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特許7460606スロット付きグロメットを備えた補聴器用電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】スロット付きグロメットを備えた補聴器用電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20240326BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240326BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M50/184 E
H01M50/109
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
H01M10/058
H01M10/0587
H01M50/566
H01M50/56
H01M50/528
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021512875
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 IB2019057668
(87)【国際公開番号】W WO2020053790
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】62/729,933
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/733,599
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516268286
【氏名又は名称】エナジャイザー ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】サブロウスキー ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】シバートセン マーク
(72)【発明者】
【氏名】インホフ ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】プロフィト ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カルセブーム ジェイコブ
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0091753(US,A1)
【文献】特開2005-085556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117526(US,A1)
【文献】特開2007-294111(JP,A)
【文献】特開2008-262826(JP,A)
【文献】特表2012-523067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236370(US,A1)
【文献】特表2012-517658(JP,A)
【文献】特表2012-530337(JP,A)
【文献】国際公開第2015/077686(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/109
H01M 50/181-50/193
H01M 50/528-50/566
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンセル電池であって、
ケーシングを有し、前記ケーシングは、
内側ケーシングと、
前記内側ケーシングを少なくとも部分的に包囲した外側ケーシングとを有し、前記外側ケーシングと前記内側ケーシングは一緒になって、内容積部を画定し、
前記内容積部内に設けられたコアを有し、前記コアは、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた少なくとも1つのセパレーター層と、
第1の端部および第2の端部を備えた第1のタブとを有し、前記第1の端部は、前記第1の電極と前記第2の電極のうちの一方に取り付けられ、前記第2の端部は、前記外側ケーシングおよび前記内側ケーシングのうちの一方に取り付けられ、
前記内側ケーシングと前記外側ケーシングとの間に少なくとも部分的に設けられたグロメットを有し、前記グロメットは、開口部を有し、前記コアは、前記グロメットによって前記外側ケーシングおよび前記内側ケーシングのうちの一方から離隔され、前記タブは、前記開口部を貫通しており、
前記グロメットは、前記内側ケーシングおよび前記外側ケーシングを封止し、前記外側ケーシングから前記内側ケーシングを絶縁し、かつ、前記外側ケーシングから前記コアを絶縁するように構成されている、ボタンセル電池。
【請求項2】
前記開口部は、長方形スロットである、請求項1記載のボタンセル電池。
【請求項3】
前記第1のタブは、前記外側ケーシングおよび前記内側ケーシングのうちの一方に溶接されている、請求項1記載のボタンセル電池。
【請求項4】
前記開口部は、前記グロメットの底壁に設けられ、前記グロメットの前記底壁は、前記開口部とは異なり中実である、請求項1記載のボタンセル電池。
【請求項5】
前記グロメットは、前記グロメットの前記底壁の外周部に取り付けられた状態で該外周部に対して上方に延びる側壁をさらに有し、
前記グロメット底壁は、前記外側ケーシングの下面と前記内側ケーシングの上面との間に設けられ、前記グロメット側壁は、前記内側ケーシングの側壁の外面と前記外側ケーシングの側壁の内面との間に設けられている、請求項1記載のボタンセル電池。
【請求項6】
前記グロメットは、前記内側ケーシングと前記外側ケーシングとの間の隙間を封止するよう構成されている、請求項1記載のボタンセル電池。
【請求項7】
前記コアは、マンドレルをさらに有し、前記第1の電極、前記第2の電極、第1のセパレーター層および第2のセパレーター層は、スタックの状態に配置され、前記第1のセパレーター層および前記第2のセパレーター層は、前記第1の電極または前記第2の電極の互いに反対側の側部上に設けられ、前記スタックは、螺旋形態をなして前記マンドレルに巻き付けられている、請求項1記載のボタンセル電池。
【請求項8】
前記マンドレルの軸線に平行な前記マンドレルの高さは、前記マンドレルの前記軸線に平行な前記スタックの高さよりも大きい、請求項7記載のボタンセル電池。
【請求項9】
前記マンドレルの軸線に平行な前記第1のセパレーター層および前記第2のセパレーター層の各々の高さは、前記マンドレルの前記軸線に平行な前記第1の電極と前記第2の電極の両方の高さよりも大きい、請求項7記載のボタンセル電池。
【請求項10】
前記第1の電極は、前記スタックを前記マンドレルに巻き付ける前に前記マンドレルに溶接される、請求項7記載のボタンセル電池。
【請求項11】
前記第1の電極は、前記ボタンセル電池の負極であり、前記第2の電極は、前記ボタンセル電池の正極である、請求項10記載のボタンセル電池。
【請求項12】
前記第1の電極は、前記ボタンセル電池の正極であり、前記第2の電極は、前記ボタンセル電池の負極である、請求項10記載のボタンセル電池。
【請求項13】
ボタンセル電池を組み立てる方法であって、前記ボタンセル電池は、活性コア、上側空所を画定する内側ケーシング、下側空所を画定する外側ケーシング、および前記活性コアを前記外側ケーシングから離隔させるよう構成されたグロメットを有し、前記方法は、
前記活性コアを前記上側空所および前記下側空所のうちの一方中に挿入するステップを含み、前記活性コアは、スタックから成り、前記スタックは、第1の電極および第2の電極を含み、
前記グロメットに設けられた開口部に通してタブを挿入するステップを含み、前記タブの第1の端部は、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方に取り付けられ、
前記内側ケーシングを前記外側ケーシングに装着するステップを含み、前記グロメットは、前記内側ケーシングを前記外側ケーシングから離隔させ、
前記グロメットで前記内側ケーシングおよび前記外側ケーシングを封止するステップと、
前記グロメットで前記外側ケーシングから前記内側ケーシングを絶縁するステップと、
前記グロメットで前記外側ケーシングから前記コアを絶縁するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記開口部は、長方形スロットである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記外側ケーシングの上縁部を前記グロメットおよび前記内側ケーシング上に折り返すステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記スタックは、第1のセパレーター層および第2のセパレーター層をさらに有し、前記第1のセパレーター層および前記第2のセパレーター層は、前記第1の電極の互いに反対側の側部上に設けられ、前記方法は、
前記第1の電極をマンドレルに溶接するステップと、
前記スタックを螺旋形態で前記マンドレル上に巻き付けて前記活性コアを形成するステップとをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記マンドレルを前記内側ケーシングに溶接するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記マンドレルを前記外側ケーシングに溶接するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
ボタンセル電池であって、
ケーシングを有し、前記ケーシングは、
内側ケーシングと、
前記内側ケーシングを少なくとも部分的に包囲した外側ケーシングとを有し、前記外側ケーシングと前記内側ケーシングは一緒になって、内容積部を画定し、
前記内容積部内に設けられたコアを有し、
前記コアの一部分を前記内側ケーシングおよび前記外側ケーシングの一方に電気的に結合するよう構成された第1のタブを有し、
前記コアと前記外側ケーシングおよび前記内側ケーシングのうちの少なくとも一方との間で前記内容積部内に設けられたグロメットを有し、
前記グロメットは、前記内側ケーシングおよび前記外側ケーシングを封止するように構成されており、
前記グロメットは、前記外側ケーシングを前記内側ケーシングから電気的に絶縁するよう構成され、
前記グロメットは、前記コアを前記外側ケーシングおよび前記内側ケーシングのうちの一方から電気的に絶縁するよう構成され、
前記グロメットは、前記第1のタブの一部分を前記コアから電気的に絶縁するよう構成されている、ボタンセル電池。
【請求項20】
前記第1のタブは、前記グロメットに設けられた長方形スロットを貫通している、請求項19記載のボタンセル電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本発明)は、一般に、電池に関する。特に、本技術は、補聴器具に用いられる充電式電池に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2018年9月11日に出願された米国特許仮出願第62/729,933号および2018年9月19日に出願された米国特許仮出願第62/733,599号の権益および優先権主張出願であり、これら米国特許仮出願を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、活性コア、2部品ケーシング、およびグロメットまたは絶縁層を有する充電式補聴器用電池が提供される。ケーシングは、内側ケーシングおよび外側ケーシングを含み、これらケーシングは一緒になって、コアのためのハウジングを形成する。グロメットは、2つのケーシングを互いに電気的に絶縁するとともにコアを外側ケーシングから絶縁する。コアの第1の電極が内側ケーシングに電気的に接続され(例えば、内側ケーシングに溶接された中央マンドレルを介して)、他方、コアの第2の電極は、グロメットに設けられた開口部を貫通した導電性タブを用いて外側ケーシングに電気的に接続される。グロメットはまた、導電性タブをコアから絶縁する。
【0004】
上述の実施形態では、開口部は、グロメットの底壁に設けられた長方形スロットであるのが良い。上述の実施形態のうちの任意のものに関して、コアは、中央マンドレルに巻き付けられた活性材料の多数の層で作られるのが良い。
【0005】
別の実施形態は、充電式補聴器の電池の組立方法であり、この方法は、活性材料のスタックの第1の電極をマンドレルに溶接するステップ、スタックを螺旋形態でマンドレルに巻き付けてコアを形成するステップ、コアをハウジング中に挿入するステップ、導電性タブをグロメットの開口部に通して挿入するステップ、および内側ケーシングと外側ケーシングを互いに嵌めるステップを含む。この方法は、マンドレルを内側ケーシングに溶接するステップおよび導電性タブを外側ケーシングに溶接するステップをさらに含むのが良い。
【0006】
上記発明の概要は、例示に過ぎず、本発明をなんら限定することを意図していない。上述の例示の観点、実施形態、および特徴に加えて、別の観点、別の実施形態、および別の特徴は、以下の図面および詳細な説明を参照すると明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示の実施形態に係る充電式補聴器用電池の断面側面図である。
図2】例示の実施形態による巻回前の補聴器用電池のための複数の活性材料の側面図である。
図3】例示の実施形態による導電性タブを含む図2の活性材料の斜視図である。
図4】例示の実施形態による図1の充電式補聴器用電池の断面平面図である。
図5図1の充電式補聴器用電池のグロメットの断面底面図であり、例示の実施形態によるグロメットの底壁を貫通して設けられた開口部を示す図である。
図6】外側ケーシングが取り外された状態の図1の補聴器用電池の下から見た斜視図であり、グロメットの開口部を貫通した導電性タブを示す図である。
図7】例示の実施形態によるマンドレルの軸線を通る断面において図6を下から見た斜視図である。
図8】例示の実施形態による外側ケーシングを含む図6に示されている充電式補聴器用電池の側面図である。
図9】例示の実施形態に係る充電式補聴器用電池のグロメットの斜視図である。
図10】例示の実施形態に係る充電式補聴器用電池のためのハウジングおよびグロメットの断面底面図である。
図11】例示の実施形態による外側ケーシングが取り外された状態の補聴器用電池の下から見た斜視図である。
図12】例示の実施形態による電池の軸線を通る断面において図11を下から見た斜視図である。
図13】例示の実施形態による外側ケーシングが取り外された状態の補聴器用電池の下から見た斜視図である。
図14】例示の実施形態による電池の軸線を通る断面において図13を下から見た斜視図である。
図15】例示の実施形態による中空内側部分を含むテンションロッドマンドレルの断面側面図である。
図16】例示の実施形態による中実内側部分を含むテンションロッドマンドレルの断面側面図である。
図17】例示の実施形態による粘弾性を備えた内側部分を含むテンションロッドマンドレルの断面側面図である。
図18】例示の実施形態によるテンションロッドマンドレルを含む充電式補聴器用電池の断面斜視図である。
図19】例示の実施形態に係る充電式補聴器用電池のための導電性タブの平面図である。
図20】別の例示の実施形態に係る充電式補聴器用電池のための導電性タブの平面図である。
図21】例示の実施形態に係る多部品マンドレルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
種々の実施形態について以下に説明する。注目されるべきこととして、特定の実施形態では、排他的な説明としての意図はなく、または本明細書において説明する広い観点に対する限定としての意図はない。特定の実施形態と関連して説明する一観点は、必ずしも、その実施形態には限定されず、任意他の実施形態で実施できる。
【0009】
図全体として参照すると、本明細書において開示される種々の例示の実施形態では、特に極めて高い体積エネルギー密度を有する電源を必要とする種々の用途、種々のシステム、および種々の装置に利用できる充電式電池に関する。具体的には、充電式電池は、難聴の人のための補聴器に電力を供給するために利用される。電池は、電池のための活性材料を収容したハウジングを有する。ハウジングは、外側金属カップおよび内側金属カップを有する。これらコンポーネントは、電池内の短絡(ショート)を阻止するようある特定の領域において互いに絶縁されている(例えば、外側金属カップと内側金属カップの短絡を阻止するため、活性コアとハウジングとの短絡を阻止するため、および活性コアのある特定の部品とハウジングとの間に形成された電気的接続部を絶縁するため)。伝統的に、これらコンポーネントは、電池内の配置場所が製造プロセスを複雑にするとともにコストを増大させる絶縁材料の多数の片を用いて互いに離隔される。本発明の器具は、電気回路中の電流の流れを制御するために単一部品の成型ポリマーグロメットまたは絶縁体を利用する。成型ポリマーグロメットは、外側金属カップの内面に合わせて輪郭がつけられた単一部品絶縁体である。成型ポリマーグロメットは、ハウジングの封止、ハウジング部品の相互絶縁、およびハウジングからの活性材料の絶縁を含む多数の機能に役立つ。
【0010】
電池の活性コアは、リチウム‐イオン化学的性質のものであり、この活性コアは、第1の電極および第2の電極を含む活性材料相互間の界面面積を最大にするよう配置されている。活性コアの第1の電極は、中央マンドレルに電気的に結合されるのが良く、第1の電極、第2の電極、および所要の離隔層は、この中央マンドレルに巻き付けられている。マンドレルは、内側金属カップに結合されるのが良く、あるいは変形例として、外側金属カップに結合されても良い。種々の実施形態では、他形式の集電体(例えば、第1の電極とは別体のまたはその一部である導電性タブ)を用いて第1の電極を内側または外側金属カップに結合するのが良い。コアの第2の電極は、グロメットに設けられた小さい開口部を貫通する単一の導電性タブまたはマンドレルを用いて外側金属カップに電気的に接続されている。タブを含む実施形態では、タブは、外側金属カップとグロメットとの間にサンドイッチされ、それにより、タブは活性コアの他の部品から絶縁される。上記において提供された全体的説明の細部について図1図14を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、例示の実施形態に係る電池10として示された完全組立状態の電池を示している。幾つかの実施形態では、電池10は、補聴器具用の充電式電池であり、ただし、電池10は、高体積エネルギー密度を有する電源を必要とする小型器具に使用できる。図1の実施形態では、電池10は、ボタンセル(例えば、セルの外面から測定して1立方センチメートルまたはそれよりも小さい外部体積の円筒形セル)の形態に作られている。電池の高さ(例えば、電池の軸線12に沿う高さ)を電池10の直径(例えば、外径)で除算した値として特徴づけられる電池のアスペクト比は、1未満である。
【0012】
図1に示されているように、電池10は、ケーシング100を有し、ケーシング100は、下側カップ102として示された外側ケーシング、上側カップ104として示された内側ケーシング、および絶縁層200として示されたグロメットを有する。電池10は、活性コア300として示されたコアまたはコアを有し、活性コア300は、ケーシング100の内容積部106内に(例えば、下側カップ102と上側カップ104との間に)納められている。
【0013】
図示の実施形態では、電池10の活性コア300は、リチウム‐イオン化学的性質の活性材料を含む。具体的に説明すると、活性コア300は、第1の電極シート302および第2の電極シート304として示された2つの電極相互間の広い界面面積を提供するよう配置されている。別の実施形態では、活性コア300は、ボリュメトリックレート(volumetric rate )能力の向上を提供するよう広い界面面積を必要とする異なる再充電可能な化学的構造体である。活性コア300は、スタック306として示された互いに上下に積み重ねられた一連の薄い材料層として構成され、スタック306は、螺旋「ジェリーロール(jelly roll)」形態で中央マンドレル308に巻き付けられている。
【0014】
活性コア300の一実施形態が活性コア300のための製造プロセスにおける巻回ステップに先立って図2および図3に示されている。マンドレル308は、単一の導電性材料(例えば、ステンレス鋼など)片で作られている。他の実施形態では、マンドレル308は、下側または上側カップ102,104に対するマンドレル308の短絡を阻止するよう一端部に被着された絶縁被膜またはフィルムをさらに有するのが良い。図示の実施形態では、マンドレル308は、中実筒体の形態をしている。他の実施形態では、マンドレルは、これとは異なる形状に形成される。さらに別の実施形態では、マンドレル308は、単一の絶縁材料(例えば、ポリプロピレン)片で作られて、このマンドレルは、第1の電極シート302と上側カップ104との間に延びる第1の複数の薄い材料ストリップおよび第2の電極シート304と下側カップ102との間に延びる第2の複数の薄い材料ストリップと組み合わせて用いられる。さらに別の実施形態では、この向きを逆にしても良い。さらに別の実施形態では、マンドレルに代えて第1の電極シート302と上側カップ104との間に延びる薄い材料ストリップが用いられる。図2および図3の実施形態では、マンドレル308は、直径が約2mm~1.5mm(両端の値を含む)の中実筒体であり、ただし、変形例として、他の直径を使用することができる。利点のうちとりわけ、小径のマンドレル308は、マンドレル308へのスタック306のより多くの「ラップ(巻き数)」の実現を可能にする。図3に示されているように、マンドレル308の高さ309(すなわち、マンドレル308の中心軸線328に平行な方向に見たマンドレル308の長さ)は、マンドレル308に巻き付けられたスタック306の寸法311(例えば、中心軸線328に平行なスタック306の縁の寸法311)よりも大きい。理解されるように、幾つかの実施形態では、負極と正極の相対位置決めを逆にしても良く、この場合、悪影響は生じない。例えば、変形実施形態(図示せず)では、マンドレルは、下側カップに連結されても良く、タブは、上側カップに連結される。かくして、相対位置決めが変化するとカップの極性が変化するが、接続は、図に説明した接続と逆であるに過ぎない。
【0015】
図15図17は、充電式電池用の種々の変形実施形態としてのマンドレル700,800,900を示している。図15の実施形態では、マンドレル700は、中空の第1の(「外側の」)部分およびこの中に入っている中空の第2の(「内側の」)部分を含む導電性材料の2つの部品を含むテンションロッドマンドレルとして構成されている。第1の部分と第2の部分は一緒になって、空所(例えば、中空封入部)を形成している。空所は、組立体の僅かな幾何学的ばらつきに対応するようマンドレル700の長さ(例えば、マンドレル700の中心軸線に実質的に平行な方向に見たマンドレル700の長さ)に対してある程度の調節性を提供するためのばねを受け入れるよう構成されている。他の実施形態では、第1の部分は、導電性材料で作られ、第2の部分は、絶縁性材料で作られている。第1の部分は、第1の電極に電気的に接続されるのが良く、第2の部分は、下側カップに接触する。さらに別の実施形態では、第2の部分は、下側カップから電気的に絶縁された(例えば、絶縁材料、例えばカプトン(Kapton)テープなどによって絶縁された)導電性材料で作られるのが良い。さらに別の実施形態では、これら要素は、互いに異なるよう構成されても良い(例えば、逆にされても良いことなどである)。さらに別の実施形態では、図16および図17に示されているように、内側部分は、中実ロッドとして構成されるのが良い。さらに別の実施形態では、図17に示されているように、内側部分は、ばねのような挙動(外側部分と内側部分との間の別個のばねを用いるのとは対照的に)を提供するよう粘弾性特性を有する絶縁材料である。
【0016】
図2に示されているように、スタック306は、第1の電極シート302、第2の電極シート304、および第1のセパレーター層310および第2のセパレーター層312として示された少なくとも1つのセパレーター層を含む交互に位置する材料層を有する。図2および図3の実施形態では、第1の電極シート302は、電池10の負極であり(図1もまた参照されたい)、第2の電極シート304は、正極である。さらに別の実施形態では、この構成は逆である(例えば、第1の電極シート302は、電池10の正極であり、第2のシート304は、負極である)。セパレーター層310,312は、負極と正極の間の境界部であり、電池回路の電解質(例えば、リチウム塩または有機溶剤で作られている)は、セパレーター層310,312を湿潤させる。
【0017】
第1のセパレーター層310および第2のセパレーター層312は、電極シート302,304相互間に設けられた状態で電極シート302,304を互いに少なくとも部分的に絶縁する。図2の実施形態では、第1のセパレーター層310および第2のセパレーター層312は、第1の電極シート302の互いに反対側に設けられている。さらに別の実施形態では、第1のセパレーター層310および第2のセパレーター層312は、第2の電極シート304の互いに反対側に設けられる。
【0018】
中央マンドレル308に対するスタック306の巻き付けを容易にするため、第1の電極シート302は、実質的に長手方向314(例えば、巻回方向)に第1のセパレーター層310、第2のセパレーター層312、および第2の電極シート304の前縁を越えて延びている。スタック306の後縁(図示せず)のところでは、セパレーター層310,312の各々は、電極シート302,304よりも長いのが良い。例えば、第1のセパレーター層310および第2のセパレーター層312の各々は、セパレーター層310,312の各々の余分の一巻(1ラップ)または二巻(2ラップ)を提供するよう第1の電極シート302および第2の電極シート304の各々の後縁を越えて延びるのが良い(例えば、セパレーター層310,312の各々がそれ自体に巻き付くなどするように)。セパレーター層310,312の後縁は、スタック306がほどけるのを阻止するよう定位置でヒートステーキング(加熱接合)されるのが良い。幾つかの実施形態では、実質的に長手方向に見た正極(例えば、第2の電極シート304)の長さは、負極(例えば、第1の電極シート302)の長さよりも長い。他の実施形態では、実質的に長手方向に見た負極の長さは、正極の長さよりも長い。巻回方向とスタックの向きの両方は、電極302,304の長さに影響を及ぼすことに注目されたい。
【0019】
図3の実施形態では、横方向316(例えば、長手方向314に実質的に垂直な方向)に見たセパレーター層310,312の各々の幅は、横方向316に見た電極302,304の幅よりも大きい。幅のこの差は、第1の電極302と第2の電極304がいったん電池の中に組み込まれると互いに隔てられるのを保証する。
【0020】
他の実施形態では、活性コアは、異なる構成にされても良い。図21に示されている例示の実施形態では、活性コアは、多数の互いに異なる材料で作られた多部品マンドレル1200を有する。図21の実施形態では、マンドレル1200は、マンドレル1200の中心を切り開くセパレータ(例えば、絶縁材料片)を有する。電極302,304は、マンドレル1200の互いに反対側の部分に溶接され、その結果、これら電極は、これら互いに反対側の部分に電気的に結合されるようになっている。図21の実施形態では、マンドレル1200の一方の部分または両方の部分は、ケーシングの適当な部品(例えば、下側カップ102または上側カップ104)に接触し、あるいは違ったやり方で、ケーシングの適当な部品に電気的に結合するよう構成されているのが良い。
【0021】
図3の実施形態では、スタック306は、第1の端部320および第2の端部322を備えたタブ318として示されているタブを有する。タブ318は、導電性金属(例えば、チタン、アルミニウム、ニッケルなど)片で作られ、このタブは、第2の電極シート304を下側カップ102に電気的に接続するよう構成されている(図8もまた参照されたい)。図3に示されているように、タブ318の第1の端部は、第2の電極シート304に取り付けられた(例えば、ロウ付けされるなど)状態で横方向外方に延びており、その結果、この第1の端部は、電極302,304およびセパレーター層310,312の端部を越えてある距離にわたって突き出るようになっている。一実施形態では、タブ318は、長方形の形に作られた(例えば、プレス加工され、切断加工され、または違ったやり方で形成された)薄い材料片である。図3の実施形態では、タブ318の厚さは、セパレーター層310,312の厚さのオーダーのものである。さらに別の実施形態では、タブ318は、第2の電極304を上側カップ104に電気的に接続するよう構成されている。この実施形態では、タブ318は、長手方向314外方または横方向316(例えば半径方向)外方かのいずれかに差し向けられるのが良い。さらに別の実施形態では、タブ318は、第1の電極シート302を上側カップ104または下側カップ102に電気的に接続するよう構成されている。さらに別の実施形態では、図19および図20に示されているように、タブ1000,1100は、パドルの形状であるのが良く、その結果、丸形部分は、上側カップ104または下側カップ102に向かって横方向外方に延び、したがって、タブ1000,1100の丸形部分は、上側カップ104または下側カップ102と接触関係をなし、それによりタブ1000,1100と上側カップ104または下側カップ102との間に広い接触領域が得られるようになっている。さらに別の実施形態では、タブ1000,1100は、絶縁テープ、例えばカプトン(Kapton)テープを貼付することによって部分的に絶縁されるのが良い。
【0022】
図4に示されているように、スタック306は、螺旋形態でマンドレル308に巻き付けられている。活性コア300の組立方法は、第1の電極シート302をマンドレル308に電気的に接続する(例えば、溶接、ロウ付けなどによって)ステップを含む。図3に示されている例示の実施形態では、第1の電極シート302の前縁324をマンドレル308の中心軸線328に実質的に平行な基準線に沿ってマンドレル308の外面326に溶接する。次に、スタック306を螺旋形態でマンドレル308に巻き付ける。図3に示されているように、巻回プロセスは、マンドレル308を巻回方向330(例えば、反時計回りの方向)に回転させ、ついには、スタック306がマンドレル308に完全に巻き付けられるようにするステップを含む。利点のうちとりわけ、螺旋巻回形態は、スタック圧力(すなわち、層相互間の接触圧力)を増大させるとともに第1の電極シート302と第2の電極シート304との界面面積を増大させることができ、それにより活性コア300の最大体積エネルギー密度を増大させることができる。
【0023】
次に図1に戻ってこれを参照すると、活性コア300は、電池10のためのケーシング100内に完全に収納されている。ケーシング100は、下側カップ102および上側カップ104を含む2つの部品で作られている。図示の実施形態では、下側カップ102と上側カップ104の両方は、カップの形状にプレス加工されまたは違ったやり方で成形された単一の材料(例えば、ステンレス鋼)片で作られている。下側カップ102の内面は、下側空所112を画定し、上側カップ104の内面は、上側空所114を画定している。上側カップ104の外径は、下側カップ102の内径よりも小さく、その結果、上側カップ104を下側空所112中に挿入することができるようになっている。
【0024】
図1に示されているように、絶縁層200は、下側カップ102を上側カップ104から離隔させる単一の材料片である。機能のうちとりわけ、絶縁層200は、下側カップ102を上側カップ104から電気的に絶縁するとともにケーシング100の内部を外部環境から封止するよう構成されている。絶縁層200は、電気絶縁材料、例えばポリプロピレンまたは別の成型ポリマーで作られている。絶縁層200は、下側空所112内に実質的にはまり込むカップの形状に成形されまたは違ったやり方で形成されるのが良い。上側カップ104からの下側カップ102の絶縁に加えて、絶縁層200はまた、活性コア300を下側カップ102から離隔させるとともに電気的に絶縁する。図1に示されているように、絶縁層200は、下側カップ102の内面に接触しまたはほぼ接触するよう形成されている。絶縁層200の底壁202は、下側カップ102の下側内面108の近くに設けられ、絶縁層200の側壁204は、下側カップ102の内側側壁110の近くに設けられている。利点のうちとりわけ、絶縁層200の単一部品設計および下側カップ102に対する絶縁層200の配置は、絶縁層200のための成型プロセスを単純化する。
【0025】
図5は、例示の実施形態に係る絶縁層200の底面図である。絶縁層200は、絶縁層200の底壁202に設けられたスロット206として示されている開口部を有する。スロット206は、タブ318の第2の端部322を受け入れるよう構成され、この第2の端部は、スロット206を貫通して下側カップ102に電気的に接続されている。スロット206は、タブ318を下側カップ102に連結する仕組みを提供する一方で、タブ318の第2の端部322が活性コア300の他の部品から電気的に絶縁される(絶縁層200によって)ようにする。例示の実施形態では、底壁202は、スロット206とは異なり中実である。スロット206は、電池10の軸線12の近くの底壁202の中心位置に隣接して配設されている。底壁202へのスロット206の配設場所(例えば、スロット206の回転位置、スロット206と電池10の軸線12との間の距離など)は、活性コア300の構成に応じて異なっていても良い。図5の実施形態では、スロット206は、長方形のスロットである。他の実施形態では、スロット206は、円形であっても良くまたは任意他の適当な形状であっても良い。図6に示されているように、スロット206は、タブ318の第2の端部322を受け入れるよう寸法決めされている。具体的に説明すると、スロット206の高さは、タブ318の第2の端部の厚さよりも大きく、スロット206の幅は、タブ318の第2の端部322の幅よりも大きい。さらに別の実施形態では、図18の充電式補聴器用電池20について示されているように、スロットは、活性コア300が下側カップ102から電気的に絶縁されるようにしながら、マンドレル308を下側カップ102に連結するための仕組みを提供するようマンドレルの端部を受け入れるよう形作られた形状(例えば、円形の開口部など)であるのが良い。さらに別の実施形態では、スロットは、異なる形状のものであっても良い。
【0026】
電池10の組立方法は、活性コア300を上側空所114および下側空所112のうちの一方中に挿入してマンドレル308の中心軸線328が電池10の軸線12と整列するようにするステップをさらに含む。図1の実施形態では、マンドレル308を上側カップ104に電気的に接続する(例えば、溶接、ロウ付けなどによって)。マンドレル308とスタック306との高さの差の結果として、上側カップ104に接触するのはマンドレル108だけである。組立方法は、タブ318の第2の端部322(図8参照)を絶縁層200のスロット206に通して挿入するステップをさらに含む。タブ318の第2の端部322を下側カップ102の下側内面108に電気的に接続する(例えば、溶接する、ロウ付けするなど)。理解されるように、幾つかの実施形態では、負極と正極の相対的位置決めを逆にしても良い。例えば、変形実施形態(図示せず)では、マンドレルを下側カップに接続しても良く、この場合、タブを上側カップに接続する。かくして、相対的位置決めが変化するとともにカップの極性が変化することになるが、接続は、図に示された接続と逆であるに過ぎない。
【0027】
さらに別の実施形態では、図18に示されているように、組立方法は、マンドレルの端部を絶縁層のスロットに通して挿入するステップをさらに含む。図18に示されているように、マンドレルを下側カップ102に電気的に接続する(例えば、溶接、ロウ付けなどによって)。マンドレルとスタックとの高さの差の結果として、下側カップ102に接触するのはマンドレルだけである。図18の実施形態では、タブ318の第2の端部322を上側カップ104の頂壁122に電気的に接続する(例えば、溶接する、ロウ付けするなど)。さらに別の実施形態では、上側カップ104は、タブ318の第2の端部322を受け入れて溶接するスロットを有するのが良く、その結果、ケーシングが封止されるとともにタブ318の第2の端部322が上側カップ104に電気的に接続されるようになる。さらに別の実施形態では、組立では、絶縁体(例えば、カプトン(Kapton))が上側カップ104の頂壁122に接触しないようこの絶縁体を活性コアに(例えば、活性コアの上方に)付着させるのが良い。
【0028】
図7および図8に示された例示の実施形態によれば、タブ318の第2の端部322を絶縁層200の底壁202上に折り返し、この底壁のところで、第2の端部は、底壁202を出る。いったん組み立てられると、タブ318は、底壁202と下側カップ102の下側内面108(図8参照)の間にサンドイッチされる。この形態では、絶縁層200は、絶縁層200と下側カップ102との間にサンドイッチされたタブ318の部分を、下側カップ102を除き、すべてのコンポーネントから電気的に絶縁する。
【0029】
図1に示されているように、組立方法は、上側カップ104を下側カップ102にはめ込んで下側カップ102が上側カップ104を少なくとも部分的に包囲するようにするステップをさらに含む。図1の実施形態では、上側カップ104の下縁116が絶縁層200の底壁202に接触する。次に、上側カップ104を下側カップ102中にはめ込んで上側カップ104が下側空所112内に少なくとも部分的に収納されるようにする図1に示されているように、下側カップ102の壁と上側カップ104の壁は、絶縁層200によって隔てられている。いったん組み立てられると、絶縁層200はまた、下側カップ102の内側の側壁110および下側内面108を活性コア300から隔てる。
【0030】
上述の図1図8の実施形態で説明したように、単一部品絶縁層200は、i)活性コア300を下側カップ102から電気的に絶縁する機能、ii)タブ318の第2の端部322を活性コア300から電気的に絶縁する機能、iii)下側カップ102を上側カップ104から出来的に絶縁する機能、およびiv)下側カップ102と上側カップp104との隙間を封止する機能を含む少なくとも4つの機能を果たす。活性コア300は、ケーシング100の内容積部106内に位置し、この内容積部は、第1の部分については上側カップ104の上側空所114によって、第2の部分については絶縁層200の底壁202によって画定される。
【0031】
図1に示されているように、上側カップ104および活性コア300は、下側カップ102の上縁120を上側カップ104の頂壁122上に折り返しまたは圧着することによって下側カップ102に対して定位置に固定される。
【0032】
図9図14は、補聴器用電池14,18の例示の実施形態を示しており、これら補聴器用電池は各々、円形スロット506を有する単一部品絶縁層500を有する。図9および図10に示されているように、円形スロット506は、絶縁層500の底壁502の中央を貫通して設けられ、その結果、スロット506は、電池14と同軸関係を成している。図1図8の実施形態の場合と同様、絶縁層500は、単一材料片で作られ、この絶縁層は、活性コアおよびケーシングの種々のコンポーネントを互いに電気的に隔離する(例えば、絶縁する)のに役立つ。絶縁層500はまた、ケーシングの内容積部(例えば、この中には、活性コア300,600が設けられている)を周囲環境から封止する。
【0033】
図11図14に示されているように、各電池14,18は、絶縁層500によって下側カップ102(図示せず)から電気的に絶縁された活性コア300,600を有する。絶縁層500はまた、下側カップ102を上側カップ104から電気的に絶縁するのに役立つ。図11および図12の実施形態では、活性コア300は、図1の実施形態において利用された活性コア300と同一である。他の実施形態では、活性コアは、異なる構成のものである。他の例示の実施形態では、タブ618は、第1の電極シート302をマンドレル308ではなく上側カップ104に電気的に絶縁するよう構成され、他方、マンドレル308は、第2の電極シート304を下側カップ102に電気的に結合するよう構成されている。さらに別の実施形態では、例えば、図13および図14の実施形態では、電池18の活性コア600は、第1のタブ618および第2のタブ632を有し、第2のタブ632は、マンドレルの代わりである。第2のタブ632は、第1の電極シート302を上側カップ104に電気的に結合するよう構成された導電性材料(例えば、ニッケル、銅など)の薄くて細長いストリップである。第2のタブ632は、第2のタブ632の第1の端部が絶縁層500の近くの場所で第1の電極シート302に接触するよう形成されている(例えば、曲げられている、プレス加工されている、または違ったやり方で形成されている)。第2のタブ632は、活性コア600と上側カップ104との間の隙間124を貫通して、第2のタブ632が上側カップ104と出会う場所の近くで折り返されている。第2のタブ632は、側方に(すなわち、電池18の中心軸戦16から遠ざかる方向に向いた方向に)上側カップ104の内面に沿って第2のタブ632の第2の端部に向かってある距離にわたって延び、この第2の端部は、上側カップ104に電気的に結合されている(例えば、溶接されている、ロウ付けされているなど)。
【0034】
図1図8の実施形態と同様、図11および図12の電池14と図13および図14の電池18は両方とも、第2の電極シート304を下側カップ102に電気的に結合するよう構成された第1のタブ618と示されているタブを有する。図11図14に示されているように、第1のタブ618は、導電性材料(例えば、チタンなど)の薄くて細長いストリップの形態をしている。図12および図14に示されているように、第1のタブ618の第1の端部は、第2の電極シート304に取り付けられている(例えば、電気的に結合されている)。第1のタブ618は、円形スロット506の周囲の近くの場所で円形スロット506を貫通している。第1のタブ618は、スロット506の周囲のところで折り返された状態で絶縁層500の底壁502に沿ってある距離にわたって延びている。図1の実施形態の場合と同様、図11図14の電池14,18で用いられた絶縁層500は、第1のタブ618を活性コア300,600から電気的に絶縁している。
【0035】
図1図8および図11図14に示されているように、負極(例えば、第1の電極シート302)は、マンドレル308,608に電気的に結合され(例えば、溶接などされ)、マンドレルは、上側カップ104に電気的に結合されている。正極(例えば、第2の電極シート304)は、第1のタブ318,618に電気的に結合され、第1のタブは、下側カップ102に電気的に結合されている。変形実施形態では、この形態を改造することができる。例えば、正極(例えば、第2の電極シート304)をマンドレル308,608に電気的に結合しても良く、マンドレルを第1のタブ318,618経由で下側カップ102に電気的に接続しても良い。負極(例えば、第1の電極シート302)を別個の集電タブに電気的に結合しても良く、集電タブを上側カップ104に電気的に結合しても良い。この変形実施形態では、第1の電極シート302および第2の電極シート304の各々の相対長さ(例えば、実質的に長手方向314に見た長さ、巻回方向に見た長さなど)を本明細書において説明した他の実施形態に関しては逆にする必要のある場合がある。加うるに、恐らくは、マンドレル308と上側カップ104との(または変形例として、マンドレル308と下側カップ102との)電気的結合は、マンドレル308と上側カップ104との(または変形例として、マンドレル308と下側カップ102との)圧力接触、または第1のタブ318と上側カップ104との圧力接触(または変形例として、第1のタブ318と下側カップ102との圧力接触)によって達成できる。中実コアマンドレルに代えてテンションロッドマンドレル(図15図17に示されている)を含む実施形態では、マンドレルのばねまたは粘弾性特性は、なんらかの僅かの寸法変化があるにもかかわらず適切な電気的結合を達成するのに適した接触圧力を保証する。
【0036】
本明細書において用いられる「約」および「ほぼ」は、当業者には理解されるとともにこれらが用いられる文脈に応じてある程度ばらつきがある。当業者には明らかでないこれらの用語が使用されている場合、これが用いられる文脈が所与の場合、「約」および「ほぼ」は、特定の用語の最大±10%までであることを意味する。
【0037】
原文明細書で用いられる“a”、“an”、および“the”ならびに要素を説明する文脈(特に、以下の原文特許請求の文脈)における同様な単語は、本明細書において別段の指定がなければまたは文脈上明らかな矛盾がなければ、単数形と複数形の両方を含むものと解されるべきである。本明細書において値の範囲が記載されている場合、かかる値の範囲の記載は、本明細書において別段の指定がなければ、その範囲内に含まれる別々の各値を個別的に参照する手っ取り早い方法として役立つことが意図されているに過ぎず、別々の各値は、これが本明細書において個別的に記載されているがごとく本明細書中に組み込まれる。本明細書で説明した全ての方法は、本明細書において別段の指定がなければまたは文脈上明らかな矛盾がなければ、任意適当な順序で実施することができる。本明細書において提供されている任意の実施例および全ての実施例、あるいは例示の言葉(例えば、「例えば」)の使用は、実施形態を良好に説明することが意図されており、別段の指定がなければ特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に対して限定をもたらすものではない。明細書中、任意のクレーム請求されていない要素を必須要件として示すものとみなされる用語は存在しない。
【0038】
ある特定の実施形態を図示するとともに説明したが、理解されるべきこととして、変更および改造が特許請求の範囲に記載された広い観点において本技術から逸脱しないで、当業者に従ってこれら実施形態に対して実施することができる。
【0039】
本明細書において例示的に説明した実施形態は、本明細書において具体的には開示されていない任意の要素または諸要素、特徴または諸特徴がなくても適切に実施することができる。かくして、例えば、原文明細書において用いられている“comprising”(訳文では、「~を有する」としている場合が多い)、“including”(訳文では、「~を備える」としている場合が多い)、“containing”(訳文では、「~を含む」としている場合が多い)などは、本発明を限定しないで広義に読まれるべきである。加うるに、本明細書で採用されている用語および表現は、説明の用語として用いられており、本発明を限定するものとしては用いられておらず、かかる用語および表現の使用にあたって、図示するとともに説明された特徴または特徴の部分の任意の均等例を排除する意図はなく、種々の改造がクレーム請求されている技術の範囲内で可能である。加うるに、“consisting essentially of”(訳文では、「本質的に~から成る」としている場合が多い)という語句は、具体的に記載された要素およびクレーム請求された技術の基本的なかつ新規な特徴に重要な影響を及ぼすものではない追加の要素を含むものと理解される。“consisting of ”(訳文では、「~から成る」としている場合が多い)という語句は、指定されていない任意の要素を含まない。
【0040】
本開示内容は、本明細書において説明した特定の実施形態の観点から限定されるべきではない。当業者に明らかなように、本開示内容の精神および範囲から逸脱することなく、多くの改造および変形を実施することができる。本開示内容の範囲内に含まれる機能的に均等な方法および構成は、本明細書に列挙された方法および構成に加えて、上記説明から当業者には明らかであろう。かかる改造例および変形例は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内に含まれる。本開示内容は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明により、かかる特許請求の範囲の全均等範囲とともに、限定されるべきではない。理解されるべきこととして、本開示内容は、特定の方法、特定の試薬、特定の化合物、特定の組成または生態系には限定されず、これらは、当然のことながら、様々であって良い。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態についてのみ説明することを目的としており、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0041】
加うるに、本開示内容の特徴または観点がマーカッシュ形式で記載されている場合、当業者であれば認識されるように、本開示内容はまた、マーカッシュ形式の任意の個々の部材または部材のサブグループの観点でかかる形式によって記載される。
【0042】
当業者によって理解されるように、任意の目的および全ての目的に関し、特に、書面を提供する観点において、本明細書に開示された全ての範囲はまた、任意のかつ考えられる全ての部分的範囲ならびにこれらの部分的範囲の組み合わせを含む。任意の列挙された範囲は、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分けられる同一の範囲を十分に記載するとともに使用可能にするものとして容易に認識できる。非限定的な実施例として、本明細書において記載した各範囲は、3分の1の下側、3分の1の中間、3分の1の上側などに容易に分割できる。また、当業者には理解されるように、例えば、「最高~まで」、「少なくとも」、「~よりも大きい」、「~よりも小さい」などの全ての用語は、記載された数を含むとともに上述したように後で部分的範囲に分割できる範囲を意味している。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、個々の各要素を含む。
【0043】
以下の特許請求の範囲には他の実施形態が記載されている。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図11
図12
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