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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電気シェーバ
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/38 20060101AFI20240326BHJP
   B26B 19/48 20060101ALI20240326BHJP
   B26B 19/14 20060101ALI20240326BHJP
   B26B 19/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B26B19/38 Z
B26B19/48 C
B26B19/14 M
B26B19/46
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021094920
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022187098
(43)【公開日】2022-12-19
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木部 陽一
(72)【発明者】
【氏名】前田 一憲
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-510821(JP,A)
【文献】特表2019-534739(JP,A)
【文献】特開2004-254858(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0017032(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/38
B26B 19/48
B26B 19/14
B26B 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部を備え、
前記ヘッド部は、
電動式のカッタユニットと、
電源から供給される電力に基づいて、前記ヘッド部が接触するユーザのターゲット部位に特定作用を与える作用手段と、を備え、
前記カッタユニットは、
ユーザのターゲット部位に接触可能な外刃部と、可動式の内刃部を有し
前記作用手段は、前記外刃部を形成する導体部分全体が等電位となる態様で前記外刃部に通電することに基づいて、毛剃とは異なる前記特定作用を与える、電気シェーバ。
【請求項2】
前記作用手段は、直流電流を流すことで発熱する発熱素子、又は、前記特定作用として、高周波による加熱作用、EMSに係る作用、イオン導入に係る作用、イオン導出に係る作用のうちの少なくともいずれか1つに係る電気刺激を発生する対の電極を含み、
前記対の電極の一方は、前記外刃部により実現される、請求項1に記載の電気シェーバ。
【請求項3】
前記対の電極の他方は、前記カッタユニットまわりに設けられる、請求項に記載の電気シェーバ。
【請求項4】
前記カッタユニットを動作させる電気モータを収容する本体部を更に備え、
前記ヘッド部は、前記本体部に対して着脱可能且つ変位可能に取り付けられる、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の電気シェーバ。
【請求項5】
前記作用手段は、前記本体部に設けられる電気接点と、前記ヘッド部に設けられる電気接点との間の接触を介して、電源から電力供給される、請求項4に記載の電気シェーバ。
【請求項6】
前記ヘッド部における前記電気接点は、前記ヘッド部における前記本体部を着脱可能に保持する保持部に設けられ、
前記本体部における前記電気接点は、前記保持部に保持される被保持部に設けられる、請求項5に記載の電気シェーバ。
【請求項7】
前記ヘッド部における前記電気接点は、前記ヘッド部における前記本体部を着脱可能に保持する保持部から離れた位置に設けられ、
前記本体部における前記電気接点は、前記保持部に保持される被保持部から離れた位置に設けられる、請求項5に記載の電気シェーバ。
【請求項8】
前記ヘッド部は、前記カッタユニットを変位可能に保持するホルダ部を更に有し、
前記対の電極の一方には、一端が電源に電気的に接続される配線の他端が接合され、
前記配線は、前記ホルダ部に対して前記カッタユニットが変位した場合でも前記対の電極の一方との接合状態を維持するように構成される、請求項2又は3に記載の電気シェーバ。
【請求項9】
前記ヘッド部は、前記カッタユニットを2つ以上有し、
前記配線は、2つ以上の前記カッタユニット同士を電気的に接続する配線部を含み、
前記作用手段は、前記カッタユニットごとに前記外刃部を形成する導体部分全体が等電位となる態様で前記外刃部に通電することに基づいて、毛剃とは異なる前記特定作用を与える、請求項8に記載の電気シェーバ。
【請求項10】
前記カッタユニットまわりに設けられ、前記ヘッド部が接触するユーザのターゲット部位に光を照射する光照射部を更に備える、請求項3~9のうちのいずれか1項に記載の電気シェーバ。
【請求項11】
前記作用手段は、前記カッタユニットの電動回転と常に連動して動作する、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の電気シェーバ。
【請求項12】
前記作用手段は、前記カッタユニットの電動回転とは独立して動作可能である、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の電気シェーバ。
【請求項13】
前記作用手段を制御する制御部を更に備える、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の電気シェーバ。
【請求項14】
ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部を備え、
前記ヘッド部は、
電動式のカッタユニットと、
電源から供給される電力に基づいて、前記ヘッド部が接触するユーザのターゲット部位に加熱作用を与える加熱手段と、を備え、
前記カッタユニットは、
ユーザのターゲット部位に接触可能な外刃部と、可動式の内刃部とを有し、
前記加熱手段は、前記カッタユニットの一部を形成する態様で配置される、電気シェーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気シェーバに関する。
【背景技術】
【0002】
イオン導入デバイスをヘッド部に設けた電気シェーバが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-510821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気シェーバにおいて、ヘッド部がユーザのターゲット部位に接触した際にターゲット部位に特定作用を与えることができれば、特定作用に応じた効果(例えば、剃毛に係る除毛効率の向上効果や剃り後の肌への適切なケアの効果)を期待できる。
【0005】
そこで、本開示は、ターゲット部位に特定作用を与えることが可能な電気シェーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部を備え、
前記ヘッド部は、
電動式のカッタユニットと、
電源から供給される電力に基づいて、前記ヘッド部が接触するユーザのターゲット部位に特定作用を与える作用手段と、を備える、電気シェーバが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ターゲット部位に特定作用を与えることが可能な電気シェーバを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例による電気シェーバの一例を概略的に示す正面図である。
図2】加熱手段の好ましい例を説明する概略的な構成図である。
図2A】本体部における電気系の一例を示す概略図である。
図3】加温効果の原理の説明図である。
図4】制御部により実行される処理の一例を示す概略的なフローチャートである。
図5】制御部により実行される処理の他の一例を示す概略的なフローチャートである。
図6】ヘッド部の全体の分解斜視図である。
図7】ヘッド部の一部の分解斜視図である。
図8】メインホルダ部単体を示す斜視図である。
図9図6から図8に示す電気シェーバの加温効果の説明図(その1)である。
図10図6から図8に示す電気シェーバの加温効果の説明図(その2)である。
図11図6から図8に示す電気シェーバの加温効果の説明図(その3)である。
図12】フィルムヒータを概略的に示す平面図である。
図13】ヘッド部における配線構造の一例を示す図である。
図14】ヘッド部における配線構造の一例を示す図である。
図15】基部の被保持部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施例による電気シェーバ1の一例を概略的に示す正面図である。以下、ユーザとは、電気シェーバ1のユーザを指し、ユーザのターゲット部位とは、電気シェーバ1の接触が可能な任意の部位であり、典型的には、剃毛の対象となる毛が存在する部位に対応する。また、以下では、除毛効率とは、電気シェーバ1による剃毛に係る除毛効率を意味する。
【0011】
電気シェーバ1は、図1に示すように、本体部10と、ヘッド部20とを含む。
【0012】
本体部10は、電気モータ11やバッテリ12を収容する。電気モータ11は、電気シェーバ1を駆動する駆動源であり、バッテリ12からの電力に基づいて動作する。電気モータ11は、磁気リニアモータ等により実現されてもよい。バッテリ12は、外部から充電可能なバッテリであり、内部電源として機能する。なお、変形例では、電気モータ11は、内部のバッテリ12に代えて又は加えて、外部電源によって動作可能であってもよい。
【0013】
なお、本体部10には、電気シェーバ1に対するユーザによる各種入力が可能なユーザインターフェース15が設けられてよい。なお、ユーザインターフェース15は、機械式ボタンやタッチスイッチ等を含んでよい。また、本体部10には、トリマー(図示せず)が設けられてもよい。
【0014】
ヘッド部20は、ユーザのターゲット部位に接触可能な形態である。ヘッド部20は、本体部10に対して着脱可能に取り付けられてよい。ヘッド部20が本体部10に対して着脱可能である場合、ヘッド部20の清掃等が容易となる。
【0015】
ヘッド部20は、本体部10に対して変位可能に支持されてよい。ヘッド部20が本体部10に対して変位可能である場合、ユーザのターゲット部位に対してヘッド部20を密着させることが容易となり、除毛効率を効果的に高めることができる。なお、ヘッド部20は、本体部10に対して多様な自由度で変位可能であってよい。例えば、ヘッド部20は、本体部10に対して軸部材13を介して支持されてよく、この場合、ヘッド部20は、軸部材13の軸方向に垂直な任意の方向まわりに所定角度範囲内で傾斜可能又は回転可能であってもよい。なお、ヘッド部20と本体部10との間の接続構造には、ボールジョイントが利用されてもよい。
【0016】
ヘッド部20には、カッタユニット21と、加熱手段22とが設けられる。
【0017】
カッタユニット21は、ヘッド部20がユーザのターゲット部位に接触している状態で、ターゲット部位に接触するようにヘッド部20に設けられる。すなわち、カッタユニット21は、ヘッド部20におけるユーザのターゲット部位に接触する部位を形成する。なお、通常の剃毛用の使用態様では、ヘッド部20のうちの、ユーザのターゲット部位に接触する部位は、カッタユニット21のみであってもよい。
【0018】
カッタユニット21は、電気モータ11により駆動される電動式である。カッタユニット21は、動作(駆動)時に毛をカット可能な刃を有する。従って、ヘッド部20がユーザのターゲット部位に接触した状態でカッタユニット21が動作すると、当該ターゲット部位に存在しうる毛がカッタユニット21によりカットされる(すなわち剃毛が実現される)。
【0019】
なお、カッタユニット21は、電動式であればよく、動き方は任意である。例えば、カッタユニット21は、回転式であってもよいし、振動式(線形振動)であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0020】
加熱手段22は、カッタユニット21が接触するユーザのターゲット部位を加熱する。加熱手段22は、カッタユニット21が接触するユーザのターゲット部位を加熱することで、ユーザのターゲット部位の状態(特に毛の状態)を、剃毛に適した状態に至るように補助できる。例えば、加熱手段22は、蒸しタオルでターゲット部位を加温したときと同様の効果を実現する。以下、このような加熱手段22による効果を、「加温効果」とも称する。
【0021】
加熱手段22は、バッテリ12からの電力に基づいて動作する。すなわち、加熱手段22用の電源電圧は、バッテリ12に基づいて生成される。なお、変形例では、加熱手段22は、内部のバッテリ12に代えて又は加えて、外部電源によって動作可能であってもよい。
【0022】
加熱手段22は、ターゲット部位を加熱できる構成であれば任意であり、例えば直流電流を流すことで発熱する発熱素子(例えば、電熱線)を含んでよい。この場合、加熱手段22は、フィルムヒータやニクロム線ヒータ等の形態であってよい。
【0023】
あるいは、加熱手段22は、後述するような対の電極221を利用して高周波をターゲット部位に印加する手段であってもよい。また、加熱手段22は、マイクロ波(超短波)のような電波をターゲット部位に照射する手段により実現されてもよい。
【0024】
加熱手段22は、好ましくは、ヘッド部20がユーザのターゲット部位に接触している状態で、ターゲット部位のうちの比較的広い範囲を加熱できるように、ヘッド部20のうちの、比較的広い範囲にわたり設けられる。この場合、加熱手段22は、ヘッド部20におけるユーザのターゲット部位に接触する部位のうちの、カッタユニット21を除く部分の大部分を占めるように配置されてもよい。例えば、加熱手段22は、カッタユニット21を囲繞するように設けられてもよい。
【0025】
加熱手段22は、好ましくは、カッタユニット21とターゲット部位900との間の密着性を阻害しない態様で、ヘッド部20に設けられる。例えば、加熱手段22は、カッタユニット21に対して本体部10側にわずかにオフセットした構成(図1のΔ1参照)であってよい。これにより、加熱手段22に起因してカッタユニット21とターゲット部位との間の密着性が低下する可能性を低減できる。
【0026】
図2は、加熱手段22の好ましい例を説明する概略的な構成図である。図2Aは、本体部10における電気系の一例を示す概略図である。図2には、加熱手段22と制御部300との間の電気的な接続態様が併せて示されている。なお、配線は実線で模式的に示されている。図3は、加温効果の原理の説明図であり、高周波電圧印加時にターゲット部位900において生じる電界(高周波電流)を模式的に示す断面図である。図3には、対の電極221とともに、ターゲット部位900における3本の毛901が模式的に示されている。また、図3には、高周波電圧印加によりターゲット部位900において発生する電界の様子が模式的に点線Eで示されている。
【0027】
加熱手段22は、好ましくは、図2に示すように、対の電極221を含み、対の電極221を介して高周波電圧をユーザのターゲット部位900に印加する。この場合、対の電極221間を介してターゲット部位900に高周波に係る電界が形成され、ターゲット部位900において誘電加温及び/又はジュール熱による加温が実現される。
【0028】
このような加熱手段22を用いる場合、高周波に係る電界は、ターゲット部位900の比較的深部(表面より毛穴に近い側)まで作用できる。従って、毛穴を効果的に開かせるとともに、毛根にも熱が伝わり、毛901を柔らかくできる。このようにして対の電極221への高周波電圧印加に基づく加温を行うことで、直流電流を流すことで発熱する発熱素子を用いる場合に比べて、ユーザのターゲット部位900の状態(特に毛の状態)を、剃毛に適した状態に効率的に至らせることが容易となる。すなわち、加温効果を効率的に高めることができる。
【0029】
なお、加熱手段22が対の電極221を含む場合、対の電極221の一方は、カッタユニット21を形成する構成要素(後述するように外刃部2131)により実現されてもよい。
【0030】
図2に示す例では、ヘッド部20側の対の電極221は、本体部10側の電気接点19とヘッド部20側の電気接点29との間の電気的な接続を介して、本体部10側の制御部300(及び、図2では図示しないバッテリ12)に電気的に接続されている。この場合、ヘッド部20側に制御部300やバッテリ(例えばバッテリ12とは別のバッテリ)を配置する必要がなくなるので、ヘッド部20の洗浄等が可能である。なお、電気接点19及び電気接点29は、対の電極221に対応して対で設けられてよい。
【0031】
電気接点19及び電気接点29は、例えばヘッド部20と本体部10との間の接続部分に配置されてもよい。例えば、本体部10におけるヘッド部20を脱着可能に保持する保持部又はその近傍に、本体部10側の電気接点19が設けられ、ヘッド部20における被保持部又はその近傍に、ヘッド部20側の電気接点29が設けられてよい。この場合、電気接点19及び電気接点29は、ヘッド部20が本体部10に接続(装着)されると、それに伴い電気的に接続され、ヘッド部20が本体部10から離脱されると、それに伴い電気的に切り離れる。
【0032】
また、電気接点19及び電気接点29は、ヘッド部20と本体部10との間の接続部分以外(上述した保持部から離れた位置)に配置されてもよい。例えば、電気接点19及び電気接点29は、ヘッド部20が本体部10に接続(装着)されると接触状態となるマグネット接点により実現されてもよい。あるいは、電気接点19及び電気接点29の間の通電は、無接点通電(非接触型の通電)により実現されてもよい。あるいは、電気接点19が省略され、電気接点29は、外部電源に接続可能であってもよい。この場合、電気接点29と外部電源との電気的な接続は、USB(Universal Serial Bus)接続等により実現されてもよい。
【0033】
本実施例において、制御部300は、図2Aに示すように、電気モータ11と並列な関係で、バッテリ12に電気的に接続されてよい。このようにして、電気モータ11用の電源であるバッテリ12の電力を利用して、加熱手段22を動作させることができる。なお、図2Aにおいて、スイッチSWは、電気モータ11をオンさせる毛剃スイッチ(ユーザインターフェース15の一要素)である。
【0034】
図4は、制御部300により実行される処理の一例を示す概略的なフローチャートである。
【0035】
図4に示す例では、加熱手段22は、カッタユニット21の動作と常に連動して動作する。具体的には、毛剃スイッチ(図示せず)がオンされる(ステップS400のYES)と、電気モータ11及び制御部300への電力供給が開始される。この場合、電気モータ11の作動によりカッタユニット21が回転されると、制御部300は、加熱手段22に係る対の電極221に高周波電圧を印加し始める(ステップS402)。この場合、ユーザは、特に加熱手段22に対して特別な操作を行うことなく、カッタユニット21による毛剃を行う際に加熱手段22を動作させることができ、操作性が良好となる。なお、毛剃スイッチ(図示せず)がオフされると(ステップS404のYES)、バッテリ12からの電力供給が遮断されることで、電気モータ11及び加熱手段22が停止する。すなわち、電気モータ11の停止によりカッタユニット21が停止されるととともに、加熱手段22に係る対の電極221への高周波電圧の印加が停止される。
【0036】
なお、図4に示す例では、電気モータ11の動作が開始するのと実質的に同じタイミングで加熱手段22の動作が開始するが、電気モータ11の動作の開始タイミングと加熱手段22の動作の開始タイミングとの間には有意なずれが設定されてもよい。例えば、加温された後のターゲット部位において剃毛が実現されるように、加熱手段22の動作の開始タイミングは、電気モータ11の動作の開始タイミングよりも有意に早められてもよい。
【0037】
図5は、制御部300により実行される処理の他の一例を示す概略的なフローチャートである。
【0038】
図5に示す例では、加熱手段22は、カッタユニット21の動作とは独立して動作可能である。具体的には、ステップS500にて、制御部300は、加熱手段22の作動開始条件が成立したか否かを判定する。加熱手段22の作動開始条件は、任意であり、多様でありうる。例えば、加熱手段22の作動開始条件は、加熱スイッチ(図示せず)がオンされることで満たされてもよい。かかる構成では、加熱スイッチ(図示せず)が毛剃スイッチ(図2AのスイッチSW参照)とは別に設けられる場合、加熱手段22は、毛剃スイッチがオンされることで作動する電気モータ11とは独立に動作できる。
【0039】
制御部300は、加熱手段22の作動開始条件が成立(ステップS500のYES)することで加熱手段22を作動させ始めると、その後、加熱手段22の作動終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS502)。加熱手段22の作動終了条件は、任意であり、多様でありうる。例えば、加熱手段22の作動終了条件は、加熱スイッチ(図示せず)がオフされることで満たされてもよい。加熱手段22の作動終了条件が(ステップS504のYES)すると、制御部300は、加熱手段22に係る対の電極221への高周波電圧の印加を停止する(ステップS506)。
【0040】
あるいは、他の実施例では、多様な動作モードを有してもよい。例えば、複数の動作モードは、電気モータ11だけが作動する毛剃単独モード、電気モータ11及び加熱手段22がともに作動する毛剃&加熱モード、及び、加熱手段22だけが作動する加熱単独モードを含んでもよい。
【0041】
また、他の実施例では、ヘッド部20は、加熱手段22又はターゲット部位の温度を検出する温度センサを備えてもよく、この場合、制御部300は、温度センサからの温度情報に基づいて、加熱手段22を制御してもよい。例えば、制御部300は、温度センサからの温度情報の示す温度が所定の目標値に一致するように、加熱手段22を制御してもよい。この場合、所定の目標値は、一定であってもよいし、複数段階のうちの1つをユーザが選択可能であってもよいし、ユーザにより調整(カスタマイズ)可能であってもよい。
【0042】
また、他の実施例では、ヘッド部20は、ターゲット部位との間の接触又は近接を検出する接触又は近接センサを備えてもよく、この場合、制御部300は、接触又は近接センサからのセンサ情報に基づいて、加熱手段22を制御してもよい。例えば、制御部300は、接触又は近接センサからのセンサ情報がヘッド部20とターゲット部位との間の接触又は近接を示す場合のみ、加熱手段22を作動させてもよい。
【0043】
ところで、本実施例では、ヘッド部20に加熱手段22が設けられるので、加熱手段22の動作状態等をユーザに伝達できる構成が有用となりうる。特に、図5に示したような加熱手段22と電気モータ11とが互いに連動せずに動作しうる構成においては、加熱手段22の動作状態等をユーザに伝達できると利便性が高くなる。
【0044】
そこで、本実施例において、ヘッド部20には、光照射部70(図1参照)が設けられてもよい。光照射部70は、情報伝達用の光を照射するように構成されてもよい。例えば、図5を参照して上述したように複数の動作モードを有する場合、光照射部70は、動作モードごとに異なる色で発光してもよい。なお、光照射部70は、発光ダイオード等により実現されてよい。
【0045】
あるいは、光照射部70は、加熱手段22と別の加熱手段として機能してもよい。あるいは、光照射部70は、毛根にダメージを与えるように作用する周波数の光を照射してもよい。この場合、光照射部70のオン/オフやオン時の出力は、ユーザにより調整(カスタマイズ)可能であってもよい。
【0046】
次に、図6以降を参照して、ヘッド部20の一例ついて詳細に説明する。
【0047】
図6は、ヘッド部20の全体の分解斜視図であり、図7は、ヘッド部20の一部の分解斜視図である。図8は、メインホルダ部231単体を示す斜視図である。図6から図8には、右手座標系で、直交する3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)が示されている。
【0048】
図6から図8に示す例では、ヘッド部20は、カッタユニット21と、加熱手段22とを含み、カッタユニット21及び加熱手段22は、それぞれ3組設けられる。なお、変形例では、3組以外の組数(例えば1組、2組や4組以上)であってもよい。図6から図8に示す例では、加熱手段22の対の電極221は、後述するように、外刃部2131及び枠部224により形成される。なお、3組の加熱手段22と制御部300(及びバッテリ12)との間の電気的な接続は、図2に示したような電気接点19、29により実現されてよく、この場合、3組の加熱手段22に係る合計6つの電極221に対して、6組の電気接点19、29が設けられてもよいが、好ましくは、2組の電気接点19、29が設けられる。2組の電気接点19、29の場合、3組の加熱手段22に係る6つの電極221は、共通に動作する。この場合、本体部10とヘッド部20との間の電気接点構造を簡略化できる。
【0049】
また、図6から図8に示す例では、ヘッド部20は、基部230と、メインホルダ部231(ホルダ部の一例)と、シェーバホルダ232とを含む。図6から図8に示す例では、シェーバホルダ232は、後述する枠部224とともに、3組のカッタユニット21に対応して、3組設けられる。図6では、3組のうちの、1組だけがメインホルダ部231から分解して示されている。3組のそれぞれは、同様の構成であってよく、以下では特に言及しない限り、任意の1組について説明する。
【0050】
基部230は、本体部10(図1参照)に着脱可能に接続できる。なお、上述したようにヘッド部20が本体部10に対して変位可能となる態様で、基部230が本体部10に対して支持されてよい。
【0051】
基部230は、電気モータ11からの回転に伴い回転する回転軸部2301を有する。回転軸部2301は、カッタユニット21ごとに設けられてもよい。従って、図6から図8に示す例では、回転軸部2301は、3つ設けられる。なお、回転軸部2301のそれぞれは、電気モータ11の回転軸とともに一体回転する軸部材13(図1参照)に対して、ギアのような動力伝達機構(図示せず)を介して動力伝達可能に連結されてよい。
【0052】
メインホルダ部231は、シェーバホルダ232を介してカッタユニット21及び枠部224を保持する。メインホルダ部231は、シェーバホルダ232が配置される開口部2310を有する。
【0053】
メインホルダ部231は、基部230に取り付けられる。メインホルダ部231は、基部230に対して固定されてもよいが、好ましくは、基部230に対して着脱可能又は開閉に支持される。図6から図8に示す例では、メインホルダ部231は、基部230の開閉軸2302まわりに回転可能(開閉可能)に支持されている。この場合、メインホルダ部231は、開閉軸2302まわりに回転することで、基部230に対して開閉可能となる。メインホルダ部231の閉状態は、通常の使用状態であり、メインホルダ部231の開状態は、メインホルダ部231と基部230との間に溜まりうる毛(カットされた毛)を除去するために実現されてよい。
【0054】
シェーバホルダ232は、例えば樹脂等により形成される。シェーバホルダ232は、カッタユニット21及び枠部224を保持する。シェーバホルダ232は、カッタユニット21のY方向負側への移動を規制するストッパ部2321を有してよい。
【0055】
シェーバホルダ232は、図6から分かるように、メインホルダ部231に取り付けられる。シェーバホルダ232は、メインホルダ部231と一体的に固定されてもよいが、好ましくは、メインホルダ部231に対して変位可能に支持される。これにより、ユーザのターゲット部位に対してカッタユニット21を密着させることが容易となり、除毛効率を効果的に高めることができる。図6から図8に示す例では、図8に示すように、メインホルダ部231は、回転軸部2301に垂直な一の方向に延在する回転軸支部2314を有し、シェーバホルダ232を回転軸支部2314まわりに回転可能に支持する。
【0056】
本実施例では、カッタユニット21は、上述したようにシェーバホルダ232を介してメインホルダ部231に支持される。カッタユニット21は、図7に示すように、外刃部2131と、回転式の内刃部2132とを含む。
【0057】
外刃部2131は、Y方向正側にターゲット部位に接触可能な接触表面部21311を有する。接触表面部21311には、毛が入ることができる細かい孔が複数形成されるとともに、当該孔の縁部が外刃を形成する。接触表面部21311は、細かい孔に毛を入れることで、毛を立たせる機能を有する。毛を立たせると、外刃部2131と内刃部2132との組み合わせで毛がカットしやすくなる。図6から図8に示す例では、外刃部2131は、円筒状の周壁部21312を有し、周壁部21312のY方向正側は、接触表面部21311により覆われている。円筒状の周壁部21312の内径側には、内刃部2132が収容される。
【0058】
本実施例では、外刃部2131は、導体であり、導電性の材料により形成される。そして、外刃部2131は、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221の一方を形成する。具体的には、外刃部2131は、ターゲット部位900に接触する接触表面部21311が、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221の一方を形成する。
【0059】
なお、外刃部2131は、1つ以上の材料により形成されてもよいし、2つ以上の材料により形成されてもよい。例えば、接触表面部21311は、金属のような比較的剛性の高い導電材料により形成され、周壁部21312は、樹脂のような絶縁材料により形成されてもよい。
【0060】
内刃部2132は、回転軸部2301に回転不能に接続され、回転軸部2301とともに一体回転する。内刃部2132は、電気モータ11により回転軸部2301の回転軸まわりに回転駆動される。内刃部2132は、切断エッジを有する複数のカッタブレード21321を有する。複数のカッタブレード21321は、外刃部2131の接触表面部21311にY方向で隣接するように配置される。この場合、内刃部2132が回転すると、接触表面部21311の孔を通る毛が、外刃と内刃部2132のカッタブレード21321との組み合わせによりカットされる。
【0061】
枠部224は、カッタユニット21まわりに設けられる電極リングを形成する。すなわち、枠部224は、外刃部2131における円筒状の周壁部21312の外径側に配置される。枠部224は、上述したようにシェーバホルダ232を介してメインホルダ部231に支持される。
【0062】
図6から図8に示す例では、枠部224は、導体であり、導電性の材料により形成される。具体的には、枠部224は、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221の他方を形成する。すなわち、枠部224は、外刃部2131の接触表面部21311と協動して、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221を形成する。
【0063】
このような枠部224と外刃部2131の接触表面部21311とにより加熱手段22の対の電極221を実現することで、ターゲット部位のうちの接触表面部21311と接触する範囲全体にわたって加温効果を付与することができる。
【0064】
枠部224は、外刃部2131との間で電気的な短絡が生じないように、外刃部2131に対してわずかに離間する。図6から図8に示す例では、枠部224は、円筒状の周壁部21312の外径よりも大きい内径を有し、周壁部21312に対して径方向で離間する。また、シェーバホルダ232は、Y方向に突出したリング状の周壁2324を有し、周壁2324は、径方向で枠部224と外刃部2131の間に配置される。これにより、枠部224と外刃部2131との間で電気的な短絡が確実に防止される。
【0065】
図9から図11は、図6から図8に示す例による電気シェーバ1の加温効果の説明図であり、電気シェーバ1の先端部分(Y方向正側の先端部)だけをターゲット部位との関係で模式的に示す断面図である。
【0066】
図9は、電気シェーバ1のヘッド部20をターゲット部位900に接触する直前の状態を示している。なお、図9に示す例では、ターゲット部位900には、剃る対象の毛901が多数生えており、シェービングジェル902が塗布されている。なお、シェービングジェル902に代えてシェービングフォーム、化粧水又はその類が利用されてもよい。シェービングジェル902等を利用することで、高周波電圧印加による加温効果を効率的に高めることができる。また、毛穴が広がり、毛穴や毛穴まわりに水分が浸透することで、毛が柔らかくなり、毛が剃りやすくなる(すなわち剃り残しが減る)効果も得られる。また、ターゲット部位900に水分が浸透することで、いわゆる剃り負けを抑制できる。
【0067】
図10は、電気シェーバ1のヘッド部20がターゲット部位900に接触した直後の状態を示している。図6から図8に示す例では、枠部224を外側の電極221とし、且つ、接触表面部21311を内側の電極221として、高周波電圧がターゲット部位900に印加される。なお、図10には、このような高周波電流の経路が矢印R1000で模式的に示されている。
【0068】
図11は、電気シェーバ1のヘッド部20がターゲット部位900に接触し加熱手段22が動作した後の状態を示している。図11には、加温されている範囲がハッチング領域R11で模式的に示されている。このようにして、図6から図8に示す例によれば、高周波電流を、ターゲット部位のうちの接触表面部21311と接触する範囲全体にわたって作用させることが可能となる。この結果、ターゲット部位の比較的広い範囲にわたって加熱手段22による加温効果を効率的に付与できる。
【0069】
このように図6から図8に示す例によれば、ターゲット部位900を加温する構成を有する電気シェーバ1により、ターゲット部位900の比較的広い範囲にわたって加温効果を効率的に付与できる。これにより、除毛効率を効果的に高めることができる。
【0070】
また、図6から図8に示す例によれば、加熱手段22の対の電極221の一方は、外刃部2131(接触表面部21311)により実現され、対の電極221の他方は、枠部224により実現されるので、比較的少ない部品点数で加熱手段22を実現できる。すなわち、既存の部品である外刃部2131を利用することで、加熱手段22を設けるための追加部品に係る部品点数を低減できる。
【0071】
なお、図6から図8に示す例では、加熱手段22の対の電極221の一方は、接触表面部21311全体により実現されているが、接触表面部21311の一部のみにより実現されてもよい。
【0072】
また、同様に、加熱手段22の対の電極221の他方は、枠部224全体により実現されているが、枠部224の一部により実現されてもよい。例えば、枠部224は、樹脂と金属材料によるインサート成形により形成されてもよい。この場合、金属材料の部位が電極221を形成する。
【0073】
なお、図6から図8に示す例において、図1を参照して上述した光照射部70がカッタユニット21まわり、すなわち枠部224に設けられてもよい。あるいは、光照射部70は、枠部224の外側に設けられてもよい。あるいは、光照射部70は、周壁2324のY方向正側の端部に設けられてもよい。
【0074】
また、図6から図8に示す例において、枠部224には、別の加熱手段22として、図12に平面図で模式的に示すようなフィルムヒータ240が設けられてもよい。この場合、フィルムヒータ240は、枠部224の電極221としての機能を阻害しない態様で、枠部224に配置されてもよい。あるいは、この場合、対の電極221をなくして、フィルムヒータ240が唯一の加熱手段22として機能してもよい。なお、フィルムヒータ240を用いる場合も、バッテリ12又は制御部300からの配線は、図2を参照して上述したとおりであってよい。
【0075】
次に、図13及び図14を参照して、図6から図8に示した例において適用可能なヘッド部20における配線構造90の例について説明する。以下では、区別のため、3つのカッタユニット21のそれぞれを区別する場合は、符号の最後に(1)、(2)、及び(3)を付す。なお、図14では、カッタユニット21の1つが取り外された状態で図示されている。
【0076】
図13及び図14は、ヘッド部20における配線構造90の一例を示す図である。
【0077】
配線構造90は、図2に示した対の電気接点29と対の電極221との間の電気的な接続を実現する電気的接続構造であり、図14に示すように、対の電気接点29を保持する接点保持部291を有する。接点保持部291は、図示しない本体部10側の接点保持部に脱着可能である。この場合、磁石を用いたマグネット接点が実現されてもよい。接点保持部291が本体部10側の接点保持部に取り付けられた状態では、対の電気接点19(図2参照)に対の電気接点29が電気的に接続される。
【0078】
配線構造90は、対の電気接点29の一方に一端が接合される第1配線91(配線の一例)と、対の電気接点29の他方に一端が接合される第2配線92を含む。第1配線91の他端は、対の電極221の一方に接合され、第2配線92の他端は、対の電極221の他方に接合される。
【0079】
第1配線91は、図13に示すように、第1引き出し部910と、2つの第1渡り部911、912(配線部の一例)とを含む。
【0080】
第1引き出し部910は、メインホルダ部231の外部から内部に通される。第1引き出し部910は、図14に示すように、メインホルダ部231の外部側の一端が対の電気接点29の一方に接合され、図13に示すように、内部側の他端が一のカッタユニット21(1)の外刃部2131に接合される。なお、第1引き出し部910は、外刃部2131の裏側(Y方向負側)に接合されてよい。
【0081】
第1渡り部911は、図13に示すように、一端が、一のカッタユニット21(1)の外刃部2131に接合され、他端が、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131に接合される。このようにして、一のカッタユニット21(1)の外刃部2131と、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131とは、第1渡り部911を介して電気的に接続される。
【0082】
第1渡り部912は、図13に示すように、一端が、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131に接合され、他端が、更なる他の一のカッタユニット21(3)の外刃部2131に接合される。このようにして、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131と、更なる他の一のカッタユニット21(3)の外刃部2131とは、第1渡り部912を介して電気的に接続される。
【0083】
このようにして、第1配線91は、第1引き出し部910及び2つの第1渡り部911、912を介して、対の電気接点29の一方を、対の電極221の一方を形成する3つのカッタユニット21のそれぞれの外刃部2131に、電気的に接続する。これにより、対の電気接点29の一方を介して、対の電極221の一方を形成する3つのカッタユニット21を同時に通電できる。
【0084】
同様に、第2配線92は、第2引き出し部920と、2つの第2渡り部921、922とを含む。
【0085】
第2引き出し部920は、メインホルダ部231の外部から内部に通される。第2引き出し部920は、図14に示すように、メインホルダ部231の外部側の一端が対の電気接点29の一方に接合され、図13に示すように、内部側の他端が一のカッタユニット21(3)まわりの枠部224に接合される。なお、第2引き出し部920は、枠部224の裏側(Y方向負側)に接合されてよい。
【0086】
第2渡り部921は、図13に示すように、一端が、一のカッタユニット21(3)まわりの枠部224に接合され、他端が、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224に接合される。このようにして、一のカッタユニット21(3)まわりの枠部224と、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224とは、第2渡り部921を介して電気的に接続される。
【0087】
第2渡り部922は、図13に示すように、一端が、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224に接合され、他端が、更なる他の一のカッタユニット21(1)まわりの枠部224に接合される。このようにして、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224と、更なる他の一のカッタユニット21(1)まわりの枠部224とは、第2渡り部922を介して電気的に接続される。
【0088】
このようにして、第2配線92は、第2引き出し部920及び2つの第2渡り部921、922を介して、対の電気接点29の他方を、対の電極221の他方を形成する3つの枠部224のそれぞれに、電気的に接続する。これにより、対の電気接点29の他方を介して、対の電極221の他方を形成する3つの枠部224を同時に通電できる。
【0089】
ところで、図6から図8に示した例では、上述したように、各カッタユニット21は、メインホルダ部231に対して変位可能に支持されており、電気シェーバ1の使用時にターゲット部位900の形状等に応じてメインホルダ部231に対して変位しうる。
【0090】
従って、図13及び図14に示す配線構造90では、第1配線91の引き出し部910は、好ましくは、メインホルダ部231に対してカッタユニット21が変位した場合でも対の電極221の一方との接合状態を維持するように構成される。具体的には、第1配線91の引き出し部910は、好ましくは、メインホルダ部231に対するカッタユニット21(1)の変位を吸収できるような適度な緩みや可撓性を有する。例えば、引き出し部910は、単線又はより線からなる電線や、フラットケーブル、導電性のあるばね等により構成されてもよい。これにより、電気シェーバ1の使用時にカッタユニット21(1)がターゲット部位900の凹凸に合わせて変位した場合でも、安定してターゲット部位900の肌を加熱できる。
【0091】
同様に、図13及び図14に示す配線構造90では、第1配線91の第1渡り部911は、好ましくは、メインホルダ部231に対して2つのカッタユニット21が互いに独立して変位した場合でも、第1渡り部911の両端において対の電極221の一方との接合状態を維持するように構成される。具体的には、第1配線91の第1渡り部911は、好ましくは、メインホルダ部231に対する2つのカッタユニット21の互いに独立した変位を吸収できるような適度な緩みや可撓性を有する。例えば、第1渡り部911は、単線又はより線からなる電線や、フラットケーブル、導電性のあるばね等により構成されてもよい。これにより、電気シェーバ1の使用時に2つのカッタユニット21(1)、(2)がターゲット部位900の凹凸に合わせて互いに独立して変位した場合でも、安定してターゲット部位900の肌を加熱できる。これは、第1渡り部912についても同様である。
【0092】
なお、枠部224は、カッタユニット21とは異なり、メインホルダ部231に対して変位可能でないため、第2配線92は、比較的緩みの少ない又は可撓性の低い構成であってもよい。
【0093】
また、図13及び図14に示す例によれば、第1渡り部911、912及び第2渡り部921、922を有することにより、3つのカッタユニット21を有するヘッド部20においても、3つのカッタユニット21のそれぞれに対応付けて設けられる対の電極221に対して効率的な配線構造90を実現できる。
【0094】
なお、図13及び図14に示す例では、ヘッド部20側の対の電気接点29は、ヘッド部20と本体部10との間の接続部分とは別の接点保持部291に保持されているが、これに限られない。例えば、ヘッド部20側の対の電気接点29は、上述したように、ヘッド部20と本体部10との間の接続部分に設けられてもよい。例えば、図15に示すような基部230の被保持部2304に、ヘッド部20側の対の電気接点29が設けられてもよい。この場合、第1配線91の引き出し部910及び第2配線92の引き出し部920は、回転軸部2301等を利用して基部230まで引き出されてもよい。この場合、第1配線91の引き出し部910の一部及び第2配線92の引き出し部920の一部は、インサート成形等により基部230内に埋設されてよい導体部により実現されてもよい。
【0095】
また、図13及び図14に示す例において、第1配線91の一部及び第2配線92の一部は、インサート成形等によりメインホルダ部231に埋設されてよい導体部により実現されてもよい。
【0096】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0097】
例えば、上述した実施例では、ヘッド部20が接触するユーザのターゲット部位900に特定作用を与える作用手段の一例として、加熱手段22が開示されているが、ユーザのターゲット部位900に特定作用を与える作用手段は、加熱手段22に限られない。すなわち、加熱手段22に代えて又は加えて、加熱作用以外の特定作用を付与できる作用手段が用いられてもよい。この場合、作用手段は、対の電極221と同様の対の電極であって、ユーザのターゲット部位900に電気刺激を発生する対の電極を備えてよい。この場合も、作用手段は、対の電極が上述した態様で電源から電力供給を受けることで、動作できる。この場合、電気刺激に基づく特定作用は、高周波による加熱作用、筋電気刺激(以下、EMS:Electrical Muscle Stimulation)に係る作用、イオン導入に係る作用、イオン導出に係る作用、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。この場合、EMSは、ターゲット部位900の引締めとともにたるみケアができる点で有利である。また、イオン導出は、ターゲット部位900において肌の毛穴汚れを除去できる点が有利であり、イオン導入はターゲット部位900において肌を保湿できる点が有利である。このような特定作用は、髭剃り後の肌に対するケアとして好適である。
【符号の説明】
【0098】
1 電気シェーバ
10 本体部
11 電気モータ
12 バッテリ
13 軸部材
15 ユーザインターフェース
19 電気接点
20 ヘッド部
21 カッタユニット
22 加熱手段
29 電気接点
70 光照射部
230 基部
2301 回転軸部
2302 開閉軸
231 メインホルダ部
2310 開口部
2314 回転軸支部
232 シェーバホルダ
2321 ストッパ部
2324 周壁
2131 外刃部
21311 接触表面部
21312 周壁部
2132 内刃部
21321 カッタブレード
221 電極
224 枠部
300 制御部
900 ターゲット部位
901 毛
902 シェービングジェル
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15