(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】硬化性組成物及び硬化物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20240326BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20240326BHJP
C09K 5/14 20060101ALI20240326BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C08F2/44 A
C08F220/10
C09K5/14 E
H01L23/36 D
(21)【出願番号】P 2020566384
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2020000307
(87)【国際公開番号】W WO2020149193
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019004626
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019167701
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398053147
【氏名又は名称】コスモ石油ルブリカンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺内 隆二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正章
(72)【発明者】
【氏名】後藤 拓也
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-129814(JP,A)
【文献】特開2014-088506(JP,A)
【文献】特開2016-188297(JP,A)
【文献】特開2014-132049(JP,A)
【文献】特開2013-124289(JP,A)
【文献】国際公開第2013/047145(WO,A1)
【文献】特開2018-089957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08F 6/00-246/00
C09K 5/10
H01L23/36
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、
重合開始剤(C)と、
分散剤(D)と、
酸化亜鉛を含む、熱伝導性フィラー(E)と、
を含
み、
前記分散剤(D)が、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、
重合開始剤(C)と、
分散剤(D)と、
酸化マグネシウムを含む熱伝導性フィラー(E)と、
を含
み、
前記分散剤(D)が、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、硬化性組成物。
【請求項3】
前記熱伝導性フィラー(E)が、酸化亜鉛を更に含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記酸化マグネシウムの含有量が、前記熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、10質量%~70質量%である、請求項2又は請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記化合物(A)が、下記一般式(1)で表される化合物を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【化1】
式(1)中、R
1は、炭素数1~50のアルキル基を表し、R
2は、水素原子又はメチル基を表す。
【請求項6】
前記化合物(B)が、下記一般式(2)で表される化合物を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【化2】
式(2)中、R
B1は、炭素数1~5のアルキレン基を表し、R
B2及びR
B3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは4以上の整数を表す。
【請求項7】
可塑剤(F)を更に含む、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記可塑剤(F)が、ガラス転移温度が-20℃以下であるアクリル系ポリマーを含む、請求項
7記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記可塑剤(F)がトリメリット酸エステルを含む、請求項
7に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記化合物(B)の含有量が、前記化合物(A)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である、請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
熱伝導性フィラー(E)の含有量が、組成物の全質量に対して、70質量%~98質量%である、請求項1~請求項
10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
請求項1~請求項
11のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は硬化性組成物及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話、Personal Digital Assistant;PDA等の電子機器や、light emitting diode;LED、Electronic Luminescent;EL等の照明及び表示機器等の性能向上は著しく、それは演算素子や発光素子の著しい性能向上によっている。このように演算素子及び発光素子の性能向上に伴い発熱量も著しく増加し、電子機器、照明、表示機器における放熱をどのように行うかが重要な課題になっている。
上記熱対策として、演算素子及び発光素子の発生する熱をロスすること無く放熱体に伝え、放熱体を通じて放熱するために、発熱体と放熱体との間にTIM(Thermal Interface Materials;熱伝導性材料)を設ける対策が取れられている。放熱体としては、例えば、ヒートシンク等が知られ、発熱体としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、LSI(large-scale integration)等が知られている。TIMとして一般に用いられるものとして、放熱シート、熱伝導性グリース、ギャップフィラー等が知られているが、初期が液体で、塗布後硬化し固体となる、ギャップフィラーが注目されている。
【0003】
ギャップフィラーとして、シリコーン系樹脂に熱伝導性フィラーを充填させたものとして、例えば、特開2006-96986号公報には、ヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物、補強性シリカ微粉末、熱伝導性無機粉末および常温で液状のアルキルフェニルポリシロキサンからなるヒドロシリル化反応硬化性熱伝導性シリコーンエラストマー組成物が開示されている。
またギャップフィラーとしては、例えば、国際公開第2014/080931号には、(A)プリント基板、(B)発熱体、(C)電磁シールドケース、(D)引張弾性率が50MPa以下で、熱伝導率が0.5W/mK以上であるゴム状の熱伝導性樹脂層、及び、(E)熱伝導率が0.5W/mK未満の熱非伝導性層を有する放熱構造体であって、プリント基板(A)に発熱体(B)が配置され、発熱体(B)と熱伝導性樹脂層(D)が設けられていることを特徴とする放熱構造体が開示されている。
また、例えば、特許第5105134号公報には、(A)~(C)成分を含む組成物であり、(B)成分については(A)成分に対して0.01~10重量%、(C)成分については組成物全体に対して50~97重量%を含み、熱重合開始剤を含まない熱伝導性組成物が開示されている。
(A)成分:一分子中に(メタ)アクリレート基とイソシアネート基をそれぞれ1以上有
する化合物
(B)成分:光重合開始剤
(C)成分:熱伝導性充填材
【0004】
また、例えば、特開2005-48124号公報には、(メタ)アクリル系重合体(A)と、重合性単量体 B)と、可塑剤(C)を必須成分とする液状樹脂を含有する放熱材料用樹脂組成物であって、該液状樹脂の硬化物の硬度が5~70であることを特徴とする放熱材料用樹脂組成物が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2006-96986号公報に記載の熱伝導性シリコーンエラストマーに含まれるシリコーン系樹脂では、低分子シロキサン成分等による電子部品の接点障害、及び、長期使用時の系外へシリコーン系樹脂の流出の懸念がされる。
【0006】
TIMは、発熱部品の熱を伝える役割を担うため、周囲の部品とともに温度が変化する。そのため、TIMが部品に挟まれた状態で温度変化したときに、熱伝導率低下しないことが求められる。
また、物質は温度が上がると体積等が大きくなるが、その係数(線膨張係数)は材料によって異なるため、部品間で寸法のずれが生じ、部材に応力がかかる。TIM周囲の部品の体積がTIMより大きくなるような温度変化が生じた場合、TIMが引っ張られて、部品から剥離する懸念があり、TIMが剥離した場合は熱伝導性を大きく損なう。逆に、温度変化によって、TIMが膨張して、TIM周囲の部品の体積よりも大きくなるような場合、TIM周囲の部品に応力がかかり、TIM周囲の部品を破損する懸念がある。そのため、TIMには柔軟性が求められる。
また、TIMは、温度変化によっても、形状が安定していること(以下、「形状安定性」ともいう。)が求められている。
そのため、TIMとして、初期が液体で、塗布後硬化し固体となる、ギャップフィラーが注目されている。
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特開2006-96986号公報、国際公開第2014/080931号及び特許第5105134号公報に記載の熱伝導性組成物では、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の全て満たさないことを見出した。また、本発明者らは、特開2005-48124号公報に記載の放熱材料用樹脂組成物は、放熱シートでの使用を目的とするため、上記放熱材料用樹脂組成物をギャップフィラー等に適用した場合には、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の全てが満たされないことを見出した。
【0008】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる硬化性組成物又はその硬化物を提供することである。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、得られる硬化物において、高温環境下での熱伝導率の変化の抑制性に優れる硬化性組成物又はその硬化物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、
重合開始剤(C)と、
分散剤(D)と、酸化亜鉛を含む、熱伝導性フィラー(E)と、
を含む、硬化性組成物。
<2> 一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、
重合開始剤(C)と、
分散剤(D)と、
酸化マグネシウムを含む熱伝導性フィラー(E)と、
を含む、硬化性組成物。
<3> 前記熱伝導性フィラー(E)が、酸化亜鉛を更に含む、<2>に記載の硬化性組成物。
<4> 前記酸化マグネシウムの含有量が、前記熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、10質量%~70質量%である、<2>又は<3>に記載の硬化性組成物。
<5> 前記化合物(A)が、下記一般式(1)で表される化合物を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
【0010】
【0011】
式(1)中、R1は、炭素数1~50のアルキル基を表し、R2は、水素原子又はメチル基を表す。
<6> 前記化合物(B)が、下記一般式(2)で表される化合物を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
【0012】
【0013】
式(2)中、RB1は、炭素数1~5のアルキレン基を表し、RB2及びRB3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは4以上の整数を表す。
<7> 前記分散剤(D)が、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<8> 可塑剤(F)を更に含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<9> 前記可塑剤(F)が、ガラス転移温度が-20℃以下であるアクリル系ポリマーを含む、<8>に記載の硬化性組成物。
<10> 前記可塑剤(F)がトリメリット酸エステルを含む、<8>に記載の硬化性組成物。
<11> 前記化合物(B)の含有量が、前記化合物(A)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<12> 熱伝導性フィラー(E)の含有量が、組成物の全質量に対して、70質量%~98質量%である、<1>~<11>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<13> <1>~<12>のいずれか1つに記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一実施形態によれば、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる硬化性組成物又はその硬化物が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、得られる硬化物において、高温環境下での熱伝導率の変化の抑制性に優れる硬化性組成物又はその硬化物を提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「~」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「~」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0016】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において組成物中の各成分は、組成物中に各成分が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0017】
(硬化性組成物)
本開示に係る硬化性組成物は、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、酸化亜鉛を含む、熱伝導性フィラー(E)と、を含む。
本開示に係る硬化性組成物が上記構成を有することで、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
【0018】
本開示に係る硬化性組成物は、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、酸化亜鉛を含む、熱伝導性フィラー(E)と、を含むので、エポキシ系樹脂に熱伝導性フィラーを充填させたギャップフィラーと比べて、化合物(A)及び(B)並びに分散剤(D)を含むため、柔軟性に優れ、また、本開示の硬化性組成物は、化合物(A)及び(B)並びに重合開始剤(C)、熱伝導性フィラー(E)として酸化亜鉛を含むので、適度な硬さが付与されるため、外部の温度変化に伴う軟化が抑制されるため、形状安定性にも優れると推定している、また、本開示の硬化性組成物は、熱伝導性フィラー(E)として酸化亜鉛を含むことにより、熱伝導性にも優れると推察される。
【0019】
本開示に係る硬化性組成物は、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、酸化マグネシウムを含む熱伝導性フィラー(E)と、を含む。
従来のギャップフィラーに用いられる硬化性組成物、例えば、特許第5105134号公報又特開2005-48124号公報に記載の熱伝導性組成物、又は、特開2005-48124号公報に記載の放熱材料用樹脂組成物をギャップフィラーに適用した場合、ギャップフィラーを硬化した後、例えば、150℃の高温環境下に静置したところ、熱抵抗が上昇(すなわち、熱伝導率が低下)する場合があった。
本発明者らが鋭意検討した結果、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)と、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)と、重合開始剤(C)と、分散剤(D)と、酸化マグネシウムを含む熱伝導性フィラー(E)と、を含む硬化性組成物を用いることにより、熱伝導性に優れること、特に、高温環境下における熱伝導性の変化の抑制性(以下、単に「熱伝導性の変化の抑制性」ともいう。)に優れることを見出した。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
なお、本開示において、高温とは、150℃以上の温度を意味する。
【0020】
本開示に係る硬化性組成物は、上記化合物(A)~(E)を含むこと、特に、熱伝導性フィラー(E)として酸化マグネシウムを含むことにより、酸化マグネシウム自体の硬度によって、硬化後の硬化性化合物の硬度を適切な範囲にすることができるので、硬化性化合物の硬化物は高温環境下においても変形しにくく、放熱体及び発熱体と硬化性組成物の硬化物との接触界面の変化も小さいので、熱伝導性フィラー(E)として酸化マグネシウムを含まない、国際公開第2014/080931号及び特許第5105134号公報に記載の熱伝導性組成物、又は、特開2005-48124号公報に記載の放熱材料用樹脂組成物の硬化物よりも、高温環境下における熱伝導性の変化の抑制性に優れると推定している。
また、本開示に係る硬化性化合物の硬化物は、酸化マグネシウム自体の硬度により高温環境下においても変形しにくいので、耐久性も維持されると推定している。
【0021】
また、本開示に係る硬化性組成物は、上記(A)化合物、化合物(B)、重合開始剤(C)、分散剤(D)及び、熱伝導性フィラー(E)を全て有することで、硬化後の硬化性組成物は、適度な粘着性を有するので、発熱体、放熱体等に含まれる、例えば、アルミニウム、ガラス等に対する、接着性及びリワーク性に優れやすいと推察される。
以下、本開示に係る硬化性組成物の各構成について説明する。
【0022】
<化合物(A)>
本開示に係る硬化性組成物は、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)を含む。
一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)としては、特に制限されず、例えば、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸等が挙げられる。
耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、一分子中に(メタ)アクリレート基を1つ有する化合物(A)としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物を含むことが更に好ましい。
【0023】
【0024】
式(1)中、R1は、炭素数1~50のアルキル基を表し、R2は、水素原子又はメチル基を表す。
【0025】
式(1)中、R1におけるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。また、アルキル基は置換基を有していてもよい。
置換基としては例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられるが、カルボキシ基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましく、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
【0026】
耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、R1におけるアルキル基の総炭素数は、2~30であることが好ましく、5~25であることがより好ましく、10~25であることが更に好ましく、総炭素数12~24であることが特に好ましい。
ここで、総炭素数とは、上記アルキル基が炭素原子を含む置換基を有している場合、その置換基の炭素数を含めた炭素数の総数を意味する。
【0027】
耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、式(1)中、R1は、直鎖状若しくは分岐鎖状又は置換基を有する総炭素数2~30のアルキル基であることが好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状又は水酸基を有する総炭素数2~25のアルキル基であることがより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数12~24の無置換のアルキル基であることが好ましい。
【0028】
化合物(A)としては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
R2は、水素原子又はメチル基であり、耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、メチル基であることが好ましい。
【0030】
-含有量-
化合物(A)の含有量としては、組成物の全質量に対して、1質量%~10質量%であることが好ましく、2質量%~8質量%であることがより好ましい。
【0031】
化合物(A)は、分子量が1,000未満のモノマーであることが好ましい。
本明細書においてモノマーとは、分子量が1,000未満である重合性化合物を意味し、重合性ポリマーとは、重量平均分子量(Mw)が1000以上である重合性化合物を意味する。
本開示における「重合性ポリマー」の概念には、いわゆるオリゴマーも包含される。
【0032】
<化合物(B)>
本開示に係る硬化性組成物は、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物(B)を含む。
硬化性組成物は化合物(B)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ以上有する化合物としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート)、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
化合物(B)としては、耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ及び/又は3つ有する化合物であることが好ましく、一分子中に(メタ)アクリレート基を2つ有する化合物であることがより好ましく、下記一般式(2)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0034】
【0035】
式(2)中、RB1は、炭素数1~5のアルキレン基を表し、RB2及びRB3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは4以上の整数を表す。
RB1で表される炭素数1~5のアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
柔軟性の観点から、RB1で表されるアルキレン基としては、炭素数2~5の分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~4のアルキレン基であることがより好ましく、分岐鎖状の炭素数3又は4のアルキレン基であることが更に好ましい。
RB2及びRB3は、それぞれ独立に、メチル基であることが好ましい。
nは4~25であることが好ましく、4~10であることがより好ましく、3~8であることが更に好ましい。
【0036】
柔軟性、及び、形状安定性の観点から、一般式(2)中、RB1は、炭素数2~5の分岐鎖状のアルキレン基であり(より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~4のアルキレン基であり、更に好ましくは分岐鎖状の炭素数3又は4のアルキレン基である)、RB2及びRB3は、メチル基であり、nは4~25(より好ましくは4~10であり、更に好ましくは3~8である)であることが好ましい。
【0037】
-含有量-
化合物(B)の含有量は、柔軟性、及び、形状安定性の観点から、前記化合物(A)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0038】
<重合開始剤(C)>
本開示に係る硬化性組成物は、重合開始剤(C)を含む。
重合開始剤(C)としては、光、熱又はその両方のエネルギーによりラジカル、カチオン等の重合開始種を発生する化合物であって、公知の熱重合開始剤、公知の光重合開始剤などを適宜選択して用いることができる。
重合開始剤(C)としては、上記化合物(A)及び(B)の反応性の観点から、ラジカル重合開始剤が好ましく、熱により遊離ラジカルを発生させる過酸化物がより好ましく、熱により遊離ラジカルを発生させる有機過酸化物が更に好ましい。
【0039】
有機過酸化物としては、イソブチルパーオキサイド、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-s-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル)ヘキサン、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、4-メチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、m-トルノイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、2,2-ビス(4,4-ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等が挙げられる。
これらの中でも、反応性の観点から、有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ-2エチルヘキシルカーボネート1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、及び、クメンハイドロパーオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0040】
-含有量-
重合開始剤(C)の含有量は、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、前記化合物(A)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上4質量部以下であることがより好ましい。
【0041】
<分散剤(D)>
本開示に係る硬化性組成物は、分散剤(D)を含む。
分散剤としては、特に制限はなく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、アルコール類、脂肪酸等のカルボキシ基を有する化合物、金属せっけん、脂肪酸オリゴマー化合物、フッ素系界面活性剤、ホウ素系界面活性剤などが挙げられる。
上記分散剤の中でも、分散剤(D)としては、ノニオン系界面活性剤、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0042】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エーテル、ポリグリセリンモノアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。
【0043】
カルボキシ基を有する化合物は、特に制限はなく、一分子中に1つのカルボキシ基と炭化水素基とを有する脂肪酸であってもよく、一分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物であってもよい。
カルボキシ基を有する化合物としては、芳香族カルボン酸、炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸等が挙げられる。
炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0044】
また、カルボキシ基を有する化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の一分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する多価カルボン酸(ポリカルボン酸)、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミノアルコール塩等のポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸系共重合体などが挙げられる。
【0045】
ポリカルボン酸系化合物としては、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミノアルコール塩等が挙げられる。
【0046】
金属せっけんとしては、例えば、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等の高級脂肪酸の金属塩などが挙げられる。
【0047】
柔軟性の観点から、分散剤(D)としては、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボキシ基を有する化合物、及び、金属せっけんからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、及び、炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことより好ましく、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、及び、炭素数18~22の不飽和炭化水素基を有する脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが更に好ましい。
【0048】
-含有量-
分散剤(D)の含有量は、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、前記化合物(A)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以上4質量部以下であることが更に好ましく、1.5質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
<熱伝導性フィラー(E)>
本開示に係る硬化性組成物は、酸化亜鉛を含む熱伝導性フィラー(E)を含む。
熱伝導性フィラーとして適用される酸化亜鉛としては、特に制限されず、熱伝導性フィラーとして通常用いられる酸化亜鉛を挙げられる。
【0050】
熱伝導性フィラーに含まれる酸化亜鉛としては、柔軟性及び高伝導率を両立させる観点から、体積平均粒子径が0.05μm~100μmであることが好ましく、0.1μm~50μmであることがより好ましい。
【0051】
また、高伝導率の観点から、酸化亜鉛の体積平均粒子径は30μm以上であることが好ましく、30μm~50μmであることがより好ましい。
【0052】
本開示に係る硬化性組成物において、組成物中に熱伝導性フィラーを高充填する観点から、体積平均粒子径が異なる酸化亜鉛を2種以上含むことが好ましい。
【0053】
酸化亜鉛を含む熱伝導性フィラー(E)が酸化亜鉛以外の化合物を含む場合、酸化亜鉛以外の化合物の含有量としては、酸化亜鉛を含む熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
【0054】
本開示に係る硬化性組成物において体積平均粒子径が異なる酸化亜鉛を2種以上含む場合、上記観点から、最小体積粒子径に対する最大体積平均粒子径の比が50倍以上であることが好ましい。
なお、最小体積粒子径及び最大体積平均粒子径は、後述の体積平均粒子径の測定において、得られる体積分布において求められる最小体積粒子径及び最大体積平均粒子径を示す。
【0055】
また、本開示に係る硬化性組成物において、同様の観点から、体積平均粒子径が0.05μm~100μmで、体積平均粒子径の差が5μm以上で、かつ、体積平均粒子径が異なる2種以上の酸化亜鉛を含むことがより好ましい。
【0056】
本開示に係る硬化性組成物は、酸化マグネシウムを含む熱伝導性フィラー(E)を含む。
熱伝導性フィラーとして用いられる酸化マグネシウムとしては、特に制限されず、熱伝導性フィラーとして通常用いられる酸化マグネシウムが挙げられる。
【0057】
上記酸化マグネシウムとしては、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、体積平均粒子径が30μm以上であることが好ましく、30μm~100μmであることがより好ましく、40μm~65μmが更に好ましい。
【0058】
酸化マグネシウムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化マグネシウムの含有量としては、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、5質量%~100質量%であることが好ましく、10質量%~70質量%であることがより好ましく、20質量%~50質量%であることが更に好ましい。
【0059】
本開示に係る硬化性組成物に含まれる熱伝導性フィラー(E)は、得られる硬化物の形状安定性の観点から、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛の両方を含むことが好ましい。
熱伝導性フィラーとして用いられる酸化亜鉛としては、特に制限されず、熱伝導性フィラーとして通常用いられる酸化亜鉛を挙げられる。中でも、得られる硬化物の形状安定性の観点から、上述の酸化亜鉛が好ましい。熱伝導性フィラー(E)が酸化マグネシウム及び酸化亜鉛の両方を含む場合、上述の酸化亜鉛の好ましい態様と同様である。
【0060】
本開示に係る硬化性組成物が、熱伝導性フィラー(E)として酸化マグネシウム及び酸化亜鉛の両方を含む場合、酸化亜鉛の含有量(酸化亜鉛を2種以上含有する場合には総含有量)としては、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、50質量%~90質量%であることが好ましく、60質量%~80質量%であることがより好ましく、65質量%~75質量%であることが更に好ましい。
【0061】
本開示に係る硬化性組成物が、熱伝導性フィラー(E)として酸化マグネシウム及び酸化亜鉛の両方を含む場合、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、熱伝導性フィラー(E)における酸化マグネシウムと酸化亜鉛との含有量比(酸化マグネシウム:酸化亜鉛)は、質量基準で、5:1~1:5であることが好ましく、1:1~1:4であることがより好ましい。
【0062】
上記体積平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置((株)島津製作所製、製品名;ナノ粒子径分布測定装置SALD-7500nano)により、レーザー波長405nmで測定された測定値(体積分布)から体積平均粒子径(50%径)として算出される。
【0063】
本開示に係る硬化性組成物において体積平均粒子径が異なる酸化亜鉛を2種以上含む場合、体積分布において求められる最大体積平均粒子径を有する酸化亜鉛の含有量が、熱伝導性フィラー(E)中に含まれる酸化亜鉛の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
【0064】
熱伝導性フィラー(E)に含まれる酸化マグネシウム及び酸化亜鉛は、組成物中に熱伝導性フィラーを高充填する観点から、体積分布に2つ以上のピークを有することが好ましい。
なお、体積分布は、上記酸化亜鉛の体積平均粒子径と同様の方法により求められる。
【0065】
-含有量-
熱伝導性フィラー(E)の含有量は、組成物の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましく、85質量%~98質量%であることが更に好ましい。
熱伝導性フィラー(E)の含有量とは、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛、並びに、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛以外の化合物の総含有量を意味する。
【0066】
本開示に係る硬化性組成物において、熱伝導性フィラー(E)として、上記酸化マグネシウム及び酸化亜鉛以外の化合物を含んでいてもよい。
酸化亜鉛以外の化合物としては、水酸化アルミニウム、カーボン等が挙げられる。
【0067】
熱伝導性フィラー(E)が酸化マグネシウム及び酸化亜鉛以外の化合物を含む場合、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛以外の化合物の含有量としては、熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
【0068】
<<可塑剤(F)>>
本開示に係る硬化性組成物は、可塑剤(F)を更に含んでいてもよい。
可塑剤(F)は、1種であってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
可塑剤(F)としては、特に制限はなく、例えば、可塑剤として使用される得るポリマー、不飽和炭化水素基を有する脂肪酸エステル化合物、芳香族カルボン酸エステル化合物のほか、不飽和炭化水素基を有する脂肪酸及び芳香族カルボン酸を含む油等が挙げられる。
本明細書において「ポリマー」とは、重量平均分子量(Mw)が1,000以上である化合物を意味する。
本明細書において「ポリマー」の概念には、いわゆるオリゴマーも包含される。
【0070】
ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、シリコーンポリマー等が挙げられるが、耐熱性及び柔軟性の観点から、アクリル系ポリマーが好ましい。
【0071】
本開示に係る硬化性組成物が可塑剤(F)を含み、かつ、可塑剤(F)がポリマーである場合、耐熱性及び柔軟性の観点から、ガラス転移温度が-20℃以下であるポリマーであることが好ましく、ガラス転移温度が-20℃以下であるアクリル系ポリマーであることがより好ましい。
本開示に係る硬化性組成物が可塑剤(F)を含み、かつ、可塑剤(F)がポリマーである場合、耐熱性及び柔軟性の観点から、ガラス転移温度が-90℃以上-20℃以下であるポリマーであることが好ましく、ガラス転移温度が-90℃以上-20℃以下であるアクリル系ポリマーであることがより好ましい。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析装置(DSC)を用いて測定した、DSC曲線の変曲点を調べることで求められる。
【0072】
不飽和炭化水素基を有する脂肪酸エステル化合物としては、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のエステル化合物が挙げられる。
芳香族カルボン酸エステル化合物としては、フタル酸、テレフタル酸、安息香酸、トリメリット酸等のエステル化合物が挙げられる。
【0073】
本開示に係る硬化性組成物が可塑剤(F)を含む場合、高温安定性の観点から、可塑剤(F)は、芳香族カルボン酸エステル化合物を含むことが好ましく、トリメリット酸エステルを含むことが好ましい。
【0074】
-含有量-
本開示に係る硬化性組成物が可塑剤(F)を含む場合(可塑剤(F)を2種以上含む場合は合計量)、耐熱性及び柔軟性を両立する観点から、可塑剤(F)の含有量は、前記化合物(A)100質量部に対して、10質量部~60質量部であることが好ましく、20質量部~50質量部であることがより好ましく、30質量部~45質量部であることが更に好ましい。
【0075】
<<還元剤(G)>>
本開示に係る硬化性組成物は、必要に応じて、還元剤(G)を更に含んでいてもよい。本開示に係る硬化性組成物を、後述の二液型硬化性組成物に適用する場合、一方の硬化性組成物に還元剤(G)を含有させることが好ましい。
還元剤(G)を添加することで、重合開始剤(C)(例えば、過酸化物)の分解が促進されやすくなり、重合反応が低温条件下でも進行しやすい。
【0076】
還元剤(G)としては、上記重合開始剤(C)の分解を促進可能であれば特に制限はなく、重合開始剤と併用される公知の還元剤が挙げられるが、重合開始剤(C)の分解促進の観点から金属化合物系の還元剤であることが好ましい。
還元剤(G)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
金属化合物系還元剤としては、例えば、酸化第一錫、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ナフテン酸亜鉛、三塩化アンチモン、カリウムオレート、ナトリウムO-フェニルフェネート、硝酸蒼鉛、塩化第二鉄、テトラ-n-ブチルチン、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、コバルト2-エチルヘキソエート、第二2-エチルヘキソエート鉄等が挙げられる。
これらの中でも、反応性の観点から、金属化合物系還元剤としては、コバルト2-エチルヘキソエート、及び、ナフテン酸コバルトが好ましい。
【0078】
-含有量-
本開示に係る硬化性組成物が硬化触媒(G)を含む場合、硬化速度の観点から、硬化触媒(G)の含有量は、前記化合物(A)100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上9質量部以下であることがより好ましい。
【0079】
<<その他の添加剤>>
本開示に係る硬化性組成物は、必要に応じて、上記化合物(A)、化合物(B)、重合開始剤(C)、分散剤(D)、熱伝導性フィラー(E)、可塑剤(F)、及び、硬化触媒(G)以外の成分(以下、「その他の添加剤」ともいう。)を含むことができる。
その他の添加剤としては、腐食防止剤、防錆剤等の添加剤を適宜配合することができる。
上記添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0080】
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、チアジアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0081】
防錆剤としては、スルホン酸金属塩系化合物、ソルビタン化合物等が挙げられる。
【0082】
本開示に係る硬化性組成物は、基板、発熱体等へ塗布する際に、二種類の硬化性組成物を混合して使用する、二液型硬化性組成物であってもよい。
【0083】
本開示に係る硬化性組成物の不混和ちょう度としては、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、100~500であることが好ましく、200~400であることがより好ましい。
不混和ちょう度は、JIS-K2220(2013)に準拠して求められる。
【0084】
〔硬化性組成物の製造方法〕
本開示に係る硬化性組成物の製造方法は、特に制限はなく、特に限定されない。本開示に係る硬化性組成物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
化合物(A)、化合物(B)、重合開始剤(C)、分散剤(D)及び熱伝導性フィラー(E)、必要に応じて、可塑剤(F)、硬化触媒(G)及びその他の添加剤を、攪拌容器に投入し、攪拌、混合することで硬化性組成物が得られる。
なお、攪拌及び混合には、公知の撹拌機等を用いることができる。
【0085】
硬化性組成物の製造方法において、その他の添加剤を加える場合には、その添加剤が溶解又は分散可能な時間だけ攪拌すればよく、化合物(A)~(D)と一緒に攪拌容器に加えてもよいし、その後に加えてもよい。
【0086】
(硬化物)
本開示に係る硬化物は、上記硬化性組成物の硬化物である。上記硬化性組成物を硬化させる方法としては、制限されず、通常用いられる方法から適宜選択することができる。硬化方法としては、活性エネルギー線の照射、加熱等が挙げられるが、加熱による硬化方法が好ましい。
加熱により硬化させる場合、加熱温度としては、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また、加熱温時間としては、1分~120分であることが好ましい。
また、上記硬化組成物は、空気中の湿気と反応させて硬化してもよく、室温で硬化させてもよい。
【0087】
本開示に係る硬化物の熱伝導率としては、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、0.5(W・m/K)~50(W・m/K)であることが好ましく、1(W・m/K)~20(W・m/K)であることが好ましい。
本開示に係る硬化物の柔らかさとしては、熱伝導性の変化の抑制性の観点から、ショアOOで100以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましい。
本開示に係る硬化物の柔らかさは、ASTM D2240に準拠して求められる。
【0088】
<用途>
本開示に係る硬化性組成物は、例えば、基板に形成された凹部(発熱体と放熱体との隙間)に充填されるTIMとして、好適に用いることができる。
本開示に係る硬化性組成物は、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れる点から、基板に形成された凹部等の塗布面に対する追従性に優れるので、基板上に高さの異なる部品があった場合でも、効率的に熱を逃がすこができる。本開示に係る硬化性組成物は、高温環境下における熱伝導性の変化の抑制性にも優れるので、基板上に高さの異なる部品があった場合でも、効率的に熱を逃がすことができる。また、基板上のミクロな材料の凹凸にも追従できるため、熱を効率的に逃がすことができ、また、温度変動に伴う塗布面に対する追従性にも優れる点から、ギャップフィラーとして好適に適用することができる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0090】
(実施例1~8、10及び比較例1~3)
各原料を表1又は表3に記載の量で配合し、自転・公転ミキサー((株)シンキー製、製品名;あわとり練太郎ARV-310)を用いて、2,000rpm(revolutions per minute)、2分、大気圧下で混合し、硬化性組成物を調製した。
【0091】
(実施例9)
A液及びB液の各原料を表1に記載の量で配合し、自転・公転ミキサー((株)シンキー製、製品名;あわとり練太郎ARV-310)を用いて、2,000rpm、2分、大気圧下で混合し、A液及びB液を得た。その後、A液及びB液を質量比1:1で配合し、自転・公転ミキサー((株)シンキー製、製品名;あわとり練太郎ARV-310)を用いて、2,000rpm、1分、大気圧下で混合し、二液型硬化性組成物を調製した。
【0092】
実施例1~10及び比較例1~3で調製した硬化性組成物を用いて、以下の評価を行った。
【0093】
-評価-
<熱伝導率(W/(m・K)>
熱伝導率は、ASTM D5470に準拠して測定した。
10mm×10mm×1mmに成型した硬化性組成物の上下を10mm×10mmの銅板で挟み、表2又は表3に記載の硬化条件で硬化させた後、熱抵抗測定装置(ツクバリカセイキ(株)製、製品名;熱抵抗測定装置)で熱抵抗(単位;K・cm2/W)を測定し、熱伝導率に換算した。
【0094】
<硬化前の流動性:不混和ちょう度>
JIS-K2220(2013)に準拠して、硬化前の硬化性組成物の不混和ちょう度を測定した。ちょう度の値が大きいほど硬化性組成物が軟らかいことを示し、逆にちょう度の値が小さいほど硬いことを示す。
【0095】
<柔軟性>
-硬化後の柔らかさ:曲げテスト-
硬化性組成物を、50mm×20mm×1mmに成型し、表2又は表3に記載の硬化条件で硬化した後、硬化性組成物の硬化物の両端が平行になるように保持し、硬化物の長手方向の中心を1mm押し下げるべく中央部に力をかけた。このとき、両端の高さより、中央部を垂直方法に1mm押し下げたとき、硬化物を目視で確認した。硬化物にクラックが入ったことを確認できた場合をB、硬化物にクラックが確認されなかった場合をAとした。
【0096】
<形状安定性>
-硬化後の柔らかさ:ショアOO硬度(試料厚み;6mm)-
ASTM D2240に準拠して硬化性組成物の硬化物の柔らかさの測定を行った。
硬化性組成物を50mm×20mm×6mm(厚み6mm)に成型、表2又は表3に記載の硬化条件で硬化した後、硬度計(デュロメーター)(製品名;GS-754G、(株)テクロック製)を用いて、ショアOO硬度の測定を行った。
【0097】
<熱伝導性>
-ヒートショック試験前後での熱伝導率の比-
上記熱伝導率の測定後の、銅板で挟まれた硬化後の硬化性組成物(硬化物)を小型冷熱衝撃装置(エスペック(株)製、製品名;TSE-11)に設置し、以下の条件にてヒートショック試験を行った。500サイクル後に上記硬化物を小型冷熱衝撃装置から取り出して、上記熱伝導率の測定と同様にして、熱伝導率を算出し、ヒートショック試験前の熱伝導率に対するヒートショック試験後の熱伝導率の比((試験後の熱伝導率)/(試験前の熱伝導率))を求めた。
【0098】
-設定温度-
低温;-35℃、30分
高温;125℃、30分
サイクル数;500
【0099】
<高温環境下における熱伝導性の変化の抑制性>
上記ヒートショック試験において、小型冷熱衝撃装置の代わりに定温乾燥器(アドバンテック東洋(株)製、型番:DRN420DB)を用い、温度設定を下記の設定条件に変更した以外は、ヒートショック試験前後での熱伝導率の比の求め方と同様の方法により、試験前の熱伝導率に対する150℃、1000時間経過時の熱伝導率の比((試験後の熱伝導率)/(試験前の熱伝導率))を求めた。
試験前の熱伝導率に対する150℃、1000時間経過時点での熱伝導率の比が1に近いほど、高温環境下における熱伝導性の変化の抑制性に優れるといえる。この比が0.5以上である場合、製品として許容できる範囲であるが、0.8以上であると熱伝導性の変化の抑制性により優れるといえる。
【0100】
-設定条件-
高温;150℃
静置時間;1000時間
【0101】
<リワーク性>
80mm×50mm×1mmアルミ板又はガラスエポキシ樹脂基板を用意し、この上に硬化性組成物を50mm×20mm×2mmでそれぞれ成型し、表2又は表3に記載の硬化条件で硬化させた後、硬化物を90°の方向に10Nの力で剥離した。
アルミ板又はガラスエポキシ基板と硬化物との界面で剥離した場合をAとし、剥離しない場合をBとした。
【0102】
<接着性>
80mm×50mm×1mmアルミ板又はガラスエポキシ樹脂基板の上に硬化性組成物を50mm×20mm×2mmでそれぞれ成型し、表2又は表3に記載の硬化条件で硬化させた後、硬化物の端部に5kg(49N)の荷重をかけたとき、剥離しない場合をAとし、剥離する場合をBとした。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
表1及び表3中に記載された各成分の詳細は以下のとおりである。表1~表3中の「-」は、該当する成分を含まないか又は該当する評価を行っていないことを示す。
また、表1及び表3中の熱伝導性フィラー(E)における酸化亜鉛1種、焼成亜鉛華、LPZINC及び酸化マグネシウムの欄の数値は、それぞれ熱伝導性フィラー(E)の全質量に対する質量%を示す。例えば、表2中の実施例1の酸化亜鉛1種「35」及び焼成亜鉛華「65」とは、熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、酸化亜鉛1種を35質量%、及び焼成亜鉛華65質量%含んでいることを意味している。
例えば、表3中の実施例10の酸化亜鉛1種:20、焼成亜鉛華:50及び酸化マグネシウム:30とは、熱伝導性フィラー(E)の全質量に対して、酸化亜鉛1種を20質量%、焼成亜鉛華を50質量%及び酸化マグネシウム30質量%を含んでいることを意味している。
【0107】
<<化合物(A>>
・ラウリルメタクリレート;共栄社化学(株)製、製品名;LMA
・イソステアリルメタクリレート;新中村化学工業(株)製、製品名;ISM
・2-ヒドロキシエチルメタクリレート;共栄社化学(株)製、製品名;HO-250(N)
・2-ヒドロキシブチルメタクリレート;共栄社化学(株)製、製品名;HOB(N)
・2-デシルテトラデシルメタクリレート(ITEC);新中村化学工業(株)製、製品名;ITEC
【0108】
<<化合物(B)>>
・ポリプロピレングリコールジメタクリレート(9PG);新中村化学工業(株)製、製品名;9PG
・トリメチロールプロパントリメタクリレート;共栄社化学(株)製、製品名;ライトエステルTMP
【0109】
<<分散剤(D)>>
・9-オクタデセン酸(オレイン酸);日油(株)製
・モノオレイルグリセリルエーテル;日本サーファクタント工業(株)製、製品名;NIKKOL セラキルアルコール
【0110】
<<重合開始剤(C)>>
・過酸化ベンゾイル;日油(株)製、製品名;Benzoyl Peroxide
・t-ブチルパーオキシ-2エチルヘキシルカーボネート;日油(株)製、製品名;パーブチルE
・1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート;日油(株)製、製品名;パーオクタO
・クメンハイドロパーオキサイド;化薬アクゾ(株)製、製品名;カヤクメンH
【0111】
<<還元剤(G)>>
・ヘキソエートコバルト;東栄化工(株)製
【0112】
<<可塑剤(F)>>
・アクリル系ポリマー;東亞合成(株)製、製品名;UP-1171、重量平均分子量;8,000、ガラス転移温度(Tg);-57℃
・トリメリット酸混合直鎖アルキル;(株)ADEKA製、製品名;C-880
【0113】
<<熱伝導性フィラー(E)>>
・酸化亜鉛1種;体積平均径D50;0.6μm、境化学工業(株)製
・焼成亜鉛華;体積平均径D50;10μm、ハクスイテック(株)製
・LPZINC;体積平均径D50;50μm、境化学工業(株)製
・酸化マグネシウム:体積平均径D50;56μm、デンカ(株)製
【0114】
なお、表1中、「窒化ホウ素D50(4μm):35%、D50(12μm):65%」とは、比較例2において、熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径D50(4μm)の窒化ホウ素を窒化ホウ素の全質量に対して35%質量、及び、体積平均粒子径D50(12μm)の窒化ホウ素を65質量%配合したことを意味する。
【0115】
表2の結果に示すとおり、実施例1~実施例9の硬化性組成物より形成された硬化物は、比較例1~3の硬化性組成物より形成された硬化物に比べて、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性に優れることが分かる。表3の結果に示すとおり、実施例10の硬化性組成物より形成された硬化物は、特に、高温環境下における熱伝導性の変化の抑制性に優れていることが分かる。また、実施例10の硬化性組成物より形成された硬化物は、柔軟性、形状安定性、及び、熱伝導性にも優れることが分かる。
以上より本開示に係る硬化性組成物及び硬化物は、ギャップフィラーとして好適に用いることができる。
【0116】
2019年1月15日に出願された日本国特許出願第2019-004626号及び2019年9月13日に出願された日本国特許出願第2019-167701号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。