(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】医療用レーザー装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20240326BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240326BHJP
A61B 18/22 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B1/06 510
A61B1/00 621
A61B1/00 510
A61B18/22
(21)【出願番号】P 2020542995
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(86)【国際出願番号】 US2019017153
(87)【国際公開番号】W WO2019157247
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅泰
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-075314(JP,A)
【文献】特開昭59-071736(JP,A)
【文献】特表2017-500172(JP,A)
【文献】特開2003-210485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
A61B 18/20-18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用レーザー装置は、
エネルギーガイド;
前記エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源;
前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる波長を有する、第2のエネルギー源;及び、
ハードウェアを備えるコントローラであって、前記コントローラは、
前記標的組織を照射するために内視鏡によって使用される少なくとも2つの照射モードから1つの照射モードを示す信号を受信し、
前記第1の照準ビームを出力するように第2のエネルギー源を制御し、
前記第1の照準ビームによって生じたスポットが前記内視鏡からの画像で識別され得るかどうかを示す信号を受信し、かつ、
画像内で前記スポットを識別できない場合、前記コントローラは、前記第1の照準ビームを前記第2の照準ビームに切り替える、
ように構成された、コントローラ;
を備えることを特徴とする医療用レーザー装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第2の照準ビームによって生じたスポットが前記内視鏡からの画像で識別できるかどうかを示す信号を受信するようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の医療用レーザー装置。
【請求項3】
前記第2の照準ビームのスポットが画像で識別できない場合、前記コントローラは、前記第1のエネルギー源を制御して、前記第1のエネルギー源が標的組織を治療するようにエネルギーを生成することを禁止するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の医療用レーザー装置。
【請求項4】
前記エネルギーガイドはレーザーファイバであることを特徴とする請求項1に記載の医療用レーザー装置。
【請求項5】
前記第1のエネルギー源は、治療用レーザービームであることを特徴とする請求項1に記載の医療用レーザー装置。
【請求項6】
医療用レーザー装置を備える医療システムであって、前記医療用レーザー装置が:
エネルギーガイド;
前記エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源;
前記エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、前記第2の照準ビームが、前記第1の照準ビームとは異なる波長を有する、第2のエネルギー源;及び、
ハードウェアを備える第1のコントローラであって、前記第1のコントローラが:
前記第1のコントローラが、標的組織を照明するために内視鏡によって使用される、少なくとも2つの照射モードから1つの照射モードを示す第1の信号を受信する;
前記第1の照準ビームを出力するように前記第2のエネルギー源を制御する;
ように構成されている、第1のコントローラ;及び、
ハードウェアを備える第2のコントローラであって、前記第2のコントローラは内視鏡とともに使用されるためのものであり、
第2のコントローラが、前記内視鏡によって使用される、少なくとも2つの照射モードから1つの照射モードを示す第1の信号を第1のコントローラに出力し、かつ、
前記第1の照準ビームによって生じたスポットが前記内視鏡からの画像で識別され得るかどうかを示す第2の信号を出力する、
ように構成されている、第2のコントローラ;
を備え、
前記第1のコントローラは、
第2の信号を受信する;かつ、
前記第2の信号を受信して画像内でスポットを特定できない場合は、前記第1の照準ビームを前記第2の照準ビームに切り替える、医療レーザー装置、
を備える医療システム。
【請求項7】
前記第1のコントローラは:
前記第2の照準ビームによって生じたスポットが前記内視鏡からの画像で識別できるかどうかを示す信号を受信する;かつ、
前記第2の照準ビームのスポットが画像で識別できない場合、前記第1のエネルギー源が標的組織を治療するためのエネルギーを生成することを禁止するように前記第1のエネルギー源を制御する;
ように構成されることを特徴とする請求項6に記載の医療システム。
【請求項8】
前記エネルギーガイドはレーザーファイバであることを特徴とする請求項6に記載の医療システム。
【請求項9】
前記第1のエネルギー源は、治療用レーザービームであることを特徴とする請求項6に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の参照]
出願の相互参照この出願は、2018年2月9日に提出された米国仮出願番号62/628,513号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医療用レーザー装置及びシステムに関し、特に2つ以上の照射モードを有する内視鏡システムと共に使用するための医療用レーザー装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
医療用レーザーは、例えば、様々な内視鏡手術を含む様々な治療手術で利用されてきた。一般的に、これらの手術では、目的の手術を正常に完了するために、正確に制御されたエネルギーの供給が必要である。
【0004】
一般的に、外科用プローブは、レーザーエネルギーを標的組織に送達するために利用される。外科用プローブは一般的に、レーザーなどのエネルギー源に結合された光ファイバなどのエネルギーガイドを備え、プローブの先端が標的組織に隣接して配置されるようにプローブが配置され得る。レーザーエネルギーは、光ファイバの先端から標的組織の所望の部分に向けられる。レーザー源に結合されたレーザー光ファイバは、光ファイバが操作されることができるように幾分柔軟であることが要求される。レーザーシステムは、例えば、ツリウムファイバレーザーを備え得、これは、光ファイバを介して標的組織に送達するためのレーザー光を生成するために使用される。レーザーは、様々な治療モードで作動され得る。
【0005】
特定の手術を実行する医療専門家は、標的組織の近くの位置に光ファイバを操作し、レーザー出力及びモードを様々な治療に設定する。これには、気化モードや凝固モードなど、治療に応じて異なる出力及びモードの設定が必要になる場合がある。
【0006】
組織の治療に使用されるレーザービームは、通常、人間の目や標準的なイメージセンサには見えない。従って、別の照射源が可視照準ビームを生成するように使用され得る。照準ビームを使用すると、内視鏡を使用して標的領域を表示している際に形成される画像に照準ビームスポットが現れ得る。
【0007】
また、内視鏡ビデオイメージングシステムは、癌などの微小病変の早期発見や術前の患部の正確な診断を支援する機能を備えている。このシステムには、通常の光イメージングに加えて、特定の光スペクトルを使用する特定の光イメージング機能が組み込まれている。内視鏡ビデオイメージングシステムは、少なくとも2つの照射モード、すなわち白色光(通常光)照明及び特定光照射モードを有することができる。また、内視鏡は、白色光モードから特定光照射モードに、または特定光照射モードから白色光モードに切り替える照射モード切替機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
相応の医療用レーザー装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
医療用レーザー装置は、エネルギーガイドと、エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源、エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に照射するように構成された第2のエネルギー源、第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する第2の照準ビーム、及び、ハードウェアを備えるコントローラを備える。コントローラは、標的組織を照射するために内視鏡によって使用される少なくとも2つの照射モードから1つの照射モードを示す信号を受信し、かつ、示された照射モードに基づいて第1または第2の照準ビームを出力するように第2のエネルギー源を制御する。
【0011】
白色光照射モードが示される際、コントローラは、第2のエネルギー源を制御して、500nm~550nmの範囲の波長を有する第1の照準ビームを放射することができる。
【0012】
特定光照射モードが示される際、コントローラは、第2のエネルギー源を制御して、635nm~690nmの範囲の波長を有する第1の照準ビームを放射することができる。特定光モードは、狭帯域イメージングモード、自動蛍光イメージングモード、または赤外線イメージングモードのいずれかであり得る。
【0013】
コントローラはさらに、第1または第2の照準ビームによって生じたスポットが内視鏡からの画像で識別され得るかどうかを示す信号を受信するように構成され得る。画像内でスポットを識別できない場合、コントローラはさらに、第1または第2の照準ビームの一方を第1または第2の照準ビームの他方に切り替えるように構成され得る。コントローラは、第1または第2の照準ビームの他方によって生じたスポットが内視鏡からの画像で識別できるかどうかを示す信号を受信するようにさらに構成され得る。第1または第2の照準ビームの他方からのスポットが画像で識別できない場合、コントローラは、第1のエネルギー源を制御して、第1のエネルギー源が標的組織を治療するようにエネルギーを生成することを禁止するように構成され得る。
【0014】
少なくとも1つの特性は、波長、パワーレベル、及び、放射パターンからなる群から選択され得る。
【0015】
エネルギーガイドは、レーザーファイバであり得る。
【0016】
第1のエネルギー源は、治療用レーザービームであり得る。
【0017】
ハードウェアを備える内視鏡コントローラも提供され、内視鏡コントローラは、内視鏡と共に使用されるためのものである。内視鏡コントローラは、内視鏡の照射モードを示す第1の信号を出力するように構成されている。内視鏡内のイメージセンサによってキャプチャされた画像において、照準ビームエネルギー源によって生成された照準ビームからのスポットが可視であるかどうかを検出し、かつ、検出に基づいて第2の信号を出力する。
【0018】
第2の信号は、画像内でスポットを検出できない場合にのみ出力され得る。
【0019】
照準ビームは第1の照準ビームであり得、かつ、画像でスポットを検出できない場合、第2の信号は、レーザー装置に、第1照準ビームを、第1照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を持つ第2の照準ビームに変更するように指示できる。
【0020】
さらに提供されるのは、以下を含む医療システムである。また、エネルギーガイド、エネルギーガイドを介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成された第1のエネルギー源、エネルギーガイドを通じて第1及び第2の照準ビームを標的組織に放射するように構成された第2のエネルギー源であって、第2の照準ビームが第1の照準ビームとは異なる少なくとも1つの特性を有する、第2のエネルギー源、及び、ハードウェアを備える第1のコントローラであって、第1のコントローラは、標的組織を照明するために内視鏡によって使用される、少なくとも2つの照射モードから1つの照射モードを示す第1の信号を受信し、示された照射モードに基づいて第1または第2の照準ビームを出力するように第2のエネルギー源を制御するように構成されている、第1のコントローラ、及び、ハードウェアを備える第2のコントローラであって、第2のコントローラは内視鏡とともに使用されるためのものであり、第2のコントローラが、内視鏡によって使用される、少なくとも2つの照射モードから1つの照射モードを示す第1の信号を第1のコントローラに出力するように構成されている、第2のコントローラを備える医療レーザー装置を備える医療システムがさらに提供される。
【0021】
白色光照射モードが示される場合、第1のコントローラは、500nm~550nmの範囲の波長を有する第1の照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御し得る。
【0022】
特定光照射モードが示されている場合、第1のコントローラは、635nm~690nmの範囲の波長を有する第1の照準ビームを放射するように第2のエネルギー源を制御し得る。特定光モードは、狭帯域イメージングモード、自動蛍光イメージングモード、または赤外線イメージングモードのいずれかであり得る。
【0023】
第2のコントローラはさらに、第1または第2の照準ビームによって生じたスポットが内視鏡からの画像で識別できるかどうかを示す第2の信号を出力するように構成され得る。そして、第1のコントローラはさらに、第2の信号を受信し、かつ、画像内でスポットを特定できない場合は、第1または第2の照準ビームの一方を、第1または第2の照準ビームの他方に切り替えるように構成され得る。
【0024】
第2のコントローラはさらに、第1または第2の照準ビームによって生じたスポットが内視鏡からの画像で識別できるかどうかを示す第2の信号を出力するように構成され得る。そして、第1のコントローラはさらに、第2の信号を受信し、かつ、第1または第2の照準ビームの他方からのスポットが画像で識別できない場合、第1のエネルギー源が標的組織を治療するためのエネルギーを生成することを禁止するように第1のエネルギー源を制御するように構成され得る。
【0025】
少なくとも1つの特性は、波長、パワーレベル、及び放射パターンからなる群から選択され得る。
【0026】
エネルギーガイドはレーザーファイバであり得る。
【0027】
第1のエネルギー源は、治療用レーザービームであり得る。
【0028】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、図面全体に亘って、同様の符号は同様の部分を表す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】内視鏡、レーザー装置、内視鏡プロセッサ及び内視鏡光源を有する医療システムを示す図である。
【
図2】
図1の内視鏡の遠位端を含む、
図1の医療システムの概略図である
【
図3】
図1の医療システムの第1の操作方法のフローチャートである。
【
図4】
図1の医療システムの第2の操作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで
図1を参照する。
図1には、内視鏡102、内視鏡プロセッサ103、光源104、レーザー装置106及びディスプレイ108を有する医療システム100の全体構成を示されている。
図1に示すように、内視鏡102は、被検体内を撮像して、かつ、被検体内の画像信号を生成する被検体内に挿入される挿入部110、撮像した画像信号に所定の画像処理を施し、かつ、内視鏡102により、医療システム100の少なくとも一部を制御する内視鏡プロセッサ103、少なくとも2つの照射モードを有する内視鏡102の照射光を生成する光源104、エネルギーガイド112を介して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するための第1のエネルギー源とエネルギーガイド112を介して標的組織に2つ以上の照準ビームを放射するように構成された第2のエネルギー源とを有するレーザー装置106、及び、照準ビームと内視鏡プロセッサ103によって実行される画像処理対象である画像信号の画像とを表示するディスプレイデバイス108を含む。
【0031】
内視鏡102は、被検体内に挿入される挿入部分110、挿入部分110の近位端部分にある手術者が把持する操作ユニット107、及び、操作ユニットから延在するフレキシブルユニバーサルコード114、を含む。
図1は胃腸(GI)内視鏡を示すが、本明細書に開示される装置及びシステムはGI内視鏡に限定されず、尿管鏡または膀胱鏡などの他のタイプの内視鏡または他の治療手術に使用される内視鏡と共に使用するための特定の有用性も有する。
【0032】
挿入部分110は、ライティングファイバ(ライトガイド)、電気ケーブル、光ファイバ等を用いて形成される。挿入部110は、後述するイメージングユニットを組み込んだ遠位端部分110aと、複数の湾曲ピースを備えた湾曲可能な湾曲部分110bと、湾曲部分110bの近位端部分に設けられた、柔軟性がある可撓管部分110cと、を含む。遠位端部分110aには、照射レンズ122(
図2参照)を介して被検体内を照明する照射ライトガイド120(
図2参照)、CCDまたはCMOS等の撮像素子と被験者の内部を撮像する対物レンズシステム118(
図2を参照)とを含む観察ユニット、治療ツールチャネル102a(
図2を参照)と連通する挿入ポート107b、及び、空気/水供給ノズル(図示せず)が設けられている。
【0033】
操作部分107は、湾曲部分110bを上下方向及び左右方向に湾曲させる湾曲ノブ107a、医療用鉗子やエネルギーガイド112等の治療ツールが被検体の体腔内に挿入される、治療ツール挿入口107b、及び、内視鏡プロセッサ103、光源装置104、空気供給装置、給水装置、及び、ガス供給装置などの周辺機器を操作するための複数のスイッチ107cを含む。エネルギーガイド112などの治療ツールは、治療ツール挿入口107bからチャネル102aを通して挿入され得、これにより、それらの遠位端は、挿入部分110の遠位端でチャネル102aの開口部102b(
図2を参照)から遠位に露出する。
【0034】
ユニバーサルコード114は、ライティングファイバ、ケーブル等を含む。ユニバーサルコード114は、その近位端で分岐している。分岐端の一端はコネクタ114aであり、分岐端の他端はコネクタ114bである。コネクタ114aは、内視鏡プロセッサ103のコネクタに対して着脱可能である。コネクタ114bは、光源104に対して着脱可能である。ユニバーサルコード114は、光源104から照射した照明光をコネクタ114b及び光ガイド120を介して遠位端部分110a(
図2参照)まで伝播する。また、ユニバーサルコード114は、ケーブル内の信号線124(
図2参照)及びコネクタ114aを介して、後述するイメージセンサ116(
図2参照)で撮像した画像信号を内視鏡プロセッサ103に送信する。
【0035】
内視鏡プロセッサ103は、コネクタ114aから出力された画像信号に対して所定の画像処理を実行し、医療システム100を構成する構成要素の少なくとも一部を制御する。
【0036】
光源104は、照射モードと呼ばれる1つまたは複数の照射特性を有する光を発する1つまたは複数の光源、コンデンサーレンズなどを含む。このような光源は、例えば、キセノンランプ、LED(発光ダイオード)、LD(レーザーダイオード)、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。光源104は、内視鏡プロセッサ103の制御下で、その1つまたは複数の光源から光を照射し、コネクタ114bを介して連結された内視鏡102及びユニバーサルコード114のライトガイドに、対象としての被検体内用の照明光として供給する。照射モードは、白色光照射モード、或いは、狭帯域イメージングモード、自動蛍光イメージングモード、または赤外線イメージングモードなどの特殊光照射モードであり得、粘膜の不規則性の微妙なコントラストを強調するために、表面の微小血管と粘膜表面構造のより良い視覚化をもたらす。
【0037】
ディスプレイ108は、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等を含む。ディスプレイ108は、情報処理装置103によりビデオケーブル108aを介して所定の画像処理が施された画像を含む各種情報を表示する。これにより、操作者は、ディスプレイ108が表示する画像(体内画像)を見ながら、内視鏡102を操作することにより、被検体内の所望の位置の挙動を観察及び判定をすることができる。
【0038】
次に
図2を参照すると、
図1の医療システム100が概略的に示されている。レーザー装置106は、レーザーファイバなどのエネルギーガイド112と共に使用するためのものである。エネルギーガイドは、治療ツール挿入ポート107bを介してチャネル102a内に配置され、チャネル102aの遠位端の開口部102bから遠位に延在する遠位端112aを含み、治療エネルギーを標的組織に向けるように構成される。エネルギーガイド112の近位端は、レーザー装置106に操作可能に連結されている。
【0039】
レーザー装置106は、エネルギーガイド112の近位端に結合されたレーザーエネルギーを生成するための2つ以上のエネルギー源を含む。このようなエネルギー源は、レーザー装置106のボタン106aまたはフットスイッチ(図示せず)等の入力によって、ソフトウェアまたはディスプレイ108上のユーザインターフェースを介して、或いは、当技術分野で知られている手動または自動で入力によってユーザにより選択可能であり得る。第1のエネルギー源202は、エネルギーガイド112に光学的に結合され、エネルギーガイド112を通して標的組織を治療するためのエネルギーを生成するように構成され得る。例えば、第1のエネルギー源202は、レーザー光を生成するために使用されるツリウムレーザーであり得る。光ガイド112を介して標的組織に送達するために、切断(切除)モード及び凝固(止血)モードなどの異なる治療モードで動作する。Ho:YAG、Nd:YAG及びCO2ならびに当技術分野で知られている他のものなど、このような組織治療について当技術分野で知られている他のエネルギー源または任意の他の治療モードも第1のエネルギー源202に使用できる。
【0040】
2つ以上のエネルギー源は、エネルギーガイド112に光学的に結合され、エネルギーガイド112を通して標的組織に少なくとも2つの照準ビームを放射するように構成された第2のエネルギー源204も含み得、第1の照準ビームは、少なくとも1つの第2の照準ビームとは異なる特性を有する。このような異なる特性は、波長、パワーレベル、及び/または放射パターンであり得る。例えば、第1の照準ビームは、500nm~550nmの範囲の波長を有し得、第2の照準ビームは、635nm~690nmの範囲の波長を有し得る。異なる照準ビームの特性は、内視鏡プロセッサ103によって処理され、光源104によってもたらされる特定の照射モード下でディスプレイ108に表示される画像における照準ビームの可視性に基づいて選択され得る。
【0041】
レーザー装置106は、第1及び第2のエネルギー源202、204を含むレーザー装置106の操作を制御する、CPUなどのハードウェアを備えるコントローラ206をさらに含む。レーザー装置106は、操作可能に結合されたセンサ208をさらに含み得る。センサ208は、当技術分野で知られているように、エネルギーガイド112の遠位端112aからエネルギーガイド112を介してセンサ208に戻る反射光を検出するように構成される。これにより、センサ208は、光源104からライトガイド120に出力される照射モードを決定することができる。すなわち、このようなセンサ208は、標的組織を照射するために使用されている照射モードを検出する。このような反射光検出は、特許文献1に記載されているものと同様であり得る。
【0042】
光源104は、コントローラ214の制御下にある第1の光源210及び第2の光源212などの1つまたは複数の光源を含む。光源210、212は、光源104のボタン104aまたはフットスイッチ(図示せず)等の入力によって、ソフトウェアまたはディスプレイ108上のユーザインターフェースを介して、或いは、当技術分野で知られている手動または自動で入力によってユーザにより選択可能であり得る。第1及び第2の光源210、212は、光ガイド120に光学的に結合されて、上述のように、異なる照射モードを光ガイド120に提供する。照射モードごとに異なる光源が示されているが、単一の光源が、フィルター、レンズなどを使用して異なる特性を持つ照射モードを生成するために提供され得る。
【0043】
内視鏡プロセッサ103は、内視鏡102、ディスプレイ108、光源104及び/またはレーザー装置106を制御するためのCPUなどのハードウェアを備えるコントローラ216をさらに含む。上述のように、コントローラ216は、ユニバーサルコード114のライン124を介してイメージセンサ116から信号を受信し、信号を処理し、これにより、ディスプレイ108で見るための画像/ビデオを生成する。このような画像は、光の照射下で治療される組織の標的領域だけではなく、第1のエネルギー源202が作動しており、エネルギーガイド112が標的組織を治療するために使用されている際の、レーザー装置106によって生成される照準ビームをも含む。内視鏡プロセッサ103は、内視鏡プロセッサ103上のボタン103aまたはフットスイッチ(図示せず)などの1つまたは複数の入力、ソフトウェアまたはディスプレイ108上のユーザインターフェースを介して、或いは、当技術分野で知られている手動または自動で入力を含む。
【0044】
図1の医療システム100の使用について、次に、
図3に示すフローチャートに関して説明する。標的組織部位への内視鏡102の挿入後、ユーザは符号300で標的組織をディスプレイ108上で見る。標的組織のこのような観察は、符号302で設定された照射モードで行われ、光源104の光源210、212の1つによって出力される。このような照射モードは、当技術分野で知られている任意の手段によってユーザによる選択によって設定され得、または、所定の基準に基づいてコントローラ214、216のいずれかによって行われる決定によって自動的に提供され得る
【0045】
符号304で、第1のエネルギー源202が作動(オン)し、治療エネルギーをエネルギーガイド112に送達するかどうかに関して、コントローラ206によって判別がなされる。第1のエネルギー源202が治療エネルギーをエネルギーガイド112に送達しないと決定される場合、符号304Nにおいて、コントローラ206は、第2のエネルギー源204を作動して照準ビームを生成しない。第1のエネルギー源202が治療エネルギーをエネルギーガイド112に送達していると決定された場合、符号304Yで、コントローラ206は、第2のエネルギー源204を作動して、符号306で第1または第2の照準ビームの1つを生成する。
【0046】
符号308で、コントローラ206は、使用されている照射モードのタイプを示す信号を受信するなど、内視鏡によって使用される、標的組織を照射する複数の照射モードから照射モードを決定する。コントローラ206に提供される照射モード信号は、光源104の入力104aにおけるユーザからの手動入力であり得、光源コントローラ214に内視鏡プロセッサ103のコントローラ216に信号を出力するように指示し、次に、信号を出力する。このような手動入力は、内視鏡プロセッサ103のボタン103aなどの入力から行うこともできる。光源コントローラ214は、照射モードを示す信号をレーザー装置コントローラ206に直接出力することもできる。入力はまた、信号線107dを通して内視鏡のボタン107cを介して、内視鏡プロセッサ103のコントローラ216に送られ得、これは、レーザー装置のコントローラ206に中継される。レーザー装置106のコントローラ206はまた、内視鏡によって使用される照射モードを示す信号をセンサ208から受信することができ、エネルギーガイド112を通して反射光によって使用されている照射を検出し、コントローラ206はこのような検出を処理して判別する。さらに、内視鏡プロセッサ103のコントローラ216は、イメージセンサ116からの画像信号を分析し、このような画像信号に基づいて照射モードを判別し、このような判別をレーザー装置106のコントローラ206に出力することができる。内視鏡によって使用されている照射モードを決定するために、内視鏡102の遠位端または内視鏡プロセッサ103内などで他のセンサ(図示せず)が使用され得る。
【0047】
符号310で、照準ビームが決定された照射モードに適切であるかどうかに関する判定が行われる。このような判定は、コントローラ206に操作可能に接続されたルックアップテーブル(LUT)に反映された履歴データに基づき得、LUTが、照射モードを照準ビーム特性に対応させる。このようなLUTは、このような照射モードまたはこのような照射モードの波長で使用するための照射モード(または照明光の波長)及び対応する照準ビームの波長のデータを格納し得る。使用されている照準ビームが、使用されている照射モードでの使用に適していると判定された場合、使用中の照準ビームの変更は必要なく、使用中の照準ビームが使用されている照射モードでの使用に適していないと判定されるまで、符号310Yでプロセスは続き、標的組織を画像化する。このような判定は、所定の間隔で、または第1のエネルギー源がオフにされてから再びオンにされるなどの所定のイベントの発生時に行われ得る。
【0048】
しかしながら、符号310Nで、使用されている照準ビームが使用されている照射モードでの使用に適していないと判定された場合、第2のエネルギー源204は、指示された照射モードに基づいて符号312で照準ビームを変更するように制御される。例えば、白色光照射モードが決定される場合、コントローラ206は、500nm~550nmの範囲の波長を有する第1の照準ビームを放射するように第2のエネルギー源204を制御し得る。或いは、特定光照射モードが決定される場合、コントローラ206は、635nm~690nmの範囲の波長を有する第2の照準ビームを放射するように第2のエネルギー源204を制御し得る。上述したように、特定光モードは、例えば、狭帯域イメージングモード、自動蛍光イメージングモード、または赤外線イメージングモードのうちの1つであり得る。
【0049】
次に、
図1の医療システム100の別の使用を
図4に示すフローチャートに関して説明する。
図4では、符号300、302、304、及び306は、実質的に上述のとおりである。第1または第2の照準ビームなどの照準ビームの1つがレーザー装置106によって起動される場合、符号314で、第1または第2の照準ビームによって生じたスポットが内視鏡102からの画像で識別できるかどうかについて判定が行われる。すなわち、コントローラ216は、イメージセンサ116からの画像信号を分析して、使用されている照準ビームスポットが標的組織の画像で可視かどうかを判定する。画像データにおけるスポットのこのような判定は、例えば、スポットの予想されるサイズ及び/または形状に対応する画像の領域内のピクセルデータの視差(不連続性)を判定するピクセル比較など当技術分野で公知である。さらに、このような判定は、スポットが検出されたが、視差が画像からスポットを明確に識別するのにユーザが困るであろう、所定の閾値を下回る場合、スポットは見えないと見なし得る。
【0050】
画像でスポットが検出されるか、実質的に検出される場合、このような判定が変わるか、レーザー装置が第1のエネルギー源202を起動しなくなるまで、符号314Yで、イメージング、照射、及び、画像とスポットの表示が続行される。スポットが符号314Nで画像に検出できない、または実質的に検出できない場合、コントローラ216は、符号316で、信号をレーザー装置のコントローラ206に出力して、第1または第2の照準ビームの異なる1つに切り替える。
【0051】
同様の判定が符号318でコントローラ216によって行われ、第1または第2の照準ビームの異なる1つによって生じたスポットが内視鏡102からの画像で識別できるかどうかの判定が行われる。符号318Yでのイメージング、照射、及び、画像及びスポットの表示は、このような決定が変わるか、またはレーザー装置が第1のエネルギー源202をもはや作動させなくなるまで続行する。符号318Nでの画像でスポットが検出できないか、実質的に検出できない場合、安全対策として、コントローラは、レーザー装置コントローラ206に信号を出力して、第1のエネルギー源を制御して、符号320で第1のエネルギー源が標的組織を治療するためのエネルギーを生成することを禁止し得る。
【0052】
可撓性内視鏡に関して説明したが、上記の装置及び方法は、硬性型内視鏡にも有用性を有する。さらに、レーザー装置106は別個のデバイスとして説明されているが、その機能は、光源及び内視鏡プロセッサの一方または両方に組み込まれ得、共通コントローラを使用して、本明細書に示される決定及び制御を行うことができる。
【0053】
好ましい実施形態であると考えられるものを示し、説明してきたが、当然のことながら、本発明の精神から逸脱することなく、形態または詳細における様々な修正及び変更を容易に行うことができる。従って、本発明は、説明及び図示された正確な形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内に含まれ得るすべての変更をカバーするように構築されるべきであることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
100 医療システム
102 内視鏡
103 内視鏡プロセッサ
104 光源
106 レーザー装置
107 操作部分、操作ユニット
108 ディスプレイデバイス
110 挿入部分
112 エネルギーガイド
114 ユニバーサルコード
116 イメージセンサ
118 対物レンズシステム
120 ライトガイド
122 照射レンズ
124 信号線
202 第1のエネルギー源
204 第2のエネルギー源
206 コントローラ
208 センサ
210 第1の光源
212 第2の光源
214 光源コントローラ
216 コントローラ