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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 13/10 20060101AFI20240326BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16F13/10 F
F16F15/08 W
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020170273
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062338
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067157(JP,A)
【文献】特開2004-211810(JP,A)
【文献】特開2007-278399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 13/10
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状のブラケット、および他方に連結される第1取付部材と、
前記ブラケット内に挿入された筒状の第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結した弾性体と、を備え、
前記ブラケットにおける中心軸線に沿う軸方向の一端部の内周面に、
前記第2取付部材の外周面が圧接した第1部分と、
前記第1部分より前記軸方向の一端部側に位置し、前記第1部分より内径が大きく、かつ前記第2取付部材の外周面に当接、若しくは近接した第2部分と、が形成され
前記ブラケットにおける前記軸方向の一端部は、
前記軸方向に延びるとともに、内周面に、前記第1部分および前記第2部分が形成された第1嵌合筒部と、
前記第1嵌合筒部における前記軸方向の一端部から径方向の外側に向けて突出した第1フランジ部と、を備え、
前記第2取付部材における前記軸方向の一端部は、
前記軸方向に延びるとともに、前記第1嵌合筒部内に嵌合された第2嵌合筒部と、
前記第2嵌合筒部における前記軸方向の一端部から径方向の外側に向けて突出した第2フランジ部と、を備え、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のうちのいずれか一方は、いずれか他方の外周縁を前記軸方向に跨いで、いずれか他方を前記軸方向に挟み込んでいる、防振装置。
【請求項2】
前記第2部分は、前記ブラケットにおける前記軸方向の一端部側の開口端縁に連なっている、請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記第2部分は、前記第1部分より弱い締付力で前記第2取付部材の外周面に当接している、請求項1または2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記ブラケットは、アルミニウム合金により形成されている、請求項1からのいずれか1項に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結されるブラケット、および他方に連結される第1取付部材と、ブラケットに装着された筒状の第2取付部材と、第1取付部材と第2取付部材とを連結した弾性体と、を備えた防振装置が知られている。
この種の防振装置として、筒状に形成されたブラケットにおける中心軸線に沿う軸方向の一端部内に、第2取付部材が圧入された構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-2298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の防振装置では、ブラケットにおける前記軸方向の一端部が、第2取付部材を圧入したときに生じた残留応力に起因して、破損しやすくなるおそれがある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ブラケットの耐久性を確保することができる防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状のブラケット、および他方に連結される第1取付部材と、前記ブラケット内に挿入された筒状の第2取付部材と、前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結した弾性体と、を備え、前記ブラケットにおける中心軸線に沿う軸方向の一端部の内周面に、前記第2取付部材の外周面が圧接した第1部分と、前記第1部分より前記軸方向の一端部側に位置し、前記第1部分より内径が大きく、かつ前記第2取付部材の外周面に当接、若しくは近接した第2部分と、が形成されている。
【0007】
この発明によれば、ブラケットにおける前記軸方向の一端部の内周面に、第2取付部材の外周面が圧接した第1部分だけでなく、第1部分より内径が大きい第2部分も形成されているので、ブラケットにおける前記軸方向の一端部のうち、第2部分が位置する部分で生ずる残留応力を低減することが可能になり、ブラケットにおける前記軸方向の一端部が、残留応力に起因して破損しやすくなるのを防ぐことができる。
第2部分が、第1部分より前記軸方向の一端部側に位置しているので、第2取付部材の外周面が圧接した第1部分を、ブラケットにおける前記軸方向の一端部側の開口端縁から前記軸方向に離すことが可能になり、ブラケットにおける前記軸方向の一端部側の開口端縁が、仮に、他の部材に対して例えば衝突等する構成であっても、この負荷と、第1部分での残留応力と、を、第2部分により前記軸方向に分断することで、ブラケットにおける前記軸方向の一端部に、応力が集中する部分を生じさせにくくすることができる。
第2部分が、第1部分より前記軸方向の一端部側に位置していることから、第2取付部材を、ブラケットにおける前記軸方向の一端部内に、引っ掛かり少なく容易に圧入することもできる。
第2部分が、第2取付部材の外周面に当接、若しくは近接しているので、ブラケットにおける前記軸方向の一端部の内周面に、第2部分を形成したことで、ブラケットにおける前記軸方向の一端部の内周面と、第2取付部材の外周面と、の間に、防振装置の外部から例えば水等が進入しやすくなるのを防ぐことができる。
【0008】
前記ブラケットにおける前記軸方向の一端部は、前記軸方向に延びるとともに、内周面に、前記第1部分および前記第2部分が形成された第1嵌合筒部と、前記第1嵌合筒部における前記軸方向の一端部から径方向の外側に向けて突出した第1フランジ部と、を備え、前記第2取付部材における前記軸方向の一端部は、前記軸方向に延びるとともに、前記第1嵌合筒部内に嵌合された第2嵌合筒部と、前記第2嵌合筒部における前記軸方向の一端部から径方向の外側に向けて突出した第2フランジ部と、を備え、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のうちのいずれか一方は、いずれか他方の外周縁を前記軸方向に跨いで、いずれか他方を前記軸方向に挟み込んでもよい。
【0009】
この場合、ブラケットの第1フランジ部、および第2取付部材の第2フランジ部のうちのいずれか一方が、いずれか他方の外周縁を前記軸方向に跨いで、いずれか他方を前記軸方向に挟み込んでいるので、第2部分を設けたにもかかわらず、第1部分での締め代を大きくしなくても、第2取付部材をブラケットに強く固定することが可能になり、ブラケットの耐久性を確実に確保することができる。
【0010】
前記第2部分は、前記ブラケットにおける前記軸方向の一端部側の開口端縁に連なってもよい。
【0011】
この場合、第2部分が、ブラケットにおける前記軸方向の一端部側の開口端縁に連なっているので、ブラケットにおける前記軸方向の一端部側の開口端縁が、仮に、他の部材に対して例えば衝突等する構成であっても、この負荷と、第1部分での残留応力と、を、第2部分により前記軸方向に確実に分断することができるとともに、第2取付部材を、ブラケットにおける前記軸方向の一端部内に、一層容易に圧入することができる。
【0012】
前記第2部分は、前記第1部分より弱い締付力で前記第2取付部材の外周面に当接してもよい。
【0013】
この場合、第2部分が、第1部分より弱い締付力で第2取付部材の外周面に当接しているので、ブラケットにおける前記軸方向の一端部の内周面と、第2取付部材の外周面と、の間に、防振装置の外部から例えば水等が進入しやすくなるのを確実に防ぐことができる。
【0014】
前記ブラケットは、アルミニウム合金により形成されてもよい。
【0015】
この場合、ブラケットが、アルミニウム合金により形成されているので、軽量化を図ることができる反面、剛性が低下しても、前述したように、ブラケットにおける前記軸方向の一端部が、残留応力に起因して破損しやすくなることが防止されて、耐久性を確保することが可能になることから、前述の作用効果が顕著に奏功される。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る防振装置によれば、ブラケットの耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る一実施形態として示した防振装置の縦断面図である。
図2】本発明に係る一実施形態として示した防振装置のブラケットの拡大縦断面図である。
図3】本発明に係る変形例として示した防振装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る防振装置の一実施形態を、図1および図2を参照しながら説明する。
本実施形態の防振装置1は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状のブラケット20、および他方に連結される第1取付部材12と、ブラケット20内に挿入された筒状の第2取付部材11と、第1取付部材12と第2取付部材11とを連結した弾性体13と、液体が封入される第2取付部材11内の液室14を、第2取付部材11の中心軸線Oに沿う軸方向に沿って、弾性体13を隔壁の一部とする主液室15、および副液室16に仕切る仕切部材17と、副液室16の隔壁の一部をなすダイヤフラム19と、を備えている。第2取付部材11は、ブラケット20を介して、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される。
【0019】
防振装置1が、例えば自動車のエンジンマウントとして使用される場合、ブラケット20が、振動受部としての車体に連結され、第1取付部材12が、振動発生部としてのエンジンに連結される。これにより、エンジンの振動が車体に伝達することが抑えられる。
なお、防振装置1は、例えば自動車用のサスペンションブッシュ、あるいは工場に設置される産業機械のマウント等として使用されてもよい。
【0020】
ここで、本実施形態では、仕切部材17に対して前記軸方向に沿う主液室15側を上側といい、副液室16側を下側という。防振装置1を前記軸方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
第1取付部材12は、表裏面が前記軸方向を向く連結板12bと、連結板12bから上方に向けて延びる取付軸12aと、を備えている。連結板12bおよび取付軸12aは、前記軸方向から見て円形状を呈し、前記中心軸線Oと同軸に配設されている。連結板12bの下面は、弾性体13の上端面に加硫接着されている。
第2取付部材11は、第1取付部材12より下方に位置している。第2取付部材11は、筒状に形成され、前記中心軸線Oと同軸に配設されている。第2取付部材11の内周面は、被覆ゴムに覆われている。被覆ゴムは、弾性体13と一体に形成されている。
【0022】
弾性体13は、ゴム材料により弾性変形可能に形成され、第2取付部材11の上端開口部を閉塞している。弾性体13は、第2取付部材11の内周面に加硫接着されている。
ダイヤフラム19は、ゴム材料により変形可能に形成され、第2取付部材11の下端開口部を閉塞している。ダイヤフラム19の外周縁部は、ダイヤフラムリング18に加硫接着されている。ダイヤフラムリング18は、第2取付部材11の下端部内に嵌合されている。ダイヤフラムリング18は、第2取付部材11の下端部が、径方向の内側に向けて加締められることで、第2取付部材11の下端部内に固定されている。
弾性体13、およびダイヤフラム19により、第2取付部材11内が閉塞されることで、液体が封入される液室14が画成されている。液体としては、例えば水、およびエチレングリコール等を用いることができる。
【0023】
仕切部材17は、偏平な円盤状に形成され、第2取付部材11内に嵌合されている。これにより、第2取付部材11内の液室14が、弾性体13と仕切部材17とにより画成された主液室15と、ダイヤフラム19と仕切部材17とにより画成された副液室16と、に仕切られている。なお、ダイヤフラム19は、副液室16内への液体の流入および流出に伴い拡縮変形する。
【0024】
仕切部材17には、主液室15と副液室16とを連通する制限通路21が形成されている。制限通路21は、仕切部材17に形成された不図示の主液室側開口および副液室側開口を通じて、主液室15および副液室16に連通している。
防振装置1に振動が入力されると、弾性体13が弾性変形し、かつダイヤフラム19が拡縮変形しながら、液体が、制限通路21を通じて主液室15と副液室16との間を流通することにより、振動が減衰、吸収される。
【0025】
そして、本実施形態では、図2に示されるように、ブラケット20における前記軸方向の一端部の内周面に、第2取付部材11の外周面が圧接した第1部分22と、第1部分22より前記軸方向の一端部側に位置し、第1部分22より内径が大きく、かつ第2取付部材11の外周面に当接、若しくは近接した第2部分23と、が形成されている。
【0026】
第1部分22および第2部分23は、ブラケット20の上端部の内周面に形成されている。第2部分23は、第1部分22より上方に位置している。第2部分23は、ブラケット20の上端開口縁(前記軸方向の一端部側の開口端縁)20aに連なっている。第2部分23は、第1部分22に連なっている。
なお、第1部分22および第2部分23を、ブラケット20の下端部の内周面に形成してもよい。また、第2部分23と、ブラケット20の上端開口縁20aおよび第1部分22のうちの少なくとも一方と、を軸方向に離してもよい。
【0027】
第2部分23は、第1部分22より弱い締付力で第2取付部材11の外周面に当接している。第2部分23の内径は、第2取付部材11の外周面のうち、第2部分23と径方向で対向する部分の外径と同じになっている。なお、第2部分23の内径を、第2取付部材11の外周面のうち、第2部分23と径方向で対向する部分の外径と異ならせてもよい。
第1部分22および第2部分23それぞれの前記軸方向の大きさは、互いに同等になっている。なお、第1部分22および第2部分23それぞれの前記軸方向の大きさを、互いに異ならせてもよい。
【0028】
第2部分23の内径と、第1部分22の内径と、の差は、例えば0.2mm~1.0mmとなっている。
前記差が、0.2mm未満になると、ブラケット20の上端部内への第2取付部材11の圧入時に、第2部分23に大きな残留応力が生ずるおそれがあり、1.0mmを超えると、ブラケット20の上端部の内周面と、第2取付部材11の外周面と、の間に、防振装置1の外部から例えば水等が進入しやすくなったり、ブラケット20の上端部の肉厚を確保しにくくなったりするおそれがある。
【0029】
ブラケット20の上端部は、前記軸方向に延びるとともに、内周面に、第1部分22および第2部分23が形成された第1嵌合筒部24と、第1嵌合筒部24の上端部から径方向の外側に向けて突出した第1フランジ部25と、を備えている。第1フランジ部25の上面は、第1嵌合筒部24の上端開口縁と面一になっている。第1フランジ部25の上面、および第1嵌合筒部24の上端開口縁は、ブラケット20の上端開口縁20aを構成している。
【0030】
第2取付部材11の上端部は、前記軸方向に延びるとともに、第1嵌合筒部24内に嵌合された第2嵌合筒部26と、第2嵌合筒部26の上端部から径方向の外側に向けて突出した第2フランジ部27と、を備えている。第2フランジ部27の上面は、第2嵌合筒部26の上端開口縁と面一になっている。第2フランジ部27の下面は、ブラケット20の上端開口縁20aに当接している。第2フランジ部27および第1フランジ部25はそれぞれ、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0031】
第1フランジ部25および第2フランジ部27のうちのいずれか一方は、いずれか他方の外周縁を前記軸方向に跨いで、いずれか他方を前記軸方向に挟み込んでいる。本実施形態では、第2フランジ部27が、第1フランジ部25を前記軸方向に挟み込んでいる。すなわち、第2フランジ部27が、第1フランジ部25上に配置された状態で、下方に向けて折り曲げられて、第1フランジ部25の外周縁を下方に跨いだ後に、径方向の内側に向けて折り曲げられて、第1フランジ部25を前記軸方向の両側から挟み込むことによって、第1フランジ部25を巻締めている。
【0032】
なお、第1フランジ部25が、第2フランジ部27を前記軸方向に挟み込んでもよい。すなわち、図3に示されるように、第1フランジ部25が、第2フランジ部27の下面を支持した状態で、上方に向けて折り曲げられて、第2フランジ部27の外周縁を上方に跨いだ後に、径方向の内側に向けて折り曲げられて、第2フランジ部27を前記軸方向の両側から挟み込むことによって、第2フランジ部27を巻締めてもよい。
【0033】
ブラケット20は、例えばアルミニウム合金等により形成されている。ブラケット20は、例えばダイカスト等により形成されている。なお、ブラケット20は、例えば炭素鋼等の他の材質で形成されてもよい。
第2取付部材11は、例えばアルミニウム合金、および炭素鋼等で形成されている。第2取付部材11は、ブラケット20と同じ材質で形成されてもよいし、ブラケット20とは例えば剛性等が異なる材質で形成されてもよい。
【0034】
以上のように構成された防振装置1は、液室14に液体を封入した状態で、ブラケット20の上端部内に第2取付部材11を圧入し、その後、第2フランジ部27を、前述のように第1フランジ部25に巻締めることによって得られる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態による防振装置1によれば、ブラケット20の上端部の内周面に、第2取付部材11の外周面が圧接した第1部分22だけでなく、第1部分22より内径が大きい第2部分23も形成されているので、ブラケット20の上端部のうち、第2部分23が位置する部分で生ずる残留応力を低減することが可能になり、ブラケット20の上端部が、残留応力に起因して破損しやすくなるのを防ぐことができる。
【0036】
第2部分23が、第1部分22より上方に位置しているので、第2取付部材11の外周面が圧接した第1部分22を、ブラケット20の上端開口縁20aから前記軸方向に離すことが可能になり、ブラケット20の上端開口縁20aが、仮に、他の部材に対して例えば衝突等する構成であっても、この負荷と、第1部分22での残留応力と、を、第2部分23により前記軸方向に分断することで、ブラケット20の上端部に、応力が集中する部分を生じさせにくくすることができる。
【0037】
第2部分23が、第1部分22より上方に位置していることから、第2取付部材11を、ブラケット20の上端部内に、引っ掛かり少なく容易に圧入することもできる。
第2部分23が、第2取付部材11の外周面に当接、若しくは近接しているので、ブラケット20の上端部の内周面に、第2部分23を形成したことで、ブラケット20の上端部の内周面と、第2取付部材11の外周面と、の間に、防振装置1の外部から例えば水等が進入しやすくなるのを防ぐことができる。
【0038】
ブラケット20の第1フランジ部25、および第2取付部材11の第2フランジ部27のうちのいずれか一方が、いずれか他方の外周縁を前記軸方向に跨いで、いずれか他方を前記軸方向に挟み込んでいるので、第2部分23を設けたにもかかわらず、第1部分22での締め代を大きくしなくても、第2取付部材11をブラケット20に強く固定することが可能になり、ブラケット20の耐久性を確実に確保することができる。
【0039】
第2部分23が、ブラケット20の上端開口縁20aに連なっているので、ブラケット20の上端開口縁20aが、仮に、他の部材に対して例えば衝突等する構成であっても、この負荷と、第1部分22での残留応力と、を、第2部分23により前記軸方向に確実に分断することができるとともに、第2取付部材11を、ブラケット20の上端部内に一層容易に圧入することができる。
【0040】
第2部分23が、第1部分22より弱い締付力で第2取付部材11の外周面に当接しているので、ブラケット20の上端部の内周面と、第2取付部材11の外周面と、の間に、防振装置1の外部から例えば水等が進入しやすくなるのを確実に防ぐことができる。
【0041】
ブラケット20が、アルミニウム合金により形成されているので、軽量化を図ることができる反面、剛性が低下しても、前述したように、ブラケット20の上端部が、残留応力に起因して破損しやすくなることが防止されて、耐久性を確保することが可能になることから、前述の作用効果が顕著に奏功される。
【0042】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0043】
例えば、防振装置1として、液室14、仕切部材17、およびダイヤフラム19を有しない構成を採用してもよい。
【0044】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1、2 防振装置
11 第2取付部材
12 第1取付部材
13 弾性体
20 ブラケット
20a 上端開口縁(開口端縁)
22 第1部分
23 第2部分
24 第1嵌合筒部
25 第1フランジ部
26 第2嵌合筒部
27 第2フランジ部
O 中心軸線
図1
図2
図3