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特許7460548処理用組成物、ならびにその製造方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】処理用組成物、ならびにその製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/48 20060101AFI20240326BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20240326BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240326BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20240326BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C11D3/48
A01N47/44
A01P3/00
B08B3/04
C11D1/66
C11D3/20
C11D3/26
C11D3/34
C11D3/386
C11D3/43
C11D17/08
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020563783
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019000845
(87)【国際公開番号】W WO2020003007
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/691,224
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ファービッド・ショク
(72)【発明者】
【氏名】オミドバフシュ・ナビド
(72)【発明者】
【氏名】ノウルジ・キーバン
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-518148(JP,A)
【文献】特表2018-510977(JP,A)
【文献】特開2017-110174(JP,A)
【文献】国際公開第2017/192417(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/124150(WO,A1)
【文献】特開2006-193684(JP,A)
【文献】国際公開第2013/180136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
A01N 1/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を洗浄するための洗剤組成物において、
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、1重量%から5重量%の抗菌剤と、
酵素と、
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以下のホウ素含有化合物と、
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、10重量%以下の非イオン性界面活性剤と、
を含み、
前記抗菌剤が、ビグアニド化合物、および第4級アンモニウム化合物のうちの少なくとも1つを含
前記ヒドロトロープがアニオン性ヒドロトロープを含む、洗剤組成物。
【請求項2】
前記アニオン性ヒドロトロープが、アルカン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、およびそれらうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の洗剤組成物。
【請求項3】
前記芳香族スルホン酸が、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つである、請求項に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
ホウ素含有化合物を含まない、請求項1からのいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
前記ビグアニド化合物が、クロルヘキシジンおよびその塩のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
前記酵素が、リパーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、アミラーゼ、グリコシダーゼ、セルラーゼ、DNアーゼ、およびヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
前記洗剤組成物が、6~11の範囲のpHを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%の緩衝剤、および、
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%のpH調整剤、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の溶媒をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項10】
前記溶媒が、グリコールエーテル、プロピレングリコール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn-プロパノールのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の洗剤組成物。
【請求項11】
キレート剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項12】
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の水をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項13】
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.005重量%の前記非イオン性界面活性剤をに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項14】
前記非イオン性界面活性剤が低発泡性である、請求項13に記載の洗剤組成物。
【請求項15】
医療装置を洗浄するための洗剤組成物を製造する方法において、
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、
1重量%から5重量%の抗菌剤と、
少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
酵素と、
0.1重量%以下のホウ素含有化合物と、
10重量%以下の非イオン性界面活性剤と、
を組み合わせることを含み、
前記抗菌剤が、ビグアニド化合物、および第4級アンモニウム化合物のうちの少なくとも1つを含
前記ヒドロトロープがアニオン性ヒドロトロープを含む、方法。
【請求項16】
前記酵素を添加する前に前記洗剤組成物のpHを調整することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
緩衝剤、キレート剤、溶媒、および水、のうちの少なくとも1つを添加することをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
医療装置を洗浄する方法において、
洗剤組成物を前記医療装置に塗布することであって、前記洗剤組成物が、前記洗剤組成物の総重量に基づいて、
1重量%から5重量%の抗菌剤と、
少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
酵素と、
0.1重量%以下のホウ素含有化合物と、
10重量%以下の非イオン性界面活性剤と、
を含む、ことと、
それによって前記医療装置を洗浄することと、
を含み、
前記抗菌剤が、ビグアニド化合物、および第4級アンモニウム化合物のうちの少なくとも1つを含
前記ヒドロトロープがアニオン性ヒドロトロープを含む、方法。
【請求項19】
前記医療装置が内視鏡を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記医療装置を消毒することをさらに含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記洗剤組成物を塗布することが、自動内視鏡再処理装置を利用することを含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
動作温度が15℃~60℃である、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記洗剤組成物の総重量に基づいて、1重量%の前記ヒドロトロープを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本開示は、処理用組成物、ならびにそれらの組成物を製造および使用する方法に関する。
【0002】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2018年6月28日に出願された米国仮出願第62/691,224号の利益を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
〔背景〕
医療分野では様々な医療装置が処置に用いられている。そのような1つの装置は、身体の中空臓器または空洞の内部を検査する内視鏡である。再利用可能な医療装置が適切に処理されるのを確実にすると、交差汚染および疾患の拡大を抑制または予防することができる。この点に関して、例えば、洗浄溶液および/または抗菌溶液などの処理溶液が、医療装置および施設表面上で使用される。
【0004】
〔概要〕
一態様において、本開示は、洗剤組成物を提供する。洗剤組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、酵素と、組成物の総重量に基づいて少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、を含む。
【0005】
別の態様において、本開示は、洗剤組成物を製造する方法を提供する。この方法は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、酵素と、を組み合わせることを含む。
【0006】
さらに別の態様では、本開示は、対象物を洗浄するための方法を提供する。この方法は、洗剤組成物を対象物に塗布し、それによって対象物を洗浄することを含む。洗剤組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、酵素と、を含む。
【0007】
本明細書に記載される発明は、本概要に提供される実施例に限定されないことが理解される。様々な他の態様が本明細書に記載され、例示される。
【0008】
添付図面と共に理解される実施例の以下の説明を参照することによって、実施例の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法が、より明らかになり、実施例が、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示による洗剤組成物を利用して対象物を処理するためのシステムの図である。
図2】本開示による希釈洗剤組成物で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図2Aは、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)が補充された本開示による希釈洗剤組成物で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図2Bは、CHGが補充された本開示による希釈洗剤組成物で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。図2Cは、CHGが補充されなかった本開示による希釈洗剤組成物で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図2Dは、CHGが補充されなかった本開示による希釈洗剤組成物で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
図3】希釈洗剤組成物C1で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図3Aは、CHGが補充された希釈洗剤組成物C1で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図3Bは、CHGが補充された希釈洗剤組成物C1で処理したプラスチッククーポンの写真を示す。図3Cは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C1で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図3Dは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C1で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
図4】入手可能な場合、希釈洗剤組成物C2で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図4Aは、CHGが希釈洗剤組成物C2に不溶性であったことを示す。図4Bは、CHGが希釈洗剤組成物C2に不溶性であったことを示す。図4Cは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C2で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図4Dは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C2で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
図5】入手可能な場合、希釈洗剤組成物C3で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図5Aは、CHGが希釈洗剤組成物C3に不溶性であったことを示す。図5Bは、CHGが希釈洗剤組成物C3に不溶性であったことを示す。図5Cは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C3で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図5Dは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C3で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
図6】希釈洗剤組成物C4で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図6Aは、CHGが補充された希釈洗剤組成物C4で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図6Bは、CHGが補充された希釈洗剤組成物C4で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。図6Cは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C4で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図6Dは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C4で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
図7】希釈洗剤組成物C5で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図7Aは、CHGが補充された希釈洗剤組成物C5で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図7Bは、CHGが補充された希釈洗剤組成物C5で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。図7Cは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C5で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図7Dは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C5で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
図8】入手可能な場合、希釈洗剤組成物C6で処理されたプラスチックまたはステンレス鋼クーポンの写真を示す。図8Aは、CHGが希釈洗剤組成物C6に不溶性であったことを示す。図8Bは、CHGが希釈洗剤組成物C6に不溶性であったことを示す。図8Cは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C6で処理されたステンレス鋼クーポンの写真を示す。図8Dは、CHGが補充されなかった希釈洗剤組成物C6で処理されたプラスチッククーポンの写真を示す。
【0010】
対応する参照文字は、いくつかの図面にわたって対応する部分を示す。本明細書に記載される例示は、1つの形態で特定の実施例を例示するものであり、そのような例示は、いかなる方法によっても実施例の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0011】
〔詳細説明〕
ここで、本開示の特定の例示的態様を説明して、本明細書に開示された組成物および方法の組成、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供する。これらの態様の1つ以上の実施例が添付図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付図面に例示されている組成物および方法が非限定的な例示的態様であり、本発明の様々な実施例の範囲が特許請求の範囲によってのみ定められることを理解するであろう。1つの例示的態様に関連して例示または説明される特徴は、他の態様の特徴と組み合わせることができる。このような変更および変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0012】
本明細書全体にわたる「様々な実施例」、「いくつかの実施例」、「1つの実施例」、または「ある実施例」などへの言及は、実施例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体のところどころにおける語句「様々な実施例において」、「いくつかの実施例において」、「1つの実施例において」、または「ある実施例において」などの出現は、必ずしも全てが同じ実施例に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。したがって、1つの実施例に関連して例示または説明される特定の特徴、構造、または特性は、全体として、または一部が、1つ以上の他の実施例の特徴、構造、または特性と無制限に組み合わせることができる。このような変更および変形は、本実施例の範囲内に含まれることが意図されている。
【0013】
本明細書では、別段の指示がない限り、すべての数値パラメータは、全ての場合において、用語「約」が前置され、これにより修飾されるものとして理解されるべきであり、数値パラメータは、パラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術に特徴的である固有の可変性を有する。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、本明細書に記載される各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、また、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0014】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、列挙される範囲内に包含される全ての部分範囲を含む。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間の(かつこれらを含む)、すなわち最小値が1以上で最大値が10以下である、全ての部分範囲を含む。本明細書に列挙されるいかなる最大数値限定も、その中に包含される全てのより低い数値限定を含むことが意図され、本明細書に列挙されるいかなる最小数値限定も、その中に包含される全てのより高い数値限定を含むことが意図されている。したがって、出願人は、明示的に列挙された範囲内に包含される任意の部分範囲を明示的に列挙するために、特許請求の範囲を含む本明細書を補正する権利を留保する。このような範囲は全て、本明細書には本質的に記述されており、そのような任意の部分範囲を明示的に列挙するように補正することは、米国特許法第112条および米国特許法第132条(a)の要件を満たすことになる。
【0015】
本開示は、処理用組成物、ならびにそれらの組成物を製造および使用する方法に関する。本開示の対象物は、交差汚染および疾患の拡大を防止するために、本明細書に記載の処理プロセスを受けることができる。本明細書中で使用される場合、「処理プロセス」は、洗浄プロセス、消毒プロセスなど、およびそれらの組み合わせであり得る。処理プロセスは、手動であるか、自動化されているか、またはそれらの何らかの組み合わせのいずれかであってよく、処理剤を利用し得る。本明細書中で使用される場合、「処理剤」は、洗浄剤および抗菌剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。本明細書で使用される場合、「洗浄プロセス」とは、例えば体液(例えば、血液、尿、唾液)、汚れ、ゴミ、粒子、油、タンパク質、炭水化物などの残渣を除去および/または排除する洗浄剤を使用する処理プロセスを意味する。本明細書中で使用される場合、「洗浄剤」とは、例えば界面活性剤および/または洗剤など、洗浄プロセス中に残渣を除去および/または排除する一種の処理剤を意味する。
【0016】
消毒プロセスは、対象物からバイオバーデンを除去および/または排除することができる。バイオバーデンは、例えば、細菌(例えば、マイコバクテリウム、細菌芽胞)、古細菌、真核生物、ウイルス、真菌、および/または他の形態の生物学的物質であり得る。細菌芽胞(例えば、内生胞子)は、休眠状態で、物理的および化学的分解に対して高度に抵抗性である、一種の細菌である。本明細書で使用される場合、「消毒プロセス」は、バイオバーデンを実質的に除去する処理プロセスを意味する。本明細書中で使用される場合、「実質的に除去する」とは、バイオバーデンの少なくとも99%が対象物から除去されている、例えば、バイオバーデンの少なくとも99.9%、バイオバーデンの少なくとも99.99%、バイオバーデンの少なくとも99.999%、またはバイオバーデンの少なくとも99.9999%が、対象物から除去されていることを意味する。消毒プロセスは、例えば、熱、抗菌剤、照射、圧力、およびそれらの組み合わせを付加することを含み得る。抗菌剤は、消毒可能な化学物質を含むことができる。
【0017】
本明細書中で使用される場合、本開示の洗剤組成物の「成分」は、添加され得、かつ/または洗剤組成物の一部であり得る、任意の化学物質を意味することが意図されている。例えば、洗剤組成物の成分は、水、アルコール、抗菌剤、ヒドロトロープ、界面活性剤、緩衝剤、溶媒、酵素、キレート剤、塩など、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0018】
酵素を含む洗剤組成物は、対象物の洗浄を補助することができる。酵素は、残渣を除去および/または排除することができる。しかし、酵素自体は、対象物を消毒するのに十分なバイオバーデンの減少を提供しないことがある。したがって、抗菌剤を使用する追加の消毒プロセスが、第1の洗浄ステップと同時にまたはそれに続いて行われて、その後の使用のために対象物を準備することができる。
【0019】
しかしながら、抗菌剤は、おそらくは酵素の三次元構造の変性を介して、洗剤組成物の酵素の酵素活性を低下させ、それによって残渣および/またはバイオバーデンを除去および/または排除する酵素の能力に悪影響を与え、かつその能力を低下させると、当業者によってこれまで信じられていた。さらに、抗菌剤は、残渣および/またはバイオバーデンの要素を同様に変性させ、それらを処理プロセス中に除去されにくくすると考えられていた。このように、以前は、抗菌剤は酵素を含む洗剤と不適合であると考えられていた。
【0020】
驚くべきことに、本明細書で提供される組み合わせおよび/または量での洗剤組成物への抗菌剤の添加は、洗浄に既に使用されている洗剤組成物を消毒プロセスにも使用することを可能にすることが見出された。これにより、洗浄プロセスと消毒プロセスとを組み合わせることができ、対象物を処理する効率を向上させられることがわかった。洗浄と消毒とを組み合わせることができる。
【0021】
したがって、抗菌剤および酵素を含む洗剤組成物、洗剤組成物を製造する方法、ならびに洗剤組成物を使用する方法が本明細書で提供される。本開示の洗剤組成物は、洗浄剤および抗菌剤を含むことができる。本開示の洗剤組成物は、対象物を消毒することができる抗菌剤の存在下で、対象物から残渣および/またはバイオバーデンを効果的に除去および/または排除することができる酵素を含むことができる。本明細書に記載の洗剤組成物は、対象物を洗浄および消毒することができる。
【0022】
一実施例において、本開示は、抗菌剤、酵素、およびヒドロトロープを含む洗剤組成物を提供する。
【0023】
抗菌剤は、ビグアニド化合物および第4級アンモニウム化合物の少なくとも一方を含むことができる。第4級アンモニウム化合物は、4つのR基に共有結合した窒素原子を含む。例えば、第4級アンモニウム化合物は以下の式1を含むことができる。
式1
【化1】
式中、R1~4は、それぞれアルキル基またはアリール基であり、R1~4は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「ビグアニド化合物」とは、ビスビグアニド化合物、ビグアニド化合物、およびポリビグアニド化合物の少なくとも1つを意味する。ポリビグアニド化合物は以下の式2を含むことができる。
式2
【化2】
式中、Rは、アルキルまたはアリールであり、Rは、ハロゲン置換されていてもよく、
nは、1~50の範囲である。
【0025】
例えば、nが2である場合、ポリビグアニド化合物は以下の式3を含むことができる。
式3
【化3】
式中、RおよびRは、それぞれアルキルまたはアリールであり、RおよびRは、ハロゲン置換されていてもよく、
およびRは、同じであっても異なっていてもよく、
は、3~10個の炭素原子を含むアルキルである。
【0026】
本開示の洗剤組成物中の抗菌剤は、バイオバーデンを除去および/または排除することができる。抗菌剤は、(例えば、生体膜の破壊またはタンパク質の変性を介して)対象物を消毒することができる。抗菌剤は、任意の有効量で本開示の洗剤組成物中に存在することができる。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の抗菌剤、例えば、少なくとも0.01重量%の抗菌剤、少なくとも0.1重量%の抗菌剤、少なくとも0.5重量%の抗菌剤、少なくとも1重量%の抗菌剤、少なくとも2重量%の抗菌剤、少なくとも3重量%の抗菌剤、少なくとも4重量%の抗菌剤、少なくとも5重量%の抗菌剤、少なくとも10重量%の抗菌剤、または少なくとも15重量%の抗菌剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、20重量%以下の抗菌剤、例えば、15重量%以下の抗菌剤、10重量%以下の抗菌剤、5重量%以下の抗菌剤、4重量%以下の抗菌剤、3重量%以下の抗菌剤、2重量%以下の抗菌剤、1重量%以下の抗菌剤、0.5重量%以下の抗菌剤、0.1重量%以下の抗菌剤、または0.01重量%以下の抗菌剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~20重量%の抗菌剤、例えば、0.001重量%~5重量%の抗菌剤、0.01重量%~5重量%の抗菌剤、0.1重量%~5重量%の抗菌剤、1重量%~5重量%の抗菌剤、1重量%~10重量%の抗菌剤、5重量%~15重量%の抗菌剤、または1重量%~20重量%の抗菌剤を含むことができる。
【0027】
ビグアニド化合物は、存在する場合、クロルヘキシジン(例えば、N,N’’’’l,6-ヘキサンジイルビス[N’-(4-クロロフェニル)(イミドジカルボンイミド酸ジアミド)])、アレキシジン(例えば、l,1’-(l,6-ヘキサンジイル)ビス{2-[N’-(2-エチルヘキシル)カルバミミドイル]グアニジン})、オクテニジン(例えば、N-オクチル-l-[10-(4-オクチルイミノピリジン-l-イル)デシル]ピリジン-4-イミン)、ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)などのポリビグアニド、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
第4級アンモニウム化合物は、存在する場合、例えば、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、およびn-アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、ならびに当技術分野で既知の種々の他の適切な第4級アンモニウム化合物のうちの少なくとも1つを含むことができる。第4級アンモニウム化合物は、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびジデシルジメチルアンモニウムクロリドを含むことができる。第4アンモニウム化合物は、BTC1210(登録商標)であり得、これはイリノイ州ノースフィールドのStepan Companyから入手可能である。BTC1210(登録商標)は、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびジデシルジメチルアンモニウムクロリドを含むことができる。
【0029】
洗剤組成物は、ヒドロトロープをさらに含むことができる。ヒドロトロープは水溶液中にある間に疎水性物質を可溶化できる物質である。ヒドロトロープは一般に界面活性剤ほど容易にミセルを形成せず、それは、ヒドロトロープの疎水性部分がミセルを形成するには小さすぎるためである。ヒドロトロープは、例えば、アニオン性、カチオン性、または非イオン性ヒドロトロープであり得る。ヒドロトロープは無機または有機であり得、界面活性剤活性を含み得る。有機溶媒をスルホン化してスルホン酸を生成することができ、これを中和してヒドロトロープ塩を生成することができる。ヒドロトロープは、アルカン酸(例えば、スルホン酸、カルボン酸)、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含むことができる。アルカン酸の塩は、例えば、アルカン酸ナトリウム塩であってもよい。ヒドロトロープはトルエンスルホニル官能基を含むことができる。ヒドロトロープは、尿素、p-トルエンスルホン酸(例えば、4-メチルベンゼン-1-スルホン酸)、キシレンスルホン酸(例えば、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸)、クメンスルホン酸(例えば、2(または4)-(イソプロピル)ベンゼンスルホン酸)、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含むことができる。アニオン性ヒドロトロープを使用する場合、そのヒドロトロープは、Cola(登録商標)Trope INC、Cola(登録商標)Trope OD、およびCola(登録商標)Trope CAの少なくとも1つを含むことができる。Cola(登録商標)Tropeの3つの物質は全て、米国テネシー州サウス・ピッツバーグのColonial Chemical, Inc.から入手可能である。Cola(登録商標)Tropeの3つの物質は全て、アルカン酸ナトリウムを含む。
【0030】
ヒドロトロープは、本開示の洗剤組成物中に任意の有効量で存在することができる。例えば、本開示の洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープ、例えば、少なくとも0.1重量%のヒドロトロープ、少なくとも1重量%のヒドロトロープ、少なくとも5重量%のヒドロトロープ、少なくとも10重量%のヒドロトロープ、少なくとも15重量%のヒドロトロープ、少なくとも20重量%のヒドロトロープ、または少なくとも25重量%のヒドロトロープを含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、30重量%以下のヒドロトロープ、例えば、25重量%以下のヒドロトロープ、20重量%以下のヒドロトロープ、15重量%以下のヒドロトロープ、10重量%以下のヒドロトロープ、5重量%以下のヒドロトロープ、1重量%以下のヒドロトロープ、または0.1重量%以下のヒドロトロープを含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~30重量%のヒドロトロープ、例えば、0.1重量%~30重量%のヒドロトロープ、1重量%~30重量%のヒドロトロープ、5重量%~20重量%のヒドロトロープ、5重量%~15重量%のヒドロトロープ、10重量%~20重量%のヒドロトロープ、または10重量%~15重量%のヒドロトロープを含むことができる。
【0031】
洗剤組成物は、酵素成分をさらに含むことができる。酵素成分は、液体酵素溶液または乾燥粉末成分(例えば、凍結乾燥した)の形態であり得る。酵素は、残渣の酵素消化(例えば、分解)を介して残渣を除去および/または排除することができる。酵素はヒドロラーゼ酵素を含むことができる。ヒドロラーゼ酵素は、水分子の添加(例えば、加水分解)によって、残渣および/またはバイオバーデン中の化学結合を切断することができる。例えば、ヒドロラーゼ酵素は、対象物から脂質、炭水化物、タンパク質、ペプチド、および核酸を除去および/または排除することができる。ヒドロラーゼ酵素は、リパーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、アミラーゼ、グリコシダーゼ、セルラーゼ、DNアーゼ、およびヌクレアーゼの少なくとも1つを含むことができる。酵素は、洗剤組成物のpH、ならびに/または選択された残渣および/もしくはバイオバーデンを除去および/もしくは排除する有効性に基づいて選択され得る。
【0032】
酵素は、本開示の洗剤組成物中に任意の有効量で存在することができる。例えば、酵素は、酵素の総乾燥重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の活性酵素タンパク質、例えば、少なくとも0.01重量%の活性酵素タンパク質、少なくとも0.1重量%の活性酵素タンパク質、少なくとも1重量%の活性酵素タンパク質、少なくとも5重量%の活性酵素タンパク質、少なくとも10重量%の活性酵素タンパク質、または少なくとも15重量%の活性酵素タンパク質を含むことができる。酵素は、酵素の総乾燥重量に基づいて、20重量%以下の活性酵素タンパク質、例えば、15重量%以下の活性酵素タンパク質、10重量%以下の活性酵素タンパク質、5重量%以下の活性酵素タンパク質、1重量%以下の活性酵素タンパク質、0.1重量%以下の活性酵素タンパク質、または0.01重量%以下の活性酵素タンパク質を含むことができる。酵素は、酵素の総乾燥重量に基づいて0.001重量%~20重量%の活性酵素タンパク質、例えば、0.01重量%~20重量%の活性酵素タンパク質、0.1重量%~20重量%の活性酵素タンパク質、0.1重量%~10重量%の活性酵素タンパク質、1重量%~10重量%の活性酵素タンパク質、または1重量%~5重量%の活性酵素タンパク質を含むことができる。
【0033】
酵素が残渣および/またはバイオバーデンを除去および/または排除するのに適した酵素活性を有するように、酵素に基づいて洗剤組成物のpHを調整することができる。例えば、洗剤組成物は、少なくとも6.0、例えば、少なくとも6.5、少なくとも7.0、少なくとも7.5、少なくとも8.0、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11のpHを有することができる。洗剤組成物は、12未満、例えば11未満、10未満、9.0未満、8未満、7.5未満、7.0未満、または6.5未満のpHを有することができる。洗剤組成物は、6~12、例えば6~8、7~10、7~9、または8~11の範囲のpHを有することができる。
【0034】
pH調整剤を添加することにより、洗剤組成物のpHを調整することができる。pH調整剤は、例えば、酸および塩基の少なくとも一方であってもよい。pH調整剤は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンのうちの少なくとも1つを含むことができる。洗剤組成物は、所望のpHを達成するために、任意の有効量のpH調整剤を含むことができる。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて2%以下のpH調整剤、例えば、1%以下のpH調整剤、0.5%以下のpH調整剤、0.1%以下のpH調整剤、0.01%以下のpH調整剤、0.001%以下のpH調整剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて少なくとも0.0001%のpH調整剤、例えば、少なくとも0.001%のpH調整剤、少なくとも0.01%のpH調整剤、少なくとも0.1%のpH調整剤、少なくとも0.5%のpH調整剤、または少なくとも1%のpH調整剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて0.0001%~2%のpH調整剤、例えば、0.1%~2%のpH調整剤、0.01%~2%のpH調整剤、または0.001%~1%のpH調整剤を含むことができる。
【0035】
本開示の洗剤組成物は、例えばホウ酸(例えば、HBO)、ホウ砂(例えば、市販されている、部分的に脱水された塩を含む、ホウ酸の無機塩)、および他の同様のホウ素含有化合物などのホウ素含有化合物をさらに含むことができる。これらのホウ素含有化合物は、洗剤組成物のpH緩衝、洗浄性能、および酵素安定性を改善することができる。しかしながら、驚くべきことに、本開示の洗剤組成物の例は、例えば、酵素安定性、pH緩衝、および/または洗浄性能のような、それらの性能の側面のためにホウ素含有化合物を必要としないことが見出された。したがって、本開示の洗剤組成物では、限られた量のホウ素含有化合物を含むか、わずかに付随的な量(すなわち、微量)のホウ素含有化合物を含むか、測定可能なホウ素含有化合物を全く含まないか、または意図的に添加されたホウ素含有化合物を含まないことが有利であり得る。例えば、本開示の洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて0.1重量%以下のホウ素含有化合物、例えば、0.01重量%以下のホウ素含有化合物、0.001重量%以下のホウ素含有化合物、0.0001重量%以下のホウ素含有化合物を含み得るか、または測定可能なホウ素含有化合物を含まないものとすることができる。
【0036】
本開示の洗剤組成物は、緩衝成分をさらに含むことができる。緩衝剤は、洗剤組成物のpHを安定させることができ、例えば酵素のような洗剤組成物の他の成分と適合し得る化学的環境を維持することができる。緩衝剤は、例えば、共役酸/塩基対を含むことができる。共役酸/塩基対は双性イオン化合物を含むことができる。双性イオン化合物は、pH変化に応答して水素イオンを受容および供与することができ、それによって一定のpHを維持する。双性イオン化合物は、例えばグリシンなどのアミノ酸を含むことができる。共役酸/共役塩基対は、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、炭酸塩緩衝剤、およびリン酸塩緩衝剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。存在する場合、緩衝剤は、任意の有効量で本開示の洗剤組成物中に存在し得る。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて10重量%以下の緩衝剤、例えば、5重量%以下の緩衝剤、3重量%以下の緩衝剤、1重量%以下の緩衝剤、0.5重量%以下の緩衝剤、0.1重量%以下の緩衝剤、0.01重量%以下の緩衝剤、または0.001重量%以下の緩衝剤を含むことができる。本開示の洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%の緩衝剤、例えば、少なくとも0.001重量%の緩衝剤、少なくとも0.01重量%の緩衝剤、少なくとも0.1重量%の緩衝剤、少なくとも0.5重量%の緩衝剤、少なくとも1重量%の緩衝剤、少なくとも3重量%の緩衝剤、または少なくとも5重量%の緩衝剤を含むことができる。本開示の洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.0001重量%~10重量%の緩衝剤、例えば、0.001重量%~5重量%の緩衝剤、0.01重量%~5重量%の緩衝剤、0.1重量%~5重量%の緩衝剤、0.5重量%~3重量%の緩衝剤、または0.5重量%~2重量%の緩衝剤を含むことができる。
【0037】
本開示の洗剤組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、対象物からの残渣の除去および/または排除を補助することができる。溶媒は、洗組成物の成分の溶解度、ならびに/または、残渣および/もしくはバイオバーデンの溶解度を高めることができる。残渣および/またはバイオバーデンの溶解度を高めることは、残渣および/またはバイオバーデンの除去および/または排除を容易にすることができる。溶媒は、例えば、グリコールエーテル、プロピレングリコール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn-プロパノールのうちの少なくとも1つを含むことができる。グリコールエーテルは、例えば、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、メチルエーテル、およびプロピレングリコールn-ブチルエーテルのうちの少なくとも1つを含むことができる。存在する場合、溶媒は、任意の有効量で本開示の洗剤組成物中に存在し得る。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の溶媒、例えば、少なくとも0.1重量%の溶媒、少なくとも1重量%の溶媒、少なくとも5重量%の溶媒、少なくとも10重量%の溶媒、少なくとも11重量%の溶媒、少なくとも12重量%の溶媒、少なくとも13重量%の溶媒、少なくとも14重量%の溶媒、少なくとも15重量%の溶媒、少なくとも20重量%の溶媒、少なくとも30重量%の溶媒、または少なくとも40重量%の溶媒を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、50重量%以下の溶媒、例えば、40重量%以下の溶媒、30重量%以下の溶媒、20重量%以下の溶媒、15重量%以下の溶媒、14重量%以下の溶媒、13重量%以下の溶媒、12重量%以下の溶媒、11重量%以下の溶媒、10重量%以下の溶媒、5重量%以下の溶媒、1重量%以下の溶媒、または0.1重量%以下の溶媒を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~50重量%の溶媒、例えば0.1重量%~5重量%の溶媒、5重量%~20重量%の溶媒、10重量%~20重量%の溶媒、または10重量%~15重量%の溶媒を含むことができる。
【0038】
本開示の洗剤組成物は、塩をさらに含むことができる。塩は、酵素による残渣の除去および/または排除を増加させることができる。塩は酵素安定剤として作用し得る。塩は、有機または無機であり得、例えば、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、および塩化マグネシウムのうちの少なくとも1つを含み得る。存在する場合、塩は、任意の有効量で本開示の洗剤組成物中に存在し得る。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、10重量%以下の塩、例えば、5重量%以下の塩、4重量%以下の塩、3重量%以下の塩、2重量%以下の塩、1重量%以下の塩、0.5重量%以下の塩、0.1重量%以下の塩、または0.01重量%以下の塩を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の塩、例えば、少なくとも0.01重量%の塩、少なくとも0.1重量%の塩、少なくとも0.5重量%の塩、少なくとも1重量%の塩、少なくとも2重量%の塩、少なくとも3重量%の塩、少なくとも4重量%の塩、または少なくとも5重量%の塩を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~10重量%の塩、例えば、0.1重量%~5重量%の塩、または0.001重量%~0.1重量%の塩を含むことができる。
【0039】
本開示の洗剤組成物は、キレート剤をさらに含むことができる。キレート剤は、洗剤組成物による洗浄を高めることができる。例えば、キレート剤は、金属イオンをキレート化し、かつ/または洗剤組成物のpHにおいてキレート化することができる。キレート剤は、非リン酸キレート化剤であり得、かつ/または生分解性であり得る。キレート剤は、例えば、メチルグリシン二酢酸、N,N-ビス(カルボキシメチル)-L-グルタミン酸、クエン酸、グルコン酸、N-(1,2-ジカルボキシエチル)アスパラギン酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含むことができる。キレート剤は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF,SEから入手可能なTrilon M(登録商標)を含むことができる。Trilon M(登録商標)はメチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩を含むことができる。キレート剤は、オランダのアムステルダムのAkzo Nobel N.V.から入手可能なDissolvine(登録商標)GL-47-Sを含むことができる。Dissolvine(登録商標)GL-47-Sは、N,N-ビス(カルボキシメチル)-L-グルタミン酸四ナトリウムを含むことができる。キレート剤は、ドイツのケルンのLanxess AGから入手可能なBaypure(登録商標)CX100を含むことができる。Baypure(登録商標)CX100は、ナトリウム塩(例えば、イミノジコハク酸四ナトリウム)としてN-(1,2-ジカルボキシエチル)アスパラギン酸を含むことができる。
【0040】
存在する場合、キレート剤は、任意の有効量で本開示の洗剤組成物中に存在し得る。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、5重量%以下のキレート剤、例えば、4重量%以下のキレート剤、3重量%以下のキレート剤、2重量%以下のキレート剤、1重量%以下のキレート剤、0.1重量%以下のキレート剤、または0.01重量%以下のキレート剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.005重量%のキレート剤、例えば、少なくとも0.01重量%のキレート剤、少なくとも0.1重量%のキレート剤、少なくとも1重量%のキレート剤、少なくとも2重量%のキレート剤、少なくとも3重量%のキレート剤、または少なくとも4重量%のキレート剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.005重量%~5重量%のキレート剤、例えば、0.005重量%~0.1重量%のキレート剤、0.5重量%~3重量%のキレート剤、1重量%~3重量%のキレート剤を含むことができる。
【0041】
本開示の洗剤組成物は、ヒドロトロープに加えて、例えば非イオン性界面活性剤のような界面活性剤を含むことができる。非イオン性界面活性剤は、残渣および/またはバイオバーデンの溶解度を増加させることができ、残渣および/またはバイオバーデンを対象物から除去するのを助けることができる。非イオン性界面活性剤は低発泡性であり得る。非イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪アルコールエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー誘導体、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、および当技術分野で既知の種々の他の非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。非イオン性界面活性剤は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEから入手可能なDehypon(登録商標)LS 54であり得る。Dehypon(登録商標)LS 54は、C12~15脂肪アルコールエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー誘導体を含むことができる。非イオン性界面活性剤は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEから入手可能なDehypon(登録商標)LS 36であり得る。Dehypon(登録商標)LS 36は、C12~14脂肪アルコールエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー誘導体を含むことができる。非イオン性界面活性剤は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEから入手可能なPluronic(登録商標)L62であり得る。Pluronic(登録商標)L62は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含むことができる。
【0042】
存在する場合、非イオン性界面活性剤は、任意の有効量で本開示の洗剤組成物中に存在し得る。例えば、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.005重量%の非イオン性界面活性剤、例えば、少なくとも0.01重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも0.1重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも1重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも2重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも3重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも4重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも5重量%の非イオン性界面活性剤、少なくとも6重量%の非イオン性界面活性剤、または少なくとも7重量%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、10重量%以下の非イオン性界面活性剤、例えば、7重量%以下の非イオン性界面活性剤、6重量%以下の非イオン性界面活性剤、5重量%以下の非イオン性界面活性剤、4重量%以下の非イオン性界面活性剤、3重量%以下の非イオン性界面活性剤、2重量%以下の非イオン性界面活性剤、1重量%以下の非イオン性界面活性剤、0.1重量%以下の非イオン性界面活性剤、または0.01重量%以下の非イオン性界面活性剤を含むことができる。洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.005重量%~10重量%の非イオン性界面活性剤、例えば、0.01重量%~1重量%の非イオン性界面活性剤、0.5重量%~7重量%の非イオン性界面活性剤、0.5重量%~6重量%の非イオン性界面活性剤、1重量%~6重量%の非イオン性界面活性剤、または2重量%~6重量%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0043】
本開示の洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の水、例えば、少なくとも25重量%の水、少なくとも35重量%の水、少なくとも40重量%の水、少なくとも45重量%の水、少なくとも50重量%の水、少なくとも55重量%の水、または少なくとも60重量%の水をさらに含むことができる。洗剤組成物の含水量は、洗剤組成物の総重量に基づいて、20重量%~60重量%、例えば、25重量%~55重量%、30重量%~55重量%、または34重量%~50重量%の範囲の水とすることができる。使用される水は、当技術分野で既知の任意の適切なタイプの水、例えば、脱イオン水、蒸留水、逆浸透処理水、濾過水、滅菌水、水道水などのうちの少なくとも1つであり得る。
【0044】
本開示の洗剤組成物は、濃縮または希釈形態で製造され得ることが理解される。したがって、本開示は、組成物の総重量に基づく洗剤組成物の種々の成分の重量パーセントが比較的高い値である実施例、および組成物の総重量に基づく洗剤組成物の種々の成分の重量パーセントが比較的低い値である実施例を提供する。比較的高濃度および比較的低濃度の組成物が、本明細書において企図され、特定の意図された目的に役立ち得る。
【0045】
本開示の洗剤組成物は、洗浄および/または消毒に使用する前に、ある期間にわたり保存することができる。保存後、洗剤組成物は、残渣および/またはバイオバーデンを除去および/または排除するのに適した酵素の酵素活性を維持することができる。例えば、本開示の洗剤組成物は、保存前の酵素の初期酵素活性の少なくとも40%、例えば、初期酵素活性の少なくとも50%、初期酵素活性の少なくとも60%、初期酵素活性の少なくとも70%、初期酵素活性の少なくとも80%、初期酵素活性の少なくとも90%、または保存前の初期酵素活性の少なくとも95%、の酵素の酵素活性を維持するのに適した40℃での4週間保存安定性を含むことができる。本開示の洗剤組成物は、保存前の酵素の初期酵素活性の少なくとも40%、例えば、初期酵素活性の少なくとも50%、初期酵素活性の少なくとも60%、初期酵素活性の少なくとも70%、初期酵素活性の少なくとも80%、初期酵素活性の少なくとも90%、または初期酵素活性の少なくとも95%、の酵素の酵素活性を維持するのに適した30℃での4週間保存安定性を含むことができる。本開示の洗剤組成物は、保存前の酵素における酵素の初期酵素活性の少なくとも40%、例えば、初期酵素活性の少なくとも50%、初期酵素活性の少なくとも60%、初期酵素活性の少なくとも70%、初期酵素活性の少なくとも80%、初期酵素活性の少なくとも90%、または初期酵素活性の少なくとも95%の、酵素の酵素活性を維持するのに適した25℃での4週間保存安定性を含むことができる。
【0046】
本開示は、洗剤組成物を製造する方法も提供する。本明細書に記載の洗剤組成物の成分は、任意の適切な方法で、本明細書に記載の種々の量で組み合わせることができる。例えば、抗菌剤、ヒドロトロープ、および酵素は、本明細書に記載の量で任意の方法で組み合わせられて、本開示の洗剤組成物を形成することができる。例えば、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の水、少なくとも0.001重量%の抗菌剤、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープ、および酵素を組み合わせて洗剤組成物を形成することができる。本開示の洗剤組成物の成分は、任意の順序で組み合わせることができる。例えば、酵素を添加する前に、水、抗菌剤、およびヒドロトロープを組み合わせることができる。また、本明細書で提供されるオプションの成分は、本開示の洗剤組成物に添加することができる。例えば、本明細書に記載の緩衝剤、キレート剤、溶媒、非イオン性界面活性剤、および塩のうちの少なくとも1つを、本開示の洗剤組成物に添加することができる。洗剤組成物のpHは、酵素の酵素活性を維持するのに適したpHに調整することができる。酵素を添加する前にpHを調整することができる。乾燥した粉末状洗剤組成物が所望される場合、乾燥した粉末状成分を一緒に混合して粉末状混合物を形成することができ、次いで、界面活性剤を、粉末状混合物に(例えば液体形態で)スプレーするなどして、これと混合することができる。粉末状混合物は、所望の均質性が達成されるまで混合することができる。
【0047】
本開示の洗剤組成物の成分は、種々の順序で組み合わせることができる。例えば、洗剤組成物の成分は、各成分を一度に1つずつ添加すること、複数の成分を単一のステップで添加すること、または成分の一部を複数の添加段階で添加することによって組み合わせることができる。例えば、洗剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の水を、少なくとも0.001重量%の抗菌剤と組み合わせ、次いで、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと組み合わせることができる。緩衝剤が、存在する場合、添加され得、その後、酵素を加える。その後、酵素が酵素活性を維持するために適切なレベルにpHを調整することができる。あるいは、洗剤組成物のpHを調整した後に酵素を添加することもできる。
【0048】
水、抗菌剤、ヒドロトロープ、非イオン性界面活性剤、および緩衝剤は、それぞれ単一部分または複数部分において添加することができる。例えば、緩衝剤の第1の部分を水に添加して第1の組成物を形成することができ、溶媒を第1の組成物に添加して第2の組成物を形成することができ、緩衝剤の残りの部分を第2の組成物に添加して第3の組成物を形成することができる。次いで、第3の組成物は、抗菌剤、ヒドロトロープ、および酵素と、単一段階で、連続して、またはいくつかの他の組み合わせで組み合わせられて、本開示の洗剤組成物を形成することができる。酵素は、添加される最終成分であり得る。
【0049】
対象物の全部または一部を洗浄する方法も本明細書で提供される。例えば、対象物は、例えば内視鏡のような再使用可能な医療装置であり得、洗剤組成物は、内視鏡を洗浄および消毒するために使用され得る。本開示の洗剤組成物は、対象物から残渣および/またはバイオバーデンを除去することによって、対象物を洗浄および/または消毒することができる。対象物を洗浄する方法は、本開示の洗剤組成物を対象物に塗布することを含むことができる。本明細書で使用されるように、「塗布する」とは、対象物の表面が対象物の外部表面であるか、内部表面であるか、または空洞であるかにかかわらず、対象物の1つ以上の表面を含む、対象物の全部または一部を含むことを意味する。上述のように、洗剤組成物は、本明細書に記載の種々の成分および量を含むことができる。例えば、洗剤組成物の総重量に基づいて、洗剤組成物は、少なくとも0.001重量%の抗菌剤、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープ、および酵素を含むことができる。本開示の洗剤組成物を塗布することにより、対象物を洗浄する。洗剤組成物は、任意の適切な手段によって対象物に塗布することができる。例えば、本開示の洗剤組成物を対象物に塗布することは、洗剤組成物を、対象物を覆うように、対象物上に、または対象物の内側に堆積させること、こすること、スプレーすること、転がすこと、沈めること、および/または撹拌することのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0050】
本開示の洗剤組成物を対象物に塗布する前または塗布する間に、必要に応じて洗剤組成物をより低い濃度に希釈することができる。希釈は、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、または対象物の処理を達成しかつ/もしくは洗剤組成物を保存するのに適切な任意の倍率とすることができる。希釈は自動または手動で行うことができる。希釈剤は、例えば、本明細書に既に記載されているような任意のタイプの水を含むか、または水からなることができる。
【0051】
洗剤組成物は、対象物を洗浄および/または消毒するために、対象物に手動または自動で(例えば、機械的に)塗布することができる。塗布後、洗剤組成物は、すぐに対象物から除去され得るか、またはある期間にわたり、対象物上に留まることができる。洗剤組成物および任意の残存する残渣またはバイオバーデンは、拭き取り、すすぎ、乾燥、またはそれらの組み合わせによって、対象物から除去することができる。
【0052】
洗浄および/または消毒は、例えば、自動内視鏡再処理装置のような処理システムで行うことができる。図1を参照すると、処理システム100は、リザーバ106と流体連通する槽104を含むチャンバ102を含むことができる。チャンバ102は、対象物(不図示)を受容する任意の適切なサイズおよび構成であってよく、対象物に対して処理プロセスを実行するのに適していてもよい。チャンバ102は、洗浄チャンバおよび/または消毒チャンバのうちの少なくとも一方であってもよい。対象物は内視鏡を含むことができる。処理システム100は、自動内視鏡再処理装置を含むことができる。
【0053】
リザーバ106は、本開示の洗剤組成物を受け取るように任意の適切なサイズおよび構成とすることができ、洗剤組成物が槽104内に出力され得るまで洗剤組成物を保存することができる。槽104は、処理ライン108を介してリザーバ106と流体連通していてよく、リザーバ106から洗剤組成物を受け取ることができる。処理ライン108は、リザーバ106から洗剤組成物を受け取り、洗剤組成物を槽104に輸送することができる。処理ライン108は、チューブ、バルブ、およびポンプのうちの少なくとも1つを含むことができる。処理ライン108は、槽104に提供される洗剤組成物の量を制御することができる。例えば、洗剤組成物は、選択された量の洗剤組成物が槽104に提供されるまで、処理ライン108によって槽104内へと計量して提供され得る。槽104は、洗剤組成物を槽から除去するために、ドレン管路110と流体連通することができる。
【0054】
処理される対象物が、チャンバ102に提供されて、その中での処理プロセスに供されることができる。処理プロセスは、洗剤組成物を槽104に提供すること、および/または洗剤組成物を対象物に塗布することを含むことができる。例えば、洗剤組成物は、チャンバ102内のスプレーアーム(不図示)によって対象物上にスプレーおよび/または堆積させることができる。その後、対象物は、オプションとして拭き取られ、すすがれ、および/または乾燥されて、チャンバ102から取り出され得る。
【0055】
洗剤組成物を対象物に塗布することは、l5℃~60℃、例えば、l5℃~50℃、30℃~50℃、または43℃~48℃の範囲の動作温度で行うことができる。動作温度は、自動内視鏡再処理装置、類似の機械におけるような自動化によって、または自動内視鏡再処理装置とは独立に洗剤組成物を加熱することによって達成することができる。
【0056】
〔実施例〕
本開示は、本発明の例示的な非限定的態様を提供する以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。実施例は、洗浄および/または消毒における洗剤組成物の製造およびその使用を記載する。
【0057】
実施例1
下記の洗剤組成物F1~F6を表1に示すように製造した。グリシンおよび塩化カルシウムは、ペンシルバニア州ラドノール(Randor)のVWR Internationalから入手した。水酸化ナトリウムと2-エトキシエタノールは、ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから入手した。プロピレングリコールは、ニューヨーク州ロチェスターのWard’s Scienceから入手した。Savinase(登録商標)everis、Stainzyme(登録商標)plus、およびLipex(登録商標)everisは、デンマークのNovozymes A/Sから入手した。Savinase(登録商標)everisは、Savinase(登録商標)溶液の2.5重量%~5重量%の活性酵素タンパク質を有するアルカリプロテアーゼを含む。Stainzyme(登録商標)plusは、Stainzyme(登録商標)溶液の1重量%~2.5重量%の活性酵素タンパク質を有するα-アミラーゼを含む。Lipex(登録商標)everisはリパーゼを含む。Savinase(登録商標)everis、Stainzyme(登録商標)plus、およびLipex(登録商標)everisは、溶液中で入手した。BTC 1210(登録商標)は、イリノイ州ノースフィールドのStepan Companyから入手した。Trilon M(登録商標)は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF,SEから入手した。Dehypon(登録商標)LS 54は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEから入手した。
【0058】
1.6kgの各洗剤組成物F1~F6を調製した。各洗剤組成物F1~F6の調製のために、脱イオン水にグリシンを添加し、次いで水酸化ナトリウムおよびTrilon M(登録商標)をそれぞれ順番に添加した。洗剤組成物のpHは、洗剤組成物にグリシンおよび水酸化ナトリウムを添加することによって調整および/または維持した。使用する場合(例えば、洗剤組成物Fl、F3、F4、およびF6)、2-エトキシエタノールは、Trilon M(登録商標)の添加後に添加した。同様に、使用する場合(洗剤組成物F2、F3、F5およびF6)、Trilon M(登録商標)の添加および2-エトキシエタノールのオプションとしての添加の後に、プロピレングリコールを添加した。次に、洗剤組成物F4~F6について、BTC(登録商標)1210を添加した。その後、洗剤組成物F1~F6について、Dehypon(登録商標)LS 54および塩化カルシウムをそれぞれ順番に添加した。酵素溶液の、Savinase(登録商標)everis、Stainzyme(登録商標)plus、およびLipex(登録商標)everisを最後に添加した。
【0059】
表1に示されるように、洗剤組成物FlおよびF4は、F4がBTC(登録商標)1210を含むことを除いて類似している。洗剤組成物F2およびF5は、F5がBTC(登録商標)1210を含むことを除いて類似している。洗剤組成物F3およびF6は、F6がBTC(登録商標)1210を含むことを除いて類似している。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例2
酵素活性に対する第4級アンモニウム化合物の存在の影響を決定するために、洗剤組成物F1~F6を、25℃、30℃、40℃、および50℃で4週間、複製して保存した。2週間後および4週間後に、保存された洗剤組成物F1~F6のアリコートをサンプリングし、標準基質に対する酵素活性について試験した。各アリコートの酵素活性を保存前の洗剤組成物F1~F6の初期活性と比較した。驚くべきことに、表2~7に例示され、本明細書に記載されているように、洗剤組成物F4~F6は、保存後の対象物から残渣および/またはバイオバーデンを除去および/または排除するのに適した酵素活性の量を維持した。
【0062】
Savinase(登録商標)everisの結果を、保存から2週間後の酵素活性データを示す表2、および保存から4週間後の酵素活性データを示す表3に示す。洗剤組成物F4~F6は、25℃、30℃、および40℃で4週間保存した後、対象物を洗浄および/または消毒するのに適したSavinase(登録商標)酵素活性の量を維持した。洗剤組成物F5は、洗剤組成物F2と比較して、4週間、25℃、30℃、および40℃で保存した後、Savinase(登録商標)の保存安定性が向上した。
【表2】
【表3】
【0063】
Stainzyme(登録商標)Plusの結果を、保存から2週間後の酵素活性データを示す表4、および保存から4週間後の酵素活性データを示す表5に示す。洗剤組成物F4~F6は、25℃、30℃、および40℃で4週間保存した後、対象物を洗浄および/または消毒するのに適したStainzyme(登録商標)Plus酵素活性の量を維持した。洗剤組成物F5は、洗剤組成物F2と比較して、40℃で4週間保存した後に、増強されたStainzyme(登録商標)Plus保存安定性を有した。洗剤組成物F6は、洗剤組成物F3と比較して、25℃、および30℃、40℃で4週間保存した後に、増強されたStainzyme(登録商標)Plus保存安定性を有した。
【表4】
【表5】
【0064】
実施例3
下記の洗剤組成物A1~A4を表6に示すように製造した。グリシンおよび塩化カルシウムは、ペンシルバニア州ラドノールのVWR Internationalから入手した。水酸化ナトリウムは、ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから入手した。プロピレングリコールは、ニューヨーク州ロチェスターのWard’s Scienceから入手した。エチレングリコールは、ペンシルバニア州ラドノールのVWR Internationalから入手した。Colatrope(登録商標)ODは、米国テネシー州サウス・ピッツバーグのColonial Chemical, Inc.から入手した。Dehypon(登録商標)LS 54、Dehypon(登録商標)LS 36、Pluronic(登録商標)L62、およびTrilon M(登録商標)は、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEから入手した。Baypure(登録商標)CX100は、ドイツのケルンのLanxess AGから入手した。Dissolvine(登録商標)GLS 47は、オランダのアムステルダムのAkzo Nobel N.V.から入手した。
【0065】
1kgの各洗剤組成物A1~A4を調製した。
【表6】
【0066】
実施例4
本開示の洗剤組成物の洗浄効力を決定するために、本開示による、また実施例3に記載されるような、製剤A0を、本開示によるものでない市販の洗剤組成物C1~C6と比較した。各洗剤組成物(A0およびC1~C6)が、市販の洗剤組成物には必ずしも存在しない抗菌剤の存在を制御するように、抗菌剤を添加して、また抗菌剤の添加なしで試験された。全ての洗剤組成物について、抗菌剤は組成物の総重量に基づいて5重量%のグルコン酸クロルヘキシジン(CHGと略される)であった。
【0067】
洗剤組成物Clは、非イオン性界面活性剤およびトリエタノールアミンを含む市販の中性洗剤組成物である。洗剤組成物C2は、プロテアーゼ、アミラーゼ、およびリパーゼ酵素を含む市販の酵素洗剤組成物である。洗剤組成物C3は、スブチリシンプロテアーゼを含む市販の酵素洗剤組成物である。洗剤組成物C4は、抗菌剤(ビグアニド)を含む市販の洗剤組成物である。洗剤組成物C5は、スブチリシン(プロテアーゼ酵素)を含む市販の酵素洗剤である。洗剤組成物C6は、プロテイナーゼのスブチリシンおよびスブチリシン(プロテアーゼ酵素)を含む市販の二重酵素洗剤である。
【0068】
洗浄効力をステンレス鋼およびプラスチッククーポンを用いて試験した。ステンレス鋼クーポンは、米国ミシガン州フレーザーのHealthmark Industries Company, Inc.から入手可能なTosi(登録商標)クーポンであった。各Tosi(登録商標)クーポンは、洗浄活性の試験に適した表面を作るために模擬血液試験土壌で処理されたステンレス鋼プレートを含む。模擬血液は、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム溶液中の血液タンパク質を含む。プラスチッククーポンは、米国オハイオ州メンターのSTERIS Corporationから入手可能なVerify(登録商標)All Cleanクーポンであった。各Verify(登録商標)All Cleanクーポンは、タンパク質、脂質および多糖類を含む試験土壌で処理されたプラスチックプレートを含む。このため、試験は、抗菌剤有りおよび抗菌剤無しで、金属表面とプラスチック表面の両方の洗浄について行った。
【0069】
以下の手順を使用して洗浄試験を行った。最初に、各洗剤組成物を、第1のビーカーにおいて推奨濃度まで200PPMの硬水で希釈した。洗剤組成物A0については、希釈係数は1:100であった。次に、得られた希釈洗剤組成物を45℃に加熱した。そして、プラスチックおよびステンレス鋼クーポンをビーカーに10分間浸漬した。10分後、各クーポンを取り出し、脱イオン水ですすいだ。次に、各クーポンを室温で一晩乾燥させ、洗浄効力について検査し、写真撮影した。
【0070】
結果を図2図8に示す。一般に、各図は、パネルA、B、C、およびDを有し、各パネル内に1つの写真がある。各図のパネルAは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。各図のパネルBは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物で処理されたプラスチッククーポンを示す。各図のパネルCは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。各図のパネルDは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物で処理されたプラスチッククーポンを示す。
【0071】
図2は、希釈洗剤組成物A0で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル2Aは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物A0で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル2Bは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物A0で処理されたプラスチッククーポンを示す。パネル2Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物A0で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル2Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物A0で処理されたプラスチッククーポンを示す。
【0072】
図3は、希釈洗剤組成物C1で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル3Aは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物C1で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル3Bは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物C1で処理されたプラスチッククーポンを示す。パネル3Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C1で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル3Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C1で処理されたプラスチッククーポンを示す。図3の全てのパネルA~Dについて、図2の対応するパネルとの比較は、図2の試験土壌の除去の増加に基づいて、本開示の洗剤組成物において洗浄効力が増加することを示す。
【0073】
図4は、希釈洗剤組成物C2で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル4Aおよび4Bについてのデータは、洗剤組成物C2に添加された5%CHGが不溶性であったため得られなかった。パネル4Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C2で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル4Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C2で処理されたプラスチッククーポンを示す。図4のパネルCおよびDについて、図2の対応するパネルとの比較は、図2の試験土壌の除去の増加に基づいて、本開示の洗剤組成物において洗浄効力が増加することを示す。
【0074】
図5は、希釈洗剤組成物C3で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル5Aおよび5Bについてのデータは、洗剤組成物C3に添加された5%CHGが不溶性であったため得られなかった。パネル5Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C3で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル5Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C3で処理されたプラスチッククーポンを示す。図5のパネルCおよびDについて、図2の対応するパネルとの比較は、図2の試験土壌の除去の増加に基づいて、本開示の洗剤組成物において洗浄効力が増加することを示す。
【0075】
図6は、希釈洗剤組成物C4で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル6Aは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物C4で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル6Bは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物C4で処理されたプラスチッククーポンを示す。パネル6Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C4で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル6Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C4で処理されたプラスチッククーポンを示す。図6の全てのパネルA~Dについて、図2の対応するパネルとの比較は、図2の試験土壌の除去の増加に基づいて、本開示の洗剤組成物において洗浄効力が増加することを示す。
【0076】
図7は、希釈洗剤組成物C5で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル7Aは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物C5で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル7Bは、5%CHGが添加された希釈洗剤組成物C5で処理されたプラスチッククーポンを示す。パネル7Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C5で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル7Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C5で処理されたプラスチッククーポンを示す。図7の全てのパネルA~Dについて、図2の対応するパネルとの比較は、図2の試験土壌の除去の増加に基づいて、本開示の洗剤組成物において洗浄効力が増加することを示す。
【0077】
図8は、希釈洗剤組成物C6で処理されたステンレス鋼およびプラスチッククーポンの写真を示す。パネル8Aおよび8Bのデータは、洗剤組成物C6に添加された5%CHGが不溶性であったため得られなかった。パネル8Cは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C6で処理されたステンレス鋼クーポンを示す。パネル8Dは、CHGが添加されていない希釈洗剤組成物C6で処理されたプラスチッククーポンを示す。図8のパネルCおよびDについて、図2の対応するパネルとの比較は、図2の試験土壌の除去の増加に基づいて、本開示の洗剤組成物において洗浄効力が増加することを示す。
【0078】
実施例5
本開示の洗剤組成物の洗浄および消毒効力を決定するために、本開示による、また実施例3に記載されるような、製剤A0を、本開示によるものでない市販の洗剤組成物C2と比較した。各洗剤組成物(A0およびC2)を、細菌バイオフィルムを除去する能力について試験した。これは、第一に、細菌の存在を減少させる洗剤組成物による処理の能力に基づいて測定され、第二に、バイオフィルムのタンパク質含有量を減少させる洗剤組成物による処理の能力に基づいて測定された。
【0079】
緑膿菌を含むバイオフィルムを、ISO/TS 15883‐5添付書類Fの方法に従って試験対象物の管腔内で成長させた。緑膿菌バイオフィルムを含む8つの試験対象物を、自動内視鏡再処理装置を用いて処理した。処理は、45℃で、8分間の曝露時間で自動内視鏡再処理装置(repressor)において行った。処理のうちの4つでは、試験対象物を希釈洗剤組成物AXで、1:100の希釈係数にて処理した。その他の4つの処理では、メーカーが推奨するように、0.8:100の希釈係数にて、希釈洗剤組成物C2で試験対象物を処理した。処理後、コロニー形成単位(CFU)について、またBCAタンパク質アッセイを用いて総タンパク質量について、試験対象物を分析した。これらの値を、バイオフィルムを含む未処理の試験対象物について得られた値と比較して、細菌の倍率減少(fold-reduction)および総タンパク質量のパーセント減少を決定した。
【0080】
細菌の減少の結果を表7に示す。複製物1では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が6.98となった(例えば、106.98倍の減少)。複製物1では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が2.64となった(例えば、102.64倍の減少)。複製物2では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が6.85となった(例えば、106.85倍の減少)。複製物2では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が4.89となった(例えば、104.89倍の減少)。複製物3では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が6.02となった(例えば、106.02倍の減少)。複製物3では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が1.38となった(例えば、101.38倍の減少)。複製物4では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が6.22となった(例えば、l06.22倍の減少)。複製物4では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、細菌のLog10倍率減少が3.56となった(例えば、103.56倍の減少)。
【0081】
これらの結果は、希釈洗剤組成物C2と比較して、表7で希釈洗剤組成物A0によって示される細菌の除去の増加に基づくと、洗浄および消毒効力が本開示の洗剤組成物において増加することを示す。
【表7】
【0082】
総タンパク質量の減少の結果を表8に示す。複製物1では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が95.5%減少した。複製物1では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が72.3%減少した。複製物2では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が99.2%減少した。複製物2では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が86.2%減少した。複製物3では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が98.8%減少した。複製物3では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が95.8%減少した。複製物4では、試験対象物を希釈洗剤組成物A0で処理した結果、試験対象物上の総タンパク質量が92.4%減少した。複製物4では、試験対象物を希釈洗剤組成物C2で処理した結果、試験対象物の総タンパク質量が81.2%減少した。
【0083】
表8に示される各複製物において、洗浄および消毒効力は、希釈洗剤組成物C2と比較して、希釈洗剤組成物A0によって示される総タンパク質量の除去の増加に基づくと、本開示の洗剤組成物において増加した。
【表8】
【0084】
本明細書で使用される文法上の冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」が特定の例で明示的に使用されていても、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含むことが意図される。したがって、本明細書では、冠詞は、冠詞の文法上の目的語のうちの1つ、または1つ超(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すのに使用される。さらに、使用の文脈上別段の定めがある場合を除き、単数名詞の使用は複数を含み、複数名詞の使用は単数を含む。
【0085】
当業者であれば、本明細書に記載の組成物、方法、およびそれらに付随する議論が、概念の明確化のための実施例として使用され、種々の構成の変更が企図されることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、記載される特定の典型および付随する議論は、それらのより一般的な種類を表すことを意図している。一般に、任意の特定の典型の使用は、その種類を表すことを意図しており、特定の構成要素(例えば、動作)、装置、および物体を含まないことが、限定とみなされるべきではない。
【0086】
本明細書に記載の主題は、異なる他の構成要素内に含まれるか、または異なる他の構成要素に接続される、異なる構成要素を示すことがある。このように示されたアーキテクチャは単なる例示であり、実際には、同じ機能性を達成する多くの他のアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能性を達成するために本明細書において組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素にかかわらず、所望の機能性が達成されるように、互い「と関連付けられている」とみなすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するために互いに「動作可能に接続されている」かまたは「動作可能に連結されている」とみなすこともでき、そのように関連付けられることができる任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するために互いに「動作可能に連結可能である」とみなすこともできる。動作可能に連結可能な具体例としては、物理的に嵌合可能かつ/もしくは物理的に相互作用する構成要素、および/または無線で相互作用可能かつ/もしくは無線で相互作用する構成要素、および/または論理的に相互作用し、かつ/または論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、そこに記載された動作が一般に任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、種々の動作フローがシーケンスで示されているが、種々の動作は、示されている順序以外の順序で実行されてもよく、または同時に実行されてもよいことを理解されたい。このような代替順序の例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複、差し挟み(interleaved)、中断、順序変更、増加、予備、補足、同時、逆、または他の変形順序が挙げられる。さらに、「~に反応して(responsive to)」、「~に関連して(related to)」、または他の過去時制形容詞のような用語は、文脈がそうでないと指示しない限り、一般に、そのような変形を排除することを意図しない。
【0088】
様々な実施例が本明細書に記載されてきたが、これらの実施例に対する多くの修正、変形、置換、変更、および等価物が実施され得、当業者に想到されるであろう。また、特定の構成要素について材料が開示されている場合、他の材料が使用され得る。したがって、前述の説明および添付の特許請求の範囲は、開示された実施例の範囲内に入るような全てのそのような修正および変形をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、このような修正および変形の全てをカバーすることを意図している。
【0089】
参照により本明細書に組み込まれると言われるあらゆる特許、刊行物、または他の開示資料の全部または一部は、組み込まれる資料が、本開示に記載される既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により本明細書に組み込まれる、いかなる矛盾する資料にも取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれる。
【0090】
本開示による本発明の様々な態様は、以下の番号付きの項に列挙された態様を含むがこれらに限定されない。
1.洗剤組成物において、
組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、
酵素と、
組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
を含む、洗剤組成物。
2.ヒドロトロープがアニオン性ヒドロトロープを含む、第1項に記載の組成物。
3.アニオン性ヒドロトロープが、アルカン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、およびそれらうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含む、第2項に記載の組成物。
4.芳香族スルホン酸が、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つである、第3項に記載の組成物。
5.組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以下のホウ素含有化合物を含む、第1~4項のいずれか一項に記載の組成物。
【0091】
6.ホウ素含有化合物を含まないか、またはわずかに付随的な量で含む、第1~5項のいずれか一項に記載の組成物。
7.抗菌剤が、ビグアニド化合物、および第4級アンモニウム化合物のうちの少なくとも1つを含む、第1~6項のいずれか一項に記載の組成物。
8.ビグアニド化合物が、クロルヘキシジンおよびその塩のうちの少なくとも1つを含む、第7項に記載の組成物。
9.酵素が、リパーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、アミラーゼ、グリコシダーゼ、セルラーゼ、DNアーゼ、およびヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、第1~8項のいずれか一項に記載の組成物。
10.組成物が、6~11の範囲のpHを有する、第1~9項のいずれか一項に記載の組成物。
【0092】
11.組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%の緩衝剤、および、
組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%のpH調整剤、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、第1~10項のいずれか一項に記載の組成物。
12.組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の溶媒をさらに含む、第1~11項のいずれか一項に記載の組成物。
13.溶媒が、グリコールエーテル、プロピレングリコール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn-プロパノールのうちの少なくとも1つを含む、第12項に記載の組成物。
14.キレート剤および塩のうちの少なくとも1つをさらに含む、第1~13項のいずれか一項に記載の組成物。
15.組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の水をさらに含む、第1~14項のいずれか一項に記載の組成物。
【0093】
16.組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.005重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含む、第1~15項のいずれか一項に記載の組成物。
17.非イオン性界面活性剤が低発泡性である、第16項に記載の組成物。
18.洗剤組成物を製造する方法において、
組成物の総重量に基づいて、
少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、
少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
酵素と、
を組み合わせることを含む、方法。
19.酵素を添加する前に洗剤組成物のpHを調整することをさらに含む、第18項に記載の方法。
20.緩衝剤、キレート剤、溶媒、水、非イオン性界面活性剤、および塩のうちの少なくとも1つを添加することをさらに含む、第18~19項のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
21.対象物を洗浄する方法において、
洗剤組成物を対象物に塗布することであって、組成物が、組成物の総重量に基づいて、
少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、
少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
酵素と、
を含む、ことと、
それによって対象物を洗浄することと、
を含む、方法。
22.対象物が内視鏡を含む、第21項に記載の方法。
23.対象物を消毒することをさらに含む、第21~22項のいずれか一項に記載の方法。
24.組成物を塗布することが、自動内視鏡再処理装置を利用することを含む、第21~23項のいずれか一項に記載の方法。
25.動作温度が15℃~60℃である、第21~24項のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
まとめると、本明細書に記載された概念を採用することによってもたらされる多数の利点が記載されている。1つ以上の実施例の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。これは、網羅的とすることまたは開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、修正または変形が可能である。1つ以上の実施例は、原理および実際的な適用を例示するために選択され、説明され、それによって当業者が、種々の実施例を、企図される特定の使用に適した種々の修正と共に使用することを可能にした。ここに提出された特許請求の範囲は、全体の範囲を定義することを意図している。
【0096】
本開示は、本開示の種々の態様および/またはその潜在的適用を説明する目的で種々の特定の態様の説明を提供するが、当業者は変形および修正を想到するであろうと理解される。したがって、本明細書に記載される1つまたは複数の発明は、少なくとも特許請求される範囲と同程度に広く、本明細書に提供される特定の例示的態様によってより狭く定義されることはないと理解されるべきである。
【0097】
〔実施の態様〕
(1) 洗剤組成物において、
前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、
酵素と、
前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
を含む、洗剤組成物。
(2) 前記ヒドロトロープがアニオン性ヒドロトロープを含む、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記アニオン性ヒドロトロープが、アルカン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、およびそれらうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つを含む、実施態様2に記載の組成物。
(4) 前記芳香族スルホン酸が、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、およびそれらのうちの任意のものの塩のうちの少なくとも1つである、実施態様3に記載の組成物。
(5) 前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以下のホウ素含有化合物を含む、実施態様1から4のいずれかに記載の組成物。
【0098】
(6) ホウ素含有化合物を含まないか、またはわずかに付随的な量で含む、実施態様1から5のいずれかに記載の組成物。
(7) 前記抗菌剤が、ビグアニド化合物、および第4級アンモニウム化合物のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1から6のいずれか記載の組成物。
(8) 前記ビグアニド化合物が、クロルヘキシジンおよびその塩のうちの少なくとも1つを含む、実施態様7に記載の組成物。
(9) 前記酵素が、リパーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、アミラーゼ、グリコシダーゼ、セルラーゼ、DNアーゼ、およびヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1から8のいずれかに記載の組成物。
(10) 前記組成物が、6~11の範囲のpHを有する、実施態様1から9のいずれかに記載の組成物。
【0099】
(11) 前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%の緩衝剤、および、
前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%のpH調整剤、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、実施態様1から10のいずれかに記載の組成物。
(12) 前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の溶媒をさらに含む、実施態様1から11のいずれかに記載の組成物。
(13) 前記溶媒が、グリコールエーテル、プロピレングリコール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn-プロパノールのうちの少なくとも1つを含む、実施態様12に記載の組成物。
(14) キレート剤および塩のうちの少なくとも1つをさらに含む、実施態様1から13のいずれかに記載の組成物。
(15) 前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%の水をさらに含む、実施態様1から14のいずれかに記載の組成物。
【0100】
(16) 前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.005重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含む、実施態様1から15のいずれかに記載の組成物。
(17) 前記非イオン性界面活性剤が低発泡性である、実施態様16に記載の組成物。
(18) 洗剤組成物を製造する方法において、
前記組成物の総重量に基づいて、
少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、
少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
酵素と、
を組み合わせることを含む、方法。
(19) 前記酵素を添加する前に前記洗剤組成物のpHを調整することをさらに含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 緩衝剤、キレート剤、溶媒、水、非イオン性界面活性剤、および塩のうちの少なくとも1つを添加することをさらに含む、実施態様18または19に記載の方法。
【0101】
(21) 対象物を洗浄する方法において、
洗剤組成物を前記対象物に塗布することであって、前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、
少なくとも0.001重量%の抗菌剤と、
少なくとも0.01重量%のヒドロトロープと、
酵素と、
を含む、ことと、
それによって前記対象物を洗浄することと、
を含む、方法。
(22) 前記対象物が内視鏡を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記対象物を消毒することをさらに含む、実施態様21または22に記載の方法。
(24) 前記組成物を塗布することが、自動内視鏡再処理装置を利用することを含む、実施態様21から23のいずれかに記載の方法。
(25) 動作温度が15℃~60℃である、実施態様21から24のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8