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特許7460662OCT管腔クリアランス用のレンジファインダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】OCT管腔クリアランス用のレンジファインダ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/00 553
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021575406
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 US2020038689
(87)【国際公開番号】W WO2020257619
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】62/864,327
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】ブラシェット クリストファー ダグラス
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0101374(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0059734(US,A1)
【文献】特表2014-526283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層撮影(OCT)イメージングプローブと、管腔を調べるための前記イメージングプローブの管腔クリアランスの範囲を測定するための1つ以上のプロセッサと、ガイドカテーテルとを含む装置を制御するための方法であって、
前記イメージングプローブは近位端と遠位端を有するとともにイメージングコアを含み、前記ガイドカテーテルは近位端と遠位端を有し、前記イメージングプローブはシース内に配置されるように動作し、前記イメージングプローブは前記イメージングプローブの軸と同心円状に配置された前記ガイドカテーテルを越えて延びるか、又は前記ガイドカテーテルに付けられるように動作し、
前記方法は、
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記イメージングプローブによって発射され及び収集された光信号又は光を用いて前記管腔の内側の第1の画像セットを取得するステップであって、前記第1の画像セットは、非フラッシュプルバック動作中に前記イメージングプローブの前記イメージングコアが標的領域を含む距離に沿って前記管腔の前記内側を光学的に走査している間に取得され、前記距離は、前記ガイドカテーテルの先にある開始位置と前記ガイドカテーテルによって定義される終了位置とによって定義される距離である、前記第1の画像セットを取得するステップと、
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記第1の画像セットを分析して、前記管腔内の前記ガイドカテーテル又は知の基準の存在及び/又は位置を示すパラメータを決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記標的領域の位置及び前記パラメータに基づいて管腔クリアランスの範囲を計算するステップであって、前記管腔クリアランスの範囲は、前記標的領域又は前記標的領域の遠位端の位置から、前記ガイドカテーテルの前記遠位端まで又は前記既知の基準までの距離である、前記管腔クリアランスの範囲を計算するステップと、
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記管腔クリアランスの範囲内のみで、前記管腔の前記内側から前記イメージングプローブによって発射され収集される光信号又は光を用いて、前記管腔の前記内側の第2の画像セットを取得するステップであって、前記第2の画像セットは、フラッシュプルバック動作中に、前記イメージングプローブの前記イメージングコアが前記標的領域から又は前記標的領域の前記遠位端の位置から、前記ガイドカテーテルの前記遠位端まで又は前記既知の基準まで、前記標的領域を含む前記管腔の前記内側を光学的に走査している間に取得される、前記第2の画像セットを取得するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記第1の画像セットを分析して、前記管腔内の前記ガイドカテーテルの位置を決定するステップ、
を更に含み、
前記管腔クリアランスの範囲を計算するステップは、前記位置を用いて、前記標的領域から又は前記標的領域の前記遠位端の位置から、前記ガイドカテーテルの前記遠位端まで又は前記既知の基準までの距離であるプルバック長さを計算するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサを介して、事前に保存されたルックアップテーブルから、前記管腔内に注入される造影剤の量を取得するステップ、
を更に含み、
前記造影剤の量は、前記計算されたプルバック長さ及び/又は前記計算された腔クリアランスの範囲に基づく、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記管腔に注入される造影剤の量を計算するステップであって、前記計算は前記計算されたプルバック長さ及び/又は前記計算された腔クリアランスの範囲に基づく、計算するステップ、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記非フラッシュプルバック動作を実行することは、前記1つ以上のプロセッサを介して、前記管腔に造影剤を全く注入せずに、前記イメージングプローブの前記イメージングコアを制御して、前記開始位置から、前記イメージングプローブの前記遠位端から前記近位端への方向に又は前記近位端に向かう方向に並進させることを含み、
前記フラッシュプルバック動作を実行することは、前記1つ以上のプロセッサを介して前記イメージングプローブを制御することにより、前記計算された量の造影剤を前記管腔に注入することと、前記1つ以上のプロセッサを介して、前記計算された管腔クリアランスの範囲内で及び/又は前記計算されたルバック長さについて、前記イメージングプローブの前記イメージングコアを、前記標的領域から又は前記標的領域の前記遠位端の位置から、前記イメージングプローブの前記遠位端から前記近位端への前記方向に並進させることと、を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記計算されたプルバック長さ及び前記計算された造影剤の量に基づいて、前記フラッシュプルバック動作のプルバック時間、プルバック速度、フラッシュ時間及び/又は注入率のうちの1つ以上を計算するステップ、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記管腔クリアランスの範囲内で前記管腔の前記内側の前記第2の画像セットを取得するステップは、前記1つ以上のプロセッサを介して、前記標的領域から又は前記標的領域の前記遠位端の位置から前記ガイドカテーテルの遠位端まで又は前記既知の基準までの距離において、OCTデータの複数のフレームを取得するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の画像セットを取得するステップは、前記1つ以上のプロセッサを介して、前記管腔の前記内側のOCTデータの複数のフレームを取得するステップを含み、
前記第1の画像セットを分析するステップは、前記1つ以上のプロセッサを介して、OCTデータの前記フレームのうちの少なくとも1つのフレームにおいて、前記ガイドカテーテルの前記遠位端又は前記既知の基準を特定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の画像セットを分析するステップは、前記1つ以上のプロセッサを介して、前記非フラッシュプルバック動作中に取得された前記第1の画像セットの少なくとも1つの画像内に、前記ガイドカテーテル又は前記既知の基準が存在するかどうかを決定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記第1の画像セットを分析して、前記ガイドカテーテル又は前記既知の基準の存在及び/又は位置を示す前記パラメータを決定するステップは、
(a)前記第1の画像セットの1つ以上のOCT画像フレーム内に、所定の直径のリングの少なくとも一部が存在すること
(b)前記第1の画像セットの1つ以上のOCT画像フレーム内に、所定の明るさ強度値のリングの少なくとも一部が存在すること
(c)前記第1の画像セットの1つ以上のOCT画像フレーム内に、血液野に反射された光から前記ガイドカテーテル又は前記既知の基準に反射された光への変化に対応する明るさ強度値の変化が存在すること
のうちの1つ以上を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記既知の基準はステントを含み、前記管腔は患者の動脈を含み、
前記既知の基準の存在及び/又は位置を示す前記パラメータは、前記第1の画像セットの1つ以上の画像フレームにおける、血液野に反射された光の強度から前記ステントに反射された光の強度への変化に対応する明るさ強度の変化を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記イメージングコアの前記遠位端が前記標的領域又は前記既知の基準の内部で、或いは前記標的領域又は前記既知の基準に対して光を発射するように位置決めされるように、画像誘導を用いて前記管腔内に前記イメージングプローブを位置決めするステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されたときに請求項1~12のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータ実行可能コードを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
管腔を調べる光干渉断層撮影(OCT)イメージングプローブのプルバック動作において管腔クリアランスを制御するように構成され、ガイドカテーテルを備えた装置であって、
前記イメージングプローブは近位端と遠位端を有するとともにイメージングコアを含み、前記ガイドカテーテルは近位端と遠位端を有し、前記イメージングプローブはシース内に配置されるように動作し、前記イメージングプローブは当該イメージングプローブの軸と同心円状に配置された前記ガイドカテーテルを越えて延びるか、又は前記ガイドカテーテルに付けられるように動作し、
前記装置は、1つ以上のプロセッサを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
光信号又は光を前記管腔の内側で又は前記管腔の内側に発射するための前記イメージングプローブを用いて、前記管腔の前記内側の第1の画像セットを取得するための命令であって、前記第1の画像セットは、非フラッシュプルバック動作中に前記イメージングプローブの前記イメージングコアが標的領域を含む距離に沿って前記管腔の前記内側を光学的に走査している間に取得され、前記距離は、前記ガイドカテーテルの先にある開始位置と前記ガイドカテーテルで定義される終了位置とによって定義され、前記第1の画像セットを取得するための命令と、
前記第1の画像セットを分析して、前記標的領域の位置に対する前記ガイドカテーテ又は既知の基準の位置を決定するための命令と、
前記ガイドカテーテ又は前記既知の基準の位置に基づいて、及び前記標的領域の位置に基づいて、管腔クリアランスの範囲を計算するための命令であって、前記管腔クリアランスの範囲は、前記標的領域又は前記標的領域の遠位端の位置から前記ガイドカテーテルの前記遠位端又は前記既知の基準までの距離である、前記管腔クリアランスの範囲を計算するための命令と、
前記管腔クリアランスの範囲内でのみ、光信号又は光を前記管腔の前記内側で又は前記管腔の前記内側に発射するための前記イメージングプローブを用いて、前記管腔の前記内側の第2の画像セットを取得するための命令であって、前記第2の画像セットは、フラッシュプルバック動作中に、前記イメージングプローブの前記イメージングコアが前記標的領域を含む前記管腔の前記内側を前記標的領域から又は前記標的領域の遠位端の位置から前記ガイドカテーテルの遠位端まで又は前記既知の基準まで光学的に走査している間に取得される、前記第2の画像セットを取得するための命令と、
前記フラッシュプルバック動作のプルバック長さとして前記管腔クリアランスの範囲を設定するための命令と、
を実行する、
装置。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサは、更に、
前記設定されたプルバック長さに基づいて、造影剤の量を計算する命令と、
前記フラッシュプルバック動作中に前記造影剤の量の注入をトリガする命令と、
を実行する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
光干渉断層撮影(OCT)システムであって、
近位端と遠位端を有するガイドカテーテルと、
シース内に配置されるように動作する回転可能なイメージングコアを含むイメージングカテーテルであって、前記ガイドカテーテルを越えて延びるか、又は前記ガイドカテーテルに付けられるように動作するイメージングカテーテルと、
制御システムであって、前記イメージングカテーテルを、
前記イメージングコアを管腔のイメージング開始位置まで誘導することであって、前記イメージング開始位置は前記ガイドカテーテルの先に位置する、誘導することと、
標的領域を含む距離に沿って、前記イメージングカテーテルを用いた非フラッシュプルバック動作を実行しながら、前記管腔の内側の第1の画像セットを取得することであって、前記距離は、前記ガイドカテーテルの先に位置する前記イメージング開始位置と前記ガイドカテーテルにより定義される終了位置とによって定義される、前記第1の画像セットを取得することと、
前記第1の画像セットを分析して、前記管腔内の前記ガイドカテーテル又は既知の基準の存在及び/又は位置を決定することと、
前記ガイドカテーテル又は前記既知の基準の存在及び/又は位置に基づいて、及び前記標的領域の位置に基づいて、管腔クリアランスの範囲を計算することであって、前記制御システムは、前記管腔クリアランスの範囲を、前記標的領域又は前記標的領域の遠位端の位置から前記ガイドカテーテルの前記遠位端又は前記既知の基準までの距離であるプルバック距離として計算する、前記管腔クリアランスの範囲を計算することと、
前記イメージングカテーテルを用いたフラッシュプルバック動作を実行しながら、前記管腔の前記内側の第2の画像セットを取得することと、
を実行するように制御するように構成された制御システムと、
を備え、
前記第2の画像セットは、前記計算された管腔クリアランスの範囲内でのみ前記管腔の前記内側をイメージングするように前記イメージングカテーテルを制御することによって取得される、
OCTシステム。
【請求項17】
前記制御システムは、前記イメージング開始位置に対する、及び/又は前記標的領域又は前記標的領域の前記遠位端の位置に対する前記ガイドカテーテルの前記遠位端の位置又は前記既知の基準の位置を更に決定する、
請求項16に記載のOCTシステム。
【請求項18】
前記制御システムは、前記計算されたプルバック距離に基づいて、前記管腔に注入される造影剤の量を計算するように更に構成される、
請求項17に記載のOCTシステム。
【請求項19】
前記第1の画像セットは、複数のOCT画像フレームを含み、
前記制御システムは、
(a)前記第1の画像セットの1つ以上のOCT画像フレームの明るさ強度値を分析することによって、所定の直径のリングの少なくとも一部が検出されること
(b)前記第1の画像セットの1つ以上のOCT画像フレーム内に、所定の明るさ強度値をもつリングの少なくとも一部が検出されること
(c)前記第1の画像セットの1つ以上のOCT画像フレームを分析することにより、血液野に反射された光の強度から前記ガイドカテーテル又は前記既知の基準に反射された光の強度への変化に対応する明るさ強度値の変化が検出されること
のうちの1つ以上に基づいて、前記ガイドカテーテルの位置又は前記既知の基準の位置を決定する、
請求項16に記載のOCTシステム。
【請求項20】
前記制御システムは、前記計算されたプルバック距離及び前記計算された造影剤の量に基づいて、前記フラッシュプルバック動作のプルバック時間、プルバック速度、フラッシュ時間及び/又は注入率のうちの1つ以上を計算するように更に構成される、
請求項18に記載のOCTシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年6月20日に提出された米国仮特許出願第62/864327号に対する優先権を主張し、その開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して医用デバイスに関する。より詳細には、本開示は、イメージングプローブがプルバック動作中に患者の管腔の画像を生成する前に媒体置換(フラッシング)を必要とする低侵襲手順を実行するための装置、方法及びシステムを例示する。
【背景技術】
【0003】
血管内光干渉断層撮影(OCT)では、イメージング中に動脈壁をはっきりと可視化するために、血液の置換のために造影剤の注入が必要となる。造影剤は、安全であり、血液の置換に広く使用されているが、有害事象が発生し、その適切な使用について疑問が残っている。例えば、造影剤腎症(CIN)は、血管造影手順の合併症であり、ヨードその他の造影剤を過剰レベルで投与することに起因する。例えば、Rearらの“Contrast-induced nephropathy following angiography and cardiac interventions”(Heart Journal、2016;102:638-648; doi:10.1136/heartjnl-2014-306962)を参照されたい。したがって、造影剤の投与量は、血管内OCTを使用する際に考慮すべき重要な因子である。一般に、OCTイメージングでは、血管サイズ、血管タイプ、又は標的領域の位置に関係なく、全てのプルバックに単一のフラッシュプロトコルを使用して、同じ投与量の造影剤を送達する。しかしながら、OCTによるイメージングの対象となる標的病変は、全長のプルバックと全量の造影剤が必要とされない近位の場所に位置することが多い。標的領域がイメージングカテーテルの近位にあるような場合、OCTカテーテルはガイドカテーテルへと引き戻され、血管で不必要なフラッシングを続けながら、ガイドカテーテルの画像を生成し続ける。前述した汎用技術では、かなりの量の造影剤が浪費されるだけでなく、患者は、造影剤誘発性の副作用のリスクにさらされてしまう。
【0004】
前述の問題に対処するために、技術記事や特許関連の刊行物において特定の提案があった。例えば、Juan Luis Gutierrez-Chicoらは、“A formula to calculate the contrast volume required for optimal imaging quality in optical coherence tomography with non-occlusive technique”(Cardiology Journal 2018、Vol.25,No.5にて発表)を開示した。この記事において、著者は、関心セグメント(SOI)の長さに基づいて、OCTイメージング用のフラッシュプロトコルの造影剤の量を計算する公式の使用を報告している。SOIの長さは血管造影法を用いて推定され、フラッシュボリュームの投与量は、プルバックの開始時のクリアリングとトリガの遅延を考慮して2倍になる。造影剤注入率は、血管によって異なり、右冠動脈(RCA)では標準的な注入率の毎秒3ミリリットル[ml/s]を使用し、他の冠動脈では4ml/sを使用する。
【0005】
米国付与前特許出願公開第2011/0237958号は、OCTカテーテル及びイメージングシステムと、イメージングカテーテルがガイドカテーテルに入ったかどうかをリアルタイムで検出するための技術を開示及び特許請求している。この刊行物に開示されている特定の方法は、生の画像データから直接ガイドカテーテルを検出するか、或いは、2次元(2D)画像を生成してから2D画像内でガイドカテーテルを検出することを含む。この技術には、画像データからガイドカテーテルが検出されたときに、イメージングを停止すること、フラッシュ操作を停止すること、又はプルバックモータを停止することが含まれる。米国公開第2011/0237958号の主な欠点は、遅延時間である。OCTは最大40mm/sで実行され得るが、プルバック全体は2秒以内に実行される。画像データの処理、ガイドカテーテルの検出、及び停止信号の伝達における遅延により、早期停止による潜在的利益の効果が低下してしまう。更に、処理アルゴリズムにおけるエラーによって停止が早まる可能性があり、これにより、他の点では優れたプルバックが台無しになり、追加のプルバックや追加の造影剤注入が必要になるおそれがある。
【0006】
米国特許第9907536号は、あるモダリティは血液中のイメージングと互換性がある一方、他のモダリティは互換性がないというマルチモダリティイメージングカテーテルを開示している。この特許では、2つのモダリティとして、IVUSとOCTがそれぞれ用いられている。1つの具体的なクレームは、第1の(血液適合性の)イメージングモダリティを用いて、血管内に血液が存在する状態で第1のスキャンを実行することと、次に、画像を分析して、血液が置換された状態の第2のスキャンを第2のモダリティを用いて実行する前に、第1のスキャンによって関心領域がカバーされているかどうかを決定することとを含む。別のクレームは、第1のモダリティを用いて、血液が存在する状態の第1のスキャンを実行することと、画像を分析して関心領域を特定することと、カテーテルを関心領域まで移動させてから、血液が置換された状態の第2のスキャンを新しい位置で第2のモダリティを用いて実行することと、を含む。しかしながら、余分な(血液適合性の)イメージングモダリティのせいで、カテーテルのサイズとコストが増大してしまう。IVUSのプルバックはOCTに比べて非常に遅いので、この方法では、手順時間も数分長くなってしまう。
【0007】
前述の関連技術のいずれも、造影剤フラッシング技術を改善する必要性に完全に対処していない。米国特許第9907536号に開示されているようにデュアルモダリティを使用すると、デバイスのサイズが大きくなり、また、デバイスが更に複雑で高価なものになってしまう。米国公開第2011/0237958号の主な欠点は、リアルタイム画像処理中の注入及び/又はプルバックの停止のタイミングが不正確になるおそれがあることである(例えば、良好なプルバックの停止が早すぎるか、或いは、不十分なプルバックの停止が遅すぎる可能性がある)。Gutierrez-Chicoによって開示された数式(血管造影イメージングに依拠する)も、投影ベースの画像モダリティの性質と推定遅延時間を含むので、不正確になってしまう。概して、既知の技術では、ファイルサイズが大きくなり、画像処理時間が長くなり、造影剤の投与量が必要以上に多くなってしまう。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、造影剤フラッシングの前に標的領域に関してガイドカテーテル位置を決定(距離測定)し、それによって画像プルバック及びフラッシングプロトコルを最適化して、過剰な造影剤投与量を回避するとともに処理時間を短縮するための装置、方法及びシステムを提供する。
【0009】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、光干渉断層撮影(OCT)イメージングプローブの管腔クリアランスの距離測定のための装置及び方法が提供される。プローブは近位端と遠位端を有するとともに、プローブ軸と同心円状に配置されたイメージングコア及び誘導コンジットを含み、本方法は、イメージングコアの遠位端が標的領域を照明するように位置決めされるように、管腔内にプローブを位置決めするステップ;非フラッシュプルバック動作を実行しながら、管腔の内側の第1の画像セットを取得するステップ;第1の画像セットを分析して、誘導コンジットに対するイメージングコアの位置を示すパラメータを決定するステップ;パラメータに基づいて、管腔クリアランスの範囲を計算すること;及び、フラッシュプルバック動作を実行しながら、管腔クリアランスの範囲内でのみ、管腔の内側の第2の画像セットを取得するステップ、を含む。
【0010】
一実施形態では、管腔クリアランスの範囲を計算する方法は、パラメータを用いて、標的領域から誘導コンジットの遠位端までのプルバック距離を計算することを含む。一実施形態では、本方法は、事前に保存されたルックアップテーブルから、計算されたプルバック距離に対応する造影剤の量を取得するステップ、を更に含む。一実施形態では、本方法は、計算されたプルバック距離に基づいて造影剤の量を計算するステップを更に含む。
【0011】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された特許請求の範囲と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の更なる目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0013】
図1図1は、本開示の実施形態に係る、OCT管腔クリアランス用のレンジファインダを有する例示のOCTシステム100の図である。
図2図2は、OCTイメージングシステム100のカテーテル160(光学プローブ)の遠位端の例示的表現を示す図である。
図3図3は、患者インタフェースユニット(PIU)150のハウジングがOCTイメージングシステム100の光ファイバ回転継手(FORJ)である一例の実装の概略的に示す図である。
図4図4A図4Bは、それぞれ、プルバック動作中の連続した位置でのカテーテル160の遠位端(光学プローブ)の横断面図と軸方向図である。
図5図5A図5B図5C及び図5Dは、非フラッシュプルバック動作中に取得された複数の例示の再構成OCT軸方向画像(OCTフレーム)を示す図である。
図6図6Aは、対応するプルバックパラメータとともに例示の再構成OCT画像を示す。図6Bは、プルバックパラメータに応じた明るさレベルの例示のグラフである。
図7図7は、第1の実施形態に係る、管腔クリアランスを実行するようにOCTステム100を制御するための第1の例示の距離測定アルゴリズムを示す図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る、管腔クリアランスを実行するようにOCTステム100を制御するための第2の例示の距離測定アルゴリズムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態は、造影剤フラッシングの前にガイドカテーテル位置を決定し、イメージングプルバック距離及びフラッシングプロトコルを最適化して、無駄な造影剤投与量を回避するための装置、方法及びシステムを提供するという目的に基づく。
【0015】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。更に、同封の図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される例示の実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。図面はいくつかの可能な構成及びアプローチを表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の態様をより分かりやすく図示及び説明するために、特定の特徴が誇張、削除又は部分的に切断される場合がある。本明細書に記載の説明は、網羅的であること、そうでなければ、図面に示され以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成に特許請求の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
【0016】
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上」にあるとして言及されるとき、それは、当該他の特徴又は要素の直上に存在してよく、又は、介在する特徴及び/又は要素も存在してよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直上」にあるとして言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。また、当然のことながら、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、「結合される」等として言及されるとき、それは、当該他の特徴に直接的に接続されてよく、取り付けられてよく、又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」又は「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、一実施形態においてそのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。また、当業者であれば理解できるように、別の特徴に「隣接」して配置されている構造又は特徴への言及は、当該隣接する特徴にオーバーラップするかその下にある部分をもつ場合がある。
【0017】
説明に言及する際、開示する実施形態を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。本開示の一部の態様は、概して、命令を含むデータを処理するための1つ又は複数のプロセッサと、データ及び命令又はプログラムを格納するためのランダムアクセス(揮発性)メモリ(RAM)と、静的情報及び命令を格納するためのリードオンリー(不揮発性)メモリ(ROM)と、情報及び命令を格納するための磁気又は光学のディスク及びディスクドライブ等のデータ記憶装置と、ユーザに対して情報を表示するための表示装置(例えばLCDやOLEDのモニタ)等の任意のユーザ出力デバイスと、情報及びコマンド選択をプロセッサに伝えるための英数字キー及びファンクションキー(例えばキーボードやタッチスクリーン)を含む任意のユーザ入力デバイスと、ユーザ入力の情報及びコマンド選択をプロセッサに伝えるためのポインティングデバイス(例えばマウス)等の任意のユーザ入力デバイスとを含むコンピュータシステムによって実装することができる。
【0018】
本願では、記載される実施形態は、装置、方法、又は、1つ以上のプログラムを格納した非一時的なコンピュータ可読媒体製品として実装することができる。したがって、一部の実装は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、或いは、ソフトウェアとハードウェアの態様を組み合せた実施形態の形態を取ることができ、それらは全て、本明細書では「モジュール」、「ユニット」又は「システム」と呼ばれることがある。フローチャート図及び/又はブロック図を参照して後述する一部の実施形態は、コンピュータで実行可能なプログラムされた命令によって実施することができる。コンピュータプログラム命令は、コンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置によって実行されたときに、コンピュータ又は処理装置又はプロセッサを特定の方式で機能させるコンピュータ可読媒体に格納されてよく、それにより、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャート及び/又はブロック図において指定された機能/動作/ステップを実装する命令及びおプロセスを含む製造品を構成する。
【0019】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの指定の用語によって限定されない。これらの指定の用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分は、単に区別を目的として、しかし限定をすることなく、また、構造的又は機能的な意味から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分と呼ぶことができる。
【0020】
本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」、「備える」、「成る」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、本開示では、「~から成る」という移行句は、クレームで指定されていないいかなる要素、ステップ又はコンポーネントも除外する。更に、留意すべきこととして、一部のクレームは、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0021】
本開示は、概して医用デバイスに関し、また、光干渉断層撮影(OCT)装置のプローブの実施形態を例示する。OCTプローブ及びその部分の実施形態を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で用いられる場合、「位置」という用語は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置(例えばデカルトX、Y、Z座標に沿った3自由度の並進自由度)を指し、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(回転の3自由度―例えばロール、ピッチ、ヨー)を指し、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度にある物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度にある物体又は一部の物体の向きとを指し(合計で最大6つの自由度)、「形状」という用語は、物体の長尺体に沿って測定された一連の姿勢、位置及び/又は方向を指す。医療機器の分野において既知であるように、「近位」及び「遠位」という用語は、ユーザから手術部位又は診断部位まで延びる器具の端部の操作に関して用いられる。これに関して、「近位」という用語は、器具のうちユーザに近い部分を指し、「遠位」という用語は、器具のうち、ユーザから離れており外科部位又は診断部位に近い部分を指す。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「カテーテル」との用語は、概して、広範囲の医療機能を実行するために、狭い開口を通して体腔(例えば血管)の中に挿入されるように設計された、医療グレードの材料から作られる軟性の薄い管状器具を指す。より具体的な「光学カテーテル」との用語は、医療グレード材料から作られた保護シース内に配置され光学イメージング機能をもつ1つ以上の軟性の光伝導ファイバの細長い束を含む医用器具を指す。
【0023】
ガイドカテーテルは、特殊なタイプの中空カテーテルであり、インターベンション機器を通過させ造影剤を標的部位に送達するためのコンジットを提供する。ガイドカテーテルは、滑りやすい内側のポリテトラフルオロエチレン層と、中央のステンレス鋼の編組層と、外側の柔らかいナイロンエラストマージャケットとを含む3つの層で構成される。内層には潤滑性コーティングが施され、カテーテルの通過を容易にする。中央のステンレス鋼の編組層は、カテーテルを補強して、デバイスの通過をサポートする。外側のコーティングは、柔軟性を提供する。ガイドカテーテルの内径は、機器の送達と造影剤の注入を容易にする。ガイドカテーテルは、全体を通して硬さが異なり、近位部が最も硬く、遠位先端に向かって徐々に柔らかくなる。ガイドカテーテルは、典型的には、外径に基づいてサイズが決まる(フレンチサイズ)。7Frガイドカテーテルは7Frシースを通るが、7Frデバイスは7Fr誘導カテーテルを通らない。誘導カテーテルは、様々な先端構成をもつものが利用可能であり、一部は、識別目的で放射線不透過性マーカバンドを含む場合がある。
【0024】
本開示では、「光ファイバ」又は単に「ファイバ」等の用語は、全反射として知られる効果によって一端から他端に光を伝導することができる、細長い軟性の光伝導管を指す。「ファイバ」との用語は、1つ以上の光伝導ファイバを指す場合がある。ファイバは、光が誘導される透明で均質なコアをもち、コアは、均質なクラッディングによって囲まれている。コアの屈折率は、クラッディングの屈折率よりも大きい。設計上の選択に応じて、一部のファイバは、コアを囲む複数のクラッディングをもつことができる。
【0025】
本開示では、生体内(in vivo)で造影剤フラッシュありの標準のOCTプルバック手順を実行する前に、フラッシュなしの第1のプルバック(非フラッシュプルバック)を実行する。当該プルバックでは、血液が存在するので血管のクリアな画像は生成されないが、ガイドカテーテルは識別可能である(存在する場合)。システムは、非フラッシュプルバックを用いて、手動で、或いはソフトウェアアルゴリズムによって自動的にガイドカテーテル位置を決定してから、ガイドカテーテル先端からイメージング開始位置(例えば関心領域)までの長さ(血管内での利用可能なプルバック長さを与える)を測定することができる。前述の内容から、システムは、利用可能なプルバック長さに基づいて、血管をフラッシングするための造影剤の最適量を計算してから、血管をフラッシングするための造影剤の計算された最適量を用いて、第2のOCTプルバックを実行することができる。
【0026】
<OCTイメージングシステム>
図1は、冠動脈その他の体腔のイメージングのための血管内OCTシステムとして適用できる干渉OCTモダリティを含む例示のシステム100の全体構造を示す。例えば、システム100は、食道イメージングに使用されるように構成されてもよい。図1に示されるように、システム100は、干渉計、コンピュータ190及びイメージングプローブ160から成るOCTモダリティを含む。干渉計は、サンプルアーム及び参照アームと、光源110と、検出器ユニット120と、コンピュータ190に接続されたデータ取得電子機器130とを含む。サンプルアームは、患者インタフェースユニット(PIU)150と、カテーテルコネクタ180を介してPIU150に接続されるイメージングプローブ160とを含む。一実施形態では、システム100は、OCT光源110として波長掃引型レーザ(波長1310nm±50nm)を用いることができる。イメージングプローブ160(「カテーテル160」とも呼ばれる)は、イメージングプローブの近位端から遠位端へ延びる1つ以上の光ファイバを含む。OCTイメージングプローブの基本機能は、イメージングビームをサンプル170に送達及び集束させ、サンプル上でビームを走査し、サンプルから後方反射光を収集し、収集した光をOCT干渉計に送り返すことである。一実施形態では、イメージングプローブ160は、側方ビューイメージング用にその先端に研磨されたボールレンズを備えたダブルクラッドファイバ(DCF)を含んでよい。或いは、イメージングプローブは、前方ビューイメージング用にDCFと、GRINレンズと、屈折要素(例えば回折格子)とを含んでよい。
【0027】
光源110からの光(放射線)は、サンプルアームを通って標的領域サンプル170まで誘導される。また、光源110からの同光は、参照アームを通って反射器140まで誘導される。サンプルアームと参照アームから返ってくる光は、既知の方式でOCT干渉縞を生成する。具体的には、光源110からの光は、スプリッタ102(ファイバスプリッタ又はビームスプリッタ)によってサンプルビームと参照ビームに分割され、これらはそれぞれ、各光ファイバを介してサンプルアームと参照アームへ送られる。サンプルアームでは、サンプルビームがサーキュレータ105に入り、シングルモード(SM)ファイバ106を介してファイバカプラ108に移動し、また、サンプルビームは、ダブルクラッドファイバ107aを介してカテーテル160に送られる。カテーテル160は、その近位端でPIU160に接続され、PIU160は、同様にコンピュータ190に接続されるコンピュータ190の制御下で、PIU160は、走査方式でサンプル170を照射するようにサンプルビームを制御する。サンプル170によって反射及び/又は散乱されたサンプルビームの光は、カテーテル160の遠位端に配置された光学素子(光学プローブ)によって収集される。収集された光は、ダブルクラッドファイバ107bを通ってPIU150とファイバカプラ108に送り返される。ファイバカプラ108は、サンプルビームの一部を、SMファイバ106を介してサーキュレータ105へ送る。次に、サーキュレータ105は、該サンプルビームの一部をコンバイナ104へ誘導する。更に、ファイバカプラ108は、サンプルビームの別の部分を、ファイバ109を介して第2の検出器122に結合する。
【0028】
参照アームでは、参照ビームの光がサーキュレータ103に入り、光ファイバ114を介して反射器140に送られる。時間領域OCT(TD-OCT)の場合、反射器140は走査ミラーとして実装することができる。また、周波数領域OCT(FD-OCT)の場合、反射器140は固定ミラーとして実装することができる。反射器140から反射された参照ビームの光は、サーキュレータ103を通過し、また、コンバイナ104へ誘導される。このように、サンプルビームと参照ビームはビームコンバイナ104で結合されてから、検出器121によって検出されて、既知のOCT原理に従って干渉信号を生成する。
【0029】
干渉計の出力(干渉縞)は、検出ユニット120の検出器121によって検出される。第1の検出器121は、フォトダイオードのアレイ、光電子増倍管(PMT)、マルチアレイカメラ、又は他の同様の干渉縞検出デバイスとして実装することができる。第1の検出器121から出力された信号は、データ取得電子機器(DAQ1)131によって前処理され、コンピュータ190へ伝送される。コンピュータ190は、信号処理を実行して、既知の方法でOCT画像を生成する。干渉縞は、サンプルアームの経路長が参照アームの経路長と光源110のコヒーレンス長の範囲内で一致する場合にのみ、生成される。
【0030】
第2の検出器122は、ファイバ109を介してファイバカプラ108から伝送されたサンプルビームの一部を検出する。第2の検出器122は、後方散乱光(後方散乱信号)の強度に対応するアナログ信号を出力する。検出器122から出力された信号は、データ取得電子機器(DAQ2)132によってデジタルデータに変換される。OCT後方散乱光の強度は、プルバック及び画像記録の動作を開始及び/又は終了のためのトリガ信号として用いることができる。したがって、検出器122から出力され、データ取得電子機器(DAQ2)132によってデジタルデータに変換された信号は、トリガ信号として直接用いることもできるし、或いは、処理を制御するためにコンピュータ190に転送することもできる。米国特許出願第15/68951号(米国第2019/0059734号として公開され、本願の譲受人に譲受された)は、管腔クリアランスのトリガにファイバのクラッディングモードを用いる光ファイバイメージング装置と、その制御方法を開示している。米国特許出願第15/68951号は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0031】
コンピュータ190は、中央処理装置(CPU)191と、記憶メモリ(ROM/RAM)192と、ユーザ入出力(I/O)インタフェース193と、システムインタフェース194とを含む。コンピュータ190の各種コンポーネントは、データバス(BUS)195を介して既知の方法で互いに通信する。
【0032】
記憶メモリ192は、1つ以上のコンピュータ可読媒体及び/又はコンピュータ書込み可能媒体を含み、例えば、磁気ディスク(例えばハードディスクドライブHHD)、光ディスク(例えばDVD(登録商標)、Blu-ray(登録商標)、又は配線)、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えば不揮発性メモリカード、Flash(登録商標)メモリ、ソリッドステートドライブ、SRAM、DRAM)、EPROM、EEPROM等を含んでよい。記憶メモリ192は、オペレーティングシステム(OS)プログラムや、制御プログラム及び処理プログラム等、コンピュータ可読データ及び/又はコンピュータ実行可能命令を格納することができる。
【0033】
ユーザインタフェース193は、入出力(I/O)デバイスに対して通信インタフェース(電気接続)を提供し、入出力デバイスとしては、キーボード、ディスプレイ(LCD又はCRT)、マウス、印刷装置、タッチスクリーン、ライトペン、外付け光記憶装置、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線のいずれか)が挙げられる。
【0034】
また、システムインタフェース194は、光源110と、検出器121~122と、データ取得電子機器DAQ1(131)及びDAQ(132)と、患者ユニットインタフェース(PIU)150とのうちの1つ以上に対して通信インタフェース(電子接続)を提供する。システムインタフェース194は、プログラマブルロジックデバイス(PDL)(フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)その他のPLD等)と併用されるプログラマブルロジック、ディスクリートコンポーネント、集積回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))、又は、それらの任意の組合わせを含む他のコンポーネントを含んでよい。
【0035】
ユーザインタフェース193及びシステムインタフェース194の機能は、記憶装置192に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)によって、少なくとも部分的に実現することができる。更に、コンピュータ190は、1つ以上の追加のデバイス、例えば、通信インタフェース又はネットワークインタフェースや、光源110、検出器121~122、ミラー40及びPIU150のうちの1つ以上を制御するための回路インタフェース(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ:FPGA)等のコンポーネントを備えてよい。
【0036】
CPU191は、記憶メモリ192に格納されたコンピュータ実行可能命令を読み出して実行するように構成された1つ以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ)から成る。コンピュータ実行可能命令は、本明細書に開示される新規のプロセス、方法及び/又は計算の実行のための実行可能コードを含んでよい。例えば、CPU191は、光検出器(121~122)から出力されるとともに取得電子機器130によって前処理された電気信号に基づいて後方散乱光の強度を計算し、また、残りの詳細な説明でより詳細に説明されるように、CPU191は、OCT信号を用いて、カテーテルプルバック距離(軸方向運動)と、必要なフラッシング剤の投与量又は量を計算することができる。
【0037】
<光学プローブ>
図2は、カテーテル160(光学プローブ)の遠位端の例示的表現を示す。図2に示されるように、カテーテル160は、アウターシース210と、コイル220と、透明なプロテクタ230と、光学プローブ250とを備える。光学プローブ250は、ダブルクラッドファイバ(DCF)252と、レンズ254(例えばGRINレンズ)と、反射表面又は回折表面256とを含む。カテーテル160は、その近位端で、カテーテルコネクタ180(図1に示される)を介してPIU150に接続される。コイル220は、カテーテル160の近位端から遠位端へ回転トルクを伝達する。回転トルクは、PIU150に位置する1つ以上のモータによって提供される。プローブ250の遠位端では、反射表面又は回折表面256(例えばミラー、プリズム、又は回折格子)により、照明光(サンプルビーム)がサンプル170(例えば管腔の空洞の壁)の標的領域に向けられる。図2に示されるように、プローブ250は側方ビューイメージング用に構成されており、標的領域に入射する照明光257は、カテーテルの軸Axに関して正面角(transverse angle)で進む。ここで、照明光とは、OCT光源110から発せられる光を指す。
【0038】
光学プローブはコイル220に固定されるので、光学プローブの遠位先端(遠位端)もスピン(軸Axに関して回転又は振動)して、対象(患者)の血管等の中空器官の内表面の全方向ビューを得る。光学プローブ250の近位端では、図示されていないファイバコネクタを介して、ダブルクラッドファイバ252がPIU150と接続される。ダブルクラッドファイバ252は、そのコアを通して照明光257を伝送し、コア及び/又はクラッディングを通してサンプル170から後方散乱光258を収集するように用いられる。レンズ254は、サンプル170(カテーテル160から作動距離(Wd)に位置する)に光を集束させ、かつ/又はサンプル170からの光を収集するために用いられる。コアのサイズはクラッディングよりもかなり小さいので、ファイバ252のクラッディングを通して伝送される後方散乱光の強度は、典型的には、コアを通して収集される後方散乱光の強度よりも高い。
【0039】
<光ファイバ回転継手>
図3は、カテーテル160(図1に示される)の近位端に位置する患者インタフェースユニット(PIU)150の関連部分の一例の実装を概略的に示す。図3に示されるように、PIU150はアウターハウジング302に入れられており、アウターハウジング302は、光学プローブ及びカテーテルの制御に有用な機械的、電子的及び光学的なコンポーネントのためのハウジングとして機能する。また、ハウジング302内には、回転モータ320、電動並進ステージ314及び自由空間光接続部310から成る光ファイバ回転継手(FORJ)も含まれる。PIU150の一端には、光/電気コネクタ316が設けられ、PIU150の他端には、カテーテル160のファイバと係合する光コネクタ318(例えばファイバコネクタ)が設けられる。機械接続部317は、PIU150をカテーテル160に機械的に係合(接続)するのに役立つ。シース304aに入れられたダブルクラッドファイバ306aと、電子配線接続部315は、コネクタ316を介してPIU150をコンピュータ190に接続する。シース304bに入れられたダブルクラッドファイバ306bは、カテーテル160がカテーテルコネクタ317を介してPIU150に接続されるときに、カテーテル160と係合(接続)する。当然のことながら、カテーテル160には、ガイドワイヤや1つ以上のコンジット(例えば血液クリアリング媒体(液体)を送るための)等の他の要素を含めることができる。更に、単一のDCF306aと単一のDCF306bが示されているが、複数のファイバを用いて、OCT光源110からの光を伝送することができる。
【0040】
モータ320と電動並進ステージ314は、カテーテル160の可動コンポーネントを作動させるための回転トルクと並進トルクを提供する。例えば、モータ320は、標示のないシャフトを駆動してギア312を回転させ、ギア312は、回転トルクをギア311に伝達する。モータ320は、基板313に機械的に固定される。更に、電動並進ステージ314も基板313に固定される。電動並進ステージ314は、カテーテル160内の可動コンポーネントの線形運動(管腔への挿入又はプルバック)を制御するための並進トルクを提供するのに役立つ。支持部308は、カテーテル160内の可動コンポーネントの並進運動のための支持及び方向制御を提供する。言い換えれば、支持部308は、並進運動のための線形ガイドとして機能する。電動並進ステージ314はまた、プルバック中に並進トルクを提供するために用いられる。コネクタ317は、カテーテルの近位端と機械的に係合するカテーテルコネクタであり、コネクタ318は、FORJの回転部分をカテーテル160の回転部分と位置合わせして接続する。
【0041】
カテーテル160の可動コンポーネントを作動させるための回転トルク及び並進トルクは、電動運動に限定されない。モータや機械的ギアの代わりに、空気圧式又は電磁式の駆動機構を用いて、回転及び前後の機械的運動を実現することによって、回転トルク及び並進トルクを実装することもできる。例えば、米国公開第20140180133号(Brennan他)を参照されたい(参照により全体として本明細書に組み込まれる)。更に、例えば、イメージングプローブがMRベースモダリティの磁場の下で使用されることが意図される場合、超音波モータ(USM)システムが有利に使用され得る。USM又は空気圧式の駆動メカニズムをFORJに用いて、磁場が金属ベースの駆動機構に与える影響を回避することができる。
【0042】
<プルバック動作>
図4Aは、プルバック動作中の連続した位置でのカテーテル160の遠位端(光学プローブ)の横断面図を示す。図4Aに示されるように、プルバック動作中、カテーテル160は、ガイドカテーテル270内で同時に回転(その軸の周りを移動)かつ並進(直線的に移動)する。ガイドカテーテル270は、生理食塩水等のフラッシング媒体又は造影剤を送達するための1つ以上のポート271を含む。当業者には知られているように、管腔内OCTは、ヘリカルスキャンを用いて、OCTシステムのスキャン速度に応じて所定の距離Lで取得される複数のAラインスキャン(A1、A2、A3、A4)を形成する。図4Aの図は、プルバック進路に沿った、対応するタイミングt1、t2、t3、t4でのカテーテル160の複数の位置(長手方向に沿った複数の場所T1、T2、T3、T4)を示している。OCTシステム100は、管腔サンプル170の対応する複数の2次元画像を取得する。そのために、カテーテル160内の光学プローブ252は、光257の照明ビームを正面角θで投射し、後方散乱光258を収集することによって、サンプル170の内表面と、標的領域172と、場合によっては既知の基準171とをスキャンする。
【0043】
図4Aに示される横断面図では、サンプル170に投射される照明光257の正面角θは、固定されてもよいし、或いは、調整可能であってもよい(例えば非一様回転歪みを補償するために)。簡単にするために、本開示では、正面角θは固定されていると仮定する。
【0044】
図4Bは、カテーテル160の遠位端の軸方向図を示し、例示の照明光257が、らせん経路に沿った複数の半径方向位置R1、R2、R3、4でサンプル170(例えば血管壁)に入射している。各位置での測定は、固定の(同じ)軸方向角度θでサンプル170を走査しながら、各位置から後方散乱光258を収集することによって実行される。位置R1、R2、R3、R4の各々は、カテーテル160の光学プローブが回転するとともに直線的に並進している間に測定が行われる、サンプル表面上の異なる位置(異なる点)を表す。
【0045】
図4A図4Bに示されるように、x、y、zデカルト座標によって定められる3次元(3D)空間では、負のz方向(-z)は、カテーテル160のプルバック方向を表し、3つの軸が収束する点は、照明光257がサンプル170に投射され、かつ/又はサンプル170から後方散乱光258が収集される点源(点光源)を表す。この点源から、プルバック動作中に、プローブが回転している間はx-y平面に沿って(軸方向に)光が投射され、プローブが直線的に(横方向に)移動している間はz-y平面に沿って光が投射される。したがって、3D環境では、横断面と軸平面の両方における照明光257の投射と後方散乱光258の収集とを用いて、プローブが回転するとともにサンプル170の内壁をスキャンしている間に、それぞれ対応する時間t1~t4での複数のラインスキャンA1、A2、A2、A4を組み合わせることによって、複数の2D画像(又はフレーム)を再構成することができる。
【0046】
前述したように、プルバック動作(図4Aに示される)は、典型的には標準プロトコルに従って実行され、その場合、カテーテル160が進んだプルバック距離全体は、標的領域172の位置、又はガイドカテーテル270の遠位端の実際の位置を考慮しない場合がある。その場合、造影剤の量と、プルバックを実行するための時間は、最適化されない。前述したように、造影剤が患者に有害な影響を与える可能性があることは医学分野でよく知られているが、血液の置換が不十分である場合に最適ではないイメージングが生じることも知られている。したがって、本開示は、本明細書において、最初に標準プロトコルに従って非フラッシュプルバックを実行し、ガイドカテーテルの遠位端を検出及び位置決定してから、実際のプルバック距離及び/又は必要なプルバック距離に基づいて造影剤の減少量を計算するための、新規の技術を提供する。
【0047】
ガイドカテーテルは、典型的には、金属ワイヤで編まれた長いシャフトと、1~2ミリメートル(1~2mm)の短く柔らかい、編まれていない非外傷性の先端とから成る。ガイドカテーテルは通常、先端のナビゲーションを容易にするように、硬い金属体と柔らかく柔軟な先端を備える。ガイドカテーテルは、イメージングプローブ(カテーテル160)を管腔内腔(例えば血管)の内側の関心領域に送達するための誘導コンジットとして機能する。ガイドカテーテルは、6Fr~8Frのガイドカテーテル、又は5Fr~6Frの中間カテーテル、又はマイクロカテーテルとして知られる更に小さなカテーテルを含み得る。
【0048】
OCTイメージング下では、ガイドカテーテルは、その特徴的な外観により、血液クリアランスが行われていない状態であっても、OCTプルバック動作で取得されたセット画像を分析することによって特定することができる。図5A図5Dは、非フラッシュプルバック動作中に取得された複数の例示の再構成軸方向画像(フレーム)を示す。図5A図5Dの再構成OCT画像において、ガイドカテーテル270の柔らかい先端は、最初に、均一な散乱を伴う一定の直径の明るいリングとして現れる(例えば図5A図5B及び図5Cを参照)。ガイドカテーテルの柔らかい先端は、血液とは異なるように光を散乱するので、画像が血液のイメージングからガイドカテーテルの先端のイメージングに移行するにつれて、カテーテルの外表面から離れる方向に信号強度が増大する。カテーテルをガイドカテーテル内に更に引き戻すと、ガイドカテーテルの金属編組が影を作り、ガイドカテーテルに太陽光線のようなはっきりとした外観が与えられる(図5Dを参照)。したがって、本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、本発明者は本明細書において、他の特徴の中でもとりわけ、ガイドカテーテルの編組セクションと柔らかい先端セクションの両方を、高精度かつ最小の処理時間でOCT画像から自動的に検出できる、特殊なソフトウェアアルゴリズムを開示している。ガイドカテーテルが特定されると、ソフトウェアが引き継ぎ、プルバック長さと造影剤量の計算を行う。次に、ソフトウェアは、計算された設定を受け入れるようにユーザに促し、次に、計算された設定は、自動的に設定することもできるし、ユーザが設定できるように表示することもできる。
【0049】
図5Aは、血液野(blood field)の第1のフレーム(フレーム1)を示す。より具体的には、フレーム1は、血液野のみが撮像され得る図4Aの位置T1又はT2で撮影された血液野画像を示す。図5Bは、ガイドカテーテル270の遠位端が最初に現れる第2のフレーム(フレーム2)を示す。図5Cは、ガイドカテーテル先端からの均一な散乱に起因して、ガイドカテーテル先端が明るい(ほぼ完全な)円を形成する第3のフレーム(フレーム3)を示す。最後に、図5Dは、ガイドカテーテル270の編組シャフトがこの画像に示される太陽のような光線からはっきりと見える、後のフレーム(例えばフレーム10)を示す。図5Dに示されるフレームは、カテーテル160の光学プローブがガイドカテーテル270のルーメン内に完全に引き戻されたことを示す。ただし、プルバック時間を最適化し、フラッシング媒体の投与量を最小限に抑えるには、カテーテル160がガイドカテーテル270のルーメン内に引き戻される前に、ガイドカテーテルの遠位端(先端)を正確に検出することが有利である。
【0050】
代替又は追加として、血液クリアランスが行われていなくても、OCTプルバック動作中に検出された強度信号を分析することによって、ガイドカテーテルを特定することができる。図6Aは、典型的なプルバック動作(標準プロトコルに従うプルバック動作)の例示の再構成OCT画像を示す。図6Aでは、イメージング開始位置とイメージング終了位置は、プルバック長さが約80mmである標準フラッシュプロトコルに基づく。ただし、図6Bに示されるように、血液野と、カテーテルガイドの柔らかい先端と、カテーテルガイドの編組セクションとによって散乱された光に対応する強度信号の変化を検出し区別することによって、プルバック長さを最適化することが可能である。具体的には、非フラッシュプルバック動作下では、血液の散乱特性により、血液野が最初に低強度のOCT信号を生成する。カテーテルがカテーテルガイドの柔らかい先端まで引き戻されると、OCT強度信号が増大する(例えば図5B及び図5Cに示されるように)。更に、カテーテルがカテーテル先端の編組セクションの内側に更に引っ張られると、OCT信号の強度はかなり高くなる(例えば図5Dに示されるように)。したがって、ガイドカテーテル270の存在及び/又は位置を用いて、必要な最小プルバック長さを最初に計算することができる。
【0051】
図7は、ガイドカテーテル先端の検出と、有効な(必要な)プルバック距離の計算と、OCTイメージング中のフラッシングのための造影剤の削減量の計算とを実行するようにOCTシステムを制御するための、例示のフロープロセスを示す。図7のプロセスは、コンピュータ190を含む図示されていないシステムコンソールがシステムセットアップを受ける動作状態を想定している。システムコンソールのセットアップは、例えば、コンピュータ190の起動シーケンスを実行し、OCTシステム100を動作させるシステムソフトウェアを初期化することを含み得る。更に、システムセットアップは、コンピュータ190がデータ記憶メモリ192に格納された実行可能ソフトウェアコードにアクセスし、システムのユーザからコマンドプロンプトを受け取ったときにイメージング動作を開始することを含み得る。
【0052】
<OCT管腔クリアランス用の距離測定アルゴリズム>
一実施形態では、OCTプルバックは、造影剤を注入せずに実行することができ、標準ビューで表示することができる。この非フラッシュプルバックは、標準プルバックプロトコルを用いて実行することができる。ユーザは、OCTフレームを分析することによってガイドカテーテルと見つけるとともに、標的領域からガイドカテーテルの遠位端までの利用可能なプルバック長さを手動で決定(測定)するように求められる場合がある。フラッシュ量計算器(又はフラッシュ量が事前に定められたルックアップテーブル)は、(プログラム形式の)ソフトウェアの一部として、或いは所与のカテーテルごとの使用説明書(IFU)シートに、或いはインタラクティブなグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に、或いは当技術分野の当業者に知られている他の方式で、提供されてよい。次に、ユーザは、測定されたプルバック長さと提供された数式を参照して、実際のプルバックとフラッシュの設定を計算及び設定することができる。この実施形態は、大幅に改善された既存のOCTシステムに実装することができる。
【0053】
別の実施形態では、ガイドカテーテルは、製造業者又はイメージングモダリティに関係なく任意のカテーテルに適用できる、特別に設計されたソフトウェアアルゴリズムを用いて特定されることが好ましい。この場合、最初のOCTプルバックは、造影剤注入なしで実行され、OCTデータは、システムの表示デバイスの標準ビューに表示される。ユーザは、これがレンジファインダのプルバックであるので、造影剤が注入されていないということをシステムに知らせることができ、システムは、血液野画像を(少なくとも一時的に)記録するように調整される。ソフトウェアアルゴリズムは、ガイドカテーテルがプルバック画像の少なくとも1つのフレームに存在するかどうかに関して応答するようにユーザに促すことができる。この目的のために、ソフトウェアは、ガイドカテーテルが現れる最初のフレームまで画像のセット(非フラッシュプルバック画像)をスクロールするようにユーザに促すことができる。そうでなければ、ユーザは、他の方法で、非フラッシュプルバック画像においてガイドカテーテルの位置を特定することができる。ユーザによってガイドカテーテルが特定されると、ソフトウェアアルゴリズムが引き継ぎ、プルバック長さと造影剤量の計算を行う。次に、システムソフトウェアは、計算された設定を受け入れるか、又は従来のプロトコル設定を使用するかを選択するようにユーザに促すことができる。この目的のために、システムは、ユーザが決定を下せるように、計算されたプルバック長さ及び造影剤量を表示させることができる。ユーザが計算されたパラメータを受け入れた場合、計算されたプルバック長さの範囲内でのみ、計算された造影剤量を用いて、造影剤注入ありで第2のOCTプルバックが実行される。
【0054】
更なる実施形態では、OCT画像においてガイドカテーテルを自動検出し、必要なプルバック長さを計算し、プルバック長さに応じて造影剤量を計算するための特定のソフトウェアアルゴリズムが、システムに追加される。この目的のために、最初のOCTプルバックは造影剤注入なしで実行され、また、最初のプルバックは、表示されても表示されなくてもよい。非フラッシュプルバック画像はガイドカテーテル検出アルゴリズムを用いて処理され、ガイドカテーテル検出アルゴリズムは、OCTデータの少なくとも1つのフレームに存在する場合にガイドカテーテルを自動検出する。この場合、システムは、ガイドカテーテルが存在する第1のフレームを決定するようにプログラムされることが好ましい。次に、システムは、利用可能なプルバック長さを自動測定し、該プルバック長さについて造影剤量を計算する。この場合も、次に、ソフトウェアアルゴリズムは、造影剤注入を伴う第2のOCTプルバックを実行するために、計算された設定を受け入れるか、計算された設定を変更するか、又は従来のプロトコル設定を選択するようにユーザに促すことができる。
【0055】
図7は、実際の又は必要なプルバック長さを決定し、調整された造影剤量を計算するように構成された第1の例示の測距アルゴリズムを示す。図7のプロセスは、コンピュータ190がシステムセットアップを受けるOCTシステム100の動作状態を想定している。システムのセットアップは、例えば、コンピュータ190の起動シーケンスを実行し、OCTシステム100を動作させるシステムソフトウェアを初期化することを含み得る。更に、システムセットアップは、コンピュータ190がデータ記憶メモリ192に格納された実行可能ソフトウェアコードにアクセスし、システムのユーザからコマンドプロンプトを受け取ったときにイメージング動作を開始することを含み得る。
【0056】
図7によれば、ステップS702において、イメージングカテーテルは、好ましくは画像誘導を用いて(例えば、心臓血管イメージングの場合、血管造影誘導を使用できる)、所与の管腔サンプル170の標的領域172(又は既知の基準171の近く)に送達される。このステップS702は、従来又は既知の方法で、例えばzオフセット較正等の較正プロセスの一部として、発生すると考えられる。ステップS702で画像誘導を用いることができるので、先端のイメージングプローブ250に対する標的領域172の位置を、このステップで認識及び記録することができる。このように、ステップS702では、OCTシステムが、イメージングプローブ(カテーテル160)を管腔内まで駆動し(並進させ)、また、標的領域172を照射するのに必要な深さ(又は平面)にイメージングコア(光学プローブ250)の遠位端があるように、プローブを管腔内に位置決めする。標的領域は、診断又は治療のために検査されることが望まれる管腔内領域を指す場合がある。心臓血管イメージングでは、標的領域172は、プラーク、潜在的な血栓、石灰化、狭窄、血管壁肥厚の領域、血管壁に沿った壊死領域等を含む、既知又は疑わしい病理学的構造等の生体構造又は特徴を含み得る。
【0057】
ステップS704では、OCTシステム100のコンピュータ190が、非フラッシュプルバックプロセスを自動的に開始する。非フラッシュプルバックプロセスは、較正プロセスの一部として実行することができる(例えば、イメージング動作の開始時のzオフセット較正の一部として)。非フラッシュプルバックは、カテーテル160の光学プローブの遠位端を取り囲む媒体を置換することなく(すなわち血液置換なしに)実行されるプルバック動作である。言い換えれば、非フラッシュプルバックは、造影剤を管腔に注入せずに実行されるプルバック動作である。
【0058】
ステップS706において、コンピュータ190は、非フラッシュプルバック中に取得されたOCT画像を収集及び処理する。なお、ここで、血管内OCTイメージングは血液の存在によって著しく妨げられる場合があるが、カテーテルとガイドカテーテルのOCTイメージングでは血液の存在による影響が少ないので、システムは、血液を介してイメージングする場合でも、ガイドカテーテルの存在(及び位置)を評価することができる。ステップS706では、血液野のOCT画像の処理は、リアルタイム画像分析と複数の画像フレームの表示(例えば図5A図5Dに示されるもののような)を含み得る。このステップでは、OCT画像はガイドカテーテルの存在及び位置を決定するためにのみ用いられるので、OCTデータは保存されなくてもよく、或いは、ガイドカテーテルが存在するOCTデータのみが選択的に保存されてもよい。言い換えれば、ガイドカテーテルが検出されたOCT画像を確認するだけでよいので、非フラッシュプルバックのOCTデータの保存は任意である。
【0059】
すなわち、造影剤注入なしでOCTプルバックが実行され、画像は、ステップS706で処理及び表示される。ステップS708において、OCTシステム100は、非フラッシュプルバック画像内にガイドカテーテルが見られるかどうかを自動的に決定する(又は、決定するようにユーザに促す)。ガイドカテーテルが非フラッシュプルバック画像のうちの少なくとも1つにおいて見つかった場合、フローはS710に進む。システム(又はユーザ)が、非フラッシュプルバック画像においてガイドカテーテルが見つからないと決定した場合(S708でNO)、フローはステップS730に進む。
【0060】
一般に、OCTシステムを用いてカテーテルガイドの遠位端に比較的近い(近位の)標的領域をイメージングする場合、非フラッシュプルバックにより、OCT画像フレームのうちの1つ以上においてカテーテルガイドが検出される可能性が最も高くなる。しかしながら、OCTカテーテルのイメージングコアが、カテーテルガイドの遠位端から比較的遠い(遠位の)標的領域をイメージングするように位置決めされている場合、非フラッシュプルバックによってガイドカテーテルが検出されない可能性がある。したがって、OCTシステムが画像フレームのうちの少なくとも1つにおいてガイドカテーテルを検出しない場合(S708でNO)、OCTシステムは、イメージングプローブに、標準プロトコル下でフラッシュクリアランスとプルバック動作を実行させる。
【0061】
ガイドカテーテルが見つかった場合(S708でYES)、コンピュータ190は、ガイドカテーテルが検出された画像フレームのみを保存することができ、また、血液野のみが検出された他の画像フレームの全てを保存しなくてよい。
【0062】
ステップS710において、コンピュータ190は、OCT画像データのうち、ガイドカテーテルの遠位端が示されている1つ以上のフレームを自動的に選択することができる。例えば、特定の所定の基準又はパラメータに基づいて、図5B又は図5Cに示されているフレームのうちの1つを自動的に選択することができる。ここで、例えば、以下のパラメータのうちの1つ以上を用いて、ガイドカテーテルの遠位端がOCTデータの1つ以上のフレームに存在するかどうかを決定することができる。
【0063】
1つ以上のOCT画像フレームの強度値を分析することにより、所定の直径(例えば、ガイドカテーテルの既知の直径±特定の閾値)のリングの少なくとも一部が検出された場合、ガイドカテーテル270の先端が存在すると決定することができる。所定の強度値以上のリングの少なくとも一部が1つ以上のOCT画像フレームにおいて検出され、リングの外側の強度が急速に減少する(リングの外側の強度は、クリアでない血液野のみを表す)場合も、ガイドカテーテル270が存在すると決定することができる。別のパラメータは、最後の血液野フレームから最初のガイドカテーテルフレーム(つまり、ガイドカテーテルが最初に存在するフレーム)に移行するときの明るさ強度の突然の変化を探すことである。
【0064】
別のガイドカテーテル先端検出方法は、ガイドカテーテルの編組セクションの太陽光のような光線パターンを検出することを含み得る。この場合、前述したように、編組セクションは、太陽光線のようにはっきりとした外観を生じるので、検出が最も容易である。ここで、ガイドカテーテル先端の位置に類似するものとして、最も遠位の編組フレーム(ガイドカテーテルの編組セクションを示す最初のフレーム、例えば図5D)を用いることが可能である。検出をより正確にするために、ガイドカテーテルの柔らかい先端の公称長さに対応する所定の(固定された)フレーム数を考慮することが可能である。例えば、図5A図5Dでは、フレーム2(図5B)が、ガイドカテーテル先端が現れる最初のフレームに対応し、フレーム10(図5D)が、ガイドカテーテルの編組セクションが現れる最初のフレームに対応する。このように、編組セクションを示す最初のフレームが検出されると、ガイドカテーテルの遠位端の位置をより正確に見つけるために、所定の数のフレーム(例えば7つのフレーム:フレーム3~9)が計算プロセスの因子として含まれる。
【0065】
更に、編組セクションとガイドカテーテルの先端との間の明るさの変化を検出することにより、ガイドカテーテルの遠位端の位置を推定することが可能である。そのために、非フラッシュプルバック中、最初に血液野の明るさレベルを探すことができ、次に、イメージングコアが血液野からガイドカテーテルに移行するときの明るさの変化(輝度の急な変化等)を探すことによって、カテーテルガイドの柔らかい先端での明るさレベル、そして編組セクションの遠位端での明るさレベルを探すことができる。図6Bは、プローブのプルバック方向、長さ及び/又は時間線形運動に応じた可能な明るさレベルの例示のグラフを示す。例えば、図6Bに示されるように、血液野のみが検出されるので、最初はOCT信号強度が低い。イメージングカテーテルのプルバックが進むにつれて、ガイドカテーテル先端からの散乱が検出されると、OCT信号強度が特定のレベルまで増大する。最後に、ガイドカテーテルの編組セクションからの散乱が検出されたとき、OCT信号強度(OCTデータ)が最大強度レベルに達する。したがって、非フラッシュプルバック中のOCT信号の明るさ強度の変化を因子として含めて、ガイドカテーテルの遠位先端の位置を決定することも可能である。
【0066】
コンピュータ190が、ガイドカテーテル270の遠位端を含む1つ以上のフレームを検出すると、ステップS712において、コンピュータ190は、標的領域172からガイドカテーテル270の遠位端までの距離である実際の(又は有効な)プルバック長さを計算することができる(図4Aを参照)。そのために、例えば、ステップS712では、コンピュータ190は、非フラッシュプルバック動作において取得されたフレームの数を分析することができる。各フレームは、システムの走査速度に応じて所定の距離Lで取得され得るので(図4Aを参照)、コンピュータ190に、標的領域172とガイドカテーテル270の遠位端(先端)との間の距離を計算するためのアルゴリズムをプログラムすることができる。この距離は、標的領域172を安全にスキャンし、光学プローブがガイドカテーテルに入る前にフラッシングプロセス及びプルバックプロセスを停止するために必要な、有効なプルバック距離と見なすことができる。ステップS712で実際のプルバック距離が計算された後、処理アルゴリズムはステップS714に進む。
【0067】
ステップS714において、コンピュータ190は、計算された(実際の)プルバック長さに基づいて、造影剤の量を計算する。このステップS714では、コンピュータ190は、イメージングされている特定のタイプの管腔の注入速度及び/又は注入率について、そのメモリに事前に格納された情報にアクセスすることができる。実際のプルバック長さが計算され、注入速度又は注入率が分かっているとき、コンピュータ190は、計算されたプルバック長さに基づいて、造影剤の調整された量を計算することができる。例えば、前述したように、特定のタイプの血管の標準フラッシングプロトコルでは、4.00ml/sの注入率が必要となる。この場合、コンピュータ190は、以下でより詳細に説明されるように、標準注入率及び実際のプルバック長さを用いて、造影剤の削減量を計算することができる。
【0068】
ステップS716において、コンピュータ190は、計算された造影剤の削減量と計算された有効プルバック長さを含む、計算されたパラメータを保存する。計算されたパラメータが保存されると、フロープロセスはステップS718へ続き、ここでプロセスが新たに始まる。
【0069】
ステップS178において、コンピュータ190は、ステップS716でメモリに保存された値に従って、プルバックパラメータ及びフラッシュパラメータを表示する。ステップS718では、ユーザは、計算されたプルバックパラメータ及びフラッシュパラメータを受け入れるか又は拒否するように促される。ユーザがパラメータを受け入れる場合(S718でYES)、フロープロセスはステップS720に進む。ユーザが計算されたパラメータを受け入れない場合(S720ではNO)、OCTシステム100はステップS730に移行する。
【0070】
ステップS720では、コンピュータ190は、計算されたプルバック長さの範囲内でのみ、削減された造影剤量を用いて、フラッシュプルバックプロセスを開始する。具体的には、S720では、システムが、造影剤の計算された量に従って媒体クリアランスプロセス(造影剤フラッシング)をトリガする。ここで、注入率及び/又はプルバック速度は、計算されたパラメータに従って調整されてよい。ステップS722において、コンピュータ190は、所与の時間内に計算されたプルバック長さをスキャンするために必要な調整された速度を用いて、プルバック動作をトリガする。また、ステップS724において、コンピュータ190は、コンピュータが管腔のクリア範囲内から取得されたOCTデータを取得して記録する記録モードプロセスを開始する。また、任意に、コンピュータは、ユーザの観察のためにイメージング結果を表示する。なお、ステップS720、S722及びS724は個別の事象として列挙されているが、これらのステップは、実質的に同時に開始することもできるし、或いは、造影剤フラッシングが開始した直後に一部のステップ(例えばプルバック及び記録)を開始することもできる。つまり、管腔のクリアな画像を記録できるようになるまで、フラッシュクリアランスの開始に関してプルバックと記録を遅らせることができる。フラッシュプルバックを実行するために必要なタイミング、移動速度、造影剤量注入率等の具体的な詳細は、クリアランス範囲と造影剤の削減量が計算された後に、具体的な状況に応じて調整することができる。米国公開第2014/0142427号(参照によりその全体が組み込まれる)に記載されているもの等の血液クリアリング技術の方法及び装置は、本開示で提供される新規の技術によって改善することができる。
【0071】
この実施形態では、OCT画像においてガイドカテーテルを検出するためのソフトウェアアルゴリズムが追加される。OCTプルバックは、造影剤注入なしで実行され、また、表示されても表示されなくてもよい。OCT画像は、存在する場合にガイドカテーテルを自動検出するガイドカテーテル検出アルゴリズムを用いて処理される。ソフトウェアアルゴリズムは、ガイドカテーテルの先端のみが認識されるように、ガイドカテーテルが現れる最初のフレームを決定することが好ましい。ガイドカテーテルの先端を認識する様々な非限定的方法が提案されているが、当業者であれば、本開示に基づいて、新しいプロセスを変更、組合わせ、又は考案することができるであろう。ガイドカテーテルの遠位端が認識されると、ソフトウェアアルゴリズムは、利用可能なプルバック長さを自動的に測定し、造影剤の量を計算する。次に、ソフトウェアは、計算された設定を受け入れるようにユーザに促してよく、計算が正確であることを確認するために非フラッシュプルバックを繰り返すようにユーザに促してよく、また、ソフトウェアは、次のプルバック動作のために計算されたパラメータを自動的に設定することができ、或いは、ユーザが確認できるように表示することができる。
【0072】
本開示の一態様によれば、プルバック長さと速度に応じたフラッシュプロトコルを用いて、造影剤の削減量を計算することができる。OCTイメージングで最も一般的に使用されるフラッシュプロトコルは、自動注入器又は手動シリンジによって14mlのフラッシュ量を4ml/sで注入することである。この3.5秒の長さのフラッシュは、典型的には、2秒の長さのOCTプルバックのクリアリングを提供するために用いられ、これにより、クリアリングが進展し、プルバックがユーザによって手動でトリガされるか、ソフトウェアアルゴリズムによってクリア状態が自動検出される間、1.5秒の遅延が可能となる。クリアリングとトリガに必要な最初の「遅延時間」は、その後の「イメージング時間」とは無関係である。遅延時間は、血管の固有の流量と、ユーザ又はクリアランス検出アルゴリズムの処理時間及び反応時間によって異なる。
【0073】
フラッシュプロトコルは、以下のように単純な方程式でモデル化することができる:
【0074】
(1)プルバック時間=プルバック長さ/プルバック速度
【0075】
(2)フラッシュ時間=プルバック時間+遅延時間=プルバック時間+1.5s
【0076】
(3)フラッシュ量=注入率×フラッシュ時間=4ml/s×フラッシュ時間
【0077】
(4)フラッシュ量=6ml+4×プルバック長さ/プルバック速度
【0078】
40mm/sのプルバック速度の場合、フラッシュ量は以下のようになる:
【0079】
(5)フラッシュ量=6ml+プルバック長さ/10
【0080】
以下の表1は、本開示に係る可能な造影剤量削減のいくつかの例を要約している。
【表1】
【0081】
表1:異なるプルバック長さでのプルバック速度=40mm/sの場合のフラッシュ量の表
【0082】
上記の表1を用いると、標的領域がガイドカテーテルの遠位端に近いプルバックの場合、造影剤の投与量を最大50%削減できることが分かる。
【0083】
フラッシュ量の計算は、上記の式(1)~(5)に限定されず、既知の式又は新しく考案された式が適用可能である場合がある。例えば、Gutierrez-Chico論文からのフラッシュ量計算、又は、限定された範囲のプルバック長さに応じたフラッシュ量に関する他のカスタム方程式を用いることができる。例として、上記の式(3)にGutierrez-Chicoからの血管依存注入率を用いることができる。
【0084】
上記の実施形態は、よりパーソナライズされた制御をユーザに与えるように変更することができる。代替の実施形態では、ガイドカテーテルは、OCTユーザによって非フラッシュプルバックから手動で特定されてよく、また、最適なプルバック範囲とフラッシュパラメータを自動的に計算するためにのみ、ソフトウェアツールが追加される。この場合、造影剤注入なしのOCTプルバックが最初に実行され、OCT画像は、他のプルバックと同じように標準ビューに表示される。システムのユーザは、OCT画像を視覚的に分析することによってガイドカテーテルを見つけるように、訓練されるか又は促される。この目的のために、ユーザは、最初のプルバックがレンジファインダプルバックであることを、ソフトウェアに知らせることができる。この場合、最初の非フラッシュプルバックの後、ソフトウェアは、ガイドカテーテルがOCT画像に存在するかどうかに応答するように、ユーザに促してよい。ソフトウェアは、第1のガイドカテーテルフレームまでスクロールするか、さもなければ、プルバック画像の1つ以上のフレームにおいてガイドカテーテルの位置を特定するように、ユーザに促してよい。ユーザによってガイドカテーテルが特定されると、ソフトウェアが引き継ぎ、プルバック長さと造影剤量の計算を実行する。次に、ソフトウェアは、計算された設定を受け入れるようにユーザに促し、次に、計算された設定は、自動的に設定することもできるし、ユーザが手動で設定できるように表示することもできる。
【0085】
更なる代替の実施形態では、ガイドカテーテルの位置以外の基準に基づいてプルバック長さを計算できることが想定される。冠動脈バイパス手術を受けフォローアップ検査が必要な患者、又はステント内再狭窄(ISR)を発症した患者は、経皮的冠動脈インターベンションを紹介されることが多い。具体的には、ステントを使用している患者の場合、ステントの境界を検出するために、冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(冠動脈CTA)が一般に使用されるが、手術した静脈の狭まり(狭窄)を引き起こす石灰化等、ステント管腔の実際の状態を評価するには不十分である。比較的高い割合でステント内再狭窄が発生し、以前にステントを留置した患者は、侵襲性冠動脈造影を紹介された患者のかなりの割合を占める。このような場合、プルバック長さと最適な造影剤量は、管腔内のステント自体の検出に基づくことができる。
【0086】
図8は、ガイドカテーテル先端を探すのではなく、管腔自体の中の既知の基準に基づいて、有効な(必要な)プルバック距離の計算と、造影剤の削減量の計算を実行するようにOCTシステムを制御するための、代替の例示のフロープロセスを示す。図8のプロセスは、コンピュータ190がシステムセットアップを受ける動作状態を想定しているという点で、図7のプロセスと同様である。システムのセットアップは、例えば、コンピュータ190の起動シーケンスを実行し、OCTシステム100を動作させるシステムソフトウェアを初期化することを含み得る。更に、システムセットアップは、コンピュータ190がデータ記憶メモリ192に格納された実行可能ソフトウェアコードにアクセスし、システムのユーザからコマンドプロンプトを受け取ったときにイメージング動作を開始することを含み得る。
【0087】
図8のフロープロセスでは、ステップS802において、システム(又はユーザ)は、透視法や冠動脈CTA等の画像誘導を用いて、患者の管腔(例えば冠動脈)内の関心標的領域(例えばステント留置領域)までカテーテル160を送達する。ステップS704において、OCTシステム100は、ユーザのコマンド下で、非フラッシュプルバックを開始する。すなわち、造影剤注入なしでOCTプルバックが実行され、画像は、ステップS806で処理及び表示される。ステップS808において、OCTシステム100は、非フラッシュプルバック画像内に管腔自体の既知の基準171が見られるかどうかを自動的に決定する(又は、決定するようにユーザに促す)。前述したように、既知の基準は、患者の動脈内のステントであってよい。既知の基準が非フラッシュプルバック画像のうちの少なくとも1つにおいて見つかった場合、フローはS810に進む。システム(又はユーザ)が、非フラッシュプルバック画像において既知の基準が見つからないと決定した場合(S808でNO)、システム又はユーザは、プローブのイメージングコアが標的領域をイメージングするのに適切な深さに配置されるように、管腔内にカテーテルを位置決めし直すことができる。この場合、非フラッシュプルバック画像において標的領域及び/又は既知の基準が見つかるまで、造影剤を無駄にしたり患者を造影剤にさらしたりすることなく、非フラッシュプルバックを所定の回数繰り返すことができる。
【0088】
ここで、既知の基準を検出するための基準又はパラメータは、ガイドカテーテルを検出するためのものと同様とすることができる。特に、患者の動脈内のステント等の既知の基準のおおよその位置は、冠動脈CTA等の誘導モダリティから事前に推定することができる。ただし、ステントエッジの場所をより正確に検出するために、コンピュータ190は、図6Bを参照して説明したものと同様のプロセスを用いることができ、それにより、明るさ強度レベルの変化によって、管腔に沿ったステントエッジの正確な位置の検出が可能となり得る。すなわち、既知の基準が患者の動脈内のステントである場合、血液野に反射された光の強度からステントに反射された光への強度の変化に対応する、1つ以上のOCT画像フレームにおける明るさ強度の変化は、既知の基準の位置を示すことができる。既知の基準が見つかった場合(S808でYES)、プロセスはステップS810へ続く。
【0089】
S810において、ソフトウェア(又はユーザ)は、既知の基準を示す非フラッシュプルバック画像から最初のフレームを選択する。既知の基準の位置が見つかると、ステップS812において、コンピュータ190は、標的領域(例えばステントに対して遠位の領域)から既知の基準(例えばステントのエッジ)までの距離であり得る実際の(又は有効な)プルバック長さを計算することができる。或いは、実際の(又は有効な)プルバック長さは、既知の基準から任意に選択された距離(例えば、ステントの近位縁又は遠位縁からの任意の距離)であってよい。このプロセスは、図4Aに示されるようなガイドカテーテルの遠位端を見つけて、次にプルバック距離を計算するのと同様である。このプルバック長さは、患者を過剰な量の造影剤にさらすことなく、標的領域及びステントの内部の正確な画像を取得するのに十分なクリアランス範囲であるとみなされる。
【0090】
具体的には、ステップS812では、コンピュータ190は、非フラッシュプルバック動作に沿って取得されたフレームの数を分析することができる。各フレームは、走査速度に応じて所定の距離Lで取得できるので、コンピュータ190に、例えばステントの近位端と遠位端の間の距離を計算するためのアルゴリズムをプログラムすることができる。この距離は、ステントの内側を安全にスキャンするために必要な有効なプルバック距離とみなすことができる。ステップS814では、コンピュータ190が、実際のプルバック長さと、例えば管腔の直径とに基づいて、造影剤の量を計算する。そのために、コンピュータ190は、イメージングされている特定のタイプの管腔に必要な造影剤量について、そのメモリに事前に格納された情報にアクセスし、次に、計算されたプルバック距離に基づいて、調整された造影剤量を計算することができる。或いは、動脈のステント留置領域をイメージングする場合、ステントの直径は、OCTユーザによって事前に知ることができる。
【0091】
ステップS816において、コンピュータ190は、計算された造影剤の量と計算された有効プルバック長さを含む、計算されたパラメータを保存することができる。ステップS818において、コンピュータ190は、計算された値を使用するかどうかに関して決定を下すようにユーザに促すことができる。計算された有効プルバック距離と調整された造影剤量の使用をユーザが受け入れる場合(S818でYES)、フローはS822に進む。計算されたプルバック距離と調整された造影剤量の使用をユーザが受け入れない場合(S818でNO)、フローはS820に進む。ステップS820において、ユーザは、既知の方法で標準プロトコルに従ってフラッシュクリアランス及びプルバック動作を実行するように、システムに命令することができる。
【0092】
ステップS822において、コンピュータ190は、S816で保存された削減された量を用いて、フラッシュクリアランスプロセスを開始する。ステップS824において、コンピュータ190は、プルバック動作を開始する。また、ステップS826において、コンピュータ190は、OCTイメージングデータの記録及び表示を開始することができる。ここで、ステップS822~S826は、既に前述したステップS720~S724と同様である。
【0093】
前述したアルゴリズムは、市販の単一モダリティシステムを含む任意のOCTシステムで使用することができる。非フラッシュプルバック動作により、イメージング手順全体が数秒長くなる場合があるが、フラッシュプルバック動作の最適化により、その追加時間を相殺することができる。しかしながら、イメージング手順に数秒が追加された場合でも、造影剤の使用を低減し、造影剤の潜在的な副作用への患者の曝露を最小限に抑えることは、イメージング手順に数秒追加するだけの価値がある。
【0094】
上で開示された距離測定アルゴリズムにより、最適化されたフラッシュ及びプルバック計画を事前に立てることが可能となり、これにより、造影剤注入及びプルバック運動の早期又は遅延した停止を回避しながら、造影剤の投与量を最小化することが可能となる。以前から知られているフラッシュ及びプルバックの技術の主な欠点は、遅延時間であった。OCTは最大40mm/sで実行され得るが、プルバック手順全体は約2秒以内又は更に短い時間内に実行される。OCT画像の処理、ガイドの検出、及び停止信号の伝達における遅延により、早期停止による潜在的利益の効果が低下してしまう。更に、不適切な処理アルゴリズムにおける何らかのエラーによって停止が早まる可能性があり、これにより、他の点では優れたプルバックが台無しになり、追加のプルバックや追加の造影剤注入が必要になるおそれがある。本明細書に記載の実施形態により、最適化されたフラッシュ及びプルバック計画を事前に立てることが可能となり、これにより、早期の停止を回避しながら、造影剤の投与量を最小化することが可能となる。
【0095】
本明細書に開示されるアルゴリズム及びプロセスにより、血管造影図から決定された関心セグメント(SOI)の長さに基づく最適なフラッシュ量の計算が改善される。具体的には、血管造影誘導は投影ベースのイメージングモダリティであるので、血管長さの測定に不確実性をもたらす短縮という欠点がある。本開示では、非フラッシュプルバック動作におけるOCTイメージングの使用を通して、関心血管セグメントの長さを大幅に正確に測定することができる。更に、本開示で提示されるフラッシュ量の計算は、クリアリングの実際のモデルをより正確に表現したものである。これを実証するために、SOIがわずか1mmである場合を考える。40mm/sのプルバック率を想定すると、イメージング時間はわずか0.025秒である。4ml/sの注入率を想定すると、Gutierrezの方程式では、フラッシュ量が2×4ml/s×1mm÷40mm/s=0.2mlと計算される。これでは、トリガするための適切なウィンドウが提供されることは言うまでもなく、クリアリングが全く生じない。1mmのSOIの同じ例について、本開示は、以下のように調整されたフラッシュ量を計算する方程式(方程式5)を提供する:6ml+1mm÷10mm/ml=6.1ml。この結果では、クリアリングとプルバックトリガに適切なウィンドウが提供され得る。また、本開示の方程式(方程式5)では、より長いプルバックに対して造影剤投与量がより低くなる。18mm/sで54mmの市販の高解像度プルバックを検討する。イメージング時間は3秒である。4ml/sの注入率を想定すると、Gutierrezの方程式では、フラッシュ量が2×4ml/s×54mm÷18mm/s=24mlと計算される。一方、本開示では、方程式5を用いたアルゴリズムを使用し、フラッシュ量が6ml+4ml/s×54mm÷18mm/s=18mlと計算される。したがって、プルバック時間の上限と下限の両方で、本開示は、好ましいフラッシュプロトコルを生み出すクリアランス測距アルゴリズムを提供する。
【0096】
本開示によれば、管腔クリアランスにOCT距離計を使用しない既知の技術に関して、様々な利点を得ることができる。例えば、上に開示された新規の技術は、通常のシングルモードOCTイメージングモダリティや、OCTを用いたマルチモダリティイメージングに適用される。実際、本開示の注目すべき利点は、第2のモダリティによるカテーテルが必要とされないことである。新規の管腔測距アルゴリズムは、標準的な市販のOCTのみのシステムに組み込むことができる。造影剤注入を伴わない最初のプルバックは、調整された造影剤量と最適化されたプルバック長さを用いる第2の(フラッシュ)プルバックを通知及び最適化するのに役立つ。測距アルゴリズムは、非フラッシュプルバックのガイドカテーテルフレームの自動又は手動の検出を含めるように変更することができる。実際の長さの決定は迅速であり、血管内のガイドカテーテルの正確な位置に関するデータを提供する。
【0097】
開示されたアルゴリズムは、プルバック長さに応じて造影剤が削減された推奨のフラッシュ設定の式を含むが、式は、具体的な用途のパラメータに応じて変更することができる。推奨造影剤設定は簡単に適用することができ、ユーザは、第2の(フラッシュ)プルバック動作を開始する前に造影剤の削減量を評価することができる。実験結果から、本明細書に開示された技術案が、イメージングの品質に影響を与えることなく、近位プルバックの造影剤投与量を最大50%削減できることが示された。潜在的に有害な造影剤の投与量を低減することにより、OCT手順が更に安全で魅力的なものになる。更に、実験結果から、開示された技術では、OCTデータ記録が管腔内クリアランスの計算された範囲内でのみ発生するようにより精確に制御され得るので、OCTファイルサイズを縮小でき、取得後の画像処理時間を短縮できることが示された。
【0098】
本開示の特定の態様は、記憶媒体(より完全には「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶこともできる)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)を読み出し実行して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行し、かつ/又は、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含むOCTシステム100又は同様の装置のコンピュータ190によって実現することができ、また、システム又は装置のコンピュータが、記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出し実行して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行すること、及び/又は1つ以上の回路を制御して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行することによって実行される方法によって実現することもできる。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、マイクロ処理ユニット(MPU))を含んでよく、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばネットワークク又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムのストレージ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-rayDisc(BD)(商標)等)、フラッシュメモリデバイス、メモリカード等のうち1つ以上を含んでよい。I/Oインタフェースは、入出力デバイスに対して通信インタフェースを提供するために用いることができ、入出力デバイスとしては、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャー認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学式ストレージデバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)が挙げられる。
【0099】
また、検出器インタフェースは、入力デバイス及び出力デバイスに対して電子通信インタフェースを提供する。検出器は、例えば、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード検出器(APD)、電荷結合素子(CCD)、マルチピクセルフォトンカウンタ(MPPC)、又はその他のものを含んでよい。また、検出器の機能は、記憶装置/RAMに格納されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)によって実現されてよい。
【0100】
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び回路は、詳細には説明されない。本明細書において別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。しかしながら、本特許明細書の開示はそのように選択された具体的な専門用語に限定されることを意図するものではなく、当然ながら、具体的な要素の各々は、同様に動作する技術的な均等物を全て含む。
【0101】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。任意の数値範囲は、本明細書に記載される場合、そこに包含される全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0102】
本明細書では、様々なステップ、要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらのステップ、要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの用語又はその他によって限定されるべきではない。これらの用語は、あるステップ、要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、前述及び以下の特許請求の範囲に記載の第1のステップ、要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションは、本明細書の開示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションと呼ぶことができる。
【0103】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、留意すべきこととして、一部のクレームは、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0104】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
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