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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】低温用途のためのフレキシブル配線
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/80 20230101AFI20240326BHJP
   H10N 60/82 20230101ALI20240326BHJP
   H01B 12/06 20060101ALI20240326BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240326BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20240326BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H10N60/80 W
H10N60/82
H01B12/06
H05K1/02 B
H05K1/02 P
H05K3/36 Z
H05K1/14 A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022100479
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2021037304の分割
【原出願日】2017-09-07
(65)【公開番号】P2022136080
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マルティニス
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0213924(US,A1)
【文献】特開平05-304224(JP,A)
【文献】特開2005-217146(JP,A)
【文献】米国特許第05375321(US,A)
【文献】特開2012-227037(JP,A)
【文献】特表平06-502956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/80
H10N 60/82
H01B 12/06
H05K 1/02
H05K 3/36
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電磁遮蔽折畳み領域を有する第1の細長いフレキシブル基板と、前記第1の細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された第1の複数の導電性トレースとを備え、前記第1の電磁遮蔽折畳み領域が前記第1の複数の導電性トレースの第1の導電性トレースと第2の導電性トレースとの間の電磁遮蔽を提供する、第1のフレキシブル配線と、
第2の電磁遮蔽折畳み領域を有する第2の細長いフレキシブル基板と、前記第2の細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された第2の複数の導電性トレースとを備え、前記第2の電磁遮蔽折畳み領域が、前記第2の複数の導電性トレースの第1の導電性トレースと第2の導電性トレースとの間の電磁遮蔽を提供する、第2のフレキシブル配線と
を備える、デバイスであって、
前記第1のフレキシブル配線が前記第2のフレキシブル配線に結合される、デバイス。
【請求項2】
前記第1のフレキシブル配線が、突合わせ結合を通じて前記第2のフレキシブル配線に結合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースを前記第2の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースに接続するワイヤボンドを備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースを前記第2の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースに接続するはんだブリッジを備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の電磁遮蔽折畳み領域および前記第2の電磁遮蔽折畳み領域に固定され接触している熱シンクをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースが二重層を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記二重層が半導体層及び金属層を備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記半導体層がニオブまたはNbTiを備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記金属層が銅または銅合金を備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の電磁遮蔽折畳み領域が、前記第1の複数の導電性トレースの長さに対して直交する向きの長さを有する複数のマイクロストリップを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
クライオスタットと、
前記クライオスタットの量子情報処理システムと、
前記クライオスタット内にあり、前記量子情報処理システムに結合されたフレキシブル配線と
を備えるシステムであって、前記フレキシブル配線が、
第1の部分であって、
第1の電磁遮蔽折畳み領域を有する第1の細長いフレキシブル基板と、
前記第1の細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された第1の複数の導電性トレースと、
を備え、前記第1の電磁遮蔽折畳み領域が、前記第1の複数の導電性トレースの第1の導電性トレースと第2の導電性トレースとの間に電磁遮蔽を提供する、第1の部分と、
第2の部分であって、
第2の電磁遮蔽折畳み領域を有する第2の細長いフレキシブル基板と、
前記第2の細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された第2の複数の導電性トレースと、
を備え、前記第2の電磁遮蔽折畳み領域が、前記第2の複数の導電性トレースの第1の導電性トレースと第2の導電性トレースとの間の電磁遮蔽を提供する、第2の部分と、
を備え、
前記第1の部分が前記第2の部分と結合される、システム。
【請求項12】
前記第1の部分が、突合わせ結合を通じて前記第2の部分に結合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースを前記第2の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースに接続するワイヤボンドを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースを前記第2の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースに接続するはんだブリッジを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の電磁遮蔽折畳み領域および前記第2の電磁遮蔽折畳み領域に固定され接触している熱シンクをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の複数の導電性トレースの少なくとも1つの導電性トレースが二重層を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記二重層が半導体層及び金属層を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記半導体層がニオブまたはNbTiを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記金属層が銅または銅合金を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の電磁遮蔽折畳み領域が、前記第1の複数の導電性トレースの長さに対して直交する向きの長さを有する複数のマイクロストリップを備える、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超伝導量子ビットを使用する量子プロセッサなどの、低温用途のためのフレキシブル配線に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピューティングは、特定の計算を従来のデジタルコンピュータよりも効率的に実行するために、基底状態の重ね合わせやエンタングルメントなどの量子効果を利用する比較的新しいコンピューティング方法である。情報をビットの形(たとえば、「1」または「0」)で記憶および操作するデジタルコンピュータとは対照的に、量子コンピューティングシステムは量子ビットを使用して情報を操作することができる。量子ビットは、複数の状態(たとえば、「0」状態と「1」状態の両方のデータ)の重ね合わせを可能にする量子デバイス、および/または複数の状態のデータ自体の重ね合わせを指すことができる。従来の用語によれば、量子システムにおける「0」状態と「1」状態の重ね合わせは、たとえば、α|0>+β|1>として表され得る。デジタルコンピュータの「0」状態と「1」状態は、それぞれ量子ビットの|0>および|1>基底状態に類似している。値|α|は、量子ビットが|0>状態にある確率を表し、値|β|は、量子ビットが|1>基底状態にある確率を表す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一般に、いくつかの態様では、本開示の主題は、細長いフレキシブル基板と、細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された複数の導電性トレースと、細長いフレキシブル基板の第2の側の電磁遮蔽層とを含むフレキシブル配線などのデバイスにおいて具現化され得、第2の側は第1の側の反対側にあり、細長いフレキシブル基板は、電磁遮蔽層が、第1の導電性トレースと第2の導電性トレースとの間に電磁遮蔽を提供するように、第1の導電性トレースと第2の導電性トレースの間に折畳み領域を含む。
【0004】
デバイスの実装形態は、次の機能のうちの1つまたは複数を含み得る。たとえば、いくつかの実装形態では、折畳み領域はフレキシブル基板に隆起バンドを含み、細長い隆起バンドの長さは、第1の導電性トレースと第2の導電性トレースの長さに平行に延びている。
【0005】
いくつかの実装形態では、フレキシブル配線は折畳み領域に第1の細長い溝を含み、第1の細長い溝の長さは、第1の導電性トレースの長さと第2の導電性トレースの長さに平行である。
【0006】
第1の細長い溝は、細長いフレキシブル基板の第1の側または第2の側へと延びていてもよい。フレキシブル配線は、折畳み領域に第2の細長い溝を含み得、第2の細長い溝の長さは第1の導電性トレースの長さおよび第2の導電性トレースの長さと平行であり、第1の細長い溝は基板の第1の側にあり、第2の細長い溝は基板の第2の側にある。第1の細長い溝は、電磁遮蔽層へと延びていてもよい。第1の細長い溝は、細長いフレキシブル性基板へと延びていてもよい。
【0007】
いくつかの実装形態では、複数の導電性トレースのうちの少なくとも1つの導電性トレースは二重層を含み、二重層は、超伝導体層と、超伝導体層上の金属層とを有する。超伝導体層は、ニオブまたはNbTiを含み得る。金属層は銅または銅合金を含み得る。
【0008】
いくつかの実装形態では、電磁遮蔽層は二重層を備え、二重層は、超伝導体層と、超伝導体層上の金属層とを含む。超伝導体層は、ニオブまたはNbTiを含み得る。金属層は、銅または銅合金を含み得る。
【0009】
いくつかの実装形態では、電磁遮蔽層は、複数の導電性トレースの長さに対して直交する向きの長さを有する複数のマイクロストリップを含む。
【0010】
一般に、いくつかの他の態様では、本開示の主題は、第1の細長いフレキシブル層と、第1の細長いフレキシブル層に接合された第2の細長いフレキシブル層と、第1の細長いフレキシブル層と第2の細長いフレキシブル層との間の接合界面(bond interface)に配置された複数の導電性トレースと、第1の細長いフレキシブル層の主面上の第1の電磁遮蔽層と、第2の細長いフレキシブル層の主面上の第2の電磁遮蔽層と、第1の細長いフレキシブル層を通って延びるビアであって、超伝導体ビアコンタクトを含む、ビアとを含む、フレキシブル配線などのデバイスにおいて具現化され得る。
【0011】
フレキシブル配線の実装形態は、次の機能のうちの1つまたは複数を含み得る。たとえば、いくつかの実装形態では、ビアは接着剤層を含み、超伝導体ビアコンタクトは接着剤層上に形成される。
【0012】
いくつかの実装形態では、ビアは第1の電磁遮蔽層から複数の導電性トレースのうちの少なくとも1つの導電性トレースまで延び、超伝導体ビアコンタクトは、第1の電磁遮蔽層と、少なくとも1つの導電性トレースとに接続される。
【0013】
いくつかの実装形態では、ビアは第1の電磁遮蔽層から第2の電磁遮蔽層まで延び、超伝導体ビアコンタクトは、第1の電磁遮蔽層と、少なくとも1つの導電性トレースとに接続される。
【0014】
一般に、他の態様では、本開示の主題は、第1の細長いフレキシブル基板と、第1の細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された第1の複数の導電性トレースと、第1の細長いフレキシブル基板の第2の側の第1の電磁遮蔽層であって、第1の細長いフレキシブル基板の第2の側が、第1の細長いフレキシブル基板の第1の側の反対側にある、第1の電磁遮蔽層とを備える、第1のフレキシブル配線と、第2の細長いフレキシブル基板と、第2の細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された第2の複数の導電性トレースと、第2の細長いフレキシブル基板の第2の側の第2の電磁遮蔽層であって、第2の細長いフレキシブル基板の第2の側が、第2の細長いフレキシブル基板の第1の側の反対側にある、第2の電磁遮蔽層とを含む、第2のフレキシブル配線と、を含むデバイスにおいて具現化され得、第1のフレキシブル配線は、突合せ接合を通じて第2のフレキシブル配線に結合される。
【0015】
デバイスの実装形態は、次の機能のうちの1つまたは複数を含み得る。たとえば、いくつかの実装形態では、突合せ接合は、第1の複数の導電性トレースからの第1の導電性トレースを第2の複数の導電性トレースからの第1の導電性トレースに接続するワイヤボンドを含む。
【0016】
いくつかの実装形態では、突合せ接合は、第1の複数の導電性トレースからの第1の導電性トレースを第2の複数の導電性トレースからの第1の導電性トレースに接続するはんだブリッジを含む。
【0017】
いくつかの実装形態では、デバイスは、第1の電磁遮蔽層および第2の電磁遮蔽層に固定され熱接触している金属ブロックを含む。
【0018】
一般に、他の態様では、本開示の主題は、第1の細長いフレキシブル基板と、第1の細長いフレキシブル基板内の接合界面に配置された第1の複数の導電性トレースと、第1の細長いフレキシブル基板の第1の主面上の第1の電磁遮蔽層と、第1の細長いフレキシブル基板の第2の主面上の第2の電磁遮蔽層と、を含む、第1のフレキシブル配線と、第2の細長いフレキシブル基板と、第2の細長いフレキシブル基板内の接合界面に配置された第2の複数の導電性トレースと、第2の細長いフレキシブル基板の第1の主面上の第3の電磁遮蔽層と、第2の細長いフレキシブル基板の第2の主面上の第4の電磁遮蔽層とを含む、第2のフレキシブル配線デバイスとにおいて具現化され得、第1のフレキシブル配線は、突合せ接合を通じて第2のフレキシブル配線に電気的に接続されている。
【0019】
デバイスの実装形態は、次の機能のうちの1つまたは複数を含み得る。たとえば、いくつかの実装形態では、第1の細長いフレキシブル基板は、第1の複数の導電性トレースの第1の導電性トレースが露出される第1のキャビティを含み、第2の細長いフレキシブル基板は、第2の複数の導電性トレースの第1の導電性トレースが露出される第2のキャビティを備える。突合せ接合は、第1の複数の導電性トレースの露出した第1の導電性トレースを第2の複数の導電性トレースの露出した第1の導電性トレースに接続するワイヤボンドを含み得る。
【0020】
いくつかの実装形態では、突合せ接合は、第1の複数の導電性トレースの露出した第1の導電性トレースを第2の複数の導電性トレースの露出した第1の導電性トレースに接続するはんだブリッジを含み得る。
【0021】
いくつかの実装形態では、デバイスは、第1の電磁遮蔽層および第3の電磁遮蔽層に固定され熱接触している第1の金属ブロックをさらに含む。本デバイスは、第2の電磁遮蔽層および第4の電磁遮蔽層に固定され熱接触している第2の金属ブロックをさらに含み得る。
【0022】
一般に、他の態様では、本開示の主題は、第1の温度範囲内に保持されるように構成された第1の段階を含むクライオスタットと、第1の段階内の量子情報処理システムと、第1の段階内にあり、量子情報処理システムに結合されたフレキシブル配線とを含むシステムにおいて具現化され得、フレキシブル配線は、細長いフレキシブル基板と、細長いフレキシブル基板の第1の側にアレイ状に配置された複数の導電性トレースと、細長いフレキシブル基板の第2の側の電磁遮蔽層とを含むフレキシブル配線などのデバイスにおいて具現化され得、第2の側は第1の側の反対側にあり、細長いフレキシブル基板は、電磁遮蔽層が、第1の導電性トレースと第2の導電性トレースとの間に電磁遮蔽を提供するように、第1の導電性トレースと第2の導電性トレースの間に折畳み領域を含む。
【0023】
一般に、他の態様では、本開示の主題は、第1の温度範囲内に保持されるように構成された第1の段階を含むクライオスタットと、第1の段階内の量子情報処理システムと、第1の段階内にあり、量子情報処理システムに結合されたフレキシブル配線とを含むシステムにおいて具現化され得、フレキシブル配線は、第1の細長いフレキシブル層と、第1の細長いフレキシブル層に接合された第2の細長いフレキシブル層と、第1の細長いフレキシブル層と第2の細長いフレキシブル層との間の接合界面に配置された複数の導電性トレースと、第1の細長いフレキシブル層の主面上の第1の電磁遮蔽層と、第2の細長いフレキシブル層の主面上の第2の電磁遮蔽層と、第1の細長いフレキシブル層を通って延びるビアであって、超伝導体ビアコンタクトを含む、ビアとを含む。
【0024】
本明細書で説明される主題の特定の実装形態は、以下の利点のうちの1つまたは複数を実現することができる。たとえば、いくつかの実装形態では、フレキシブル配線の折畳み領域が信号トレース間の電磁遮蔽を提供する。遮蔽は、基板内にビアホールを形成する必要なしに、クロストークを低減することができる。いくつかの実装形態では、基板内にビアが提供されると、信号の完全性の改善とクロストークの低減を可能にする超伝導材料(たとえば、ニオブ)でビアが充填され得る。さらに、超伝導である材料はDC抵抗を示さないため、ビアの金属は抵抗加熱につながらない。いくつかの実装形態では、フレキシブル配線により、同軸ケーブルを使用する装置と比較して、クライオスタット内に含まれるデバイス(たとえば、量子情報処理システムなど)に接続され得るワイヤの数と密度を大幅に増やすことが可能になる。さらに、同軸ケーブルの代わりにフレキシブル配線を使用することによって、同軸ケーブルによって必要とされるスペースが、電気的接続提供以外の目的のために解放され得る。いくつかの実装形態では、フレキシブル配線は、比較的低い熱伝導率、したがって低い熱負荷を提供する、銅、銅合金(たとえば、真鍮)、または超伝導体(たとえば、NbTi)などの材料を利用する。さらに、いくつかの実装形態では、フレキシブル配線に関連付けられる製造コストは、同軸ケーブルに依存する装置よりもワイヤごとに低くなる場合がある。いくつかの実装形態では、同軸ケーブルコネクタの代わりに突合せ接合を使用して、フレキシブル配線が他のフレキシブル配線に接合され得る。同軸ケーブルコネクタの代わりに突合せ接合を使用することによって、多数の接続が確立され得る。また、突合せ接合を使用すると、そうでなければ同軸ケーブルコネクタによって使用されるクライオスタット内のスペースを解放し得る。さらに、いくつかの実装形態では、特に多数の接続が行われる必要がある場合に、突合せ接合は、回路基板をはんだ付けするよりも低コストの製造技法を提供する。
【0025】
1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。他の特徴および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】量子情報処理システムを冷却するための冷却システムの一例を示す概略図である。
図2】フレキシブル配線の一例を示す概略図である。
図3】フレキシブル配線の一例を示す概略図である。
図4】フレキシブル配線の一例を示す概略図である。
図5】フレキシブル配線の一例を示す概略図である。
図6】フレキシブル配線用の修正された突合せ接合ボンドの一例を示す概略図である。
図7A】フレキシブル配線用の修正された突合せ接合ボンドの一例を示す概略図である。
図7B図7Aに示されるフレキシブル配線の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
量子コンピューティングでは、量子コンピュータの量子ビット(qubit)に記憶されている量子情報をコヒーレントに処理する必要がある。超伝導量子コンピューティングは、量子情報処理システムが部分的に超伝導材料から形成される固体量子コンピューティング技術の有望な実装形態である。超伝導量子ビットなどの固体量子コンピューティング技術を採用した量子情報処理システムを運用するために、システムは、たとえば数十mKといった非常に低い温度に維持される。システムの極端な冷却は、超伝導材料を臨界温度以下に保ち、望ましくない状態遷移を回避するのに役立つ。そのような低温を維持するために、量子情報処理システムは、希釈冷凍機などのクライオスタット内で動作される場合がある。いくつかの実装形態では、そのようなクライオスタットの限られた冷却能力は、はるかに大きな冷却能力が利用可能であり、散逸回路が量子情報処理システム内の量子ビットを乱す可能性が低い、より高温の環境で制御信号が生成されることを必要とする。制御信号は、同軸ケーブルなどの遮蔽されたインピーダンス制御GHz対応送信線を使用して、量子情報処理システムに送信され得る。
【0028】
量子情報処理システムにおいて利用される量子ビットの数は、近い将来に大幅に増加する(たとえば、数万、数十万、数百万以上)ことが予想される。量子ビットの数が増加すると、量子ビットを駆動するために、また量子情報処理システムによって実行される動作から出力を読み取るために必要な送信線(たとえば、制御線およびデータ線)の数も大幅に増加する可能性がある。
【0029】
本開示は、超伝導量子情報処理システムなどの低温用途向けの配線を対象とし、特定の実装形態では、配線により、送信線間の低クロストークと低熱負荷を維持しながら、送信線密度が大幅に増加することが可能になる。さらに、本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、特定の実装形態では、同軸ケーブルなどのかさばる送信線の低コストの代替を提供し得る。
【0030】
図1は、量子情報処理システムを冷却するための冷却システム100の一例を示す概略図である。例示的な冷却システム100は、量子情報処理システム110が含まれ得るクライオスタット102を含む。クライオスタット102は、量子情報処理システム110を取り巻く周囲環境を、システム110で動作を実行するために適した温度まで冷却する。たとえば、量子情報処理システム110が超伝導量子ビットを有する量子プロセッサを含む実装形態では、クライオスタット102は、量子プロセッサを取り巻く周囲環境を超伝導材料の臨界温度以下の温度、たとえば、約20mKに至るまで、または約10mKまで冷却し得る。超伝導量子情報処理システムにおいて使用され得る超伝導材料の例は、Al(Tc=1.2K)、In(Tc=3.4K)、およびNb(Tc=9.3K)を含む。クライオスタット102は、ヘリウムおよび窒素などの液体または気体の寒剤を使用して冷却されてもよく、ヘリウムガスを使用する閉サイクルクライオクーラーで冷却されてもよい。場合によっては、量子情報処理システム110の回路素子は、マイクロ波周波数(たとえば、約300MHzから10GHzの間など、約300MHzから約100GHzの範囲の周波数)で動作する。したがって、クライオスタット102は、量子情報処理システム110との干渉をブロックするために外部および内部の電磁遮蔽を含み得る。
【0031】
いくつかの実装形態では、クライオスタットは、大きな温度差にわたる複数の熱的に分離された段階(たとえば、希釈冷凍機の異なる段階)を含む。たとえば、例示的なクライオスタット102は、複数の段階101、103、および105を含む。第1の段階101は第1の温度範囲T1に維持され得、第2の段階103は第1の温度T1より低い第2の温度範囲T2に維持され得、第3の段階105は第2の温度T2より低い第3の温度範囲T3に維持され得る。たとえば、第3の温度範囲T3は、量子情報処理システム110において使用される超伝導材料の臨界温度Tc以下、たとえば、T2≒10~20mKであり得る。対照的に、第2の段階103は、第3の段階105よりも高い温度に維持され得る。たとえば、第2の段階103は、3K未満で20mKを超える温度範囲T2内に維持され得る。第1の段階101は、第2の段階103よりも高い温度範囲内に維持され得る。たとえば、第1の段階101は、300K未満で3Kを超える温度範囲T1内に維持され得る。図1の例では3つの段階のみが示されているが、クライオスタットは異なる温度レベルで追加の段階を含むことができる。たとえば、場合によっては、クライオスタットは、それぞれ第4の温度範囲T4および第5の温度範囲T5内に保持される第4および第5の段階を含み得る。クライオスタットの各温度段階は、通常、たとえば、次の温度段階までの長さが数cmにわたる。
【0032】
クライオスタット102内の各段階は、境界104、106によって分離され得る。境界104、106は、一定温度に保持された熱シンクを含み得る。クライオスタット102の段階は、真空環境下で動作される。たとえば、第1の段階101、第2の段階103、および第3の段階105は、約1×10-7Torr以下の真空ベース圧力下で動作され得る。量子情報処理システム110は、量子ビットなどの量子情報処理デバイスが形成された基板(たとえば、シリコンまたはサファイアなどの誘電体基板)を含み得る。量子ビットは、システム110の動作中に、量子ビットが有用な計算を実行するように、互いに結合可能であり得る。量子ビットに加えて、量子情報処理システム110は、測定読出しデバイス、量子ビットを結合するためのカプラデバイス、量子ビットを駆動および調整するための制御デバイスなどの、他のコンポーネントを含み得る。量子情報処理システム110は、第3の段階105内のサンプルマウント112に配置および/または固定されてもよい。
【0033】
量子情報処理システム110を制御し、そこからデータを読み取るために、量子情報処理システム110はクライオスタット102の外側に配置された制御電子機器150に結合され得る。図1に示される例では、制御電子機器150は、フレキシブル配線114、116を使用してクライオスタット102内の量子情報処理システム110に結合される。制御電子機器150または量子情報処理システム110によって生成される信号は、フレキシブル配線114、116を介して送信される。フレキシブル配線114、116は、たとえば、細長いフレキシブル基板の上または内部にある複数の導電性ワイヤを含む。フレキシブル配線114、116は、信号干渉からワイヤを保護するための電磁遮蔽を含み得る。さらに、配線114、116内のワイヤは、負荷からの信号反射を低減するために、量子情報処理システム110および制御電子機器150にインピーダンス整合され得る。
【0034】
各フレキシブル配線114、116は、複数の個々のワイヤを含み得る。個々のワイヤは、フレキシブル配線114、116の長さ(長寸法)に沿って延びてよく、アレイ状に配置されてよい(たとえば、ワイヤはフレキシブル配線114、116の長さに沿って平行に延びてよい)。フレキシブル配線内またはフレキシブル配線上のワイヤの総数は異なる場合がある。たとえば、各フレキシブル配線114、116は、10本以上のワイヤ、20本以上のワイヤ、30本以上のワイヤ、50本以上のワイヤ、100本以上のワイヤ、または200本以上のワイヤを含み得る。同様に、各フレキシブル配線114、116内で他の数のワイヤが使用され得る。あるフレキシブル配線から別のフレキシブル配線にデータおよび制御信号が送信され得るように、各フレキシブル配線を別のフレキシブル配線に結合され得る。たとえば、フレキシブル配線114は、フレキシブル配線116に結合され得る。いくつかの実装形態では、少なくとも2つのフレキシブル配線の第1のセットは、少なくとも2つのフレキシブル配線の第2のセットにそれぞれ結合される。たとえば、5、10、15、20またはそれ以上のフレキシブル配線の第1のセットは、5、10、15、20またはそれ以上のフレキシブル配線の第2のセットにそれぞれ結合され得る。他の数のフレキシブル配線が一緒に結合され得る。第1および/または第2セットでは、セット内のフレキシブル配線が互いに直接積み重ねられてもよく、あるいは、スタック内の個々のフレキシブル配線がスペーサ(たとえば2~10mmのスペーサ)を使用して互いに分離されてもよい。フレキシブル配線内に複数のワイヤを形成する、および/または複数のフレキシブル配線を使用する利点は、いくつかの実装形態では、フレキシブル配線のフットプリントがより小さく、ワイヤ密度がより大きいため、量子情報処理システムと制御電子機器との間の接続の総数が、同軸ケーブルに依存する装置に比べて大幅に増加することを可能にすることである。いくつかの実装形態では、フレキシブル配線114、116を熱シンクするために、フレキシブル配線114、116の短い部分が境界104、106またはクライオスタット102内のどこかで固定される。たとえば、配線116は、境界104で3Kの温度に保持される熱シンクに固定され得る。同様に、配線114は、境界106において20mKの温度に保持された熱シンクに固定され得る。対照的に、配線114、116の境界間の距離は、熱エネルギーの流れを減らすためのクランプ長よりもはるかに長い。
【0035】
図2は、たとえば、クライオスタット102などのクライオスタット内の量子情報処理システムへの結合などを含む低温用途に使用され得る、フレキシブル配線の一例を示す概略図である。フレキシブル配線200の上面の平面図と、線A-Aに沿ったフレキシブル配線200の断面図が図2に示されている。平面図に示されるように、フレキシブル配線200は、細長いフレキシブル基板202を含む。フレキシブル配線200は、細長いフレキシブル基板202の主面(たとえば、上面または上側)に配置された複数の導電性トレース204も含む。各導電性トレース204は個々のワイヤに対応し、複数のトレース204はアレイ状に配置され得る。たとえば、導電性トレース204は、それらの長寸法(たとえば、それらの長さ)が細長いフレキシブル基板202の長寸法(長さ)に沿って延びるように、平行に配置され得る。隣接するトレース204間の間隔は、隣接するトレース204の各ペアに対して同じであり得る。
【0036】
細長いフレキシブル基板202は、ポリイミドリボンなどのフレキシブルプラスチックリボンから形成され得る。細長いフレキシブル基板202に使用できる材料の例は、たとえば、ポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリットイミド)(カプトン(登録商標)とも呼ばれる)を含む。細長いフレキシブル基板202の厚さは、とりわけ約20μm、50μm、75μm、および100μmなどの厚さを含む、たとえば約10μmから約500μmの間であり得る。細長いフレキシブル基板202の幅は、たとえば、とりわけ10mm、15mm、および20mmなどの幅を含む、たとえば約1mmから約30mmの間であり得る。細長いフレキシブル基板202の長さは、少なくとも、デバイス、システム、および/または他の配線間の結合を提供するために必要な長さであり得る。
【0037】
導電性トレース204は、細長いフレキシブル基板202上にパターン化され得る薄膜材料を含む。導電性トレース204は、たとえば、材料の単層または材料の2層を含み得る。導電性トレース204を形成するために使用され得る材料は、超伝導材料および/または超伝導ではない金属を含み得る。導電性トレース204を形成するために使用され得る材料の例は、たとえば、銅、銅合金(キュプロニッケル、黄銅、青銅)、アルミニウム、インジウム、NbTi、NbTi合金、および/またはニオブを含む。場合によっては、銅の熱伝導率が高すぎる可能性があり、そうでなければ熱輸送がより高くなる可能性があるため、熱伝導率の低い銅合金を使用することが有利な場合がある。これは、量子情報処理システム110の動作に必要な低温がクライオスタットによって維持されるように、より低い熱電力負荷を低減するために役立つ。2層トレースの場合、トレース204は、細長いフレキシブル基板202の上に、およびそれに接触して形成された第1の層と、第1の層の上に、およびそれに接触して形成された第2の層を含み得る。2層トレースの第1の層は、たとえば、ニオブなどの超伝導材料を含み得、2層トレースの第2の層は、たとえば、銅または銅合金などの非超伝導材料を含み得る。基板202の表面への金属または超伝導体の接着を改善するために、たとえば、ポリイミド基板の場合、基板202はイオンミリングされ得る。あるいは、2層トレースの第1の層は、銅などの非超伝導材料を含んでもよく、2層トレースの第2の層は、ニオブまたはアルミニウムなどの超伝導材料を含んでもよい。いくつかの実装形態では、導電性トレースを形成するために使用される材料は、クライオスタットにおいてフレキシブル配線が使用される場所に依存する場合がある。たとえば、3Kから10mKの間などの最低温度領域(たとえば、量子情報処理システムが配置され得る場所)では、低損失接線と低熱輸送を備えた材料を使用してフレキシブル配線が形成され得る。そのような場合、導電性トレースは、ニオブなどの超伝導体から形成され得る。3Kを超える温度など、クライオスタットの高温領域(たとえば、配線が低温から室温に遷移する場所)では、フレキシブル配線は、銅合金などの、超伝導性ではないが熱輸送がより低い材料で形成され得るが、高温超伝導体(たとえば、Nb)も使用され得る。さらに、いくつかの実装形態では、はんだ接続を提供する際の役割のためにトレースを形成する材料が選択され得る。たとえば、ワイヤボンドまたは他のはんだボンドが必要な領域において銅が使用され得る。
【0038】
導電性トレース204の長さは、細長いフレキシブル基板202の長さと同じ長さであり得る。各導電性トレース204の幅は、とりわけ5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、または100μmなどの幅を含む、たとえば約1μmから約250μmの間であり得る。いくつかの実装形態では、導電性トレースの幅は、負荷からの信号反射を低減するために、あらかじめ定められたインピーダンス、たとえば50オームのインピーダンス、または75オームのインピーダンスを提供するように選択される。各導電性トレース204の厚さは、とりわけ50nm、100nm、250nm、500nm、750nm、1μm、5μm、10μm、20μm、50μmなどの厚さを含む、たとえば、約10μmから約100μmの間であり得る。2層の導電性トレースの場合、各層の厚さは同じでもよく、異なっていてもよい。たとえば、いくつかの実装形態では、第1の層の厚さは2μmであるのに対し、第2の層の厚さは5μmである。あるいは、場合によっては、第1の層の厚さは20μmであるのに対し、第2の層の厚さは5μmである。導電性トレース204は、一定または可変のピッチで分離され得る。たとえば、いくつかの実装形態では、隣接する導電性トレース204間のピッチは、とりわけ5μm、10μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または750μmなどのピッチを含む、約1μmから約1mmの間である。導電性トレース204は、堆積(たとえば、スパッタリングおよび堆積)、エッチング、および/またはリフトオフ技法などの集積チップ(IC)製造技法を使用して細長いフレキシブル基板202上に形成され得る。
【0039】
図2の断面図A-Aに示されるように、フレキシブル配線200は、細長いフレキシブル基板202の第2の主面/底面に導電性層208を含み、第2の主面は第1の主面/上面の反対側である。導電性層208は、クロストークから導電性トレース204を遮蔽するための電磁遮蔽層であり得る。電磁遮蔽層208がトレース204間に遮蔽を提供できるようにするために、フレキシブル基板202は折畳み領域206を含む。折畳み領域206は、細長い隆起バンドが提供されるように基板202が折り畳まれたフレキシブル基板202の領域を含む。折畳み領域206の細長い隆起バンドは、導電性トレース204間およびそれに沿って延びる長さを有し得る。たとえば、折畳み領域206の細長い隆起バンドは、隣接する導電性トレース204間のスペース内で導電性トレース204と平行に延びてもよい。隆起バンドは、プリーツと同様の方法でそれ自体の上にフレキシブル基板を折り畳むことにより形成され得る。いくつかの実装形態では、隆起バンドのピークまたは頂点は、導電性トレース204の上面(たとえば、基板202とは反対側を向くトレース204の表面)の上に延びる。基板202がこのように折り畳まれた状態で、折畳み領域206の電磁遮蔽層208は、隣接するトレース204間に延びる壁として機能する細長い弧を作成する。各折畳み領域206の弧のスパンは、図2の平面図において2本の平行な破線で示されている。さらに、折畳み領域206内の細長い弧のピークまたは頂点は、導電性トレース204の上面の上に延びていてもよい。結果として、折畳み領域206内の電磁遮蔽層208は、トレース間のクロストークを遮蔽するために、隣接するトレース間に電磁障壁を提供する。図2の断面図に示されるように、折畳み領域206は、隆起フィンとして現れ、フレキシブル配線にアコーディオンのような形状を与える。図2に示される折畳み領域206は、導電性トレース204が形成されていないフレキシブル基板の第1の主面の部分を含む。他の実装形態では、折畳み領域206は、導電性トレース204が形成される基板202の第1の主面の部分を含み得る。折畳み領域206を導入する利点は、ストリップライン設計に必要となる可能性があるように、ワイヤに外部遮蔽を提供したり、基板202内に遮蔽を形成したりせずに、トレース間の遮蔽を提供できることである。いくつかの実装形態では、折畳み領域206は、折畳み領域のない第1の主面上に形成された導電性トレースを有するフレキシブル配線と比較して、隣接する導電性トレース間のクロストークを20~60dBまたはそれ以上低減する。
【0040】
基板がその最初の平らな状態に戻らないように折畳み領域を所定の位置に保持するために、折畳み形状を保持するために役立つ機械的応力を導入するために基板および/または電磁遮蔽層208を修正することができる。図3は、折畳み領域を所定の位置に保持するための機械的応力を導入するための溝領域を含む、フレキシブル配線250の一例を示す概略図である。配線200と同様に、フレキシブル配線250は、細長いフレキシブル基板202と、基板202の第1の主面上の導電性トレース204と、基板202の第2の主面上の電磁遮蔽層208とを含む。配線200に関して本明細書で説明した材料および寸法に関する様々なパラメータは、配線250にも適用し得る。配線250(図3における線A-Aに沿った平面図および断面図に示される)と図2における配線200との違いは、折畳み領域に形成された溝の図示を助けるために、配線250が平らな状態で示されていることである。基板202を折り畳んで折畳み領域を提供すると、溝は、折畳み領域を所定の位置に保持する機械的応力を提供し得る。
【0041】
いくつかの実装形態では、溝、たとえば溝210は、基板202の第1の主面内に形成される。溝210の長さは、1つまたは複数の隣接する導電性トレース204の長さに平行に(たとえば、図3におけるX方向に沿って)延びる。溝210は、基板202への様々な異なる深さを有し得る。たとえば、溝の深さは、他の深さの中でも、10μm、20μm、50μm、70μm、100μm、200μm、250μm、300μm、または400μmなどの、約1μmから約500μmの範囲であり得る。溝210は、様々な異なる幅を有し得る。たとえば、溝の幅は、他の幅の中でも、20μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または750μmなどの、約10μmから約1mmの範囲であり得る。溝210は、細長いフレキシブル基板202の全長にわたって延びてもよく、または細長いフレキシブル基板の全長よりも短い長さまで延びてもよい。図3の例では、各溝210は、隣接する導電性トレース204間を延びる単一の連続として示されている。他の実装形態では、単一の線または一連の線(たとえば、2次元アレイ)に配置されているかどうかにかかわらず、導電性トレース204間に複数の別個の個々の溝が形成され得る。
【0042】
いくつかの実装形態では、溝、たとえば溝212は、基板202の第2の主面内に形成される。溝210に関して本明細書で説明した溝の深さ、幅の長さ、および配置の同じ変化は、溝212に適用され得る。電磁遮蔽層208は、フレキシブル基板202の第2の主面内に形成された溝を被覆し得る。図3の線A-Aに沿った断面図に示されるように、溝212は、たとえばY軸に沿って、隣接する導電性トレース204間に配置され得る。いくつかの実装形態では、図3に示されるように、溝212は、基板202の第2の主面の代わりに電磁遮蔽層208内に形成される。すなわち、電磁遮蔽層208は、開口部が基板202内ではなく電磁遮蔽層内のみに形成されるように、(たとえば、フォトリソグラフィおよびエッチングまたはリフトオフプロセスを通じて)パターン化され得る。溝の深さは、電磁遮蔽層208を完全に貫通してもよく、電磁遮蔽層208を部分的に貫通してもよい。いくつかの実装形態では、溝は、図3の断面図において破線によって区切られた溝214によって示されるように、電磁遮蔽層208を通り、フレキシブル基板202の第2の主面へと延びる。
【0043】
溝は、写真処理技法(たとえば、基板202上のスピンコーティングレジスト、レジスト内のパターンの露光および現像、および溝を形成するための基板202の露光領域のエッチング)を使用して、フレキシブル基板202に形成され得る。他の実装形態では、溝は、ユーザレーザ加工(たとえば、ポリイミドレーザドリル技術)で形成され得る。
【0044】
いくつかの実装形態では、フレキシブル配線の折畳み領域は、細長いフレキシブル基板の第2の主面を横切って延びる複数のストリップに電磁遮蔽層を配置することによって、所定の位置に保持され得る。本明細書に記載の溝の代わりに、または溝に加えて、ストリップが使用され得る。たとえば、フレキシブル配線300の一例を示す概略図である。具体的には、図4は、電磁遮蔽層308が形成されるフレキシブル配線基板302の第2の主面の平面図と、線A-Aで基板302を通る断面図とを含む。図4の平面図において、基板302の第1の主面上に形成された導電性トレース304の位置、境界、および配置が破線を使用して示されている。フレキシブル配線300は、平らな状態、すなわち、まだ折畳み領域が形成されていない状態で示されている。
【0045】
図4に示されるように、電磁遮蔽層308は、Y方向に沿って延びる長さを有する複数の別個のストリップに配置される。基板302を折り畳んで折畳み領域を提供すると、遮蔽層ストリップ308は、折畳み領域を所定の位置に保持する機械的応力を提供し得る。図4の平面図にさらに示されるように、ストリップ308の長さは、導電性トレース304の長さが延びる方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に沿って延びる。電磁遮蔽層308を形成するために別個のストリップを使用する利点は、遮蔽層を提供するために熱伝導性の低い材料が使用されているため、全体的な熱輸送を低くできることである。
【0046】
あるいは、いくつかの実装形態では、ストリップは、接地層としてではなく、接地層に加えて形成され得る。たとえば、層208などの接地面層は、接地面を提供するために細長いフレキシブル基板の第2の主面上に提供され得、ストリップ308などの複数のストリップは、機械的安定性を提供するために接地面層の表面に形成され得る。たとえば、接地面層はニオブから形成されてもよく、一方、接地面層の表面に形成されるストリップは銅から形成されてもよい。層208に関して本明細書で説明される寸法は、接地面層にも適用され得る。同様に、ストリップ308に関して本明細書で説明した寸法および間隔は、接地面層に形成されたストリップにも適用され得る。
【0047】
いくつかの実装形態では、フレキシブル配線内に含まれるワイヤの数は、フレキシブル配線を積み重ねることによって増やすことができる。たとえば、積層フレキシブル配線を提供するために、フレキシブル配線200、250、または300のいずれかを一緒に積み重ねることができる。場合によっては、フレキシブル配線は、接着剤ベースまたは接着剤なしのラミネートボンディング技法(たとえば、ポリイミド層を接合するための熱および/または圧力の適用)を使用して一緒に積み重ねられ得る。特定の実装形態では、真空環境下で脱ガスが発生することがある接着剤を排除するため、接着剤なしのポリイミド接合の使用が有利になる場合がある。さらに、接着剤なしのラミネートは、銅の熱膨張係数(CTE)と密接に一致するCTEを有し得、したがって、クライオスタットにおいて使用される温度などの極端に低い温度まで冷却する際の温度の大幅な変化によって生じる基板と遮蔽/トレースとの間のストレスを低減する。場合によっては、導電性トレース/遮蔽層を含む最初の細長いポリマー基板にスプレーまたは塗装されたポリマーカプセル材料を使用して、積層フレキシブル配線を形成することができる。たとえば、場合によっては、配線200、250、300などのフレキシブル配線にエポキシカプセル材料(たとえば、Stycast2850FT)をスプレーまたは塗装し、次いで、追加のポリマー層を提供するために硬化させ、その上にさらに導電性材料を堆積させてパターン化させることができる。
【0048】
図2から図4に示されたフレキシブル配線とは対照的に、いくつかの実装形態では、フレキシブル配線はストリップラインとして形成され得る。図5は、ストリップライン構成で形成されたフレキシブル配線500の一例を示す概略図である。フレキシブル配線500は、第1の細長いフレキシブル基板部分502と第2の細長いフレキシブル基板部分504との間に配置された信号トレース506を含む。信号トレース506は、制御および/またはデータ信号を送信するための導電性薄膜材料を含み得る。第1の細長いフレキシブル基板部分502の上面(たとえば、第1の主面)は、第1の導電性層508を含み得、一方、第2の細長いフレキシブル基板部分504の底面(たとえば、第2の主面)は、第2の導電性層510を含み得る。第1の導電性層508、第2の導電性層510、および信号トレース506は、たとえば、金属または超伝導体薄膜などの薄膜材料を含み得る。たとえば、金属または超伝導体の薄膜は、銅、銅合金、アルミニウム、ニオブ、またはインジウムの薄膜層を含み得る。図5には単一の信号トレース506のみが示されているが、複数の信号トレース506が、第1の細長いフレキシブル基板部分502と第2の細長いフレキシブル基板部分504との間に(たとえば、図5のページに出入りするY軸に沿って)含まれ得る。たとえば、そのような信号トレース506は、図2に示される導電性トレース204と同様の方法で平行に整列され得る。
【0049】
場合によっては、第1の導電性層508、第2の導電性層510、および/または信号トレース506は、フレキシブル配線200に関して本明細書で説明するような2層膜を含み得る。たとえば、図5に示されるように、第2の導電性層510は、第2の細長いフレキシブル基板部分504の底面におよび/または底面に接触して形成される第1の薄膜層518を有する2層膜を含み得る。2層膜は、第1の薄膜層518上に、およびそれに接触して形成された第2の薄膜層516をさらに含み得る。2層膜はまた、第1の細長いフレキシブル基板部分502の上面に形成され得る。いくつかの実装形態では、第2の層516の一部が除去され、下にある第1の層518が現れる。
【0050】
信号トレース506の長さは、細長いフレキシブル基板部分502、504の長さと同じ長さであり得る。各信号トレース506の幅は、とりわけ5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、または100μmなどの幅を含む、たとえば約1μmから約250μmの間であり得る。各信号トレース506の厚さは、とりわけ50nm、100nm、250nm、500nm、750nm、1μm、5μm、10μm、20μm、50μmなどの厚さを含む、たとえば、約10μmから約100μmの間であり得る。2層の導電性トレースの場合、各層の厚さは同じでもよく、異なっていてもよい。たとえば、いくつかの実装形態では、第1の層の厚さは2μmであるのに対し、第2の層の厚さは5μmである。あるいは、場合によっては、第1の層の厚さは20μmであるのに対し、第2の層の厚さは5μmである。導電性トレース204は、一定または可変のピッチで分離され得る。たとえば、いくつかの実装形態では、隣接する信号トレース506間のピッチは、とりわけ5μm、10μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または750μmなどのピッチを含む、約1μmから約1mmの間である。信号トレース506は、堆積(たとえば、スパッタリングおよび堆積)、エッチング、および/またはリフトオフ技法などの集積チップ(IC)製造技法を使用して細長いフレキシブル基板部分502または504上に形成され得る。
【0051】
第1の細長いフレキシブル基板部分502および第2の細長いフレキシブル基板部分504の各々は、たとえば、ポリイミドリボン(たとえば、ポリ(4、4’-オキシジフェニレン-ピロメリットイミド))などのフレキシブルプラスチックリボンから形成され得る。第1の細長いフレキシブル基板部分502は、第2の細長いフレキシブル基板部分504に接合され得る。基板部分502および504の厚さは、とりわけ約20μm、50μm、75μm、および100μmなどの厚さを含む、たとえば約10μmから約500μmの間であり得る。細長いフレキシブル基板502の幅は、たとえば、とりわけ10mm、15mm、および20mmなどの幅を含む、たとえば約1mmから約30mmの間であり得る。細長いフレキシブル基板部分502および504の長さは、少なくとも、デバイス、システム、および/または他の配線間の結合を提供するために必要な長さであり得る。
【0052】
第1の導電性層508および第2の導電性層510はそれぞれ、信号トレース506を外部信号ノイズから遮蔽する電磁遮蔽層に対応し得る。いくつかの実装形態では、制御信号および/またはデータ信号を送信するための信号線の数が増加した積層フレキシブル配線を提供するために、フレキシブル配線500を1つまたは複数のフレキシブル配線500と一緒に積み重ねることができる。本明細書で説明するように、フレキシブル配線は、接着剤ベースまたは接着剤なしのラミネートボンディング技法を使用して一緒に積み重ねられ得る。場合によっては、導電性トレース/遮蔽層を含む最初の細長いポリマー基板にスプレーまたは塗装されたポリマーカプセル材料を使用して、積層フレキシブル配線を形成することができる。たとえば、場合によっては、配線500などのフレキシブル配線にエポキシカプセル材料(たとえば、Stycast2850FT)をスプレーまたは塗装し、次いで、追加のポリマー層を提供するために硬化させ、その上にさらに導電性材料を堆積させてパターン化させることができる。
【0053】
いくつかの実装形態では、フレキシブル配線500は、第1の細長いフレキシブル基板部分502を通って延びる1つまたは複数のビア512を含む。ビア512は、ビア512内に形成された導電性材料(ビアコンタクト514)を含み得る。ビアコンタクト514は、たとえば、銅、アルミニウム、ニオブ、インジウム、または銅合金などの超伝導および/または非超伝導金属を含み得る。場合によっては、ビアコンタクト514は、ビア512の側壁上に形成されるが、ビア512を完全には満たさない。他の場合には、ビアコンタクト514は、ビア512を完全に満たし、その結果、ビア512を通って延びる連続した開口部がない。いくつかの実装形態では、ビアコンタクト514は、ビアコンタクト514がビア512の側面に接着するのを助けるために形成された接着層を含む。たとえば、接着層は、銅またはニオブの膜(たとえば、ビア側壁に対して定義される約1nmから約1ミクロンの間の厚さ)を含み得る。いくつかの実装形態では、接着層上に形成されるビアコンタクト514の材料は、銅またはニオブの膜(たとえば、ビア側壁に対して定義される約500nmから約20ミクロンの間の厚さ)を含み得る。
【0054】
接着層は、たとえば、薄い第1の接着層を確立するために接着層材料(たとえば、Cu)の無電解めっきを使用し、次いで、第1の接着剤層上に第2の接着層を確立するために接着層材料(たとえば、Cu)の電気めっきを実行することによって形成され得る。次に、ビアコンタクト514の残りの材料(たとえば、Al、Cu、またはNb)も、たとえば電気めっきを使用して接着層上に形成され得る。たとえば、接着層上にアルミニウムがめっき(たとえば、電気めっき)され得る。ビアコンタクト514をめっきするために、他のめっき技法も使用され得る。たとえば、ニオブビアコンタクトを形成するために、溶媒ベースのめっきが使用され得る。
【0055】
いくつかの実装形態では、ビアコンタクト514が第1の導電性層508を信号トレース506に接続するように、ビア512は第1の導電性層508から信号トレース506まで延びている。いくつかの実装形態では、ビアコンタクト514が第1の導電性層508を第2の導電性層510に接続するように、ビア512は第1の導電性層508から第2の導電性層510まで延びている。いくつかの実装形態では、ビアコンタクト514が第2の導電性層510を信号トレース506に接続するように、ビア512は、第2の導電性層510から信号トレース506まで延びている。ビア512は、レーザドリル技術を使用して形成され得る。
【0056】
いくつかの実装形態では、ワイヤボンドまたはバンプボンドなどの電気的接続が信号トレースに行われ得るように、フレキシブル配線500は信号トレース506が露出している領域を有する。信号トレース506を露出することは、第1の細長いフレキシブル基板部分502の一部を除去すること、および/または信号トレース506を覆う第2の細長いフレキシブル基板部分504の一部を除去することを含み得る。場合によっては、第1の細長いフレキシブル基板部分502および/または第2の細長いフレキシブル基板部分504の長さは、信号トレース506の一部が露出するように信号トレース506全体を覆うために十分な長さではない。
【0057】
フレキシブル配線を相互に、量子情報処理システムに、および/または回路コンポーネントに接続するための技法の例は、SMAコネクタなどの同軸コネクタを使用することである。しかしながら、同軸接続はかさばる可能性があり、したがって、クライオスタット内の限られた利用可能スペースを多く占有する。さらに、同軸コネクタのかさばりは、高密度フレキシブル配線のコンタクトへの接続を困難にする可能性もある。同軸コネクタに代わるものは、フレキシブル配線のコンタクト間にワイヤボンディングを採用する、修正された突合せ接合ボンドの使用である。図6は、ワイヤボンディングを採用する修正された突合せ接合ボンドの一例を示す概略図である。具体的には、図6は、修正された突合せ接合ボンドを使用して第2のフレキシブル配線604に結合された第1のフレキシブル配線602の断面図を示す。第1のフレキシブル配線602および第2のフレキシブル配線604の各々は、図2に示されるフレキシブル配線200と同じ構成を有し得る。たとえば、フレキシブル配線602は、細長いフレキシブル基板606、細長いフレキシブル基板606の主面上に配置された複数の導電性トレース608(1つのトレース608が図6に示されている)、および細長いフレキシブル基板606の第2の主面上の導電性層610を含み得る。同様に、フレキシブル配線604は、細長いフレキシブル基板612、細長いフレキシブル基板612の主面上に配置された複数の導電性トレース614(1つのトレース614が図6に示されている)、および細長いフレキシブル基板612の第2の主面上の導電性層616を含み得る。図2に示されるフレキシブル配線200のように、各導電性トレース608、614は個々のワイヤに対応し、複数のトレースはアレイ状に配置され得る(たとえば、図6のページに出入りするY方向に沿って)。さらに、導電性層610および616は、それぞれ、クロストークから導電性トレース608、614を遮蔽するための電磁遮蔽層であり得る。図6においてフレキシブル配線602と604の両方が平坦に示されているが、それらは、フレキシブル配線200などの折畳み領域を含むことができ、その結果、層610、616は、トレース608、614に遮蔽を提供することができる。
【0058】
第1のフレキシブル配線602は、第2のフレキシブル配線604のエッジ603に面するエッジ601で配置される。エッジ601は、エッジ603から比較的短い距離622だけ離れてもよく、互いに接触してもよい。たとえば、距離622は、他の距離の中でも、100μmまたは250μmなどの、約25ミクロンから約数ミリメートルの間であり得る。第1のフレキシブル配線602のトレース608を第2のフレキシブル配線604のトレース614に電気的に接続するために使用され得るワイヤボンド618が提供される。
【0059】
いくつかの実装形態では、第1のフレキシブル配線602のトレース608を第2のフレキシブル配線604のトレース614に電気的に接続するために、ワイヤボンドの代わりにはんだブリッジが使用され得る。距離622は、はんだブリッジが形成することを可能にするために可能な限り小さく維持される必要がある。ワイヤボンド618またははんだブリッジを形成するために使用されるはんだは、超伝導または非超伝導材料から形成され得る。
【0060】
第1のフレキシブル配線602のエッジ601と第2のフレキシブル配線604のエッジ603の両方は、より正確で比較的滑らかなエッジを提供するためにレーザ加工を使用して切断され得る。次いで、はんだブリッジのブリッジ長を短くするために、エッジ601および603が互いに近づけて配置され得、これにより接続の完全性が向上し、ボンディングプロセスが容易になる。
【0061】
いくつかの実装形態では、第1のフレキシブル配線602と第2のフレキシブル配線604との間の接合部は、第1のフレキシブル配線602と第2のフレキシブル配線604間との電気的接続を提供するために、および/または、配線が配置されるクライオスタット段階の温度で配線を維持するために、第1のフレキシブル配線602および第2のフレキシブル配線604に機械的接続を提供するために金属ブロックに対して固定される。たとえば、図6に示されるように、金属ブロック620は、電磁遮蔽層610、616に固定され、熱接触してもよい。いくつかの実装形態では、金属ブロック620は、フレキシブル配線602および604に対して所定の位置に固定されている。代替的または追加的に、金属ブロック620は、はんだなどの接着剤を通じて遮蔽層610、616に固定されている。金属ブロック620は、銅などのクライオスタット内で十分な熱伝達を提供するために適した材料から形成され得る。いくつかの実装形態では、遮蔽層610、616は接地面を兼ね、金属ブロック620は共通接地を提供する。
【0062】
図6は、図2に示される、提供された構成を有するフレキシブル配線用の修正された突合せ接合を示している。いくつかの実装形態では、修正された突合せ接合は、図5に示される構成を有するフレキシブル配線にも使用され得る。たとえば、図7Aは、修正された突合せ接合を使用して第2のフレキシブル配線704に結合された第1のフレキシブル配線702の断面を示す概略図である。第1のフレキシブル配線702および第2のフレキシブル配線704の各々は、図5に示されるフレキシブル配線500と同じストリップライン構成を有する。たとえば、フレキシブル配線702は、第1の細長いフレキシブル基板部分706と、第2の細長いフレキシブル基板部分708と、部分706と708との間に配置された信号トレース714と、基板部分706の上面の第1の導電性層710と、基板部分708の底面上の第2の導電性層712とを含み得る。同様に、フレキシブル配線704は、第1の細長いフレキシブル基板部分716と、第2の細長いフレキシブル基板部分718と、部分716と718との間に配置された信号トレース724と、基板部分716の上面の第1の導電性層720と、基板部分718の底面上の第2の導電性層722とを含み得る。図5に示されるフレキシブル配線500のように、各信号トレース714、724は個々のワイヤに対応し、複数のトレースはアレイ状に配置され得る(たとえば、図7Aのページに出入りするY方向に沿って)。さらに、導電性層710、712、720、722は、クロストークから信号トレース714、724を遮蔽するための電磁遮蔽層であり得る。
【0063】
第1のフレキシブル配線702は、第2のフレキシブル配線704のエッジ703に面するエッジ701で配置される。エッジ701は、エッジ703から比較的短い距離だけ離れてもよく、互いに接触してもよい。たとえば、エッジ701は、他の距離の中でも、100μmまたは250μmなどの、約25ミクロンから約数ミリメートルの間の距離だけエッジ703から離れていてもよい。第1のフレキシブル配線702のトレース714を第2のフレキシブル配線704のトレース724に電気的に接続するために使用され得るワイヤボンド730が提供される。いくつかの実装形態では、第1のフレキシブル配線702のトレース714を第2のフレキシブル配線704のトレース724に接続するために、ワイヤボンドの代わりにはんだブリッジが使用され得る。第1のエッジ701と第2のエッジ703との間の距離は、はんだブリッジが形成することを可能にするために可能な限り小さく維持される必要がある。第1のフレキシブル配線702のエッジ701と第2のフレキシブル配線704のエッジ703の両方は、より正確で比較的滑らかなエッジを提供するためにレーザ加工を使用して切断され得る。次いで、はんだブリッジのブリッジ長を短くするために、エッジ701および703が互いに近づけて配置され得、これにより接続の完全性が向上し、ボンディングプロセスが容易になる。ワイヤボンド730またははんだブリッジを形成するために使用されるはんだは、超伝導または非超伝導材料から形成され得る。
【0064】
いくつかの実装形態では、第1のフレキシブル配線702は、基板部分706が除去されるか、または信号トレース714の一部を露出しない領域726を含み得る。同様に、第2のフレキシブル配線704は、基板部分716が除去されるか、または信号トレース724の一部を露出しない領域728を含み得る。領域726、728内の信号トレースを露出することによって、ワイヤボンドまたははんだブリッジボンドを形成するために信号トレース726、728にアクセスすることができる。図7Bは、図7Aの第2のフレキシブル配線704のエッジ703および領域728の側面図を示す概略図である。図7Bに示されるように、領域728を形成し、信号トレース724を露出するために、信号トレースの真上の基板部分716の一部のみを除去または不在にする必要がある。領域728の左側および右側の基板部分716は、基板部分718に接合し、導電性層720の支持表面を提供するために所定の位置に残されてもよい。いくつかの実装形態では、領域726、728は、第1のフレキシブル配線702と第2のフレキシブル配線704との間の電気的接続を形成するはんだを含む。
【0065】
いくつかの実装形態では、第1のフレキシブル配線702と第2のフレキシブル配線704との間の接合部は、第1のフレキシブル配線702と第2のフレキシブル配線704間との電気的接続を提供するために、および/または、配線が配置されるクライオスタット段階の温度で配線を維持するために、第1のフレキシブル配線702と第2のフレキシブル配線704との間に機械的接続を提供するために金属ブロックに固定され、熱接触している。たとえば、図7Aに示されるように、金属ブロック732は電磁遮蔽層712、722に対して配置され得る。いくつかの実装形態では、金属ブロック732は、フレキシブル配線702および704に対して所定の位置に固定される。代替的または追加的に、金属ブロック732は、はんだなどの接着剤を通じて遮蔽層712、722に固定される。代替的または追加的に、追加の金属ブロックが遮蔽層710、720に固定され、熱接触している。追加の金属ブロックはまた、はんだなどの接着剤を通じて遮蔽層710、720に固定され得る。金属ブロックは、銅などのクライオスタット内で十分な熱伝達を提供するために適した材料から形成され得る。いくつかの実装形態では、遮蔽層712、722は接地面を兼ね、金属ブロック732は共通接地を提供する。同様に、遮蔽層710、720は、追加の金属ブロックが共通の接地を提供する接地面を兼ねてもよい。
【0066】
いくつかの実装形態では、第1のフレキシブル配線と第2のフレキシブル配線との間の接合部は、第1の温度に保持されたクライオスタットの1つの温度段階と、第1の段階とは異なる第2の温度に保持されたクライオスタットの第2の温度段階とを分離するクライオスタット内の境界に提供され得る。たとえば、接合部は、3K未満の温度に保持された温度段階(たとえば、図1における段階103)内の第1のフレキシブル配線602または702などの第1のフレキシブル配線を、3Kより高いが室温より低い温度に保持された温度段階(たとえば、図1における段階101)内の第2のフレキシブル配線604または704などの第2のフレキシブル配線に接続し得る。いくつかの実装形態では、クライオスタット内の異なる温度段階間の遷移、あるいは真空環境から別の真空環境または非真空環境への遷移におけるフレキシブル配線は、フレキシブル配線とクランプデバイス(たとえば、銅リングなどの金属リング)に固定されたエポキシ接着剤を使用して、遷移部で密閉され得る。
【0067】
本明細書で開示されるように、フレキシブル配線を製造するために様々な手法が使用され得る。たとえば、いくつかの実装形態では、金属および/または超伝導膜が形成される大きい基板(たとえば、ポリイミドなどのフレキシブルプラスチック基板)を提供することによって、フレキシブル配線が構築され得る。基板は、たとえば、一辺が8インチよりも大きい、たとえば12インチ×14インチの大きいシートを含み得る。金属/超伝導膜を堆積させるために、基板を真空チャンバに入れてもよい。膜を堆積する前に、たとえばイオン洗浄(たとえば、Arイオン洗浄)を実行することによって、基板表面を洗浄してもよい。2層膜が基板上に形成される場合、材料の第1の層が基板上にブランケット堆積される。第1の層は、たとえば、スパッタリングを使用して堆積されるニオブなどの超伝導体膜を含み得る。あるいは、第1の層は、銅などの非超伝導膜を含み得る。第1の層は、約5μmまでの厚さを有するように堆積され得る。たとえば、第1の層は、他の厚さの中でも100nm、250nm、500nm、750nm、1μm、または2μmの厚さを有するように堆積され得る。次いで、第2の層が第1の層上にブランケット堆積(たとえば、スパッタリングまたは無電解めっき)される。第2の層は、銅などの非超伝導膜、またはニオブまたはアルミニウムなどの超伝導膜を含み得る。第2の層は、約20μmまでの厚さを有するように堆積され得る。たとえば、第2の層は、100nm、250nm、500nm、750nm、または1μmの厚さを有するように堆積され得る。場合によっては、第2の層の第1の堆積された部分が、後の電気めっきステップのベース層として機能する。たとえば、銅の薄い100nmの膜が、より厚い銅の層が電気めっきされた後に堆積され得る。いくつかの実装形態では、膜は、基板の上側と下側の両方に堆積される。次いで、所望の回路パターンを形成するために、(たとえば、エッチングまたはリフトオフプロセスを使用して)堆積された膜がパターン化され得る。場合によっては、2層膜の場合、パターン化ステップ中に同一のパターンが第1の層と第2の層の両方に転写される。他の場合には、パターン化ステップにおいて、第1の層に、次いで第2の層に異なるパターンが形成される。いくつかの実装形態では、レーザエッチングプロセスを使用して、基板内にビアホールが形成される。次いで、ビアコンタクトを形成するために、ビアホールがビアコンタクト材料(たとえば、銅および/または超伝導材料)で充填され得る。パターン化されると、基板シートは、個々のフレキシブル配線に分割され得る。基板シートを分割するには、基板シート上でレーザ切断を実行するか、基板シートを機械的に切断するためにブレードを使用する必要がある場合がある。いくつかの実装形態では、基板シートを分割すると、最終的なフレキシブル配線が得られる。あるいは、いくつかの実装形態では、積層フレキシブル配線(たとえば、複数のフレキシブル配線200のスタック)を形成するために、ストリップライン構成(たとえば、フレキシブル配線500)を形成するために、または積層ストリップラインフレキシブル配線を形成するために、分割された基板シートが一緒に積み重ねられ得る。分割された基板シートを積み重ねることは、積層基板が一緒に接合されるように、硬化した基板の間に接着剤を導入することを伴う場合がある。あるいは、無接着結合技法を使用して、分割された基板シートが一緒に接合され得る。積層フレキシブル配線を取得した後、必要に応じてさらなる処理が実行され得る。たとえば、積層フレキシブル配線上の導電性トレースへの接続を提供するために、追加のビアコンタクトが積層基板のうちの1つまたは複数内に形成され得る。
【0068】
いくつかの実装形態では、フレキシブル配線は、押出しおよびロールプロセスを使用して構築され得る。たとえば、超伝導材料または非超伝導材料の第1の細長いシート(たとえば、厚さ0.25インチのニオブ、アルミニウム、または銅のシート)が提供され得る。場合によっては、超伝導材料または非超伝導材料の第2の細長いシート(たとえば、厚さ0.25インチのニオブ、アルミニウム、または銅のシート)が第1の細長いシートの上部に提供され得る。単一のシートのみが提供される場合、材料の単一のシートは、シートを薄くする(たとえば、約20ミクロンから約10mmの間の厚さに)押出機に通される。2層が提供される場合、第1および第2の細長いシートは、真空および/または熱の下で一緒にプレスされ、2層シートを薄くする押出機に通されてもよく(たとえば、約20ミクロンから約10mmの間の厚さに)、2層シートにおける材料が互いに接着する。次いで、薄層化された単層または2層シートは、ポリイミド基板と積層され得る。いくつかの実装形態では、ポリイミド基板の両面に薄層化された単層または2層シートが積層される。本明細書で説明するように、所望の回路パターンを形成するために、(たとえば、エッチングプロセスを使用して)ポリイミド基板上の超伝導膜および/または非超伝導膜がパターン化され得る。場合によっては、2層膜の場合、パターン化ステップ中に同一のパターンが第1の層と第2の層の両方に転写される。他の場合には、パターン化ステップにおいて、第1の層に、次いで第2の層に異なるパターンが形成される。いくつかの実装形態では、レーザエッチングプロセスを使用して、基板内にビアホールが形成される。次いで、ビアコンタクトを形成するために、ビアホールがビアコンタクト材料(たとえば、銅および/または超伝導材料)で充填され得る。パターン化されると、パターン化された膜を含む基板シートは、個々のフレキシブル配線に分割され得る。基板シートを分割するには、基板シート上でレーザ切断を実行するか、基板シートを機械的に切断するためにブレードを使用する必要がある場合がある。いくつかの実装形態では、基板シートを分割すると、最終的なフレキシブル配線が得られる。あるいは、いくつかの実装形態では、積層フレキシブル配線(たとえば、複数のフレキシブル配線200のスタック)を形成するために、ストリップライン構成(たとえば、フレキシブル配線500)を形成するために、または積層ストリップラインフレキシブル配線を形成するために、分割された基板シートが一緒に積み重ねられ得る。分割された基板シートを積み重ねることは、積層基板が一緒に接合されるように、硬化した基板の間に接着剤を導入することを伴う場合がある。あるいは、無接着結合技法を使用して、分割された基板シートが一緒に接合され得る。積層フレキシブル配線を取得した後、必要に応じてさらなる処理が実行され得る。たとえば、積層フレキシブル配線上の導電性トレースへの接続を提供するために、追加のビアコンタクトが積層基板のうちの1つまたは複数内に形成され得る。
【0069】
本明細書で説明される量子主題および量子動作の実装形態は、適切な量子回路、またはより一般的には、本明細書で開示される構造およびそれらの構造的同等物を含む、量子情報処理システムとも呼ばれる量子計算システムにおいて、あるいはそれらの1つまたは複数の組合せにおいて実装することができる。「量子計算システム」および「量子情報処理システム」という用語は、量子コンピュータ、量子暗号システム、トポロジ量子コンピュータ、または量子シミュレータを含み得るが、これらに限定されない。
【0070】
量子情報および量子データという用語は、量子システムによって搬送され、量子システムに保持され、または記憶される情報またはデータを指し、最小の重要なシステムは量子ビットであり、たとえば、量子情報の単位を定義するシステムである。「量子ビット」という用語は、対応する文脈において2レベルシステムとして適切に近似され得るすべての量子システムを包含することが理解される。そのような量子システムは、たとえば2つ以上のレベルを備えたマルチレベルシステムを含み得る。例として、そのようなシステムは、原子、電子、光子、イオン、または超伝導量子ビットを含むことができる。いくつかの実装形態では、計算基底状態は基底および第1の励起状態で識別されるが、計算状態がより高いレベルの励起状態で識別される他のセットアップが可能であることが理解される。量子メモリは、高い忠実度と効率で長時間にわたって量子データを記憶することができるデバイス、たとえば、光が送信のために使用される光物質インターフェースや、重ね合わせまたは量子コヒーレンスなどの量子データの量子特徴を記憶および保存するためのものなどであると理解される。
【0071】
量子回路素子(量子コンピューティング回路素子とも呼ばれる)は、量子処理動作を実行するための回路素子を含む。すなわち、量子回路素子は、非決定論的な方法でデータに対する動作を実行するために、重ね合わせやエンタングルメントなどの量子力学的現象を利用するように構成される。量子ビットなどの特定の量子回路素子は、複数の状態における情報を同時に表現および動作するように構成することができる。超伝導量子回路素子の例は、とりわけ、量子LC発振器、量子ビット(たとえば、磁束量子ビット、位相量子ビット、または電荷量子ビット)、および超伝導量子干渉デバイス(SQUID)(たとえば、RF-SQUIDまたはDC-SQUID)などの回路素子を含む。
【0072】
対照的に、古典的な回路素子は、一般に決定論的な方法でデータを処理する。古典的な回路素子は、データに対して基本的な算術、論理、および/または入力/出力動作を実行することによって、コンピュータプログラムの命令をまとめて実行するように構成することができ、データはアナログ形式またはデジタル形式で表される。いくつかの実装形態では、電気または電磁接続を通じて量子回路素子にデータを送信するために、および/あるいはそこからデータを受信するために、古典的な回路素子を使用することができる。古典的な回路素子の例は、CMOS回路、高速単一磁束量子(RSFQ)デバイス、相互量子論理(RQL)デバイス、およびERSFQデバイスに基づく回路素子を含み、これらは、バイアス抵抗を使用しないRSFQのエネルギー効率の高いバージョンである。
【0073】
本明細書に記載の量子回路素子および古典的回路素子の製造は、超伝導体、誘電体、および/または金属などの1つまたは複数の材料の堆積を伴う可能性がある。選択した材料に応じて、これらの材料は、他の堆積プロセスの中でも、化学気相堆積、物理気相堆積(たとえば、蒸着またはスパッタリング)、またはエピタキシャル技法などの堆積プロセスを使用して堆積することができる。本明細書で説明する回路素子を製造するためのプロセスは、製造中にデバイスから1つまたは複数の材料を除去することを伴う場合がある。除去される材料に応じて、除去プロセスは、たとえば、ウェットエッチング技法、ドライエッチング技法、またはリフトオフプロセスを含むことができる。本明細書に記載の回路素子を形成する材料は、知られているリソグラフィ技法(たとえば、フォトリソグラフィまたは電子ビームリソグラフィ)を使用してパターン化することができる。
【0074】
本明細書で説明する回路素子などの超伝導量子回路素子および/または超伝導古典的回路素子を使用する量子計算システムの動作中、超伝導回路素子は、超伝導材料が超伝導特性を示すことを可能にする温度までクライオスタット内で冷却される。超伝導(または超伝導の)材料は、超伝導臨界温度以下で超伝導特性を示す材料として理解することができる。超伝導材料の例は、アルミニウム(約1.2ケルビンの超伝導臨界温度)、インジウム(約3.4ケルビンの超伝導臨界温度)、NbTi(約10ケルビンの超伝導臨界温度)、およびニオブ(約9.3ケルビンの超伝導臨界温度)を含む。したがって、超伝導トレースおよび超伝導接地面などの超伝導構造は、超伝導臨界温度以下で超伝導特性を示す材料から形成される。
【0075】
本明細書は多くの特定の実装形態の詳細を含むが、これらは主張され得る範囲の制限としてではなく、特定の実装形態に固有であり得る機能の説明として解釈されるべきである。個別の実装形態の文脈において、本明細書において説明されている特定の機能は、単一の実装形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実装形態の文脈において説明されている様々な機能は、複数の実装形態において個別に、または適切なサブコンビネーションにおいて実装することもできる。さらに、特定の組合せにおいて機能するものとして機能を上記で説明し、最初はそのように主張する場合もあるが、場合によっては、主張された組合せからの1つまたは複数の機能は組合せから削除することができ、主張された組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションを対象とし得る。
【0076】
同様に、動作は図面において特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または順番で実行されること、またはすべての説明された動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。たとえば、特許請求の範囲に記載されているアクションは、異なる順序で実行することができ、依然として望ましい結果を達成することができる。特定の状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実装形態における様々なコンポーネントの分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではない。
【0077】
多くの実装形態が説明された。それにもかかわらず、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに、様々な修正が行われてよいことが理解されよう。したがって、他の実装形態は以下の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0078】
100 冷却システム
102 クライオスタット
101 第1の段階
103 第2の段階
104 境界
105 第3の段階
106 境界
110 量子情報処理システム
112 サンプルマウント
114 フレキシブル配線
116 フレキシブル配線
150 制御電子機器
200 フレキシブル配線
202 細長いフレキシブル基板
204 導電性トレース
206 折畳み領域
208 導電性層
208 電磁遮蔽層
210 溝
212 溝
214 溝
250 フレキシブル配線
300 フレキシブル配線
302 フレキシブル配線基板
304 導電性トレース
308 電磁遮蔽層
308 遮蔽層ストリップ
500 フレキシブル配線
502 第1の細長いフレキシブル基板部分
504 第2の細長いフレキシブル基板部分
506 信号トレース
508 第1の導電性層
510 第2の導電性層
512 ビア
514 ビアコンタクト
516 第2の薄膜層
518 第1の薄膜層
601 エッジ
602 第1のフレキシブル配線
603 エッジ
604 第2のフレキシブル配線
606 細長いフレキシブル基板
608 導電性トレース
610 導電性層
610 電磁遮蔽層
612 細長いフレキシブル基板
614 導電性トレース
616 導電性層
616 電磁遮蔽層
618 ワイヤボンド
620 金属ブロック
622 距離
701 エッジ
702 第1のフレキシブル配線
703 エッジ
704 第2のフレキシブル配線
706 第1の細長いフレキシブル基板部分
708 第2の細長いフレキシブル基板部分
710 遮蔽層
710 第1の導電性層
712 遮蔽層
712 第2の導電性層
712 電磁遮蔽層
714 信号トレース
716 第1の細長いフレキシブル基板部分
718 第2の細長いフレキシブル基板部分
720 第1の導電性層
720 遮蔽層
722 第2の導電性層
722 遮蔽層
722 電磁遮蔽層
724 信号トレース
726 領域
728 領域
730 ワイヤボンド
732 金属ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B