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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】双方向関節運動式外科用シェーバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20240326BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/32 510
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021531740
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 IB2019060238
(87)【国際公開番号】W WO2020115613
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】62/775,135
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/666,484
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アクバリアン・ファテメ
(72)【発明者】
【氏名】ファング・イツァーク
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-051290(JP,A)
【文献】特開平06-292728(JP,A)
【文献】米国特許第05669926(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)第1の構成から第2の構成に向かって関節運動するように構成されたシャフトであって、
(i)遠位シャフト端部と、
(ii)近位シャフト端部と、
(iii)前記遠位シャフト端部から前記近位シャフト端部まで延び、前記近位シャフト端部に対して前記遠位シャフト端部を移動させるように構成されたシャフト側壁と、
(iv)前記シャフト側壁を通って延びるシャフト窓開口部と、
を含む、シャフトと、
(b)前記シャフト内に配置され、前記シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材であって、前記切断部材が、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフト内で関節運動するように更に構成されており、
(i)遠位部材端部と、
(ii)近位部材端部と、
(iii)前記遠位部材端部から前記近位部材端部まで延び、前記近位部材端部に対して前記遠位部材端部を移動させるように構成された部材側壁と、
(iv)前記部材側壁を通って延び、前記シャフト窓開口部に対して周期的に移動する間に前記シャフト窓開口部と整列し、切断のために組織を受け入れるように構成された切断窓開口部と、
を含む、切断部材と、
(c)前記シャフトを前記切断部材に対して長手方向に固定し、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させながら、前記近位シャフト端部に対して前記近位部材端部を長手方向に移動させて、前記シャフト窓開口部と前記切断窓開口部との間の整列を維持するために前記遠位シャフト端部に対する前記遠位部材端部の移動を阻止するように構成された、軸方向調整連結器と、
を備え、
電動駆動アセンブリの少なくとも一部分を更に備え、前記軸方向調整連結器が、前記電動駆動アセンブリの前記少なくとも一部分に対して前記切断部材を回転可能に固定して、前記電動駆動アセンブリの前記少なくとも一部分と前記切断部材との間の相対回転を阻止する、
外科用器具。
【請求項2】
前記切断部材が、内部を通って長手方向に延び、かつ前記切断窓開口部と流体連通している、吸引ルーメンを更に含み、前記切断窓開口部が、前記切断窓開口部及び前記シャフト開口部が内部を通って前記組織を吸引するために流体連通するように、前記シャフト開口部に対して周期的に移動する間に前記シャフト開口部と整列するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記軸方向調整連結器が、前記遠位部材端部を前記遠位シャフト端部に向かって長手方向に付勢する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記シャフトが、前記第1の構成から第3の構成に向かって関節運動するように構成されており、前記切断部材が、前記第1の構成から前記第3の構成に向かって前記シャフト内で関節運動するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第1の構成が、第1の真っ直ぐな構成であり、前記第2の構成が、第1の関節運動した構成であり、前記第3の構成が、第2の関節運動した構成であり、前記第2の関節運動した構成が、前記第1の関節運動した構成とは反対に屈曲されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記シャフト及び前記切断部材に動作可能に接続され、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させるように構成された関節機構を更に備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記関節機構が、前記シャフトに接続された細長い部材を含み、前記細長い部材が、引っ張られ、それによって前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフトを関節運動させるように構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記シャフト側壁が、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって移動している間に前記部材側壁と係合して、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記切断部材を付勢するように構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項9】
本体アセンブリを更に備え、前記本体アセンブリが、前記本体アセンブリから遠位に延びる前記シャフト及び前記切断部材を有し、前記関節機構が、前記本体アセンブリ上に配置され、かつ前記細長い部材に動作可能に接続された、関節運動入力部を更に含み、前記関節運動入力部が、前記細長い部材を選択的に付勢して、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフトを方向付けるように構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項10】
関節運動するように構成された前記シャフトの少なくとも一部分が、可撓性材料から形成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項11】
関節運動するように構成された前記シャフトの少なくとも一部分が、前記シャフトの前記少なくとも一部分に沿って長手方向に配置された複数の間隙を有し、前記複数の間隙が、前記第2の構成において少なくとも部分的に共に閉鎖するようにそれぞれ構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項12】
電動駆動アセンブリを含む本体アセンブリを更に備え、前記シャフト及び前記切断部材が、前記本体アセンブリから遠位に延びる、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記電動駆動アセンブリが、駆動出力部材を含み、前記軸方向調整連結器が、前記駆動出力部材に対して前記切断部材を回転可能に固定して、前記駆動出力部材と前記切断部材との間の相対回転を阻止する、請求項12に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記シャフトが、シャフト管であり、前記切断部材が、切断部材管である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項15】
外科用器具であって、
(a)駆動出力部材を有する電動駆動アセンブリを含む本体アセンブリと、
(b)前記本体アセンブリから遠位に延び、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されたシャフトであって、
(i)遠位シャフト端部と、
(ii)近位シャフト端部と、
(iii)前記遠位シャフト端部から前記近位シャフト端部まで延び、前記近位シャフト端部に対して前記遠位シャフト端部を移動させるように構成されたシャフト側壁と、
(iv)前記シャフト側壁を通って延びるシャフト窓開口部と、
を含む、シャフトと、
(c)前記シャフト内に配置され、前記シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材であって、前記切断部材が、前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフト内で関節運動するように更に構成されており、
(i)遠位部材端部と、
(ii)近位部材端部と、
(iii)前記遠位部材端部から前記近位部材端部まで延び、前記近位部材端部に対して前記遠位部材端部を移動させるように構成された部材側壁と、
(iv)前記部材側壁を通って延び、前記シャフト窓開口部に対して周期的に移動する間に前記シャフト窓開口部と整列し、切断のために組織を受け入れるように構成された切断窓開口部と、
を含む、切断部材と、
(d)前記シャフトを前記切断部材に対して長手方向に固定し、前記駆動出力部材に対して前記切断部材を回転可能に固定する軸方向調整連結器であって、前記軸方向調整連結器が、前記遠位部材端部を前記遠位シャフト端部に向かって付勢し、前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させながら、前記近位シャフト端部に対して前記近位部材端部を長手方向に移動させて、前記シャフト窓開口部と前記切断窓開口部との間の整列を維持するために前記遠位シャフト端部に対する前記遠位部材端部の移動を阻止するように構成された、軸方向調整連結器と、
を備える、
外科用器具。
【請求項16】
前記シャフトに接続された細長い部材を有する関節機構を更に備え、前記細長い部材が、引っ張られ、それによって前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフトを関節運動させるように構成されている、請求項15に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、米国仮特許出願第62/775,135号、発明の名称「Bi-Directional Articulating Surgical Shaver」(2018年12月4日出願)の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
鼻腔内の病変、ポリープ及び類線維腫の除去のために構成された外科用切断器具が知られている。いくつかの構成は、管状外側部材内に回転可能に同軸に配設された細長い内側部材を含み得る。この外側部材の遠位端は、開口部を含み、内側部材の遠位端は、切断縁部を含む。この2つの部材の近位端は、直接に、又は着脱可能なハブを介して、ハンドルに接続され得る。内側部材は中空で、吸引ポートと連通していてもよく、これによって切断された組織等が中空部材を通して外に吸引され得る。切断縁部は、骨組織などの特定のタイプの組織を行うのに適した任意の様々な構成を有することができ、開口部は、その特定の切断縁部構成と協働するように構成することができる。
【0003】
このような外科用切断器具をそのような組織に対処するために使用するためには、開口部/切断縁部を、対象の手術部位へと前進させ、開口部を、除去されるべき組織に隣接するよう配置する。開口部は、器具が前に配置されていた位置ではアクセスできなかった組織に対処するように再配置することができる。固定開口部を備えた外科用切断器具により、外科医は、固定された開口部を切断する方向のみで切断することが可能になる。様々な位置の組織にアクセスし、これを切断及び除去するために、外科医は、器具を様々な角度で再配置しなければならない。又は場合によっては、器具を、より適切な配置の開口部を有する他の器具に変更しなければならない。
【0004】
外科用器具を再配置又は変更する必要なしに、様々な位置の骨組織などの組織にアクセスし、これを切断し、除去することが望ましい場合がある。鼻腔内の組織除去用に、いくつかの異なる外科用器具が作製され、使用方法が提供されてきたが、本発明者らよりも以前に、添付の特許請求の範囲に記載する本発明を作製又は使用したものは存在しないと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ハンドルアセンブリと、シャフトアセンブリと、を有する、第1の例示的な外科用切断器具の斜視図を示す。
図2】シャフト及び切断部材を有する、図1のシャフトアセンブリの部分分解斜視図を示す。
図3】ハンドルアセンブリと、関節機構を有する偏向可能なシャフトアセンブリと、軸方向調整連結器と、を有する、第2の例示的な外科用切断器具の概略側面図を示す。
図4図3の外科用切断器具の偏向可能なシャフトアセンブリ及び軸方向調整連結器の一部分の拡大近位斜視図を示す。
図5A】真っ直ぐな構成にある図3の関節機構を有する、その中心線に沿って取られた、偏向可能なシャフトアセンブリの概略断面図を示す。
図5B図5Aと同様の偏向可能なシャフトアセンブリの概略断面図を示すが、上向きに関節運動した構成にある関節機構を有するシャフトアセンブリを示す。
図5C図5Bと同様の偏向可能なシャフトアセンブリの概略断面図を示すが、下向きに関節運動した構成にある関節機構を有するシャフトアセンブリを示す。
図6A】より明確にするために隠された様々な特徴部を有する真っ直ぐな構成にある図3の偏向可能なシャフトアセンブリの遠位端部分の拡大斜視図を示す。
図6B図6Aと同様の偏向可能なシャフトアセンブリの遠位端部分の拡大斜視図を示すが、上向きに関節運動した構成にあるシャフトアセンブリを示す。
図7A図6Aの真っ直ぐな構成にあるシャフトアセンブリの一部分に接続された軸方向調整連結器の拡大概略側面図を示す。
図7B図7Aと同様のシャフトアセンブリの一部分に接続された軸方向調整連結器の拡大概略側面図を示すが、図6Bの上向きに関節運動した構成にあるシャフトアセンブリを示す。
図8】複数の間隙を有し、かつ上向きに関節運動した構成に配置された、代替的な偏向可能なシャフトアセンブリの斜視図を示す。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0009】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して使用されることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上、また明確にするため、本明細書では「上向き」、「下向き」、「側」、「軸方向」、及び「長手方向」などの空間的用語も、相対的位置及び方向を参照するために使用されていることが更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0011】
I.例示的な外科用切断器具
図1図2は、鼻腔並びにその他の任意の好適な位置から骨組織などの組織を除去するのに使用可能な、第1の例示的な外科用切断器具(10)を示す。本実施例の外科用切断器具(10)は、ハンドルアセンブリ(12)、ハブ(14)、及び、ハンドルアセンブリ(12)から遠位方向に延在するシャフトアセンブリ(16)を含む。ハンドルアセンブリ(12)は、任意の適切な構成であり得るハンドル(18)を有する。ハンドル(18)は、外科用切断器具(10)の操作のための制御部を備えていてもよい、又は制御部は、遠隔に配置されていてもよい。外科用切断器具(10)は更に、真空源(22)に動作可能に接続され、かつ手術部位から骨組織などの組織を吸引することを可能にするよう構成された、吸引ポート(20)を更に含む。本実施例では、ハンドルアセンブリ(12)内の電動式駆動アセンブリ(24)によって、回転運動がシャフトアセンブリ(16)へと伝達されるが、任意の適切な回転又は振動運動源も利用することができる。例えば、このような運動源は、ハンドルアセンブリ(12)内に収容されていてもよく、外部にあってハンドルアセンブリ(12)に接続可能であってもよい。動力源(26)は、使用のために外科用切断器具(10)に動力を供給するよう、電動式駆動アセンブリ(24)に接続される。追加的又は代替的に、ハンドルアセンブリ(12)はバッテリ(図示せず)を収容し得る。
【0012】
シャフトアセンブリ(16)は一般に、外側シャフト(28)及び内側切断部材(30)を含み、これらは合わせて、手術部位から組織を受容して除去するように構成される。管として示される切断部材(30)は、シャフト(28)の長手方向に延在するルーメン(32)内に配設される。切断部材(30)は、遠位部分でシャフトアセンブリ(16)の長手方向軸線(42)の周囲で回転するように構成されている。シャフトアセンブリ(16)は剛体として図示されているが、シャフトアセンブリ(16)の全体又は一部分は可撓性であってもよく、その長手方向軸線(42)は、一連の断面中心からなる。切断部材(30)は、ルーメンを画定し、ハンドルアセンブリ(12)へと近位方向に延在して、電動式駆動アセンブリ(24)に連結され、これが切断部材(30)をシャフト(28)に対して回転駆動させる。本実施例において、シャフト(28)はポリカーボネートで形成され、切断部材(30)はステンレス鋼で形成される。当然ながら、シャフト(28)及び切断部材(30)は、本明細書に記載の本発明に従って、1種以上の代替的材料で形成されてもよい。したがって、本発明は、ポリカーボネート及びステンレス鋼での製造に不必要に限定されることを意図するものではない。本実施例の切断部材(30)は中空のチューブであるが、切断部材(30)は、チューブ状でありかつそれ自体のルーメン(32)を画定するものに限定されない。
【0013】
シャフト(28)は、その遠位部分にシャフト窓開口部(50)などのシャフト開口部を有する窓領域(48)を含む。遠位部分は、湾曲した端部(例えば概ね半球状の端部(52))で遠位側が終端する管状側壁(51)を含む。シャフト窓開口部(50)は、シャフト(28)の管状側壁(51)を通ってルーメン(32)内に延び、シャフト(28)を取り囲む環境と流体連通している。シャフト窓開口部(50)は、長手方向軸(42)に対して径方向外側を向いており、これにより組織は、シャフト窓開口部(50)を通って切断部材(30)の中央吸引ルーメン(60)内へ径方向内側方向に、径方向に受け入れられるよう構成されている。シャフト窓開口部(50)は、比較的鈍い縁部(61)によって囲まれている。
【0014】
切断部材(30)は、切断部材(30)の遠位部分に、切断窓開口部(54)を含む。切断窓開口部(54)は、シャフト窓開口部(50)と長手方向に整列するように構成されており、それに沿って延在する切断縁部(58)を含む。切断縁部(58)の全体よりも短い部分は、組織をシャフト(28)の対向する縁部(61)に押し付けて切断するよう構成され得ることに留意すべきである。切断部材(30)が長手方向軸線(42)の周囲を回転又は振動した場合、切断縁部(58)の少なくとも一部が、窓領域(48)の少なくとも一部に隣接し、これを横切って移動するように配設される。例として、切断部材(30)が時計方向に移動すると、窓領域(48)の縁部(61)は、切断縁部(58)に対向する面を提供し、これによって組織を切断して、そこから切断組織部分を除去することができる。切断縁部(58)及び縁部(61)は、ナイフ刃、鋸歯縁部、バイポーラ、モノポーラ若しくは高調波エネルギー式、又はレーザ活性化切断縁部など、他方と好適に協働して組織を切断する任意の構成を有してもよい。
【0015】
縁部(61)に対する、切断縁部(58)の移動の程度及び位置は、切断、引裂き又は任意の他のメカニズムによるかにかかわらず、組織を分離させるのに十分である。例えば、切断縁部(58)は、窓領域(48)の少なくとも一部を横切って周期的に移動することができる。切断部材(30)の更なる時計方向の移動により、例えば、長手方向軸(42)を中心とする振動により、又は長手方向軸(42)を中心とする完全回転により、切断縁部(58)は縁部(61)を超えて前進する。
【0016】
図1及び図2を引き続き参照して、真空源(22)は、吸引ポート(20)に向かって、吸引ルーメン(60)及び長手方向軸(42)に沿った近位方向への吸引力を発生させる。吸引ルーメン(60)は、本実施例では切断部材(30)の管状側壁(62)によって画定され、切断窓開口部(54)と直接流体連通している。組織が切断窓開口部(54)を閉塞していない場合は、そのような吸引力は、窓の気流を、吸引ルーメン(60)に沿って内部を通って近位側に引き込む。しかしながら、いったん組織が窓開口部(54)にそれぞれ導入されると、吸引力により組織が切除のために窓開口部(54)内に効果的に引き込まれるが、このとき組織は吸引ルーメン(60)に沿った気流を遮断する。吸引ルーメン(60)を通る気流は、実質的に停止し、これにより真空源(22)は、吸引ルーメン(60)内に真空を蓄積する。このような気流の停止は、一般に、ルーメン内の気流の失速と呼ぶことができる。そのような気流を改善するためのルーメン及び吸引通気孔を通る気流に関する更なる詳細は、米国特許出願第15/795,473号、発明の名称「Tissue Shaving Instrument」(2017年10月27日出願)に記載されている代替的な実施例で論じられており、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
更に、外科用切断器具(10)は、以下の米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開);米国特許出願第62/555,824号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2017年9月8日出願);米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開);米国特許出願公開第2016/0310042号、発明の名称「System and Method to Map Structures of Nasal Cavity」(2016年10月27日公開);米国特許第8,702,626号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年4月22日発行);米国特許第8,320,711号、発明の名称「Anatomical Modeling from a 3-D Image and a Surface Mapping」(2012年11月27日発行);米国特許第8,190,389号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2012年5月29日発行);米国特許第8,123,722号、発明の名称「Devices,Systems and Methods for Treating Disorders of the Ear,Nose and Throat」(2012年2月28日発行);米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行);米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開);米国特許出願公開第2014/0200444号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年7月17日公開);米国特許第9,198,736号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2015年12月1日発行);米国特許出願公開第2011/0060214号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2011年3月10日公開);米国特許第9,167,961号、発明の名称「Methods and Apparatus for Treating Disorders of the Ear Nose and Throat」(2015年10月27日発行);及び米国特許出願公開第2007/0208252号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2007年9月6日公開)(これらの参考文献のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれている)に記載される画像誘導手術(image-guide surgery、IGS)ナビゲーションシステム、医療処置椅子、及びディスプレイと単独で、又はそれらの特許出願に従って任意の組み合わせで、併せて使用されてもよい。
【0018】
II.外科用切断器具のための偏向可能なシャフトアセンブリ及び軸方向調整連結器
外科用切断器具(10)は、より詳細に上述したように標的組織を除去するように構成されているが、患者内のそのような標的組織の特定の位置は、少なくともある程度、患者及び除去のために識別された組織に応じて変化する可能性が高い。例えば、場合によっては、標的組織は、患者内の比較的直線的に延びる空洞に沿って配置されていることがあり、又は他の場合では、患者内のより複雑な巻回空洞に沿って配置されていることがある。そのような複雑な巻回空洞内の標的組織にアクセスするために、外科医は、1つ以上の不自然な角度で外科用切断器具(10)を再配置する、又は更には、状況に応じて、外科用切断器具(10)を捨てて、より好適な器具を取ることを試みることができる。したがって、標的組織へのより大きなアクセスのためにシャフト窓開口部(50)及び切断窓開口部(54)の位置を操作することにより、一般的に、患者にとってより大きな快適性及び改善された結果を提供する。
【0019】
図3図4に関して、第2の例示的な外科用切断器具(110)は、ハンドルアセンブリ(112)から遠位に延び、かつ軸方向調整連結器(170)を介して偏向可能なシャフトアセンブリ(116)に動作可能に接続された、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を有する。外科用切断器具(110)は、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)に動作可能に接続された関節機構(172)を更に含む。関節機構(172)は、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の近位部分に対して偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の遠位部分を偏向させて標的組織にアクセスするために、真っ直ぐな構成、上向きに関節運動した構成、及び下向きに関節運動した構成の間で、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を選択的に関節運動させる。より具体的には、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の外側シャフト(128)及び内側切断部材(130)はそれぞれ、共通の長手方向軸(177)(図5Aを参照)に沿ってそれぞれ関節運動する。そのような関節運動は、共通の長手方向軸に沿った切断部材(130)及びシャフト(128)の長さを変化させ、最大の差は、本実施例では、真っ直ぐな構成と最も関節運動した上向き及び下向き構成との間にある。軸方向調整連結器(170)は、使用中にシャフト窓開口部(50)と切断窓開口部(54)との間の整列を維持するために、シャフト(128)に対して切断部材(130)を固定して、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の関節運動中に、切断部材(130)が共通の長手方向軸(177)(図5Aを参照)に沿って長手方向に移動することを可能にする。外科用切断器具(10、110)の様々な特徴は、互いに容易に組み込むことができ、それにより、本発明は、本明細書に示される特定の実施例に不必要に限定されることを意図するものではない。いずれの場合も、以下に示される同様の数字は、より詳細に上述した同様の特徴を示す。
【0020】
ハンドルアセンブリ(112)は、外科用切断器具(110)の操作のための制御部を含むことができるハンドル本体(118)を有する、又は制御部は、遠隔に配置されていてもよい。1つのそのような制御部は、電源(26)を介して電動駆動アセンブリ(24)に選択的に電力供給するように構成された作動制御部(図示せず)である。真空源(22)は、吸引ポート(20)(図1を参照)に流体接続して、シャフト(128)内に回転可能に配置された切断部材(130)の吸引ルーメン(60)(図4を参照)を通して真空を引き込む。電動駆動アセンブリ(24)は、切断部材(130)がシャフト(128)に対して開放状態及び閉鎖状態を通して周期的かつ繰り返し回転するように、シャフト(128)内で切断部材(130)を回転可能に駆動する。開放状態では、切断窓開口部(54)は、内部に組織を受け入れて吸引するために、シャフト窓開口部(50)と整列して、真空を全体にわたって環境に流体連通させる。対照的に、閉鎖状態では、切断部材(130)の管状側壁(162)は、シャフト窓開口部(50)と整列して、シャフト窓開口部(50)を覆い、更なる吸引を阻止する。
【0021】
本実施例では、シャフト(128)は、ハンドル本体(118)に長手方向にかつ回転方向に固定されている。軸方向調整連結器(170)は、駆動出力歯車(174)を含む駆動出力部に切断部材(130)を機械的に連結し、その結果、切断部材(130)は、駆動出力歯車(174)に対して並進するように同時に構成されている間に、駆動出力歯車(174)に対して回転可能にロックする。次に、切断部材(130)は、同様に、ハンドル本体(118)及びシャフト(128)に対して回転し、選択的に並進して、関節機構(172)の関節運動入力部(176)によって選択的に方向付けられるように、シャフト(128)の関節運動に対する切断部材(130)の関節運動に対応する。本実施例では、関節運動入力部(176)がノブとして示されているが、外科医によって選択的に操作されるように構成された代替的な入力部が同様に使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0022】
この目的のために、図5Aは、シャフト(128)及び切断部材(130)の共通の長手方向軸(177)が概ね直線状であるように、真っ直ぐな構成にある偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の一例を示す。シャフト(128)の少なくとも一部分及び切断部材(130)の少なくとも一部分はそれぞれ、この直線的に延びる共通の長手方向軸(177)から柔軟に変形するように構成された1つ以上の可撓性材料で形成される。加えて、切断部材(130)の少なくともそのような部分は、上述したように標的組織を切断するために使用中に十分なトルクを伝達するように更に構成されている。一実施例では、切断部材(130)は、それに沿った可撓性のために、駆動出力歯車(174)(図3を参照)から切断窓開口部(54)まで延びる編組鋼材料を有する中間部分を含んでもよい。別の実施例では、切断部材(130)は、同様の可撓性のために、ねじり駆動ケーブルを有する中間部分を含んでもよい。更に、一実施例では、切断部材(130)の可撓性部分は、切断窓開口部(54)まで切断部材(130)の長手方向長さ全体に沿っていてもよく、又は別の実施例では、そのような可撓性部分は、シャフト(128)の可撓性部分と長手方向に整列する切断部材(130)のより短い長手方向長さに限定されてもよい。
【0023】
関節機構(172)は、シャフト(128)の遠位端部分(180)にそれぞれ接続された一対のケーブル(178)などの一対の細長い部材に接続された関節運動入力部(176)を含む。より具体的には、ケーブル(178)は、共通の長手方向軸(177)に対してシャフト(128)の管状側壁(151)の角度的に反対側にあるそれぞれの長手方向チャネル(182)に沿って延びる。ケーブル(178)は、それぞれの長手方向チャネル(182)内のシャフト(128)の遠位端部分(180)に固定され、そこからハンドル本体(118)(図3を参照)内に近位に延びて、関節運動入力部(176)に動作可能に接続される。本実施例では、ケーブル(178)は、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)をより容易に関節運動させるために、張力及び圧縮力を伝達するように構成されたプッシュプルケーブル(178)である。本実施例は、シャフト(128)の管状側壁(151)内に形成された長手方向チャネル(182)を示しているが、代替例は、管状側壁(151)の外面に沿って長手方向に延びるケーブル(178)を有してもよく、更に、管状側壁(151)の外面に沿って延びる外側半径方向溝内に配置されてもよい。外部シース(図示せず)は、シャフト(128)の外面上に配置されたケーブル(178)を更に覆ってもよい。あるいは、上述したような専用の長手方向チャネル(182)ではなく、ケーブル(178)は、切断部材(130)とシャフト(128)との間の環状間隙内に長手方向に延びてもよい。
【0024】
偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の関節運動の際に、シャフト(128)の遠位シャフト端部(184)及び切断部材(130)の遠位部材端部(186)は、シャフト(128)の近位シャフト端部(188)及び切断部材(130)の近位部材端部(190)に対してそれぞれ偏向する。図5Bに示されるように、関節運動入力部(176)を1つの方向に操作することにより、1本のケーブル(178)を引っ張り、他方のケーブル(178)を圧縮して、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を真っ直ぐな構成から上向きに関節運動した構成に関節運動させる。より具体的には、遠位シャフト端部(184)は、近位シャフト端部(188)に対して上向きに偏向し、それにより、シャフト(128)の管状側壁(151)は、同様に、切断部材(130)の管状側壁(162)を付勢して、弓状に延びる共通の長手方向軸(177)に沿って追従させる。したがって、遠位部材端部(186)はまた、真っ直ぐな構成から上向きに関節運動した構成に、シャフト窓開口部(150)と切断窓開口部(154)との間の長手方向の整列を維持しながら、近位部材端部(190)に対して上向きに偏向する。
【0025】
図5Cに関して、関節運動入力部(176)を反対の方向に操作することにより、一方のケーブル(178)を圧縮し、他方のケーブル(178)を引っ張って、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を真っ直ぐな構成から下向きに関節運動した構成に関節運動させる。より具体的には、遠位シャフト端部(184)は、近位シャフト端部(188)に対して下向きに偏向し、それにより、シャフト(128)の管状側壁(151)は、同様に、切断部材(130)の管状側壁(162)を付勢して、弓状に延びる共通の長手方向軸(177)に沿って追従させる。したがって、遠位部材端部(186)はまた、真っ直ぐな構成から下向きに関節運動した構成に、シャフト窓開口部(150)と切断窓開口部(154)との間の長手方向の整列を維持しながら、近位部材端部(190)に対して下向きに偏向する。上記の説明は、本実施例では、真っ直ぐな構成から上向き及び下向きに関節運動した構成のそれぞれへの関節運動を開始するが、そのような関節運動は、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の任意の構成から開始し、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の任意の構成で終了してもよいことが理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に図示されかつ記載されたように関節運動を開始及び終了することに不必要に限定されることを意図していない。更に、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の本実施例は、関節機構(172)を介して選択的に関節運動するが、代替的なシャフトアセンブリは、切断部材(130)及びシャフト(128)の1つ以上の部分を展性材料で形成させてもよい。関節運動入力部(176)を選択的に方向付けるのではなく、外科医は、そのような展性のある切断部材及び展性のあるシャフトを手で把持し、使用のための所望の形状に物理的に操作してもよい。したがって、外科医は、図5A図5Cに示されるように、展性のある偏向可能なシャフトアセンブリを少なくとも任意の関節運動に操作することができる。
【0026】
図6A図6Bは、それぞれ真っ直ぐな構成及び上向きに関節運動した構成にある、シャフト(128)の遠位シャフト端部(184)及び切断部材(130)の遠位部材端部(186)を有する偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の遠位端部分をより詳細に示す。図6Aは、真っ直ぐな構成にある遠位シャフト端部(184)から所定の長手方向距離(D)の遠位部材端部(186)を示し、図6Bは、上向きに関節運動した構成にある遠位シャフト端部(184)から同じ所定の長手方向距離(D)の遠位部材端部(186)を示す。この目的のため、シャフト窓開口部(150)は、真っ直ぐの構成及び上向きに関節運動した構成のそれぞれにおいて、切断窓開口部(154)と長手方向に整列したままであり、実際には、任意の構成において同様に整列されたままである。
【0027】
図7A図7Bに示されるように、軸方向調整連結器(170)は、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の構成にかかわらず、遠位シャフト端部(184)と遠位部材端部(186)との間の所定の長手方向距離(D)を維持するように、切断部材(130)と機械的に連結する。図7Aの真っ直ぐな構成では、軸方向調整連結器(170)は、切断部材(130)と電動駆動アセンブリ(124)の駆動出力歯車(174)との間に延び、切断部材(130)を電動駆動アセンブリ(124)の駆動出力歯車(174)に機械的に連結する。より具体的には、軸方向調整連結器(170)は、駆動出力歯車(174)の近位部材端部(190)に対する回転を機械的にロックし、それを介してトルクを伝達し、それにより、駆動出力歯車(174)は、シャフト(128)に対して切断部材(130)を回転可能に駆動する(図3参照)。
【0028】
駆動出力歯車(174)を近位部材端部(190)に回転可能に固定している間に、軸方向調整連結器(170)は、関節運動中に所定の長手方向距離(D)(図6A図6Bを参照)を維持するために、駆動出力歯車(174)に対する近位部材端部(190)の長手方向並進を同時に可能にする、スプライン連結器(191)を有する。図7Bに関して、切断部材(130)を上向きに関節運動した構成に関節運動させることにより、遠位シャフト端部(184)(図6B参照)を遠位部材端部(186)に長手方向に係合させ、矢印(192)によって示されるように、切断部材(130)を駆動出力歯車(174)に向かって近位に付勢させる。本実施例では、近位部材端部(190)は、切断部材(130)が遠位シャフト端部(184)に向かって遠位に付勢されるように、ばね(194)に対して圧縮される。代替的に又は追加的に、軸方向調整連結器(170)は、そのような長手方向の移動及び付勢に適応するための波形ばねアセンブリ及び/又はベアリングを含んでもよい。更なる例として、軸方向調整連結器(170)は、シャフト(128)に対して切断部材(130)を能動的に位置決めするために、少なくともばね(194)の代わりに長手方向駆動機構を含むことができる。この点に関して、本発明は、本実施例に示されるような切断部材(130)をばね(194)で付勢することによるなどの受動的調整に不必要に限定されることを意図するものではない。偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を上向きに付勢された構成から真っ直ぐな構成に戻すことにより、切断部材(130)の長手方向の移動を駆動出力歯車(174)から離れる方向に反転させる。矢印(192)によって示されるそのような近位方向の移動は、真っ直ぐな構成から下向きに関節運動した構成に偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を関節運動させると同様に生じる。
【0029】
本実施例の軸方向調整連結器(170)は、駆動出力歯車(174)、実際には、電動駆動アセンブリ(124)の残部と直列に接続され、それにより、軸方向調整連結器(170)は、駆動出力歯車(174)に対して概ね遠位に配置される。別の実施例では、軸方向調整連結器(170)は、共通の長手方向軸(177)(図5Aを参照)と同軸であってもよく、駆動出力歯車(174)は、共通の長手方向軸(177)(図5Aを参照)からオフセットされた別の軸上に配置されてもよい。そのような代替例では、ばね(194)などの軸方向調整連結器(170)の1つ以上の部分は、切断部材(130)の近位部材端部(190)と並んで配置される駆動出力歯車(174)に対して近位に配置されてもよい。駆動される歯車部材(図示せず)は、駆動出力歯車(174)と横方向に係合して切断部材(130)の回転を駆動するように、近位部材端部(190)に連結されてもよい。したがって、駆動される歯車部材(図示せず)は、駆動出力歯車(174)に対して長手方向に摺動しながら駆動出力歯車(174)と係合したままであり、それによって、上述したように所定の長手方向距離(D)(図6A図6Bを参照)を維持するために、駆動出力歯車(174)に対する近位部材端部(190)の長手方向並進を可能にする。
【0030】
別の実施例では、図8は、上述の偏向可能なシャフトアセンブリ(116)(図3を参照)と同様に構成された、内側切断部材(230)を有する外側シャフト(228)を有する代替的な偏向可能なシャフトアセンブリ(216)を示す。しかしながら、これに加えて、又は代替的に、シャフト(228)は、上向きに関節運動した構成などの偏向内側半径に沿って管状側壁(251)を通って長手方向に配置された複数の間隙(296)を有する。間隙(296)は、真っ直ぐな構成では概ね開放され、シャフト(228)が上向きに関節運動した構成に向かって関節運動するとき、少なくともある程度閉鎖される。間隙(296)は、シャフト(228)の材料が使用中により容易かつ予測可能に偏向するための空間を提供する。そのような間隙(296)は、同様の下向きに関節運動した構成を形成するために、側壁(251)の反対側に同様に配置されてもよく、かつ/又はその同様の偏向のために切断部材(230)上に配置されてもよい。偏向可能なシャフトアセンブリ(216)を屈曲させるための代替的な材料又は構造を同様に使用してもよく、本発明は、本明細書に図示されかつ記載されるような可撓性材料及び構造に不必要に限定されることを意図するものではない。
【0031】
内側切断部材(130)と外側シャフトとの間の整列を更に補助するために、別の代替的なシャフトアセンブリは、切断部材(130)が外側シャフト内で長手方向に移動するときに、切断窓開口部(154)と連通したままであるように構成された長手方向に細長いシャフト窓開口部(図示せず)を含んでもよい。そのような細長いシャフト窓開口部(図示せず)は、上述のシャフト窓開口部(50)よりも更に長手方向に延び、一方、切断窓開口部(154)は、同じままであってもよい。細長いシャフト窓開口部(図示せず)の更なる伸長は、図5A図5Cに示される構成のいずれかにおいて、切断窓開口部(154)の長手方向の移動に適応して、内部を通した一貫した連通を維持するようなサイズである。
【0032】
使用時には、図3図5Cに関して、外科医は、偏向可能なシャフトアセンブリ(216)が真っ直ぐな構成にある間に、偏向可能なシャフトアセンブリ(216)の遠位端部分を患者の鼻腔内に標的組織に向かって導入する。外科医は、関節運動入力部(176)を操作して、シャフト及び切断窓開口部(50、54)を用いて標的組織にアクセスするために所望されるように、真っ直ぐな構成から上向き又は下向きに関節運動した構成のいずれかに向かって偏向可能なシャフトアセンブリ(216)を関節運動させる。図5A図5Cに示される関節運動中に、ケーブル(178)は、シャフト(128)の遠位端部分(180)を押し及び引っ張り、それにより、シャフト(128)は、共通の長手方向軸(177)に沿って切断部材(130)を付勢して、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を集合的に関節運動させる。
【0033】
図6A図7Bに関して、遠位シャフト端部(184)は、遠位部材端部(186)に係合し、切断部材(130)を近位に並進させて、近位シャフト端部(188)(図3参照)に対して近位部材端部(190)を駆動出力歯車(174)に向かって付勢する。軸方向調整連結器(170)は、遠位部材端部(186)を遠位シャフト端部(184)に向かって付勢するが、ばね(194)は、弾性的に圧縮して、切断部材(130)の長手方向並進に適応し、一方、スプライン連結器(191)は、同時に、切断部材(130)に回転可能にロックされたままである。近位部材端部(190)の並進は、それによって、遠位シャフト端部(184)と遠位部材端部(186)との間の所定の長手方向距離(D)を保持して、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)の特定の構成にかかわらず、シャフト及び切断窓開口部(50、54)の長手方向の整列を維持する。
【0034】
シャフト窓開口部(50)が標的組織にアクセスすると、外科医は、電動駆動アセンブリ(124)に選択的に電力を供給して、駆動出力歯車(174)から軸方向調整連結器(170)を介してトルクを伝達し、切断部材(130)を回転可能に駆動して、上述のように標的組織を切断縁部(58)(図2を参照)に押し付けて切断及び除去する。上記の説明は、最初に偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を関節運動させ、次いで切断部材(130)を回転可能に駆動して、標的組織を切断するが、外科医は、別の実施例では、代替的に、偏向可能なシャフトアセンブリ(116)を同時に関節運動させながら、切断部材(130)を駆動してもよい。
【0035】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0036】
外科用器具であって、(a)第1の構成から第1の関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されたシャフトであって、(i)遠位シャフト端部と、(ii)近位シャフト端部と、(iii)遠位シャフト端部から近位シャフト端部まで延び、近位シャフトに対して遠位シャフト端部を移動させるように構成されたシャフト側壁と、(iv)シャフト側壁を通って延びるシャフト窓開口部と、を含む、シャフトと、(b)シャフト内に配置され、シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材であって、切断部材が、第1の構成から第2の構成に向かってシャフト内で関節運動するように更に構成されており、(i)遠位部材端部と、(ii)近位部材端部と、(iii)遠位部材端部から近位部材端部まで延び、近位部材端部に対して遠位部材端部を移動させるように構成された部材側壁と、(iv)部材側壁を通って延び、シャフト窓に対して周期的に移動する間にシャフト窓と整列し、切断のために組織を受け入れるように構成された切断窓開口部と、を含む、切断部材と、(c)シャフトを切断部材に対して長手方向に固定し、第1の構成から第2の構成に向かってシャフト及び切断部材を関節運動させながら、近位シャフト端部に対して近位部材端を長手方向に移動させて、シャフト窓開口部と切断窓開口部との間の整列を維持するために遠位シャフト端部に対する遠位部材端部の移動を阻止するように構成された、軸方向調整連結器と、を備える、外科用器具。
【実施例2】
【0037】
切断部材が、内部を通って長手方向に延び、かつ切断窓開口部と流体連通している、吸引ルーメンを更に含み、切断窓開口部が、切断窓開口部及びシャフト開口部が内部を通って組織を吸引するために流体連通するように、シャフト開口部に対して周期的に移動する間にシャフト開口部と整列するように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【実施例3】
【0038】
軸方向調整連結器が、遠位部材端部を遠位シャフト端部に向かって長手方向に付勢する、実施例1~2のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例4】
【0039】
電動駆動アセンブリの少なくとも一部分を更に備え、軸方向調整連結器が、電動駆動アセンブリの少なくとも一部分に対して切断部材を回転可能に固定して、それらの間の相対回転を阻止する、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例5】
【0040】
シャフトが、第1の構成から第3の構成に向かって関節運動するように構成されており、切断部材が、第1の構成から第3の構成に向かってシャフト内で関節運動するように更に構成されている、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例6】
【0041】
第1の構成が、第1の真っ直ぐな構成であり、第2の構成が、第1の関節運動した構成であり、第3の構成が、第2の関節運動した構成であり、第2の関節運動した構成が、第1の関節運動した構成とは反対に屈曲されている、実施例5に記載の外科用器具。
【実施例7】
【0042】
シャフト及び切断部材に動作可能に接続され、第1の構成から第2の構成に向かってシャフト及び切断部材を関節運動させるように構成された関節機構を更に備える、実施例1~6のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例8】
【0043】
関節機構が、シャフトに接続された細長い部材を含み、細長い部材が、引っ張られ、それによって第1の構成から第2の構成に向かってシャフトを関節運動させるように構成されている、実施例7に記載の外科用器具。
【実施例9】
【0044】
シャフト側壁が、第1の構成から第2の構成に向かって移動している間に部材側壁と係合して、第1の構成から第2の構成に向かって切断部材を付勢するように構成されている、実施例8に記載の外科用器具。
【実施例10】
【0045】
本体アセンブリを更に備え、本体アセンブリが、本体アセンブリから遠位に延びるシャフト及び切断部材を有し、関節機構が、本体アセンブリ上に配置され、かつ細長い部材に動作可能に接続された、関節運動入力部を更に含み、関節運動入力部が、細長い部材を選択的に付勢して、第1の構成から第2の構成に向かってシャフトを方向付けるように構成されている、実施例8に記載の外科用器具。
【実施例11】
【0046】
関節運動するように構成されたシャフトの少なくとも一部分が、可撓性材料から形成されている、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例12】
【0047】
関節運動するように構成されたシャフトの少なくとも一部分が、それに沿って長手方向に配置された複数の間隙を有し、複数の間隙が、第2の構成において少なくとも部分的に共に閉鎖するようにそれぞれ構成されている、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例13】
【0048】
電動駆動アセンブリを含む本体アセンブリを更に備え、シャフト及び切断部材が、本体アセンブリから遠位に延びる、実施例1~12のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例14】
【0049】
電動駆動アセンブリが、駆動出力部材を含み、軸方向調整連結器が、駆動出力部材に対して切断部材を回転可能に固定して、それらの間の相対回転を阻止する、実施例13に記載の外科用器具。
【実施例15】
【0050】
シャフトが、シャフト管であり、切断部材が、切断部材管である、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【実施例16】
【0051】
外科用器具であって、(a)駆動出力部材を有する電動駆動アセンブリを含む本体アセンブリと、(b)本体アセンブリから遠位に延び、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されたシャフトであって、(i)遠位シャフト端部と、(ii)近位シャフト端部と、(iii)遠位シャフト端部から近位シャフト端部まで延び、近位シャフトに対して遠位シャフト端部を移動させるように構成されたシャフト側壁と、(iv)シャフト側壁を通って延びるシャフト窓開口部と、を含む、シャフトと、(c)シャフト内に配置され、シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材であって、切断部材が、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かってシャフト内で関節運動するように更に構成されており、(i)遠位部材端部と、(ii)近位部材端部と、(iii)遠位部材端部から近位部材端部まで延び、近位部材端部に対して遠位部材端部を移動させるように構成された部材側壁と、(iv)部材側壁を通って延び、シャフト窓に対して周期的に移動する間にシャフト窓と整列し、切断のために組織を受け入れるように構成された切断窓開口部と、を含む、切断部材と、(d)シャフトを切断部材に対して長手方向に固定し、駆動出力部材に対して切断部材を回転可能に固定する軸方向調整連結器であって、軸方向調整連結器が、遠位部材端部を遠位シャフト端部に向かって付勢し、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かってシャフト及び切断部材を関節運動させながら、近位シャフト端部に対して近位部材端部を長手方向に移動させて、シャフト窓開口部と切断窓開口部との間の整列を維持するために遠位シャフト端部に対する遠位部材端部の移動を阻止するように構成された、軸方向調整連結器と、を備える、外科用器具。
【実施例17】
【0052】
シャフトに接続された細長い部材を有する関節機構を更に備え、細長い部材が、引っ張られ、それによって真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かってシャフトを関節運動させるように構成されている、実施例16に記載の外科用器具。
【実施例18】
【0053】
外科用器具を用いて組織にアクセスする方法であって、外科用器具が、遠位シャフト端部から近位シャフト端部まで延びるシャフトと、遠位部材端部から近位部材端部まで延びる切断部材であって、シャフト内に配置され、シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材と、を備え、シャフト及び切断部材が、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されており、方法が、(a)真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かってシャフト及び切断部材を関節運動させることと、(b)軸方向調整連結器により近位シャフト端部に対して近位部材端部を長手方向に移動させることにより、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かう関節運動全体にわたって遠位シャフト端部に対する遠位部材端部の長手方向位置を維持することと、(c)関節運動した構成にあるシャフト及び切断部材を用いて組織にアクセスすることと、を含む、方法。
【実施例19】
【0054】
切断部材の遠位部材端部をシャフトの遠位シャフト端部に向かって付勢することを更に含む、実施例18に記載の方法。
【実施例20】
【0055】
電動駆動アセンブリの駆動出力部材と切断部材との間に接続された軸方向調整連結器により電動駆動アセンブリの駆動出力部材に対する切断部材の回転を阻止しながら、シャフト内でシャフトに対して切断部材を回転させることを更に含む、実施例18~19のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0056】
IV.その他
本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴を含み得ることが理解されるべきである。単に一例として、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むこともできる。
【0057】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0058】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0059】
本明細書に開示される装置の変形形態は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の変形形態は、分解することができ、かつ、装置の任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部分を洗浄時及び/又は交換時に、装置の変形形態は、再調整用の施設において、又は外科手技の直前に外科チームによってのどちらかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0060】
単に一例として、本明細書に記載の変形形態は、手術前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0061】
本発明の様々な変形例について図示し説明してきたが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現され得る。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
(a)第1の構成から第1の関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されたシャフトであって、
(i)遠位シャフト端部と、
(ii)近位シャフト端部と、
(iii)前記遠位シャフト端部から前記近位シャフト端部まで延び、前記近位シャフトに対して前記遠位シャフト端部を移動させるように構成されたシャフト側壁と、
(iv)前記シャフト側壁を通って延びるシャフト窓開口部と、
を含む、シャフトと、
(b)前記シャフト内に配置され、前記シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材であって、前記切断部材が、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフト内で関節運動するように更に構成されており、
(i)遠位部材端部と、
(ii)近位部材端部と、
(iii)前記遠位部材端部から前記近位部材端部まで延び、前記近位部材端部に対して前記遠位部材端部を移動させるように構成された部材側壁と、
(iv)前記部材側壁を通って延び、前記シャフト窓に対して周期的に移動する間に前記シャフト窓と整列し、切断のために組織を受け入れるように構成された切断窓開口部と、
を含む、切断部材と、
(c)前記シャフトを前記切断部材に対して長手方向に固定し、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させながら、前記近位シャフト端部に対して前記近位部材端部を長手方向に移動させて、前記シャフト窓開口部と前記切断窓開口部との間の整列を維持するために前記遠位シャフト端部に対する前記遠位部材端部の移動を阻止するように構成された、軸方向調整連結器と、
を備える、
外科用器具。
(2) 前記切断部材が、内部を通って長手方向に延び、かつ前記切断窓開口部と流体連通している、吸引ルーメンを更に含み、前記切断窓開口部が、前記切断窓開口部及び前記シャフト開口部が内部を通って前記組織を吸引するために流体連通するように、前記シャフト開口部に対して周期的に移動する間に前記シャフト開口部と整列するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記軸方向調整連結器が、前記遠位部材端部を前記遠位シャフト端部に向かって長手方向に付勢する、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 電動駆動アセンブリの少なくとも一部分を更に備え、前記軸方向調整連結器が、前記電動駆動アセンブリの前記少なくとも一部分に対して前記切断部材を回転可能に固定して、前記電動駆動アセンブリの前記少なくとも一部分と前記切断部材との間の相対回転を阻止する、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記シャフトが、前記第1の構成から第3の構成に向かって関節運動するように構成されており、前記切断部材が、前記第1の構成から前記第3の構成に向かって前記シャフト内で関節運動するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
【0063】
(6) 前記第1の構成が、第1の真っ直ぐな構成であり、前記第2の構成が、第1の関節運動した構成であり、前記第3の構成が、第2の関節運動した構成であり、前記第2の関節運動した構成が、前記第1の関節運動した構成とは反対に屈曲されている、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記シャフト及び前記切断部材に動作可能に接続され、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させるように構成された関節機構を更に備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記関節機構が、前記シャフトに接続された細長い部材を含み、前記細長い部材が、引っ張られ、それによって前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフトを関節運動させるように構成されている、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記シャフト側壁が、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって移動している間に前記部材側壁と係合して、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記切断部材を付勢するように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 本体アセンブリを更に備え、前記本体アセンブリが、前記本体アセンブリから遠位に延びる前記シャフト及び前記切断部材を有し、前記関節機構が、前記本体アセンブリ上に配置され、かつ前記細長い部材に動作可能に接続された、関節運動入力部を更に含み、前記関節運動入力部が、前記細長い部材を選択的に付勢して、前記第1の構成から前記第2の構成に向かって前記シャフトを方向付けるように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
【0064】
(11) 関節運動するように構成された前記シャフトの少なくとも一部分が、可撓性材料から形成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(12) 関節運動するように構成された前記シャフトの少なくとも一部分が、前記シャフトの前記少なくとも一部分に沿って長手方向に配置された複数の間隙を有し、前記複数の間隙が、前記第2の構成において少なくとも部分的に共に閉鎖するようにそれぞれ構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(13) 電動駆動アセンブリを含む本体アセンブリを更に備え、前記シャフト及び前記切断部材が、前記本体アセンブリから遠位に延びる、実施態様1に記載の外科用器具。
(14) 前記電動駆動アセンブリが、駆動出力部材を含み、前記軸方向調整連結器が、前記駆動出力部材に対して前記切断部材を回転可能に固定して、前記駆動出力部材と前記切断部材との間の相対回転を阻止する、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記シャフトが、シャフト管であり、前記切断部材が、切断部材管である、実施態様1に記載の外科用器具。
【0065】
(16) 外科用器具であって、
(a)駆動出力部材を有する電動駆動アセンブリを含む本体アセンブリと、
(b)前記本体アセンブリから遠位に延び、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されたシャフトであって、
(i)遠位シャフト端部と、
(ii)近位シャフト端部と、
(iii)前記遠位シャフト端部から前記近位シャフト端部まで延び、前記近位シャフトに対して前記遠位シャフト端部を移動させるように構成されたシャフト側壁と、
(iv)前記シャフト側壁を通って延びるシャフト窓開口部と、
を含む、シャフトと、
(c)前記シャフト内に配置され、前記シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材であって、前記切断部材が、前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフト内で関節運動するように更に構成されており、
(i)遠位部材端部と、
(ii)近位部材端部と、
(iii)前記遠位部材端部から前記近位部材端部まで延び、前記近位部材端部に対して前記遠位部材端部を移動させるように構成された部材側壁と、
(iv)前記部材側壁を通って延び、前記シャフト窓に対して周期的に移動する間に前記シャフト窓と整列し、切断のために組織を受け入れるように構成された切断窓開口部と、
を含む、切断部材と、
(d)前記シャフトを前記切断部材に対して長手方向に固定し、前記駆動出力部材に対して前記切断部材を回転可能に固定する軸方向調整連結器であって、前記軸方向調整連結器が、前記遠位部材端部を前記遠位シャフト端部に向かって付勢し、前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させながら、前記近位シャフト端部に対して前記近位部材端部を長手方向に移動させて、前記シャフト窓開口部と前記切断窓開口部との間の整列を維持するために前記遠位シャフト端部に対する前記遠位部材端部の移動を阻止するように構成された、軸方向調整連結器と、
を備える、
外科用器具。
(17) 前記シャフトに接続された細長い部材を有する関節機構を更に備え、前記細長い部材が、引っ張られ、それによって前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフトを関節運動させるように構成されている、実施態様16に記載の外科用器具。
(18) 外科用器具を用いて組織にアクセスする方法であって、前記外科用器具が、遠位シャフト端部から近位シャフト端部まで延びるシャフトと、遠位部材端部から近位部材端部まで延びる切断部材であって、前記シャフト内に配置され、前記シャフトに対して周期的に移動するように構成された切断部材と、を備え、前記シャフト及び前記切断部材が、真っ直ぐな構成から関節運動した構成に向かって関節運動するように構成されており、前記方法が、
(a)前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かって前記シャフト及び前記切断部材を関節運動させることと、
(b)軸方向調整連結器により前記近位シャフト端部に対して前記近位部材端部を長手方向に移動させることにより、前記真っ直ぐな構成から前記関節運動した構成に向かう関節運動全体にわたって前記遠位シャフト端部に対する前記遠位部材端部の長手方向位置を維持することと、
(c)前記関節運動した構成にある前記シャフト及び前記切断部材を用いて前記組織にアクセスすることと、
を含む、
方法。
(19) 前記切断部材の前記遠位部材端部を前記シャフトの前記遠位シャフト端部に向かって付勢することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 電動駆動アセンブリの駆動出力部材と前記切断部材との間に接続された前記軸方向調整連結器により前記電動駆動アセンブリの前記駆動出力部材に対する前記切断部材の回転を阻止しながら、前記シャフト内で前記シャフトに対して前記切断部材を回転させることを更に含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8