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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】抗HER2抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20240326BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240326BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240326BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240326BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240326BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240326BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240326BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240326BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C07K16/30
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K14/705
C07K19/00
C12P21/08
C12P21/02 C
A61K39/395 T
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K35/12
A61P35/00
G01N33/574 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020565255
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 SG2019050077
(87)【国際公開番号】W WO2019160501
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】10201801219V
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェン-イ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ライオネル・ジエンロン
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,アンジェリナ
(72)【発明者】
【氏名】リー,サンディ・ウェン-シン
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106831987(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00 - 16/46
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HER2に結合することが可能な抗体または抗原結合断片であって、
以下のCDR
LC-CDR1:GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、
LC-CDR2:STNTRSS(配列番号33)、
LC-CDR3:VLYMGNGISV(配列番号256)
を取り込む軽鎖可変領域;および
以下のCDR:
HC-CDR1:SSSYYWG(配列番号24)、
HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、
HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)
を取り込む重鎖可変領域
を含む、前記抗体または抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体または抗原結合断片が、
配列番号253の軽鎖可変領域に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域;および
配列番号254の重鎖可変領域に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域
を含む、請求項1記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項3】
ヒト、アカゲザルまたはマウスHER2に特異的に結合する、請求項1または請求項2記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項4】
薬物部分または検出可能な部分にコンジュゲートされた、請求項1~3のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項5】
薬物部分が、抗癌薬部分を含む、請求項4記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項7】
HER2に結合した、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片、あるいは、請求項6記載のCARを含む、in vitro複合体。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片、あるいは請求項6記載のCARをコードする、核酸。
【請求項9】
請求項8記載の核酸を含むベクター。
【請求項10】
請求項8記載の核酸または請求項9記載のベクターを含む細胞。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片、あるいは請求項6記載のCARを作製する方法であって、請求項10記載の細胞を、核酸またはベクターからの抗体、抗原結合断片またはCARの発現に適した条件下で培養する工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片、または、請求項10記載の細胞、および少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアーを含む組成物。
【請求項13】
療法における、または医学的治療の方法における使用のための、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片、請求項10記載の細胞、または、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片、請求項10記載の細胞、または、請求項12記載の組成物の、癌の治療における使用のための医薬の製造における使用。
【請求項15】
癌が、HER2陽性癌である、請求項14記載の使用。
【請求項16】
癌が、HER2陽性腫瘍細胞を含む、請求項15記載の使用。
【請求項17】
HER2を含有するかまたはHER2を含有すると疑われる試料を、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片とin vitroで接触させる工程と、抗体または抗原結合断片とHER2を含む複合体の形成を検出する工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年2月13日出願のSG10201801219Vから優先権を請求し、これら出願の内容および要素は、すべての目的のため、本明細書に援用される。
発明の分野
本発明は、HER2タンパク質に結合する抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
乳癌は、世界全体で1年当たり400,000人を超える死亡を伴う、女性における癌死亡の最も一般的な原因である。シンガポールでは、乳癌は、女性において最も頻発する癌であり、シンガポールでは、2007年から2011年までに、8,000人を超える女性が罹患しており、シンガポール人女性における癌症例の約30%となり、シンガポール人女性における癌死亡の主因である(Singapore Cancer Registry,Interim Annual Registry Report, Trends in Cancer Incidence in Singapore)。
【0003】
上皮増殖因子受容体(HER2/HER-2)陽性癌、すなわち、乳癌のおよそ20%~30%の最も侵襲性の癌をターゲティングするモノクローナル抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))の導入により、乳癌治療における転機に至った。HER2は、上皮増殖因子受容体(EGFR/HER1)、HER3およびHER4を含む上皮増殖因子受容体ファミリーの成員である。これらの受容体チロシンキナーゼのホモまたはヘテロ二量体化のいずれかが、細胞内ドメイン残基のリン酸化をもたらして、RAS/Raf経路およびAkt経路を含む下流シグナル伝達カスケードを誘発する。HER2の二量体化は、細胞生存の増加、増殖およびアポトーシスに対する耐性をもたらすことが知られている。
【0004】
トラスツズマブは、HER2陽性乳癌の治療に関して、1998年にFDAにより認可されたヒト化抗体である。トラスツズマブは、HER2のドメインIVに結合し、抗体の作用機序が、いまだに十分理解されていない一方で、細胞周期の停止、免疫介在性の細胞溶解および血管新生の阻害を含むいくつかの効果が観察されている。しかしながら、トラスツズマブ治療に対する奏効率はいまだ低く、15%~30%の範囲である。化学療法と併用したトラスツズマブの使用は、応答の持続期間を延ばす一方で、応答者の大部分が、1年以内に耐性を生じる。
【0005】
耐性のメカニズムは、集中的に研究されてきたが、臨床的に確証されてはいない。耐性の考えうる原因として、トラスツズマブ結合の低減、例えば、HER2との会合時のMUC4糖タンパク質によるトラスツズマブ結合部位の遮蔽、代替HER22非依存的経路、例えばインスリン様増殖因子-I受容体(IGF-IR)によるシグナル伝達、およびPTENおよびPI3K等の下流シグナル伝達分子における突然変異の結果としての構成的なHER2シグナル伝達が挙げられる。
【0006】
さらに、乳癌発症において、HER3/HER2ヘテロ二量体の重要な役割に関する証拠が存在し、トラスツズマブがこうしたヘテロ二量体化を阻害することができないことが、治療に対する耐性における要因となりうる。
【0007】
このことに対処するために、第二世代HER2ヒト化モノクローナル抗体であるペルツズマブ(パージェタ(登録商標))が開発された。ペルツズマブ(パージェタ(登録商標))は、エピトープであるHER2ドメインIIに結合して、これが受容体の二量体化を妨げる。HER2陽性患者において、トラスツズマブと併用したペルツズマブの使用と、有糸分裂阻害薬ドセタキセル(タキソテール(登録商標))の使用とを比較する第III相臨床研究により、新たなレジメンを用いた場合に全生存において著しい改善が示され、2012年に、HER2陽性転移性乳癌患者の治療のための併用療法を認可するようFDAに促した。
【0008】
HER2関連の癌の有病率および現行療法に対する耐性の高いリスクにより、こうした癌を治療するために新たな治療学を開発することの重要性が強調される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、HER2に結合する抗体、または抗原結合断片に関する。重鎖および軽鎖ポリペプチドも開示される。抗体、抗原結合断片およびポリペプチドは、単離および/または精製形態で供給されてもよく、研究、療法および診断における使用に適した組成物へと配合されてもよい。
【0010】
本発明の1つの側面において、抗体、または抗原結合断片が提供され、抗体または抗原結合断片のアミノ酸配列は、アミノ酸配列i)~iii)、またはアミノ酸配列iv)~vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9);
ii) LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10);
iii) LC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11);
iv) HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12);
v) HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13);
vi) HC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14);
あるいは、配列(i)~(vi)の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、それらの変異体(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSであり、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
を含みうる。
【0011】
いくつかの態様において、LC-CDR1は、GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、またはGLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)の1つである。
【0012】
いくつかの態様において、LC-CDR2は、NTNTRSS(配列番号16)、STNSRSS(配列番号22)、TTNIRSS(配列番号28)、またはSTNTRSS(配列番号33)の1つである。
【0013】
いくつかの態様において、LC-CDR3は、VLYVGDGIWV(配列番号17)、VLYMGSGISV(配列番号23)、MLYMGSGIWV(配列番号29)、またはVLYMGSGIWV(配列番号34)の1つである。
【0014】
いくつかの態様において、HC-CDR1は、SYYIH(配列番号18)、SSSYYWG(配列番号24)、GYYWS(配列番号30)、またはSSNWWS(配列番号35)の1つである。
【0015】
いくつかの態様において、HC-CDR2は、IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、またはEIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)の1つである。
【0016】
いくつかの態様において、HC-CDR3は、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)、またはMGANSGGYLYGMDV(配列番号37)の1つである。
【0017】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9)、
LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10)、
LC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11)
(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSである)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含みうる。
【0018】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、
LC-CDR2:NTNTRSS(配列番号16)、
LC-CDR3:VLYVGDGIWV(配列番号17)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含みうる。
【0019】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、
LC-CDR2:STNSRSS(配列番号22)、
LC-CDR3:VLYMGSGISV(配列番号23)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含みうる。
【0020】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)、
LC-CDR2:TTNIRSS(配列番号28)、
LC-CDR3:MLYMGSGIWV(配列番号29)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含みうる。
【0021】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)、
LC-CDR2:STNTRSS(配列番号33)、
LC-CDR3:VLYMGSGIWV(配列番号34)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含みうる。
【0022】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12)、
HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13)、
HC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14)
(式中、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含みうる。
【0023】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:SYYIH(配列番号18)、
HC-CDR2:IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、
HC-CDR3:EIASYSGSYYDY(配列番号20)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含みうる。
【0024】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:SSSYYWG(配列番号24)、
HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、
HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含みうる。
【0025】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GYYWS(配列番号30)、
HC-CDR2:EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、
HC-CDR3:MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含みうる。
【0026】
いくつかの態様において、抗体、または抗原結合断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:SSNWWS(配列番号35)、
HC-CDR2:EIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)、
HC-CDR3:MGANSGGYLYGMDV(配列番号37)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含みうる。
【0027】
抗体は、配列番号1、15、16、17;または2、21、22、23;または3、27、28、29;または4、33、34、35の1つのアミノ酸配列、あるいは配列番号1、15、16、17;または2、21、22、23;または3、27、28、29;または4、33、34、35に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域(V)を含みうる。
【0028】
抗体は、配列番号5、18、19、20;または6、24、25、26;または7、30、31、32;または8、36、37、38の1つのアミノ酸配列、あるいは配列番号5、18、19、20;または6、24、25、26;または7、30、31、32;または8、36、37、38に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの重鎖可変領域(V)を含みうる。
【0029】
抗体は、配列番号1、15、16、17;または2、21、22、23;または3、27、28、29;または4、33、34、35の1つのアミノ酸配列、あるいは配列番号1、15、16、17;または2、21、22、23;または3、27、28、29;または4、33、34、35に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域(V)、および配列番号5、18、19、20;または6、24、25、26;または7、30、31、32;または8、36、37、38の1つのアミノ酸配列、あるいは配列番号5、18、19、20;または6、24、25、26;または7、30、31、32;または8、36、37、38に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つの重鎖可変領域(V)を含みうる。
【0030】
本明細書に提供する抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、HER2を、所望によりヒトまたはネズミHER2を所望により結合しうる。抗体、抗原結合断片、ポリペプチドは、ヒト、アカゲザルおよび/またはネズミHER2に特異的に結合しうる。抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、所望により、上述のようなアミノ酸配列構成要素を有しうる。抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、IgGであってもよく、またはIgGに由来されてもよい。抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、約140~160kDa、好ましくは約150kDaの分子量を有しうる。1つの態様において、HER2に結合した、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドを含む、所望により単離されたin vitro複合体が提供される。
【0031】
本発明の1つの側面において、単離された軽鎖可変領域ポリペプチドが提供され、軽鎖可変領域ポリペプチドは、以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9)、
LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10)、
LC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11)
(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSである)
を含む。
【0032】
いくつかの態様において、単離された軽鎖可変領域ポリペプチドは、本明細書記載の重鎖可変領域ポリペプチドと組み合わせて提供される。
いくつかの態様において、LC-CDR1は、GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、またはGLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)の1つである。いくつかの態様において、LC-CDR2は、NTNTRSS(配列番号16)、STNSRSS(配列番号22)、TTNIRSS(配列番号28)、またはSTNTRSS(配列番号33)の1つである。いくつかの態様において、LC-CDR3は、VLYVGDGIWV(配列番号17)、VLYMGSGISV(配列番号23)、MLYMGSGIWV(配列番号29)、またはVLYMGSGIWV(配列番号34)の1つである。いくつかの態様において、単離された軽鎖可変領域ポリペプチドは、HER2に結合することが可能である。
【0033】
本発明の1つの側面において、軽鎖配列:配列番号1、2、3、または4(図1A図1D)に少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域ポリペプチドが提供される。いくつかの態様において、単離された軽鎖可変領域ポリペプチドは、HER2に結合することが可能である。
【0034】
本発明の1つの側面において、単離された重鎖可変領域ポリペプチドが提供され、重鎖可変領域ポリペプチドは、以下のCDR:
HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12)、
HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13)、
HC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14)
(式中、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
を含む。
【0035】
いくつかの態様において、単離された重鎖可変領域ポリペプチドは、本明細書記載の軽鎖可変領域ポリペプチドと組み合わせて提供される。
いくつかの態様において、HC-CDR1は、SYYIH(配列番号18)、SSSYYWG(配列番号24)、GYYWS(配列番号30)、またはSSNWWS(配列番号35)の1つである。いくつかの態様において、HC-CDR2は、IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、またはEIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)の1つである。いくつかの態様において、HC-CDR3は、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)、またはMGANSGGYLYGMDV(配列番号37)の1つである。いくつかの態様において、単離された重鎖可変領域ポリペプチドは、HER2に結合することが可能である。
【0036】
本発明の1つの側面において、配列番号5、6、7、または8(図2A図2D)の重鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された重鎖可変領域ポリペプチドが提供される。いくつかの態様において、単離された重鎖可変領域ポリペプチドは、HER2に結合することが可能である。
【0037】
本発明の1つ態様において、抗体、または抗原結合断片が提供され、該抗体、または抗原結合断片は、重鎖および軽鎖可変領域配列を含み、ここで、
軽鎖は、それぞれ、LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9)、GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、またはGLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)の1つ、LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10)、NTNTRSS(配列番号16)、STNSRSS(配列番号22)、TTNIRSS(配列番号28)、またはSTNTRSS(配列番号33)の1つ、およびLC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11)、VLYVGDGIWV(配列番号17)、VLYMGSGISV(配列番号23)、MLYMGSGIWV(配列番号29)、またはVLYMGSGIWV(配列番号34)の1つ
(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSである)
に少なくとも85%の全配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み、
重鎖は、それぞれ、HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12)、SYYIH(配列番号18)、SSSYYWG(配列番号24)、GYYWS(配列番号30)、またはSSNWWS(配列番号35)の1つ、HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13)、IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、またはEIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)の1つ、およびHC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)、またはMGANSGGYLYGMDV(配列番号37)の1つ
(式中、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
に少なくとも85%の全配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む。
【0038】
いくつかの態様において、配列同一性の度合いは、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つであってもよい。
【0039】
本発明の別の態様において、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体または抗原結合断片が提供され、ここで、
軽鎖配列は、配列番号1、2、3、または4(図1A図1D)の軽鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有し、
重鎖配列は、配列番号5、6、7、または8(図2A図2D)の重鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0040】
いくつかの態様において、配列同一性の度合いは、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つであってもよい。
【0041】
本発明の別の側面において、アミノ酸配列i)~iii)、またはアミノ酸配列iv)~vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)~vi):
i)LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、RASQSVRNNLA(配列番号120)、GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、RASQSVSSSYLA(配列番号161)、RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、RASQGISSWLA(配列番号226)、RASRSVGKYLA(配列番号247)、GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、RASQSVSSYLA(配列番号270)、GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)の1つ、
ii)LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、KVSNRDS(配列番号94)、SGSNRAS(配列番号111);YASTRAT(配列番号121)、STSNKHS(配列番号139)、LGSHRAS(配列番号146)、LGSNRAP(配列番号155)、GASSRAT(配列番号162)、LGSFRAS(配列番号171)、DNSNRPS(配列番号187)、STNLRSS(配列番号195)、KVSDRDS(配列番号204)、KVSKRDS(配列番号212)、LGSDRAS(配列番号218)、AASSLQS(配列番号227)、YKSDSDKQQGS(配列番号262)、DASTRAS(配列番号248)、STNTRSS(配列番号33)、DASNRAT(配列番号271)、NTDIRFS(配列番号280)、RNNDRPS(配列番号288)の1つ、
iii)LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)、MLGTHWPPMYI(配列番号85)、MQGTHWPLT(配列番号95)、MQALQTPWT(配列番号103)、MQGTHWPPT(配列番号112)、QHYGSSRT(配列番号122)、MAGLQTPRLT(配列番号130)、LLYYGGARV(配列番号140)、MQALQTPLT(配列番号147)、QQYGSSPRT(配列番号163)、MHALSTPPWT(配列番号172)、MQGTHWPGT(配列番号180)、GTWDSYLNIWV(配列番号188)、ELYMGSGISV(配列番号196)、MQGTHWPQT(配列番号205)、MQALQTPRT(配列番号219)、QQANSFPPT(配列番号228)、QQYGSSSA(配列番号233)、MIWHSSAWV(配列番号263)、QHYGTSPPFI(配列番号249)、VLYMGNGISV(配列番号256)、QQRSNWPLT(配列番号272)、VLYMGSGISV(配列番号23)、SAWDSSLKVQV(配列番号289)の1つ、
iv)HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、SAAAAWN(配列番号86)、SYAMH(配列番号96)、SFAMN(配列番号113)、SYGIS(配列番号123)、SYAMS(配列番号131)、SYAIS(配列番号148)、TYTMH(配列番号173)、GYYWS(配列番号30)、SYWIG(配列番号197)、NYGMH(配列番号234)、SYAIH(配列番号241)、SSSYYWG(配列番号24)、DYYIH(配列番号281)の1つ、
v)HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)の1つ、
vi)HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)、GSIFDV(配列番号88)、SRGYYGMDV(配列番号97)、GGYLVGY(配列番号105)、AYGSGGHYFFAY(配列番号115)、DWGSSWSDY(配列番号125)、TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)、DRGYYGMDV(配列番号141)、GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)、SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)、GLVPAASMDV(配列番号165)、SRVGALDY(配列番号175)、SRGYSGYDN(配列番号181)、GLPYYYFDY(配列番号189)、LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)、EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)、HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)、VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)、SYDSSGYYYFDY(配列番号250)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MTTEDY(配列番号265)、DGSAWSRPY(配列番号274)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、GADWNSDY(配列番号290)の1つ、
あるいは、配列(i)~(vi)の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、それらの変異体を有する、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片またはポリペプチドが提供される。
【0042】
本発明の別の態様において、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドが提供され、ここで、
軽鎖は、LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、RASQSVRNNLA(配列番号120)、GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、RASQSVSSSYLA(配列番号161)、RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、RASQGISSWLA(配列番号226)、RASRSVGKYLA(配列番号247)、GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、RASQSVSSYLA(配列番号270)、GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)の1つ、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、KVSNRDS(配列番号94)、SGSNRAS(配列番号111);YASTRAT(配列番号121)、STSNKHS(配列番号139)、LGSHRAS(配列番号146)、LGSNRAP(配列番号155)、GASSRAT(配列番号162)、LGSFRAS(配列番号171)、DNSNRPS(配列番号187)、STNLRSS(配列番号195)、KVSDRDS(配列番号204)、KVSKRDS(配列番号212)、LGSDRAS(配列番号218)、AASSLQS(配列番号227)、YKSDSDKQQGS(配列番号262)、DASTRAS(配列番号248)、STNTRSS(配列番号33)、DASNRAT(配列番号271)、NTDIRFS(配列番号280)、RNNDRPS(配列番号288)の1つ、
LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)、MLGTHWPPMYI(配列番号85)、MQGTHWPLT(配列番号95)、MQALQTPWT(配列番号103)、MQGTHWPPT(配列番号112)、QHYGSSRT(配列番号122)、MAGLQTPRLT(配列番号130)、LLYYGGARV(配列番号140)、MQALQTPLT(配列番号147)、QQYGSSPRT(配列番号163)、MHALSTPPWT(配列番号172)、MQGTHWPGT(配列番号180)、GTWDSYLNIWV(配列番号188)、ELYMGSGISV(配列番号196)、MQGTHWPQT(配列番号205)、MQALQTPRT(配列番号219)、QQANSFPPT(配列番号228)、QQYGSSSA(配列番号233)、MIWHSSAWV(配列番号263)、QHYGTSPPFI(配列番号249)、VLYMGNGISV(配列番号256)、QQRSNWPLT(配列番号272)、VLYMGSGISV(配列番号23)、SAWDSSLKVQV(配列番号289)の1つ
に少なくとも85%の全配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み、
重鎖は、HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、SAAAAWN(配列番号86)、SYAMH(配列番号96)、SFAMN(配列番号113)、SYGIS(配列番号123)、SYAMS(配列番号131)、SYAIS(配列番号148)、TYTMH(配列番号173)、GYYWS(配列番号30)、SYWIG(配列番号197)、NYGMH(配列番号234)、SYAIH(配列番号241)、SSSYYWG(配列番号24)、DYYIH(配列番号281)の1つ、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)の1つ、
HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)、GSIFDV(配列番号88)、SRGYYGMDV(配列番号97)、GGYLVGY(配列番号105)、AYGSGGHYFFAY(配列番号115)、DWGSSWSDY(配列番号125)、TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)、DRGYYGMDV(配列番号141)、GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)、SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)、GLVPAASMDV(配列番号165)、SRVGALDY(配列番号175)、SRGYSGYDN(配列番号181)、GLPYYYFDY(配列番号189)、LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)、EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)、HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)、VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)、SYDSSGYYYFDY(配列番号250)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MTTEDY(配列番号265)、DGSAWSRPY(配列番号274)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、GADWNSDY(配列番号290)の1つ、
に少なくとも85%の全配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む。
【0043】
いくつかの態様において、配列同一性の度合いは、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のうちの1つであってもよい。
【0044】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0045】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MLGTHWPPMYI(配列番号85)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SAAAAWN(配列番号86)、HC-CDR2:RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、HC-CDR3:GSIFDV(配列番号88)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MLGTHWPPMYI(配列番号85)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SAAAAWN(配列番号86)、HC-CDR2:RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、HC-CDR3:GSIFDV(配列番号88)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0046】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、LC-CDR2:KVSNRDS(配列番号94)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、LC-CDR2:KVSNRDS(配列番号94)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0047】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MQALQTPWT(配列番号103)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、HC-CDR3:GGYLVGY(配列番号105)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MQALQTPWT(配列番号103)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、HC-CDR3:GGYLVGY(配列番号105)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0048】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、LC-CDR2:SGSNRAS(配列番号111)、LC-CDR3:MQGTHWPPT(配列番号112)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SFAMN(配列番号113)、HC-CDR2:TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、HC-CDR3:AYGSGGHYFFAY(配列番号115)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、LC-CDR2:SGSNRAS(配列番号111)、LC-CDR3:MQGTHWPPT(配列番号112)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SFAMN(配列番号113)、HC-CDR2:TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、HC-CDR3:AYGSGGHYFFAY(配列番号115)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0049】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVRNNLA(配列番号120)、LC-CDR2:YASTRAT(配列番号121)、LC-CDR3:QHYGSSRT(配列番号122)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYGIS(配列番号123)、HC-CDR2:WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、HC-CDR3:DWGSSWSDY(配列番号125)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVRNNLA(配列番号120)、LC-CDR2:YASTRAT(配列番号121)、LC-CDR3:QHYGSSRT(配列番号122)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYGIS(配列番号123)、HC-CDR2:WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、HC-CDR3:DWGSSWSDY(配列番号125)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0050】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MAGLQTPRLT(配列番号130)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、HC-CDR2:AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、HC-CDR3:TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MAGLQTPRLT(配列番号130)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、HC-CDR2:AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、HC-CDR3:TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0051】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、LC-CDR2:STSNKHS(配列番号139)、LC-CDR3:LLYYGGARV(配列番号140)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:DRGYYGMDV(配列番号141)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、LC-CDR2:STSNKHS(配列番号139)、LC-CDR3:LLYYGGARV(配列番号140)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:DRGYYGMDV(配列番号141)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0052】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSHRAS(配列番号146)、LC-CDR3:MQALQTPLT(配列番号147)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、HC-CDR3:GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSHRAS(配列番号146)、LC-CDR3:MQALQTPLT(配列番号147)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域、および以下のCDR:HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、HC-CDR3:GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0053】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAP(配列番号155)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAP(配列番号155)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0054】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号161)、LC-CDR2:GASSRAT(配列番号162)、LC-CDR3:QQYGSSPRT(配列番号163)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、HC-CDR2:GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、HC-CDR3:GLVPAASMDV(配列番号165)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号161)、LC-CDR2:GASSRAT(配列番号162)、LC-CDR3:QQYGSSPRT(配列番号163)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、HC-CDR2:GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、HC-CDR3:GLVPAASMDV(配列番号165)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0055】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、LC-CDR2:LGSFRAS(配列番号171)、LC-CDR3:MHALSTPPWT(配列番号172)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:TYTMH(配列番号173)、HC-CDR2:WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、HC-CDR3:SRVGALDY(配列番号175)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、LC-CDR2:LGSFRAS(配列番号171)、LC-CDR3:MHALSTPPWT(配列番号172)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:TYTMH(配列番号173)、HC-CDR2:WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、HC-CDR3:SRVGALDY(配列番号175)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0056】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、LC-CDR2:KVSNRDS(配列番号94)、LC-CDR3:MQGTHWPGT(配列番号180)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYSGYDN(配列番号181)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、LC-CDR2:KVSNRDS(配列番号94)、LC-CDR3:MQGTHWPGT(配列番号180)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYSGYDN(配列番号181)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0057】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、LC-CDR2:DNSNRPS(配列番号187)、LC-CDR3:GTWDSYLNIWV(配列番号188)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:GYYWS(配列番号30)、HC-CDR2:EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、HC-CDR3:GLPYYYFDY(配列番号189)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、LC-CDR2:DNSNRPS(配列番号187)、LC-CDR3:GTWDSYLNIWV(配列番号188)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:GYYWS(配列番号30)、HC-CDR2:EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、HC-CDR3:GLPYYYFDY(配列番号189)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0058】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、LC-CDR2:STNLRSS(配列番号195)、LC-CDR3:ELYMGSGISV(配列番号196)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYWIG(配列番号197)、HC-CDR2:IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、HC-CDR3:LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、LC-CDR2:STNLRSS(配列番号195)、LC-CDR3:ELYMGSGISV(配列番号196)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYWIG(配列番号197)、HC-CDR2:IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、HC-CDR3:LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0059】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、LC-CDR2:KVSDRDS(配列番号204)、LC-CDR3:MQGTHWPQT(配列番号205)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、LC-CDR2:KVSDRDS(配列番号204)、LC-CDR3:MQGTHWPQT(配列番号205)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0060】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、LC-CDR2:KVSKRDS(配列番号212)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、LC-CDR2:KVSKRDS(配列番号212)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0061】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、LC-CDR2:LGSDRAS(配列番号218)、LC-CDR3:MQALQTPRT(配列番号219)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、HC-CDR3:EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、LC-CDR2:LGSDRAS(配列番号218)、LC-CDR3:MQALQTPRT(配列番号219)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、HC-CDR3:EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0062】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQGISSWLA(配列番号226)、LC-CDR2:AASSLQS(配列番号227)、LC-CDR3:QQANSFPPT(配列番号228)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQGISSWLA(配列番号226)、LC-CDR2:AASSLQS(配列番号227)、LC-CDR3:QQANSFPPT(配列番号228)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0063】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号161)、LC-CDR2:GASSRAT(配列番号162)、LC-CDR3:QQYGSSSA(配列番号233)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:NYGMH(配列番号234)、HC-CDR2:FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、HC-CDR3:HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号161)、LC-CDR2:GASSRAT(配列番号162)、LC-CDR3:QQYGSSSA(配列番号233)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:NYGMH(配列番号234)、HC-CDR2:FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、HC-CDR3:HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0064】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MQGTHWPGT(配列番号180)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIH(配列番号241)、HC-CDR2:AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、HC-CDR3:VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、LC-CDR3:MQGTHWPGT(配列番号180)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIH(配列番号241)、HC-CDR2:AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、HC-CDR3:VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0065】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASRSVGKYLA(配列番号247)、LC-CDR2:DASTRAS(配列番号248)、LC-CDR3:QHYGTSPPFI(配列番号249)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、HC-CDR3:SYDSSGYYYFDY(配列番号250)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASRSVGKYLA(配列番号247)、LC-CDR2:DASTRAS(配列番号248)、LC-CDR3:QHYGTSPPFI(配列番号249)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、HC-CDR3:SYDSSGYYYFDY(配列番号250)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0066】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、LC-CDR2:STNTRSS(配列番号33)、LC-CDR3:VLYMGNGISV(配列番号256)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SSSYYWG(配列番号24)、HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、LC-CDR2:STNTRSS(配列番号33)、LC-CDR3:VLYMGNGISV(配列番号256)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SSSYYWG(配列番号24)、HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0067】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、LC-CDR2:YKSDSDKQQGS(配列番号262)、LC-CDR3:MIWHSSAWV(配列番号263)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、HC-CDR3:MTTEDY(配列番号265)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、LC-CDR2:YKSDSDKQQGS(配列番号262)、LC-CDR3:MIWHSSAWV(配列番号263)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、HC-CDR2:VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、HC-CDR3:MTTEDY(配列番号265)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0068】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVSSYLA(配列番号270)、LC-CDR2:DASNRAT(配列番号271)、LC-CDR3:QQRSNWPLT(配列番号272)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、HC-CDR2:SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、HC-CDR3:DGSAWSRPY(配列番号274)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RASQSVSSYLA(配列番号270)、LC-CDR2:DASNRAT(配列番号271)、LC-CDR3:QQRSNWPLT(配列番号272)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、HC-CDR2:SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、HC-CDR3:DGSAWSRPY(配列番号274)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0069】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、LC-CDR2:NTDIRFS(配列番号280)、LC-CDR3:VLYMGSGISV(配列番号23)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:DYYIH(配列番号281)、HC-CDR2:WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)、HC-CDR3:EIASYSGSYYDY(配列番号20)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、LC-CDR2:NTDIRFS(配列番号280)、LC-CDR3:VLYMGSGISV(配列番号23)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:DYYIH(配列番号281)、HC-CDR2:WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)、HC-CDR3:EIASYSGSYYDY(配列番号20)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0070】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)、LC-CDR2:RNNDRPS(配列番号288)、LC-CDR3:SAWDSSLKVQV(配列番号289)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、HC-CDR3:GADWNSDY(配列番号290)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)、LC-CDR2:RNNDRPS(配列番号288)、LC-CDR3:SAWDSSLKVQV(配列番号289)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、HC-CDR3:GADWNSDY(配列番号290)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0071】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAP(配列番号155)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下のCDR:LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、LC-CDR2:LGSNRAP(配列番号155)、LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、以下のCDR:HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、HC-CDR3:SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0072】
本発明の別の側面において、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドが提供され、ここで、
軽鎖配列は、配列番号72、82、91、100、108、118、128、136、144、153、159、168、178、184、192、202、209、215、224、231、239、245、253、259、268、277、285、または293の軽鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有し、
重鎖配列は、配列番号73、83、92、101、109、119、129、137、145、154、160、169、179、185、193、203、210、216、225、232、240、246、254、260、269、278、286、または294の重鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0073】
いくつかの態様において、配列同一性の度合いは、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のうちの1つであってもよい。
【0074】
いくつかの態様において、以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、RASQSVRNNLA(配列番号120)、GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、RASQSVSSSYLA(配列番号161)、RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、RASQGISSWLA(配列番号226)、RASRSVGKYLA(配列番号247)、GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、RASQSVSSYLA(配列番号270)、GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、または、TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)の1つ、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、KVSNRDS(配列番号94)、SGSNRAS(配列番号111);YASTRAT(配列番号121)、STSNKHS(配列番号139)、LGSHRAS(配列番号146)、LGSNRAP(配列番号155)、GASSRAT(配列番号162)、LGSFRAS(配列番号171)、DNSNRPS(配列番号187)、STNLRSS(配列番号195)、KVSDRDS(配列番号204)、KVSKRDS(配列番号212)、LGSDRAS(配列番号218)、AASSLQS(配列番号227)、YKSDSDKQQGS(配列番号262)、DASTRAS(配列番号248)、STNTRSS(配列番号33)、DASNRAT(配列番号271)、NTDIRFS(配列番号280)、または、RNNDRPS(配列番号288)の1つ、
LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)、MLGTHWPPMYI(配列番号85)、MQGTHWPLT(配列番号95)、MQALQTPWT(配列番号103)、MQGTHWPPT(配列番号112)、QHYGSSRT(配列番号122)、MAGLQTPRLT(配列番号130)、LLYYGGARV(配列番号140)、MQALQTPLT(配列番号147)、QQYGSSPRT(配列番号163)、MHALSTPPWT(配列番号172)、MQGTHWPGT(配列番号180)、GTWDSYLNIWV(配列番号188)、ELYMGSGISV(配列番号196)、MQGTHWPQT(配列番号205)、MQALQTPRT(配列番号219)、QQANSFPPT(配列番号228)、QQYGSSSA(配列番号233)、MIWHSSAWV(配列番号263)、QHYGTSPPFI(配列番号249)、VLYMGNGISV(配列番号256)、QQRSNWPLT(配列番号272)、VLYMGSGISV(配列番号23)、または、SAWDSSLKVQV(配列番号289)の1つ
を含む、単離された軽鎖可変領域ポリペプチドが提供される。
【0075】
いくつかの態様において、以下のCDR:
HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、SAAAAWN(配列番号86)、SYAMH(配列番号96)、SFAMN(配列番号113)、SYGIS(配列番号123)、SYAMS(配列番号131)、SYAIS(配列番号148)、TYTMH(配列番号173)、GYYWS(配列番号30)、SYWIG(配列番号197)、NYGMH(配列番号234)、SYAIH(配列番号241)、SSSYYWG(配列番号24)、または、DYYIH(配列番号281)の1つ、
VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、または、WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)の1つ、
HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)、GSIFDV(配列番号88)、SRGYYGMDV(配列番号97)、GGYLVGY(配列番号105)、AYGSGGHYFFAY(配列番号115)、DWGSSWSDY(配列番号125)、TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)、DRGYYGMDV(配列番号141)、GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)、SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)、GLVPAASMDV(配列番号165)、SRVGALDY(配列番号175)、SRGYSGYDN(配列番号181)、GLPYYYFDY(配列番号189)、LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)、EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)、HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)、VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)、SYDSSGYYYFDY(配列番号250)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MTTEDY(配列番号265)、DGSAWSRPY(配列番号274)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、または、GADWNSDY(配列番号290)の1つ
を含む、単離された重鎖可変領域ポリペプチドが提供される。
【0076】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、本明細書記載のCDR配列のいずれか6つを含む。いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、本明細書記載のいずれか3つの軽鎖(「LC」)CDR配列、および/または本明細書記載のいずれか3つの重鎖(「HC」)CDR配列を含む。
【0077】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、式:LCFR1-CDR1-LCFR2-CDR2-LCFR3-CDR3-LCFR4にしたがってCDR間に可変領域軽鎖フレームワーク配列をさらに含む。フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来しうる。
【0078】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、式:HCFR1-CDR1-HCFR2-CDR2-HCFR3-CDR3-HCFR4にしたがってCDR間に可変領域重鎖フレームワーク配列をさらに含む。フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来しうる。
【0079】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の1つから選択されるヒト定常領域をさらに含んでもよい。
【0080】
いくつかの態様において、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、例えばIgG1、IgG2A、IgG2BおよびIgG3の1つから選択されるネズミ定常領域をさらに含んでもよい。
【0081】
本発明の別の側面において、薬物部分または検出可能な部分にコンジュゲート化された抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドが提供される。薬物部分は、抗癌薬部分であってもよい。
【0082】
本発明の別の側面において、組成物が提供される。組成物は、例えば、薬学的組成物または医薬であってもよい。組成物は、本明細書中記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドを含みうる。組成物は、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチド、および少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアー、賦形剤、アジュバントまたは希釈剤を含みうる。組成物は、所望により少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアー、賦形剤、アジュバントまたは希釈剤とともに、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチド、および少なくとも1つの抗癌剤を含みうる。
【0083】
本発明の別の側面において、HER2に結合した本明細書記載の抗体、または抗原結合断片、またはポリペプチドを含むin vitro複合体が提供される。in vitro複合体は、単離されてもよい。
【0084】
本発明の任意の側面において、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、細胞膜破壊により細胞死を誘導しうる。本発明の任意の側面において、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、アポトーシスによって細胞死を誘導しうる。アポトーシスプロセスは、カスパーゼ3/7経路を通じて進行する可能性があり、所望によりPARP切断に関与しうる。本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、カスパーゼ3/7の活性化を誘導して、PARP切断を誘発しうる。細胞膜破壊またはアポトーシスによって引き起こされる細胞死は、HER2に結合している本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドによって誘導されうる。
【0085】
本発明の別の側面において、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドをコードする、所望により単離された核酸が提供される。核酸は、配列番号38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、または69の1つまたはそれより多くの配列、あるいは遺伝子コードの結果として縮重しているコード配列を含んでもよく、またはそれらに少なくとも70%の同一性、所望により75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの同一性を有するヌクレオチド配列を有してもよい。核酸は、配列番号70、71、80、81、89、90、98、99、106、107、116、117、126、127、134、135、142、143、151、152、157、158、166、167、176、177、182、183、190、191、200、201、207、208、213、214、222、223、229、230、237、238、243、244、251、252、257、258、266、267、275、276、283、284、291、または292の1つまたはそれより多くの配列、または遺伝子コードの結果として縮重しているコード配列を含んでもよく、あるいはそれらに少なくとも70%の同一性、所望により75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの同一性を有するヌクレオチド配列を有してもよい。遺伝子コードの結果として縮重しているコード配列は、遺伝子コードの重複性により等価なポリペプチド配列をコードするコード配列を指す。
【0086】
本発明の1つの側面において、本明細書記載の核酸を含むベクターが提供される。本発明の別の側面において、ベクターを含む細胞が提供される。例えば、細胞は、真核生物、または哺乳動物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒトまたは非ヒトであってもよく、あるいは原核細胞、例えば大腸菌(E. coli)であってもよい。
【0087】
本発明の1つの側面において、本明細書記載の抗体、または抗原結合断片またはポリペプチドを作製する方法が提供され、該方法は、本明細書記載の細胞を、本明細書記載の核酸またはベクターからの抗体、または抗原結合断片またはポリペプチドの発現に適した条件下で培養する工程を含む。
【0088】
本発明の別の側面において、療法における、または医学的治療の方法における使用のための、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、細胞または組成物が提供される。本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、細胞または組成物は、医学的治療または予防の方法において用いられてもよい。
【0089】
本発明の別の側面において、癌の治療における使用のための、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、細胞または組成物が提供され、例えば、癌を治療または予防する方法における使用のための、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、細胞または組成物が提供される。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性(HER2+)癌である。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性腫瘍細胞を含む。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性腫瘍を含む。いくつかの態様において、治療は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、治療剤と併用して投与する工程を含む。いくつかの態様において、治療剤は、抗癌剤である。いくつかの態様において、治療剤は、抗HER2抗体である。いくつかの態様において、治療剤は、トラスツズマブまたはペルツズマブであってもよい。
【0090】
本発明の別の側面において、癌の治療における使用のための医薬の製造における本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物の使用が提供される。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性(HER2+)癌である。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性腫瘍細胞を含む。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性腫瘍を含む。
【0091】
本発明の別の側面において、癌を治療する方法が提供され、該方法は、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、癌を患う患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性(HER2+)癌である。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性腫瘍細胞を含む。いくつかの態様において、癌は、HER2陽性腫瘍を含む。いくつかの態様において、該方法は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、治療剤と併用して投与する工程を含む。いくつかの態様において、治療剤は、抗癌剤である。いくつかの態様において、治療剤は、HER2をターゲティングする剤である。いくつかの態様において、治療剤は、抗HER2抗体である。いくつかの態様において、治療剤は、トラスツズマブまたはペルツズマブであってもよい。
【0092】
本発明の別の側面において、腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、該細胞に、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、または組成物を投与する工程を含む方法が提供される。該方法は、in vitroで、またはin vivoで実施されうる。いくつかの態様において、被験体において腫瘍細胞の成長を阻害する方法が提供され、該方法は、被験体に、療法的に有効な量の本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、または組成物を投与する工程を含む。また、被験体において腫瘍細胞の成長を阻害する方法における使用のための、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、または組成物が提供される。いくつかの態様において、腫瘍細胞の成長を阻害する方法は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、本明細書記載の治療剤と併用して投与する工程を含む。
【0093】
また、腫瘍細胞を死滅させる方法が提供され、該方法は、該細胞に、本明細書記の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、または組成物を投与する工程を含む。該方法は、in vitroで、またはin vivoで実施されうる。いくつかの態様において、被験体において腫瘍細胞を死滅させる方法が提供され、該方法は、被験体に、療法的に有効な量の本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、または組成物を投与する工程を含む。いくつかの態様において、腫瘍細胞を死滅させる方法は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、本明細書記載の治療剤と併用して投与する工程を含む。腫瘍細胞の死滅は、例えば、膜破壊、細胞溶解、アポトーシスの誘導、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)の結果として、または抗体、抗原結合断片またはポリペプチドにコンジュゲート化された薬物の作用を通じて見られうる。また、本明細書記載の、例えば被験体において腫瘍細胞を死滅させる方法における使用のための、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、または組成物もまた提供される。
【0094】
本発明の別の側面において、HER2を含有するか、またはHER2を含有すると疑われる試料を、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドと接触させる工程と、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチド、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む方法が提供される。
【0095】
本発明の別の側面において、被験体において疾患または状態を診断する方法が提供され、該方法は、被験体由来の試料を、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドと、in vitroで接触させる工程と、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチド、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む。
【0096】
本発明の別の側面において、HER2にターゲティングされる剤による治療に関して、被験体を選択または階層化する方法が提供され、該方法は、被験由来の試料を、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドと、in vitroで接触させる工程と、抗体、または抗原結合断片、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む。
【0097】
本発明のさらなる側面において、in vitroでのHER2の検出のための、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドの使用が提供される。本発明の別の側面において、in vitro診断剤としての本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドの使用が提供される。
【0098】
本発明の方法において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、本明細書記載の組成物として提供されてもよい。
本発明はまた、本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0099】
本発明はまた、HER2に結合した本発明によるCARを含む、所望により単離されたin vitro複合体を提供する。
本発明はまた、本発明によるCARをコードする、所望により単離された核酸を提供する。
【0100】
本発明はまた、本発明による核酸を含む発現ベクターを提供する。
本発明はまた、本発明によるCAR、核酸、または発現ベクターを含む細胞を提供する。
【0101】
本発明はまた、本発明によるCAR、核酸、発現ベクターまたは細胞を含む組成物を提供する。
本発明はまた、医学的治療または予防の方法における使用のための、本発明によるCAR、核酸、発現ベクター、細胞または組成物を提供する。本発明はまた、癌を治療するかまたは防止する方法における使用のための、本発明によるCAR、核酸、発現ベクター、細胞または組成物を提供する。
【0102】
任意の側面または態様において、抗体は、本明細書記載のクローンP1A3、P1C5、P1E4、またはP1F1であってもよい。任意の側面または態様において、抗体は、本明細書記載のクローンPFA4、PFB4、PFB5、PFC3、PFD4、PFE1、PFF5、またはPFG3であってもよい。任意の側面または態様において、抗体は、本明細書記載のクローンPFA1、PFA2、PFA5、PFB1、PFB2、PFB3、PFC2、PFC4、PFD1、PFD2、PFD3、PFE2、PFE5、PFF2、PFF3、PFF4、PFG1、PFG2、PFG4、またはPFG5であってもよい。
【0103】
本発明の原理を例示する態様および実験を、ここで、付随する図を参照しながら論じる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】抗HER2抗体クローン(A)P1A3、(B)P1C5、(C)P1E4、および(D)P1F1に関する軽鎖可変ドメインアミノ酸配列。CDRには下線を付してある。
図2】抗HER2抗体クローン(A)P1A3、(B)P1C5、(C)P1E4、および(D)P1F1に関する重鎖可変ドメインアミノ酸配列。CDRには下線を付してある。
図3】抗体ファージディスプレイライブラリーから選択される細菌産生粗製Fabによる固定化HER2タンパク質への結合。
図4】SPRアッセイにおけるマイクロチップ上に固定化されたHER-2、EGFR、およびHER-3への、P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1の結合。トラスツズマブを、HER2陽性結合剤対照として用いた。
図5】HER-2過剰発現細胞(A)、低発現細胞(B)または非発現細胞(C)への、P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1の結合。トラスツズマブを、陽性結合剤対照として、二次抗体単独を、陰性対照として用いた。
図6】HER-2過剰発現細胞SK-BR-3または低発現BT-20およびMCF-7細胞への、P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1の結合の用量効果。種々の濃度の抗体の存在下での細胞のインキュベーション後の平均蛍光強度(MFI)を示し、結合は、フルオロ標識された二次抗体の使用により明らかとなり、トラスツズマブを、陽性結合対照として用いた。
図7】固定化抗体に結合したHER-2への、トラスツズマブ、P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1の結合。P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1は、トラスツマブ上に結合したHER-2に結合する(第1のパネル)。トラスツズマブは、SIgNの抗体のいずれかに結合したHER-2に結合する(他のすべてのパネル)。
図8】溶解緩衝液(溶解陽性対照)、トラスツズマブ、アイソタイプ対照、またはP1A3、P1C5、P1E4もしくはP1F1の存在下でのインキュベーション後のBT-474細胞に対するヨウ化プロピジウムによる染色。ヨウ化プロピジウムによる染色は、細胞溶解の証拠である。
図9】P1E4により誘導されるアポトーシス。P1E4またはトラスツズマブの存在下でのインキュベーション後のBT-474細胞(A)およびSK-BR-3細胞(B)のヨウ化プロピジウムおよびアネキシン-Vによる染色。
図10】P1E4によるカスパーゼ3/7および切断されたPARPを介したアポトーシスの誘発。(A)トラスツズマブ、ペルツズマブまたはP1E4の存在下でのBT-474細胞のインキュベーション後のヨウ化プロピジウムの取り込み。(B)トラスツズマブ、ペルツズマブまたはP1E4の存在下でのBT-474細胞のインキュベーション後のカスパーゼ3/7の活性化。(C)トラスツズマブ、ペルツズマブまたはP1E4とのインキュベーション後のBT-474細胞における切断されたPARPのレベル。
図11】P1E4またはトラスツズマブの存在下でのBT-474細胞のインキュベーション後の細胞溶解の動態。ヨウ化プロピジウム陽性細胞の平均比率±SDを示す。
図12】1μg/mL、5μg/mLまたは25μg/mLの抗体とのインキュベーション後のB-474腫瘍細胞成長に対するP1E4、トラスツズマブおよびペルツズマブの細胞増殖抑制効果。MDA-MB-468細胞成長を陰性対照として用いた。いかなる処置の非存在下でのBT-474細胞の成長と比較した平均細胞成長±SDを示す。
図13】1μg/mL、5μg/mLまたは25μg/mLの抗体とのインキュベーション後のB-474腫瘍細胞成長に対する、単一抗体と比較したP1E4、トラスツズマブおよびペルツズマブの組み合わせの細胞増殖抑制効果(A)。MDA-MB-468(HER-2陰性細胞)細胞成長を陰性対照として用いた(B)。いなかる処置の非存在下でのBT-474細胞の成長と比較した平均細胞成長±SDを示す。
図14】トラスツズマブと比較した、BT-474細胞におけるP1A3、P1C5、P1E4およびP1F1により誘導されるADCC。様々な濃度の抗体の存在下で、エフェクター対ターゲット比10:1で細胞をインキュベートした。平均細胞死±SDを示す。
図15】BT-474細胞を注射して、様々な用量の抗体で処置したヌードマウスにおけるP1E4およびトラスツズマブによる腫瘍制御および退縮。1群当たり5匹のマウスの平均腫瘍容積±SEMを示す。黒線は、抗体処置の開始時の腫瘍サイズを表す。
図16】抗HER2抗体の組み合わせを用いた長期有効腫瘍制御。HER-2+BT-474細胞を注射したヌードマウスを、10mg/kgの抗体で、P1E4、トラスツズマブまたはペルツズマブ抗体の組み合わせで処置した。1群当たり5匹のマウスの平均腫瘍容積±SEMを示す。黒点線は、抗体処置の開始時の腫瘍サイズを表す。
図17】シグナルペプチド(sp)、抗HER2 scFv、IgHヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBおよびCD3ζドメインシグナル伝達尾部を示す抗HER2 CARの構築の模式図。
図18】クローンA4、B4、B5、D4、E1、F5およびG3を含む抗HER2 CAR T細胞の特徴を示すグラフ。(18A)CAR T細胞によるBT474ヒト乳癌細胞の細胞溶解のパーセント。(18B)CAR T細胞によるサイトカイン(IFNγおよびIL-2)産生。
図19】抗HER2 CAR mRNAの模式図。
図20】クローンC3を含む抗HER2 CAR T細胞の特徴を示すグラフ。(20A)CAR T細胞によるBT474ヒト乳癌細胞の細胞溶解のパーセント。(20B)CAR T細胞によるサイトカイン(IFNγおよびIL-2)産生。
【発明を実施するための形態】
【0105】
抗体および抗原結合分子
本発明は、HER2に結合することが可能な抗体および抗原結合分子を提供する。
本発明による抗体は、所望により4~23nMの範囲のKで、HER2(抗原)、好ましくはヒトまたはネズミHER2に結合することが好ましい。
【0106】
本発明による抗体は、単離形態で提供されてもよい。抗体は、実質的に精製された形態で提供されてもよい。
本発明による抗体は、以下の特性の少なくとも1つを示しうる:
a)1μM以下、好ましくは≦100nM、≦75nM、≦50nM、≦40nM、≦30nM、≦20nM、≦15nM、≦12.5nM、≦10nM、≦9nM、≦8nM、≦7nM、≦6nM、≦5nM、≦4nM、≦3nM、≦2nM、≦1nM、≦500pMのK(例えば、SPRによって決定した際)で、ヒトHER2に結合する;
b)HER2過剰発現細胞またはHER2発現細胞に結合して、所望によりHER2陰性細胞に結合しない;
c)トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))が結合するHER2のエピトープとは異なる、HER2、所望によりヒトHER2のエピトープに結合する;
d)所望により細胞膜の破壊によって、HER2発現細胞の細胞死を誘導する;
e)所望によりカスパーゼ3/7経路の活性化および切断されたPARPの活性化によるアポトーシスによって、HER2発現細胞の細胞死を誘導する;
f)適用の40分以内に、HER2発現細胞の細胞死を誘導する;
g)所望によりin vivoで腫瘍成長を阻害する;
h)所望によりin vivoで、所望によりトラスツズマブまたはペルツズマブと併用した際、腫瘍成長の阻害に対して相乗効果を示す。
【0107】
「抗体」とは、本発明者らは、その断片もしくは誘導体、または合成抗体もしくは合成抗体断片を包含する。その断片および誘導体は、「抗原結合分子」または「抗原結合断片」と称されうる。
【0108】
「抗体」または「抗原結合分子」は、ターゲット抗原に結合することが可能な分子を指し、そしてモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性および多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、ならびにこれらが適切なターゲット分子(単数または複数)に結合する限り、抗体断片(例えば、Fv、scFv、Fab、scFab、F(ab’)2、Fab2、diabodies、triabodies、scFv-Fc、ミニボディ、単一ドメイン抗体(例えばVhH)等)を含む。本発明の抗体/抗原結合分子は、ターゲット抗原(単数または複数)に結合することが可能な部分を含む。いくつかの態様において、ターゲット抗原に結合することが可能な部分は、ターゲット抗原に特異的に結合することが可能な抗体の抗体重鎖可変領域(VH)および抗体軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、ターゲット抗原に結合することが可能な部分は、ターゲット抗原に結合することが可能なアプタマー、例えば核酸アプタマーを含むかまたは該アプタマーからなる(例えば、ZhouおよびRossi Nat Rev Drug Discov. 2017 16(3):181-202に概説される)。いくつかの態様において、ターゲット抗原に結合することが可能な部分は、抗原結合ペプチド/ポリペプチド、例えばペプチドアプタマー、チオレドキシン、モノボディ、アンチカリン、クニッツ・ドメイン、アビマー、ノッチン、フィノマー(fynomer)、アトリマー(atrimer)、DARPin、アフィボディ、ナノボディ(すなわち単一ドメイン抗体(dsAb))、アフィリン、アルマジロリピートタンパク質(ArmRP)、OBodyまたはフィブロネクチンを含むかまたはこれらからなり、例えば、本明細書にその全体が援用される、Reverdattoら, Curr Top Med Chem. 2015; 15(12): 1082-1101に概説される(例えばまた、Boersmaら, J Biol Chem (2011) 286:41273-85およびEmanuelら, Mabs (2011) 3:38-48も参照されたい)。
【0109】
モノクローナル抗体技術に関連する今日の技法を考慮すると、ほとんどの抗原に対する抗体を調製することができる。抗原結合部は、抗体の一部(例えば、Fab断片)または合成抗体断片(例えば、単鎖Fv断片[ScFv])であってもよい。選択された抗原に対する適切なモノクローナル抗体は、既知の技法、例えば「Monoclonal Antibodies: A manual of techniques」, H Zola (CRC Press, 1988)および「Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications」, J G R Hurrell (CRC Press, 1982)に開示される技法によって調製されうる。キメラ抗体は、Neubergerら(1988, 8th International Biotechnology Symposium Part 2, 792-799)によって論述されている。
【0110】
モノクローナル抗体(mAb)は、本発明の方法において有用であり、抗原上の単一エピトープを特異的にターゲティングする抗体の同種集団である。
ポリクローナル抗体は、本発明の方法において有用である。単一特異性ポリクローナル抗体が好ましい。当該技術分野において周知の方法を用いて、適切なポリクローナル抗体を調製することができる。
【0111】
FabおよびFab断片等の抗体の抗原結合断片を使用および/または提供してもよく、同様に、遺伝子操作された抗体および抗体断片も使用および/または提供することもできる。抗体の可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)ドメインは抗原認識に関与し、これは、初期のプロテアーゼ消化実験によって最初に認識された事実である。さらなる確認は、齧歯類抗体の「ヒト化」によって見出された。得られた抗体が、齧歯類を親とする(parented)抗原特異性を保持するように、齧歯類起源の可変ドメインを、ヒト起源の定常ドメインに融合させることができる(Morrisonら(1984) Proc. Natl. Acad. Sd. USA 81, 6851-6855)。
【0112】
すべてが1つまたはそれより多くの可変ドメインを含有する抗原断片の細菌発現を含む実験から知られているように、当該抗原特異性は、可変ドメインによって付与され、定常ドメインとは無関係である。これらの分子として、Fab様分子(Betterら(1988) Science 240, 1041);Fv分子(Skerraら(1988) Science 240, 1038);VおよびVパートナードメインが柔軟なオリゴペプチドを介して連結される単鎖Fv(ScFv)分子(Birdら(1988) Science 242, 423;Hustonら(1988) Proc. Natl. Acad. Sd. USA 85, 5879)および単離されたVドメインを含む単一ドメイン抗体(dAbs)(Wardら(1989) Nature 341, 544)が挙げられる。特異的結合部位を保持する抗体断片の合成に関与する技法の総説は、Winter & Milstein (1991)Nature 349, 293- 299に見出されうる。
【0113】
「ScFv」分子とは、本発明者らは、VおよびVLパートナードメインが、例えば柔軟なオリゴペプチドによって共有連結される分子を意味する。
Fab、Fv、ScFvおよびdAb断片はすべて、大腸菌(E. coli)で発現されて、大腸菌から分泌されてもよく、したがって、大量の前記断片の容易な産生を可能にする。HER2に結合する合成抗体はまた、当該技術分野に周知であるようなファージディスプレイ技術を使用して作製されてもよい。
【0114】
抗体は概して、6つの相補性決定領域CDR;重鎖可変(VH)領域の3つ:HC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3、ならびに軽鎖可変(VL)領域の3つ:LC-CDR1、LC-CDR2、およびLC-CDR3を含む。6つのCDRはともに、ターゲット抗原に結合する抗体の一部である抗体のパラトープを規定する。
【0115】
VH領域およびVL領域は、各CDRの両側にフレームワーク領域(FR)を含み、これらが、CDRに対するスカフォールドを提供する。N末端からC末端まで、VH領域は、以下の構造:N末端-[HC-FR1]-[HC-CDR1]-[HC-FR2]-[HC-CDR2]-[HC-FR3]-[HC-CDR3]-[HC-FR4]-C末端を含み、VL領域は、以下の構造:N末端-[LC-FR1]-[LC-CDR1]-[LC-FR2]-[LC-CDR2]-[LC-FR3]-[LC-CDR3]-[LC-FR4]-C末端を含む。
【0116】
Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)、Chothiaら, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)に記載されるもの、Retterら, Nucl. Acids Res. (2005) 33 (suppl 1): D671-D674に記載されるようなVBASE2、およびLefrancら, Dev. Comp. Immunol. (2003) 27:55-77に記載されるようなIMGT V-DOMAINナンバリング規則を使用する国際IMGT(ImMunoGeneTics)情報システム(LeFrancら, Nucleic Acids Res. (2015) 43 (DatABASE issue):D413-22)等の抗体CDRおよびFRを定義するいくつかの異なる慣用がある。
【0117】
いくつかの態様において、抗体/抗原結合分子は、HER2に結合することが可能な抗原結合分子のCDRを含む。いくつかの態様において、抗体/抗原結合分子は、HER2に結合することが可能な抗原結合分子のFRを含む。いくつかの態様において、抗体結合分子は、HER2に結合することが可能な抗原結合分子のCDRおよびFRを含む。すなわち、いくつかの態様において、抗原結合分子は、HER2に結合することが可能な抗原結合分子のVH領域およびVL領域を含む。
【0118】
抗体は、修飾されていない親抗体と比較して、抗原に対する抗体のアフィニティの改善を有する修飾抗体を生成するアフィニティ成熟によって、抗体を産生してもよい。当該技術分野に知られる手順、例えば、Markら,Rio/Technology 10:779-783 (1992); Barbasら Proc Nat. Acad. Sci. USA 91:3809-3813 (1994); Schierら Gene 169:147-155 (1995); Yeltonら J. Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jacksonら, J. Immunol. 154(7):331 0-15 9 (1995);およびHawkinsら, J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)によって、アフィニティ成熟された抗体を産生してもよい。本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、アフィニティ成熟を受けてもよい。
【0119】
本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、HER2への特異的結合を示すことが好ましい。ターゲット分子に特異的に結合する抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、それが他のターゲットに結合するよりも、より高いアフィニティで、および/または長い持続期間で、ターゲットを結合することが好ましい。
【0120】
本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドが所定の分子に結合することは、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR、例えば、Heartyら, Methods Mol Biol (2012) 907:411-442を参照されたい)、Bio-Layer干渉法(例えば、Ladら, (2015) J Biomol Screen 20(4): 498-507を参照されたい)、フローサイトメトリーを含む当業者に周知の技法によって、またはラジオイムノアッセイ(RIA)酵素結合免疫吸着アッセイによって測定することができる。こうした分析を通じて、所定のターゲットへの結合を測定し、そして定量化することができる。いくつかの態様において、結合は、所定のアッセイで検出される応答であってもよい。そのターゲットに対する抗体の結合アフィニティは多くの場合、その解離定数(K)に関して記載される。
【0121】
抗体の、無関係のターゲットに対する結合の度合いは、例えば、ELISA、SPR、Bio-Layer干渉法によって、またはRIAによって測定した際、ターゲットに対する抗体の結合の約10%未満でありうる。あるいは、結合特異性は、本発明の抗HER2抗体が、別のターゲット分子に向かう抗体のKよりも少なくとも0.1桁(すなわち、0.1×10、式中、nは、桁に相当する整数である)大きいKでHER2に結合する結合アフィニティの観点で反映されうる。これは、所望により、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、または2.0の1つであってもよい。
【0122】
本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、SPR、Bio-Layer干渉法にしたがった分析によって、またはRIAによって決定した際、≦25nM、≦20nM、≦15nM、≦10nM、≦5nM、≦3nM、≦2nM、≦1.5nM、≦1.4nM、≦1.3nM、≦1.25nM、≦1.24nM、≦1.23nM、≦1.22nM、≦1.21nM、≦1.2nM、≦1.15nM、≦1.1nM、≦1.05nM、≦1nM、≦900pM、≦800pM、≦700pM、≦600pM、または≦500pMの1つの解離定数(K)を有することが好ましい。Kは、約0.1nM~約3nMの範囲でありうる。Kは、約0.1nM~約10nMの範囲でありうる。Kは、約0.1nM~約15nMの範囲でありうる。Kは、約0.1nM~約25nMの範囲でありうる。Kは、約1nM~約100nMの範囲でありうる。Kは、約50~約500nMの範囲でありうる。
【0123】
本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、HER2に対して高い結合アフィニティを示しうる。いくつかの態様において、本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、4~25nMの解離定数(K)を有する。本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、HER2に対して中程度の、または低い結合アフィニティを示しうる。いくつかの態様において、本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、12~350nMの解離定数(K)を有する。いくつかの態様において、本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、14~310nMの解離定数(K)を有する。いくつかの態様において、本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、25~310nMの解離定数(K)を有する。いくつかの態様において、本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、150~310nMの解離定数(K)を有する。
【0124】
本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、HER2過剰発現またはHER2発現細胞に結合することが好ましい。抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、好ましくは、HER2過剰発現細胞に結合しうる。好ましくは、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、HER2陰性細胞、すなわち、HER2を発現しない細胞に結合しない。
【0125】
本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))が結合するものとは異なるHER2エピトープに結合することが好ましい。トラスツズマブは、HER2細胞外ドメインのサブドメインIVのC末端部で結合すると報告されている(Choら, (2003) Nature 421: 756-760)。エピトープ結合アッセイは、当該技術分野に知られる方法によって、例えば、本明細書記載のSPRによって実施されうる(例えば、Heartyら, Methods Mol Biol (2012) 907:411-442を参照されたい)。簡潔には、目的の抗体は、SPRマイクロチップ上に固定化され、組換えHER-2流が適用されて、固定化抗体に結合させて、次いで、目的の他の抗体を流して、それらの結合が測定される。デンドログラムの追跡により、目的の抗体が、トラスツズマブと共通のエピトープを共有する(類似の結合プロファイル)か、または本明細書記載の異なるエピトープに結合する(異なる結合プロファイル)かどうかが特定されうる。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、ペルツズマブ(パージェタ)が結合するものとは異なるHER2エピトープに結合することが好ましい。
【0126】
本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、HER2発現細胞の細胞死を誘導することが好ましい。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、細胞膜を破壊することによって、細胞死を誘導する。細胞死は、当該技術分野に周知の、本明細書記載の方法を使用して、例えば、ヨウ化プロピジウムを用いた染色によって測定されうる。細胞へのヨウ化プロピジウムの挿入は、細胞溶解を示す。
【0127】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、アポトーシスによって、HER2発現細胞の細胞死を誘導する。アポトーシスは、当該技術分野に周知の、本明細書記載の方法を用いて、例えば、アネキシン-Vおよびヨウ化プロピジウムを用いた染色によって測定されうる。アネキシン-Vを用いて染色された細胞は、アポトーシス性である。
【0128】
カスパーゼ3/7経路は、アポトーシスプロセスに関与する。活性化後、カスパーゼ3/7は、核内の切断されたPARPを活性化し、続いて、ミトコンドリアによるアポトーシス促進性因子の放出を誘発することができ、DNA修復のプロセスを阻止しうる。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、カスパーゼ3/7経路の活性化および切断されたPARPの活性化を介したアポトーシスによって、HER2発現細胞の細胞死を誘導する。カスパーゼ3/7経路の活性化および切断されたPARPの活性化は、当該技術分野に周知の方法を用いて測定されうる。
【0129】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、適用の40分以内に、HER2発現細胞の細胞死を誘導する。誘導された細胞死は、ヨウ化プロピジウムの取り込みによって測定されうる。
【0130】
本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、腫瘍成長を阻害することが好ましい。いくつかの態様において、腫瘍成長の阻害は、in vivoで行われる。腫瘍成長は、当該技術分野に周知の、本明細書記載の方法によって、例えば、細胞増殖アッセイを用いて測定されうる。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、腫瘍成長の阻害に対して相乗効果を示す。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、トラスツズマブおよび/またはペルツズマブと併用された際、腫瘍成長の阻害に対して相乗効果を示す。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、トラスツズマブおよび/またはペルツズマブによって誘導される死と類似の効率で、HER2発現細胞の死を誘導することが可能である。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、トラスツズマブおよび/またはペルツズマブによって誘導される死に対して増加された効率で、HER2発現細胞の死を誘導することが可能である。いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、例えばPromega Cytotox 96非放射性細胞障害アッセイキットによるLDH放出によって測定される抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)または補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導することが可能である。
【0131】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、例えば本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドで処置されていない腫瘍のサイズと比較して、腫瘍サイズを低減させることが可能である。
【0132】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドは、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドの投与が終了した後、癌、癌細胞、腫瘍および/または腫瘍細胞に対して長期の防御を付与することが可能である。付与された防御は、当該技術分野に知られる他のHER2療法、例えば、トラスツズマブまたはペルツズマブよりも長期でありうる。本発明は、抗原結合ポリペプチドを提供する。本発明の側面において、抗原結合ポリペプチドは、HER2に結合することが可能である。ポリペプチドは、単離形態または実質的に精製された形態で提供されうる。
【0133】
「抗原結合ポリペプチド」は、ターゲット分子に結合することが可能なポリペプチドを指し、そしてモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性および多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、ならびにこれらが適切なターゲット分子(単数または複数)への結合を示す限り、抗体断片を含む。抗原結合ポリペプチドはまた、本明細書に用いる場合、1つより多いペプチド(例えば、2つ、3つ、4つ、6つ、または8つのポリペプチド)、例えば2つの重鎖ポリペプチドおよび2つの軽鎖ポリペプチドを含む二重特異性抗原結合ポリペプチドの非共有結合または共有結合複合体を指す。
【0134】
本明細書記載の抗原結合ポリペプチドは、好ましくは、適切なターゲット(例えば、HER2)に対して特異的結合を示す。本明細書に用いる場合、「特異的結合」は、抗原に対して選択的であり、そして非ターゲット抗原に対する非特異的結合とは区別可能な結合を指す。ターゲット分子に特異的に結合する抗原結合ポリペプチドは、好ましくは、他の非ターゲット分子に結合するよりも、より高いアフィニティで、および/またはより長い持続期間で、ターゲットを結合することが好ましい。
【0135】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、ターゲット分子(すなわち、HER2)に結合することが可能な参照抗原結合ポリペプチドと同じかまたは重複するターゲット分子のエピトープに結合する。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、ターゲット分子に結合することが可能な参照抗原結合ポリペプチドとの競合的結合を示す。所定の抗原結合ポリペプチドがこうした競合的結合を示すかどうかを、競合ELISAを含む、当業者に知られる多様な方法によって決定さしてもよい。
【0136】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、ターゲット分子(すなわち、HER2)に結合することが可能な抗原結合ポリペプチドの相補性決定領域(CDR)を含む。抗体は概して、6つのCDR:軽鎖可変領域(VL)の3つ:LC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR、および重鎖可変(VH)領域の3つ:HC-CDR1、HC-CDR2およびHC-CDR3を含む。6つのCDRはともに、ターゲット分子に結合する抗体の一部である抗体のパラトープを規定する。Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)、Chothiaら, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)に記載されるもの、およびRetterら, Nucl. Acids Res. (2005) 33 (suppl 1): D671-D674に記載されるようなVBASE2等の抗体CDRを定義するいくつかの異なる慣用がある。別記しない限り、本明細書記載の抗原結合ポリペプチドのCDRは、Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)にしたがって定義される。
【0137】
ポリペプチドが、1つより多いドメインまたは領域を含む本明細書では、複数のドメイン/領域が、同じポリペプチド鎖中に存在することが好ましいことが理解されよう。すなわち、ポリペプチドは、1つより多いドメインまたは領域を含み、そしてドメイン/領域を含む融合ポリペプチドである。
【0138】
HER2に結合することが可能なモノクローナル抗体(mAb)の配列を用いて、抗原結合ポリペプチドを設計しそして調製してもよい。単鎖可変断片(scFv)、FabおよびFab2断片等の、抗体の抗原結合領域もまた、用いて/提供してもよい。「抗原結合領域」は、所定の抗体が特異的である、ターゲットに結合することが可能な抗体の任意の断片である。
【0139】
いくつかの態様において、本発明の抗原結合ポリペプチドは、HER2結合ポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、HER2結合ポリペプチドを含むかまたは該ポリペプチドからなる。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、本明細書記載のHER2結合抗体クローンのHC-CDR1、HC-CDR2およびHC-CDR3を含む重鎖可変(VH)領域、あるいはHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、その変異体を含む。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、本明細書記載のHER2結合抗体クローンのLC-CDR1、LC-CDR2およびLC-CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域、あるいはLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、その変異体を含む。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、本明細書記載のHER2結合抗体クローンのHC-CDR1、HC-CDR2およびHC-CDR3を含むVH領域およびLC-CDR1、LC-CDR2およびLC-CDR3を含むVL領域、あるいはHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、LC-CDR1、LC-CDR2またはLC-CDR3の1つまたはそれにより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、その変異体を含む。
【0140】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、本明細書記載のHER2結合抗体クローンのVH領域に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなるVH領域を含む。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、本明細書記載のHER2結合抗体クローンのVL領域に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなるVL領域を含む。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、本明細書記載のHER2結合抗体クローンのVH領域に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなるVH領域および本明細書記載のHER2結合抗体クローンのVL領域に少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなるVL領域を含む。
【0141】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、参照VL/VH領域(単数または複数)のアミノ酸配列に関して、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の置換を含む参照VL/VH領域の変異体を含んでもよい。いくつかの態様において、置換(単数または複数)は、CDR中に存在しない。いくつかの態様において、置換(単数または複数)は、フレームワーク領域(単数または複数)、すなわち、CDR以外のVL/VH領域(単数または複数)のアミノ酸配列に存在する。
【0142】
いくつかの態様において、置換は、例えば以下の表にしたがった保存的置換である。いくつかの態様において、中央列の同じブロックにあるアミノ酸が置換される。いくつかの態様において、もっとも右の列における同じ行のアミノ酸が置換される。
【0143】
【表1】
【0144】
いくつかの態様において、本発明によるHER2結合抗原結合ポリペプチドは、配列番号1~4の1つに少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなる。いくつかの態様において、本発明によるHER2結合抗原結合ポリペプチドは、配列番号5~8の1つに少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなる。
【0145】
いくつかの態様において、本発明によるHER2結合抗原結合ポリペプチドは、配列番号72、82、91、100、108、118、128、136、144、153、159、168、178、184、192、202、209、215、224、231、239、245、253、259、268、277、285、または293の1つに少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなる。いくつかの態様において、本発明によるHER2結合抗原結合ポリペプチドは、配列番号73、83、92、101、109、119、129、137、145、154、160、169、179、185、193、203、210、216、225、232、240、246、254、260、269、278、286、または294の1つに少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなる。
【0146】
いくつかの態様において、本発明によるHER2結合抗原結合ポリペプチドは、以下のクローン:P1A3、P1C5、P1E4、およびP1F1の1つまたはそれより多くのHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、LC-CDR1、LC-CDR2およびLC-CDR3を欠く。いくつかの態様において、本発明によるHER2結合抗原結合ポリペプチドは、前記クローンの1つまたはそれより多くのVLドメイン配列および/またはVHドメイン配列を欠く。
【0147】
抗体の抗原結合領域のVLおよびVH領域はともに、Fv領域を構成する。いくつかの態様において、本発明による抗原結合ポリペプチドは、HER2に結合するFv領域を含むかまたは該領域からなる。
【0148】
いくつかの態様において、ポリペプチドは、1つまたはそれより多い抗体重鎖定常領域(CH)をさらに含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、1つまたはそれより多い抗体軽鎖定常領域(CL)をさらに含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、免疫グロブリン(Ig)のCH1、CH2領域および/またはCH3領域を含む。
【0149】
抗体の抗原結合領域のVLおよび軽鎖定常(CL)領域、ならびにVH領域および重鎖定常1(VH1)領域はともに、Fab領域を構成する。いくつかの態様において、本明細書記載の抗原結合ポリペプチドの抗原結合ポリペプチドは、HER2に結合するFab領域を含むかまたは該領域からなる。
【0150】
いくつかの態様において、ポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖定常配列の1つまたはそれより多い領域を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、本明細書記載のCH1領域を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、本明細書記載のCH1-CH2ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、本明細書記載のCH2領域を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、本明細書記載のCH3領域を含む。
【0151】
いくつかの態様において、ポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖定常配列の1つまたはそれより多い領域を欠く。いくつかの態様において、ポリペプチドは、CH2領域を欠如する。いくつかの態様において、ポリペプチドは、CH3領域を欠如する。いくつかの態様において、ポリペプチドは、CH2領域を欠き、またCH3領域も欠く。
【0152】
いくつかの態様において、本発明によるポリペプチドは、以下の:
(i) VH
(ii) VL
(iii) VH-CH1
(iv) VL-CL
(v) VL-CH1
(vi) VH-CL
(vii) VH-CH1-CH2-CH3
(viii) VL-CL-CH2-CH3
(ix) VL-CH1-CH2-CH3
(x) VH-CL-CH2-CH3
の1つにしたがったN末端からC末端への構造を含む。
【0153】
また、本発明のポリペプチドで構成される抗体および抗体結合分子は、本発明によって提供される。いくつかの態様において、本発明の抗体/抗原結合分子は、以下のポリペプチドの組み合わせの1つを含む:
(A) VH+VL
(B) VH-CH1+VL-CL
(C) VL-CH1+VH-CL
(D) VH-CH1-CH2-CH3+VL-CL
(E) VH-CL-CH2-CH3+VL-CH1
(F) VL-CH1-CH2-CH3+VH-CL
(G) VL-CL-CH2-CH3+VH-CH1
(H) VH-CH1-CH2-CH3+VL-CL-CH2-CH3
(I) VH-CL-CH2-CH3+VL-CH1-CH2-CH3
いくつかの態様において、抗原結合分子は、上記(A)~(I)に示される組み合わせの1つより多いポリペプチドを含む。例として、上記(D)を参照して、いくつかの態様において、抗原結合分子は、構造VH-CH1-CH2-CH3を含む2つのポリペプチド、および構造VL-CLを含む2つのポリペプチドを含む。
【0154】
いくつかの態様において、本明細書記載の抗原結合ポリペプチドは、HER2に結合する全抗体を含むかまたは該全抗体からなる。本明細書に用いる場合、「全抗体」は、免疫グロブリン(Ig)の構造に実質的に類似の構造を有する抗体を指す。多種多様な免疫グロブリンおよびそれらの構造は、例えば、本明細書にその全体が援用される、SchroederおよびCavacini J Allergy Clin Immunol. (2010) 125(202): S41-S52に記載される。
【0155】
タイプGの免疫グロブリン(すなわち、IgG)は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含むおよそ150kDaの糖タンパク質である。N末端からC末端まで、重鎖は、VH、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を含む重鎖定常領域を含み、同様に、軽鎖は、VL、続いて、CLを含む。重鎖に応じて、免疫グロブリンは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgA(例えば、IgA1、IgA2)、IgD、IgE、またはIgMと分類されうる。軽鎖は、カッパ(κ)またはラムダ(λ)であってもよい。いくつかの態様において、本明細書記載の抗原結合ポリペプチドは、HER2に結合するIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgA(例えば、IgA1、IgA2)、IgD、IgE、またはIgMを含むかまたはこれらからなる。
【0156】
本発明による抗原結合ポリペプチドは、任意の適切な方式で提供されうる。
いくつかの側面において、抗体は、クローンP1A3、またはP1A3の変異体である。P1A3は、以下のCDR配列を含む:
軽鎖:
LC-CDR1:GLSSGSVSTGHYAS (配列番号15)
LC-CDR2:NTNTRSS (配列番号16)
LC-CDR3:VLYVGDGIWV (配列番号17)
重鎖:
HC-CDR1:SYYIH (配列番号18)
HC-CDR2:IINPGNGDTNYAQRFQG (配列番号19)
HC-CDR3:EIASYSGSYYDY (配列番号20)
別記しない限り、本明細書記載の抗原結合ポリペプチドのCDRは、Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)にしたがって定義される。
【0157】
いくつかの側面において、抗体は、クローンP1C5、またはP1C5の変異体である。P1C5は、以下記のCDR配列を含む:
軽鎖:
LC-CDR1:GLSSGSVSTGYYPS (配列番号21)
LC-CDR2:STNSRSS (配列番号22)
LC-CDR3:VLYMGSGISV (配列番号23)
重鎖:
HC-CDR1:SSSYYWG (配列番号24)
HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS (配列番号25)
HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI (配列番号26)
いくつかの側面において、抗体は、クローンP1E4、またはP1E4の変異体である。P1E4は、以下のCDR配列を含む:
軽鎖:
LC-CDR1:GLSSGSVSTSYYPS (配列番号27)
LC-CDR2:TTNIRSS (配列番号28)
LC-CDR3:MLYMGSGIWV (配列番号29)
重鎖:
HC-CDR1:GYYWS (配列番号30)
HC-CDR2:EINHSGSTNYNPSLKS (配列番号31)
HC-CDR3:MGINSGGYLYGMDV (配列番号32)
いくつかの側面において、抗体は、クローンP1F1、またはP1F1の変異体である。P1F1は、以下のCDR配列を含む:
軽鎖:
LC-CDR1:GLSSGSVSTSYYPS (配列番号27)
LC-CDR2:STNTRSS (配列番号33)
LC-CDR3:VLYMGSGIWV (配列番号34)
重鎖:
HC-CDR1:SSNWWS (配列番号35)
HC-CDR2:EIYHSGSTNYNPSLKS (配列番号36)
HC-CDR3:MGANSGGYLYGMDV (配列番号37)
本発明による抗体は、P1A3、P1C5、P1E4もしくはP1F1のCDRまたは配列番号1および5;配列番号2および6;配列番号3および7;もしくは配列番号4および8の1つを含みうる。本発明による抗体において、6つのCDR配列の1つまたは2つまたは3つまたは4つは、多様でありうる。変異体は、6つのCDR配列の1つまたは2つにおいて、1つまたは2つのアミノ酸置換を有しうる。
【0158】
P1A3のV鎖およびV鎖(配列番号1および5)、P1C5のV鎖およびV鎖(配列番号2および6)、P1E4のV鎖およびV鎖(配列番号3および7)およびP1F1のV鎖およびV鎖(配列番号4および8)のアミノ酸配列は、図1A図1D(V)および図2A図2D(V)に示されるように決定されている。コードヌクレオチド配列は、配列番号39および43(P1A3)、配列番号40および44(P1C5)、配列番号41および45(P1E4)、配列番号42および46(P1F1)、ならびに図16および図17に示されている。
【0159】
いくつかの態様において、本発明による抗体は、本明細書記載のアミノ酸配列の1つまたは複数を含みうる。本発明による抗体は、本明細書記載のヌクレオチド配列の1つまたは複数によってコードされうる。いくつかの側面において、抗体は、本明細書記載のクローンA1、A2、A4、A5、B1、B2、B3、B4、B5、C2、C3、C4、D1、D2、D3、D4、E1、E2、E5、F2、F3、F4、F5、G1、G2、G3、G4、もしくはG5、または前記クローンの変異体である。
【0160】
いくつかの側面および態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下の(1)~(31)の1つにしたがった少なくとも1つのVL領域を含む:
(1)(P1A3)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号15のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号16のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号17のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(2)(P1C5)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号21のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号22のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号23のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(3)(P1E4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号27のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号28のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号29のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(4)(P1F1)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号27のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号33のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号34のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(5)(PFA1)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号74のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号75のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号76のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(6)(PFA2)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号84のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号75のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号85のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(7)(PFA4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号94のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(8)(PFA5)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号102のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号75のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号103のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(9)(PFB1)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号110のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号111のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号112のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(10)(PFB2)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号120のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号121のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号122のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(11)(PFB3)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号102のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号75のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号130のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(12)(PFB4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号138のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号139のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号140のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(13)(PFB5)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号102のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号146のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号147のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(14)(PFC2;PFG5)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号102のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号155のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(15)(PFC3)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号161のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号162のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号163のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(16)(PFC4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号170のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号171のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号172のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(17)(PFD1)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号94のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号180のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(18)(PFD2)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号186のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号187のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号188のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(19)(PFD3)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号194のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号195のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号196のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(20)(PFD4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号93のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号204のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号205のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(21)(PFE1)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号211のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号212のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号95のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(22)(PFE2)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号217のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号218のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号219のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(23)(PFE5)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号226のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号227のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号228のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(24)(PFF2)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号161のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号162のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号233のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(25)(PFF3)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号102のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号75のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号180のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(26)(PFF4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号247のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号248のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号249のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(27)(PFF5)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号255のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号33のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号256のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(28)(PFG1)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号261のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号262のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号263のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(29)(PFG2)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号270のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号271のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号272のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(30)(PFG3)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号279のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号280のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号23のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(31)(PFG4)以下のCDRを取り込むVL領域:
配列番号287のアミノ酸配列を有するLC-CDR1
配列番号288のアミノ酸配列を有するLC-CDR2
配列番号289のアミノ酸配列を有するLC-CDR3
あるいは、LC-CDR1、LC-CDR2、もしくはLC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
【0161】
いくつかの側面および態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下の(32)~(63)の1つにしたがった少なくとも1つのVL領域を含む:
(32)(P1A3)配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(33)(P1C5)配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(34)(P1E4)配列番号3のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(35)(P1F1)配列番号4のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(36)(PFA1)配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(37)(PFA2)配列番号82のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(38)(PFA4)配列番号91のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(39)(PFA5)配列番号100のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(40)(PFB1)配列番号108のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(41)(PFB2)配列番号118のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(42)(PFB3)配列番号128のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(43)(PFB4)配列番号136のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(44)(PFB5)配列番号144のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(45)(PFC2)配列番号153のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(46)(PFC3)配列番号159のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(47)(PFC4)配列番号168のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(48)(PFD1)配列番号178のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(49)(PFD2)配列番号184のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(50)(PFD3)配列番号192のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(51)(PFD4)配列番号202のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(52)(PFE1)配列番号209のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(53)(PFE2)配列番号215のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(54)(PFE5)配列番号224のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(55)(PFF2)配列番号231のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(56)(PFF3)配列番号239のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(57)(PFF4)配列番号245のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(58)(PFF5)配列番号253のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(59)(PFG1)配列番号259のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(60)(PFG2)配列番号268のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(61)(PFG3)配列番号277のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(62)(PFG4)配列番号285のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(63)(PFG5)配列番号293のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
【0162】
いくつかの側面および態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下の(64)~(92)の1つにしたがった少なくとも1つのVH領域を含む:
(64)(P1A3)下記のCDRを取り込むVH領域:
配列番号18のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号19のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号20のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(65)(P1C5;PFF5)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号24のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号25のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号26のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(66)(P1E4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号30のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号31のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号32のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(67)(P1F1)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号35のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号36のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号37のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(68)(PFA1)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号77のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号78のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号79のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(69)(PFA2)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号86のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号87のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号88のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(70)(PFA4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号96のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号78のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号97のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(71)(PFA5)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号96のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号104のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号105のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(72)(PFB1)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号113のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号114のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号115のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(73)(PFB2)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号123のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号124のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号125のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(74)(PFB3)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号131のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号132のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号133のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(75)(PFB4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号77のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号78のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号141のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(76)(PFB5)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号148のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号149のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号150のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(77)(PFC2;PFG5)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号96のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号78のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号156のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(78)(PFC3)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号131のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号164のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号165のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(79)(PFC4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号173のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号174のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号175のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(80)(PFD1)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号77のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号78のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号181のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(81)(PFD2)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号30のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号31のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号189のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(82)(PFD3)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号197のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号198のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号199のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(83)(PFD4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号96のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号206のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号97のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(84)(PFE1;PFE5)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号96のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号78のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号97のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(85)(PFE2)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号96のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号220のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号221のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(86)(PFF2)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号234のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号235のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号236のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(87)(PFF3)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号241のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号206のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号242のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(88)(PFF4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号148のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号149のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号250のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(89)(PFG1)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号77のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号264のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号265のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(90)(PFG2)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号131のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号273のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号274のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(91)(PFG3)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号281のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号282のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号20のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
(92)(PFG4)以下のCDRを取り込むVH領域:
配列番号148のアミノ酸配列を有するHC-CDR1
配列番号149のアミノ酸配列を有するHC-CDR2
配列番号290のアミノ酸配列を有するHC-CDR3
あるいは、HC-CDR1、HC-CDR2、もしくはHC-CDR3の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置換される、それらの変異体。
【0163】
いくつかの側面および態様において、抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、以下の(93)~(124)の1つにしたがった少なくとも1つのVH領域を含む:
(93)(P1A3)配列番号5のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域。
(94)(P1C5)配列番号6のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(95)(P1E4)配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(96)(P1F1)配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(97)(PFA1)配列番号73のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(98)(PFA2)配列番号83のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(99)(PFA4)配列番号92のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(100)(PFA5)配列番号101のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(101)(PFB1)配列番号109のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(102)(PFB2)配列番号119のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(103)(PFB3)配列番号129のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(104)(PFB4)配列番号137のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(105)(PFB5)配列番号145のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(106)(PFC2)配列番号154のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(107)(PFC3)配列番号160のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(108)(PFC4)配列番号169のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(109)(PFD1)配列番号179のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(110)(PFD2)配列番号185のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(111)(PFD3)配列番号193のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(112)(PFD4)配列番号203のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(113)(PFE1)配列番号210のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(114)(PFE2)配列番号216のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(115)(PFE5)配列番号225のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(116)(PFF2)配列番号232のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(117)(PFF3)配列番号240のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(118)(PFF4)配列番号246のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(119)(PFF5)配列番号254のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(120)(PFG1)配列番号260のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(121)(PFG2)配列番号269のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(122)(PFG3)配列番号278のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(123)(PFG4)配列番号286のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
(124)(PFG5)配列番号294のアミノ酸配列に少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域。
【0164】
いくつかの態様において、抗原結合分子は、上記(1)~(63)のいずれか1つにしたがった少なくとも1つのVL領域、および上記(64)~(124)のいずれか1つにしたがった少なくとも1つのVHを領域含む:
また、軽鎖および重鎖CDRは、多種多様なフレームワーク領域と併せて、特に有用でありうる。したがって、LC-CDR1~LC-CDR3またはHC-CDR1~HC-CDR3を有する軽鎖および/または重鎖は、代替フレームワーク領域を保有してもよい。適切なフレームワーク領域は、当該技術分野に周知であり、例えば、本明細書に援用される、M. Lefranc & G. Lefranc (2001) ”The Immunoglobulin FactsBook”, Academic Pressに記載される。
【0165】
本明細書において、抗体は、配列番号1および5;配列番号2および6;配列番号3および7;または配列番号4および8のVおよび/またはVアミノ酸配列の1つまたはそれより多くに、および図1および図2に示されるアミノ酸配列の1つに高いパーセントの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVおよび/またはV鎖を有しうる。
【0166】
例えば、本発明による抗体は、HER2を結合し、そして配列番号1~8の1つのVもしくはV鎖アミノ酸配列に、または図1および図2に示されるアミノ酸配列の1つに少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVまたはV鎖を有する抗体を含む。
【0167】
いくつかの態様において、本明細書に提供する抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、PFA4、PFB4、PFB5、PFC3、PFD4、PFE1、PFF5、もしくはPFG3のCDR、Vおよび/またはV鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供する抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、PFA4、PFB4、PFC3、PFD4、PFE1、PFF5、もしくはPFG3のCDR、Vおよび/またはV鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供する抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、PFB4、PFC3、PFD4、PFE1、PFF5、もしくはPFG3のCDR、Vおよび/またはV鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供する抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、PFB4、PFC3、PFE1、PFF5、もしくはPFG3のCDR、Vおよび/またはV鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供する抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、PFB4、PFC3、PFE1、PFF5、もしくはPFG3のCDR、Vおよび/またはV鎖を含む。
【0168】
いくつかの態様において、本明細書に提供する抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、P1A3、P1C5、P1E4、P1F1、PFA4、PFB4、PFC3、PFD4もしくはPFE1のCDR、Vおよび/またはV鎖を含む。
【0169】
多価抗体
全抗体、およびF(ab’)断片は、「二価」である。「二価」とは、本発明者らは、前記抗体およびF(ab’)断片が、2つの抗原結合部位を有することを意味する。対比して、Fab、Fv、ScFvおよびdAb断片は、一価であり、唯一の抗原結合部位を有する。
【0170】
本出願はまた、HER2に結合することが可能であり、そして二重特異性抗体または二重特異性抗原結合断片である抗体または抗原結合断片を提供する。いくつかの態様において、二重特異性抗体または二重特異性抗原結合断片が単離されてもよい。「二重特異性」という用語は、抗原結合分子が、少なくとも2つの別個の抗原決定基に特異的に結合することが可能であることを意味する。
【0171】
いくつかの態様において、二重特異性抗体および二重特異性抗原結合断片は、本発明による抗原結合断片またはポリペプチドを含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体および二重特異性抗原結合断片は、HER2に結合することが可能な抗原結合断片を含み、ここで、HER2に結合することが可能な抗原結合断片は、本発明による抗原結合断片もしくはポリペプチドを含むかまたはこれらからなる。
【0172】
いくつかの態様において、二重特異性抗体および二重特異性抗原結合断片は、HER2に結合することが可能な抗原結合断片、および別のターゲットタンパク質に結合することが可能な抗原結合断片を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体/抗原結合断片は、HER2に結合することが可能な抗原結合分子およびHER2以外の抗原に結合することが可能な抗原結合分子を含む。いくつかの態様において、HER2以外の抗原は、免疫細胞表面分子である。いくつかの態様において、HER2以外の抗原は、癌細胞抗原である。いくつかの態様において、HER2以外の抗原は、受容体分子、例えば、細胞表面受容体である。
【0173】
癌細胞抗原は、癌細胞によって、発現されるかまたは過剰発現される抗原である。癌細胞抗原は、任意のペプチド/ポリペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、グリカン、糖脂質、脂質、またはそれらの断片であってもよい。癌細胞抗原の発現は、癌と関連付けられうる。癌細胞抗原は、癌細胞によって異常に発現されうる(例えば、癌細胞抗原は、異常な局在化を伴って発現されうる)か、または癌細胞よって、異常な構造で発現されうる。癌細胞抗原は、免疫応答を誘発することが可能でありうる。いくつかの態様において、抗原は、癌細胞の細胞表面で発現される(すなわち、癌細胞抗原は、癌細胞表面抗原である)。いくつかの態様において、本明細書記載の抗原結合分子が結合する抗原の一部は、癌細胞の外部表面に表示される(すなわち、細胞外である)。癌細胞抗原は、癌関連抗原でありうる。いくつかの態様において、癌細胞抗原は、その発現が、癌の発症、進行または症状の重篤性と関連付けられる抗原である。癌関連抗原は、癌の原因もしくは病理学と関連付けられてもよく、または癌の結果として異常に発現されてもよい。いくつかの態様において、癌細胞抗原は、例えば、比較可能な非癌性細胞(例えば、同じ組織/細胞型に由来する非癌性細胞)による発現のレベルと比較した際、癌の細胞によって、その発現が上方制御される(例えば、RNAおよび/またはタンパク質レベルで)抗原である。いくつかの態様において、癌関連抗原は、癌性細胞によって優先的に発現され、そして比較可能な非癌性細胞(例えば、同じ組織/細胞型に由来する非癌性細胞)によって発現されない場合がある。いくつかの態様において、癌関連抗原は、突然変異された癌遺伝子、または突然変異されたサプレッサー遺伝子の産物でありうる。いくつかの態様において、癌関連抗原は、過剰発現された細胞タンパク質の産物、発癌性ウイルスによって産生される癌抗原、癌胎児性抗原、または細胞表面糖脂質もしくは糖タンパク質であってもよい。
【0174】
免疫細胞表面分子は、免疫細胞の細胞表面で、または免疫細胞の細胞表面上で発現される、任意のペプチド/ポリペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、グリカン、糖脂質、脂質、またはそれらの断片でありうる。いくつかの態様において、本発明の抗原結合分子が結合する免疫細胞表面分子の一部は、免疫細胞の外部表面上に存在する(すなわち、細胞外である)。免疫細胞表面分子は、任意の免疫細胞の細胞表面で発現されうる。いくつかの態様において、免疫細胞は、造血起源の細胞、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球、または単球であってもよい。リンパ球は、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞または自然リンパ球(ILC)、あるいはその前駆体(例えば、胸腺細胞またはプレB細胞)であってもよい。いくつかの態様において、免疫細胞表面分子は、共刺激分子(例えば、CD28、OX40、4-1BB、ICOSまたはCD27)またはそのリガンドであってもよい。いくつかの態様において、免疫細胞表面分子は、チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、TIGITまたはBTLA)またはそのリガンドであってもよい。
【0175】
いくつかの態様において、二重特異性抗体/抗原結合断片は、本明細書に提供するような抗原結合断片/分子およびHER2に結合することが可能な抗原結合断片/分子を含む。いくつかの態様において、二重特異性抗体/抗原結合断片は、第1のエピトープでHER2を結合することが可能な抗原結合断片/分子および第2のエピトープでHER2に結合することが可能な抗原結合断片/分子を含む。例えば、二重特異性抗体/抗原結合断片は、本明細書に提供するような抗原結合断片/分子およびトラスツズマブおよび/またはペルツズマブに由来する抗原結合断片/分子を含む。
【0176】
別のターゲットタンパク質に結合することが可能な抗原結合断片は、HER2以外の別のタンパク質に結合することが可能でありうる。
本明細書記載の抗体および抗原結合ポリペプチドは、多重特異性であってもよい。多重特異性抗体および抗原結合ポリペプチドは、例えば、本明細書にその全体が援用される、Kontermann MAbs 2012, 4(2): 182-197に記載される形式等の任意の適切な形式で提供されうる。例えば、抗原結合ポリペプチドは、二重特異性抗体コンジュゲート(例えば、IgG2、F(ab’)2またはCovX-Body)、二重特異性IgGまたはIgG様分子(例えば、IgG、scFv4-Ig、IgG-scFv、scFv-IgG、DVD-Ig、IgG-sVD、sVD-IgG、2イン1-IgG、mAb2、またはTandemab共通LC)、非対称性二重特異性IgGまたはIgG様分子(例えば、kih IgG、kih IgG共通LC、CrossMab、kih IgG-scFab、mAb-Fv、荷電対またはSEED-body)、小分子二重特異性抗体分子(例えば、Diabody(Db)、dsDb、DART、scDb、tandAbs、タンデムscFv(taFv)、タンデムdAb/VHH、トリプルボディ、トリプルヘッド、Fab-scFv、またはF(ab’)2-scFv2)、二重特異性FcおよびC3融合タンパク質(例えば、taFv-Fc、Di-diabody、scDb-CH3、scFv-Fc-scFv、HCAb-VHH、scFv-kih-Fc、またはscFv-kih-CH3)、または二重特異性融合タンパク質(例えば、scFv2-アルブミン、scDb-アルブミン、taFv-毒素、DNL-Fab3、DNL-Fab4-IgG、DNL-Fab4-IgG-サイトカイン2)であってもよい。特に、Kontermann MAbs 2012, 4(2): 182-19の図2を参照されたい。「多重特異性」とは、抗原結合分子が、1つより多いターゲットへの特異結合を示すことを意味する。
【0177】
当業者は、二重特異性抗体を設計し、そして調製することが可能である。二重特異性抗体を産生する方法には、抗体または抗体断片を、例えば還元可能ジスルフィドまたは還元不能チオエーテル結合で、例えばその全体が本明細書に援用される、SegalおよびBast, 2001. Production of Bispecific Antibodies. Current Protocols in Immunology. 14:IV:2.13:2.13.1-2.13.16に記載されるように、化学的に架橋する工程が含まれる。例えば、N-スクシニミジル-3-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオネート(SPDP)を用いて、例えばFab断片を、ヒンジ領域SH-基を通じて化学的に架橋して、ジスルフィド連結二重特異性F(ab)2ヘテロ二量体を生成してもよい。二重特異性抗体を産生する他の方法には、抗体産生ハイブリドーマを、例えばポリエチレングリコールで融合させて、二重特異性抗体を分泌可能なクアドローマ細胞を、例えばD. M.およびBast, B. J. 2001. Production of Bispecific Antibodies. Current Protocols in Immunology. 14:IV:2.13:2.13.1-2.13.16に記載されるように産生する工程が含まれる。
【0178】
また、例えば、どちらもその全内容が本明細書に援用される、Antibody Engineering: Methods and Protocols, 第2版(Humana Press, 2012),第40章: Production of Bispecific Antibodies.: Diabodies and Tandem scFv(HornigおよびFarber-Schwarz)、またはFrench, How to make bispecific antibodies, Methods Mol. Med. 2000; 40:333-339に記載されるように、例えば抗原結合分子に関するポリペプチドをコードする核酸構築物からの発現によって、二重特異性抗体を組換え的に産生することができる。例えば、2つの抗原結合断片に関する軽鎖および重鎖可変ドメイン(すなわちHER2を結合することが可能な抗原結合断片に関する軽鎖および重鎖可変ドメイン、ならびに別のターゲットタンパク質に/HER2上の別のエピトープに結合することが可能な抗原結合断片に関する軽鎖および重鎖可変ドメイン)をコードし、そして抗原結合断片間に適切なリンカーまたは二量体化ドメインをコードする配列を含むDNA構築物を、分子クローニング技法によって調製することができる。その後、組換え二重特異性抗体を、適切な宿主細胞(例えば哺乳動物宿主細胞)における構築物の発現(例えばin vitroの)によって産生することができ、そして次いで、発現された組換え二重特異性抗体を所望により精製することができる。
【0179】
抗体コンジュゲート
本発明はまた、化学部分にコンジュゲートされた本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドを含む抗体コンジュゲートを提供する。
【0180】
いくつかの態様において、化学部分は、治療効果を提供するための部分であってもよい。いくつかの態様において、化学部分は、薬物部分(例えば、細胞障害剤または細胞増殖抑制剤)であってもよい。細胞傷害剤は、細胞を死滅させる剤である。細胞増殖抑制剤は、細胞の成長を阻害する剤である。
【0181】
抗体-薬物コンジュゲートの使用は、HER2を発現する癌細胞への、薬物部分の送達をターゲティングし、そしてそこでの細胞内蓄積を促進しうる。
いくつかの態様において、化学部分は、少なくとも1つの抗癌剤であってもよい。「少なくとも1つの抗癌剤」は、本明細書記載の癌等の悪性疾患もしくは癌性疾患の治療に有効な1つ、または2つ、または3つ、または4つ、またはそれより多くの剤を指す。抗癌剤はまた、治療剤、さらなる剤、またはさらなる治療剤としても本明細書に記載されうる。
【0182】
いくつかの態様において、薬物部分は、本明細書で以下に記載する化学療法薬であってもよい。いくつかの態様において、薬物部分は、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、またはホスフェストロール等の腫瘍成長を制御することが可能なホルモンであってもよい。いくつかの態様において、薬物部分は、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、トリロスタン、ゴセレリン、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、酢酸シプロテロン、フルタミド、またはビカルタミド等のホルモンアンタゴニストであってもよい。
【0183】
いくつかの態様において、化学部分は、検出可能な部分であってもよい。適切な部分およびそれらの検出手段は、当業者に周知であり、本明細書で上述する放射性同位体または非同位体物体を含む。
【0184】
抗体コンジュゲートは、薬物をターゲット位置で放出するように切断されうるリンカーを含みうる。
キメラ抗原受容体
本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、HER2に結合することが可能なキメラ抗原受容体(CAR)に取り込まれうる。したがって、本発明はまた、本発明の抗体、抗原結合分子またはポリペプチドを含むCARを提供する。
【0185】
キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原結合機能およびT細胞活性化機能の両方を提供する組換え受容体である。CAR構造および操作は、例えば、本明細書にその全体が援用される、Dottiら, Immunol Rev (2014) 257(1)において概説される。CARは、細胞膜アンカー領域およびシグナル伝達領域に連結された抗原結合領域を含む。所望によるヒンジ領域は、抗原結合領域と、細胞膜アンカー領域との間の分離を提供してもよく、柔軟性リンカーとして作用しうる。
【0186】
本発明による抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)の抗原結合ドメインとして用いられてもよい。いくつかの態様において、CARは、本明細書記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドの任意の態様によるVドメインおよびVドメインを含む。したがって、本発明によるCARが結合する抗原は、HER2である。
【0187】
また、HER2に結合したCARを含む、所望により単離されたin vitro複合体が提供される。
CARは、共刺激リガンド、キメラ共刺激受容体またはサイトカインと組み合わせて、T細胞の効力、特異性および安全性をさらに高めうる(Sadelainら, The basic principles of chimeric antigen receptor (CAR) design. Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398. doi:10.1158/2159-8290.CD-12-0548、具体的に、本明細書に援用される)。
【0188】
本発明は、本明細書記載のCARをコードする、所望により単離された核酸を提供する。また、核酸を含む発現ベクターも提供される。本発明はまた、本明細書記載するCAR、核酸、または発現ベクターを含む細胞を提供する。本明細書記載のCAR、核酸、発現ベクターまたは細胞を含む組成物もまた、提供される。CARを用いて、腫瘍にターゲティングされるT細胞、例えば、CARが特異的であるHER2を発現するかまたは過剰発現する腫瘍細胞にターゲティングされるT細胞を生成しうる。
【0189】
細胞は、免疫細胞、例えば、T細胞、抗原特異的T細胞(例えばウイルス特異的T細胞)、抗原特異的CD4 T細胞、抗原特異的CD8 T細胞、エフェクターメモリーCD4 T細胞、エフェクターメモリーCD8 T細胞、セントラルメモリーCD4 T細胞、セントラルメモリーCD8 T細胞、細胞傷害性CD8+ T細胞(すなわちCTL)、NK細胞または抗原特異的NK細胞であってもよい。
【0190】
細胞へのCARの操作は、形質導入および拡大のためのin vitroでの培養中に実行してもよく、例えば、養子T細胞療法のためのT細胞の拡大中に起こる。形質導入は、様々な方法を利用しうるが、クローン的に拡大および残留しているT細胞において、持続性のCAR発現を可能にするには、安定な遺伝子トランスファーが必要とされる。
【0191】
本明細書記載のHER2特異性決定要素に加えて、CD28および腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9; 4-1BB)に由来するもの等の共刺激エンドドメイン(endodomein)を発現するように、CAR分子をさらに操作して、腫瘍細胞に遭遇した際、T細胞増殖および残留を促進しうる(NishioおよびDotti., OncoImmunology 4:2, e988098; February 2015)。
【0192】
CARは通常、単一キメラタンパク質において、抗原結合ドメインを、CD3-ゼータ鎖またはFcyRIタンパク質の細胞内ドメインと組み合わせる。CARの構造的特色は、Sjoukeら(The pharmacology of second-generation chimeric antigen receptors. Nature Reviews Drug Discovery, 14, 499 509 (2015) doi:10.1038/nrd4597)によって記載される。CARは通常、膜貫通ドメインおよびエンドドメインに連結された細胞外抗原結合ドメインを有する。所望によるヒンジまたはスペーサードメインは、結合部分と、膜貫通ドメインとの間の分離を提供してもよく、可撓性リンカーとして作用しうる。
【0193】
本発明によれば、CARの抗原認識ドメインは、本明細書記載のHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片もしくはポリペプチドでありうるかまたはこれらに由来しうる。本発明のCARの抗原結合領域は、任意の適切な方式、例えば、scFv、scFab等で提供されうる。
【0194】
いくつかの態様において、CARの抗原認識ドメインは、本明細書記載のクローンP1A3、P1C5、P1E4、もしくはP1F1でありうるかまたはこれらに由来しうる。
いくつかの態様において、CARは、本明細書記載のHER2に対して中程度またはより低級の結合を示す本明細書記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドを含みうる。中程度および/またはより低級のアフィニティ抗原結合領域は、例えば、Liuら, Cancer Res. 2015; (75) (17) 3596-3607に記載されるように、ターゲットタンパク質を過剰発現する癌細胞を、生理学的なターゲットレベルを発現する正常細胞と区別することが可能でありうる。このアプローチは、癌細胞を特異的にターゲティングしつつ非癌細胞を残して、オフターゲット毒性を低減しうる。いくつかの態様において、CARの抗原認識ドメインは、本明細書記載のクローンPFA4、PFB4、PFB5、PFC3、PFD4、PFE1、PFF5、もしくはPFG3でありうるか、またはこれらに由来しうる。いくつかの態様において、CARの抗原認識ドメインは、本明細書記載のクローンPFA4、PFB4、PFC3、PFD4、PFE1、PFF5、もしくはPFG3でありうるかまたはこれらに由来しうる。
【0195】
ヒンジまたはスペーサー領域は、結合部分を種々の方向に配向させる柔軟性ドメインであってもよい。ヒンジまたはスペーサー領域は、IgG1、IgHまたは免疫グロブリンのCHCH領域に由来しうる。
【0196】
膜貫通ドメインは、細胞膜にまたがる疎水性アルファヘリックスでありうる。エンドドメインが付随した膜貫通ドメインが一般的に用いられる。膜貫通領域は、細胞膜アンカー領域と称されうる。いくつかの態様において、CARは、CD3-ζ、CD4、CD8もしくはCD28の1つに関する膜貫通領域アミノ酸配列を含むか、該配列からなるかまたは該配列に由来するアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなる細胞膜アンカー領域を含む。本明細書に用いる場合、参照アミノ酸配列「に由来する」領域は、参照配列に少なくとも60%、例えば少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0197】
エンドドメインは、抗原結合後の受容体クラスター形成/二量体化を、また細胞へのシグナル伝達の開始を担う。一般的に用いられる膜貫通ドメインの1つは、CD3-ゼータ膜貫通およびエンドドメインである。CD28 4-1BB、OX40、ICOS等の1つまたはそれより多くの共刺激タンパク質受容体由来の細胞内ドメインは、さらなる共刺激シグナル伝達を提供するように、CARの細胞質側末端に、所望により取り込まれてもよく、これは、抗腫瘍活性の観点で有益でありうる。
【0198】
本明細書記載のCARは、抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを有する細胞外ドメインを含みうる。CARにおけるドメインの1つと天然において付随している膜貫通ドメインが用いられてもよく、または膜貫通ドメインは、こうしたドメインの、同じかまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの結合を回避するように、選択されるかまたはアミノ酸置換によって修飾されて、受容体複合体の他の膜との相互作用を最低限に抑えることができる。細胞質ドメインは、それ自体で、CD28および/または4-1BBシグナル伝達ドメインを含むように設計されうるかまたは任意の他の所望の細胞質ドメイン(単数または複数)と組み合わせてもよい。細胞質ドメインは、CD3-ゼータのシグナル伝達ドメインをさらに含むように設計されてもよい。例えば、CARの細胞質ドメインとして、CD3-ゼータ、4-1BBおよびCD28シグナル伝達モジュールおよびそれらの組み合わせが挙げられうるが、これらに限定されない。
【0199】
また、本明細書記載の、CARとしてHER2に結合することが可能な抗原結合断片を含むCAR T細胞が、本明細書に提供される。
本明細書記載のCAR T細胞は、所望のCAR、例えば、抗HER2、CD8aヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびにヒト4-1BBおよびCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含むCARを含むレンチウイルスベクターを、in vitroで細胞に導入することによって生成されうる。本明細書記載のCAR T細胞はまた、所望のCARをコードするmRNAのエレクトロポレーションによって生成されてもよい。本発明のCAR T細胞は、in vivoで複製することが可能であり、持続性腫瘍制御を導くことができる長期残留性をもたらす。
【0200】
いくつかの態様において、本発明によるCAR Tは、細胞、例えば、癌細胞または腫瘍細胞の細胞溶解を促進する。
本発明は、医学的治療または予防の方法における使用のための、本明細書記載のCAR、核酸、発現ベクター、細胞、または組成物を提供する。また、医学的治療または予防の方法における使用のための、本明細書記載のCAR、核酸または発現ベクターを発現する遺伝子修飾T細胞の投与が、本明細書で提供される。いくつかの態様において、本明細書記載のCARまたはT細胞は、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある患者の治療に使用される。いくつかの態様において、治療されるべき癌は、本明細書記載の癌である。いくつかの態様において、癌は、胸部の癌である。いくつかの態様において、治療されるべき癌は、卵巣、子宮、肺、例えば肺の腺癌、または消化管、例えば胃、唾液管の癌である。
【0201】
投与は、リンパ球注入によるものであってもよい。好ましくは、自己リンパ球注入が治療で用いられ、すなわち、リンパ球は、それらが導入される患者に由来する。自己PBMC(末梢血単核細胞)を、治療を必要とする患者から収集し、当該技術分野に知られる方法を用いて、T細胞を活性化および拡大し、次いで、患者に戻して注入する。細胞の生成、活性化および拡大は、in vitroまたはex vivoで実施されうる。いくつかの場合、細胞は、患者ではない個体から得られて、患者に導入されてもよく、すなわち、同種異系細胞療法であってもよい。
【0202】
養子T細胞移入は、例えば、本明細書にそれらの全体が援用される、Chia WKら, Molecular Therapy (2014), 22(1): 132-139、KalosおよびJune 2013, Immunity 39(1): 49-60ならびにCobboldら, (2005) J. Exp. Med. 202:379-386に記載される。したがって、当業者は、本明細書記載の免疫細胞の養子移入に関する適切な試薬および手順を決定することが可能である。
【0203】
検出方法
本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞は、検出可能に標識されうるか、または少なくとも検出可能でありうる。例えば、抗体は、放射性原子または着色分子または蛍光分子または任意の他の様式で容易に検出されうる分子で標識されうる。適切な検出可能な分子として、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、酵素基質、および放射標識が挙げられる。結合部分は、検出可能な標識で直接標識されてもよく、または結合部分は、間接的に標識されてもよい。例えば、結合部分は、それ自体が標識される別の抗体によって検出されうる非標識抗体であってもよい。あるいは、二次抗体を、ビオチンに結合させた場合もあり、標識されたストレプトアビジンの、ビオチンへの結合を用いて、第1の抗体を間接的に標識する。
【0204】
本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞は、抗体または抗原結合断片の、HER2への結合を含む方法において用いられてもよい。こうした方法は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞、およびHER2の結合複合体の検出を含みうる。したがって、1つの態様において、HER2を含有するかまたはHER2を含有すると疑われる試料を、本明細書記載の抗体、抗原断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞と接触させる工程と、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む方法が提供される。
【0205】
サンドイッチアッセイ、例えばELISA等のイムノアッセイを含む適切な方法方式が、当該技術分野に周知である。上記方法は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARもしくは細胞、またはHER2、あるいはその両方を、検出可能な標識、例えば、蛍光標識、発光標識または放射標識で標識する工程を包含しうる。HER2発現は、免疫組織化学(IHC)または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によって、例えば、生検によって得られる組織試料において測定されうる。
【0206】
この種の方法は、HER2の検出および/または定量化を必要とする疾患または状態の診断方法の基礎を提供しうる。こうした方法は、患者の試料で、または患者試料の加工処理後に、in vitroで実施されうる。ひとたび試料が収集されたら、実施されるべき診断のin vitro方法のために、患者が存在する必要はなく、したがって、この方法は、ヒトまたは動物の身体で実施されるものではない。
【0207】
上記方法は、患者試料中に存在するHER2の量を決定する工程を包含しうる。上記方法は、診断に達するプロセスの一部として、決定された量を、基準値または参照値に対して比較する工程をさらに含んでもよい。他の診断試験を本明細書に記載するものと併用して、診断もしくは予後の精度を高めてもよく、または本明細書記載の試験を用いることによって得られる結果を確認してもよい。
【0208】
患者試料中に存在するHER2のレベルは、患者が、抗HER2抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞による治療に対して応答しうることを示しうる。試料中の高レベルのHER2の存在は、抗HER2抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞による治療に関して、患者を選択するのに用いられうる。したがって、本発明の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞は、抗HER2療法を用いた治療に関して、患者を選択するのに使用されうる。
【0209】
試料中のHER2の検出は、患者における癌性状態の診断、癌性状態に対する素因の診断の目的で、または癌性状態の予後(予後判定)を提供するのに用いられてもよい。診断または予後は、既存の(これまで診断された)癌性状態に関連する場合があり、既存の癌性状態は、良性または悪性であってもよく、疑わしい癌性状態に関連してもよく、または患者(これまで未診断である可能性がある)における癌性状態に関するスクリーニングに関しうる。
【0210】
試料は、任意の組織または体液から採取されてもよい。試料は、大量の血液;フィブリン塊および血球を除去した後に得られる血液の液体部分を含んでもよい、個体の血液由来の大量の血清;組織試料または生検;あるいは前記個体から単離された細胞を含んでもよいし、またはこれら組織に由来してもよい。
【0211】
本発明による方法は、好ましくは、in vivoで実施されてもよい。「in vitro」という用語は、培養中の細胞を用いる実験を含むと意図される一方で、「in vivo」という用語は、損なわれていない(intact)多細胞生物を用いる実験を含むと意図される。
【0212】
本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞は、例えば、in vivoで、癌(例えば、腫瘍)を検出するか、局在化するかまたは画像化する方法において用いられてもよい。
【0213】
抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞は、検出のために、放射性同位体または非同位体物体等の検出可能な標識(例えば、シグナル発生標識)で、直接的にまたは間接的に、適切に標識されうる。放射性同位体として、ヨウ素123、ヨウ素126、ヨウ素131、ヨウ素133、臭素77、テクネチウム99m、インジウム111、インジウム113m、ガリウム67、ガリウム68、ルテニウム95、ルテニウム97、ルテニウム103、ルテニウム105、水銀207、水銀203、レニウム99m、レニウム101、レニウム105、スカンジウム47、テルル121m、テルル122m、テルル125m、ツリウム165、ツリウム167、ツリウム168、銅67、フッ素18、イットリウム90、パラジウム100、ビスマス217およびアンチモン211が挙げられる。非同位体物体は、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ルシフェラーゼ)、色素、ハプテン、放射性発光剤、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステル、ルミノール、イソルミノール)、生物発光剤、蛍光(例えば、フルオレセイン、ローダミン、エオシンおよびNDB、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)およびサマリウム(Sm)等の希土類の緑色蛍光タンパク質(GFP)キレート、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、4-メチルウンベリフェロン、7-アミノ-4-メチルクマリン、Cy3、Cy5)またはリン光剤等の発光剤、抗体、受容体およびビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたはジゴキシゲニン等のリガンドから選択されうる。
【0214】
検出技法は、当業者に周知であり、標識剤と調和するように選択されうる。適切な技法として、オリゴヌクレオチドタグのPCR増幅、質量分析法、例えばレポータータンパク質による基質の酵素変換時の蛍光または色彩の検出、あるいは放射能の検出が挙げられる。
【0215】
いくつかの態様において、上記方法は、抗体、抗原断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞を、被験体、例えば、癌を有すると診断されたかまたは癌を有すると疑われる患者に投与する工程と、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞を検出する工程とを含む。いくつかの態様において、上記方法は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞からのシグナルを検出する工程を含む。いくつかの態様において、上記方法は、シグナルの、画像への変換を含む。
【0216】
本発明はまた、本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を用いて、HER2にターゲティングされる剤による治療に関して、被験体を選択/階層化する方法を提供する。いくつかの態様において、上記方法は、被験体由来の試料を、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞と接触させる工程を含む。いくつかの態様において、試料は、in vitroで接触される。いくつかの態様において、被験体は、本発明よる治療に関して選択されるか、または例えば、個体から得られる試料におけるHER2またはHER2をコードする核酸の存在の検出に基づいて、こうした治療から恩恵を受ける被験体として同定される。
【0217】
治療用途
本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARおよび細胞、ならびにこうした剤を含む組成物は、医学的治療の方法における使用のために提供されうる。治療は、治療を必要とする疾患または状態を有する被験体に提供されうる。疾患または状態は、癌でありうる。疾患または状態は、HER2が過剰発現される癌でありうる。
【0218】
本発明は、医学的治療または予防の方法における使用のための、本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞を提供する。本発明はまた、疾患もしくは状態を治療するかまたは予防するための医薬の製造における、本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞の使用を提供する。本発明はまた、被験体に、療法的または予防的に有効な量の本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞を投与する工程を含む、疾患もしくは状態を治療するかまたは予防する方法を提供する。
【0219】
HER2は、上皮増殖因子受容体ファミリーの成員であり、EGFRファミリーの他の成員(EGFR/HER1、HER3、およびHER4)との優先的なヘテロ二量体化シグナル伝達パートナーとして機能し、細胞増殖および分化を含む細胞発達のすべての段階において重要な役割を果たす(Karunagaranら, (1996) EMBO J. 15: 254-264;Klapperら, (1999) PNAS 96: 4995-5000)。細胞生存に関する重要な遺伝子として、HER2遺伝子増幅およびタンパク質過剰発現は、悪性形質転換を招く(Neveら, (2001) Ann Oncol. 12 Suppl 1():S9-13)。
【0220】
HER2は、乳癌、卵巣癌、胃癌、子宮内膜癌、膀胱癌、肺癌、結腸癌、前立腺癌、および頭頸部癌を含む多数の癌において発現される。HER2の過剰発現は、乏しい臨床成績と直接関連付けられる。HER2過剰発現は、乳癌のおよそ15~30%、および胃癌の10~30%で発生する(Iqbal & Iqbal (2014) Molecular Biology International, vol. 2014, Article ID 852748)。
【0221】
いくつかの態様において、癌は、HER2を過剰発現する細胞を含みうる。いくつかの態様において、癌は、抗体、抗原結合断片、またはポリペプチドが特異的であるHER2を発現する細胞を含みうる。
【0222】
本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CARまたは細胞は、HER2を発現するかまたは過剰発現する癌を治療するための使用のために提供されうる。例えば、HER2を過剰発現する腫瘍細胞は、本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CARまたは細胞による治療によって、例えば、細胞溶解もしくはアポトーシスによって、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)によって、または抗HER2抗体-薬物コンジュゲートを用いて、直接的に死滅されうる。
【0223】
「治療」は、例えば、疾患/状態の発症または進行の低減、疾患/状態の症状の軽減または疾患/状態の病理学の低減でありうる。疾患/状態の治療または軽減は、疾患/状態の進行を防止するのに、例えば、状態の悪化を防止するのに、または発症の速度を遅延させるのに有効でありうる。いくつかの態様において、治療または軽減は、疾患/状態の改善、例えば、疾患/状態の症状の低減、または疾患/状態の重篤性/活性のいくつか他の相関物の低減を導きうる。疾患/状態の防止/予防は、状態の悪化の防止、または疾患/状態の発症の防止、例えば、早期疾患/状態が後期の慢性段階に発達するのを防ぐことを指しうる。
【0224】
治療は、癌の発症または進行の防止を目指しうる。したがって、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CARまたは細胞は、薬学的組成物または医薬を配合するのに用いられてもよく、被験体は、疾患状態の発症に対して予防的に治療されてもよい。このことは、疾患状態の症状の発病前に行われてもよく、および/または癌の発症もしくは進行のより高いリスクがあるとみなされた被験体に施されてもよい。
【0225】
治療は、HER2発現細胞の数を低減すること、HER2発現細胞の細胞死を誘導すること、腫瘍サイズを低減すること、または腫瘍成長を阻害/防止することを目指しうる。
いくつかの態様において、治療されるべき癌、細胞、腫瘍または被験体は、所望によりin vitroで、HER2陽性(HER2+)であると決定されている。いくつかの態様において、本明細書記載の治療または予防の方法は、所望によりin vitroで、HER2が、治療されるべき被験体の癌、細胞または腫瘍によって発現されるかどうかを決定する工程を含む。決定は、被験体から得られた試料において実施されうる。
【0226】
いくつかの態様において、治療されるべき癌、細胞、腫瘍または被験体は、HER2+癌に対する他の療法を受け入れることができないかまたはそれらに応答しないものである。いくつかの態様において、治療されるべき被験体は、トラスツズマブおよび/またはペルツズマブを受け入れることができず、および/または被験体らがトラスツズマブおよび/またはペルツズマブを受け入れることができない/トラスツズマブおよび/またはペルツズマブで治療することができないことが決定されている。例えば、トラスツズマブは、心毒性作用と関連付けられている(Murray, CMAJ. 2006; 174(1): 36-37)。
【0227】
いくつかの態様において、治療されるべき癌、細胞、腫瘍または被験体は、HER2+癌に対する別の療法で、すでに治療されているものである。いくつかの態様において、治療されるべき被験体は、トラスツズマブおよび/またはペルツズマブをすでに投与されており、および/またはトラスツズマブおよび/またはペルツズマブですでに治療されている。
【0228】

癌は、任意の望ましくない細胞増殖(または望ましくない細胞増殖によって現れる任意の疾患)、新生物もしくは腫瘍、または望ましくない細胞増殖、新生物もしくは腫瘍のリスクまたはそれに対する素因の増加でありうる。癌は、良性または悪性であってもよく、原発性または続発性(転移性)であってもよい。新生物または腫瘍は、細胞の任意の異常な成長または増殖であってもよく、任意の組織に位置していてもよい。組織の例として、副腎、副腎髄質、肛門、虫垂、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、盲腸、中枢神経系(脳を含むかまたは除く)、小脳、子宮頸部、結腸、十二指腸、子宮内膜、上皮細胞(例えば、腎上皮)、胆嚢、食道、グリア細胞、心臓、回腸、空腸、腎臓、涙腺、咽頭、肝臓、肺、リンパ、リンパ節、リンパ芽球、上顎骨、縦隔、腸間膜、子宮筋、上咽頭、網(omentum)、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、末梢神経系、腹膜、胸膜、前立腺、唾液腺、S状結腸、皮膚、小腸、軟組織、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、舌、扁桃腺、気管、子宮、外陰部、白血球が挙げられる。
【0229】
いくつかの態様において、治療されるべき癌は、胸部の癌である。いくつかの態様において、治療されるべき癌は、卵巣、子宮、肺、例えば、肺の腺癌、または消化管、例えば胃、唾液管の癌である。
【0230】
治療されるべき腫瘍は、神経系または非神経系腫瘍であってもよい。神経系腫瘍は、中枢または末梢神経系のいずれかから生じてもよく、例えば、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、神経線維腫、上衣腫、シュワン腫、神経線維肉腫、星状細胞腫および乏突起神経膠腫であってもよい。非神経系癌/腫瘍は、任意の他の非神経組織で生じてもよく、例には、黒色腫、中皮腫、リンパ腫、骨髄腫、白血病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、肝細胞腫、類表皮癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、結腸癌、卵巣癌、膵臓癌、胸腺癌、NSCLC、血液学的癌および肉腫が含まれる。
【0231】
いくつかの態様において、癌は、HER2をコードするかまたは発現する癌である。いくつかの態様において、癌は、HER2を過剰発現する癌である。本明細書に用いる場合、「HER2陽性癌」または「HER2+癌」は、HER2遺伝子および/またはタンパク質を発現するかまたは過剰発現する癌である。
【0232】
本明細書に用いる場合、「HER2をコードするかまたは発現する癌」または「HER2を過剰発現する癌」は、HER2をコードするかまたは発現する任意の細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は、腫瘍の細胞であってもよい。こうした細胞は、HER2陽性細胞またはHER2陽性腫瘍細胞として同定されうる。本明細書に用いる場合、「腫瘍細胞」は、1つまたはそれより多くの腫瘍細胞を含む。
【0233】
HER2を発現するかもしくは過剰発現する癌または細胞は、免疫組織化学(IHC)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、発色性in situハイブリダイゼーション(CISH)および銀増強したin situハイブリダイゼーション(SISH)を含む方法、ならびに当該技術分野に知られる他の方法(Wolffら, Arch Pathol Lab Med. 2007;131(1):18-43、本明細書にその全体が援用される)によって同定されうる。他の方法として、総HER2ならびにHER2ホモ二量体およびヘテロ二量体を測定して、抗HER2療法の有効性を予測するためのVeraTag系を用いたアッセイであるHERmark(登録商標)試験が挙げられる(Shiら (2009) Diagn Mol Pathol. Mar;18(1):11-21、本明細書にその全体が援用される)。
【0234】
IHCによるHER2実験結果は、3つのカテゴリー:陽性、多義性および陰性に分類される。陽性ステータスは、スコア3+が付与され、30%より多い浸潤性腫瘍細胞の一様で強い膜染色を示す。多義性ステータスは、スコア2+が付与され、細胞の少なくとも10%における一様でないかまたは強度が弱い完全膜染色、あるいは30%以下の腫瘍細胞の強い完全膜染色を示す。陰性ステータスは、スコア1+または0が付与され、それぞれ、任意の比率の腫瘍細胞の弱い染色または不完全膜染色が見られるか、あるいは染色なしを示す(上記Wolffら)。本発明の状況において、スコア3+または2+が、「HER2陽性」であるとみなされる。
【0235】
HER2遺伝子増幅に関する蛍光(FISH)または発色性(CISH)in situハイブリダイゼーションは、乳癌を有する患者に関する診断精密検査の不可欠部分となっている。in situハイブリダイゼーションの原理は単純である:目的のゲノム配列に相補的なDNAプローブが生成されて、そして標識され、ついでターゲット組織にハイブリダイズされる。FISH/CISH法は、多種多様の試料:細胞株、凍結組織、パラフィンに包埋した組織およびマイクロ組織アレイに適用されうる。FISHは、蛍光顕微鏡法を利用するのに対して、CISHは、光学顕微鏡法を用いる(GutierrezおよびSchiff (2011) Arch Pathol Lab Med. 135(1): 55-62)。CISHは、遺伝子増幅の検出において、FISHを上回るいくつかの利点:1)永続的な染色、試料を保存することができること;2)明視野顕微鏡法の使用;3)ターゲット細胞の容易な同定;4)腫瘍の不均一性が容易に評価されることを有するが、CISHは、実際の遺伝子コピー数の決定を可能にしない(Lambrosら, Hum Pathol. 2007 Aug; 38(8):1105-22)。
【0236】
HER2 FISH陽性は、内部対照プローブを伴わない試験系に関して平均6つより多いHER2遺伝子コピー/核または2.2を超えるHER2/CEP17比と定義され、ここで、CEP17は、HER2遺伝子が存在する17番染色体に関するセントロメアプローブである。HER2 FISHアッセイに関する多義性範囲は、1.8~2.2のHER/CEP比または内部対照を伴わない系に関して4.0~6.0の平均遺伝子コピー数と定義される。陰性HER2 FISH増幅は、1.8未満のHER2/CEP17比または内部対照プローブを伴わない系に関して、核1つにつき平均4つ未満のHER2遺伝子のコピーと定義される(上記Wolffら)。本発明の状況において、陽性または多義性のFISHステータスが、「HER2陽性」であるとみなされる。
【0237】
薬学的に有用な組成物および医薬の配合
本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARおよび細胞は、臨床用途のための薬学的組成物として配合されてもよく、そして薬学的に許容されうるキャリアー、希釈剤、賦形剤またはアジュバントを含んでもよい。
【0238】
また、本発明によれば、薬学的に有用な組成物の産生方法が提供され、こうした産生方法は、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、または細胞を単離する工程、および/または単離された本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、または細胞を、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバント、賦形剤または希釈剤と混合する工程から選択される1つまたはそれより多くの工程を含んでもよい。
【0239】
例えば、本発明のさらなる側面は、癌の治療における使用のための医薬もしくは薬学的組成物を配合または産生する方法であって、本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、または細胞を、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバント、賦形剤または希釈剤と混合することによって、薬学的組成物または医薬を配合する工程を含む方法に関する。
【0240】
本発明の側面による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、細胞、医薬および薬学的組成物は、非経口、静脈内、動脈内、筋内、腫瘍内、経口および経鼻を含むがこれらに限定されない多数の経路による投与用に配合されうる。医薬および組成物は、注射用に配合されてもよく、または固体形態で配合されてもよい。抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、細胞および治療剤は、液体形態または固体形態で配合されてもよい。液体形態は、ヒトまたは動物の身体の選択された領域への注射による投与用に配合されうる。
【0241】
抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CARまたは細胞の投与は、好ましくは「療法的に有効な量」であり、これは、個体に対する利益を示すために十分である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、治療される疾患の性質および重症度に応じるであろう。治療の処方、例えば、投与量の決定等は、開業医および他の医師の責任の範囲内であり、そして典型的には、治療されるべき障害、個々の患者の状態、送達部位、投与法および医師に知られる他の要因を考慮する。上述の技法およびプロトコルの例は、本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第20版, 2000, Lippincott, Williams & Wilkin刊行に見出されうる。
【0242】
抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、細胞、医薬および薬学的組成物は、単独で、または他の治療と組み合わせて、治療されるべき状態に応じて、同時にまたは連続して、投与されうる。他の治療は、1つまたはそれより多くの治療剤でありうる。
【0243】
本明細書において、本発明の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CAR、細胞または組成物および治療剤は、同時に、または連続投与されうる。治療剤は、化学療法剤でありうる。
【0244】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CAR、または細胞による治療には、化学療法が付随していてもよい。
【0245】
いくつかの態様において、本発明の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CAR、または細胞による治療には、少なくとも1つの抗癌剤が付随していてもよい。「少なくとも1つの抗癌剤」は、本明細書記載の癌等の悪性疾患または癌性疾患の治療において有効である1つ、または2つ、または3つ、または4つ、またはそれより多い剤を指す。
【0246】
同時投与は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CAR、または細胞の、治療剤または抗癌剤一緒の投与、例えば、両方の剤を含有する薬学的組成物(組み合わせ調製物)としての、あるいは互いの直後の、そして所望により同じ投与経路を通じた、例えば同じ動脈、静脈もしくは他の血管への投与を指す。
【0247】
連続投与は、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、組成物、CAR、もしくは細胞、または治療剤/抗癌剤の1つの投与に続く、所定の時間間隔後の他の剤の別個の投与を指す。2つの剤が同じ経路によって投与される必要はないが、いくつかの態様はこれに当てはまる。時間間隔は、任意の時間間隔であってもよい。
【0248】
本明細書記載の治療剤または抗癌剤は、抗HER2抗体またはHER2をターゲティングする剤でありうる。いくつかの態様において、本明細書記載の治療剤または抗癌剤は、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、トラスツズマブエムタンシン(カドサイラ(登録商標))、ラパチニブ(タイベルブ(登録商標))および/またはペルツズマブ(パージェタ(登録商標))の1つまたはそれより多くである。いくつかの態様において、本明細書記載の抗体、抗原結合分子またはポリペプチドは、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))および/またはペルツズマブ(パージェタ(登録商標))等の上記剤の1つまたはそれより多くと組み合わせて、例えば、同時にまたは連続的に投与される。
【0249】
本明細書記載の治療剤または抗癌剤は、腫瘍もしくは血液への注射または注入に適切であるように配合されうる。
化学療法/放射線療法
化学療法および放射線療法は、それぞれ、薬物によるかまたは電離放射線(例えば、X線またはγ線を用いた放射線療法)による癌の治療を指す。
【0250】
薬物は、化学物体、例えば、小分子医薬品、抗生物質、DNA挿入剤、タンパク質阻害剤(例えばキナーゼ阻害剤)、あるいは生物学的剤、例えば抗体、抗体断片、核酸またはペプチドアプタマー、核酸(例えばDNA、RNA)、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質であってもよい。薬物を、薬学的組成物または医薬として配合してもよい。配合物は1つまたはそれより多い薬物(例えば1つまたはそれより多い活性剤)を、1つまたはそれより多い薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤またはキャリアーと一緒に含んでもよい。
【0251】
治療は、1つより多い薬物の投与を包含してもよい。治療されるべき状態に応じて、薬物を、単独でまたは他の治療と組み合わせて、同時にまたは連続的に投与してもよい。例えば、化学療法は、その1つまたはそれより多くが癌を治療するために意図されてもよい、2つの薬物の投与を含む併用療法であってもよい。
【0252】
化学療法は、1つまたはそれより多い投与経路、例えば非経口、静脈内注射、経口、皮下、皮内または腫瘍内経路によって投与されてもよい。
化学療法は、治療レジメンにしたがって投与されてもよい。治療レジメンは、医者または医師によって準備されてもよく、そして治療を必要とする患者に合わせてあつらえてもよい、化学療法投与のあらかじめ決定されたタイムテーブル、計画、スキームまたはスケジュールであってもよい。
【0253】
治療レジメンは:患者に投与する化学療法のタイプ;各薬物または放射線の用量;投与間の時間間隔;各治療の長さ:あるとすれば任意の治療休業日の数および性質の1つまたはそれより多くを示してもよい。併用療法に関して、各薬物をどのように投与するかを示す単一の治療レジメンを提供してもよい。
【0254】
化学療法薬および生物製剤は以下から選択してもよい:アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イホスファミド;プリンまたはピリミジン代謝拮抗剤、例えばアザチオプリンまたはメルカプトプリン;アルカロイドおよびテルペノイド、例えばビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン)、ポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、タキサン、例えばパクリタキセル(タキソールTM)、ドセタキセル;トポイソメラーゼ阻害剤、例えばI型トポイソメラーゼ阻害剤、カンプトテシン、イリノテカンおよびトポテカン、またはII型トポイソメラーゼ阻害剤、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド;抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン抗生物質)、例えばダクチノマイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシンTM)、エピルビシン、ブレオマイシン、ラパマイシン;抗体に基づく剤、例えば抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM-3抗体、抗CTLA-4、抗4-1BB、抗GITR、抗CD27、抗BLTA、抗OX43、抗VEGF、抗TNFα、抗IL-2、抗GpIIb/IIIa、抗CD-52、抗CD20、抗RSV、抗HER2/neu(erbB2)、抗TNF受容体、抗EGFR抗体、モノクローナル抗体または抗体断片、例には:セツキシマブ、パニツムマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、アブシキシマブ、ダクリズマブ、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ(マブテラ(登録商標))、パリビズマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ニモツズマブが含まれる;EGFR阻害剤、例えばエルロチニブ、セツキシマブおよびゲフィチニブ;抗血管新生剤、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標));癌ワクチン、例えばシプリューセル-T(プロベンジ(登録商標))。
【0255】
さらなる化学療法薬は:13-シス-レチノイン酸、2-クロロデオキシアデノシン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アブラキサン、アキュタン(登録商標)、アクチノマイシン-D、アドリアマイシン(登録商標)、アドルシル(登録商標)、アフィニトール(登録商標)、アグリリン(登録商標)、Ala-コート(登録商標)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、アルカバン-AQ(登録商標)、アルケラン(登録商標)、オールトランスレチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、アナンドロン(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、アラネスプ(登録商標)、アレジア(登録商標)、アリミデックス(登録商標)、アロマシン(登録商標)、アラノン(登録商標)、亜ヒ酸、アスパラギナーゼ、ATRA アバスチン(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)、ビカルタミド、BiCNU、ブレノキサン(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブスルフェックス(登録商標)、カルシウムロイコボリン、キャンパス(登録商標)、カンプトサル(登録商標)、カンプトテシン-11、カペシタビン、カラックTM、カルボプラチン、カルムスチン、カソデックス(登録商標)、CC-5013、CCI-779、CCNU、CDDP、CeeNU、セルビジン(登録商標)、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボルム因子、クラドリビン、コルチゾン、コスメゲン(登録商標)、CPT-11、シクロホスファミド、シタドレン(登録商標)、シタラビン シトサール-U(登録商標)、シトキサン(登録商標)、ダコゲン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダサチニブ、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン・リポソーマル、ダウノキソーム(登録商標)、デカドロン、デシタビン、デルタ-コルテフ(登録商標)、デルタゾン(登録商標)、デニロイキン、ディフチトックス、デポシトTM、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、デキサゾン、デクスラゾキサン、DHAD、DIC、ジオデックス、ドセタキセル、ドキシル(登録商標)、ドキソルビシン、ドキソルビシン・リポソーマル、ドロキシアTM、DTIC、DTIC-Dome(登録商標)、デュラロン(登録商標)、エリガードTM、エレンスTM、エロキサチンTM、エルスパー(登録商標)、エンシット(登録商標)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エルビタックス、エルロチニブ、エルウィニアL-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、エチヨルエトポフォス(登録商標)、エトポシド、リン酸エトポシド、ユーレキシン(登録商標)、エベロリムス、エビスタ(登録商標)、エキセメスタン、ファスロデックス(登録商標)、フェマラ(登録商標)、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラ(登録商標)、フルダラビン、フルオロプレックス(登録商標)、フルオロウラシル、フロキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR(登録商標)、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツヅマブ・オゾガマイシン、グリーベックTM、グリアデル(登録商標)ウェハー、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ハーセプチン(登録商標)、ヘキサドロール、ヘキサレン(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、HMM、ヒカムチン(登録商標)、ヒドレア(登録商標)、酢酸ヒドロコルト(登録商標)、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルトン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、イダマイシン(登録商標)、イダルビシン、イフェックス(登録商標)、IFN-アルファ、イホスファミド、IL-11、IL-2、メシル酸イマチニブ、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b(PEGコンジュゲート)、インターロイキン-2、インターロイキン-11、イントロンA(登録商標)(インターフェロンアルファ-2b)、イレッサ(登録商標)、イリノテカン、イソトレチノイン、イキサベピロン、イキセンプラTM、キドロラーゼ、ラナコート(登録商標)、ラパチニブ、L-アスパラギナーゼ、LCR、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイケラン、ロイカインTM、リュープロリド、リューロクリスチン、リュースタチンTM、リポソーマルAra-C、液体プレド(登録商標)、ロムスチン、L-PAM、L-サルコリシン、リュプロン(登録商標)、リュプロンデポ(登録商標)、マツラン(登録商標)、マキシデックス、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸塩、メドラロン(登録商標)、メドロール(登録商標)、メゲース(登録商標)、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メスネックスTM、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メチルプレドニゾロン、メチコルテン(登録商標)、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロン、M-プレドニゾール(登録商標)、MTC、MTX、ムスターゲン(登録商標)、ムスチン、ムタマイシン(登録商標)、ミレラン(登録商標)、ミロセルTM、ミロターグ(登録商標)、ナベルビン(登録商標)、ネララビン、ネオサール(登録商標)、ニューラスタTM、ニューメガ(登録商標)、ニューポゲン(登録商標)、ネキサバール(登録商標)、ニランドロン(登録商標)、ニルタミド、ニペント(登録商標)、ナイトロジェンマスタード、ノバルデックス(登録商標)、ノバントロン(登録商標)、オクトレオチド、酢酸オクトレオチド、オンコスパー(登録商標)、オンコビン(登録商標)、オンタック(登録商標)、オンキサルTM、オプレベルキン、オラプレッド(登録商標)、オラゾン(登録商標)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合型、パミドロネート、パニツムマブ、パンレチン(登録商標)、パラプラチン(登録商標)、ペディアプレド(登録商標)、PEGインターフェロン、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスティム、PEG-イントロンTM、PEG-L-アスパラギナーゼ、PEMETREXED、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、プラチノール(登録商標)、プラチノール-AQ(登録商標)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(登録商標)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、プロロイキン(登録商標)、カルムスチンインプラントプリネトール(登録商標)を含むプロリフェプロスパン20、ラロキシフェン、レブリミド(登録商標)、リューマトレックス(登録商標)、リツキサン(登録商標)、リツキシマブ、ロフェロン-A(登録商標)(インターフェロンアルファ-2a)、リューベックス(登録商標)、ルビドマイシン塩酸塩、サンドスタチン(登録商標)、サンドスタチンLAR(登録商標)、サルグラモスチム、ソリュ-コルテフ(登録商標)、ソリュ-メドロール(登録商標)、ソラフェニブ、SPRYCELTM、STI-571、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、スーテント(登録商標)、タモキシフェン、タルセバ(登録商標)、タルグレチン(登録商標)、タキソール(登録商標)、タキソテール(登録商標)、テモダール(登録商標)、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、TESPA、サリドマイド、タロミド(登録商標)、テラシス(登録商標)、チオグアニン、チオグアニンタブロイド(登録商標)、チオホスホアミド、チオプレックス(登録商標)、チオテパ、TICE(登録商標)、トポサール(登録商標)、トポテカン、トレミフェン、トリセル(登録商標)、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレアンダ(登録商標)、トレチノイン、トレキサールTM、トリセノックス(登録商標)、TSPA、TYKERB(登録商標)、VCR、ベクチビックスTM、ベルバン(登録商標)、ベルケード(登録商標)、ベペシド(登録商標)、ベサノイド(登録商標)、ビアデュルTM、ビダザ(登録商標)、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンカサールPfs(登録商標)、ビンクリスチン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン、VLB、VM-26、ボリノスタット、VP-16、ブモン(登録商標)、キセロダ(登録商標)、ザノサール(登録商標)、ゼバリンTM、ジネカード(登録商標)、ゾラデックス(登録商標)、ゾレドロン酸、ゾリンザ、ゾメタ(登録商標)より選択されてもよい。
【0256】
いくつかの態様において、本発明による抗体/抗原結合断片は、ドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、フルオロウラシル、シクロホスファミド、メトトレキセートおよびカペシタビンの1つまたはそれより多くと組み合わせて投与される。
【0257】
投薬レジメン
多数回の用量の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞を提供してもよい。用量の1つまたはそれより多くまたは各々には、別の療法剤の同時または連続投与が付随していてもよい。
【0258】
多数回用量は、あらかじめ決定した時間間隔によって分かれていてもよく、これは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日、あるいは1、2、3、4、5または6カ月の1つであるように選択されてもよい。例えば、用量を、7、14、21または28日(プラスまたはマイナス3、2、または1日)ごとに1回投与してもよい。
【0259】
キット
本発明のいくつかの側面において、キットオブパーツが提供される。いくつかの態様において、キットは、あらかじめ決定した量の本明細書記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞を有する少なくとも1つの容器を有してもよい。キットは、医薬または薬学的組成物の形態で、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞を提供してもよく、明記する疾患または状態を治療するため、患者に投与するための使用説明書とともに提供されてもよい。抗体、抗原結合断片またはポリペプチドは、腫瘍もしくは血液への注射または注入に適切であるように配合されうる。
【0260】
いくつかの態様において、キットはさらに、あらかじめ決定した量の別の療法剤(例えば化学療法剤または抗癌剤)を有する少なくとも1つの容器をさらに含んでもよい。こうした態様において、キットはまた、2つの医薬または薬学的組成物が特定の疾患または状態に対する組み合わせ治療を提供するように、これらを同時にまたは別個に投与可能であるように、第二の医薬または薬学的組成物も含んでもよい。また、治療剤または抗癌剤は、腫瘍もしくは血液への注射または注入に適切であるように配合されうる。
【0261】
被験体
本発明による抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、コンジュゲート、核酸、ベクター、CARまたは細胞で治療される被験体は、任意の動物またはヒトであってもよい。被験体は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。被験体は、非ヒト哺乳動物であってもよいが、より好ましくはヒトである。被験体は、男性または女性であってもよい。被験体は患者であってもよい。被験体は、治療が必要な疾患または状態を有すると診断されていてもよいし、こうした疾患/状態を有すると疑われてもよい。
【0262】
配列同一性
パーセント(%)配列同一性は、配列を整列させて、必要に応じて、ギャップを導入して、最大配列同一性を達成した後に、所定の列挙される配列(配列番号によって言及される)中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義され、配列同一性の一部として、いかなる保存的置換も考慮しない。配列同一性は好ましくは、各々の配列の全長にわたって算出される。
【0263】
整列された配列が、種々の長さを有する場合、より短い比較配列の配列同一性が、より長い所定の配列の全長にわたって決定されてもよく、または比較配列が、所定の配列より長い場合、比較配列の配列同一性は、より短い所定の配列の全長にわたって決定されてもよい。
【0264】
パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のため、当業者に知られる多様な方法で、例えば、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えばClustalW 1.82.、ClustalO、T-coffeeまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアを用いて、整列を達成することができる。こうしたソフトウェアを用いる際、例えばギャップペナルティおよび伸長ペナルティに関して、好ましくはデフォルトパラメータを用いる。ClustalW 1.82のデフォルトパラメータは、Protein Gap Open Penalty = 10.0、Protein Gap Extension Penalty = 0.2、Protein matrix = Gonnet、Protein/DNA ENDGAP = -1、Protein/DNA GAPDIST = 4である。ClustalOのデフォルトパラメータは、Soding, J. (2005) ’Protein homology detection by HMM-HMM comparison’. Bioinformatics 21, 951-960に記載される。
【0265】
組換え産生
本発明による免疫原、抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲートおよびCARは、組換え発現によって産生されてもよい。例えば、その全体が本明細書に援用される、Green and Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第4版), Cold Spring Harbor Press, 2012に示されているもの等の組換え産生に適した分子生物学技法が、当該技術分野に周知である。
【0266】
いくつかの態様において、本明細書記載の核酸は、例えば、他の核酸または天然存在生物学的材料から精製されるかまたは単離される。いくつかの態様において、核酸(単数または複数)は、DNAおよび/またはRNAを含むかまたはそれらからなる。
【0267】
発現は、ヌクレオチド配列からであってもよい。ヌクレオチド配列はベクター中に含有されてもよい。「ベクター」は、本明細書に用いる場合、細胞内に外来性遺伝物質をトランスファーするためのビヒクルとして用いられるオリゴヌクレオチド分子(DNAまたはRNA)である。ベクターは、細胞において、外来遺伝物質を発現させるための発現ベクターであってもよい。こうしたベクターには、発現されるべき配列をコードするヌクレオチド配列に機能可能であるように連結されたプロモーター配列が含まれてもよい。ベクターにはまた、終結コドンおよび発現エンハンサーも含まれてもよい。当該技術分野に知られる任意の適切なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび終結コドンを用いて、本発明によるベクターからペプチドまたはポリペプチドを発現させてもよい。いくつかの態様において、ベクターは、プラスミド、MAC、ウイルス等であってもよい。いくつかの態様において、ベクターは、真核発現ベクター、例えば真核細胞におけるベクターからのタンパク質発現に必要な要素を含むベクターであってもよい。いくつかの態様において、ベクターは、例えばタンパク質発現を駆動するためのサイトメガロウイルス(CMV)またはSV40プロモーターを含む、哺乳動物発現ベクターであってもよい。
【0268】
「機能可能であるように連結される」という用語には、選択されたヌクレオチド配列および制御ヌクレオチド配列(例えばプロモーターおよび/またはエンハンサー)が、制御配列の影響または調節下で、ヌクレオチド配列の発現を達成するような方式で、共有連結される(それによって発現カセットを形成する)状況が含まれうる。したがって、制御配列がヌクレオチド配列の転写を達成可能であるならば、制御配列は、選択されたヌクレオチド配列に、機能可能であるように連結されている。生じた転写物は、次いで、望ましいペプチドまたはポリペプチドに翻訳されてもよい。
【0269】
本発明による組換え産生のため、ポリペプチドの発現に適した任意の細胞を用いてもよい。細胞は、原核生物または真核生物であってもよい。いくつかの態様において、細胞は、原核細胞、例えば古細菌または細菌の細胞である。いくつかの態様において、細菌は、グラム陰性細菌、例えば腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)であってもよい。
【0270】
いくつかの態様において、細胞は、真核細胞、例えば酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞、例えばCHO、HEK、HeLaまたはCOS細胞である。いくつかの態様において、宿主細胞は、非ヒト細胞、例えば非ヒト哺乳動物細胞である。
【0271】
いくつかの場合、原核細胞には、真核細胞と同じフォールディングまたは翻訳後修飾を可能にしないものもあるため、細胞は、原核細胞ではない。さらに、真核生物では非常に高い発現レベルが可能であり、そして適切なタグを用いると、真核生物からタンパク質を精製することがより容易でありうる。培地へのタンパク質の分泌を増進させる特定のプラスミドもまた、利用可能でありうる。
【0272】
産生は、ペプチドまたはポリペプチドを発現するように修飾された真核細胞の培養または発酵を伴ってもよい。栄養素、空気/酸素および/または増殖因子の適切な供給を提供されたバイオリアクター中で、培養または発酵を実行してもよい。細胞から、培地/発酵ブロスを分配し、タンパク質内容物を抽出し、そして個々のタンパク質を分離して、分泌されたペプチドまたはポリペプチドを単離することによって、分泌されたタンパク質を収集することができる。培養、発酵および分離技法は、当業者に周知であり、そして例えば、GreenおよびSambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第4版;本明細書上記に援用される)に記載される。
【0273】
バイオリアクターには、その中で細胞を培養可能である1つまたはそれより多い容器が含まれる。バイオリアクター中の培養は、連続して生じてもよく、リアクター内への反応物の連続流動、およびリアクターからの培養細胞の連続流動が伴う。あるいは、培養はバッチで生じてもよい。バイオリアクターは、培養中の細胞のために最適な条件が提供されるように、pH、酸素、容器内へのおよび容器外への流速、ならびに容器内の攪拌などの環境条件をモニタリングし、そして調節する。
【0274】
免疫原、抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲートまたはCARを発現する細胞の培養後、好ましくは目的のペプチド/ポリペプチドを単離する。当該技術分野に知られる、細胞培養からタンパク質を分離するための任意の適切な方法を用いてもよい。培養からペプチド/ポリペプチドを単離するため、まず、目的のペプチド/ポリペプチドを含有する培地から、培養された細胞を分離する必要がある可能性もある。目的のペプチド/ポリペプチドが細胞から分泌される場合、分泌された目的のペプチド/ポリペプチドを含有する培地から、遠心分離によって細胞を分離してもよい。目的のペプチド/ポリペプチドが細胞内に集積する場合、遠心分離前に、例えば超音波、迅速凍結融解または浸透圧溶解を用いて、細胞を破壊する必要があるであろう。遠心分離は、培養細胞を含有するペレット、または培養細胞の細胞破片、ならびに培地および目的のペプチド/ポリペプチドを含有する上清を生じるであろう。
【0275】
次いで、他のタンパク質および非タンパク質構成要素も含有しうる上清または培地から、目的のペプチド/ポリペプチドを単離することが望ましい可能性もある。上清または培地からタンパク質構成要素を分離するための一般的なアプローチは、沈殿による。異なる溶解度のタンパク質は、硫酸アンモニウムなどの沈殿剤の異なる濃度で沈殿する。例えば、低濃度の沈殿剤では、水溶性タンパク質が抽出される。したがって、異なる、増加する濃度の沈殿剤を添加することによって、異なる溶解度のタンパク質が区別可能である。続いて、透析を用いて、分離されたタンパク質から硫酸アンモニウムを除去することも可能である。
【0276】
異なるタンパク質を区別するための他の方法、例えばイオン交換クロマトグラフィおよびサイズクロマトグラフィが当該技術分野に知られている。これらを沈殿の代替法として用いてもよいし、または沈殿に続いて行ってもよい。
【0277】
目的のペプチド/ポリペプチドが、ひとたび培養から単離されたら、ペプチドまたはポリペプチドを濃縮することが望ましいかまたはその必要がある可能性もある。例えば限外濾過または凍結乾燥等の、タンパク質を濃縮するためのいくつかの方法が当該技術分野に知られている。
【0278】
配列
【0279】
【表2-1】
【0280】
【表2-2】
【0281】
【表2-3】
【0282】
【表2-4】
【0283】
【表2-5】
【0284】
【表2-6】
【0285】
【表2-7】
【0286】
【表2-8】
【0287】
【表2-9】
【0288】
【表2-10】
【0289】
【表2-11】
【0290】
【表2-12】
【0291】
【表2-13】
【0292】
【表2-14】
【0293】
【表2-15】
【0294】
【表2-16】
【0295】
本発明には、記載する側面および好ましい特徴の組み合わせが含まれるが、こうした組み合わせが明らかに許容されえないかまたは明らかに回避される場合を除く。
本明細書に用いるセクション見出しは、構成上の目的のみのためであり、そして記載する主題を限定するとは見なされないものとする。
【0296】
本発明の側面および態様はここで、例として、付随する図を参照しながら例示されるであろう。さらなる側面および態様は、当業者には明らかであろう。本文に言及するすべての文書が本明細書に援用される。
【0297】
本明細書全体にわたって、続く請求項を含めて、背景が別であることを必要としない限り、「含む」という単語、ならびに変形、例えば「含む」および「含んでいる」は、言及する整数または工程、あるいは整数または工程群の包含を意味するが、いかなる他の整数または工程、あるいは整数または工程群も排除しないことが理解されるであろう。
【0298】
本明細書および付随する請求項において、単数形「a」、「an」、および「the」には、背景が明らかに別であると示さない限り、複数の指示対象が含まれることに留意しなければならない。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、そして/または「約」別の特定の値までとして表されることも可能である。こうした範囲を示した場合、別の態様には、1つの特定の値から、そして/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値を近似値で表した場合、先行する「約」を使用することによって、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。
【実施例
【0299】
実施例1:発見
抗ヒトHER-2結合抗体を、3ラウンドのバイオパニングで、ファージディスプレイによってヒトFabライブラリーから単離した。ヒトFabライブラリー由来の単離されたFabおよび固定化HER-2タンパク質の結合を、ELISAによって測定した(図3)。各クローンのHER-2からの解離定数(K)は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定された。結果を表1に示す。
【0300】
【表3】
【0301】
4つのクローンを最初に、さらなる特徴に関して選択した:P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1。クローンA4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3もまた、CARにおける有用性の特性化および検討に関して選択した。
【0302】
実施例2:HER-2への特異的結合
HER-2上への結合
4つの抗体クローン(P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1)と、HER-2との間の相互作用を、マイクロチップ上に結合した可溶性HER-2を用いて、そして抗体を流して、SPRによって試験した。また、結合の特異性を評価するために、HER-2に密接に関連した分子、すなわちEGFRおよびHER-3も、結合抗原として用いた。ヒト化抗HER-2抗体トラスツズマブを陽性対照として用いた。
【0303】
4つの抗体が、ヒトHER-2への特異的結合を示し、HER-3またはEGFGとのいかなる種の相互作用を示さなかった(図4)。
HER2発現細胞上への結合
HER-2に対する抗体への結合をさらに特徴付けるために、HER-2、BT-474およびSK-BR-3を構成的に過剰発現する細胞と、HER-2、BT-20およびMCF-7を発現するが、過剰発現しない細胞と、または抗原を発現しないトリプルネガティブ癌細胞株MDA-MB-468と、抗体をインキュベートした。BT-474およびSK-BR-3細胞株はともに、HER-2発現に関して3+と分類され、すなわち、過剰発現する。BT-20細胞株は、発現スコア0/1+を有する基底HER-2細胞株と分類され、MCF-7は、同じスコアを提示し、管腔腫瘍細胞株と分類される。MDA-MB-468は、HER-2発現スコア0を有する(Subik Kら 2010, Breast Cancer (Auckl), 4:35-41)。
【0304】
インキュベーション後、二次抗体を添加して、フローサイトメトリーにより細胞への結合を検出した。すべてのアッセイにおいて、トラスツズマブを陽性対照として用いた。
4つの抗HER-2抗体が、トラスツズマブと類似の様式で、HER-2過剰発現細胞(図5A)およびHER-2発現細胞(図5B)に結合した一方で、HER-2陰性細胞では、結合は観察されなかった(図5C)。
【0305】
続いて、抗体を、様々な濃度でHER-2発現細胞とともにインキュベートして、用量効果の結合プロファイルを研究した。こうしたアッセイにおいて、E4は、トラスツズマブに最も近い結合プロファイルを示した(図6)。
【0306】
実施例3:トラスツズマブとは異なるエピトープへの結合
4つの抗HER-2抗体P1A3、P1C5、P1E4およびP1F1が、トラスツズマブと同じエピトープを結合しているかどうかを評価するために、SPRによって結合アッセイを実施した。簡潔には、目的の抗体を、SPRマイクロチップ上に固定化して、次いで、組換えHER-2流を適用して、固定化抗体に結合させた。のちに、すべての他の抗体を流して、それらの結合を測定した。
【0307】
4つの抗体はすべて、類似のデンドログラムを示し、4つの抗体が、共通のエピトープを共有するかまたは非常に近いエピトープに結合することを示唆した。しかしながら、トラスツズマブは、異なる結合プロファイルを示し、4つの抗体が、トラスツズマブのエピトープを共有しないことを実証した(図7)。
【0308】
クローンA4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3の結合エピトープを、上記のようにSPRによって評価する。結合プロファイルを、トラスツズマブの結合プロファイルと比較して、クローンA4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3は、トラスツズマブと異なるエピトープに結合することがわかる。
【0309】
実施例4:ヒトHER-2に対するアフィニティ
SPRによって、アフィニティを測定した。E4は、4つのクローンの中でも、HER-2に対して最も高いアフィニティを示した(表2)。
【0310】
【表4】
【0311】
クローンA4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3の結合特性もまた、SPRによって決定した。会合の速度定数、解離の速度定数(k、k)および平衡解離定数(K)を、抗HER2 Fab分子に関して決定した。ヒトHER2タンパク質(50μg/mL)をSPRセンサーチップ上に固定化して、フローセルにわたって、2倍希釈または3倍希釈で、5つの異なる濃度の各Fabに曝露させた。1:1のラングミュアモデルを使用して、定数を導き出した。
【0312】
結果を表3に示す。
【0313】
【表5】
【0314】
実施例5:作用機序
膜の破壊
HER2過剰発現BT-474細胞を、P1A3、P1C5、P1E4またはP1F1およびヨウ化プロピジウムの存在下でインキュベートした。トラスツズマブとは異なり、4つの抗体は、膜の破壊を誘導し、ヨウ化プロピジウムの挿入を可能にし、そして細胞死の誘導を証明した(図8)。
【0315】
アポトーシスの誘導
HER2過剰発現細胞株BT-474およびSK-BR-3を、P1E4またはトラスツズマブの存在下でインキュベートして、アネキシン-Vおよびヨウ化プロピジウムで染色して、アポトーシスおよび死を測定した。
【0316】
P1E4とともにインキュベートして、ヨウ化プロピジウム染色、すなわち、瀕死の細胞/死滅した細胞を示す細胞はまた、アネキシン-Vによる染色も示し、P1E4が、アポトーシスによって細胞死を誘導することを示した(図9
アポトーシスの誘導をさらに確認するために、BT-474細胞を、プロピジウム摂取、カスパーゼ3/7経路の活性化および切断されたPARPの活性の続く測定のため、P1E4、トラスツズマブまたはペルツズマブ(別の抗HER-2抗体)の存在下でインキュベートした。カスパーゼ3/7経路は、アポトーシスプロセスに関与する。活性化後、カスパーゼ3/7は、核内で、切断されたPARPを活性化して、順番に、ミトコンドリアによってアポトーシス促進因子の放出を誘発することができ、そしてDNA修復のプロセスを阻止することができる。
【0317】
上述するように、P1E4の存在下でのインキュベーションは、ヨウ化プロピジウムの取り込みをもたらした(図10A)。P1E4は、カスパーゼ3/7の活性化を誘導し(図10B)、そして切断されたPARPを誘発した(図10C)。トラスツズマもペルツズマブも、アッセイにおいて、この経路の誘発を示さず、異なる作用機序であることを示唆した。
【0318】
P1E4に誘導される細胞死の動態を分析した。簡潔には、BT-474およびSK-BR-3細胞を、37℃で、10μg/mLのE4またはトラスツズマとともにインキュベートした。抗体の添加の10、20、30、40、50および60分後に、細胞を収集して、ヨウ化プロピジウムの取り込みによって、細胞死の誘導を分析した。
【0319】
P1E4の添加直後の10分~20分で、細胞は死滅し始めた一方で、トラスツズマとともにインキュベートした細胞は、溶解のいかなる兆候も示さなかった(図11)。
クローンA3、C5、F1、A4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3を、それらの作用機序に関して評価して、例えば、アポトーシスによって、細胞死を誘導することがわかる。
【0320】
実施例6:有効性
in vitro抗腫瘍活性
腫瘍成長に関する抗体の活性を評価するために、BT-474細胞を、様々な濃度のP1E4の存在下で72時間インキュベートした。トラスツズマブおよびペルツズマブを、腫瘍成長を抑制することが可能な陽性対照として用いた。いくつかの細胞は、抗体を用いずに成長している状態であり、成長参照として機能を果たした。HER-2を発現しない細胞株であるMDA-MB-468細胞株を、陰性対照として用いた。72時間後、Promega社のCelltiter 96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ(MTS)を用いて、細胞数を測定した。
【0321】
P1E4は、トラスツズマブまたはペルツズマブの細胞増殖抑制効果に匹敵する、B-474腫瘍成長に対する細胞増殖抑制効果を示した(図12)。
類似のアッセイを行い、P1E4およびトラスツズマブの潜在的な相乗効果を評価した。P1E4およびトラスツズマブの組み合わせは、いずれかの抗体単独より高い細胞増殖抑制効果を示し、相乗効果を示唆した(図13)。
【0322】
P1A3、P1C5、P1E4またはP1F1の抗体依存性細胞障害性もまた測定し、トラスツズマブの抗体依存性細胞障害性と比較した。BT-474細胞を、様々な濃度の抗体およびPBMCとともに、エフェクター対ターゲット(E:T)比10:1で平板培養した。37℃で16時間のインキュベート後、上清を収集して、Promega社のCytotox 96非放射性細胞傷害性アッセイキットによって、LDH放出に関して評価した。
【0323】
4つの抗体はすべて、ADCCを誘導することが可能であり、P1E4が、最も強力なADCC効果を示した。高濃度では、P1E4は、トラスツズマブと類似の比率で、細胞毒性を誘発することが可能であったが、より低用量では、あまり有効でなかった(図14)。
【0324】
クローンA4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3を、腫瘍成長に対するそれらの効果に関して評価し、細胞障害性効果を有することがわかっている。
in vivo抗腫瘍有効性
P1E4を、in vivoで腫瘍成長を制御するその能力に関して試験した。簡潔には、BT-474細胞をヌードマウスにおいて注射した。腫瘍がおよそ125mmに達したら、すなわち、触知可能になったら、1~17日目に4日毎に、トラスツズマブに関しては10mg/kgで、そしてP1E4に関しては、3.3、10、20または30mg/kgで、抗体を静脈内に注射した。対照群の1つのみに、10mL/kg/注射のビヒクルを付した。続いて、腫瘍成長を、3~4日毎に31日目までモニタリングした。
【0325】
20mg/kgまでの用量は、投与期間中に腫瘍成長を制御するように思われた一方で、20mg/kgまでの用量は、長期の防御を付与せず、腫瘍は、処置の終わりには成長し始めた。最高用量では、P1E4は、腫瘍サイズの感知可能な退縮を可能にしただけでなく、長期の保護を付与し、退縮した腫瘍は、投与が終了した後に、元に戻って成長しなかった(図15)。
【0326】
P1E4、トラスツズマブまたはペルツズマブとの組み合わせ処置を、in vivoで腫瘍成長制御に対する相乗効果に関して試験した。上述するのと同様に、BT-474異種移植片を保有するヌードマウスを、10mg/kgのトラスツズマブ、ペルツズマブまたはP1E4でいずれか2つの抗体の組み合わせで、1~17日目に4日毎に処置して、腫瘍成長を39日目までモニタリングした。
【0327】
トラスツズマブまたはペルツズマブのいずれかと組み合わせたP1E4は、腫瘍成長を制御する上で、トラスツズマブおよびペルツズマブの組み合わせと同程度有効である(図16)。さらに、10mg/kgのP1E4を、トラスツズマブまたはペルツズマブ(ともに、10mg/kgで)のいずれかと組み合わせることは、長期の防御を付与するのに、30mg/kgのP1E4単独(図15)と同程度有効であり、トラスツズマブ単独(図15)よりもはるかに有効であることがわかった(図16)。
【0328】
実施例7:キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の生成および活性
図17は、抗HER2 CARの構築の模式図を示す。CARは、シグナルペプチド、抗HER2 scFv、IgHヒンジ、CD28の膜貫通ドメイン、続いて4-1BBおよびCD3ζシグナル伝達ドメインで構成される第二世代CARシグナル伝達尾部からなる。
【0329】
クローンA4、B4、B5、C3、D4、E1、F5およびG3を含む抗HER2 CARを構築して、抗腫瘍活性に関して評価した。
レンチウイルスベースの構築
健常なドナー由来のT細胞を、TransActTM(CD3/CD28アゴニスト)によって活性化して、50ng/mLのILを補充したTexMACSTM培地中で48時間、1~2×10個の細胞/mLの密度で維持した。刺激時に、細胞を、クローンA4、B4、B5、D4、E1、F5およびG3の1つを含む抗HER2 CARをコードするレンチウイルスで形質導入した。
【0330】
形質導入の72時間後、電気インピーダンスベースの腫瘍細胞培養系(xCELLigence)によって実時間様式で、抗腫瘍活性(細胞溶解%)を分析した。BT474細胞(ヒト乳癌細胞)を、電極をコーティングした96ウェルプレート(e-プレート)において三重反復で、ウェル1つ当たり10,000個の細胞の密度で播種した。24時間後、CAR T細胞(エフェクター細胞)を、各ターゲット細胞(BT474)に対して3つのエフェクター細胞の比で添加した。
【0331】
48時間の同時培養後に培地に分泌されたサイトカイン(IFN-γおよびIL-2)を、ELISAによって測定した。三重反復のデータを、平均値±SEMとして表す。
結果を図18Aおよび図18Bに示す。7つの抗HER2 CARのそれぞれ1つを含むCAR T細胞は、腫瘍細胞の細胞溶解、すなわち抗腫瘍活性(18A)、ならびにIFN-γおよびIL-2分泌の増加、すなわちT細胞活性化(18B)を示した。
【0332】
エレクトロポレーションの構築
図19は、抗HER2 CAR mRNAの模式図を示す。
CAR T細胞を、mRNAエレクトロポレーションによって生成した。上述するように、健常なドナー由来のT細胞を単離して、活性化して、48時間培養した。活性化されたT細胞を、クローンC3を含むCAR mRNA(1×10個のT細胞につき2μg)を用いてエレクトロポレートして、xCELLigence系によって、エレクトロポレーションの20時間後のそれらの細胞傷害活性(%)に関して評価した。48時間の同時培養後に培地に分泌されたサイトカイン(IFN-γおよびIL-2)を、ELISAによって測定した。三重反復のデータを、平均値±SEMとして表す。
【0333】
結果を図20Aおよび図20Bに示す。抗HER2 CAR(C3)を含むCAR T細胞は、腫瘍細胞の細胞溶解、すなわち、抗腫瘍活性(20A)、ならびにIFN-γおよびIL-2分泌の増加、すなわちT細胞活性化(20B)を示した。
【0334】
腫瘍細胞に関する選択
本発明による抗HER2 CAR T細胞を、HER2を過剰発現する細胞と、より低レベルまたは生理学的レベルのHER2を有する細胞とを区別するそれらの能力に関して評価する。HER2に関してより低いかまたは中程度のアフィニティを有するCAR T細胞は、高レベルでHER2を発現する細胞と、低レベルでHER2を発現する細胞とを区別することが可能でありうる(例えば、Liuら Cancer Res. 2015; (75) (17) 3596-3607に記載されるように)。
【0335】
本発明の抗HER2 CAR T細胞を、HER2過剰発現腫瘍細胞株、例えば、SK-BR3(乳癌)、SK-OV3(卵巣癌)および/またはBT-474(乳癌)、または低レベルもしくは検出不可能なレベルでHER2を発現する腫瘍細胞株、例えば、MCF7(乳癌)、293T(胚腎臓)、A549(肺癌)、624Mel(黒色腫)、PC3(前立腺癌)、MDA231(乳癌)および/またはMDA468(乳癌)で刺激する。CD137(4-1BB)の上方制御、IFNγおよびIL-2の分泌、および/または表面CD107a発現の誘導によって、CAR T細胞活性化を24または48時間後に評価する。トラスツズマブの抗原結合ドメインを含むCAR(高アフィニティCAR)を発現するT細胞および非HER2特異的CARを発現するT細胞を、対照として用いる。CD137およびCD107a発現を、フローサイトメトリー(例えば、CD3+ゲーティングされた)によって測定し、培養上清中のサイトカイン分泌を、ELISAによって測定する。
【0336】
本発明の抗原結合分子を含むCAR T細胞は、高HER2発現を有する腫瘍細胞に強力に反応性であることがわかるが、低発現のHER2を有するか、またはHER2発現を有さない腫瘍細胞株に対して、低い反応性を有するかまたは反応性を有さないことがわかる。抗HER2 CAR T細胞はまた、高レベルのHER2を発現する細胞に曝露された場合、より高レベルのサイトカインを分泌することがわかっており、低レベルのHER2を発現するかまたはHER2を発現しない細胞を用いた場合に見られるT細胞活性と比較して、より高度なT細胞活性を示す。
【0337】
抗HER2 CAR T細胞が、腫瘍細胞と、非腫瘍細胞を区別することができるかどうかを評価するために、T細胞を、HER2を過剰発現する腫瘍細胞(例えば、BT-474)および生理学的レベルでHER2を発現する細胞株、例えば、原発性臓器細胞株と接触させる。非HER2特異的CARを発現するT細胞および高レベルまたは低レベルでHER2を発現する細胞株を、対照として用いる。CAR T細胞を、HER2発現細胞で4時間刺激する。CAR T細胞認識および活性化は、CD107a上方制御をモニタリングすることによって評価し、CD3+細胞でのゲーティングによるフローサイトメトリーによって分析する。
【0338】
本発明の抗原結合分子を含むCAR-T細胞は、HER2過剰発現細胞に関して選択的であることがわかる。これらの細胞は、HER2過剰発現細胞に対して強力な活性を示すことがわかる一方で、臓器細胞株と接触させた場合、活性を示さないか、または弱い活性を示す。
非限定的に、本発明は、以下の態様を含む。
[態様1]
アミノ酸配列i)~iii)、またはアミノ酸配列iv)~vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9);
ii) LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10);
iii) LC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11);
iv) HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12);
v) HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13);
vi) HC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14);
あるいは、配列(i)~(vi)の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、それらの変異体(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSであり、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
を有する、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体または抗原結合断片。
[態様2]
LC-CDR1が、GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、またはGLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)の1つである、態様1記載の抗体または抗原結合断片。
[態様3]
LC-CDR2が、NTNTRSS(配列番号16)、STNSRSS(配列番号22)、TTNIRSS(配列番号28)、またはSTNTRSS(配列番号33)の1つである、態様1または2記載の抗体または抗原結合断片。
[態様4]
LC-CDR3が、VLYVGDGIWV(配列番号17)、VLYMGSGISV(配列番号23)、MLYMGSGIWV(配列番号29)、またはVLYMGSGIWV(配列番号34)の1つである、態様1~3のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様5]
HC-CDR1が、SYYIH(配列番号18)、SSSYYWG(配列番号24)、GYYWS(配列番号30)、またはSSNWWS(配列番号35)の1つである、態様1~4のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様6]
HC-CDR2が、IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、またはEIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)の1つである、態様1~5のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様7]
HC-CDR3が、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)、またはMGANSGGYLYGMDV(配列番号37)の1つである、態様1~6のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様8]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9)、
LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10)、
LC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11)
(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSである)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様1~7のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様9]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、
LC-CDR2:NTNTRSS(配列番号16)、
LC-CDR3:VLYVGDGIWV(配列番号17)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様1~8のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様10]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、
LC-CDR2:STNSRSS(配列番号22)、
LC-CDR3:VLYMGSGISV(配列番号23)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様1~8のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様11]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)、
LC-CDR2:TTNIRSS(配列番号28)、
LC-CDR3:MLYMGSGIWV(配列番号29)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様1~8のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様12]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)、
LC-CDR2:STNTRSS(配列番号33)、
LC-CDR3:VLYMGSGIWV(配列番号34)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様1~8のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様13]
以下のCDR:
HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12)、
HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13)、
HC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14)
(式中、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様1~12のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様14]
以下のCDR:
HC-CDR1:SYYIH(配列番号18)、
HC-CDR2:IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、
HC-CDR3:EIASYSGSYYDY(配列番号20)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様1~13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様15]
以下のCDR:
HC-CDR1:SSSYYWG(配列番号24)、
HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、
HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様1~13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様16]
以下のCDR:
HC-CDR1:GYYWS(配列番号30)、
HC-CDR2:EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、
HC-CDR3:MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様1~13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様17]
以下のCDR:
HC-CDR1:SSNWWS(配列番号35)、
HC-CDR2:EIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)、
HC-CDR3:MGANSGGYLYGMDV(配列番号37)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様1~13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様18]
ヒト、アカゲザルまたはマウスHER2に特異的に結合する、態様1~17のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様19]
アポトーシスによって細胞死を誘導する、態様1~18のいずれか一項記載の抗体または抗原結合断片。
[態様20]
下記のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9)、
LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10)、
LC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11)
(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSである)
を含む、単離された軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様21]
LC-CDR1が、GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、またはGLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)の1つである、態様20記載の単離された軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様22]
LC-CDR2が、NTNTRSS(配列番号16)、STNSRSS(配列番号22)、TTNIRSS(配列番号28)、またはSTNTRSS(配列番号33)の1つである、態様20または21記載の単離された軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様23]
LC-CDR3が、VLYVGDGIWV(配列番号17)、VLYMGSGISV(配列番号23)、MLYMGSGIWV(配列番号29)、またはVLYMGSGIWV(配列番号34)の1つである、態様20~22のいずれか一項記載の単離された軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様24]
軽鎖配列:配列番号1、2、3、または4(図1A図1D)に少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様25]
以下のCDR:
HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12)、
HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13)、
HC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14)
(式中、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
を含む、単離された重鎖可変領域ポリペプチド。
[態様26]
HC-CDR1が、SYYIH(配列番号18)、SSSYYWG(配列番号24)、GYYWS(配列番号30)、またはSSNWWS(配列番号35)の1つである、態様25記載の単離された重鎖可変領域ポリペプチド。
[態様27]
HC-CDR2が、IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、またはEIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)の1つである、態様25または26記載の単離された重鎖可変領域ポリペプチド。
[態様28]
HC-CDR3が、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)、またはMGANSGGYLYGMDV(配列番号37)の1つである、態様25~27のいずれか一項記載の単離された重鎖可変領域ポリペプチド。
[態様29]
重鎖配列:配列番号5、6、7、または8(図2A図2D)に少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された重鎖可変領域ポリペプチド。
[態様30]
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、HER2に結合することが可能な抗体または抗原結合断片であって、
軽鎖が、それぞれ、LC-CDR1:GLSSGSVSTXYXS(配列番号9)、GLSSGSVSTGHYAS(配列番号15)、GLSSGSVSTGYYPS(配列番号21)、またはGLSSGSVSTSYYPS(配列番号27)の1つ、LC-CDR2:XTNXRSS(配列番号10)、NTNTRSS(配列番号16)、STNSRSS(配列番号22)、TTNIRSS(配列番号28)、またはSTNTRSS(配列番号33)の1つ、およびLC-CDR3:XLYXGXGIXV(配列番号11)、VLYVGDGIWV(配列番号17)、VLYMGSGISV(配列番号23)、MLYMGSGIWV(配列番号29)、またはVLYMGSGIWV(配列番号34)の1つ
(式中、X=GまたはSであり、X=HまたはYであり、X=AまたはPであり、X=N、SまたはTであり、X=T、SまたはIであり、X=VまたはMであり、X=VまたはMであり、X=DまたはSであり、X=WまたはSである)
に少なくとも85%の全配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み、
重鎖が、それぞれ、HC-CDR1:X10111213141516(配列番号12)、SYYIH(配列番号18)、SSSYYWG(配列番号24)、GYYWS(配列番号30)、またはSSNWWS(配列番号35)の1つ、HC-CDR2:X171819202122GX23TX24YX252627282930(配列番号13)、IINPGNGDTNYAQRFQG(配列番号19)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、またはEIYHSGSTNYNPSLKS(配列番号36)の1つ、およびHC-CDR3:X3132333435SX3637YX383940414243(配列番号14)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MGINSGGYLYGMDV(配列番号32)、またはMGANSGGYLYGMDV(配列番号37)の1つ
(式中、X10=Sであるか、または存在せず、X11=Sであるか、または存在せず、X12=SまたはGであり、X13=YまたはNであり、X14=YまたはWであり、X15=IまたはWであり、X16=H、GまたはSであり、X17=Iであるか、または存在せず、X18=I、SまたはEであり、X19=NまたはIであり、X20=P、YまたはNであり、X21=G、YまたはHであり、X22=NまたはSであり、X23=DまたはSであり、X24=NまたはYであり、X25=AまたはNであり、X26=QまたはPであり、X27=RまたはSであり、X28=FまたはLであり、X29=QまたはKであり、X30=GまたはSであり、X31=Eであるか、または存在せず、X32=I、YまたはMであり、X33=AまたはGであり、X34=S、P、IまたはAであり、X35=Y、DまたはNであり、X36=GまたはSであり、X37=GまたはSであり、X38=Lであるか、または存在せず、X39=VまたはYであり、X40=A、DまたはGであり、X41=F、MまたはYであり、X42=Dであるか、または存在せず、X43=I、Vであるか、または存在しない)
に少なくとも85%の全配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、抗体または抗原結合断片。
[態様31]
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体または抗原結合断片であって、
軽鎖配列が、配列番号1、2、3、または4(図1A図1D)の軽鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有し、
重鎖配列が、配列番号5、6、7、または8(図2A図2D)の重鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有する、抗体または抗原結合断片。
[態様32]
アミノ酸配列i)~iii)、またはアミノ酸配列iv)~vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)~vi):
i)LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、RASQSVRNNLA(配列番号120)、GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、RASQSVSSSYLA(配列番号161)、RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、RASQGISSWLA(配列番号226)、RASRSVGKYLA(配列番号247)、GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、RASQSVSSYLA(配列番号270)、GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)の1つ、
ii)LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、KVSNRDS(配列番号94)、SGSNRAS(配列番号111);YASTRAT(配列番号121)、STSNKHS(配列番号139)、LGSHRAS(配列番号146)、LGSNRAP(配列番号155)、GASSRAT(配列番号162)、LGSFRAS(配列番号171)、DNSNRPS(配列番号187)、STNLRSS(配列番号195)、KVSDRDS(配列番号204)、KVSKRDS(配列番号212)、LGSDRAS(配列番号218)、AASSLQS(配列番号227)、YKSDSDKQQGS(配列番号262)、DASTRAS(配列番号248)、STNTRSS(配列番号33)、DASNRAT(配列番号271)、NTDIRFS(配列番号280)、RNNDRPS(配列番号288)の1つ、
iii)LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)、MLGTHWPPMYI(配列番号85)、MQGTHWPLT(配列番号95)、MQALQTPWT(配列番号103)、MQGTHWPPT(配列番号112)、QHYGSSRT(配列番号122)、MAGLQTPRLT(配列番号130)、LLYYGGARV(配列番号140)、MQALQTPLT(配列番号147)、QQYGSSPRT(配列番号163)、MHALSTPPWT(配列番号172)、MQGTHWPGT(配列番号180)、GTWDSYLNIWV(配列番号188)、ELYMGSGISV(配列番号196)、MQGTHWPQT(配列番号205)、MQALQTPRT(配列番号219)、QQANSFPPT(配列番号228)、QQYGSSSA(配列番号233)、MIWHSSAWV(配列番号263)、QHYGTSPPFI(配列番号249)、VLYMGNGISV(配列番号256)、QQRSNWPLT(配列番号272)、VLYMGSGISV(配列番号23)、SAWDSSLKVQV(配列番号289)の1つ、
iv)HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、SAAAAWN(配列番号86)、SYAMH(配列番号96)、SFAMN(配列番号113)、SYGIS(配列番号123)、SYAMS(配列番号131)、SYAIS(配列番号148)、TYTMH(配列番号173)、GYYWS(配列番号30)、SYWIG(配列番号197)、NYGMH(配列番号234)、SYAIH(配列番号241)、SSSYYWG(配列番号24)、DYYIH(配列番号281)の1つ、
v)HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)の1つ、
vi)HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)、GSIFDV(配列番号88)、SRGYYGMDV(配列番号97)、GGYLVGY(配列番号105)、AYGSGGHYFFAY(配列番号115)、DWGSSWSDY(配列番号125)、TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)、DRGYYGMDV(配列番号141)、GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)、SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)、GLVPAASMDV(配列番号165)、SRVGALDY(配列番号175)、SRGYSGYDN(配列番号181)、GLPYYYFDY(配列番号189)、LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)、EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)、HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)、VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)、SYDSSGYYYFDY(配列番号250)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MTTEDY(配列番号265)、DGSAWSRPY(配列番号274)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、GADWNSDY(配列番号290)の1つ、
あるいは、配列(i)~(vi)の1つまたはそれより多くにおける1つまたは2つまたは3つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、それらの変異体
を有する、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様33]
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片またはポリペプチドであって、
軽鎖が、LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、RASQSVRNNLA(配列番号120)、GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、RASQSVSSSYLA(配列番号161)、RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、RASQGISSWLA(配列番号226)、RASRSVGKYLA(配列番号247)、GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、RASQSVSSYLA(配列番号270)、GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)の1つ、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、KVSNRDS(配列番号94)、SGSNRAS(配列番号111);YASTRAT(配列番号121)、STSNKHS(配列番号139)、LGSHRAS(配列番号146)、LGSNRAP(配列番号155)、GASSRAT(配列番号162)、LGSFRAS(配列番号171)、DNSNRPS(配列番号187)、STNLRSS(配列番号195)、KVSDRDS(配列番号204)、KVSKRDS(配列番号212)、LGSDRAS(配列番号218)、AASSLQS(配列番号227)、YKSDSDKQQGS(配列番号262)、DASTRAS(配列番号248)、STNTRSS(配列番号33)、DASNRAT(配列番号271)、NTDIRFS(配列番号280)、RNNDRPS(配列番号288)の1つ、
LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)、MLGTHWPPMYI(配列番号85)、MQGTHWPLT(配列番号95)、MQALQTPWT(配列番号103)、MQGTHWPPT(配列番号112)、QHYGSSRT(配列番号122)、MAGLQTPRLT(配列番号130)、LLYYGGARV(配列番号140)、MQALQTPLT(配列番号147)、QQYGSSPRT(配列番号163)、MHALSTPPWT(配列番号172)、MQGTHWPGT(配列番号180)、GTWDSYLNIWV(配列番号188)、ELYMGSGISV(配列番号196)、MQGTHWPQT(配列番号205)、MQALQTPRT(配列番号219)、QQANSFPPT(配列番号228)、QQYGSSSA(配列番号233)、MIWHSSAWV(配列番号263)、QHYGTSPPFI(配列番号249)、VLYMGNGISV(配列番号256)、QQRSNWPLT(配列番号272)、VLYMGSGISV(配列番号23)、SAWDSSLKVQV(配列番号289)の1つ
に少なくとも85%の全配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み、
重鎖が、HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、SAAAAWN(配列番号86)、SYAMH(配列番号96)、SFAMN(配列番号113)、SYGIS(配列番号123)、SYAMS(配列番号131)、SYAIS(配列番号148)、TYTMH(配列番号173)、GYYWS(配列番号30)、SYWIG(配列番号197)、NYGMH(配列番号234)、SYAIH(配列番号241)、SSSYYWG(配列番号24)、DYYIH(配列番号281)の1つ、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)の1つ、
HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)、GSIFDV(配列番号88)、SRGYYGMDV(配列番号97)、GGYLVGY(配列番号105)、AYGSGGHYFFAY(配列番号115)、DWGSSWSDY(配列番号125)、TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)、DRGYYGMDV(配列番号141)、GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)、SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)、GLVPAASMDV(配列番号165)、SRVGALDY(配列番号175)、SRGYSGYDN(配列番号181)、GLPYYYFDY(配列番号189)、LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)、EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)、HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)、VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)、SYDSSGYYYFDY(配列番号250)、YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)、MTTEDY(配列番号265)、DGSAWSRPY(配列番号274)、EIASYSGSYYDY(配列番号20)、GADWNSDY(配列番号290)の1つ、
に少なくとも85%の全配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様34]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGFNYLD(配列番号74)、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、
LC-CDR3:MQGLQTPYT(配列番号76)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:DLFAVVGYYYYYGMDV(配列番号79)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様35]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSDGNKYLD(配列番号84)、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、
LC-CDR3:MLGTHWPPMYI(配列番号85)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SAAAAWN(配列番号86)、
HC-CDR2:RTYYRSKWYSEYAVSVKS(配列番号87)、
HC-CDR3:GSIFDV(配列番号88)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様36]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、
LC-CDR2:KVSNRDS(配列番号94)、
LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様37]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、
LC-CDR3:MQALQTPWT(配列番号103)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:WINAGNGNTKYSQKFQG(配列番号104)、
HC-CDR3:GGYLVGY(配列番号105)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様38]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGNTYLD(配列番号110)、
LC-CDR2:SGSNRAS(配列番号111)、
LC-CDR3:MQGTHWPPT(配列番号112)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SFAMN(配列番号113)、
HC-CDR2:TIGGSGDSTFYADPVKG(配列番号114)、
HC-CDR3:AYGSGGHYFFAY(配列番号115)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様39]
以下のCDR:
LC-CDR1:RASQSVRNNLA(配列番号120)、
LC-CDR2:YASTRAT(配列番号121)、
LC-CDR3:QHYGSSRT(配列番号122)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYGIS(配列番号123)、
HC-CDR2:WISAYNGNTNYAQKLQG(配列番号124)、
HC-CDR3:DWGSSWSDY(配列番号125)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様40]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、
LC-CDR3:MAGLQTPRLT(配列番号130)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、
HC-CDR2:AISGSGGSTYYADSVKG(配列番号132)、
HC-CDR3:TYYDFWSGRVGAFDI(配列番号133)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様41]
以下のCDR:
LC-CDR1:GSTTGAVTSGHYPS(配列番号138)、
LC-CDR2:STSNKHS(配列番号139)、
LC-CDR3:LLYYGGARV(配列番号140)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:DRGYYGMDV(配列番号141)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様42]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、
LC-CDR2:LGSHRAS(配列番号146)、
LC-CDR3:MQALQTPLT(配列番号147)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、
HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、
HC-CDR3:GRGSGYPDTWFWFDP(配列番号150)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様43]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、
LC-CDR2:LGSNRAP(配列番号155)、
LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様44]
以下のCDR:
LC-CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号161)、
LC-CDR2:GASSRAT(配列番号162)、
LC-CDR3:QQYGSSPRT(配列番号163)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、
HC-CDR2:GINWNGGSTGYADSVKG(配列番号164)、
HC-CDR3:GLVPAASMDV(配列番号165)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様45]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLQHSNGYQYLD(配列番号170)、
LC-CDR2:LGSFRAS(配列番号171)、
LC-CDR3:MHALSTPPWT(配列番号172)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:TYTMH(配列番号173)、
HC-CDR2:WITPGNGNTHYSQNFQG(配列番号174)、
HC-CDR3:SRVGALDY(配列番号175)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様46]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、
LC-CDR2:KVSNRDS(配列番号94)、
LC-CDR3:MQGTHWPGT(配列番号180)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:SRGYSGYDN(配列番号181)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様47]
以下のCDR:
LC-CDR1:TGRSANIGGFDVQ(配列番号186)、
LC-CDR2:DNSNRPS(配列番号187)、
LC-CDR3:GTWDSYLNIWV(配列番号188)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:GYYWS(配列番号30)、
HC-CDR2:EINHSGSTNYNPSLKS(配列番号31)、
HC-CDR3:GLPYYYFDY(配列番号189)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様48]
以下のCDR:
LC-CDR1:ALTSGSVSTSYYPS(配列番号194)、
LC-CDR2:STNLRSS(配列番号195)、
LC-CDR3:ELYMGSGISV(配列番号196)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYWIG(配列番号197)、
HC-CDR2:IIYPGDSDTRYSPSFQG(配列番号198)、
HC-CDR3:LGYGVPLPEYFDL(配列番号199)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様49]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号93)、
LC-CDR2:KVSDRDS(配列番号204)、
LC-CDR3:MQGTHWPQT(配列番号205)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、
HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様50]
以下のCDR:
LC-CDR1:TSSQSLVYSDGNTYLN(配列番号211)、
LC-CDR2:KVSKRDS(配列番号212)、
LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様51]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLRSDGYNFVD(配列番号217)、
LC-CDR2:LGSDRAS(配列番号218)、
LC-CDR3:MQALQTPRT(配列番号219)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:VISYDESNKYYADSVKG(配列番号220)、
HC-CDR3:EPSGSWSYLYYYYYGMDV(配列番号221)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様52]
以下のCDR:
LC-CDR1:RASQGISSWLA(配列番号226)、
LC-CDR2:AASSLQS(配列番号227)、
LC-CDR3:QQANSFPPT(配列番号228)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:SRGYYGMDV(配列番号97)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様53]
以下のCDR:
LC-CDR1:RASQSVSSSYLA(配列番号161)、
LC-CDR2:GASSRAT(配列番号162)、
LC-CDR3:QQYGSSSA(配列番号233)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:NYGMH(配列番号234)、
HC-CDR2:FISYDGTNKYYADSVKG(配列番号235)、
HC-CDR3:HYGDYYYYYGMDV(配列番号236)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様54]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、
LC-CDR2:LGSNRAS(配列番号75)、
LC-CDR3:MQGTHWPGT(配列番号180)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAIH(配列番号241)、
HC-CDR2:AISSNGGSTYYADSVKG(配列番号206)、
HC-CDR3:VYGYGLHYYGMDV(配列番号242)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様55]
以下のCDR:
LC-CDR1:RASRSVGKYLA(配列番号247)、
LC-CDR2:DASTRAS(配列番号248)、
LC-CDR3:QHYGTSPPFI(配列番号249)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、
HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、
HC-CDR3:SYDSSGYYYFDY(配列番号250)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様56]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLSSGSVSTTYYPS(配列番号255)、
LC-CDR2:STNTRSS(配列番号33)、
LC-CDR3:VLYMGNGISV(配列番号256)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SSSYYWG(配列番号24)、
HC-CDR2:SIYYSGSTYYNPSLKS(配列番号25)、
HC-CDR3:YAPDSSGYLVAFDI(配列番号26)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様57]
以下のCDR:
LC-CDR1:TLRSGINVGTYRIY(配列番号261)、
LC-CDR2:YKSDSDKQQGS(配列番号262)、
LC-CDR3:MIWHSSAWV(配列番号263)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYGMH(配列番号77)、
HC-CDR2:VIWYDGSNKYYADSVKG(配列番号264)、
HC-CDR3:MTTEDY(配列番号265)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様58]
以下のCDR:
LC-CDR1:RASQSVSSYLA(配列番号270)、
LC-CDR2:DASNRAT(配列番号271)、
LC-CDR3:QQRSNWPLT(配列番号272)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMS(配列番号131)、
HC-CDR2:SISSSSSYIYYADSVKG(配列番号273)、
HC-CDR3:DGSAWSRPY(配列番号274)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様59]
以下のCDR:
LC-CDR1:GLTSGAVSSSYYPS(配列番号279)、
LC-CDR2:NTDIRFS(配列番号280)、
LC-CDR3:VLYMGSGISV(配列番号23)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:DYYIH(配列番号281)、
HC-CDR2:WVSAYNGDTNYAQKFQG(配列番号282)、
HC-CDR3:EIASYSGSYYDY(配列番号20)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様60]
以下のCDR:
LC-CDR1:TGNNNNVGFAGAA(配列番号287)、
LC-CDR2:RNNDRPS(配列番号288)、
LC-CDR3:SAWDSSLKVQV(配列番号289)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAIS(配列番号148)、
HC-CDR2:GIIPIFGTANYAQKFQG(配列番号149)、
HC-CDR3:GADWNSDY(配列番号290)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様61]
以下のCDR:
LC-CDR1:RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号102)、
LC-CDR2:LGSNRAP(配列番号155)、
LC-CDR3:MQGTHWPLT(配列番号95)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有し、
および/または、以下のCDR:
HC-CDR1:SYAMH(配列番号96)、
HC-CDR2:VISYDGSNKYYADSVKG(配列番号78)、
HC-CDR3:SYGSGSYRSHAFDI(配列番号156)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様32または33記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様62]
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、所望により単離されたHER2に結合することが可能な抗体、抗原結合断片またはポリペプチドであって、
軽鎖配列が、配列番号72、82、91、100、108、118、128、136、144、153、159、168、178、184、192、202、209、215、224、231、239、245、253、259、268、277、285、または293の軽鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有し、
重鎖配列が、配列番号73、83、92、101、109、119、129、137、145、154、160、169、179、185、193、203、210、216、225、232、240、246、254、260、269、278、286、または294の重鎖配列に少なくとも85%の配列同一性を有する、抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様63]
薬物部分または検出可能な部分にコンジュゲートされた、態様1~62のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様64]
薬物部分が、抗癌薬部分を含む、態様63記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド。
[態様65]
態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド、および少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアーを含む組成物。
[態様66]
態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチド、および少なくとも1つの抗癌剤を含む組成物。
[態様67]
少なくとも1つの薬学的に許容可されうるキャリアーをさらに含む、態様66記載の組成物。
[態様68]
HER2に結合した、態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドを含む、所望により単離されたin vitro複合体。
[態様69]
態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドをコードする、所望により単離された核酸。
[態様70]
態様69記載の核酸を含むベクター。
[態様71]
態様69記載の核酸または態様70記載のベクターを含む細胞。
[態様72]
態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドを作製する方法であって、態様71記載の細胞を、核酸またはベクターからの抗体、抗原結合断片またはポリペプチドの発現に適した条件下で培養する工程を含む、方法。
[態様73]
療法における、または医学的治療の方法における使用のための、態様1~67のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物。
[態様74]
癌の治療における使用のための、態様1~67のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物。
[態様75]
癌が、HER2陽性癌である、態様74記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物。
[態様76]
癌が、HER2陽性腫瘍細胞を含む、態様74または75記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物。
[態様77]
治療が、抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、治療剤と組み合わせて投与する工程を含む、態様73~76のいずれか一項記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物。
[態様78]
治療剤が、抗HER2抗体である、態様77記載の使用のための抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物。
[態様79]
癌の治療における使用のための医薬の製造における態様1~67のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物の使用。
[態様80]
癌が、HER2陽性癌である、態様79記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物の使用。
[態様81]
癌が、HER2陽性腫瘍細胞を含む、態様79または80記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物の使用。
[態様82]
態様1~67のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、癌を患う患者に投与する工程を含む、癌を治療する方法。
[態様83]
癌が、HER2陽性癌である、態様82記載の癌を治療する方法。
[態様84]
癌が、HER2陽性腫瘍細胞を含む、態様82または83記載の癌を治療する方法。
[態様85]
抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を、治療剤と組み合わせて投与する工程を含む、態様82~84のいずれか一項記載の癌を治療する方法。
[態様86]
治療剤が、抗HER2抗体である、態様85記載の癌を治療する方法。
[態様87]
被験体において腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、被験体に、療法的に有効な量の態様1~67のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を投与する工程を含む、方法。
[態様88]
被験体において腫瘍細胞を死滅させる方法であって、被験体に、療法的に有効な量の態様1~67のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片、ポリペプチドまたは組成物を投与する工程を含む、方法。
[態様89]
HER2を含有するかまたはHER2を含有すると疑われる試料を、態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドと接触させる工程と、抗体、抗原結合断片またはポリペプチド、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む、方法。
[態様90]
被験体において疾患または状態を診断する方法であって、被験体由来の試料を、態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドと、in vitroで接触させる工程と、抗体、抗原結合断片またはポリペプチド、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む、方法。
[態様91]
HER2にターゲティングされる剤による治療に関して、被験体を選択または階層化する方法であって、被験体由来の試料を、態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドと、in vitroで接触させる工程と、抗体または抗原結合断、およびHER2の複合体の形成を検出する工程とを含む、方法。
[態様92]
in vitroでのHER2の検出のための、態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドの使用。
[態様93]
in vitro診断剤としての、態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドの使用。
[態様94]
態様1~64のいずれか一項記載の抗体、抗原結合断片またはポリペプチドを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
[態様95]
HER2に結合した、態様94記載のCARを含む、所望により単離されたin vitro複合体。
[態様96]
態様94記載のCARをコードする、所望により単離された核酸。
[態様97]
態様96記載の核酸を含む、発現ベクター。
[態様98]
態様94記載のCAR、態様96記載の核酸、または態様97記載の発現ベクターを含む細胞。
[態様99]
態様94記載のCAR、態様96記載の核酸、態様97記載の発現ベクター、または態様98記載の細胞を含む組成物。
[態様100]
医学的治療または予防の方法における使用のための、態様94記載のCAR、態様96記載の核酸、態様97記載の発現ベクター、態様98記載の細胞、または態様99記載の組成物。
[態様101]
癌を治療する方法における使用のための、態様94記載のCAR、態様96記載の核酸、態様97記載の発現ベクター、態様98記載の細胞、または態様99に記載の組成物。
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【配列表】
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