(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】湾曲先端部の位置合わせのための開口機構を有する、湾曲先端の外科用ステープラバットレス組立体アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021537811
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 IB2019060542
(87)【国際公開番号】W WO2020136481
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】リッジリー・パメラ・エム
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゼイナー・マーク・エス
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0055981(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055982(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0120284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、前記バットレスアプライヤカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、前記1つ以上のバットレス組立体を、前記エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうちの選択された1つ以上に適用するために更に構成されており、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーは
、組織を分離できるように、前記第2のジョーに向かって延在している湾曲先端部を備えるアンビルを含み、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーはステープルカートリッジを含み、前記バットレスアプライヤカートリッジは、
(a)
シャーシであって、前記シャーシの前記第1のジョー側の第1の表面から前記シャーシの前記第2のジョー側の第2の表面まで貫通している開口部を画定する
シャーシと、
(b)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、前記シャーシに動作可能に接続されたプラットフォームであって、前記プラットフォームは、その上に前記1つ以上のバットレス組立体を支持するように構成され、前記プラットフォームは、前記近位
プラットフォーム部分から前記遠位
プラットフォーム部分へと厚さが増す、プラットフォーム
と、を備え、
前記アンビルの前記湾曲先端部の少なくとも一部分は、前記開口部を通って、前記シャーシの前記第1の表面側から前記シャーシの前記第2の表面側に移動でき、これにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに閉鎖状態となり、前記エンドエフェクタの前記第1のジョー及び前記第2のジョーのうちの選択された前記1つ以上が、前記1つ以上のバットレス組立体に接触できるようになっている、バットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項2】
前記プラットフォームは、前記遠位プラットフォーム部分から前記近位プラットフォーム部分に向かって連続的に先細りになっている、請求項1に記載のバットレスアプライヤ
カートリッジ。
【請求項3】
前記
アンビルを、前記プラットフォーム上に支持されるように構成された前記1つ以上のバットレス組立体と位置合わせするように、前記
アンビルの前記湾曲先端部を誘導するように構成された、1つ以上の位置合わせ機構を更に備え
、
前記1つ以上の位置合わせ機構は、前記開口部を画定する前記シャーシの縁部によって形成され、前記開口部が、前記シャーシの前記第1の表面から前記シャーシの前記第2の表面に向かって徐々に小さくなるように、前記シャーシの前記縁部は、前記シャーシの前記第1の表面から前記シャーシの前記第2の表面に向かって徐々に収束しており、前記アンビルの前記湾曲先端部は、前記シャーシの前記縁部により誘導されることができる、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項4】
前記
アンビルを、前記プラットフォーム上に支持されるように構成された前記1つ以上のバットレス組立体と位置合わせするように、前記
アンビルの前記湾曲先端部を誘導するように構成された、1つ以上の位置合わせ機構を更に備え
、
前記1つ以上の位置合わせ機構は、前記シャーシの一対の支柱と係合するように構成された一対の穴部と、前記一対の穴部に接続された一対のアームと、前記一対のアームに接続され、先端に向かって徐々に先細りしている一対の先細部分と、を備え、 前記アンビルの前記湾曲先端部は、前記一対の先細部分に接触することで、前記一対の先細部分により誘導されることができる、請求項
1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項5】
前記開口部が前記プラットフォーム内に形成されている、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項6】
前記開口部が、前記プラットフォームと前記シャーシとの間の空間によって画定されている、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項7】
前記1つ以上のバットレス組立体の表面に接着剤が設けられ、前記エンドエフェクタの前記第1のジョー及び前記第2のジョーのうちの選択された前記1つ以上が、前記接着剤によって、前記1つ以上のバットレス組立体に接着される、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項8】
移動可能なスレッドを更に備え、前記移動可能なスレッドはそれぞれ
、一対のアームを含み、前記一対のアームと前記プラットフォームとの間で前記1つ以上のバットレス組立体が固定されている状態において、前記移動可能なスレッドが前記エンドエフェクタによって接触されて、前記プラットフォーム
に対して前記移動可能なスレッド
が移動して、前記1つ以上のバットレス組立体
が前記一対のアームと前記プラットフォームとの間に固定された状態から解放されて、前記1つ以上のバットレス組立体が前記エンドエフェクタの前記第1のジョー及び前記第2のジョーのうちの選択された前記1つ以上に適用されることができるようになっている、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のバットレスアプライヤカートリッジと、
前記1つ以上のバットレス組立体と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ組立体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の状況では、切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療送達デバイス、及び、超音波、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達デバイスなど)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易にし得る。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ又は2つ以上の関節動作ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。例示的に過ぎない外科用ステープラが、1989年2月21日発行の「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する米国特許第4,805,823号、1995年5月16日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日発行の「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日発行の「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日発行の「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日に発行された、米国特許第8,408,439号、名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」、及び2013年6月4日に発行された、米国特許第8,453,914号、名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。単に一例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。このような処置では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び処置において使用され得る。
【0004】
開胸術を通した使用に特に好適となり得る外科用ステープラの例は、2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、2018年1月16日発行の「Surgical Instrument with Articulation Lock having a Detenting Binary Spring」と題する米国特許第9,867,615号、2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号に開示されている。上に引用した米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
更なる手術用ステープリング器具が、2014年8月12日出願の「Surgical Circular Stapler with Tissue Retention Arrangements」と題する米国特許第8,801,735号、2012年3月27日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第8,141,762号、2013年2月12日発行の「Surgical End Effector Having Buttress Retention Features」と題する米国特許第8,371,491号、2017年3月21日発行の「Method and Apparatus for Sealing End-to-End Anastomosis」と題する米国特許第9,597,082号、2016年7月26日発行の「Rotary Powered Surgical Instruments with Multiple Degrees of Freedom」と題する米国特許第9,398,911号、2013年8月15日公開の「Linear Stapler」と題する米国特許出願公開第2013/0206813号、名称2008年7月17日公開の「Buttress Material for Use with a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2008/0169328号、2017年12月26日発行の「Woven and Fibrous Materials for Reinforcing a Staple Line」と題する米国特許第9,848,871号、2018年4月10日発行の「Devices and Methods for Sealing Staples in Tissue」と題する米国特許第9,936,954号、及び2016年3月31日公開の米国特許出願公開第2016/0089146号に開示されている。上に引用した米国特許、米国特許公開、及び、米国特許出願それぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
場合によっては、ステープルでもたらされる組織の機械的締結を補強するため、手術用ステープリング器具に支持材料を備えることが望ましい場合がある。かかる支持具は、適用後のステープルが組織から抜けるのを防止でき、本来、ステープルの適用部位又はその付近の組織が裂けるリスクを低減することができる。
【0007】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共にに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】例示的な関節動作する外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図3】
図1の器具の開放されたエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図4A】発射ビームが近位位置にある、
図3の線4-4に沿って取られた、
図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。
【
図4B】発射ビームが遠位位置にある、
図3の線4-4に沿って取られた、
図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。
【
図5】
図3の線5-5に沿って取られた、
図3のエンドエフェクタの端面断面図である。
【
図6】
図3のエンドエフェクタの分解斜視図である。
【
図7】組織に位置付けられ、かつ組織内で1回作動された後の、
図3のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図8】角度付けられたアンビル及び角度付けられたカートリッジを有する、代替の変形形態のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図9】
図8のエンドエフェクタの拡大側面図を示す。
【
図10】
図8のエンドエフェクタの拡大上面図を示す。
【
図11】屈曲又は角度付けされた弾性変形可能な先端部分を有するエンドエフェクタを有する例示的な外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図12B】
図11のものと同様の代替エンドエフェクタの遠位部分の拡大側面図を示す。
【
図13】角度付けられたアンビル及び角度付けられたカートリッジを有する、代替の変形形態のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図14】角度付けられたアンビル及び角度付けられたカートリッジを有する、代替の変形形態のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図15】エンドエフェクタがバットレス組立体アプリケータに接近している、外科用ステープラの例示的なエンドエフェクタ及び例示的なバットレス組立体アプリケータの斜視図を示す。
【
図16】バットレス組立体アプリケータがエンドエフェクタ内に位置付けられた、
図15のエンドエフェクタ及びバットレス組立体アプリケータの斜視図を示す。
【
図17A】
図15のバットレス組立体がエンドエフェクタに適用され、組織がエンドエフェクタ内のバットレス間に位置付けられ、アンビルが開放位置にある、
図15のエンドエフェクタの一部分の断面端面図を示す。
【
図17B】組織がエンドエフェクタ内のバットレス間に位置付けられ、アンビルが閉鎖位置にある、
図17Aの組み合わされたエンドエフェクタ及びバットレス組立体の断面端面図を示す。
【
図17C】
図15のエンドエフェクタによって組織に固定されている、
図17Aのステープル及びバットレス組立体の断面図を示す。
【
図18】
図15のエンドエフェクタによって組織に固定されている、
図17Aのステープル及びバットレス組立体の斜視図を示す。
【
図19】上側ジョー用のバットレス組立体の例及び下側ジョー用の別のバットレス組立体の例を搭載したバットレス組立体アプリケータの例を含む、例示的なバットレス組立体アプリケータの斜視図を示す。
【
図20】一対のバットレス組立体に加えてシャーシ及びプラットフォームを含む、
図19のバットレス組立体アプリケータの分解斜視図を示す。
【
図25】
図20のバットレス組立体アプリケータの左アクチュエータスレッドの上面斜視図を示す。
【
図26】
図25の左アクチュエータスレッドの底面斜視図を示す。
【
図27】
図20のバットレス組立体アプリケータの右アクチュエータスレッドの上面斜視図を示す。
【
図28】
図27の右アクチュエータスレッドの底面斜視図を示す。
【
図30】
図29の切断線30-30に沿って取られた、
図29のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの断面側面図を示す。
【
図31】拘束位置にある
図29のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの上面図を示す。
【
図32】
図31と同様のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの上面図を示すが、拘束位置から解放位置に向かっているアクチュエータスレッドを示す。
【
図33】
図32と同様のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの上面図を示すが、解放位置にあるアクチュエータスレッドを示す。
【
図34】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、外科用器具の例示的なエンドエフェクタの上面図を示す。
【
図35】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、
図34のエンドエフェクタの底面図を示す。
【
図36】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、外科用器具の例示的なエンドエフェクタの上面図を示す。
【
図37】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図19のバットレス組立体アプリケータを断面で示した、
図36のエンドエフェクタの側面立面図を示す。
【
図38】
図19の線38-38に沿って取られた、
図19のバットレス組立体アプリケータの断面図を示す。
【
図39】
図19のバットレス組立体アプリケータと共に使用されることができる例示的な位置合わせ機構の斜視図を示す。
【
図41】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられたバットレス組立体アプリケータを有するエンドエフェクタと共に示される、
図19のバットレス組立体アプリケータのシャーシに接続された別の例示的な位置合わせ機構の斜視図を示す。
【
図42】閉鎖位置にある
図41のエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられたバットレス組立体アプリケータと共に示される、
図41のバットレス組立体アプリケータの位置合わせ機構及びシャーシの断面図を示す。
【
図43】外科用器具のエンドエフェクタと共に使用されるための別の例示的なバットレス組立体アプリケータの上面図を示す。
【
図44】開放位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図43のバットレス組立体アプリケータを断面で示した、湾曲先端部を有する例示的なエンドエフェクタの側面立面図を示す。
【
図45】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図43のバットレス組立体アプリケータを断面で示した、
図44のエンドエフェクタの側面立面図を示す。
【
図46】開放位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた例示的なバットレス組立体アプリケータを断面で示した、変形可能な湾曲先端部を有する例示的なエンドエフェクタの側面立面図を示す。
【
図47】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上側ジョーと下側ジョーとの間に位置付けられた
図46のバットレス組立体アプリケータを断面で示した、
図46のエンドエフェクタの側面立面図を示す。
【
図48】
図47のエンドエフェクタ及びバットレス組立体アプリケータの上面図を示す。
【0009】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共にに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0011】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる点も、更に理解されよう。したがって、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0012】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義する。用語「近位」とは、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ、外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を意味する。用語「遠位」とは、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を意味する。加えて、用語「上部」、「下部」、「側方」、「横断」、「底部」、「頂部」は、以下に提供される図の説明に更なる明瞭性を提供するための相対的な用語である。用語「上部」、「下部」、「側方」、「横断」、「底部」、「頂部」は、したがって、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0013】
加えて、用語「第1の」及び「第2の」は、本明細書では、外科用器具の1つ以上の部分を区別するために使用される。例えば、第1の組立体及び第2の組立体は、代替的にかつそれぞれ、第2の組立体及び第1の組立体として記載されてもよい。用語「第1の」及び「第2の」、並びに他の数字表記は、そのような用語の単なる例示であり、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0014】
I.例示的な外科用ステープラ
図1~
図7は、外科的処置を行うために、
図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示している。単に一例として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又は他の部位に、このようなトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、開胸又は他の種類の切開によって、器具(10)を直接挿入してもよい。本実施例の器具(10)は、シャフト(22)に接続されたハンドル部分(20)を含む。シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)内で遠位方向に終端し、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位にあるハンドル部分(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」、「水平」、「上側」及び「下側」といった空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0015】
いくつかの変形形態では、シャフト(22)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成される。シャフト(22)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0016】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸(LA)から所望の角度(α)に偏向させることができるように、
図1に仮想線で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔的に関節動作させられてもよい。それにより、エンドエフェクタ(12)は、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達するか又は組織に近づくことができる。いくつかの変形形態では、関節動作ジョイント(11)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)を偏向させることができる。いくつかの他の変形形態では、関節動作ジョイント(11)は、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを偏向させることができる。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)は、本明細書で引用される多数の引用文献のうちのいずれかの教示に従って構成されてもよい。あるいは、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、任意の他の好適な構成を有していてもよい。単に一例示として、関節動作制御部(13)は、代わりに、シャフト(22)の長手方向軸(LA)に直交する軸を中心に回転するノブとして構成されてもよい。
【0017】
いくつかの変形形態では、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号の教示のうちの少なくとも一部に従って構築され、かつ動作可能である。関節動作ジョイント(11)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0018】
本実施例のエンドエフェクタ(12)は、下側ジョー(16)及び枢動可能なアンビル(18)を含む。本実施例では、アンビル(18)はまた、上側ジョーと見なすことができる。更に、本実施例のようないくつかの変形形態では、上側ジョー又はアンビル(18)は、静止した下側ジョー(16)に対して枢動するが、いくつかの他の変形形態では、上側ジョー又はアンビル(18)は、下側ジョー(16)が枢動する間に静止している。一部の変形形態では、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示の少なくともいくつかに従って、下側ジョー(16)が構築されている。アンビル(18)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月9日発行の「Staple Forming Features For Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号の教示の少なくとも一部に従って構築され得る。下側ジョー(16)及びアンビル(18)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0019】
ハンドル部分(20)は、ピストルグリップ(24)及び閉鎖トリガ(26)を含む。閉鎖トリガ(26)は、ピストルグリップ(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下側ジョー(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストルグリップ(24)に対する閉鎖トリガ(26)の枢動に応答して、ハンドル部分(20)に対して長手方向に並進する。閉鎖管(32)はシャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は関節動作ジョイント(11)の遠位に位置決めされる。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)まで長手方向の移動を伝達/伝動するように動作可能である。
【0020】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガ(28)を含む。細長部材(図示せず)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガ(28)の作動に応答してハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射運動を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)のこの遠位並進により、エンドエフェクタ(12)内でクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。その後、トリガ(26、28)を解放し、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0021】
図3~
図6は、数多くの機能を実行するためにEビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。Eビーム形態は、単なる例示としての一例であることを理解されたい。発射ビーム(14)は、非Eビーム形態が挙げられるがこれに限定されない、任意の他の好適な形態をとってもよい。
図4A~
図4Bに最も分かりやすく示されるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上部ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上部ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置決めされ、長手方向アンビルスロット(42)内を並進可能である。発射ビームキャップ(44)は、下側ジョー(16)を通って形成された下側ジョースロット(45)(
図4Bに示す)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下側ジョー(16)の下面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下側ジョー(16)の上面に摺動可能に係合する。これにより、発射ビーム(14)は、発射中に、エンドエフェクタ(12)の間隔を確信的にとる。
【0022】
一部の非Eビーム形態の発射ビーム(14)は、上部ピン(38)、中間ピン(46)、及び/又は発射ビームキャップ(44)が欠けていてもよい。器具(10)のいくつかのこうした変形形態は、閉鎖用リング(33)、又はアンビル(18)を閉鎖位置まで枢動させ、発射ビーム(14)が遠位位置へと前進する間はアンビル(18)を閉鎖位置に保持する、何らかの他の機構に単に依存してもよい。あくまで一例として、発射ビーム(14)及び/又は関連するロックアウト特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。発射ビーム(14)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
図3は、近位に位置決めされている本実施例の発射ビーム(14)と、開放位置まで枢動されて、未使用のステープルカートリッジ(37)を下側ジョー(16)のチャネル内に着脱可能に装着できるようにするアンビル(18)と、を示す。
図5~
図6に最も分かりやすく示されるように、この実施例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレイ(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。
図3に最も分かりやすく示されるように、垂直スロット(49)が、ステープルカートリッジ(37)の一部を貫いて形成されている。これも
図3に最も分かりやすく示されるように、3列のステープル開口部(51)が、垂直スロット(49)の一方の側部上の上部デッキ(72)を貫いて形成され、別の3列のステープル開口部(51)の組が、垂直スロット(49)の他方の側部上の上部デッキ(72)を貫いて形成されている。勿論、任意の他の好適なステープルの列数(例えば、2列、4列、その他の列数)が提供されてもよい。再び
図4A~
図6を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)がカートリッジ本体(70)とトレイ(74)との間に捕捉され、ステープルドライバ(43)の近位に楔形スレッド(41)が位置している。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内で長手方向に移動可能であり、一方でステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内で垂直方向に移動可能である。ステープル(47)も、カートリッジ本体(70)内部で、対応するステープルドライバ(43)の上方に位置決めされている。具体的には、各ステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内部で垂直方向に駆動されて、ステープル(47)を、関連するステープル開口部(51)から外へと駆動する。
図4A~
図4B、及び
図6に最も分かりやすく示されるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるとステープルドライバ(43)を上方に付勢する、傾斜したカム面を提示する。
【0024】
一部の変形形態では、ステープルカートリッジ(37)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能である。追加的にあるいは代替的に、ステープルカートリッジ(37)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。ステープルカートリッジ(37)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0025】
図4A~
図4Bに示されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態では、続いて発射ビーム(14)は、上部ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(
図5に示す)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、発射トリガー(28)が作動されたとき、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進すると、楔形スレッド(41)がプッシャブロック(80)によって遠位方向に押されるように、楔形スレッド(41)と係合するように構成されている。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。
図4A~
図4Bに示すように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによってステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)を駆動してステープルドライバ(43)と上向きでカム接触させると、ステープル(47)がステープル開口部(51)から外に押し出されて、アンビル(18)内面上のステープル成形ポケット(53)(
図3に示す)と成形接触する。
図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後で、遠位方向に完全に並進した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、
図4A~
図4Bの図から意図的に省略されているが、ステープル成形ポケット(53)は
図3に示されていることを理解されたい。また、アンビル(18)は、
図5の図から意図的に省略されていることも理解されたい。
【0026】
図7は、組織(90)を通した1回のストロークによって作動されたエンドエフェクタ(12)を示す。図示されるように、切断縁部(48)(
図7では隠されている)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)が作り出した切断線の各側部で、ステープル(47)の3つの交互になる列を組織(90)を通して駆動している。この実施例では、全てのステープル(47)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(47)は、任意の好適な配向で位置決めされ得る点を理解されたい。本実施例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換してから、エンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通して挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の数の切断及びステープル(47)が与えられるまで、このプロセスを繰り返してもよい。トロカールを通した挿入及び抜脱を容易にするにはアンビル(18)を閉鎖する必要があり得、ステープルカートリッジ(37)の交換を容易にするためにはアンビル(18)を開放する必要があり得る。
【0027】
各作動ストロークの間に、ステープル(47)が組織を通して駆動されるのとほぼ同時に、切断縁部(48)が組織を切断することができる点を理解されたい。本実施例では、切断縁部(48)は、ステープル(47)の駆動よりもごくわずかに遅れて進むため、ステープル(47)は、切断縁部(48)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通して駆動されるが、この順序を逆にしてもよい点、又は切断縁部(48)が、隣接するステープルと直接的に同期してもよい点を理解されたい。
図7は、2層(92、94)の組織(90)内で作動されるエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、単一層の組織(90)、又は2層(92、94)を超える組織を通して作動されてもよい点を理解されたい。また、切断縁部(48)によって形成される切断線に隣接するステープル(47)の成形及び位置決めにより、切断線において組織を実質的にシールすることができ、これにより、切断線における出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができる点も理解されたい。更にまた、
図7は、2つの概ね平坦で並置した組織の平面層(92、94)において作動されているエンドエフェクタ(12)を示すが、エンドエフェクタ(12)は、環状構造、例えば血管、消化管のセクションなどにわたって作動され得ることを理解されたい。
図7は、したがって、エンドエフェクタ(12)についての意図された使用におけるなんらかの制限を示すものとして見られるべきではない。器具(10)を使用することができる様々な適当な状況及び処置は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0028】
一変形形態では、器具(10)は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。発射ビーム(14)の電動制御を提供するために使用され得る例示的な構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年4月18日に発行された、米国特許第9,622,746号、名称「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」に示され、説明されている。上記に加えて、又はその代わりに、電動制御の少なくとも一部が、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2012年7月3日発行の「Motor-Driven Surgical Instrument」と題する米国特許第8,210,411号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。上記に加えて又は上記の代わりに、発射ビーム(14)を駆動させるように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,453,914号の教示のうちの少なくともいくつかに従って、及び/又はその開示も参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,453,914号の教示の少なくともいくつかに従って構成され得る。発射ビーム(14)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。いくつかの他の変形形態では、モータが省略され得るように発射ビーム(14)の手動駆動が提供されてもよいことも理解されたい。単に一例として、発射ビーム(14)は、本明細書で引用される任意の他の特許/特許公報の引用文献の教示のうちの少なくとも一部に従って作動されてもよい。
【0029】
器具(10)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号に示され記載されるように、ロックアウトスイッチ及びロックアウトインジケータを含み得る。更に、ロックアウトスイッチ及び/又はロックアウト指示(lockout indication)、並びに付随する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2010年1月12日発行の「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題する米国特許第7,644,848号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。
【0030】
また、器具(10)は、「緊急救済(bailout)」機構としての機能を果たし、操作者が、発射ストローク中に、発射ビーム(14)の近位方向への後退を即座に開始することを可能にするように構成された、手動戻りスイッチ(116)を含む。つまり、手動戻りスイッチ(116)は、発射ビーム(14)が部分的にのみ遠位方向に前進した場合、手動で作動できる。手動戻りスイッチ(116)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号の教示のうちの少なくともいくつかに従って更なる機能性を提供し得る。
【0031】
器具(10)の動作を説明する際、「枢動する」という用語(及び「枢動する」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動移動を必要とするものと解釈されるべきではない。いくつかの変形形態では、アンビル(18)は、アンビル(18)が下側ジョー(16)に向かって移動すると、細長スロット又はチャネルに沿って摺動するピン(又は同様の機構)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる変形形態では、枢軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って並進し、一方で、アンビル(18)も同時にその軸を中心に枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿って摺動し、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離を摺動した後に、アンビル(18)が枢軸を中心に枢動してもよい。そのような摺動/並進枢動移動は、「枢動」、「枢動する」、「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含されることを理解されたい。当然のことながら、いくつかの変形形態は、固定された状態を維持して、スロット又はチャネルなどの内部を並進しない軸を中心としたアンビル(18)の枢動移動を提供してもよい。
【0032】
器具(10)は、米国特許第4,805,823号、同第5,415,334号、同第5,465,895号、同第5,597,107号、同第5,632,432号、同第5,673,840号、同第5,704,534号、同第5,814,055号、同第6,978,921号、同第7,000,818号、同第7,143,923号、同第7,303,108号、同第7,367,485号、同第7,380,695号、同第7,380,696号、同第7,404,508号、同第7,434,715号、同第7,721,930号、同第8,408,439号、及び/又は同第8,453,914号の教示のいずれかに従って構成され、動作可能であり得ることを理解されたい。上述のように、それらの特許及び公報のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。器具(10)に提供され得る更なる例示的な改変を、以下でより詳細に述べる。以下の教示を器具(10)に組み込むことができる様々な好適な方法が、当業者には明らかになるであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用される特許/公報の様々な教示と組み合わせることができる種々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示は、本明細書で引用される特許で教示される器具(10)又はデバイスに限定されない点も理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具にも容易に応用可能である。以下の教示を適用することができる他の様々な好適なデバイス及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0033】
II.可視化、引込、及び収集機構を備える例示的エンドエフェクタ
いくつかの例では、ユーザにエンドエフェクタ(12)のより良好な可視化を提供することが望ましい場合がある。具体的には、エンドエフェクタ(12)が手術部位に挿入される際、ユーザは、処置中に器具(10)のシャフト(22)を回転させる場合がある。その結果、エンドエフェクタ(12)もまた回転する。エンドエフェクタ(12)が回転する際、ユーザが手術部位に対する視覚的アクセスを有することが望ましい場合がある。例えば、ユーザは、組織(90)とエンドエフェクタ(12)との間の境界面又は接触面を見ることを望む場合がある。エンドエフェクタ(12)がハンドル部分(20)に対して長手方向軸(LA)を中心に回転できるため、ユーザは、アンビル(18)ではなくエンドエフェクタの下側ジョー(16)が可視となるように、手術部位を見ることができる。あるいは、ユーザがエンドエフェクタ(12)を見るときに、アンビル(18)がユーザに見えるように、エンドエフェクタ(12)が回転されてもよい。
図1の器具(10)で可能であるものを超えた手術部位の視認性をユーザに提供することが望ましい場合がある。例えば、流体を輸送している血管が切開されてステープル留めされる一部の外科的処置の場合、アンビル(18)及び下側ジョー(16)が横切されるべき血管を完全に覆っており、その結果、1回の作動で血管を完全に切開してステープル留めできることを視覚的に確認できることが望ましい場合がある。つまり、ユーザは、血管の一部分のみを切断及びステープル留めすることを回避したいと希望し得る。したがって、アンビル(18)及び下側ジョー(16)が血管を完全にクランプするように、エンドエフェクタ(12)が手術部位内に適切に位置付けられたことがユーザに分かるような、なんらかの視覚的な監視及び/又はフィードバック手段が望ましい場合がある。手術部位を監視する1つの考えられる方法として、下側ジョー(16)及びアンビル(18)の遠位先端部に隣接する区域の可視化を改善することが挙げられ得る。更に、エンドエフェクタ(12)の遠位端の可視化が望ましいだけでなく、アンビル(18)が下側ジョー(16)に向かって閉鎖すると、アンビル(18)の遠位端がアンビル(18)と下側ジョー(16)との間の空間内へと近位方向に組織(例えば、大血管)を付勢するように構成されるように、エンドエフェクタ(12)を構成することが望ましい場合がある。
【0034】
図8は、アンビル(218)及び下側ジョー(216)を備える例示的エンドエフェクタ(212)を示す。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)と一体的に形成されてもよく、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。
【0035】
アンビル(218)は、下側ジョー(216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(218)及び下側ジョー(216)は、
図1に示すアンビル(18)及び下側ジョー(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(212)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下側ジョー(216)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(237)を更に備える。
【0036】
図8~
図10で見ることができるように、アンビル(218)は細長い形状を有し、アンビル(218)の遠位部分はカートリッジ(237)に向かって角度付けされている。アンビル(218)の遠位部分は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)がカートリッジ(237)よりも更に遠位長手方向に延在するように、カートリッジ(237)に向かって角度付けされている。しかし、いくつかの変形形態では、遠位先端部(219)は、長手方向にカートリッジ(237)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(237)上の最遠位点に対して近位に延在してもよいことが理解されるであろう。更に、アンビル(218)は、緩斜面を通ってカートリッジ(237)に向かって角度をなしている。
図10で最も良く分かるように、アンビル(218)は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)に近づくにつれて先細になる側部(241)を含む。例として、アンビル(218)は、
図8では、反転したスキー先端部と同様に成形されている。アンビル(218)の角度付き形状により、エンドエフェクタ(212)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(218)の緩斜面又は反転スキー先端部形状は、アンビル(218)が組織に接触する際、若しくは組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。こうした非外傷性の組織偏向は、アンビル(218)が下側ジョー(216)に向かって閉鎖する際に、アンビル(218)と下側ジョー(216)との間の空間内へと組織(例えば大血管)を近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(218)の角度付き形状は、エンドエフェクタ(212)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連したエンドエフェクタ(212)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(218)の他の好適な変形は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0037】
カートリッジ(237)は、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを、組織内に駆動するために保持するように動作可能である。
図9に示すように、カートリッジ(237)の遠位端は、三角形の外形を有する。具体的には、カートリッジ(237)の遠位端は、先細上面(239)及び先細下面(238)を備える。加えて、カートリッジ(237)の遠位端は、各側に先細側面(243)を備える。本実施例では、カートリッジ(237)の各先細側面(243)は、アンビル(218)の側部(241)によって提示される先細形状と概ね位置合わせする。したがって、
図10に示すように、カートリッジ(237)の側面(243)は、アンビル(218)の側面(241)を越えてエンドエフェクタ(212)の長手方向軸(LA)から外向きに延在しない。先細上面(239)及び先細下面(238)は、カートリッジ(237)の最遠位端に至る。先細下面(238)は視線(240)を画定し、その結果、エンドエフェクタ(212)が手術部位に一旦挿入されると、ユーザは、視線(240)に沿って見ることができる。視線(240)は、先細下面(238)の縁部に沿って延在する。先細下面(238)の平面形状は、ユーザがアンビル(218)の遠位先端部(219)を可視化する、かつ/又はほぼ可視化するように動作可能であってもよいことが理解されよう。具体的には、視線(240)は、エンドエフェクタ(212)を通って長手方向に延在する長手方向軸(LA)と交差し、視野角(θ)を形成する。
【0038】
視野角(θ)は、ユーザが遠位先端部(219)に対して有する相対的視認性を確立することができる。具体的には、ユーザは、視野角(θ)の範囲内で、視線(240)と長手方向軸(LA)との交点を通過する任意の視線に沿って、遠位先端部(219)を正面から見ることができる。例えば、視野角(θ)が増加すると、ユーザは、近位の観点からの遠位先端部(219)のすぐ前方の領域の視認性が高まり、視野角(θ)が減少すると、ユーザは、近位の観点からの遠位先端部(219)前方の領域の視認性が低下する。一部の形態においては、視野角(θ)は、90度を超える角度を画定する。加えて、いくつかの変形形態では、視野角(θ)は、135度を超える角度を画定する。視野角(θ)の他の好適な角度は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。図示された変形形態では、ユーザは、一般に、視線(240)に沿って又は視野角(θ)内のいくつかの他の視線に沿って見るため、ユーザは、視線、及び視野角(θ)内の任意の領域に沿った視認性を有する。遠位先端部(219)の下側は、長手方向軸(LA)と視線(240)との交点の視認性を補助するために更にわずかに丸みを帯びている。
【0039】
組織(90)が、閉鎖されたカートリッジ(237)とアンビル(218)との間にクランプされると、ユーザは、視線(240)に沿って又は視野角(θ)内の他の位置から見て、例えば、アンビル(218)がどこで組織(90)をクランプしたかを正確に確認することができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(212)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(218)とカートリッジ(237)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができるようになる。ユーザはまた、組織(90)に対するアンビル(218)とカートリッジ(237)との間のクランプの質も可視化することができる。いくつかの例では、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(212)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(218)の先細形状はまた、遠位先端部(219)の、又は実質的に隣接する遠位先端部(219)の、より見やすい視界をもたらすことができる。カートリッジ(237)の先細下面(238)に沿ったアンビル(218)の先細りにより、エンドエフェクタ(212)を組織内へと更に容易に非外傷的に挿入することができる。更に、エンドエフェクタ(212)の先細端部によって、トロカール、又はエンドエフェクタ(212)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスを通してエンドエフェクタ(212)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(219)がトロカールに嵌合されると、先細下面(238)及びアンビル(218)の先細形状は、引込部を提供し、エンドエフェクタ(212)の残りの部分をトロカール内に誘導することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(218)の両側部(241)及びカートリッジ(237)の各側部(243)の先細設計によって視認性及び操縦性を向上させ得ることを更に理解するであろう。
【0040】
上記に加えて、エンドエフェクタ(212)及びエンドエフェクタ(212)を組み込んだ器具(10)の変形形態は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる20018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得る更なる修正について、下記でより詳細に説明する。
【0041】
III.屈曲又は角度付けされた弾性変形可能なアンビル先端部を有する例示的なエンドエフェクタ
いくつかの手順では、組織に沿って、又は組織を通して切断することが必要であり得、その場合、処置を完了するには2つ以上の切断シーケンス、換言すると、連続経路に沿って連続的な切断を行うことが必要である。このような処置では、この連続的な切断技術は、「マーチング」として定義することができる。マーチングを伴う処置の場合、器具(10)が手術部位に配置され、作動されて切断及びステープル留めを行い、続いて新しいカートリッジ(37)を装着するために手術部位から除去され、続いて前回の切断及びステープル留めサイクルが発生した同じ経路に沿った次回の切断及びステープル留めのために再び手術部位に戻されてもよい。このプロセスは、切断及びステープル処置が完了するまで繰り返される。
図4A~
図4B、及び
図7に見られるように、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成は、アンビル(18)の遠位端とカートリッジ(37)の遠位端との間に間隙を提供する。この間隙は、各マーチング工程の開始時に組織がエンドエフェクタ(12)の遠位端に侵入するための非外傷性空間を提供することによってマーチングを促進することができる。
【0042】
上述したように、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成とは異なり、エンドエフェクタ(212)の異なる構成は、異なる潜在的利点を提供する。具体的には、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、改善された操縦性、及びエンドエフェクタ(212)の遠位端と、隣接する解剖学的構造との間の関係の改善された視認性を提供することができる。加えて、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、アンビル(218)が下側ジョー(216)に向かって閉鎖されると、アンビル(218)と下側ジョー(216)との間の空間内に組織を近位方向へ付勢することによって組織収集効果を提供することができる。しかしながら、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形形態では、アンビル(218)が下側ジョー(216)に向かって閉鎖されているとき、アンビル(218)と下側ジョー(216)との間の空間に収集されない組織に対して遠位先端部(219)が外傷を与える場合があるため、アンビル(218)の遠位先端部(219)の屈曲構成はマーチング動作にあまり適さない場合がある。したがって、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形形態では、エンドエフェクタ(212)は、切断及びステープル留め動作(例えば、血管横切開)に最も適することができ、ここでは切断及びステープル留めされる組織の全てが遠位先端部(219)の近位に収集される。
【0043】
上記の内容を考慮すると、別の場合ではエンドエフェクタ(212)の完全に剛性の変形形態に付随する場合のある外傷のリスクを増大させることなく、エンドエフェクタ(12)のマーチング能力、エンドエフェクタ(212)に関連する改善された視認性、及びエンドエフェクタ(212)の組織収集能力を提供するエンドエフェクタ(12、212)の変形形態を提供することが望ましい場合がある。以下では、エンドエフェクタ(12、212)のこうした変形形態のいくつかの単なる例示的な実施例を説明する。以下の実施例では、アンビルは、遠位先端部(219)のような屈曲又は角度付けされた構成をとるように弾性的に付勢された遠位先端部を有し、更に、弾性的に付勢された遠位先端部は、遠位先端部上の十分な荷重に応答して下側ジョーから離れて偏向可能である。弾性変形可能な角度付き遠位先端部分を有するアンビルを提供することは、組織を通って手術部位までナビゲートすることに関して、更なるレベルの操縦性の利益を提供することができることが、本明細書の教示を鑑みれば理解されるであろう。このようにして、変形可能な遠位先端部分は、特にマーチング動作中に、組織を通るエンドエフェクタの滑らかで非外傷的な移動を促進するために、偏向又は変形してもよい。加えて、装填状態にないとき、又は周辺組織と接触していないときの角度付けされた位置への付勢を有するアンビルは、直線状又は角度付けされていないアンビルを有するエンドエフェクタを使用することと比較して、組織捕捉及び切断中の強化された可視化を達成することができる。更に、角度付けされた位置に付勢された遠位先端部を有するアンビルは、比較的小さい組織構造をアンビルと下側ジョーとの間に単に寄せ集めることに関連するのではなく、マーチングに関連することになる負荷点に達するまで、ある程度の組織収集効果を提供することができる。
【0044】
図11は、外科用ステープラとして構成された別の例示的な器具(310)を示す。器具(310)は、ハンドル部分(320)とシャフト(322)とを備える。器具(310)は、シャフト(322)がハンドル部分(320)から選択的に取り外し可能であり、かつそのハンドル部分に対して取り付け可能であるように、モジュール式構成を有する。器具(310)は器具(10)と同様に構成されており、器具(310)の操作性及び使用法は、モジュール式構成である器具(310)の追加的特徴を除いて器具(10)について上述したものと同じである。そのモジュール式構成により、器具(310)は、エンドエフェクタを変更する方法を提供する。エンドエフェクタにおけるこうした変更は、別の方法で装着されたエンドエフェクタを交換するように、又は処置又はユーザの好みに基づいて異なるエンドエフェクタ構成を提供するように作られてもよい。上記に加えて、又はその代わりに、器具(310)のモジュール式構成を提供するように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日公開の「Surgical Stapling Instrument with Shaft Release,Powered Firing,and Powered Articulation」と題する米国特許出願公開第2017/0086823号の教示の少なくとも一部に従って構成されてもよい。モジュール式構成を備える器具(310)を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。更に、器具(10)が、器具(310)又は参照により本明細書に組み込まれるその他の器具に関して示されかつ説明されたモジュール式構成を組み込むように修正されてもよいことが、本明細書の教示を鑑みれば当業者には理解されるであろう。
【0045】
図11の例示的な実施例では、器具(310)は、角度付き遠位先端部(319)を有するアンビル(318)を有するエンドエフェクタ(312)を備える。更に、アンビル(318)の遠位先端部(319)は弾性変形可能である。このようにして、
図12A及び
図12Bに最もよく示されるように、角度付き遠位先端部(319)は、第1の角度を付けられた位置から第2の位置へと弾性的に変形するように動作可能である。角度付き遠位先端部(319)の第2の位置は、いくつかの変形形態では実質的に真っ直ぐであってもよいが、他の変形形態では、ある程度角度付けされてもよい(例えば、長手方向軸(A1)のわずかに上方又はわずかに下方に)。角度付き遠位先端部(319)の第2の位置は、アンビル(318)と下側ジョー(16)との間に捕捉される組織の特性(例えば、厚さ、密度など)によって画定され得ることを理解されたい。本実施例では、エンドエフェクタ(312)は、ハンドル部分(320)から取り外し可能なシャフト(322)上に提供される。単に一例として、シャフト(322)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年3月13日発行の「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」と題する米国特許第9,913,642号の教示のうちの少なくともいくつかに従ってハンドル部分(320)から取り外し可能であってもよい。いくつかの他の変形形態では、シャフト(322)はハンドル部分(320)から取り外し可能ではない。
【0046】
エンドエフェクタ(312)は、
図1に示すエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。いくつかの変形形態では、エンドエフェクタ(312)は、シャフト(22)と一体的に形成されてもよく、あるいは別々に形成され、その後、組み合わされてもよい。いくつかの変形形態では、エンドエフェクタ(312)は、ロボットシステムで使用するために提供されてもよい。このようなロボットシステムでは、エンドエフェクタ(312)を有するモジュール式シャフト(322)は、ハンドル部分(320)がロボットシステムの構成要素によって交換されるような使用のためにロボットシステムの一部に取り付け可能であり得る。更に他の実施例では、エンドエフェクタ(312)は、モジュール式シャフト(322)全体を必ずしも接続することなく、エンドエフェクタ(312)がロボットシステムと接続する様式で、ロボットシステムと共に使用されるように適合されてもよい。本明細書の教示を鑑みれば、角度付けされた弾性変形可能なアンビル先端部を有するエンドエフェクタを、ユーザ操作又はロボット操作式器具に組み込むためのその他の方法が当業者には明らかになるであろう。
【0047】
図12Aは、エンドエフェクタ(312)の遠位端の拡大側面図を示す。エンドエフェクタ(312)は、器具(10)に関して上述したように、カートリッジ(37)を受け入れるアンビル(318)及び下側ジョー(16)を備える。アンビル(318)は、器具(10)に関して上述したように、アンビル(18)と同様に下側ジョー(16)に向かって枢動可能に回転する。この構成では、エンドエフェクタ(312)は、エンドエフェクタ(12)に類似しているが、アンビル(318)は、弾性変形可能な角度付き遠位先端部(319)を含む。
図12Aに示すように、先端部(319)は、
図11に及び
図12Aの仮想線で示される角度付き位置への付勢が与えられる。エンドエフェクタ(312)が、
図11に示されるように組織をクランプしておらず、開放されるとき、又は、
図12Aに仮想線で示されるように組織をクランプせずに閉鎖されるとき、先端部(319)はこの角度付き位置を呈する。エンドエフェクタ(312)が、この角度付き状態にある場合、エンドエフェクタ(312)は、装填されていないか、又は非装填状態又は非装填位置にあると見なされ得る。逆に、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプしているとき、エンドエフェクタ(312)は、装填されているか、装填状態又は装填位置にあると見なされ得る。
【0048】
閉鎖された状態で、アンビル(318)と下側ジョー(16)との間に組織をクランプしていないとき、先端部(319)はカートリッジ(37)と接触する。この位置では、先端部(319)の下面(324)は、シャフト(322)によって画定される長手方向軸(A1)と交差して角度(θ1)を形成する平面を画定する。閉鎖された状態で、アンビル(318)と下側ジョー(16)との間に組織(90)をクランプしているとき、先端部(319)の下面(324)は組織(90)と接触する。この位置では、先端部(319)の下面(324)は、長手方向軸(A1)と交差して角度(θ2)を形成する平面を画定する。
図12Aに示された例では、角度(θ1、θ2)は長手方向軸(A1)に対して相対的であり、角度(θ1、θ2)の和は、遠位先端部(319)が受ける可動域を表す。あくまで例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、角度(θ1)は、長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)に向かって下向きの方向に約20~約70度、より具体的には約30度~約50度である。あくまで例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、角度(θ2)は、長手方向軸(A1)から、カートリッジ(37)から離れる上向きの方向に約0~約90度である。あくまで例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、先端部(319)が受ける可動域は、約20度~約110度である。角度(θ1、θ2)について記載される角度は、単なる例示であり、限定するものではない。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な角度が、当業者に明らかになるであろう。
【0049】
加えて、場合によっては、長手方向軸(A1)はゼロ度基準を表し、それに対する角度は正でも負でもあり得る。例えば、角度が長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)に向かって下向きの方向にある場合、角度は負の角度として特徴付けられ得る。同様に、角度が長手方向軸(A1)から、カートリッジ(37)から離れる方向に上向きの方向にある場合、角度は正の角度として特徴付けられ得る。これらの慣例を使用するとき、変形による遠位先端部(319)の可動域は、遠位先端部(319)がカートリッジ(37)と接触する位置にあるときの角度の絶対値と、遠位先端部(319)が組織をクランプするときの変形状態にあるときの角度との和として理解することができる。
【0050】
図12Bは、
図12Aのエンドエフェクタ(312)と同様の代替のエンドエフェクタ(412)の別の側面図を示す。エンドエフェクタ(312)では、アンビル(318)がその角度付きかつ非変形の状態にあるとき(
図12Aの図の仮想線で見られるように)、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端と同じか又は最遠位端の近位の点まで延在する。アンビル(318)が上方に偏向されるように変形されると、遠位先端部(319)の端部は、カートリッジ(37)の最遠位端に対してちょうど遠位の点まで延在する。
図12Bに示されるように、エンドエフェクタ(412)では、アンビル(318)がその角度付きかつ非変形の状態にあるとき(
図12Bの図の仮想線で見られるように)、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端と同じか又は最遠位端の近位の点まで延在する。アンビル(318)が上方に偏向されるように変形されると、アンビル(318)の遠位先端部(319)の端部は、カートリッジ(37)の最遠位端と同じか又は最遠位端の近位の点まで延在する。このようにして、アンビル(318)がその角度付き状態又は変形状態にあるときに、エンドエフェクタ(412)のアンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端と同じか又は最遠位端の近位のままであり、そのため、アンビル(318)がその角度付きかつ非変形状態にあるか又はその変形状態にあるかどうかに関係なく、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端を越えて延在しない。場合によっては、これは、アンビルの遠位先端部(319)の長さが短くなるようにアンビル(318)を変更することによって達成され得る。他の場合には、器具(10、310)は、クランプ時にアンビル(318)のわずかな近位後退をもたらすように変更されてもよい。アンビル(318)の位置の制御に関連してエンドエフェクタ(412)を変更するための他の方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0051】
IV.外科用ステープラのための更なる例示的なエンドエフェクタ
図13は、本明細書に記載されるような外科用ステープル留め器具と共に使用されるために構成された、別の例示的なエンドエフェクタ(512)を示す。エンドエフェクタ(512)は、アンビル(518)及び下側ジョー(516)を備える。エンドエフェクタ(512)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(512)は、器具(10)と一体的に形成されてもよく、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。
【0052】
アンビル(518)は、下側ジョー(516)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(518)及び下側ジョー(516)は、
図1に示すアンビル(18)及び下側ジョー(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(512)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下側ジョー(516)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(537)を更に備える。
【0053】
アンビル(518)は、アンビル(518)が湾曲先端部を含むように、アンビル(518)の遠位部分がカートリッジ(537)に向かって角度をなす細長い形状を有する。アンビル(518)の遠位部分は、アンビル(518)の最遠位先端部(519)がカートリッジ(537)よりも更に遠位長手方向に延在するように、カートリッジ(537)に向かって角度付けされている。しかし、いくつかの変形形態では、遠位先端部(519)は、長手方向にカートリッジ(537)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(537)上の最遠位点に対して近位に延在してもよい。更に、アンビル(518)の遠位部分は、アンビル(518)の最遠位先端部(519)に近づくにつれて先細りになる側面(541)を含む。アンビル(518)のこの形状により、エンドエフェクタ(512)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(518)の形状は、アンビル(518)が組織に接触する際、若しくは組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。こうした非外傷性の組織偏向は、アンビル(518)が下側ジョー(516)に向かって閉鎖する際に、アンビル(518)と下側ジョー(516)との間の空間内へと組織(例えば大血管)を近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(518)の形状は、エンドエフェクタ(512)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連したエンドエフェクタ(512)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(518)の他の好適な変形は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0054】
カートリッジ(537)は、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを保持して組織内に駆動するように動作可能である。カートリッジ(537)の遠位端は、傾斜した外形を有する。特に、カートリッジ(537)の遠位端は、カートリッジ(537)の最遠位端につながる先細上面(539)を含む。
【0055】
組織(90)が閉鎖カートリッジ(537)とアンビル(518)との間にクランプされているとき、ユーザは、アンビル(518)が組織(90)をクランプした場所を確認することができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(512)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(518)とカートリッジ(537)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができる。ユーザはまた、組織(90)に対するアンビル(518)とカートリッジ(537)との間のクランプの質を可視化することができる。場合によっては、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(512)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(518)の形状はまた、遠位先端部(519)のより見やすい視界をもたらすことができる。アンビル(518)及びカートリッジ(537)の形状は、非外傷的な様式で組織へのエンドエフェクタ(512)の容易な挿入を更に促進し得る。更に、エンドエフェクタ(512)の先細端部によって、トロカール又はエンドエフェクタ(512)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスを通してエンドエフェクタ(512)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(519)がトロカールに嵌合されると、アンビル(518)の形状は、引込部を提供し、エンドエフェクタ(512)の残りの部分をトロカール内に誘導することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(518)の遠位部分の両側面(541)の先細設計によって視認性及び操縦性を向上させ得ることを更に理解するであろう。
【0056】
更に
図13を参照すると、あくまでも例として、限定するものではないが、エンドエフェクタ(512)の一例では、アンビル(518)の湾曲先端部は、組織を分離するための解剖用先端部として構成されてもよい。いくつかのそのような変形形態では、組織のそのような解剖は、アンビル(518)の湾曲先端部を使用して達成され得る。そのような場合、アンビル(518)の湾曲先端部は、鋭利な切断ブレード又は表面を有さない剛性構造であり、解剖は、十分な力が加わったときに先端部が接触する組織を分離及び/又は解剖する剛性の湾曲先端部によって行われる。アンビル(518)の湾曲先端部が解剖用先端部として構成されているいくつかの変形形態では、解剖用先端部の先端部は、組織接触表面及び底面によって画定される平面の間で終端する。また、解剖用先端部の先端部は、エンドエフェクタが閉鎖位置にあるとき、カートリッジの遠位端から離間している。このようにして、湾曲先端部は、アンビル先端部とカートリッジの遠位端との係合又は連結を必要とせずに組織を分離及び/又は解剖することができる解剖用先端部として構成される。また、このようにして、湾曲先端部は、ユーザが特定の組織の後ろで先端部を摺動させて、十分な力が加えられたときに先端部が接触する組織を分離及び/又は解剖することができるような形状を有する解剖用先端部として構成される。当然のことながら、解剖用先端部として構成されたアンビル(518)の湾曲先端部を有することは、アンビル(518)の全ての変形形態に必要とされることではなく、したがって、他の変形形態では、アンビル(518)の湾曲先端部は、上述のように組織を切断するように構成されていない非外傷性先端部又は配置先端部であり得る。
【0057】
図14は、本明細書に記載されるような外科用ステープル留め器具と共に使用されために構成された、別の例示的なエンドエフェクタ(612)を示す。エンドエフェクタ(612)は、アンビル(618)及び下側ジョー(616)を備える。エンドエフェクタ(612)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(612)は、器具(10)と一体的に形成されてもよく、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。
【0058】
アンビル(618)は、下側ジョー(616)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(618)及び下側ジョー(616)は、
図1に示すアンビル(18)及び下側ジョー(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(612)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下側ジョー(616)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(637)を更に備える。
【0059】
アンビル(618)は細長い形状を有し、アンビル(618)の遠位部分はカートリッジ(637)に向かって角度付けされている。アンビル(618)の遠位部分は、アンビル(618)の最遠位先端部(619)がカートリッジ(637)よりも更に遠位長手方向に延在するように、カートリッジ(637)に向かって角度付けされている。しかし、いくつかの変形形態では、遠位先端部(619)は、長手方向にカートリッジ(637)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(637)上の最遠位点に対して近位に延在してもよい。更に、アンビル(618)の遠位部分は、アンビル(618)の最遠位先端部(619)に近づくにつれて内側に湾曲する側面(641)を含む。アンビル(618)のこの形状により、エンドエフェクタ(612)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(618)の形状は、アンビル(618)が組織に接触する際、若しくは組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。こうした非外傷性の組織偏向は、アンビル(618)が下側ジョー(616)に向かって閉鎖する際に、アンビル(618)と下側ジョー(616)との間の空間内へと組織(例えば大血管)を近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(618)の形状は、エンドエフェクタ(612)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連したエンドエフェクタ(612)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(618)の他の好適な変形は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0060】
カートリッジ(637)は、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを、組織内に駆動するために保持するように動作可能である。カートリッジ(637)の遠位端は、傾斜した外形を有する。特に、カートリッジ(637)の遠位端は、カートリッジ(637)の最遠位端につながる先細上面(639)を含む。
【0061】
組織(90)が閉鎖カートリッジ(637)とアンビル(618)との間にクランプされているとき、ユーザは、アンビル(618)が組織(90)をクランプした場所を確認することができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(612)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(618)とカートリッジ(637)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができる。ユーザはまた、組織(90)に対するアンビル(618)とカートリッジ(637)との間のクランプの質を可視化することができる。場合によっては、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(612)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(618)の形状はまた、遠位先端部(619)のより見やすい視界をもたらすことができる。アンビル(618)及びカートリッジ(637)の形状は、非外傷的な様式で組織へのエンドエフェクタ(612)の容易な挿入を更に促進し得る。更に、エンドエフェクタ(612)の先細端部によって、トロカール又はエンドエフェクタ(612)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスを通してエンドエフェクタ(612)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(619)がトロカールに嵌合されると、アンビル(618)の形状は、引込部を提供し、エンドエフェクタ(612)の残りの部分をトロカール内に誘導することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(618)の遠位部分の両側面(641)の湾曲設計によって視認性及び操縦性を向上させ得ることを更に理解するであろう。
【0062】
上記に加えて、エンドエフェクタ(512、612)及びエンドエフェクタ(512、612)を組み込んだ器具(10)の変形形態は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得る更なる修正について、下記でより詳細に説明する。
【0063】
V.例示的なバットレスの装填及び適用
図15及び
図16は、切断及びステープル留め動作が行われる組織部位にバットレスを適用するように構成された例示的なエンドエフェクタ(40)を示す。エンドエフェクタ(40)は、遠位端(141)を含み、シャフト組立体(30)と接続されている。エンドエフェクタ(40)は、アンビル(60)、下側ジョー(50)、及び下側ジョー(50)に受容されるステープルカートリッジ(170)を備える。エンドエフェクタ(40)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(40)は、器具(10)と一体的に形成されてもよく、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。
【0064】
図15及び
図16はまた、例示的なバットレスアプリケータ(200)を示す。バットレスアプリケータ(200)は、バットレス組立体(100、110)を選択的に保持するように構成されている。本実施例では、バットレス組立体(100)は、アプリケータ(200)の上面に選択的に保持され、バットレス組立体(110)は、アプリケータ(200)の底面に選択的に保持される。いくつかの他の変形形態では、アプリケータ(200)は、1つのバットレス組立体(100、110)のみがバットレスアプリケータ(200)によって選択的に保持されるように構成され得る。
【0065】
バットレスアプリケータ(200)を使用してエンドエフェクタ(40)にバットレス組立体(100、110)を装填するために、操作者はまず、
図1に示すようにエンドエフェクタ(40)がアプリケータ(200)の開放端部(202)に位置合わせされるように、アプリケータ(200)及びエンドエフェクタ(40)を位置付ける。操作者は次いで、
図2に示すように、エンドエフェクタ(40)を遠位側に前進させて(かつ/又はアプリケータ(200)を近位側に後退させて)、バットレス組立体(100、110)をアンビル(60)とステープルカートリッジ(170)との間に位置付ける。バットレス組立体(100、110)をエンドエフェクタ(40)に装填するために、操作者は、アンビル(60)をステープルカートリッジ(170)に向かって枢動させることによって、エンドエフェクタ(40)を簡単に閉鎖し得る。エンドエフェクタ(40)が閉鎖されると、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(170)の遠位端は、バットレス組立体(100、110)をバットレスアプリケータ(200)と共に選択的に保持するように構成されたバットレスアプリケータ(200)の保持機構(204)に突き当たる。この接触は、バットレスアプリケータ(200)のかかる保持機構(204)を偏向させ、それによって、アンビル(60)の表面及びバットレスアプリケータ(200)の一方の側のバットレス組立体(100)と、ステープルカートリッジ(170)の表面及びバットレスアプリケータ(200)のもう一方の側のバットレス組立体(110)との間の接触を可能にする。バットレス組立体(100、110)は、それぞれの表面に接着剤を含み、それにより、エンドエフェクタ(40)がバットレス組立体(100、110)の両方にクランプされた状態で、バットレス組立体(100、110)は、アンビル(60)の下面及びステープルカートリッジ(170)のデッキ表面にそれぞれ接着される。エンドエフェクタ(40)はその後再び開放され(すなわち、アンビル(60)をステープルカートリッジ(170)から離れる方向に枢動させる)、バットレスアプリケータ(200)から引き離され得る。アプリケータ(200)の保持機構(204)がバットレス組立体(100、110)から係合解除された状態で、エンドエフェクタ(40)がバットレスアプリケータ(200)から引き離されるときに、エンドエフェクタ(40)は、バットレス組立体(100、110)をバットレスアプリケータ(200)から自在に引き離し得る。バットレス組立体(100、110)がエンドエフェクタ(40)に装填されている状態で、エンドエフェクタ(40)は次いで、
図17A~
図18を参照して以下に更に記載されるように使用され得る。
【0066】
図17A~
図17Cは、バットレス組立体(100、110)を装填されたエンドエフェクタ(40)が作動されて、2つの並列する組織層(T
1、T
2)を通してステープル(190)を駆動し、バットレス組立体(100、110)がステープル(190)によって同じ組織層(T
1、T
2)に固定される順序を示す。具体的に言えば、
図3Aは、アンビル(60)とステープルカートリッジ(170)との間に位置付けられた組織層(T
1、T
2)を示し、アンビル(60)は開放位置にある。示されるように、アンビル(60)は、ステープル成形ポケット(64)を含む。バットレス組立体(100)は、接着剤によってアンビル(60)の下面(65)に接着され、バットレス組立体(110)は、接着剤によってステープルカートリッジ(170)のデッキ(73)に接着される。このようにして、組織層(T
1、T
2)は、バットレス組立体(100、110)の間に介在する。次に、エンドエフェクタ(40)が閉鎖されて、
図17Bに示すようにアンビル(60)を閉鎖位置に駆動する。この段階で、組織層(T
1、T
2)がアンビル(60)とステープルカートリッジ(170)との間で圧縮され、バットレス組立体(100、110)は、組織層(T
1、T
2)の対向する表面を係合する。次いで、エンドエフェクタ(40)が作動し、それによってステープルドライバ(75)は、バットレス組立体(100、110)及び組織(T
1、T
2)を通してステープル(190)を駆動する。
図17Cに示すように、駆動されたステープル(190)のクラウン部(92)は、バットレス組立体(110)を捕捉し、組織層(T
2)に対してバットレス組立体(110)を保持する。ステープル(190)の変形した脚部(94)は、バットレス組立体(100)を捕捉し、組織層(T
1)に対してバットレス組立体(100)を保持する。
【0067】
一連のステープル(190)が同様にバットレス組立体(100、110)を捕捉し、組織層(T
1、T
2)に対してバットレス組立体(100、110)を保持し、それによって、
図18に示すように、バットレス組立体(100、110)が組織(T
1、T
2)に固定されることを理解されたい。ステープル(190)及びバットレス組立体(100、110)が配備された後に、エンドエフェクタ(40)が組織(90)から引き離されるとき、バットレス組立体(100、110)はエンドエフェクタから係合解除され、その結果、バットレス組立体(100、110)は依然としてステープル(190)によって組織(T
1、T
2)に固定される。このようにして、バットレス組立体(100、110)は、ステープル(190)のラインに構造的な補強をもたらす。更に
図18から分かるように、ナイフ部材(図示せず)はエンドエフェクタ(40)を通過し、その際、バットレス組立体(100、110)の中心線も切り開き、それぞれのバットレス組立体(100、110)を対応する一対の断片に分離し、その結果、それぞれの断片は依然として組織(T
1、T
2)の切断されたそれぞれの領域に固定される。
【0068】
前述の実施例では、バットレス組立体(100)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にナイフ部材(図示せず)がバットレス組立体(100)を切り開くように、アンビル(60)の下面(65)の全幅をまたぐようにサイズ決めされる。いくつかの他の実施例では、バットレス組立体(100)は、2つの別々の横断方向に離間した部分として提供され、一方の部分はアンビル(60)の一方の半体にあるアンビル(60)の下面(65)に配設され、もう一方の部分は、アンビル(60)の他方の半体にあるアンビル(60)の下面(65)に配設される。そのような変形形態では、エンドエフェクタ(40)の作動中にナイフ部材(図示せず)がバットレス組立体(100)を切り開くことはない。
【0069】
同様に、バットレス組立体(110)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にナイフ部材(図示せず)がバットレス組立体(110)を切り開くように、デッキ(73)の全幅をまたぐようにサイズ決めされてもよい。あるいは、バットレス組立体(110)は、2つの別個の横断方向に離間した部分で提供されてもよく、一方の部分は、一方の半体にあるデッキ(73)上に配設され、もう一方の部分は他方の半体にあるデッキ(73)上に配設されている。そのような変形形態では、エンドエフェクタ(40)の作動中にナイフ部材(図示せず)がバットレス組立体(110)を切り開くことはない。
【0070】
上記に加えて、本明細書で説明した様々なバットレス組立体のいずれもが、2016年9月29日公開の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許公開第2016/0278774号の教示の少なくとも一部に従って更に構築され動作可能であり得ることも理解されたい。
【0071】
VI.例示的なバットレスアプライヤカートリッジ組立体
場合によっては、
図19に示されるような例示的なバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を使用して、バットレス(714)と共に組織内にステープルを形成するためのバットレス組立体(712)を外科用器具に装備することが望ましいことがある。場合によっては、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、バットレス組立体アプリケータ(710)と称され得る。本明細書で使用するとき、これらの用語は、互換的であると理解されるべきである。バットレス(714)は、形成されたステープルが組織から抜けるのを阻止し、それによって形成されたステープルの部位又はその付近の組織が裂けるリスクを低減する。ステープルのラインに構造的支持及び一体性を提供することに加えて又はそれに代えて、バットレス(714)は、間隔又は間隙の充填、治療薬の投与、及び/又は別の効果などの、様々な他の種類の効果を提供し得る。外科用器具と共に使用される前に、1つ以上のバットレス組立体(712)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)上に解放可能に保持され、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、後述されるように、1つ以上のバットレス組立体(712)を外科用器具のエンドエフェクタ内に置くように構成されている。
【0072】
図19は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)上に解放可能に保持された一対のバットレス組立体(712)を含むバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を示し、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、使用前にバットレス組立体(712)を支持及び保護し、外科用器具(10)(
図1を参照されたい)にバットレス組立体(712)を装填することを更に補助する。本実施例のバットレスアプライヤカートリッジ(716)は、開放端部(718)と閉鎖端部(720)とを含む。開放端部(718)は、限定するものではないが、エンドエフェクタ(12、212、312、412、512、612)を含む、本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかなどのエンドエフェクタを受容するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、開放端部(718)を提示するためにそれぞれ概ね「U」字形状を画定する上側ハウジング(726)及び下側ハウジング(728)を有するハウジング組立体(724)を更に含む。様々な構成要素が、上側ハウジング(726)と下側ハウジング(728)との間に介在する。具体的には、これらの構成要素は、圧縮層(730)とも称されるプラットフォーム(730)を支持するシャーシ(736)を含む。
【0073】
本実施例のプラットフォーム又は圧縮層(730)は、プラットフォーム(730)の一方の側で上側バットレス組立体(712)を支持し、プラットフォーム(730)の他方の側で下側バットレス組立体(712)を支持する。プラットフォーム(730)は、上側及び下側ハウジング(726、728)の「U」字構成のプロングの間に形成された凹部において露出される。このように、上側ハウジング(726)は、プラットフォーム(730)の上面に沿って開放端部(718)まで延在する上側間隙(737)を有し、下側ハウジング(728)は同様に、プラットフォーム(730)の下面に沿って開放端部(718)まで延在する下側間隙(738)を有する。そのような凹部におけるプラットフォーム(730)及びバットレス組立体(712)の配置により、バットレス組立体(712)と手術室内の他のデバイスとの間の偶発的な接触が防止され得る。換言すれば、上側及び下側ハウジング(726、728)は、バットレス組立体がプラットフォーム(730)上に保持されている間に、バットレス組立体(712)のある程度の物理的遮蔽を提供し得る。
【0074】
バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)の以下の実施例に適用可能なように、追加の機構が組み合わされてもよい。かかる機構は、本件と同日に出願された「Adhesive Distribution on Buttress for Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8634USNP.0663974]、本件と同日に出願された「Configuration of Buttress for Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8635USNP.0663976]、本件と同日に出願された「Surgical Stapler Buttress with Tissue In-Growth Promotion」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8636USNP.0663978]、本件と同日に出願された「Packaging for Surgical Stapler Buttress」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8638USNP.0663983]、本件と同日に出願された「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Compression Layer Pocket Feature」と題する米国特許出願[代理人整理番号END9075USNP1.0714570]、本件と同日に出願された「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Proximal Alignment Feature」と題する米国特許出願[代理人整理番号END9073USNP1.0714572]、本件と同日に出願された「Method of Applying Buttresses to Surgically Cut and Stapled Sites」と題する米国特許出願[代理人整理番号END9071USNP1.0714576]、本件と同日に出願された「Applicator for Surgical Stapler Buttress」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8639USDP.0663985]、本件と同日に出願された「Buttress For Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8640USDP.0663994]、本件と同日に出願された「Tray for Surgical Stapler Buttress Applicator」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8641USDP.0663996]、本件と同日に出願された「Applicator for a Surgical Stapler Buttress」と題する米国特許出願[代理人整理番号END9080USDP1.0714568]、及び本件と同日に出願された「Buttress Assembly for a Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END9081USDP1.0714566]に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
A.例示的なバットレス組立体
図19に関して、上側及び下側バットレス組立体(712)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)上に保持された上側及び下側バットレス組立体(712)の相対位置を除いて、構造的に同一である。このように、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、外科用器具(10)及び外科用器具(10)と組み合わされ得るそのそれぞれのエンドエフェクタと共に、2つ以上の配向で使用され得る。上側バットレス組立体(712)の以下の説明は、それぞれの配向を除いて、下側バットレス組立体(712)に同様に適用されることが理解されよう。
【0076】
上側バットレス組立体(712)は、バットレス(714)及び上側接着層(742)を含む。本実施例のバットレス(714)は、より具体的には、集合的に強力であるが、ステープルのラインを支持するために可撓性を保つように、2つの外層間に挟まれたコア層を含む3層のポリマー構造を有する。本実施例では、コア層はポリグラクチン910材であり、これは、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey,New Jersey)によりVICRYLとして製造販売されているが、それぞれの外層はポリジオキサノン(PDO)フィルム材である。本実施例のバットレス(714)は、所定の圧力、所定の温度、及び所定の時間で、外層間にコア層を積層することによって形成される。バットレス(714)は、更に機械的にサイズに合わせて切断され、それによって、敏感な組織を損傷し得るバリ及び/又は層間剥離などの研磨縁部を阻止する。レーザ切断又はホットナイフ切断など、バットレス(714)を切断する代替方法が同様に使用されてもよいことが理解されよう。
【0077】
あくまでも更なる例として、それぞれのバットレス(714)は、Gunze Limited(Kyoto,Japan)によるNEOVEIL吸収性PGAフェルト、W.L.Gore & Associates,Inc.(Flagstaff,Arizona)によるSEAMGUARDポリグリコール酸:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)補強材、Baxter Healthcare Corporation(Deerfield,Illinois)によるPERI-STRIPS DRY with VERITAS Collagen Matrix(PSDV)補強材、Cook Medical(Bloomington,Indiana)によるBIODESIGN生物学的移植片材料、及び/又は、Ethicon,Inc.(Somerville,New JerseySURGICEL)によるNU-KNIT止血材料のうちの1つ以上を含み得る。それぞれのバットレス(714)を形成するために使用され得る更に他の好適な材料は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0078】
追加的にあるいは代替的に、それぞれのバットレス(714)は、例えば、血液を凝固させるのを支援し、かつ組織に沿って切断及び/又はステープル留めされた手術部位における出血を低減するために、フィブリンなどの止血剤を含む材料を含み得る。別の単なる例示的な実施例として、それぞれのバットレス(714)が、血液を凝固させ、かつ手術部位における出血量を低減させることを補助し得るように、それぞれのバットレス(714)は、他の添加剤を含んでもよく、又はトロンビンなどの止血剤が使用されてもよい。それぞれのバットレス(714)に組み入れられ得る他の添加剤又は試薬として、限定するものではないが、薬液又はマトリックス成分が更に挙げられ得る。それぞれのバットレス(714)を形成するために使用され得る材料、並びにそれぞれのバットレス(714)の中に別様に組み入れられ得る材料の単なる説明のための例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年9月29日公開の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。
【0079】
あくまで更なる例として、それぞれのバットレス(714)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年11月13日発行の「Tissue Thickness Compensator Comprising Controlled Release and Expansion」と題する米国特許第10,123,798号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月21日公開の「Surgical Instrument and Buttress Material」と題する米国特許出願公開第2013/0068816号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月19日発行の「Surgical Instrument with Fluid Fillable Butress」と題する米国特許第9,999,408号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月26日発行の「Fibrin Pad Matrix with Suspended Heat Activated Beads of Adhesive」と題する米国特許第8,814,025号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年12月2日発行の「Attachment of Surgical Staple Buttress to Cartridge」と題する米国特許第8,899,464号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月15日発行の「Device for Applying Adjunct in Endoscopic Procedure」と題する米国特許第9,492,170号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年4月7日発行の「Resistive Heated Surgical Staple Cartridge with Phase Change Sealant」と題する米国特許第8,998,060号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年7月19日発行の「Surgical Staple Assembly with Hemostatic Feature」と題する米国特許第9,393,018号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月11日発行の「Surgical Staple Cartridge with Self-Dispensing Staple Buttress」と題する米国特許第9,101,359号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月1日発行の「Anvil Cartridge for Surgical Fastening Device」と題する米国特許第9,198,644号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月28日公開の「Adjunct Therapy for Applying Hemostatic Agent」と題する米国特許出願公開第2013/0075447号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月15日発行の「Tissue Thickness Compensator Comprising a Plurality of Medicaments」と題する米国特許第9,211,120号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月10日公開の「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」と題する米国特許出願公開第2015/0351758号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月23日公開の「Implantable Layers for a Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2017/0049444号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日公開の「Drug Eluting Adjuncts and Methods of Using Drug Eluting Adjuncts」と題する米国特許出願公開第2017/0055986号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日公開の「Compressible Adjunct with Crossing Spacer Fibers」と題する米国特許出願公開第2017/0086837号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日公開の「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」と題する米国特許出願公開第2017/0086842号の教示の少なくともいくつかに従って構築され得る。
【0080】
更に、バットレス(714)は、内側縁部が切断された組織に隣接するように、バットレス(714)の近位部分から、バットレス(714)の中間部分に沿って、更にバットレス(714)の遠位部分を通って、ナイフ(図示せず)によって切断されように構成されている。バットレス(714)は、長手方向に延在するプレカットスリット(744)を更に含み、プレカットスリット(744)は、ナイフ(図示せず)を受容し、内側縁部がそれに沿って形成しながら、バットレス(714)の外側部分を分離するのを補助するように構成されている。
【0081】
上側接着層(742)は、バットレス(714)を本明細書に記載されるエンドエフェクタ内に接着するために、バットレス(714)の外側層上に提供される。バットレス(714)の接着は、限定するものではないが感圧性接着剤を含む多様な機序を通じて生じ得る。感圧性接着剤の場合、接着は、少なくとも所定の最小の力を加えたときに生じる。いくつかの変形形態では、それぞれの接着層(742)が感圧性接着剤材料を含む。接着層(742)を形成するために使用され得る様々な好適な材料の例が、2016年9月29日公開の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。本実施例に示されるように、接着層(742)は、一旦エンドエフェクタに適用されると、寿命を延ばすために、連続した外側封止部を形成するために適用される。
【0082】
本明細書で用いられる「接着剤」という用語は、粘着性の材料、更には、柔軟又は蝋様であり、変形及び適合によって複雑な幾何学的形状にも接着する材料を包含し得る(ただし、それらに限定はされない)ことを理解されたい。いくつかの適切な接着剤は、不可避的に高度な初期粘着性を与えることなく、変形及び適合によって複雑な幾何学的形状にも接着するように、そのような柔軟性を与え得る。いくつかの事例では、粘着性の低い接着剤は、表面からよりきれいに除去され得る。接着層(742)を形成するために使用され得る様々な好適な材料が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0083】
B.例示的なバットレスアプライヤカートリッジ
図20に示すように、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、プラットフォーム(730)を支持するシャーシ(736)、並びに内部空間(750)を画定するように接続するように構成されたハウジング組立体(724)の上側及び下側ハウジング(726、728)を含む。左上アクチュエータスレッド(752)及び右上アクチュエータスレッド(754)は、内部空間(750)内の上面シャーシ(736)に移動可能に接続され、一方、左下アクチュエータスレッド(752)及び右下アクチュエータスレッド(754)は、内部空間(750)内のシャーシ(736)の下面に移動可能に接続される。右上及び左上アクチュエータスレッド(752、754)は、拘束位置で上側バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)上に保持するが、本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかなどのエンドエフェクタ上に上側バットレス組立体(712)を置くために、拘束位置から解放位置へと移動するように構成されている。同様に、右下及び左下アクチュエータスレッド(752、754)は、拘束位置で下側バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)上に保持するが、本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかなどのエンドエフェクタ上に下側バットレス組立体(712)を置くために、拘束位置から解放位置へと移動するように構成されている。本実施例では、左アクチュエータスレッド(752)は、以下でより詳細に述べる理由から、右アクチュエータスレッド(754)とは異なる。また、右上及び右下アクチュエータスレッド(752)は、互いに構造的に同一であり、左上及び左下アクチュエータスレッド(754)は、互いに構造的に同一である。したがって、上側及び下側アクチュエータスレッド(752、754)は、この点で互換的であり、一対の上側アクチュエータスレッド(752、754)を対象とした、本明細書に含まれるいずれの考察も、一対の下側アクチュエータスレッド(752、754)に同様に適用可能である。
【0084】
それぞれのアクチュエータスレッド(752、754)は、バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)に選択的かつ解放可能に固定するために横断方向内側に延在する一対のアーム(755a、755b)を含む。アーム(755a、755b)はまた、
図15及び
図16のアプリケータ(200)に関して上述した保持機構(204)と同様に、保持機構又は保持部材とも称され得る。具体的には、
図20は、バットレス組立体(712)がアーム(755a、755b)の自由端とプラットフォーム(730)との間に介在するように位置付けられたアーム(755a、755b)を示す。アーム(755a、755b)は、アーム(755a、755b)がバットレス組立体(712)から係合解除され、それによってバットレス組立体(712)がプラットフォーム(730)から取り外されることを可能にするように、横断方向外側に移動可能である。本実施例では、アーム(755a、755b)は、拘束位置でバットレス組立体(712)に突き当たり、それによってバットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)に対して挟み込むように構成されている。アーム(755a、755b)がバットレス組立体(712)と係合し得る他の好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0085】
シャーシ(736)は、上側及び下側ハウジング(726、728)と協働して、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の構成要素を移動させるための機械的土台をなし、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の構成要素を構造的に支持するように構成されている。シャーシ(736)は、ハウジング組立体(724)の両側に露出する一体型把持機構(756)を更に含む。把持機構(756)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の使用中に操作者がバットレスアプライヤカートリッジ(716)を把持することを促進するように構成された幾何学的表面形状を有している。把持機構(756)に対して用いられ得る様々な好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。同様に、把持機構(756)に適用され得る様々な表面処理(例えば、エラストマー材など)は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0086】
図21に関して、プラットフォーム(730)は、シャーシ(736)に接続され、シャーシ(736)によって支持されて、プラットフォーム(730)を上側及び下側ハウジング(726、728)に対して固定する。本実施例では、プラットフォーム(730)は一体的に形成され、フレーム(760)を含み、金型固定のための材料の重なりを提供するように構成された複数の孔(762、764、766)を画定する剛性ウェブ部分(758)に成形される。孔(762、764、766)は、より具体的には、フレーム(760)を通って延在する上側スロット(762)及び中央スロット(764)、並びにスロット(762、764)を中心として横断方向に離間した複数の貫通孔(766)を含む。フレーム(760)はまた、ブリッジ部分(768)において中央スロット(764)をわたって横断方向に延在して、以下でより詳細に述べるように、弾性変形のために十分な隙間をプラットフォーム(730)に提供しつつ、付加的な構造剛性をシャーシ(736)に提供する。これにより、スロット(762、764)及び貫通孔(766)は、弾性のエラストマー材料を受容して、材料をプラットフォーム(730)として形成し、シャーシ(736)に固定する。本プラットフォーム(730)はシャーシ(736)に成形されているが、プラットフォーム(730)は、代替的にシャーシ(736)に固定されてもよく、したがって、プラットフォーム(730)のシャーシ(736)への取り付けは、本明細書に記載されるように特定の剛性ウェブ部分(758)及び成形に限定されることを意図するものではないことが理解されよう。プラットフォーム(730)を形成するために使用され得る種々の好適な材料及び構造的構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0087】
シャーシ(736)は、シャーシ(736)の対向する外側部上の一対の列に配置された複数のスレッドクリアランス孔(770)を更に含む。左右のアクチュエータスレッド(752、754)は、そのようなスレッドクリアランス孔(770)を介してシャーシ(736)の両側で接続され、接続された対で一緒に内側に摺動する。左右のアクチュエータスレッド(752、754)の接続及び作動に関する更なる詳細については、以下でより詳細に述べる。しかしながら、左右のアクチュエータスレッド(752、754)の締結用クリアランスを提供するために、シャーシ(736)を貫通する任意のそのような孔が使用されてもよく、本発明は、本明細書に述べるように、スレッドクリアランス穴(70)に不必要に限定されることを意図するものではないことが理解されよう。
【0088】
i.バットレス組立体を支持するための例示的な変化する剛性のプラットフォーム
図22~
図24は、パッド(772)及びそこから横断方向に延在する周辺領域(774)を含むような、プラットフォーム(730)の一実施例を更に詳細に示す。周辺領域(774)は、フレーム(760)内に位置付けられ、貫通孔(766)内に延在して、パッド(772)をシャーシ(736)に固定する。いくつかの変形形態では、プラットフォーム(730)は、高い摩擦係数をもたらす材料から形成され、それにより、そうでない場合には、バットレス組立体(712)がプラットフォーム(730)の対応する表面に沿って摺動することを余儀なくさせ得る、いかなる傾向も低減される。例えば、プラットフォーム(730)は、固定部(774)及びパッド(772)として形成されるように成形される、シリコーンなどの弾性エラストマー材料を含んでもよい。シリコーン材料の一例は、30デュロメータ、ショアAシリコーンである。この目的のために、パッド(772)は、以下でより詳細に述べるように、平行キャンバ配向、オーバーキャンバ配向、及びアンダーキャンバ配向を収容しながら、接着のための少なくとも既定の最小力の十分な反力を同時に提供するように、その長手方向の長さに沿って変化する剛性で形成される。本明細書で使用するとき、用語「平行キャンバ配向」は、エンドエフェクタの上側ジョー及び下側ジョーが互いに機能的に平行であることを指す。用語「オーバーキャンバ配向」は、エンドエフェクタの上側ジョーが、エンドエフェクタの下側ジョーに対して過剰に回転することを指す。用語「アンダーキャンバ配向」は、上側ジョーがエンドエフェクタの下側ジョーに対して回転不足であることを指す。
【0089】
図22及び
図23に関して、パッド(772)の弾性近位端(778)は、近位端剛性及び近位の横断方向深さを有し、一方、パッド(772)の弾性遠位端(780)は遠位端剛性及び遠位の横断方向深さを有する。本実施例では、近位端剛性は、一般に遠位端剛性より大きく、そのため、遠位端(780)の初期圧縮は、近位端(778)の圧縮より小さい圧縮力を必要とする。当然ながら、近位端(778)に対する遠位端(780)の更なる圧縮により、オーバーキャンバ配向のエンドエフェクタを収容するために遠位端(780)のより小さい剛性が内部に含まれている限り、遠位端剛性は近位端剛性まで増大するか、又は更には近位端剛性を超える結果となり得る。
【0090】
加えて、遠位の横断方向深さは、近位の横断方向深さよりも大きい。これにより、より大きい遠位の横断方向深さは、アンダーキャンバ配向のエンドエフェクタとの係合改善のためにバットレス組立体(712)を効果的に下支えするが、減少した遠位端剛性により、オーバーキャンバ配向のエンドエフェクタを収容するためのより大きな圧縮が可能になる。本実施例のパッド(772)は、パッド(772)の長手方向全長に沿った平行キャンバ配向、オーバーキャンバ配向、及びアンダーキャンバ配向を収容するため、遠位端(780)から近位端(778)まで連続的に先細りになっている対向する傾斜面(782)を有する楔形である。いくつかの実施例では、パッド(772)に沿った深さ及び剛性は、エンドエフェクタの決められた製造公差に基づいて、オーバーキャンバ配向からアンダーキャンバ配向の全範囲を受容するように構成されている。
【0091】
図22~
図24に示すパッド(772)は、全体にわたって一貫した剛性を有する弾性材料で一体的に形成される。このように、上述の長手方向に変化するかかる剛性は、少なくとも遠位端(780)において、チャネル(784)などの複数のレリーフを形成して、近位端剛性に対して遠位端剛性を低減することによって生成される。本実施例では、5つのチャネル(784)などのチャネル(784)は、互いに横断方向に均等に離間し、遠位端(780)から近位端(778)まで長手方向に延在する。チャネル(784)は、パッド(772)に沿って長手方向に変化するチャネルの深さを更に画定する。より具体的には、上側チャネル(784)は、上側傾斜面(782)から上側ベース面(786)まで横断方向下向きに延在し、一方下側チャネル(784)は、下側傾斜面(782)から下側ベース面(786)まで横断方向上向きに延在する。次いで、複数のリブ(788)がチャネル(784)の間に画定され、同様に、傾斜面(782)からベース面(786)まで延在してバットレス組立体(712)を支持し、パッド(772)の両側で近位端(778)から遠位端(780)まで変化する剛性を有する。
【0092】
ii.変化する剛性のプラットフォーム上にバットレス組立体を保持するための例示的な拘束機構
図20及び
図25~
図28は、バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)に拘束位置で解放可能に固定するために、上で簡潔に述べた左右のアクチュエータスレッド(752、754)などの拘束機構を示す。左右のアクチュエータスレッド(752、754)のそれぞれは、パッド(772)の長手方向長さに沿って変化する横断方向深さを収容するように構成されたアーム(755a、755b)を有する。より具体的には、アーム(755a、755b)は、互いから長手方向に離間し、プラットフォーム(730)に向かって横断方向内側に延在する遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)を含む。左右のアクチュエータスレッド(752、754)のそれぞれの遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)は、遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)のそれぞれが、横断方向に他のアーム(755a、755b)からオフセットされるように、プラットフォーム(730)に向かって横断方向に延在する。これにより、遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)は、傾斜面(782)から横断方向に離間して、傾斜面(782)の輪郭をたどる。
【0093】
図25及び
図26に関して、左上アクチュエータスレッド(752)は、長手方向に延在する左上スレッド本体(790)を有し、遠位及び近位アーム(755a、755b)は、右に向かって横断方向内側に延在する。左アクチュエータスレッド(752)のそれぞれのアーム(755a、755b)は、左アクチュエータスレッド(752)を解放位置に向かって付勢するためにエンドエフェクタを受容するように構成されたカム表面(791)を有する。加えて、ダボ孔(792)が下向きに開いており、左上スレッド本体(790)の一部分にそれぞれ位置付けられている。ダボ(794)は、左スレッド本体(790)から下向きに延在し、外側のダボ孔(792)と長手方向に位置合わせされる。拘束位置及び解放位置にある左上アクチュエータスレッド(752)の動きを停止させるために、遠位カンチレバーキャッチ(796)が、左上スレッド本体(790)の遠位部分から左側へ横断方向に延在し、近位カンチレバーキャッチ(798)が、左上スレッド本体(790)の近位部分から左側へ横断方向に延在する。遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)はそれぞれ、以下でより詳細に述べる遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)の一部である。
【0094】
図27及び
図28に関して、右上アクチュエータスレッド(754)は、長手方向に延在する右上スレッド本体(804)を有し、遠位及び近位アーム(755a、755b)は、左に向かって横断方向内側に延在する。右アクチュエータスレッド(754)のそれぞれのアーム(755a、755b)は、左アクチュエータスレッド(752)を解放位置に向かって付勢するためにエンドエフェクタを受容するように構成されたカム表面(805)を有する。加えて、ダボ孔(806)が下向きに開いており、右上スレッド本体(804)に位置付けられている。ダボ(808)は、右スレッド本体(804)から下向きに延在し、内側のダボ孔(806)と長手方向に位置合わせされる。拘束位置及び解放位置にある右上アクチュエータスレッド(754)の動きを停止するために、別の遠位カンチレバーキャッチ(796)が、右上スレッド本体(804)の遠位部分から右側へ横断方向に延在し、別の近位カンチレバーキャッチ(796)が、右上スレッド本体(804)の近位部分から右側へ横断方向に延在する。繰り返すが、遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)はそれぞれ、以下でより詳細に述べる遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)の一部である。
【0095】
図20及び
図29及び
図30は、上で詳細に述べたような、右上及び左上アクチュエータスレッド(752、754)並びに右下及び左下アクチュエータスレッド(752、754)を示す。上で簡潔に述べたように、右上及び左上アクチュエータスレッド(752、754)の説明は、同様の数を有する同様の機構を備えるが、逆の横断方向(例えば、下方、上向きなど)を有する右下及び左下アクチュエータスレッド(752、754)に同様に適用される。この目的のため、左上のアクチュエータスレッド(752)及び右下のアクチュエータスレッド(754)は、シャーシ(736)が間に位置付けられた状態で、外側ダボ(808)が外側ダボ孔(792)にスナップ嵌めされ、内側ダボ(794)が内側ダボ穴(806)内にスナップ嵌めされて接続される。右上のアクチュエータスレッド(754)及び左下のアクチュエータスレッド(752)は同様に、シャーシ(736)が間に位置付けられた状態で、外側ダボ(808)が外側ダボ孔(792)にスナップ嵌めされ、内側ダボ(794)が内側ダボ穴(806)内にスナップ嵌めされて接続される。内側ダボ及び外側ダボ(794、808)のそれぞれは、スレッドクリアランス孔(770)を通って延在して、左右のアクチュエータスレッド(752、754)をシャーシ(736)に摺動可能に接続する。
【0096】
図30は、それぞれ、プラットフォーム(730)が間に位置付けられ、対向する傾斜面(782)をたどる、一対の遠位アーム(755a)及び一対の近位アーム(755b)の一例を示す。
図12には、プラットフォーム(730)の中核を通ってバットレスアプライヤカートリッジ(716)の上部及び下部を二分する中心面(810)が示されている。遠位アーム(755a)は、中心面(810)から比較的大きい距離で横断方向にオフセットされた遠位保持表面(812a)を有し、近位アーム(755b)は、中心面(810)から比較的小さい距離で横断方向にオフセットされた近位保持表面(812b)を有する。これにより、遠位及び近位保持面(812a、812b)の大きい距離及び小さい距離が、パッド(772)の遠位端(780)からパッド(772)の近位端(778)まで先細りになる傾斜面(782)をたどる。このように、遠位及び近位保持表面(812a、812b)は、互いから及び中心面(810)から横断方向にオフセットされる。本実施例では、遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)のそれぞれは、アーム(755a、755b)がパッド(772)の遠位端(780)からパッド(772)の近位端(778)まで先細りになる傾斜面(782)を等しくたどるように、傾斜面(782)から等しい横断寸法で横断方向に離間している。
【0097】
図31~
図33に示されるように、左右のアクチュエータスレッド(752、754)は、本明細書で述べるように、プラットフォーム(730)上のバットレス組立体(712)からアーム(755a、755b)を係合解除するため、拘束位置から、プラットフォームから離れる解放位置へと外向きにそれぞれ付勢される。より具体的には、遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、左右のアクチュエータスレッド(752、754)をシャーシ(736)に解放可能に接続して、拘束位置及び解放位置における左右のアクチュエータスレッド(752、754)の動きを停止させる。遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、上で完結に述べたように、左右のアクチュエータスレッド(752、754)のそれぞれから延在する遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)を含む。加えて、遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)とそれぞれ係合する、シャーシ(736)から延在する遠位及び近位グラウンドカム(814、816)をそれぞれ更に含む。
【0098】
図31に示される拘束位置では、それぞれの遠位カンチレバーキャッチ(796)は、それぞれの遠位グラウンドカム(814)とそれぞれ係合し、それぞれの近位カンチレバーキャッチ(798)は、それぞれの近位グラウンドカム(816)とそれぞれ係合して、左右のアクチュエータスレッド(752、754)を拘束位置に向かって内側に付勢する。
図32に示されるように、左右のアクチュエータスレッド(752、754)を拘束位置から解放位置に向かって外側に方向付けると、遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)が遠位及び近位グラウンドカム(814、816)に追従するにつれ、遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)は弾性的に偏向する。遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)が遠位及び近位グラウンドカム(814、816)の周りを通過すると、遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)は転換点に到達し、遠位及び近位カンチレバーキャッチ(796、798)は、左右のアクチュエータスレッド(752、754)を
図33に示される解放位置へと付勢する。解放位置では、それぞれの遠位カンチレバーキャッチ(796)は、それぞれの遠位グラウンドカム(814)とそれぞれに係合し、それぞれの近位カンチレバーキャッチ(798)は、それぞれの近位グラウンドカム(816)とそれぞれに係合して、左右のアクチュエータスレッド(752、754)を解放位置に向かって外側に付勢する。これにより、遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、左右のアクチュエータスレッド(752、754)を解放位置に効果的に保持して、本明細書で述べるようなエンドエフェクタの取り外し時に、アーム(755a、755b)が誤って内側に戻り、バットレス組立体(712)を捕捉することを阻止する。
【0099】
iii.外科用ステープラへのバットレスの例示的な接着及び組織を有するバットレス組立体の切断
上述したように、上側及び下側バットレス組立体(712)は、それぞれのバットレス(714)をエンドエフェクタのステープルカートリッジのアンビル及びデッキの下面に接着するための上側及び下側接着層(742)(又は他の形態の接着剤材料)を含む。そのような接着剤は、エンドエフェクタの作動前及び作動中におけるバットレス(714)の適切な位置付けをもたらし、次いで、バットレス(714)のその後の適切な機能を損なうのに実質的に十分な損傷をバットレス(714)に引き起こすことなく、エンドエフェクタが作動した後に、バットレス(714)をエンドエフェクタから分離させることを可能にし得る。バットレス組立体(712)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された「Adhesive Distribution on Buttress for Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END8634USNP.0663974]に記載された教示を更に取り入れてもよい。
【0100】
あくまで例であり、限定するものではないが、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を使用して、
図15~
図18に関して示され、記載されるように、エンドエフェクタ(40)と共にバットレス組立体(712)を適用することができる。そのような場合には、バットレス組立体(712)は、バットレス組立体(100、110)に関する記載と同じ方法で、エンドエフェクタ(40)に取り付けられる。更に、本明細書に記載される他のエンドエフェクタは、エンドエフェクタ(40)の代わりに使用することができ、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を使用してバットレス組立体(712)をそれらのエンドエフェクタのいずれかに適用することができる。図示及び上述されるように、様々なエンドエフェクタは、真っ直ぐな構成、アンビルが剛性の屈曲若しくは湾曲先端部を含む屈曲若しくは湾曲先端構成、又はアンビルが変形可能な屈曲若しくは湾曲先端部を含む屈曲若しくは湾曲先端構成を有してもよい。以下で更に記載されるように、これらの異なる構成にもかかわらず、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、任意のかかる構成のエンドエフェクタと共に使用されるために構成されている。更に、上記のように、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、平行キャンバ配向、オーバーキャンバ配向、及びアンダーキャンバ配向を含む、エンドエフェクタの代替キャンバ配向を収容するように構成されている。上記のように、パッド(772)は、エンドエフェクタがオーバーキャンバ配向、アンダーキャンバ配向、又は平行キャンバ配向に構成されているかどうかにかかわらず、バットレス(714)の接着層(742)がエンドエフェクタの関連部分にそれらの長手方向長さに沿って完全に又は少なくとも実質的に接触して、バットレス(712)をエンドエフェクタに接着させるように、十分な圧縮を提供する。
【0101】
iv.湾曲先端のエンドエフェクタを収容する例示的な開口機構
図19~
図33に示されるようなバットレスアプライヤカートリッジ(716)を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の別の機構が、アンビルの一部、又は更にはカートリッジの一部であり得る屈曲又は湾曲先端部を有するエンドエフェクタを含む、様々なエンドエフェクタと共に使用されるバットレスアプライヤカートリッジ(716)の能力に関連している。この点について、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は開口部(701)を含む。開口部(701)は、エンドエフェクタの一部分が、上部又は上面から底部又は下面へとバットレスアプライヤカートリッジ(716)を通過し得る空間又は空隙として構成される。以下に更に記載されるように、湾曲先端部を有するエンドエフェクタと共に使用されるとき、開口部(701)は、開口部(701)を通過する湾曲先端部と共にエンドエフェクタのジョーが閉鎖されることを可能にし、その結果、エンドエフェクタの上側ジョー及び下側ジョーは、少なくとも、上側ジョー及び下側ジョーがその長手方向全長に沿って、又は少なくとも実質的にその長手方向の長さに沿ってバットレス組立体(712)に接触する点まで閉鎖し得る。同時に、開口部(701)が、真っ直ぐな先端設計のエンドエフェクタの使用の妨げ又は邪魔になることはない。
【0102】
ここで
図19及び
図29~
図33を参照すると、本実施例の開口部(701)は、開口部(701)の遠位部分及び開口部(701)の外側部に沿ったシャーシ(736)によって画定される。更に、開口部は、開口部(701)の近位部分に沿ったプラットフォーム(730)によって画定される。したがって、本実施例では、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の複数の構造又は構成要素が組み合わされて開口部(701)を画定する。いくつかの他の変形形態では、開口部(701)は、より少ない、追加の、又は他の構成要素によって画定されてもよい。また、本実施例では、開口部(701)は、開口部(701)がU字形開口部を含むように、シャーシ(736)及びプラットフォーム(730)によって画定される。代替の開口形状を提供するように開口部(701)を画定する他の方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0103】
図34及び
図35を参照すると、エンドエフェクタ(912)と共に使用されたバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)が示されている。エンドエフェクタ(912)は、上述のエンドエフェクタ(12、40)と同様に、真っ直ぐな先端構成を含む。エンドエフェクタ(912)は、ステープルカートリッジ(937)を保持するアンビル(918)及びジョー(916)を含む。
図34に示されるように、エンドエフェクタ(912)がバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)内に位置付けられ、閉鎖されると、開口部(701)は、プラットフォーム(730)の他方の側のカートリッジ(937)の一部を露出させる。これは、エンドエフェクタ(912)が閉鎖されたときにカートリッジ(937)がアンビル(918)と比較して更に遠位に延在するように、エンドエフェクタ(912)が構成されている本実施例に当てはまる。
図35に示されるように、この構成における他方の側の図は、開口部(701)がカートリッジ(937)の遠位部分によって視覚的に遮断されていることを示す。それでもなお、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、とりわけ、本明細書に記載されるエンドエフェクタ(12、40、912)などの真っ直ぐな先端のエンドエフェクタと共に使用されるために構成される。
【0104】
図36及び
図37を参照すると、エンドエフェクタ(1012)と共に使用されたバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)が示されている。エンドエフェクタ(1012)は、上述したエンドエフェクタ(212、312、412、512、612)と同様の屈曲又は湾曲先端構成を含む。エンドエフェクタ(1012)は、ステープルカートリッジ(1037)を保持するアンビル(1018)及びジョー(1016)を含む。
図36に示されるように、エンドエフェクタ(1012)がバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)内に位置付けられ、閉鎖されると、開口部(701)は、プラットフォーム(730)の他方の側のカートリッジ(1037)の一部を露出させる。これは、エンドエフェクタ(912)が閉鎖され、プラットフォーム(730)と接触しているときに、カートリッジ(1037)がアンビル(918)と比較して更に遠位に延在するように、エンドエフェクタ(1012)が構成されている本実施例に当てはまる。
図37に示されるように、エンドエフェクタ(1012)が閉鎖され、プラットフォーム(730)に接触している状態で、アンビル(1018)の湾曲先端部(1014)は、カートリッジ(1037)に向かって延在する開口部(701)を通過する。本実施例では、湾曲先端部(1014)は、一部の変形形態では剛性であり、他の変形形態では変形可能である。湾曲先端部(1014)のいずれかの構成において、開口部(701)を有するバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、バットレス組立体(712)をエンドエフェクタ(1012)に装填するときに、湾曲先端部(1014)が開口部(701)を通って延在するように、アンビル(1018)及び湾曲先端部(1014)を収容する。
【0105】
v.湾曲先端のエンドエフェクタを収容する開口部のための例示的な遠位位置合わせ機構
上記のように、開口部(701)は、開口部(701)の遠位端及び開口部(701)の外側部に沿ってシャーシ(736)によって部分的に画定される。このようにして、シャーシ(736)は、例えば、
図19及び
図21に見られるような縁部(703)を含む。縁部(703)は、開口部(701)の外周の一部分に沿ってU字形状に延在し、それによって開口部(701)を部分的に画定する。
【0106】
図38を参照すると、開口部(701)は、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)など、エンドエフェクタの湾曲先端部を開口部(701)の中へ及び開口部(701)に通して方向付けるように構成されている位置合わせ機構(705)を含む。湾曲先端部を方向付けることに加えて、位置合わせ機構(705)は、バットレス組立体(712)及びエンドエフェクタのジョーが、バットレス組立体(712)に対して中心をとる又は実質的に中心をとるエンドエフェクタのジョーと平行又は実質的に平行な配向に位置合わせされるように、エンドエフェクタをバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)に対して位置合わせするのを補助する。この配向では、バットレス組立体(712)は、エンドエフェクタ及びバットレス組立体(712)の両方が共通の長手方向軸を共有するように、エンドエフェクタに接着され得る。
【0107】
図38に示すように、一実施例では、位置合わせ機構(705)は、開口部(701)の縁部(703)によって画定される。位置合わせ機構(705)は、シャーシ(736)の厚さの中心に収束する先細表面を含む。更に、位置合わせ機構(705)の先細表面は、エンドエフェクタのジョーがそれらに接触するとき、ジョーが開口部(701)の中心に向けられるように配向又は傾斜される。上記のように、この方向付け及び位置合わせの動作は、エンドエフェクタの湾曲先端部を位置合わせするだけでなく、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)に対するエンドエフェクタ全体の位置合わせを促進する。更に、位置合わせ機構(705)によって促進されるこの位置合わせの動作は、エンドエフェクタを閉鎖位置に移動させてクランプし、プラットフォーム(730)に接触させて、最終的にバットレス組立体(712)をエンドエフェクタに取り付けるときに、湾曲先端が開口部(701)を通って更に延在する、エンドエフェクタのクランプ中に生じる。
【0108】
いくつかの変形形態では、開口部(701)は、エンドエフェクタの湾曲先端部の最大幅よりも狭くなるようにサイズ決めされる。例として、エンドエフェクタ(1012)は、湾曲先端部(1014)を備えたアンビル(1018)を有する。湾曲先端部(1014)は、
図36に示すように近位に延在するにつれて徐々に幅広になる。そのため、このような例では、開口部(701)は、湾曲先端部(1014)の最も幅広の部分よりも狭くなる。エンドエフェクタ(1012)が閉鎖され、プラットフォーム(730)上にクランプされると、湾曲先端部(1014)は開口部(701)の縁部(703)に接触する。これにより、次いで、位置合わせ機構(705)は、エンドエフェクタ(1012)に接着するためにプラットフォーム(730)上に保持されたバットレス組立体(712)と位置合わせされるように、湾曲先端部(1014)及びエンドエフェクタ(1012)を誘導する又は方向付ける。バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)と共に使用されることができる開口部(701)、縁部(703)、及び位置合わせ機構(705)の様々なサイズ及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0109】
図39及び
図40を参照すると、別の例示的な位置合わせ機構(707)が示されている。位置合わせ機構(707)は、
図40に示されるように、シャーシ(736)と接続するように構成される。位置合わせ機構(707)は、シャーシ(736)から取り外し可能及び/又はシャーシ(736)と交換可能であるように構成され得る。しかしながら、他の変形形態では、位置合わせ機構(707)はシャーシ(736)に恒久的に取り付けられ得る。本実施例では、シャーシ(736)は、位置合わせ機構(707)の一対の穴(711)と係合するように構成された一対の支柱(709)を含む。シャーシ(736)は、支柱(709)から近位に位置する一対のガイド(713)を更に含む。ガイド(713)はそれぞれ、
図40に示すように、位置合わせ機構(707)の一対の横方向アーム(715)のうちの1つのアームの端部を受容するように構成されている。
【0110】
本実施例では、位置合わせ機構(707)のアーム(715)は、弾性的に付勢され、かつ自己中心合わせするように構成されている。このようにして、アーム(715)は、エンドエフェクタがプラットフォーム(730)上にクランプされる際に外側に偏向するように構成される。アーム(715)のこの偏向は、位置合わせ機構(707)が、様々なサイズ及び湾曲先端形状を有するエンドエフェクタと共に使用されることを可能にする。更に、それらの弾性的な付勢により、アーム(715)は、エンドエフェクタの湾曲先端部分を、開口部(701)に対して中心をとった配向に誘導するように構成されている。いくつかの他の変形形態では、アーム(715)及び位置合わせ機構(707)は、以下で更に記載されるように、アーム(715)が剛性であり、ゆえにエンドエフェクタのクランプ力を受けて偏向しないように構成され、なお依然として、位置合わせ機構(707)とエンドエフェクタの湾曲先端部との相互作用によってエンドエフェクタの誘導及び中心合わせを提供し得るように、エンドエフェクタの特定のサイズ又はサイズ範囲に合わせてサイズ決めされる。
【0111】
位置合わせ機構(707)のアーム(715)は、エンドエフェクタのジョーと接触し、相互作用するか又は係合するように構成された先細表面(717)を更に含み、それにより、エンドエフェクタのジョーがそれらの先細表面と接触したとき、ジョーは開口部(701)の中心に向かって方向付けられるか又は誘導される。位置合わせ機構(707)のこの方向付け及び位置合わせの動作は、エンドエフェクタの湾曲先端部を位置合わせするだけでなく、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)に対するエンドエフェクタ全体の位置合わせを促進する。
【0112】
開口部(701)及び湾曲先端のエンドエフェクタでは、湾曲先端部が開口部(701)を通って更に延在するとき、位置合わせ機構(707)によって促進される位置合わせ動作が生じる。例として、エンドエフェクタ(212、512、612)は、先細側面(241、541、641)を有する湾曲先端部を備えたそれぞれのアンビル(218、518、618)を有する。エンドエフェクタ(212、512、612)がとりわけ、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)と共に使用される場合、エンドエフェクタ(212、512、612)をプラットフォーム(730)上にクランプするときに、位置合わせ機構(707)の先細表面(717)は、エンドエフェクタ(212、512、612)の湾曲先端に接触し、エンドエフェクタ(212、512、612)がプラットフォーム(730)上にクランプされると、エンドエフェクタ(212、512、612)の先細側面(241、541、641)に更に接触する。この接触又は係合により、位置合わせ機構(707)は、エンドエフェクタ(212、512、612)が、エンドエフェクタ(212、512、612)に最終的に接着するためにプラットフォーム(730)上に保持されたバットレス組立体(712)と位置合わせされるように、エンドエフェクタ(212、512、612)の湾曲先端部を誘導するか又は方向付ける。バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)と共に使用され得る位置合わせ機構(707)のアーム(715)の他の構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0113】
図41及び
図42を参照すると、別の例示的な位置合わせ機構(719)がアンビル位置合わせリブとして示されている。位置合わせ機構(719)は、
図41に示されるように、シャーシ(736)と接続するように構成される。本実施例では、位置合わせ機構(719)は、シャーシ(736)に固定されるか、又はシャーシ(736)と共に形成されるように構成されている。しかしながら、他の変形形態では、位置合わせ機構(719)は、シャーシ(736)に選択的に取り付けられ得る。本実施例では、位置合わせ機構(719)は、開口部(701)にわたって横断方向に延在し、端部(721、723)は、開口部(701)のそれぞれの側でシャーシ(736)に接続している。位置合わせ機構(719)は、開口部(701)に対して近位から遠位に更に延在し、中心部分(725)は最も遠位に位置し、それぞれの側部(727、729)と接続している。このようにして、位置合わせ機構(719)は、近位から遠位に延在するにつれて先細りになる。更に、中心部分(725)は、側部(727、729)と最終的に接続する湾曲部分(731、733)を含む。この構成により、位置合わせ機構(719)は、開口部(701)を横切って近位から遠位に延在するにつれて、間隔の非線形な減少を画定する。
【0114】
位置合わせ機構(719)はまた、側部(727、729)及び中心部分(725)に沿って延在する先細表面(735)を含む。このようにして、位置合わせ機構(719)の先細表面(735)は、近位から遠位に延在する。更に、先細表面(735)は、
図41及び
図42に示されるように、エンドエフェクタ(1012)がプラットフォーム(730)上にクランプされると、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)の先細側面と接触するように構成されている。これにより、最終的に、湾曲先端部(1014)及びエンドエフェクタ(1012)が開口部(701)と中心合わせされるように誘導され、最終的にバットレス組立体(712)がプラットフォーム(730)上に保持される。上記のように、位置合わせ機構(719)の位置合わせ及び誘導は、上述の他の位置合わせ機構と同様に作用し、プラットフォーム(730)上のエンドエフェクタのクランプ動作が、エンドエフェクタの湾曲先端部及びその先細側面と、位置合わせ機構(719)及びその先細表面(735)との接触又は係合を促進して、エンドエフェクタをプラットフォーム(730)上に保持されたバットレス組立体(712)と中心合わせ及び位置合わせする。バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)又は他のかかるバットレスアプリケータと共に使用される1つ以上の位置合わせ機構の他の構成は、位置合わせ機構の上の説明及び実施例を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0115】
VII.湾曲先端のエンドエフェクタを収容するための遠位開口部及び位置合わせ機構を有する例示的な代替のバットレスアプライヤカートリッジ
バットレスアプライヤカートリッジの他の変形形態では、上述の開口部(701)と同様の代替の開口部をバットレスアプライヤカートリッジに組み込み、湾曲先端部を有するエンドエフェクタを収容することができる。
図43~
図45を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(1110)が示されており、これは、図示及び上述されているバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)と同様である。その範囲において、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)に関する上記の教示は、後述される以下の相違点を除いて、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(1110)に等しく適用される。
【0116】
バットレスアプライヤカートリッジ組立体(1110)は、上側ハウジング(726)及び下側ハウジング(728)を有するハウジング組立体(724)を有するバットレスアプライヤカートリッジ(1116)を含む。バットレスアプライヤカートリッジ(1116)は、シャーシ(1136)及びプラットフォーム(1130)を更に含む。本実施例では、ハウジング組立体(724)は、
図44及び
図45に示されるように、エンドエフェクタ(1012)などのエンドエフェクタを収容するように構成されたチャネル(1103)を画定する。
図43で最も良く分かるように、プラットフォーム(1130)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)に関して上述された方法と同様に、バットレス組立体(712)を保持するように構成されている。本実施例では、プラットフォーム(1130)は、チャネル(1103)によって画定される空間又は領域がプラットフォーム(1130)によって包囲されるように、近位から遠位に延在する。プラットフォーム(1130)は、プラットフォーム(1130)内の孔又は切り抜きによって画定される開口部(1101)を更に含む。このようにして、開口部(1101)はプラットフォーム(1130)内に形成され、プラットフォーム(1130)によって全側面に画定される。上述の開口部(701)と同様に、開口部(1101)は、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)又は別の同様のエンドエフェクタがプラットフォーム(1130)及びシャーシ(1136)を通過することを可能にするように構成されている。このようにして、湾曲先端部(1014)は、組み合わされたシャーシ(1136)及びプラットフォーム(1130)の一方の側から他方の側まで横断方向に延在する。開口部(1101)は、湾曲先端部(1014)に対してオーバーサイズになるか、湾曲先端部(1014)に対してアンダーサイズになるか、又は湾曲先端部(1014)と等しい若しくは実質的に等しいサイズになるように構成され得る。いくつかの事例では、プラットフォーム(1130)は弾性材料を含み、そのため、例えば湾曲先端部(1014)が開口部(1101)を通って延在し、開口部(1101)の側面を押圧するときに、プラットフォーム(1130)によって画定された開口部(1101)は拡張可能になる。開口部(1101)の他の構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0117】
開口部(1101)に加えて、プラットフォーム(730)と同様に、プラットフォーム(1130)は、プラットフォーム(1130)の近位部分と比較して、開口部(1101)の近位にあるその遠位部分でより厚くなるように構成されている。このようにして、プラットフォーム(1130)は、その遠位部分からその近位部分への先細りを含む。本実施例におけるプラットフォーム(1130)はまた、その近位端に位置する留めぐつわ(1132)を含む。留めぐつわ(1132)は、エンドエフェクタ(1012)がプラットフォーム(1130)上に意図的にクランプされる前に、エンドエフェクタ(1012)のジョーによるプラットフォーム(1130)及びバットレス組立体(712)の不注意な又は早期の把持を防止するように構成されている。換言すれば、留めぐつわ(1132)は、エンドエフェクタ(1012)をクランプする前に、エンドエフェクタ(1012)の第1及び第2のジョーとプラットフォーム(103)及びバットレス組立体(712)との早期の実質的な接触を防止するように構成されている。
図45に示されるように、留めぐつわ(1132)はプラットフォーム(1130)と同様に圧縮可能であり、エンドエフェクタ(1012)がクランプされると、留めぐつわ(1132)は圧縮され、エンドエフェクタ(1012)のジョーがプラットフォーム(1130)を把持し、バットレス組立体(712)を持ち上げることを防止しなくなる。
【0118】
図43を参照すると、チャネル(1103)は、外側部(734)によって画定される遠位部分(732)を含む。示されるように、遠位部分(732)は、外側部(734)が遠位部分(732)の最遠位端に収束するように、近位から遠位への先細りを含む。したがって、外側部(734)は、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)を開口部(1101)の中心線に向かって誘導して、エンドエフェクタ(1012)をプラットフォーム(1130)上に保持されたバットレス組立体(712)に位置合わせするように構成されている。上記のように、先細表面は、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)の誘導を更に容易にするために、外側部(734)上に含まれてもよい。バットレスアプライヤカートリッジ(1116)に組み込まれ得る外側部(734)以外の追加又は他の位置合わせ機構は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0119】
VIII.変形可能な湾曲先端のエンドエフェクタを収容するための例示的な代替のバットレスアプライヤカートリッジ
バットレスアプライヤカートリッジの他の変形形態では、バットレスアプライヤカートリッジは、湾曲先端のエンドエフェクタであって、湾曲先端部が変形可能であるエンドエフェクタと共に使用されるために構成されてもよい。このような例では、開口部(701)又は開口部(1101)のような開口部が使用されてもよいが、開口部は省略されてもよい。
図46~
図48を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(1210)が示されており、これは、図示及び上述されているバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)と同様である。その範囲において、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)に関する上記の教示は、後述される以下の相違点を除いて、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(1210)に等しく適用される。
【0120】
バットレスアプライヤカートリッジ組立体(1210)は、上側ハウジング(726)及び下側ハウジング(728)を有するハウジング組立体(724)を有するバットレスアプライヤカートリッジ(1216)を含む。バットレスアプライヤカートリッジ(1216)は、シャーシ(1236)及びプラットフォーム(1230)を更に含む。本実施例では、ハウジング組立体(724)は、
図46~
図48に示されるように、エンドエフェクタ(1312)などのエンドエフェクタを収容するように構成されたチャネル(1203)を画定する。
図46及び
図47で最も良く分かるように、プラットフォーム(1230)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)に関して上述された方法と同様に、バットレス組立体(712)を保持するように構成されている。本実施例では、プラットフォーム(1230)は、チャネル(1203)によって画定される空間又は領域がプラットフォーム(1230)によって包囲されるように、近位から遠位に延在する。本実施例では、プラットフォーム(1230)は、エンドエフェクタ(1312)の湾曲先端部(1314)がプラットフォーム(1230)を通過することができないように、連続した表面であるか又は少なくとも実質的に連続的である。プラットフォーム(1230)は、近位端部分(1278)及び遠位端部分(1280)を含む。遠位端部分(1280)から更に遠位に延在するプラットフォーム(1230)は、接触部分(1282)を含む。プラットフォーム(730)と同様に、プラットフォーム(1230)は、近位端部分(1278)よりも遠位端部分(1280)において圧縮可能かつより厚くなるように構成される。このようにして、プラットフォーム(1230)は、遠位端部分(1280)から近位端部分(1278)への先細りを含む。
【0121】
図46を参照すると、エンドエフェクタ(1312)は、バットレスアプライヤカートリッジ(1216)のチャネル(1203)内に示されるが、非クランプ状態又は開放状態にある。示されるように、湾曲先端部(1314)がクランプ力なしに接触部分(1282)に触れると、湾曲先端部(1314)は変形せず、エンドエフェクタ(1312)のジョーはバットレス組立体(712)に接触しないままとなる。
図47を参照すると、エンドエフェクタ(1312)がクランプされると、変形可能な湾曲先端部(1314)の場合、湾曲先端部(1314)は変形して、偏向するか又は真っ直ぐになる。この変形は、湾曲先端部(1314)が、他のバットレスアプライヤカートリッジに関して上述したように開口部を通過する代わりに、プラットフォーム(1230)の接触部分(1282)に接触するか又は触れるために生じる。湾曲先端部(1314)の変形により、エンドエフェクタ(1312)のプラットフォーム(1230)への十分なクランプ動作が可能になり、エンドエフェクタ(1312)のジョーがバットレス組立体(712)と接触し、それによってバットレス組立体がエンドエフェクタ(1312)のジョーに適用される。
図47のクランプ状態で示されるように、本実施例では、プラットフォーム(1230)の中心部分(1282)は、偏向可能であるように構成されている。このようにして、接触部分(1282)は弾性であり、エンドエフェクタ(1312)からクランプ力を受けていないときに真っ直ぐなままであるように弾力性がある。他の変形形態では、中心部分(1282)は偏向可能でなくてもよい。しかしながら、接触部分(1282)が偏向可能である場合には、接触部分(1282)のある程度の偏向は、湾曲先端部(1314)とエンドエフェクタ(1312)のアンビルの残部との接続部に対する応力を低減し得る。
【0122】
図48を参照すると、エンドエフェクタ(1312)は、
図47のようにクランプされた状態で示されている。示されるように、変形可能な湾曲先端部(1314)は、その変形状態で、エンドエフェクタ(1312)の残部の幅に対して外側にわずかに拡大される。更に、ハウジング組立体(724)のチャネル(1203)の遠位端を画定する縁部(1205)は、エンドエフェクタ(1312)がクランプされたときにハウジング組立体(724)がその変形した状態の湾曲先端部(1314)よりもわずかに大きくなるようにサイズ決めされる。したがって、これにより、バットレス組立体(712)をエンドエフェクタ(1312)のジョーに移動させるために、エンドエフェクタ(1312)をプラットフォーム(1230)上に完全にクランプすることが実現され得るように、十分な隙間又は空間が提供される。変形可能な湾曲した先端のエンドエフェクタと共に使用されるためにバットレスアプライヤカートリッジ(1216)を構成する他の方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0123】
本明細書に記載される様々なバットレスアプライヤカートリッジは、本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかと共に使用されてもよい。例として、限定するものではないが、湾曲先端部を有するエンドエフェクタと協働する及び/又はそれを収容するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジの機構によって、バットレスアプライヤカートリッジは、湾曲先端部のための様々なスタイル及び構成を有するエンドエフェクタと共に使用されるのに好適なものとなっている。例えば、湾曲先端のエンドエフェクタのための機構を有する本明細書に記載されるバットレスアプライヤカートリッジは、湾曲先端部が徐々に湾曲され得るエンドエフェクタ、又は湾曲先端部が、緩やかな曲線ではなくより角度の付いた又は屈曲した構成を有するように、湾曲先端部がアンビルの軸に対して位置合わせされていない又は角度があり得るエンドエフェクトと共に使用され得る。また、本明細書に記載される湾曲先端部を有するエンドエフェクタを収容する機構を有するバットレスアプライヤカートリッジは、湾曲先端分がカートリッジの遠位端から離間しているか、又はカートリッジの遠位端と同じ若しくは類似の点で終端するエンドエフェクタと共に使用され得るか又は使用するために構成され得る。また、本明細書に記載される湾曲先端部を有するエンドエフェクタを収容するための機構を有するバットレスアプライヤカートリッジは、非外傷性先端部、解剖用先端部、可視化先端部、配置先端部、偏向可能又は変形可能な先端、及びこれらの組み合わせなどの異なる使用又は適用のために構成された湾曲先端部を有するエンドエフェクタと共に使用され得るか又は使用されるように構成され得る。本明細書に記載されるエンドエフェクタと協働するように本明細書に記載されるバットレスアプライヤカートリッジを構成する他の方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0124】
IX.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0125】
バットレスアプライヤカートリッジは、1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、1つ以上のバットレス組立体を、エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうちの選択された1つ以上に適用するために更に構成されている。エンドエフェクタの第1のジョーはアンビルを含み、エンドエフェクタの第2のジョーはステープルカートリッジを含む。バットレスアプライヤカートリッジは、(a)長手方向に延在する開口部を画定するシャーシであって、開口部はエンドエフェクタを受容するように構成されている、シャーシと、(b)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、シャーシに動作可能に接続されたプラットフォームであって、プラットフォームは、その上に1つ以上のバットレス組立体を支持し、プラットフォームは、近位部分から遠位部分へと厚さが増す、プラットフォームと、(c)シャーシ及びプラットフォームの第1の側から、シャーシ及びプラットフォームの第1の側の反対側にあるシャーシ及びプラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、開口部は、エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、湾曲先端部の少なくとも一部分がシャーシ及びプラットフォームの第1の側からシャーシ及びプラットフォームの第2の側まで延在することを可能にするようにサイズ決めされ、構成されている、開口部と、を備える。
【実施例2】
【0126】
プラットフォームは圧縮可能である、実施例1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例3】
【0127】
プラットフォームは、遠位プラットフォーム部分から近位プラットフォーム部分に向かって連続的に先細りになっている、実施例1~実施例2のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例4】
【0128】
エンドエフェクタを、プラットフォーム上に支持されるように構成された1つ以上のバットレス組立体と位置合わせするように、エンドエフェクタの湾曲先端部を誘導するように構成された、1つ以上の位置合わせ機構を更に備える、実施例1~実施例3のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例5】
【0129】
エンドエフェクタをプラットフォーム上にクランプすることにより、エンドエフェクタの湾曲先端部を1つ以上の位置合わせ機構に接触させて、エンドエフェクタを1つ以上のバットレス組立体と位置合わせする、実施例1~実施例4のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例6】
【0130】
1つ以上の位置合わせ機構が開口部の縁部上に位置している、実施例1~実施例5のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例7】
【0131】
エンドエフェクタを収容するように構成されたチャネルを画定するハウジング組立体を更に備え、チャネルは、外側部によって画定される遠位端を含み、1つ以上の位置合わせ機構が外側部上に位置している、実施例1~実施例6のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例8】
【0132】
1つ以上の位置合わせ機構が、近位から遠位への間隔の非線形な減少を含む、実施例1~実施例7のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例9】
【0133】
1つ以上の位置合わせ機構が、シャーシと共に形成されるか、又はシャーシと接続されている、実施例1~実施例8のうちのいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例10】
【0134】
1つ以上の位置合わせ機構が、一対の弾性的に付勢された自己中心合わせ型横断向アームを含む、実施例1~実施例9のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例11】
【0135】
1つ以上の位置合わせ機構が、エンドエフェクタがプラットフォーム上にクランプされたときに、エンドエフェクタの湾曲先端部の先細側面と接触するように構成されている先細表面を含む、実施例1~実施例10のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例12】
【0136】
位置合わせ機構の先細表面が近位から遠位に延在する、実施例1~実施例11のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例13】
【0137】
開口部がプラットフォーム内に形成されている、実施例1~実施例12のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例14】
【0138】
開口部がプラットフォームとシャーシとの間の空間によって画定されている、実施例1~実施例12のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例15】
【0139】
接着剤が、1つ以上のバットレス組立体をエンドエフェクタに選択的に取り付ける、実施例1~実施例14のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例16】
【0140】
エンドエフェクタの湾曲先端部が解剖用先端部である、実施例1~実施例15のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例17】
【0141】
移動可能なスレッドを更に備え、移動可能なスレッドはそれぞれ、エンドエフェクタによって接触されて、プラットフォームに対して横方向に移動可能なスレッドを駆動し、エンドエフェクタに適用するために1つ以上のバットレス組立体を解放するために構成された一対のアームを含む、実施例1~実施例16のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例18】
【0142】
プラットフォームが近位部分に沿った留めぐつわを含み、留めぐつわは、エンドエフェクタをクランプする前の、エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーとプラットフォームとの早期の実質的接触を防止するように構成されている、実施例1~実施例17のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例19】
【0143】
バットレスアプライヤカートリッジ組立体は、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されるために構成されている。バットレスアプライヤカートリッジ組立体は、(a)バットレスアプライヤカートリッジであって、(i)開口部がエンドエフェクタを受容するように構成されるように、長手方向に延在する開口部を画定するシャーシと、(ii)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、シャーシに動作可能に接続されたプラットフォームと、(iii)シャーシ及びプラットフォームの第1の側から、シャーシ及びプラットフォームの第1の側の反対側にあるシャーシ及びプラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、開口部は、エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、湾曲先端部の少なくとも一部分がシャーシ及びプラットフォームの第1の側からシャーシ及びプラットフォームの第2の側まで延在することを可能にするように構成されている、開口部と、(iv)エンドエフェクタがその長手方向の長さに沿ってプラットフォームに対して実質的に中心合わせされるように、エンドエフェクタがプラットフォーム上にクランプされている間に、エンドエフェクタの湾曲先端部を誘導するように構成された位置合わせ機構と、を含む、バットレスアプライヤカートリッジと、(b)バットレス組立体であって、(i)プラットフォームによって支持されるバットレスと、(ii)バットレスの表面に位置する接着剤であって、接着剤は、エンドエフェクタをプラットフォーム上にクランプするときに、バットレス組立体をエンドエフェクタのジョーに選択的に接着するように構成されている、接着剤と、を含む、バットレス組立体と、を備える。
【実施例20】
【0144】
バットレスアプライヤカートリッジは、1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、湾曲した変形可能な先端部を有する外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、1つ以上のバットレス組立体を、エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうちの選択された1つ以上に適用するために更に構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、(a)チャネルがエンドエフェクタを受容するように構成されるように、長手方向に延在するチャネルを画定するハウジングであって、ハウジングは、湾曲した変形可能な先端部が拡張状態にあるときに、湾曲した変形可能な先端部を収容するように構成された遠位空間を更に画定する、ハウジングと、(b)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、ハウジングに直接的又は間接的に動作可能に接続されたプラットフォームであって、(i)プラットフォームは、その上に1つ以上のバットレス組立体を支持し、(ii)プラットフォームは、近位部分から遠位部分へと厚さが増し、(iii)プラットフォームは、エンドエフェクタからクランプ力を受けたときに圧縮可能であり、(iv)プラットフォームは、エンドエフェクタからクランプ力を受けたときに、遠位プラットフォーム部分に沿って変形可能である、プラットフォームと、を備える。
【0145】
X.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0146】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月18日発行の「Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題する米国特許第D836,198号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許第D836,198号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0147】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年11月6日発行の「Circular Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題する米国特許第D833,010号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許第D833,010号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0148】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年8月23日公開の「Surgical Staple with Insertable Distal Anvil Tip」と題する米国特許出願公開第2018/0235610号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願公開第2018/0235610号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0149】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月23日公開の「Surgical Staple with Cooperating Distal Tip Features on Anvil and Staple Cartridge」と題する米国特許出願公開第2018/0235611号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願公開第2018/0235611号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0150】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月18日発行の「Surgical Staple with Bent Avnil Tip and Angled Staple Cartridge Tip」と題する米国特許出願第D836,199号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許第D836,199号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0151】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月23日公開の「Surgical Staple with Bent Avnil Tip,Angled Staple Cartridge Tip,and Tissue Gripping Features」と題する米国特許出願公開第2018/0235619号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願公開第2018/0235619号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0152】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年7月16日出願の「Method of Surgical Stapling with End Effectors Having a Curved Tip」と題する米国特許出願第16/035,893号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第16/035,893号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0153】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0154】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示が、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わされ得ることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日発行の「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する米国特許第5,817,084号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年3月2日発行の「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する米国特許第5,878,193号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月15日発行の「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する米国特許第6,231,565号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月2日発行の「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する米国特許第6,364,888号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日発行の「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する米国特許第7,524,320号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月6日発行の「Platform Link Wrist Mechanism」と題する米国特許第7,691,098号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月5日発行の「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年9月30日発行の「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する米国特許第8,844,789号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年9月2日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Force-Feedback Capabilities」と題する米国特許第8,820,605号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年12月31日発行の「Shiftable Drive Interface for Robotically-Controlled Surgical Tool」と題する米国特許第8,616,431号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年11月5日発行の「Surgical Stapling Instruments with Cam-Driven Staple Deployment Arrangements」と題する米国特許第8,573,461号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年12月10日発行の「Robotically-Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する米国特許第8,602,288号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題する米国特許第9,301,759号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年8月12日発行の「Robotically Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する、米国特許第8,573,465号。
【0155】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は手技の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0156】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0157】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0158】
〔実施の態様〕
(1) 1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、前記バットレスアプライヤカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、前記1つ以上のバットレス組立体を、前記エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうちの選択された1つ以上に適用するために更に構成されており、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーはアンビルを含み、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーはステープルカートリッジを含み、前記バットレスアプライヤカートリッジは、
(a)長手方向に延在する開口部を画定するシャーシであって、前記開口部は前記エンドエフェクタを受容するように構成されている、シャーシと、
(b)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、前記シャーシに動作可能に接続されたプラットフォームであって、前記プラットフォームは、その上に前記1つ以上のバットレス組立体を支持するように構成され、前記プラットフォームは、前記近位部分から前記遠位部分へと厚さが増す、プラットフォームと、
(c)前記シャーシ及び前記プラットフォームの第1の側から、前記シャーシ及び前記プラットフォームの前記第1の側の反対側にある前記シャーシ及び前記プラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、前記開口部は、前記エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、前記湾曲先端部の少なくとも一部分が前記シャーシ及び前記プラットフォームの前記第1の側から前記シャーシ及び前記プラットフォームの前記第2の側まで延在することを可能にするようにサイズ決めされ、構成されている、開口部と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ。
(2) 前記プラットフォームは圧縮可能である、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(3) 前記プラットフォームは、前記遠位プラットフォーム部分から前記近位プラットフォーム部分に向かって連続的に先細りになっている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ組立体。
(4) 前記エンドエフェクタを、前記プラットフォーム上に支持されるように構成された前記1つ以上のバットレス組立体と位置合わせするように、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部を誘導するように構成された、1つ以上の位置合わせ機構を更に備える、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(5) 前記エンドエフェクタを前記プラットフォーム上にクランプすることにより、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部を前記1つ以上の位置合わせ機構に接触させて、前記エンドエフェクタを前記1つ以上のバットレス組立体と位置合わせする、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【0159】
(6) 前記1つ以上の位置合わせ機構が前記開口部の縁部上に位置している、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(7) 前記エンドエフェクタを収容するように構成されたチャネルを画定するハウジング組立体を更に備え、前記チャネルは、外側部によって画定される遠位端を含み、前記1つ以上の位置合わせ機構は前記外側部上に位置している、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(8) 前記1つ以上の位置合わせ機構が、近位から遠位への間隔の非線形な減少を含む、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(9) 前記1つ以上の位置合わせ機構が、前記シャーシと共に形成されるか又は前記シャーシと接続されている、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(10) 前記1つ以上の位置合わせ機構が、一対の弾性的に付勢された自己中心合わせ型横方向アームを含む、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【0160】
(11) 前記1つ以上の位置合わせ機構は、前記エンドエフェクタが前記プラットフォーム上にクランプされたときに、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部の先細側面と接触するように構成されている先細表面を含む、実施態様4に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(12) 前記位置合わせ機構の前記先細表面が近位から遠位に延在する、実施態様11に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(13) 前記開口部が前記プラットフォーム内に形成されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(14) 前記開口部が、前記プラットフォームと前記シャーシとの間の空間によって画定されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(15) 接着剤が、前記1つ以上のバットレス組立体を前記エンドエフェクタに選択的に取り付ける、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【0161】
(16) 前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部が解剖用先端部である、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(17) 移動可能なスレッドを更に備え、前記移動可能なスレッドはそれぞれ、前記エンドエフェクタによって接触されて、前記プラットフォームに対して横方向に前記移動可能なスレッドを駆動し、前記エンドエフェクタに適用するために前記1つ以上のバットレス組立体を解放するために構成された一対のアームを含む、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(18) 前記プラットフォームは、前記近位部分に沿った留めぐつわを含み、前記留めぐつわは、前記エンドエフェクタをクランプする前の、前記エンドエフェクタの前記第1のジョー及び前記第2のジョーと前記プラットフォームとの早期の実質的接触を防止するように構成されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(19) 外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されるために構成されたバットレスアプライヤカートリッジ組立体であって、前記バットレスアプライヤカートリッジ組立体は、
(a)バットレスアプライヤカートリッジであって、
(i)長手方向に延在する開口部を画定するシャーシであって、前記開口部が前記エンドエフェクタを受容するように構成されている、シャーシと、
(ii)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、前記シャーシに動作可能に接続されたプラットフォームと、
(iii)前記シャーシ及び前記プラットフォームの第1の側から、前記シャーシ及び前記プラットフォームの前記第1の側の反対側にある前記シャーシ及び前記プラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、前記開口部は、前記エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、前記湾曲先端部の少なくとも一部分が前記シャーシ及び前記プラットフォームの前記第1の側から前記シャーシ及び前記プラットフォームの前記第2の側まで延在することを可能にするようにサイズ決めされ、構成されている、開口部と、
(iv)前記エンドエフェクタがその長手方向の長さに沿って前記プラットフォームに対して実質的に中心合わせされるように、前記エンドエフェクタを前記プラットフォーム上にクランプする間に、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部を誘導するように構成された位置合わせ機構と、を含む、バットレスアプライヤカートリッジと、
(b)バットレス組立体であって、
(i)前記プラットフォームによって支持されるバットレスと、
(ii)前記バットレスの表面に位置する接着剤であって、前記接着剤は、前記エンドエフェクタを前記プラットフォーム上にクランプするときに、前記バットレス組立体を前記エンドエフェクタのジョーに選択的に接着するように構成されている、接着剤と、を含む、バットレス組立体と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ組立体。
(20) 1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、前記バットレスアプライヤカートリッジは、湾曲した変形可能な先端部を有する外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、前記1つ以上のバットレス組立体を前記エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうちの選択された1つ以上に適用するために更に構成されており、前記バットレスアプライヤカートリッジは、
(a)チャネルが前記エンドエフェクタを受容するように構成されるように、長手方向に延在する前記チャネルを画定するハウジングであって、前記ハウジングは、前記湾曲した変形可能な先端部が拡張状態にあるときに、前記湾曲した変形可能な先端部を収容するように構成された遠位空間を更に画定する、ハウジングと、
(b)近位プラットフォーム部分から遠位プラットフォーム部分まで長手方向に延在し、前記ハウジングに動作可能に直接的又は間接的に接続されたプラットフォームであって、
(i)前記プラットフォームは、その上に前記1つ以上のバットレス組立体を支持し、
(ii)前記プラットフォームは、前記近位部分から前記遠位部分へと厚さが増し、
(iii)前記プラットフォームは、前記エンドエフェクタからクランプ力を受けたときに圧縮可能であり、
(iv)前記プラットフォームは、前記エンドエフェクタからクランプ力を受けたときに、前記遠位プラットフォーム部分に沿って偏向可能である、プラットフォームと、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ。