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特許7460654電気エネルギー伝送方法、装置、デバイス及び媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電気エネルギー伝送方法、装置、デバイス及び媒体
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240326BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J7/00 302C
H02J7/00 B
H02J7/00 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021560117
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2021115809
(87)【国際公開番号】W WO2023028882
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】李占良
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】但志敏
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼苗苗
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】台湾特許出願公開第202009507(TW,A)
【文献】特開2019-145087(JP,A)
【文献】特開2020-077521(JP,A)
【文献】特開2014-011860(JP,A)
【文献】特開2006-202660(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105098852(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110556850(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
H01M10/42-10/48
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G01R31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値、ここで前記リソース値は前記送電網の負荷状態を表す値である、を決定することと、
前記リソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、つまり、前記送電網が高負荷状態にある場合、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量、及び前記目標時刻から前記リソース値が前記第1のリソース閾値以下に下回る時刻までの時間帯である目標時間帯における前記電池交換ステーション内の電池の予約数を決定することと、
前記使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して前記電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを前記送電網に伝送することと、を含み、
前記リザーブ電池の数量が前記予約数より多い又はそれと等しく、前記第1の電池は、前記電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の他の電池のうちの1つ又は複数を含み、
前記電池交換ステーション内の使用可能電池の数量を決定した後、
前記使用可能電池の数量が前記リザーブ電池の数量より少ない場合、目標時間帯における交換を要求する電池の数量を含む車両の電池交換要求を取得することと、
電池交換ステーションの残った使用可能電池の数量が前記交換を要求する電池の数量より少ない場合、前記電池交換要求に応答して前記車両の電池交換時刻を決定することと、
電池交換ステーションの充電パラメータに基づいて、前記電池交換時刻の使用可能電池の数量を推定することと、
推定された前記使用可能電池の数量が前記交換を要求する電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して前記送電網の電気エネルギーを前記電池交換ステーション内の第3の電池に伝送することにより、前記送電網の電気エネルギーにより前記第3の電池を使用可能電池に調整し、前記電池交換時刻で調整された使用可能電池の数量が前記交換を要求する電池の数量より多い又はそれと等しいことと、を更に含む、電気エネルギー伝送方法。
【請求項2】
前記電池交換ステーション内の使用可能電池の数量及び目標時間帯における前記電池交換ステーション内の電池の予約数を決定した後、前記方法は、
前記使用可能電池の数量が前記リザーブ電池の数量より少ない場合、充放電モジュールを制御して前記送電網の電気エネルギーを前記電池交換ステーション内の前記使用可能電池以外の第2の電池に伝送することにより、前記送電網の電気エネルギーにより前記第2の電池を使用可能電池に調整し、調整された使用可能電池の数量が前記リザーブ電池の数量より多くなることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リザーブ電池の数量は、前記予約数と目標割合閾値との積であり、
前記充放電モジュールを制御して前記電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを前記送電網に伝送する前に、前記方法は、
前記電池交換ステーションの種類を決定することと、
前記電池交換ステーションの種類に対応する割合を、前記目標割合閾値として決定することと、を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電池交換ステーションの種類は、第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションを含み、ここで、前記第1の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度が前記第2の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度より高く、
前記第1の種類の電池交換ステーションが第1の割合に対応し、前記第2の種類の電池交換ステーションが第2の割合に対応し、前記第1の割合が前記第2の割合より大きい、請求項に記載の方法。
【請求項5】
目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定した後、前記方法は、
前記リソース値が第2のリソース閾値より小さい又はそれと等しい場合、つまり、前記送電網が低負荷状態にある場合、充放電モジュールを制御して前記送電網の電気エネルギーを前記電池交換ステーションの電池に伝送することを更に含み、前記第2のリソース閾値が前記第1のリソース閾値より小さい、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定した後、前記方法は、
前記リソース値が第1のリソース閾値より小さく、且つ第2のリソース閾値より大きい場合、つまり、前記送電網が正常な負荷状態にある場合、送電網の単位電気エネルギーの第1のリソース値と、送電網の単位電気エネルギーの第2のリソース値との差を決定し、前記第1のリソース値は、前記第1のリソース閾値より大きく、前記第2のリソース値は、前記第1のリソース閾値より小さく、且つ第2のリソース閾値より大きいことと、
前記差と所定の差閾値との比較結果を決定することと、
充放電モジュールを制御して前記比較結果に対応する、前記電池交換ステーションの電池と前記送電網との電力エネルギーの伝送ポリシーである電気エネルギー伝送ポリシーを実行することと、を更に含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記比較結果により、前記差が前記所定の差閾値より大きい又はそれと等しいことが示された場合、前記電池交換ステーションの電池から前記送電網に伝送する第1の電気エネルギー伝送ポリシーを実行し、
前記比較結果により、前記差が前記所定の差閾値より小さいことが示された場合、前記電池交換ステーションの電池と前記送電網との電気エネルギーの伝送を停止する第2の電気エネルギー伝送ポリシーを実行する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値、ここで前記リソース値は前記送電網の負荷状態を表す値である、を決定するためのリソース値決定モジュールと、
前記リソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、つまり、前記送電網が高負荷状態にある場合、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量、及び前記目標時刻から前記リソース値が前記第1のリソース閾値以下に下回る時刻までの時間帯である目標時間帯における前記電池交換ステーション内の電池の予約数を決定するための予約数決定モジュールと、
前記使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して前記電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを前記送電網に伝送するための制御モジュールと、を備え、
前記リザーブ電池の数量が前記予約数より多い又はそれと等しく、前記第1の電池は、前記電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の他の電池のうちの1つ又は複数を含み、
前記使用可能電池の数量が前記リザーブ電池の数量より少ない場合、目標時間帯における交換を要求する電池の数量を含む車両の電池交換要求を取得する要求取得モジュールと、
電池交換ステーションの残った使用可能電池の数量が前記交換を要求する電池の数量より少ない場合、前記電池交換要求に応答して前記車両の電池交換時刻を決定する時刻決定モジュールと、
電池交換ステーションの充電パラメータに基づいて、前記電池交換時刻の使用可能電池の数量を推定する数量推定モジュールと、を更に備え、
前記制御モジュールは、推定された前記使用可能電池の数量が前記交換を要求する電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して前記送電網の電気エネルギーを前記電池交換ステーション内の第3の電池に伝送することにより、前記送電網の電気エネルギーにより前記第3の電池を使用可能電池に調整し、前記電池交換時刻で調整された使用可能電池の数量が前記交換を要求する電池の数量より多い又はそれと等しいようにするために用いられる、電気エネルギー伝送装置。
【請求項9】
プロセッサと、コンピュータプログラム指令が記憶されたメモリと、を備え、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電気エネルギー伝送方法を実現するために、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラム指令を読み取って実行する、ことを特徴とする電気エネルギー伝送デバイス。
【請求項10】
ンピュータプログラム指令が記憶され、前記コンピュータプログラム指令がプロセッサにより実行される時、請求項1乃至のいずれか1項に記載の電気エネルギー伝送方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池交換の技術分野に属し、特に、電気エネルギー伝送方法、装置、デバイス及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の発展に伴い、車両の電池交換技術は電池技術の発展方式の一つとなっている。電池交換技術において、電池交換ステーションに入った車両の電池を取り外し、かつ電池交換ステーションから電池を取り出して車両に交換することができる。
【0003】
現在、電池が、充電室に配置されて充電室により充電完了された後、そのまま充電室内に放置され、車両に交換されるときに充電室から取り出される。
【0004】
したがって、電池交換ステーションにおける電池の電気エネルギーの使用率が高くない場合が多い。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施例は、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる電気エネルギー伝送方法、装置、デバイス及び媒体を提供する。
【0006】
第1の態様において、本出願の実施例は、電気エネルギー伝送方法を提供し、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定することと、リソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量、及び目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯である目標時間帯における電池交換ステーション内の電池の予約数を決定することと、
使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送することと、を含み、
リザーブ電池の数量が予約数より多い又はそれと等しく、第1の電池は、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の他の電池のうちの1つ又は複数を含む。
【0007】
1つの選択可能な実施形態において、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量及び目標時間帯における電池交換ステーション内の電池の予約数を決定した後、方法は、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より少ない場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーション内の使用可能電池以外の第2の電池に伝送することにより、送電網の電気エネルギーにより第2の電池を使用可能電池に調整し、調整された使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多くなることを更に含む。
【0008】
本実施形態により、高電力消費期間において、電池交換ステーションの電池交換サービスのために十分な使用可能電池を用意することができ、ユーザが高電力消費期間で電池の交換能力を確保することができる。また、高電力消費期間で全ての電池を充電完了する解決手段に比べて、高負荷状態にある送電網に追加の給電圧力をかけず、高電力消費期間で電気エネルギーリソースをスケジューリングする合理性を実現する。したがって、本実施例により、高電力消費期間において、ユーザが電池を交換する能力及び電気エネルギーリソースをスケジューリングする合理性を両立させる。
【0009】
1つの選択可能な実施形態において、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量を決定した後、方法は、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より少ない場合、目標時間帯における交換を要求する電池の数量を含む車両の電池交換要求を取得することと、
電池交換ステーションの残った使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より少ない場合、電池交換要求に応答して車両の電池交換時刻を決定することと、
電池交換ステーションの充電パラメータに基づいて、電池交換時刻の使用可能電池の数量を推定することと、
推定された使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーション内の第3の電池に伝送することにより、送電網の電気エネルギーにより第3の電池を使用可能電池に調整し、電池交換時刻で調整された使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より多い又はそれと等しいことと、を更に含む。
【0010】
実際の状況において、電池交換を臨時的決定するか又は電池交換をキャンセルするなどのランダムな動作により、電池交換の予約動作を推定しにくく、電池交換ステーションが目標時間帯でユーザの電池交換要求を満たすことができないので、ユーザーの電池交換の体験に影響を与える可能性があり、又は、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量が目標時間帯で車両の電池交換の数量より非常に多いので、使用可能電池が使われなくてそのまま放置させる。本実施形態により、車両が到着して電池を交換する前に、電池交換要求に基づいて、車両が電池交換ステーションに到着する前に車両に十分な使用可能電池を用意することができ、電池を交換する時、車両に十分な使用可能電池を交換することを確保し、更にユーザーの電池交換の体験を保証する。また、車両の電池交換要求を受信した後に第3の電池を用意することができ、車両の実際の電池交換需要に応じて電池を用意し、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーと送電網の電気エネルギーとの合理的なスケジューリングを確保する。したがって、本実施形態により、ユーザの電池交換の体験及び電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーと送電網の電気エネルギーとの合理的なスケジューリングを両立させる。
【0011】
1つの選択可能な実施形態において、リザーブ電池の数量は、予約数と目標割合閾値との積であり、充放電モジュールを制御して電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する前に、方法は、電池交換ステーションの種類を決定することと、電池交換ステーションの種類に対応する割合を、目標割合閾値として決定することと、を更に含む。
【0012】
本実施形態により、異なる電池交換ステーションに対し異なる目標割合閾値を設定することにより、異なる電池交換ステーションが異なる数量の電池を用意することができ、電気エネルギーのスケジューリングの柔軟性を向上させる。
【0013】
1つの選択可能な実施形態において、電池交換ステーションの種類は、第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションを含み、ここで、第1の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度が第2の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度より高く、第1の種類の電池交換ステーションが第1の割合に対応し、第2の種類の電池交換ステーションが第2の割合に対応し、第1の割合が第2の割合より大きい。
【0014】
本実施形態により、電池交換ステーションの電池交換業務量/電池交換ビジー程度に基づいて目標割合閾値を決定することができ、それにより、電池交換業務量が多い電池交換ステーションは、より多くの電池を保留して目標時間帯で車両の電池交換要求を満たすとともに余剰電気量を送電網に補充することができ、又、電池交換業務量が少ない電池交換ステーションは、より多くの電気エネルギーを送電網に伝送するとともにアイドルとした電池交換ステーションが目標時間帯で車両の電池交換要求を満たすことができ、電気エネルギーのスケジューリングの柔軟性をさらに向上させる。
【0015】
一つの選択可能な実施形態において、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定した後、方法は、リソース値が第2のリソース閾値より小さい又はそれと等しい場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に伝送することを更に含み、第2のリソース閾値が第1のリソース閾値より小さい。
【0016】
送電網が低電力消費期間にある時、即ち、送電網の電気エネルギーが十分であり、かつ資源値が低い場合、送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に記憶することができ、それにより、高電力消費期間で電池交換ステーションの電池内に記憶された電気エネルギーを使用して送電網の安定性を確保して電気エネルギー伝送の合理性を保証する。
【0017】
一つの選択可能な実施形態において、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定した後、方法は、リソース値が第1のリソース閾値より小さく、且つ第2のリソース閾値より大きい場合、第1のリソース値と、第2のリソース値との差を決定することと、差と所定の差閾値との比較結果を決定することと、充放電モジュールを制御して比較結果に対応する、電池交換ステーションの電池と送電網との電力エネルギーの伝送ポリシーである電気エネルギー伝送ポリシーを実行することと、を更に含む。
【0018】
本実施形態により、高電力消費期間のリソース値と低電力消費期間のリソース値の差に基づいて、電気エネルギーの伝送の解決手段を柔軟に調整することができ、電気エネルギーの伝送過程の柔軟性をさらに向上させる。
【0019】
一つの選択可能な実施形態において、比較結果により、差が所定の差閾値より大きい又はそれと等しいことが示された場合、電池交換ステーションの電池から送電網に伝送する第1の電気エネルギー伝送ポリシーを実行し、比較結果により、差が所定の差閾値より小さいことが示された場合、電池交換ステーションの電池と送電網との電気エネルギーの伝送を停止する第2の電気エネルギー伝送ポリシーを実行する。
【0020】
本実施形態により、高電力消費期間のリソース値と普通電力消費期間のリソース値の差に基づいて、電気エネルギーの伝送の解決手段を適当に選択することができ、電気エネルギーの伝送過程の柔軟性をさらに向上させる。
【0021】
第2の態様において、本出願の実施例は、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定するためのリソース値決定モジュールと、リソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量、及び目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯である目標時間帯における電池交換ステーション内の電池の予約数を決定するための予約数決定モジュールと、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送するための制御モジュールと、を備え、リザーブ電池の数量が予約数より多い又はそれと等しく、第1の電池は、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の他の電池のうちの1つ又は複数を含む、電気エネルギー伝送装置を提供する。
【0022】
本出願の実施例による電気エネルギー伝送装置について、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値が第1のリソース閾値より大きく、即ち、送電網の負荷が高いときには、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、目標時間帯における電池交換ステーション内の車両に交換可能な電池の数量が十分である場合、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の1つ又は複数の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する。目標時間帯が目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯であり、即ち、目標時間帯が目標時刻後の高電力消費期間を表すため、第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送することにより、高電力消費期間後の高電力消費時間において、電池交換ステーションの電池交換能力を確保するとともに、電池交換ステーションの残った電気エネルギーを送電網に補充し、送電網の負荷が高い場合、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる。
【0023】
第3の態様において、プロセッサと、コンピュータプログラム指令が記憶されたメモリと、を備え、 第1の態様又は第1の態様のいずれかの選択可能な実施形態による電気エネルギー伝送方法を実現するために、プロセッサは、コンピュータプログラム指令を読み取って実行する電気エネルギー伝送デバイスを提供する。
【0024】
本出願の実施例による電気エネルギー伝送デバイスについて、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値が第1のリソース閾値より大きく、即ち、送電網の負荷が高いときには、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、目標時間帯における電池交換ステーション内の車両に交換可能な電池の数量が十分である場合、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の1つ又は複数の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する。目標時間帯が目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯であり、即ち、目標時間帯が目標時刻後の高電力消費期間を表すため、第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送することにより、高電力消費期間後の高電力消費時間において、電池交換ステーションの電池交換能力を確保するとともに、電池交換ステーションの残った電気エネルギーを送電網に補充し、送電網の負荷が高い場合、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる。
【0025】
第4の態様において、コンピュータ記憶媒体を提供し、コンピュータ記憶媒体にはコンピュータプログラム指令が記憶され、コンピュータプログラム指令がプロセッサにより実行される時、第1の態様又は第1の態様のいずれかの選択可能な実施形態による電気エネルギー伝送方法を実現する。
【0026】
本出願の実施例によるコンピュータ記憶媒体について、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値が第1のリソース閾値より大きく、即ち、送電網の負荷が高いときには、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、目標時間帯における電池交換ステーション内の車両に交換可能な電池の数量が十分である場合、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の1つ又は複数の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する。目標時間帯が目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯であり、即ち、目標時間帯が目標時刻後の高電力消費期間を表すため、第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送することにより、高電力消費期間後の高電力消費時間において、電池交換ステーションの電池交換能力を確保するとともに、電池交換ステーションの残った電気エネルギーを送電網に補充し、送電網の負荷が高い場合、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本出願の実施例の技術的手段をより明瞭に説明するために、本出願の実施例で必要な図面を簡単に説明する。なお、下記に記載の図面は本出願の一部の実施例であり、当業者であれば、クリエイティブな労力を必要とせずに、他の図面を得ることができる。
【0028】
図1図1は、本出願の実施例による例示的な電池交換シーンの模式図である。
図2図2は、本出願の実施例による電気エネルギー伝送システムのシステムアーキテクチャ図である。
図3図3は、本出願の実施例による第1の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。
図4図4は、本出願の実施例による第2の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。
図5図5は、本出願の実施例による第3の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。
図6図6は、本出願の実施例による第4の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。
図7図7は、本出願の実施例による第5の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。
図8図8は、本出願の実施例による電気エネルギー伝送装置の構造模式図である。
図9図9は、本出願の実施例による電気エネルギー伝送デバイスのハードウェア構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本出願の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。以下、本出願の目的、技術案及び利点をより明確に理解させるために、図面及び実施例を参照して、本出願をさらに詳細に説明する。なお、ここに記載の具体的な実施例は本出願を解釈するに過ぎず、本出願を限定するものではないと理解べきである。本出願がこれらの具体的な詳細の一部を要せずに実施できることは、当業者にとって自明である。下記に記載の実施例は、本出願を例示することによって本出願をより良く理解させるためのものである。
【0030】
なお、本文において、第1及び第2のような関係用語は、一のエンティティ又は動作と他のエンティティ又は動作とを区別することに用いられ、これらのエンティティ又は動作の間にこのような実際的な関係又は順序が存在することを必ずしも要求または暗示するものではない。また、「備える」、「含む」、又はその他の変形のような用語は、非排他的な包含を意図し、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又はデバイスがそれらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素を含んでもよく、或いは、このようなプロセス、方法、物品又はデバイスにおける固有の要素を含んでもよい。より多くの制限がない限り、「…を含む」のような語句で限定される要素は、要素を含むプロセス、方法、物品又はデバイスがさらに他の同一な要素を有することを排除するものではない。
【0031】
新エネルギー技術の急速な発展に伴い、新エネルギーをサポートする色々な技術も大幅に改善される。充電が困難であり、充電速度が遅く、電池の航続能力に制限があるなどを考慮し、新エネルギー自動車に対する電池交換技術が生まれる。
【0032】
電池交換技術は、「車両と電池の分離」という方式を使用し、電池交換ステーションを通して車両に電池交換サービスを提供することができる。
【0033】
現在、電池が、充電室に配置されて充電室により充電完了された後、そのまま充電室内に放置され、車両に交換されるときに充電室から取り出され、電池交換ステーションにおける電池の電気エネルギーの使用率が高くない場合が多い。
【0034】
従って、電池交換ステーションにおける電池の電気エネルギーの使用率を向上させる技術手段が必要とする。
【0035】
これにより、本出願の実施例は電気エネルギー伝送方法、装置、デバイス及び媒体を提供し、車両の電池交換応用シーンに用いられる。上記関連技術に比べて、電池交換ステーションにおける電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる。
【0036】
本出願をよりよく理解するために、本出願の実施例により提供される電気エネルギー伝送方法を説明する前、具体的には、本出願の実施例により、まず本出願に係る車両、電池、電池交換ステーション等の概念を順に説明する。
【0037】
(1)車両であって、本出願の実施例による車両は、電池と取り外し可能に接続されている。いくつかの実施例において、車両は、自動車、トラックなどの電池を動力源とする車両であってもよい。本出願の実施例による車両には、1つ又は複数の電池が取り付けられてもよい。
【0038】
(2)電池であって、本出願の実施例による電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池等であってもよく、これに対して限定されない。
【0039】
規模から言えば、検出待ち電池セットは、電池セルであってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよく、これに対して限定されない。
【0040】
応用から言えば、電池は、電気自動車内に用いられ、電気自動車のモータに給電し、電気自動車の動力源としてもよい。電池は、電気自動車における他の電気装置に給電することができ、例えば、車内エアコン、車両用プレーヤなどに給電できる。
【0041】
(3)電池交換ステーションであって、本出願の実施例において、電池交換ステーションは、車両に電池交換サービスを提供する場所である。例えば、固定の場所であってもよく、又は移動式の電池交換用車両などの移動場所であってもよく、本出願の実施例は、これに対して限定されない。
【0042】
上記概念を説明した後、簡単に理解するために、本出願の実施例による動力電池の充電解決手段を詳しく説明する前に、本出願の実施例の下記内容には、まず1つの例示的な電池交換シーンを詳しく説明する。
【0043】
図1は、本出願の実施例による例示的な電池交換シーンの模式図である。図1に示すように、電池交換ステーション20は、電池交換キャビネット21を備える。ここで、電池交換キャビネット21は、複数の充電室22を備える。
【0044】
使用可能電池P1が取り付けられた車両が電池交換ステーション20に入ると、電池交換ステーション20は、電池交換装置により使用可能電池P1を車両10の底部から取り外し、かつ充電室22から第2の電池P2を取り出し、第2の電池P2を車両10に取り付けた後、第2の電池P2が取り付けられた車両10が電池交換ステーション20から離れることができる。当該電池交換技術により、数分間、さらに数十秒以内に車両に対してエネルギーの補充を迅速に行うことができ、ユーザ体験を向上させる。
【0045】
また、取り外された使用可能電池P1を空いている充電室22内に入れ充電して電池交換ステーション20が他の車両に電池交換サービスを提供し続ける。
【0046】
電池交換シーンを説明した後、理解されるために、本出願の実施例による電気エネルギーのスケジューリング方法を詳しく説明する前に、本出願の以下の実施例は、まず、電気エネルギー伝送システムに対して詳しく説明する。
【0047】
図2は、本出願の実施例による電気エネルギー伝送システムのシステムアーキテクチャ図である。図2に示すように、電気エネルギーのスケジューリングシステムは、電池40と、制御モジュール23と、充放電装置24と、送電網30と、を含んでもよい。ここで、電池交換ステーションは、制御モジュール23と、充放電装置24と、を備える。
【0048】
まず、電池40は、充電室内に配置され、充放電可能な電池を指す。例示的に、電池40は、充電室内に配置された第2の電池P2であってもよく、又は充電室から取り出す前の第1の電池P1であってもよい。
【0049】
次に、制御モジュール23は、電池40が送電網30に放電する及び送電網30が電池P1に充電するように制御できる制御機能を有するモジュールを指す。一例において、制御モジュール23は、電池交換ステーション内の充電制御モジュールであってもよい。また、電池交換ステーション内のサーバであってもよく、これに対して限定されない。
【0050】
そして、充放電装置24は、電池40を充放電することができる。一例において、充放電装置24は、具体的には、電圧変換器を含み、電圧変換器が送電網の交流電力を直流電力に変換し、又は送電網の高電圧交流電力を低電圧交流電力に変換し、さらに変換された電気エネルギーを使用して電池を充電することができる。また、電池の直流電力を交流電力に変換し、又は電池の低電圧交流電力を高電圧交流電力に変換し、さらに変換された電気エネルギーを使用して送電網に電気エネルギーを提供する。例示的に、充放電装置24は、交流(Alternating Current-Alternating Current,AC-AC)変換器、及び/又は、交流直流(Direct Current-Alternating Current,DC-AC)変換器を含んでもよい。なお、充放電装置24は、車両から送電網(Vehicle-to-grid,V2G)への技術を支持する充電パイル等の装置であってもよく、これに対して限定されない。
【0051】
なお、電池の電気エネルギーを使用して送電網に電気エネルギーを補充する場合、送電網の変動を補償しかつ送電網の給電気量を向上させることができる。
【0052】
上記電気エネルギー伝送システムを説明した後、本出願をよりよく理解するために、以下、図面を参照し、本出願の実施例による電気エネルギー伝送方法、装置、デバイス及び媒体を詳しく説明し、なお、これらの実施例は本出願の保護範囲を限定するものではないと理解される。
【0053】
図3は、本出願の実施例による第1の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。図3に示すように、電気エネルギー伝送方法は、ステップS310~S330を含む。ここで、電気エネルギース伝送方法の各ステップを実行する主体は、電池交換ステーション内の充電制御モジュール、電池交換ステーション内のサーバなどの電池交換ステーションの制御モジュールであってもよく、又は、クラウドサーバなどの電池交換ステーション外部の制御モジュールであってもよく、これに対して限定されない。
【0054】
ステップS310において、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定する。
【0055】
まず、目標時刻は、電池と送電網との間に電気エネルギー伝送の制御を行う時刻を指す。例示的には、リアルタイムに電気エネルギー伝送を調整する必要がある場合、目標時刻は、現在時刻であってもよい。
【0056】
次に、リソース値について説明する。
【0057】
いくつかの実施例において、送電網の単位電気エネルギーのリソース値は、単位電気エネルギーの価値を判定するために用いられ、例えば、単位電気エネルギーの価格であってもよく、例えば、キロワット時あたりの電気エネルギーの価格である。
【0058】
1つの実施例において、送電網の単位電気エネルギーのリソース値の大きさは、送電網のビジーの程度及び送電網の負荷状態に基づいて決定することができる。一例において、送電網が高電力消費期間にあり、即ち、送電網が高負荷状態にある場合、送電網の単位電気エネルギーのリソース値が高く、例えば、単位電気エネルギーのリソース値が電力料金であり、高電力消費期間で送電網の電力料金が最も高い価格である。別の例において、送電網が低電力消費期間にあり、即ち、送電網が低負荷状態にある場合、送電網の単位電気エネルギーのリソース値が低く、例えば、単位電気エネルギーのリソース値が電力料金であり、低電力消費期間で送電網の電力料金が最も低い価格である。別の例において、送電網が普通電力消費期間にあり、即ち、送電網が正常な負荷状態にある場合、送電網の単位電気エネルギーのリソース値が中間値であり、例えば、単位電気エネルギーのリソース値が電力料金であり、普通電力消費期間で送電網の電力料金が中間価格である。なお、高電力消費期間の送電網負荷量aは、低電力消費期間の送電網負荷量bより大きいであり、中間価格期間の送電網負荷量cは、低電力消費期間の送電網負荷量bより大きい。なお、一部の地域では、電力消費期間は、高電力消費期間、普通電力消費期間、低電力消費期間のうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0059】
そして、リソース値を取得する具体的な実施形態について説明する。
【0060】
いくつかの実施例において、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値は、単位電気エネルギーのリソース値の経時変動の規則に従って決定される。例示的には、毎日の3つの異なる時間帯を送電網の高電力消費期間、低電力消費期間及び普通電力消費期間とすることができる。目標時刻の時間帯に基づいて該時間帯に対応するリソース値を決定することができる。
【0061】
例えば、毎日の00:00~06:00が低電力消費期間であり、目標時刻が該低電力消費期間の範囲内にあれば、目標時刻に対応するリソース値は0.2元である。毎日の06:00~18:00が普通電力消費期間であり、目標時刻が該普通電力消費期間の範囲内にあれば、目標時刻に対応するリソース値は0.5元である。毎日の18:00~24:00は高電力消費期間であり、目標時刻が該高電力消費期間の範囲内にあれば、目標時刻に対応するリソース値は1元である。なお、異なる地域の高電力消費期間、低電力消費期間及び普通電力消費期間を区別する方式が異なり、本出願の実施例は、これに対して限定されない。ステップS310において、所在地域に基づいて、送電網の高電力消費期間、低電力消費期間及び普通電力消費期間を決定することができる。
【0062】
別の実施例において、さらに目標時刻が属する期間に基づいて、送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値を決定することができる。例えば、目標時刻が高電力消費期間にある場合、目標時刻のリソース値は最大値である。目標時刻が低電力消費期間にあれば、目標時刻のリソース値は最小値である。目標時刻が普通電力消費期間にあれば、目標時刻のリソース値は中間値である。
【0063】
なお、具体的なシーンと実際の需要に応じて送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値を決定することができる。
【0064】
ステップS320において、送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量A及び電池交換ステーション内の電池の目標時間帯内の予約数Bを決定する。
【0065】
まず、第1のリソース閾値は、送電網が高電力消費期間にあるか否かを判定するために用いられる。送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、送電網が高電力消費期間にあると決定する。いくつかの実施例において、第1のリソース閾値は、送電網が高電力消費期間にあるリソース値に基づいて決定されてもよい。例えば、第1のリソース閾値は、送電網の高電力消費期間のリソース値と等しくてもよく、又は、第1のリソース閾値は、高電力消費期間のリソース値より小さく、かつ普通電力消費期間のリソース値より大きいであってもよく、本出願の実施例は、これに対して限定されない。
【0066】
次に、目標時間帯について、目標時間帯は、目標時刻から送電網の高電力消費期間の終了時刻までの時間帯であってもよい。具体的には、目標時間帯は、目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との間の時間帯であってもよい。例えば、送電網の高電力消費期間が18:00~24:00であれば、送電網の電気エネルギーの高電力消費期間のリソース値は、いずれも第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい。目標時刻が19:30であれば、目標時間帯は19:30~24:00であってもよい。
【0067】
次に、使用可能電池について説明する。
【0068】
使用可能電池は、状態パラメータが所定の値の範囲にある電池であってもよい。例えば、使用可能電池は、車両に交換される条件を満たす電池であってもよく、
【0069】
1つの実施例において、状態パラメータは、充電状態(State Of Charge,SOC)、電気量、健康度(State Of Health,SOH)、温度、電圧などの電池性能を反映できるパラメータであってもよく、本出願の実施例は、これに対して限定されない。
【0070】
一例において、SOCを例とし、使用可能電池は、100%SOCの電池であってもよく、即ち、完全に充電された電池である。又は、80%SOC以上の電池であってもよい。
【0071】
別の例において、使用可能電池は、電池の温度が所定の温度範囲内にある電池である。ここで、所定の温度範囲は、電池の動作に適する温度範囲であってもよい。電池の温度が該所定の温度範囲内にある場合、電池は、優れた充放電性能及び安全安定性を有することができる。例示的に、所定の温度範囲は、電池が正常に動作する温度区間であってもよく、例示的に、所定の温度範囲は、(+20℃、+55℃)であってもよく、さらに、例えば、(+10℃、+55℃)であってもよい。なお、所定の温度範囲は、電池の所在環境の温度、電池の電気的性能などのパラメータに基づいて決定することができ、これに対して限定されない。
【0072】
いくつかの実施例において、車両に1つの電池を取り付ける必要があれば、使用可能電池は、上記条件を満たすことができる。
【0073】
別の実施例において、車両に複数の電池が取り付ける必要があれば、例えば、車両に必要な電池の数量がL個であれば、使用可能電池の数量を決定する場合、Nグループの使用可能電池を必要とし、各グループにはL個の使用可能電池が含まれる。ここで、Lは2以上の整数であり、Nは整数である。
【0074】
各グループのL個の電池は、さらに所定のグループ化条件を満たす必要があり、ここで、所定のグループ化条件は、下記サブ条件A乃至Cのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0075】
サブ条件A:使用可能電池同士の間の電圧差が所定の電圧差閾値より小さい。一例において、所定の電圧差閾値は、電池の電池セルの最大許容サンプリング誤差ΔV及び単一の使用可能電池の電池セルの数量Lに基づいて決定されることができる。例えば、所定の電圧差閾値はΔV×Lである。例えば、最大許容サンプリング誤差ΔVは0.48ボルト(V)であってもよい。なお、所定の電圧差閾値は、実際のシーンと具体的な需要に応じて異なる設定方式又は値を用いることができ、例えば、具体的な数値は2Vであってもよく、その設定方式及び具体的な値に対して限定されない。
【0076】
サブ条件Aを設定することにより、使用可能電池の間の電圧差が過大になることで、電池の給電回路上のリレーを焼損するリスクを回避することができ、電池の安全性及び信頼性を向上させる。また、使用可能電池の間の電圧差により使用可能電池の間で生成された環流が電気量に対する消耗を防止することができ、電池の電力消費速度を低下させる。
【0077】
サブ条件B:使用可能電池同士の間の電池パラメータの差が所定の電気量差閾値より小さい。ここで、電池パラメータは、電池の容量を判定できるパラメータであってもよく、例えば、電池の電気量であってもよく、又は、電池のSOCであってもよく、これに対して限定されない。また、所定の電気量差閾値は、実際のシーン及び具体的な需要に応じて設定することができ、例えば、電気量パラメータがSOCであることを例として、所定の電気量差閾値は3%又は5%であってもよく、その設定方式及び具体的な値に対して限定されない。
【0078】
いくつかの実施例において、電池の耐用年数が非常に異なる場合、同じ電圧を有する電池のSOCに差異が存在する。L個の電池が同時に上記サブ条件A及びサブ条件Bを満たす場合、電池の充放電特性の一致性を保証することができ、それにより、使用過程において、電池の耐用年数の差が一致しないことによる余分な電気量消費及び安全リスクを回避することができる。
【0079】
サブ条件C:使用可能電池同士の間のSOHの差が所定のSOH差閾値より小さい。
【0080】
SOHは、電池の劣化程度を示す。ここで、SOHが小さいほど、電池劣化の程度が高い。例えば、SOH=100%は、電池が出荷前又は出荷時、即ち、電池が初期耐用期間(Beginning of Life,BOL)にある電池劣化程度を示す。SOH=0%は、電池が廃棄状態にあることを示す。1つの具体的な例において、目標時刻における電池のSOHは、目標時刻における電池の満充電容量と定格容量との割合で表すことができる。別の具体的な例において、目標時刻における電池のSOHは、目標時刻における電池の余剰サイクル回数と電池の総サイクル回数との割合で表すことができる。なお、SOHは、他の表示方式、例えば、最大放電容量及び内部抵抗などであってもよく、本出願の実施例は、これに対して特に限定されない。
【0081】
所定のSOH差閾値は、実際のシーン及び具体的な需要に応じて設定することができ、その設定方式及び具体的な値に対して限定されない。
【0082】
電池の健康度の差異により、電池の使用過程において充放電性能の差異を引き起こし、サブ条件Cにより電池の充放電特性の一致性を保証することができ、それにより、使用過程において、電池の耐用年数の差が一致しないことによる余分な電気量消費及び安全リスクを回避することができる。
【0083】
サブ条件D:使用可能電池同士の間の温度差が所定の温度差閾値より小さい。
【0084】
いくつかの実施例において、所定の温度差閾値は実際のシーン及び具体的な需要に応じて設定することができ、例えば、その具体的な値は3摂氏度(℃)であってもよく、その設定方式及び具体的な値に対して限定されない。
【0085】
サブ条件Dにより、温度を調整することにより、各電池パックの充放電性能が優れた状態にあることを確保できる。
【0086】
いくつかの実施例において、電池の数量がL個を超えてグループ化にする場合、例えば、P個の使用可能電池をグループ化にしてもよく、上記サブ条件に加えて、以下のサブ条件により、P個の使用可能電池からL個の使用可能電池を選択することができる。
【0087】
サブ条件E:P個の選択可能な電池において、電池交換ステーションに入る時間が最も早いL個の電池を選択してグループにする。サブ条件Eにより、電池が電池交換ステーション内に放置されることを防止し、各電池の使用頻度を均等化することができ、それにより、全体として電池の耐用年数のバランスを保証する。
【0088】
サブ条件F:電池交換ステーション内にそれぞれ複数の選択可能な電池グループを有し、ここで、各選択可能な電池グループにおける電池は、いずれも上記所定のグループ条件を満たすと、対応する電池交換量が最も高い1つの選択可能な電池グループの電池を選択して使用可能電池とすることができる。
【0089】
また、予約数Bについて説明する。
【0090】
一例において、予約数Bは、車両が当日の目標時間帯で電池交換を予約した第1の予約数xであってもよい。即ち、電池は、電池と送電網との間で電気エネルギー伝送の制御を行う当日で目標時間帯における実際の予約数量である。例えば、電池交換ステーションが目標時間帯で10台の車両の電池交換の予約情報を受信し、各車両が2つの電池を交換しようとすると、電池の目標時間帯での予約数は、20であってもよい。
【0091】
別の例において、予約数Bは、電池の履歴日付の目標時間帯の予約数に基づいて、推定された当日の目標時間帯の第2の予約数yであってもよい。例えば、目標時間帯の予約数yは、当日の前の多日の目標時間帯の予約数の平均値であってもよく、例示的には、目標時間帯が7月30日の19:30~24:00であれば、4月29日~7月29日の毎日の19:30~24:00の予約数の平均値に基づいて7月30日の19:30~24:00の第2の予約数yとすることができる。
【0092】
別の例において、第2の予約数x及び第2の予約数yに基づいて、当日の目標時間帯の予約数を決定することができ、例えば、推定して得られた第2の予約数yが第1の予約数xより小さい場合、目標時間帯で予想外の電池交換の要求が存在する可能性があるため、第1の予約数xより大きい値を予約数として選択してもよく、例えば、第1の予約数xと所定の数値との和であってもよく、又は、第1の予約数xに第1の倍率を乗算してもよく、ここで、第1の倍率が1より大きい値である。
【0093】
ステップS330において、使用可能電池の数量Aがリザーブ電池の数量より大きい場合、電池交換ステーション内の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送するように充放電モジュールを制御する。ここで、使用可能電池の数量Aがリザーブ電池の数量より大きい場合、目標時間帯における電池交換サービスに用いられる電池交換ステーション内の使用可能電池が十分であることを示す。この時、リソースの合理的なスケジューリングを実現するために、目標時間帯における電池交換サービスに用いられるリザーブ電池を保留した後、それ以外の電池の電気エネルギーを送電網に伝送して、送電網に電気エネルギーを補充して送電網の安定性を維持することができる。
【0094】
まず、リザーブ電池は、使用可能電池から選択された複数の電池であってもよい。リザーブ電池は、目標時間帯で車両に電池交換サービスを提供するように予約された電池である。例示的に、今回の電気エネルギー伝送過程において、リザーブ電池の電気量が送電網に伝送されない。
【0095】
次に、リザーブ電池の数量について説明する。数量について、電池交換ステーションの目標時間帯での電池交換能力を確保するために、リザーブ電池の数量Mは、予約数量Bより大きい又はそれと等しい数値であってもよい。
【0096】
いくつかの実施例において、リザーブ電池の数量Mは、予約数と所定の数量値の和であってもよい。ここで、所定の数量値は、実際のシーン及び具体的な需要に応じて設定することができ、これについて説明を省略する。
【0097】
別の実施例において、リザーブ電池の数量Mは、予約数Bと目標割合閾値αとの積より大きい又はそれと等しいであってもよい。例示的に、予約数Bと目標割合閾値の値が整数であれば、MはB*αと等しいことができる。また、例示的には、予約数Bと目標割合閾値αとの積の値が非整数であれば、MはB*αの値の上向きの整数値と等しくてもよい。例えば、例示的には、電池交換ステーションの電池が19:30~24:00の間で24個予約されると、目標割合閾値αの値が1.2であると、リザーブ電池の数量Mは24*1.2の上向きの整数値であってもよく、即ち28.8の上向きの整数値であり、即ち、M=29個である。
【0098】
ここで、目標割合閾値は、1より大きい又はそれと等しい値であってもよい。一つの実施例において、電気エネルギースケジューリングの柔軟性をさらに向上させるために、異なる電池交換ステーションに対し異なる目標割合閾値を設定することができる。具体的には、目標割合閾値は、電池交換ステーションの電力交換業務量
/ 電力交換ビジー程度に基づいて決定することができる。
【0099】
それに応じて、電気エネルギー伝送方法は、目標割合閾値を決定するステップ、即ち下記ステップA1及びステップA2を含んでもよい。
【0100】
ステップA1において、電池交換ステーションの種類を決定する。
【0101】
一例において、電池交換ステーションの種類は、第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションを含み、ここで、第1の種類の電池交換ステーションがビジーステーションと呼ばれ、第2の種類の電池交換ステーションがアイドルステーションと呼ばれてもよい。第1の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度は、第2の種類の電池交換頻度より高い。なお、電池交換ステーションの電池交換能力に基づいて、電池交換ステーションを3つ又は3つ以上の異なる種類の電池交換ステーションに区分することができる。
【0102】
本実施例により、電池交換ステーションの電池交換業務量/電池交換ビジー程度に基づいて目標割合閾値を決定することができ、それにより、電池交換業務量が多い電池交換ステーションは、より多くの電池を保留して目標時間帯で車両の電池交換要求を満たすとともに余剰電気量を送電網に補充することができ、又、電池交換業務量が少ない電池交換ステーションは、より多くの電気エネルギーを送電網に伝送するとともにアイドルとした電池交換ステーションが目標時間帯で車両の電池交換要求を満たすことができ、電気エネルギーのスケジューリングの柔軟性をさらに向上させる。
【0103】
次に、複数の例に基づいて、電池交換ステーションの種類を決定する方法に対して詳しく説明する。
【0104】
一例において、電池交換ステーション内の電池の入場持続時間に基づいて決定することができる。1つの具体的な実施例において、電池交換ステーションには、入場持続時間が第1の持続時間閾値より大きい又はそれと等しい電池が存在すれば、該電池交換ステーションが第2の種類の電池交換ステーションであると決定し、そうでない場合、第1の種類の電池交換ステーションである。本実施例により、電池交換ステーションには、入場持続時間が第1の持続時間閾値より大きい又はそれと等しい電池が存在するのは、該電池交換ステーション内に長期放置可能な電池が存在することを示し、それに応じて、該電池交換ステーションがアイドル状態にあることを表し、即ち、該電池交換ステーションが第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。別の具体的な例において、電池交換ステーション内の電池の入場持続時間がいずれも第2の持続時間閾値より小さいであれば、電池交換ステーション内の電池はいずれも新たな電池であり、電池交換ステーションの電池交換頻度が高いため、該電池交換ステーションの電池が電池交換ステーションに頻繁に出入りすることを表し、即ち、該電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーションであると決定する。そうでない場合、第2の種類の電池交換ステーションである。別の具体的な例において、電池交換ステーション内の電池総数量における電池交換ステーションの入場持続時間が第1の持続時間閾値より大きい電池の割合が第1の割合閾値より小さいか否かに基づいて、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。又は、電池交換ステーション内の電池総数量における電池交換ステーションの入場持続時間が第2の持続時間閾値より小さい電池の割合が第2の割合閾値より大きいか否かに基づいて、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。ここで、入場持続時間は、電池が充電室に入った時刻から現在時刻までの持続時間である。ここで、現在時刻は、ステップA1を実行する時刻であってもよい。第1の持続時間閾値及び第2の持続時間閾値は、具体的なシーン及び実際の需要に応じて設定することができ、これに対して特に限定されない。
【0105】
別の例において、電池交換ステーションの毎日の電池交換回数又は電池交換の総数量が第1の数量閾値より大きいか否かに基づいて、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。例えば、電池交換ステーションの毎日の電池交換回数又は電池交換の総数量が第1の数量閾値より大きい場合、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーションであると決定する。例えば、電池交換ステーションの毎日の電池交換回数又は電池交換の総数量が第1の数量閾値より小さい又はそれと等しい場合、電池交換ステーションが第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。ここで、第1の数量閾値は、具体的なシーン及び実際の需要に応じて設定することができ、これに対して特に限定されない。
【0106】
別の例において、電池交換ステーションの毎日の電池交換の数量と電池交換ステーション内の電池の総数量との比に基づいて、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。例えば、毎日の電池交換の数量と電池交換ステーション内の電池の総数量との比が第1の割合閾値より大きい場合、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーションであると決定する。毎日の電池交換の数量と電池交換ステーション内の電池の総数量との比が第1の割合閾値より小さい又はそれと等しい場合、電池交換ステーションが第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。ここで、第1の割合閾値は、具体的なシーン及び実際の需要に応じて設定することができ、これに対して特に限定されない。
【0107】
別の例において、車両の予約電池交換回数が第2の数量閾値より大きいか否かに基づいて、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーションであるか否かを決定する。例えば、車両の予約電池交換回数が第2の数量閾値より大きい場合、電池交換ステーションが第1の種類の電池交換ステーションであると決定する。例えば、車両の予約電池交換回数が第2の数量閾値より小さい又はそれと等しい場合、電池交換ステーションが第2の種類の電池交換ステーションであると決定する。ここで、第2の数量閾値は、具体的なシーン及び実際の需要に応じて設定することができ、これに対して特に限定されない。
【0108】
ステップA2において、電池交換ステーションの種類に対応する割合を、目標割合閾値として決定する。
【0109】
ここで、第1の種類の電池交換ステーションが第1の割合α1に対応し、第2の種類の電池交換ステーションが第2の割合α2に対応し、第1の割合α1は第2のα2よりも大きい。例示的には、第1の割合α1が1.2であり、第2の割合α2が1.1であってもよい。なお、第1の割合α1及び第2の割合α2の値が実際の状況及び具体的なシーンに基づいて設定されてもよく、これに対して特に限定されない。
【0110】
本実施例により、異なる電池交換ステーションに対し異なる目標割合閾値を設定する方式により、異なる電池交換ステーションに異なる数の電池を保留し、電気エネルギーのスケジューリングの柔軟性をさらに向上させることができる。
【0111】
更に、第1の電池について説明する。第1の電池は、送電網に電気エネルギーを補充する必要がある電池であってもよい。一例において、第1の電池は、電池交換ステーションにおけるリザーブ電池以外の全ての電池を指す。別の例において、第1の電池は、電力交換ステーションにおけるリザーブ電池以外の一部の電池であってもよく、例えば、リザーブ電池以外の残った1つ又は複数の電池である。
【0112】
次に、充放電モジュールは、電池交換ステーション内の充放電モジュールであってもよく、例えば、図2に示す充放電モジュール24であってもよく、また、例えば、電池交換ステーション外部の充放電モジュールであってもよく、これに対して限定されない。
【0113】
そして、ステップS330の具体的な実施形態について説明する。いくつかの実施例において、第1の電池の全ての余剰電気エネルギーを送電網に伝送することができる。又は、第1の電池の第1の電気エネルギー閾値を超えた部分の電気エネルギーを送電網に伝送することができ、本出願の実施例は、これに対して限定されない。
【0114】
本出願の実施例による電気エネルギー伝送方法について、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値が第1のリソース閾値より大きいであり、即ち、送電網の負荷が高いときには、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、目標時間帯における電池交換ステーション内の車両に交換可能な電池の数量が十分である場合、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の1つ又は複数の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する。目標時間帯が目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯であり、即ち、目標時間帯が目標時刻後の高電力消費期間を表すため、第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送することにより、高電力消費期間後の高電力消費時間において、電池交換ステーションの電池交換能力を確保するとともに、電池交換ステーションの残った電気エネルギーを送電網に補充し、送電網の負荷が高い場合、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる。
【0115】
いくつかの実施例において、リソースのスケジューリングの合理性を確保するために、充放電モジュールを制御して電池交換ステーション内の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する過程中又は伝送の完了後、ステップS330に基づいて、伝送された第1の総電気エネルギーを決定してから、ステップS310で決定された送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値に基づいて、第1の総電気エネルギーに対応する第1の総リソース値を決定することができる。送電網から該第1の総リソース値を電池交換ステーションに移行する。
【0116】
図3及び上記関連内容を参照し、目標時間帯において、電池交換ステーションの使用可能電池数が電池交換ステーションの電池交換需要を満たすことができる状況での電気エネルギー伝送の解決手段を十分に説明した後、いくつかの実施例において、本出願の実施例は、目標時間帯において、電池交換ステーションの使用可能電池数が電池交換ステーションの電池交換需要を満たすことができない状況での電気エネルギー伝送の解決手段を更に提供する。
【0117】
それに応じて、目標時間帯における電池交換のために用いられるリザーブ電池を十分に保留すると共に、電池交換ステーションの目標時間帯での電池交換能力を確保するために、図4は、本出願の実施例による第2の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。図4図3との相違点は、ステップS320の後に、電気エネルギー伝送方法はステップS340が更に含まれることである。
【0118】
ステップS340において、使用可能電池の数量A1がリザーブ電池の数量Bより少ない場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーション内の使用可能電池以外の第2の電池に伝送することにより、送電網の電気エネルギーにより第2の電池を使用可能電池に調整し、調整された使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量Bより多くなる。例示的には、第2の電池の数量がA2であれば、調整された使用可能電池の数量AはA1とA2の和に等しい。
【0119】
1つの実施例において、送電網の電気エネルギーを使用して第2の電池の電気量を増加させることができ、第2の電池の電気量が使用可能電池の電気量より大きい又はそれと等しい場合、第2の電池を使用可能電池に調整する。
【0120】
1つの実施例において、第2の電池は、電池交換ステーション内の使用可能電池以外の、充電可能な方式で使用可能電池に調整できる電池であってもよい。一例において、電池グループ化の条件を考慮せず、リザーブ電池の数量Bと使用可能電池の数量A1との差がQであれば、電池交換ステーション内の使用可能電池以外の余剰電池から最も電気量が高い少なくともQ個の電池を選択して第2の電池とすることができる。別の例において、電池グループ化の条件を考慮すると、電池交換ステーション内の使用可能電池以外の、電気量以外の他の条件を満たす電池からQ個の電池を選択して第2の電池とすることができる。
【0121】
本実施例により、高電力消費期間において、電池交換ステーションの電池交換サービスのために十分な使用可能電池を用意することができ、ユーザが高電力消費期間で電池の交換能力を確保する。また、高電力消費期間に全ての電池を充電完了する解決手段に比べて、高負荷状態にある送電網に追加の給電圧力をかけず、高電力消費期間で電気エネルギーリソースをスケジューリングする合理性を実現する。したがって、本実施例により、高電力消費期間において、ユーザが電池を交換する能力及び電気エネルギーリソースをスケジューリングする合理性を両立させる。
【0122】
1つの実施例において、リソースのスケジューリングの合理性を確保するために、充放電モジュールを制御して電池交換ステーション内の第2の電池に送電網の電気エネルギーを伝送する過程中又は伝送の完了後、ステップS340に基づいて、伝送された第2の総電気エネルギーを決定してから、ステップS310で決定された送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値に基づいて、第2の総電気エネルギーに対応する第2の総リソース値を決定することができる。そして、電池交換ステーションから該第2の総リソース値を送電網に移行する。
【0123】
図4を参照し、目標時間帯において、使用可能電池数が電池交換ステーションの電池交換需要を満たすことができない状況での第1の種類の電気エネルギー伝送方法を詳しく説明した後、いくつかの実施例において、本出願の実施例は、目標時間帯において、使用可能電池数が電池交換ステーションの電池交換需要を満たすことができない状況での第2の種類の電気エネルギー伝送方法をさらに提供する。
【0124】
それに応じて、目標時間帯における電池交換のために用いられるリザーブ電池を十分に保留すると共に、電池交換ステーションの目標時間帯での電池交換能力を確保するために、図5は、本出願の実施例による第3の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。図5図3との相違点は、ステップS320の後に、電気エネルギー伝送方法にはステップS351乃至S354が更に含まれることである。
【0125】
ステップS351において、使用可能電池の数量A3がリザーブ電池の数量Bより小さい場合、車両の電池交換要求を取得する。
【0126】
電池交換要求は、目標時間帯内で電池を交換するように要求する数量Fを含む。電池交換要求は、電池交換ステーションが目標時間帯で電池交換を要求する車両に電池交換サービスを提供するように要求するために用いられる。1つの実施例において、電池交換要求は、車両の予約した電池交換時刻及び/又はユーザーの走行データを含んでもよい。一例において、予約された電池交換時刻が目標時間帯内にあれば、ユーザーは、電池交換ステーションが予約された電池交換時刻で車両に電池交換サービスを提供するように要求することができる。一例において、走行データは、車両が電池交換の予約の関連操作をトリガする時の位置情報及びユーザーの運転習慣情報を含む。ユーザの運転習慣情報は、一定期間内で、ユーザが運転する速度及び/又はユーザがブレーキを操作する頻度等の情報を含んでもよい。
【0127】
電池交換要求を開始する装置について説明する。1つの実施例において、電池交換要求は、車両の乗員の携帯電話、タブレット、スマートウォッチ等の電子端末により開始されてもよく、又は、遠隔情報プロセッサ(Telematics BOX,TBOX)又はRDB(車両用ネットワーク装置)等の車両ネットワーク装置により開始されてもよい。
【0128】
電池交換要求の開始方式について説明する。いくつかの実施例において、電池交換要求は、ユーザーが車両用ネットワーク装置のタッチスクリーン又は携帯電話などの電子端末での電池交換を予約するためのアプリケーション(例えば、application APP)又は電池交換を予約するためのウェブページにより開始されることであってもよい。別の実施例において、電池交換要求は、車両が電池交換ステーションに到着した後に、電池交換ステーションのサーバにより送信された電池交換要求であってもよい。
【0129】
いくつかの実施例において、高電力消費期間での最も基本的な電池交換要求を確保するために、使用可能電池の数量A3がリザーブ電池の数量Bより小さいと決定した場合、まず送電網の電気エネルギーを使用して第2の電池を充電する方式により電池交換ステーションにおける第2の電池を使用可能電池に調整し、ここで、調整された使用可能電池の総数量は、電池交換の予約数より大きい又はそれと等しいであってもよい。例えば、調整された使用可能電池の数量は、リザーブ電池の数量より多くてもよい。この場合、ステップS340を実行した後、目標時間帯内の実際の予約過程において、ステップS351~ステップS354を実行すると認められる。
【0130】
ステップS352において、電池交換ステーションの残った使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より小さい場合、電池交換要求に応答して車両の電池交換時刻T1を決定する。
【0131】
一例において、電池交換要求は、予約された電池交換時刻を含んでもよく、ステップS352により、電池交換要求から予約された電池交換時刻を解析することができる。
【0132】
別の例において、電池交換の予約要求は、走行データを含んでもよく、電池交換時刻T1が走行データに基づいて推定されてもよい。
【0133】
電池交換時刻T1を推定する具体的な算出方式は、ユーザーの位置情報、電池交換ステーションの位置情報及び運転習慣情報に基づいて、第1の電池交換時刻を算出することを含む。
【0134】
例示的には、ユーザの一定の期間内での運転速度に基づいて平均運転速度Vを算出し、且つ、ユーザの位置情報と電池交換ステーションの位置情報に基づいて、車両と電池交換ステーションとの距離Sを算出することができる。距離Sと平均運転速度Vに基づいて、電池交換時刻T1を算出する。例えば、距離Sと平均運転速度Vとの比Ta及び基準時刻T0の和を電池交換時刻T1としてもよい。また、ユーザのブレーキ頻度及び比Taに基づいて、ユーザのブレーキ回数Nを算出し、ブレーキ平均持続時間とNの積Tb、比Ta、及び基準時刻T0の和を電池交換時刻T1とする。ここで、基準時刻T0は、電池交換要求を受信した時刻、又は、ユーザが端末装置に電池交換要求を開始する関連アプリケーションをトリガする時刻、又は、端末装置により電池交換要求を開始される時刻であってもよく、これに対して限定されない。
【0135】
ステップS353において、電池交換ステーションの充電パラメータに基づいて、電池交換時刻の使用可能電池の数量を推定する。
【0136】
いくつかの実施例において、電池交換ステーションが電池交換ステーション内の使用可能電池以外の残った電池を目標充電パラメータで電池交換時刻まで充電する時、調整された使用可能電池の数量を推定することができる。一例において、電池交換ステーションが使用可能電池以外の残った電池を電池交換ステーションから提供された最大充電パラメータで電池交換時刻まで充電する時、調整された使用可能電池の最大数を推定することができる。それにより、推定された電池交換時刻の使用可能電池の数量は、電池交換ステーションの最大充電能力を表すことができる。
【0137】
ここで、目標充電パラメータは、電池交換ステーションから提供された充電パラメータのうちの1つであってもよく、例えば、電池交換ステーションが第1の充電パラメータ及び第2の充電パラメータを使用して電池を充電することができる。ここで、第1の充電パラメータ及び第2の充電パラメータは、電池の充電速度に関連するパラメータであってもよい。ここで、第2の充電パラメータに対応する充電速度は、第1の充電パラメータに対応する充電速度より速い。本実施例において、電池の劣化をできるだけ軽減し、電池の耐用年数を延長するために、電池交換ステーションは、第1の充電パラメータを使用して電池を充電してもよい。電池交換ステーションは、充電効率を向上させるために、第2の充電パラメータを使用して電池を充電してもよい。本実施例において、電池交換要求に応答して、第2の充電パラメータに基づいて第2の電池交換時間及び第2の電池交換量を推定し、推定精度を向上させ、それにより、電池交換ステーションの潜在的な電池交換能力に基づいて、第2の電池交換時間及び第2の電池交換量を推定することができ、さらに電池交換ステーションの電池交換能力を向上させる。
【0138】
一例において、第1の充電パラメータは第1の充電倍率であってもよく、第2の充電パラメータは第2の充電倍率であってもよい。ここで、第1の充電倍率は第2の充電倍率より小さい。別の例において、第1の充電パラメータは第1の電流値であってもよく、第2の充電パラメータは第2の電流値であってもよい。ここで、第1の電流値は第2の電流値より小さい。別の例において、第1の充電パラメータは第1の電圧値であってもよく、第2の充電パラメータは第2の電圧値であってもよい。ここで、第1の電圧値は第2の電圧値より小さい。
【0139】
ステップS354において、推定された使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーション内の第3の電池に伝送することにより、送電網の電気エネルギーにより第3の電池を使用可能電池に調整し、電池交換時刻で調整された使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より多い又はそれと等しい。ここで、推定された使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より多い場合、車両が電池交換ステーションに到着する前に、電池交換ステーションが車両のために要求された使用可能電池の数量を用意することを確保することができ、それにより、車両に対し良質な電池交換サービスを提供することができる。
【0140】
実際の状況において、電池交換を臨時的決定するか又は電池交換をキャンセルするなどのランダムな動作により、電池交換の予約動作を推定しにくく、電池交換ステーションが目標時間帯でユーザの電池交換要求を満たすことができないので、ユーザーの電池交換の体験に影響を与える可能性があり、又は、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量が目標時間帯で車両の電池交換の数量より非常に多いので、使用可能電池が使われなくてそのまま放置させる。本実施例により、車両が到着して電池を交換する前に、電池交換要求に基づいて、車両が電池交換ステーションに到着する前に車両に十分な使用可能電池を用意することができ、電池を交換する時、車両に十分な使用可能電池を交換することを確保し、更にユーザーの電池交換の体験を保証する。また、車両の電池交換要求を受信した後に第3の電池を用意することができ、車両の実際の電池交換需要に応じて電池を用意し、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーと送電網の電気エネルギーとの合理的なスケジューリングを確保する。したがって、本実施例により、ユーザの電池交換の体験及び電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーと送電網の電気エネルギーとの合理的なスケジューリングを両立させる。
【0141】
1つの実施例において、リソースのスケジューリングの合理性を確保するために、充放電モジュールを制御して電池交換ステーション内の第3の電池に送電網の電気エネルギーを伝送する過程中又は伝送の完了後、ステップS354に基づいて、伝送された第3の総電気エネルギーを決定してから、ステップS310で決定された送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値に基づいて、第3の総電気エネルギーに対応する第3の総リソース値を決定することができる。そして、電池交換ステーションから該第3の総リソース値を送電網に移行する。
【0142】
図3乃至図5を参照し、使用可能電池数が高電力消費期間での電気エネルギー伝送の解決手段を十分に説明した後、いくつかの実施例において、本出願の実施例は、低電力消費期間での電気エネルギー伝送の解決手段をさらに提供する。
【0143】
それに応じて、図6は、本出願の実施例による第4の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。図6図3との相違点は、ステップS310の後に、電気エネルギー伝送方法にはステップS360が更に含まれることである。
【0144】
ステップS360において、リソース値が第2リソース閾値より小さい又はそれと等しい場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に伝送する。即ち、送電網が低電力消費期間にある場合、即ち、送電網の電気エネルギーが十分であり、かつ資源値が低い場合、送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に記憶することができる。
【0145】
まず、第2のリソース閾値は、普通電力消費期間のリソース値及び低電力消費期間のリソース値を区分するために用いられてもよい。第2のリソース閾値は、第1のリソース閾値より小さい。例示的には、第2のリソース閾値は普通電力消費期間のリソース値より小さくかつ低電力消費期間のリソース値より大きい又はそれと等しいであってもよい。
【0146】
なお、ステップS360の具体的な実施形態について、実際の状況及び具体的な需要に応じて、電池交換ステーション内の一部の電池又は全ての電池を充電し、かつある目標SOCまでに充電することを選択でき、本出願の実施例は、ステップS360の具体的な実施形態に対して限定されない。例示的には、送電網の電気エネルギーを使用して電池交換ステーション内の電池を第1の電気量に充電することができ、例えば、満充電状態(即ち100%SOC)まで充電し、又は80%SOCまで充電する。
【0147】
送電網が低電力消費期間にある時、即ち、送電網の電気エネルギーが十分であり、かつ資源値が低い場合、送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に記憶することができ、それにより、高電力消費期間で電池交換ステーションの電池内に記憶された電気エネルギーを使用して送電網の安定性を確保して電気エネルギー伝送の合理性を保証する。
【0148】
1つの実施例において、リソースのスケジューリングの合理性を確保するために、充放電モジュールを制御して電池交換ステーション内の電池に送電網の電気エネルギーを伝送する過程中又は伝送の完了後、ステップS360に基づいて、伝送された第4の総電気エネルギーを決定してから、ステップS310で決定された送電網の単位電気エネルギーの目標時刻におけるリソース値に基づいて、第4の総電気エネルギーに対応する第4の総リソース値を決定することができる。そして、電池交換ステーションから該第4の総リソース値を送電網に移行する。
【0149】
図6を参照し、使用可能電池数が低電力消費期間での電気エネルギー伝送の解決手段を十分に説明した後、いくつかの実施例において、本出願の実施例は、普通電力消費期間での電気エネルギー伝送の解決手段をさらに提供する。
【0150】
それに応じて、図7は、本出願の実施例による第5の種類の電気エネルギー伝送方法のフローチャートである。図7図3との相違点は、ステップS310の後に、電気エネルギー伝送方法にはステップS371乃至S373が更に含まれることである。
【0151】
ステップS371において、リソース値が第1のリソース閾値より小さくかつ第2のリソース閾値より大きい場合、送電網の単位電気エネルギーの第1のリソース値と送電網の単位電気エネルギーの第2のリソース値との差を決定する。ここで、リソース値が第1のリソース閾値より小さくかつ第2のリソース閾値より大きい場合、送電網が普通電力消費期間であることを表す。
【0152】
一例において、第1のリソース値が第1のリソース閾値より大きくてもよく、即ち、第1のリソース値が高電力消費期間のリソース値であり、例えば、高電力消費期間の電力価格であり、即ち最も高い価格である。第2のリソース値が第1のリソース閾値より小さくかつ第2のリソース閾値より大きく、即ち、第2のリソース値は普通電力消費期間のリソース値であってもよく、例えば、普通電力消費期間の電力価格であり、即ち中間価格である。
【0153】
ステップS372において、差と所定の差閾値との比較結果を決定する。ここで、第1の比較結果は差が第1の所定の差閾値より大きい又はそれと等しいである場合、高電力消費期間のリソース値と普通電力消費期間のリソース値との差が大きいであると表す。第2の比較結果は差が第1の所定の差閾値より小さいである場合、高電力消費期間のリソース値と普通電力消費期間のリソース値との差が小さいであると表す
【0154】
ここで、第1の差閾値は、実際のシーン及び具体的な需要に応じて設定することができ、具体的な値に対して限定されない。
【0155】
ステップS373において、充放電モジュールを制御して比較結果に対応する電気エネルギー伝送ポリシーを実行する。ここで、電気エネルギー伝送ポリシーは、電気エネルギーが電池交換ステーションの電池と送電網との間の伝送ポリシーである。ここで、伝送ポリシーは、電池交換ステーションの電池から送電網に電気エネルギーを伝送すること、送電網から電池に電気エネルギーを伝送すること、電気エネルギーを伝送しないことのうちの1つを含んでもよい。本実施例により、高電力消費期間のリソース値と低電力消費期間のリソース値の差に基づいて、電気エネルギー伝送の解決手段を柔軟に調整することができ、電気エネルギーの伝送過程の柔軟性をさらに向上させる。
【0156】
一例において、比較結果は差が所定の差閾値より大きい又はそれと等しいである場合、電池交換ステーションの電池から送電網に伝送する第1の電気エネルギー伝送ポリシーを実行する。即ち、高電力消費期間のリソース値と普通電力消費期間のリソース値との差が大きすぎると、普通電力消費期間の電力消費負荷量が高電力消費期間の電力消費負荷量より小さく、普通電力消費期間の送電網の電気エネルギーが十分であり、この場合、電気エネルギーを合理的にスケジューリングするために、送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に伝送することができる。
【0157】
この場合、具体的な伝送方式は図6及び関連内容を参照すればよく、ここでは説明を省略する。
【0158】
別の例において、高電力消費期間のリソース値と普通電力消費期間のリソース値との差が小さい場合、即ち、比較結果が、差が所定の差閾値より小さいことを示す場合に、電池交換ステーションの電池と送電網との電気エネルギー伝送を停止する第2の電気エネルギー伝送ポリシーを実行する。即ち、普通電力消費期間の電力消費負荷量が高電力消費期間の電力消費負荷量より僅かに小さく、普通電力消費期間の送電網の電気エネルギーが十分ではない場合、電気エネルギーを合理的にスケジューリングするために、電池の電気エネルギーを送電網に伝送することができる。
【0159】
同様の出願構想に基づいて、本出願の実施例は、電気エネルギー伝送方法に対応する電気エネルギー伝送装置を更に提供する。
【0160】
以下、図面を参照して、本出願の実施例に係る電気エネルギー伝送装置を詳しく説明する。
【0161】
図8は、本出願の実施例による電気エネルギー伝送装置の構造模式図である。図8に示すように、電気エネルギー伝送装置800は、
目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値を決定するために用いられるリソース値決定モジュール810と、
リソース値が第1のリソース閾値より大きい又はそれと等しい場合、電池交換ステーション内の使用可能電池の数量、及び目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯である目標時間帯における電池交換ステーション内の電池の予約数を決定するために用いられる予約数決定モジュール820と、
使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、充放電モジュールを制御して電池交換ステーションの第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送するために用いられる制御モジュール830と、を備える。
【0162】
リザーブ電池の数量が予約数よりお多い又はそれと等しく、第1の電池は、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の他の電池のうちの1つ又は複数を含む。
【0163】
いくつかの実施例において、制御モジュール830は、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より少ないである場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーション内の使用可能電池以外の第2の電池に伝送することにより、送電網の電気エネルギーにより第2の電池を使用可能電池に調整し、調整された使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多くになるために用いられる。
【0164】
いくつかの実施例において、電気エネルギー伝送装置800は、
使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より少ないである場合、目標時間帯における交換を要求する電池の数量を含む車両の電池交換要求を取得する要求取得モジュールと、
電池交換ステーションの残った使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より少ない場合、電池交換要求に応答して車両の電池交換時刻を決定する時刻決定モジュールと、
電池交換ステーションの充電パラメータに基づいて、電池交換時刻の使用可能電池の数量を推定する数量推定モジュールと、を備える。
【0165】
また、制御モジュール830は、推定された使用可能電池の数量が電池交換を要求する数量より多い場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーション内の第3の電池に伝送することにより、送電網の電気エネルギーにより第3の電池を使用可能電池に調整し、電池交換時刻で調整された使用可能電池の数量が交換を要求する電池の数量より多い又はそれと等しいであるために用いられる。
【0166】
いくつかの実施例において、リザーブ電池の数量は、予約数と目標割合閾値との積である。
【0167】
電気エネルギー伝送装置800は、
電池交換ステーションの種類を決定するための種類決定モジュールと、
電池交換ステーションの種類に対応する割合を、目標割合閾値として決定する閾値決定モジュールと、を備える。
【0168】
いくつかの実施例において、電池交換ステーションの種類は、第1の種類の電池交換ステーション又は第2の種類の電池交換ステーションを含み、ここで、第1の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度が第2の種類の電池交換ステーションの電池交換頻度より高い。
【0169】
第1の種類の電池交換ステーションが第1の割合に対応し、第2の種類の電池交換ステーションが第2の割合に対応し、第1の割合が前記第2の割合より大きい。
【0170】
いくつかの実施例において、制御モジュール830は、リソース値が第2のリソース閾値より小さい又はそれと等しい場合、充放電モジュールを制御して送電網の電気エネルギーを電池交換ステーションの電池に伝送するために用いられ、第2のリソース閾値が第1のリソース閾値より小さい。
【0171】
いくつかの実施例において、電気エネルギー伝送装置800は、
リソース値が第1のリソース閾値より小さく、且つ第2のリソース閾値より大きい場合、送電網の単位電気エネルギーの第1のリソース値と、送電網の単位電気エネルギーの第2のリソース値との差を決定し、第1のリソース値は、第1のリソース閾値より大きく、第2のリソース値は、第1のリソース閾値より小さく、且つ第2のリソース閾値より大きい差決定モジュールと、
差と所定の差閾値との比較結果を決定する比較結果決定モジュールと、を更に備える。
【0172】
それに応じて、制御モジュール830は、充放電モジュールを制御して比較結果に対応する、電池交換ステーションの電池と送電網との電力エネルギーの伝送ポリシーである電気エネルギー伝送ポリシーを実行するために用いられる。
【0173】
いくつかの実施例において、比較結果により、差が所定の差閾値より大きい又はそれと等しいことが示された場合、電池交換ステーションの電池から送電網に伝送する第1の電気エネルギー伝送ポリシーを実行する。
【0174】
比較結果により、差が前記所定の差閾値より小さいことが示された場合、電池交換ステーションの電池と送電網との電気エネルギーの伝送を停止する第2の電気エネルギー伝送ポリシーを実行する。
【0175】
本出願の実施例による電気エネルギー伝送装置について、目標時刻における送電網の単位電気エネルギーのリソース値が第1のリソース閾値より大きく、即ち、送電網の負荷が高いときには、使用可能電池の数量がリザーブ電池の数量より多い場合、つまり、目標時間帯における電池交換ステーション内の車両に交換可能な電池の数量が十分である場合、電池交換ステーション内のリザーブ電池以外の1つ又は複数の第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送する。目標時間帯が目標時刻とリソース値が第1のリソース閾値以下に下回る時刻との時間帯であり、即ち、目標時間帯が目標時刻後の高電力消費期間を表すため、第1の電池の電気エネルギーを送電網に伝送することにより、高電力消費期間後の高電力消費時間において、電池交換ステーションの電池交換能力を確保するとともに、電池交換ステーションの余剰電気エネルギーを送電網に補充し、送電網の負荷が高い場合、電池交換ステーション内の電池の電気エネルギーを合理的に使用することができる。
【0176】
本出願の実施例に係る電気エネルギー伝送装置の他の詳細は、図3乃至図7を参照して説明した電気エネルギー伝送方法と類似し、且つ相応な技術的効果を達成することができ、簡略化するために、ここでは説明を省略する。
【0177】
図9は、本出願の実施例による電気エネルギー伝送デバイスのハードウェア構成模式図である。
【0178】
電気エネルギー伝送デバイスは、プロセッサ901と、コンピュータプログラム指令が記憶されたメモリ902と、を備えることができる。
【0179】
具体的には、上記プロセッサ901は、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)を含むことができ、又は本発明の実施例の一つ又は複数の集積回路を実施するように構成されてもよい。
【0180】
メモリ902は、データや指令に用いられる大容量のメモリを含んでもよい。例えば、メモリ902は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)、フレキシブルディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ又はユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)ドライブ又は二つ以上の組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。いくつかの実施例において、メモリ902は、取り外し可能又は取り外し不可能(又は固定)の媒体を含むことができ、又はメモリ902は不揮発性固体メモリである。いくつかの実施例において、メモリ902は、電気エネルギー伝送デバイスの内部又は外部に位置することができる。
【0181】
いくつかの実施例において、メモリ902は、リードオンリーメモリ(Read Only Memory、ROM)であってもよい。一実施例において、当該ROMは、マスクプログラムのROM、プログラム可能なROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、電気的に書き換え可能ROM(EAROM)又はフラッシュメモリ又は二つ以上のこれらの組み合わせであってもよい。
【0182】
メモリ902は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体装置、光記憶媒体装置、フラッシュメモリ装置、電気、光学又は他の物理/有形のメモリ記憶装置を含むことができる。したがって、一般的に、メモリはコンピュータ実行可能な指令を含むソフトウェアをコードする一つ以上の有形(非一時的)コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリデバイス)を含み、かつ当該ソフトウェアが実行される(例えば、一つ又は複数のプロセッサにより)場合、それは本開示の一態様に係る方法で説明された操作を操作して実行することができる。
【0183】
プロセッサ901は、メモリ902に記憶されたコンピュータプログラム指令を読み出して実行することにより、図3図7に示される実施例における方法/ステップを実現し、かつ図3図7に示される実施例がその方法/ステップを実行することで得た技術的効果を達成し、簡潔に説明するためにここで説明を省略する。
【0184】
一例において、電気エネルギー伝送デバイスは、さらに通信インタフェース903及びバス910を含むことができる。ここで、図12に示すように、プロセッサ901、メモリ902、通信インタフェース903は、バス910により接続されかつ相互間の通信を完了する。
【0185】
通信インタフェース903は、主に本発明の実施例における各モジュール、装置、ユニット及び/又はデバイスの間の通信を実現することに用いられる。
【0186】
バス910は、ハードウェア、ソフトウェア又は両者を含み、オンラインデータ流量課金装置の部品を互いに結合する。例えば、バスは、アクセラブルグラフィーポート(Acerated Graphics Port、AGP)又は他のグラフィックスバス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture、EISA)バス、フロントサイドバス(Front Side Bus、FSB)、ハイパートランスポート(Hyper Transport、HT)相互接続、業界標準アーキテクチャ(Industry Standard Architecture、ISA)バス、無限帯域幅相互接続、低ピンイン数(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、周辺機器コンポーネント相互接続(PCI)バス、PCI-Express(PCI-X)バス、シリアル高度な技術アクセサリ(SATA)バス、ビデオ電子標準協会ローカル(VLB)バス又は他の適切なバス又は二つ以上のこれらの組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。適切な状況で、バス910は、一つ又は複数のバスを含むことができる。本発明の実施例は、特定のバスを説明して示したが、本発明は任意の適切なバス又は相互接続を考慮する。
【0187】
当該電気エネルギー伝送デバイスは、本発明の実施例における電気エネルギー伝送方法を実行することができ、それにより図3図8を参照して説明した電気エネルギー伝送方法及び装置を実現する。
【0188】
また、上記実施例における電気エネルギー伝送方法を合わせて、本発明の実施例は、コンピュータ記憶媒体を提供して実現することができる。当該コンピュータ記憶媒体にコンピュータプログラム指令が記憶される。当該コンピュータプログラム指令がプロセッサにより実行される場合に上記実施例における任意の電気エネルギー伝送方法を実現する。
【0189】
なお、本発明は、上記説明した且つ図に示された特定の構成及び処理に限定されるものではない。簡単のために、ここで既知の方法の詳細な説明を省略する。上記実施例において、いくつかの具体的なステップを例として説明して示す。しかしながら、本発明の方法過程は記述及び示された具体的なステップに限定されず、当業者は本発明の精神を理解した後に、様々な変更、修正及び追加を行い、又はステップの間の順序を変更することができる。
【0190】
以上に述べた構成ブロック図に示された機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせとして実現することができる。ハードウェア方式で実現する場合、それは例えば電子回路、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、適切なファームウェア、プラグイン、機能カード等であってもよい。ソフトウェア方式で実現する場合、本発明の要素は必要なタスクを実行するためのプログラム又はコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、機器可読媒体に記憶されてもよく、又は搬送波に搬送されたデータ信号により伝送媒体又は通信リンクに伝送されてもよい。「機器読み取り可能な媒体」には、情報を記憶または送信可能な任意の媒体が含まれ得る。機器可読媒体の例は、電子回路、半導体メモリ装置、ROM、フラッシュメモリ、消去可能ROM(EROM)、フレキシブルディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、光ファイバ媒体、無線周波数(Radio Frequency、RF)リンク等を含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネット等のコンピュータネットワークを介してダウンロードされてもよい。
【0191】
なお、本発明で言及した例示的な実施例は、一連のステップ又は装置に基づいていくつかの方法又はシステムを説明する。しかしながら、本発明は上記ステップの順序に限定されず、即ち、実施例に言及された順序に応じてステップを実行することができ、実施例における順序と異なり、又は複数のステップを同時に実行することもできる。
【0192】
以上本開示の実施例に係る方法、装置、デバイス及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して本開示の各態様を説明する。理解すべきことは、フローチャート及び/又はブロック図における各ブロック、及びフローチャート及び/又はブロック図における各ブロックの組み合わせはコンピュータプログラム指令によって実現されてもよい。これらのコンピュータプログラム指令は汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルなデータ処理装置のプロセッサに提供され、それにより機器を生成することにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサにより実行されたこれらの指令はフローチャート及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックに指定された機能/動作を実現する。このようなプロセッサは、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特殊アプリケーションプロセッサ又はフィールドプログラマブルロジック回路であってもよいが、それらに限定されない。理解されるように、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する専用ハードウェアで実現されてもよく、又は専用ハードウェアとコンピュータ指令の組み合わせで実現されてもよい。
【0193】
前記のように、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、当業者であれば、説明の便宜上簡潔にするために、上記説明したシステム、モジュール及びユニットの具体的な動作過程は、前述の方法実施例における対応するプロセスを参照することができることが分かるが、ここでは説明を省略する。理解すべきことは、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者が本発明の開示する技術的範囲内に、様々な等価な修正又は置換を容易に想到でき、これらの修正又は置換はいずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9