(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】トライアル
(51)【国際特許分類】
A61F 2/36 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61F2/36
(21)【出願番号】P 2021531736
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2019060251
(87)【国際公開番号】W WO2020115618
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エ・シ・セルミ・タリク
(72)【発明者】
【氏名】ブッシェル・サラ
(72)【発明者】
【氏名】キャノン・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コルテン・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン・ジョン・ボハノン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン・ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー・キャロル
(72)【発明者】
【氏名】ヤング・ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ブロック・マイケル
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0325132(US,A1)
【文献】特表2011-512908(JP,A)
【文献】国際公開第2014/140636(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0074249(US,A1)
【文献】国際公開第2017/097760(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品のキットであって、
複数のネックトライアルを備え、
各ネックトライアル
が、
外側表面を有する本体と、
前記本体から離れる方向に、ネック軸に沿って延びるネックと、を備え、前記外側表面に少なくとも1つの第1の線が提供され、前記第1の線又は各第1の線は、使用時に患者の上下軸に対して平行な第1の方向に延び、前記外側表面上に少なくとも1つの第2の線が提供され、前記第2の線又は各前記第2の線は、使用時に前記患者の内外軸に対して平行な第2の方向に延び、
前記第1の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第2の線に対する1つ若しくは複数の前記第1の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる内外方向のオフセットの量を示し、
前記第2の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第1の線に対する1つ若しくは複数の前記第2の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる上下方向の脚長さの量を示
し、
各ネックトライアルが、異なる数の第1の線及び/又は異なる数の第2の線を有する、
部品のキット。
【請求項2】
部品のキットであって、
複数のネックトライアルを備え、
各ネックトライアル
が、
外側表面を有する本体と、
前記本体から離れる方向に、ネック軸に沿って延びるネックと、を備え、前記外側表面に少なくとも1つの第1の線が提供され、前記第1の線又は各第1の線は、使用時に患者の上下軸に対して平行な第1の方向に延び、前記外側表面上に少なくとも1つの第2の線が提供され、前記第2の線又は各前記第2の線は、使用時に前記患者の内外軸に対して平行な第2の方向に延び、
前記第1の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第2の線に対する1つ若しくは複数の前記第1の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる内外方向のオフセットの量を示し、
前記第2の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第1の線に対する1つ若しくは複数の前記第2の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる上下方向の脚長さの量を示
し、
各ネックトライアルの1つ若しくは複数の前記第1の線の位置が、1つ若しくは複数の前記第2の線に対して異なり、かつ/又は1つ若しくは複数の前記第2の線の位置が、1つ若しくは複数の前記第1の線に対して異なる、
部品のキット。
【請求項3】
前記第1の線の数は、1~3つの範囲である、請求項1
又は2に記載の
部品のキット。
【請求項4】
前記第2の線の数は、1~3つの範囲である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項5】
前記第1の線の数は1つ超であり、前記第2の線の数は1つ超である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項6】
前記第1の線および前記第2の線が実線である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項7】
前記第1の線及び前記第2の線の全てが、隣接し、かつ、前記外側表面の同じ部分に配置されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項8】
前記第1の線及び前記第2の線の全てが、使用時に前記ネックトライアルの前方を向いた表面又は後ろ向き表面にある、請求項1~
7のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項9】
前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線とは別個である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項10】
前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線に接続されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項11】
前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線に対して内側に位置決めされている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項12】
前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線に対して外側に位置決めされている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項13】
前記第2の線又は各第2の線は、前記第1の線又は各第1の線に対して上方に位置決めされている、請求項1~
12のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項14】
前記第2の線又は各第2の線は、前記第1の線又は各第1の線に対して下方に位置決めされている、請求項1~
12のいずれか一項に記載の
部品のキット。
【請求項15】
前記ネックトライアルの各々に解放可能に取り付け可能であり、かつ、前記ネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付けられたときに、前記ネック軸に対して垂直な平面内に延びるヘッド線を有する、ヘッドトライアル
を更に備える、請求項
1又は
2に記載の部品のキット。
【請求項16】
各々が前記ネックトライアルの各々に解放可能に取り付け可能であり、かつ、各々が前記ネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付けられたときに、前記ネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延びる異なる数のヘッド線を有する、複数のヘッドトライアルを更に含み、各ヘッドトライアルは、前記ネック軸に沿った異なる位置で、前記ネックトライアルのうちの前記1つに解放可能に取り付け可能である、請求項
1又は
2に記載の部品のキット。
【請求項17】
各ヘッドトライアル上の前記ヘッド線の数は、前記ヘッドトライアルが使用時に前記ネックトライアルに解放可能に取り付けられたときの、前記ネックトライアルからの
前記ヘッドトライアルの前記ネック軸に沿った距離を示す、請求項
16に記載の部品のキット。
【請求項18】
ライナートライアルを更に含み、前記ライナートライアルは、使用時に前記ヘッドトライアルを受け入れるための前記ライナートライアルの口を画定するリムを有し、前記口に対して平行な平面内に少なくとも1つのライナー線が延び、前記ライナー線の数は、
前記ライナートライアルが前記ネック軸に沿って前記ヘッドトライアルを移動させる距離を示す、請求項
15~
17のいずれか一項に記載の部品のキット。
【請求項19】
前記ライナー線は、前記口に隣接して前記ライナートライアルの外側表面にある、請求項
18に記載の部品のキット。
【請求項20】
複数のライナートライアルを更に備え、各ライナートライアルは、異なる数のライナー線を有し、各ライナー線は、
各ライナートライアルの口に対して平行なそれぞれの平面内に延びる、請求項
15~
17に記載の部品のキット。
【請求項21】
強化ライナートライアルを更に含み、前記強化ライナートライアルは、使用時に前記ヘッドトライアルを受け入れるための前記強化ライナートライアルの口を画定するリムの一部分を有し、前記口に対して平行な平面内にライナー線が延びる、請求項
15~
17のいずれか一項に記載の部品のキット。
【請求項22】
前記ライナートライアル又は各ライナートライアルと前記ヘッドトライアル又は各ヘッドトライアルとは、同じ色を有する、請求項
15~
20のいずれか一項に記載の部品のキット。
【請求項23】
前記ライナートライアル又は各ライナートライアルは内径を有し、前記ヘッドトライアル又は各ヘッドトライアルは外径を有し、前記内径と前記外径とは、前記ヘッドトライアルが前記ライナートライアル内で関節運動することができるように一致する、請求項
22に記載の部品のキット。
【請求項24】
トライアルアセンブリであって、
ネックトライアルと、
ヘッドトライアルと、を備え、
前記ネックトライアルが、
外側表面を有する本体と、
前記本体から離れる方向に、ネック軸に沿って延びるネックと、を備え、前記外側表面に少なくとも1つの第1の線が提供され、前記第1の線又は各第1の線は、使用時に患者の上下軸に対して平行な第1の方向に延び、前記外側表面上に少なくとも1つの第2の線が提供され、前記第2の線又は各前記第2の線は、使用時に前記患者の内外軸に対して平行な第2の方向に延び、
前記第1の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第2の線に対する1つ若しくは複数の前記第1の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる内外方向のオフセットの量を示し、
前記第2の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第1の線に対する1つ若しくは複数の前記第2の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる上下方向の脚長さの量を示し、
前記ヘッドトライアルは、前記ネックトライアルに解放可能に取り付けられ、かつ、少なくとも1つのヘッド線を有し、前記ヘッド線又は各ヘッド線は、前記ネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延び、前記ヘッド線の数は、前記ネック軸に沿った前記トライアルアセンブリの長さを示す、
トライアルアセンブリ。
【請求項25】
ライナートライアルを更に備え、前記ライナートライアルは、前記ライナートライアルの口を画定するリムを有し、前記ヘッドトライアルは、前記口に受け入れられ、前記口に対して平行な平面内にライナー線が延びる、
請求項
24に記載のトライアルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、外科で使用するための装置及び方法に関し、特に、外科で使用され得る、トライアル構成要素、トライアル構成要素のキット及びトライアルの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の一部を人工装具構成要素と交換することを伴ういくつかの外科手術は、外科手術のトライアル段階中にトライアル構成要素を使用することがある。何らかの意図される外科的結果を試行し、達成することができるように、使用すべき実際の人工装具構成要素、並びに/あるいは実際の人工装具構成要素の位置決め及び/又は配向の判定を補助するためにトライアル構成要素を使用してもよい。トライアル構成要素は、一般に、最終的な人工装具インプラントに同意する前に、外科医が最終的なインプラントの選択を理解するのを補助するために使用される。トライアル構成要素の使用はまた、トライアルを行うために1つ以上の人工装具構成要素を代わりに使用した場合に生じ得る実際の人工装具構成要素のいかなる損傷又は汚れも回避するのに役立ち得る。
【0003】
どの人工装具構成要素を使用すべきかを外科医が試行し、判定することができるように、異なる形状及び/又はサイズ及び/又は幾何学形状の種々のトライアル構成要素を使用してもよい。しかしながら、1つ以上の他のトライアル構成要素と比較して、特定のトライアル構成要素が有し得る外科的結果に対する効果を外科医が理解するのは難しい場合がある。トライアル構成要素は、外科的結果の一態様を改善することができる一方で、外科的結果の別の態様に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
時には、複数のトライアル構成要素を組み合わせて、外科的結果を悪化させる可能性があるトライアル構造体が作製されることがある。
【0005】
更に、トライアル又はトライアル構造体が患者の身体内の所定の位置にあるときには、トライアル又はトライアル構造体を視覚的に検査して、どのトライアル又はトライアル構造体が現在使用されているか、及びそれが外科的結果にどのように影響し得るかを正確に理解することは難しい場合がある。これは、特に、手術部位への視覚的アクセスが非常に制限され得る低侵襲外科手術の場合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、外科手術の結果に対する1つ若しくは複数の特定のトライアルのその起こり得る影響を外科医がより容易に理解できるようにするトライアル構成要素、トライアル構成要素のキット、及び/又はトライアルを行う方法が有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、ネックトライアルであって、外側表面を有する本体と、本体から離れる方向に、ネック軸に沿って延びるネックと、を備え、外側表面に少なくとも1つの第1の線が提供され、当該第1の線又は各第1の線は、使用時に患者の上下軸に対して平行な第1の方向に延び、外側表面上に少なくとも1つの第2の線が提供され、当該第2の線又は各第2の線は、使用時に患者の内外軸に対して平行な第2の方向に延び、第1の線の数、又は1つ若しくは複数の第2の線に対する1つ若しくは複数の第1の線の位置は、ネックトライアルによって引き起こされる内外方向のオフセットの量を示し、第2の線の数、又は1つ若しくは複数の第1の線に対する1つ若しくは複数の第2の線の位置は、ネックトライアルによって引き起こされる上下方向の脚長さの量を示す、ネックトライアルを提供する。
【0008】
第1の線の数は、1~3つの範囲であってよく、好ましくは1~2つの範囲であってよい。
【0009】
第2の線の数は、1~3つの範囲であってよく、好ましくは1~2つの範囲であってよい。
【0010】
第1の線の数は1つ超であってよく、及び/又は第2の線の数は1つ超であってよい。
【0011】
各線は、実線であってよい。
【0012】
各線は、印刷されてもよく、あるいはマーキングであってもよい。
【0013】
各線は、構造的形成物であってよい。当該構造的形成物又は各構造的形成物は、雄型形成物、例えばリブ又は隆起部であってもよいし、あるいは溝又はトラフなどの雌型形成物であってもよい。
【0014】
第1の線及び第2の線の全てが、隣接してもよく、かつ/又は、その外側表面の同じ部分に配置されていてもよい。
【0015】
第1の線及び第2の線の全てが、使用時にネックトライアルの前方を向いた表面及び/又は後ろ向き表面にあってもよい。
【0016】
当該第1の線又は各第1の線は、当該第2の線又は各第2の線とは別個であってもよい。当該第1の線又は各第1の線と当該第2の線又は各第2の線との間に間隙又は切れ目が存在してもよい。
【0017】
当該第1の線又は各第1の線は、当該第2の線又は各第2の線に接続されていてもよい。
【0018】
当該第1の線又は各第1の線は、当該第2の線又は各第2の線に対して内側に位置決めされていてもよい。当該第1の線又は各第1の線は、当該第2の線又は各第2の線の内端部に接続されていてもよい。
【0019】
当該第1の線又は各第1の線は、第2の線又は各第2の線に対して外側に位置決めされていてもよい。当該第1の線又は各第1の線は、当該第2の線又は各第2の線の外端部に接続されていてもよい。
【0020】
当該第2の線又は各第2の線は、当該第1の線又は各第1の線に対して上方に位置決めされていてもよい。当該第2の線又は各第2の線は、当該第1の線又は各第1の線の上端部に接続されていてもよい。
【0021】
当該第2の線又は各第2の線は、当該第1の線又は各第1の線に対して下方に位置決めされていてもよい。当該第2の線又は各第2の線は、当該第1の線又は各第1の線の下端部に接続されていてもよい。
【0022】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による複数のネックトライアルを備え、各ネックトライアルが、異なる数の第1の線及び/又は異なる数の第2の線を有する、部品のキットを提供する。
【0023】
本発明の第2の態様はまた、第1の態様による複数のネックトライアルを備え、各ネックトライアルの1つ若しくは複数の第1の線の位置が、1つ若しくは複数の第2の線に対して異なり、かつ/又は1つ若しくは複数の第2の線の位置が、1つ若しくは複数の第1の線に対して異なる、部品のキットを提供する。
【0024】
当該部品のキットは、ネックトライアルの各々に解放可能に取り付け可能であり、かつ、ネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付けられたときに、ネック軸に対して垂直な平面内に延びるヘッド線を有する、ヘッドトライアルを更に含んでもよい。
【0025】
部品のキットは、各々がネックトライアルの各々に解放可能に取り付け可能であり、かつ、各々がネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付けられたときに、ネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延びる異なる数のヘッド線を有する、複数のヘッドトライアルを更に含んでもよく、各ヘッドトライアルは、ネック軸に沿った異なる位置で、ネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付け可能である。
【0026】
各ヘッドトライアル上のヘッド線の数は、ヘッドトライアルが使用時にネックトライアルに解放可能に取り付けられたときの、ネックトライアルからのトライアルヘッドのネック軸に沿った距離を示し得る。
【0027】
部品のキットは、ライナートライアルを更に含んでもよく、ライナートライアルは、使用時にヘッドトライアルを受け入れるためのライナートライアルの口を画定するリムを有し、口に対して平行な平面内に少なくとも1つのライナー線が延び、ライナー線の数は、トライアルライナーがネック軸に沿ってヘッドトライアルを移動させる距離を示す。
【0028】
ライナー線は、口に隣接してライナートライアルの外側表面にあってよい。
【0029】
部品のキットは、複数のライナートライアルを更に備えてもよく、各ライナートライアルは、異なる数のライナー線を有し、各ライナー線は、それぞれの口に対して平行なそれぞれの平面内に延びる。
【0030】
部品のキットは、強化ライナートライアルを更に含んでもよく、強化ライナートライアルは、使用時にヘッドトライアルを受け入れるための強化ライナートライアルの口を画定するリムの一部分を有し、口に対して平行な平面内にライナー線が延びる。
【0031】
当該ライナートライアル又は各ライナートライアルと当該ヘッドトライアル又は各ヘッドトライアルとは、同じ色を有してよい。
【0032】
当該ライナートライアル又は各ライナートライアルは内径を有し得、当該ヘッドトライアル又は各ヘッドトライアルは外径を有し得、内径と外径とは、ヘッドトライアルがライナートライアル内で関節運動することができるように一致する。
【0033】
部品のキットは、7つの異なるネックトライアルのうちの、2つの異なるネックトライアル又は5つの異なるネックトライアルを含み得る。
【0034】
部品のキットは、2つの異なるライナートライアル又は3つの異なるライナートライアルを含み得る。
【0035】
部品のキットは、6つの異なるヘッドトライアルを含み得る。
【0036】
本発明の第3の態様は、トライアルアセンブリであって、第1の態様によるネックトライアルと、ヘッドトライアルと、を備え、ヘッドトライアルは、ネックトライアルに解放可能に取り付けられ、かつ、少なくとも1つのヘッド線を有し、当該ヘッド線又は各ヘッド線は、ネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延び、ヘッド線の数は、ネック軸に沿ったトライアルアセンブリの長さを示す、トライアルアセンブリを提供する。
【0037】
トライアルアセンブリは、ライナートライアルを更に備えてよく、ライナートライアルは、ライナートライアルの口を画定するリムを有し、ヘッドトライアルは、口に受け入れられ、口に対して平行な平面内にライナー線が延びる。
【0038】
本発明の第4の態様は、患者の関節のトライアルを行う方法であって、トライアル関節アセンブリを組み立てることであって、トライアル関節アセンブリは、ネックトライアル及びヘッドトライアルを含み、ネックトライアルは、ネックトライアルに起因する患者の内外方向のオフセットの量及び患者の上下方向の脚長さの量を示すように配置された複数の線を担持する、トライアル関節アセンブリを組み立てることと、トライアル関節アセンブリを含む患者のトライアル関節を整復することと、トライアル関節の挙動を評価することと、患者の関節を再建するために患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変更を決定するために、複数の線を検査することと、を含む、方法を提供する。
【0039】
本方法では、第1の態様のトライアル関節構成要素、又は第2の態様の部品のキット、又は第3の態様のトライアルアセンブリのうちの任意の1つ以上を使用してよい。これにより、対応する相対する方法の特徴が生じ得る。
【0040】
ヘッドトライアルは、少なくとも1つのヘッド線を含んでよく、当該ヘッド線又は各ヘッド線は、ネックトライアルのネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延び、本方法は、患者の関節を再建するために患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変更を決定するために、ヘッド線の数も検査することを更に含み得る。
【0041】
トライアル関節は、ライナートライアルを更に含んでよく、ライナートライアルは、ヘッドトライアルを受け入れるライナートライアルの口を画定するリムを有し、ライナートライアルは、少なくとも1つのライナー線を含み、当該ライナー線又は各ライナー線は、口に対して平行なそれぞれの平面内に延び、本方法は、患者の関節を再建するために患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変更を決定するために、ライナー線の数も検査することを更に含み得る。
【0042】
トライアル関節の挙動を評価することは、内外方向における結果として生じるオフセットを評価することを含み得る。
【0043】
トライアル関節の挙動を評価することは、上下方向の結果として生じる脚長さを評価することを含み得る。
【0044】
トライアル関節の挙動を評価することは、結果として生じる試験関節の軟組織張力を評価することを含み得る。
【0045】
本方法は、トライアル関節を分離することと、異なるネックトライアル及び/又はヘッドトライアル及び/又はライナートライアルを、各々の上の線に基づいて選択することと、対応する以前の1つ若しくは複数のトライアル構成要素の代わりに選択された1つ若しくは複数のトライアル構成要素を使用して、更なるトライアル関節を整復することと、更なるトライアル関節の挙動を評価することと、患者の関節を再建するために患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変化を決定するために、更なるトライアル関節の構成要素上の複数の線を検査することのうちの任意の1つ以上を更に含み得る。
【0046】
トライアル関節又は更なるトライアル関節の挙動を評価することは、トライアル関節又は更なるトライアル関節の可動域を評価することを更に含み得る。
【0047】
本発明の更なる態様は、ライナートライアル構成要素、ヘッドトライアル構成要素、及びネックトライアル構成要素の各々によって個別に提供される。
【0048】
本発明の更なる態様は、ライナートライアル構成要素、ヘッドトライアル構成要素、及びネックトライアル構成要素の任意の組み合わせによって提供され、またキット形態又は組み立てられた形態で提供される。
【0049】
本発明の更なる態様は、ライナートライアル構成要素、ヘッドトライアル構成要素、及びネックトライアル構成要素の各々を個別に使用する方法、又はそれらを任意の組み合わせで使用する方法によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下、例示のみを目的として、添付図面を参照して本発明の実施形態について単に例として詳細に説明する。
【
図1A】本発明の一態様による、各々が本発明の一態様による様々なトライアル構成要素を含む、トライアルのキットの構成要素を示す。
【
図1B】本発明の一態様による、各々が本発明の一態様による様々なトライアル構成要素を含む、トライアルのキットの構成要素を示す。
【
図1C】本発明の一態様による、各々が本発明の一態様による様々なトライアル構成要素を含む、トライアルのキットの構成要素を示す。
【
図1D】同じく本発明の一態様による、
図1Cに示したネックトライアルに追加される、又はその代替の、ネックトライアルのキットを示す。
【
図2】本発明の一態様による、
図1A~
図1Cに示す部品のキットのトライアル構成要素のトライアルアセンブリを含む、トライアル関節の斜視図を示す。
【
図3】結果として生じる関節に対する異なるトライアル構成要素の効果を示すグラフィック表現を示す。
【
図4A】
図1A~
図1Cに示すトライアル構成要素の異なる組み合わせの異なるアセンブリを含む、様々なトライアル関節の前後方向の立面図を示す。
【
図4B】
図1A~
図1Cに示すトライアル構成要素の異なる組み合わせの異なるアセンブリを含む、様々なトライアル関節の前後方向の立面図を示す。
【
図4C】
図1A~
図1Cに示すトライアル構成要素の異なる組み合わせの異なるアセンブリを含む、様々なトライアル関節の前後方向の立面図を示す。
【
図5】本発明の一態様による、トライアル構成要素を使用する方法を示すフローチャートを示す。
【
図6】
図5に示す方法実施中に使用され得る、
図1A~
図1Cのトライアル構成要素の異なる組み合わせの異なるアセンブリを含む、様々なトライアル関節の前後方向の立面図を示す。
【
図7】
図5に示す方法実施中に使用され得る、
図1A~
図1Cのトライアル構成要素の異なる組み合わせの異なるアセンブリを含む、様々なトライアル関節の前後方向の立面図を示す。
【
図8】
図5に示す方法実施中に使用され得る、
図1A~
図1Cのトライアル構成要素の異なる組み合わせの異なるアセンブリを含む、様々なトライアル関節の前後方向の立面図を示す。
【0051】
異なる図面における同様の項目は、特に指示がない限り、共通の参照記号を共有する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の実施形態は、整形外科学、特に股関節に関する文脈内で説明される。しかしながら、本発明は、股関節への適用に必ずしも限定されるものではなく、他のボールアンドソケット型関節にも使用され得ることが理解されるであろう。
【0053】
以下でより詳細に説明するように、1つ以上の垂直線(すなわち、使用時に患者の身体の上下軸に対して平行である)を使用して、肢部オフセットと称され得る、内外軸に沿った患者の肢部の運動により関節に導入される張力の量を表すことができる。内側方向における身体に対する肢部の運動は通常、張力を減少させ、外側方向における身体に対する肢部の運動は通常、張力を増大させる。1つ以上の水平線(すなわち、使用時に患者の身体の内外軸に対して平行である)を使用して、肢部長さと称され得る、上下軸に沿った患者の肢部の運動により関節に導入される張力の量を表す。上方方向における身体に対する肢部の運動は通常、張力を減少させ、下方方向における身体に対する肢部の運動は通常、張力を増大させる。1つ以上の対角線(使用時にネック軸に対して概ね垂直であり得る)を使用して、内外軸と上下軸の両方に沿った患者の肢部(腕又は脚)の運動により関節に導入される張力の量を表すことができる。
【0054】
以下では、「1つ若しくは複数の線」は、通常、ユーザが識別することができる任意の1つ若しくは複数の直線状のしるしを示すために使用される。線は、様々な形態、例えば、実線、破線、鎖線などであってよく、様々な方法、例えば、印刷若しくはマーキング又は類似の方法、並びに/あるいは様々な物理的特徴、例えば、隆起部、リブ、溝又はチャネルなどによって実施され得る。したがって、明確にするために以下では線を使用するが、実際には、任意の1つ若しくは複数の直線状のしるしを使用してもよいことが理解されるであろう。
【0055】
図1A~
図1Cを参照すると、本発明の一実施形態による部品のキット100が示されている。部品のキット100は、股関節置換手術などの外科手術のトライアル段階中に使用することができる、複数の異なるタイプのトライアル構成要素を含む。部品のキット100は、外科手術中に使用するために手術室のスタッフに提供され得るトレー内のトライアルキットとして提供され得る。
図1A~
図1Cに示す部品のキット100は、特定のヘッドサイズ又はヘッド直径用である。他の異なるヘッド直径のために、同様の部品のキットを提供してもよい。また、部品のキット100は、特定のネックのセット及びネックの幾何学形状を有する特定のインプラントシステムのためのものである。異なるネック又はネックのセットを有する他の異なるインプラントシステムに、同様の部品のキットを提供してもよい。
【0056】
図1Aに示すように、トライアルキット100は、1つ又は複数のライナートライアル110を含んでもよい。3つの異なるライナートライアル112、114及び116が提供される。各ライナートライアルは、以下でより詳細に説明するような1つ以上の線を含む。第1のライナートライアル112は、使用時にヘッドトライアルを受容することができる概ね半球状の空洞を画定するリム118を有する本体を有する。円形のリム118は、ライナートライアルの周りに延び、ライナートライアルの口を画定する。ライナートライアルの外側表面に実線120の形態の線が提供され、この線は、リム118の平面に隣接し、それに対して平行な、口の外周の周りに延びる。第1のライナートライアル112は、キット内に提供されるライナートライアル110の最小の厚さ、つまり最も薄い厚さを有する。第1のライナートライアル112の厚さは、約2mmの全体的ネック長の増大に対応し得る。
【0057】
第2のライナートライアル114は、第1のライナートライアル112と概ね同様である。しかしながら、第2のライナートライアル114は、ライナートライアル114内に半球状の空洞よりもわずかに大きい空洞を画定するように、リム122から離れる方向に延びる更なるセグメント124を有する強化ライナートライアルである。この強化ライナートライアル114は、トライアルカップが比較的垂直な配向で、すなわち患者の骨盤に対して傾斜しすぎることなく配置された状況で使用され得る。したがって、セグメント124は、ヘッドの脱臼を回避するのに役立つ。第2のライナートライアル114はまた、ライナートライアルの口の周りに、かつリム122の平面に隣接し、それに対して概ね平行に延びる、単一の線126を外側表面に含む。第2のライナートライアル114は、第1のライナートライアル112と概ね同じ厚さを有する。したがって、第2のライナートライアル114の厚さは、約2mmの全体的ネック長の増大に対応し得る。
【0058】
第3のライナートライアル116は、第1のライナートライアル112と概ね同様であり、やはり、ライナートライアル116の本体によって画定される半球状の空洞の口の周りに延びるリム128を含む。しかしながら、ライナートライアル116は、各々が実線の形態の第1の線130及び第2の線132を含む。ライナートライアル116の厚さは、第1のライナートライアル112及び第2のライナートライアル114よりも厚い。したがって、トライアルカップ内に挿入されたとき、第3のライナートライアル116は、関節の回転の中心の位置を、第1のライナートライアル又は第2のライナートライアルと比較して、外側方向と下方方向の両方において、かつ概ねネック軸に沿って、骨盤から離れる方向に修正する。
【0059】
他の実施形態では、ライナートライアル116は、回転の中心の位置をネック軸に沿って修正するようにその他の方法で適合されてもよい。例えば、異なる厚さを有するのではなく、使用時のヘッドトライアルの回転の中心の位置を変更するために、ライナートライアルの他の特徴を修正してもよい。例えば、第3のライナートライアル116は、第1及び第2のライナートライアルと比較して、カップ軸(カップ及びライナーの口の中心を通過し、ライナー及びカップの口の平面に対して垂直な線によって画定される)に沿って、回転の中心を更に約2mm移動させてもよい。したがって、第3のライナートライアル116の厚さは、約4mmの全体的ネック長の増大に対応し得る。
【0060】
したがって、各ライナートライアルは、少なくとも1つの線を含み、任意のライナートライアル上の線の数は、トライアル関節アセンブリでそのライナートライアルを使用することによって、トライアル関節アセンブリ内に導入される距離の量、及びトライアル関節アセンブリ内の対応する張力と比例する、又はそうでなければそれらに対応する。
【0061】
トライアルライナー112、114、116の各々は、例えば、約32mmの内径を有する概ね半球状の空洞を画定する。トライアルキット100はまた、
図1Bに示すような複数のヘッドトライアル140を含む。例示した実施形態では、6つのヘッドトライアル142、144、146、148、150、152が提供される。各ヘッドトライアルは、概ね切頭球体の形態を有し、約32mmの同じ外径を有する。したがって、ヘッドトライアル142~152の各々は、キットのライナートライアル112、114、116のうちの任意の対応するライナートライアルに受容され得る。
【0062】
したがって、
図1のライナートライアル及びヘッドトライアルは、第1のサイズに対応する。ライナートライアル及びヘッドトレールの複数のセットを提供することができ、各セットは異なるサイズに対応する。例えば、約22mm、28mm、32mm、36mm、及び40mmのライナートライアルの内径及びヘッドトライアルの外径を、対応するサイズの人工装具構成要素のために提供することができる。以下から理解されるように、異なるサイズのライナートライアル及びヘッドトライアルと共に同じネックトライアルを使用することができる。
【0063】
各ヘッドトライアルの本体は、ネックトライアルの自由端を受容するためのそれぞれの空洞を内部に画定する。各空洞は、ヘッドトライアルの中心を通過し、ヘッドトライアルの平坦な下面に対して概ね垂直であり、ヘッドトライアルの支柱を通るヘッド軸、例えば154に概ね沿って延びる。
【0064】
ヘッドトライアル142~152の各々は、使用時にネックトライアルに組み付けられるときに各ヘッドトライアルの回転の中心がネック軸に沿って異なる位置を取ることができるように、それぞれの空洞のヘッド軸154に沿った位置がヘッドトライアルの各々について異なることを除いて、概ね同様である。また、各ヘッドトライアルは、異なる数の線を含み、線の数は、ヘッドトライアル内の空洞の位置に起因してネック軸に沿った結果として生じる位置に比例する、又は他の場合にはそれに対応する。したがって、各ヘッドトライアルは、少なくとも1つの線を含み、線の数は、トライアル関節アセンブリにおけるそのヘッドトライアルの使用により、トライアル関節アセンブリがネック軸に沿って軟組織張力の対応する変化と共に変化する量を示す。
【0065】
例えば、第1のヘッドトライアル142は、ヘッド軸154の周囲に、かつヘッド軸154に対して概ね垂直な平面内で少なくとも部分的に延びる一般に実線の形態の単一の線156を有する。この第1のヘッドトライアル142は、通常の又はデフォルトのネック長さ未満であり得る最も短いネック長さに対応し、したがって、使用時の全体的ネック長を低減するために使用することができる。
【0066】
第2のヘッドトライアル144は、第1の線158及び第2の線160を含み、第1のヘッドトライアル142と比較して、使用時に組み付けるときにヘッドトライアル144の回転の中心をネック軸に沿ってネックトライアルから更に離れるように位置決めするように配置された空洞を有する。例えば、第1のヘッドトライアル142と第2のヘッドトライアル144との、ネック軸に沿った位置の差は、約3.5mmであり得る。同様に、第3、第4、第5、及び第6のヘッドトライアルの各々は、徐々に増加する数の線を有し、各々は、ヘッドトライアルの回転の中心を更にネック軸に沿ってネックトライアルから離れるように位置決めするように構成されたそれぞれの空洞を有する。例えば、第6のヘッドトライアル152は6つの線162を有し、最も長いネック長さに対応し、これは、同じネックトライアルで第1のヘッドトライアル142を使用することに起因する対応するネック長さよりも約17.5mm長くなり得る。
【0067】
各線は、ネック長さの同じ変化に対応する必要はないことが理解されるであろう。例えば、追加される各線は、ネック長さの同じ3.5mmの変化に対応しなくてもよい。むしろ、ネック長さの変化の量は、線の追加又は省略に応じて変動し得る。単に、線の数は、その特定のトライアルヘッドを使用して得られるネック長さの変化を示す、又はそれに対応する。線の数が多いほど、ネック長さが長くなり、線の数が少ないほど、ネック長さが短くなる。
【0068】
上述したように、各ヘッドトライアルは同じ外径を有し、各ヘッドトライアルの外径は、ライナートライアル112~116のうちのいずれか1つと共にヘッドトライアル140~152のうちのいずれか1つを使用することができるように、ライナートライアルの各々の内径と一致する。ヘッドトライアルとライナートライアルとのこの適合性は、ヘッドトライアルの色とライナートライアルの色を同じにすることによって示され得る。例えば、22mm直径のライナートライアル及びヘッドトライアルは全て黄褐色とすることができ、28mm直径のライナートライアル及びヘッドトライアルは全て緑色とすることができ、32mm直径のライナートライアル及びヘッドトライアルは全て青色とすることができ、直径36mmのライナートライアル及びヘッドトライアルは全てオレンジ色にすることができ、直径40mmのライナートライアル及びヘッドトライアルは全てピンク色とすることができる。
【0069】
したがって、特定のサイズのヘッドの場合、ヘッドトライアルとライナートライアルとの適合性は、ヘッドトライアル及びライナートライアルが全て同じ一致する色であることによって示されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、ヘッドトライアル及びライナートライアルは、ポリフェニルスルホン(PPSU)又はポリオキシメチレン(POM)などの好適なプラスチック及びポリマーから作製されてよい。
【0071】
異なるサイズのヘッドのためのトライアルキットは、同様の構成要素であるが異なる内径及び外径を有する構成要素を含んでよく、第2のトライアルキットのためのヘッドトライアル及びライナートライアルの各々は、第1のトライアルキットの一致する色とは異なる一致する色であってよい。典型的には、合理的な数の異なるサイズのヘッド(例えば、約22mm、28mm、32mm、36mm及び40mmの約5つの異なるサイズの大腿骨ヘッド)が、整形外科製品の製造業者によって提供されてよく、各ヘッドサイズの各トライアルキットは、上述したように、キット内では一致するがキット間では異なる独自の色であり得ることが理解されるであろう。
【0072】
トライアルキット100はまた、
図1Cに示すような複数のネックトライアル170を含む。
図1Cに示す実施形態では、トライアルキット100は、5つのネックトライアル172、174、176、178及び180を含む。各ネックトライアルは、概ね同様の全体構造を有するが、異なる幾何学形状を有する。
【0073】
例えば、第1のネックトライアル172を参照すると、各ネックトライアルは、その下面から延びる雄型形成物184を有する本体182を有する。ネック部分186は、本体182から離れる方向にネック軸190に沿って延びる。使用時にヘッドトライアルを解放可能に取り付けるために、ネック186の自由端にテーパ部188が提供される。第1のネックトライアルは、約135°のネック-ステム角度を有する。
【0074】
第1のネックトライアル172は、使用時に右側股関節の一部を形成するように
図1Cに示されている。したがって、表面192は、ネックトライアル172の概ね前方を向いた表面である。前方を向いた表面192は、各々が実線の形態である第1の線194及び第2の線196を担持する。
【0075】
第1の線194は、使用時に患者の身体の上下軸に対して概ね平行な第1の方向に延びるように配置されている。第2の線196は、使用時に患者の身体の内外軸に対して概ね平行に延びるように配置されている。
【0076】
第1の線194は、ネックトライアル172が患者の脚の内外オフセットを変化させる範囲を示す。第2の線196は、ネックトライアル172が使用時に患者の脚長さを変化させる範囲を示す。
図1Cに示すように、第1のネックトライアル172は、単一の第1の線194及び単一の第2の線196のみを有する。単一の第2の線196は、このトライアルネック172により、使用時の患者の脚長さの変化が最小量になることを示す。
【0077】
図1にも示したように、第1の線194の上方端部と第2の線196の内端部との間に間隙198が存在する。間隙198は、第2の線196に対する第1の線194の位置を意味し、具体的には、第1の線194は、第2の線196の内端部よりも内側に位置決めされていることを意味する。第2の線196に対する第1の線194のこの配置は、第1のネックトライアル172により内外距離が最小となることを意味する、又は示す。具体的には、間隙198は、第1のネックトライアル172が第2のネックトライアル174よりも小さい内外オフセットを提供することを意味する。具体的には、第1のネックトライアルは、肢部を骨盤に対して内外軸に沿って内側方向に約5mm移動させる。
【0078】
第2のネックトライアル174は第1のネックトライアル172と概ね同様であるが、テーパ部188’の位置が、第1のネックトライアル172と比較して、肢部を骨盤に対して更に外側方向に移動させるように、本体182’に対するネック186’の位置が異なる。第2のネックトライアル174のネック-ステム角度は、約125°である。
図1Cを見ると分かるように、第1の線200の上端部は、第2の線202の内端部に接続されており、第1のネックトライアル172と比較して間隙198がないことは、第2のネックトライアル174によって、第1のネックトライアル172と比較して外側方向に更に約5mmオフセットすることを意味する。
【0079】
第2のネックトライアル174は、ニュートラルネックトライアルと見なすことができる。その場合、第1のネックトライアル172は、第1のネックトライアル172が、第2のネックトライアル174と比較して、大腿骨を内側に約5mm移動させるので、オフセットが低減されたネックトライアルと見なすことができる。
【0080】
更に、第2のネックトライアル174の前方を向いた表面は、第1のネックトライアル172の本体182の第2の線196と同じ第2のネックトライアルの本体182’の位置に、第1のネックトライアル172と同様に内外軸に対して平行な1つの第2の線202を含む。線のこの組み合わせ及び構成は、第2のネックトライアル174が第1のネックトライアル172と同じ脚長さ位置を提供するが、第1のネックトライアル172と比較して(外側方向の)脚の内外オフセットを増大させることを示す。
【0081】
接続された単一の第1の線200と単一の第2の線202とは、第2のネックトライアルが、ニュートラルネックであり、したがって、ニュートラルな脚長さ及びニュートラルな内外位置に大腿骨を位置決めすることを示すために使用され得る。これは、外科手術のための標準的な又はデフォルトのニュートラルな脚位置に対応し得る。
【0082】
例えば、第2のネックトライアル174は、内外オフセットを、第1のネックトライアル172と比較して外側方向に約5mm増大させ得る。更に、第2のネックトライアル174は、第1のネックトライアル172と比較して、わずかに低減されたネック-ステム角度を有する。第1のネックトライアル172は、約135°のネックステム角度を有してよく、第2のネックトライアル174は、約125°の、より小さいネック-ステム角度を有する。
【0083】
第1及び第2のネックトライアルと比較して、使用時に、脚を骨盤に対して患者の内外軸に沿って更に外側に位置決めするようにネックが本体に対して配置されていることを除いて、第3のネックトライアル176は、第1及び第2のネックトライアルと概ね同様である。第3のネックトライアル176は、第2のネックトライアルと同様に約125°のステム-ネック角度を有してもよいが、高オフセットネックトライアルであってよい。第3のネックトライアルにより、大腿骨は、内外方向において、第2のトライアルネック176よりも約7mm外側に位置決めされる。第3のネックトライアル176に起因する、患者の大腿骨の得られる内外オフセットのこの更なる増大は、前方を向いた表面に、上下軸に対して概ね平行な2つの第1の線204、206が存在することによって表される。やはり、単一の第2の線208のみが存在し、第1のネックトライアル172又は第2のネックトライアル174と比較して、第3のネックトライアルネックが脚長さの変化(chance)をもたらさないことを示す。1番目の第1の線204は、第2のネックトライアルの第1の線200と同じ位置を前方表面に有し、2番目の第1の線206は、第1の線200と比較して、第3のネックトライアルの前方表面のより外側に位置付けられている。
【0084】
ネック部分が、第1、第2、又は第3のネックトライアルよりも、上下軸に沿って脚を骨盤に対してより下方に移動させるように本体部分に対して配置されていることを除いて、第4のネックトライアル178は、第2のネックトライアル174と概ね同様である。第4のネックトライアルは、約135°のステム-ネック角度を有してよく、第1~第3のネックトライアルと比較して、脚を約5mm下方に移動させることができる。これは、前方を向いた表面上に、単一の第1の線210と、1番目の第2の線212及び2番目の第2の線214とが存在することによって示される。1番目の第2の線212は、第4のネックトライアルの前面の、第3のネックトライアルの1番目の第2の線298と同じ位置を有し、2番目の第2の線214は、第3のネックトライアル上の1番目の第2の線208と比較して、第4のネックトライアルのより下方に位置決めされている。第4のネックトライアルは、単一の第1の線210によって示されるように、脚の内外位置を第2のネックトライアル174と同じにする。
【0085】
第5のネックトライアル180は、第2及び第4のネックトライアルと比較して、大腿骨の内外オフセットを外側方向に増大させるように、ネックが本体に対して配置されていることを除いて、第4のネックトライアル178と概ね同様である。第5のネックトライアルは、約135°のステム-ネック角度を有してもよい。上下方向において得られる脚位置は、第4のネックトライアルと同じであり、すなわち、1番目の第2の線220及び2番目の第2の線222によって示されるように、更に約5mm下方であり、第5のネックトライアルの前面に第4のネックトライアル上の線212及び214と同じ位置を有する。内外方向の外側オフセットの量は、上下軸に対して、かつ、同様に第3のネックトライアル176に対して概ね平行な1番目の第1の線216及び2番目の第1の線218が存在することによって示される。したがって、第5のネックトライアルは、第2のネックトライアル174と比較して、約7mm外側に、かつ5mm下方に大腿骨を移動させることができる。
【0086】
第2のネックトライアル174(約125°のステム-ネック角度を有する)は、ニュートラルな又は第1の量のオフセット並びにニュートラルな又は第1の量の脚長さを提供する基準又はニュートラルとして解釈されてもよい。第2のネックトライアルと比較して、第1のネックトライアル172(約135°のステム-ネック角度を有する)は、接続された垂直線200と第2のネックトライアルの水平線202と比較して、垂直線194と水平線196と間の間隙及びそれらに対する相対位置によって反映されるように、脚を内側に約5mm移動させることができ、各々の上にあり前面上の同じ位置にある単一の水平線196、202によって反映されるように、脚長さを変化させない。
【0087】
第2のネックトライアル174と比較して、第3のネックトライアル176(約125°のステム-ネック角度を有する)は、第2のネックトライアル174上の1つの垂直線200と比較して、2つの垂直線204、206によって反映されるように、脚を外側に約7mm移動させることができ、各々の上の単一の水平線によって反映されるように、脚長さを変化させない。したがって、この実施例では、第3のトライアル176の第2の垂直線206は、第2のネックトライアル174と比較して、外側に7mmの変化を示し、第1のネックトライアル172の垂直線194と水平線196との間隙並びに相対位置は、第2のネックトライアルと比較して、内側に5mmの変化に対応する。
【0088】
第2のネックトライアル174と比較して、第4のネックトライアル178(約135°のステム-ネック角度を有する)は、第2のネックトライアル174上の1つの水平線202と比較して、2つの水平線212、214によって反映されるように、脚を上下軸に沿って下方に約5mm移動させることができ、各々の上の単一の垂直線によって反映されるように、脚長さを変化させない。
【0089】
第2のネックトライアル174と比較して、第5のネックトライアル180(約135°のステム-ネック角度を有する)は、第2のネックトライアル上の1つの水平線202と比較して、2つの水平線220、222によって反映されるように、脚を上下軸に沿って下方に約5mm移動させることができ、また、第2のネックトライアル174上の1つの垂直線200と比較して、第5のネックトライアルの2つの垂直線216、218によって反映されるように、脚を外側に約7mm移動させることができる。
【0090】
したがって、線の数及び/又は線の相対位置は、通常、脚の位置の変化に比例する、又はそれに対応する(線が多いほど変化が大きくなり、線が少ないほど変化が小さくなる)。各線又は相対位置は、同じ変化量に対応しない場合がある。例えば、第3のネックトライアルの第2の垂直線206は、第2のネックトライアルと比較して、7mmの変化に対応し、第1のネックトライアル172上の間隙198は、第2のネックトライアル174と比較して、5mmの変化に対応する。
【0091】
図1Cに示したように、ネックトライアルの後ろを向いた表面上の直線状のしるしを同じ配置にしてもよい。したがって、これらのマーキングは、ネックトライアルが左側股関節に使用されるときに使用され得る。
【0092】
図1Dは、
図1Cに示したネックトライアル170に追加的に又は代替的に提供され得る、ネックトライアル230の更なるセットを示す。例えば、ネックトライアル230は、ネックトライアル170のインプラントシステムとは異なるインプラントシステムに対応してもよく、したがって、
図1A及び
図1Bに示したライナートライアル110及びヘッドトライアル140と共にネックトライアル170の代わりに使用されてよい。
【0093】
更なるネックトライアル230は、
図1Cに示したものと概ね同様の第1のネックトライアル232及び第2のネックトライアル234を備える。第1のネックトライアル232及び第2のネックトライアル234は各々、約130°の同じステム-ネック角度を有する。第1のネックトライアル232は、単一の垂直線236及び単一の水平線238を含み、第2のネックトライアル234は、2つの垂直線240、242及び単一の水平線244を有する。上記と同様に、各ネックトライアル上の単一の水平線は、各ネックトライアルによって上下軸に沿って同じ脚位置となることを示し、単一の垂直線236と比較した2つの垂直線240、242は、第2のネックトライアル234によって、第1のネックトライアル232と比較して脚が外側により大きくオフセットすることを示す。
【0094】
例えば、第1のネックトライアル232は、単一の垂直線によって反映される脚の標準的なオフセット位置を有するニュートラルネックトライアルと見なすことができ、第2のネックトライアル234は、第1のネックトライアル232と比較して、脚を外側に、例えば約4mm~8mm移動させるので、高オフセット位置とすることができる。
【0095】
インプラントシステムは、異なるサイズの人工装具を提供してもよく、より小さいサイズの人工装具及びより大きいサイズの人工装具に対応する一対のネックトライアル232、234を提供してもよい。例えば、第1のインプラントシステムでは、より小さいサイズの人工装具のための第2のネックトライアル234が、脚を6mm外側に移動させることができ、より大きいサイズの人工装具のための第2のネックトライアル234は、脚を8mm外側に移動させることができる。例えば、第2のインプラントシステムでは、5つの異なるサイズの人工装具の各々について、一対のネックトライアル232、234を提供してよく、第2のネックトライアル234によって提供される外側移動は、5つのサイズの人工装具の最小の人工装具から最大の人工装具について、4mm、5mm、6mm、7mm、及び8mmであり得る。
【0096】
ネックトライアルは、外科グレードのステンレス鋼、あるいは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はポリアリールエーテルケトン(PAEK)などの様々な好適なポリマーなど、任意の好適な材料から作製されてよい。直線状のしるしは、レーザーマーキングを使用して、ネックトライアルの前方面及び/又は前方を向いた表面上に提供され得る。
【0097】
線又は直線状のしるしは、トライアル関節アセンブリに対するトライアル構成要素の効果を理解するために、ユーザによる視覚化が容易である単純かつ高コントラストのマーキングとして、様々なトライアルに提供され得る。また、サイズ情報を符号化し、ユーザに通信するために、ライナー及び/又はヘッドの色を使用することもできる。
【0098】
図2は、
図1A~
図1Cに例示したトライアル構成要素の選択を使用して構築され得る、例示的なトライアル股関節250の斜視図を示す。トライアル股関節250は、患者の大腿骨内に大腿骨空洞を調整するために使用された最終ブローチ260を含む。他の実施形態では、大腿骨ブローチの代わりに、他の大腿骨部品を使用してもよいことが理解されるであろう。例えば、トライアル大腿骨ステムを使用してよい。他の実施形態では、人工装具大腿骨ステムを使用してもよい。また、大腿骨の調整中に使用される他の器具及び/又はツールを代わりに使用してもよい。
【0099】
第3のネックトライアル176は、大腿骨ブローチ260の近位表面262上に解放可能に装着される。近位表面262は、ネックトライアル176の遠位表面から延びる雄型部材184を受容するための開口を有する。他の実施形態では、ネックトライアル176の本体内の対応する雌型形成物内に受容されるように、雄型部材を近位表面262上に提供してよい。第3のヘッドトライアル146は、ネックトライアル176のテーパ部に取り外し可能に取り付けられている。ヘッドトライアル146は、強化ライナートライアル114の本体によって画定される空洞内に受容される。強化ライナートライアル114は、
図2に示したようなシェルの形態で提供され得るトライアル寛骨臼カップ264内に受容される。他の実施形態では、ライナートライアル114は、人工装具のシェル又はカップ内に受容され得る。
【0100】
上述したように、トライアルキット100のトライアル構成要素の各々は、多くの線若しくは直線状のしるし、並びに線若しくは直線状のしるしの数、並びに/又は水平線及び垂直線の相対位置を含み、結果として生じる関節の特定の特性に対する各トライアル構成要素の効果を視覚的に示す。直線状のしるしは、トライアル関節アセンブリ内のトライアル構成要素の各々が結果として生じる関節に印加している張力の量と方向の両方の視覚的な表現又は表示である。
【0101】
図2に示したように、強化トライアルライナー114上の線126は、ヘッドトライアル146上の3つの線266であるかのように見えている。これらの各々は、ネック軸190に対して概ね垂直であり、ネック長さがこれらのトライアル構成要素の各々によって影響を受ける量を示す。ネックトライアル176上の直線状のしるしは、ネックトライアル176が、脚長さに対する効果は最小限であるが、結果として生じる関節の内外オフセットに対する効果は増大することを示す。
【0102】
これは、トライアル構成要素上の直線状のしるしと結果として生じる関節の変化との間の関係のグラフィック表現270を示す
図3に更に示される。
【0103】
上下方向に延びる直線状のしるしの数は、
図3の線Aによって示されるように、患者の脚を内外オフセットさせる。ネックトライアル上の垂直線の数が多いほど、矢印272によって示されるように、患者の脚は、内外軸に沿って外側により大きくオフセットされる。同様に、内外方向に対して平行な水平線の数が多いほど、
図3の線Bによって示されるように、患者の脚長さに対するネックトライアルの効果が大きくなる。内外軸に対して平行な線の数が多いほど、
図3の線274によって示される下方方向における脚長さの変化が大きくなる。
【0104】
更に、関節のライナートライアル及び/又はネックトライアル上のいくつかの直線状のしるしの数によって、
図3の線Cに沿ったネック長さの変化が大きくなる。
図3は、概して、ネック軸190の方向に延び、
図3の線276によって示される方向の股関節の張力を増加させることができる。
図2と
図3との比較から理解されるように、ヘッドトライアル146及びライナートライアル114上の直線状のしるしは、ネック軸190の方向に対して概ね垂直である。
【0105】
ネック長さCを変えるためにヘッドトライアル及び/又はライナートライアルを変更した場合、
図3に示したように、これは、脚長さB及びオフセットAに対しても影響があり得る。例えば、全体的ネック長を低減すると、オフセットA及び脚長さBを低減する効果がある。同様に、全体的ネック長を増大させると、オフセットA及び脚長さBを増大させる効果がある。
【0106】
同様に、オフセットAを増大させると、ネック長さCをわずかに増大させるが、必ずしも脚長さBも増大させるものではない。同様に、脚長さBを増大させると、ネック長さCをわずかに増大させるが、内外方向のオフセットAを変化させないことがある。
【0107】
したがって、トライアル構成要素に含まれる視覚的しるしは、トライアル関節にトライアル構成要素の各々が提供する寄与をオフセット及び/又は脚長さ及び/又はネック長さの観点から外科医が即座に理解することを可能にするための、容易に理解可能なシステムを提供する。したがって、外科医は、トライアル関節において使用されるトライアル構成要素を視覚的に検査することによって処置の起こり得る結果を改善するために、トライアル構成要素のうちのどの1つ以上を変化させるべきかを容易に判定することができる。
【0108】
更に、外科医は、キットからの他のトライアル構成要素を使用して、修正されたトライアル関節との接合を再トライアルするためには、キット内のトライアル構成要素のどれを更なるトライアルアセンブリに使用すべきかを容易に判定することができる。
【0109】
例えば、
図4Aは、
図2に示したものと同様の右側股関節のトライアル関節280の概ね前後方向の図を示す。トライアル関節280は、トライアルシェル264、第1のトライアルライナー112、第5のトライアルヘッド150及び第2のネックトライアル174を含む。
【0110】
トライアルネック174上の視覚的しるし200、202によって示されるように、現在のトライアルネック174は、脚長さ及びオフセットに対してニュートラルな影響を及ぼす。ライナートライアル112上の単一の直線状のしるしは、ライナートライアルの全体的ネック長に対する寄与は最小限であることを示すが、ヘッドトライアル150上の5つの直線状のしるしは、ヘッドトライアルが全体的ネック長に有意に寄与することを示す。したがって、例えば、整復されたトライアル関節の軟組織における有意な張力を理由に、全体的ネック長を減少させたいと外科医が望む場合、外科医は、トライアルヘッド150が組織張力に有意に寄与していることをトライアル関節280の検査によって迅速に理解することができる。
【0111】
したがって、外科医は、全体的ネック長を低減するようにトライアルヘッド150を第3のトライアルヘッド146と交換し、その結果、
図4Bに示すトライアル関節282を得ることができる。
【0112】
しかしながら、
図3の方向Cに沿って全体的ネック長を低減することによって、外科医は、ここでは、内外軸Aに沿って内側に脚を移動させることによってオフセットも低減した。したがって、患者の脚の内外オフセットは、ここでは、
図4Aのトライアル関節アセンブリ280の状況と比較して、トライアル関節アセンブリ282によって低減されている。外科医は、内外オフセットを外側に増大させることが望ましいと判定することがある。トライアルキット100を検査することによって、外科医は、第3のネックトライアル176が、上下軸に対して平行な2つの線204、206によって、内外オフセットを外側に増大させることを即座に理解することができる。
【0113】
したがって、外科医は、
図4Cに示すトライアル関節284に到達するように、第2のトライアルネック174を第3のトライアルネック176と交換してもよい。したがって、第3のトライアル関節284では、全体的ネック長は、第1のトライアルアセンブリ280と比較して低減され、内外オフセットは第3のネックトライアル176により増大されており、それによって、意図される内外オフセットをより良好に再現し、かつ、全体的ネック長を低減するために第5のヘッドトライアル150の代わりに第3のヘッドトライアル146を使用することによる内外オフセットの低減を補償する。
【0114】
図4A~
図4Cを見ると分かるように、ネック軸に対して概ね垂直な直線状のしるし(ライナートライアル及びヘッドトライアル上のしるし)の数は、トライアル関節における張力の量を表す。上下方向に延びる直線状のしるしの数は、トライアル関節のオフセットの量を概ね示す。内外方向の直線状のしるしの数は、トライアル関節における脚長さの量を示す。したがって、直線状のしるしは、そのような股関節の起こり得る外科的結果に対する異なるトライアル構成要素の各々の効果を見やすくかつ理解しやすく表示する。
【0115】
更に、直線状のしるしにより、外科医は、どのトライアル構成要素が股関節へのどのような効果に寄与しているかを理解することが可能になるだけでなく、外科医は更に、視覚的しるしを使用して、例えばオフセット、脚長さ及び/又は組織張力の観点から、現在のトライアルの任意の望ましくない特性を補正するために、他のトライアル構成要素のうちのどれを選択して、関節を再トライアルするために使用すべきかを容易かつ正確に判定することができる。これについて、
図5を参照して更に詳細に説明する。
【0116】
図5は、本発明の更なる実施形態によるトライアルキット100を使用する方法300を示すフローチャートを示す。股関節を置換するための外科手術の多くの工程が一般的に知られており、本発明を不明瞭にしないように詳細には説明しない。本発明は、特に、股関節置換外科手術のトライアル段階に関連する。
【0117】
方法300は、302において、寛骨臼の調整を開始する。これは、患者の骨盤の寛骨臼内に実質的に半球状の空洞を調整するために、寛骨臼を取り囲む様々な軟組織構造を除去すること、並びに寛骨臼グレータ及び/又は寛骨臼リーマを使用することを含んでもよい。
【0118】
304において、患者の大腿骨を調整する。これは、大腿骨頭部及び大腿骨の近位部分を切除することを含むことができる。当該技術分野において一般に知られている様々なツール及び器具を使用して、大腿骨軸の近位部分に概ね沿って延びる髄内空洞を開始及び調整することができる。大腿骨の準備の何らかの段階において、最終的に大腿骨空洞を調整するために、最終的なサイズのブローチを使用することができる306。次いで、ハンドルをブローチから取り外すことができ、ブローチを大腿骨内に残し得る。例えば、ブローチ260が
図2に示されている。
【0119】
308において、計画された外科手術に従って、カップトライアル、例えばトライアル264を選択し、調整された寛骨臼空洞内に挿入することができる。工程310では、患者のために、事前に計画されたカップ及びヘッドサイズに対応するトライアルキットからライナートライアルを選択することができる。カップトライアルが有意な垂直方向で挿入されている場合、又は患者が脱臼する危険性がある場合、強化ライナー114を使用してもよい。そうでない場合、外科医は、標準的なライナートライアルを選択して、カップトライアル内に挿入してもよい。
【0120】
312では、事前に計画された外科手術に従って、ネックトライアル170のうちの1つを選択し、工程312においてブローチ212に解放可能に取り付けることができる。
【0121】
314では、ヘッドトライアル140のうちの選択された1つを選択し、314においてネックトライアルのテーパ部に取り付けることができる。次に、316において、トライアル関節を整復することができ、トライアル関節は、
図2及び
図4A~
図4Cに示した一般的な構造を有することができる。
【0122】
318において、外科医は、結果として生じるトライアル関節の特性を評価することができる。これは、股関節の軟組織における張力を評価することを含むことができる。これはまた、患者の概ね上下方向の軸に沿って、患者の結果として生じる脚長さを評価することを含んでもよい。これは更に、内外軸に沿った患者の脚のオフセットを評価することを含んでもよい。工程318はまた、トライアル構成要素同士の間の任意の起こり得る影響を判定するために、また、現在選択されているトライアル構成要素に起因する組織張力を評価するために、可動域(ROM)評価を実行することを含んでもよい。工程320おいて、外科医は、経験又は他の要因に基づいて、構成要素のこの選択に起因する股関節が許容可能であるか否かを判定することができる。許容可能である場合、322において、トライアル構成要素を除去することができる。次いで、トライアル構成要素を、トライアル構成要素と概ね同じサイズ、位置、及び/又は配向を有する人工装具構成要素と交換することができる。
【0123】
あるいは、外科医は、評価段階318において判定された股関節の任意の特性を補償するために、トライアル構成要素と同一の人工装具構成要素を選択するのではなく、わずかに異なる幾何学形状を有する人工装具構成要素を選択してもよい。例えば、318において、組織張力が322における組織張力よりもわずかに大きすぎると外科医が判定した場合、外科医は、組織張力を低減するのを補助するために、大腿骨人工装具に、わずかに短いネック長さを使用することを選択してもよい。
【0124】
工程320に戻って、何らかの点で関節が許容できないと外科医が判定した場合、324において、外科医は、インサイチュでトライアル関節を検査することができる。例えば、318において、外科医が関節を評価し、現在のトライアルアセンブリについて、組織張力が緩すぎ、内外オフセットも小さすぎると判定した場合、外科医は、324において、トライアル構造体を検査して、どのようにトライアル構造体を修正し得るかを判定することができる。例えば、
図6は、第2のネックトライアル174に装着された第3のヘッドトライアル146を備えるトライアルアセンブリ340の図を示しており、第2のネックトライアル174は大腿骨ブローチ260に装着されている。ヘッドトライアル146上の複数の直線状のしるしを見ると分かるように、ヘッドトライアルは、適度な量を全体的ネック長に提供しており、ネックトライアル174上の直線状のしるしから分かるように、ネックトライアル174は、脚長さ及びオフセットに対してニュートラルな量を提供している。したがって、外科医は、現在のトライアル構成要素がトライアル関節の性能にどのように影響を及ぼしているかを容易に理解することができる。
【0125】
したがって、326において、外科医はトライアル関節を分離し、外科的結果を矯正するために、トライアルキット100から1つ以上のトライアル構成要素を選択することができる。例えば、わずかに組織張力が緩すぎ、内外オフセットが小さすぎると外科医が見なした場合、外科医は、トライアルキット100を検査することによって、内外オフセットを増大させるが、脚長さを増大させないためには、他のネックトライアルのうちのどれを使用することができるかを容易に判定することができる。上述したように、内外オフセットを増大させることによって、全体的ネック長もまたわずかに増大する。したがって、326において、外科医は、最初のトライアルアセンブリ340を分解し、ネックトライアル172を第3のネックトライアル176と交換して、
図7に示すトライアルアセンブリ350に到達することができる。
【0126】
したがって、プロセスフローは、プロセスフロー線328によって示されるように工程316に戻ることができ、そこで外科医は、新しいトライアルアセンブリ350を用いてトライアル関節を整復することができる。ネックトライアル174をネックトライアル176と交換する効果が
図7に示される。大腿骨ブローチ260の以前の位置は影で示されており、大腿骨ブローチの新しい位置は、より暗い外形260’で示されている。したがって、ネックトライアル174をネックトライアル176と交換する効果は、オフセットを約7mm増大させることによって患者の脚を内外軸に沿って外側に移動させるが、同時に脚長さを維持することである。
図7では、ネックトライアル176の前方を向いた表面上の直線状のしるしは、ネックトライアルが、股関節の回転の中心に対して外側に患者の脚を移動させる効果を有することを示す。
【0127】
したがって、整復された置換トライアル関節350を工程318において再び評価することができ、外科医は、第2のトライアル股関節350が満足な外科的結果をもたらす可能性が高く、したがって、最終的な人工装具インプラントに採用され得ると判定することができる。
【0128】
別の例として、工程318に戻って、最初のトライアルセンブリ340について318において、組織張力が大きすぎ、内外オフセットが小さすぎると318で判定された場合、324において、外科医は、トライアルヘッドがネック長さに、したがって張力に有意に寄与していることを、最初のトライアルヘッド146上の直線状のしるしから即座に理解することができる。したがって、326において、外科医は、組織張力を低減するトライアルヘッドを試行し得ることを容易に判定することができ、直線状のしるしの数が低減されることにより、例えば第2のトライアルヘッド144を容易に識別することができる。外科医はまた、トライアルネック176が、脚長さ(1つの水平線208)を変更することなく、内外オフセット(2つの垂直線204、206)を増大させると見なされ得ることを容易に識別することができる。したがって、外科医は、
図8に示すように、第2のトライアルヘッド144及び第3のトライアルネック176を選択し、トライアルアセンブリ360を組み立てることができる。
【0129】
プロセスフローは、線328~316によって示されるように戻り、トライアル関節を再び整復し、318において更に評価することができる。外科医は次いで、320において、組織張力が現在適切であり、また、オフセットが適切であると判定することができる。
図8に示すように、第2のヘッドトライアル144は、全体的ネック長を低減する効果を有し、第3のネックトライアル176は、脚長さを変えることなく、オフセットを外側に増加させる効果を有し、全体的ネック長にわずかに寄与する。
【0130】
更に、強化ライナートライアルが使用され得るかどうかの評価を補助するために、ライナートライアル上の直線状のしるしとヘッドトライアルの直線状のしるしとの間の角度を使用することができる。例えば、ニュートラルなライナートライアルが現在使用されていると仮定すると、318での評価の間、外科医は、大腿骨をラナワット標識(Ranawat sign)位置に配置することができる(一般に、手術される脚は、延ばして、45°内旋させて配置される)。次いで、外科医は、ライナートライアル上の直線状のしるしがヘッドトライアル上の直線状のしるしに対して十分に平行であるかどうかを評価することができる。例えば、直線状のしるしの間の鋭角が数度未満、例えば約10°未満であることを理由に十分に平行である場合、外科医は、脱臼のリスクが低く、通常のライナーを使用することを選択することができると判定することができる。あるいは、例えば、直線状のしるしの間の鋭角が約10°よりも大きい場合、外科医は脱臼の危険性が高いと判定することができ、外科医は、代わりに強化ライナーを使用することを選択することができる。したがって、脱臼の危険性を評価し、したがって、強化ライナーを使用すべきか否かを評価するために、関節における張力の直線的なしるしを使用することもできる。
【0131】
したがって、ネックトライアル上の第1の方向及び第2の方向における直線状のしるしの数は、ネックトライアルが、オフセット方向及び脚長さ方向における患者の脚の位置に寄与する量を示す。ヘッドトライアル及び/又はライナートライアル上の直線状のしるしの数は、これらの構成要素がネック長さに寄与する量を表す。したがって、外科医は、単にインサイチュで検査することによって、異なるトライアル構成要素の各々がトライアル関節の挙動にどのように寄与しているかを、目視検査によって容易に理解することができる。
【0132】
更に、現在のトライアル関節における任意の潜在的な欠陥を補償し、起こり得る関節の任意の欠損を整復するように更なるトライアルアセンブリを組み立てることを可能にするために、直線状のしるしを容易に使用して1つ以上の置換トライアル構成要素を選択することができる。
【0133】
更に、任意の特定のサイズのライナートライアル及びヘッドトライアルが色分けされているので、外科医は、トライアルヘッドのサイズ及びトライアルライナーのサイズが任意のトライアルキットと一致することを容易に確かめることができる。したがって、トライアルキットがサイズの異なるライナートライアル及びヘッドトライアルを備えていることにより、外科医が異なるサイズのライナートライアルを使用することを外科医が決断した場合、外科医は、その一致している色に基づいて、どのヘッドトライアルが異なるサイズのライナーと一致するかを容易に判定することができる。
【0134】
本明細書において、例示的な実施形態が、選択された詳細事項のセットに関して提示されてきた。しかしながら、当業者であれば、これらの詳細事項の異なる選択されたセットを含む、多くの他の例示的な実施形態が実践され得ることを理解するであろう。以下の特許請求の範囲は、全ての可能な例示的な実施形態を網羅することが意図される。
【0135】
特定の順序が明示的に記載されていない限り、あるいは暗黙的に必要とされない限り、任意の指示及び/又はフローチャート工程を任意の順序で実行することができる。また、当業者であれば、指示/方法の1つの例示的なセットについて説明してきたが、本明細書における内容は、様々に組み合わされて、他の例ももたらし得、この詳細な説明によって提供される文脈内で理解されるべきであることを認識するであろう。
【0136】
本開示は様々な改変及び代替的形態が実現可能であるが、それらの具体的事項を例示のために図面に示し、詳細に説明してきた。しかしながら、説明された具体的な実施形態を超える他の実施形態もまた可能であることを理解されたい。添付の特許請求の範囲内に含まれる全ての修正、均等物、及び代替の実施形態も含まれる。
【0137】
〔実施の態様〕
(1) ネックトライアルであって、
外側表面を有する本体と、
前記本体から離れる方向に、ネック軸に沿って延びるネックと、を備え、前記外側表面に少なくとも1つの第1の線が提供され、前記第1の線又は各第1の線は、使用時に患者の上下軸に対して平行な第1の方向に延び、前記外側表面上に少なくとも1つの第2の線が提供され、前記第2の線又は各前記第2の線は、使用時に前記患者の内外軸に対して平行な第2の方向に延び、
前記第1の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第2の線に対する1つ若しくは複数の前記第1の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる内外方向のオフセットの量を示し、
前記第2の線の数、又は1つ若しくは複数の前記第1の線に対する1つ若しくは複数の前記第2の線の位置は、前記ネックトライアルによって引き起こされる上下方向の脚長さの量を示す、
ネックトライアル。
(2) 前記第1の線の数は、1~3つの範囲である、実施態様1に記載のネックトライアル。
(3) 前記第2の線の数は、1~3つの範囲である、実施態様1又は2に記載のネックトライアル。
(4) 前記第1の線の数は1つ超であり、前記第2の線の数は1つ超である、実施態様1~3のいずれかに記載のネックトライアル。
(5) 各線が実線である、実施態様1~4のいずれかに記載のネックトライアル。
【0138】
(6) 前記第1の線及び前記第2の線の全てが、隣接し、かつ、前記外側表面の同じ部分に配置されている、実施態様1~5のいずれかに記載のネックトライアル。
(7) 前記第1の線及び前記第2の線の全てが、使用時に前記ネックトライアルの前方を向いた表面又は後ろ向き表面にある、実施態様1~6のいずれかに記載のネックトライアル。
(8) 前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線とは別個である、実施態様1~7のいずれかに記載のネックトライアル。
(9) 前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線に接続されている、実施態様1~7のいずれかに記載のネックトライアル。
(10) 前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線に対して内側に位置決めされている、実施態様1~9のいずれかに記載のネックトライアル。
【0139】
(11) 前記第1の線又は各第1の線は、前記第2の線又は各第2の線に対して外側に位置決めされている、実施態様1~9のいずれかに記載のネックトライアル。
(12) 前記第2の線又は各第2の線は、前記第1の線又は各第1の線に対して上方に位置決めされている、実施態様1~11のいずれかに記載のネックトライアル。
(13) 前記第2の線又は各第2の線は、前記第1の線又は各第1の線に対して下方に位置決めされている、実施態様1~11のいずれかに記載のネックトライアル。
(14) 部品のキットであって、
実施態様1~13のいずれかに記載の複数のネックトライアルを備え、各ネックトライアルが、異なる数の第1の線及び/又は異なる数の第2の線を有する、
部品のキット。
(15) 部品のキットであって、
実施態様1~13のいずれかに記載の複数のネックトライアルを備え、各ネックトライアルの1つ若しくは複数の前記第1の線の位置が、1つ若しくは複数の前記第2の線に対して異なり、かつ/又は1つ若しくは複数の前記第2の線の位置が、1つ若しくは複数の前記第1の線に対して異なる、
部品のキット。
【0140】
(16) 前記ネックトライアルの各々に解放可能に取り付け可能であり、かつ、前記ネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付けられたときに、前記ネック軸に対して垂直な平面内に延びるヘッド線を有する、ヘッドトライアル
を更に備える、実施態様14又は15に記載の部品のキット。
(17) 各々が前記ネックトライアルの各々に解放可能に取り付け可能であり、かつ、各々が前記ネックトライアルのうちの1つに解放可能に取り付けられたときに、前記ネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延びる異なる数のヘッド線を有する、複数のヘッドトライアルを更に含み、各ヘッドトライアルは、前記ネック軸に沿った異なる位置で、前記ネックトライアルのうちの前記1つに解放可能に取り付け可能である、実施態様16に記載の部品のキット。
(18) 各ヘッドトライアル上の前記ヘッド線の数は、前記ヘッドトライアルが使用時に前記ネックトライアルに解放可能に取り付けられたときの、前記ネックトライアルからの前記トライアルヘッドの前記ネック軸に沿った距離を示す、実施態様17に記載の部品のキット。
(19) ライナートライアルを更に含み、前記ライナートライアルは、使用時に前記ヘッドトライアルを受け入れるための前記ライナートライアルの口を画定するリムを有し、前記口に対して平行な平面内に少なくとも1つのライナー線が延び、前記ライナー線の数は、前記トライアルライナーが前記ネック軸に沿って前記ヘッドトライアルを移動させる距離を示す、実施態様16~18のいずれかに記載の部品のキット。
(20) 前記ライナー線は、前記口に隣接して前記ライナートライアルの外側表面にある、実施態様19に記載の部品のキット。
【0141】
(21) 複数のライナートライアルを更に備え、各ライナートライアルは、異なる数のライナー線を有し、各ライナー線は、それぞれの口に対して平行なそれぞれの平面内に延びる、実施態様19又は20に記載の部品のキット。
(22) 強化ライナートライアルを更に含み、前記強化ライナートライアルは、使用時に前記ヘッドトライアルを受け入れるための前記強化ライナートライアルの口を画定するリムの一部分を有し、前記口に対して平行な平面内にライナー線が延びる、実施態様19~21のいずれかに記載の部品のキット。
(23) 前記ライナートライアル又は各ライナートライアルと前記ヘッドトライアル又は各ヘッドトライアルとは、同じ色を有する、実施態様16~22のいずれかに記載の部品のキット。
(24) 前記ライナートライアル又は各ライナートライアルは内径を有し、前記ヘッドトライアル又は各ヘッドトライアルは外径を有し、前記内径と前記外径とは、前記ヘッドトライアルが前記ライナートライアル内で関節運動することができるように一致する、実施態様23に記載の部品のキット。
(25) トライアルアセンブリであって、
実施態様1~13のいずれかに記載のネックトライアルと、
ヘッドトライアルと、を備え、前記ヘッドトライアルは、前記ネックトライアルに解放可能に取り付けられ、かつ、少なくとも1つのヘッド線を有し、前記ヘッド線又は各ヘッド線は、前記ネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延び、前記ヘッド線の数は、前記ネック軸に沿った前記トライアルアセンブリの長さを示す、
トライアルアセンブリ。
【0142】
(26) ライナートライアルを更に備え、前記ライナートライアルは、前記ライナートライアルの口を画定するリムを有し、前記ヘッドトライアルは、前記口に受け入れられ、前記口に対して平行な平面内にライナー線が延びる、
実施態様25に記載のトライアルアセンブリ。
(27) 患者の関節のトライアルを行う方法であって、
トライアル関節アセンブリを組み立てることであって、前記トライアル関節アセンブリは、ネックトライアル及びヘッドトライアルを含み、前記ネックトライアルは、前記ネックトライアルに起因する前記患者の内外方向のオフセットの量及び前記患者の上下方向の脚長さの量を示すように配置された複数の線を担持する、トライアル関節アセンブリを組み立てることと、
前記トライアル関節アセンブリを含む前記患者のトライアル関節を整復することと、
前記トライアル関節の挙動を評価することと、
前記患者の前記関節を再建するために前記患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変更を決定するために、前記複数の線を検査することと、
を含む、方法。
(28) 前記ヘッドトライアルは、少なくとも1つのヘッド線を含み、前記ヘッド線又は各ヘッド線は、前記ネックトライアルのネック軸に対して垂直なそれぞれの平面内に延び、
前記患者の前記関節を再建するために前記患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変更を決定するために、前記ヘッド線の数も検査すること
を更に含む、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記トライアル関節はライナートライアルを更に含み、前記ライナートライアルは、前記ヘッドトライアルを受け入れる前記ライナートライアルの口を画定するリムを有し、前記ライナートライアルは、少なくとも1つのライナー線を含み、前記ライナー線又は各ライナー線は、前記口に対して平行なそれぞれの平面内に延び、
前記患者の前記関節を再建するために前記患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変更を決定するために、前記ライナー線の数も検査すること
を更に含む、実施態様27又は28に記載の方法。
(30) 前記トライアル関節の前記挙動を評価することは、前記内外方向における結果として生じるオフセットを評価することを含むことができる、実施態様27~29のいずれかに記載の方法。
【0143】
(31) 前記トライアル関節の前記挙動を評価することは、前記上下方向における結果として生じる脚長さを評価することを含むことができる、実施態様27~30のいずれかに記載の方法。
(32) 前記トライアル関節の前記挙動を評価することは、前記トライアル関節の、結果として生じる軟組織張力を評価することを含むことができる、実施態様27~31のいずれかに記載の方法。
(33) 前記トライアル関節を分離することと、
異なるネックトライアル及び/又はヘッドトライアル及び/又はライナートライアルを、各々の上の前記線に基づいて選択することと、
対応する以前の1つ若しくは複数のトライアル構成要素の代わりに前記選択された1つ若しくは複数のトライアル構成要素を使用して、更なるトライアル関節を整復することと、
前記更なるトライアル関節の前記挙動を評価することと、
前記患者の前記関節を再建するために前記患者に埋め込まれる人工装具構成要素に対する任意の変化を決定するために、前記更なるトライアル関節の前記構成要素上の前記複数の線を検査することと
を更に含む、実施態様27~32のいずれかに記載の方法。
(34) 前記トライアル関節又は更なるトライアル関節の前記挙動を評価することは、前記トライアル関節又は前記更なるトライアル関節の可動域を評価することを含む、実施態様27~33のいずれかに記載の方法。