(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】近位位置合わせ機構を備える湾曲先端外科用ステープラバットレス組立体アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021537813
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019060820
(87)【国際公開番号】W WO2020136492
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】リッジリー・パメラ・エム
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゼイナー・マーク・エス
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0055981(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055982(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0120284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、前記バットレスアプライヤカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、前記1つ以上のバットレス組立体を、前記エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうち選択される1つ以上に適用するように更に構成され、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーは
、組織を分離できるように、前記第2のジョーに向かって延在している湾曲先端部を備えるアンビルを備え、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーはステープルカートリッジを備え、前記バットレスアプライヤカートリッジは、
(a)近位端及び遠位端を有するハウジング組立体であって、長手方向に延在し、前記エンドエフェクタを受容するように構成されたチャネルを画定する、ハウジング組立体と、
(b)前記ハウジング組立体と直接的又は間接的に接続可能なプラットフォームであって、前記プラットフォームは前記チャネルによって画定された領域内で
前記長手方向に延在し、前記プラットフォームは前記1つ以上のバットレス組立体をその上で支持するように構成されている、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの
前記第1のジョー側の第1の表面から前記プラットフォームの
前記第2のジョー側の第2の表面まで貫通している開口部であって、
前記アンビルの前記湾曲先端部の少なくとも一部分は、前記開口部を通って、前記プラットフォームの前記第1の表面側から前記プラットフォームの前記第2の表面側に移動でき、これにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに閉鎖状態となり、前記エンドエフェクタの前記第1のジョー及び前記第2のジョーのうちの選択される前記1つ以上が、前記1つ以上のバットレス組立体に接触できるようになっている、開口部と、
(d)位置合わせ機構であって、前記位置合わせ機構は前記プラットフォームと接続可能であり、且つ前記プラットフォーム
の近位に
位置し、
前記位置合わせ機構は、前記長手方向に対する垂直方向である横方向に延在し、前記チャネルの前記横方向の幅にわたって延在し、前記位置合わせ機構は、
前記長手方向および前記横方向により画定される平面に対して垂直な方向に延在し、前記エンドエフェクタ内への組織の挿入を防止する前記エンドエフェクタの組織止めと接触する
ことで、前記エンドエフェクタ
を前記ハウジング組立体によって画定された前記チャネル内
に位置決めさせるように構成されている、位置合わせ機構と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項2】
前記位置合わせ機構は
、前記平面に対して垂直な前記方向において、前記プラットフォームよりも薄い、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項3】
前記位置合わせ機構は前記プラットフォームの近位端と接続する、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項4】
前記位置合わせ機構は、前記プラットフォーム
と単一の部材で形成されている、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項5】
前記プラットフォームは近位部分から遠位部分へと
、前記平面に対して垂直な前記方向における厚さが増加する、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項6】
シャーシを更に備え、前記シャーシは前記ハウジング組立体と接続し、前記プラットフォームは前記シャーシと接続する、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項7】
前記開口部はU字形
貫通孔であり、前記U字形貫通孔のU字形は、近位方向に向かって開放している、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項8】
前記開口部は、前記1つ以上のバットレス組立体が前記プラットフォームによって支持可能な場所の遠位に位置している、請求項1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【請求項9】
組織を分離できるように、第2のジョーに向かって延在している湾曲先端部を備えるアンビルを有する第1のジョー、及び、ステープルカートリッジを有する前記第2のジョーを備えた外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されるように構成されたバットレスアプライヤカートリッジ組立体であって、
(a)
接着剤を備え、前記エンドエフェクタを前記バットレスアプライヤカートリッジ組立体上にクランプするときに、前記エンドエフェクタ
に接着されるように構成されたバットレス組立体と、
(b)前記バットレス組立体
を保持するバットレスアプライヤカートリッジであって、
(i)近位端及び遠位端を有するハウジング組立体であって、長手方向に延在し、前記エンドエフェクタを受容するように構成されたチャネルを画定する、ハウジング組立体と、
(i
i)近位部分から遠位部分まで
前記長手方向に延在するプラットフォームであって、前記バットレス組立体
を支持するように構成され、且つ前記エンドエフェクタを受容するように更に構成された、プラットフォームと、
(ii
i)前記プラットフォームの
前記第1のジョー側の第1の表面から前記プラットフォームの
前記第2のジョー側の第2の表面まで貫通している開口部であって、
前記アンビルの前記湾曲先端部の少なくとも一部分は、前記開口部を通って、前記プラットフォームの前記第1の表面側から前記プラットフォームの前記第2の表面側に移動でき、これにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに閉鎖状態となり、前記バットレス組立体が前記エンドエフェクタに接着されるようになっている、開口部と、
(i
v)前記バットレスアプライヤカートリッジの近位端に位置し、
前記長手方向に対する垂直方向である横方向に延在し、前記チャネルの前記横方向の幅にわたって延在し、前記エンドエフェクタを前記プラットフォーム上でクランプする前に、
前記長手方向および前記横方向により画定される平面に対して垂直な方向に延在する前記エンドエフェクタの近位縁部と接触して、前記エンドエフェクタをクランプする前に、前記エンドエフェクタ
を前記プラットフォームによって支持される前記バットレス組立体と位置合わせするように構成された位置合わせ機構と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジと、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ組立体。
【請求項10】
バットレス適用システムであって、
(a)外科用ステープラ用のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは第1のジョー及び第2のジョーを備え、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーはアンビルを備え、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーはステープルカートリッジを備え、前記
アンビルは
、組織を分離できるように、前記第2のジョーに向かって延在している湾曲先端部
、及び
、長手方向および前記長手方向に対する垂直方向である横方向により画定される平面に対して垂直な方向に延在し、前記エンドエフェクタ内への組織の挿入を防止する1つ以上の組織止めを更に備える、エンドエフェクタと、
(b)それぞれがバットレス及び接着剤を備える一対のバットレス組立体であって、前記一対のバットレス組立体の第1のバットレス組立体は、前記エンドエフェクタの前記第1のジョー
に接着するように構成されており、前記一対のバットレス組立体の第2のバットレス組立体は、前記エンドエフェクタの前記第2のジョー
に接着するように構成されている、
一対のバットレス組立体と、
(c)前記
一対のバットレス組立体
を保持し、且つ前記
一対のバットレス組立体を前記エンドエフェクタに適用するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、
(i)
前記長手方向に延在するチャネルを画定するハウジングであって、前記チャネルは近位端で開放され、前記エンドエフェクタを受容するように構成されている、ハウジングと、
(ii)
前記長手方向に延在し、前記ハウジングに直接的又は間接的に動作可能に接続されたプラットフォームであって、その上に前記
一対のバットレス組立体を支持する、プラットフォームと、
(iii)前記プラットフォームの
前記第1のジョー側の第1の表面から前記プラットフォームの
前記第2のジョー側の第2の表面まで貫通している開口部であって、
前記アンビルの前記湾曲先端部の少なくとも一部分は、前記開口部を通って、前記プラットフォームの前記第1の表面側から前記プラットフォームの前記第2の表面側に移動でき、これにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに閉鎖状態となり、前記第1のバットレス組立体が、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーに接着し、前記第2のバットレス組立体が、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーに接着できるようになっている、開口部と、
(iv)前記プラットフォームと接続可能な位置合わせ機構であって、前記位置合わせ機構は前記プラットフォーム
の近位に
位置し、
前記位置合わせ機構は、前記横方向に延在し、前記チャネルの前記横方向の幅にわたって延在し、前記位置合わせ機構は、前記エンドエフェクタの前記1つ以上の組織止めと接触する
ことで、前記エンドエフェクタを前記ハウジングによって画定された前記チャネル内に位置決めさせるように構成されている、位置合わせ機構と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジと、を備える、バットレス適用システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の状況では、切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療送達デバイス、及び、超音波、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達デバイスなど)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易にし得る。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ又は2つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。例示的に過ぎない外科用ステープラが、1989年2月21日発行の「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する米国特許第4,805,823号、1995年5月16日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日発行の「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日発行の「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日発行の「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日発行の「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許第8,408,439号、及び2013年6月4日発行の「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開腹処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。単に一例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。このような処置では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び処置において使用され得る。
【0004】
開胸術を介した使用に特に好適となり得る外科用ステープラの例が、2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、2018年1月16日発行の「Surgical Instrument with Articulation Lock having a Detenting Binary Spring」と題する米国特許第9,867,615号、2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び2017年11月7日に発行された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号に開示されている。上に引用した米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
更なる外科用ステープル留め器具が、2014年8月12日発行の「Surgical Circular Stapler with Tissue Retention Arrangements」と題する米国特許第8,801,735号、2012年3月27日発行の「Surgical Stapler Comprising a Staple Pocket」と題する米国特許第8,141,762号、2013年2月12日発行の「Surgical End Effector Having Buttress Retention Features」と題する米国特許第8,371,491号)、2017年3月21日発行の「Method and Apparatus for Sealing End-to-End Anastomosis」と題する米国特許第9,597,082号、2016年7月26日発行の「Rotary Powered Surgical Instruments with Multiple Degrees of Freedom」と題する米国特許第9,398,911号、2013年8月15日公開の「Linear Stapler」と題する米国特許出願公開第2013/0206813号、2008年7月17日公開の「Buttress Material for Use with a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2008/0169328号、2017年12月26日発行の「Woven and Fibrous Materials for Reinforcing a Staple Line」と題する米国特許第9,848,871号、2018年4月10日発行の「Devices and Methods for Sealing Staples in Tissue」と題する米国特許第9,936,954号、及び2016年3月31日公開の「Radically Expandable Staple Line」と題する米国特許出願公開第2016/0089146号に開示されている。上に引用した米国特許、米国特許出願公開、及び、米国特許出願それぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
場合によっては、ステープルでもたらされる組織の機械的締結を補強するため、外科用ステープル留め器具がバットレス材を備えることが望ましい場合がある。かかるバットレスは、適用後のステープルが組織から抜けるのを防止でき、本来、ステープルの適用部位又はその付近の組織が裂けるリスクを低減することができる。
【0007】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】例示的な関節動作する外科用ステープル留め器具の斜視図である。
【
図3】
図1の器具の開放されたエンドエフェクタの斜視図である。
【
図4A】発射ビームが近位位置にある、
図3の線4-4に沿って取られた、
図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図4B】発射ビームが遠位位置にある、
図3の線4-4に沿って取られた、
図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図5】
図3の線5-5に沿って取られた、
図3のエンドエフェクタの端面断面図である。
【
図6】
図3のエンドエフェクタの分解斜視図である。
【
図7】組織に位置付けられ、かつ組織内で1回作動された後の、
図3のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図8】角度付けられたアンビル及び角度付けられたカートリッジを有する、エンドエフェクタの代替的変形例の斜視図である。
【
図9】
図8のエンドエフェクタの拡大側面図である。
【
図10】
図8のエンドエフェクタの拡大上面図である。
【
図11】屈曲又は角度付けされた弾性変形可能な先端部分を有するエンドエフェクタを有する例示的な外科用ステープル留め器具の斜視図である。
【
図12B】
図11のものと類似する代替的なエンドエフェクタの遠位部分の拡大側面図である。
【
図13】角度付けされたアンビル及び角度付けされたカートリッジを備えるエンドエフェクタの代替的変形例の斜視図である。
【
図14】角度付けされたアンビル及び角度付けされたカートリッジを備える、エンドエフェクタの代替的変形例の斜視図である。
【
図15】エンドエフェクタがバットレス組立体アプリケータに接近している、例示的な外科用ステープラのエンドエフェクタ及び例示的なバットレス組立体アプリケータの斜視図である。
【
図16】バットレス組立体アプリケータがエンドエフェクタ内に位置決めされた、
図15のエンドエフェクタ及びバットレス組立体アプリケータの斜視図である。
【
図17A】
図15のバットレス組立体がエンドエフェクタに適用され、組織がエンドエフェクタ内のバットレスの間に位置決めされ、アンビルが開放位置にある、
図15のエンドエフェクタの一部分の断面端面図である。
【
図17B】組織がエンドエフェクタのバットレス間に位置決めされ、アンビルが閉鎖位置にある、組み合わされた
図17Aのエンドエフェクタ及びバットレス組立体の断面端面図である。
【
図17C】
図15のエンドエフェクタによって組織に固定されている、
図17Aのステープル及びバットレス組立体の断面図である。
【
図18】
図15のエンドエフェクタによって組織に固定されている、
図17Aのステープル及びバットレス組立体の斜視図である。
【
図19】上部ジョー用のバットレス組立体の実施例と下部ジョー用の別のバットレス組立体の実施例とを担持するバットレス組立体アプリケータの実施例を含む例示的なバットレス組立体アプリケータの斜視図である。
【
図20】一対のバットレス組立体に加えてシャーシ及びプラットフォームを含む
図19のバットレス組立体アプリケータの分解斜視図である。
【
図25】
図20のバットレス組立体アプリケータの左アクチュエータスレッドの上面斜視図である。
【
図26】
図25の左アクチュエータスレッドの底面斜視図である。
【
図27】
図20のバットレス組立体アプリケータの右アクチュエータスレッドの上面斜視図である。
【
図28】
図27の右アクチュエータスレッドの底面斜視図である。
【
図30】
図29の切断線30-30に沿って取られた、
図29のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの断面図である。
【
図31】拘束位置にある
図29のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの上面図である。
【
図32】
図31と同様のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの上面図であるが、拘束位置から解放位置に向けられているアクチュエータスレッドを示している。
【
図33】
図32と同様のシャーシ、プラットフォーム、及びアクチュエータスレッドの上面図であるが、解放位置にあるアクチュエータスレッドを示している。
【
図34】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上部ジョーと下部ジョーとの間に位置決めされた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、外科用器具の例示的なエンドエフェクタの上面図である。
【
図35】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上部ジョーと下部ジョーとの間に位置決めされた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、
図34のエンドエフェクタの底面図である。
【
図36】閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上部ジョーと下部ジョーとの間に位置決めされた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、外科用器具の例示的なエンドエフェクタの上面図である。
【
図37】断面であり、且つ閉鎖位置にあるエンドエフェクタの上部ジョーと下部ジョーとの間に位置決めされた
図19のバットレス組立体アプリケータを示す、
図36のエンドエフェクタの側面図である。
【
図38】外科用ステープラのエンドエフェクタに適用するための1つ以上の例示的なバットレス組立体を担持する別の例示的なバットレス組立体アプリケータの上面図である。
【
図39】クランプする前の、エンドエフェクタがバットレス組立体アプリケータによって画定されたチャネル又は空間内に位置決めされた状態で示される、
図38のバットレス組立体アプリケータの上面図である。
【
図40】エンドエフェクタが位置決めされているがクランプされていない状態で示される、
図39のバットレス組立体アプリケータ及びエンドエフェクタの側面図である。
【
図41】エンドエフェクタが位置決めされ且つクランプされた状態で示される、
図39のバットレス組立体アプリケータ及びエンドエフェクタの側面図である。
【
図42】ハウジング組立体が取り外され、代替的な直線状先端部エンドエフェクタがプラットフォーム上で開口状態で位置決めされてバットレス組立体を保持した状態で示される、
図38のバットレス組立体アプリケータの斜視図である。
【
図43】
図42の組み合わせられたバットレス組立体アプリケータ及びエンドエフェクタの近位部分の拡大斜視図である。
【0009】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0011】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる点も、更に理解されよう。したがって、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0012】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義する。用語「近位」は、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ、外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を指す。用語「遠位」は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を指す。加えて、用語「上部」、「下部」、「側方」、「横断」、「底部」、「頂部」は、以下に提供される図の説明に更なる明瞭性を提供するための相対的な用語である。用語「上部」、「下部」、「側方」、「横断」、「底部」、「頂部」は、したがって、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0013】
加えて、用語「第1の」及び「第2の」は、本明細書では、外科用器具の1つ以上の部分を区別するために使用される。例えば、第1の組立体及び第2の組立体は、代替的にかつそれぞれ、第2の組立体及び第1の組立体として記載されてもよい。用語「第1の」及び「第2の」、並びに他の数字表記は、そのような用語の単なる例示であり、本明細書に記載される発明を不必要に限定することを意図していない。
【0014】
I.例示的な外科用ステープラ
図1~
図7は、外科的処置を行うために、
図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示している。単に一例として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又は他の部位に、このようなトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、開胸又は他の種類の切開によって、器具(10)を直接挿入してもよい。本実施例の器具(10)は、シャフト(22)に接続されたハンドル部分(20)を含む。シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)内で遠位方向に終端し、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位にあるハンドル部分(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」、「水平」、「上側」及び「下側」といった空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0015】
いくつかの変形例では、シャフト(22)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成される。シャフト(22)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0016】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸(LA)から所望の角度(α)に偏向させることができるように、
図1に仮想線で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔的に関節動作させられてもよい。それにより、エンドエフェクタ(12)は、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達するか又は組織に近づくことができる。いくつかの変形例では、関節動作ジョイント(11)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)を偏向させることができる。いくつかの他の変形例では、関節動作ジョイント(11)は、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを偏向させることができる。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)は、本明細書で引用される多数の引用文献のうちのいずれかの教示に従って構成されてもよい。あるいは、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、任意の他の好適な構成を有していてもよい。単に一例示として、関節動作制御部(13)は、代わりに、シャフト(22)の長手方向軸(LA)に直交する軸を中心に回転するノブとして構成されてもよい。
【0017】
いくつかの変形例では、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号の教示のうちの少なくとも一部に従って構築され、かつ動作可能である。関節動作ジョイント(11)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0018】
本実施例のエンドエフェクタ(12)は、下部ジョー(16)及び枢動可能なアンビル(18)を含む。本実施例では、アンビル(18)はまた、上部ジョーと見なすことができる。更に、本実施例などのいくつかの変形例では、上部ジョー又はアンビル(18)は、静止した下部ジョー(16)に対して枢動する。しかしながら、いくつかの他の変形例では、上部ジョー又はアンビル(18)が静止し、下部ジョー(16)が枢動する。一部の変形例では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示の少なくともいくつかに従って、下部ジョー(16)が構築されている。アンビル(18)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号の教示のうち少なくともいくつか、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号の教示のうち少なくともいくつかに従って構築され得る。下部ジョー(16)及びアンビル(18)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0019】
ハンドル部分(20)は、ピストルグリップ(24)及び閉鎖トリガ(26)を含む。閉鎖トリガ(26)は、ピストルグリップ(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下部ジョー(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストルグリップ(24)に対する閉鎖トリガ(26)の枢動に応答して、ハンドル部分(20)に対して長手方向に並進する。閉鎖管(32)はシャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は関節動作ジョイント(11)の遠位に位置決めされる。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)まで長手方向の移動を伝達/伝動するように動作可能である。
【0020】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガ(28)を含む。細長部材(図示せず)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガ(28)の作動に応答してハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射運動を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)のこの遠位並進により、エンドエフェクタ(12)内でクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。その後、トリガ(26、28)を解放し、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0021】
図3~
図6は、数多くの機能を実行するためにEビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。Eビーム形態は、単なる例示としての一例であることを理解されたい。発射ビーム(14)は、非Eビーム形態が挙げられるがこれに限定されない、任意の他の好適な形態をとってもよい。
図4A~
図4Bに最も分かりやすく示されるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上部ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上部ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置決めされ、長手方向アンビルスロット(42)内を並進可能である。発射ビームキャップ(44)は、下部ジョー(16)を通って形成された下部ジョースロット(45)(
図4Bに示す)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下部ジョー(16)の下面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下部ジョー(16)の上面に摺動可能に係合する。これにより、発射ビーム(14)は、発射中に、エンドエフェクタ(12)の間隔を確信的にとる。
【0022】
一部の非Eビーム形態の発射ビーム(14)は、上部ピン(38)、中間ピン(46)、及び/又は発射ビームキャップ(44)が欠けていてもよい。器具(10)のいくつかのこうした変形例は、閉鎖用リング(33)、又はアンビル(18)を閉鎖位置まで枢動させ、発射ビーム(14)が遠位位置へと前進する間はアンビル(18)を閉鎖位置に保持する、何らかの他の機構に単に依存してもよい。あくまで一例として、発射ビーム(14)及び/又は関連するロックアウト特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。発射ビーム(14)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
図3は、近位に位置決めされている本実施例の発射ビーム(14)と、開放位置まで枢動されて、未使用のステープルカートリッジ(37)を下部ジョー(16)のチャネル内に着脱可能に装着できるようにするアンビル(18)と、を示す。
図5~
図6に最も分かりやすく示されるように、この実施例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレイ(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。
図3に最も分かりやすく示されるように、垂直スロット(49)が、ステープルカートリッジ(37)の一部を貫いて形成されている。これも
図3に最も分かりやすく示されるように、3列のステープル開口部(51)が、垂直スロット(49)の一方の側部上の上部デッキ(72)を貫いて形成され、別の3列のステープル開口部(51)の組が、垂直スロット(49)の他方の側部上の上部デッキ(72)を貫いて形成されている。勿論、任意の他の好適なステープルの列数(例えば、2列、4列、その他の列数)が提供されてもよい。再び
図4A~
図6を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)がカートリッジ本体(70)とトレイ(74)との間に捕捉され、ステープルドライバ(43)の近位に楔形スレッド(41)が位置している。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内で長手方向に移動可能であり、一方でステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内で垂直方向に移動可能である。ステープル(47)も、カートリッジ本体(70)内部で、対応するステープルドライバ(43)の上方に位置決めされている。具体的には、各ステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内部で垂直方向に駆動されて、ステープル(47)を、関連するステープル開口部(51)から外へと駆動する。
図4A~
図4B、及び
図6に最も分かりやすく示されるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるとステープルドライバ(43)を上方に付勢する、傾斜したカム面を提示する。
【0024】
一部の変形例では、ステープルカートリッジ(37)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日に発行された「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能である。追加的にあるいは代替的に、ステープルカートリッジ(37)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月7日に発行された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。ステープルカートリッジ(37)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0025】
図4A~
図4Bに示されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態では、続いて発射ビーム(14)は、上部ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(
図5に示す)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、発射トリガー(28)が作動されたとき、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進すると、楔形スレッド(41)がプッシャブロック(80)によって遠位方向に押されるように、楔形スレッド(41)と係合するように構成されている。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。
図4A~
図4Bに示すように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによってステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)を駆動してステープルドライバ(43)と上向きでカム接触させると、ステープル(47)がステープル開口部(51)から外に押し出されて、アンビル(18)の内面上のステープル成形ポケット(53)(
図3に示す)と成形接触する。
図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後で、遠位方向に完全に並進した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、
図4A~
図4Bの図から意図的に省略されているが、ステープル成形ポケット(53)は
図3に示されていることを理解されたい。また、アンビル(18)は、
図5の図から意図的に省略されていることも理解されたい。
【0026】
図7は、組織(90)を通した1回のストロークによって作動されたエンドエフェクタ(12)を示す。図示されるように、切断縁部(48)(
図7では隠されている)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)が作り出した切断線の各側部で、ステープル(47)の3つの交互になる列を組織(90)を通して駆動している。この実施例では、全てのステープル(47)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(47)は、任意の好適な配向で位置決めされ得る点を理解されたい。本実施例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換してから、エンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通して挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の数の切断及びステープル(47)が与えられるまで、このプロセスを繰り返してもよい。トロカールを通した挿入及び抜脱を容易にするにはアンビル(18)を閉鎖する必要があり得、ステープルカートリッジ(37)の交換を容易にするためにはアンビル(18)を開放する必要があり得る。
【0027】
各作動ストロークの間に、ステープル(47)が組織を通して駆動されるのとほぼ同時に、切断縁部(48)が組織を切断することができる点を理解されたい。本実施例では、切断縁部(48)は、ステープル(47)の駆動よりもごくわずかに遅れて進むため、ステープル(47)は、切断縁部(48)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通して駆動されるが、この順序を逆にしてもよい点、又は切断縁部(48)が、隣接するステープルと直接的に同期してもよい点を理解されたい。
図7は、2層(92、94)の組織(90)内で作動されるエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、単一層の組織(90)、又は2層(92、94)を超える組織を通して作動されてもよい点を理解されたい。また、切断縁部(48)によって形成される切断線に隣接するステープル(47)の成形及び位置決めにより、切断線において組織を実質的にシールすることができ、これにより、切断線における出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができる点も理解されたい。更にまた、
図7は、2つの概ね平坦で並置した組織の平面層(92、94)において作動されているエンドエフェクタ(12)を示すが、エンドエフェクタ(12)は、環状構造、例えば血管、消化管のセクションなどにわたって作動され得ることを理解されたい。
図7は、したがって、エンドエフェクタ(12)についての意図された使用におけるなんらかの制限を示すものとして見られるべきではない。器具(10)を使用することができる様々な適当な状況及び処置は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0028】
一変形例では、器具(10)は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。発射ビーム(14)の電動制御を提供するために使用され得る例示的な構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号に示され、説明されている。上記に加えて、又はその代わりに、電動制御の少なくとも一部が、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2012年7月3日発行の「Motor-Driven Surgical Instrument」と題する米国特許第8,210,411号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。上記に加えて又は上記の代わりに、発射ビーム(14)を駆動させるように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,453,914号の教示のうちの少なくともいくつかに従って、及び/又はその開示も参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,453,914号の教示の少なくともいくつかに従って構成され得る。発射ビーム(14)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。いくつかの他の変形例では、モータが省略され得るように発射ビーム(14)の手動駆動が提供されてもよいことも理解されたい。単に一例として、発射ビーム(14)は、本明細書で引用される任意の他の特許/特許公報の引用文献の教示のうちの少なくとも一部に従って作動されてもよい。
【0029】
器具(10)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号に示され記載されるように、ロックアウトスイッチ及びロックアウトインジケータを含み得る。更に、ロックアウトスイッチ及び/又はロックアウト指示(lockout indication)、並びに付随する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2010年1月12日発行の「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題する米国特許第7,644,848号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。
【0030】
また、器具(10)は、「緊急救済(bailout)」機構としての機能を果たし、操作者が、発射ストローク中に、発射ビーム(14)の近位方向への後退を即座に開始することを可能にするように構成された、手動戻りスイッチ(116)を含む。つまり、手動戻りスイッチ(116)は、発射ビーム(14)が部分的にのみ遠位方向に前進した場合、手動で作動できる。手動戻りスイッチ(116)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号の教示のうちの少なくともいくつかに従って更なる機能性を提供し得る。
【0031】
器具(10)の動作を説明する際、「枢動する」という用語(及び「枢動する」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動移動を必要とするものと解釈されるべきではない。いくつかの変形例では、アンビル(18)は、アンビル(18)が下部ジョー(16)に向かって移動すると、細長スロット又はチャネルに沿って摺動するピン(又は同様の機構)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる変形例では、枢軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って並進し、アンビル(18)はその軸を中心に同時に枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿って摺動し、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離を摺動した後に、アンビル(18)が枢軸を中心に枢動してもよい。そのような摺動/並進枢動移動は、「枢動」、「枢動する」、「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含されることを理解されたい。当然のことながら、いくつかの変形例は、固定された状態を維持して、スロット又はチャネルなどの内部を並進しない軸を中心としたアンビル(18)の枢動移動を提供してもよい。
【0032】
器具(10)は、米国特許第4,805,823号、同第5,415,334号、同第5,465,895号、同第5,597,107号、同第5,632,432号、同第5,673,840号、同第5,704,534号、同第5,814,055号、同第6,978,921号、同第7,000,818号、同第7,143,923号、同第7,303,108号、同第7,367,485号、同第7,380,695号、同第7,380,696号、同第7,404,508号、同第7,434,715号、同第7,721,930号、同第8,408,439号、及び/又は同第8,453,914号の教示のいずれかに従って構成され、動作可能であり得ることを理解されたい。上述のように、それらの特許及び公報のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。器具(10)に提供され得る更なる例示的な改変を、以下でより詳細に述べる。以下の教示を器具(10)に組み込むことができる様々な好適な方法が、当業者には明らかになるであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用される特許/公報の様々な教示と組み合わせることができる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示は、本明細書で引用される特許で教示される器具(10)又はデバイスに限定されない点も理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具にも容易に応用可能である。以下の教示を適用することができる他の様々な好適なデバイス及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0033】
II.可視化、引込、及び収集機構を備える例示的エンドエフェクタ
いくつかの例では、ユーザにエンドエフェクタ(12)のより良好な可視化を提供することが望ましい場合がある。具体的には、エンドエフェクタ(12)が手術部位に挿入される際、ユーザは、処置中に器具(10)のシャフト(22)を回転させる場合がある。その結果、エンドエフェクタ(12)もまた回転する。エンドエフェクタ(12)が回転する際、ユーザが手術部位に対する視覚的アクセスを有することが望ましい場合がある。例えば、ユーザは、組織(90)とエンドエフェクタ(12)との間の境界面又は接触面を見ることを望む場合がある。エンドエフェクタ(12)がハンドル部分(20)に対して長手方向軸(LA)を中心に回転できるため、ユーザは、アンビル(18)ではなくエンドエフェクタの下部ジョー(16)が可視となるように、手術部位を見ることができる。あるいは、ユーザがエンドエフェクタ(12)を見るときに、アンビル(18)がユーザに見えるように、エンドエフェクタ(12)が回転されてもよい。
図1の器具(10)で可能であるものを超えた手術部位の視認性をユーザに提供することが望ましい場合がある。例えば、流体を輸送している血管が切開されてステープル留めされる一部の外科的処置の場合、アンビル(18)及び下部ジョー(16)が横切されるべき血管を完全に覆っており、その結果、1回の作動で血管を完全に切開してステープル留めできることを視覚的に確認できることが望ましい場合がある。つまり、ユーザは、血管の一部分のみを切断及びステープル留めすることを回避したいと希望し得る。したがって、アンビル(18)及び下部ジョー(16)が血管を完全にクランプするように、エンドエフェクタ(12)が手術部位内に適切に位置付けられたことがユーザに分かるような、なんらかの視覚的な監視及び/又はフィードバック手段が望ましい場合がある。手術部位を監視する1つの考えられる方法として、下部ジョー(16)及びアンビル(18)の遠位先端部に隣接する区域の可視化を改善することが挙げられ得る。更に、エンドエフェクタ(12)の遠位端の可視化が望ましいだけでなく、アンビル(18)が下部ジョー(16)に向かって閉鎖すると、アンビル(18)の遠位端がアンビル(18)と下部ジョー(16)との間の空間内へと近位方向に組織(例えば、大血管)を付勢するように構成されるように、エンドエフェクタ(12)を構成することが望ましい場合がある。
【0034】
図8は、アンビル(218)及び下部ジョー(216)を備える例示的エンドエフェクタ(212)を示す。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)と一体的に形成されてもよく、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。
【0035】
アンビル(218)は、下部ジョー(216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(218)及び下部ジョー(216)は、
図1に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(212)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部ジョー(216)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(237)を更に備える。
【0036】
図8~
図10で見ることができるように、アンビル(218)は細長い形状を有し、アンビル(218)の遠位部分はカートリッジ(237)に向かって角度付けされている。アンビル(218)の遠位部分は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)がカートリッジ(237)よりも更に遠位長手方向に延在するように、カートリッジ(237)に向かって角度付けされている。しかし、いくつかの変形例では、遠位先端部(219)は、長手方向にカートリッジ(237)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(237)上の最遠位点に対して近位に延在してもよいことが理解されるであろう。更に、アンビル(218)は、緩斜面を通ってカートリッジ(237)に向かって角度をなしている。
図10で最も良く分かるように、アンビル(218)は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)に近づくにつれて先細になる側部(241)を含む。例として、アンビル(218)は、
図8では、反転したスキー先端部と同様に成形されている。アンビル(218)の角度付き形状により、エンドエフェクタ(212)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(218)の緩斜面又は反転スキー先端部形状は、アンビル(218)が組織に接触する際、若しくは組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。こうした非外傷性の組織偏向は、アンビル(218)が下部ジョー(216)に向かって閉鎖する際に、アンビル(218)と下部ジョー(216)との間の空間内へと組織(例えば大血管)を近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(218)の角度付き形状は、エンドエフェクタ(212)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連したエンドエフェクタ(212)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(218)の他の好適な変形は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0037】
カートリッジ(237)は、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを、組織内に駆動するために保持するように動作可能である。
図9に示すように、カートリッジ(237)の遠位端は、三角形の外形を有する。具体的には、カートリッジ(237)の遠位端は、先細上面(239)及び先細下面(238)を備える。加えて、カートリッジ(237)の遠位端は、各側に先細側面(243)を備える。本実施例では、カートリッジ(237)の各先細側面(243)は、アンビル(218)の側部(241)によって提示される先細形状と概ね位置合わせする。したがって、
図10に示すように、カートリッジ(237)の側面(243)は、アンビル(218)の側面(241)を越えてエンドエフェクタ(212)の長手方向軸(LA)から外向きに延在しない。先細上面(239)及び先細下面(238)は、カートリッジ(237)の最遠位端に至る。先細下面(238)は視線(240)を画定し、その結果、エンドエフェクタ(212)が手術部位に一旦挿入されると、ユーザは、視線(240)に沿って見ることができる。視線(240)は、先細下面(238)の縁部に沿って延在する。先細下面(238)の平面形状は、ユーザがアンビル(218)の遠位先端部(219)を可視化する、かつ/又はほぼ可視化するように動作可能であってもよいことが理解されよう。具体的には、視線(240)は、エンドエフェクタ(212)を通って長手方向に延在する長手方向軸(LA)と交差し、視野角(θ)を形成する。
【0038】
視野角(θ)は、ユーザが遠位先端部(219)に対して有する相対的視認性を確立することができる。具体的には、ユーザは、視野角(θ)の範囲内で、視線(240)と長手方向軸(LA)との交点を通過する任意の視線に沿って、遠位先端部(219)を正面から見ることができる。例えば、視野角(θ)が増加すると、ユーザは、近位の観点からの遠位先端部(219)のすぐ前方の領域の視認性が高まり、視野角(θ)が減少すると、ユーザは、近位の観点からの遠位先端部(219)前方の領域の視認性が低下する。一部の変形例においては、視野角(θ)は、90度を超える角度を画定する。加えて、いくつかの変形例では、視野角(θ)は、135度を超える角度を画定する。視野角(θ)の他の好適な角度は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。図示された変形例では、ユーザは、一般に、視線(240)に沿って又は視野角(θ)内のいくつかの他の視線に沿って見るため、ユーザは、視線、及び視野角(θ)内の任意の領域に沿った視認性を有する。遠位先端部(219)の下側は、長手方向軸(LA)と視線(240)との交点の視認性を補助するために更にわずかに丸みを帯びている。
【0039】
組織(90)が、閉鎖されたカートリッジ(237)とアンビル(218)との間にクランプされると、ユーザは、視線(240)に沿って又は視野角(θ)内の他の位置から見て、例えば、アンビル(218)がどこで組織(90)をクランプしたかを正確に確認することができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(212)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(218)とカートリッジ(237)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができるようになる。ユーザはまた、組織(90)に対するアンビル(218)とカートリッジ(237)との間のクランプの質も可視化することができる。いくつかの例では、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(212)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(218)の先細形状はまた、遠位先端部(219)の、又は実質的に隣接する遠位先端部(219)の、より見やすい視界をもたらすことができる。カートリッジ(237)の先細下面(238)に沿ったアンビル(218)の先細りにより、エンドエフェクタ(212)を組織内へと更に容易に非外傷的に挿入することができる。更に、エンドエフェクタ(212)の先細端部によって、トロカール、又はエンドエフェクタ(212)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスを通してエンドエフェクタ(212)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(219)がトロカールに嵌合されると、先細下面(238)及びアンビル(218)の先細形状は、引込部を提供し、エンドエフェクタ(212)の残りの部分をトロカール内に案内することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(218)の両側部(241)及びカートリッジ(237)の各側部(243)の先細設計によって視認性及び操縦性を向上させ得ることを更に理解するであろう。
【0040】
上記に加えて、エンドエフェクタ(212)及びエンドエフェクタ(212)を組み込んだ器具(10)の変形例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる20018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号、の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得る更なる修正について、下記でより詳細に説明する。
【0041】
III.屈曲又は角度付けされた弾性変形可能なアンビル先端部を備える例示的なエンドエフェクタ
いくつかの手順では、組織に沿って、又は組織を通して切断することが必要であり得、その場合、処置を完了するには2つ以上の切断シーケンス、換言すると、連続経路に沿って連続的な切断を行うことが必要である。このような処置では、この連続的な切断技術は、「マーチング」として定義することができる。マーチングを伴う処置の場合、器具(10)が手術部位に配置され、作動されて切断及びステープル留めを行い、続いて新しいカートリッジ(37)を装着するために手術部位から除去され、続いて前回の切断及びステープル留めサイクルが発生した同じ経路に沿った次回の切断及びステープル留めのために再び手術部位に戻されてもよい。このプロセスは、切断及びステープル処置が完了するまで繰り返される。
図4A~
図4B、及び
図7に見られるように、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成は、アンビル(18)の遠位端とカートリッジ(37)の遠位端との間に間隙を提供する。この間隙は、各マーチング工程の開始時に組織がエンドエフェクタ(12)の遠位端に侵入するための非外傷性空間を提供することによってマーチングを促進することができる。
【0042】
上述したように、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成とは異なり、エンドエフェクタ(212)の異なる構成は、異なる潜在的利点を提供する。具体的には、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、改善された操縦性、及びエンドエフェクタ(212)の遠位端と、隣接する解剖学的構造との間の関係の改善された視認性を提供することができる。加えて、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、アンビル(218)が下部ジョー(216)に向かって閉鎖されると、アンビル(218)と下部ジョー(216)との間の空間内に組織を近位方向へ付勢することによって組織収集効果を提供することができる。しかしながら、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形例では、アンビル(218)が下部ジョー(216)に向かって閉鎖されているとき、アンビル(218)と下部ジョー(216)との間の空間内に収集されない組織に対して遠位先端部(219)が外傷を与える場合があるため、アンビル(218)の遠位先端部(219)の屈曲構成はマーチング動作にあまり適さない場合がある。したがって、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形例では、エンドエフェクタ(212)は、切断及びステープル留め動作(例えば、血管横切開)に最も適することができ、ここでは切断及びステープル留めされる組織の全てが遠位先端部(219)の近位に収集される。
【0043】
上記の内容を考慮すると、別の場合ではエンドエフェクタ(212)の完全に剛性の変形例に付随する場合のある外傷のリスクを増大させることなく、エンドエフェクタ(12)のマーチング能力、エンドエフェクタ(212)に関連する改善された視認性、及びエンドエフェクタ(212)の組織収集能力を提供するエンドエフェクタ(12、212)の変形例を提供することが望ましい場合がある。以下では、エンドエフェクタ(12、212)のこうした変形例のいくつかの単なる例示的な実施例を説明する。以下の実施例では、アンビルは、遠位先端部(219)のような屈曲又は角度付けされた構成をとるように弾性的に付勢された遠位先端部を有し、更に、弾性的に付勢された遠位先端部は、遠位先端部上の十分な荷重に応答して下部ジョーから離れて偏向可能である。弾性変形可能な角度付き遠位先端部分を有するアンビルを提供することは、組織を通って手術部位までナビゲートすることに関して、更なるレベルの操縦性の利益を提供することができることが、本明細書の教示を鑑みれば理解されるであろう。このようにして、変形可能な遠位先端部分は、特にマーチング動作中に、組織を通るエンドエフェクタの滑らかで非外傷的な移動を促進するために、偏向又は変形してもよい。加えて、装填状態にないとき、又は周辺組織と接触していないときの角度付き位置への付勢を有するアンビルは、直線状又は角度付けされていないアンビルを有するエンドエフェクタを使用することと比較して、組織捕捉及び切断中の強化された可視化を達成することができる。更に、角度付き位置に付勢された遠位先端部を有するアンビルは、比較的小さい組織構造をアンビルと下部ジョーとの間に単に寄せ集めることに関連するのではなく、マーチングに関連することになる負荷点に達するまで、ある程度の組織収集効果を提供することができる。
【0044】
図11は、外科用ステープラとして構成された別の例示的な器具(310)を示す。器具(310)は、ハンドル部分(320)とシャフト(322)とを備える。器具(310)は、シャフト(322)がハンドル部分(320)から選択的に取り外し可能であり、かつそのハンドル部分に対して取り付け可能であるように、モジュール式構成を有する。器具(310)は器具(10)と同様に構成されており、器具(310)の操作性及び使用法は、モジュール式構成である器具(310)の追加的特徴を除いて器具(10)について上述したものと同じである。そのモジュール式構成により、器具(310)は、エンドエフェクタを変更する方法を提供する。エンドエフェクタにおけるこうした変更は、別の方法で装着されたエンドエフェクタを交換するように、又は処置又はユーザの好みに基づいて異なるエンドエフェクタ構成を提供するように作られてもよい。上記に加えて、又はその代わりに、器具(310)のモジュール式構成を提供するように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年3月30日公開の「Surgical Stapling Instrument with Shaft Release,Powered Firing,and Powered Articulation」と題する米国特許出願公開第2017/0086823号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成され得る。モジュール式構成を備える器具(310)を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。更に、器具(10)が、器具(310)又は参照により本明細書に組み込まれるその他の器具に関して示されかつ説明されたモジュール式構成を組み込むように修正されてもよいことが、本明細書の教示を鑑みれば当業者には理解されるであろう。
【0045】
図11の例示的な実施例では、器具(310)は、角度付き遠位先端部(319)を有するアンビル(318)を有するエンドエフェクタ(312)を備える。更に、アンビル(318)の遠位先端部(319)は弾性変形可能である。このようにして、
図12A及び
図12Bに最もよく示されるように、角度付き遠位先端部(319)は、第1の角度付き位置から第2の位置へと弾性的に変形するように動作可能である。角度付き遠位先端部(319)の第2の位置は、いくつかの変形例では実質的に直線状であってもよいが、他の変形例では、ある程度角度付けされてもよい(例えば、長手方向軸(A1)のわずかに上方又はわずかに下方に。角度付き遠位先端部(319)の第2の位置は、アンビル(318)と下部ジョー(16)との間に捕捉される組織の特性(例えば、厚さ、密度など)によって画定され得ることを理解されたい。本実施例では、エンドエフェクタ(312)は、ハンドル部分(320)から取り外し可能なシャフト(322)上に提供される。単に一例として、シャフト(322)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年3月13日発行の「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」と題する米国特許第9,913,642号の教示のうちの少なくともいくつかに従ってハンドル部分(320)から取り外し可能であってもよい。いくつかの他の変形例では、シャフト(322)はハンドル部分(320)から取り外し可能ではない。
【0046】
エンドエフェクタ(312)は、
図1に示すエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(312)は、シャフト(22)と一体的に形成されてもよく、あるいは別々に形成され、その後、組み合わされてもよい。いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(312)は、ロボットシステムで使用するために提供されてもよい。このようなロボットシステムでは、エンドエフェクタ(312)を有するモジュール式シャフト(322)は、ハンドル部分(320)がロボットシステムの構成要素によって交換されるような使用のためにロボットシステムの一部に取り付け可能であり得る。更に他の実施例では、エンドエフェクタ(312)は、モジュール式シャフト(322)全体を必ずしも接続することなく、エンドエフェクタ(312)がロボットシステムと接続する様式で、ロボットシステムと共に使用するように適合されてもよい。本明細書の教示を鑑みれば、角度付けされた弾性変形可能なアンビル先端部を有するエンドエフェクタを、ユーザ操作又はロボット操作式器具に組み込むためのその他の方法が当業者には明らかになるであろう。
【0047】
図12Aは、エンドエフェクタ(312)の遠位端の拡大側面図を示す。エンドエフェクタ(312)は、器具(10)に関して上述したように、アンビル(318)、及びカートリッジ(37)を受け入れる下部ジョー(16)を備える。アンビル(318)は、器具(10)に関して上述したアンビル(18)と同様に、下部ジョー(16)に向かって枢動可能に回転する。この構成では、エンドエフェクタ(312)はエンドエフェクタ(12)と同様であるが、アンビル(318)は、弾性変形可能な角度付き遠位先端部(319)を備える。
図12Aに示すように、先端部(319)には、
図11に示され、
図12Aに仮想線で示される角度付き位置への付勢が付与される。
図11に示されるように、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプせずに開いているか、又は
図12Aに仮想線で示されるように、組織をクランプせずに閉じているとき、先端部(319)はこの角度付き位置をとる。エンドエフェクタ(312)がこの角度付き状態又は位置にある場合、エンドエフェクタ(312)は、装填されていない、又は非装填の状態若しくは位置にあるとみなされ得る。逆に、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプしているときは、エンドエフェクタ(312)は、装填されている、又は装填状態若しくは位置にあるとみなされ得る。
【0048】
閉鎖され、アンビル(318)と下部ジョー(16)との間に組織をクランプしていないとき、先端部(319)はカートリッジ(37)と接触する。この位置では、先端部(319)の下側面(324)は、シャフト(322)によって画定される長手方向軸(A1)と交差して角度(θ1)を形成する平面を画定する。閉鎖されて組織(90)をアンビル(318)と下部ジョー(16)との間でクランプすると、先端部(319)の下側面(324)は組織(90)と接触する。この位置では、先端部(319)の下側面(324)は、長手方向軸(A1)と交差して角度(θ2)を形成する平面を画定する。
図12Aの例示された実施例では、角度(θ1、θ2)は長手方向軸(A1)と相対的であり、角度(θ1、θ2)の和は、遠位先端部(319)が受ける可動域を表す。単に例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、角度(θ1)は、長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)に向かって下向きの方向に、約20~約70度、又はより具体的には約30度~約50度である。単に例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、角度(θ2)は、カートリッジ(37)から遠ざかる長手方向軸(A1)から上向きの方向に約0~約90度である。単に例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、先端部(319)が受ける可動域は約20度~約110度である。角度(θ1、θ2)について記載される角度は、単なる例であり、限定するものではない。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な角度が、当業者に明らかになるであろう。
【0049】
加えて、場合によっては、長手方向軸(A1)は、ゼロ度基準を表し、それに対する角度は正又は負であり得る。例えば、角度が長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)に向かって下向きの方向にある場合、角度は負の角度として特徴付けられてもよい。同様に、角度が長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)から遠ざかるように上向きの方向にある場合、角度は正の角度として特徴付けられてもよい。これらの慣例を使用するとき、変形による遠位先端部(319)の可動域は、遠位先端部(319)がカートリッジ(37)と接触する位置にあるときの角度と、遠位先端部(319)が組織をクランプするときの変形状態にあるときの角度と、の絶対値の和として理解することができる。
【0050】
図12Bは、
図12Aのエンドエフェクタ(312)と同様の代替的エンドエフェクタ(412)の別の側面図を示す。エンドエフェクタ(312)の場合、アンビル(318)がその角度付きかつ非変形状態にあるとき(
図12Aの図の仮想線で見られるように)、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端部と同等又は近位の点まで延在する。アンビル(318)が上方に偏向されるように変形されると、遠位先端部(319)の端部は、カートリッジ(37)の最遠位端部のすぐ遠位の点まで延在する。エンドエフェクタ(412)の場合、
図12Bに示されるように、アンビル(318)がその角度付きかつ非変形状態にあるとき(
図12Bの図の仮想線で見られるように)、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端部と同等又は近位の点まで延在する。アンビル(318)が上方に偏向されるように変形されると、アンビル(318)の遠位先端部(319)の端部は、カートリッジ(37)の最遠位端部と同じ又は近位の点まで延在する。このように、アンビル(318)がその角度付き状態又は変形状態にあるとき、エンドエフェクタ(412)のアンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端と同等又はその近位の位置にあり続け、そのため、アンビル(318)がその角度付けされた非変形状態にあろうと、又はその変形状態にあろうと、アンビル(318)はカートリッジ(37)の最遠位端部を越えて延在しない。一部の場合では、これは、アンビルの遠位先端部(319)の長さが短くなるようにアンビル(318)を変更することによって達成することができる。その他の場合では、器具(10、310)は、クランプ時にアンビル(318)がわずかに近位に後退するように修正されてもよい。本明細書の教示を鑑みれば、アンビル(318)の位置の制御に関連するときのエンドエフェクタ(412)を修正する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0051】
IV.外科用ステープラのための更なる例示的なエンドエフェクタ
図13は、本明細書に記載される外科用ステープル留め器具と共に使用するように構成された別の例示的なエンドエフェクタ(512)を示す。エンドエフェクタ(512)は、アンビル(518)及び下部ジョー(516)を備える。エンドエフェクタ(512)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(512)は、器具(10)と一体形成されてもよく、又は代替形態では、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換可能であってもよい。
【0052】
アンビル(518)は、下部ジョー(516)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(518)及び下部ジョー(516)は、
図1に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(512)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部ジョー(516)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(537)を更に備える。
【0053】
アンビル(518)は、アンビル(518)の遠位部分がカートリッジ(537)に向かって角度をなす細長い形状を有し、そのためアンビル(518)は湾曲先端部を備える。アンビル(518)の遠位部分は、アンビル(518)の最遠位先端部(519)がカートリッジ(537)よりも更に遠位の長手方向に延在するように、カートリッジ(537)に向かって角度をなす。しかし、いくつかの変形例では、遠位先端部(519)は、長手方向にカートリッジ(537)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(537)上の最遠位点に対して近位に延在してもよい。更に、アンビル(518)の遠位部分は、アンビル(518)の最遠位先端部(519)に近づくにつれて先細になる側部(541)を含む。アンビル(518)のこの形状により、エンドエフェクタ(512)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(518)の形状は、アンビル(518)が組織に接触する際、又は組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。こうした非外傷性の組織偏向は、アンビル(518)が下部ジョー(516)に向かって閉じると、組織(例えば大血管)をアンビル(518)と下部ジョー(516)との間の空間内へと近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(518)の形状は、エンドエフェクタ(512)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連するエンドエフェクタ(512)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(518)の他の好適な変形例は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0054】
カートリッジ(537)は、組織内に駆動するために、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを保持するように動作可能である。カートリッジ(537)の遠位端は傾斜した輪郭を有する。具体的には、カートリッジ(537)の遠位端は、カートリッジ(537)の最遠位端部に至る先細上面(539)を備える。
【0055】
組織(90)が閉じたカートリッジ(537)とアンビル(518)との間にクランプされると、ユーザは、アンビル(518)が組織(90)をどこでクランプしたかを見ることができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(512)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(518)とカートリッジ(537)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができる。更にユーザは、組織(90)に対するアンビル(518)とカートリッジ(537)との間のクランプの質も可視化することができる。いくつかの例では、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(512)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(518)の形状は、遠位先端部(519)のより見やすい視界をもたらすこともできる。アンビル(518)及びカートリッジ(537)の形状は、非外傷的な様式での組織へのエンドエフェクタ(512)の容易な挿入を更に促進し得る。更に、エンドエフェクタ(512)の先細端部によって、トロカール、又はエンドエフェクタ(512)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスにエンドエフェクタ(512)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(519)がトロカールに嵌合されると、アンビル(518)の形状が引込部を提供して、エンドエフェクタ(512)の残りの部分をトロカール内に案内することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(518)の遠位部分の両側部(541)の先細設計によって視認性及び操縦性が向上され得ることを更に理解するであろう。
【0056】
単に一例として
図13を引き続き参照すると、限定するものではないが、エンドエフェクタ(512)の一実施例では、アンビル(518)の湾曲先端部は、組織を分離するための切開先端部として構成され得る。いくつかのこうした変形例では、組織のこうした切開は、アンビル(518)の湾曲先端部を使用して達成され得る。こうした例において、アンビル(518)の湾曲先端部は、鋭利な切刃又は表面を有さない剛性構造体であり、切開は、十分な力で接触した組織を分離及び/又は切開する剛性湾曲先端部によって生じる。アンビル(518)の湾曲先端部が切開先端部として構成されているいくつかの変形例では、切開先端部の先端部は、組織接触表面及び底面によって画定される平面の間で終端する。また、切開先端部の先端部は、エンドエフェクタが閉鎖位置にあるときは、カートリッジの遠位端から離間している。このようにして、湾曲先端部は、アンビル先端部とカートリッジ遠位端との係合又は噛み合いを必要とせずに組織を分離及び/又は切開することが可能な切開先端部として構成される。また、このようにして、湾曲先端部は、ユーザが先端部を特定の組織の後ろで摺動させて、十分な力が加えられたときに接触した組織を分離及び/又は切開することができるような形状を有する切開先端部として構成される。当然のことながら、切開先端部として構成されたアンビル(518)の湾曲先端部は、アンビル(518)の全ての変形例において必要ではなく、したがって、他の変形例では、アンビル(518)の湾曲先端部は、上述のように組織を切断するようには構成されていない非外傷性先端部又は配置先端部であってもよい。
【0057】
図14は、本明細書に記載される外科用ステープル留め器具と共に使用するように構成された別の例示的なエンドエフェクタ(612)を示す。エンドエフェクタ(612)は、アンビル(618)及び下部ジョー(616)を備える。エンドエフェクタ(612)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(612)は、器具(10)と一体形成されてもよく、又は代替形態では、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換可能であってもよい。
【0058】
アンビル(618)は、下部ジョー(616)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(618)及び下部ジョー(616)は、
図1に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(612)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部ジョー(616)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(637)を更に備える。
【0059】
アンビル(618)は細長い形状を有し、アンビル(618)の遠位部分はカートリッジ(637)に向かって角度をなす。アンビル(618)の遠位部分は、アンビル(618)の最遠位先端部(619)がカートリッジ(637)よりも更に遠位の長手方向に延在するように、カートリッジ(637)に向かって角度をなす。しかし、いくつかの変形例では、遠位先端部(619)は、長手方向にカートリッジ(637)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(637)上の最遠位点に対して近位に延在してもよい。更に、アンビル(618)の遠位部分は、アンビル(618)の最遠位先端部(619)に近づくにつれて内向きに湾曲する側部(641)を含む。アンビル(618)のこの形状により、エンドエフェクタ(612)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(618)の形状は、アンビル(618)が組織に接触する際、又は組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。こうした非外傷性の組織偏向は、アンビル(618)が下部ジョー(616)に向かって閉じると、組織(例えば大血管)をアンビル(618)と下部ジョー(616)との間の空間内へと近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(618)の形状は、エンドエフェクタ(612)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連するエンドエフェクタ(612)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(618)の他の好適な変形例は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0060】
カートリッジ(637)は、組織内に駆動するために、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを保持するように動作可能である。カートリッジ(637)の遠位端は傾斜した輪郭を有する。具体的には、カートリッジ(637)の遠位端は、カートリッジ(637)の最遠位端部に至る先細上面(639)を備える。
【0061】
組織(90)が閉じたカートリッジ(637)とアンビル(618)との間にクランプされると、ユーザは、アンビル(618)が組織(90)をどこでクランプしたかを見ることができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(612)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(618)とカートリッジ(637)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができる。更にユーザは、組織(90)に対するアンビル(618)とカートリッジ(637)との間のクランプの質も可視化することができる。いくつかの例では、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(612)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(618)の形状は、遠位先端部(619)のより見やすい視界をもたらすこともできる。アンビル(618)及びカートリッジ(637)の形状は、非外傷的な様式での組織へのエンドエフェクタ(612)の容易な挿入を更に促進し得る。更に、エンドエフェクタ(612)の先細端部によって、トロカール、又はエンドエフェクタ(612)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスにエンドエフェクタ(612)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(619)がトロカールに嵌合されると、アンビル(618)の形状が引込部を提供して、エンドエフェクタ(612)の残りの部分をトロカール内に案内することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(618)の遠位部分の両側部(641)の湾曲設計によって視認性及び操縦性が向上され得ることを更に理解するであろう。
【0062】
上記に加えて、エンドエフェクタ(512、612)、及びエンドエフェクタ(512、612)を組み込んだ器具(10)の変形例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる20018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号、の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得る更なる修正について、下記でより詳細に説明する。
【0063】
V.例示的なバットレスの装填及び適用
図15及び
図16は、切断及びステープル留め動作が行われる組織部位にバットレスを適用するように構成された例示的なエンドエフェクタ(40)を示す。エンドエフェクタ(40)は、遠位端(141)を含み、シャフト組立体(30)と接続されている。エンドエフェクタ(40)は、アンビル(60)、下部ジョー(50)、及び下部ジョー(50)によって受容されるステープルカートリッジ(170)を備える。エンドエフェクタ(40)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(40)は、器具(10)と一体形成されてもよく、又は代替形態では、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換可能であってもよい。
【0064】
図15及び
図16はまた、例示的なバットレスアプリケータ(200)を示す。バットレスアプリケータ(200)は、バットレス組立体(100、110)を選択的に保持するように構成される。本実施例では、バットレス組立体(100)は、アプリケータ(200)の上面上に選択的に保持され、バットレス組立体(110)は、アプリケータ(200)の底面上に選択的に保持される。いくつかの他の変形例では、アプリケータ(200)は、1つのバットレス組立体(100、110)のみがバットレスアプリケータ(200)によって選択的に保持されるように構成され得る。
【0065】
バットレスアプリケータ(200)を使用して、エンドエフェクタ(40)にバットレス組立体(100、110)を装填するために、操作者はまず、
図1に示すようにエンドエフェクタ(40)がアプリケータ(200)の開放端部(202)と整列するように、アプリケータ(200)及びエンドエフェクタ(40)を位置決めする。操作者は、続いて、
図2に示すように、エンドエフェクタ(40)を遠位に前進させて(かつ/又はアプリケータ(200)を近位に後退させて)、バットレス組立体(100、110)をアンビル(60)とステープルカートリッジ(170)との間に位置決めする。バットレス組立体(100、110)をエンドエフェクタ(40)上に装填するために、操作者は、アンビル(60)をステープルカートリッジ(170)に向かって枢動させることによって、エンドエフェクタ(40)を簡単に閉鎖し得る。エンドエフェクタ(40)を閉鎖した結果、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(170)の遠位端が、バットレス組立体(100、110)をバットレスアプリケータ(200)と共に選択的に保持するように構成されたバットレスアプリケータ(200)の保持機構(204)を支持する。この接触により、こうしたバットレスアプリケータ(200)の保持機構(204)が偏向し、それによって、バットレスアプリケータ(200)の一方の側ではアンビル(60)の表面とバットレス組立体(100)との間で、バットレスアプリケータ(200)のもう一方の側ではステープルカートリッジ(170)の表面とバットレス組立体(110)との間で、接触が可能となる。バットレス組立体(100、110)は、それぞれの表面に接着剤を含むため、エンドエフェクタ(40)がバットレス組立体(100、110)の両方をクランプすると、バットレス組立体(100、110)は、それぞれアンビル(60)の下面及びステープルカートリッジ(170)のデッキ面に粘着する。続いてエンドエフェクタ(40)は再び開放され(すなわち、アンビル(60)がステープルカートリッジ(170)から遠ざかるように枢動され、バットレスアプリケータ(200)から引き離され得る。アプリケータ(200)の保持機構(204)がバットレス組立体(100、110)から係合解除された状態では、エンドエフェクタ(40)がバットレスアプリケータ(200)から引き離されるときに、エンドエフェクタ(40)はバットレス組立体(100、110)をバットレスアプリケータ(200)から自在に引き離すことができる。バットレス組立体(100、110)がエンドエフェクタ(40)に装填されている状態では、エンドエフェクタ(40)は、続いて、
図17A~
図18を参照して下記で更に説明するように使用され得る。
【0066】
図17A~
図17Cは、バットレス組立体(100、110)を装填されたエンドエフェクタ(40)が作動されて、2つの並列する組織層(T
1、T
2)を通してステープル(190)を駆動し、バットレス組立体(100、110)がステープル(190)によって同じ組織層(T
1、T
2)に固定されるシーケンスを示す。具体的に言えば、
図3Aは、アンビル(60)とステープルカートリッジ(170)との間に位置決めされた組織の層(T
1、T
2)を示し、ここでアンビル(60)は開放位置にある。図示されるように、アンビル(60)は、ステープル成形ポケット(64)を含む。バットレス組立体(100)は、接着剤を介してアンビル(60)の下面(65)に接着されており、バットレス組立体(110)は、接着剤を介してステープルカートリッジ(170)のデッキ(73)に接着されている。組織の層(T
1、T
2)はこのようにして、バットレス組立体(100、110)の間に挟入される。次に、エンドエフェクタ(40)が閉じられると、これによりアンビル(60)が
図17Bに示すように閉鎖位置へと駆動される。この段階で、組織の層(T
1、T
2)がアンビル(60)とステープルカートリッジ(170)との間で圧縮され、バットレス組立体(100、110)が組織の層(T
1、T
2)の対向する表面と係合する。続いて、エンドエフェクタ(40)が作動され、それによりステープルドライバ(75)がバットレス組立体(100、110)及び組織層(T
1、T
2)を介してステープル(190)を駆動する。
図17Cに示すように、駆動されたステープル(190)のクラウン(92)は、バットレス組立体(110)を捕捉し、組織層(T
2)に対して保持する。変形したステープル(190)の脚部(94)は、バットレス組立体(100)を捕捉し、組織の層(T
1)に対して保持する。
【0067】
一連のステープル(190)も、同様にバットレス組立体(100、110)を捕捉して組織の層(T
1、T
2)に対して保持することにより、
図18に示すようにバットレス組立体(100、110)を組織(T
1、T
2)に固定することを理解されたい。ステープル(190)及びバットレス組立体(100、110)が配備された後に、エンドエフェクタ(40)が組織(90)から引き離されると、バットレス組立体(100、110)はエンドエフェクタから係合解除され、そのため、バットレス組立体(100、110)はステープル(190)で組織(T
1、T
2)に固定された状態を維持する。このように、バットレス組立体(100、110)は、ステープル(190)のラインを構造的に補強する。これもまた
図18で分かるとおり、ナイフ部材(図示せず)はエンドエフェクタ(40)を貫いて通り、その際に、更にバットレス組立体(100、110)の中心線を貫いて切断して各バットレス組立体(100、110)を対応する一対の区画へと分離し、その結果、各区画がそれぞれの切断された組織の領域(T
1、T
2)に固定された状態を維持する。
【0068】
上述の例では、バットレス組立体(100)は、アンビル(60)の下面(65)の全幅にわたって広がるように寸法決めされ、その結果、ナイフ部材(図示せず)はエンドエフェクタ(40)の作動中にバットレス組立体(100)を貫いて切断する。いくつかの他の例では、バットレス組立体(100)は、2つの別々の横方向に離間した部分として提供され、ここでは一方の部分がアンビル(60)の一方の半分上でアンビル(60)の下面(65)に配設され、もう一方の部分がアンビル(60)の他方の半分上でアンビル(60)の下面(65)に配設される。そのような変形例では、ナイフ部材(図示せず)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にバットレス組立体(100)を貫いて切断しない。
【0069】
同様に、バットレス組立体(110)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にナイフ部材(図示せず)がバットレス組立体(110)を切断するように、デッキ(73)の全幅にわたって広がるように寸法決めされてもよい。あるいは、バットレス組立体(110)は、2つの別個の横方向に離間した部分で提供されてもよく、ここでは一方の部分がデッキ(73)の一方の半分上に配設され、もう一方の部分がデッキ(73)の他方の半分上に配設される。そのような変形例では、ナイフ部材(図示せず)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にバットレス組立体(110)を貫いて切断しない。
【0070】
上記の内容に加えて、本明細書で説明された様々なバットレス組立体のいずれもが、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年9月29日公開の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号の教示のうちの少なくともいくつかに従って更に構築され、かつ動作可能であってもよいことも理解されたい。
【0071】
VI.例示的なバットレスアプライヤカートリッジ組立体
場合によっては、
図19に示す例示的なバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を使用して、バットレス(714)を用いて組織内にステープルを形成するための外科用器具にバットレス組立体(712)を装備させることが望ましい場合がある。場合によっては、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、バットレス組立体アプリケータ(710)と称され得る。本明細書で使用するとき、これらの用語は互換可能であると理解されるべきである。バットレス(714)は、形成されたステープルが組織から抜けるのを阻止して、それにより、形成されたステープルの部位、又はその付近で組織が裂けるリスクを低減する。ステープルのラインに構造的支持及び一体性を提供することに加えて又はそれに代えて、バットレス(714)は、空隙又は間隙の充填、治療薬の投与、及び/又は他の効果などの、様々な他の種類の効果を提供し得る。外科用器具と共に使用する前に、1つ以上のバットレス組立体(712)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)上に解放可能に保持され、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、後述するように、1つ以上のバットレス組立体(712)を外科用器具のエンドエフェクタ上に正確に置くように構成されている。
【0072】
図19は、使用前のバットレス組立体(712)を支持及び保護し、更に、バットレス組立体(712)を外科用器具(10)(
図1を参照)上に搭載するのを補助する、バットレスアプライヤカートリッジ(716)上に解放可能に保持された一対のバットレス組立体(712)を含むバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を示す。本実施例のバットレスアプライヤカートリッジ(716)は、開放端部(718)と閉鎖端部(720)とを含む。開放端部(718)は、エンドエフェクタ(12、212、312、412、512、612)が挙げられるがこれらに限定されない、本明細書に記載のエンドエフェクタのいずれかなどのエンドエフェクタを受容するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、各々が概ね「U」字形状を画定して開放端部(718)を呈する上部ハウジング(726)と下部ハウジング(728)とを有するハウジング組立体(724)を更に含む。様々な構成要素が、上部ハウジング(726)と下部ハウジング(728)との間に挟入される。具体的には、これらの構成要素は、圧縮層(730)とも呼ばれるプラットフォーム(730)を支持するシャーシ(736)を含む。
【0073】
本実施例のプラットフォーム又は圧縮層(730)は、プラットフォーム(730)の一方の側で上部バットレス組立体(712)を支持し、プラットフォーム(730)のもう一方の側で下部バットレス組立体(712)を支持する。プラットフォーム(730)は、上部ハウジング(726)及び下部ハウジング(728)の「U」字構成のプロングの間に形成された凹部において露出される。したがって、上部ハウジング(726)は、プラットフォーム(730)の上面に沿って開放端部(718)まで延在する上部間隙(737)を有し、下部ハウジング(728)は同様に、プラットフォーム(730)の下面に沿って開放端部(718)まで延在する下部間隙(738)を有する。こうした凹部におけるプラットフォーム(730)及びバットレス組立体(712)の位置により、バットレス組立体(712)と手術室内の他のデバイスとの間の不意の接触が防止され得る。換言すれば、上部及び下部ハウジング(726、728)は、バットレス組立体(712)がプラットフォーム(730)上に保持されている間、バットレス組立体のある程度の物理的遮蔽を提供し得る。
【0074】
バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)の以下の実施例で適用可能なように、追加の機構を組み合わせてもよい。こうした機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本出願と同日付で出願の「Adhesive Distribution on Buttress for Surgical Stapler」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END8634USNP.0663974]号、本出願と同日付で出願の「Configuration of Buttress for Surgical Stapler」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END8635USNP.0663976]号、本出願と同日付で出願の「Surgical Stapler Buttress with Tissue In-Growth Promotion」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END8636USNP.0663978]号、本出願と同日付で出願の「Packaging for Surgical Stapler Buttress」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END8638USNP.0663983]号、本出願と同日付で出願の「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Compression Layer Pocket Feature」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END9075USNP1.0714570]号、本出願と同日付で出願の「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Opening Feature for Curved Tip Alignment」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END9072USNP1.0714574]号、本出願と同日付で出願の「Method of Applying Buttresses to Surgically Cut and Stapled Sites」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END9071USNP1.0714576]号、本出願と同日付で出願の「Applicator for Surgical Stapler Buttress」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END8639USDP.0663985]号、本出願と同日付で出願の「Buttress for Surgical Stapler」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END8640USDP.0663994]号、本出願と同日付で出願の「Tray for Surgical Stapler Buttress Applicator」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END8641USDP.0663996]号、本出願と同日付で出願の「Applicator for a Surgical Stapler Buttress」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END9080USDP1.0714568]号、及び本出願と同日付で出願の「Buttress Assembly for a Surgical Stapler」と第する米国特許出願第[代理人整理番号END9081USDP1.0714566]号に記載されている。
【0075】
A.例示的なバットレス組立体
図19に関連して、バットレスアプライヤカートリッジ(716)上に保持された上部及び下部バットレス組立体(712)の相対位置を除いて、上部及び下部バットレス組立体(712)は構造的に同一である。したがって、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、外科用器具(10)、及びそれと組み合わされ得るそれぞれのエンドエフェクタと共に、2つ以上の配向で使用され得る。上部バットレス組立体(712)の以下の説明は、同様に、それぞれの配向を除いて、下部バットレス組立体(712)に適用されることが理解されよう。
【0076】
上部バットレス組立体(712)は、バットレス(714)及び上部接着剤層(742)を含む。本実施例のバットレス(714)は、より具体的には、集合的に強力であるが、ステープルのラインを支持するために可撓性となるように、2つの外層の間に挟まれたコア層を含む3層ポリマー構造を有する。本実施例では、コア層は、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)よりVICRYLとして製造・販売されているポリグラクチン910材料であり、各外層はポリジオキサノン(PDO)フィルム材料である。本実施例のバットレス(714)は、所定の圧力、所定の温度、及び所定の時間の下、外層間にコア層を積層することによって形成される。バットレス(714)は、更に適切な大きさへと機械的に切断され、それによって、敏感な組織を損傷し得るバリなどの研磨性縁部、及び/又は層間剥離を阻害する。レーザ切断又はホットナイフ切断など、バットレス(714)を切断する代替的な方法が同様に使用され得ることが理解されよう。
【0077】
単に更なる例として、各バットレス(714)は、NEOVEIL吸収性PGAフェルト(グンゼ株式会社(京都府)による)、SEAMGUARDポリグリコール酸:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)補強材(W.L.Gore&Associates,Inc.(Flagstaff,Arizona)による)、PERI-STRIPS DRY with VERITAS Collagen Matrix(PSDV)補強材(Baxter Healthcare Corporation(Deerfield,Illinois)による)、BIODESIGN生物学的移植片材料(Cook Medical(Bloomington,Indiana)による)、及び/又は、SURGICEL NU-KNIT止血材料(Ethicon(Somerville,New Jersey)による)のうちの1つ以上を含み得る。各バットレス(714)を形成するために使用され得る更に他の適切な材料が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0078】
追加的に又は代替的に、各バットレス(714)は、例えば、血液を凝固させ、かつ組織に沿って切断及び/又はステープル留めされた手術部位における出血を低減させるのを助ける、フィブリンなどの止血薬を含む材料を含んでよい。別の単なる例示的な実施例として、各バットレス(714)が手術部位で血液を凝固させ、出血量を低減させるのを補助し得るように、各バットレス(714)はその他の補助剤を含んでもよく、あるいはトロンビンなどの止血剤が用いられてもよい。各バットレス(714)に組み入れることができる他の補助剤又は試薬としては、更に薬液又はマトリックス成分を挙げることができるがこれらに限定されない。各バットレス(714)を形成するために用いられ得る材料、及び他の方法で各バットレス(714)に組み込まれ得る材料の単なる例示的な実施例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年9月29日公開の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。
【0079】
単に更なる例として、各バットレス(714)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年11月13日発行の「Tissue Thickness Compensator Comprising Controlled Release and Expansion」と題する米国特許第10,123,798号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年3月21日公開の「Surgical Instrument and Buttress Material」と題する米国特許出願公開第2013/0068816号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年6月19日発行の「Surgical Instrument with Fluid Fillable Buttress」と題する米国特許第9,999,408号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年8月26日発行の「Fibrin Pad Matrix with Suspended Heat Activated Beads of Adhesive」と題する米国特許第8,814,025号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年12月2日発行の「Attachment of Surgical Staple Buttress to Cartridge」と題する米国特許第8,899,464号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年11月15日発行の「Device for Applying Adjunct in Endoscopic Procedure」と題する米国特許第9,492,170号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年4月7日発行の「Resistive Heated Surgical Staple Cartridge with Phase Change Sealant」と題する米国特許第8,998,060号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年7月19日発行の「Surgical Staple Assembly with Hemostatic Feature」と題する米国特許第9,393,018号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年8月11日発行の「Surgical Staple Cartridge with Self-Dispensing Staple Buttress」と題する米国特許第9,101,359号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年12月1日発行の「Anvil Cartridge for Surgical Fastening Device」と題する米国特許第9,198,644号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年3月28日公開の「Adjunct Therapy for Applying Hemostatic Agent」と題する米国特許出願公開第2013/0075447号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年12月15日発行の「Tissue Thickness Compensator Comprising a Plurality of Medicaments」と題する米国特許第9,211,120号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年12月10日公開の「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」と題する米国特許出願公開第2015/0351758号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月23日公開の「Implantable Layers for a Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2017/0049444号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年3月2日公開の「Drug Eluting Adjuncts and Methods of Using Drug Eluting Adjuncts」と題する米国特許出願公開第2017/0055986号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年3月30日公開の「Compressible Adjunct with Crossing Spacer Fibers」と題する米国特許出願公開第2017/0086837号、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年3月30日公開の「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」と題する米国特許出願公開第2017/0086842号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構築され得る。
【0080】
更に、バットレス(714)は、ナイフ(図示せず)によって、バットレス(714)の近位部分から、バットレス(714)の中間部分に沿って、更にバットレス(714)の遠位部分を通って切断され、その結果、内方縁部が切断された組織に隣接するように構成されている。バットレス(714)は、ナイフ(図示せず)を受容して、内方縁部がバットレス(714)の外側部に沿って形成される際にこれを分離することを補助するように構成された、長手方向に延在する予め切断されたスリット(744)を更に含む。
【0081】
上部接着剤層(742)は、本明細書に記載されるエンドエフェクタ内にバットレス(714)を接着するために、バットレス(714)の外側層上に提供される。バットレス(714)の接着は、感圧性接着剤が挙げられるがこれに限定されない様々な機構を介して生じ得る。感圧接着の場合、接着は、少なくとも所定の最小力を適用したときに生じる。いくつかの変形例では、各接着剤層(742)が感圧性接着剤材料を含む。接着剤層(742)を形成するために用いられ得る様々な好適な材料の例が、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年9月29日公開の「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。本実施例に示されるように、接着剤層(742)は、エンドエフェクタに適用されると、寿命を向上させるための連続的な外側シールを形成する。
【0082】
本明細書で用いられる「接着剤」という用語は、粘着性の材料、更には、柔軟又は蝋様であり、変形及び適合によって複雑な幾何学的形状にも接着する材料を包含し得る(ただし、それらに限定はされない)ことを理解されたい。いくつかの適切な接着剤は、不可避的に高度な初期粘着性を与えることなく、変形及び適合によって複雑な幾何学的形状にも接着するように、そのような柔軟性を与え得る。いくつかの事例では、粘着性の低い接着剤は、表面からよりきれいに除去され得る。本明細書の教示を考慮することで、接着剤層(742)の形成に使用できる様々な好適な材料が当業者に明らかとなるであろう。
【0083】
B.例示的なバットレスアプライヤカートリッジ
図20に示すように、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は、プラットフォーム(730)を支持するシャーシ(736)、並びに一緒に接続して内部空間(750)を画定するように構成されたハウジング組立体(724)の上部及び下部ハウジング(726、728)を含む。上部左アクチュエータスレッド(752)及び上部右アクチュエータスレッド(754)は、内部空間(750)内の上面シャーシ(736)に移動可能に接続され、下部左アクチュエータスレッド(752)及び下部右アクチュエータスレッド(754)は、内部空間(750)内のシャーシ(736)の下面に移動可能に接続される。上部右及び左アクチュエータスレッド(752、754)は、上部バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)上で拘束位置に保持するが、上部バットレス組立体(712)を本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかなどのエンドエフェクタ上に正確に置くために、拘束位置から解放位置へと移動するように構成されている。同様に、下部右及び下部左アクチュエータスレッド(752、754)は、下部バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)上で拘束位置に保持するが、下部バットレス組立体(712)を本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかなどのエンドエフェクタ上に正確に置くために、拘束位置から解放位置へと移動するように構成されている。本実施例では、左アクチュエータスレッド(752)は、以下でより詳細に説明される理由により、右アクチュエータスレッド(754)とは異なる。また、上部及下部右アクチュエータスレッド(752)は、構造的に互いに同一であり、上部及下部左アクチュエータスレッド(754)は、構造的に互いに同一である。したがって、この点において、上部及び下部アクチュエータスレッド(752、754)は交換可能であり、一対の上部アクチュエータスレッド(752、754)を対象とする本明細書に含まれる任意の説明は、一対の下部アクチュエータスレッド(752、754)にも同様に適用可能である。
【0084】
各アクチュエータスレッド(752、754)は、バットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)に選択的かつ解放可能に固定するために横方向内向きに延在する一対のアーム(755a、755b)を含む。アーム(755a、755b)は、
図15及び
図16中のアプリケータ(200)に関して上述した保持機構(204)と同様に、保持機構又は保持部材とも称され得る。具体的には、
図20は、バットレス組立体(712)がアーム(755a、755b)の自由端とプラットフォーム(730)との間に挟入されるように位置決めされたアーム(755a、755b)を示す。アーム(755a、755b)は、アーム(755a、755b)がバットレス組立体(712)から係合解除され、それによってバットレス組立体(712)がプラットフォーム(730)から取り外されることを可能にするように、横方向外向きに移動可能である。本実施例では、アーム(755a、755b)は、拘束位置でバットレス組立体(712)に当接し、それによってバットレス組立体(712)をプラットフォーム(730)に対して挟持するように構成される。アーム(755a、755b)がバットレス組立体(712)と係合し得る他の適切な方法が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0085】
シャーシ(736)は、上部及び下部ハウジング(726、728)と協働して、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の構成要素を移動させるための機械的基部を提供し、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の構成要素に構造的支持を提供するように構成される。シャーシ(736)は、ハウジング組立体(724)の両側に露出している一体型把持機構(756)を更に含む。把持機構(756)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の使用中に操作者がバットレスアプライヤカートリッジ(716)を把持することを促進するように構成された表面形状を有している。把持機構(756)に対して用いられ得る様々な適切な構成が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。同様に、把持機構(756)に適用され得る様々な表面処理(例えば、エラストマー材料など)が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0086】
図21に関連して、プラットフォーム(730)は、シャーシ(736)に接続され、且つこれにより支持されて、プラットフォーム(730)を上部及び下部ハウジング(726、728)に固定する。本実施例では、プラットフォーム(730)は一体的に形成され、フレーム(760)を含み、成形型を固定するために材料の重なりを提供するように構成された複数の穴(762、764、766)を画定する剛性ウェブ部分(758)へと成形される。穴(762、764、766)は、より具体的には、フレーム(760)を貫いて延在する上部スロット(762)及び中央スロット(764)、並びにスロット(762、764)の周りで横方向に離間配置された複数の貫通穴(766)を含む。フレーム(760)はまた、ブリッジ部分(768)において中央スロット(764)を横切って横方向に延在して、以下でより詳細に論じられるように、弾性的変形のための十分な隙間を備えたプラットフォーム(730)を提供しながら、シャーシ(736)に追加的な構造剛性を提供する。これにより、スロット(762、764)及び貫通穴(766)は、弾性のエラストマー材料を受容して、プラットフォーム(730)としての材料を形成し、これをシャーシ(736)に固定する。本発明のプラットフォーム(730)はシャーシ(736)へと成形されているが、プラットフォーム(730)は、代替えとしてシャーシ(736)に固定されてもよく、したがって、シャーシ(736)に対するプラットフォーム(730)の取り付けは、本明細書で論じられる特定の剛性ウェブ部分(758)及び成形品に限定されることを意図するものではないことが理解されよう。プラットフォーム(730)を形成するために使用され得る種々の好適な材料及び構造的構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0087】
シャーシ(736)は、シャーシ(736)の両側面上で一対の列に配置された複数のスレッドクリアランス穴(770)を更に含む。左及び右アクチュエータスレッド(752、754)は、こうしたスレッドクリアランス穴(770)を介してシャーシ(736)の両側で一体に接続し、接続された対で一緒に内向きに摺動する。左及び右アクチュエータスレッド(752、754)の接続及び作動に関する更なる詳細について、以下でより詳細に論じる。しかしながら、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)の締結クリアランスを提供するためにシャーシ(736)を通る任意のこうした穴が用いられてもよく、本発明は、本明細書で説明するスレッドクリアランス穴(70)に不必要に限定されることを意図するものではないことが理解されよう。
【0088】
i.バットレス組立体を支持するための例示的な可変剛度プラットフォーム
図22~
図24は、プラットフォーム(730)の一実施例を、パッド(772)、及びそこから横方向に延在する周辺領域(774)を含むものとして更に詳細に示す。周辺領域(774)は、フレーム(760)内に位置決めされ、貫通穴(766)内に延在してパッド(772)をシャーシ(736)に固定する。一部の変形例では、プラットフォーム(730)は、高い摩擦係数を提供する材料から形成され、それにより、他の場合ではバットレス組立体(712)がプラットフォーム(730)の対応する表面に沿って摺動してしまういかなる傾向も低減される。例えば、プラットフォーム(730)は、固定具(774)及びパッド(772)として形成されるように成形される、シリコーンなどの弾性エラストマー材料を含んでもよい。シリコーン材料の一例は、30デュロメータ、ショアAのシリコーンである。この目的のために、パッド(772)は、下記でより詳細に説明するように、エンドエフェクタの平行キャンバ配向、過大キャンバ配向、及び過小キャンバ配向に適応しながらも、少なくとも接着のための所定の最小力の十分な反動力を同時に提供するため、その長手方向長さに沿って可変の剛度で形成される。本明細書で使用するとき、用語「平行キャンバ配向」は、互いに機能的に平行なエンドエフェクタの上部ジョー及び下部ジョーを指す。用語「過大キャンバ配向」は、エンドエフェクタの下部ジョーに対して過大回転されているエンドエフェクタの上部ジョーを指す。用語「過小キャンバ配向」は、エンドエフェクタの下部ジョーに対して過小回転されている上部ジョーを指す。
【0089】
図22及び
図23に関連して、パッド(772)の弾性近位端(778)は近位端剛度及び近位横断方向深さを有し、一方で、パッド(772)の弾性遠位端(780)は遠位端剛度及び遠位横断方向深さを有する。本実施例では、近位端剛度は一般に遠位端剛度より大きく、そのため遠位端(780)の初期圧縮は近位端(778)の圧縮よりも少ない圧縮力を必要とする。当然ながら、エンドエフェクタの過大キャンバ配向に適応するために遠位端(780)のより小さい剛度が近位端剛度の中に含まれる限り、近位端(778)と比較して遠位端(780)を更に圧縮することにより、遠位端剛度が近位端剛度まで増加するか、又は更には近位端剛度を超える場合がある。
【0090】
加えて、遠位横断方向深さは、近位横断方向深さよりも大きい。これにより、より大きな遠位横断方向深さが、過小キャンバ配向におけるエンドエフェクタとの改善された係合のためにバットレス組立体(712)を効果的に下支えするが、減少した遠位端剛度が、過大キャンバ配向でエンドエフェクタに適応するためのより高い圧縮を可能にする。本実施例のパッド(772)は、パッド(772)の長手方向全長に沿って平行キャンバ配向、過大キャンバ配向、及び過小キャンバ配向に適応するために、共に遠位端(780)から近位端(778)まで連続的に先細になる対向する傾斜面(782)を有する楔形である。いくつかの実施例では、パッド(772)に沿った深さ及び剛度は、エンドエフェクタの決定された製造公差に基づいて、過大キャンバ配向及び過小キャンバ配向の全範囲を受容するように構成される。
【0091】
図22~
図24に示すパッド(772)は、全体にわたって一貫した剛度を有する弾性材料で一体的に形成される。したがって、上述されるこうした長手方向に可変の剛度は、少なくとも遠位端(780)において、チャネル(784)などの複数のレリーフを形成して、近位端剛度よりも遠位端剛度を低減させることによって生成される。本実施例では、5つのチャネル(784)などのチャネル(784)は、横方向に互いから均等に離間し、遠位端(780)から近位端(778)まで長手方向に延在する。チャネル(784)は、パッド(772)に沿って長手方向に変化するチャネル深さを更に画定する。より具体的には、上部チャネル(784)は、上部傾斜面(782)から上部基部表面(786)まで横断方向下方に延在し、一方で下部チャネル(784)は、下部傾斜面(782)から下部基部表面(786)まで横断方向上方に延在する。次に、複数のリブ(788)が、チャネル(784)間に画定され、これらは同様に、バットレス組立体(712)を支持するために傾斜面(782)から基部表面(786)まで延在して、パッド(772)の各両側で近位端(778)から遠位端(780)まで可変の剛度を有する。
【0092】
ii.バットレス組立体を可変剛性プラットフォーム上に保持するための例示的な拘束機構
図20及び
図25~
図28は、バットレス組立体(712)を拘束位置でプラットフォーム(730)に解放可能に固定するための、上記で簡潔に論じられた左及び右アクチュエータスレッド(752、754)などの拘束機構を示す。左及び右アクチュエータスレッド(752、754)のそれぞれは、パッド(772)の長手方向長さに沿って様々な横断方向深さに適応するように構成されたアーム(755a、755b)を有する。より具体的には、アーム(755a、755b)は、互いから長手方向に離間し、プラットフォーム(730)に向かって横方向内向きに延在する、遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)を含む。遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)のそれぞれが、もう一方のアーム(755a、755b)から横断方向にオフセットされるように、左又は右アクチュエータスレッド(752、754)の遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)はそれぞれプラットフォーム(730)に向かって横断方向に延在する。これにより、遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)は、傾斜面(782)の輪郭をたどるように傾斜面(782)から横断方向に離間配置される。
【0093】
図25及び
図26に関連して、上部左アクチュエータスレッド(752)は、長手方向に延在する上部左スレッド本体(790)を有し、遠位及び近位アーム(755a、755b)が右に向かって横方向内向きに延在する。左アクチュエータスレッド(752)の各アーム(755a、755b)は、左アクチュエータスレッド(752)を解放位置に向けて付勢するためにエンドエフェクタを受容するように構成されたカム表面(791)を有する。加えて、合わせ穴(dowel hole)(792)が下方に開き、それぞれ上部左スレッド本体(790)の一部分上に位置決めされる。合わせピン(dowel)(794)は、左スレッド本体(790)から下方に、かつ外側合わせ穴(792)と長手方向に位置合わせして延在する。拘束位置及び解放位置における上部左アクチュエータスレッド(752)の移動を阻止するために、遠位カンチレバー留め具(796)は、上部左スレッド本体(790)の遠位部分から左横方向に延在し、近位カンチレバー留め具(798)は、上部左スレッド本体(790)の近位部分から左横方向に延在する。遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)はそれぞれ、以下でより詳細に論じられる遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)の一部分である。
【0094】
図27及び
図28に関連して、上部右アクチュエータスレッド(754)は、長手方向に延在する上部右スレッド本体(804)を有し、遠位及び近位アーム(755a、755b)が左に向かって横方向内向きに延在する。右アクチュエータスレッド(754)の各アーム(755a、755b)は、左アクチュエータスレッド(752)を解放位置に向けて付勢するためにエンドエフェクタを受容するように構成されたカム表面(805)を有する。加えて、合わせ穴(806)が下方に開き、上部右スレッド本体(804)上に位置決めされる。合わせピン(808)は、右スレッド本体(804)から下方に延在し、内側合わせ穴(806)と長手方向に位置合わせして位置決めされる。拘束位置及び解放位置における上部右アクチュエータスレッド(754)の移動を阻止するために、別の遠位カンチレバー留め具(796)は、上部右スレッド本体(804)の遠位部分から右横方向に延在し、別の近位カンチレバー留め具(796)は、上部右スレッド本体(804)の近位部分から右横方向に延在する。ここでも、遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)はそれぞれ、以下でより詳細に論じられる遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)の一部分である。
【0095】
図20、並びに
図29及び
図30は、上記で詳述した上部右及び左アクチュエータスレッド(752、754)、並びに下部右及び左アクチュエータスレッド(752、754)を示す。上記で簡潔に説明したとおり、上部右及び左アクチュエータスレッド(752、754)の説明は、同様の番号を有する同様の特徴部を備える(しかしながら、逆の横断方向(例えば下部、上方など)である)下部右及び左アクチュエータスレッド(752、754)に同様に適用される。この目的のため、シャーシ(736)がこれらの間に位置決めされた状態で、外側合わせピン(808)が外側合わせ穴(792)と嵌合し、内側合わせピン(794)が内側合わせ穴(806)と嵌合すると、上部左アクチュエータスレッド(752)及び下部右アクチュエータスレッド(754)は一体に接続される。シャーシ(736)がこれらの間に位置決めされた状態で、外側合わせピン(808)が外側合わせ穴(792)と嵌合し、内側合わせピン(794)が内側合わせ穴(806)と嵌合すると、上部右アクチュエータスレッド(754)及び下部左アクチュエータスレッド(752)は同様に一体に接続される。内側及び外側合わせピン(794、808)のそれぞれは、スレッドクリアランス穴(770)を通って延在して、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)をシャーシ(736)と摺動可能に接続する。
【0096】
図30は、一対の遠位アーム(755a)及び一対の近位アーム(755b)の一例を示しており、これらはそれぞれ、それらの間に位置決めされ、対向する傾斜面(782)をたどるプラットフォーム(730)を有する。中央面(810)が
図12に示されており、これは、プラットフォーム(730)の中央コアを貫いてバットレスアプライヤカートリッジ(716)の上部分と下部分とを二等分する。遠位アーム(755a)は、中央面(810)から比較的長い距離を横断方向にオフセットされた遠位保持表面(812a)を有し、近位アーム(755b)は、中央面(810)から比較的短い距離を横断方向にオフセットされた近位保持表面(812b)を有する。これにより、遠位及び近位保持表面(812a、812b)のより長い及びより短い距離は、パッド(772)の遠位端(780)からパッド(772)の近位端(778)まで先細になる傾斜面(782)をたどる。したがって、遠位及び近位保持表面(812a、812b)は、互いから且つ中央面(810)から、横断方向にオフセットされる。本実施例では、遠位アーム(755a)及び近位アーム(755b)のそれぞれは、アーム(755a、755b)が、パッド(772)の遠位端(780)からパッド(772)の近位端(778)まで先細になる傾斜面(782)を均等にたどるように、傾斜面(782)から均等な横断寸法で横断方向に離間配置されている。
【0097】
図31~
図33に示されるように、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)は、それぞれ、プラットフォームから遠ざかるように拘束位置から解放位置まで外向きに付勢されて、本明細書に記載されるように、プラットフォーム(730)上でアーム(755a、755b)をバットレス組立体(712)から係合解除する。より具体的には、遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)をシャーシ(736)と解放可能に接続して、拘束位置及び解放位置における左及び右アクチュエータスレッド(752、754)の移動を阻止する。遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、上記で簡潔に説明したように、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)のそれぞれから延在する遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)を含む。加えて、遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、それぞれ、遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)とそれぞれ係合した、シャーシ(736)から延在する遠位及び近位接地カム(814、816)を更に含む。
【0098】
図31に示される拘束位置では、各遠位カンチレバー留め具(796)はそれぞれ各遠位接地カム(814)と係合し、各近位カンチレバー留め具(798)はそれぞれ各近位接地カム(816)と係合して、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)を拘束位置に向かって内向きに付勢する。左及び右アクチュエータスレッド(752、754)を、拘束位置から
図32に示される解放位置に向けて外向きに誘導することで、遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)が遠位及び近位接地カム(814、816)に追従するときに、遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)は弾性的に偏向する。遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)が遠位及び近位接地カム(814、816)の周囲を通過すると、遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)は転換点(tipping point)に到達し、ここで、遠位及び近位カンチレバー留め具(796、798)が左及び右アクチュエータスレッド(752、754)を
図33に示す解放位置に付勢する。解放位置では、各遠位カンチレバー留め具(796)はそれぞれ各遠位側接地カム(814)と係合し、各近位カンチレバー留め具(798)はそれぞれ各近位側接地カム(816)と係合して、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)を解放位置に向かって外向きに付勢する。これにより、遠位及び近位戻り止め連結具(800、802)は、左及び右アクチュエータスレッド(752、754)を解放位置に効果的に保持して、本明細書で説明するように、エンドエフェクタを取り外したときにアーム(755a、755b)が誤って内向きに戻りバットレス組立体(712)を捕えるすることを阻止する。
【0099】
iii.外科用ステープラへのバットレスの例示的な接着、及び組織と共にしたバットレス組立体の切断
上述したように、上部及び下部バットレス組立体(712)は、それぞれのバットレス(714)をエンドエフェクタのアンビルの下側及びステープルカートリッジのデッキに接着するために、上部及び下部接着剤層(742)(又は他の形態の接着材料)を含む。そのような接着剤は、エンドエフェクタの作動前及び作動中におけるバットレス(714)の適切な位置決め提供し、続いて、バットレス(714)のその後の適切な機能を損なうのに実質的に十分な損傷をバットレス(714)に引き起こすことなく、エンドエフェクタが作動された後でバットレス(714)をエンドエフェクタから分離することを可能にし得る。バットレス組立体(712)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の米国特許出願第[代理人整理番号END8634USNP.0663974]号、名称「Adhesive Distribution on Buttress for Surgical Stapler」に記載される教示を更に組み込むことができる。
【0100】
単に例としてであり、限定するものでないが、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、
図15~
図18に関連して示され、且つ説明されるように、バットレス組立体(712)をエンドエフェクタ(40)に適用するために用いることができる。こうした例においては、バットレス組立体(712)は、バットレス組立体(100、110)に関して説明されたものと同様に、エンドエフェクタ(40)に取り付けられる。更に、本明細書に記載されるその他のエンドエフェクタをエンドエフェクタ(40)の代わりに使用してもよく、その結果、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)を使用してバットレス組立体(712)をそれらのエンドエフェクタのいずれかに適用することができる。上記で示し且つ説明したように、様々なエンドエフェクタは、直線状構成、屈曲又は湾曲先端部構成を有してもよく、ここでアンビルは、剛性の屈曲若しくは湾曲先端部、又はアンビルが変形可能な屈曲若しくは湾曲先端部を含む屈曲若しくは湾曲先端部構成を含む。これらの異なる構成にもかかわらず、以下でより詳細に説明するように、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、任意のこうした構成のエンドエフェクタと共に使用されるように構成されている。更に、上述したように、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、平行キャンバ、過大キャンバ、及び過小キャンバ配向を含む、エンドエフェクタの代替的キャンバ配向に適応するように構成される。上述したように、エンドエフェクタが過大キャンバ配向で、過小キャンバ配向で、又は平行キャンバ配向で構成されていようとも、バットレス(714)の接着剤層(742)がその長手方向長さに沿ってエンドエフェクタのそれぞれの部分と完全に、又は少なくとも実質的に接触して、バットレス(712)をエンドエフェクタに接着させるように、パッド(772)は十分な圧縮を提供する。
【0101】
iv.湾曲先端部エンドエフェクタを収容する例示的な開口機構
図19~
図33に示されるバットレスアプライヤカートリッジ(716)を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の別の機構は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)が、アンビルの一部分、又は更にはカートリッジの一部分となり得る、屈曲又は湾曲先端部を備えるものを含む様々なエンドエフェクタと共に使用されるための能力に関する。この点において、バットレスアプライヤカートリッジ(716)は開口部(701)を備える。開口部(701)は、エンドエフェクタの一部分がバットレスアプライヤカートリッジ(716)を通って頂部側又は上側から底部側又は下側へと通過することができる空間又は空隙として構成される。以下でより詳細に説明されるように、湾曲先端部を有するエンドエフェクタと共に使用される場合、開口部(701)は、エンドエフェクタのジョーが開口部(701)を通過する湾曲先端部によって閉鎖されることを可能にし、その結果、エンドエフェクタの上部ジョー及び下部ジョーは、少なくとも、上部ジョー及び下部ジョーがその長手方向全長に沿って、又は少なくとも実質的にその長手方向長さに沿ってバットレス組立体(712)と接触する点まで閉鎖することができる。同時に、開口部(701)が、直線状先端部設計エンドエフェクタの使用を阻止する又は妨害することはない。
【0102】
ここで
図19及び
図29~
図33を参照すると、本実施例の開口部(701)は、開口部(701)の遠位部分及び開口部(701)の側面に沿ってシャーシ(736)により画定される。更に、開口部は、開口部(701)の近位部分に沿ってプラットフォーム(730)により画定される。したがって、本実施例では、バットレスアプライヤカートリッジ(716)の複数の構造体又は構成要素が組み合わさって開口部(701)を画定する。いくつかの他の変形例では、開口部(701)は、より少ない、追加の、又は他の構成要素によって画定され得る。また、本実施例では、開口部(701)は、開口部(701)がU字形開口部を含むように、シャーシ(736)及びプラットフォーム(730)によって画定される。本明細書の教示を考慮すれば、開口部(701)を画定して代替的な開口部形状を提供する他の方法が当業者には明らかになるであろう。
【0103】
図34及び
図35を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)が、エンドエフェクタ(912)と共に使用されて示される。エンドエフェクタ(912)は、上述のエンドエフェクタ(12、40)と同様に直線状先端部構成を含む。エンドエフェクタ(912)は、アンビル(918)と、ステープルカートリッジ(937)を保持するジョー(916)とを備える。
図34に示すように、エンドエフェクタ(912)がバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)内に位置決めされて閉鎖されると、開口部(701)が、プラットフォーム(730)の反対側でカートリッジ(937)の一部を露呈させる。これは、本実施例において、エンドエフェクタ(912)が閉鎖されるとカートリッジ(937)がアンビル(918)よりも更に遠位に延伸するようにエンドエフェクタ(912)が構成された場合の事例である。
図35に示されるように、この構成では、反対側からの視野は、開口部(701)がカートリッジ(937)の遠位部分によって視覚的に遮断されることを示す。それでもなお、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)は、とりわけ本明細書に記載されるエンドエフェクタ(12、40、912)などの、先端部が直線状のエンドエフェクタと共に使用されるように構成される。
【0104】
図36及び
図37を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)が、エンドエフェクタ(1012)と共に使用されて示される。エンドエフェクタ(1012)は、上述のエンドエフェクタ(212、312、412、512、612)と同様に屈曲又は湾曲先端部構成を含む。エンドエフェクタ(1012)は、アンビル(1018)と、ステープルカートリッジ(1037)を保持するジョー(1016)とを備える。
図36に示すように、エンドエフェクタ(1012)がバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)内に位置決めされて閉鎖されると、開口部(701)が、プラットフォーム(730)の反対側でカートリッジ(1037)の一部を露呈させる。これは、本実施例において、エンドエフェクタ(912)が閉鎖されてプラットフォーム(730)に接触するとカートリッジ(1037)がアンビル(918)よりも更に遠位に延伸するようにエンドエフェクタ(1012)が構成された場合の事例である。
図37に示すように、エンドエフェクタ(1012)が閉じられ、プラットフォーム(730)に接触した状態で、アンビル(1018)の湾曲先端部(1014)は、開口部(701)を通過してカートリッジ(1037)に向かって延伸する。本実施例では、湾曲先端部(1014)は、一部の変形例では剛性であり、他の変形例では変形可能である。湾曲先端部(1014)のいずれかの構成においても、開口部(701)を有するバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)はアンビル(1018)及び湾曲先端部(1014)を収容し、その結果、バットレス組立体(712)をエンドエフェクタ(1012)に装填すると、湾曲先端部(1014)が開口部(701)を通って延伸する。
【0105】
VII.近位位置合わせ機構と湾曲先端部エンドエフェクタを収容するための遠位開口部とを備える例示的な代替的バットレスアプライヤカートリッジ
バットレスアプライヤカートリッジの他の変形例では、上述の開口部(701)と同様の代替的開口部をバットレスアプライヤカートリッジに組み込むことにより、湾曲先端部を有するエンドエフェクタを収容することができる。加えて、本明細書に記載されるバットレスアプライヤカートリッジはまた、バットレス組立体をエンドエフェクタに適用する前に、外科用ステープラのエンドエフェクタをバットレス組立体と位置合わせするように構成された1つ以上の位置合わせ機構を含むことができる。
【0106】
図38~
図41を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(2110)が示されており、これは、上記で示され且つ説明されるバットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)と同様である。その程度まで、バットレスアプライヤカートリッジ組立体(710)に関する上記の教示は、以下に記載される相違点を除いてバットレスアプライヤカートリッジ組立体(2110)に等しく適用される。バットレスアプライヤカートリッジ組立体(2110)は、上部ハウジング(726)及び下部ハウジング(728)を有すハウジング組立体(724)を有するバットレスアプライヤカートリッジ(2116)を備える。本実施例では、ハウジング組立体(724)は、近位端で開放され、
図39及び
図41に示されるエンドエフェクタ(1012)などのエンドエフェクタを収容するように構成されたチャネル(2103)を画定する。
【0107】
バットレスアプライヤカートリッジ(2116)は、シャーシ(2136)及びプラットフォーム(2130)を更に備える。上述のバットレスアプライヤカートリッジ(716)の構成と同様のいくつかの実施例では、シャーシ(2136)はハウジング組立体(724)と接続可能であり、プラットフォーム(2130)はシャーシ(2136)と接続可能である。このようにして、プラットフォーム(2130)は、シャーシ(2136)を介して間接的にハウジング組立体(724)と接続可能である。更に他の実施例では、バットレスアプライヤカートリッジ(716、2116)は、プラットフォーム(2136)がハウジング組立体(724)と直接接続可能であり得るように構成され得る。
【0108】
図38で最も良く分かるように、プラットフォーム(2130)は、バットレスアプライヤカートリッジ(716)に関して上述したものと同じ方法でバットレス組立体(712)を保持するように構成されている。本実施例では、プラットフォーム(2130)は圧縮可能であり、また、チャネル(2103)によって画定される空間又は領域がプラットフォーム(2130)によって包囲されるように、近位に遠位に延在する。チャネル(2103)の遠位端付近で、プラットフォーム(2130)は、プラットフォーム(2130)内の穴又はカットアウトによって画定される開口部(2101)を含む。この構成では、開口部(2101)は、1つ以上のバットレス組立体(712)がプラットフォーム(2130)によって支持されるか又は支持可能な場所の遠位に位置する。本実施例では、開口部(2101)はU字形カットアウトを含む。このようにして、開口部(2101)はプラットフォーム(2130)内に形成され、且つプラットフォーム(2130)によって全ての側面上で画定される。上述の開口部(701)と同様に、開口部(2101)は、エンドエフェクタ(1012)又は別の同様のエンドエフェクタの湾曲先端部(1014)がプラットフォーム(2130)及び/又はシャーシ(2136)を通過できるように構成される。このようにして、湾曲先端部(1014)は、組み合わされたシャーシ(2136)及びプラットフォーム(2130)の一方の側からもう一方の側まで横断方向に延在する。
【0109】
開口部(2101)は、湾曲先端部(1014)よりも大きく、湾曲先端部(1014)よりも小さく、又は湾曲先端部(1014)とサイズが等しいか若しくは実質的に等しくあるように構成され得る。本明細書で説明され、
図38に示されるU字形開口部(2101)などのいくつかの場合では、例えば、湾曲先端部(1014)が開口部(2101)を通って延伸し、開口部(2101)の側面を押圧するとき、プラットフォーム(2130)によって画定される開口部(2101)が拡張可能であるように、プラットフォーム(2130)は弾性材料を含む。また、U字形開口部(2101)などのいくつかの場合には、開口部(2101)は、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)の形状の輪郭と似た形状で構成され得る。このように、開口部(2101)及びエンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)の形状は相補的である。本明細書の教示を考慮すれば、開口部(2101)の他の構成が当業者には明らかとなろう。
【0110】
上述のプラットフォーム(730)と同様に、プラットフォーム(2130)は、プラットフォーム(2130)の近位部分(2178)と比較して、開口部(2101)近位の遠位部分(2180)でより厚くなるように構成されている。このようにして、プラットフォーム(2130)は遠位部分(2180)から近位部分(2178)にかけて先細を備える。換言すると、プラットフォーム(2130)は、近位部分(2178)から遠位部分(2180)にかけて厚さが増加する。
図38の本実施例に示すように、開口部(2101)は、プラットフォーム(2130)上で遠位部分(2180)と比較して更に遠位に位置する。更に、本実施例では、
図40及び
図41に示されるように、開口部(2101)を有するプラットフォーム(2130)の部分は、遠位部分(2180)よりも薄くなっている。
【0111】
図39を再び参照すると、チャネル(2103)の画定において、ハウジング組立体(724)は、チャネル(2103)の遠位端にV字形又はU字形の凹部(2105)を備える。このように、凹部(2105)は、湾曲先端部(1014)の遠位端又は遠位先端部(1019)を収容するように構成される。再び
図38を参照すると、本実施例では、開口部(2101)は、凹部(2105)によって画定される領域内に位置する。このように、バットレスアプライヤカートリッジ(2116)は、ハウジング組立体(724)及びプラットフォーム(2130)上に設けられた機構を少なくとも備える、湾曲先端部(1014)及び遠位端(1019)を収容するように構成される。エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)の遠位端(1019)を収容するための空間を提供することに加えて、場合によっては、凹部(2105)は、エンドエフェクタ(1012)がバットレス組立体(712)を取り上げることができるように、エンドエフェクタ(1012)をプラットフォーム(2130)上にクランプするときにエンドエフェクタ(1012)を案内又は位置合わせすることを更に支援し得る。しかしながら、後述するように、他の位置合わせ機構又は構造体はまた、凹部(2105)によって提供される任意の位置合わせの代わりに、又はそれに加えて、バットレスアプライヤカートリッジ(2116)を備えてもよい。
【0112】
図38、
図40、及び
図41を参照すると、バットレスアプライヤカートリッジ(2116)は更に、バットレスアプライヤカートリッジ(2116)の近位端に位置する位置合わせ機構(2132)を含む。本実施例では、位置合わせ機構(2132)は、チャネル(2103)の幅にわたって横方向に延在する薄い剛性部分を備える。このようにして、位置合わせ機構(2132)は、長手方向に延在するチャネル(2103)に対して直交して延在する。エンドエフェクタ(1012)が、
図40に示されるようにバットレスアプライヤカートリッジ(2116)と共に完全に位置決めされると、位置合わせ機構(2132)は、エンドエフェクタの垂直スロットによって画定される切断線を横切って延在し、ここで発射ビームが移動してクランプされた組織を切断し、これは上記の垂直スロット(49)及びエンドエフェクタ(12)の発射ビーム(14)と同じか又は類似している。いくつかの他の変形例では、位置合わせ機構(2132)は、チャネル(2103)の幅及びエンドエフェクタによって画定される切断線にわたり、横方向により大きな又は小さな程度で延在してもよい。
【0113】
位置合わせ機構(2132)は、近位位置合わせ機構として構成される。このように、位置合わせ機構(2132)は、エンドエフェクタがクランプ前に開放されているが、チャネル(2103)内のバットレスアプライヤカートリッジ(2116)と共に完全に位置決めされたときに、エンドエフェクタの近位縁部又は1つ以上の組織止めと係合又は接触するように構成されている。いくつかの場合では、エンドエフェクタの近位縁部又は1つ以上の組織止めは、ステープルカートリッジを含んだエンドエフェクタのジョー上に配置されてもよい。いくつかの他の場合では、エンドエフェクタの近位縁部又は1つ以上の組織止めは、アンビルを含んだエンドエフェクタのジョー上に配置されてもよい。
【0114】
図40及び
図41に示されるように、位置合わせ機構(2132)は、エンドエフェクタ(1012)の近位縁部(1016)と接触するように構成される。場合によっては、近位縁部(1016)は、近位縁部(1016)がエンドエフェクタ(1012)内に組織を過剰に挿入することを防いで、標的組織の完全な切断及びステープル留めを確実にするように、組織止めとして動作可能である。他の場合では、1つ以上の専用組織止めがエンドエフェクタから延在し、こうした場合、位置合わせ機構(2132)はこうした組織止めと接触するように構成される。
図42及び
図43を参照すると、エンドエフェクタ(912)が、ハウジング組立体(724)が取り外された状態で示されている、別のバットレスアプライヤカートリッジ(2216)と共に完全に位置決めされて示されている。位置合わせ機構(2132)は、近位端に位置し、プラットフォーム(2230)から延在する。位置合わせ機構(2132)は、
図43で最も良く分かるように組織止め(915)に接触する。
【0115】
再び
図40及び
図41を参照すると、位置合わせ機構(2132)はプラットフォーム(2130)と接続可能であり、プラットフォーム(2130)から近位に延在する。更に、本実施例に示されるように、位置合わせ機構(2132)は、そこから位置合わせ機構(2132)が延在するプラットフォーム(2130)の隣接する部分よりも薄い。このようにして、位置合わせ機構(2132)は、バットレス組立体(712)を取り上げるためにプラットフォーム(2130)上にクランプするエンドエフェクタに干渉しないように構成される。更に示されるように、位置合わせ機構(2132)は、バットレス組立体(712)がプラットフォーム(2130)によって支持されるか又は支持可能な場所の間に位置決めされる。いくつかの変形例では、位置合わせ機構(2132)は、プラットフォーム(2130)に接続する別個の剛性構造体を備える。しかしながら、他の変形例では、位置合わせ機構(2132)がプラットフォーム(2130)の一部として形成されるように、位置合わせ機構(2132)は、プラットフォーム(2130)自体の剛性近位部分又は端部であってもよい。
【0116】
エンドエフェクタが、位置合わせ機構(2132)を有するバットレスアプライヤカートリッジと共に使用される場合、位置合わせ機構(2132)は、エンドエフェクタを案内して、バットレスアプライヤカートリッジによって支持されるバットレス組立体(712)に対してエンドエフェクタを位置合わせする。したがって、位置合わせ機構(2132)は、エンドエフェクタの遠位部分を位置合わせすることを含む、エンドエフェクタの長手方向位置を位置合わせする近位位置合わせ機構として構成される。
【0117】
図示された
図39~
図41の実施例では、エンドエフェクタ(1012)がバットレスアプライヤカートリッジ組立体(2110)と共に使用される場合、近位縁部(1016)は、プラットフォーム(2130)及びその上に支持されるバットレス組立体(712)に対してエンドエフェクタ(1012)の長手方向位置を位置合わせするために使用される。更に、本実施例では、位置合わせ機構(2132)は、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)を案内して、湾曲先端部(1014)を開口部(2101)と位置合わせするように構成されている。このように、バットレスアプライヤカートリッジ(2116)は、プラットフォーム(2130)上でエンドエフェクタ(1012)をクランプする前にエンドエフェクタ(1012)の近位縁部(1016)が位置合わせ機構(2132)に接触すると、開口部(2101)と位置合わせ機構(2132)との間の空隙によって、エンドエフェクタ(1012)の湾曲先端部(1014)が開口部(2101)と位置合わせすることが可能となるように構成される。更に、続いてエンドエフェクタ(1012)をクランプするとき、湾曲先端部(1014)と開口部(2101)との位置合わせにより、湾曲先端部(1014)の少なくとも一部が開口部(2101)を通って延在するか、又は開口部(2101)を通過することが可能になる。
図41に示されるように、これが生じた場合、開口部(2101)は変形し、その結果、湾曲先端部(1014)がプラットフォーム(2130)に接触してプラットフォーム(2130)を下方に押すと、開口部(2101)周囲のプラットフォーム(2130)の一部が湾曲先端部(1014)から遠ざかるように下向きに偏向する。本明細書の教示を考慮すると、外科用ステープラのエンドエフェクタをバットレスアプライヤカートリッジと位置合わせする、バットレスアプライヤカートリッジを備える1つ以上の位置合わせ機構を組み込むその他の方法、又は、こうしたエンドエフェクタと共に使用するために位置合わせ機構(2132)を修正する方法は、当業者には明らかとなるであろう。
【0118】
本明細書に記載される様々なバットレスアプライヤカートリッジは、本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれかと共に使用され得る。例として、限定するものではないが、湾曲先端部を有するエンドエフェクタと協働する及び/又はそれを収容するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジのこれらの機構は、バットレスアプライヤカートリッジを、湾曲先端部のための様々なスタイル及び構成を有するエンドエフェクタと共に使用するのに好適なものにする。例えば、湾曲先端部エンドエフェクタのための機構を備えた本明細書に記載されるバットレスアプライヤカートリッジは、湾曲先端部がゆるやかに湾曲していてもよいか、又は、湾曲先端部がゆるやかな湾曲ではなくより大きな角度をなすか若しくは屈曲した構成を有するように、湾曲先端部がアンビルの軸に対して位置合わせされていないか、若しくは角度をなしていてもよいエンドエフェクタと共に使用されて得る。また、本明細書に記載される湾曲先端部を備えるエンドエフェクタを収容する機構を備えるバットレスアプライヤカートリッジは、湾曲先端部分がカートリッジの遠位端から離間配置されているか、又はカートリッジの遠位端と同じ若しくは類似する点で終端するエンドエフェクタと共に使用され得るか、又はこれと共に使用するように構成され得る。また、本明細書に記載される湾曲先端部を備えるエンドエフェクタを収容する機構を備えるバットレスアプライヤカートリッジは、非外傷性先端部、切開先端部、可視化先端部、配置先端部、偏向可能又は変形可能な先端、及びこれらの組み合わせなどの様々な用途又は応用のために構成された湾曲先端部を有するエンドエフェクタと共に使用され得るか、又はこれと共に使用するように構成され得る。本明細書の教示を考慮すれば、本明細書に記載されるエンドエフェクタと協働するように本明細書に記載されるバットレスアプライヤカートリッジを構成する他の方法が、当業者には明らかとなるであろう。
【0119】
VIII.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0120】
バットレスアプライヤカートリッジは、1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、1つ以上のバットレス組立体を、エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうち選択される1つ以上に適用するように更に構成されている。エンドエフェクタの第1のジョーはアンビルを備え、エンドエフェクタの第2のジョーはステープルカートリッジを備える。バットレスアプライヤカートリッジは、(a)近位端及び遠位端を有するハウジングハウジング組立体を備える。ハウジング組立体は、長手方向に延在し、エンドエフェクタを受容するように構成されたチャネルを画定する。バットレスアプライヤカートリッジは、(b)ハウジング組立体と直接的又は間接的に接続可能なプラットフォームを更に備える。プラットフォームはチャネルによって画定された領域内で長手方向に延在し、1つ以上のバットレス組立体をその上で支持するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、(c)プラットフォームの第1の側からプラットフォームの第1の側と反対側のプラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部を更に備える。開口部は、エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、湾曲先端部の少なくとも一部分が、プラットフォームの第1の側からプラットフォームの第2の側まで延在するのを可能にするように構成される。バットレスアプライヤカートリッジは、(d)プラットフォームと接続可能であり、且つプラットフォームから近位に延在する位置合わせ機構を更に備える。位置合わせ機構は、エンドエフェクタがハウジング組立体によって画定されたチャネル内に完全に位置決めされているときに、エンドエフェクタの組織止めと接触するように構成されている。
【実施例2】
【0121】
位置合わせ機構は剛性である、実施例1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例3】
【0122】
位置合わせ機構はプラットフォームよりも薄い、実施例1又は実施例2に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例4】
【0123】
位置合わせ機構は、1つ以上のバットレス組立体がプラットフォームによって支持可能な場所の間に位置決めされている、実施例1~実施例3のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例5】
【0124】
位置合わせ機構は、エンドエフェクタがチャネル内に位置決めされたときに、位置合わせ機構がエンドエフェクタによって画定される切断線全体にわたって延在するように、長手方向に延在するチャネルに対して直交して延在している、実施例1~実施例4のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例6】
【0125】
位置合わせ機構はプラットフォームの近位端と接続する、実施例1~実施例5のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例7】
【0126】
位置合わせ機構は、エンドエフェクタの湾曲先端部を案内して、エンドエフェクタの湾曲先端部を開口部と位置合わせするように構成されている、実施例1~実施例6のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例8】
【0127】
位置合わせ機構は、プラットフォームの一部として形成されている、実施例1~実施例7のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例9】
【0128】
プラットフォームは近位部分から遠位部分へと厚さが増加する、実施例1~実施例8のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例10】
【0129】
プラットフォームは圧縮可能である、実施例1~実施例9のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例11】
【0130】
シャーシを更に備え、シャーシはハウジング組立体と接続し、プラットフォームはシャーシと接続する、実施例1~実施例10のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例12】
【0131】
開口部はU字形カットアウトを備える、実施例1~実施例11のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例13】
【0132】
開口部は、1つ以上のバットレス組立体がプラットフォームによって支持可能な場所の遠位に位置している、実施例1~実施例12のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例14】
【0133】
エンドエフェクタをプラットフォーム上にクランプすることで、エンドエフェクタの湾曲先端部が開口部を少なくとも部分的に通って延在する、実施例1~実施例13のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例15】
【0134】
湾曲先端部が開口部を通過するとき開口部は変形する、実施例1~実施例14のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例16】
【0135】
エンドエフェクタの組織止めが位置合わせ機構と接触してエンドエフェクタがクランプされると、エンドエフェクタの湾曲先端部が開口部と位置合わせし、且つ開口部を通って延在するように、開口部と位置合わせ機構とは離間配置されている、実施例1~実施例15のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例17】
【0136】
エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうちの選択されたジョーの近位縁部が、プラットフォーム及びプラットフォームによって支持されるように構成された1つ以上のバットレス組立体に対してエンドエフェクタの長手方向位置を位置合わせするために使用されるように、更に構成されている、実施例1~実施例16のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例18】
【0137】
エンドエフェクタの湾曲先端部は切開先端部である、実施例1~実施例17のいずれか1つ以上に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【実施例19】
【0138】
バットレスアプライヤカートリッジ組立体は、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用するように構成される。バットレスアプライヤカートリッジ組立体は、(a)エンドエフェクタをバットレスアプライヤカートリッジ組立体上にクランプするときに、エンドエフェクタに選択的に接着されるように構成されたバットレス組立体を備える。バットレスアプライヤカートリッジ組立体は、(b)バットレス組立体を選択的に保持するバットレスアプライヤカートリッジであって、(i)近位部分から遠位部分まで長手方向に延在するプラットフォームを備える、バットレスアプライヤカートリッジを更に備える。プラットフォームは、バットレス組立体を選択的に支持し、エンドエフェクタを受容するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、(ii)プラットフォームの第1の側からプラットフォームの第1の側と反対側のプラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部を更に備える。開口部は、エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、湾曲先端部の少なくとも一部分が、開口部をプラットフォームの第1の側からプラットフォームの第2の側まで通過するのを可能にするように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、(iii)バットレスアプライヤカートリッジの近位端に位置し、エンドエフェクタをプラットフォーム上でクランプする前に、エンドエフェクタの近位縁部と接触して、エンドエフェクタをクランプする前に、エンドエフェクタを案内してプラットフォームによって支持されるバットレス組立体と位置合わせするように構成された位置合わせ機構を更に備える。
【実施例20】
【0139】
バットレス適用システムは、(a)外科用ステープラ用のエンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーを備える。エンドエフェクタの第1のジョーはアンビルを備え、エンドエフェクタの第2のジョーはステープルカートリッジを備える。エンドエフェクタは湾曲先端部及び1つ以上の組織止めを更に備える。バットレス適用システムは、(b)それぞれがバットレス及び接着剤を備える一対のバットレス組立体を更に備える。一対のバットレス組立体の第1のバットレス組立体は、エンドエフェクタの第1のジョーに選択的に接着するように構成されており、一対のバットレス組立体の第2のバットレス組立体は、エンドエフェクタの第2のジョーに選択的に接着するように構成されている。バットレス適用システムは、(c)バットレス組立体を選択的に保持し、且つバットレス組立体をエンドエフェクタに適用するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジを更に備える。バットレスアプライヤカートリッジは、(i)長手方向に延在するチャネルを画定するハウジングを備える。チャネルは近位端で開放され、エンドエフェクタを受容するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、(ii)長手方向に延在し、ハウジングに直接的又は間接的に動作可能に接続されたプラットフォームを更に備える。プラットフォームは、その上にバットレス組立体を支持する。バットレスアプライヤカートリッジは、(iii)プラットフォームの第1の側からプラットフォームの第1の側と反対側のプラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部を更に備える。開口部は、エンドエフェクタがプラットフォーム上にクランプされたときに、エンドエフェクタの湾曲先端部を受容するように構成されている。バットレスアプライヤカートリッジは、(iv)プラットフォームと接続可能な位置合わせ機構を更に備える。位置合わせ機構はプラットフォームから近位に延在する。位置合わせ機構は、エンドエフェクタが開放され、且つハウジング組立体によって画定されたチャネル内に位置決めされているときに、エンドエフェクタの1つ以上の組織止めと接触するように構成されている。
【0140】
IX.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0141】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年12月18日発行の「Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題する米国特許第D836,198号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許第D836,198号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0142】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年11月6日発行の「Circular Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題する米国特許第D833,010号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許第D833,010号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0143】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年8月23日公開の「Surgical Stapler with Insertable Distal Anvil Tip」と題する米国特許出願公開第2018/0235610号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願公開第2018/0235610号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0144】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年8月23日公開の「Surgical Stapler with Cooperating Distal Tip Features on Anvil and Staple Cartridge」と題する米国特許出願公開第2018/0235611号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願公開第2018/0235611号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0145】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年12月18日発行の「Surgical Stapler with Bent Anvil Tip and Angled Staple Cartridge Tip」と題する米国特許第D836,199号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許第D836,199号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0146】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年8月23日公開の「Surgical Stapler with Bent Anvil Tip,Angled Staple Cartridge Tip,and Tissue Gripping Features」と題する米国特許出願公開第2018/0235619号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願公開第2018/0235619号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0147】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年7月16日出願の「Method of Surgical Stapling with End Effectors Having a Curved Tip」と題する米国特許出願第16/035,893号の様々な教示と容易に組み合わされ得ることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願第16/035,893号の教示と組み合わせることのできる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0148】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0149】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示が、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わされ得ることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日発行の「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する米国特許第5,817,084号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年3月2日発行の「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する米国特許第5,878,193号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月15日発行の「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する米国特許第6,231,565号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月2日発行の「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する米国特許第6,364,888号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日発行の「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する米国特許第7,524,320号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月6日発行の「Platform Link Wrist Mechanism」と題する米国特許第7,691,098号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月5日発行の「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年9月30日発行の「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する米国特許第8,844,789号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年9月2日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Force-Feedback Capabilities」と題する米国特許第8,820,605号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年12月31日発行の「Shiftable Drive Interface for Robotically-Controlled Surgical Tool」と題する米国特許第8,616,431号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年11月5日発行の「Surgical Stapling Instruments with Cam-Driven Staple Deployment Arrangements」と題する米国特許第8,573,461号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年12月10日発行の「Robotically-Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する米国特許第8,602,288号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題する米国特許第9,301,759号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2014年8月12日発行の「Robotically Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号。
【0150】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は手技の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本願の範囲内にある。
【0151】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0152】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0153】
〔実施の態様〕
(1) 1つ以上のバットレス組立体を保持するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、前記バットレスアプライヤカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されて、前記1つ以上のバットレス組立体を、前記エンドエフェクタの第1のジョー及び第2のジョーのうち選択される1つ以上に適用するように更に構成され、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーはアンビルを備え、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーはステープルカートリッジを備え、前記バットレスアプライヤカートリッジは、
(a)近位端及び遠位端を有するハウジング組立体であって、長手方向に延在し、前記エンドエフェクタを受容するように構成されたチャネルを画定する、ハウジング組立体と、
(b)前記ハウジング組立体と直接的又は間接的に接続可能なプラットフォームであって、前記プラットフォームは前記チャネルによって画定された領域内で長手方向に延在し、前記プラットフォームは前記1つ以上のバットレス組立体をその上で支持するように構成されている、プラットフォームと、
(c)前記プラットフォームの第1の側から前記プラットフォームの前記第1の側と反対側の前記プラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、前記開口部は、前記エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、前記湾曲先端部の少なくとも一部分が、前記プラットフォームの前記第1の側から前記プラットフォームの前記第2の側まで延在するのを可能にするように構成されている、開口部と、
(d)位置合わせ機構であって、前記位置合わせ機構は前記プラットフォームと接続可能であり、且つ前記プラットフォームから近位に延在し、前記位置合わせ機構は、前記エンドエフェクタが前記ハウジング組立体によって画定された前記チャネル内に完全に位置決めされているときに、前記エンドエフェクタの組織止めと接触するように構成されている、位置合わせ機構と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ。
(2) 前記位置合わせ機構は剛性である、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(3) 前記位置合わせ機構は前記プラットフォームよりも薄い、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(4) 前記位置合わせ機構は、前記1つ以上のバットレス組立体が前記プラットフォームによって支持可能な場所の間に位置決めされている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(5) 前記位置合わせ機構は、前記エンドエフェクタが前記チャネル内に位置決めされたときに、前記位置合わせ機構が前記エンドエフェクタによって画定される切断線全体にわたって延在するように、長手方向に延在する前記チャネルに対して直交して延在している、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【0154】
(6) 前記位置合わせ機構は前記プラットフォームの近位端と接続する、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(7) 前記位置合わせ機構は、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部を案内して、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部を前記開口部と位置合わせするように構成されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(8) 前記位置合わせ機構は、前記プラットフォームの一部として形成されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(9) 前記プラットフォームは近位部分から遠位部分へと厚さが増加する、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(10) 前記プラットフォームは圧縮可能である、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【0155】
(11) シャーシを更に備え、前記シャーシは前記ハウジング組立体と接続し、前記プラットフォームは前記シャーシと接続する、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(12) 前記開口部はU字形カットアウトを備える、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(13) 前記開口部は、前記1つ以上のバットレス組立体が前記プラットフォームによって支持可能な場所の遠位に位置している、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(14) 前記エンドエフェクタを前記プラットフォーム上にクランプすることで、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部が前記開口部を少なくとも部分的に通って延在する、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(15) 前記湾曲先端部が前記開口部を通過するとき前記開口部は変形する、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
【0156】
(16) 前記エンドエフェクタの前記組織止めが前記位置合わせ機構と接触して前記エンドエフェクタがクランプされると、前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部が前記開口部と位置合わせし、且つ前記開口部を通って延在するように、前記開口部と前記位置合わせ機構とは離間配置されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(17) 前記エンドエフェクタの前記第1のジョー及び前記第2のジョーのうちの選択されたジョーの近位縁部が、前記プラットフォーム及び前記プラットフォームによって支持されるように構成された前記1つ以上のバットレス組立体に対して前記エンドエフェクタの長手方向位置を位置合わせするために使用されるように、更に構成されている、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(18) 前記エンドエフェクタの前記湾曲先端部は切開先端部である、実施態様1に記載のバットレスアプライヤカートリッジ。
(19) 外科用ステープラのエンドエフェクタと共に使用されるように構成されたバットレスアプライヤカートリッジ組立体であって、
(a)前記エンドエフェクタを前記バットレスアプライヤカートリッジ組立体上にクランプするときに、前記エンドエフェクタに選択的に接着されるように構成されたバットレス組立体と、
(b)前記バットレス組立体を選択的に保持するバットレスアプライヤカートリッジであって、
(i)近位部分から遠位部分まで長手方向に延在するプラットフォームであって、前記バットレス組立体を選択的に支持するように構成され、且つ前記エンドエフェクタを受容するように更に構成された、プラットフォームと、
(ii)前記プラットフォームの第1の側から前記プラットフォームの前記第1の側と反対側の前記プラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、前記開口部は、前記エンドエフェクタの湾曲先端部を受容して、前記湾曲先端部の少なくとも一部分が、前記開口部を前記プラットフォームの前記第1の側から前記プラットフォームの前記第2の側まで通過するのを可能にするように構成されている、開口部と、
(iii)前記バットレスアプライヤカートリッジの近位端に位置し、前記エンドエフェクタを前記プラットフォーム上でクランプする前に、前記エンドエフェクタの近位縁部と接触して、前記エンドエフェクタをクランプする前に、前記エンドエフェクタを案内して前記プラットフォームによって支持される前記バットレス組立体と位置合わせするように構成された位置合わせ機構と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジと、を備える、バットレスアプライヤカートリッジ組立体。
(20) バットレス適用システムであって、
(a)外科用ステープラ用のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは第1のジョー及び第2のジョーを備え、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーはアンビルを備え、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーはステープルカートリッジを備え、前記エンドエフェクタは湾曲先端部及び1つ以上の組織止めを更に備える、エンドエフェクタと、
(b)それぞれがバットレス及び接着剤を備える一対のバットレス組立体であって、前記一対のバットレス組立体の第1のバットレス組立体は、前記エンドエフェクタの前記第1のジョーに選択的に接着するように構成されており、前記一対のバットレス組立体の第2のバットレス組立体は、前記エンドエフェクタの前記第2のジョーに選択的に接着するように構成されている、バットレス組立体と、
(c)前記バットレス組立体を選択的に保持し、且つ前記バットレス組立体を前記エンドエフェクタに適用するように構成されたバットレスアプライヤカートリッジであって、
(i)長手方向に延在するチャネルを画定するハウジングであって、前記チャネルは近位端で開放され、前記エンドエフェクタを受容するように構成されている、ハウジングと、
(ii)長手方向に延在し、前記ハウジングに直接的又は間接的に動作可能に接続されたプラットフォームであって、その上に前記バットレス組立体を支持する、プラットフォームと、
(iii)前記プラットフォームの第1の側から前記プラットフォームの前記第1の側と反対側の前記プラットフォームの第2の側まで横断方向に延在する開口部であって、前記エンドエフェクタが前記プラットフォーム上にクランプされたときに、前記エンドエフェクタの湾曲先端部を受容するように構成されている、開口部と、
(iv)前記プラットフォームと接続可能な位置合わせ機構であって、前記位置合わせ機構は前記プラットフォームから近位に延在し、前記位置合わせ機構は、前記エンドエフェクタが開放され、且つ前記ハウジング組立体によって画定された前記チャネル内に位置決めされているときに、前記エンドエフェクタの前記1つ以上の組織止めと接触するように構成されている、位置合わせ機構と、を備える、バットレスアプライヤカートリッジと、を備える、バットレス適用システム。