(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】車載カメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20240326BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20240326BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240326BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N23/50
B60R1/00
G03B15/00 V
G03B17/02
(21)【出願番号】P 2020555628
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2019043876
(87)【国際公開番号】W WO2020100740
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018214503
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】時任 俊裕
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159694(JP,A)
【文献】国際公開第2017/125971(WO,A1)
【文献】特開2015-075642(JP,A)
【文献】特開2008-242446(JP,A)
【文献】特開2017-118445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G03B 15/00
G03B 17/02
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子を有する撮像素子基板と、
第1実装面と、前記第1実装面とは反対の第2実装面と、前記第1実装面に設けられた第2端子
と、を有
し、前記撮像素子基板が前記第1実装面上に配置されたメイン基板と、
前記第1端子に接続される第1接続部と、前記第2端子に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に位置し、展開状態において相互に交差する第1及び第2屈曲軸に沿って屈曲する第1及び第2屈曲部と、を有するフレキシブル基板と、
前記第2実装面に設けられたセンシングICと、
前記第1実装面における前記センシングICと対向する領域に設けられた部品群と、
前記第1実装面に設けられた電源部と、
を具備
し、
前記第1実装面上では、中央領域に前記撮像素子基板が位置し、前記部品群が前記撮像素子基板の前方の領域に位置し、前記電源部が前記撮像素子基板の後方の領域に位置し、前記第2端子が前記撮像素子基板と前記電源部との間に位置し、
前記第1及び第2屈曲軸の間に成す角度と、前記メイン基板と前記撮像素子基板との間に成す角度と、が等しい
車載カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記フレキシブル基板は、前記第1屈曲部が設けられた第1延在部と、前記第2屈曲部が設けられた第2延在部と、を更に有し、
前記フレキシブル基板の前記展開状態において、前記第1延在部が前記第1屈曲軸と直交する方向に延び、前記第2延在部が前記第2屈曲軸と直交する方向に延びる
車載カメラ。
【請求項3】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記フレキシブル基板の前記展開状態において、前記第1屈曲軸と前記第2屈曲軸とが相互に直交する
車載カメラ。
【請求項4】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記撮像素子基板の厚さ方向に延びる光軸を有する光学ユニットを更に具備する
車載カメラ。
【請求項5】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記撮像素子基板は、水晶発振器を更に有し、
前記フレキシブル基板は、前記水晶発振器上を通らない
車載カメラ。
【請求項6】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記第1及び第2屈曲軸の間に成す角度と、前記メイン基板と前記撮像素子基板との間に成す角度と、がウインドシールドの角度に基づいて設定される
車載カメラ。
【請求項7】
請求項5に記載の車載カメラであって、
前記第1端子及び前記水晶発振器が前記撮像素子基板の後方を向いた第3実装面に設けられ、
前記水晶発振器は、前記第1端子に対し、前記第1端子に接続された前記第1接続部から前記フレキシブル基板が延びる方向とは反対側に配置されている
車載カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、移動体の外部環境を撮像可能な車載カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の駆動制御のためにフロントカメラを利用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフロントカメラでは、撮像素子基板が撮像素子を前方に向けた状態でレンズの後方に配置される。これにより、このフロントカメラでは、前方の外部環境からレンズに入射する光を撮像素子に入射させることができる。
【0003】
このフロントカメラは、駆動制御を統括するメイン基板を有する。メイン基板は、レンズ及び撮像素子基板の下方に、水平方向に延びている。撮像素子基板は、上下方向に延びるフレキシブル基板によってメイン基板に接続されている。これにより、このフロントカメラでは、撮像素子基板とメイン基板との間での信号の送受が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、フレキシブル基板は、厚さ方向に柔軟性を持つものの、厚さ方向と直交する面内方向には柔軟性を持たない。このため、上記のようなフロントカメラのフレキシブル基板では、前後方向に加わる応力は吸収するものの、左右方向に加わる負荷応力は吸収できずに、撮像素子基板及びメイン基板に対する接続部に負荷が加わる。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、メイン基板と撮像素子基板とを接続するフレキシブル基板に加わる応力を良好に吸収可能な車載カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る車載カメラは、撮像素子基板と、メイン基板と、フレキシブル基板と、を具備する。
上記撮像素子基板は、第1端子を有する。
上記メイン基板は、第2端子を有する。
上記フレキシブル基板は、上記第1端子に接続される第1接続部と、上記第2端子に接続される第2接続部と、上記第1接続部と上記第2接続部との間に位置し、展開状態において相互に交差する第1及び第2屈曲軸に沿って屈曲する第1及び第2屈曲部と、を有する。
【0008】
この構成では、フレキシブル基板に加わる応力を第1及び第2屈曲部によって吸収することができる。特に、第1及び第2屈曲部は、相互に交差する第1及び第2屈曲軸に沿って屈曲する構成により、フレキシブル基板に加わる任意の方向の応力を吸収可能である。このようなフレキシブル基板を有する車載カメラでは、高い信頼性が得られる。
【0009】
上記フレキシブル基板は、上記第1屈曲部が設けられた第1延在部と、上記第2屈曲部が設けられた第2延在部と、を更に有してもよい。上記フレキシブル基板の上記展開状態において、上記第1延在部が上記第1屈曲軸と直交する方向に延び、上記第2延在部が上記第2屈曲軸と直交する方向に延びていてもよい。
上記フレキシブル基板の上記展開状態において、上記第1屈曲軸と上記第2屈曲軸とが相互に直交してもよい。
上記車載カメラは、上記撮像素子基板の厚さ方向に延びる光軸を有する光学ユニットを更に具備してもよい。
上記撮像素子基板は、水晶発振器を更に有してもよい。上記フレキシブル基板は、上記水晶発振器上を通らなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本技術の一実施形態に係る車載カメラが搭載された自動車の斜視図である。
【
図3】上記車載カメラを装着可能なブラケットの斜視図である。
【
図6】上記車載カメラのメイン基板の斜視図である。
【
図8】上記車載カメラのメイン基板及び撮像部をフレームに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図8に示すフレームに押圧部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】上記車載カメラのボトムケースの斜視図である。
【
図12】
図10に示すフレームにボトムケースを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図13】上記車載カメラのシールドプレートの斜視図である。
【
図14】
図12に示すフレームにシールドプレートを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図15】上記車載カメラのフロントケースの斜視図である。
【
図16】上記撮像部のフレキシブル基板の展開図である。
【
図18】上記メイン基板及び上記撮像部の斜視図である。
【
図19】上記メイン基板及び上記撮像部の平面図である。
【
図20】上記メイン基板及び上記撮像部の底面図である。
【
図21】上記実施形態の変形例に係るフレキシブル基板の展開図である。
【
図22】上記変形例に係るフレキシブル基板の斜視図である。
【
図23】上記フレームの
図5のA-A'線に沿った断面図である。
【
図24】上記車載カメラの第1キャップ部材の分解斜視図である。
【
図25】
図23に示すフレームに第1キャップ部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図26】上記第1キャップ部材の製造過程を示す断面図である。
【
図27】上記車載カメラの第2及び第3キャップ部材の分解斜視図である。
【
図28】
図25に示すフレームに第2及び第3キャップ部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図29】本技術の一実施形態に係る駆動制御システムにおける運転補助機能を実現可能な構成を示すブロック図である。
【
図30】上記駆動制御システムによる駆動制御方法を示すフローチャートである。
【
図31】上記駆動制御システムの算出処理部による先行車両との車間距離の算出方法の一例を説明するための図である。
【
図32】上記駆動制御システムにおける自動運転機能を実現可能な構成を示すブロック図である。
【
図33】上記駆動制御システムによる駆動制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の一実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
【0012】
[車載カメラ1の全体構成]
図1は、本技術の一実施形態に係る車載カメラ1を搭載した自動車Mの斜視図である。自動車Mは、透明なガラス窓として、前方に配置されたウインドシールド(フロントウインドウ)M01と、後方に配置されたリアウインドウM02と、両側方に配置されたサイドウインドウM03と、を有する。
【0013】
車載カメラ1は、ウインドシールドM01の内面に設置されたフロントセンシングカメラである。車載カメラ1は、ウインドシールドM01の幅方向中央領域の上側に配置されている。これにより、車載カメラ1は、運転者の視界を遮ることなく、自動車Mの前方の風景を良好に撮像することができる。
【0014】
車載カメラ1が搭載される自動車Mは、走行機能を実現するために、その内部に、エンジンやモータなどを含む駆動力発生機構M11、制動機構M12、ステアリング機構M13などを備える。また、自動車Mは、周囲の情報を検出するための周囲情報検出部や、位置情報を生成するための測位部などを備えていてもよい。
【0015】
図2は、ウインドシールドM01に取り付ける前の車載カメラ1の斜視図である。車載カメラ1は、フロントケース11及びボトムケース12を有する。フロントケース11は、ボトムケース12のZ軸方向上側を覆うカバー部材として構成される。また、車載カメラ1は、レンズRを保持する光学ユニット141を含む撮像部14を有する。
【0016】
フロントケース11は、X-Y平面に沿って延びる平坦部111と、X軸方向後方に配置され、平坦部111からZ軸方向上方に突出する箱状の収容部112と、を有する。収容部112は、主にその内部に形成された空間に、撮像部14などの車載カメラ1の各構成を収容している。
【0017】
収容部112には、X軸方向前方を向いた正面のY軸方向中央部に、X軸方向に貫通するレンズ孔113が形成されている。レンズ孔113には、撮像部14の光学ユニット141が収容部112の内側から挿通されている。これにより、車載カメラ1では、光学ユニット141のレンズRがX軸方向前方に向けて外部空間に露出される。
【0018】
また、収容部112には、Y軸方向を向いた両側面にそれぞれ、Y軸方向外向きに突出する突出部114が設けられている。また、平坦部111のX軸方向前縁部のY軸方向中央部には、X軸方向前方に延出する延出片115が設けられている。突出部114及び延出片115は、車載カメラ1の設置のために用いられる。
【0019】
図3は、車載カメラ1を自動車MのウインドシールドM01の内面に設置するためのブラケット2の斜視図である。ブラケット2は、ウインドシールドM01の内面に固定されている。ブラケット2は、突出部114と係合可能な係合孔2aと、延出片115と係合可能なV字型の係合孔2bと、を有する。
【0020】
車載カメラ1は、フロントケース11をウインドシールドM01側に向けた状態で、
図3にブロック矢印で示す方向にブラケット2に挿入される。そして、車載カメラ1は、延出片115が係合孔2bに挿入され、突出部114が係合孔2aに内側から嵌め込まれることにより、ブラケット2に固定される。
【0021】
このように、車載カメラ1は、ウインドシールドM01の内面に沿って、水平方向前方に向けて鉛直方向下方に傾くように設置される。これにより、車載カメラ1のウインドシールドM01からの突出量を小さく抑えることができるため、運転者のより広い視野の確保、及び車内の空間の有効利用などの観点から有利となる。
【0022】
[車載カメラ1の各部の構成]
図4は、車載カメラ1の分解斜視図である。車載カメラ1は、フレーム20と、メイン基板13と、押圧部材15と、シールドプレート16と、を更に有する。フレーム20は、車載カメラ1の骨格を成し、フロントケース11、ボトムケース12、メイン基板13、撮像部14、押圧部材15、及びシールドプレート16を保持する。
【0023】
図5は、フレーム20の斜視図である。フレーム20は、板金加工品であることが好ましく、例えば、ステンレスなどの金属の薄板材に塑性加工を加えることによって形成される。フレーム20は、X-Y平面に沿って延びる平坦部21と、フロントケース11の収容部112内で平坦部21からZ軸方向上方に隆起する隆起部22と、を有する。
【0024】
隆起部22は、前壁部23と、後壁部24と、上壁部25と、を有する。前壁部23及び後壁部24は、それぞれY-Z平面に沿って延びる平板状であり、相互にX軸方向に対向する。上壁部25は、X-Y平面に沿って延びる平板状であり、前壁部23及び後壁部24のZ軸方向上端部を相互に接続する。
【0025】
前壁部23には、Y軸方向中央部に、X軸方向に貫通するレンズ孔231が形成されている。レンズ孔231は、フロントケース11のレンズ孔113のX軸方向後方に隣接して配置される。フレーム20のレンズ孔231及びフロントケース11のレンズ孔113には、撮像部14の光学ユニット141が挿通される。
【0026】
また、前壁部23には、レンズ孔231に隣接する位置に、X軸方向に貫通する貫通孔部232が形成されている。更に、前壁部23には、Y軸方向両端部にそれぞれ、X軸方向に貫通する一対の貫通孔部233が形成されている。貫通孔部233は、撮像部14及びフロントケース11を固定するために用いられる。
【0027】
上壁部25には、中央領域に、Z軸方向に貫通する開口部251が形成されている。開口部251は、上壁部25のZ軸方向上方から隆起部22内の空間にアクセス可能なように広く開口している。開口部251には押圧部材15が嵌め込まれるため、開口部251の縁部は押圧部材15に対応した形状に形成される。
【0028】
また、フレーム20には、車載カメラ1の各部を固定するためのネジ孔部211,212,241,252が形成されている。ネジ孔部211,212は、平坦部21とつながっているX軸方向前方及び後方の領域に設けられ、Z軸方向に貫通している。ネジ孔部241は、後壁部24に設けられ、X軸方向に貫通している。ネジ孔部252は、上壁部25に設けられ、Z軸方向に貫通している。
【0029】
より詳細に、ネジ孔部211は、平坦部21のX軸方向前方の領域のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、メイン基板13及びボトムケース12を固定するために用いられる。ネジ孔部212は、平坦部21のX軸方向後方の領域のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、メイン基板13を固定するために用いられる。
【0030】
ネジ孔部241は、後壁部24のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、ボトムケース12を固定するために用いられる。ネジ孔部252は、上壁部25のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、シールドプレート16を固定するために用いられる。各ネジ孔部211,212,241,252は、使用するネジ部材Sに応じた雌ネジ形状に形成される。
【0031】
各ネジ孔部211,212,241,252への各部材の固定のために使用するネジ部材Sは、それぞれ任意に決定可能である。典型的には、ネジ部材Sは、頭部に形成された溝に係合させたドライバを回転させることによって各ネジ孔部211,212,241,252にねじ込むことで締結可能に構成された雄ネジである。
【0032】
また、フレーム20には、平坦部21のY軸方向両縁部からZ軸方向下方に屈曲する側板26が形成されている。側板26は、X-Z平面に沿って延び、X軸方向に細長い平板状である。側板26は、後述のボトムケース12の側板123との間にシールドプレート16を挟持するために用いられる。
【0033】
図6は、メイン基板13の斜視図である。メイン基板13は、X-Y平面に沿って延びる平板状の基材131を有する。基材131としては、各種セラミック基板や各種プラスチック基板などを利用可能である。基材131のZ軸方向上方を向いた実装面には、後述の撮像部14の撮像素子基板142に接続される端子132が設けられている。
【0034】
また、基材131の実装面には、MCU(Micro Controller Unit)133と、電源部136と、が設けられている。更に、基材131の実装面(Z軸方向両面)には、上記の構成以外にも、車載カメラ1の各種機能の実現に必要な電子部品が実装される。このような電子部品としては、例えば、各種のICやメモリやドライバなどが挙げられる。
【0035】
基材131には、Z軸方向に貫通する貫通孔部134,135が形成されている。貫通孔部134は、X軸方向前端部のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、フレーム20のネジ孔部211に固定される。貫通孔部135は、X軸方向後端部のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、フレーム20のネジ孔部212に固定される。
【0036】
図7は、撮像部14の斜視図である。撮像部14は、ホルダ30と、光学ユニット141と、撮像素子基板142と、フレキシブル基板50と、を有する。ホルダ30は、光学ユニット141と、撮像素子基板142と、を保持する。フレキシブル基板50は、撮像素子基板142に接続されている。
【0037】
光学ユニット141は、光軸を共通とするレンズRなどの光学部品を含み、光軸方向に沿って延びる円柱状である。ホルダ30は、光学ユニット141を保持する保持部31を有する。保持部31は、Y軸方向中央部に位置し、光学ユニット141の後端部の外周面を全周にわたって隙間なく保持する略円形の開口部として構成される。
【0038】
また、ホルダ30は、一対の柱状部32と、一対のネジ孔部33と、を有する。柱状部32は、ホルダ30のX軸方向前方を向いた正面のY軸方向両端部にそれぞれ設けられ、X軸方向前方に突出する円柱状に形成される。ネジ孔部33は、各柱状部32のX軸方向前方を向いた先端部から後方に向けて形成されている。
【0039】
更に、ホルダ30は、一対の規制面34を有する。規制面34は、各柱状部32のX軸方向後端部の周囲にそれぞれ延びる。各規制面34は、共通の平面上に位置する。加えて、ホルダ30は、正面側からZ軸方向後方に向けて形成されたネジ孔部35を更に有する。ネジ孔部35は、フレーム20の貫通孔部232に仮固定される。
【0040】
ホルダ30の柱状部32及び規制面34は、フレーム20に対する撮像部14及びフロントケース11の位置決めに用いられる。したがって、ホルダ30は、撮像部14及びフロントケース11の正確な位置決めのために、正確な形状に形成される必要がある。このため、ホルダ30としては、アルミニウムなどの金属のダイカスト品を用いることが好ましい。この場合、ホルダ30の規制面34としては、金属ダイカストの切削面を利用することが好ましい。また、ホルダ30としては、精度の高い樹脂成型品を使用することもできる。
【0041】
撮像素子基板142は、光学ユニット141の光軸と直交する平面に沿った平板状であり、ホルダ30の背面に配置されている。撮像素子基板142には、X軸方向前方を向いた実装面に撮像素子が実装されている。これにより、車載カメラ1の前方の外部環境から光学ユニット141に入射する光を撮像素子に入射させることができる。
【0042】
撮像素子基板142に実装される撮像素子は、特定の種類に限定されない。撮像素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを用いることができる。撮像素子基板142の基材としては、各種セラミック基板や各種プラスチック基板などを利用可能である。
【0043】
なお、本技術の車載カメラ1の構成は、撮像素子が縦4.32mm、横8.64mmのサイズ(1/1.7型)で数Mピクセル以上(特に、7Mピクセル以上)の画素数を有し、かつ光学ユニット141の焦点位置ずれの許容範囲が数μm(例えば、±3μm)以内である場合に特に好適である。また、本技術の車載カメラ1の構成は、撮像素子が1/1.7型で画素数が7Mピクセルの構成よりも画素の密度が高く、かつ光学ユニット141の焦点位置ずれの許容範囲が数μm(例えば、±3μm)以内である場合にも特に好適である。
【0044】
また、撮像素子基板142には、撮像素子以外にも、撮像部14の機能の実現に必要な他の各種部品を実装することができる。例えば、撮像素子基板142には、画像処理などを実行可能な処理部などを実装することができる。フレキシブル基板50は、撮像素子基板142とメイン基板13の端子132とを接続する。
【0045】
図8は、フレーム20にメイン基板13及び撮像部14を取り付けた状態を示す斜視図である。撮像部14は、フレーム20の前壁部23に、X軸方向後方から取り付けられる。その際、光学ユニット141がレンズ孔231にX軸方向前方に挿通され、柱状部32が貫通孔部233にX軸方向前方に挿通される。
【0046】
撮像部14は、フレーム20の貫通孔部232にX軸方向前方から挿入されたネジ部材Sをホルダ30のネジ孔部35に締結することにより、フレーム20に仮固定される。なお、完成品の車載カメラ1では、撮像部14のフレーム20への仮固定用のネジ部材Sは必要なくなるが、製造プロセスの便宜上、残しておいて差し支えない。
【0047】
メイン基板13は、貫通孔部135にZ軸方向下方から挿入されたネジ部材Sをフレーム20のネジ孔部212に締結することにより、フレーム20に固定される。なお、メイン基板13の貫通孔部134は、後の工程でフレーム20のネジ孔部211にネジ留めされるため、この段階ではフレーム20に固定されない。
【0048】
撮像部14のフレキシブル基板50は、
図8に示す状態において、メイン基板13の端子132に接続される。フレキシブル基板50には、Z軸方向上方からフレーム20の開口部251を介してアクセス可能である。更に、車載カメラ1では、フレキシブル基板50をメイン基板13上に固定するために押圧部材15を用いる。
【0049】
図9は、押圧部材15の斜視図である。押圧部材15は、例えば、樹脂材料などによって形成される。押圧部材15は、Z軸方向下方を向いた押圧部151aと、X軸方向前方を向いた押圧部151bと、を有する。押圧部151a,151bには、クッション材Eが取り付けられている。押圧部材15は、押圧部151aによってフレキシブル基板50の一方の接続端子部をメイン基板13に押し付け、押圧部151bによってフレキシブル基板50の他方の接続端子部を撮像素子基板142に押し付ける。これにより、フレキシブル基板50がメイン基板13及び撮像素子基板142に固定される。
【0050】
押圧部材15は、Z軸方向上部に設けられた係合板152及び係合片153を有する。係合板152は、X-Y平面に沿って延び、X軸方向に細長い平板状である。係合片153は、Y軸方向両端部にそれぞれ設けられている。各係合片153は、Z軸方向に間隔をあけて設けられ、Y軸方向外側に向けて突出する一対の突出片で構成される。
【0051】
図10は、
図8に示すフレーム20に押圧部材15が取り付けられた状態を示す斜視図である。係合板152は、Z軸方向上側から開口部251の縁部に係合し、開口部251上をX軸方向に架け渡されている。係合片153は、開口部251に嵌め込まれ、つまり開口部251の縁部を一対の突出片でZ軸方向上下から挟み込んでいる。
【0052】
これにより、押圧部材15は、フレーム20に固定される。押圧部材15は、この状態において、押圧部151a,152bがフレキシブル基板50の各接続端子部を適切に押圧するように構成されている。これにより、車載カメラ1では、フレキシブル基板50による撮像素子基板142とメイン基板13との接続をより確実に保持することができる。
【0053】
図11は、ボトムケース12の斜視図である。ボトムケース12は、例えば、アルミニウムなどの金属の薄板材に塑性加工を加えることによって形成される。ボトムケース12は、車載カメラ1の底面を構成する底板121と、底板121の縁部から屈曲する背板122及び側板123と、を有する。
【0054】
底板121は、X-Y平面に沿って延びる平板状である。背板122は、Y-Z平面に沿って延びる平板状であり、底板121のX軸方向後端部からZ軸方向上方に延びる。側板123は、X-Z平面に沿って延びる平板状であり、底板121のY軸方向両端部からそれぞれZ軸方向上方に延びる。
【0055】
底板121には、X軸方向前端部のY軸方向両端部にそれぞれ、Z軸方向に貫通する貫通孔部124が形成されている。背板122には、Y軸方向両端部にそれぞれ、X軸方向に貫通する貫通孔部125が形成されている。貫通孔部124,125はいずれも、ボトムケース12をフレーム20に固定するために用いられる。
【0056】
図12は、
図10に示すフレーム20にボトムケース12を取り付けた状態を示す斜視図である。
図12に示す状態では、ボトムケース12の貫通孔部124と、メイン基板13の貫通孔部134と、フレーム20のネジ孔部211とが、Z軸方向に重なることによって、一連の貫通孔を形成している。
【0057】
ボトムケース12は、貫通孔部125にX軸方向後方から挿入されたネジ部材Sをフレーム20のネジ孔部241に締結することにより、フレーム20に固定される。また、ボトムケース12は、貫通孔部124,134にZ軸方向下方から挿入されたネジ部材Sをフレーム20のネジ孔部211に締結することにより、フレーム20に固定される。
【0058】
フレーム20のネジ孔部211へのネジ部材Sの締結によって、フレーム20とボトムケース12との間に挟まれたメイン基板13も、フレーム20に固定される。これにより、ボトムケース12及びメイン基板13は、それぞれX軸方向前方及び後方の2ヶ所ずつにおいてフレーム20に安定して固定される。
【0059】
フレーム20の側板26は、ボトムケース12の側板123のY軸方向内側に配置されている。このため、フレーム20の側板26とボトムケース12の側板123との間には、Y軸方向の隙間Cが形成されている。側板26,123間の隙間Cには、シールドプレート16が組み込まれる。
【0060】
図13は、シールドプレート16の斜視図である。シールドプレート16は、例えば、ステンレスなどの金属の薄板材に塑性加工を加えることによって形成される。シールドプレート16は、天板161と、側板162と、板バネ部163と、を有する。シールドプレート16は、Y-Z平面に沿った略U字状の断面を有する。
【0061】
天板161は、X-Y平面に沿って延びる。側板162は、X-Z平面に沿って延び、天板161のY軸方向両端部からそれぞれZ軸方向下方に延びる。天板161は、フレーム20の隆起部22をZ軸方向上方から覆い、開口部251を閉塞する。側板162は、フレーム20の隆起部22内の空間をY軸方向両側方から覆う。
【0062】
天板161には、Y軸方向両端部にそれぞれ、Z軸方向に貫通する貫通孔部164が形成されている。板バネ部163は、各側板162から更にZ軸方向下方に延び、Y軸方向外向きにV字状に屈曲している。貫通孔部164及び板バネ部163はいずれも、シールドプレート16をフレーム20に固定するために用いられる。
【0063】
図14は、
図12に示すフレーム20にシールドプレート16が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図14に示す状態では、板バネ部163が側板26,123間の隙間C内に組み込まれている。これにより、板バネ部163は、Y軸方向に圧縮変形した状態で側板26,123間に挟まれて固定される。
【0064】
また、シールドプレート16は、貫通孔部164にZ軸方向上方から挿入されたネジ部材Sをフレーム20のネジ孔部252に締結することにより、フレーム20に固定される。これにより、隆起部22内の電子部品が、金属で形成されたフレーム20、シールドプレート16、及びボトムケース12によって外部環境から電磁遮蔽される。
【0065】
図15は、フロントケース11の斜視図である。収容部112には、正面のY軸方向両端部にそれぞれ、X軸方向に突出する一対のボス部116が設けられている。一対のボス部116には、X軸方向に貫通する一対の貫通孔部117が形成されている。貫通孔部117は、フロントケース11をフレーム20に固定するために用いられる。
【0066】
フロントケース11は、
図14に示すフレーム20に取り付けられる。フロントケース11は、ボトムケース12上に載置される。その際に、撮像部14の光学ユニット141がレンズ孔113にX軸方向後方から挿通され、撮像部14のホルダ30の柱状部32がそれぞれ貫通孔部117にX軸方向後方から挿通される。
【0067】
そして、X軸方向前方から貫通孔部117に挿入されたネジ部材Sをホルダ30の柱状部32に形成されたネジ孔部33に締結する。これにより、フロントケース11とホルダ30の規制面34との間にフレーム20が挟み込まれることにより、撮像部14及びフロントケース11がフレーム20に固定される。
【0068】
以上により、
図2に示す車載カメラ1が完成する。
図2に示す状態では、フレーム20の貫通孔部233及びフロントケース11の貫通孔部117に挿入されるホルダ30の一対の柱状部32によって位置決めされている。このため、車載カメラ1では、撮像部14の光学ユニット141の光軸を正確な方向に向けることができる。
【0069】
フロントケース11及びホルダ30をフレーム20に固定するために用いるネジ部材Sは、ボス部116に係合可能な頭部を有する雄ネジから任意に選択可能である。ネジ部材Sとしては、頭部に溝が形成されたプラスネジやマイナスネジ以外にも、例えば、頭部が六角形に形成された六角ボルトなどを利用可能である。
【0070】
上記のとおり、フロントケース11は、2ヶ所のボス部116の貫通孔部117のみにおいてフレーム20に固定される。このため、車載カメラ1では、フロントケース11を取り付ける際に、フレーム20や撮像部14に応力が加わりにくい。したがって、車載カメラ1では、撮像部14の光学ユニット141の光軸がずれにくい。
【0071】
また、フロントケース11にはネジ孔部を設ける必要がない。このため、車載カメラ1では、フロントケース11を樹脂成型品とすることができる。これにより、車載カメラ1では、低コスト化及び軽量化を図ることをできる。また、ホルダ30の柱状部32によって位置決めされるボス部116の貫通孔部117を正確な形状に形成可能である。
【0072】
本実施形態に係る車載カメラ1は、メイン基板13と撮像部14の撮像素子基板142とを接続するフレキシブル基板50に加わる応力が、その方向に関わらずに良好に吸収される構成を有する。これにより、フレキシブル基板50に負荷が加わりにくくなる。以下、フレキシブル基板50の詳細構成について説明する。
【0073】
[フレキシブル基板50の詳細構成]
図16及び
図17は、本実施形態に係るフレキシブル基板50を示している。
図16は、フレキシブル基板50をX-Y平面に沿って展開した展開状態を示す平面図である。
図17は、
図16に示す展開状態のフレキシブル基板50をメイン基板13と撮像素子基板142とを接続可能なように屈曲させた屈曲状態を示す斜視図である。
【0074】
フレキシブル基板50は、例えば、ポリイミドやポリエステルなどの樹脂によって形成される。
図16に示すように、フレキシブル基板50は、展開状態において、相互に交差する方向に延びる短冊状の第1延在部51及び第2延在部52を有し、第1延在部51及び第2延在部52の間で屈曲した略L字状の平面形状を有する。
【0075】
フレキシブル基板50は、メイン基板13に接続される接続端子部である第1接続部53と、撮像素子基板142に接続される接続端子部である第2接続部54と、を有する。接続部53,54はそれぞれ、フレキシブル基板50の両端部に設けられている。第1接続部53は第1延在部51に位置し、第2接続部54は第2延在部52に位置する。
【0076】
フレキシブル基板50では、第1延在部51及び第2延在部52に沿って設けられた配線によって、第1接続部53と第2接続部54とが接続されている。これにより、フレキシブル基板50は、第1接続部53に接続されるメイン基板13と、第2接続部54に接続される撮像素子基板142と、を電気的に接続することができる。
【0077】
また、フレキシブル基板50は、接続部53,54間に設けられた第1屈曲部55a及び第2屈曲部55bを有する。第1屈曲部55aは、第1延在部51に設けられ、第1屈曲軸Paに沿って屈曲可能である。第2屈曲部55bは、第2延在部52に設けられ、第2屈曲軸Pbに沿って屈曲可能である。
【0078】
典型的には、第1屈曲部55aの第1屈曲軸Paは、第1延在部51の延在方向と直交する方向に延びる。また、第2屈曲部55bの第2屈曲軸Pbは、第2延在部52の延在方向と直交する方向に延びる。したがって、
図16に示すように、展開状態のフレキシブル基板50では、第1屈曲軸Paと第2屈曲軸Pbとが交差する。
【0079】
フレキシブル基板50は、屈曲部55a,55bにおいてR形状に屈曲させられる。より詳細に、フレキシブル基板50は、
図16に示す展開状態から、第1屈曲部55aがZ軸方向上方に屈曲させられ、更に第2屈曲部55bがY軸方向内側に屈曲させられる。これにより、フレキシブル基板50は、
図17に示す屈曲状態になる。
【0080】
図18は、撮像部14がメイン基板13上に載置された状態を示す斜視図である。撮像部14の撮像素子基板142は、Z軸方向後方を向いた実装面に実装された端子142aを有する。撮像素子基板142の端子142aは、フレキシブル基板50を介してメイン基板13の端子132に電気的に接続される。
【0081】
つまり、第1接続部53がメイン基板13の端子132に接続され、第2接続部54が撮像素子基板142の端子142aに接続される。
図17に示す屈曲状態のフレキシブル基板50では、第1接続部53と第2接続部54との相対位置が、メイン基板13の端子132と撮像素子基板142の端子142aとの相対位置と実質的に一致している。
【0082】
このため、フレキシブル基板50では、第1接続部53及び第2接続部54を、無理なくメイン基板13の端子132及び撮像素子基板142の端子142aに接続することができる。したがって、車載カメラ1では、フレキシブル基板50によるメイン基板13と撮像素子基板142との接続を容易に実行可能である。
【0083】
また、屈曲部55a,55bは、屈曲軸Pa,Pbに沿った方向を除き、柔軟に変形可能である。このため、屈曲部55a,55bはそれぞれ、メイン基板13及び撮像素子基板142に接続されたフレキシブル基板50に対して屈曲軸Pa,Pbに沿った方向以外の方向に加わる応力を変形によって吸収可能である。
【0084】
フレキシブル基板50では、展開状態において屈曲軸Pa,Pbが角度θで交差する構成とすることにより、屈曲状態において屈曲部55a,55bにおける変形しにくい方向を相互に異ならせている。これにより、車載カメラ1では、フレキシブル基板50に加わる全方向の応力を屈曲部55a,55bによって吸収することができる。
【0085】
このため、車載カメラ1では、メイン基板13の端子132及び撮像素子基板142の端子142aの位置がどの方向にずれている場合であっても、フレキシブル基板50に負荷が加わりにくい。これにより、車載カメラ1では、メイン基板13と撮像素子基板142との接続が良好に確保されるため、高い信頼性が得られる。
【0086】
また、フレキシブル基板50では、車載カメラ1の製造時に加わる応力や、車載カメラ1の使用時に物理的な衝撃や熱膨張などによって加わる応力も、屈曲部55a,55bによって吸収することができる。これにより、車載カメラ1では、更に高い信頼性が得られる。
【0087】
車載カメラ1では、屈曲軸Pa,Pbの間の角度θを、メイン基板13と撮像素子基板142との間の傾きに応じて決定することが好ましい。つまり、
図17に例示する構成では、第1接続部53と第2接続部54との間に成す角度(屈曲軸Pa,Pbの間の角度θ)が、メイン基板13と撮像素子基板142との間に成す角度と同じであることが好ましい。これにより、メイン基板13及び撮像素子基板142に取り付けられたフレキシブル基板50の屈曲部55a,55bが無理なく変形可能となるため、フレキシブル基板50に加わる応力がより効果的に吸収される。
【0088】
このメイン基板13と撮像素子基板142との間に成す角度は、自動車Mの車種ごとに設定されたウインドシールドM01の角度に基づいて設定されている。そのため、屈曲軸Pa,Pbの間の角度θをメイン基板13と撮像素子基板142との間に成す角度と同じとした場合、屈曲軸Pa,Pbの間の角度θも自動車Mの車種ごとに設定されたウインドシールドM01の角度に基づくものとなる。
【0089】
また、フレキシブル基板50では、屈曲部55a,55bによって、接続部53,54間の接続経路の向きを2回にわたって三次元的に変更することができる。これにより、車載カメラ1では、フレキシブル基板50における接続部53,54間の接続経路を、他の電子部品の配置などに応じて自由に決定可能となる。
【0090】
一例として、車載カメラ1では、フレキシブル基板50における接続部53,54間の接続経路を、撮像素子を制御するための水晶発振器142bの位置を考慮して決定することができる。
図18に示すように、水晶発振器142bは、撮像素子基板142のX軸方向後方を向いた実装面のY軸方向左側の領域に実装されている。
【0091】
水晶発振器142bは、水晶振動子を有する。水晶発振器142bの水晶振動子には、フレキシブル基板50を流れる信号との間でクロストークが発生する場合がある。車載カメラ1では、このようなクロストークが発生した場合、水晶発振器142bの生成するクロックが安定しない、若しくは信号ラインにノイズが重畳されることにより、撮像素子によって生成される画像に異常が発生する場合がある。
【0092】
このため、車載カメラ1では、正常な画像を得るために、水晶発振器142bの近くにフレキシブル基板50を配置しないことが好ましい。したがって、車載カメラ1では、フレキシブル基板50が、水晶発振器142bの近くを通らない接続経路でメイン基板13と撮像素子基板142とを接続する。
【0093】
より詳細に、
図17に示すフレキシブル基板50は、
図18に示すメイン基板13及び撮像素子基板142に取り付けられた状態において、水晶発振器142bが配置された端子142aのY軸方向左側の領域を通らないように、端子142aに接続された第2接続部54からY軸方向右側に引き出される。
【0094】
これにより、車載カメラ1では、水晶発振器142bの水晶振動子とフレキシブル基板50を流れる信号との間でクロストークが発生し難くなるため、撮像素子によって生成される画像における異常の発生を防止することができる。なお、フレキシブル基板50の構成は、撮像素子基板142における水晶発振器142b以外の電子部品の位置を考慮した構成とすることもできる。
【0095】
また、フレキシブル基板50では、延在部51,52の寸法や屈曲部55a,55bの位置などの変更により、接続部53,54の相対位置を任意に変更することができる。このため、車載カメラ1では、メイン基板13の端子132の位置、撮像素子基板142の端子142aの位置、及びフレキシブル基板50の接続経路を任意に決定可能である。
【0096】
特に、車載カメラ1では、小型化のために内部スペースの有効活用が必須となるため、メイン基板13の端子132の位置、撮像素子基板142の端子142aの位置、及びフレキシブル基板50の接続経路の自由度が非常に制限される。フレキシブル基板50は、車載カメラ1の小型化に伴うこのような要求に対応可能である。
【0097】
一例として、車載カメラ1におけるメイン基板13の端子132の位置について説明する。
図19及び
図20は、メイン基板13の実装面上の構成を示している。
図19は、メイン基板13のZ軸方向上側の第1実装面J1を示す平面図である。
図20は、メイン基板13のZ軸方向下側の第2実装面J2を示す底面図である。
【0098】
図19に示すメイン基板13の第1実装面J1には、中央領域に撮像部14が配置されている。また、第1実装面J1のX軸方向後部には、電源部136が配置されている。更に、第1実装面J1の撮像部14のX軸方向前方には、MCU133が配置され、一点鎖線で囲んで示された第1領域A1が配置されている。
【0099】
図20に示すメイン基板13の第2実装面J2には、センシングIC137が実装されている。センシングIC137は、MCU133を始めとする多くの電子部品に接続されるため、中央領域に配置されている。センシングIC137は、車載カメラ1の様々な解析処理(物体検知、物体までの距離測定、前方衝突警報、レーンキープ等)を行う。
【0100】
MCU133は、センシングIC137からシリアル通信で送られたセンシング結果をCAN(Controller Area Network)データに変換する機能を有する。また、MCU133は、センシングIC137の動作を監視し、異常の際には電源部136による通電を停止してセンシングIC137にリセットを掛ける機能も有する。
【0101】
また、
図20に示すメイン基板13の第2実装面J2には、一点鎖線で囲んで示された第2領域A2及び第3領域A3が配置されている。第2領域A2は、センシングIC137のX軸方向前方及びY軸方向側方を取り囲むように配置されている。第3領域A3は、センシングIC137のX軸方向後方に配置されている。
【0102】
なお、
図19及び
図20には、反対側の実装面J1,J2上の構成の概形が破線で示されている。つまり、
図19には、第2実装面J2に配置されたセンシングIC137が破線で示されている。
図20には、第1実装面J1に配置された端子132、撮像部14、MCU133、及び電源部136が破線で示されている。
【0103】
図19に示すメイン基板13の第1実装面J1の第1領域A1は、センシングIC137の真裏に位置する。このため、第1領域A1には、センシングIC137の安定動作のために必要な多数のバイパスコンデンサが配置される。また、第1領域A1には、電源部136用のバイパスコンデンサも配置される。
【0104】
図20に示すメイン基板13の第2実装面J2の第2領域A2には、複数のDDR(Double Data Rate)メモリが実装されている。複数のDDRメモリは、センシングIC137になるべく短い等長配線で接続される必要があるため、センシングIC137を取り囲む第2領域A2に配置する必要がある。
【0105】
また、メイン基板13の第2実装面J2の第2領域A2には、この他にもセンシングIC137に接続される電子部品が配置される。第2実装面J2の第2領域A2に配置される他の電子部品としては、フラッシュメモリなどのDDRメモリ以外の各種メモリや、コンデンサなどの各種蓄電部品などが挙げられる。
【0106】
メイン基板13の第2実装面J2の第3領域A3は、電源部136の真裏に位置する。電源部136は背が高く大型の部品が多いため、第1実装面J1には電源部136にドライバを短距離で接続可能な領域を確保することが困難である。このため、電源部136のドライバは、第2実装面J2の第3領域A3に配置せざるを得ない。
【0107】
また、メイン基板13の第2実装面J2の第3領域A3には、電源部136に関するドライバ以外の電子部品も配置される。更に、第2実装面J2の第3領域A3には、電源部136に関する電子部品以外にも、例えば、MCU133などによって生成されるCANデータを処理するためのCANドライバなどが配置される。
【0108】
このように、メイン基板13の第1実装面J1及び第2実装面J2には各種電子部品が密集して配置される。このため、メイン基板13には、フレキシブル基板50の第1接続部53に接続される端子132を配置可能な場所は、
図19に示す第1実装面J1における撮像素子基板142のX軸方向後側の領域しか残されていない。
【0109】
また、車載カメラ1では、更なる小型化及び高機能化を図ろうとすると、メイン基板13の端子132の配置可能な領域がますます限定される。この点、本実施形態に係るフレキシブル基板は、メイン基板13の端子132の位置に関わらず、メイン基板13と撮像素子基板142とを容易に接続可能な構成とすることができる。
【0110】
なお、本実施形態に係るフレキシブル基板50は、上記の構成に限定されず、展開状態において相互に交差する第1屈曲軸Pa及び第2屈曲軸Pbに沿って屈曲する第1屈曲部55a及び第2屈曲部55bを有する構成であればよい。一例として、フレキシブル基板50は、
図21及び
図22に示す構成とすることもできる。
【0111】
図21及び
図22は、変形例に係るフレキシブル基板50を示している。
図21は、展開状態のフレキシブル基板50の平面図である。
図21は、屈曲状態のフレキシブル基板50の斜視図である。以下、
図21及び
図22に示すフレキシブル基板50における
図16,17に示す構成とは異なる構成について説明する。
【0112】
変形例に係るフレキシブル基板50では、第1延在部51に、相互に平行な第1屈曲軸Pa1,Pa2に沿って屈曲可能な2つの第1屈曲部55a1,55a2が設けられている。また、変形例に係るフレキシブル基板50では、展開状態において、屈曲軸Pa1,Pa2と第2屈曲軸Pbとが直交しており、交差角度が90°となっている。
【0113】
変形例に係るフレキシブル基板50は、
図21に示す展開状態から、第1屈曲部55a1がZ軸方向下方に屈曲させられ、更に第1屈曲部55a2がY軸方向外側に屈曲させられ、また更に第2屈曲部55bがZ軸方向上方に屈曲させられる。これにより、フレキシブル基板50は、
図22に示す屈曲状態になる。
【0114】
図22に示す構成においても、第1接続部53と第2接続部54との間に成す角度はメイン基板13と撮像素子基板142との間の傾きに応じて決定することが好ましい。つまり、第1接続部53と第2接続部54との間に成す角度はメイン基板13と撮像素子基板142との間に成す角度と同じであることが好ましい。
【0115】
このメイン基板13と撮像素子基板142との間に成す角度は、自動車Mの車種ごとに設定されたウインドシールドM01の角度に基づいて設定されている。そのため、第1接続部53と第2接続部54との間に成す角度をメイン基板13と撮像素子基板142との間に成す角度と同じとした場合、第1接続部53と第2接続部54との間に成す角度も自動車Mの車種ごとに設定されたウインドシールドM01の角度に基づくものとなる。
【0116】
変形例に係るフレキシブル基板50では、展開状態において第1屈曲軸Pa1,Pa2と第2屈曲軸Pbとが直交しているため、屈曲状態においてフレキシブル基板50に加わる様々な方向からの応力を最も安定して吸収可能となる。これにより、車載カメラ1では、更に高い信頼性が得られる。
【0117】
また、フレキシブル基板50は、上記の変形例のように、複数の第1屈曲部55aを有していても、フレキシブル基板50に加わる応力を良好に吸収可能である。また、フレキシブル基板50は、複数の第2屈曲部55bを有していてもよく、更に屈曲軸Pa,Pbとは異なる方向に延びる屈曲軸に沿って屈曲可能な他の屈曲部を有していてもよい。
【0118】
[異物混入防止構造]
車載カメラ1は、フレーム20へのネジ部材Sの締結に伴う隆起部22内の空間への切粉などの異物の混入の防止するための構造を有する。これにより、車載カメラ1では、電気回路の動作不良などの隆起部22内の空間への異物の混入による不具合を未然に防止することができる。
【0119】
図23は、フレーム20の
図5のA-A'線に沿った断面図である。つまり、
図23は、隆起部22をY-Z平面に沿って破断し、隆起部22のX軸方向後部を前方から示している。
図23には、説明の便宜上、メイン基板13、ボトムケース12、及びシールドプレート16をフレーム20に固定するネジ部材Sが示されている。
【0120】
メイン基板13を固定するネジ孔部212には、ネジ部材SがZ軸方向下方から上方に貫通している。ボトムケース12を固定するネジ孔部241には、ネジ部材SがX軸方向後方から前方に貫通している。シールドプレート16を固定するネジ孔部252には、ネジ部材SがZ軸方向上方から下方に貫通している。
【0121】
つまり、ネジ孔部212,241,252に締結されたネジ部材Sはいずれも、その先端部がフレーム20の隆起部22内の空間に露出する。このため、ネジ孔部212,241,252にネジ部材Sがねじ込まれる際に、切粉などの異物が隆起部22内の空間に混入しやすくなっている。
【0122】
そこで、本実施形態に係る車載カメラ1では、フレーム20の隆起部22内の空間への異物の混入を防止するための構造として、ネジ孔部212、ネジ孔部241、及びネジ孔部252を隆起部22の内側から覆う第1キャップ部材41、第2キャップ部材42、及び第3キャップ部材43を設けることが好ましい。
【0123】
図24は、フレーム20のネジ孔部212を覆う第1キャップ部材41の分解斜視図である。キャップ部材41は、本体層411と、封止層412と、粘着層413と、粘着層414と、を含む積層構造を有する。粘着層413,414は、本体層411の厚さ方向に対向する両面に設けられる。
【0124】
本体層411及び粘着層413,414には、厚さ方向に貫通する開口部415が形成されている。封止層412は、粘着層413上に接着され、開口部415を封止している。これにより、キャップ部材41は、開口部415が粘着層413とは反対側の粘着層414側のみが開放されたキャップ状となっている。
【0125】
図25は、
図23に示すフレーム20にキャップ部材41が取り付けられた状態を示す断面図である。キャップ部材41は、開口部415が開放された粘着層414によってフレーム20に接着される。キャップ部材41は、各ネジ孔部212にそれぞれ、各ネジ孔部212が開口部415の内側に入るように配置される。
【0126】
これにより、フレーム20では、Z軸方向下方からネジ孔部212に締結されるネジ部材Sの先端部が突出する領域がキャップ部材41によって閉塞される。このため、ネジ部材Sがネジ孔部212にねじ込まれる際に発生する異物は、キャップ部材41の開口部415内に留まり、キャップ部材41の開口部415外には排出されない。
【0127】
したがって、車載カメラ1では、ネジ孔部212にネジ部材Sがねじ込まれる際に、フレーム20の隆起部22内の空間に異物が混入することを防止することができる。これにより、車載カメラ1では、電気回路の動作不良などの隆起部22内の空間への異物の混入による不具合を未然に防止することができる。
【0128】
また、キャップ部材41では、例えば0.1mm程度の非常に薄い封止層412を用いても、ネジ孔部212を閉塞する機能が担保される。このため、車載カメラ1では、キャップ部材41のフレーム20の隆起部22の内側への突出量を小さく抑えることにより、フレーム20の隆起部22内の空間を節約することができる。
【0129】
図26は、キャップ部材41の製造過程を示す断面図である。キャップ部材41の製造には、まず積層シート41aが用意される。積層シート41aは、本体層411に対応する本体シート411aと、封止層412に対応する封止シート412aと、粘着層413,414に対応する粘着シート413a,414aと、を有する大判のシートである。
【0130】
まず、
図26(A)に示すように、粘着シート414aを上方に向けて積層シート41aを保持板H上に配置する。そして、積層シート41aの上方に抜き型B1,B2を、刃先を下方に向けて配置する。抜き型B2の刃先は、抜き型B1の刃先よりも封止シート412aの厚さの分だけ高い位置にある。
【0131】
抜き型B1の刃は、キャップ部材41の外形に対応する形状に形成されている。抜き型B2の刃は、キャップ部材41の開口部415に対応する形状に形成されている。抜き型B1,B2は、上部において相互に固定されており、その相対位置を保ったまま一体として上下方向に移動可能である。
【0132】
図26(A)に示す状態から、
図26(B)に示すように抜き型B1,B2を下降させることにより、積層シート41aを打ち抜く。抜き型B1は、保持板Hまで到達し、積層シート41aの全てのシート411a,412a,413a,414aを切断する。これにより、キャップ部材41の外形が形成される。
【0133】
この一方で、抜き型B2は、保持板Hの手前に留まり、最下層の封止シート412aを貫通しない。このため、抜き型B2は、シート411a,413a,414aを切断するものの、最下層の封止シート412aのみ切断しない。これにより、キャップ部材41の開口部415が形成される。
【0134】
その後、
図26(B)に示す状態から、抜き型B1,B2を上昇させる。そして、積層シート41aにおける、抜き型B1より外側の部分及び抜き型B2よりも内側の部分を除去し、抜き型B1,B2間の部分のみを残す。これにより、
図26(C)に示すようにキャップ部材41が得られる。
【0135】
このように、積層シート41aを用いることにより、1回の打ち抜き操作のみによってキャップ部材41を容易に製造することができる。更に、複数の抜き型B1,B2を用いて同時に積層シート41aを打ち抜くことにより、一度に多量のキャップ部材41を製造可能である。これにより、キャップ部材41を低コストで製造可能である。なお、勿論、必要に応じて、積層シート41aに対する打ち抜き操作を各抜き型B1,B2ごとに行ってもよい。
【0136】
キャップ部材41の本体層411(積層シート41aの本体シート411a)を形成する材料は、特定の種類に限定されないが、打ち抜き性に優れた樹脂材料であるが好ましい。打ち抜き性に優れた樹脂材料としては、例えば、ウレタンクッション、スポンジ、エラストマなどが挙げられる。
【0137】
キャップ部材41の封止層412(積層シート41aの封止シート412a)を形成する材料も、特定の種類に限定されず、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)などを利用可能である。キャップ部材41の粘着層413,414としては、例えば、安価な両面接着テープなどを用いることができる。
【0138】
図27(A)は、フレーム20のネジ孔部241を覆う第2キャップ部材42の分解斜視図である。
図27(B)は、フレーム20のネジ孔部252を覆う第3キャップ部材43の斜視図である。キャップ部材42,43は、第1キャップ部材41と同様の材料を用いて同様の製造方法で製造可能である。
【0139】
キャップ部材42は、本体層421と、封止層422と、粘着層423と、粘着層424と、を含む積層構造を有する。キャップ部材43は、本体層431と、封止層432と、粘着層433と、粘着層434と、を含む積層構造を有する。キャップ部材42,43は、2つのネジ孔部241,252を一括して閉塞可能ように構成されている。
【0140】
より詳細に、キャップ部材42,43はそれぞれ、フレーム20のY軸方向両端部に配置された2つのネジ孔部241,252を同時に閉塞可能なように細長い形状を有する。キャップ部材42,43には、長手方向の両端部にそれぞれ、2つのネジ孔部241,252に対応する2つの開口部425,435が形成されている。
【0141】
図28は、
図25に示すフレーム20にキャップ部材42,43が取り付けられた状態を示す断面図である。
図28に示すように、フレーム20では、ネジ孔部241がX軸方向前方からキャップ部材42に閉塞され、ネジ孔部252がZ軸方向下方からキャップ部材43に閉塞される。
【0142】
したがって、車載カメラ1では、ネジ孔部241,252にネジ部材Sがねじ込まれる際に、フレーム20の隆起部22内の空間に異物が混入することを防止することができる。これにより、車載カメラ1では、電気回路の動作不良などの隆起部22内の空間への異物の混入による不具合を未然に防止することができる。
【0143】
車載カメラ1では、単一の各キャップ部材42,43によって2つの各ネジ孔部241,252を一括して閉塞可能であるため、部品点数の減少による低コスト化を図ることができる。なお、本実施形態に係るキャップ部材は、閉塞すべきネジ孔部が同一平面上に3個以上ある場合には、開口部を3個以上として構成することも可能である。
【0144】
キャップ部材42,43は、第1キャップ部材41と同様に、フレーム20の隆起部22の内側への突出量を小さく抑えることができる。このため、キャップ部材42,43は、
図28に示すように、相互に直交する面における相互に近接する位置に設けられたネジ孔部241,252を無理なく閉塞することができる。
【0145】
[車載カメラ1の他の構成例]
車載カメラ1の構成は、上記に限定されず、様々に変更可能である。例えば、車載カメラ1は、複数の撮像部14を有していてもよい。この場合、複数の撮像素子基板142がそれぞれ、各撮像部14ごとに設けられた複数のフレキシブル基板50によって、共通のメイン基板13に接続される。
【0146】
また、車載カメラ1は、ウインドシールドM01のみならず、リアセンシングカメラとしてリアウインドウM02に設置することもできる。更に、車載カメラ1の用途は、センシングではなく、例えば、ビューイングであってもよい。この場合にも、車載カメラ1では、小型化と高機能化とを両立可能なメリットが得られる。
【0147】
更に、車載カメラ1のウインドシールドM01の内面への設置手法は、
図3に示すようなブラケット2を用いた構成に限定されない。例えば、車載カメラ1は、ブラケット2以外の部材を介してウインドシールドM01に固定されてもよく、ウインドシールドM01の内面に直接接着されてもよい。
【0148】
なお、車載カメラ1は、自動車Mに限らず、様々な移動体に適用可能である。車載カメラ1を適用可能な移動体としては、例えば、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などが挙げられる。
【0149】
[駆動制御システムS100]
(概略説明)
本技術の一実施形態に係る駆動制御システムS100は、上記の車載カメラ1を用いて自動車Mの駆動を制御するためのシステムである。具体的に、駆動制御システムS100は、車載カメラ1によって撮像した画像を用いて、自動車Mの駆動力発生機構M11、制動機構M12、ステアリング機構M13などを制御する。車載カメラ1によって撮像された画像は、圧縮符号化処理をされていない高画質な画像データ(raw image data)の状態で、駆動制御システムS100に送られる。
【0150】
駆動制御システムS100は、自動車Mに求められる機能に応じた構成とすることができる。具体的に、駆動制御システムS100によって実現可能な機能としては、例えば、運転補助機能や自動運転機能などが挙げられる。以下、運転補助機能及び自動運転機能を実現可能な駆動制御システムS100の構成について説明する。
【0151】
(運転補助機能)
運転補助機能とは、典型的には、衝突回避、衝撃緩和、追従走行(車間距離の維持)、車速維持走行、衝突警告、レーン逸脱警告などを含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能である。駆動制御システムS100は、これらの運転補助機能を実現可能なように構成することができる。
【0152】
図29は、運転補助機能を実現可能な駆動制御システムS100の構成を示すブロック図である。駆動制御システムS100は、車載カメラ1と、処理部S110と、情報生成部S120と、駆動制御部S130と、を有する。処理部S110は、画像処理部S111と、認識処理部S112と、算出処理部S113と、を有する。
【0153】
駆動制御システムS100の各構成は通信ネットワークにより接続されている。この通信ネットワークは、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)などの任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0154】
図30は、
図29に示す駆動制御システムS100による駆動制御方法を示すフローチャートである。
図30に示す駆動制御方法は、撮像ステップST11、画像処理ステップST12、認識処理ステップST13、物体情報算出ステップST14、駆動制御情報生成ステップST15、及び駆動制御信号出力ステップST16を含む。
【0155】
撮像ステップST11では、車載カメラ1が自動車Mの前方の風景をウインドシールドM01越しに撮像して生画像を生成する。車載カメラ1は、例えば、メイン基板13に実装された車内通信部によって生画像を処理部S110に送信する。
【0156】
処理部S110は、典型的にはECU(Electronic Control Unit)で構成され、車載カメラ1が生成した生画像を処理する。より詳細に、処理部S110では、画像処理部S111が画像処理ステップST12を行い、認識処理部S112が認識処理ステップST13を行い、算出処理部S113が物体情報算出ステップST14を行う。
【0157】
画像処理ステップST12では、画像処理部S111が生画像に画像処理を加えて処理画像を生成する。画像処理部S111による画像処理は、典型的には、生画像中の物体を認識しやすくするための処理であり、例えば、自動露出制御、自動ホワイトバランス調整、ハイダイナミックレンジ合成などである。
【0158】
なお、画像処理ステップST12では、画像処理の少なくとも一部を車載カメラ1のメイン基板13に実装された画像処理部によって行ってもよい。なお、画像処理ステップST12におけるすべての画像処理を車載カメラ1の画像処理部で行う場合には、処理部S110には画像処理部S111が含まれていなくてもよい。
【0159】
認識処理ステップST13では、認識処理部S112が処理画像に対して認識処理を行うことで処理画像中の物体を認識する。なお、認識処理部S112が認識する物体としては、3次元のものに限定されず、例えば、車両、歩行者、障害物、信号機、交通標識、道路の車線(レーン)、歩道の縁石などが含まれる。
【0160】
物体情報算出ステップST14では、算出処理部S113が処理画像中の物体に関する物体情報を算出する。算出処理部S113が算出する物体情報としては、例えば、物体の形状、物体までの距離、物体の移動方向及び移動速度などが挙げられる。算出処理部S113は、動的な物体情報の算出には、時間的に連続する複数の処理画像を用いる。
【0161】
算出処理部S113による物体情報の算出方法の一例として、先行車両MFとの車間距離の算出方法について説明する。
図31は、画像処理部S111が生成する処理画像Gの一例を示している。
図31に示す処理画像Gには、先行車両MFと、走行レーンを規定する2本の車線L1,L2と、が示されている。
【0162】
まず、処理画像G中で2本の車線L1,L2が交わる消失点Uを求める。なお、消失点Uは、車線L1,L2によらずに、他の物体から求めてもよい。例えば、算出処理部S113は、歩道の縁石や、複数の処理画像における交通標識などの固定物の移動軌跡などを用いて消失点Uを求めることもできる。
【0163】
次に、処理画像の下縁部G1から先行車両MFまでの距離D0(画像における上下方向の寸法)と、処理画像の下縁部G1から先行車両MFまでの距離D1(画像における上下方向の寸法)と、を求める。先行車両MFとの車間距離は、距離D0,D1を用いて求めることができる。例えば、距離D0と距離D1との比率を用いることにより、先行車両MFとの車間距離を算出することができる。
【0164】
このように、画像中の先行車両MF等の対象物の画素位置に基づいて距離を算出する場合、焦点が合っていない画像では物体の検出位置がずれてしまうため精度が悪くなることがある。この点、本技術に係る車載カメラ1では、光学ユニット141の焦点位置ずれの許容範囲が小さい構成により、対象物との距離を正確に算出可能となる。
【0165】
処理部S110は、ステップST12~ST14で得られた処理画像及び物体情報を含むデータを情報生成部S120に送信する。なお、処理部S110は、上記の構成に限定されず、例えば、画像処理部S111、認識処理部S112、及び算出処理部S113以外の構成を含んでいてもよい。
【0166】
駆動制御情報生成ステップST15では、情報生成部S120が自動車Mに必要な駆動内容を含む駆動制御情報を生成する。より詳細に、情報生成部S120は、処理部S110から送信されるデータに基づいて自動車Mに実行させるべき駆動内容を判断し、この駆動内容を含む駆動制御情報を生成する。
【0167】
自動車Mの駆動内容としては、例えば、速度の変更(加速、減速)、進行方向の変更などが挙げられる。具体例として、情報生成部S120は、自動車Mと先行車両MFとの車間距離が小さい場合には減速が必要と判断し、自動車Mがレーンを逸脱しそうな場合にはレーン中央寄りへの進行方向の変更が必要と判断する。
【0168】
情報生成部S120は、駆動制御情報を駆動制御部S130に送信する。なお、情報生成部S120は、駆動制御情報以外の情報を生成してもよい。例えば、情報生成部S120は、処理画像から周囲環境の明るさを検出し、周囲環境が暗い場合に自動車Mの前照灯を点灯させるための照明制御情報を生成してもよい。
【0169】
駆動制御信号出力ステップST16では、駆動制御部S130が駆動制御情報に基づいた駆動制御信号の出力を行う。例えば、駆動制御部S130は、駆動力発生機構M11によって自動車Mを加速させ、制動機構M12によって自動車Mを減速させ、ステアリング機構M13によって自動車Mの進行方向を変更させることができる。
【0170】
(自動運転機能)
自動運転機能とは、運転者の操作によらずに、自動車Mを自律的に走行させる機能である。自動運転機能の実現のためには、運転補助機能よりも高度な駆動制御が必要となる。駆動制御システムS100は、高画質の生画像を生成可能な車載カメラ1を用いることにより、自動運転機能を実現可能な高度な駆動制御をより正確に実行可能となる。
【0171】
図32は、自動運転機能を実現可能な駆動制御システムS100の構成を示すブロック図である。この駆動制御システムS100は、
図29に示す各構成に加え、処理部S110に含まれるマッピング処理部S114及びパスプランニング部S115を更に有する。以下、
図29に示す構成と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0172】
図33は、
図32に示す駆動制御システムS100による駆動制御方法を示すフローチャートである。
図33に示す駆動制御方法は、
図30に示す各ステップに加え、マッピング処理部S114によるマッピング処理ステップST21と、パスプランニング部S115によるパスプランニングステップST22と、を含む。
【0173】
図33に示すとおり、マッピング処理ステップST21及びパスプランニングステップST22は、物体情報算出ステップST14と駆動制御情報生成ステップST15との間に実行する。パスプランニングステップST22は、マッピング処理ステップST21の後に実行する。
【0174】
マッピング処理ステップST21では、マッピング処理部S114が処理画像及び物体情報を用いて空間マッピングを行うことによりデジタル地図を作成する。マッピング処理部S114が作成するデジタル地図は、自動運転に必要な静的情報及び動的情報が組み合わされて構成された3次元地図である。
【0175】
駆動制御システムS100では、車載カメラ1によって高画質の生画像が得られるため、マッピング処理部S114によって高精細なデジタル地図を作成可能である。なお、マッピング処理部S114は、車載カメラ1による生画像以外の情報を取得することにより、更に情報量の多いデジタル地図を作成可能となる。
【0176】
例えば、マッピング処理部S114は、自動車Mに備えられた周囲情報検出部や測位部などからの情報を取得することができる。また、マッピング処理部S114は、車外との通信を可能にする車外通信部を介して外部環境に存在する様々な機器との間で通信を行うことにより、様々な情報を取得することができる。
【0177】
周囲情報検出部は、例えば、超音波センサ、レーダ装置、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置などとして構成される。マッピング処理部S114は、車載カメラ1からは得られにくい自動車Mの後方や側方などの情報も周囲情報検出部から取得可能である。
【0178】
測位部は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行可能に構成される。マッピング処理部S114は、測位部から自動車Mの位置に関する情報を取得可能である。
【0179】
車外通信部は、例えば、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などを用いた構成とすることができる。
【0180】
パスプランニングステップST22では、パスプランニング部S115がデジタル地図を用いて自動車Mの進行経路を決定するパスプランニングを実行する。パスプランニングには、例えば、道路上の空きスペースの検出や、車両や人間などの物体の移動予測などの様々な処理が含まれる。
【0181】
処理部S110は、パスプランニングステップST22の後に、ステップST12~ST14で得られた処理画像及び物体情報を含むデータに加え、ステップST21,ST22で得られたデジタル地図やパスプランニングの結果を含むデータを情報生成部S120に一括して送信する。
【0182】
駆動制御情報生成ステップST15では、情報生成部S120がパスプランニングステップST22で決定されたパスプランニングのとおりの進行経路で自動車Mを走行させるための駆動内容を含む駆動制御情報を生成する。情報生成部S120は、生成した駆動制御情報を駆動制御部S130に送信する。
【0183】
駆動制御信号出力ステップST16では、駆動制御部S130が駆動制御情報に基づいた駆動制御信号の出力を行う。つまり、駆動制御部S130は、自動車Mがパスプランニングのとおりの進行経路で安全に走行可能なように、駆動力発生機構M11、制動機構M12、及びステアリング機構M13などの駆動制御を行う。
【0184】
このように、物体位置検出、測距、デジタル地図作成、パスプランニング等の処理を行う場合、焦点が合っていない画像では物体の検出位置がずれてしまうため精度が悪くなることがある。この点、本技術に係る車載カメラ1では、光学ユニット141の焦点位置ずれの許容範囲が小さい構成により、このような処理を正確に行うことが可能となる。
【0185】
なお、
図29、
図32では、駆動制御システムS100の構成として、車載カメラ1と他の構成(ブロック)が異なるものとして説明した。しかし、駆動制御システムS100内の任意のブロックは車載カメラ1内に含まれるようにしてもよい。この場合は、車載カメラ1内のメイン基板13(又はメイン基板13と電気的に接続された他の回路基板)上に各ブロックの機能をもつ回路が配置される。
例えば、画像処理部S111が車載カメラ1内に含まれるようにしても良い。この場合は、車載カメラ1内のメイン基板13(又はメイン基板13と電気的に接続された他の回路基板)上に画像処理部S111の機能をもつ回路が配置される。
また、複数のブロックを含む処理部S110が車載カメラ1内に含まれるようにしても良い。この場合は、車載カメラ1内のメイン基板13(又はメイン基板13と電気的に接続された他の回路基板)上に処理部S110に含まれる各ブロックの機能をもつ回路が配置される。
更に、駆動制御システムS100を一つの装置としてもよい。この場合は、車載カメラ1内のメイン基板13(又はメイン基板13と電気的に接続された他の回路基板)上に駆動制御システムS100に含まれる各ブロックの機能をもつ回路が配置される。
【0186】
[その他の実施形態]
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0187】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
第1端子を有する撮像素子基板と、
第2端子を有するメイン基板と、
前記第1端子に接続される第1接続部と、前記第2端子に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に位置し、展開状態において相互に交差する第1及び第2屈曲軸に沿って屈曲する第1及び第2屈曲部と、を有するフレキシブル基板と、
を具備する車載カメラ。
(2)
上記(1)に記載の車載カメラであって、
前記フレキシブル基板は、前記第1屈曲部が設けられた第1延在部と、前記第2屈曲部が設けられた第2延在部と、を更に有し、
前記フレキシブル基板の前記展開状態において、前記第1延在部が前記第1屈曲軸と直交する方向に延び、前記第2延在部が前記第2屈曲軸と直交する方向に延びる
車載カメラ。
(3)
上記(1)又は(2)に記載の車載カメラであって、
前記フレキシブル基板の前記展開状態において、前記第1屈曲軸と前記第2屈曲軸とが相互に直交する
車載カメラ。
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の車載カメラであって、
前記撮像素子基板の厚さ方向に延びる光軸を有する光学ユニットを更に具備する
車載カメラ。
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の車載カメラであって、
前記撮像素子基板は、水晶発振器を更に有し、
前記フレキシブル基板は、前記水晶発振器上を通らない
車載カメラ。
【符号の説明】
【0188】
1…車載カメラ
2…ブラケット
11…フロントケース
12…ボトムケース
13…メイン基板
132…端子
14…撮像部
141…光学ユニット
142…撮像素子基板
142a…端子
142b…水晶発振器
15…押圧部材
16…シールドプレート
20…フレーム
30…ホルダ
50…フレキシブル基板
51,52…延在部
53,54…接続部
55a,55b…屈曲部
Pa,Pb…屈曲軸
M…自動車
M1…ウインドシールド