実施者の誤操作による水噴霧を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】トンネルに設置したトンネル防災システム1の概略図。
【
図2】トンネル内の各区分6に設置した自動弁装置3と消火設備12の外面図。
【
図3】実施例1において、
図2の自動弁装置3のカバー31を外した状態。
【
図4】実施例1における、監視状態の区分6の水噴霧設備2。
【
図5】実施例1における、点検時の区分6の水噴霧設備2。
【
図7】実施例1における発光素子41の配線と発光状況。
【
図8】実施例2における発光素子41の配線と発光状況。
【
図9】実施例3における赤色発光素子411、青色発光素子412の配線と発光状況。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、トンネルに設置したトンネル防災システム1の概略図である。トンネル防災システム1では、トンネル内の区分6ごとに通報設備11、消火設備12、水噴霧設備2が設けられている。トンネル内の通報設備11は、火災検知器111、中継増幅盤、押しボタン式通報装置112等からなり、トンネル外等に設けられる通信機械室の防災受信盤7と接続する。防災受信盤7は、トンネル内における区分6に設置された水噴霧設備2における自動弁装置3を制御する。水噴霧設備2は、トンネル外のポンプ21と、ポンプ21から各区分6へ加圧水を供給する本管22と、各区分6の1次配管23、自動弁装置3、2次配管24、枝管25、水噴霧ヘッド26を有する。各区分6では、本管22から分かれた1次配管23を介して消火設備12と自動弁装置3に加圧水を供給する。火災が発生して火災検知器111で検知されたり、押しボタン式通報装置112により通報されたりすると、防災受信盤7へ送信される。そして、防災受信盤7からの信号により、火災を検知、通報した区分6における自動弁装置3の主弁32が開く。そうすると、1次配管23の加圧水が自動弁装置3を通り、2次配管24と枝管25を介して区分6内にある複数の水噴霧ヘッド26から水を噴霧し、消火が行われる。また、自動弁装置3の主弁32が開くと本管22の圧力が下がり、ポンプ21が作動し、本管22に加圧水を供給する。また、通報した区分を含めて各区分6の消火栓121にも加圧水が供給されており、消火栓121からホースを引き出して消火栓弁を開くと、ホースから放水することもできる。このようなトンネル防災システム1は、定期的に点検を行う必要がある。
【実施例1】
【0009】
図2は、トンネル内の各区分6に設置した自動弁装置3と消火設備12の外面図である。
図1右側の自動弁装置3の枠体にはカバー31が取り付けられており、カバー31の奥に自動弁装置3が設置されている。火災の監視状態である通常時には、
図2のようにカバー31が自動弁装置3を覆っている。消火設備12は、消火栓121、消火器123、赤色灯122を有する。赤色灯122の下には、通報設備11である押しボタン式通報装置112が設置されている。
【0010】
図3は、実施例1において、
図2の自動弁装置3のカバー31を外した状態を示す。カバー31は、持ち上げて手前に引くことにより枠体の前面から取り外すことができる。枠体の後方では、下方の1次配管23と上方の2次配管24の間に自動弁装置3と手動弁27が接続して設置されている。また、実施例1では点検補助装置4として、点検の際に状態を報知する報知手段である発光素子41と、カバー31が取り付けられているか否かを検出するカバーセンサ42が設けられている。
【0011】
図4は、実施例1における、監視状態の区分6の水噴霧設備2を示す。トンネル防災システム1は、通常時は火災の監視状態となっている。1次配管23からの加圧水は自動弁装置3の1次側に供給される。主弁32は、自動弁装置3の1次側と2次側の間を封鎖している。2次側と複数の水噴霧ヘッド26の間には手動弁27と、2次配管24、枝管25が設けられている。なお、
図4では、2次配管24以降は線により簡略化して記載した。手動弁27は、弁棒を回転させ、弁棒と結合した板状の弁体が回転することで流れを制御するバタフライ弁である。手動弁27の近傍には、手動弁27の位置を検出する弁センサ273が設けられている。また、自動弁装置3は、主弁32と、主弁32から延びるステム321と、ステム321に結合移動するピストン323と、ピストン323が内部を移動するシリンダ室322を備える。また、自動弁装置3は、初期圧力調節装置33、噴霧圧力調節装置34を備える。ピストン323、初期圧力調節装置33、噴霧圧力調節装置34等は、自動弁装置3が開放したときに2次側の圧力を調節する。また、自動弁装置3は、起動管35と、起動管35に並列に接続された自動起動弁351及び手動起動弁352を有する。さらに、2次側から導出して噴霧圧力調節装置34につながる調圧管341を有する。調圧管341は、分岐してテスト放水弁342につながる。
【0012】
監視状態では手動弁27は開いており、自動弁装置3の主弁32は閉じている。そのため、水噴霧ヘッド26から水が噴霧されることはない。また、自動起動弁351と手動起動弁352は閉じており、起動管35には水が流れていない。2次側に接続された調圧管341にも加圧水は流れない。
【0013】
火災時に水噴霧が行われる場合の動作は次の通りである。防災受信盤7からの信号により自動起動弁351が開くか、手動で手動起動弁352を開ける。そうすると、起動管35に1次側から加圧水が流れてシリンダ室322に入り、ピストン323を押すことにより主弁32が開く。2次側の加圧水は初期圧力調節装置33や、調圧管341を介した噴霧圧力調節装置34に入ってシリンダ室322の圧力等を調節する。これより、主弁32の開き具合が調節されて、2次側の加圧水の圧力が調節される。
【0014】
図5は、実施例1における、点検時の区分6の水噴霧設備2を示す。点検の際には水噴霧ヘッド26から水が噴霧されないようにする。点検時の操作および動作は次の通りである。まず、点検実施者は自動弁装置3のカバー31を取り外す。そうすると、
図2に示したカバーセンサ42の検出状態が変わる。そして、露出した水噴霧設備2のハンドル車271を回して手動弁27を閉じる。これにより、2次配管24に加圧水が達しないようにし、水噴霧ヘッド26から水は噴霧されない。またこのとき、弁センサ273の検出状態が変わる。そして、テスト放水弁342を開いた後に手動起動弁352を開くと、起動管35に1次側の加圧水が流れ、シリンダ室322に入ってピストン323を押し、主弁32を開く。これにより、
図5のように2次側に水が流れる。しかし、手動弁27は閉じているため、水噴霧ヘッド26へは水が流れない。2次側の加圧水は調圧管341を流れて噴霧圧力調節装置34へ入り、シリンダ室322の圧力が変化して主弁32の開度が調節される。調圧管341の途中にテスト放水弁342が接続している。そのため、主弁32が開いて2次側に加圧水が入ると、テスト放水弁342から水が放出され、点検実施者は、主弁32が機能したことを確認できる。
【0015】
確認の後、点検実施者が手動起動弁352を閉じると、起動管35に加圧水が流れなくなりシリンダ室322の圧力が下がって主弁32が閉じる。点検実施者は、テスト放水弁342から放水されなくなったことを確認して、ハンドル車271を回し、手動弁27を開き、テスト放水弁342を閉じ、また自動弁装置3のカバー31を取り付けて監視状態へ戻す。自動起動弁351も含めて点検する場合には、防災受信盤7から自動起動弁351を開いてテスト放水弁342からの放水を確認する。
【0016】
以上の様にして、点検実施者は水噴霧ヘッド26から実放水しない点検を行う。しかし、点検の際に、手動弁27を閉じる作業を忘れると、水噴霧ヘッド26から水が噴霧されてしまう。本発明では、点検による手動弁27の閉状態とカバー31の閉鎖状態の遷移にともない報知を行う。そのため、点検補助装置4としてカバーセンサ42と弁センサ273、報知手段を設ける。
【0017】
図6は、実施例1における手動弁27の外部側面図である。
図3において、手動弁27の部分を左側からみると
図6となる。点検実施者は、ハンドル車271を回して、手動弁27を開閉する。手動弁27の外部にはインジケーター272が設けられており、ハンドル車271の回転により手動弁27が回転すると共にインジケーター272が回転する。そして、インジケーター272により手動弁27の開閉状態を確認することができる。
図6では、インジケーター272は横方向を向いており、「閉」状態を示している。インジケーター272が縦方向を向くと「開」状態を示す。また、インジケーター272の近傍には弁センサ273が取り付けられており、手動弁27の開閉状態を検出している。インジケーター272が閉を示す時には弁センサ273は非導通となる。
【0018】
図7は、実施例1における発光素子41の配線と発光状況を示す。弁センサ273、カバーセンサ42、及び報知手段である発光素子41を、電源の間に直列に接続している。発光素子41は、カバーセンサ42と弁センサ273の検出状態により点灯又は消灯する。
図7(a)は、監視状態を示し、自動弁装置3のカバー31が閉鎖状態であり、手動弁27が開状態である。監視状態では、カバーセンサ42が非導通であり、弁センサ273が導通している。この時には報知手段である発光素子41は非発光である。
【0019】
図7(b)は、点検等のために自動弁装置3のカバー31を開けた状態を示す。カバー31は開放状態であり、手動弁27は開状態である。このときに自動弁装置3を起動して主弁32が開くと、自動弁装置3の2次側の加圧水が水噴霧ヘッド26に達して水が噴霧されてしまう。この状態では発光素子41が発光して、点検実施者に手動弁27を閉じることを促す。点検実施者はハンドル車271を回して手動弁27を閉じて点検準備完了状態にする。
【0020】
図7(c)は、点検準備完了状態である。点検準備完了状態では、自動弁装置3のカバー31は開放状態であり、手動弁27は閉状態である。手動弁27が閉じることによりインジケーター272が回転し、
図6の閉状態となって弁センサ273が非導通になる。したがって、手動弁27が閉じられることにより発光素子41が非発光となり、点検の手順を進めてよいことが分かる。点検実施者は発光素子41が消えたことを確認した後、手動起動弁352を開けてテスト放水弁342からの放水を確認することにより点検を行う。これにより、点検の際に水噴霧ヘッド26からの水噴霧を防止することができる。
【0021】
図7の回路は、消火栓121の赤色灯122に電力を供給する赤色灯用電源線につながり、電源とする。赤色灯122は消火栓121の場所を示すために常時発光しているが、ポンプ21の作動時にはトンネル内の全ての赤色灯122が点滅する仕様となっている。したがって、点検実施者が手動弁27を閉じない状態でポンプ21が起動すると、赤色灯用電源線の電圧が間欠的になり、発光素子41も点滅する。これによって、さらに注意喚起がなされ、点検実施者は水噴霧ヘッド26から本格的に水が噴霧される前の段階で手動弁27を閉じるなどの対応を取ることができる。
【0022】
なお、点検後の監視状態へ戻す復旧操作時において、点検実施者が、手動起動弁352を閉じた後、テスト放水弁342から放水されなくなったことを確認して、ハンドル車271を回し、手動弁27が開かれることにより発光素子41が発光し(
図7(b))、手動弁27の開放忘れがないことを確認することができる。点検実施者は、発光素子41が発光したことを確認した後、テスト放水弁342を閉じ、その後、自動弁装置3のカバー31を取り付けることにより発光素子41が消灯し(
図7(a))、監視状態へ戻すことができる。
【0023】
以上のように、実施例1では、発光素子41の表示態様は、点検操作時には、
図7(a)の消灯,
図7(b)の点灯,
図7(c)の消灯と遷移し、また、復旧操作時には、
図7(c)の消灯,
図7(b)の点灯,
図7(a)の消灯と遷移し、点灯,消灯が交互に切り替わって遷移するため、点検実施者は、操作手順の間違えを防止することができる。
【実施例2】
【0024】
図8は、実施例2における発光素子41の配線と発光状況を示す。弁センサ274、カバーセンサ42、及び報知手段である発光素子41を、電源の間に直列に接続している。実施例2では、弁センサ274は実施例1の弁センサ273と同様に手動弁27の近傍も設けられる。また、発光素子41は青色に発光する。発光素子41はカバーセンサ42と弁センサ274の検出状態により点灯又は消灯する。実施例1と同様に、カバー31が閉鎖状態では、カバーセンサ42が非導通である。しかし、弁センサ274は、実施例1と逆であり、手動弁27が開状態のときに非導通であり、閉状態のときに導通する。
図8(a)は、監視状態を示し、自動弁装置3のカバー31は閉鎖状態であり、手動弁27は開放状態である。監視状態では、カバーセンサ42が非導通であり、弁センサ274も非導通である。この時には発光素子41は非発光である。
【0025】
図8(b)は点検等のために自動弁装置3のカバー31を開けた状態を示す。カバー31は開放状態であり、手動弁27は開状態である。実施例2においては、点検実施者が発光を確認してから手動起動弁352を開ける手順としておく。この状態では発光素子41が非発光である。そのため、点検実施者はハンドル車271を回して手動弁27を閉じ、点検準備完了状態にする。
【0026】
図8(c)は、点検準備完了状態である。自動弁装置3のカバー31は開放状態であり、手動弁27は閉状態である。手動弁27が閉じられることにより、インジケーター272の位置が変わり、弁センサ274が導通となって発光素子41が青色に発光する。これを見て、点検実施者は、手動起動弁352を開けてテスト放水弁342からの放水を確認することにより点検を行う。
【0027】
実施例2では、点検実施者が発光を確認してから手動起動弁352を開ける手順であるため、発光素子41の近傍に「点検準備完了で点灯」と記載してもよい。また、実施例2では、実施例1と同様に
図8の回路は消火栓121の赤色灯122に電力を供給する赤色灯用電源線につながり、電源とする。このため、点検の際に手動起動弁352等を開けてポンプ21が作動すると赤色灯用電源線の電圧は間欠的となり、発光素子41は青色で点滅する。
【実施例3】
【0028】
図9は、実施例3における赤色発光素子411、青色発光素子412の配線と発光状況を示す。実施例1、2と同様に、カバー31が閉じているときには、カバーセンサ42が非導通である。実施例3では、色の異なる2つの発光素子41を備える。
第1の発光素子である一方の発光素子41は赤色発光素子411であり、
第2の発光素子である他方の発光素子41は青色発光素子412である。赤色発光素子411と青色発光素子412を並列に接続して、弁センサ275とカバーセンサ42に直列に接続している。赤色発光素子411と青色発光素子412は、カバーセンサ42と弁センサ275の検出状態により点灯又は消灯する。
図9(a)は、監視状態を示し、自動弁装置3のカバー31は閉鎖状態であり、手動弁27は開状態である。監視状態では、カバーセンサ42が非導通であり、弁センサ275が赤色発光素子411の配線に導通している。この時には赤色発光素子411と青色発光素子412は非発光である。
【0029】
図9(b)は、点検等のために自動弁装置3のカバー31は開放状態とし、手動弁27は開状態である。この状態では赤色発光素子411が発光して、点検実施者に手動弁27を閉じることを促す。点検実施者はハンドル車271を回して手動弁27を閉じ、点検準備完了状態にする。
【0030】
図9(c)は、点検準備完了状態である。自動弁装置3のカバー31は開いており、手動弁27は閉じられている。手動弁27が閉じられることにより、インジケーター272の位置が変わり、弁センサ275は青色発光素子412の配線に導通する。これにより、赤色発光素子411が消灯し青色発光素子412が発光する。これを見て、点検実施者は、手動起動弁352を開けてテスト放水弁342からの放水を確認することにより点検を行う。
【0031】
実施例3では、実施例1、2と同様に
図9の回路は消火栓121の赤色灯122に電力を供給する赤色灯用電源線につながり、電源とする。このため、点検の際に手動起動弁352等を開けてポンプ21が作動すると赤色灯用電源線の電圧は間欠的となり、赤色発光素子411ないし青色発光素子412は点滅する。
【0032】
なお、点検後の監視状態へ戻す復旧操作時において、点検実施者が、手動起動弁352を閉じた後、テスト放水弁342から放水されなくなったことを確認して、ハンドル車271を回し、手動弁27が開かれることにより赤色発光素子411が発光し(
図9(b))、手動弁27の開放忘れがないことを確認することができる。点検実施者は、赤色発光素子411が発光したことを確認した後、テスト放水弁342を閉じ、その後、自動弁装置3のカバー31を取り付けることにより赤色発光素子411が消灯し(
図9(a))、監視状態へ戻すことができる。
【0033】
以上のように、実施例3では、両発光素子411,412の表示態様は、点検操作時には、
図9(a)の両発光素子411,412の消灯状態,
図9(b)赤色発光素子411の点灯状態,
図9(c)の青色発光素子412の点灯状態と遷移し、また、復旧操作時には、
図9(c)の青色発光素子412の点灯状態,
図9(b)赤色発光素子411の点灯状態,
図9(a)の両発光素子411,412の消灯状態と遷移し、点検・復旧操作時における操作手順毎に、両発光素子411,412による表示態様が個別の表示態様に切り替わるため、点検実施者は、操作手順の間違えを防止することができる。
【0034】
[その他]
実施例1~3は電源を赤色灯用電源線としているため、ポンプ21の作動時には間欠的な電源が供給されて発光素子41、411、412は点滅する。しかし、電源を通常の定電圧源からとって、ポンプ21の作動による点滅を行わない構成としてもよい。
実施例1~3では発光素子41、411、412はカバー31の中に設けられており、カバー31が閉鎖したときに消灯することにより発光寿命が長くなり、省エネルギーにも寄与する。一方で、カバー31の外側に設けたり、カバー31の外側から見えるようにしたりすることにより、復旧操作時の最後にカバー31が確実に閉鎖しているか、点検実施者が確認できるようにしてもよい。
本願の発明は、トンネル防災システムに特に好適であるが、他の防災システムに用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 トンネル防災システム、11 通報設備、111 火災検知器、112 押しボタン式通報装置、12 消火設備、121 消火栓、122 赤色灯、123 消火器、
2 水噴霧設備、21 ポンプ、22 本管、23 1次配管、24 2次配管、25 枝管、26 水噴霧ヘッド、27 手動弁、271 ハンドル車、272 インジケーター、273 弁センサ、274 弁センサ、275 弁センサ
3 自動弁装置、31 カバー、32 主弁、321 ステム、322 シリンダ室、323 ピストン、33 初期圧力調節装置、34 噴霧圧力調節装置、341 調圧管、342 テスト放水弁、35 起動管、351 自動起動弁、352 手動起動弁、
4 点検補助装置、41 発光素子、411 赤色発光素子、412 青色発光素子、42 カバーセンサ、
6 区分、
7 防災受信盤