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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】制御されたエネルギー貯蔵バランス技術
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240326BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240326BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/46
H02J7/35 K
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020543463
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018035463
(87)【国際公開番号】W WO2019083568
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】15/796,534
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521367857
【氏名又は名称】エルティー・(ユーエスエイ)・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】チャーン,ウェン・ティエン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チャーン・ホラン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェン・フイ
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ジョン・ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ウェン・ツォン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジェフリー・ウェン-タイ
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0229131(US,A1)
【文献】特開2016-129441(JP,A)
【文献】特開2016-171738(JP,A)
【文献】特開2015-186427(JP,A)
【文献】特開2017-169253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0047740(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力グリッドに電力を提供するように構成されたエネルギー貯蔵システムであって、
エネルギーリザーバであって、DCエネルギーを当該エネルギーリザーバの入力でDCエネルギー源から受け、受けた前記DCエネルギーを別のデバイスに該別のデバイスの入力において送るように構成されたエネルギーリザーバと、
前記別のデバイスに送られる前記DCエネルギーの量が前記DCエネルギー源から前記エネルギーリザーバが受けるDCエネルギーの量とほぼ等しくなり、それによって、前記エネルギーリザーバのエネルギー貯蔵容量を、前記DCエネルギー源のメガワットあたり2ファラデー未満のエネルギー貯蔵容量で賄えるように、前記別のデバイスに送られる前記DCエネルギーの量を調節するよう構成されたシステムコントローラと
を含むエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記DCエネルギー源は発電所であり、DCの前記エネルギーリザーバは、キャパシタを含、エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエネルギー貯蔵システムであって、DCの前記エネルギーリザーバはキャパシタのみを含む、エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
請求項2に記載のエネルギー貯蔵システムであって、DCの前記エネルギーリザーバは薄膜キャパシタのみを含む、エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記DCエネルギー源は発電所であり、DCの前記エネルギーリザーバは薄膜キャパシタを含む、エネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記システムコントローラは、
前記エネルギーリザーバ内に貯蔵されたエネルギーレベルを測定するように構成された検出構成要素と、
前記エネルギーリザーバの測定された前記貯蔵されたエネルギーレベルを使用して、調整がなされるべきかどうかを評価するように構成された決定構成要素と、
前記決定構成要素が、前記調整がなされるべきであることを決定するときに、前記調整を実行する指示をコード化されたメッセージに符号化するように構成され、前記コード化されたメッセージを、DCエネルギーが放電される前記別のデバイスに配送し、放電電力が適正に調整されるようにも構成された配送構成要素と
を含む、エネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
請求項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記検出構成要素は、前記エネルギーリザーバの端子電圧を測定することによって前記貯蔵されたエネルギーレベルを測定する、エネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
請求項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記エネルギーリザーバの前記端子電圧の前記測定はリアルタイムで行われる、エネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
請求項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記決定構成要素は、指定時間間隔で定期的に調整がなされるべきかどうかの前記評価を実行するように構成された、エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
請求項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記決定構成要素は、指定時間間隔で定期的に調整がなされるべきかどうかの前記評価を実行するように構成された、エネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
請求項に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記DCエネルギーは前記別のデバイスである少なくとも1つのDC/ACコンバータへと放電される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
請求項11に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記配送構成要素は、装備された通信チャネルを通して前記DC/ACコンバータに前記コード化されたメッセージを配送するように構成された、エネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
請求項11に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記配送構成要素は、前記DC/ACコンバータを含む複数のDC/ACコンバータの各々にそれぞれのコード化されたメッセージを配送するように構成された、エネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
請求項13に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記配送構成要素は、装備された通信チャネルを介して前記複数のDC/ACコンバータのうちの少なくとも1つに前記それぞれのコード化されたメッセージを配送するように構成された、エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
請求項11に記載のエネルギー貯蔵システムであって、前記エネルギーリザーバは、前記DCエネルギー源から受けるDCエネルギーの量を、前記電力グリッドの3ACサイクル以下の期間にわたり保つことが可能である、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]太陽光(PV)発電所は、太陽エネルギーを電気に変換することによって電気を生成する。その生成された電気が、次いで、電力グリッドに提供される。太陽エネルギー源(すなわち、太陽の受光)は、経時的に変化する強度を有すると特徴づけられる。したがって、そのようなPV発電所内のPV発電機は、発電最適化デバイス(「オプティマイザ」とも呼ばれる)を組み込む。1つのタイプのオプティマイザは「最大電力点追従装置(MPPT)」(または「MPPTデバイス」)と名付けられ、これは、PV発電所の動作を制御するためにMPPTデバイスが使用する瞬時最大電力生産点(MPPP)電圧を追跡する。この慣習は、本明細書において、「ブラインドMPPT確認」と呼ばれる。MPPTデバイスは、一般的には、ソフトウェアまたはファームウェアであり、経時的に変化する太陽エネルギー源からの最大電力生産という結果になる、経時的に変化する電圧を追跡する。
【0002】
[0002]本明細書において特許請求の範囲に記載される主題は、いかなる欠点をも解決するまたは上記で説明された環境などの環境内でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この「背景技術」は、本明細書において説明されるいくつかの実施形態が実施され得る1つの例示的な技術エリアを示すためにのみ提供される。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本明細書において説明される実施形態は、エネルギーリザーバとシステムコントローラとを備えるエネルギー貯蔵システムを対象とする。エネルギーリザーバは、DC/ACコンバータにDCエネルギーを放電する間、DCエネルギー源からのDCエネルギーによって充電される。システムコントローラは、エネルギーリザーバに充電されるDCエネルギーの量のバランスをほぼとるように、エネルギーリザーバからDC/ACコンバータに放電されるDCエネルギーを調節する。この充電と放電のバランスはほぼとれているので、エネルギーリザーバのサイズは、充電および放電の量に関連して極めて小さくなされ得る。これは、エネルギーリザーバが太陽光発電所などの発電所のすべてまたはかなりの部分から電荷を受け取る場合にそうであるように、充電および放電の流れが大きい場合に有利である。そのようなコントローラを用いると、エネルギーリザーバの使用は、そのような大きな電流の流れがあるとしても、技術的に実現可能である。
【0004】
[0004]システムコントローラは、検出構成要素と、決定構成要素と、配送構成要素とを備え、検出構成要素は、エネルギーリザーバ内に貯蔵されたエネルギーレベルを測定するように構成される。決定構成要素は、エネルギーレベルの測定された貯蔵されたエネルギーレベルを使用して、調整がなされるべきかどうかを評価するように構成される。配送構成要素は、決定構成要素が、調整がなされるべきであることを決定するとき、調整を実行する指示をコード化されたメッセージに符号化するように構成され、また、コード化されたメッセージをDC/ACコンバータに配送するように構成される。
【0005】
[0005]この「発明の概要」は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明される一連の概念を簡略化された形で紹介するために提供される。この「発明の概要」は、特許請求の範囲に記載された主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。
【0006】
[0006]上記で記載された利点ならびに他の利点および特徴が取得可能である様式について説明するために、さまざまな実施形態のより具体的な説明が、添付の図面を参照しながら、なされる。これらの図面はサンプル実施形態を示したものにすぎず、したがって、本発明の範囲の限定と考えられるべきでないことを理解して、実施形態は、添付の図面の使用を通して、追加の特殊性および詳細とともに説明および講釈される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】[0007]デカップリングデバイスがエネルギーリザーバとともに使用されるさまざまな発電所のブロック図である。
図1B】[0007]デカップリングデバイスがエネルギーリザーバとともに使用されるさまざまな発電所のブロック図である。
図1C】[0007]デカップリングデバイスがエネルギーリザーバとともに使用されるさまざまな発電所のブロック図である。
図2A】[0008]実験においてセットアップされ、2つのAC電力生産ユニットが従来の方法でセットアップされ、各電力生産ユニットの出力を測定する電力計およびエネルギー計をもつ、発電所のブロック図である。
図2B】[0009]デカップリングデバイスとエネルギーリザーバとを含む修正後の、グリッドへの改善されたエネルギー出力を検証するために使用された、図2Aの発電所のブロック図である。
図3】[0010]電力配送の2つのチャネルがある発電所のブロック図である。1つのチャネルは、エネルギーリザーバの使用を呼び出し、1つは、エネルギーリザーバのユーザを呼び出さない。
図4】[0011]図3のより広い実施形態を表す発電所のブロック図である。
図5】[0012]エネルギーリザーバの使用を介して電力が配送される発電所のブロック図である。
図6】[0013]図5のより広い実施形態を表す発電所のブロック図である。
図7】[0014]発電所のブロック図である。
図8】[0015]本明細書においてについて説明する原理による最大エネルギー利用点追従(MEUPT)コントローラのブロック図である。
図9】[0016]発電所の文脈における図8のMEUPTコントローラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017]特許公報US2016/0036232およびUS2017/0149250 A1(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)は、電気の最適以下の量を達成するブラインドMPPT確認の慣習がグリッドに提供されるPVエネルギーシステムを開示する。これらの特許公報は、エネルギー利用のための電気を効率的に抽出するために、生産された電気エネルギーを効果的および効率的に抽出するようにエネルギー抽出デバイスの特性を合致させるべきであることを教示する。そのうえ、これらの特許出願は、関連デバイスも、状況に合致されるおよび/または効率的なエネルギー利用のために抽出された電気を配送するべきであることを教示する。
【0009】
[0018]これらの特許公報は、エネルギー利用効率は、電力生産に加えて電力需要に密接に依存するということをさらに強調する。そのうえ、これらの公報は、いずれのエネルギーシステムでも、一般的な電力消費は、エネルギー保存則および電荷保存則に従うときですら、必ずしも電力生産に等しいとは限らないことを教示する。
【0010】
[0019]MPPTデバイスを太陽光発電所のためのオプティマイザとして使用する代わりに、参照される特許公報は、「最大エネルギー利用点追従装置」、または「MEUPTデバイス」をPV発電所オプティマイザとして使用することを提案した。そのようなオプティマイザは、本明細書では、「MEUPTオプティマイザ」と呼ばれる。参照される特許公報によれば、MEUPTオプティマイザは、「余剰エネルギー」と呼ぶもの、生産されるが抽出されていないおよび/または利用のために電力グリッドに配送されない電気エネルギーと定義するものを捕捉するように設計される。「余剰エネルギー」のその定義も本明細書において使用される。
【0011】
[0020]MEUPTオプティマイザは、捕捉された余剰エネルギーをエネルギーリザーバ内に一時的に貯蔵し、次いで、この電気エネルギーを準備し、利用のために電力グリッドに配送するようにも設計される。したがって、PV発電所の電気販売収入は、MEUPTオプティマイザを組み込んでいるとき、増強可能である。
【0012】
[0021]セクション1:MEUPTオプティマイザの機能
[0022]US2016/0036232およびUS2017/0149250 A1(「参照される特許公報」)において説明される原理によれば、本明細書で開示される一実施形態のMEUPTオプティマイザは、余剰エネルギー抽出器と、エネルギーリザーバと、MEUPTコントローラとを備える。MEUPTコントローラは、エネルギー抽出器およびDC/ACコンバータと協働して動作する。「電力」と「エネルギー」という用語は、(厳密には同じではないが)当技術分野では互換的に使用される。したがって、別段に規定されない限り、各用語は同じ意味を有する。
【0013】
[0023]エネルギー抽出器は、生産されたDC電力源から初期振動パワートレインを抽出する。抽出された初期動力チェーンは、電力グリッドのAC電力グリッド要件に従う。言い換えれば、抽出された初期動力チェーンは、電力グリッド電圧範囲に適合するピーク電圧を有する経時的に変化する正弦波電圧を有する。そのうえ、電力(電圧の二乗に比例する)は、(sin(ωt)またはcos(ωt))の形をとり、電力グリッドと(同じ位相および同じ周波数と)同期される。
【0014】
[0024]一方、余剰エネルギー抽出器は、生産されたDC電力から初期振動パワートレインを減ずることから残る残りの振動パワートレインを抽出する。言い換えれば、この残りの振動パワートレインは、初期振動パワートレインを電力グリッドに提供した後に残る残った振動パワートレインである。残りの振動パワートレインは、電力グリッドに提供された初期振動パワートレインと比較して90°位相シフトを有する。90°位相シフトにより、この残りの振動パワートレインは、同じ電力グリッド上に提供するためのAC電力へと即時に変換不可能である。したがって、エネルギーリザーバは、残りの振動パワートレインの余剰エネルギーを一時的に貯蔵するために使用される。その後、貯蔵されたエネルギーは、DC/ACコンバータに供給される。したがって、貯蔵された余剰エネルギーは、同じ電力グリッドと(同じ位相および周波数と)同期されたAC電力に変換可能である。
【0015】
[0025]MEUPTコントローラは、リザーバのエネルギーレベルを測定し、抽出可能なリザーバ内のエネルギーの量を推定し、このエネルギー量がDC/ACコンバータによって抽出可能であるようにこの情報を関連づけられたDC/ACコンバータに配送する。次いで、DC/ACコンバータは、適切な脈動性パワートレインの形をしたAC電力への変換のために、貯蔵されたエネルギーをリザーバから抽出し、そのAC電力を電力グリッドに提供する。したがって、PV発電所は、MEUPTオプティマイザを組み込んでいるとき、ほとんどすべての生産された電気エネルギーを電力グリッドに提供することができる。対照的に、MEUPTオプティマイザがなければ、参照される特許公報によるPV発電所は、生産された電力/エネルギーの半分未満しか電力グリッドに提供することができない。
【0016】
[0026]セクション2:MEUPTをもつ従来のPV発電所を改善する
[0027]太陽光発電所は、多くの場合、メガワット(MW)の数によって定格がつけられる。従来の方法で、太陽光発電所が、x MW(ここで、xは何らかの正の数字である)が定格であると公表されるとき、これは、すべての太陽電池ストリングのDC電力生産定格の総計がx MWであることを意味する。そのような従来の太陽光発電所は、x MWより大きくない合計製造業者公表DC/AC変換能力を有する3相DC/ACコンバータも有する。この原理は、従来のMPPT実施による慣習発電所の動作を要約したものである。
【0017】
[0028]言い換えれば、定格x MWの従来のPV発電所は、x MW PV太陽光発電パネルのストリングからなり、これは、太陽エネルギーをDC電気に変換する。次いで、生成されたDC電気が、3相DC/ACコンバータによって抽出され、電力グリッドのすべてのAC電力要件に適合する適切なAC電力に変換され、次いで、電力グリッドに提供される。電力グリッドに提供されるこのAC電力は、本明細書において「初期振動パワートレイン」とも呼ばれる。DC/ACコンバータの合計製造業者公表DC/AC変換能力は、太陽光発電パネル業界によって公表された設置された太陽光発電パネルのDC生成能力の総量であるx MWより大きくないことを想起されたい。
【0018】
[0029]参照される特許公報US2016/0036232およびUS2017/0149250 A1の説明によれば、初期振動パワートレイン(エネルギー抽出器によって抽出される)を太陽光発電パネルストリングによって生産される合計DC電力から減ずるとき起こる残りの振動パワートレインが存在する。言い換えれば、このパワートレインは、エネルギー抽出器によって抽出され電力グリッドに提供された初期振動パワートレインから約90°位相差を有する残りの振動パワートレインである。
【0019】
[0030]残りの振動パワートレインは、電力グリッドから約90°位相がずれているので、この残りの振動パワートレインは、直接的に条件づけられ、AC電力に変換され、同じ電力グリッドに提供されることが可能である。参照される特許公報に開示されている原理によれば、エネルギーリザーバは、この90°位相がずれた残りの振動パワートレイン内に含むエネルギーを一時的に貯蔵する(表された余剰エネルギーを貯蔵したとき)。この余剰エネルギーがエネルギーリザーバへと貯蔵された後、余剰エネルギーは、DC/ACコンバータに供給可能であるDCエネルギーとして働くことができる。この余剰エネルギーは、次いで、すべての電力グリッド要件(電力グリッドとの同期を含む)に適合するAC電力に変換可能であり、したがって、結果として生じるAC電力が、同じグリッドに適用されることがある。
【0020】
[0031]セクション3:エネルギーリザーバからのエネルギー漏洩を防止する
[0032]MEUPTオプティマイザのためのエネルギーリザーバ設計考慮事項について詳述する前に、重要な問題が、本明細書において最初に対処される。具体的には、太陽光発電パネルストリングは、日暮れに非常に高い抵抗を有することがあるが、太陽光発電パネルストリングは、正午に太陽が強いとき、かなりの電流をいずれの方向にも伝導することができる。したがって、リザーバ内に貯蔵された電気エネルギーは、昼の間、太陽光発電パネルを通って漏洩し、これを加熱することがある。したがって、デカップリングダイオードは、電気エネルギーがリザーバを充電するために各太陽光発電パネルストリングから流れることができるが、リザーバ内のエネルギーは、リザーバから太陽光発電パネルストリングへと逆流することはできないように、太陽光発電パネルストリングの各々に追加されることがある。次に、このデカップリングを達成するさまざまなエネルギーリザーバシステムが、図1A図1B、および図1Cを参照しながら説明される。
【0021】
[0033]セクション4:エネルギーリザーバのための設計考慮事項
[0034]図1Aは、DC/ACコンバータ1200Aがその電力をAC電力に変換するときDC/ACコンバータ1200Aによって取り出される電力を減ずる太陽電池ストリング1100Aのセットから生産された電力ストリームから生じる余剰電力を一時的に貯蔵するように設計されたエネルギーリザーバ1300Aを示すブロック図を示す。AC電力は、トランス1500Aを通してAC電力グリッド1600Aに提供される。リザーバ1300Aは、デカップリングダイオードセット1400Aを通して残りの振動パワートレインを受け取る。一例では、このエネルギーリザーバ1300Aは、1MW PV発電所の余剰エネルギーを一時的に2分間貯蔵するように設計される。
【0022】
[0035]単なる一例として、主エネルギー源は一定の強度で2分間保つことができる(および、PVストリング1100Aの電力生産は、一定の1MW生成機の電力生産を可能にするように保つ)と仮定する。以下の分析では、初期振動パワートレインと残りの振動パワートレインの両方は、同じ反復形を有するが、90度位相差を有する。最初に、エネルギーリザーバがどのように総当たり(brute force)を使用して設計され得るかを調べる。エネルギーリザーバの目的は、DC/ACコンバータがこの貯蔵されたエネルギーを後で変換することができるように余剰エネルギーを一時的に貯蔵することであることを留意されたい。
【0023】
[0036]参照される特許公報において論じられるように、生産されたDC電気エネルギーに対する余剰エネルギーの推定比は、一般的な従来のPV発電所の場合は0.5を超える。分析のために、PV発電所は1MW PV太陽光発電パネルストリングを有し、DC電力が、50ヘルツであるグリッドおよび線間電圧380にVAC3相AC電力を提供するためにAC電力に変換されると仮定する。この場合、1電力サイクルの継続時間は約0.01秒に等しく、合計相電流は最大1,000,000/(380/1.732)であり、ここで、1.732は、3の平方根の値である。この比は、線間電圧に対するピーク電圧の比(3相AC電力における線間対位相電圧すなわち「相電圧」)である。この発電所のための電力サイクル内で余剰エネルギーと関連づけられた電荷を貯蔵することは、約8Vファラデー(0.5*0.01*1,000,000/(380/1.732))の等価な電荷容量を必要とするであろう。ここで、「V」は、設計されたリザーバの充電前後の電圧差である。
【0024】
[0037]このPVステーションのエネルギー利用を最大にするために、いくつかの実施形態では、MEUPTオプティマイザの動作電圧は、PV最大電力生産電圧の75%以内であるべきである。言い換えれば、75%最大電力生産の電圧範囲は、MEUPTオプティマイザのそれらの実施形態において観測されるべきである。測定されたI-Vデータは、一般的には、この範囲は約80ボルトであることを示す。この電圧範囲が、エネルギーリザーバのための充電/放電電圧範囲(すなわち、V=80ボルト)として選定されたとき、エネルギーリザーバの電荷容量は、約0.1ファラデー/MW/電力サイクルである(ここで、 電力サイクルは0.01秒持続する)。
【0025】
[0038]設計考慮事項が、2分にわたって蓄積する余剰エネルギーのこの最大量を貯蔵することである場合、必要とされる等価な電荷容量は、1MW PV発電所の場合、1200ファラデー(100*120*0.1)に等しい。本明細書において、この必要とされる等価な電荷容量は「完全最大電荷容量」と呼ばれ、関連づけられたリザーバに貯蔵されたエネルギーの量は、「完全最大エネルギーリザーバ容量」、または「完全最大余剰エネルギー」と呼ばれる。
【0026】
[0039]薄膜キャパシタを使用して、この必要とされた電荷容量を満たす場合、その電荷容量を達成するために必要とされる薄膜キャパシタのセットは、体積に関して極端に大きく、資本ではコストが非常に高い。したがって、薄膜キャパシタのみからなるそのようなエネルギーリザーバを設計することは実際的ではない。
【0027】
[0040]この総当たり設計に対する工夫(twist)として、体積およびサイズを減少させるためにファラデーデバイス(バッテリなど)を設計に組み込むことができるであろう。本発明者らの慎重な分析は、必要とされる電荷容量は、実際には、薄膜キャパシタとファラデーデバイスとをもつエネルギーリザーバに関して技術的に管理可能であることを明らかにした。しかしながら、そのようなリザーバのコストは、同じ性能を維持しながらバッテリの価格が少なくとも3分の1に低下することができない限り、依然として高すぎて有益でない。
【0028】
[0041]電解キャパシタを使用することによって、必要とされる資本コストを実質的に減少させることができる。しかしながら、そのようなことは、そのようなキャパシタの比較的短い寿命により動作コストを増加させるであろう。したがって、現在、電解キャパシタの使用も実際的でない。したがって、総当たり手段は、必要とされる完全最大エネルギーリザーバ容量を用いた経済的に有益な設計を達成しない。
【0029】
[0042]本明細書においてについて説明する原理は、発明者によって観測された、以下のことを使用して、この問題を解決する。
(1)たいていの既存のDC/ACコンバータは、1秒で容易に3%逓増または逓減することができる。さらには、既存の500kW DC/ACコンバータは、動作中に1秒で容易に10kW超逓増または逓減することができることができる。
(2)大まかな観察として、一般的な1MW PV発電所は、毎朝ゼロ電力から電力生産を開始し、その通常の毎日の動作では、まれに、10kW/秒よりも速くその電力生産を逓増する。
(3)MWレベルのPV発電所(定格は1MWよりも大きいとされる)は、時々、短い電力急増中に毎秒10kWよりも大きい逓増率を経験することがある。しかしながら、この短い急増に(または、より大きい毎秒100kWの急増にすら)含まれるエネルギーは、MWレベル発電所において生産される合計毎日のエネルギーと比較したとき、小さい。
【0030】
[0043]これらの3つのことから、本発明者らは、(1)太陽光発電パネルストリングの各々における発電は、毎朝ゼロから開始し、および(2)PV生成機は、完全電力を瞬時に生成しないと、決定した。したがって、残りの振動パワートレインは、その最大値まで瞬時に逓増しない。言い換えれば、残りの振動パワートレインは、一般的には、DC/ACコンバータの逓増率よりもはるかにグレースフルに増加する。そのうえ、任意の短い逓増急増におけるエネルギーの量は、定格が1MW以上とされたPVステーションのためのエネルギー収集では、重要な問題でない。
【0031】
[0044]したがって、余剰エネルギーの最大完全量を貯蔵することが可能であるエネルギーリザーバを設計する代わりに、本明細書において説明される原理は、リザーバへと入力された余剰エネルギーとDC/ACコンバータがリザーバから抽出するエネルギーとの差に等しい正味エネルギー量を(たとえば2分にわたって)貯蔵するようにリザーバを設計することを提案する。このエネルギーの量は、本明細書では、「最大差分余剰エネルギー」と呼ばれる。この最大差分余剰エネルギーの量は、最大完全余剰エネルギーよりもはるかに小さい。したがって、そのようなより小さいエネルギーリザーバを設計することは、より簡単である。これは、技術において管理可能であり、コスト効果も高い。
【0032】
[0045]図1Bは、DC/ACコンバータ1201Bによって取り出される電力を減ずる太陽電池ストリング1100Bのセットから生産された電力ストリームから生じる余剰電力を貯蔵するエネルギーリザーバ1300Bを記号的に示すブロック図を示す。同時に、別のDC/ACコンバータ1202Bは、ほぼ同じ量のDCエネルギーをエネルギーリザーバ1300B(余剰電力を含む)から受け取るようにMEUPTコントローラ1310Bによって支持される。DC/ACコンバータ1201Bと1202Bの両方は同時に、受け取ったDCエネルギーをAC電力に変換し、そのAC電力を同じトランス1500Bを通して同じグリッド1600Bに提供する。そうする際、リザーバ1300Bへの正味エネルギー貯蔵負荷は、図1Aに示されるリザーバ1300Aの容量と比較したとき、非常に小さい容量に減少可能である。
【0033】
[0046]図1Cは、図1Bに示された構成から修正されているが、図1Bに示される構成のほぼ同じ性能を有する構成を示す。図1Cに示されるように、エネルギーリザーバ1300Cは、ダイオードセット1400Cを通してPV太陽電池ストリング1100Cによって生産されたDC電力ストリームを貯蔵する。2つのDC/ACコンバータ1201Cおよび1202Cは、PVストリングによって生産されたDCエネルギー入力とほぼ等しい量で、エネルギーリザーバ1300Cからほぼ同じ合計DC電力を(全体として)受け取るようにMEUPTコントローラ1310Cによって指示される。したがって、リザーバ1300Cの入力および出力に、非常に小さい正味電力入力バランスがある。1201Cと1202Cの両方は同時に、受け取ったDC電力を、同じトランス1500Cを通して同じグリッド1600Bに提供されるAC電力に変換する。
【0034】
[0047]要約すると、図1Bに示されるように、(適切にデカップリングされるとき)エネルギーリザーバは、生産されたDC電力がエネルギー抽出器(DC/ACコンバータ1201Bのモジュールとして内蔵可能である)によって抽出された後に残る残りの振動パワートレインの形で余剰エネルギーを抽出および貯蔵することができる。他のDC/ACコンバータ1201Bは、リザーバに貯蔵される余剰エネルギーの正味量を減少させるために、エネルギーリザーバ1300Bからほぼ等しい量のエネルギーを抽出するように設計される。したがって、比較的小さいリザーバが適切である。
【0035】
[0048]図1Cにも示されるように、(適切にデカップリングされるとき)エネルギーリザーバ1300Cは、すべての生産されたDC電力をPVストリング1100Cから受け取ることができる。次いで、振動パワートレインはDC/ACコンバータ1201Cおよび1202Cによって抽出されるが、余剰エネルギー(残った電力)も、90°位相がずれた残りの振動パワートレインの形でエネルギーリザーバ1300C内に暗黙的に貯蔵される。わかるように、この余剰エネルギーも、暗黙的に自動的に抽出され、リザーバ1300Cに貯蔵される。
【0036】
[0049]図1B(または図1C)に示される設計のどちらかを適用すると、設計されたエネルギーリザーバは、MEUPTオプティマイザを目的としたエネルギーリザーバとして働くことができる。これは、90°位相がずれた少量の正味余剰エネルギーを一時的に貯蔵する。エネルギーリザーバ設計の厳しいタスクは、次に、適切なMEUPTコントローラを設計するタスクにシフトされる。
【0037】
[0050]セクション5:MEUPTコントローラの必要な機能
[0051]コントローラは、リザーバに充電する余剰電力における量に実質的に等しい適切な量のエネルギーをリザーバから一貫して取り出すように、関連づけられたDC/ACコンバータに指示することが可能であるべきである。そうする際、リザーバへのエネルギー貯蔵の正味量を最小にし、システム動作を安定させるためにリザーバ内の適切なバランスのとれたエネルギー貯蔵を維持することができる。そうするとき、エネルギーリザーバは、充電する余剰電力と短い時間継続期間DC/ACコンバータによって取り出された電力とのエネルギー差を貯蔵する(または提供する)だけでよい。
【0038】
[0052]可能なコントローラを用いると、エネルギー差は、管理可能に小さいように設計可能である。時間継続期間は、余剰エネルギーを合致する際にDC/ACコンバータに対して逓増または逓減するのに十分なほど長く、システム動作を依然として安定して保ちながらリザーバの容量を著しく減少させるのに十分なほど短いように設計可能である。したがって、推定されるリザーバの容量は、最大完全余剰エネルギーの容量の0.001倍未満になるように減少させることができる。この容量は、1MW PV発電所あたり2ファラデー未満であり、薄膜キャパシタを使用する場合ですら管理可能な電荷容量である。適切なMEUPTコントローラの一例は、以下で、以下のセクション12~14に関して説明される。
【0039】
[0053]セクション6:キャパシタ/バッテリ複合エネルギーリザーバ
[0054]別の問題は、良好な薄膜キャパシタは、依然としてその元の容量の80パーセント超を保ちながら10~15年間続くことができるが、良好なバッテリは、5年未満続き、その時間の後でその電荷容量のほぼ70パーセントを有することができることである。したがって、経済コストを最適化するために、注意深い設計バランスが提案される。そのうえ、リザーバ内のエネルギーの量は、常に動作を安定させるのに十分なほど大きくあるべきである。設計シミュレーションは、薄膜キャパシタおよびバッテリの現在の価格では、1MW PVステーションに対する一般的な20年の最適エネルギーリザーバ設計は、適切な動作電圧をもつ約50アンペア時自動バッテリストリングと組み合わされた0.1~1ファラデー薄膜キャパシタを用いた設計であることを示す。
【0040】
[0055]セクション7:PVストリング内の相互電力消滅を防止する
[0056]上記で説明されたように、図1Bおよび図1Cにおいて適用されるデカップリング技法は、太陽光発電パネルのストリングがエネルギーリザーバを充電することを可能にするが、電力がリザーバからPV太陽電池ストリングへと逆流するのを防止する。デカップリングダイオードセットを適切に適用するとき、この技法は、リザーバからPV太陽光発電パネルストリングを通ってのエネルギー漏洩を防止するだけでなく、本発明者らによって発見された現象も防止することができる。この現象は、本明細書では、「PVストリング間の相互電力消滅現象」、「相互電力消滅現象」、または「電力消滅現象」と呼ばれる。
【0041】
[0057]この現象は、並列接続されたいくつかのPVストリングが、生産された電力を収集するときに、発生する。この現象は特に、非常に異なるI-V特性、光電変換効率、および/または最大電力生産電圧を有する並列接続されたPVストリングのときに、顕著である。
【0042】
[0058]たとえば、すべてよりも少ないストリング内のすべてよりも少ない太陽光発電パネルが影とともにキャストされたとき、影の中にあるストリングは、影の外部にある光電変換効率よりも低い光電変換効率を有する。言い換えれば、これらの太陽電池ストリングは、影の異なるキャスティングにより、一日の同じ時刻ですら非常に異なるI-V特性を有するであろう。これらの太陽電池ストリングが並列に接続されるとき、高効率のストリングは、PV太陽電池ストリング内での電力生産を中断させるために、生産された電力の一部を、より低効率の太陽電池ストリングに放電することができる。発明者らは、この現象を実験的に確認した。実験は、この現象は、PV太陽電池ストリングが適切にデカップリングされるとき、防止可能であることも示す。
【0043】
[0059]そのうえ、電力消滅現象は、並列接続されたPVストリングが非常に異なる最大電力生産電圧を有するときにも発生することがある。たとえば、1つは15のストリング化された太陽光発電パネルを有し、もう1つは19のストリング化された太陽光発電パネルを有する、並列接続された2つの太陽光発電パネルストリングがあると仮定する。19のパネルをもつストリング内で生成された電力は、15のパネルをもつストリングを決定的に流れ、電力消滅現象が発生する。実験は、上記の並列接続された2つのストリングから受け取った電力は、19のパネルをもつストリングのみによって生産された電力の半分未満に減少することがあることを示す。適切にデカップリングされるとき、上記の2つの並列接続されたストリングから受け取った電力は、19のパネルをもつストリングのみによって生産された電力の約1.53倍に回復することができる。上記で説明された実験は、(a)相互電力消滅現象が存在することと、(b)適切にデカップリングする技法は、この現象を防止することができることを示す。
【0044】
[0060]他の1つの実験では、PVプラントは、2つの電力生産ユニットを有するように配置された。各ユニットは、同じ製造業者およびモデルの85の太陽光発電パネルからなる。2つの電力生産ユニットの各々は、生産されたDCエネルギーを収集するために、5つの並列接続されたPVストリングをもつように構成された。2つのPVストリングは、直列接続された15のパネルと、直列接続された17のパネルをもつ2つのストリングと、直列接続された21のパネルをもつ別のストリングとをもつように構成された。これらの10のストリングの最大電力生産電圧が、空が晴れた正午に別々に測定されるとき、最大電力生産電圧は、最低で420ボルト~最高で610ボルトの範囲にある。したがって、これらの並列接続されたPV太陽電池ストリングは、同じ晴れた空の下で非常に異なる最大電力生産電圧を有する。
【0045】
[0061]電力生産ユニットの各々は、異なるDC/ACコンバータを介して、収集されたDC電力をAC電力に変換する。各生産ユニット内で生産されたエネルギーおよび電力を測定するために、キロワット時計およびワット計が、各生産ユニットのDC/ACコンバータの各々のAC出力に接続された。次いで、これらのユニットが、AC電力をグリッドに提供するために、トランスに接続された。36日の期間にわたる2つの電力計の72の同一の示度があり、この36日の期間の終了時に場合2つのキロワット時計の同一の示度がある場合、これらの2つの電力生産ユニット内のすべての要素(計器の2つのセットを含む)が実質的に同一であったことが確認される。
【0046】
[0062]次いで、一方の電力生産ユニットは、21のパネル(と使用されない1つのパネル)の4つのストリングをもつように構成されるように修正され、他方の電力生産ユニットは、上記で説明された5つのストリングから変更されないままであった。修正された電力生産ユニットの測定される電力生産は、一般的には、空が晴れた正午において、他方の電力生産ユニットの電力生産の4.1倍よりも大きかった。次いで、60日の、提供された蓄積されたエネルギーを測定した。このエネルギーは、2つのキロワット時計の示度から得られた。修正された電力生産ユニットは、修正されていない電力生産ユニットのエネルギーの3.38倍のエネルギーをグリッドに提供した。上記の実験は、相互電力消滅現象は並列接続されたPVストリング内で、特に、非常に異なるI-V特性または非常に異なる最大電力電圧を有するストリングとともに、実際に存在することを明確かつ決定的に証明した。
【0047】
[0063]結論として、本明細書において説明される原理による適切なデカップリング技法は、エネルギーリザーバから太陽電池ストリングを通るエネルギー漏洩を防止することができ、PVストリング間での発見された相互電力消滅現象も防止することができる。
【0048】
[0064]セクション8:余剰エネルギーの存在を証明する実験
[0065]MEUPTオプティマイザの設計について説明する前に、このセクションでは、そのようなPV発電所内での余剰エネルギーの存在を最終的に証明する実験について説明する。これは、参照される特許公報、US2016/0036232およびUS2017/0149250 A1によって予測される。繰り返しになるが、参照される特許公報は、余剰エネルギーを、生産されたが熱に変えられる前に抽出および/または利用されない電気エネルギーと定義する。具体的には、PV発電所内で、「余剰エネルギー」は、生産されたDCエネルギーが3相DC/ACコンバータによって抽出されAC電力に変換された後で存在する残った電気エネルギーを含む。MEUPTオプティマイザは、この残った電気エネルギーすなわち余剰エネルギーを捕捉/利用するように設計可能である。以下では、実験セットアップおよび実験の段階的な実行について説明する。
【0049】
[0066]図2Aは、2つのAC電力生産ユニット2100Aと2200Aとを備えるPV発電所2000Aの開始セットアップを示す。AC電力生産ユニット2100Aおよび2200Aの各々は、ブラインドMPPT確認を実施し、3相AC電力を電力グリッド2600Aに提供する。AC電力生産ユニット2100Aは、DC発電機2110Aと、3相DC/AC(15kW)コンバータ2130Aとからなる。AC電力生産ユニット2200Aは、DC発電機2220Aと、3相DC/AC(15kW)コンバータ2230Aとからなる。発電機2110Aは、2つの並列接続されたPVストリング2111Aおよび2112Aを使用して、DC電気を生成する。発電2220Aは、別の2つの並列接続された太陽電池ストリング2221Aおよび2222Aを使用して、DC電気を生成する。4つのPVストリングの各々は、25の直列接続された太陽光発電パネルからなる。各パネルは、空の晴れた正午に250Wの電力を生産することが可能である。
【0050】
[0067]DC発電機2110Aは、DC電力を3相DC/ACコンバータ2130Aに供給する。DC発電機2220Aは、DC電力を3相DC/ACコンバータ2230Aに供給する。次いで、これらの2つのコンバータ2130Aおよび2230Aは、供給されたDC電力を3相AC電力に変換する。実験では、電力生産ユニット2100Aおよび2200AのAC出力電力はそれぞれ、2つの3相ACワット計(kW単位)2351Aおよび2352Aによって測定された。これらの2つの電力生産ユニット2100Aおよび2200AのACエネルギー生産量(kW*時間単位)もそれぞれ、2つのkW時計2361Aおよび2362Aによって測定された。次いで、生産された3相AC電力は、トランス2500Aを介してグリッド2600Aに提供された。PV発電所が動作させられ、2つのAC電力生産ユニット2100Aおよび2200Aのエネルギー生産量が7日間測定された。
【0051】
[0068]2つのkW時計の示度は、この時間期間中、毎日等しい値を示した。このことは、これらの2つの電力生産ユニット2100Aおよび2200Aのすべての要素(測定用機器の2つのセットを含む)が実質的に同一であるという高い信頼性を提供する。このステップの後、2つのAC電力生産ユニットのうちの一方2200Aは、変更されずに保たれたが、他方のAC電力生産ユニット2100Aは、図2Bの左側に示される異なる構成2100Bをもつように修正された。
【0052】
[0069]図2Bの電力生産ユニット2200Bは、修正されていない、図2Aの電力生産ユニット2200Aである。また、図2Bの要素2351B、2361B、2352B、2362B、2500B、2600Bはそれぞれ、図2Aの要素2351A、2361A、2352A、2362A、2500A、2600Aと同じである。そのうえ、電力生産ユニット2100Bの構成は、図2Bでは図2Aの電力生産ユニット2100Aと異なるが、図2Bの電力生産ユニット2100Bの要素のうちのいくつかは、図2Aの電力生産ユニット2100A内に含まれる要素と同じである。たとえば、図2のPVストリング2111Bおよび2112Bはそれぞれ、図2AのPVストリング2111Aおよび2112Aと同じである。同様に、図2BのDC/ACコンバータ2130Bは、図2AのDC/ACコンバータ2130Aと同じである。
【0053】
[0070]以下の6つのステップは、どのように電力生産ユニット2100Aが2100Bの構成に修正されたかについて説明し、図2Bの左側を参照しながら説明される。ステップ1は、太陽電池ストリング2111Bおよび2112Bと3相DC/ACコンバータ2130Bの間にデカップリングダイオード2311Bのセットを追加することであり、これは、ブラインドMPPT確認を実施している。ステップ2は、エネルギーリザーバ2410Bを構成に追加することであった。ステップ3は、デカップリングダイオード2312Bの別のセットを通して、およびSW1スイッチを通して、エネルギーリザーバ2410BをDC/ACコンバータ2130BのDC端子に接続することであった。ステップ4は、別の3相DC/ACコンバータ2130S(20kW)を構成に追加することであった。コンバータ2130Sは、設計されたMEUPTコントローラ2420Bの方向に従って動作させられた。ステップ5は、デカップリングダイオード2313Bの別のセットを通して、およびスイッチSW2を通して、DC/ACコンバータ2130Sをエネルギーリザーバ2410Bに接続することであった。ステップ6は、スイッチSW3を通して、コンバータ2130Sの出力端子を電力およびエネルギー測定機器セット2351Bおよび2361Bに接続することであった。参照される「デカップリングダイオードセット」は、当技術分野で「ブロッキングダイオード」と呼ばれるダイオードであってよいことに留意されたい。スイッチSW1、SW2、およびSW3は図1Bに示されるように追加され、したがって、関連デバイスが、以下で説明される設計された実験実行ステップにおいて適切なときに実験に導入(または、これから除去)可能であることにも留意されたい。
【0054】
[0071]上記の修正が行われた後の最初の晩。SW1はオンにされたが、スイッチSW2およびSW3はオフにされた。コンバータ2130Bおよび2230Bは、翌日の朝早くに動作し始めた。電力生産ユニット2100Bおよび2200Bの2つの出力を測定する電力計2351Bおよび2352Bは、同じ示度を示した。リザーバ2410Bも、リザーバ2410Bの高い端子電圧の測定によって示されるように充電し始める。システムは、第1日は終日、説明されたように動作した。2つの電力生産ユニット2100Bおよび2200Bから提供された測定されたエネルギーは、kW時計2361Bおよび2362Bの示度に示されるように、等しかった。この実験ステップは、追加されたデカップリングダイオードセット2311Bおよびリザーバ2410Bが、電力生産ユニット2100Bの電力およびエネルギーの生産量を変更しなかったことを示した。
【0055】
[0072]スイッチSW1、SW2、およびSW3は、第1の動作日の後の夜(第2の夜)にオンにされた。コンバータ2130Bおよび2230Bは、早朝(第2の日)に動作し始め、コンバータ2130Sは、コンバータ2130Bおよび2230Bが動作し始めた約15分後に、より低い電力変換レベルで動作し始めた。その後、コンバータ2130は、その変換電力レベルを約2分ごとに増加させた。これは、コントローラ設計およびリザーバエネルギーレベルの増分と一致する。電力計2351B(ユニット2100Bのための)の示度は、一日中、ほぼ日没まで、電力計2352B(ユニット2200Bのための)の示度の約2倍に達した。第2日の終了まで2つの電力生産ユニット2100Bおよび2200Bから提供されるエネルギーは、2つのkW時計の示度から得られた。結果は、修正された電力生産ユニット2100Bから提供されるエネルギーは、修正されていない電力生産ユニット2200Bから提供されるエネルギーの2倍よりも大きかったことを示した。続く6日間連続で、スイッチSW1、SW2およびSW3はオンのままであり、修正された電力生産ユニット2100Bから提供されるエネルギーは、一貫して毎日、電力生産ユニット2200Bのエネルギーの2倍よりも大きかった。
【0056】
[0073]次の晩、スイッチSW2およびSW3がオフにされた。電力生産ユニット2100Bおよび2200Bから提供される測定されるエネルギーは、スイッチSW2およびSW3がオフにされたままで、続く5日間連続で同じレベルに戻った。次の晩、スイッチSW2およびSW3は再びオンにされた。電力生産ユニット2100Bの測定されるエネルギー生産量は再び、スイッチSW2およびSW3がオンのままで、続く5日間連続で毎日、電力生産ユニット2200Bのエネルギー生産量の2倍よりも大きくなった。
【0057】
[0074]上記で説明されたように、この実験の段階的な実行は、参照される特許公報(US2016/0036232およびUS2017/0149250 A1)が予測したように、PV発電所内での参照される余剰エネルギーの存在を決定的に証明する。具体的には、PV発電所内で、生産されたDCエネルギーが3相DC/ACコンバータによって抽出されるとき、残ったエネルギーは依然として存在する。MEUPTオプティマイザは、この余剰エネルギーを捕捉および利用して、電力グリッドに提供される電気を増加させることができる。
【0058】
[0075]セクション9:設計されたMEUPTオプティマイザの構成
[0076]修正された発電ユニット2100B(上記で説明され、図2Bに示される)は、MEUPTオプティマイザを組み込んだPV発電ユニットの一例として働くことができる。この場合、MEUPTオプティマイザは、3つのデカップリングダイオードセット2311B、2312B、および2313Bと、リザーバ2140Bと、MEUPTコントローラ2320Bとを備える。以下では、デカップリングダイオードセットは「デカップリングデバイス」と呼ばれることに注意されたい。
【0059】
[0077]MEUPTオプティマイザモジュールの接続は、図2Bに示され、上記で説明されている。余剰エネルギーは、この実施形態では、エネルギーリザーバ2410Bによって受動的に抽出されることに留意されたい。別の電力抽出器は、3相DC/ACインバータ2130S内にモジュールとして含まれ、3相DC/ACインバータ2130Sは、リザーバ2410B内に貯蔵された余剰エネルギーを抽出する。コンバータ2130SのAC電力変換レベルは、エネルギーリザーバ2410Bへの電力充電が、エネルギーリザーバ2410Bから放電された電力とほぼバランスがとれているように、MEUPTコントローラ2320Bによって調節される。したがって、期間内にリザーバに充電される「正味」電力は、好きなだけ小さくすることができる。より小さい電力充電は、MEUPTコントローラ2320Bによるより厳密な制御を犠牲にして、より小さいエネルギーリザーバ2410Bを可能にする利益を有する。
【0060】
[0078]別の実施形態が図3に示されている。この実施形態は、500kW太陽光発電パネル3110を使用して太陽光電力をDC電力に変換する1つのAC電力生産ユニット3100のみを備えるMEUPTオプティマイザを組み込んだPV発電所3000の構成を示す。言い換えれば、AC電力生産ユニット3100は、DC発電機3110と、3相DC/AC(500kW)コンバータ3130とからなる。発電機3110は、80の並列接続された太陽電池ストリングを使用して、DC電気を生成する。80の太陽電池ストリングの各々は、25の並列接続された太陽光発電パネルからなる。各パネルは、空の晴れた正午に250WのDC電力生産能力を有するように公表される。このDC生成機3110は、500kW電気発電機(80*25*250W=500kW)と呼ばれ、このPV発電所は500kW PV発電所と呼ばれることに留意されたい。
【0061】
[0079]図3に示されるように、発電機3110は、デカップリングデバイス3311を通して3相DC/ACコンバータ3130(公表500kWをもつ)にDC電力を供給する。生成機3110は、デカップリングデバイス3312を通してエネルギーリザーバ3410にもDC電力を供給し、エネルギーリザーバ3410を充電するDCエネルギー源としてのサーバ。したがって、余剰エネルギーは、リザーバ3410によって受動的に抽出される。次いで、リザーバ3410は、デカップリングデバイス3313を通して別の3相DC/ACコンバータ3130S(公表500kWをもつ)にDC電力を供給(または放電)する。コンバータ3130はMPPTオプティマイザとして動作し、コンバータ3130SはMEUPTコントローラとして動作する。コンバータ3130および3130Sは、別々に供給されたDC電力を3相AC電力に変換し、同じトランス3500を介してグリッド3600に給電するために配送する。
【0062】
[0080]上記の説明において使用されるDC/ACコンバータは、2つのタイプ、すなわち、PV太陽電池ストリングから直接的にそのDC電力を受け取る1つのタイプと、エネルギーリザーバからそのDC電力を受け取るもう1つのタイプに分類可能であることに注意されたい。コンバータのタイプの区別が、本開示および以下の詳細な説明において必要であるとき、本明細書において、PV太陽電池ストリングからDC電力を受け取るタイプは、「PS DC/ACコンバータ」とも呼ばれ、エネルギーリザーバからDC電力を受け取る他方のタイプは、「ER DC/ACコンバータ」とも呼ばれる。その差異が、本開示において3相DC/ACコンバータを使用する場合に必要であるとき、コンバータはそれぞれ、本明細書において、分類され、「PS3相DC/ACコンバータ」および「ER3相DC/ACコンバータ」と呼ばれる。
【0063】
[0081]より広いレベルでの繰り返しになるが、図4に示される構成が示すように、このMEUPTオプティマイザは、定格されたx MW発電能力をもつ太陽光発電パネルストリングを適切に配置したx MW PV発電所に最適化サービスを提供する。生産されたDC電力は、製造業者公表y MW「PS3相DC/ACコンバータ」4130によって、デカップルデバイス4311を通して抽出される。残った電力は、別のデカップリングデバイス4312を通してエネルギーリザーバ4410に充電され、したがって、余剰エネルギーを抽出および貯蔵する。次いで、貯蔵された余剰エネルギーは、別のデカップリングデバイスを通して、別の製造業者公表z MW「ER3相DC/ACコンバータ」4130Sによって変換される。コンバータ4130のうちの1つはMPPTオプティマイザによって調節され、他のコンバータ4130SはMEUPTコントローラによって調節される。両方のコンバータは、適切な量のDC電力を3相AC電力に変換し、その3相AC電力を、同じトランス4500を介して電力グリッド4600に提供する。この構成では、x=y=z=0.5であることに注意されたい。
【0064】
[0082]図5は、大規模PV発電所内にMEUPTオプティマイザを組み込んだ別の実施形態を示した。発電所は、定格0.5MWの太陽光発電パネルストリング5110と、2つの公表500kW3相DC/ACコンバータ5130および5130Sとを装備する。この実施形態は、MEUPTオプティマイザのための別の構成を示す。PV発電所5000は、1つのAC電力生産ユニット(以下では「AC電力生産ユニット5100」とも呼ばれる)を備えると考えられ得る。AC電力生産ユニット5100は、定格500kW太陽光発電パネルからなるDC発電機5110と、2つの3相DC/AC(各々500kWと公表された)コンバータ5130および5130Sとからなる。発電機5110は、DC電気を生成する、80の並列接続された太陽電池ストリングを使用する。80の太陽電池ストリングの各々は、25の並列接続された太陽光発電パネルからなる。各太陽光発電パネルは、定格が、250WのDC電力生産能力を有するとされる。エネルギーリザーバ5410は、生成機5110からデカップリングデバイス5311を通してDC電力を受け取る。2つの3相DC/ACコンバータ5130および5130Sは、コンバータ5130のためのデカップリングデバイス5312とコンバータ5130Sのためのデカップリングデバイス5313とを含む2つの別個のデカップリングデバイスを通して、リザーバ5410からDC電力を受け取る。コンバータ5130および5130Sは、トランス5500を介して電力グリッド5600に提供するために適切な量の電力をリザーバ5410から取り出し、DC電力を3相AC電力に変換するように、MEUPTコントローラによって調節される。
【0065】
[0083]図5に示される構成についてより広く詳述するために、MEUPTオプティマイザは、x MW PV発電所に最適化サービスを提供する。このPV発電所は、合計定格DC発電能力x MWを有する太陽光発電パネルストリングをもつ1つのAC電力生産ユニットを有する。DC生成機は、デカップリングデバイスを通してエネルギーリザーバを充電する。エネルギーリザーバは、デカップリングデバイスの2つの別個のセットを通して、2つの3相DC/ACコンバータにDC電気を供給する。2つの「ER3相DC/ACコンバータ」の合計製造業者公表変換能力は、z+z=z MWである。2つのコンバータは、適切な量のDC電力を3相AC電力に変換するようにMEUPTコントローラによって調節される。2つのコンバータによって生産された電気は、同じトランスを介して電力グリッドに提供される。上記で説明された構成は、改正であり、図6に示されている。この構成では、x=0.5、y=0、z=1であることに注意されたい。
【0066】
[0084]本明細書は、ここで、図4および図6に示された2つの構成を比較する。図4に示される構成では、DC生成機は、製造業者公表y MWの能力をもつ「PS3相DC/ACコンバータ」にDC電力を供給し、残った電力をエネルギーリザーバに充電する。図4では、エネルギーリザーバは、製造業者公表z MWの能力をもつ「ER3相DC/ACコンバータ」にDC電力を供給する。図6に示された構成に「PS3相DC/ACコンバータ」がない(すなわち、y=0)と、生成されるDC電力は、デカップリングデバイスを通してエネルギーリザーバに充電し、エネルギーリザーバは、デカップリングデバイスの2つの別個のセットを通して2つの「ER3相DC/ACコンバータ」にDC電気を供給する。したがって、図3の構成ではx=y=z=0.5であり、図6の構成ではx=0.5、y=0、z=1である。図6のさらなる一実施形態では、エネルギーリザーバ6410はない。その代わりに、太陽電池ストリング6110は、デカップリングデバイス6311を介してコンバータ6130にDC電力を提供する。
【0067】
[0085]次に、MEUPTオプティマイザに関する唯一の残りの設計問題は、太陽電池ストリングの定格能力を表すパラメータとコンバータのパラメータとの最適電力合致関係を識別することである。具体的には、タスクは、最適状況においてx、y、およびzの値の間の関係を識別することである。注意として、和y+zの値は、セクション2において説明されるように、従来のPV発電所では値xより大きくない。
【0068】
[0086]値xは、PVストリングの定格DC電力生産能力のMW値に対して指定され、値yは、PVストリングによって供給されるDCエネルギーを変換する「PS3相DC/ACコンバータ」の製造業者公表能力の合計MW値に対して指定され、値zは、エネルギーリザーバによって供給されるDCエネルギーを変換する「ER3相DC/ACコンバータ」の製造業者公表能力の合計MW値に対して指定されることにも注意されたい。
【0069】
[0087]たとえば図6では、xは0.5、すなわち、0.5MW製造業者の公表合計PV能力に等しい。yは、「PS3相DC/ACコンバータ」が設置されていないことを意味する0に等しい。zは1に等しく、これは、2つの「ER3相DC/ACコンバータ」の1MW合計製造業者の公表能力が、エネルギーリザーバからDC電力を受け取り、DCエネルギーを3相AC電力に変換するために組み込まれることを意味する。y+zの値は、上記で説明された構成の両方においてx値の値の2倍より小さくないことに留意されたい。「能力」という用語は、デバイスの「電力定格」とも呼ばれ、別段に示されない限り、互換である。
【0070】
[0088]セクション10:最適電力合致関係。
[0089]異なる規律(業界)により、太陽光発電パネルのための電力定格の定義は、DC/ACコンバータの定義とは異なる。太陽光発電パネルの電力定格は、太陽光発電パネルが空の晴れた正午に生産可能である最大DC電力と定義される。太陽光発電パネル製造業界は、所定のタイプの照明ランプ(本明細書では「標準ランプ」と呼ばれる)を使用して、晴れた空をシミュレートする。正午は、太陽光ペナル表面を通って光束を垂直に照明することによってシミュレートされる。したがって、製造業者公表電力生産能力は、実際のDC生成機の能力に非常に近いことがある。発明者らによって実行された実験も、上記の記述を確認する。したがって、PV太陽電池ストリングの合計DC発電能力は、信用できると判定される。「製造業者公表能力」という肩書きは、太陽電池ストリングの電力定格について説明するとき、本明細書では省略される。一方、DC/ACコンバータ製造業界は、本明細書では「電力グリッド慣習」と呼ばれる、電力グリッド業界の慣習に従って、DC/ACコンバータの電力定格を定義する。DC/ACコンバータ能力のこの慣習および定義は、以下のように詳述される。
【0071】
[0090]AC電力グリッド業界は、構築された3相AC電力グリッドが、公表電力配送能力を満たすことができることを保証するために、慣習(電力グリッド慣習と呼ばれる)を施行する。3相AC電力グリッドは、電力線の各ペアにおいて電圧および電流の経時的に変化する正弦波関数を1つの位相として配送することができる3つまたは4つの電力線からなる。電力グリッド慣習は、規格で電力線が耐える「標準」最大電圧(「線間電圧」と呼ばれる)と公表される電圧を定義する。同様に、規格で公表される指定された最大電流は、電力線が運ぶ最大電流(「最大相電流」と呼ばれる)である。デバイスが、電力グリッド慣習に従うように製造されるとき、デバイスの規格で公表される電圧は、すべての関連構成要素が耐えるべきである最大電圧である。同様に、規格で公表される最大電流は、電力線の1つのペアに接続する、1つの位相のすべての関連構成要素のための最大通電能力である。デバイスの電圧および電流の経時的に変化する関数も、AC電力グリッド内の各位相の正弦波関数に従う必要がある。
【0072】
[0091]繰り返しになるが、3相DC/ACコンバータの指定された電圧は、3相電力の線間電圧と定義される。指定された最大電流は、各位相に対する電力線のペアの最大通電能力と定義される。指定された最大電力は、3つの位相が耐えることができる最大電力能力の総計と定義される。言い換えれば、電力グリッド慣習に従うとき、各位相の電力線および接続された電力デバイスは、指定された最大電力の3分の1(1/3)を送ることが可能であるべきであり、他の手段で言えば、3相DC/ACコンバータの「製造業者公表電力定格」は3*U*Iであり、ここで、Uは相電圧、Iは相電流である。電力線の各ペアは、U*I電力、すなわち「製造業者公表電力定格」の1/3を配送することが可能である。電力線のペアに接続する各モジュールも、電力グリッド慣習に従うとき、公表された指定された電力定格の1/3を運ぶまたは配送することが必要とされる。
【0073】
[0092]たとえば、「AC電圧=315VAC、最大電流=916アンペア、および最大電力出力=500kW」を指定する3相DC/ACコンバータを一例とする。「AC電圧=315VAC」という指定は、「このコンバータの出力線間電圧は315ボルトである」と読まれるべきである。または、3相のバランスがとれているとき、あらゆる位相の相電圧Uは、U=315/1.732=181.9ボルトである(ここで、1.732は、相電圧に対する線間電圧の比である、3の平方根である)。指定された「最大電流=916アンペア」は、各位相における電力線およびすべての構成要素が、I=916アンペアの通電能力を保証するように設計されると、読まれるべきである。指定される「最大電力出力=500kW」は、各DC/AC変換相のすべての構成要素の最大電力変換および配送能力=U*1=181.9*916=500/3KWであり、3つの変換相における関連モジュールの合計最大電力変換および配送能力は、各相の和すなわち3*U*I=3*181.9*916=500kWであり、これは、前の段落で述べられた電力グリッド慣習に従うとき、定義された「製造業者公表電力定格」=3*U*Iである、と理解されるべきである。
【0074】
[0093]3相DC/ACコンバータにおける3つの相は、120°の位相差を有するように厳密に相関される。言い換えれば、電力線の1つのペア(位相)は、U*I sin(ωt)という経時的に変化する電力を配送する。第2の位相は、U*I sin(ωt+120°)という経時的に変化する電力を配送し、第3の位相は、U*I sin(ωt-120°)という経時的に変化する電力を配送する。3つの位相の電力線の各ペアは、厳密な相関をもつ互いに関連する3つの振動ACパワートレインを配送する。電力変換容量P(t)は、定義された「製造業者公表電力定格」に等しくないことに留意されたい。電力変換容量P(t)は、時間の関数として表され、定義された3相AC電力制限に従って得られる。
【0075】
[0094]言い換えれば、DC/AC電力変換容量P(t)は、120°の厳密に相関された位相差をもち、sin(ωt)またはcos(ωt)という二乗正弦波振動に従う電力波形をもつ、3相の経時的に変化する電力出力の和から得られ、角周波数ωに一定であることを強制する電力グリッド(同じ位相および周波数)と同期される。
【0076】
[0095]次に、3相DC/ACコンバータの経時的に変化する電力変換容量P(t)を得る。時間の関数としての3相DC/ACコンバータの電力変換容量は、P(t)=U*I*(sin(ωt)+sin(ωt+120°)+sin(ωt-120°))である。上記で定義されたように、Uは相電圧、Iは相電流、ωは電力グリッドの一定の角周波数である。また、sin(ωt+120°)+sin(ωt-120°)=cos(ωt)+1/2であることが示され得る。したがって、時間の関数としての3相DC/ACコンバータの電力変換容量P(t)は、P(t)=U*I*(sin(ωt)+sin(ωt+120°)+sin(ωt-120°))=U*I*(sin(ωt)+cos(ωt)+1/2)=U*I*(1+1/2)=3/2(U*I)である。
【0077】
[0096]言い換えれば、3つの位相におけるこれらの厳密に相関された3つの脈動性パワートレインの総計は、一定である。言い換えれば、これらの3つのペアの電力線の総計電力配送は、一定である。すなわち、3つの位相に関連する3つのモジュールの総計は、一定である。しかしながら、この定数は、「宣言された電力能力」の半分(1/2)に等しいにすぎない。これは、電力グリッド慣習に従うときの電力変換容量と3相DC/ACコンバータの定義された「公表電力能力」との関係である。
【0078】
[0097]先に説明したように、3相DC/ACコンバータの「製造業者公表電力定格」、または参照された「製造業者公表電力能力」は、電力グリッド慣習に従うとき、3*U*Iであることを思い出されたい。これを、上記で得られた電力変換容量と比較すると、P(t)=3/2(U*I)である。得られた3相DC/ACコンバータのDC/AC電力変換容量は、「製造業者公表電力能力」の半分にすぎないことは、明らかである。
【0079】
[0098]一例として、上記で説明された3相DC/ACコンバータを再び取り上げる。この3相DC/ACコンバータは、「AC電圧=315VAC、最大相電流=916アンペア、および最大電力出力=500kW」を指定する。実際は、この3相DC/ACコンバータのDC/AC電力変換容量は250kWにすぎない。上記の結論を得るために、最初に、公表された最大電力すなわち500kWは、実際には3*U*Iに等しく、ここで、Uは、指定された線間電圧から得られる相電圧、Iは、公表された最大電流であることを確認し、このコンバータの電力変換容量は3/2*U*I=250kWに等しい。
【0080】
[0099]パラメータx、y、およびzに関する最適電力合致関係(定義されるように)は、(y+z)の値は2xの値より小さくないものとする。ここで、関連PV発電所は、x MW PV太陽電池ストリングから構成され、「PS3相DC/ACコンバータ」は、y MWの合計「製造業者公表電力能力」を有し、「ER3相DC/ACコンバータ」は、z MWの合計「製造業者公表電力能力」を有する。「PS3相DC/ACコンバータ」および「ER3相DC/ACコンバータ」は、1つもしくは複数のMPPTコントローラによって、または1つもしくは複数のMEUPTコントローラによって、のどちらかで動作可能である。MEUPT最適化を実施するために、MEUPTコントローラによってすべてのDC/ACコンバータを動作させることが好ましい。
【0081】
[00100]セクション11:要約
[00101]図7は、PV太陽光発電所7000の構成を抽象的に示す。発電所は、太陽電池ストリング7100内に配置された、全部でx MWの太陽光発電パネルを備える。太陽電池ストリング7100内で生成されるDC電力は、デカップリングデバイス7201を通して3相DC/ACコンバータ7301のグループにDC電力入力を提供し、デカップリングデバイス7202を通してリザーバ7400に余剰電力を充電する。エネルギーリザーバ7400は、デカップリングデバイス7203を通して3相DC/ACコンバータ7302のグループにDC電力入力を提供する。3相DC/ACコンバータ7301と7302の両方は、変換された3相AC電力を、トランス7500を通して電力グリッド7600に提供する。コンバータ7301の合計「製造業者公表能力」は、y MWである。コンバータ7302の合計「製造業者公表能力」は、z MWである。和(y+z)の値は、2xの値より小さくない。類似の構成を使用して、セクション2において説明された従来のPV発電所について説明するとき、(y+z)の値は、xの値より大きくないことを思い出されたい。したがって、(y+z)の値をもつ設計が、xよりも大きい、またはxの1.1倍よりもさらに良いとき、それは、余剰エネルギーのうちのいくらかが、電力グリッドに提供される電気エネルギーを増強するために捕捉可能であることを意味する。
【0082】
[00102]コンバータ7301および7302はすべて、上記で説明されたMEUPTコントローラによって動作可能である。いくつかの実施形態では、コンバータのうちのいくつかもしくは1つが、MEUPTコントローラによって動作され、または、コンバータのうちのいずれも、MEUPTコントローラによって動作されない。そのうえ、いくつかの実施形態では、デカップリングデバイス7201、7202、および7203のうちの1つまたはいくつかは、構成では省略可能である。PV太陽電池ストリング7100は、コンバータ7301にDC電力入力を提供する。したがって、PV太陽電池ストリング7100は、本明細書では、「PSコンバータ」と呼ばれる。エネルギーリザーバ7400は、コンバータ7302にDC電力入力を提供する。したがって、PV太陽電池ストリング7100は、本明細書では、「ERコンバータ」と呼ばれる。合計「製造業者公表電力定格」および合計「製造業者公表電力能力」という用語は、本明細書では、「公表電力」と省略されるものとする。
【0083】
[00103]図7に示される構成の説明を繰返すことになるが、PV発電所7000は、x MW太陽電池ストリング7100をDC発電機として備える。DC発電機7100は、デカップリングデバイス7201を通して、y MWの「公表電力」をもつ「PSコンバータ」7301に入力を提供し、別のデカップリングデバイス7202を通してリザーバ7400に残った電力を充電する。リザーバ7400は、デカップリングデバイス7203を通して、z MWの「公表された電力」をもつ「ERコンバータ」7302に入力を提供する。3相DC/ACコンバータ7301と7302はすべて、変換された3相AC電力を、トランス7500を通して電力グリッド7600に提供する。ある実施形態では、(y+z)の値は、2xの値より小さくない。しかしながら、(y+z)の値がxの値よりも大きいとき、設計は、電力グリッドへの電気エネルギー販売を増強するために部分的な利益を受け取ることができる。
【0084】
[00104]本明細書において説明される原理によるMEUPTオプティマイザは、1つまたは複数のAC電力生産ユニットを備える小規模なPV発電所または大規模なPV発電所に役立つことができる。そのうえ、適切に設計されたデカップリングデバイスを用いて、エネルギーリザーバからPV太陽電池ストリングを通してのエネルギー漏洩は、防止可能である。そのうえ、適切に設計されたデカップリングデバイスを用いて、発見された「相互電力消滅」現象が防止可能である。また、「PSコンバータ」のエネルギー抽出の後、余剰エネルギーのみを受け取るために、または抽出の前に生産されたDCエネルギーをすべて受け取るために使用可能である。最後に、MEUPTオプティマイザは、単相DC/ACコンバータを装備したPV発電所にサービスを提供することもできる。
【0085】
[00105]セクション12:MEUPTコントローラの設計制約
[00106]図8は、図2BのMEUPTコントローラ2320Bの一例を表すMEUPTコントローラ8000(「システムコントローラ」とも呼ばれる)を示す。MEUPTコントローラ8000は、3つの実行可能な構成要素、すなわち、検出構成要素8100、決定構成要素8200、および配送構成要素8300からなる。
【0086】
[00107]検出構成要素8100は、リザーバ8400内に貯蔵されたエネルギーレベルを測定する。リザーバの一例は、図2Bのリザーバ2410B、図3のエネルギーリザーバ3410、図4のエネルギーリザーバ4410、図5のエネルギーリザーバ5410、図6のエネルギーリザーバ6410、および図7のエネルギーリザーバ7410である。
【0087】
[00108]決定構成要素8200は、エネルギーリザーバ8400に提供され、これから放電される充電のバランスをおおよそとるために、適切な電力取り出しレベルを決定する。
【0088】
[00109]配送構成要素8300は、上記で決定された適切な電力取り出しレベルのコード化されたメッセージを余剰DC/ACコンバータ8500に配送する。コンバータは、コード化されたメッセージを解釈し、コード化されたメッセージに従い、したがって、コンバータは、充電(in-charging)エネルギーのバランスをおおよそとるように、指示された電力レベルで連続的に動作することができる。リザーバ8400から取り出すコンバータ8500の一例は、図2Bのコンバータ2130S、図3のコンバータ3130S、図4のコンバータ4130S、図5のコンバータ5130S、図6のコンバータ6130S、図3のコンバータ7302である。
【0089】
[00110]経済的に有益なMEUPTオプティマイザを得るために、MEUPTコントローラの設計は、以下のパラメータおよび変数、すなわち、(1)エネルギーリザーバ8400の容量、(2)DC/ACコンバータ8500の逓増/逓減速度、(3)太陽電池ストリングのI-V特性、(4)PV電力プラントの場所の天候、および(5)余剰DC/ACコンバータとともに動作するMEUPTコントローラが、エネルギーリザーバに提供される充電の量とエネルギーリザーバから取り出される充電の量との差(またはバランス)を最小にすることができること、を考慮に入れる。簡単な設計は、これらのパラメータおよび変数を考慮に入れたあらゆるPV発電所のためのカスタム設計されたコントローラを適用するときのみ、導き出され得る。
【0090】
[00111]セクション13:MEUPTコントローラ設計
[00112]MEUPTコントローラを使用することができるあらゆる1つのPV発電所のためのMEUPTコントローラをカスタム設計することは実際的でない。一方、特にカスタム設計コントローラが可能でないとき、必要とされるMEUPTコントローラのための簡単な設計を追求することは非常に困難である。しかしながら、エネルギーリザーバの端子電圧は、5つのパラメータおよび変数の各々によって影響される尺度とみなされ得る。したがって、上記の5つの設計制約は、MEUPTエネルギーリザーバの端子電圧が決定パラメータとして選定されるとき、2つの部分になることができる。
【0091】
[00113]測定された端子電圧をサイト固有の「標準電圧間隔」のセットと比較するとき、システムによって現在実行されている電力抽出および変換レベルは、電力抽出レベルが(1)低すぎる、(2)高すぎる、または(3)適していると量子化可能であることが、発明者に明らかになった。したがって、MEUPTコントローラ設計タスクは、1)通常の産業用コントローラと、2)カスタムで構築されたサイト固有の「標準電圧間隔」テーブル(本明細書では「電圧間隔テーブル」と呼ばれる)に分離することができる。
【0092】
[00114]サイト固有の電圧間隔テーブルがPV発電所に対して構築されると、電圧間隔テーブルは、必要とされるMEUPTコントローラ機能を達成するために産業用コントローラと協調して働くことができる。次いで、産業用コントローラは、図8にも示されるように、検出構成要素、決定構成要素、および配送構成要素からなる。しかしながら、この場合、検出構成要素8100は、エネルギーリザーバ8400の端子電圧を測定する。決定構成要素8200は、測定された電圧を電圧間隔テーブルと比較し、充電エネルギーのバランスをおおよそとるように適切な電力取り出し量を決定する。配送構成要素8300は、上記で決定された適切な電力取り出しレベルのコード化されたメッセージを余剰DC/ACコンバータ8500に再び配送し、したがって、コンバータは、エネルギーリザーバ8400の到来電荷と送出電荷のバランスをおおよそとるように、指示された電力レベルで連続的に動作することができる。
【0093】
[00115]一実施形態では、MEUPTコントローラ8000の検出構成要素8100は、余剰エネルギーリザーバ8400の端子電圧をリアルタイムで測定する。たとえそうでも、決定構成要素8200は依然として、指定された時間間隔比較ごとに、(測定された電圧と電圧インタフェーステーブルの)比較を実行することがある。この比較は、以下の3つの状況のうちの1つになることがある。
【0094】
(1)測定された電圧と電圧間隔テーブルの比較が、電力レベルが低すぎることを示す場合、コントローラ8000は、次の指定された時間間隔の間に、3相DC/ACコンバータ8500が、電力抽出および変換の1つのレベル増加することを(配送構成要素8300を通して)要求することができる。
【0095】
(2)測定された電圧と電圧間隔テーブルの比較が、電力レベルが高すぎることを示す場合、コントローラ8000は、次の指定された時間間隔の間に、3相DC/ACコンバータ8500が、電力抽出および変換の1つのレベル減少することを(配送構成要素8300を通して)要求することができる。
【0096】
(3)測定された電圧と電圧間隔テーブルの比較が、電力レベルが適していることを示す場合、コントローラ8000は、少なくとも比較の次回の発生まで、次の指定された時間間隔の間に、3相DC/ACコンバータ8500が、同じ電力抽出レベルに留まることを要求することができる。
【0097】
[00116]DC/ACコンバータの電力抽出/変換調整レベルが十分に小さいとき、上記の設計は、すべての種類のエネルギーリザーバ容量に対して、すべての種類のDC/ACコンバータの逓増/逓減速度に対して、すべての種類の太陽電池ストリングのI-V特性に対して、PVサイトのすべての天候に対して、機能することができる。したがって、コントローラが、エネルギーリザーバから電力を取り出す3相DC/ACコンバータに対する小さい調整ステップを指示することができることは重要である。
【0098】
[00117]一般的な従来の集中型3相DC/ACコンバータは、指示されたとき、非常に小さい調整ステップで動作することができる。しかしながら、当技術分野で「ドライ接続ボックス」と呼ばれる(本明細書でもそう呼ばれる)、装備された通信チャネルは、一般的には、光メッセージを介した6ビット通信チャネルのみを有する。ドライ接続ボックスを通して7つ以上の電力抽出レベルを命令するために、符号化-復号技法が用いられる。この技法は、電力抽出レベルを命令するために最大2=64のメッセージを通過させることを可能にする。最大64の調整電力抽出レベルを用いて、リザーバの到来エネルギーおよび送出エネルギーにおける、必要とされる、ゼロに近い正味バランスが、技術的に達成可能である。
【0099】
[00118]セクション14:MEUPTオプティマイザを組み込んだPV発電所
[00119]図9に示されるように、MEUPTコントローラ9210を含むMEUPTオプティマイザ9200を組み込んだPV発電所9000。MEUPTコントローラ9200は、3つの実行可能な構成要素、すなわち、余剰エネルギーリザーバ9400の端子電圧を測定する検出構成要素9211と、測定された電圧をPVステーションの電圧間隔テーブルと比較する決定構成要素9212と、起動する、低下する、または同じままであるように配送構成要素4213を介して3相DC/ACコンバータ4502に通知する配送構成要素9213とを備える。図9の構成要素9211、9212、および9213はそれぞれ、図8の構成要素8100、8200、および8300の例である。図9のエネルギーリザーバ9400は、図8のエネルギーリザーバ8400の一例である。コンバータ9502は、図8のコンバータ8500の例である。
【0100】
[00120]PV発電所9000はまた、PV太陽電池ストリング9100からなる。太陽電池ストリング9100は、太陽エネルギーを電気に変換し、生成されたDC電力を、デカップリングデバイス9320を通して余剰エネルギーリザーバ9400に配送する。3相DC/ACコンバータ9502は、デカップリングデバイス9330を通して余剰エネルギーリザーバ9400から入力されたDC電力を受け取る。図9の太陽電池ストリング9100は、まとめて、エネルギーリザーバを充電するためのDCエネルギー源であり、図2Bの太陽電池ストリング2111Aおよび2111B、図3の太陽電池ストリング3110、図4の太陽電池ストリング4110、図5の太陽電池ストリング5110、図6の太陽電池ストリング6110、ならびに図7の太陽電池ストリング7110の例である。図9のデカップリングデバイス9320は、図2Bのデカップリングデバイス2312B、図3のデカップリングデバイス3312、図4のデカップリングデバイス4312、図5のデカップリングデバイス5311、図6のデカップリングデバイス6311、および図7のデカップリングデバイス7202の一例である。図9のデカップリングデバイス9330は、図2Bのデカップリングデバイス2313B、図3のデカップリングデバイス3313、図4のデカップリングデバイス4313、図5のデカップリングデバイス5313、図6のデカップリングデバイス6313、および図7のデカップリングデバイス7203の一例である。
【0101】
[00121]上記で述べられたように、MEUPTコントローラ9210は、太陽電池ストリング9100からの入力エネルギー充電のバランスをとるためにエネルギーリザーバ9400から適切な量のエネルギーを取り出すように、3相DC/ACコンバータ9502に指示する。これは、ゼロに近いエネルギーの、リザーバ9400への充電または取り出しという結果になる。したがって、小さいエネルギーリザーバ9400がPVステーションに適する。DC/ACコンバータからの変換されたAC電力は、トランス9600を通して接続電力グリッド9700に提供される。
【0102】
[00122]本明細書で使用されるとき、「実行可能な構成要素」という用語は、図8および図9を参照しながら使用される。「実行可能な構成要素」という用語は、コンピューティングの分野における当業者にはソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせであってよい構造であると十分理解される構造のための名称である。たとえば、ソフトウェアにおいて実施されるとき、当業者は、実行可能な構成要素の構造は、そのような実行可能な構成要素がコンピューティングシステムのヒープ内に存在しようと、実行可能な構成要素がコンピュータ可読記憶媒体上に存在しようと、コンピューティングシステム上で実行され得る、ソフトウェアオブジェクト、ルーチン、メソッドを含んでよいことを理解するであろう。
【0103】
[00123]そのような場合、当業者は、コンピューティングシステムの1つまたは複数のプロセッサによって(たとえば、プロセッサスレッドによって)解釈されるとき、コンピューティングシステムが機能を実行させられるように、実行可能な構成要素の構造がコンピュータ可読媒体上に存在することを認識するであろう。そのような構造は、プロセッサによって直接的にコンピュータ可読であってよい(実行可能な構成要素がバイナリであった場合と同様に)。あるいは、構造は、プロセッサによって直接的に解釈可能であるそのようなバイナリを生成するように(単一の段階においてであろうと、複数の段階においてであろうと)解釈可能であるおよび/またはコンパイルされるように構造化されてよい。実行可能な構成要素の例示的な構造のそのような理解は、「実行可能な構成要素」という用語を使用するとき、十分にコンピューティングの当業者の理解の範囲内である。
【0104】
[00124]「実行可能な構成要素」という用語はまた、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の任意の特殊回路内などの、ファームウェアまたはハードウェア内でもっばらまたはほぼもっぱら実施される構造を含むと、当業者によって十分に理解される。したがって、「実行可能な構成要素」という用語は、ソフトウェア内で実施されようと、ハードウェア内で実施されようと、組み合わせで実施されようと、コンピューティングの当業者によって十分理解される構造のための用語である。
【0105】
[00125]本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態において実施され得る。説明した実施形態は、あらゆる点で例示にすぎず、限定するものではないとみなすべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と等価な意味および範囲に含まれるすべての変更は本発明の範囲に包含される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9