(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】遺伝子へのDNAの標的化挿入のための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240326BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240326BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240326BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240326BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240326BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240326BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/867 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N15/861 Z
A61K35/76
A61K48/00
A61P25/00
(21)【出願番号】P 2021546192
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019056083
(87)【国際公開番号】W WO2020081438
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-12
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521162883
【氏名又は名称】ブルーアレル, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バルテス, ニコラス
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-530769(JP,A)
【文献】Sci Rep,2017年06月23日, vol. 7, no. 1,article no. 4159 (pp. 1-11)
【文献】"Supra-therapeutic levels of transgene expression achieved in vivo by CRISPR/Cas9 mediated targeted gene insertion",26th Annual Congress of the European Society of Gene and Cell Therapy on 18 OCT 2018,2018年10月18日,pp. 1-15,Scientific Publications & Presentations [online], Intellia Therapeutics, <URL: https://www.intelliatx.com/wp-content/uploads/Intellia_ESGCT_Insertion_FINAL2_10.18.2018.pdf >,[retrieved on 01 OCT 2023] which retrieved from the internet: <URL: https://www.intelliatx.com/our-science/publications-and-presentations/ >
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入遺伝
子であって、
前記導入遺伝子が、
i.第1および第2のスプライスアクセプター配列、
ii.第1および第2
のコード配列、ならびに
iii
.第1および第2のターミネーター、
を含
み、前記導入遺伝子が、5’から3’の方向へ、前記第1のスプライスアクセプター配列、前記第1のコード配列、前記第1のターミネーター、逆相補の前記第2のターミネーター、逆相補の前記第2のコード配列、および逆相補の前記第2のスプライスアクセプター配列を含み、
前記第1のコード配列が、アミノ酸配列をコードし、前記第2のコード配列が、前記第1のコード配列と同じアミノ酸配列をコードする、導入遺伝子。
【請求項2】
前記導入遺伝子が、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含み、前記標的部位が、前記第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する、請求項
1に記載の
導入遺伝子。
【請求項3】
前記導入遺伝子が、前記第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右の相同アームをさらに含む、請求項
1に記載の
導入遺伝子。
【請求項4】
前記導入遺伝子が、前記1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含み、前記標的部位が、前記第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する、請求項
3に記載の
導入遺伝子。
【請求項5】
前記第1および第2の標的部位が、前記第1および第2の相同アームに隣接する、請求項
4に記載の
導入遺伝子。
【請求項6】
前記導入遺伝子が、非病原性ATXN3遺伝子のエキソン10によって産生されるペプチドをコードする第1および第2
のコード配列を含
む、請求項
1に記載の
導入遺伝子。
【請求項7】
前記導入遺伝子が、非病原性CACNA1A遺伝子のエキソン47によって産生されるペプチドをコードする第1および第2
のコード配列を含
む、請求項
1に記載の
導入遺伝子。
【請求項8】
前記第1および第2のコード配列が、核酸配列において異なるが、同じアミノ酸をコードする、請求項1に記載の
導入遺伝子。
【請求項9】
前記導入遺伝子が、ベクターに保有され、前記ベクターの形式が、二本鎖直鎖DNA、二本鎖環状DNA、またはウイルスベクターから選択される、請求項1に記載の
導入遺伝子。
【請求項10】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターから選択される、請求項
9に記載の
導入遺伝子。
【請求項11】
前記導入遺伝子が、4.7kb以下
のサイズである、請求項1
0に記載の
導入遺伝子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、先の出願および同時係属出願である2018年10月16日に出願されたUSSN62/746,497、2019年4月8日に出願されたUSSN62/830,654、および2019年6月20日に出願されたUSSN62/864,432の利益を主張し、これらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に援用される。当該ASCIIコピーは、2019年10月14日に作成され、SEQUENCE_LISTING_BA2018-4WO_P12987WO00.txtという名前で、517,036バイトのサイズである。
【0003】
本文書は、ゲノム編集の分野である。より具体的には、本文書は、レアカッティング(rare-cutting)エンドヌクレアーゼまたはトランスポザーゼを使用した内因性遺伝子の標的化修飾に関する。
【背景技術】
【0004】
単一遺伝子障害(monogenic disorder)は、その例としては鎌状赤血球症(ヘモグロビン-β遺伝子)、嚢胞性線維症(嚢胞性線維症膜貫通伝導調節因子遺伝子)、およびテイ・サックス病(β-ヘキソサミニダーゼA遺伝子)が挙げられる、単一の遺伝子における1つ以上の変異によって引き起こされる。単一遺伝子障害は、欠陥遺伝子を機能性コピーで置き換えることが治療上の利益をもたらす可能性があるため、遺伝子治療に対する関心が高まってきた。しかしながら、効果的な療法を生み出す上での1つの妨げとしては、遺伝子の機能性コピーのサイズが挙げられる。ウイルスを使用するものを含む多くの送達方法には、サイズ制限があり、大きな導入遺伝子の送達を妨げる。さらに、多くの遺伝子は、複数のタンパク質をコードする単一の遺伝子をもたらす、選択的スプライシングパターンを有する。欠陥遺伝子の部分領域を修正する方法は、単一遺伝子障害を治療するための代替手段を提供し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
遺伝子編集は、遺伝性障害に見出される変異を修正するために有望であるが、機能獲得変異によって引き起こされるもの、または正確な修復が必要な場合を含む、個々の障害に対する効果的な療法を創出する上で多くの課題が残されている。これらの課題は、遺伝子の3’末端における機能獲得変異(拡張トリヌクレオチド反復)によって引き起こされる、脊髄小脳失調症3および脊髄小脳失調症6などの障害で見られる。
【0006】
本明細書に記載の方法は、遺伝子の3’末端で見出される変異を修正するための新規のアプローチを提供する。本明細書における開示は、複数の修復経路を通した組み込みに適合するバイモジュール(bimodule)導入遺伝子の設計に少なくとも部分的に基づく。本明細書に記載の導入遺伝子は、相同組換え(homologous recombination、HR)経路、非相同末端結合(non-homologous end joining、NHEJ)経路、または相同組換えと非相同末端結合経路との両方によって、あるいは転位(transposition)を通して、遺伝子に組み込むことができる。さらに、任意の場合における組み込みの結果(HR、NHEJフォワード、NHEJリバース、フォワード転位、またはリバース転位)は、標的遺伝子のタンパク質産物の正確な修正(correction)/改変をもたらし得る。本明細書に記載の導入遺伝子を使用して、目的の遺伝子の3’領域の変異を修正(fix)または導入することができる。これらの方法は、遺伝子の正確な編集が必要な場合、または標的とされる変異した内因性遺伝子が、標準的なベクターまたはウイルスベクターのサイズ容量を超えているために合成コピーによって「置き換える」ことができない場合に、特に有用である。本明細書に記載の方法は、応用研究(例えば、遺伝子治療)または基礎研究(例えば、動物モデルの創出、または遺伝子機能の理解)のために使用することができる。
【0007】
本明細書に記載の方法は、現在のインビボ送達ビヒクル(例えば、アデノ随伴ウイルスベクターおよび脂質ナノ粒子)と適合性があり、遺伝子産物の正確な改変を達成することで、いくつかの課題に対処する。
【0008】
一実施形態では、本文書は、導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込むための方法を特徴とする。本方法は、導入遺伝子の送達を含むことができ、導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2の部分コード配列、ならびに第1および第2のターミネーターを保有する。一部の実施形態では、第1および第2のターミネーターは、単一の双方向ターミネーターで置き換えることができる。本方法は、内因性遺伝子内の部位を標的とする1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼを投与することをさらに含み、導入遺伝子は、次いで内因性遺伝子に組み込まれる。導入遺伝子は、イントロン内の部位、またはイントロン-エキソン接合部の部位を標的とすることができる。第1および第2の部分コード配列は、NHEJによる導入遺伝子のいずれかの方向(すなわち、フォワードまたはリバース)への組み込みが遺伝子のタンパク質産物の正確な改変をもたらすことができるように、尾対尾配向(tail-to-tail orientation)に配向することができる。他の実施形態では、導入遺伝子は、HRによる組み込みを可能にするための左右の相同アームを含み得る。これらの導入遺伝子は、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)内に保有され得、導入遺伝子は、HRを介して(相同アームを介して)、またはNHEJフォワード方向もしくはNHEJリバース方向によって(標的二本鎖切断内のAAVベクターの直接的な組み込みを介して)組み込まれ得る。一実施形態では、第1および第2のコード配列ならびに左右の相同アームを有するベクターは、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断のための第1および第2の部位をさらに含むことができる。1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断は、HRまたはNHEJを介してゲノムに組み込むことができる相同アームを有する直鎖導入遺伝子の遊離をもたらし得る。別の実施形態では、第1および第2のコード配列を有するベクターは、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断のための第1および第2の部位に隣接することができる。1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断は、NHEJを介してゲノムに組み込むことができる直鎖導入遺伝子の遊離をもたらすことができる。別の実施形態では、第1および第2のコード配列を有するベクターは、左右のトランスポゾン末端に隣接することができる。CRISPR関連トランスポザーゼ(例えば、TniQ、TnsA、TnsB、およびTnsCと共にCas6/7/8)の送達は、転位を介した導入遺伝子の組み込みをもたらすことができる。
【0009】
これらの方法を使用して、内因性遺伝子によって産生されたタンパク質のC末端を改変することができる。一部の実施形態では、内因性遺伝子は、ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子を含み得る。ATXN3は、酵素アタキシン-3をコードする遺伝子である。アタキシン-3は、過剰または損傷したタンパク質の破壊を促進するユビキチンプロテアソーム系のメンバーである。脊髄小脳失調症3型は、ATXN3遺伝子の3’末端内のトリヌクレオチド反復の拡張によって引き起こされる遺伝性障害である。CACNA1Aは、カルシウムチャネルの形成に関与するタンパク質をコードする遺伝子である。脊髄小脳失調症6型は、CACNA1A遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝子障害である。SCA6を引き起こす変異としては、CACNA1A遺伝子の3’末端におけるトリヌクレオチド反復の拡張が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、内因性ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子の3’末端を改変するために使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子の組み込みの標的は、ATXN3遺伝子のイントロン9またはCACNA1A遺伝子のイントロン46であり得る。
【0010】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関連する当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を使用して本発明を実施することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により援用される。矛盾する場合、定義を含めて、本明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は、単に例示であり、限定することを意図するものではない。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に示される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】内因性遺伝子への標的化挿入のための導入遺伝子の図である。TS1:標的部位1、SA1:スプライスアクセプター部位1、CDS1:コード配列1、T1:ターミネーター1、TS2:標的部位2、SA2:スプライスアクセプター部位2、CDS2:コード配列2、T2:ターミネーター2、HA1:相同アーム1、HA2:相同アーム2、BT1:双方向ターミネーター1、AS1:追加配列1、AS2:追加配列2。
【
図2】例示的な遺伝子への導入遺伝子の組み込みを示す図である。導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの2つの標的部位、2つのスプライスアクセプター配列、2つのコード配列(3.1および3.2)、ならびに2つのターミネーター(T)を含む。組み込みは、非相同末端結合(NHEJ)を介して進行する。
【
図3】例示的な遺伝子への導入遺伝子の組み込みを示す図である。導入遺伝子は、2つの相同アーム、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの2つの標的部位、2つのスプライスアクセプター配列、2つのコード配列(3.1および3.2)、ならびに2つのターミネーターを含む。組み込みは、相同組換え(HR)または非相同末端結合(NHEJ)のいずれかを介して進行する。
【
図4】CACNA1A遺伝子のエキソン46、イントロン46およびイントロン47の図である。CACNA1A遺伝子に組み込むためのpB1011-D1導入遺伝子も示される。
【
図5】CACNA1A遺伝子内のpB1011-D1導入遺伝子の組み込み結果の図である。
【
図6】ATXN3遺伝子のエキソン9、イントロン9、エキソン10、イントロン10、およびエキソン11の図である。ATXN3遺伝子に組み込むためのpB1012-D1導入遺伝子もまた示される。
【
図7】ATXN3遺伝子内のpB1012-D1導入遺伝子の組み込み結果の図である。
【
図8】ATXN3遺伝子への導入遺伝子の組み込みを検出するゲルの画像である。1:1,517bpで泳動するトップバンドを有する100bpラダー、2:pBA1135の5’接合部、3:pBA1136の5’接合部、4:pBA1137の5’接合部、5:pBA1135の3’接合部、6:pBA1136の3’接合部、7:pBA1137の3’接合部、8:500bp、1,000bp、および3,000bpで泳動するより濃いバンドを有する1kbラダー、9:500bp、1,000bp、および3,000bpで泳動するより濃いバンドを有する1kbラダー、10:pBA1135の逆位5’接合部、11:500bp、1,000bp、および3,000bpで泳動するより濃いバンドを有する1kbラダー、12:pBA1136の逆位5’接合部、13:500bp、1,000bp、および3,000bpで泳動するより濃いバンドを有する1kbラダー、14:プライマー対のoNJB156+oNJB113、15:プライマー対の114+162、16:プライマー対のoNJB116+oNJB113、17:プライマー対のoNJB114+oNJB170、18:プライマー対のoNJB167+oNJB170、19:500bpで泳動するより濃いバンドを有する100bpラダー、20:pBA1135およびヌクレアーゼによるトランスフェクション由来のゲノムDNA、21:pBA1136およびヌクレアーゼによるトランスフェクション由来のゲノムDNA、22:pBA1137およびヌクレアーゼによるトランスフェクション由来のゲノムDNA、23:水によるトランスフェクション由来のゲノムDNA、24:DNAなしの対照。
【発明を実施するための形態】
【0013】
内因性遺伝子のコード配列を修飾するための方法および組成物が本明細書に開示される。一部の実施形態では、方法は、導入遺伝子を内因性遺伝子に挿入することを含み、導入遺伝子は、内因性遺伝子のコード配列を置換する部分コード配列を提供する。
【0014】
一実施形態では、本文書は、導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法を特徴とし、本方法は、導入遺伝子を投与することであって、導入遺伝子が、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2の部分コード配列、ならびに1つの双方向ターミネーターまたは第1および第2のターミネーターを含む、導入遺伝子を投与することと、内因性遺伝子内の部位を標的とする1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼを投与することと、を含み、導入遺伝子が、内因性遺伝子内に組み込まれる。本方法は、第1の部分コード配列に作動可能に連結された第1のスプライスアクセプターと、第2の部分コード配列に作動可能に連結された第2のスプライスアクセプターとを有するように、導入遺伝子を設計することを含み得る。また、配置は、第1のターミネーターに作動可能に連結された第1の部分コード配列と、第2のターミネーターに作動可能に連結された第2の部分コード配列とを有することを含み得る。一実施形態では、2つのターミネーターは、単一の双方向ターミネーターで置き換えることができる。一実施形態では、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2の部分コード配列、ならびに第1および第2のターミネーターを有する導入遺伝子は、尾対尾配向で配向され得る。配列の尾対尾配向を有する導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含むことができ、標的部位は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する。別の実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右の相同アームを含むことができる。この実施形態では、導入遺伝子は、アデノ随伴ウイルスベクター内に保有され得る。別の実施形態では、導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含むことができ、標的部位は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する。第1および第2の標的部位は、第1および第2の相同アームに隣接することができる。実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子は、内因性遺伝子のイントロン内に、またはイントロン-エキソン接合部で組み込まれ得る。導入遺伝子は、ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子のイントロン内またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれ得る。導入遺伝子は、非病原性ATXN3遺伝子のエキソン10によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができ、病原性ATXN3遺伝子のイントロン9またはイントロン9-エキソン10接合部を標的とすることができる。導入遺伝子は、非病原性CACNA1A遺伝子のエキソン47によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができ、病原性CACNA1A遺伝子のイントロン46またはイントロン46-エキソン47接合部を標的とすることができる。特定の実施形態では、レアカッティングエンドヌクレアーゼは、CRISPR/Cas12aヌクレアーゼまたはCRISPR/Cas9ヌクレアーゼであり得る。第1および第2の部分コード配列は、同じアミノ酸をコードする。一実施形態では、第1および第2のコード配列は、核酸配列において異なるが、同じアミノ酸をコードすることができる。導入遺伝子は、ベクターに保有され得、ベクターの形式は、二本鎖直鎖DNA、二本鎖環状DNA、またはウイルスベクターから選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターを含むことができる。本明細書に記載の方法は、4.7kb以下の導入遺伝子と共に使用することができる。導入遺伝子は、標的内因性遺伝子によって産生される機能性タンパク質由来の部分ペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができる。標的内因性遺伝子は、異常であり得る。
【0015】
別の実施形態では、本文書は、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2の部分コード配列、1つの双方向ターミネーターまたは第1および第2のターミネーター、任意選択的に、第1および第2の相同アーム、ならびに任意選択的に、第1および第2のレアカッティングエンドヌクレアーゼ標的部位、を有するDNAポリヌクレオチドを提供する。DNAポリヌクレオチドは、第1の部分コード配列に作動可能に連結された第1のスプライスアクセプターと、第2のコード配列に作動可能に連結された第2のスプライスアクセプターとを有する設計を含むことができる。また、配置は、第1のターミネーターに作動可能に連結された第1の部分コード配列と、第2のターミネーターに作動可能に連結された第2の部分コード配列とを有することを含み得る。一実施形態では、2つのターミネーターは、単一の双方向ターミネーターで置き換えることができる。一実施形態では、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列、ならびに第1および第2のターミネーターを有するDNAポリヌクレオチドは、尾対尾配向で配向され得る。配列の尾対尾配向を有するDNAポリヌクレオチドは、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含み得、標的部位は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する。別の実施形態では、DNAポリヌクレオチドは、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右の相同アームを含むことができる。この実施形態では、DNAポリヌクレオチドは、アデノ随伴ウイルスベクター内に保有され得る。別の実施形態では、DNAポリヌクレオチドは、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含むことができ、標的部位は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する。第1および第2の標的部位は、第1および第2の相同アームに隣接することができる。実施形態では、本明細書に記載のDNAポリヌクレオチドは、内因性遺伝子のイントロン内に、またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれ得る。DNAポリヌクレオチドは、ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子のイントロン内またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれ得る。DNAポリヌクレオチドは、非病原性ATXN3遺伝子のエキソン10によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができる。DNAポリヌクレオチドは、非病原性CACNA1A遺伝子のエキソン47によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができる。第1および第2の部分コード配列は、同じアミノ酸をコードする。一実施形態では、第1および第2のコード配列は、核酸配列において異なるが、同じアミノ酸をコードすることができる。DNAポリヌクレオチドは、ベクターに保有され得、ベクターの形式は、二本鎖直鎖DNA、二本鎖環状DNA、またはウイルスベクターから選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターから選択され得る。本明細書に記載のDNAポリヌクレオチドは、4.7kb以下であり得る。
【0016】
一実施形態では、本文書は、導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法を特徴とし、本方法は、導入遺伝子を投与することであって、導入遺伝子が、左右のトランスポゾン末端、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2の部分コード配列、ならびに1つの双方向ターミネーターまたは第1および第2のターミネーターを含む、導入遺伝子を投与することと、内因性遺伝子内を標的とするトランスポザーゼを投与することと、を含み、導入遺伝子が、内因性遺伝子内に組み込まれる。本方法は、第1の部分コード配列に作動可能に連結された第1のスプライスアクセプターと、第2のコード配列に作動可能に連結された第2のスプライスアクセプターとを有するように、導入遺伝子を設計することを含み得る。また、配置は、第1のターミネーターに作動可能に連結された第1の部分コード配列と、第2のターミネーターに作動可能に連結された第2の部分コード配列とを有することを含み得る。一実施形態では、2つのターミネーターは、単一の双方向ターミネーターで置き換えることができる。一実施形態では、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列、ならびに第1および第2のターミネーターを有する導入遺伝子は、尾対尾配向で配向され得る。配列の尾対尾配向を有する導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右のトランスポゾン末端をさらに含み得る。実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子は、内因性遺伝子のイントロン内に、またはイントロン-エキソン接合部で組み込まれ得る。導入遺伝子は、ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子のイントロン内またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれ得る。導入遺伝子は、非病原性ATXN3遺伝子のエキソン10によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができ、病原性ATXN3遺伝子のイントロン9またはイントロン9-エキソン10接合部を標的とすることができる。導入遺伝子は、非病原性CACNA1A遺伝子のエキソン47によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができ、病原性CACNA1A遺伝子のイントロン46またはイントロン46-エキソン47接合部を標的とすることができる。トランスポザーゼは、CRISPRトランスポザーゼであってもよく、CRISPRトランスポザーゼは、Cas12kまたはCas6タンパク質を含む。第1および第2の部分コード配列は、同じアミノ酸をコードする。一実施形態では、第1および第2のコード配列は、核酸配列において異なるが、同じアミノ酸をコードすることができる。導入遺伝子は、ベクターに保有され得、ベクターの形式は、二本鎖直鎖DNA、二本鎖環状DNA、またはウイルスベクターから選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターを含むことができる。本明細書に記載の方法は、4.7kb以下の導入遺伝子と共に使用することができる。左の末端は、配列番号41に示される配列を含み得、右の末端は、配列番号13に示される配列を含み得る。
【0017】
別の実施形態では、本文書は、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2の部分コード配列、1つの双方向ターミネーターまたは第1および第2のターミネーター、ならびに左右のトランスポゾン末端を有するDNAポリヌクレオチドを提供する。DNAポリヌクレオチドは、第1の部分コード配列に作動可能に連結された第1のスプライスアクセプターと、第2のコード配列に作動可能に連結された第2のスプライスアクセプターとを有する設計を含むことができる。また、配置は、第1のターミネーターに作動可能に連結された第1の部分コード配列と、第2のターミネーターに作動可能に連結された第2の部分コード配列とを有することを含み得る。一実施形態では、2つのターミネーターは、単一の双方向ターミネーターで置き換えることができる。一実施形態では、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列、ならびに第1および第2のターミネーターを有するDNAポリヌクレオチドは、尾対尾配向で配向され得る。配列の尾対尾配向を有するDNAポリヌクレオチドは、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右のトランスポゾン末端をさらに含み得る。実施形態では、本明細書に記載のDNAポリヌクレオチドは、内因性遺伝子のイントロン内に、またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれ得る。DNAポリヌクレオチドは、ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子のイントロン内またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれ得る。DNAポリヌクレオチドは、非病原性ATXN3遺伝子のエキソン10によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができる。DNAポリヌクレオチドは、非病原性CACNA1A遺伝子のエキソン47によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含むことができる。第1および第2の部分コード配列は、同じアミノ酸をコードする。一実施形態では、第1および第2のコード配列は、核酸配列において異なるが、同じアミノ酸をコードすることができる。DNAポリヌクレオチドは、ベクターに保有され得、ベクターの形式は、二本鎖直鎖DNA、二本鎖環状DNA、またはウイルスベクターから選択される。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターから選択され得る。本明細書に記載のDNAポリヌクレオチドは、4.7kb以下であり得る。左の末端は、配列番号41に示される配列を含み得、右の末端は、配列番号13に示される配列を含み得る。
【0018】
一実施形態では、本文書は、導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法を特徴とし、本方法は、導入遺伝子を投与することを含み、導入遺伝子が、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、1つの双方向ターミネーターまたは第1および第2のターミネーター、ならびに第1および第2の相同アームを含み、導入遺伝子は、内因性遺伝子内に組み込まれる。本方法は、第1の部分コード配列に作動可能に連結された第1のスプライスアクセプターと、第2のコード配列に作動可能に連結された第2のスプライスアクセプターとを有するように、導入遺伝子を設計することを含み得る。また、配置は、第1のターミネーターに作動可能に連結された第1の部分コード配列と、第2のターミネーターに作動可能に連結された第2の部分コード配列とを有することを含み得る。一実施形態では、2つのターミネーターは、単一の双方向ターミネーターで置き換えることができる。相同アームは、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、1つの双方向ターミネーターまたは第1および第2のターミネーターに隣接し得る。コード配列は、完全コード配列または部分コード配列をコードすることができる。一実施形態では、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列、ならびに第1および第2のターミネーターを有する導入遺伝子は、尾対尾配向で配向され得る。配列の尾対尾配向を有する導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含むことができ、標的部位は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する。別の実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右の相同アームを含むことができる。この実施形態では、導入遺伝子は、アデノ随伴ウイルスベクター内に保有され得る。別の実施形態では、導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含むことができ、標的部位は、第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する。第1および第2の標的部位は、第1および第2の相同アームに隣接することができる。実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子は、内因性遺伝子のイントロン内に、またはイントロン-エキソン接合部で組み込まれ得る。
【0019】
本方法の実施は、本明細書に開示される組成物の調製および使用に加えて、別段の指示がない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造および分析、計算化学、細胞培養、組換えDNA、ならびに当該技術分野内の関連分野における従来の技術を使用する。これらの技術は、文献において完全に説明される。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989および2001の第3版、Ausubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,1987および定期更新、シリーズのMETHODS IN ENZYMOLOGY,Academic Press,San Diego;Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998、METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,“Chromatin”(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999、ならびにMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999を参照されたい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され得る。核酸およびポリヌクレオチドは、直鎖または環状の立体構造、ならびに一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかで、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを指すことができる。これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定的なものとして解釈されるべきではない。この用語は、天然ヌクレオチドの既知の類似体、ならびに塩基、糖、および/またはリン酸部分で修飾されるヌクレオチドを包含することができる。
【0021】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、共に共有結合されたアミノ酸残基を指すために互換的に使用され得る。この用語はまた、1つ以上のアミノ酸が対応する天然に存在するアミノ酸の化学類似体または修飾誘導体であるタンパク質にも適用される。
【0022】
「作動可能に連結された(operatively linked)」または「作動可能に連結された(operably linked)」という用語は、互換的に使用され、2つ以上の構成要素(配列要素など)の近位を指し、両方の構成要素が正常に機能し、構成要素のうちの少なくとも1つが他の構成要素のうちの少なくとも1つに作用する機能を媒介し得る可能性を可能にするように、構成要素が配置される。例示として、転写調節配列(例えば、プロモーター)は、転写調節配列が、1つ以上の転写調節因子の有無に応答してコード配列の転写のレベルを制御する場合、コード配列に作動可能に連結される。転写調節配列は、概してコード配列とシスで作動可能に連結されるが、コード配列に直接隣接している必要はない。例えば、エンハンサーは、それらが連続していないにもかかわらず、コード配列に作動可能に連結された転写調節配列である。さらに、例として、スプライスアクセプターがイントロンの3’境界の描写を可能にする場合、得られた成熟mRNAの翻訳が部分コード配列によってコードされるペプチド配列の最終タンパク質産物への組み込みをもたらす場合、スプライスアクセプターは、部分コード配列に作動可能に連結され得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「切断(cleavage)」という用語は、核酸分子の共有結合骨格の切断を指す。切断は、限定されないが、ホスホジエステル結合の酵素加水分解または化学加水分解を含む様々な方法によって開始され得る。切断は、一本鎖ニック(single-stranded nick)および二本鎖切断(double-stranded break)の両方を指すことができる。二本鎖切断は、2つの異なる一本鎖ニックの結果として生じ得る。核酸切断は、平滑末端または付着末端のいずれかの産生をもたらし得る。特定の実施形態では、レアカッティングエンドヌクレアーゼは、標的の二本鎖または一本鎖DNAの切断のために使用される。
【0024】
「外因性」分子は、小分子(例えば、糖、脂質、アミノ酸、脂肪酸、フェノール化合物、アルカロイド)、または高分子(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖)、もしくは上記分子の任意の修飾誘導体、あるいは細胞の外側で生成もしくは存在するか、または通常は細胞内に存在しない、上記の分子のうちの1つ以上を含む任意の複合体を指し得る。外因性分子は、細胞に導入され得る。細胞への外因性分子の導入方法または「投与」方法としては、脂質媒介性輸送、エレクトロポレーション、直接注入、細胞融合、粒子衝撃、リン酸カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン媒介性輸送、およびウイルスベクター媒介性輸送が挙げられる。本明細書で定義されるように、「投与」は、外因性分子の細胞への送達、提供、または導入を指すことができる。導入遺伝子またはレアカッティングエンドヌクレアーゼが細胞に投与される場合、導入遺伝子またはレアカッティングエンドヌクレアーゼが細胞内に送達、提供、または導入される。レアカッティングエンドヌクレアーゼは、精製タンパク質、核酸、または精製タンパク質と核酸の混合物として投与することができる。核酸(すなわち、RNAまたはDNA)は、レアカッティングエンドヌクレアーゼ、またはレアカッティングエンドヌクレアーゼ(例えば、gRNA)の一部をコードすることができる。投与は、脂質媒介性輸送、エレクトロポレーション、直接注入、細胞融合、粒子注入、リン酸カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン媒介性輸送、ウイルスベクター媒介性輸送、あるいは精製タンパク質もしくは核酸、または精製タンパク質および核酸の混合物を細胞に送達するのに好適な任意の手段などの方法を通して達成することができる。
【0025】
「内因性」分子は、特定の環境条件下の、特定の発生段階の、特定の細胞に存在する分子である。内因性分子は、核酸、染色体、ミトコンドリア、葉緑体もしくは他のオルガネラのゲノム、または天然に存在するエピソーム核酸であり得る。追加の内因性分子は、タンパク質、例えば、転写因子および酵素を含み得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」は、遺伝子産物の産生を調節する全てのDNA領域を含む、遺伝子産物をコードするDNA領域を指す。したがって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、リボソーム結合部位および内部リボソーム進入部位などの翻訳調節配列、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界エレメント、複製起点、マトリックス結合部位、および遺伝子座制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、「野生型遺伝子」は、特定の集団において最も高い頻度で存在する遺伝子の形態を指す。
【0027】
「内因性遺伝子」は、遺伝子産物をコードする特定の細胞内に通常存在するDNA領域、ならびに遺伝子産物の産生を調節する全てのDNA領域を指す。
【0028】
「遺伝子発現」は、遺伝子に含まれる情報を遺伝子産物に変換することを指す。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物であり得る。例えば、遺伝子産物は、限定されないが、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造RNA、またはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質であり得る。遺伝子産物には、キャップ形成、ポリアデニル化、メチル化、および編集などのプロセスによって修飾されるRNA、ならびに、例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP-リボシル化、ミリスチル化、およびグリコシル化によって修飾されるタンパク質も含まれる。
【0029】
「コードする(encoding)」は、核酸に含まれる情報を産物に変換することを指し、産物は、核酸配列の直接転写産物から生じ得る。例えば、産物は、限定されないが、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造RNA、またはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質であり得る。遺伝子産物には、キャップ形成、ポリアデニル化、メチル化、および編集などのプロセスによって修飾されるRNA、ならびに、例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP-リボシル化、ミリスチル化、およびグリコシル化によって修飾されるタンパク質も含まれる。
【0030】
「標的部位」または「標的配列」は、結合のために十分な条件が存在する場合、レアカッティングエンドヌクレアーゼまたはCRISPR関連トランスポザーゼが結合する核酸の一部を定義する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、2つのポリヌクレオチド間の遺伝情報の交換プロセスを指す。「相同組換え(HR)」という用語は、例えば、二本鎖切断の修復中に起こり得る組換えの特殊形態を指す。相同組換えは、「ドナー」分子上に存在するヌクレオチド配列相同性を必要とする。ドナー分子は、二本鎖切断の修復のための鋳型として、細胞によって使用され得る。二本鎖切断部位、またはその近傍におけるゲノム配列とは異なるドナー分子内の情報は、細胞のゲノムDNAに安定的に組み込まれ得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「組み込む(integrating)」という用語は、DNAをDNAの標的領域に添加するプロセスを指す。本明細書に記載されるように、組み込みは、非相同末端結合、相同組換え、または標的化転位を含む、いくつかの異なる手段によって促進され得る。例として、ユーザ提供DNA分子の標的遺伝子への組み込みは、非相同末端結合によって促進され得る。ここで、標的遺伝子内で標的二本鎖切断がなされ、ユーザ提供DNA分子が投与される。ユーザ提供DNA分子は、非相同末端結合による標的遺伝子の修復中の捕捉を促進するために、露出したDNA末端を含むことができる。露出した末端は、投与時(すなわち、直鎖DNA分子の投与時)にDNA分子上に存在し得るか、または細胞への投与時に創出され得る(すなわち、レアカッティングエンドヌクレアーゼが、細胞内でユーザ提供DNA分子を切断して、末端を露出する)。さらに、ユーザ提供DNA分子は、アデノ随伴ウイルスベクターを含むウイルスベクター上に保有され得る。別の例では、組み込みは、相同組換えを介して生じる。ここで、ユーザ提供DNAは、左右の相同アームを保有し得る。別の例では、組み込みは、転位を介して生じる。ここで、ユーザ提供DNAは、トランスポゾンの左右の末端を保有する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子(transgene)」という用語は、生物または細胞に輸送され得る核酸の配列を指す。導入遺伝子は、標的生物内または標的細胞内に通常存在しない遺伝子または核酸配列を含み得る。さらに、導入遺伝子は、標的生物または細胞内に通常存在する遺伝子または核酸配列のコピーを含んでいてもよい。導入遺伝子は、標的細胞の細胞質または核に導入された外因性DNA配列であり得る。一実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子は、部分コード配列を含み、部分コード配列は、宿主細胞内の遺伝子によって産生されるタンパク質の一部をコードする。
【0034】
本明細書で使用される場合、「病原性」という用語は、疾患を引き起こし得る全てのものを指す。病原性変異は、疾患を引き起こす遺伝子における修飾を指し得る。病原性遺伝子は、疾患を引き起こす修飾を含む遺伝子を指す。例えば、脊髄小脳失調症3の患者における病原性ATXN3遺伝子は、拡張CAGトリヌクレオチド反復を有するATXN3遺伝子を指し、拡張CAGトリヌクレオチド反復は、疾患を引き起こす。
【0035】
本明細書で使用される場合、「尾対尾(tail-to-tail)」という用語は、反対かつリバース方向の2つのユニットの配向を指す。2つのユニットは、各配列の3’末端が互いに隣接して配置されている、単一核酸分子上の2つの配列であり得る。例えば、5’から3’方向へ、エレメント[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]を有する第1の核酸、およびエレメント[スプライスアクセプター2]-[部分コード配列2]-[ターミネーター2]を有する第2の核酸を、尾対尾配向で配置することができ、[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]が得られる(RCは逆相補(reverse complement)を指す)。
【0036】
「イントロン-エキソン接合部」という用語は、遺伝子内の特定の位置を指す。この特定の位置は、イントロンの最後のヌクレオチドと、それに続くエキソンの最初のヌクレオチドとの間にある。本明細書に記載の導入遺伝子を組み込む場合、導入遺伝子は、「イントロン-エキソン接合部」内に組み込まれ得る。導入遺伝子がカーゴ(cargo)を含む場合、カーゴは、イントロンの最後のヌクレオチドの直後に組み込まれる。場合によっては、イントロン-エキソン接合部内に導入遺伝子が組み込まれると、エキソン内の配列の除去(例えば、HRを介した組み込み、およびエキソン内の配列の導入遺伝子内のカーゴへの置き換え)をもたらし得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「相同」という用語は、核酸またはアミノ酸の第2の配列と類似性を有する、核酸またはアミノ酸の配列を指す。一部の実施形態では、相同配列は、互いに、少なくとも80%の配列同一性(例えば、81%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有し得る。
【0038】
本明細書で使用される「部分コード配列(partial coding sequence)」という用語は、部分タンパク質(partial protein)をコードする核酸の配列を指す。部分コード配列は、野生型タンパク質または機能性タンパク質と比較して、1つ以下のアミノ酸を含むタンパク質をコードすることができる。部分コード配列は、野生型タンパク質または機能性タンパク質と相同性を有する部分タンパク質をコードすることができる。ATXN3を指す場合、「部分コード配列」という用語は、部分ATXN3タンパク質をコードする核酸配列を指す。部分ATXN3タンパク質は、野生型ATXN3タンパク質と比較して、1つ以下のアミノ酸を有する。遺伝子の3’末端を修飾する場合、1つ以下のアミノ酸は、タンパク質のN末端からであり得る。ATXN3遺伝子が11個のエキソンを有する場合、部分コード配列は、エキソン2~11、または3~11、または4~11、または5~11、または6~11、または7~11、または8~11、または9~11、または10~11、または11によって産生されるペプチドをコードする配列を含むことができる。
【0039】
本文書に記載の方法および組成物は、カーゴ配列を有する導入遺伝子を使用することができる。「カーゴ(cargo)」という用語は、遺伝子の完全コード配列または部分コード配列、WTまたは改変標的と比較して一塩基多型(single-nucleotide polymorphisms)を保有する遺伝子の部分配列、スプライスアクセプター、ターミネーター、転写調節エレメント、精製タグ(例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ポリ(His)、マルトース結合タンパク質、Strepタグ、Mycタグ、AviTag、HAタグ、またはキチン結合タンパク質)、またはレポーター遺伝子(例えば、GFP、RFP、lacZ、cat、ルシフェラーゼ、puro、ネオマイシン)などのエレメントを指し得る。本明細書で定義される場合、「カーゴ」は、標的部位に組み込まれる導入遺伝子内の配列を指し得る。例えば、「カーゴ」は、2つの相同アーム間、2つのレアカッティングエンドヌクレアーゼの標的部位間、または左右のトランスポゾン末端間の導入遺伝子上の配列を指し得る。
【0040】
「相同配列」(homology sequence)という用語は、第2の核酸に対する相同性を含む核酸の配列を指す。相同配列は、例えば、「相同のアーム(arm of homology)」または「相同アーム(homology arm)」としてドナー分子上に存在し得る。相同アームは、第2の核酸との相同組換えを促進するドナー分子内の核酸の配列であり得る。本明細書で定義されるように、相同アームは「アーム(arm)」とも称され得る。2つの相同アームを有するドナー分子では、相同アームは、「アーム1」および「アーム2」と称され得る。一態様では、カーゴ配列は、第1および第2の相同アームに隣接することができる。
【0041】
「双方向ターミネーター(bidirectional terminator)」という用語は、センス方向またはアンチセンス方向のいずれかでRNAポリメラーゼの転写を終結させることができるターミネーターを指す。尾対尾配向の2つの一方向ターミネーターとは対照的に、双方向ターミネーターは、DNAの非キメラ配列を含み得る。双方向ターミネーターの例としては、ARO4、TRP1、TRP4、ADH1、CYC1、GAL1、GAL7、およびGAL10ターミネーターが挙げられる。
【0042】
核酸分子の5’または3’末端は、核酸の方向性および化学的配向を指す。本明細書で定義されるように、「遺伝子の5’末端」は、開始コドンを有するエキソンを含み得るが、停止コドンを有するエキソンは含まない。本明細書で定義されるように、「遺伝子の3’末端」は、停止コドンを有するエキソンを含み得るが、開始コドンを有するエキソンは含まない。
【0043】
「ATXN3」遺伝子という用語は、酵素アタキシン-3をコードする遺伝子を指す。ATXN3遺伝子の代表的な配列は、NCBI参照配列:NG_008198.2、および対応する配列番号42に見出され得る。エキソンとイントロンの境界は、配列番号42に提供される配列で定義することができる。具体的には、エキソン1は、1~54の配列を含む。エキソン2は、9745~9909の配列を含む。エキソン3は、10446~10490の配列を含む。エキソン4は、12752~12837の配列を含む。エキソン5は、13265~13331の配列を含む。エキソン6は、17766~17853の配列を含む。エキソン7は、23325~23457の配列を含む。エキソン8は、24117~24283の配列を含む。エキソン9は、25522~25618の配列を含む。エキソン10は、35530~35648の配列を含む。エキソン11は、42169~48031の配列を含む。イントロン1は、55~9744の配列を含む。イントロン2は、9910~10445の配列を含む。イントロン3は、10491~12751の配列を含む。イントロン4は、12838~13264の配列を含む。イントロン5は、13332~17765の配列を含む。イントロン6は、17854~23324の配列を含む。イントロン7は、23458~24116の配列を含む。イントロン8は、24284~25521の配列を含む。イントロン9は、25619~35529の配列を含む。イントロン10は、35649~42168の配列を含む。
【0044】
「CACNA1A」遺伝子という用語は、カルシウム電位依存性チャネルサブユニットα1Aタンパク質をコードする遺伝子を指す。CACNA1A遺伝子の代表的な配列は、NCBI参照配列:NG_011569.1および対応する配列番号43に見出すことができる。エキソンとイントロンの境界は、配列番号43に提供される配列で定義することができる。具体的には、エキソン1は、1~529の配列を含む。エキソン2は、51249~51354の配列を含む。エキソン3は、53446~53585の配列を含む。エキソン4は、134682~134773の配列を含む。エキソン5は、140992~141144の配列を含む。エキソン6は、146662~146855の配列を含む。エキソン7は、170552~170655の配列を含む。エキソン8は、171968~172083の配列を含む。エキソン9は、173536~173592の配列を含む。エキソン10は、176125~176217の配列を含む。エキソン11は、189140~189349の配列を含む。エキソン12は、193680~193792の配列を含む。エキソン13は、197933~198045の配列を含む。エキソン14は、198210~198341の配列を含む。エキソン15は、198607~198679の配列を含む。エキソン16は、202577~202694の配列を含む。エキソン17は、202848~202915の配列を含む。エキソン18は、205805~205911の配列を含む。エキソン19は、207108~207917の配列を含む。エキソン20は、219495~219958の配列を含む。エキソン21は、221255~221393の配列を含む。エキソン22は、223065~223194の配列を含む。エキソン23は、229333~229392の配列を含む。エキソン24は、230505~230611の配列を含む。エキソン25は、243628~243727の配列を含む。エキソン26は、244851~245011の配列を含む。エキソン27は、246760~246897の配列を含む。エキソン28は、248910~249111の配列を含む。エキソン29は、251202~251366の配列を含む。エキソン30は、253360~253470の配列を含む。エキソン31は、261196~261279の配列を含む。エキソン32は、270731~270847の配列を含む。エキソン33は、271187~271252の配列を含む。エキソン34は、271425~271540の配列を含む。エキソン35は、274601~274751の配列を含む。エキソン36は、276252~276379の配列を含む。エキソン37は、277666~277762の配列を含む。エキソン38は、281689~281794の配列を含む。エキソン39は、291853~291960の配列を含む。エキソン40は、292128~292228の配列を含む。エキソン41は、293721~293830の配列を含む。エキソン42は、293939~294077の配列を含む。エキソン43は、294245~294358の配列を含む。エキソン44は、295809~295844の配列を含む。エキソン45は、296963~297149の配列を含む。エキソン46は、297452~297705の配列を含む。エキソン47は、298413~300019の配列を含む。イントロン1は、530~51248の配列を含む。イントロン2は、51355~53445の配列を含む。イントロン3は、53586~134681の配列を含む。イントロン4は、134774~140991の配列を含む。イントロン5は、141145~146661の配列を含む。イントロン6は、146856~170551の配列を含む。イントロン7は、170656~171967の配列を含む。イントロン8は、172084~173535の配列を含む。イントロン9は、173593~176124の配列を含む。イントロン10は、176218~189139の配列を含む。イントロン11は、189350~193679の配列を含む。イントロン12は、193793~197932の配列を含む。イントロン13は、198046~198209の配列を含む。イントロン14は、198342~198606の配列を含む。イントロン15は、198680~202576の配列を含む。イントロン16は、202695~202847の配列を含む。イントロン17は、202916~205804の配列を含む。イントロン18は、205912~207107の配列を含む。イントロン19は、207918~219494の配列を含む。イントロン20は、219959~221254の配列を含む。イントロン21は、221394~223064の配列を含む。イントロン22は、223195~229332の配列を含む。イントロン23は、229393~230504の配列を含む。イントロン24は、230612~243627の配列を含む。イントロン25は、243728~244850の配列を含む。イントロン26は、245012~246759の配列を含む。イントロン27は、246898~248909の配列を含む。イントロン28は、249112~251201の配列を含む。イントロン29は、251367~253359の配列を含む。イントロン30は、253471~261195の配列を含む。イントロン31は、261280~270730の配列を含む。イントロン32は、270848~271186の配列を含む。イントロン33は、271253~271424の配列を含む。イントロン34は、271541~274600の配列を含む。イントロン35は、274752~276251の配列を含む。イントロン36は、276380~277665の配列を含む。イントロン37は、277763~281688の配列を含む。イントロン38は、281795~291852の配列を含む。イントロン39は、291961~292127の配列を含む。イントロン40は、292229~293720の配列を含む。イントロン41は、293831~293938の配列を含む。イントロン42は、294078~294244の配列を含む。イントロン43は、294359~295808の配列を含む。イントロン44は、295845~296962の配列を含む。イントロン45は、297150~297451の配列を含む。イントロン46は、297706~298412の配列を含む。
【0045】
特定の核酸またはアミノ酸配列と、特定の配列識別番号によって参照される配列との間のパーセント配列同一性は、以下のように決定される。まず、核酸またはアミノ酸配列を、BLASTNバージョン2.0.14およびBLASTPバージョン2.0.14を含むBLASTZのスタンドアロンバージョンからのBLAST2配列(Bl2配列)プログラムを使用して、特定の配列識別番号で示される配列と比較する。このスタンドアロンバージョンのBLASTZは、fr.com/blastまたはncbi.nlm.nih.govからオンラインで入手することができる。Bl2seqプログラムの使用方法については、BLASTZに付属するreadmeファイルに見出すことができる。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列間の比較を行う。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用され、一方、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用される。2つの核酸配列を比較するために、オプションは、以下のように設定される:-iは、比較される第1の核酸配列を含むファイル(例えば、C:seq1.txt)に設定され、-jは、比較される第2の核酸配列を含むファイル(例えば、C:seq2.txt)に設定され、-pは、blastnに設定され、-oは、任意の所望のファイル名(例えば、C:output.txt)に設定され、-qは、-1に設定され、-rは、2に設定され、他の全てのオプションは、それらのデフォルト設定のままである。例えば、以下のコマンドを使用して、2つの配列間の比較を含む出力ファイルを生成することができる:C:Bl2seq-i c:seq1.txt-j c:seq2.txt-p blastn-o c:output.txt-q-1-r2。2つのアミノ酸配列を比較するために、Bl2seqのオプションは、以下のように設定される:-iは、比較される第1のアミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:seq1.txt)に設定され、-jは、比較される第2のアミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:seq2.txt)に設定され、-pは、blastpに設定され、-oは、任意の所望のファイル名(例えば、C:output.txt)に設定され、他の全てのオプションは、デフォルト設定のままである。例えば、以下のコマンドを使用して、2つのアミノ酸配列間の比較を含む出力ファイルを生成することができる:C:Bl2seq-i c:seq1.txt-j c:seq2.txt -p blastp-o c:output.txt。2つの比較配列が相同性を共有する場合、次いで、指定された出力ファイルは、それらの相同性の領域を整列配列として提示する。2つの比較配列が相同性を共有しない場合、指定された出力ファイルは整列配列を提示しない。
【0046】
整列すると、一致の数は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が両方の配列に提示されている位置の数をカウントすることによって決定される。パーセント配列同一性は、一致の数を、特定された配列に示される配列の長さで除算するか、または繋がった長さ(例えば、特定された配列に示される配列からの100個の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸残基)のいずれかで除算し、続いて、得られた値に100を乗算することによって決定される。パーセント配列同一性の値は、最も近い10分の1に四捨五入される。
【0047】
一実施形態では、本文書は、内因性遺伝子が、2つのコードエキソン間に少なくとも1つのイントロンを有する、内因性遺伝子の3’末端を修飾するための方法を特徴とする。イントロンは、通常のメッセンジャーRNAプロセシング機構によって前駆体メッセンジャーRNAから除去される任意のイントロンであり得る。イントロンは、20bp~500kb超であり得、スプライスドナー部位、分岐配列、およびアクセプター部位を含むエレメントを含む。内因性遺伝子の3’末端の修飾のために本明細書に開示される導入遺伝子は、レアカッティングエンドヌクレアーゼの標的部位、相同アーム、スプライスアクセプター配列、コード配列、および転写ターミネーターを含む複数の機能性エレメントを含むことができる(
図1)。
【0048】
一実施形態では、導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの2つの標的部位を含む。標的部位は、レアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断に好適な配列および長さであり得る。標的部位は、CRISPR系、TALエフェクターヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼもしくはメガヌクレアーゼ、またはCRISPR系、TALEヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼもしくはメガヌクレアーゼ、あるいは任意の他の部位特異的ヌクレアーゼの組み合わせによる切断に適し得る。標的部位は、レアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断がベクターから導入遺伝子の遊離をもたらすように位置付けることができる。ベクターは、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ベクター)または非ウイルスベクター(例えば、プラスミド、ミニサークルベクター)を含むことができる。導入遺伝子が2つの標的部位を含む場合、標的部位は、同じ配列であり得るか(すなわち、同じレアカッティングエンドヌクレアーゼが標的とする)、またはそれらは、異なる配列であり得る(すなわち、2つ以上の異なるレアカッティングエンドヌクレアーゼが標的とする)。
【0049】
一実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2の相同アームと共に、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位を含む。第1および第2の相同アームは、所望の組み込み部位で、またはその近傍で、ゲノム配列と相同的な配列を含むことができる。相同アームは、所望の組み込み部位の配列、またはその近傍の配列との相同組換えに関与するための好適な鎖長であり得る。各相同アームの鎖長は、20nt~10,000nt(例えば、20nt、30nt、40nt、50nt、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、600nt、700nt、800nt、900nt、1,000nt、2,000nt、3,000nt、4,000nt、5,000nt、6,000nt、7,000nt、8,000nt、9,000nt、10,000nt)であり得る。一実施形態では、相同アームは、レアカッティングエンドヌクレアーゼおよび/またはスプライスアクセプター配列の標的部位を含む機能性エレメントを含むことができる。一実施形態では、第1の相同アーム(例えば、左の相同アーム)は、標的となるイントロンのスプライスアクセプター部位を含む、標的となるイントロンに相同的な配列を含むことができる。別の実施形態では、第2の相同アームは、標的となるイントロンの下流にあるゲノム配列に相同的な配列(例えば、エキソン配列、3’UTR配列)を含むことができる。しかしながら、第2の相同アームは、逆相補の方向にスプライスアクセプター機能を有してはならない。配列がスプライスアクセプター機能を含むかどうかを決定するために、インシリコ分析および実験的な試験を含むいくつかのステップを行うことができる。スプライスアクセプター機能の可能性があるかどうかを決定するために、第2の相同アームに望まれる配列を、コンセンサス分岐配列(例えばYTRAC)およびスプライスアクセプター部位(例えばYリッチNCAGG)について検索することができる。分岐またはスプライスアクセプター配列が存在する場合、機能を破壊するために一塩基多型を導入するか、またはそのような配列を含まない異なるが隣接する配列を選択することができる。好ましくは、第2の相同アームに使用することができる配列のウィンドウは、組み込みの標的となるイントロンの1bp~10kb下流に伸長する。第2の相同性がスプライスアクセプター機能を有するかどうかを実験的に決定するために、レポーター遺伝子内のイントロン内に第2の相同アームを含む合成構築物を構築することができる。次いで、構築物を適切な細胞型に投与し、スプライシング機能についてモニタリングすることができる。
【0050】
一実施形態では、導入遺伝子は、2つのスプライスアクセプター配列を含み、本明細書では、第1および第2のスプライスアクセプター配列と称される。第1および第2のスプライスアクセプター配列は、導入遺伝子内で反対方向(すなわち、尾対尾配向)、かつ隣接する内部配列(すなわち、コード配列およびターミネーター)に位置付けられる。導入遺伝子がフォワード方向またはリバース方向にイントロンに組み込まれると、スプライスアクセプター配列は、mRNAプロセシング中に隣接する/上流のイントロン配列の除去を促進する。第1および第2のスプライスアクセプター配列は、同じ配列または異なる配列であり得る。片方または両方のスプライスアクセプター配列は、導入遺伝子が組み込まれるイントロンのスプライスアクセプター配列であり得る。片方または両方のスプライスアクセプター配列は、合成スプライスアクセプター配列または異なる遺伝子由来のイントロンからのスプライスアクセプター配列であり得る。
【0051】
一実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプター配列に作動可能に連結された第1および第2のコード配列を含む。第1および第2のコード配列は、導入遺伝子内で反対方向に(すなわち、尾対尾配向)位置付けられる。導入遺伝子がフォワードまたはリバース方向に内因性遺伝子に組み込まれると、第1または第2のコード配列が内因性遺伝子のプロモーターによってmRNAに転写される。コード配列は、欠陥のあるコード配列を修正する、変異を導入する、または新規のペプチド配列を導入するように設計することができる。第1および第2のコード配列は、同じ核酸配列であり、かつ同じタンパク質をコードしてもよい。あるいは、第1および第2のコード配列は、異なる核酸配列であり、かつ同じタンパク質をコードしてもよい(すなわち、コドンの縮重を使用する)。コード配列は、精製タグ(例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ポリ(His)、マルトース結合タンパク質、Strepタグ、Mycタグ、AviTag、HAタグ、またはキチン結合タンパク質)またはレポータータンパク質(例えば、GFP、RFP、lacZ、cat、ルシフェラーゼ、puro、ネオマイシン)をコードすることができる。一実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプター配列に作動可能に連結された第1および第2の部分コード配列を含み、導入遺伝子は、プロモーターを含まない。
【0052】
一実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2のコード配列に作動可能に連結された、双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含むことができる。双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターは、導入遺伝子内に反対方向(すなわち、尾対尾配向)に位置付けられる。導入遺伝子がフォワード方向またはリバース方向に内因性遺伝子に組み込まれると、双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターは、内因性遺伝子のプロモーターからの転写を終結させる。第1および第2のターミネーターは、同一のターミネーターまたは異なるターミネーターであり得る。
【0053】
一実施形態では、本文書は、第1および第2のレアカッティングエンドヌクレアーゼ標的部位、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、ならびに1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含む導入遺伝子を提供する。導入遺伝子は、非相同末端結合および代替非相同末端結合を含む非相同性依存的方法を介して、またはマイクロホモロジー媒介末端結合によって、内因性遺伝子に組み込むことができる。一態様では、導入遺伝子は、内因性遺伝子内のイントロンに組み込まれる(
図2)。
【0054】
別の実施形態では、本文書は、第1および第2の相同アーム、第1および第2のレアカッティングエンドヌクレアーゼ標的部位、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、ならびに1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含む導入遺伝子を提供する。導入遺伝子は、相同性に依存的な方法(例えば、合成依存性鎖アニーリングおよびマイクロホモロジー媒介末端結合)および相同性に非依存的な方法(例えば、非相同末端結合および代替非相同末端結合)の両方を介して、内因性遺伝子に組み込むことができる。一態様では、導入遺伝子は、内因性遺伝子内のイントロンに組み込まれる(
図3)。別の態様では、導入遺伝子は、イントロンの末端または下流のエキソンの開始部に組み込まれる(
図3)。
【0055】
別の実施形態では、本文書は、第1および第2の相同アーム、第1および第2のコード配列、第1および第2のスプライスアクセプター配列、ならびに1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含む導入遺伝子を提供する(
図1)。別の実施形態では、本文書は、第1および第2のコード配列、第1および第2のスプライスアクセプター配列、ならびに1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含む導入遺伝子を提供する。
【0056】
別の実施形態では、本文書は、第1および第2の相同アーム、第1および第2のコード配列、第1および第2のスプライスアクセプター配列、1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーター、ならびに第1および第2の追加の配列を含む導入遺伝子を提供する(
図1)。特定の実施形態では、追加の配列は、導入遺伝子の5’末端部および3’末端部に存在する任意の追加の配列であってもよいが、追加の配列は、スプライスアクセプターとして機能する任意のエレメントを含むべきではない。追加の配列は、例えば、ウイルスゲノムの逆位末端反復であり得る。追加の配列は、直鎖形式を有する導入遺伝子上に存在することができる。直鎖形式は、NHEJによる組み込みを可能にする。例えば、追加の配列が逆位末端反復であるアデノ随伴ウイルスベクターに保有されている導入遺伝子は、レアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断後に標的部位でNHEJによって直接組み込むことができる(すなわち、導入遺伝子のプロセシングは必要ない)。別の例では、追加の配列は、左右のトランスポゾン末端である。
【0057】
別の実施形態では、本文書は、アデノ随伴ウイルスおよびアデノウイルスを含むウイルスベクター内の導入遺伝子を提供し、導入遺伝子は、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、ならびに1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含む。ウイルスベクターの逆位末端反復により、導入遺伝子はまた、第1および第2の追加の配列を含む。
【0058】
別の実施形態では、本文書は、アデノ随伴ウイルスおよびアデノウイルスを含むウイルスベクター内の導入遺伝子を提供し、導入遺伝子は、第1および第2の相同アーム、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、ならびに1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターを含む。ウイルスベクターの逆位末端反復により、導入遺伝子はまた、第1および第2の追加の配列を含む。
【0059】
一部の実施形態では、本明細書で提供される導入遺伝子は、トランスポザーゼにより組み込まれ得る。トランスポザーゼには、CRISPRトランスポザーゼが含まれ得る(Strecker et al.,Science 10.1126/science.aax9181,2019、Klompe et al.,Nature,10.1038/s41586-019-1323-z,2019)。トランスポザーゼは、第1および第2のスプライスアクセプター配列、第1および第2のコード配列、1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーター(
図1)、ならびにトランスポゾンの左右の末端を含む導入遺伝子と組み合わせて使用することができる。CRISPRトランスポザーゼは、タンパク質tnsB、tnsC、およびtniQと共に、TypeV-U5、C2C5 CRISPRタンパク質、Cas12kを含み得る。一部の実施形態では、Cas12kは、Scytonema hofmanni(配列番号30)またはAnabaena cylindrica(配列番号31)由来であり得る。一実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子は、トランスポゾンの左末端(配列番号32)および右末端(配列番号33)を含み、ShCas12k、tnsB、tnsC、TniQ、およびgRNA(配列番号14)と共に細胞に送達することができる。あるいは、CRISPRトランスポザーゼは、Cas7、Cas8、およびTniQを含むヘルパータンパク質と共に、Cas6タンパク質を含み得る。一実施形態では、本明細書に記載のトランスポゾンの左末端(配列番号41)および右末端(配列番号13)を含む導入遺伝子は、Cas6(配列番号37)、Cas7(配列番号37)、Cas8(配列番号37)、TniQ(配列番号37)、TnsA(配列番号37)、TnsB(配列番号37)、TnsC(配列番号37)、およびgRNA(配列番号12)と共に真核細胞に送達され得る。タンパク質は、精製タンパク質として細胞に直接投与され得るか、RNAまたはDNAにコードされ得る。RNAまたはDNAにコードされる場合、配列は、真核細胞内での発現のためにコドンが最適化され得る。gRNA(配列番号12)をRNApolIIIプロモーターの下流に配置し、ポリ(T)ターミネーターで終結させることができる。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書に記載の導入遺伝子は、スプライスアクセプター、部分コード配列、ターミネーター、相同アーム、左右のトランスポザーゼ末端、ならびにレアカッティングエンドヌクレアーゼによる切断部位を含むエレメントの組み合わせを有し得る。一実施形態では、組み合わせは、5’から3’へ、[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]であり得る(RCは逆相補を意味する)。この組み合わせは、直鎖DNA分子またはAAV分子上に保有され得、標的遺伝子の標的化切断を介してNHEJによって組み込まれ得る。別の実施形態では、組み合わせは、5’から3’へ、[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]-[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]-[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]であり得る。別の実施形態では、組み合わせは、5’から3’へ、[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]-[相同アーム1]-[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]-[相同アーム2]-[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位2]であり得る。この組み合わせでは、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼを使用して、HRおよびNHEJを促進することができる。例えば、単一のレアカッティングヌクレアーゼは、標的遺伝子(すなわち、所望のイントロン)を切断することができ、相同アームに隣接する切断部位は、イントロン内の同じ標的配列であるように設計することができる。別の実施形態では、組み合わせは、5’から3’へ、[相同アーム1+レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]-[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]-[相同アーム2]-[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]であり得る。この組み合わせでは、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼは、HRおよびNHEJを促進することができる。例えば、単一のレアカッティングヌクレアーゼは、相同アーム1内、相同アーム2の下流、およびゲノム標的部位(すなわち、相同アーム1の配列と相同性を有する部位)で切断することができる。別の実施形態では、組み合わせは、5’から3’へ、[トランスポザーゼの左の末端]-[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]-[トランスポザーゼの右の末端]であり得る。全ての実施形態では、スプライスアクセプター1およびスプライスアクセプター2は、同一または異なる配列であってもよく、部分コード配列1および部分コード配列2は、同一または異なる配列であってもよく、ターミネーター1およびターミネーター2は、同一または異なる配列であってもよい。
【0061】
実施形態では、構造[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]-[相同アーム1]-[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]-[相同アーム2]-[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位2]を含む導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの送達を介してDNAに組み込まれ得る。1つのレアカッティングエンドヌクレアーゼが送達される場合、レアカッティングエンドヌクレアーゼは、レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1および2での切断によって導入遺伝子を遊離することができる。さらに、同じレアカッティングエンドヌクレアーゼは、HRまたはNHEJを介した挿入をシミュレートする、標的遺伝子内の切断を創出することができる。
【0062】
他の実施形態では、構造[相同アーム1+レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]-[スプライスアクセプター1]-[部分コード配列1]-[ターミネーター1]-[ターミネーター2 RC]-[部分コード配列2 RC]-[スプライスアクセプター2 RC]-[相同アーム2]-[レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1]を含む導入遺伝子は、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼのDNA完全送達に組み込まれ得る。1つのレアカッティングエンドヌクレアーゼが送達される場合、レアカッティングエンドヌクレアーゼは、レアカッティングエンドヌクレアーゼ切断部位1および2での切断によって導入遺伝子を遊離することができる。さらに、同じレアカッティングエンドヌクレアーゼは、HRまたはNHEJを介した挿入をシミュレートする、標的遺伝子内の切断を創出することができる。HRによる組み込みは、切断が組み込み部位の上流(すなわち、相同アーム内)にあるときに生じ得る。
【0063】
実施形態では、導入遺伝子の組み込みのための位置は、イントロンまたはイントロン-エキソン接合部であり得る。イントロンを標的とする場合、部分コード配列は、内因性遺伝子内のそれに続くエキソンによって産生されるペプチドをコードする配列を含むことができる。例えば、導入遺伝子が、11個のエキソンを有する内因性遺伝子のイントロン9に組み込まれるように設計される場合、部分コード配列は、内因性遺伝子のエキソン10および11によって産生されるペプチドをコードする配列を含むことができる。イントロン-エキソン接合部を標的とする場合、導入遺伝子は、当該イントロンの3’に相同な配列を有する相同アームを含むように設計することができる。
【0064】
一部の実施形態では、部分コード配列は、完全コード配列であり得る。完全コード配列は、内因性遺伝子(例えば、第VIII因子、第IX因子、もしくはINS)、またはレポーター遺伝子(例えば、RFP、GFP、cat、lacZ、ルシフェラーゼ)をコードすることができる。完全コード配列は、スプライスアクセプターおよびターミネーターに作動可能に連結され、尾対尾配向で導入遺伝子内に配置され得る。
【0065】
本明細書に提供される方法および組成物は、細胞内の内因性遺伝子を修飾するために内部で使用することができる。内因性遺伝子としては、フィブリノーゲン、プロトロンビン、組織因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子(ハーゲマン因子)、第XIII因子(フィブリン安定化因子)、フォン・ヴィレブランド因子、プレカリクレイン、高分子量キニノーゲン(フィッツジェラルド因子)、フィブロネクチン、アンチトロンビンIII因子、ヘパリン補因子II、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、プロテインZ関連プロテアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン、α2-抗プラスミン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-2、グルコセレブロシダーゼ(GBA)、α-ガラクトシダーゼA(GLA)、イズロン酸スルファターゼ(IDS)、イズロニダーゼ(IDUA)、酸性スフィンゴミエリナーゼ(SMPD1)、MMAA、MMAB、MMACHC、MMADHC(C2orf25)、MTRR、LMBRD1、MTR、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)(PCCA、および/もしくはPCCBサブユニット)、グルコース-6-リン酸トランスポーター(G6PT)タンパク質またはグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)、LDL受容体(LDLR)、ApoB、LDLRAP-1、PCSK9、ミトコンドリアタンパク質(NAGS(N-アセチルグルタミン酸合成酵素)、CPS1(カルバモイルリン酸合成酵素I)、およびOTC(オルニチントランスカルバミラーゼ)など)、ASS(アルギニノコハク酸合成酵素)、ASL(アルギニノスクシナーゼ酸リアーゼ)および/もしくはARG1(アルギナーゼ)、ならびに/または溶質担体ファミリー25(SLC25A13、アスパラギン酸/グルタミン酸担体)タンパク質、UGT1A1もしくはUDPグルクロンシルトランスフェラーゼポリペプチドA1、フマリルアセト酢酸ヒドロリアーゼ(FAH)、アラニングリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(AGXT)タンパク質、グリオキシル酸レダクターゼ/ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ(GRHPR)タンパク質、トランスサイレチン遺伝子(TTR)タンパク質、ATP7Bタンパク質、フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)タンパク質、USH2Aタンパク質、ATXNタンパク質、ならびにリポタンパク質リアーゼ(LPL)タンパク質、が挙げられる。
【0066】
導入遺伝子は、遺伝性疾患を有する対象において、欠損、非機能的、または機能獲得変異を有するポリペプチドをコードする配列を修飾するための配列を含み得、遺伝性疾患としては、限定されないが、軟骨無形成症、色覚異常、酸性マルターゼ欠損症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、副腎白質ジストロフィー、アイカルディ症候群、α1アンチトリプシン欠損症、αサラセミア、アンドロゲン不感性症候群、パート症候群、不整脈源性右室異形成、毛細血管拡張性運動失調症、バース症候群、βサラセミア、青色ゴム乳首様母斑症候群、カナバン病、慢性肉芽腫性疾患(CGD)、ネコ鳴き症候群、嚢胞性線維症、ダーカム病、外胚葉異形成、ファンコニ貧血、進行性骨化性線維異形成症、脆弱X症候群、ガラクトース血症、ゴーシェ病、全身性ガングリオシドーシス(例えば、GM1)、ヘモクロマトーシス、β-グロビン(HbC)の6番目のコドンにおけるヘモグロビンC変異、血友病、ハンチントン病、ハーラー症候群、低ホスファターゼ症、クラインフェルター症候群、クラッベ病、ランガー・ギディオン症候群、白血球粘着不全症、白質ジストロフィー、QT延長症候群、マルファン症候群、メビウス症候群、ムコ多糖症(MPS)、爪膝蓋骨症候群、腎性尿崩症、神経線維腫症、ニーマン・ピック病、骨形成不全症、ポルフィリン症、プラダー・ウィリー症候群、早老症、プロテウス症候群、網膜芽細胞腫、レット症候群、ルビンシュタイン・テイビ症候群、サンフィリッポ症候群、重症複合免疫不全症(SCID)、シュワックマン症候群、鎌状赤血球症(鎌状赤血球貧血)、スミス・マゲニス症候群、スティックラー症候群、テイ・サックス病、血小板減少-橈骨欠損(TAR)症候群、トリーチャー・コリンズ症候群、トリソミー、結節性硬化症、ターナー症候群、尿素サイクル異常症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワールデンブルグ症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖リンパ球増殖症候群、リソソーム蓄積症(例えば、ゴーシェ病、GM1、ファブリー病、およびテイ・サックス病)、ムコ多糖症(例えば、ハンター病、ハーラー病)、異常ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球症、HbC、αサラセミア、βサラセミア)、および血友病が挙げられる。
【0067】
標的化組み込みによって治療することができる追加の疾患としては、フォン・ヴィレブランド病、アッシャー症候群、多発性嚢胞腎疾患、脊髄小脳失調症3型、および脊髄小脳失調症6型が挙げられる。
【0068】
一実施形態では、ゲノム修飾は、内因性CACNA1Aゲノム配列中の導入遺伝子の挿入である。導入遺伝子は、CACNA1Aタンパク質の合成および部分コード配列を含み得る。部分コード配列は、野生型CACNA1A遺伝子内のコード配列、または野生型CACNA1A遺伝子の機能性バリアント、または野生型CACNA1A遺伝子の変異体と相同であり得る。一実施形態では、部分CACNA1Aタンパク質をコードする導入遺伝子は、イントロン46またはエキソン47の開始部に挿入される。
【0069】
別の実施形態では、ゲノム修飾は、内因性ATXN3ゲノム配列への導入遺伝子の挿入である。導入遺伝子は、ATXN3タンパク質の合成および部分コード配列を含み得る。部分コード配列は、野生型ATXN3遺伝子内のコード配列、または野生型ATXN3遺伝子の機能性バリアント、または野生型ATXN3遺伝子の変異体と相同であり得る。一実施形態では、部分ATXN3タンパク質をコードする導入遺伝子は、イントロン9またはエキソン10の開始部に挿入される。
【0070】
一実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物を使用して、内因性遺伝子の3’末端を修飾することにより、内因性遺伝子によってコードされるタンパク質のC末端の修飾をもたらすことができる。内因性遺伝子のコード配列の3’末端の修飾は、最終コードエキソン(すなわち、停止コドンを含むエキソン)の置き換えを含み、開始コードを有するエキソンと最終エキソンとの間にあるエキソンまで含み得る。本明細書で定義される場合、「置き換え(replacement)」は、DNAの遺伝子への挿入を指し、挿入されたDNAは、1個以上のエキソンのmRNAおよびタンパク質を産生するための情報を提供する。置き換えは、導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込むことによって生じ得、導入遺伝子は、スプライスアクセプターに作動可能に連結された1つ以上のコード配列を含む。挿入は、内因性遺伝子内の配列の欠失(例えば、イントロンおよびエキソンの欠失)をもたらし得るか、またはもたらさない場合がある。例えば、遺伝子が72個のエキソンを含み、開始コドンがエキソン1内にある場合、修飾は、エキソン2~72、3~72、4~72、5~72、6~72、7~72、8~72、9~72、10~72、11~72、12~72、13~72、14~72、15~72、16~72、17~72、18~72、19~72、20~72、21~72、22~72、または23~72、または24~72、または25~72、または26~72、または27~72、または28~72、または29~72、または30~72、または31~72、または32~72、または33~72、または34~72、または35~72、または36~72、または37~72、または38~72、または39~72、または40~72、または41~72、または42~72、または43~72、または44~72、または45~72、または46~72、または47~72、または48~72、または49~72、または50~72、または51~72、または52~72、または53~72、または54~72、または55~72、または56~72、または57~72、または58~72、または59~72、または60~72、または61~72、または62~72、または63~72、または64~72、または65~72、または66~72、または67~72、または68~72、または69~72、または70~72、または71~72、または72の置き換えを含むことができる。一実施形態では、内因性遺伝子のエキソンは、導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込むことによって置き換えることができ、導入遺伝子は、第1および第2の部分コード配列を含み、第1および第2の部分コード配列は、内因性遺伝子エキソンによって産生されたペプチドをコードする。例えば、導入遺伝子の第1および第2のコード配列は、内因性遺伝子のエキソン2~72、3~72、4~72、5~72、6~72、7~72、8~72、9~72、10~72、11~72、12~72、13~72、14~72、15~72、16~72、17~72、18~72、19~72、20~72、21~72、22~72、または23~72、または24~72、または25~72、または26~72、または27~72、または28~72、または29~72、または30~72、または31~72、または32~72、または33~72、または34~72、または35~72、または36~72、または37~72、または38~72、または39~72、または40~72、または41~72、または42~72、または43~72、または44~72、または45~72、または46~72、または47~72、または48~72、または49~72、または50~72、または51~72、または52~72、または53~72、または54~72、または55~72、または56~72、または57~72、または58~72、または59~72、または60~72、または61~72、または62~72、または63~72、または64~72、または65~72、または66~72、または67~72、または68~72、または69~72、または70~72、または71~72、または72によって産生されるペプチドをコードすることができる。導入遺伝子は、イントロンの上流の内因性遺伝子内、または導入遺伝子の部分コード配列内の第1のエキソンに対応するエキソンの開始部に組み込むことができる(
図2)。導入遺伝子は、4.7kb以下であるように設計され、AAVベクターおよび粒子に組み込まれ、インビボで標的細胞に送達され得る。
【0071】
一実施形態では、導入遺伝子は、第1および第2の部分コード配列を保有するDNAの配列であり、部分コード配列は、部分タンパク質をコードし、部分タンパク質は、野生型遺伝子から産生される機能性タンパク質中の対応する領域に相同である。宿主遺伝子または内因性遺伝子は、タンパク質の発現が異常、言い換えれば、発現されない、低レベルで発現される、あるいは発現されるが、mRNAもしくはタンパク質産物もしくはその一部が、機能しない、機能低下する、または機能獲得を有し、宿主において障害をもたらす遺伝子である。
【0072】
本明細書に記載されるように、ドナー分子は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクター内にあり得る。ベクターは、環状または直鎖の二本鎖または一本鎖のDNAの形態であり得る。ドナー分子は、安定性または細胞更新(cellular update)を促進する試薬とコンジュゲートまたは会合することができる。試薬は、脂質、リン酸カルシウム、カチオン性ポリマー、DEAE-デキストラン、デンドリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、細胞膜透過性ペプチド、ガス封入マイクロバブル、または磁気ビーズであり得る。ドナー分子は、ウイルス粒子に組み込むことができる。ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ベクター(AAV)、単純ヘルペス、ポックスウイルス、ハイブリッドアデノウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルス、レンチウイルス、または単純ヘルペスウイルスであり得る。
【0073】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるAAVベクターは、任意のAAVに由来し得る。特定の実施形態では、AAVベクターは、欠陥および非病原性のパルボウイルス科アデノ随伴2型ウイルス由来である。かかるベクターは全て、導入遺伝子の発現カセットに隣接するAAVの145bp逆位末端反復のみを保持するプラスミドに由来する。形質導入細胞のゲノムへの組み込みによる効率的な遺伝子輸送および安定した導入遺伝子送達は、このベクター系の重要な特徴である。(Wagner et al.,Lancet 351:9117 1702-3,1998;Kearns et al.,Gene Ther.9:748-55,1996)。AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、およびAAVrh.10、ならびに任意の新規のAAV血清型を含む他のAAV血清型も、本発明に従って使用することができる。一部の実施形態では、キメラAAVが使用され、ウイルス核酸の長鎖末端反復(LTR)配列のウイルス起源は、カプシド配列のウイルス起源に対して異種である。非限定的な例としては、AAV2に由来するLTRと、AAV5、AAV6、AAV8、またはAAV9に由来するカプシド(すなわち、それぞれAAV2/5、AAV2/6、AAV2/8、およびAAV2/9)とを有するキメラウイルスが挙げられる。
【0074】
また、本明細書に記載の構築物は、アデノウイルスベクター系に組み込むこともできる。アデノウイルスに基づくベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を必要としない。かかるベクターにより、高力価および高レベルの発現を得ることができる。
【0075】
本明細書に記載の方法および組成物は、ゲノム修飾を通して生物を改変することが所望される任意の真核生物に適用可能である。真核生物としては、植物、藻類、動物、真菌、および原生生物が挙げられる。また、真核生物は植物細胞、藻類細胞、動物細胞、真菌細胞、および原生生物細胞を含むこともできる。
【0076】
例示的な哺乳動物細胞としては、卵母細胞、K562細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、HEP-G2細胞、BaF-3細胞、シュナイダー細胞、COS細胞(SV40のT-抗原を発現するサル腎臓細胞)、CV-1細胞、HuTu80細胞、NTERA2細胞、NB4細胞、HL-60細胞、およびHeLa細胞、293細胞(例えば、Graham et al.(1977)J.Gen.Virol.36:59を参照されたい)、およびSP2またはNS0のような骨髄腫細胞(例えば、Galfre and Milstein(1981)Meth.Enzymol.73(B):3 46を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。また、末梢血単核細胞(PBMC)またはT細胞も使用することができ、同様に、胚幹細胞および成体幹細胞も使用することができる。例えば、使用可能な幹細胞としては、胚幹細胞(ES)、人工誘導多能性幹細胞(iPSC)、間葉幹細胞、造血幹細胞、肝臓幹細胞、皮膚幹細胞、および神経幹細胞が挙げられる。
【0077】
本発明の方法および組成物は組換え生物(modified organisms)の産生に使用することができる。組換え生物は、小型哺乳動物、伴侶動物、家畜、および霊長類であり得る。げっ歯類の非限定的な例としては、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、およびモルモットが挙げられ得る。伴侶動物の非限定的な例としては、ネコ、イヌ、ウサギ、ハリネズミ、およびフェレットが挙げられ得る。家畜の非限定的な例としては、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ラマ、アルパカ、およびウシが挙げられ得る。霊長類の非限定的な例としては、オマキザル、チンパンジー、キツネザル、マカクザル、マーモセット、タマリン、クモザル、リスザル、およびベルベットモンキーが挙げられ得る。本発明の方法および組成物は、ヒトに使用することができる。
【0078】
本明細書に記載の方法を使用して修飾することができる例示的な植物および植物細胞としては、限定されないが、単子葉植物(例えば、コムギ、トウモロコシ、イネ、アワ、オオムギ、サトウキビ)、双子葉植物(例えば、ダイズ、ジャガイモ、トマト、アルファルファ)、果実作物(例えば、トマト、リンゴ、セイヨウナシ、イチゴ、オレンジ)、飼料作物(例えば、アルファルファ)、根野菜作物(例えば、ニンジン、ジャガイモ、サトウダイコン、ヤムイモ)、葉野菜作物(例えば、レタス、ホウレンソウ)、消費用の植物作物(例えば、ダイズおよび他のマメ科植物、カボチャ、ピーマン、ナス、セロリなど)、顕花植物(例えば、ペチュニア、バラ、キク)、針葉樹およびマツ(例えば、マツ、モミ、スプルース)、ポプラ樹(例えば、P.tremula×P.alba)、繊維作物(ワタ、ジュート、アマ、タケ)、フィトレメディエーションに使用される植物(例えば、重金属集積植物)、油料作物(例えば、ヒマワリ、ナタネ)、および実験目的で使用される植物(例えば、シロイヌナズナ)が挙げられる。本明細書に開示される方法は、アスパラガス属、カラスムギ属、アブラナ属、柑橘属、スイカ属、トウガラシ属、カボチャ属、ニンジン属、ムカシヨモギ属、ダイズ属、ワタ属、オオムギ属、アキノノゲシ属、ドクムギ属、トマト属、リンゴ属、キャッサバ属、タバコ属、ショカツサイ属、イネ属、ワニナシ属、インゲン属、エンドウ属、ナシ属、サクラ属、ダイコン属、ライムギ属、ナス属、モロコシ属、コムギ属、ブドウ属、ササゲ属、およびトウモロコシ属内で使用することができる。植物細胞という用語は、単離された植物細胞、ならびに種子、カルス、葉、および根などの全植物または全植物の一部を含む。また、本開示は、上に記載の植物の種子も包含し、本明細書に記載の組成物および/または方法を使用して、種子が修飾される。本開示は、上に記載のトランスジェニック植物の子孫、クローン、細胞株または細胞をさらに包含し、当該子孫、クローン、細胞株または細胞は、導入遺伝子または遺伝子構築物を有する。例示的な藻類種としては、微細藻類、珪藻類、ボトリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、クロレラ属、ドナリエラ・テルチオレクタ(Dunaliella tertiolecta)、グラシレリア属(Gracileria)、プレウロクリシス・カルテレ(Pleurochrysis carterae)、ソルガスム属、およびアオサ属が挙げられる。
【0079】
本文書に記載の方法は、導入遺伝子分子の内因性遺伝子への相同組換えまたは非相同組み込みを刺激するためのレアカッティングエンドヌクレアーゼの使用を含むことができる。レアカッティングエンドヌクレアーゼは、CRISPR、TALEN、または亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を含み得る。CRISPR系は、CRISPR/Cas9またはCRISPR/Cas12a(Cpf1)を含み得る。CRISPR系は、広範なPAM能力(Hu et al.,Nature 556,57-63,2018;Nishimasu et al.,Science DOI:10.1126,2018)、またはより高いオンターゲット結合もしくは切断活性(Kleinstiver et al.,Nature 529:490-495,2016)を示すバリアントを含むことができる。遺伝子編集試薬は、ヌクレアーゼ(Mali et al.,Science 339:823-826,2013、Christian et al.,Genetics 186:757-761,2010)、ニッカーゼ(Cong et al.,Science 339:819-823,2013、Wu et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 1:261-266,2014)、CRISPR-FokI二量体(Tsai et al.,Nature Biotechnology 32:569-576,2014)、またはCRISPR・ニッカーゼ対(Ran et al.,Cell 154:1380-1389,2013)の形式であり得る。
【0080】
本文書に記載の方法および組成物は、内因性遺伝子のコード配列の3’末端を修飾することが所望される状況で、使用することができる。例えば、SCA3またはSCA6を有する患者は、それぞれ、エキソン10(最後から2番目のエキソン)およびエキソン47(最後のエキソン)で拡張されたCAG反復を有する。SCA3またはSCA6を有する患者は、それぞれ、エキソン10~11およびエキソン47の置き換えから利益を得ることができる。他の例では、内因性遺伝子の3’末端内の機能喪失変異に起因する遺伝性障害を有する患者は、当該遺伝子の最終エキソンの置き換えから利益を得ることができる。
【0081】
本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定しない以下の実施例でさらに説明される。
【実施例】
【0082】
実施例1ATXN3遺伝子におけるDNAの標的化組み込み
ヒト細胞内のATXN3遺伝子に組み込むように設計された導入遺伝子を用いて、3つのプラスミドを構築した。全ての導入遺伝子は、ATXN3遺伝子のイントロン9またはイントロン9とエキソン10との接合部内に挿入されるように設計され、全ての導入遺伝子は、ATXN3遺伝子のエキソン10およびエキソン11に対して少なくとも1つのスプライスアクセプターおよび少なくとも1つの機能的コード配列を挿入するように設計された。第1のプラスミド(pBA1135と称される)は、イントロン9の3’末端およびイントロン10の5’末端に相同な配列を有する左右の相同アームを含んだ(すなわち、遺伝子標的化が成功すると、エキソン10が除去され、pBA1135内のカーゴ配列で置き換えられる)。相同アーム間は、5’から3’へ、スプライスアクセプター(ATXN3のイントロン9由来のスプライスアクセプター)、ATXN3のエキソン10および11のコード配列、SV40ターミネーター、BGHターミネーター(リバース)、エキソン10および11のコード配列(リバース、コドン調整)、ならびにスプライスアクセプター(リバース)であった。pBA1135導入遺伝子の配列を、配列番号17に示す。対応するCas9ヌクレアーゼを、i)ATXN3遺伝子のイントロン9内、ii)pBA1135の左の相同アーム内、およびiii)pBA1135の右の相同アームの3’末端で、切断するように設計した。プラスミドの切断に成功すると、導入遺伝子が遊離されると予想された。それによって、配列が、HRのための鋳型、またはNHEJを介した組み込みのための鋳型として、使用されることが可能になる。Cas9 gRNA標的部位を、配列番号18に示す。pBA1135内の個々の要素を、配列番号44~51に示す。配列番号44は、左の相同アーム、ヌクレアーゼ標的部位、およびスプライスアクセプターを含む。配列番号45は、非病原性ATXN3遺伝子の部分コード配列(エキソン10および11)を含む。配列番号46は、SV40p(A)ターミネーター配列を含む。配列番号47は、逆相補で、BGHターミネーターを含む。配列番号48は、非病原性ATXN3遺伝子の逆相補でコドン調整された部分コード配列(エキソン10および11)を含む。配列番号49は、スプライスアクセプターの配列を含む。配列番号50は、右の相同アームの配列を含む。配列番号51は、ヌクレアーゼの標的部位配列を含む。pBA1136と命名された第2のプラスミドは、pBA1135と同じカーゴを含むが、相同アームが除去されている。ヌクレアーゼ標的部位は保持され、プラスミドからの導入遺伝子の遊離を促進した。プラスミドの切断に成功することで、導入遺伝子が遊離され、それによってNHEJによるATXN3遺伝子への組み込みに配列が使用されることが可能になると予想された。pBA1136の配列を、配列番号19に示す。pBA1137と命名された第3のプラスミドは、リバース配列およびヌクレアーゼ標的部位(すなわち、リバースのターミネーター、リバースのコード配列、およびリバースのスプライスアクセプター)を除いて、pBA1135と同じ配列を含んだ。プラスミドpBA1137を、従来のHRベース方法に対する対照として使用した。pBA1137の配列を、配列番号20に示す。
【0083】
HEK293T細胞を使用して、トランスフェクションを行った。HEK293T細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)を補充したDMEM中で、37℃、5%CO
2で維持した。HEK293T細胞を、2ugのドナー、2ugのガイドRNA(RNA形式)、および2ugのCas9(RNA形式)でトランスフェクトした。エレクトロポレーションを使用して、トランスフェクションを行った。トランスフェクションの72時間後、ゲノムDNAを単離し、組み込み事象について評価した。組み込みまたはゲノムDNAを検出するために使用したプライマーのリストを、表1に示す。
【表1】
【0084】
pBA1135、pBA1136およびpBA1137の組み込みを検出するために、ゲノムDNAに対してPCRを行った。pBA1137に関して、導入遺伝子は、HRにより正確に組み込まれるように設計された。したがって、エキソン10への正確な挿入を示す5’および3’の接合部のPCRにおいて、バンドが検出された(
図8レーン4および7)。予想されたバンドサイズは、5’接合部では1,520bp、3’接合部では786bpであった。プライマーのoNJB113およびoNJB116を、5’接合部のPCRに使用した。プライマーのoNJB167およびoNJB170を、3’接合部のPCRに使用した。pBA1136に関して、相同アームが存在しなかったため、導入遺伝子は、NHEJ挿入を介して挿入されることが予測された。導入遺伝子がフォワード方向およびリバース方向に組み込まれている、適切なサイズのバンドが観察された。フォワード方向への組み込みは、
図8のレーン3(予想サイズ約1,520bp)およびレーン6(予想サイズ約1,519bp)で見ることができる。リバース方向への組み込みは、
図8のレーン12(約1,520bpの予想サイズ)で見ることができる。プライマーのoNJB113およびoNJB116を、5’接合部のPCRに使用した。プライマーのoNJB114およびoNJB170を、3’接合部のPCRに使用した。プライマーのoNJB116およびoNJB114を、インバース5’接合部のPCRに使用した。ppBA1135に関して、相同アームおよびヌクレアーゼ切断部位の両方が導入遺伝子に存在した。HRによる組み込みは、5’および3’の接合部のPCRにおけるバンドを検出することによって観察された(
図8のレーン2および5)。さらに、NHEJによる組み込みは、インバース5’接合部のPCRにおけるバンドを検出することによって観察された(
図8のレーン10)。5’接合部のPCRの予想サイズは、1,520bpであった。3’接合部のPCRの予想サイズは、1,157bpであった。インバース5’接合部のPCRの予想されるサイズは、約1,520bpであった。プライマーのoNJB113およびoNJB116を、5’接合部のPCRに使用した。プライマーのoNJB114およびoNJB170を、3’接合部のPCRに使用した。プライマーのoNJB116およびoNJB114を、インバース5’接合部のPCRに使用した。
【0085】
結果は、双方向の部分コード配列を含む記載の導入遺伝子が、複数の異なる修復経路を介してゲノムDNAに組み込まれ得ることを示している。
【0086】
実施例2:CACNA1A遺伝子におけるDNAの標的化組み込み
CACNA1Aを標的とする導入遺伝子が、CACNA1Aコード配列の3’末端を置き換えるように設計される。プラスミドは、WTコード配列をイントロン46またはエキソン47の開始部に組み込むように設計された導入遺伝子を用いて構築される(
図4)。導入遺伝子は、イントロン46内のスプライスドナー部位の直後の配列と相同な第1の相同アームを含む。第1の相同アームはまた、ヌクレアーゼ(配列番号9)の標的部位およびスプライスアクセプター配列を含む。第1の相同アームの後には、CACNA1Aのエキソン47および非拡張CAG反復配列(配列番号3)を含む第1のコード配列が続く。第1のコード配列に続いて、SV40ポリ(A)終端配列(配列番号4)がある。尾対尾配向では、第2のセットの機能性エレメントが存在する。第2のセットのエレメントの開始部は、ヌクレアーゼ(配列番号9)の標的部位、続いて第2の相同アームを含む。第2の相同アームは、446bpを保有し、コード停止直後の配列に相同である(配列番号8)。この配列は、インシリコ分析を介して、コンセンサス分岐配列またはスプライスアクセプター配列を含まないと決定された。続いて、第2の相同アームは、コイβアクチンのイントロン1由来の第2のスプライスアクセプターである(配列番号7)。スプライスアクセプターに続いて、CACNA1Aのエキソン47(配列番号6)のコドン最適化バージョンおよびbGHポリ(A)ターミネーター(配列番号5)がある。
【0087】
対応するCas12aヌクレアーゼは、プラスミドのトランスフェクション後に、3つの二本鎖切断:i)内因性CACNA1A遺伝子のイントロン46内の切断、2)pBA1011-D1導入遺伝子の第1の相同アーム内の切断、および3)pBA1011-D1導入遺伝子の第2の相同アームの後の切断を創出するように設計される。Cas12aヌクレアーゼの標的配列は、配列番号9に示される。
【0088】
導入遺伝子およびCRISPRベクターの機能の確認は、HEK293細胞のトランスフェクションによって達成される。HEK293細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)および1%のペニシリンストレプトマイシン(PS)溶液(×100)が補充され、L-グルタミンとピルビン酸ナトリウムとを含まないDMEM高グルコース培地中で、37℃、5%CO
2で維持する。HEK293細胞を、Lipofectamine3000を使用して、プラスミド構築物およびそれらの組み合わせの各々でトランスフェクトする。トランスフェクションの2日後、DNAを抽出し、CACNA1A遺伝子内の変異および標的化挿入について評価する。ヌクレアーゼ活性は、Cel-Iアッセイを使用するか、またはCRISPR/Cas12a標的配列を含むアンプリコンのディープ配列決定によって分析される。導入遺伝子の組み込みの成功を、PCRを使用して分析する(
図5)。
【0089】
実施例3:ATXN3遺伝子におけるDNAの標的化組み込み
ATXN3を標的とする導入遺伝子が、ATXNコード配列(エキソン10および11)の3’末端を置き換えるように設計される。プラスミドは、WTコード配列をイントロン9またはエキソン10の開始部に組み込むように設計された導入遺伝子を用いて構築される(
図5)。導入遺伝子は、イントロン9(配列番号10)の配列と相同である第1の相同アームを含む。第1の相同アームはまた、Cas12aヌクレアーゼの標的部位およびスプライスアクセプター配列を含む。第1の相同アームの後に、ATXN3エキソン10および11、ならびに非拡張CAG反復配列を含む第1のコード配列が続く。第1のコード配列に続いて、SV40ポリ(A)終端配列がある。尾対尾配向では、第2のセットの機能性エレメントが存在する。第2のエレメントのセットの開始部は、Cas12aヌクレアーゼの標的部位、続いて第2の相同アームを含む。第2の相同アームは、379bpを保有し、エキソン10の末端(すなわち、イントロン10の開始部)の直後の配列に相同である。この配列は、インシリコ分析で、限られた数の潜在的な分岐配列またはスプライスアクセプター配列を有すると決定された。第2の相同アームに続いて、コイβアクチンのイントロン1由来の第2のスプライスアクセプターがある。スプライスアクセプターに続いて、ATXN3のエキソン10および11のコドン最適化バージョン、ならびにbGHポリ(A)ターミネーターがある。
【0090】
対応するCas12aヌクレアーゼは、プラスミドのトランスフェクション後に、i)内因性ATXN3遺伝子のイントロン9内、2)pBA1012-D1導入遺伝子の第1の相同アーム内、および3)pBA1012-D1導入遺伝子の第2の相同アームの後の3つの二本鎖切断を創出するように設計される。Cas12aヌクレアーゼの標的配列を配列番号11に示す。
【0091】
導入遺伝子およびCRISPRベクターの機能の確認は、HEK293細胞のトランスフェクションによって達成される。HEK293細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)および1%のペニシリンストレプトマイシン(PS)溶液(×100)が補充され、L-グルタミンとピルビン酸ナトリウムとを含まないDMEM高グルコース培地中で、37℃、5%CO
2で維持する。HEK293細胞を、Lipofectamine3000を使用して、プラスミド構築物およびそれらの組み合わせの各々でトランスフェクトする。トランスフェクションの2日後、DNAを抽出し、ATXN3遺伝子内の変異および標的化挿入について評価する。ヌクレアーゼ活性は、Cel-Iアッセイを使用するか、またはCRISPR/Cas12a標的配列を含むアンプリコンのディープ配列決定によって分析される。導入遺伝子の組み込みの成功を、PCRを使用して分析する(
図7)。
【0092】
実施例4:Cas12kトランスポザーゼを使用したATXN3遺伝子におけるDNAの標的化組み込み
ATXN3を標的とする導入遺伝子が、ATXNのコード配列(エキソン10および11)の3’末端を置き換えるように設計される。プラスミドは、WTコード配列をイントロン9またはエキソン10の開始部に組み込むように設計された導入遺伝子を用いて構築される。導入遺伝子は、トランスポゾンの左右の末端、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列(エキソン10および11からのアミノ酸をコードする)、ならびに第1および第2のターミネーターを含む。トランスポゾンの左右の末端間の配列を、配列番号17に示す。
【0093】
プラスミドは、真核生物プロモーターを使用して、Scytonema hofmanniのtnsB、tnsC、tniQ、およびCas12k(配列番号30)を発現するように操作される。第2のプラスミドは、対応するCas12kガイドRNA(配列番号14)を発現するように操作される。ガイドRNAの標的化配列:CCGCCCGACCTTTCACTTTC(配列番号15)。Cas12kトランスポゾンプラスミドは、ATXN3を標的とする導入遺伝子を保有するプラスミドと共に、HEK293細胞に共形質転換される。HEK293細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)および1%のペニシリンストレプトマイシン(PS)溶液(×100)が補充され、L-グルタミンとピルビン酸ナトリウムとを含まないDMEM高グルコース培地中で、37℃、5%CO2で維持する。HEK293細胞を、Lipofectamine3000を使用して、プラスミド構築物およびそれらの組み合わせの各々でトランスフェクトする。トランスフェクションの2日後、DNAを抽出し、ATXN3遺伝子内の標的化挿入について評価する。導入遺伝子の組み込みを、PCRを使用して分析する。
【0094】
実施例5:CACNA1A遺伝子におけるDNAの標的化組み込み
CACNA1Aを標的とする導入遺伝子が、CACNA1Aのコード配列の3’末端を置き換えるように設計される。プラスミドは、WTコード配列をイントロン46またはエキソン47の開始部に組み込むように設計された導入遺伝子を用いて構築される。導入遺伝子は、トランスポゾンの右左の末端、第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列(エキソン47由来のアミノ酸をコードする)、ならびに第1および第2のターミネーターを含む。
【0095】
プラスミドは、真核生物プロモーターを使用して、Scytonema hofmanniのtnsB、tnsC、tniQ、およびCas12k(配列番号30)を発現するように操作される。第2のプラスミドは、対応するCas12kガイドRNA(配列番号14)を発現するように操作される。ガイドRNAは、配列CCCGGATCCCGGCTGTGACC(配列番号16)を標的とするように設計される。Cas12kトランスポゾンプラスミドは、ATXN3を標的とする導入遺伝子を保有するプラスミドと共に、HEK293細胞に共形質転換される。HEK293細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)および1%のペニシリンストレプトマイシン(PS)溶液(×100)が補充され、L-グルタミンとピルビン酸ナトリウムとを含まないDMEM高グルコース培地中で、37℃、5%CO2で維持する。HEK293細胞を、Lipofectamine3000を使用して、プラスミド構築物およびそれらの組み合わせの各々でトランスフェクトする。トランスフェクションの2日後、DNAを抽出し、ATXN3遺伝子内の標的化挿入について評価する。導入遺伝子の組み込みを、PCRを使用して分析する。
【0096】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と併せて説明されているが、上述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図するものであり、限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲内にある。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法であって、
a.導入遺伝子を投与することであって、前記導入遺伝子が、
i.第1および第2のスプライスアクセプター配列、
ii.第1および第2の部分コード配列、ならびに
iii.1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーター、を含む、導入遺伝子を投与することと、
b.前記内因性遺伝子内の部位を標的とする少なくとも1つのレアカッティングエンドヌクレアーゼを投与することと、を含み、
前記導入遺伝子が、前記内因性遺伝子内に組み込まれる、方法。
(項目2)
前記第1のスプライスアクセプターが、前記第1の部分コード配列に作動可能に連結され、前記第2のスプライスアクセプターが、前記第2の部分コード配列に作動可能に連結される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第1の部分コード配列が、前記第1のターミネーターに作動可能に連結され、前記第2の部分コード配列が、前記第2のターミネーターに作動可能に連結される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記第1および第2の部分コード配列が、前記双方向ターミネーターに作動可能に連結される、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記第1および第2のスプライスアクセプター、第1および第2のコード配列、ならびに第1および第2のターミネーターが、尾対尾配向(tail-to-tail orientation)で配向される、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記導入遺伝子が、1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含み、前記標的部位が、前記第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記導入遺伝子が、前記第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する左右の相同アームをさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記導入遺伝子がアデノ随伴ウイルスベクター内に保有される、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記導入遺伝子が、前記1つ以上のレアカッティングエンドヌクレアーゼの第1および第2の標的部位をさらに含み、前記標的部位が、前記第1および第2のスプライスアクセプターに隣接する、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記第1および第2の標的部位が、前記第1および第2の相同アームに隣接する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記導入遺伝子が、前記内因性遺伝子のイントロン内、またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれる、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記導入遺伝子が、ATXN3遺伝子またはCACNA1A遺伝子のイントロン内またはイントロン-エキソン接合部に組み込まれる、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記導入遺伝子が、非病原性ATXN3遺伝子のエキソン10によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含み、病原性ATXN3遺伝子のイントロン9またはイントロン9-エキソン10接合部を標的とする、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記導入遺伝子が、非病原性CACNA1A遺伝子のエキソン47によって産生されるペプチドをコードする第1および第2の部分コード配列を含み、病原性CACNA1A遺伝子のイントロン46またはイントロン46-エキソン47接合部を標的とする、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記ヌクレアーゼが、CRISPR/Cas12aヌクレアーゼ、またはCRISPR/Cas9ヌクレアーゼである、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記第1および第2の部分コード配列が、同じアミノ酸をコードする、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記第1および第2のコード配列が、核酸配列において異なるが、同じアミノ酸をコードする、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記導入遺伝子が、ベクターに保有され、前記ベクターの形式が、二本鎖直鎖DNA、二本鎖環状DNA、またはウイルスベクターから選択される、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクターから選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記導入遺伝子が、4.7kb以下である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記内因性遺伝子が、前記部分コード配列の野生型遺伝子である、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記内因性遺伝子が、異常であり、前記部分コード配列が、前記内因性遺伝子の機能性バージョン由来の部分タンパク質をコードする、項目21に記載の方法。
(項目23)
DNAポリヌクレオチドであって、
a.第1および第2のスプライスアクセプター配列と、
b.第1および第2の部分コード配列と、
c.1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーターと、
d.任意選択的に、第1および第2の相同アームと、
e.任意選択的に、第1および第2のレアカッティングエンドヌクレアーゼ標的部位と、を含む、DNAポリヌクレオチド。
(項目24)
導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法であって、
a.導入遺伝子を投与することであって、前記導入遺伝子が、
i.左右のトランスポゾン末端、
ii.第1および第2のスプライスアクセプター配列、
iii.第1および第2の部分コード配列、ならびに
iv.1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーター、を含む、導入遺伝子を投与することと、
b.トランスポザーゼを投与することと、を含み、
前記導入遺伝子が、前記内因性遺伝子内に組み込まれる、方法。
(項目25)
導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法であって、
a.導入遺伝子を投与することであって、前記導入遺伝子が、
i.第1および第2のスプライスアクセプター配列、
ii.第1および第2のコード配列、ならびに
iii.1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーター、を含む、導入遺伝子を投与することと、
b.前記内因性遺伝子内の部位を標的とする少なくとも1つのレアカッティングエンドヌクレアーゼを投与することと、を含み、
前記導入遺伝子が、前記内因性遺伝子内に組み込まれる、方法。
(項目26)
導入遺伝子を内因性遺伝子に組み込む方法であって、
a.導入遺伝子を投与することであって、前記導入遺伝子が、
i.第1および第2のスプライスアクセプター配列、
ii.第1および第2のコード配列、
iii.1つの双方向ターミネーター、または第1および第2のターミネーター、ならびに
iV.第1および第2の相同アーム、を含む、導入遺伝子を投与することを含み、
前記導入遺伝子が、前記内因性遺伝子内に組み込まれる、方法。
【配列表】