IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゲンマブ エー/エスの特許一覧 ▶ エムエスディー インターナショナル ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7460608抗PD-1抗体と抗組織因子抗体-薬物コンジュゲートとの組み合わせを用いるがんの治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】抗PD-1抗体と抗組織因子抗体-薬物コンジュゲートとの組み合わせを用いるがんの治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20240326BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240326BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240326BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 L
A61K38/07
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P43/00 121
C12N15/13
C07K16/28
【請求項の数】 76
(21)【出願番号】P 2021513366
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019031166
(87)【国際公開番号】W WO2019217455
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】62/668,088
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/753,725
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(73)【特許権者】
【識別番号】520434824
【氏名又は名称】エムエスディー インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ラングワラ レシュマ アブドゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ エスター シー.ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】バープローゲン サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アビドイ オイウェイル オー.
(72)【発明者】
【氏名】ニカシオ レオナルド ヴィアナ
(72)【発明者】
【氏名】カオ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ガーダイ シャイラ
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532148(JP,A)
【文献】国際公開第2015/088847(WO,A1)
【文献】特表2021-523158(JP,A)
【文献】Annals of oncology,Vol.30 Suppl.5,2019年,p.v433-v434
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 39/00-39/44
A61K 47/00-39/69
A61P 35/00
A61P 43/00
C12N 15/00-15/90
C07K 16/00-16/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗PD-1(Programmed Death-1)抗体またはその抗原結合フラグメントと、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートとを組み合わせてなる、対象におけるがんを治療するための医薬であって、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含
医薬
【請求項2】
Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗PD-1(Programmed Death-1)抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用するための、対象におけるがんを治療するための医薬であって、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む、
医薬。
【請求項3】
組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを含み、Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗PD-1(Programmed Death-1)抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて使用するための、対象におけるがんを治療するための医薬であって、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む、
医薬。
【請求項4】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬
【請求項5】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項4に記載の医薬
【請求項6】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項4に記載の医薬
【請求項7】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬
【請求項8】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項7に記載の医薬
【請求項9】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬
【請求項10】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約200mgの固定用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬
【請求項11】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約400mgの固定用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬
【請求項12】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、または約6週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬
【請求項13】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約3週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項12に記載の医薬
【請求項14】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約6週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項12に記載の医薬
【請求項15】
前記がんが乳癌である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬
【請求項16】
前記乳癌がER+/HER2-乳癌またはトリプルネガティブ乳癌である、請求項15に記載の医薬
【請求項17】
前記がんが子宮頸癌である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬
【請求項18】
前記対象が根治療法の候補ではない、請求項17に記載の医薬
【請求項19】
前記根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、請求項18に記載の医薬
【請求項20】
前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、請求項19に記載の医薬
【請求項21】
前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、請求項1720のいずれか一項に記載の医薬
【請求項22】
前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、請求項1721のいずれか一項に記載の医薬
【請求項23】
前記進行期の子宮頸癌がステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、請求項22に記載の医薬
【請求項24】
前記進行期の子宮頸癌が転移性の子宮頸癌である、請求項22または23に記載の医薬
【請求項25】
前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、請求項1724のいずれか一項に記載の医薬
【請求項26】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬
【請求項27】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬
【請求項28】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の医薬
【請求項29】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、請求項1~28のいずれか一項に記載の医薬
【請求項30】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬
【請求項31】
前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、請求項30に記載の医薬
【請求項32】
前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、請求項31に記載の医薬
【請求項33】
前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合している、請求項3032のいずれか一項に記載の医薬
【請求項34】
前記リンカーがMMAEに結合しており、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、請求項33に記載の医薬
【請求項35】
前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、請求項34に記載の医薬
【請求項36】
前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、請求項1~35のいずれか一項に記載の医薬
【請求項37】
前記抗体-薬物コンジュゲート静脈内投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬
【請求項38】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬
【請求項39】
前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬
【請求項40】
前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬
【請求項41】
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬
【請求項42】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント静脈内または皮下投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬
【請求項43】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント静脈内投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬
【請求項44】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント皮下投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬
【請求項45】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬
【請求項46】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが同時に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬
【請求項47】
前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、請求項1~46のいずれか一項に記載の医薬
【請求項48】
前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-L1を発現する、請求項1~47のいずれか一項に記載の医薬
【請求項49】
前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(TPS≧1)を有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の医薬
【請求項50】
前記対象がPD-L1発現の高い腫瘍(TPS≧50)を有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の医薬
【請求項51】
前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(CPS≧1)を有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の医薬
【請求項52】
前記がんに由来する腫瘍が、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の医薬
【請求項53】
前記対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-1を発現する、請求項1~52のいずれか一項に記載の医薬
【請求項54】
前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される、請求項1~53のいずれか一項に記載の医薬
【請求項55】
前記1つまたは複数の治療効果が、前記がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、請求項54に記載の医薬
【請求項56】
前記がんに由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前の該がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、請求項1~55のいずれか一項に記載の医薬
【請求項57】
客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、請求項1~56のいずれか一項に記載の医薬
【請求項58】
前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、請求項1~57のいずれか一項に記載の医薬
【請求項59】
前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、請求項1~58のいずれか一項に記載の医薬
【請求項60】
前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、請求項1~59のいずれか一項に記載の医薬
【請求項61】
前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の医薬
【請求項62】
前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、請求項1~61のいずれか一項に記載の医薬
【請求項63】
前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である、請求項61または62に記載の医薬
【請求項64】
前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、請求項6163のいずれか一項に記載の医薬
【請求項65】
前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、請求項6163のいずれか一項に記載の医薬
【請求項66】
前記1つまたは複数の有害事象が、結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である、請求項61または62に記載の医薬
【請求項67】
前記対象がヒトである、請求項1~66のいずれか一項に記載の医薬
【請求項68】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、請求項1~67のいずれか一項に記載の医薬
【請求項69】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、請求項1~68のいずれか一項に記載の医薬
【請求項70】
以下を含むキット:
(a)約50mg~約500mgの範囲の用量の、Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
(b)約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量の、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートであって、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む、抗体-薬物コンジュゲート;ならびに
(c)請求項1~69のいずれか一項に定義される該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと該抗体-薬物コンジュゲートを使用するための説明書。
【請求項71】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントがペムブロリズマブである、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
ペムブロリズマブの用量が200mgである、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
ペムブロリズマブの用量が400mgである、請求項71に記載のキット。
【請求項74】
前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、請求項7073のいずれか一項に記載のキット。
【請求項75】
チソツマブベドチンの用量が1.3mg/kgである、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
チソツマブベドチンの用量が2.0mg/kgである、請求項74に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年5月7日に出願された米国仮特許出願第62/668,088号および2018年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/753,725号の優先権を主張するものであり、それぞれの内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
次のASCIIテキストファイルでの提出の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:コンピュータ可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:761682000440SEQLIST.TXT,記録日:2019年5月7日,サイズ:17KB)。
【0003】
技術分野
本発明は、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)の相補性決定領域(CDR)を含む抗PD-1抗体と抗組織因子(抗TF)抗体-薬物コンジュゲートとの組み合わせを用いて、乳癌、子宮頸癌などのがんを治療する方法に関する;ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされた、チソツマブ(tisotumab)のCDRを含む抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【背景技術】
【0004】
背景
組織因子(TF)は、トロンボプラスチン、第III因子またはCD142とも呼ばれており、酵素前駆体(zymogen)プロトロンビンからのトロンビン形成を開始させるのに必要な、内皮下組織、血小板、および白血球に存在するタンパク質である。トロンビンの形成は、最終的に血液の凝固につながる。TFは、細胞が血液凝固カスケードを開始できるようにし、セリンプロテアーゼである凝固第VII因子(FVII)の高親和性受容体として機能する。生じる複合体は、特定のタンパク質限定分解による凝固プロテアーゼカスケードの開始に関与する触媒作用を提供する。非機能的な前駆体として循環するこれらのプロテアーゼカスケードの他の補因子とは異なり、TFは細胞表面に発現されたときに完全に機能する強力な開始因子である。
【0005】
TFはセリンプロテアーゼ第VIIa因子(FVIIa)の細胞表面受容体である。FVIIaのTFへの結合は、細胞内でシグナル伝達プロセスを開始し、前記シグナル伝達機能は血管新生(angiogenesis)における役割を担っている。血管新生は、成長および発達、ならびに創傷治癒における正常なプロセスであるが、腫瘍が休眠状態から悪性状態に移行する際の基本的な段階でもある。がん細胞が血管新生に関与するタンパク質(すなわち、血管新生増殖因子)を産生する能力を獲得すると、これらのタンパク質は腫瘍によって近くの組織に放出され、それによって、既存の健康な血管から発生して腫瘍の方へ、そして腫瘍の中に入り込むように新しい血管を刺激する。ひとたび新しい血管が腫瘍に入ると、腫瘍は急速にそのサイズを拡大して、局所組織および器官に侵入することができる。新しい血管を介して、がん細胞はさらに循環系へと逃げ込み、かつ他の器官にとどまって新しい腫瘍を形成することがあり、これは転移としても知られている。
【0006】
TFの発現は、子宮頸癌を含む多くの種類のがんで観察されており、より侵攻性の高い疾患と関連している。さらに、ヒトTFは、可溶性の選択的スプライシング型asHTFとしても存在する。asHTFは腫瘍成長を促進することが最近わかった(Hobbs et al., 2007, Thrombosis Res. 120(2):S13-S21(非特許文献1))。
【0007】
ヒトのがんは、免疫システムによって認識される可能性のある新生抗原(neoantigen)を生成して、多くの遺伝的およびエピジェネティックな変化を保持している(Sjoblom et al., 2006, Science 314:268-74(非特許文献2))。Tリンパ球とBリンパ球で構成される適応免疫システムは、強力な抗がん可能性があり、多様な腫瘍抗原に応答する幅広い能力と絶妙な特異性を備えている。さらに、免疫システムはかなりの可塑性とメモリー要素を持っている。このような適応免疫システムの特性を全てうまく利用することで、免疫療法はあらゆるがん治療法の中でもユニークなものになるだろう。最近まで、がん免疫療法は、活性化されたエフェクター細胞の養子移入、関連抗原に対する免疫化、またはサイトカインなどの非特異的免疫刺激剤の提供によって、抗腫瘍免疫応答を増強するアプローチに多大の努力を注いできた。しかし、過去10年間で、特異的な免疫チェックポイント経路阻害剤を開発するための集中的な取り組みにより、がんを治療するための新しい免疫療法アプローチが提供され始めており、そうしたアプローチには、例えば、進行性メラノーマ患者の治療のための、CTLA-4に結合してそれを阻害する抗体、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))の開発(Hodi et al., 2010, N Engl J Med 363:711-23(非特許文献3))、およびProgrammed Death-1(PD-1)受容体に特異的に結合して抑制性PD-1/PD-1リガンド経路を遮断する、抗体ペムブロリズマブ(旧名:ランブロリズマブ; USAN評議会による指定, 2013)の開発が含まれる(Hamid and Carvajal, Expert Opin Biol Ther 13(6):847-61 (2013)(非特許文献4); およびMcDermott and Atkins, Cancer Med 2(5):662-73 (2013)(非特許文献5)を参照のこと。
【0008】
乳癌は、女性の間で群を抜いてよく見られるがんである。毎年、米国および世界中では、それぞれ18万人以上および100万人以上の女性が乳癌と診断されている。乳癌は、50~55歳の女性の主な死亡原因であり、西半球の女性における最も一般的な予防不可能な悪性腫瘍である。現在、米国では推定2,167,000人の女性がこの病気をかかえて生活している(National Cancer Institute, Surveillance Epidemiology and End Results (NCI SEER) program, Cancer Statistics Review (CSR), www-seer.ims.nci.nih.gov/Publications/CSR1973 (1998)(非特許文献6))。1995年から1997年までのがん罹患率に基づいて、米国国立がん研究所(NCI)の報告によると、米国の女性の約8人に1人(約12.8%)は生涯を通じて乳癌を発症すると推定されている(NCI's Surveillance, Epidemiology, and End Results Program (SEER)出版物SEER Cancer Statistic's Review 1973-1997(非特許文献7))。乳癌は、米国の女性の間で、皮膚癌に次いで2番目に多いがんの形態である。2001年に米国では、推定250,100件の新しい乳癌症例が診断されると予想される。これらのうち、より進行した(浸潤性)乳癌の新規症例は女性の間に192,200件発生すると予想され(昨年より5%増加)、早期(非浸潤性)乳癌の新規症例は女性に46,400件発生すると予想され(昨年から9%増加)、男性には約1,500件の新しい乳癌症例が診断されると予想される(Cancer Facts & FIGS. 2001 American Cancer Society(非特許文献8))。2001年には、乳癌で推定40,600人(女性40,300人、男性400人)が死亡すると予想される。乳癌は、女性のがんによる死亡原因の中で肺癌に次いで第2位である。乳癌と診断された女性の86%近くは5年後も生存している可能性が高いものの、そのうちの24%は10年後に乳癌が原因で死亡し、20年後には半数近く(47%)が乳癌で死亡するであろう。
【0009】
全ての女性は乳癌のリスクがある。乳癌の70%以上は、年齢以外に特定できるリスク因子がない女性に発生している(U.S. General Accounting Office. Breast Cancer, 1971-1991: Prevention, Treatment and Research. GAO/PEMD-92-12; 1991(非特許文献9))。乳癌の家族歴に関連しているのは、乳癌の5~10%にすぎない(Henderson I C, Breast Cancer. In: Murphy G P, Lawrence W L, Lenhard R E (編). Clinical Oncology. Atlanta, Ga.: American Cancer Society; 1995:198-219(非特許文献10))。
【0010】
子宮頸癌は世界中で重大な医学的問題となっており、年間50万件を超える新規症例が発生し、25万人が死亡すると推定されている。Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743(非特許文献11)を参照のこと。欧州連合では、毎年約34,000件の子宮頸癌の新規症例と13,000人の死亡が発生している。Hillemanns et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:501-506(非特許文献12)を参照のこと。子宮頸癌の主なタイプは扁平上皮癌と腺癌である。ヒトパピローマウイルス(HPV)16型および18型による長期にわたる感染が、子宮頸癌のほとんどの症例の原因である。子宮頸癌のファーストライン療法の標準は、プラチナベース療法+タキサンベースの療法であった。抗VEGF抗体であるベバシズマブは、米国食品医薬品局によって子宮頸癌の化学療法との併用が承認され、臨床試験で全生存期間を改善させてきた。進行した子宮頸癌のファーストライン(1L)治療は、パクリタキセル+プラチナ製剤(例:シスプラチンまたはカルボプラチン)またはパクリタキセル+トポテカンと組み合わせたベバシズマブで構成される。48%の客観的奏効率(ORR)と約18ヶ月の全生存期間(OS)中央値にもかかわらず、残念ながら、この1L治療の後でほぼ全ての患者が再発している。Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743(非特許文献11)を参照のこと。セカンドライン(2L)治療については、承認された治療法がなく、患者は、ペメトレキセド、トポテカン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、場合によってはベバシズマブを含むがこれらに限定されない単剤療法で治療されることが多い。単剤療法のメタ分析からは、わずか10.9%(すなわち、552人の患者のうち60人の奏効者)のささやかな奏効率と約7ヶ月の全生存期間(OS)中央値が示されている。例えば、以下の文献を参照のこと:Burotto et al., 2015, Oncologist 20:725-726(非特許文献13); Candelaria et al., 2009, Int. J. Gynecol. Cancer. 19:1632-1637(非特許文献14); Coronel et al., 2009, Med. Oncol. 26:210-214(非特許文献15); Fiorica et al., 2009, Gynecol. Oncol. 115:285-289(非特許文献16); Garcia et. al., 2007, Am. J. Clin. Oncol. 30-428-431(非特許文献17); Goncalves et al., 2008, Gynecol. Oncol. 108:42-46(非特許文献18); Homesley et al., 2008, Int. J. Clin. Oncol. 13:62-65(非特許文献19); McLachlan et al., 2017, Clin. Oncol. (R. Coll. Radiol.) 29:153-160(非特許文献20); Miller et al., 2008, Gynecol. Oncol. 110:65-70(非特許文献21); Monk et al., 2009, J. Clin. Oncol. 27:1069-1074(非特許文献22); Muggia et al., 2004, Gynecol. Oncol. 92:639-643(非特許文献23);Rose et al., 2006, Gynecol. Oncol. 102:210-213(非特許文献24); Santin et al., 2011, Gynecol. Oncol. 122:495-500(非特許文献25); Schilder et al., 2005, Gynecol. Oncol. 96:103-107(非特許文献26); およびTorfs et al., 2012, Eur. J. Cancer. 48:1332-1340(非特許文献27)。ステージIVの子宮頸癌の5年相対生存率はわずか15%であり、子宮頸癌の改善された治療法の必要性が高いことを示している。
【0011】
免疫応答を調節する複数の非冗長分子経路の標的療法は、抗腫瘍免疫療法を高めることができる。しかし、全ての組み合わせが許容される安全性および/または有効性を備えているわけではない。がんの治療、特に乳癌および子宮頸癌の治療のための、許容される安全性プロファイルと高い効力を備えた併用療法が依然として必要とされている。
【0012】
特許出願、特許公開公報、および科学文献を含めて、本明細書で引用される全ての参考文献は、個々の参考文献が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Hobbs et al., 2007, Thrombosis Res. 120(2):S13-S21
【文献】Sjoblom et al., 2006, Science 314:268-74
【文献】Hodi et al., 2010, N Engl J Med 363:711-23
【文献】Hamid and Carvajal, Expert Opin Biol Ther 13(6):847-61 (2013)
【文献】McDermott and Atkins, Cancer Med 2(5):662-73 (2013)
【文献】National Cancer Institute, Surveillance Epidemiology and End Results (NCI SEER) program, Cancer Statistics Review (CSR), www-seer.ims.nci.nih.gov/Publications/CSR1973 (1998)
【文献】NCI's Surveillance, Epidemiology, and End Results Program (SEER)出版物SEER Cancer Statistic's Review 1973-1997
【文献】Cancer Facts & FIGS. 2001 American Cancer Society
【文献】U.S. General Accounting Office. Breast Cancer, 1971-1991: Prevention, Treatment and Research. GAO/PEMD-92-12; 1991
【文献】Henderson I C, Breast Cancer. In: Murphy G P, Lawrence W L, Lenhard R E (編). Clinical Oncology. Atlanta, Ga.: American Cancer Society; 1995:198-219
【文献】Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743
【文献】Hillemanns et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:501-506
【文献】Burotto et al., 2015, Oncologist 20:725-726
【文献】Candelaria et al., 2009, Int. J. Gynecol. Cancer. 19:1632-1637
【文献】Coronel et al., 2009, Med. Oncol. 26:210-214
【文献】Fiorica et al., 2009, Gynecol. Oncol. 115:285-289
【文献】Garcia et. al., 2007, Am. J. Clin. Oncol. 30-428-431
【文献】Goncalves et al., 2008, Gynecol. Oncol. 108:42-46
【文献】Homesley et al., 2008, Int. J. Clin. Oncol. 13:62-65
【文献】McLachlan et al., 2017, Clin. Oncol. (R. Coll. Radiol.) 29:153-160
【文献】Miller et al., 2008, Gynecol. Oncol. 110:65-70
【文献】Monk et al., 2009, J. Clin. Oncol. 27:1069-1074
【文献】Muggia et al., 2004, Gynecol. Oncol. 92:639-643
【文献】Rose et al., 2006, Gynecol. Oncol. 102:210-213
【文献】Santin et al., 2011, Gynecol. Oncol. 122:495-500
【文献】Schilder et al., 2005, Gynecol. Oncol. 96:103-107
【文献】Torfs et al., 2012, Eur. J. Cancer. 48:1332-1340
【発明の概要】
【0014】
概要
本明細書では、対象におけるがんを治療する方法が提供され、該方法は、Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合フラグメントと、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートとを、対象に投与する工程を含み、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、この場合に、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは概してKabatナンバリングスキームによって定義される;および
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは約1.3mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは1.3mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは約2.0mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは2.0mg/kgの用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは約3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約200mgの固定用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、200mgの固定用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約400mgの固定用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、400mgの固定用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、または約6週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約6週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、6週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、がんは乳癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、がんは子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は根治療法(curative therapy)の候補ではない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、根治療法は放射線療法および/または除臓術(exenterative surgery)を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、進行期の子宮頸癌はステージ3またはステージ4の子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、進行期の子宮頸癌は転移性の子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は再発子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体はチソツマブである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、リンカーは切断可能なペプチドリンカーである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該リンカーはMMAEに結合し、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は約4である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチン(tisotumab vedotin)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの投与経路は静脈内である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体は、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体は、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路は静脈内である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路は皮下である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと抗体-薬物コンジュゲートは同時に投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、PD-L1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、腫瘍比率スコア(TPS)≧1%でPD-L1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、高いPD-L1発現(TPS≧50%)を有する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、複合陽性スコア(CPS)≧1%でPD-L1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、複合陽性スコア(CPS)≧10%でPD-L1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、がんに由来する腫瘍は、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、PD-1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象における1つまたは複数の治療効果は、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートと抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、1つまたは複数の治療効果は、以下からなる群より選択される:がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間。本明細書中の任意のいくつかの態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは、抗体-薬物コンジュゲートと抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、抗体-薬物コンジュゲートと抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、抗体-薬物コンジュゲートと抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートと抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、追加の薬剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象はヒトである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する。
【0015】
本明細書では、以下を含むキットも提供される:
(a) 約50mg~約500mgの範囲の投与量の、Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合フラグメント、ここで、該抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、この場合に、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは概してKabatナンバリングスキームによって定義される;
(b) 約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の投与量の、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲート、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される;および
(c) 本明細書中の任意のいくつかの態様に従って抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと抗体-薬物コンジュゲートを使用するための説明書。
本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントはペムブロリズマブである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、ペムブロリズマブの用量は200mgである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、ペムブロリズマブの用量は400mgである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、チソツマブベドチンの用量は1.3mg/kgである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、チソツマブベドチンの用量は2.0mg/kgである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、MMAEで処理されなかったHeLa細胞(左レーン)と比較した、MMAEで処理されたHeLa細胞(右レーン)の細胞溶解物におけるIRE1およびJNKのリン酸化を示すウエスタンブロットの画像である。MMAEによる処理は、IRE1とJNKの両方のリン酸化をもたらした。pIRE1はリン酸化されたIRE1タンパク質を示す;IRE1は総IRE1タンパク質を示す;pJNKはリン酸化されたJNKタンパク質を示す。
図2図2Aおよび2Bは、示した時点にMMAEの存在下で画像化された、100nM MMAEで処理されたHeLa細胞の免疫蛍光画像である。A)上のパネルは、ER結合色素のER-ID GreenによるERの染色を示し、B)下のパネルは、該細胞によって発現されたRFP標識チューブリンを示す。
図3図3Aおよび3Bは、MMAEで処理されなかったHeLa細胞と比較した、100nM MMAEで処理されたHeLa細胞からのA)ATP分泌およびB)HMGB1分泌を示す一連のグラフである。処理されたHeLa細胞の測定値は、未処理のHeLa細胞により生じたシグナルに対する変化倍率として示される。**p<0.01および****p<0.0001。
図4A図4Aおよび4Bは、ヒト化マウスのMDA-MB-231異種移植モデルにおけるチソツマブベドチンとペムブロリズマブとの組み合わせの抗腫瘍活性を示す一連のグラフである。A)IgG1対照(白丸)、IgG1-MMAE対照(白菱形)、ペムブロリズマブ(黒丸)、0.5mg/kg(半分黒の三角)もしくは1mg/kg(半分黒の四角)の濃度のチソツマブベドチン、またはペムブロリズマブと組み合わせた0.5mg/kg(黒三角)もしくは1mg/kg(黒四角)の濃度のチソツマブベドチンで治療した後のNSGマウスのMDA-MB-231異種移植モデルにおける平均腫瘍サイズ。白の逆三角形は、ペムブロリズマブ用量の投与日を示す。半分黒の逆三角形は、IgG1対照、IgG1-MMAE対照、またはチソツマブベドチン用量の投与日を示す。腫瘍量(tumor burden)はキャリパー測定により評価した。エラーバーは平均の標準誤差を示す。B)35日目の異なる治療グループ内の個々のマウスにおける腫瘍量。各ドットは1匹のマウスを表す。抗PD-1 Abはペムブロリズマブを示す。
図4B図4Aの説明を参照。
図5A図5A~5Cは、チソツマブベドチン抗体-薬物コンジュゲートとMMAE遊離薬物の両方が、ロバストなA)ATP分泌およびC)HMGB1放出を推進したことを示す一連のグラフである。活性は、標的薬(チソツマブベドチン)および遊離薬物(MMAE)に特異的であった。非標的指向性のアイソタイプADC(IgG1-MMAE)は、A)ATP分泌またはC)HMGB1分泌を誘発しなかった。B)チソツマブベドチンは複数の組織因子陽性細胞株に対して活性であった。
図5B図5Aの説明を参照。
図5C図5Aの説明を参照。
図6図6は、HPAFII細胞(膵臓癌)またはMDA-MB-231細胞(乳癌)をチソツマブベドチンADCまたはMMAEペイロードで16時間処理すると、IREとその下流標的JNKのリン酸化およびATF4の切断を含めて、複数のERストレス経路がトリガーされることを示すウエスタンブロットの画像である。非標的指向性H00-MMAE ADC(IgG1 MMAE)による処理は、これらのERストレス経路の活性化を引き起こさなかった。
図7A図7Aおよび7Bは、様々な薬剤で死滅した組織因子陽性MDA-MB-231細胞をヒト末梢血単核細胞(PBMC)に供給し、自然CD14+単球/マクロファージ上の活性化マーカーの発現増加およびケモカインとサイトカインの産生誘導によって免疫活性化を評価した一連のグラフである。チソツマブベドチンADCまたはMMAE遊離薬物による処理は、非標的指向性IgG1-MMAE ADCまたは標的指向性抗体(チソツマブ)単独と比較して、A)フローサイトメトリーによるCD86発現、およびB)MIP1βを含む内在性ケモカインの放出誘導、によってモニターされるように、単球/マクロファージの活性化を推進した。
図7B図7Aの説明を参照。
図8A図8A~8Cは、様々な薬剤で死滅した組織因子陽性MDA-MB-231細胞が、PD1を標的とする抗体であるペムブロリズマブの存在下または非存在下で、CSFE標識ヒト末梢血単核細胞(PBMC)に48時間供給され、T細胞活性化がA)T細胞増殖を示すCSFE蛍光の減少、ならびにB)およびC)サイトカインの産生、によって評価された一連のグラフである。チソツマブベドチンまたはMMAE遊離薬物による処理は、T細胞の増殖を推進し、これは2mg/mlのペムブロリズマブ処理により増強された。B)IL12p70およびC)IFNγの産生もまた、チソツマブベドチンおよびMMAEで死滅した細胞への暴露後に増加し、サイトカイン産生は併用ペムブロリズマブ処理によって増加した。
図8B図8Aの説明を参照。
図8C図8Aの説明を参照。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
I. 定義
本開示をより容易に理解できるようにするために、最初に特定の用語を定義する。本出願で使用する場合、本明細書で別に定義しない限り、以下の各用語は、以下に示す意味を有するものとする。本出願全体を通して追加の定義が示される。
【0018】
本明細書で使用する用語「および/または」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの表現で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むものとする。同様に、「A、B、および/またはC」などの表現で使用される「および/または」という用語は、以下の解釈のそれぞれを包含するものとする:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);C(単独)。
【0019】
本明細書に記載される本発明の局面および態様は、局面および態様「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」ことを包含することが理解されよう。
【0020】
別に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。例えば、以下は本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する:Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 第2版, 2002, CRC Press; Dictionary of Cell and Molecular Biology, 第3版, 1999, Academic Press; およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, 改訂版, 2000, Oxford University Press。
【0021】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(Systeme International de Unites:SI)で承認された形式で表示される。数値範囲には、その範囲を規定する数値が含まれる。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な局面の限定ではなく、そうした局面は本明細書を全体として参照することにより得られる。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することでより完全に定義される。
【0022】
用語「組織因子」、「TF」、「CD142」、「組織因子抗原」、「TF抗原」および「CD142抗原」は、本明細書では相互交換可能に使用され、特に明記しない限り、細胞によって天然に発現されるか、または組織因子遺伝子でトランスフェクトされた細胞に発現される、ヒト組織因子のバリアント、アイソフォーム、および種ホモログを包含する。いくつかの態様では、組織因子は、GenbankアクセッションNP_001984にて見出されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
用語「免疫グロブリン」とは、1対の低分子量軽(L)鎖と1対の重(H)鎖の2対のポリペプチド鎖からなり、4本全てがジスルフィド結合によって相互に連結されている、構造的に関連する糖タンパク質のクラスを指す。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている。例えば、Fundamental Immunology 第7章 (Paul, W.編, 第2版, Raven Press, N.Y. (1989))を参照のこと。簡単に説明すると、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVHまたはVHと略す)と重鎖定常領域(CHまたはCH)で構成される。重鎖定常領域は、一般的に、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインからなる。重鎖は一般に、いわゆる「ヒンジ領域」でジスルフィド結合を介して相互に連結されている。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVLまたはVLと略す)と軽鎖定常領域(CLまたはCL)で構成される。軽鎖定常領域は、一般的に、1つのドメインCLからなる。CLはκ(カッパ)またはλ(ラムダ)のアイソタイプであり得る。用語「定常ドメイン」および「定常領域」は、本明細書では交換可能に使用される。別段の指定が無い限り、定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991) に記載されているEUインデックスに従う。免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgMを含むがこれらに限定されない、一般に知られているアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むがこれらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。
【0024】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVHおよびVL)は、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性の領域(つまり、配列が超可変性でありかつ/または構造的に規定されたループの形であり得る、超可変領域)にさらに分割することができ、この超可変領域には、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が介在する。用語「相補性決定領域」および「CDR」は、「超可変領域」または「HVR」と同義であって、抗原特異性および/または結合親和性を与える、抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことが当技術分野で知られている。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)があり、各軽鎖可変領域には3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」および「FR」は、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが当技術分野で知られている。一般に、各全長重鎖可変領域には4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)があり、各全長軽鎖可変領域には4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)がある。各VHおよびVL内で、3つのCDRと4つのFRは、通常、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J. Mot. Biol., 195, 901-917 (1987)も参照のこと)。
【0025】
本発明との関連において用語「抗体」(Ab)とは、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはそれらのいずれかの誘導体を指す;これらは、通常の生理学的条件下で抗原に特異的に結合する能力を有し、その半減期はかなり長く、例えば、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、またはそれより多くの日数など、あるいは他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体の結合に関連する生理学的応答を誘発、促進、増強および/または調節するのに十分な期間、および/または抗体がエフェクター活性をリクルートするのに十分な期間)である。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含んでいる。抗体(Ab)の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および補体系の成分(例えば、補体活性化の古典的経路の第1成分であるC1q)を含めて、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。抗体はまた、二重特異性抗体、ダイアボディ、多重特異性抗体または同様の分子であってもよい。
【0026】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、単一の一次アミノ酸配列を有する、組換えにより産生される抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性と親和性を示す。したがって、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合された、ヒト重鎖トランスジーンと軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスなどのトランスジェニックまたはトランスクロモソーマル(transchromosomal)非ヒト動物から得られたB細胞を含む、ハイブリドーマによって作成され得る。
【0027】
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、TFに特異的に結合する単離された抗体は、TF以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、TFに特異的に結合する単離された抗体は、異なる種からのTF分子など、他の抗原に対して交差反応性を示すことがある。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない。一態様では、単離された抗体は、別の薬剤(例えば、小分子薬物)にコンジュゲートされたコンジュゲートを含む。いくつかの態様では、単離された抗TF抗体は、抗TF抗体と小分子薬物(例えば、MMAEまたはMMAF)とのコンジュゲートを含む。
【0028】
「ヒト抗体」(HuMAb)は、FRとCDRの両方がヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。さらに、該抗体が定常領域を含む場合、その定常領域もまた、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によって、またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかし、本明細書で使用する用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図しない。「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」という用語は同義的に使用される。
【0029】
本明細書で使用する用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対する高レベルの配列相同性を含むように改変された非ヒト可変ドメインとを含む、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。これは、一緒になって抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を、相同なヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)にグラフトすることによって達成され得る(WO92/22653およびEP0629240を参照)。親抗体の結合親和性と特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)からのフレームワーク残基のヒトフレームワーク領域への置換(復帰変異(back-mutation))が必要になるかもしれない。構造的ホモロジーモデリングは、抗体の結合特性にとって重要なフレームワーク領域のアミノ酸残基を特定するのに役立つことがある。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列と、任意で非ヒトアミノ酸配列への1つまたは複数のアミノ酸復帰変異を含む、主にヒトフレームワーク領域と、完全なヒト定常領域とを含むことができる。必要に応じて、親和性および生化学的特性などの、好ましい特性を有するヒト化抗体を得るために、必ずしも復帰変異ではない追加のアミノ酸改変を適用することもできる。
【0030】
本明細書で使用する用語「キメラ抗体」は、可変領域が非ヒト種(例えば、げっ歯類)に由来し、定常領域が異なる種(例えば、ヒト)に由来する抗体を指す。キメラ抗体は抗体エンジニアリングによって作成され得る。「抗体エンジニアリング」は、抗体の様々な種類の改変に対して一般的に使用される用語であり、当業者にはよく知られたプロセスである。特に、キメラ抗体は、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, Ch. 15に記載されるような、標準的なDNA技術を用いて作成することができる。かくして、キメラ抗体は遺伝的または酵素的に作成された組換え抗体であり得る。キメラ抗体を作成することは当業者の知識の範囲内であり、それゆえ、本発明によるキメラ抗体の作成は、本明細書に記載の方法以外の方法で行ってもよい。治療用のキメラモノクローナル抗体は、抗体の免疫原性を低下させるために開発されている。それらは、典型的には、対象となる抗原に特異的な非ヒト(例えば、マウス)可変領域と、ヒト抗体重鎖および軽鎖の定常ドメインを含み得る。キメラ抗体との関連で使用される用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の両方のCDRおよびフレームワーク領域を含む領域を指す。
【0031】
「抗抗原抗体」は、抗原に結合する抗体を指す。例えば、抗TF抗体は、抗原TFに結合する抗体である。別の例では、抗PD-1抗体は、抗原PD-1に結合する抗体である。
【0032】
抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合フラグメント」とは、完全抗体(whole antibody)が結合する抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)の例には、限定するものではないが、以下が含まれる:Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子(例:scFv);および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメント(それぞれが単一の抗原結合部位を有する)と呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、および残りの「Fc」フラグメント(その名称は容易に結晶化する能力を反映している)をもたらす。ペプシン処理は、F(ab')2フラグメントを生成し、これは2つの抗原結合部位を有し、まだ抗原を架橋することができる。
【0033】
基準ポリペプチド配列に対する「配列同一性パーセント(%)」は、配列同士をアラインさせ、最大の配列同一性を達成するために(いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない)、必要に応じて、ギャップを導入した後、基準ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である、候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを求めるためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR社)ソフトウェアなどの、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされるアルゴリズムを含めて、配列同士をアラインするのに適切なパラメータを決定することができる。例えば、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対する配列同一性%(これは、特定のアミノ酸配列Bに対してある配列同一性%を有する特定のアミノ酸配列Aと言い換えることもできる)は、次のように計算される:
100×分数X/Y
ここで、Xは、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて該配列による完全な一致として記録されたアミノ酸残基の数であり、YはBのアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、AのBに対する配列同一性%は、BのAに対する配列同一性%に等しくないことが理解されよう。
【0034】
本明細書で使用する場合、所定の抗原への抗体の結合との関連において「結合」、「結合する」または「特異的に結合する」という用語は、典型的には、例えば、抗体をリガンドとして使用し、抗原をアナライトとして使用するOctet HTX機器でBioLayer Interferometry(BLI)法により測定した場合、約10-6M以下のKD、例えば、約10-7M以下、約10-8M以下、約10-9M以下、約10-10M以下、または約10-11M以下のKDに対応する親和性で結合することであり、そして抗体は、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例:BSA、カゼイン)への結合のKDよりも少なくとも10倍低いKD、例えば、少なくとも100倍低い、少なくとも1,000倍低い、少なくとも10,000倍低い、または少なくとも100,000倍低いKDに対応する親和性で所定の抗原に結合する。結合のKDが低くなる量は、抗体のKDに依存する;したがって、抗体のKDが非常に低い場合、抗原への結合のKDが非特異的抗原への結合のKDよりも低くなる量は、少なくとも10,000倍であり得る(つまり、その抗体は高度に特異性である)。
【0035】
本明細書で使用する用語「KD」(M)は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。本明細書で使用する親和性とKDは逆の関係にあり、すなわち、より高い親和性はより低いKDを指すことが意図され、より低い親和性はより高いKDを指すことが意図される。
【0036】
用語「ADC」は抗体-薬物コンジュゲートを指し、本発明との関連においては、本出願に記載されているモノメチルアウリスタチンE(MMAE)に連結されている、チソツマブのCDRを含む抗TF抗体を指す。
【0037】
略語「vc」および「val-cit」は、ジペプチドであるバリン-シトルリンを指す。
【0038】
略語「PAB」は、自壊性(self-immolative)スペーサー:
を指す。
【0039】
略語「MC」は、ストレッチャーであるマレイミドカプロイル:
を指す。
【0040】
用語「Ab-MC-vc-PAB-MMAE」は、MC-vc-PABリンカーを介して薬物MMAEにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0041】
「Programmed Death-1」(PD-1)は、CD28ファミリーに属する免疫抑制受容体を指す。PD-1は、主に、前もって活性化されたT細胞上にインビボで発現され、PD-L1とPD-L2の2つのリガンドに結合する。本明細書で使用する用語「PD-1」は、ヒトPD-1(hPD-1)、hPD-1のバリアント、アイソフォーム、および種ホモログ、ならびにhPD-1と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログを含む。いくつかの態様では、hPD-1は、GenBankアクセッション番号U64863の下に見い出せるアミノ酸配列を含む。
【0042】
「Programmed Death Ligand-1」(PD-L1)は、PD-1への結合時にT細胞の活性化とサイトカインの分泌をダウンレギュレートするPD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドのうちの1つである(もう1つはPD-L2である)。本明細書で使用する用語「PD-L1」は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1のバリアント、アイソフォーム、および種ホモログ、ならびにhPD-L1と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログを含む。いくつかの態様では、hPD-L1は、GenBankアクセッション番号Q9NZQ7の下に見い出せるアミノ酸配列を含む。
【0043】
「複合陽性スコア」(combined positive score)または「CPS」は、腫瘍細胞の総数(分母、すなわちPD-L1陽性腫瘍細胞とPD-L1陰性腫瘍細胞の数)に対する腫瘍巣および隣接する支持ストローマ内のPD-L1陽性腫瘍細胞とPD-L1陽性単核炎症細胞(MIC)の数(分子)の比率である。
【0044】
「腫瘍比率スコア」(tumor proportion score)または「TPS」は、免疫組織化学的アッセイにおいて任意の強度で部分的または完全なPD-L1膜染色を示す生存可能な腫瘍細胞のパーセンテージである。
【0045】
「がん」とは、体内の異常な細胞の無制御の増殖を特徴とする様々な疾患の幅広いグループを指す。「がん」または「がん組織」は腫瘍を含み得る。無秩序な細胞分裂と増殖は悪性腫瘍の形成をもたらし、悪性腫瘍は近隣組織に侵入しかつリンパ系または血流を通じて身体の離れた部分に転移することもできる。転移後、その遠位部の腫瘍は転移前腫瘍に「由来する」と言うことができる。例えば、子宮頸癌に「由来する腫瘍」は、転移した子宮頸癌の結果である腫瘍を指す。
【0046】
対象の「治療」または「療法」とは、疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候の発生、進行、発達、重症度、または再発を逆転、緩和、改善、抑制、減速、または防止することを目的として、対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象への活性薬剤の投与を指す。いくつかの態様では、その疾患はがんである。
【0047】
「対象」には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、およびマウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、対象はヒトである。「対象」、「患者」および「個体」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用される。
【0048】
薬物または治療剤の「有効量」、「治療有効量」または「治療上有効な投与量」は、単独で、または別の治療剤と組み合わせて使用される場合、疾患の発症から対象を保護する薬物の量、あるいは症状の重症度の低下、無症状期間の頻度と持続の増加、または病気の苦痛による機能障害(impairment)もしくは能力障害(disability)の防止により証明される疾患の退縮を促進する薬物の量である。疾患の退縮を促進する治療剤の能力は、当業者に公知の様々な方法を用いて、例えば、臨床試験中にヒト対象において、ヒトでの有効性を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイで治療剤の活性をアッセイすることによって、評価することができる。
【0049】
腫瘍の治療例として、治療有効量の抗がん剤は、未治療対象(例えば、1つまたは複数の未治療対象)と比較して、治療対象(例えば、1つまたは複数の治療対象)における細胞増殖または腫瘍成長を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%抑制する。いくつかの態様では、治療有効量の抗がん剤は、未治療対象(例えば、1つまたは複数の未治療対象)と比較して、治療対象(例えば、1つまたは複数の治療対象)における細胞増殖または腫瘍成長を少なくとも100%抑制する。
【0050】
本開示の他の態様では、腫瘍の退縮を観察することができ、退縮は少なくとも約20日間、少なくとも約30日間、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、または少なくとも約60日間継続し得る。治療有効性のこれらの究極の測定にもかかわらず、免疫療法剤の評価は、「免疫関連応答パターン(immune-related response patterns)」をも考慮に入れる必要がある。
【0051】
薬物(例えば、MMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、またはペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体)の治療有効量には、「予防上有効な量」が含まれ、これは、単独でまたは抗がん剤と組み合わせて、がんを発症するリスクのある対象(例えば、前がん状態を有する対象)またはがんの再発を起こすリスクのある対象に投与した場合、がんの発生または再発を阻止する薬物の量である。いくつかの態様では、予防上有効な量は、がんの発生または再発を完全に防止する。がんの発生または再発を「阻止する」とは、がんの発生または再発の可能性を減らすか、あるいはがんの発生または再発を完全に防止することを意味する。
【0052】
本明細書で使用する「治療量以下(subtherapeutic dose)」とは、過剰増殖性疾患(例えば、がん)の治療のために単独で投与する場合の治療化合物(例えば、MMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、またはペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体)の常用量または通常使用量よりも低い治療化合物の用量を意味する。
【0053】
「免疫関連応答パターン」とは、がん特異的免疫応答を誘発することによって、または天然の免疫プロセスを改変することによって抗腫瘍効果を生み出す免疫療法剤により治療されたがん患者でしばしば観察される臨床応答パターンを指す。この応答パターンは、腫瘍量の初期増加または新しい病変の出現(これは、従来の化学療法剤の評価では、病勢進行として分類されて、薬物障害と同義である)の後に続く有益な治療効果を特徴とする。したがって、免疫療法剤の適切な評価には、標的疾患に対するこれらの薬剤の効果の長期モニタリングが必要であり得る。
【0054】
例として、「抗がん剤」は対象におけるがんの退縮を促進する。いくつかの態様では、治療有効量の薬物は、がんを排除するくらいにがんの退縮を促進する。「がんの退縮を促進する」とは、有効量の薬物を単独でまたは抗がん剤と組み合わせて投与すると、結果的に、腫瘍の成長もしくはサイズの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1つの症状の重症度の低下、無症状期間の頻度と持続の増加、または病気の苦痛による機能障害もしくは能力障害の防止が生じることを意味する。さらに、治療に関する「有効」および「有効性」という用語は、薬理学的有効性と生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、患者におけるがんの退縮を促進する薬物の能力を指す。生理学的安全性とは、薬物の投与から生じる細胞レベル、臓器レベル、および/または生物レベルでの毒性もしくは他の有害な生理学的作用(副作用)のレベルを指す。
【0055】
「持続的奏効(sustained response)」とは、治療の中止後に腫瘍成長を抑えることへの持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して、同じかまたはそれよりも小さくなっている。いくつかの態様では、持続的奏効は、治療期間と少なくとも同じ期間、または治療期間よりも少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、もしくは3.0倍長い期間を有する。
【0056】
本明細書で使用する場合、「完全奏効(complete response)」または「CR」は、全ての標的病変の消失を指す;「部分奏効(partial response)」または「PR」は、ベースライン長径和(sum of the longest diameters:SLD)を基準として、標的病変の長径和の少なくとも30%減少を指す;「病勢安定(stable disease)」または「SD」は、PRの対象となるのに十分な標的病変の縮小もなく、治療開始以来の最小SLDを基準としてPDの対象となるのに十分な増加もないことを指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間(progression-free survival)」または「PFS」は、治療されている疾患(例えば、がん)が悪化しない治療中および治療後の期間を指す。無増悪生存期間には、患者が完全奏効または部分奏効を経験した期間、および患者が病勢安定を経験した期間を含めることができる。
【0058】
本明細書で使用する場合、「全奏効率(overall response rate)」または「ORR」は、完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率の合計を指す。
【0059】
本明細書で使用する場合、「全生存率(overall survival)」または「OS」は、特定の期間後に生存している可能性が高いグループ内の個体の割合を指す。
【0060】
本明細書で言及される用語「体重ベースの用量」は、対象に投与される用量が対象の体重に基づいて計算されることを意味する。例えば、体重60kgの対象が、2.0mg/kgの、ペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体、またはMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲートを必要とする場合、ペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体、またはMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲートの該対象への投与に適切な量(すなわち、120mg)を計算して、使用することができる。
【0061】
本開示の方法に関する用語「固定用量」(fixed dose)の使用は、2つ以上の異なる抗体(例えば、ペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体、およびMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート)が、互いに特定の(固定された)比率で対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、固定用量は抗体の量(例えば、mg)に基づく。特定の態様では、固定用量は抗体の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。例えば、対象に投与されるMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲートに対するペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体の比3:1は、約240mgのペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体および約80mgのMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、または約3mg/mlのペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体および約1mg/mlのMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲートが対象に投与されることを意味する。
【0062】
本開示の方法および投与量に関する用語「固定用量」(flat dose)の使用は、対象の体重または体表面積(BSA)を考慮せずに対象に投与される用量を意味する。したがって、固定用量は、mg/kg用量として提供されるのではなく、薬剤(例えば、MMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、および/またはペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体)の絶対量として提供される。例えば、体重60kgの対象と体重100kgの対象は、同じ用量の抗体または抗体-薬物コンジュゲート(例えば、240mgのMMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、または例えば200mgのペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体)を受け取るであろう。
【0063】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が化学的および/または毒物学的に、製剤を構成する他の成分および/またはそれで治療される哺乳動物と、適合しなければならないことを示す。
【0064】
本明細書で使用する語句「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示的な塩には、限定するものではないが、以下が含まれる:硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸(すなわち、4,4'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩、アルカリ金属(例:ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例:マグネシウム)塩、およびアンモニウム塩。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子を含むことができる。対イオンは、親化合物の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に複数の荷電原子を持つことがある。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを持つことができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子および/または1つ以上の対イオンを有することができる。
【0065】
「投与する」または「投与」とは、当業者に公知の様々な方法および送達システムのいずれかを用いて、対象に治療剤を物理的に導入することを指す。MMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、および/またはペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体の例示的な投与経路には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口の投与経路、例えば注射または注入(例:静脈内注入)による投与経路が含まれる。本明細書で使用する語句「非経口投与」は、経腸投与および外用以外の、通常は注射による、投与方法を意味し、限定するものではないが、以下が含まれる:静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにin vivoエレクトロポレーション。治療剤は、非腸管外(non-parenteral)経路を介して、または経口的に投与することができる。他の非腸管外経路には、局所、表皮または粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または外用が含まれる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1つ以上の長期間にわたって行うこともできる。
【0066】
本明細書で交換可能に使用される用語「ベースライン」または「ベースライン値」は、治療剤(例えば、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体)の投与前または治療剤投与の開始時の症状の測定または特性評価を指すことができる。本明細書で企図されるTF関連疾患および/またはPD-1関連疾患(例えば、乳癌または子宮頸癌)の症状の軽減または改善を判定するために、ベースライン値を参照値と比較することができる。本明細書で交換可能に使用される用語「参照」または「参照値」は、治療剤(例えば、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体)の投与後の症状の測定または特性評価を指すことができる。参照値は、投与レジメンまたは治療サイクルの間に1回以上、あるいは投与レジメンまたは治療サイクルの完了時に測定することができる。「参照値」は、絶対値;相対値;上限および/または下限のある値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);またはベースライン値と比較した値であり得る。
【0067】
同様に、「ベースライン値」は、絶対値;相対値;上限および/または下限のある値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);または参照値と比較した値であり得る。参照値および/またはベースライン値は、1個体から、異なる2個体から、または個体群(例えば、2、3、4、5個体またはそれ以上のグループ)から取得することができる。
【0068】
本明細書で使用する用語「単剤療法」とは、MMAEとチソツマブのCDRとを含む抗TF抗体-薬物コンジュゲート、またはペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体が治療サイクルの間に対象に投与される唯一の抗がん剤であることを意味する。しかし、他の治療剤を該対象に投与することもできる。例えば、がんに伴う症状(根底にあるがん自体ではない)、例えば、炎症、疼痛、体重減少、および全身倦怠感を治療するためにがん患者に投与される抗炎症剤または他の薬剤を単剤療法の期間中に投与することができる。
【0069】
本明細書で使用する「有害事象(adverse event)」(AE)は、医療的処置の使用に伴う好ましくない、一般的に意図しないまたは望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患である。医療的処置は1つまたは複数の関連するAEを示すことがあり、各AEの重症度は同じまたは異なるレベルであり得る。「有害事象を変える」ことができる方法への言及は、異なる治療レジメンの使用に伴う1つまたは複数のAEの発生率および/または重症度を軽減する治療レジメンを意味する。
【0070】
本明細書で使用する「重篤な有害事象(serious adverse event)」または「SAE」とは、以下の基準の1つを満たす有害事象である:
・致命的であるか、または生命を脅かす(重篤な有害事象の定義で使用される場合);「生命を脅かす」とは、患者が有害事象時に死亡のリスクがあった事象を指す;もし仮にそれがもっと重篤であったならば死を引き起こしたかもしれない事象を指すことはない。
・永続的または重大な能力障害/無能力をもたらす。
・先天性異常/先天性欠損をきたす。
・医学的に重大である、すなわち、患者を危険にさらすか、または上記の結果の1つを防ぐために医学的もしくは外科的介入を必要としうる事象として定義される。AEが「医学的に有意」であるかどうかを決断する際には、医学的および科学的判断を下す必要がある。
・入院または現在の入院期間の延長が必要である、ただし、以下を除く:1)状態の悪化とは関連がない、基礎疾患の定期的な治療またはモニタリング;2)調査中の適応症とは無関係で、インフォームドコンセントにサインして以来悪化していない既存の状態に対する待機的なまたは事前に計画された治療;ならびに3)患者の全身状態の悪化がない場合の社会的理由およびレスパイトケア(respite care)。
【0071】
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されたい。本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」または「an」は、記載または列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指すと理解されたい。
【0072】
「約」または「本質的に~からなる」という用語は、当業者によって決定された特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、その値または組成がどのように測定され、決定されるか、つまり測定システムの限界、に一部依存する。例えば、「約」または「本質的に~からなる」は、当技術分野では実施ごとに1または1を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」または「本質的に~からなる」は、最大20%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、これらの用語は、値の最大10倍または最大5倍を意味し得る。特定の値または組成が本出願および特許請求の範囲で提供される場合、特に明記しない限り、「約」または「本質的に~からなる」の意味は、その特定の値または組成の許容誤差範囲内であると見なすべきである。
【0073】
本明細書で使用する用語「約1週間に1回」、「約2週間に1回」、または他の同様の投与間隔用語は、およその数を意味する。「約1週間に1回」は、7日±1日ごと、つまり6日~8日ごとを含むことができる。「約2週間に1回」は、14日±2日ごと、つまり12日~16日ごとを含むことができる。「約3週間に1回」は、21日±3日ごと、つまり18日~24日ごとを含むことができる。同様の概数が、例えば、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約12週間に1回などに適用される。いくつかの態様では、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、初回量を1週目の任意の日に投与し、その後、次回量をそれぞれ6週目または12週目の任意の日に投与できることを意味する。他の態様では、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、初回量を1週目の特定の日(例えば、月曜日)に投与し、その後次回量をそれぞれ6週目または12週目の同じ日(すなわち、月曜日)に投与することを意味する。
【0074】
本明細書に記載される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に断りのない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合にはその分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0075】
本開示の様々な局面は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明される。
【0076】
II. 併用療法
本発明の一局面は、がんの治療に使用するための、TFに結合する抗TF抗体-薬物コンジュゲートを提供し、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントはPD-1活性を阻害し、かつ該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、この場合に、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは概してKabatナンバリングスキームによって定義される;および
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される。別の局面では、本発明は、がんの治療に使用するための、ペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、該抗PD-1抗体は、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた、チソツマブのCDRを含む抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントはPD-1活性を阻害する。いくつかの態様では、がんは乳癌である。いくつかの態様では、乳癌はER+/HER2-乳癌である。ある実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。いくつかの態様では、がんは子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌(例えば、ステージ3の子宮頸癌もしくはステージ4の子宮頸癌または転移性の子宮頸癌)である。いくつかの態様では、進行した子宮頸癌は転移性のがんである。いくつかの態様では、対象は、再発した、再発性および/または転移性の子宮頸癌を有する。
【0077】
A. 抗TF抗体
概して、本開示の抗TF抗体は、TF、例えばヒトTFに結合し、かつ乳癌細胞または子宮頸癌細胞などの悪性細胞に対して細胞増殖抑制効果および細胞毒性効果を発揮する;該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される。本開示の抗TF抗体は、チソツマブのCDRを含み、好ましくはモノクローナルであり、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーによって作成されたフラグメント、および上記のいずれかのTF結合フラグメントであり得る。いくつかの態様では、本開示の抗TF抗体は、チソツマブのCDRを含み、TFに特異的に結合する。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0078】
本開示の特定の態様では、抗TF抗体は、チソツマブのCDRを含み、本明細書に記載の抗原結合フラグメント(例えば、ヒト抗原結合フラグメント)であり、限定するものではないが、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、およびVLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントが含まれる。一本鎖抗体などの、抗原結合フラグメントは、可変領域を単独で、またはヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインの全体または一部と組み合わせて、含み得る。また、本開示には、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合フラグメントも含まれる。いくつかの態様では、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト、ネズミ(例:マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリの抗体であり、チソツマブのCDRを含む。
【0079】
本開示の抗TF抗体は、チソツマブのCDRを含み、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより高い多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、TFの異なるエピトープに特異的であっても、TFと異種タンパク質の両方に特異的であってもよい。例えば、PCT公開公報WO 93/17715; WO 92/08802; WO 91/00360; WO 92/05793; Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60 69; 米国特許第4,474,893号; 第4,714,681号; 第4,925,648号; 第5,573,920号; 第5,601,819号; Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照のこと。
【0080】
本開示の抗TF抗体は、それらに含まれる特定のCDRの観点から説明または特定され得る。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して簡単に決定することができる;そうしたスキームには、以下に記載されるものが含まれる:Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム); Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム); MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745(「Contact」ナンバリングスキーム); Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム); Honegger A and Plueckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム); およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)。所与のCDRの境界は、識別するために使用したスキームに応じて変化しうる。いくつかの態様では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の「CDR」つまり「相補性決定領域」または個々の特定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームのいずれかによって定義されたCDR(または特定のCDR)を包含すると理解されたい。例えば、特定のCDR(例:CDR-H3)が所与のVHまたはVL領域のアミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含むという記述がある場合、そのようなCDRは、前述のスキームのいずれかによって定義される可変領域内の対応するCDR(例:CDR-H3)の配列を有することが理解される。例えば、Kabat、Chothia、AbM、またはIMGT法により定義されたCDRといったように、特定のCDRを識別するためのスキームを指定することができる。
【0081】
本明細書で提供される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体のCDR配列におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Lefranc, M. P. et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27, 55-77に記載のIMGTナンバリングスキームに従う。本明細書において提供される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体のCDR配列は、Lefranc, M. P. et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27, 55-77に記載されているIMGT法に従う。
【0082】
本開示の抗TF抗体は、抗体011のCDRを含む。WO 2011/157741およびWO 2010/066803を参照のこと。本開示は、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む抗体またはその誘導体を包含する;該可変ドメインは、(a)3つのCDRのセット(該CDRのセットはモノクローナル抗体011に由来する)、および(b)4つのフレームワーク領域のセット(該フレームワーク領域のセットはモノクローナル抗体011のフレームワーク領域のセットとは異なる)を含み、該抗体またはその誘導体はTFに結合する。いくつかの態様では、該抗体またはその誘導体は、TFに特異的に結合する。特定の態様では、抗TF抗体は011である。抗体011はチソツマブとしても知られている。
【0083】
一局面では、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含む抗TF抗体であって、該重鎖可変領域が、(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、かつ該軽鎖可変領域が、(i)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、抗TF抗体のCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0084】
本明細書に記載される抗TF抗体は、該抗体がTF(例えば、ヒトTF)に結合する能力を保持するという条件で、どのような適切なフレームワーク可変ドメイン配列を含んでもよい。本明細書で使用する場合、重鎖フレームワーク領域は「HC-FR1~FR4」を指定され、軽鎖フレームワーク領域は「LC-FR1~FR4」を指定される。いくつかの態様では、抗TF抗体は、SEQ ID NO:9、10、11、および12(それぞれ、HC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、およびHC-FR4)の重鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。いくつかの態様では、抗TF抗体は、SEQ ID NO:13、14、15、および16(それぞれ、LC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、およびLC-FR4)の軽鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。
【0085】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖可変ドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含み、かつその軽鎖可変ドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含む。
【0086】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖CDR配列は、
を含む。
【0087】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖FR配列は、
を含む。
【0088】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その軽鎖CDR配列は、
を含む。
【0089】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その軽鎖FR配列は、
を含む。
【0090】
いくつかの態様では、TF(例えば、ヒトTF)に結合する抗TF抗体が本明細書で提供され;ここで、該抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、該抗体は、
(a)(1)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むHC-FR1;
(2)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(3)SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むHC-FR2;
(4)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(5)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むHC-FR3;
(6)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;および
(7)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHC-FR4;
を含む重鎖可変ドメイン、ならびに/または
(b)(1)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むLC-FR1;
(2)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(3)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むLC-FR2;
(4)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(5)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むLC-FR3;
(6)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;および
(7)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むLC-FR4;
を含む軽鎖可変ドメイン、
を含む。
【0091】
一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含むか、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、かつSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインのCDRと、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインのCDRを含む抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0092】
いくつかの態様では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例:保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつTF(例:ヒトTF)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸がSEQ ID NO:7において置換、挿入および/または欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)に存在する。いくつかの態様では、抗TF抗体は、その翻訳後修飾を含めて、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメイン配列を含む。特別の態様では、重鎖可変ドメインは、(a)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0093】
いくつかの態様では、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例:保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつTF(例:ヒトTF)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸がSEQ ID NO:8において置換、挿入および/または欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)に存在する。いくつかの態様では、抗TF抗体は、その翻訳後修飾を含めて、SEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメイン配列を含む。特別の態様では、軽鎖可変ドメインは、(a)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(c)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0094】
いくつかの態様では、抗TF抗体は、上に提供された態様のいずれかに記載の重鎖可変ドメインと、上に提供された態様のいずれかに記載の軽鎖可変ドメインを含む。一態様では、該抗体は、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメイン配列とSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメイン配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾をも含む。
【0095】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;およびii)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含み、抗TF抗体のCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される。
【0096】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、i)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、およびii)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0097】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、チソツマブのCDRを含み、モノクローナル抗体である。
【0098】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、チソツマブであり、これはWO 2011/157741およびWO 2010/066803に記載される抗体011としても知られている。
【0099】
チソツマブのCDRを含む本発明の抗TF抗体はまた、TF(例えば、ヒトTF)に対するその結合親和性の観点から記載または特定され得る。好ましい結合親和性には、解離定数またはKdが5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M未満のものが含まれる。
【0100】
免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、μと指定された重鎖を有する。γおよびαクラスはさらにサブクラスに分類され、例えば、ヒトは次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型バリアントとして存在することができ(Jefferis and Lefranc 2009. mAbs Vol 1 Issue 4 1-7で概説)、これらはいずれも本明細書の態様のいくつかで使用するのに適している。ヒト集団における共通のアロタイプバリアントは、a、f、n、z、またはそれらの組み合わせで指定されたものである。本明細書の態様のいずれかにおいて、該抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる態様では、ヒトIgG Fc領域はヒトIgG1を含む。
【0101】
前記抗体はまた、修飾された誘導体、すなわち、任意のタイプの分子の該抗体への共有結合により修飾された誘導体を含むが、その共有結合によって、該抗体がTFに結合したり、HD細胞に対して細胞増殖抑制効果または細胞傷害効果を発揮したりすることが妨げられないようにする。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって、修飾された抗体が含まれる。多くの化学修飾はどれも、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない公知の技術により行うことができる。さらに、該誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0102】
B. 抗体-薬物コンジュゲートの構造
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンE(MMAE)との間にリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは切断不可能なリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは切断可能なリンカーである。
【0103】
いくつかの態様では、該リンカーは、マレイミドカプロイル(MC)、ジペプチドバリン-シトルリン(vc)およびp-アミノベンジルカルバメート(PAB)を含む切断可能なペプチドリンカーである。いくつかの態様では、該切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である。
【0104】
いくつかの態様では、該リンカーは、マレイミドカプロイル(MC)を含む切断可能なペプチドリンカーである。いくつかの態様では、該切断可能なペプチドリンカーは式:MC-を有し、式中、
a)MCは
である。
【0105】
いくつかの態様では、該リンカーは、チソツマブのCDRを含む抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元によって得られた、チソツマブのCDRを含む抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの完全還元によって得られた、チソツマブのCDRを含む抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。
【0106】
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンE(MMAE)との間に本明細書に記載のリンカーを含む。アウリスタチン類(例えばMMAE)は微小管ダイナミクス、GTP加水分解、および核分裂と細胞分裂を妨害し(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584参照)、抗がん活性(米国特許第5663149号参照)および抗真菌活性(Pettit et al., (1998) Antimicrob. Agents and Chemother. 42: 2961-2965参照)を有することが示されている。MMAE、ならびにMMAEのAbへのコンジュゲーションに適したリンカーは、例えば、米国特許第5,635,483号、第5,780,588号、第6,214,345号、および国際特許出願公開公報WO02088172、WO2004010957、WO2005081711、WO2005084390、WO2006132670、WO03026577、WO200700860、WO207011968、WO205082023に記載されている。本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、MMAEとチソツマブのCDRとを含む。
【0107】
モノメチルアウリスタチンE(MMAE)は以下の構造:
を有し、ここで、波線はリンカーへの結合部位を示す。
【0108】
一態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、MMAEに結合する。結果として生じるリンカー-アウリスタチン、MC-vc-PAB-MMAEは、vcMMAEとも表される。vcMMAE薬物リンカー部分およびコンジュゲーション法は、WO2004010957、US7659241、US7829531およびUS7851437に開示されている。vcMMAEが、チソツマブのCDRを含む本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントに結合する場合、得られる構造は、
であり、ここで、pは1~8の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8)を表し、例えばpは3~5であってよく、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。一態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。いくつかの態様では、pは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)で、例えば、疎水性の漸増に基づいて薬物負荷種を分割することによって測定され、最も疎水性の低い非コンジュゲート形態が最初に溶出し、最も疎水性の高い8薬物形態が最後に溶出する;この場合、ピークの面積百分率が特定の薬物を負荷された抗体-薬物コンジュゲート種の相対分布を表す。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。いくつかの態様では、pは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で、例えば、ADCの重鎖と軽鎖を完全に解離させるために最初に還元反応を実施し、次にRPカラムで軽鎖と重鎖およびそれらの対応する薬物負荷形態を分離することによって測定される;この場合、ピーク百分率は軽鎖と重鎖のピークの積分から得られ、各ピークに割り当てられた薬物負荷と組み合わせて、加重平均薬物対抗体比を算出するために使用する。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。
【0109】
一態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0110】
C. 抗PD-1抗体
概して、本開示の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、PD-1、例えばヒトPD-1に結合する;該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、この場合に、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは概してKabatナンバリングスキームによって定義される。本開示の抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブのCDRを含み、好ましくはモノクローナルであり、かつ多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーにより得られるフラグメント、および上記のいずれかのPD-1結合フラグメントであり得る。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブのCDRを含み、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0111】
本開示の特定の態様では、前記抗体は、本明細書に記載されるような抗原結合フラグメント(例えば、ヒト抗原結合フラグメント)であり、限定するものではないが、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、ならびにVLドメインまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントを含む。一本鎖抗体などの抗原結合フラグメントは、可変領域(複数可)を単独で、またはヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインの全体もしくは一部と組み合わせて含むことができる。また、本開示には、可変領域(複数可)とヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合フラグメントも含まれる。いくつかの態様では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト、ネズミ科(例:マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリのものであり、ペムブロリズマブのCDRを含む。
【0112】
本開示の抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブのCDRを含み、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより高い多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、PD-1の異なるエピトープに特異的であってもよいし、PD-1と異種タンパク質の両方に特異的であってもよい。例えば、PCT公開WO 93/17715; WO 92/08802; WO 91/00360; WO 92/05793; Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60 69; 米国特許第4,474,893号; 第4,714,681号; 第4,925,648号; 第5,573,920号; 第5,601,819号; Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547 1553を参照のこと。
【0113】
本開示の抗PD-1抗体は、それが含む特定のCDRの観点から説明または特定することができる。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、いくつかの周知のスキームのいずれかを用いて容易に決定することができ、そのようなスキームとしては、以下に記載するものが挙げられる:Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745(「Contact」ナンバリングスキーム);Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);Honegger A and Plueckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム);およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)。所与のCDRの境界は、同定に使用されるスキームに応じて変化することがある。いくつかの態様では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の、「CDR」つまり「相補性決定領域」または個々の特定のCDR(例:CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームのいずれかによって定義されるCDR(または特定のCDR)を包含すると理解されたい。例えば、特定のCDR(例:CDR-H3)が、所与のVHまたはVL領域のアミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含むと記載されている場合、そのようなCDRは、前述のスキームのいずれかによって定義される、可変領域内の対応するCDR(例:CDR-H3)の配列を有することが理解されよう。特定のCDRまたはCDRsを同定するためのスキームは、Kabat、Chothia、AbM、またはIMGT法によって定義されるCDR、といったように特定することができる。
【0114】
本明細書で提供される抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDR配列中のアミノ酸残基の番号付けは、概して、Kabat E. A., et al., 1991, Sequences of proteins of Immunological interest, In: NIH発行番号91-3242, US Department of Health and Human Services, Bethesda, MDに記載されるKabatナンバリングスキームに従って行われる。
【0115】
本開示の抗PD-1抗体は、抗体ペムブロリズマブのCDRを含む。米国特許第8,354,509号および第8,900,587号を参照のこと。本開示は、重鎖または軽鎖の可変ドメインを含む抗PD-1抗体またはその誘導体を包含し、該可変ドメインは、(a)モノクローナル抗体ペムブロリズマブに由来する3つのCDRのセット、および(b)モノクローナル抗体ペムブロリズマブのフレームワーク領域のセットとは異なる4つのフレームワーク領域のセットを含み;該抗PD-1抗体またはその誘導体はPD-1に結合する。特定の態様では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。抗体ペムブロリズマブはKEYTRUDA(登録商標)(Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA)としても知られている。
【0116】
一局面において、本明細書では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗PD-1抗体が提供され、ここで、重鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、かつ軽鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む;この場合、抗PD-1抗体のCDRは、概してKabatナンバリングスキームによって定義される。
【0117】
一態様では、抗PD-1抗体は、フレームワーク配列と超可変領域とを含む軽鎖可変ドメインを含み、ここで、フレームワーク配列は、それぞれSEQ ID NO:27 (LC-FR1)、SEQ ID NO:28 (LC-FR2)、SEQ ID NO:29 (LC-FR3)、およびSEQ ID NO:30 (LC-FR4)のLC-FR1~LC-FR4アミノ酸配列を含む;CDR-L1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、CDR-L2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含む。
【0118】
本明細書に記載の抗PD-1抗体のいくつかの態様では、重鎖可変ドメインは、
のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変ドメインは、
のアミノ酸配列を含む。
【0119】
本明細書に記載の抗PD-1抗体のいくつかの態様では、重鎖CDR配列は、以下の配列:
を含む。
【0120】
本明細書に記載の抗PD-1抗体のいくつかの態様では、重鎖FR配列は、以下の配列:
を含む。
【0121】
本明細書に記載の抗PD-1抗体のいくつかの態様では、軽鎖CDR配列は、以下の配列:
を含む。
【0122】
本明細書に記載の抗PD-1抗体のいくつかの態様では、軽鎖FR配列は、以下の配列:
を含む。
【0123】
いくつかの態様において、本明細書では、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインを含む、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する抗PD-1抗体が提供され、ここで、該抗体は、
(a)以下を含む重鎖可変ドメイン:
(1)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むHC-FR1;
(2)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(3)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むHC-FR2;
(4)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(5)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むHC-FR3;
(6)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;および
(7)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むHC-FR4;
ならびに/または
(b)以下を含む軽鎖可変ドメイン:
(1)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むLC-FR1;
(2)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(3)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むLC-FR2;
(4)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(5)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むLC-FR3;
(6)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;および
(7)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むLC-FR4;
を含む。
【0124】
一局面において、本明細書では、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含むか、またはSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗PD-1抗体が提供される。一局面において、本明細書では、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、かつSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗PD-1抗体が提供される。一局面において、本明細書では、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインのCDRを含み、かつSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインのCDRを含む抗PD-1抗体が提供される。
【0125】
いくつかの態様において、本明細書では、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗PD-1抗体が提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつPD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸が、SEQ ID NO:31において置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)で起こる。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、SEQ ID NO:31の重鎖可変ドメイン配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の態様では、重鎖可変ドメインは、(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0126】
いくつかの態様において、本明細書では、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗PD-1抗体が提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつPD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸が、SEQ ID NO:32において置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)で起こる。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、SEQ ID NO:32の軽鎖可変ドメイン配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の態様では、軽鎖可変ドメインは、(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0127】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、上記態様のいずれかに記載されるような重鎖可変ドメインと、上記態様のいずれかに記載されるような軽鎖可変ドメインとを含む。一態様では、該抗体は、SEQ ID NO:31の重鎖可変ドメイン配列とSEQ ID NO:32の軽鎖可変ドメイン配列とを含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0128】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、i)SEQ ID NO: 17のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、SEQ ID NO: 18のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、およびSEQ ID NO: 19のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3と、ii)SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3とを含む;この場合に、抗PD-1抗体のCDRは、概してKabatナンバリングスキームによって定義される。
【0129】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、i)SEQ ID NO: 31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列と、ii)SEQ ID NO: 32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列とを含む。
【0130】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、以下のアミノ酸配列:
を含む重鎖と、以下のアミノ酸配列:
を含む軽鎖とを含む。
【0131】
いくつかの態様において、本明細書では、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗PD-1抗体が提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつPD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸が、SEQ ID NO:33において置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)で起こる。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、SEQ ID NO:33の重鎖配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の態様では、重鎖は、(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0132】
いくつかの態様において、本明細書では、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗PD-1抗体が提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつPD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸が、SEQ ID NO:34において置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)で起こる。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、SEQ ID NO:34の軽鎖配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の態様では、軽鎖は、(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0133】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブのCDRを含み、かつモノクローナル抗体である。
【0134】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブであり、これは、米国特許第8,354,509号および第8,900,587号に記載されるように抗体KEYTRUDA(登録商標)としても知られている。
【0135】
ペムブロリズマブのCDRを含む本発明の抗PD-1抗体はまた、PD-1(例えば、ヒトPD-1)へのその結合親和性の観点からも説明または特定することができる。好ましい結合親和性は、解離定数つまりKdが5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M未満のものを含む。
【0136】
免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、μと指定された重鎖を有する。γおよびαクラスはサブクラスにさらに分割され、例えば、ヒトは次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型バリアントとして存在することができ(Jefferis and Lefranc 2009. mAbs Vol 1 Issue 4 1-7に概説)、いずれも本明細書中の態様のいくつかで使用するのに適している。ヒト集団における共通のアロタイプバリアントは、文字a、f、n、zまたはそれらの組み合わせで指定されたものである。本明細書中の態様のいずれかにおいて、該抗体は、ヒトIgG Fc領域からなる重鎖Fc領域を含むことができる。さらなる態様では、ヒトIgG Fc領域は、ヒトIgG1からなる。
【0137】
前記抗体はまた、修飾された誘導体、すなわち、共有結合が該抗体のPD-1への結合を妨げないような、該抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾された誘導体をも含む。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって、修飾されている抗体が含まれる。多くの化学修飾のいずれも、特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない、公知の技術によって実施され得る。さらに、該誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含むことができる。
【0138】
D. 核酸、宿主細胞および作製方法
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸も本明細書で提供される。本明細書に記載の抗TF抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含むベクターが本明細書でさらに提供される。本明細書に記載の抗TF抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を発現する宿主細胞が本明細書でさらに提供される。本明細書に記載の抗TF抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含むベクターを保有する宿主細胞が本明細書でさらに提供される。抗TF抗体、リンカー、および抗TF抗体-薬物コンジュゲートを作製する方法は、米国特許第9,168,314号に記載されている。
【0139】
本明細書に記載の抗TF抗体または本明細書に記載の抗PD-1抗体は、周知の発現ベクター系および宿主細胞を使用して、周知の組換え技術により作製することができる。一態様では、該抗体は、De la Cruz Edmunds et al., 2006, Molecular Biotechnology 34; 179-190;EP216846;米国特許第5,981,216号;WO 87/04462;EP323997;米国特許第5,591,639号;米国特許第5,658,759号;EP338841;米国特許第5,879,936号;および米国特許第5,891,693号に開示されるように、GS発現ベクター系を用いてCHO細胞において作製される。
【0140】
当技術分野で周知の技術を用いて細胞培地から該抗TF抗体を単離および精製した後、それらは、米国特許第9,168,314号に記載されるように、リンカーを介してモノメチルアウリスタチンEとコンジュゲートされる。
【0141】
本明細書に記載の抗TFモノクローナル抗体または本明細書に記載の抗PD-1モノクローナル抗体は、例えば、Kohler et al., Nature, 256, 495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されるか、または組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352, 624-628 (1991)およびMarks et al., JMol, Biol., 222(3):581-597 (1991)に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。モノクローナル抗体は、任意の適切な供給源から得ることができる。したがって、例えば、モノクローナル抗体は、関心対象の抗原で免疫したマウス由来のマウス脾臓B細胞から調製されたハイブリドーマから、例えば、表面上に該抗原を発現する細胞の形で、または関心対象の抗原をコードする核酸の形で、得ることができる。モノクローナル抗体はまた、免疫されたヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えばラット、イヌ、霊長類など、の抗体発現細胞から誘導されたハイブリドーマから得ることもできる。
【0142】
一態様では、本発明の抗体(例えば、チソツマブのCDRを含む抗TF抗体、またはペムブロリズマブのCDRを含む抗PD-1抗体)はヒト抗体である。TFまたはPD-1に対するヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニックまたはトランスクロモソーマル(transchromosomal:染色体導入)マウスを使用して作製することができる。そのようなトランスジェニックおよびトランスクロモソミック(transchromosomic)マウスには、本明細書でそれぞれHuMAbマウスおよびKMマウスと呼ばれるマウスが含まれ、これらは本明細書ではまとめて「トランスジェニックマウス」と呼ばれる。
【0143】
HuMAbマウスは、再配列されていないヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ座位(minilocus)を、内因性μおよびκ鎖座位を不活性化する標的突然変異と一緒に含む(Lonberg, N. et al., Nature, 368, 856-859 (1994))。その結果、このマウスはマウスIgMまたはκの発現低下を示し、免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランスジーンがクラススイッチおよび体細胞変異を受けて高親和性ヒトIgG,κモノクローナル抗体を生成する(Lonberg, N. et al. (1994), 前出; Lonberg, N. Handbook of Experimental Pharmacology 113, 49-101 (1994)に掲載; Lonberg, N. and Huszar. D., Intern. Rev. Immunol, Vol. 13 65-93 (1995)およびHarding, F. and Lonberg, N. Ann, N.Y. Acad. Sci 764:536-546 (1995))。HuMAbマウスの作製は以下の文献に詳しく説明されている:Taylor, L. et al., Nucleic Acids Research. 20:6287-6295 (1992); Chen, J. et al., International Immunology. 5:647-656 (1993); Tuaillon at al., J. Immunol, 152:2912-2920 (1994); Taylor, L. et al., International Immunology, 6:579-591 (1994); Fishwild, D. et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)。また、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、第5,770,429号、第5,545,807号、WO 98/24884、WO 94/25585、WO 93/1227、WO 92/22645、WO 92/03918およびWO 01/09187も参照されたい。
【0144】
HCo7マウスは、その内因性軽鎖(κ)遺伝子のJKD破壊(Chen et al, EMBO J. 12:821-830 (1993)に記載)、その内因性重鎖遺伝子のCMD破壊(WO 01/14424の実施例1に記載)、KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン(Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載)、およびHCo7ヒト重鎖トランスジーン(米国特許第5,770,429号に記載)を有する。
【0145】
HCo12マウスは、その内因性軽鎖(κ)遺伝子のJKD破壊(Chen et al, EMBO J. 12:821-830 (1993)に記載)、その内因性重鎖遺伝子のCMD破壊(WO 01/14424の実施例1に記載)、KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン(Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載)、およびHCo12ヒト重鎖トランスジーン(WO 01/14424の実施例2に記載)を有する。
【0146】
HCo17トランスジェニックマウス系統(US 2010/0077497をも参照)は、pHC2の80kbインサート(Taylor et al. (1994) Int. Immunol., 6:579-591)、pVX6のKbインサート、およびyIgH24染色体の~460kb酵母人工染色体断片の同時注入によって作出された。この系統を(HCo17) 25950と命名した。次に、(HCo17) 25950系統を、CMD変異(PCT公開WO 01109187の実施例1に記載)、JKD変異(Chen et al, (1993) EMBO J. 12:811-820)、および(KCo5) 9272トランスジーン(Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851)を含むマウスと交配させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖およびκ軽鎖座位の破壊のためにホモ接合性のバックグラウンドで、ヒト免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖トランスジーンを発現する。
【0147】
HCo20トランスジェニックマウス系統は、ミニ座位30重鎖トランスジーンpHC2、生殖細胞系列可変領域(Vh)含有YAC yIgH10、およびミニ座位構築物pVx6(WO09097006に記載)を同時注入した結果である。次に、この(HCo20)系統を、CMD変異(PCT公開WO 01/09187の実施例1に記載)、JKD変異(Chen et al, (1993) EMBO J. 12:811-820)、および(KCo5) 9272トランスジーン(Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851)を含むマウスと交配させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖およびκ軽鎖座位の破壊のためにホモ接合性のバックグラウンドで、ヒト10免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖トランスジーンを発現する。
【0148】
Balb/c系統の有益な特性を備えたHuMabマウスを作製するために、KCo5系統(Fishwild et al, (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851に記載)を野生型Balb/cマウスに戻し交配することによって作製されたKco05 [MIK] (Balb)マウスとHuMabマウスとを交雑させて、WO09097006に記載されるマウスを作出した。この交雑を用いて、HCo12、HCo17、およびHCo20系統についてのBalb/cハイブリッドを作出した。
【0149】
KMマウス系統では、内因性マウスκ軽鎖遺伝子がChen et al., EMBO J. 12:811-820 (1993)に記載されるようにホモ接合的に破壊されており、また、内因性マウス重鎖遺伝子がWO 01/09187の実施例1に記載されるようにホモ接合的に破壊されている。このマウス系統は、Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載されるように、ヒトκ軽鎖トランスジーンを保有する。このマウス系統はまた、WO 02/43478に記載されるように、第14染色体断片hCF(SC20)からなるヒト重鎖トランスクロモソームをも保有する。
【0150】
これらのトランスジェニックマウス由来の脾細胞を使用すると、周知の技法に従って、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製することができる。本発明のヒトモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、または他の種に由来する本発明の抗体はまた、目的の免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列がトランスジェニックである別の非ヒト哺乳動物または植物を作出し、それから回収可能な形態で抗体を産生させることによって、遺伝子組換え的に作製することもできる。哺乳動物でのトランスジェニック産生に関連して、抗体をヤギ、ウシ、または他の哺乳動物において産生させ、その乳汁から抗体を回収することができる。例えば、米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号、および第5,741,957号を参照されたい。
【0151】
さらに、本発明のヒト抗体または他の種に由来する本発明の抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて、ディスプレイ型の技術、例えば、限定するものではないが、ファージディスプレイ、レトロウイルスディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびその他の技術によって、作製することができる;得られる分子は親和性成熟などのさらなる成熟技術に供することができ、そうした技術は当技術分野で周知である(例えば、Hoogenboom et al., J. Mol, Biol. 227(2):381-388 (1992)(ファージディスプレイ);Vaughan et al., Nature Biotech, 14:309 (1996)(ファージディスプレイ);Hanes and Plucthau, PNAS USA 94:4937-4942 (1997)(リボソームディスプレイ);Parmley and Smith, Gene, 73:305-318 (1988)(ファージディスプレイ);Scott, TIBS. 17:241-245 (1992);Cwirla et al., PNAS USA, 87:6378-6382 (1990);Russel et al., Nucl. Acids Research, 21:1081-4085 (1993);Hogenboom et al., Immunol, Reviews, 130:43-68 (1992);Chiswell and McCafferty, TIBTECH, 10:80-84 (1992);および米国特許第5,733,743号を参照のこと)。ヒト抗体ではない抗体を作製するためにディスプレイ技術を利用した場合には、そのような抗体をヒト化してもよい。
【0152】
III. 結合アッセイおよび他のアッセイ
一局面では、本発明の抗体は、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、イムノブロッティング(例えば、ウエスタンブロッティング)、フローサイトメトリー(例えば、FACS(商標))、免疫組織化学、免疫蛍光法などの公知の方法によって、その抗原結合活性について試験される。
【0153】
別の局面では、競合アッセイを使用して、TFまたはPD-1への結合について本明細書に記載の抗体のいずれか1つ(例えば、チソツマブまたはペムブロリズマブ)と競合する抗体を同定することができる。交差競合(cross-competing)抗体は、Biacore解析、ELISAアッセイ、フローサイトメトリーなどの、標準的なTFまたはPD-1結合アッセイで交差競合するそれらの能力に基づいて容易に同定され得る(例えば、WO 2013/173223を参照)。特定の態様では、そのような競合抗体は、本明細書に開示される抗体(例えば、チソツマブまたはペムブロリズマブ)のいずれか1つによって結合される同じエピトープ(例えば、一次構造エピトープまたは立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Molecular Biology Vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ, 1996)中のMorris “Epitope Mapping Protocols”に提供されている。
【0154】
例示的な競合アッセイでは、固定化したPD-1を、PD-1に結合する第1の標識抗体(例えば、ペムブロリズマブ)およびPD-1への結合について第1の抗体と競合する能力について試験される第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化したPD-1を、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体のPD-1への結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰の未結合抗体を除去し、固定化PD-1に伴う標識の量を測定する。固定化PD-1に伴う標識の量が、対照サンプルと比較して、試験サンプルで大幅に減少する場合、それは、第2の抗体がPD-1への結合について第1の抗体と競合することを示している。例えば、Harlow et al. Antibodies: A Laboratory Manual. Ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1988)を参照のこと。いくつかの態様では、ある抗PD-1抗体が競合アッセイで別のPD-1抗体のPD-1への結合を20%より大きく、25%より大きく、30%より大きく、35%より大きく、40%より大きく、45%より大きく、50%より大きく、55%より大きく、60%より大きく、65%より大きく、70%より大きく、75%より大きく、80%より大きく、85%より大きく、90%より大きく、95%より大きくブロックする場合、その抗体はPD-1への結合について当該別のPD-1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と競合する。いくつかの態様では、ある抗PD-1抗体が競合アッセイで別のPD-1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)のPD-1への結合を20%より小さく、15%より小さく、10%より小さく、9%より小さく、8%より小さく、7%より小さく、6%より小さく、5%より小さく、4%より小さく、3%より小さく、2%より小さく、1%より小さくブロックする場合、その抗体はPD-1への結合について当該別のPD-1抗体(例えば、ニボルマブ)と競合しない。いくつかの態様では、PD-1はヒトPD-1である。
【0155】
同様の競合アッセイを実施して、ある抗TF抗体がTFへの結合についてチソツマブと競合するかどうかを判定することができる。いくつかの態様では、ある抗TF抗体が競合アッセイで別のTF抗体(例えば、チソツマブ)のTFへの結合を20%より大きく、25%より大きく、30%より大きく、35%より大きく、40%より大きく、45%より大きく、50%より大きく、55%より大きく、60%より大きく、65%より大きく、70%より大きく、75%より大きく、80%より大きく、85%より大きく、90%より大きく、95%より大きくブロックする場合、その抗体はTFへの結合について当該別のTF抗体(例えば、チソツマブ)と競合する。いくつかの態様では、ある抗TF抗体が競合アッセイで別のTF抗体(例えば、チソツマブ)のTFへの結合を20%より小さく、15%より小さく、10%より小さく、9%より小さく、8%より小さく、7%より小さく、6%より小さく、5%より小さく、4%より小さく、3%より小さく、2%より小さく、1%より小さくブロックする場合、その抗体はTFへの結合について当該他のTF抗体(例えば、チソツマブ)と競合しない。いくつかの態様では、TFはヒトTFである。
【0156】
IV. 治療方法
本発明は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体を用いて、対象におけるがんを治療するための方法を提供する。一局面では、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一局面では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。特定の態様では、対象はヒトである。
【0157】
別の局面では、本発明は、がんの治療に使用するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートを提供し、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントはPD-1活性を阻害し、かつ抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、この場合に、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは概してKabatナンバリングスキームによって定義される;および
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される。
【0158】
別の局面では、本発明は、がんの治療に使用するための、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、抗PD-1抗体は、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントはPD-1活性を阻害し、かつ該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、この場合に、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは概してKabatナンバリングスキームによって定義される;および
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される。
【0159】
A. 乳癌
WHO(世界保健機関)が発表した2014年の世界がん報告書によると、乳癌は世界で2番目に多いがんであって、年間100万件を超える新規症例を占めると報告されている。2000年には約40万人の女性が乳癌で死亡し、女性の全死亡者数の1.6%に相当するという。乳癌による死亡の割合は、経済的に貧しい地域(女性の全死亡者数の0.5%)よりも豊かな先進国(2%)においてはるかに高かった。このように、乳癌は西洋のライフスタイルと強く関係している。発展途上国がヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本と同様のライフスタイルを達成することに成功するにつれて、彼らもまた、かなり高いがん発生率、特に乳癌の発生率に遭遇するであろう。最近のデータは、この予測を裏付けており、2008年から2012年にかけて乳癌が20%増加したことを示している(Carter D. "New global survey shows an increasing cancer burden". Am J Nurs. 2014 Mar; 114(3): 17)。
【0160】
いくつかの局面では、本発明は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体を用いて、対象における乳癌を治療するための方法を提供する。いくつかの態様では、乳癌はER+/HER2-乳癌である。いくつかの態様では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。一局面では、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一局面では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。特定の態様では、対象はヒトである。
【0161】
いくつかの態様では、該対象由来の乳癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、該対象由来の乳癌細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて決定される。
【0162】
いくつかの態様では、該対象由来の乳癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、PD-L1を発現する。いくつかの態様では、該対象由来の乳癌細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、PD-L1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、腫瘍比率スコア(TPS)≧1%でPD-L1を発現する。本明細書中のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、高いPD-L1発現(TPS≧50%)を有する。本明細書中のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、複合陽性スコア(CPS)≧1%でPD-L1を発現する。US 2017/0285037を参照のこと。本明細書中のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、複合陽性スコア(CPS)≧10%でPD-L1を発現する。いくつかの態様では、PD-L1を発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、PD-L1を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、PD-L1を発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて決定される。
【0163】
いくつかの態様では、乳癌に由来する腫瘍は、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する細胞を1つまたは複数含む。
【0164】
いくつかの態様では、該対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、PD-1を発現する。いくつかの態様では、該対象由来のT細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、PD-1を発現する。いくつかの態様では、PD-1を発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、PD-1を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、PD-1を発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて決定される。
【0165】
B. 子宮頸癌
子宮頸癌は、スクリーニング、診断、予防、および治療の進歩にもかかわらず、依然として女性のがん関連死の主な原因の1つである。それは、新たに診断されたがん症例全体の約4%を占め、がんによる死亡者総数の4%を占める。Zhu et al., 2016, Drug Des. Devel. Ther. 10:1885-1895を参照のこと。子宮頸癌は、世界で7番目に多く見られる女性のがんであり、欧州連合では16番目に多いがんである。最初の発現時のステージに応じて、子宮頸癌は女性の25~61%で再発することがある。Tempfer et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:525-533を参照のこと。ほとんどの場合、再発疾患は最初の治療から2年以内に診断され、様々な部位で観察され得る。こうした患者の標準的な治療は化学療法である。Zhu et al., 2016, Drug Des. Devel. Ther. 10:1885-1895を参照のこと。現在、全生存期間の中央値は1年を超えているが、ステージIVの子宮頸癌の5年相対生存率は15%にすぎず、子宮頸癌の改善された治療方法の必要性が高いことを示している。
【0166】
いくつかの局面において、本明細書では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体を用いて、対象における子宮頸癌を治療するための方法が提供される。一局面では、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一局面では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。いくつかの態様では、対象は、子宮頸癌に対する以前の全身療法を受けたことがない。いくつかの態様では、化学療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、放射線療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、化学療法と放射線療法の併用は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、対象は化学療法および/または放射線療法で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法および/または内臓摘出療法である。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法である。いくつかの態様では、根治療法は内臓摘出療法である。特定の態様では、対象はヒトである。
【0167】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、子宮頸癌は、腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍、すりガラス細胞癌(glassy cell carcinoma)、または絨毛腺管状腺癌(villoglandular adenocarcinoma)である。いくつか態様では、子宮頸癌は、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は扁平上皮癌である。
【0168】
いくつかの態様では、対象由来の子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、対象由来の子宮頸癌細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて決定される。
【0169】
いくつかの態様では、該対象由来の子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、PD-L1を発現する。いくつかの態様では、該対象由来の子宮頸癌細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、PD-L1を発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、腫瘍比率スコア(TPS)≧1%でPD-L1を発現する。本明細書中のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、高いPD-L1発現(TPS≧50%)を有する。本明細書中のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、複合陽性スコア(CPS)≧1%でPD-L1を発現する。US 2017/0285037を参照のこと。本明細書中のいくつかの態様では、対象の腫瘍は、複合陽性スコア(CPS)≧10%でPD-L1を発現する。いくつかの態様では、PD-L1を発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、PD-L1を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、PD-L1を発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて決定される。
【0170】
いくつかの態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する細胞を1つまたは複数含む。
【0171】
いくつかの態様では、該対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、PD-1を発現する。いくつかの態様では、該対象由来のT細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、PD-1を発現する。いくつかの態様では、PD-1を発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、PD-1を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、PD-1を発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて決定される。
【0172】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、子宮頸癌はステージ0、1、2、3、または4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌はステージ0、1A、1B、2A、2B、3A、3B、4Aまたは4Bの子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は、国際産婦人科連合(International Federation of Gynecology and Obstetrics:FIGO)の病期分類システムによってステージを分類される。いくつかの態様では、病期分類は臨床検査に基づいて行われる。いくつかの態様では、ステージ0の子宮頸癌では、がん腫は子宮頸部の表層(内部を覆っている細胞)に限局している。いくつかの態様では、ステージ1の子宮頸癌では、がん腫は子宮頸部のより深部にまで成長しているが、まだそれを越えて拡がっていない。いくつかの態様では、ステージ1Aの子宮頸癌では、浸潤性のがん腫は顕微鏡検査によってのみ診断することができ、最深の浸潤は5mm未満であり、最大の広がりは7mm未満である。いくつかの態様では、ステージ1Bの子宮頸癌では、病変部は臨床的に肉眼で見ることができ、子宮頸部に限られている。いくつかの態様では、ステージ2の子宮頸癌では、子宮頸部のがん腫は子宮を越えて浸潤しているが、骨盤壁または膣壁の下3分の1には達していない。いくつかの態様では、ステージ2Aの子宮頸癌では、子宮頸部の周囲への浸潤は見られない。いくつかの態様では、ステージ2Bの子宮頸癌では、子宮頸部の周囲への浸潤が見られる。いくつかの態様では、ステージ3の子宮頸癌では、腫瘍が骨盤壁に拡がっており、かつ/または膣壁の下3分の1に達しており、かつ/または水腎症もしくは無機能腎を引き起こす。いくつかの態様では、ステージ3Aの子宮頸癌では、腫瘍は膣壁の下3分の1に達しているが、骨盤壁には拡がっていない。いくつかの態様では、ステージ3Bの子宮頸癌では、骨盤壁に拡がっており、かつ/または水腎症もしくは無機能腎を引き起こす。いくつかの態様では、ステージ4の子宮頸癌では、がん腫は真骨盤を越えて拡がっているか、膀胱または直腸の粘膜に浸潤している。いくつかの態様では、ステージ4Aの子宮頸癌では、腫瘍は隣接臓器に転移している。いくつかの態様では、ステージ4Bの子宮頸癌では、腫瘍は遠隔臓器に転移している。いくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌はグレード3またはグレード4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行期の子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性および再発性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は再発子宮頸癌である。
【0173】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、対象は、子宮頸癌に対する以前の全身療法を受けたことがない。いくつかの態様では、化学療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、放射線療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、化学療法と放射線療法の併用は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、対象は化学療法および/または放射線療法で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は化学療法および放射線療法による治療に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は化学療法による子宮頸癌の治療を受けて、該化学療法に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は照射による子宮頸癌の治療を受けて、該照射に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は化学療法および放射線療法による治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は化学療法による子宮頸癌の治療を受けて、該化学療法による治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は照射による子宮頸癌の治療を受けて、該照射による治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は化学療法および/または放射線療法による治療後に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、対象は化学療法による子宮頸癌の治療を受けて、該化学療法による治療後に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、対象は照射による子宮頸癌の治療を受けて、該照射による治療後に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、対象は、子宮頸癌について1つまたは複数の治療剤で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の治療剤による治療を以前に受けたことがあり、その治療に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の治療剤による治療を以前に受けたことがあり、その治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の治療剤による治療を以前に受けたことがあり、治療中に病勢の進行を経験した。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤は、以下からなる群より選択される:化学療法剤、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、トポテカン、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせ、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、およびベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせ。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤は化学療法剤である。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はシスプラチンである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はカルボプラチンである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はパクリタキセルである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はトポテカンである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとシスプラチンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はパクリタキセルとトポテカンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとトポテカンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせである。いくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法および/または内臓摘出療法である。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法である。いくつかの態様では、根治療法は内臓摘出療法である。特定の態様では、対象はヒトである。
【0174】
C. 投与経路
本明細書に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートもしくはその抗原結合断片は、適切な経路および方法で投与することができる。本発明の抗体および/または抗体-薬物コンジュゲートを投与する適切な経路は、当技術分野で周知であり、当業者によって選択され得る。一態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体および/または本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは非経口的に投与される。非経口投与は、経腸投与および外用以外の、通常は注射による投与方法を指し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の投与経路は、静脈内注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路は、静脈内注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路は、皮下である。
【0175】
D. 投与量と投与頻度
一局面では、本発明は、本明細書に記載されるがんを有する対象を、特定の用量の本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントで治療する方法を提供し、この場合、該対象は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを特定の頻度で投与される。
【0176】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、対象の体重1kgあたり約0.9mg~約2.1mgの範囲の用量で該対象に投与される。特定の態様では、その用量は約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgである。本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、対象の体重1kgあたり0.9mg~2.1mgの範囲の用量で該対象に投与される。特定の態様では、その用量は0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、または2.1mg/kgである。一態様では、その用量は約2.0mg/kgである。一態様では、その用量は2.0mg/kgである。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一態様では、用量は約1.3mg/kgである。一態様では、用量は1.3mg/kgである。いくつかの態様では、用量は1.3mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、対象が100kgの体重である場合に投与されるであろう量である。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、65mg、90mg、130mg、または200mgである。
【0177】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約1~4週間に1回対象に投与される。特定の態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約3週間に1回投与される。一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、1つ以上の有害事象が発生した場合には、抗体-薬物コンジュゲートの用量を調整する。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、1つ以上の有害事象が発生した場合には、その用量を1.3mg/kgに減量する。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、1つ以上の有害事象が発生した場合には、その用量を0.9mg/kgに減量する。
【0178】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約50mg~約200mgの範囲の固定用量(flat dose)で対象に投与され、例えば、約50mgの固定用量、約60mgの固定用量、約70mgの固定用量、約80mgの固定用量、約90mgの固定用量、約100mgの固定用量、約110mgの固定用量、約120mgの固定用量、約130mgの固定用量、約140mgの固定用量、約150mgの固定用量、約160mgの固定用量、約170mgの固定用量、約180mgの固定用量、約190mgの固定用量、または約200mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約1~4週間に1回投与される。特定の態様では、固定用量は対象に約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0179】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、50mg~200mgの範囲の固定用量で対象に投与され、例えば、50mgの固定用量、60mgの固定用量、70mgの固定用量、80mgの固定用量、90mgの固定用量、100mgの固定用量、110mgの固定用量、120mgの固定用量、130mgの固定用量、140mgの固定用量、150mgの固定用量、160mgの固定用量、170mgの固定用量、180mgの固定用量、190mgの固定用量、または200mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約1~4週間に1回投与される。特定の態様では、固定用量は対象に約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0180】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約50mg~約500mgの範囲の固定用量で対象に投与され、例えば、約50mgの固定用量、約60mgの固定用量、約70mgの固定用量、約80mgの固定用量、約90mgの固定用量、約100mgの固定用量、約120mgの固定用量、約140mgの固定用量、約160mgの固定用量、約180mgの固定用量、約200mgの固定用量、約220mgの固定用量、約240mgの固定用量、約260mgの固定用量、約280mgの固定用量、約300mgの固定用量、約320mgの固定用量、約340mgの固定用量、約360mgの固定用量、約380mgの固定用量、約400mgの固定用量、約420mgの固定用量、約440mgの固定用量、約460mgの固定用量、約480mgの固定用量、または約500mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、その固定用量は約200mgである。本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、50mg~500mgの範囲の固定用量で対象に投与され、例えば、50mgの固定用量、60mgの固定用量、70mgの固定用量、80mgの固定用量、90mgの固定用量、100mgの固定用量、120mgの固定用量、140mgの固定用量、160mgの固定用量、180mgの固定用量、200mgの固定用量、220mgの固定用量、240mgの固定用量、260mgの固定用量、280mgの固定用量、300mgの固定用量、320mgの固定用量、340mgの固定用量、360mgの固定用量、380mgの固定用量、400mgの固定用量、420mgの固定用量、440mgの固定用量、460mgの固定用量、480mgの固定用量、または500mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、その固定用量は200mgである。いくつかの態様では、その固定用量は200mgであり、かつ抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。いくつかの態様では、その固定用量は400mgである。いくつかの態様では、その固定用量は400mgであり、かつ抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。いくつかの態様では、固定用量は約140mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約140mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約140mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約140mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約160mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約160mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約160mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約160mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約180mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約180mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約180mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約180mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約200mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約200mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約200mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約200mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約220mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約220mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約220mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約220mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約240mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約240mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約240mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約240mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約260mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約260mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約260mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約260mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約360mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約360mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約360mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約360mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約360mgであり、約5週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約360mgであり、約6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約400mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約400mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約400mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約400mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約400mgであり、約5週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約400mgであり、約6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約440mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約440mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約440mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約440mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約440mgであり、約5週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約440mgであり、約6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は140mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は140mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は140mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は140mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は160mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は160mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は160mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は160mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は180mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は180mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は180mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は180mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は220mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は220mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は220mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は220mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は240mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は240mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は240mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は240mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は260mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は260mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は260mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は260mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は360mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は360mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は360mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は360mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は360mgであり、約5週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は360mgであり、約6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約5週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は440mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は440mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は440mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は440mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は440mgであり、約5週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は440mgであり、約6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgであり、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は200mgで、3週間に1回投与され、かつ該抗体はペムブロリズマブである。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、約6週間(例えば、±6日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgであり、6週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は400mgで、6週間に1回投与され、かつ該抗体はペムブロリズマブである。
【0181】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントおよび本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、固定用量で対象に投与される。いくつかの態様では、固定用量は、それらの抗体の量(例えば、mg)に基づく。特定の態様では、固定用量は、それらの抗体の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの量(例えば、mg)と本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の量(例えば、mg)の比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、または約2:1である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの量(例えば、mg)と本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の量(例えば、mg)の比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:120、1:140、1:160、1:180、1:200、200:1、180:1、160:1、140:1、120:1、100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、または2:1である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの濃度(例えば、mg/ml)と本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の濃度(例えば、mg/ml)の比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、または約2:1である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの濃度(例えば、mg/ml)と本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の濃度(例えば、mg/ml)の比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:120、1:140、1:160、1:180、1:200、200:1、180:1、160:1、140:1、120:1、100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、または2:1である。
【0182】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgであって、約3週間(例えば、±3日)に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は200mgであって、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgであって、3週間に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は200mgであって、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgであって、3週間に1回投与され、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、かつ抗PD-1抗体の用量は200mgであって、3週間に1回投与され、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。
【0183】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgであって、約3週間(例えば、±3日)に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は400mgであって、約6週間(例えば、±6日)に1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgであって、3週間に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は400mgであって、6週間に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgであって、3週間に1回投与され、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、かつ抗PD-1抗体の用量は400mgであって、6週間に1回投与され、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。
【0184】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgであって、約3週間(例えば、±3日)に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は200mgであって、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgであって、3週間に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は200mgであって、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgであって、3週間に1回投与され、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、かつ抗PD-1抗体の用量は200mgであって、3週間に1回投与され、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。
【0185】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgであって、約3週間(例えば、±3日)に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は400mgであって、約6週間(例えば、±6日)に1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgであって、3週間に1回投与され、かつ本明細書に記載の抗PD-1抗体の用量は400mgであって、6週間に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgであって、3週間に1回投与され、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、かつ抗PD-1抗体の用量は400mgであって、6週間に1回投与され、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。
【0186】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片と本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時投与または逐次的投与である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗PD-1抗体と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと、本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと、本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、少なくとも1時間の間隔で、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔をあけて投与されることを意味する。
【0187】
いくつかの態様では、本明細書に記載される治療方法または使用は、1つまたは複数の追加の治療剤の投与をさらに含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加の治療剤は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント(例えばペムブロリズマブ)と同時に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加の治療剤と、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片と、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントとは、逐次的に投与される。
【0188】
E. 治療成果
一局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを用いてがんを治療する方法は、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に対象における1つまたは複数の治療効果の改善をもたらす。いくつかの態様では、1つまたは複数の治療効果は、がん(例えば、乳癌または子宮頸癌)に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間、またはそれらの任意の組み合わせである。一態様では、1つまたは複数の治療効果は、上記癌に由来する腫瘍のサイズである。一態様では、1つまたは複数の治療効果は腫瘍サイズの縮小である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は病勢の安定である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は部分奏効である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は完全奏効である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は客観的奏効率である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は奏効持続期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は奏効までの期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は無増悪生存期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は全生存期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果はがんの退縮である。
【0189】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療への応答は、以下の基準(RECIST基準1.1)を含むことができる:
【0190】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療の有効性は、客観的奏効率を測定することによって評価される。いくつかの態様では、客観的奏効率は、最短期間で腫瘍サイズの所定量の減少を示した患者の割合である。いくつかの態様では、客観的奏効率はRECIST v1.1に基づく。一態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約20%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約30%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約40%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約50%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約60%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約70%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約85%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約90%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約95%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約98%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約99%である。一態様では、客観的奏効率は、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも20%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも30%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも40%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも50%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも60%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも70%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも85%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも90%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも95%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも98%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも99%である。一態様では、客観的奏効率は100%である。
【0191】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療への応答は、がん(例えば、乳癌または子宮頸癌)に由来する腫瘍のサイズを測定することによって評価される。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約10%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約20%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約30%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約40%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約50%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約60%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約70%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約85%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約90%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約95%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約98%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約99%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも10%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも20%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも30%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも40%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも50%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも60%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも70%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも85%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも90%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも95%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも98%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも99%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは100%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは磁気共鳴イメージング(MRI)により測定される。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズはコンピュータ断層撮影(CT)により測定される。いくつかの態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは骨盤検査により測定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。いくつかの態様では、乳癌に由来する腫瘍のサイズは、マンモグラフィ、超音波検査、または磁気共鳴イメージング(MRI)により測定される。Gruber et. al., 2013, BMC Cancer. 13:328を参照のこと。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前の腫瘍のサイズと比較して減少する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与前の腫瘍のサイズと比較して減少する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前の腫瘍のサイズと比較して減少する。
【0192】
本明細書で提供および記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント(例えばペムブロリズマブ)による治療への応答は、がん(例えば、乳癌または子宮頸癌)に由来する腫瘍の退縮を促進する。一態様では、がん由来の腫瘍は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約10%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約20%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約30%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約40%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約50%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約60%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約70%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約85%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約90%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約95%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約98%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約99%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも10%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも20%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも30%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも40%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも50%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも60%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも70%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも85%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも90%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも95%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも98%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも99%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は100%退縮する。一態様では、腫瘍の退縮は、磁気共鳴イメージング(MRI)で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。一態様では、腫瘍の退縮は、コンピュータ断層撮影(CT)で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。いくつかの態様では、腫瘍の退縮は、骨盤検査で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。いくつかの態様では、腫瘍の退縮は、マンモグラフィ、超音波検査、または磁気共鳴イメージング(MRI)により判定される。Gruber et. al., 2013, BMC Cancer. 13:328を参照のこと。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前の腫瘍のサイズと比較して退縮する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与前の腫瘍のサイズと比較して退縮する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍は、本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与前の腫瘍のサイズと比較して退縮する。
【0193】
本明細書に記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載される本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。
【0194】
本明細書に記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載される本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の全生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約6ヶ月の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約1年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約2年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約3年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約4年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも6ヶ月の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも1年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも2年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも3年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも4年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に、少なくとも5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の全生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与後の全生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の全生存期間を測定することにより評価される。
【0195】
本明細書に記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載される本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療への応答は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後の本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約6ヶ月である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約1年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約2年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約3年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約4年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも約5年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも6ヶ月である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも1年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも2年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも3年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも4年である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体の奏効持続期間は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後、少なくとも5年である。いくつかの態様では、奏効持続期間は本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に測定される。いくつかの態様では、奏効持続期間は本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与後に測定される。いくつかの態様では、奏効持続期間は本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与後に測定される。
【0196】
F. 有害事象
一局面では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載される本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを用いてがん(例えば、乳癌または子宮頸癌)を治療する方法は、対象が1つまたは複数の有害事象を発症することにつながる。いくつかの態様では、有害事象を排除するか、またはその重症度を軽減するために、対象に追加の治療剤が投与される。いくつかの態様では、対象が発症する1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲低下、下痢、嘔吐、末梢神経障害、全身健康状態低下、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、有害事象(例えば、結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎)を排除するか、またはその重症度を軽減するために、対象には追加の治療剤による治療が施される。いくつかの態様では、該治療は、目用冷却パッド(例えば、THERA PEARLアイマスクまたは同様のもの)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は再発性の輸注関連反応であり、追加の治療剤は抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、および/またはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は好中球減少症であり、追加の治療剤は増殖因子サポート(G-CSF)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能亢進症であり、追加の薬剤は非選択性β遮断薬(例えば、プロプラノロール)またはチオナミド類である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能低下症であり、追加の薬剤は甲状腺補充ホルモン(例えば、レボチロキシンまたはリオチロニン)である。
【0197】
一局面では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載される抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントで治療された対象は、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクがある。いくつかの態様では、有害事象の発症を予防するか、または有害事象の重症度を軽減するために、対象は追加の治療剤を投与される。いくつかの態様では、対象が発症するリスクのある1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲低下、下痢、嘔吐、末梢神経障害、全身健康状態低下、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、有害事象(例えば、結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎)の発症を予防するか、または有害事象の重症度を軽減するために、対象には追加の治療剤による治療が施される。いくつかの態様では、該治療は、目用冷却パッド(例えば、THERA PEARLアイマスクまたは同様のもの)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は再発性の輸注関連反応であり、追加の治療剤は抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、および/またはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は好中球減少症であり、追加の治療剤は増殖因子サポート(G-CSF)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能亢進症であり、追加の薬剤は非選択性β遮断薬(例えば、プロプラノロール)またはチオナミド類である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能低下症であり、追加の薬剤は甲状腺補充ホルモン(例えば、レボチロキシンまたはリオチロニン)である。
【0198】
V. 組成物
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片のいずれか、および/または本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物(例えば、薬学的組成物)も本明細書で提供される。
【0199】
治療用製剤は、所望の純度を有する有効成分を、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより、保存用に調製される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, Lippincott Williams & Wiklins発行, Gennaro編, フィラデルフィア, ペンシルバニア州, 2000年)。
【0200】
許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用する投与量と濃度でレシピエントに無毒のものであり、以下が含まれる:緩衝剤;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウム;防腐剤;等張化剤;安定剤;金属錯体(例:Zn-タンパク質錯体);キレート剤、例えばEDTA;および/または非イオン性界面活性剤。
【0201】
緩衝剤は、特に安定性がpH依存性である場合、治療効果を最適化する範囲にpHを調整するために使用され得る。緩衝剤は、約50mM~約250mMの範囲の濃度で存在し得る。本発明での使用に適した緩衝剤には、有機酸と無機酸の両方およびそれらの塩が含まれる。例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸、シュウ酸、乳酸、酢酸およびそれらの塩。さらに、緩衝剤は、ヒスチジンおよびトリス(Tris)などのトリメチルアミン塩で構成されてもよい。
【0202】
防腐剤は、微生物の増殖を防ぐために添加することができ、通常は約0.2%~1.0%(w/v)の範囲で存在する。本発明での使用に適した防腐剤には、以下が含まれる:オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;ハロゲン化ベンザルコニウム(例:塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール。
【0203】
等張化剤は、時には「安定剤」としても知られており、組成物中の液体の浸透圧を調整または維持するために存在し得る。タンパク質および抗体などの大きな荷電生体分子と共に使用する場合、それらはアミノ酸側鎖の荷電基と相互作用し、それによって分子間および分子内相互作用の可能性を低下させるため、「安定剤」と呼ばれることが多い。等張化剤は、他の成分の相対量を考慮して、約0.1重量%~約25重量%または約1重量%~約5重量%の量で存在することができる。いくつかの態様では、等張化剤には、多価糖アルコール、三価以上の糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトールが含まれる。
【0204】
追加の賦形剤には、以下の1つ以上として機能し得る添加剤が含まれる:(1)増量剤、(2)溶解促進剤、(3)安定剤、および(4)変性または容器壁への付着を防止する添加剤。そのような賦形剤としては、以下が挙げられる:多価糖アルコール(上で列挙);アミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど;有機糖または糖アルコール、例えば、スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイノシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例:イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、チオ硫酸ナトリウム;低分子量タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;単糖類(例:キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例:ラクトース、マルトース、スクロース);三糖類、例えばラフィノース;多糖類、例えば、デキストリンまたはデキストラン。
【0205】
非イオン性界面活性剤またはデタージェント(「湿潤剤」としても知られる)は、治療剤の可溶化を助けるため、ならびに撹拌により誘発される凝集から治療用タンパク質を保護するために存在することができ、それはまた、活性治療用タンパク質または抗体の変性を引き起こすことなく製剤が剪断表面応力に曝されることを可能にする。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml~約1.0mg/mlまたは約0.07mg/ml~約0.2mg/mlの範囲で存在する。いくつかの態様では、非イオン性界面活性剤は、約0.001%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.025%w/vの範囲で存在する。
【0206】
適切な非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられる:ポリソルベート(20、40、60、65、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、PLURONIC(登録商標)ポリオール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80など)、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース。使用できるアニオン性デタージェントには、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムが含まれる。カチオン性デタージェントには、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムが含まれる。
【0207】
本明細書で提供される治療方法で使用するための、本明細書に記載の抗TF抗体コンジュゲートを含む製剤は、WO2015/075201に記載されている。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、抗TF抗体-薬物コンジュゲート、ヒスチジン、スクロース、およびD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は約6.0のpHを有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、約10mg/mlの濃度の抗TF抗体-薬物コンジュゲート、約30mMの濃度のヒスチジン、約88mMの濃度のスクロース、約165mMの濃度のD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は約6.0のpHを有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、10mg/mlの濃度の抗TF抗体-薬物コンジュゲート、30mMの濃度のヒスチジン、88mMの濃度のスクロース、165mMの濃度のD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は6.0のpHを有する。いくつかの態様では、この製剤は、10mg/mlの濃度のチソツマブベドチン、30mMの濃度のヒスチジン、88mMの濃度のスクロース、165mMの濃度のD-マンニトールを含み、6.0のpHを有する。
【0208】
本明細書で提供されるいくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体コンジュゲートを含む製剤は、界面活性剤を含まない(すなわち、界面活性剤フリーである)。
【0209】
製剤をインビボ投与に使用するためには、それらは無菌でなければならない。製剤は、滅菌ろ過膜を通してろ過することによって無菌にすることができる。本明細書中の治療用組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内輸液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0210】
投与経路は、公知の容認された方法に従い、例えば、単回もしくは複数回のボーラス投与、または適切な方法での長期間にわたる注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内または関節内経路による注射または注入、局所投与、吸入または持続放出もしくは徐放性手段による。
【0211】
本明細書に記載の製剤はまた、治療される特定の適応症のために必要に応じて複数の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するもの、を含んでもよい。あるいは、またはさらに、該組成物は、細胞毒性薬、サイトカインまたは増殖抑制剤を含み得る。そのような分子は、意図した目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
【0212】
本発明は、本明細書に記載の子宮頸癌を治療する方法で使用するための、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の集団を含む組成物を提供する。いくつかの局面では、抗体-薬物コンジュゲートの集団を含む組成物が本明細書で提供され、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートはMMAEに結合したリンカーを含み、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造を有する:
ここで、pは1~8の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8)を表し、Sは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基を表し、Abは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメント、例えばチソツマブ、を表す。いくつかの態様では、pは3~5の数を表す。いくつかの態様では、該組成物中のpの平均値は約4である。いくつかの態様では、該集団は、各抗体-薬物コンジュゲートごとにpが1から8まで変化する、抗体-薬物コンジュゲートの混合集団である。いくつかの態様では、該集団は、各抗体-薬物コンジュゲートがpについて同じ値を有する、抗体-薬物コンジュゲートの均一集団である。
【0213】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片を含む組成物は、本明細書に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時投与または逐次的投与である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは本明細書に記載の抗PD-1抗体と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗PD-1抗体と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートと本明細書に記載の抗PD-1抗体とが、少なくとも1時間の間隔、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔をあけて対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を含む組成物は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を含む組成物は、有害事象の発症を予防するかまたは有害事象の重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共投与される。
【0214】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を含む組成物は、1つまたは複数の追加の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時投与または逐次的投与である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体は、1つまたは複数の追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と1つまたは複数の追加の治療剤とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と1つまたは複数の追加の治療剤とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と、1つまたは複数の追加の治療剤とが、逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と、1つまたは複数の追加の治療剤とが、少なくとも1時間の間隔で、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔をあけて投与されることを意味する。
【0215】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を含む組成物は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の追加の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時投与または逐次的投与である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の追加の治療剤とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、同時とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の追加の治療剤とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の追加の治療剤とが、逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体と、1つまたは複数の追加の治療剤とが、少なくとも1時間の間隔、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔をあけて投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤の前に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体の前に投与される。
【0216】
VI. 製造物品およびキット
別の局面では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を含む製造物品またはキットが提供される。製造物品またはキットは、本発明の方法で本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を使用するための説明書をさらに含み得る。かくして、特定の態様では、製造物品またはキットは、有効量の本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を対象に投与することを含む、対象におけるがん(例えば、乳癌または子宮頸癌)の治療方法において、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、がんは乳癌である。いくつかの態様では、乳癌はER+/HER2-乳癌である。いくつかの態様では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。いくつかの態様では、がんは子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行期の子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行期の子宮頸癌はステージ3またはステージ4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性癌および再発癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は再発癌である。いくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。いくつかの態様では、対象は子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0217】
製造物品またはキットはさらに容器を含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(例えば、シングルまたはデュアルチャンバーシリンジ)および試験管が含まれる。いくつかの態様では、容器はバイアルである。容器は、ガラス、プラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は製剤を保持する。
【0218】
製造物品またはキットはさらに、容器上にあるかまたは容器に付随するラベルまたは添付文書を含むことができ、製剤の再調製および/または使用に関する指示を示し得る。ラベルまたは添付文書は、製剤が皮下、静脈内(例えば、静注)、または本明細書に記載される乳癌または子宮頸癌(例えば、グレード3もしくはグレード4または転移性子宮頸癌などの進行した子宮頸癌)などの対象におけるがんを治療するための他の投与方法に有用であるか、またはそのような投与に向いていることをさらに示し得る。製剤を保持する容器は、単回使用バイアル、または再調製した製剤の反復投与を可能にする複数回使用バイアルであり得る。製造物品またはキットは、適切な希釈剤を含む第2の容器をさらに含んでもよい。製造物品またはキットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きの添付文書など、商業的、治療的、およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0219】
本明細書中の製造物品またはキットは、任意で、第2の薬剤を含む容器をさらに含み、この場合、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは第1の薬剤である;該製造物品またはキットは、有効量の第2の薬剤で対象を治療するための、ラベルまたは添付文書上の指示をさらに含む。いくつかの態様では、第2の薬剤は本明細書に記載の抗PD-1抗体である。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書には、第1の薬剤と第2の薬剤を、本明細書に記載されるように、逐次的または同時に投与すべきであることが示される。
【0220】
本明細書中の製造物品またはキットは、任意で、第3の薬剤を含む容器をさらに含み、この場合、第3の薬剤は1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するためのものであり、ここで、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは第1の薬剤であり、本明細書に記載の抗PD-1抗体は第2の薬剤である;該製造物品またはキットは、有効量の第3の薬剤で対象を治療するための、ラベルまたは添付文書上の指示をさらに含む。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書には、第1、第2、および第3の薬剤を、本明細書に記載されるように、逐次的または同時に投与すべきであることが示される;例えば、ラベルまたは添付文書には、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートを最初に投与し、続いて本明細書に記載の抗PD-1抗体を投与し、その後第3の薬剤を投与すべきであることが示される。
【0221】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載の抗PD-1抗体は、凍結乾燥粉末として容器内に存在する。いくつかの態様では、凍結乾燥粉末は、活性薬剤の量を示す、バイアル、アンプル、小袋などの密閉容器内にある。薬剤が注射により投与される場合には、諸成分を投与前に混合することができるように、例えば、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを、任意でキットの一部として、提供することができる。そのようなキットは、当業者には容易に明らかであるように、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む容器、追加の容器などの、1つまたは複数の様々な従来の薬学的コンポーネントを、必要に応じて、さらに含むことができる。投与される成分の量、投与に関するガイドライン、および/または諸成分を混合するためのガイドラインを示す、添付文書またはラベルとしての、印刷された説明書を、キットに含めることもできる。
【0222】
VII. 例示的な態様
本明細書で提供される態様には、以下が含まれる:
1. 対象におけるがんを治療する方法であって、Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合フラグメントと、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートとを該対象に投与する工程を含み、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、方法。
2. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量、例えば、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgの用量で投与される、態様1の方法。
3. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様1または2の方法。
4. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様1または2の方法。
5. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様1または2の方法。
6. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様1または2の方法。
7. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様1~6のいずれかの方法。
8. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様7の方法。
9. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様7の方法。
10. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与される、態様1~9のいずれかの方法。
11. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約200mgの固定用量で投与される、態様1~10のいずれかの方法。
12. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが200mgの固定用量で投与される、態様1~10のいずれかの方法。
13. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様1~12のいずれかの方法。
14. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約3週間に1回投与される、態様13の方法。
15. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが3週間に1回投与される、態様13の方法。
16. 前記がんが乳癌である、態様1~15のいずれかの方法。
17. 前記乳癌がER+/HER2-乳癌またはトリプルネガティブ乳癌である、態様16の方法。
18. 前記がんが子宮頸癌である、態様1~15のいずれかの方法。
19. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様18の方法。
20. 前記根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、態様19の方法。
21. 前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様18の方法。
22. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様18~21のいずれかの方法。
23. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様18~22のいずれかの方法。
24. 前記進行期の子宮頸癌がステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様23の方法。
25. 前記進行期の子宮頸癌が転移性の子宮頸癌である、態様23または24の方法。
26. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様18~25のいずれかの方法。
27. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様1~26のいずれかの方法。
28. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様1~27のいずれかの方法。
29. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様1~28のいずれかの方法。
30. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様1~29のいずれかの方法。
31. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む、態様1~30のいずれかの方法。
32. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様31の方法。
33. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様32の方法。
34. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合している、態様31~33のいずれかの方法。
35. 前記リンカーがMMAEに結合しており、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様34の方法。
36. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様35の方法。
37. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様1~36のいずれかの方法。
38. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様1~37のいずれかの方法。
39. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様1~38のいずれかの方法。
40. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様1~39のいずれかの方法。
41. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、態様1~40のいずれかの方法。
42. 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、態様1~41のいずれかの方法。
43. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内または皮下である、態様1~42のいずれかの方法。
44. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内である、態様1~42のいずれかの方法。
45. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与される、態様1~44のいずれかの方法。
46. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが同時に投与される、態様1~44のいずれかの方法。
47. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様1~46のいずれかの方法。
48. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-L1を発現する、態様1~47のいずれかの方法。
49. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(TPS≧1)を有する、態様1~48のいずれかの方法。
50. 前記対象がPD-L1発現の高い腫瘍(TPS≧50)を有する、態様1~48のいずれかの方法。
51. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(CPS≧1)を有する、態様1~48のいずれかの方法。
52. 前記がんに由来する腫瘍が、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む、態様1~51のいずれかの方法。
53. 前記対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-1を発現する、態様1~52のいずれかの方法。
54. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される、態様1~53のいずれかの方法。
55. 前記1つまたは複数の治療効果が、前記がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様54の方法。
56. 前記がんに由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前の該がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様1~55のいずれかの方法。
57. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様1~56のいずれかの方法。
58. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様1~57のいずれかの方法。
59. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様1~58のいずれかの方法。
60. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様1~59のいずれかの方法。
61. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様1~60のいずれかの方法。
62. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様1~61のいずれかの方法。
63. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である、態様61または62の方法。
64. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様61~63のいずれかの方法。
65. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様61~63のいずれかの方法。
66. 前記1つまたは複数の有害事象が、結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である、態様61または62の方法。
67. 前記対象がヒトである、態様1~66のいずれかの方法。
68. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様1~67のいずれかの方法。
69. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様1~68のいずれかの方法。
70. 対象におけるがんの治療に使用するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートであって、該抗体-薬物コンジュゲートが、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントがPD-1活性を阻害し、かつ該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、抗体-薬物コンジュゲート。
71. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量、例えば、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgの用量で投与される、態様70の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
72. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様70~71のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
73. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様70~71のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
74. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様70~71のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
75. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様70~71のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
76. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様70~75のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
77. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様76の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
78. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様76の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
79. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与される、態様70~78のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
80. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約200mgの固定用量で投与される、態様70~79のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
81. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが200mgの固定用量で投与される、態様70~79のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
82. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約400mgの固定用量で投与される、態様70~79のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
83. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが400mgの固定用量で投与される、態様70~79のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
84. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、または約6週間に1回投与される、態様70~83のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
85. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約3週間に1回投与される、態様84の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
86. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが3週間に1回投与される、態様84の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
87. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約6週間に1回投与される、態様84の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
88. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが6週間に1回投与される、態様84の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
89. 前記がんが乳癌である、態様70~88のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
90. 前記乳癌がER+/HER2-乳癌またはトリプルネガティブ乳癌である、態様89の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
91. 前記がんが子宮頸癌である、態様70~88のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
92. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様91の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
93. 前記根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、態様92の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
94. 前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様91の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
95. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様91~94のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
96. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様91~95のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
97. 前記進行期の子宮頸癌がステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様96の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
98. 前記進行期の子宮頸癌が転移性の子宮頸癌である、態様96または97の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
99. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様91~98のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
100. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様70~99のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
101. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様70~100のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
102. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様70~101のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
103. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様70~102のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
104. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む、態様70~103のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
105. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様104の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
106. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様105の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
107. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合している、態様104~106のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
108. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様107の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
109. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様108の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
110. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様70~109のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
111. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様70~110のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
112. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様70~111のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
113. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様70~112のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
114. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、態様70~113のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
115. 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、態様70~114のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
116. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内または皮下である、態様70~115のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
117. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内である、態様70~115のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
118. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が皮下である、態様70~115のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
119. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与される、態様70~118のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
120. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが同時に投与される、態様70~118のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
121. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様70~120のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
122. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-L1を発現する、態様70~121のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
123. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(TPS≧1)を有する、態様70~122のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
124. 前記対象がPD-L1発現の高い腫瘍(TPS≧50)を有する、態様70~122のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
125. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(CPS≧1)を有する、態様70~122のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
126. 前記がんに由来する腫瘍が、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む、態様70~125のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
127. 前記対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-1を発現する、態様70~126のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
128. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される、態様70~127のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
129. 前記1つまたは複数の治療効果が、前記がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様128の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
130. 前記がんに由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前の該がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様70~129のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
131. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様70~130のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
132. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様70~131のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
133. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様70~132のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
134. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様70~133のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
135. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様70~134のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
136. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様70~135のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
137. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である、態様135または態様136の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
138. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様135~137のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
139. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様135~137のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
140. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である、態様135または態様136の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
141. 前記対象がヒトである、態様70~140のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
142. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様70~141のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
143. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様70~142のいずれかの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
144. 対象におけるがんを治療するための医薬の製造における、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートの使用であって、該医薬が抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて使用するためのものであり、該抗体-薬物コンジュゲートがモノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントがPD-1活性を阻害し、かつ抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、使用。
145. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量、例えば、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgの用量で投与される、態様144の使用。
146. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様144~145のいずれかの使用。
147. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様144~145のいずれかの使用。
148. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様144~145のいずれかの使用。
149. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様144~145のいずれかの使用。
150. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様144~149のいずれかの使用。
151. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様150の使用。
152. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様150の使用。
153. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与される、態様144~152のいずれかの使用。
154. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約200mgの固定用量で投与される、態様144~153のいずれかの使用。
155. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが200mgの固定用量で投与される、態様144~153のいずれかの使用。
156. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約400mgの固定用量で投与される、態様144~153のいずれかの使用。
157. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが400mgの固定用量で投与される、態様144~153のいずれかの使用。
158. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、または約6週間に1回投与される、態様144~157のいずれかの使用。
159. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約3週間に1回投与される、態様158の使用。
160. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが3週間に1回投与される、態様158の使用。
161. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約6週間に1回投与される、態様158の使用。
162. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが6週間に1回投与される、態様158の使用。
163. 前記がんが乳癌である、態様144~162のいずれかの使用。
164. 前記乳癌がER+/HER2-乳癌またはトリプルネガティブ乳癌である、態様163の使用。
165. 前記がんが子宮頸癌である、態様144~162のいずれかの使用。
166. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様165の使用。
167. 前記根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、態様166の使用。
168. 前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様165の使用。
169. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様165~168のいずれかの使用。
170. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様165~169のいずれかの使用。
171. 前記進行期の子宮頸癌がステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様170の使用。
172. 前記進行期の子宮頸癌が転移性の子宮頸癌である、態様170または態様171の使用。
173. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様165~172のいずれかの使用。
174. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様144~173のいずれかの使用。
175. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様144~174のいずれかの使用。
176. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様144~175のいずれかの使用。
177. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様144~176のいずれかの使用。
178. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む、態様144~177のいずれかの使用。
179. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様178の使用。
180. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様179の使用。
181. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合している、態様178~180のいずれかの使用。
182. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様181の使用。
183. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様182の使用。
184. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様144~183のいずれかの使用。
185. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様144~184のいずれかの使用。
186. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様144~185のいずれかの使用。
187. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様144~186のいずれかの使用。
188. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、態様144~187のいずれかの使用。
189. 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、態様144~188のいずれかの使用。
190. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内または皮下である、態様144~189のいずれかの使用。
191. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内である、態様144~189のいずれかの使用。
192. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が皮下である、態様144~189のいずれかの使用。
193. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与される、態様144~192のいずれかの使用。
194. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが同時に投与される、態様144~192のいずれかの使用。
195. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様144~194のいずれかの使用。
196. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-L1を発現する、態様144~195のいずれかの使用。
197. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(TPS≧1)を有する、態様144~196のいずれかの使用。
198. 前記対象がPD-L1発現の高い腫瘍(TPS≧50)を有する、態様144~196のいずれかの使用。
199. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(CPS≧1)を有する、態様144~196のいずれかの使用。
200. 前記がんに由来する腫瘍が、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む、態様144~199のいずれかの使用。
201. 前記対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-1を発現する、態様144~200のいずれかの使用。
202. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される、態様144~201のいずれかの使用。
203. 前記1つまたは複数の治療効果が、前記がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様202の使用。
204. 前記がんに由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前の該がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様144~203のいずれかの使用。
205. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様144~204のいずれかの使用。
206. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様144~205のいずれかの使用。
207. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様144~206のいずれかの使用。
208. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様144~207のいずれかの使用。
209. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様144~208のいずれかの使用。
210. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様144~209のいずれかの使用。
211. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である、態様209または態様210の使用。
212. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様209~211のいずれかの使用。
213. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様209~211のいずれかの使用。
214. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である、態様209または態様210の使用。
215. 前記対象がヒトである、態様144~214のいずれかの使用。
216. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様144~215のいずれかの使用。
217. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様144~216のいずれかの使用。
218. 以下を含むキット:
(a)約50mg~約500mgの範囲の用量の、Programmed Death-1(PD-1)に結合してPD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
(b)約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量の、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートであって、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、抗体-薬物コンジュゲート;および
(c)態様1~69のいずれかの方法に従って該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと該抗体-薬物コンジュゲートを使用するため、または対象におけるがんの治療方法における態様70~143のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて該抗体-薬物コンジュゲートを使用するための、説明書。
219. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントがペムブロリズマブである、態様218のキット。
220. ペムブロリズマブの用量が200mgである、態様219のキット。
221. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様218~220のいずれかのキット。
222. チソツマブベドチンの用量が1.3mg/kgである、態様221のキット。
223. チソツマブベドチンの用量が2.0mg/kgである、態様221のキット。
224. 対象におけるがんの治療に使用するための、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該抗PD-1抗体が、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントがPD-1活性を阻害し、かつ該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
225. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量、例えば、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgの用量で投与される、態様224の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
226. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様224~225のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
227. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様224~225のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
228. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様224~225のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
229. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様224~225のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
230. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様224~229のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
231. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様230の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
232. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様230の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
233. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与される、態様224~232のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
234. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約200mgの固定用量で投与される、態様224~232のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
235. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが200mgの固定用量で投与される、態様224~232のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
236. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約400mgの固定用量で投与される、態様224~232のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
237. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが400mgの固定用量で投与される、態様224~232のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
238. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、または約6週間に1回投与される、態様224~237のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
239. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約3週間に1回投与される、態様238の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
240. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが3週間に1回投与される、態様238の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
241. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約6週間に1回投与される、態様238の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
242. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが6週間に1回投与される、態様238の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
243. 前記がんが乳癌である、態様224~242のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
244. 前記乳癌がER+/HER2-乳癌またはトリプルネガティブ乳癌である、態様243の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
245. 前記がんが子宮頸癌である、態様224~242のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
246. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様245の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
247. 前記根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、態様246の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
248. 前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様245の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
249. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様245~248のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
250. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様245~249のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
251. 前記進行期の子宮頸癌がステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様250の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
252. 前記進行期の子宮頸癌が転移性の子宮頸癌である、態様250または251の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
253. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様245~252のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
254. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様224~253のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
255. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様224~254のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
256. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様224~255のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
257. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様224~256のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
258. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む、態様224~257のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
259. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様258の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
260. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様259の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
261. 前記リンカーが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、態様258~260のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
262. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様261の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
263. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様262の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
264. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様224~263のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
265. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様224~264のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
266. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様224~265のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
267. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様224~266のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
268. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、態様224~267のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
269. 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、態様224~268のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
270. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内または皮下である、態様224~269のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
271. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内である、態様224~269のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
272. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が皮下である、態様224~269のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
273. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与される、態様224~272のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
274. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが同時に投与される、態様224~272のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
275. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様224~274のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
276. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-L1を発現する、態様224~275のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
277. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(TPS≧1)を有する、態様224~276のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
278. 前記対象がPD-L1発現の高い腫瘍(TPS≧50)を有する、態様224~276のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
279. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(CPS≧1)を有する、態様224~276のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
280. 前記がんに由来する腫瘍が、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む、態様224~279のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
281. 前記対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-1を発現する、態様224~280のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
282. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される、態様224~281のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
283. 前記1つまたは複数の治療効果が、前記がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様282の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
284. 前記がんに由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前の該がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様224~283のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
285. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様224~284のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
286. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様224~285のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
287. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様224~286のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
288. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様224~287のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
289. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様224~288のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
290. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様224~289のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
291. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である、態様289または態様290の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
292. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様289~291のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
293. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様289~291のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
294. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である、態様289または態様290の使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
295. 前記対象がヒトである、態様224~294のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
296. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様224~295のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
297. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様224~296のいずれかの使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
298. 対象におけるがんを治療するための医薬の製造における、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの使用であって、該医薬がTFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用するためのものであり、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンEにコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントがPD-1活性を阻害し、かつ該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;かつ
該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、使用。
299. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量、例えば、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgの用量で投与される、態様298の使用。
300. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様298~299のいずれかの使用。
301. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様298~299のいずれかの使用。
302. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様298~299のいずれかの使用。
303. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様298~299のいずれかの使用。
304. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様298~303のいずれかの使用。
305. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様304の使用。
306. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様304の使用。
307. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約50mg~約500mgの範囲の固定用量で投与される、態様298~306のいずれかの使用。
308. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約200mgの固定用量で投与される、態様298~307のいずれかの使用。
309. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが200mgの固定用量で投与される、態様298~307のいずれかの使用。
310. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約400mgの固定用量で投与される、態様298~307のいずれかの使用。
311. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが400mgの固定用量で投与される、態様298~307のいずれかの使用。
312. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、または約6週間に1回投与される、態様298~311のいずれかの使用。
313. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約3週間に1回投与される、態様312の使用。
314. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが3週間に1回投与される、態様312の使用。
315. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが約6週間に1回投与される、態様312の使用。
316. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが6週間に1回投与される、態様312の使用。
317. 前記がんが乳癌である、態様298~316のいずれかの使用。
318. 前記乳癌がER+/HER2-乳癌またはトリプルネガティブ乳癌である、態様317の使用。
319. 前記がんが子宮頸癌である、態様298~316のいずれかの使用。
320. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様319の使用。
321. 前記根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、態様320の使用。
322. 前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様319の使用。
323. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様319~322のいずれかの使用。
324. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様319~323のいずれかの使用。
325. 前記進行期の子宮頸癌がステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様324の使用。
326. 前記進行期の子宮頸癌が転移性の子宮頸癌である、態様324または325の使用。
327. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様319~326のいずれかの使用。
328. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様298~327のいずれかの使用。
329. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様298~328のいずれかの使用。
330. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様298~329のいずれかの使用。
331. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様298~330のいずれかの使用。
332. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンEとの間にリンカーをさらに含む、態様298~331のいずれかの使用。
333. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様332の使用。
334. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcは、ジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様333の使用。
335. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合している、態様322~334のいずれかの使用。
336. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様335の使用。
337. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様336の使用。
338. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様298~337のいずれかの使用。
339. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様298~338のいずれかの使用。
340. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様298~339のいずれかの使用。
341. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、態様298~340のいずれかの使用。
342. 前記抗PD-1抗体が、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、態様298~341のいずれかの使用。
343. 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、態様298~342のいずれかの使用。
344. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内または皮下である、態様298~343のいずれかの使用。
345. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が静脈内である、態様298~343のいずれかの使用。
346. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与経路が皮下である、態様298~343のいずれかの使用。
347. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが逐次的に投与される、態様298~346のいずれかの使用。
348. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと前記抗体-薬物コンジュゲートとが同時に投与される、態様298~346のいずれかの使用。
349. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様298~348のいずれかの使用。
350. 前記対象由来のがん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-L1を発現する、態様298~349のいずれかの使用。
351. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(TPS≧1)を有する、態様298~350のいずれかの使用。
352. 前記対象がPD-L1発現の高い腫瘍(TPS≧50)を有する、態様298~350のいずれかの使用。
353. 前記対象がPD-L1を発現する腫瘍(CPS≧1)を有する、態様298~350のいずれかの使用。
354. 前記がんに由来する腫瘍が、PD-L1、PD-L2、またはPD-L1とPD-L2の両方を発現する1つまたは複数の細胞を含む、態様298~353のいずれかの使用。
355. 前記対象由来のT細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、PD-1を発現する、態様298~354のいずれかの使用。
356. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に改善される、態様298~355のいずれかの使用。
357. 前記1つまたは複数の治療効果が、前記がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様356の使用。
358. 前記がんに由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与前の該がんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様298~357のいずれかの使用。
359. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様298~358のいずれかの使用。
360. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様298~359のいずれかの使用。
361. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様298~360のいずれかの使用。
362. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様298~361のいずれかの使用。
363. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様298~362のいずれかの使用。
364. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様298~363のいずれかの使用。
365. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、出血、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身健康状態低下である、態様363または態様364の使用。
366. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様363~365のいずれかの使用。
367. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様363~365のいずれかの使用。
368. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、および/またはステロイド点眼薬である、態様363または態様364の使用。
369. 前記対象がヒトである、態様298~368のいずれかの使用。
370. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様298~369のいずれかの使用。
371. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントが、該抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様298~370のいずれかの使用。
【0223】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および態様は例示のみを目的としており、それらを考慮した様々な修正または変更が当業者には示唆されるであろう;そうした修正または変更もまた、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれるべきであることが理解されよう。
【実施例
【0224】
実施例1:MMAEは子宮頸癌細胞株における免疫原性細胞死に関連する顕著な特徴を惹起する
免疫原性細胞死(Immunogenic cell death:ICD)は、調節された細胞死プログラムであり、これはアポトーシス腫瘍細胞に対する免疫応答の生成につながる炎症誘発性シグナルの発生と暴露によって強調される。ICDは以下により特徴づけられる:1)腫瘍細胞の表面への小胞体(ER)常駐シャペロンタンパク質の露出;2)ATPの分泌;および3)HMGB1の分泌。ERストレスの誘導は、これら3つのプロセスを調節するために重要であり、結合された薬物がMMAEである抗体-薬物コンジュゲート(ADC)によって惹起されることが示されている。
【0225】
子宮頸癌細胞株であるHeLa細胞を、10%FBS、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、ペニシリン(100U/ml)、およびストレプトマイシン(100μg/ml)を含む最小必須培地(Minimum Essential Medium:MEM)で培養した。HeLa細胞を100nM MMAEで16時間処理し、ウエスタンブロット分析のために放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)バッファー中に回収した。MMAEによる処理は、セリンスレオニンキナーゼIRE1のリン酸化を引き起こし、これはERストレスの活性化を示している。重度のERストレスは、腫瘍細胞の表面での貧食作用促進(pro-phagocytic)シグナルの露出の前提条件であり、リン酸化されたIRE1によるJNKシグナル伝達の活性化によって示され得る。本明細書に示されるように、MMAEによる処理は、IRE1およびJNKのリン酸化によって重度のERストレスを惹起した(図1)。
【0226】
HeLa細胞のMMAEによる処理は、微小管ネットワークの解体(disassembly)と、その後のER誤局在(mislocalization)につながった。HeLa細胞を、RFP標識チューブリン(CellLight Tubulin-RFP,ThermoFisher Scientific社)およびER結合性色素(ER-ID Green,Enzo Life Sciences社)をコードするバキュロウイルスで形質導入した。細胞を100nM MMAEで処理し、MMAEの存在下で経時的に画像化した。2時間以内に、微小管ネットワークの断片化と解体が、核周囲の組織化されたER格子構造の破壊と同時に、明らかになった(図2Aおよび2B)。凝縮されかつ誤局在化されたER骨格は、8時間以内に重度のERストレスを示した。
【0227】
ICDの誘導は、ATPとHMGB1の分泌によっても特徴づけられる。細胞外ATPは強力な走化性シグナルとして機能し、腫瘍部位への免疫細胞の遊走を促進する。到着すると、細胞外HMGB1が様々な炎症誘発性受容体(TLR2、TLR4、RAGE)を介してシグナルを送って、抗原提示細胞を活性化し、それによって腫瘍内の免疫活性を促進する。本明細書に示されるように、HeLa細胞を100nM MMAEで処理すると、24時間にわたってATPとHMGB1の分泌が増加した(図3Aおよび3B;**p<0.01、****p<0.0001)。
【0228】
抗原陽性細胞へのADC結合、MMAEペイロードの切断と放出、その後の細胞死の一連のイベントは、チソツマブベドチン機能の一次メカニズムであるが、このプロセスの各ステップは、全体的な抗腫瘍活性に寄与し得る追加的かつ明確なモダリティを呼び起こすことができる。チソツマブベドチンに関連するMMAE細胞毒性ペイロードは微小管を破壊し、その結果として小胞体(ER)ストレスを引き起こし、ERストレスは、T細胞応答を促進し得る免疫活性化分子の暴露を推進する。この実施例に示される子宮頸癌細胞株に対するMMAEの効果は、ERストレス経路の誘導および免疫活性化分子の暴露を実証している。したがって、チソツマブベドチンによる腫瘍細胞死の後に起こり得るT細胞応答は、チェックポイント阻害剤による治療の効果を増幅する可能性がある。
【0229】
実施例2:ヒト化マウスの異種移植モデルにおける抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
チソツマブベドチンは、組織因子(TF)に結合する抗体、プロテアーゼ切断可能なリンカー、および微小管破壊剤MMAEを含む抗体-薬物コンジュゲートである。TFは、子宮頸癌をはじめとする多くの腫瘍で異常に発現されるタンパク質であり、予後不良と関連している。Foerster Y et al. Clin Chim Acta. 2006;364(1-2):12-21およびCocco E et al. BMC Cancer. 2011;11:263を参照のこと。チソツマブベドチンは、TFを選択的に標的として、臨床的に検証された毒性ペイロードを腫瘍細胞に送達する。Breij EC et al. Cancer Res. 2014;74(4):1214-1226およびChu AJ. Int J Inflam. 2011;2011. doi:10.4061/2011/367284を参照のこと。
【0230】
抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))は、チェックポイント阻害剤であって、複数の腫瘍適応症において単独でまたは化学療法剤との併用で使用される標準治療である。本明細書では、チソツマブベドチンと、ペムブロリズマブなどの抗PD-1抗体との組み合わせを、がんの治療について評価した。
【0231】
材料および方法
抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせたチソツマブベドチンのインビボ抗腫瘍効果を、ヒトCD34造血幹細胞(サクラメントのJackson Laboratory)の生着によってヒト化されたNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)免疫不全マウス(Jackson Laboratory,ストック番号005557)で評価した。マウスに、100μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の5×106個のMDA-MB-231細胞(乳腺癌;American Tissue Culture Collection(ATCC),カタログ番号HTB-26)を皮下接種した。接種前に、CellSTACK培養チャンバー(Corning, カタログ番号3313)において、高グルコースおよびHEPES含有、L-グルタミン不含DMEM(Lonza, カタログ番号BE12-709F)、鉄含有10%(v/v)ドナーウシ血清New Zealand Origin(Thermo Fisher Scientific, DBSI, カタログ番号10371-029)、2mM L-グルタミン(Lonza, カタログ番号BE17-605E)、1mMピルビン酸ナトリウム(Lonza, カタログ番号BE13-115E)、MEM非必須アミノ酸(Life Technologies, カタログ番号11140)および1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza, カタログ番号DE17-603E)中で細胞を培養した。
【0232】
腫瘍サイズをキャリパー測定で週に少なくとも2回測定し、0.52×長さ×幅2として腫瘍体積を算出する。腫瘍が100mm3のサイズに達したら、マウスのコホートおよび腫瘍サイズに基づいて、マウスを7つのグループ(治療グループあたり8匹)に無作為に分ける(表1)。マウスを、チソツマブベドチン単独(1mg/kgまたは0.5mg/kg)で、静脈内に、週1回治療し、最大5回の治療を行うか、チソツマブベドチンと抗PD-1抗体(すなわち、ペムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、50mg濃縮物;Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ USA)との組み合わせで、または抗PD-1抗体単独で治療した。抗PD-1抗体(すなわち、ペムブロリズマブ)の初回量は10mg/kgで、その後5日ごとに5mg/kgを投与し、最大6回の治療を行った。対照グループのマウスには、1mg/kgのIgG1アイソタイプ対照抗体、またはMMAEにコンジュゲートされたIgG1アイソタイプ対照抗体を週1回静脈内投与し、最大5回の治療を行った(表1)。IgG1アイソタイプ対照抗体は、HIV-1 gp120に結合することが知られているb12抗体である。マウスを疾患の臨床症状について週に少なくとも2回観察した。マウスを個別換気(IVC)ケージに、ケージあたり5匹ずつ収容して、耳タグで識別した。
【0233】
(表1)試験デザイン
IgG1対照は、HIV-1 gp120に結合するIgG1 b12抗体を示し、IgG1アイソタイプ対照として使用した;IgG1-MMAE対照は、MMAEにコンジュゲートされたIgG1 b12抗体を示す;ADCは、MMAEにコンジュゲートされた抗TF抗体を示す;PD-1は、抗PD-1抗体を示す;IVは、静脈内投与を示す;IPは、腹腔内投与を示す。
【0234】
対照グループと治療グループの腫瘍量に統計的に有意な差があるかどうかを判定するために、治療グループの腫瘍量を対照グループ(例えば、対照抗体(例:IgG1対照または抗PD-1抗体)または対照抗体-薬物コンジュゲート(例:チソツマブベドチンまたはIgG1-MMAE))の腫瘍量と比較した。全ての治療グループが無傷であった最終日に、Mann-Whitney分析を用いて腫瘍量の統計的比較を行った。腫瘍体積(>500mm3)に基づいてKaplan-Meier解析を行った。
【0235】
結果
ペムブロリズマブ単独での治療は、腫瘍体積で評価したとき、腫瘍量をほとんど減少させなかった(図4Aおよび4B)。チソツマブベドチンによる治療は、0.5mg/kgの用量および1.0mg/kgの用量で腫瘍量を効果的に減少させた(図4Aおよび4B)。チソツマブベドチンとペムブロリズマブとの併用治療は、腫瘍退縮の誘導を増強した(図4Aおよび4B)。
【0236】
実施例3:ヒト化マウスの患者由来異種移植モデルにおける抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
ペムブロリズマブは子宮頸癌の患者で試験されたことがある。ペムブロリズマブ200mg Q3Wが、以前に治療を受けた進行子宮頸癌の患者82人に投与された。客観的奏効率は12%であった。Schellens J.H.M, et al., J Clin Oncol, 2017, 35. (Suppl.): abstr 5514を参照のこと。ここでは、チソツマブベドチンとペムブロリズマブなどの抗PD-1抗体との組み合わせが子宮頸癌の治療に関して評価される。
【0237】
材料および方法
抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせたチソツマブベドチンのインビボ抗腫瘍効果は、ヒトCD34造血幹細胞の生着によってヒト化されたNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl(NSG)免疫不全マウスまたはNOD-Prkdcem26Cd52Il2rgem26Cd22(NCG)免疫不全マウスなどの動物モデルで評価される。患者由来の異種移植片(PDX)は、がん患者からの腫瘍標本に由来する。ヌードマウスへの一次移植の後で、PDXモデルの樹立と特性評価を行う。安定した成長パターンが確立されるまで腫瘍異種移植片をおよそ3~5回継代する。ヌードマウスで連続継代した異種移植片から腫瘍断片を取得する。腫瘍を直径4~5mmの断片に切り分け、皮下移植するまでリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に入れる。この実験では、子宮頸癌PDXモデル(HUPRIME(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV1802およびCV2302; Crown Bioscience Inc.)を使用する。腫瘍サイズをキャリパー測定で週に少なくとも2回測定し、0.52×長さ×幅2として腫瘍体積を算出する。腫瘍が150~250mm3の体積に達したら、腫瘍体積に基づいて、マウスをモデルごとに7つのグループ(治療グループあたり10匹)に無作為に分ける。マウスを、チソツマブベドチン単独の静脈内注射で(例えば、0.5mg/kg~4mg/kgの間の2つの用量レベルで週1回)、または抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ペムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標);5~15mg/kgの用量で5~7日ごと)との併用で、または抗PD-1抗体単独で(例えば、ペムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標);5~15mg/kgの用量で5~7日ごと)治療する。一例では、HUPRIME(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV2320を使用する場合、マウスを、4mg/kgまたは2mg/kgの用量のチソツマブベドチン単独の静脈内注射で、または10mg/kgの初回量と、その後最大治療量(例えば、5回の治療)に達するまで5日ごとに5mg/kg用量の抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ペムブロリズマブ)との併用で治療する。抗PD-1モノクローナル抗体単独(例えば、ペムブロリズマブ)で治療されるHUPRIME(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV2320には、10mg/kgの初回量で提供し、その後最大治療量(例えば、5回の治療)に達するまで5日ごとに5mg/kg用量で提供する。別の例では、HUPRIME(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV1802を使用する場合、マウスを、1mg/kgまたは0.5mg/kgの用量のチソツマブベドチン単独の静脈内注射で、または10mg/kgの初回量と、その後最大治療量(例えば、5回の治療)に達するまで5日ごとに5mg/kg用量の抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ペムブロリズマブ)との併用で治療する。抗PD-1モノクローナル抗体単独(例えば、ペムブロリズマブ)で治療されるHUPRIME(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV1802には、10mg/kgの初回量で提供し、その後最大治療量(例えば、5回の治療)に達するまで5日ごとに5mg/kg用量で提供する。マウスを疾患の臨床症状について週に少なくとも2回観察する。マウスを個別換気(IVC)ケージに、ケージあたり5匹ずつ収容して、耳タグで識別する。
【0238】
対照グループと治療グループの腫瘍体積に統計的に有意な差があるかどうかを判定するために、全てのグループが無傷である最終日にMann-Whitney分析を用いて、治療グループの腫瘍体積を対照グループ(例えば、対照抗体(例:IgG1対照または抗PD-1抗体)または対照抗体-薬物コンジュゲート(例:チソツマブベドチンまたはIgG1-MMAE))の腫瘍体積と比較する。チソツマブベドチンと抗PD-1抗体の両方で治療したマウスの腫瘍体積を、対照抗体単独(例:IgG1対照または抗PD-1抗体)または対照抗体-薬物コンジュゲート単独(例:チソツマブベドチンまたはIgG1-MMAE)のいずれかで治療したマウスの腫瘍体積と比較し、例えばKaplan-Meierプロットに対してMantel-Cox解析を用いて、分析する。
【0239】
実施例4:同系腫瘍モデルにおける抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
マウス腫瘍細胞に、ヒト組織因子(TF)およびsgRNA誘導型Cas9ヌクレアーゼ(sgRNA/Cas9)をコードするプラスミド構築物をトランスフェクトして、ヒトTFを発現するマウス細胞株を作製する。蛍光活性化セルソーティング(FACS)により、ヒトTFを安定して発現するマウス腫瘍細胞のクローン集団を得る;次に、これらの細胞を1μg/ml~5μg/mlのチソツマブベドチンまたは100nMのMMAEで4日間処理する。免疫化用の死にかけている細胞を調製するために、処理されたマウス腫瘍細胞をHistopaqueの上に重ねて、2000gで30分間遠心分離する。死んでいる細胞と死にかけている細胞はHistopaque層の下にペレット化される;生存率をトリパンブルー排除により評価する。トリパンブルー排除で測定して、生細胞が約20%未満のサンプルを得る。細胞を液体窒素に10秒間沈めて急速凍結腫瘍細胞を調製し、その後完全に融解するまで37℃の水に浸す。液体窒素凍結-融解プロセスを5回繰り返す。死んでいるおよび死にかけているヒトTF陽性腫瘍細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁し、2×106個の細胞を免疫能力のあるBalb/cマウスの腹膜に注入する。7日後、マウスに、同じ方法で調製された死んでいる細胞と死にかけている細胞による2回目の免疫化を施す。
【0240】
死んでいるおよび死にかけているヒトTF陽性腫瘍細胞による最初の免疫化の14日後、マウスに5×106個の野生型腫瘍細胞を皮下移植して、腫瘍増殖をモニターする。チソツマブベドチンで死滅した腫瘍細胞またはMMAEで死滅した腫瘍細胞により免疫化されたマウスは、腫瘍増殖の遅延および生存率の増加を経験する。これらの効果は投与されたいずれの治療薬の非存在下でも発生するため、チソツマブベドチンまたはMMAEによって死滅した細胞の投与は、その後の腫瘍細胞チャレンジに対する長期的な防御免疫記憶を生じさせるのに十分である。防御免疫記憶は、これらのマウスを、マウスPD-1に結合する抗体と組み合わせたチソツマブベドチンで治療することによって増幅される。この併用治療は、その後の腫瘍チャレンジから治癒されるマウスの数を増加させる。
【0241】
実施例5:ファーストライン再発性またはステージIVBの子宮頸癌におけるチソツマブベドチン単独またはモノクローナル抗PD-1抗体との併用の第II相試験
再発した、再発性、および/または転移性の子宮頸癌の患者を対象に、チソツマブベドチン2.0mg/kgを投与した第I/II相試験(NCT02001623)において、極めて高い有効性と管理可能な安全性プロファイルが示された。その予備的なデータは、アンメットニーズ(unmet need)の高い集団に対してプラスのベネフィット・リスクプロファイルを示唆している。子宮頸癌患者のより大きなコホートにおける、単剤療法としての、および免疫療法(例えば、抗PD-1抗体)との併用療法としての、チソツマブベドチンのさらなる検証が必要である。
【0242】
ここでは、ファーストライン再発性またはステージIVBの子宮頸癌の患者を対象とした、1.3mg/kgもしくは2.0mg/kgのチソツマブベドチン単独、またはモノクローナル抗PD-1抗体であるペムブロリズマブとの併用の有効性、安全性および忍容性を評価する。
【0243】
方法
この第II相非盲検多施設試験では、子宮頸部のファーストライン再発性またはステージIVBの扁平上皮癌、腺扁平上皮癌、または腺癌の患者を対象に、チソツマブベドチン単独または抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用での有効性、安全性および忍容性を評価する;該患者は、手術および/または放射線療法による根治的治療に適しておらず、かつ再発性またはステージIVBの疾患に対する全身療法を以前に受けたことがない。骨盤内臓除去(pelvic exenteration)による根治療法の候補である再発性疾患の患者は、この試験に参加適格性がない。
【0244】
対象者を4つの治療グループの1つに対称的に割り振る。その割り振りは、病態(転移性/再発性)と組織像(扁平上皮/非扁平上皮)のアンバランスを最小限に抑えるように行われる。適格な対象者を、チソツマブベドチン1.3mg/kg Q3W、チソツマブベドチン2.0mg/kg Q3W、チソツマブベドチン1.3mg/kg Q3W+ペムブロリズマブ200mg Q3W、またはチソツマブベドチン2.0mg/kg Q3W+ペムブロリズマブ200mg Q3Wで治療する。各治療サイクルは21日(±3日)である。全ての治療成分を静脈内投与(IV)する。18歳以上の約60人の対象者がこの試験に登録される。試験期間は約7年である。試験に登録された対象者の適格基準と除外基準を表2に示す。
【0245】
(表2)適格基準と除外基準のリスト
【0246】
チソツマブベドチン40mgを含む凍結乾燥バイアルを2℃~8℃の冷蔵庫で保管する。チソツマブベドチンを4mlの水で再調製すると、10mg/mLのチソツマブベドチン、30mMのヒスチジン、88mMのスクロース、および165mMのD-マンニトールを含む再調製溶液が得られる。その再調製された抗体-薬物コンジュゲート溶液は6.0のpHを有する。再調製されたチソツマブベドチンを、対象者について計算された用量に従って、0.9%NaCl 100mL輸液バッグに入れて希釈する。チソツマブベドチンバイアルを再調製してから24時間以内に静脈内注入を完了する。静脈内注入には0.2μmのインラインフィルターを使用する。準備した輸液バッグから全100mL量を投与する。デッドボリュームはない。ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))注射剤は、無菌で防腐剤を含まず、透明ないしわずかに乳白色の、無色からやや黄色の溶液であり、静脈内注入には希釈が必要である。各バイアルには、4mLの溶液中に100mgのペムブロリズマブが含まれている。各1mLの溶液には、25mgのペムブロリズマブが含まれており、L-ヒスチジン(1.55mg)、ポリソルベート80(0.2mg)、スクロース(70mg)、および注射用水(USP)で製剤化されている。対象者に投与するためのペムブロリズマブの用量は、試験実施施設で算出される。
【0247】
目的および評価項目を表3に示す。対象者は、病勢の進行、毒性、または同意の取り下げまで治療される。チソツマブベドチンとペムブロリズマブとの併用治療グループに参加している対象者については、ペムブロリズマブによる35回の治療が終了した時点(約2年)で、ペムブロリズマブによる治療を中止する。対象者が確定された完全奏効(CR)を達成し、少なくとも8サイクル(24週間以上)の治療を受け、かつ最初のCRを宣言された日を超えて少なくとも2回のペムブロリズマブ投与を受けた場合も、ペムブロリズマブによる治療を中止することができる。対象者は、病勢の安定(SD)またはそれ以上に達した場合には、ペムブロリズマブの中止後もチソツマブベドチン単剤療法を継続して受けることができる。
【0248】
イメージング(画像撮影)は、初回投与日から計算して、32週間は6週間ごとに、その後は12週間ごとに行われる。試験中のイメージングは、対象者が放射線診断上で病勢の進行を経験するか、新しい抗がん剤療法を開始するか、同意を取り下げるか、または死亡するまで継続する。腫瘍応答は、無益性(futility)評価、早期有効性評価、および主要有効性評価の3つの時点で解析される。
【0249】
(表3)目的および評価項目
【0250】
プロトコルで指定された投与スケジュールに耐えられない対象者の場合には、その対象者がチソツマブベドチン単独またはペムブロリズマブとの併用による治療を継続できるようにするために、チソツマブベドチンの用量を減らすことが許可される(表4)。
【0251】
(表4)チソツマブベドチンの用量変更スキーム
* チソツマブベドチンの減量は2回まで許可される。チソツマブベドチンの2回目の減量後にAEが再発した場合は、試験治療を永久に中止しなければならない。
【0252】
ペムブロリズマブの用量を減らすことはできないが、保留することはできる。ペムブロリズマブ曝露に関連するAEは、免疫学的病因を表している可能性がある。これらの免疫関連AE(immune-related AE:irAE)は、ペムブロリズマブの初回投与直後または最終投与から数ヶ月後に発生する可能性があり、同時に2か所以上の体組織に影響を及ぼすことがある。既存の臨床試験データに基づくと、ほとんどのirAEは可逆的であり、ペムブロリズマブの中止、コルチコステロイド剤の投与、および/または他の支持療法により管理することができた。irAEの重症度に応じて、ペムブロリズマブの投与を保留するかまたは永久に中止し、コルチコステロイド剤を投与する。ペムブロリズマブに関連するirAEのための用量変更および毒性管理ガイドラインを表5に示す。AEがグレード1以下に改善した時点でコルチコステロイドのテーパリングを開始し、少なくとも4週間にわたってテーパリングを継続すべきである。ペムブロリズマブとチソツマブベドチンを保留している状況では、AEがグレード1または0に低下しかつコルチコステロイドのテーパリングを行った後で、ペムブロリズマブを再開することができる。チソツマブベドチンは、AEがグレード1または0に低下した後に再開することができる。最終投与から12週間以内にAEがなくならない場合、または12週間以内にコルチコステロイドを1日あたり10mg以下のプレドニゾンまたは同等物に減量できない場合は、ペムブロリズマブおよびチソツマブベドチンを永久に中止すべきである。グレード3以上のirAEが再発した場合には、ペムブロリズマブを中止する必要がある。重篤で生命を脅かす免疫関連の有害事象(irAE)に対しては、最初に静脈内(IV)コルチコステロイド剤を開始し、次いで経口ステロイド剤を開始すべきである。irAEをコルチコステロイド剤でコントロールできない場合は、他の免疫抑制治療を開始する必要がある。
【0253】
(表5)チソツマブベドチンとペムブロリズマブとの併用治療グループに関連したirAEに対する用量変更および毒性管理ガイドライン
注:ペムブロリズマブとチソツマブベドチンの投与を保留するかまたは永久に中止するかは、治験責任医師または治療担当医師の判断に委ねられる。
1 グレード3の肺炎に対しては、該事象が最後の投与から12週間以内にグレード1または0に回復した場合に、スポンサーとの相談の上、チソツマブベドチン単剤療法を継続することができる。肺炎が再発した場合には、チソツマブベドチンを直ちに中止しなければならない。グレード4の肺炎に対しては、チソツマブベドチンを直ちに中止する必要がある。
2 チソツマブベドチンは病因がはっきりするまで投与を控えるべきである。グレード3の事象が明らかにチソツマブベドチンと関連しておらず、かつ該事象が最後の投与から12週間以内にグレード1または0に回復した場合は、スポンサーとの相談の上、チソツマブ単剤療法を継続することができる。グレード3以上の事象が再発した場合には、チソツマブベドチンを直ちに中止しなければならない。グレード4の事象に対しては、チソツマブベドチンを直ちに中止する。
3 ペムブロリズマブとチソツマブベドチンの保留が必要な、グレード3または4の免疫関連内分泌障害をかかえた対象者に対しては、AEがグレード2以下に回復し、かつ(1型糖尿病[T1DM]の場合に)ホルモン補充療法でコントロールされているかまたは代謝的制御を達成した場合には、ペムブロリズマブとチソツマブベドチンの投与を再開することができる。
【0254】
上述した第IIa相試験では、チソツマブベドチン単独による治療の間に、特に関心の高い3つの有害事象が確認された:1)眼の有害事象;2)末梢神経障害の有害事象;および3)出血の有害事象。眼のAEの場合:チソツマブベドチンによる治療に関連して、グレード1~2の結膜炎のAEが頻繁に報告された。包括的な緩和プランと予防対策の実施により、眼の有害事象の頻度と重症度がいずれも大幅に減少した。本試験では、眼のAEを予防するために、両方の治療グループ(すなわち、チソツマブベドチン単独またはペムブロリズマブとの併用)の全ての対象者は、以下の眼の前投薬ガイドラインに従う必要がある:1)試験の全治療期間(すなわち、チソツマブベドチンの初回投与から安全性のフォローアップ来院まで)の間、防腐剤フリーの潤滑剤点眼薬を使用する。潤滑剤点眼薬は製造物品処方情報に従って投与すべきである;2)チソツマブベドチンで治療している間は、初回投与から安全性のフォローアップ来院まで、コンタクトレンズを着用しないことが推奨される;3)冷蔵庫で冷やして使う目用冷却パッド、例えばTHERA PEARLアイマスクまたは同様のものを、目用冷却パッドに付随する説明書に従って注入直前に目に当てて、注入の間使用する;4)注入前に局所眼科用血管収縮薬を投与する(ブリモニジン酒石酸塩0.2%点眼薬または同様のもの、注入開始直前に各目に3滴;その他の点では、製造物品処方情報に従って使用する)。対象者が有害反応のために眼科用血管収縮薬に耐えられない場合、これらによる治療の継続を中止することができる;および5)各治療サイクルの最初の3日間、ステロイド点眼薬(デキサメタゾン0.1%点眼薬または同等のもの)を適用する(すなわち、チソツマブベドチンの注入開始前に最初の点眼を行い、その後72時間治療を続ける)。ステロイド点眼薬は、各目に1滴を1日3回3日間投与するか、製造物品処方情報に従って使用すべきである。眼のAEについてのガイドラインを表6に示す。
【0255】
(表6)眼の有害事象に対する用量変更および毒性管理ガイドライン
gr=グレード
【0256】
末梢神経障害(末梢性ニューロパシー、末梢性感覚ニューロパシー、末梢性運動ニューロパシー、多発ニューロパシーを含む)のAEの場合:末梢神経障害は、プラチナおよびタキサンベースの化学療法ならびにMMAEベースのADCによる治療に対するよく知られた有害反応であり、チソツマブベドチンによる治療を受けた対象者の約35%で報告されている。報告された症例の大部分はグレード1~2である;しかし、末梢神経障害は、チソツマブベドチン治療を永久に中止することの主な原因である。チソツマブベドチンで治療された対象者に観察される末梢神経障害の発生率と重症度をコントロールするために、投与量の削減(表4参照)と投与の延期を含む緩和計画が実施される。グレード2および3、または既存の状態の初期もしくは悪化の場合、事象がグレード1以下に改善するまでチソツマブベドチンを保留し、その後表4に示す減量に従って次回量を減らす。ペムブロリズマブでは何の対策も取る必要はない。グレード4以上の場合、チソツマブベドチンを永久に中止する。ペムブロリズマブ単独の継続について話し合うために、スポンサーと連絡を取る。
【0257】
出血のAEの場合:出血事象は、チソツマブベドチンの作用機序により特別な関心事とされている。鼻血は最もよく報告されたAEであるが、その症例のほぼ全てがグレード1である。さらに、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)またはプロトロンビン時間(PT)の臨床的に重要な摂動(perturbation)は観察されていない。用量変更および毒性管理ガイドラインが実施される(表7)。
【0258】
(表7)チソツマブベドチンとペムブロリズマブとの併用治療グループに関連する有害事象(出血、粘膜炎、好中球減少、および神経障害)に関する用量変更および毒性管理ガイドライン
1肺出血またはCNS出血を除いたその他の出血。
【0259】
実施例6:チソツマブベドチンADCおよびMMAEに暴露された複数の組織からの細胞は細胞死を受け、かつATPとHMGB1を放出する
免疫原性細胞死(ICD)は、アポトーシスがん細胞に対する免疫応答を発生させるアポトーシスの1つの様式である。通常は小胞体(ER)内に存在するタンパク質が細胞表面に露出し、これにより、食細胞の取り込みが増加し、かつ適応免疫システムを活性化させるために腫瘍抗原のT細胞への提示が起こる。このように、ICDの誘導により、免疫システムが腫瘍に対する細胞傷害活性を認識して、開始する(mount)ことが可能となる。
【0260】
アウリスタチンADCペイロードは微小管ネットワークを破壊して、ER局在および機能を変化させ、最終的にERストレスを引き起こす。モノメチルアウリスタチンEペイロード(MMAE)に連結された組織因子指向性抗体、すなわちチソツマブベドチン(抗体-薬物コンジュゲートまたはADC)に暴露された細胞は、細胞死を受け、その際にそれらはICD関連分子であるATP(図5A)およびHMGβ1(図5C)を放出する。これらの分子の放出は、チソツマブベドチンADCおよびMMAE処理に特異的であり、複数の組織因子陽性細胞株にわたって起こる(図5B)。
【0261】
実施例7:アウリスタチンは、遊離型とADC負荷型の両方で、免疫原性細胞死に重要なERストレス経路を誘導することができる
細胞死の誘導およびICD危険シグナルの放出は、ERストレス応答の開始と同時に起こる。2つの組織因子陽性細胞株、HPAFII(膵臓癌)およびMDA-MB-231(乳癌)を、チソツマブベドチンADC、アイソタイプ-MMAE ADC(H00-MMAE、IgG1 MMAE)、または遊離MMAEに18時間暴露し、ERストレスの誘導をウエスタンブロット分析によってモニターした。イノシトールを必要とする膜貫通型キナーゼ/エンドヌクレアーゼ1(inositol-requiring transmembrane kinase/endonuclease 1:IRE1)のリン酸化を、チソツマブベドチンADCまたはMMAE遊離薬物での処理後に検出した(図6)。リン酸化の増加によってモニターされるように、IRE1の下流エフェクターであるJun N末端キナーゼ(JNK)の活性化も起こった。さらに、PKR様ERキナーゼ(PERK)の二次ERストレス経路の活性化を、ATF4切断のアップレギュレーションを介して検出した。これらのデータは、遊離型とADC負荷型の両方のアウリスタチンが、ICDおよびアポトーシス細胞表面上の腫瘍抗原の発現にとって重要であるERストレス経路を誘導することができることを示している。アウリスタチンが腫瘍抗原を認識するように免疫システムを活性化する能力を持つことで、無数の組み合わせによる治療法の選択肢の扉が開かれる。
【0262】
実施例8:チソツマブベドチンADCおよびMMAEで死滅した組織因子陽性細胞は、死細胞の取り込み後の単球/マクロファージから強力な走化性および炎症性メディエーターを引き出す
がん治療薬の作用機序の研究は、腫瘍細胞の細胞溶解をはるかに超えて拡大している。免疫療法への注目が高まっていることは、死にかけている腫瘍細胞の除去に関わるだけでなく、患者の免疫システムを関与させて抗腫瘍応答を誘発することに関わるプロセスを浮き彫りにする。細胞死とその後の細胞デブリの除去の方法は、腫瘍細胞に対する標的応答を生じさせるための免疫システムの関与と刺激のレベルにとって大いに意味がある。
【0263】
MMAEによって媒介される免疫原性細胞死は、死んでいるおよび死にかけている腫瘍細胞からの抗原に対する適応免疫応答を活性化する調節された細胞死であり、特定の腫瘍細胞抗原を標的とした強力な自然免疫細胞の活性化とそれに続く細胞傷害性T細胞応答の生成を可能にする。本明細書では、チソツマブベドチンADCおよびMMAEで死滅した組織因子陽性細胞が、死細胞の取り込み後の単球/マクロファージから強力な走化性および炎症性メディエーターを引き出すことを実証した(図7Aおよび7B)。さらに、ICD死滅細胞によって条件付けされたこれらの単球/マクロファージは、細胞傷害性T細胞応答に関連する特徴的な炎症性サイトカインの産生によって証明されるように、T細胞の活性化を促進する。
【0264】
実施例9:チソツマブベドチンはPD1標的薬ペムブロリズマブにより増強され得る自然免疫細胞の活性化と二次T細胞応答をもたらすICDを誘発する
ICDを受けているがん細胞に暴露した後の自然免疫応答の誘導は、二次T細胞活性化を引き起こし、これは併用ペムブロリズマブ治療によって増強され得る。CSFE標識ヒトPBMCに48時間供給したときのチソツマブベドチンまたはMMAEに暴露された組織因子陽性MDA-MB-231細胞は、CSFE希釈(図8A)ならびにIL12P70およびIFNγ(図8Bおよび8C)などのT細胞特異的サイトカインの産生によってモニターされるように、T細胞の増殖を推進した。組織因子を標的とする抗体単独またはアイソタイプ-MMAE ADC(アイソタイプ-MMAE、IgG1-MMAE)はこれらの応答を誘発しなかった。これらのデータは、チソツマブベドチンがペムブロリズマブにより増幅され得る自然免疫細胞の活性化と二次T細胞応答をもたらすICDを誘発することを支持している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
【配列表】
0007460608000001.app