(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】フォトレジストフィルム及びその適用
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240326BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20240326BHJP
H05K 3/06 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
G03F7/004 512
G03F7/033
H05K3/06 H
(21)【出願番号】P 2022102355
(22)【出願日】2022-06-27
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595009383
【氏名又は名称】長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANG CHUN PLASTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7F., No.301, Songkiang Rd., Zhongshan Dist Taipei City,Taiwan 104
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】莊 子毅
(72)【発明者】
【氏名】杜 安邦
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-278058(JP,A)
【文献】国際公開第2010/134549(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/045203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/033
H05K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’を有し、G’に対するG”の比(G”/G’)が0.50~10.40の範囲である、フォトレジストフィルムであって、
30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’が、レオメーターを用いて以下の操作条件で測定され、
操作条件は、固定物が25mm平行プレートETCアルミニウムであり、モードが剪断モードであり、浸漬時間が0であり、最初の温度が30℃であり、温度上昇率が3℃/分であり、最終の温度が150℃であり、温度上昇後の浸漬時間が0であり、圧力が1000Paであり、測定が1点であり、周波数が1Hzであり、
ネガティブフォトレジストフィルムであ
り、
60μm~600μmの範囲の厚さを有する、フォトレジストフィルム。
【請求項2】
G’に対するG”の比が0.50~10.36の範囲である、請求項1に記載のフォトレジストフィルム。
【請求項3】
30℃での剪断貯蔵弾性率G’が0.001kPa~4300kPaの範囲であり、30℃での剪断損失弾性率G”が0.08kPa~1900kPaの範囲である、請求項1に記載のフォトレジストフィルム。
【請求項4】
65μm~400μmの範囲の厚さを有する、請求項
1に記載のフォトレジストフィルム。
【請求項5】
カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤を含む、請求項1に記載のフォトレジストフィルム。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかも記載のフォトレジストフィルム、及び
フォトレジストフィルムの少なくとも1つの表面の上に形成された保護フィルムを含む、複合体フィルム。
【請求項7】
保護フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィン及びこれらの複合体からなる群から選択される、請求項
6の記載の複合体フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2022年2月16日に出願された台湾特許出願111105671号の優先権を主張する。その特許出願の主題は、参照としてその全体が本明細書中に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本出願は、フォトレジストフィルム、特に厚いフォトレジストフィルム、及びその適用を提供する。
【背景技術】
【0003】
フォトレジストフィルムは、一般に樹脂、感光性材料、及び添加物からなる。フォトレジストフィルムは、露光及び現像の後のフォトレジストフィルムの状況に応じて、ポジティブフォトレジストフィルム又はネガティブフォトレジストフィルムであることができる。ポジティブフォトレジストフィルムの場合、現像液が露光された部分を溶解除去し、露光されていない部分を残す。ネガティブフォトレジストフィルムの場合、現像液が露光されていない部分を溶解除去し、露光された部分を残す。
【0004】
プリント回路基板(PCB)の産業では、回路パターンを形成させるためにエッチング手順でフォトレジストフィルムを用いる。電子部品の増加する複雑さと大きさのために、プリント回路基板産業では、幅に対する深さの比が高い厚いフォトレジストフィルムが求められている。しかし、従来のフォトレジストフィルムは、回路基板との低い接着を有し、しわの寄った外観を有し、又は接着プロセスの間に樹脂流動が起こる。そのために、フォトレジストフィルムの一様ではない厚さとエッチングの低い精度という結果となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題の観点で、本願発明は、良好な操作性、接着性能及び外観を有する、厚いフォトレジストフィルムを提供する。
【0006】
従って、本願発明の課題は、30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’を有し、G’に対するG”の比(G”/G’)が0.50~10.40の範囲である、フォトレジストフィルムを提供することである。本願発明のいくつかの実施態様において、G’に対するG”の比が0.50~10.36の範囲である。
【0007】
本願発明のいくつかの実施態様において、30℃での剪断貯蔵弾性率G’が0.001kPa~4300kPaの範囲であり、30℃での剪断損失弾性率G”が0.08kPa~1900kPaの範囲である。
【0008】
本願発明のいくつかの実施態様において、30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’が、レオメーターを用いて以下の操作条件で測定され、操作条件は、固定物が25mm平行プレートETCアルミニウムであり、モードが剪断モードであり、浸漬時間が0であり、最初の温度が30℃であり、温度上昇率が3℃/分であり、最終の温度が150℃であり、温度上昇後の浸漬時間が0であり、圧力が1000Paであり、測定が1点であり、周波数が1Hzである。
【0009】
本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムは60μm~600μmの範囲の厚さ、例えば65μm~400μmの範囲の厚さを有する。
【0010】
本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムはネガティブフォトレジストフィルムである。
【0011】
本願発明のいくつかの実施態様において、ネガティブフォトレジストフィルムはカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤を含む。
【0012】
本願発明の他の課題は、前記のフォトレジストフィルム、及びフォトレジストフィルムの少なくとも1つの表面の上に形成された保護フィルムを含む、複合体フィルムを提供することである。
【0013】
本願発明のいくつかの実施態様において、保護フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィン及びこれらの複合体からなる群から選択される。
【0014】
本願発明の前記の課題、技術的特徴及び利点をより明らかにするために、以下にいくつかの特定の実施態様を参照して本願発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明のいくつかの特定の実施態様を、詳細に説明する。しかし、本願発明は、様々な実施態様で具現化されてよく、本明細書に記載された実施態様に限定されるべきではない。
【0016】
追加的に説明されていなければ、本明細書及び特に請求項に記載された表現「1つの(a)」、「その(the)」等は単数及び複数の形態の両方を含むべきである。
【0017】
追加的に説明されていなければ、本明細書に記載された用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」の両方をカバーすることが意図される。例えば、用語「カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー」は、カルボキシ含有アクリル系ポリマーとカルボキシ含有メタクリル系ポリマーの両方をカバーすることが意図される。本明細書に記載された用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方をカバーすることが意図される。例えば、用語「メチル(メタ)アクリレート」は、メチルアクリレートとメチルメタクリレートの両方をカバーすることが意図される。
【0018】
先行技術に対する本願発明の効果は、主として、フォトレジストフィルムのレオロジー特性を制御することによって、良好な操作性、接着性能及び外観を有する、厚いフォトレジストフィルムを提供する点にある。フォトレジストフィルム及びその適用を以下に詳細に説明する。
【0019】
1.フォトレジストフィルム
本願発明のフォトレジストフィルムは、特定のレオロジー特性を有する。本願発明において、適切な重合性化合物を用いてフォトレジストフィルムを調製することができる。フォトレジストフィルムのレオロジー特性及び代表的な調製方法の詳細な説明を以下に記す。
【0020】
1.1.フォトレジストフィルムのレオロジー特性
本願発明のフォトレジストフィルムは、30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’を有し、G’に対するG”の比(G”/G’)が0.50~10.40の範囲である。例えば、G’に対するG”の比は、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.55、2.60、2.65、2.70、2.75、2.80、2.85、2.90、2.95、3.00、3.05、3.10、3.15、3.20、3.25、3.30、3.35、3.40、3.45、3.50、3.55、3.60、3.65、3.70、3.75、3.80、3.85、3.90、3.95、4.00、4.05、4.10、4.15、4.20、4.25、4.30、4.35、4.40、4.45、4.50、4.55、4.60、4.65、4.70、4.75、4.80、4.85、4.90、4.95、5.00、5.05、5.10、5.15、5.20、5.25、5.30、5.35、5.40、5.45、5.50、5.55、5.60、5.65、5.70、5.75、5.80、5.85、5.90、5.95、6.00、6.05、6.10、6.15、6.20、6.25、6.30、6.35、6.40、6.45、6.50、6.55、6.60、6.65、6.70、6.75、6.80、6.85、6.90、6.95、7.00、7.05、7.10、7.15、7.20、7.25、7.30、7.35、7.40、7.45、7.50、7.55、7.60、7.65、7.70、7.75、7.80、7.85、7.90、7.95、8.00、8.05、8.10、8.15、8.20、8.25、8.30、8.35、8.40、8.45、8.50、8.55、8.60、8.65、8.70、8.75、8.80、8.85、8.90、8.95、9.00、9.05、9.10、9.15、9.20、9.25、9.30、9.35、9.40、9.45、9.50、9.55、9.60、9.65、9.70、9.75、9.80、9.85、9.90、9.95、10.00、10.05、10.10、10.15、10.20、10.25、10.30、10.35若しくは10.40、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。本願発明のいくつかの実施態様において、G’に対するG”の比(G”/G’)が0.50~10.36の範囲である。G’に対するG”の比が指定された範囲より低い場合、フォトレジストフィルムの回路基板への接着が低い。他方、G’に対するG”の比が指定された範囲より高い場合、フォトレジストフィルムはしわが寄った表面を有し、更に樹脂流動が起こる。そのために、フォトレジストフィルムの一様ではない厚さとエッチングの低い精度という結果となる。
【0021】
G’に対するG”の比に関する前記条件が満足される前提において、フォトレジストフィルムの30℃での剪断貯蔵弾性率G’は特に限定されず、必要に応じて調節することができる。一般に、フォトレジストフィルムの30℃での剪断貯蔵弾性率G’は0.001kPa~4300kPaの範囲である。例えば、フォトレジストフィルムの30℃での剪断貯蔵弾性率G’は、0.001kPa、0.005kPa、0.01kPa、0.05kPa、0.1kPa、0.5kPa、1kPa、5kPa、10kPa、20kPa、30kPa、40kPa、50kPa、60kPa、70kPa、80kPa、90kPa、100kPa、150kPa、200kPa、250kPa、300kPa、350kPa、400kPa、450kPa、500kPa、550kPa、600kPa、650kPa、700kPa、750kPa、800kPa、850kPa、900kPa、950kPa、1000kPa、1050kPa、1100kPa、1150kPa、1200kPa、1250kPa、1300kPa、1350kPa、1400kPa、1450kPa、1500kPa、1550kPa、1600kPa、1650kPa、1700kPa、1750kPa、1800kPa、1850kPa、1900kPa、1950kPa、2000kPa、2050kPa、2100kPa、2150kPa、2200kPa、2250kPa、2300kPa、2350kPa、2400kPa、2450kPa、2500kPa、2550kPa、2600kPa、2650kPa、2700kPa、2750kPa、2800kPa、2850kPa、2900kPa、2950kPa、3000kPa、3050kPa、3100kPa、3150kPa、3200kPa、3250kPa、3300kPa、3350kPa、3400kPa、3450kPa、3500kPa、3550kPa、3600kPa、3650kPa、3700kPa、3750kPa、3800kPa、3850kPa、3900kPa、3950kPa、4000kPa、4050kPa、4100kPa、4150kPa、4200kPa、4250kPa若しくは4300kPa、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。剪断貯蔵弾性率G’が指定された範囲の下限値より低い場合、外部の力を受けた際、フォトレジストフィルムは一様ではない厚さを有する可能性がある。他方、剪断貯蔵弾性率G’が指定された範囲の上限値より高い場合、外部の力を受けた際、フォトレジストフィルムはひびが入る可能性がある。本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムの30℃での剪断貯蔵弾性率G’は10kPa~2100kPaの範囲である。
【0022】
G’に対するG”の比に関する前記条件が満足される前提において、フォトレジストフィルムの30℃での剪断損失弾性率G”は特に限定されず、必要に応じて調節することができる。一般に、フォトレジストフィルムの30℃での剪断損失弾性率G”が0.08kPa~1900kPaの範囲である。例えば、フォトレジストフィルムの30℃での剪断損失弾性率G”は、0.08kPa、0.1kPa、0.5kPa、1kPa、5kPa、10kPa、20kPa、30kPa、40kPa、50kPa、60kPa、70kPa、80kPa、90kPa、100kPa、150kPa、200kPa、250kPa、300kPa、350kPa、400kPa、450kPa、500kPa、550kPa、600kPa、650kPa、700kPa、750kPa、800kPa、850kPa、900kPa、950kPa、1000kPa、1050kPa、1100kPa、1150kPa、1200kPa、1250kPa、1300kPa、1350kPa、1400kPa、1450kPa、1500kPa、1550kPa、1600kPa、1650kPa、1700kPa、1750kPa、1800kPa、1850kPa若しくは1900kPa、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。剪断損失弾性率G”が指定された範囲の下限値より低い場合、フォトレジストフィルムの作製が困難である。他方、剪断損失弾性率G”が指定された範囲の上限値より高い場合、フォトレジストフィルムは一様ではない厚さを有する可能性がある。本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムの30℃での剪断損失弾性率G”は140kPa~1860kPaの範囲である。
【0023】
30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’は、レオメーターを用いて以下の操作条件で測定され、操作条件は、固定物が25mm平行プレートETCアルミニウムであり、モードが剪断モードであり、浸漬時間が0であり、最初の温度が30℃であり、温度上昇率が3℃/分であり、最終の温度が150℃であり、温度上昇後の浸漬時間が0であり、圧力が1000Paであり、測定が1点であり、周波数が1Hzである。詳細な測定方法は、下記の実施例に記載される。
【0024】
フォトレジストフィルムの30℃での剪断貯蔵弾性率G’に対する30℃での剪断損失弾性率G”の比(G”/G’)は、フォトレジストフィルム中の残留溶媒の割合を制御することで、又はフォトレジストフィルムの成分を制御することで、例えばフォトレジストフィルムを調製するための樹脂の種類を制御することで、又はフォトレジストフィルムを調製するための樹脂と架橋剤の比率を制御することで、調節することができる。一般に、フォトレジストフィルム中の残留溶媒の割合が低いほど、G”/G’の値が低い。樹脂のガラス転移温度(Tg)が高いほど、又は架橋剤に対する樹脂の比率が高い(すなわち、樹脂の割合が高い)ほど、G”/G’の値が低い。
【0025】
本願発明のフォトレジストフィルムは、良好な操作性、接着性能及び外観を有する点で有利であるたけではなく、高い厚さを有して作製することができる。一般に、本願発明のフォトレジストフィルムは、60μm~600μmの範囲の厚さ、より特に65μm~400μmの範囲の厚さを有することができる。例えば、本願発明のフォトレジストフィルムは、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、205μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、300μm、305μm、310μm、315μm、320μm、325μm、330μm、335μm、340μm、345μm、350μm、355μm、360μm、365μm、370μm、375μm、380μm、385μm、390μm、395μm、400μm、405μm、410μm、415μm、420μm、425μm、430μm、435μm、440μm、445μm、450μm、455μm、460μm、465μm、470μm、475μm、480μm、485μm、490μm、495μm、500μm、505μm、510μm、515μm、520μm、525μm、530μm、535μm、540μm、545μm、550μm、555μm、560μm、565μm、570μm、575μm、580μm、585μm、590μm、595μm若しくは600μm、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入るの厚さを有することができる。本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムは、65μm~350μmの範囲内に入るの厚さを有する。より高い厚さを有するフォトレジストフィルムは、より厚い金属導電層を可能にする。従って、本願発明のフォトレジストフィルムは、導電層のプレーティングの前のパターニングのための2.5D及び3D集積回路のパッケージに特に適しており、より広い適用範囲を有する。
【0026】
本願発明のフォトレジストフィルムは、ポジティブフォトレジストフィルム又はネガティブフォトレジストフィルムであることができる。本願発明のいくつかの実施態様において、本願発明のフォトレジストフィルムはネガティブフォトレジストフィルムである。すなわち、現像液は露光されていないフォトレジストフィルムの部分を溶解除去し、露光されたフォトレジストフィルムの部分を残す。
【0027】
1.2.フォトレジストフィルムの成分
0.50~10.40の範囲である30℃での剪断貯蔵弾性率に対する30℃での剪断損失弾性率の比が満足される前提において、必要に応じて、本願発明のフォトレジストフィルムの成分を調節することができる。本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムは、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤を含む、又は実質的にカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤からなる、又はカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤からなる、ネガティブフォトレジストフィルムである。
【0028】
本明細書において、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸系化合物から形成されたポリマー若しくはコポリマー、又は(メタ)アクリル酸系化合物と他の重合可能な化合物とから形成されたコポリマーである。(メタ)アクリル酸系化合物とは、分子内にビニル基(不飽和二重結合を含む)とカルボキシ基を含む(メタ)アクリル酸化合物を言う。(メタ)アクリル酸系化合物の例には、アクリル酸及びメタクリル酸が含まれるが、これらに限定されない。(メタ)アクリル酸系化合物は、単独で又は組み合わせて用いることができる。他の重合可能な化合物は、ビニル含有化合物等の不飽和二重結合を含む、(メタ)アクリル酸系化合物以外の如何なる化合物であることができる。他の重合可能な化合物の例には、(メタ)アクリル酸系化合物及びポリアクリルアミドが含まれるが、これらに限定されない。(メタ)アクリル酸系化合物の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、イソデシルアクリレート、オクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、及び2-フェノキシエチルアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。前記の重合可能な化合物は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0029】
本願発明の好ましい実施態様において、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸系化合物と(メタ)アクリレート系化合物とから形成されたコポリマーである。(メタ)アクリル酸系化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの混合物であることができる。(メタ)アクリレート系化合物は、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。(メタ)アクリレート化合物に対する(メタ)アクリル酸系化合物の重量比は、0.05~0.4の範囲であることができる。例えば、(メタ)アクリレート化合物に対する(メタ)アクリル酸系化合物の重量比は、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35若しくは0.4、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0030】
本願発明のフォトレジストフィルムのG’に対するG”の比が満足される前提において、フォトレジストフィルムに含まれるカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーの分子量は、特に限定されない。一般に、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーの分子量は、30,000~200,000の範囲であることができる。例えば、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーの分子量は、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、105,000、110,000、115,000、120,000、125,000、130,000、135,000、140,000、145,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000若しくは200,000、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0031】
本願発明のフォトレジストフィルムにおいて、光重合開始剤の種類は、特に限定されず、本技術分野で知られる如何なる光重合開始剤であることができる。光重合開始剤の例には、ビイミダゾール系化合物及びミヒラーケトン系化合物が含まれるが、これらに限定されない。フォトレジストフィルム中の光重合開始剤の量は、光重合反応を促進する望ましい効果が提供される限り、特に限定されない。一般に、100重量部のカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーに基づいて、光重合開始剤の量は0.5重量部~15重量部の範囲であることができる。例えば、100重量部のカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーに基づいて、光重合開始剤の量は0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15重量部、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0032】
本願発明のいくつかの実施態様において、フォトレジストフィルムは、前記のカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤を含み、更に架橋剤を含む、ネガティブフォトレジストフィルムである。架橋剤は、本技術分野で知られる如何なる従来の多機能性の不飽和モノマーであることができる。例えば、多機能性の不飽和モノマーは、多機能性のアクリレート系不飽和モノマーであることができる。その例には、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノール-Aジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。本願発明のフォトレジストフィルムのG’に対するG”の比が満足される前提において、フォトレジストフィルム中の架橋剤の量は、望ましい架橋効果が提供される限り、特に限定されない。一般に、100重量部のカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーに基づいて、架橋剤の量は10重量部~100重量部の範囲であることができる。例えば、100重量部のカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーに基づいて、架橋剤の量は10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100重量部、又はこれら記載された2つの値の間の範囲内に入ることができる。
【0033】
本願発明の他の好ましい実施態様において、フォトレジストフィルムは、前記のカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー及び光重合開始剤を含み、更に溶媒及び任意に前記の架橋剤を含む、ネガティブフォトレジストフィルムである。前記の溶媒は、フォトレジストフィルムの各成分を溶解又は分散することができ、これらの成分と反応しない如何なる不活性溶媒であることができる。溶媒の例には、テトラヒドロフラン、ケトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びγ-ブチロラクトンが含まれるが、これらに限定されない。前記の溶媒は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0034】
前記のこれらの任意の成分及び必要な成分に加えて、本願発明のフォトレジストフィルムは、本技術分野で知られる1以上の添加物を任意に含んでもよい。添加物の例には、染料、顔料、ラジカル開始剤、及び界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。添加剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0035】
1.3.フォトレジストフィルムの調製
本願発明のフォトレジストフィルムの製造方法は、特に限定されない。当業者は、本願の明細書の記載に基づいて、フォトレジストフィルムを調製することができる。例えば、前記のネガティブフォトレジストフィルムを調製する場合、以下の工程:フォトレジストフィルムの各成分(カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマー、光重合開始剤、及び他の任意の架橋剤又は添加物を含む)を攪拌機で均一に混合し、これら成分を溶媒に溶解又は分散して樹脂組成物を提供する工程;樹脂組成物を回路基板上に被覆する工程;及び、被覆された樹脂組成物を乾燥させてフォトレジストフィルムを得る工程で、フォトレジストフィルムを調製することができる。カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーは、触媒の存在下、(メタ)アクリル酸系化合物、(メタ)アクリレート化合物等の重合可能な化合物の付加反応で調製することができる。特定の調製方法は、以下の実施例に記載されている。
【0036】
2.フォトレジストフィルムの適用
一般に、フォトレジストフィルムの保存を容易にし、損傷及び外来の物質の混入を防ぐために、フォトレジストフィルムの各表面は保護層で覆われる。従って、本願発明はまた、本願発明の前記のフォトレジストフィルムと、フォトレジストフィルムの少なくとも1つの表面上に形成された保護フィルムとを含む、複合体フィルムを提供する。本願発明の好ましい実施態様において、保護フィルムは、フォトレジストフィルムの各表面上に形成され、フォトレジストフィルムの表面に形成された保護フィルムの材料は、同一又は異なっていることができる。
【0037】
保護フィルムの種類は、特に限定されず、本技術分野で知られる如何なる従来のフィルムであることができる。例えば、保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリオレフィンフィルム、及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。ポリオレフィンフィルムの例には、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、及びポリプロピレンフィルム(PPフィルム)、例えばポリプロピレン延伸フィルムが含まれるが、これらに限定されない。複合体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリオレフィンフィルムの複合体、又は異なるポリオレフィンフィルムの複合体であることができる。本願発明の好ましい実施態様において、複合体フィルムは、フォトレジストフィルムの1つの表面に形成されたPETフィルム、及びフォトレジストフィルムの他の表面に形成されたPEフィルムを含む。
【0038】
本願発明の複合体フィルムの調製方法は、特に限定されず、本技術分野で知られる如何なる方法であることができる。当業者は、本願の明細書の記載に基づいて、複合体フィルムを調製することができる。例えば、フォトレジストフィルムの両方の表面上に保護フィルムを積み重ねて積層体を提供する工程、及び積層体をプレス加工して複合体フィルムを得る工程で、複合体フィルムを調製することができる。あるいは、フォトレジストフィルム形成用樹脂組成物を第1の保護フィルム上に被覆する工程、被覆された樹脂組成物を乾燥させて第1の保護フィルム上にフォトレジストフィルムを形成させる工程、及び、その後、第1の保護フィルムに接触していないフォトレジストフィルムの表面上に第2の保護フィルムを接着させる工程で、複合体フィルムを調製することができる。あるいは、所定の距離に保たれた2つの保護フィルムの間の位置にフォトレジストフィルム形成用樹脂組成物を押し出す工程、及び、その後、押し出された樹脂組成物を乾燥させて、2つの保護フィルムの間にフォトレジストフィルムを形成させる工程で、複合体フィルムを調製することができる。
【実施例】
【0039】
3.実施例
3.1.試験方法
[剪断損失弾性率G”及び剪断貯蔵弾性率G’の測定]
フォトレジストフィルムを何度か折り重ねて、気泡を除去し、1.2mm~1.4mmの厚さを有するサンプルを作成した。レオメーター(モデル:Discovery HR-2,TA intruments,Inc.;Trios software version:3.1.0.3538)を用いて以下の操作条件でサンプルの測定を行った。操作条件は、固定物が25mm平行プレートETCアルミニウムであり、モードが剪断モードであり、浸漬時間が0であり、最初の温度が30℃であり、温度上昇率が3℃/分であり、最終の温度が150℃であり、温度上昇後の浸漬時間が0であり、圧力が1000Paであり、測定が1点であり、周波数が1Hzである。30℃での剪断損失弾性率G”及び30℃での剪断貯蔵弾性率G’を記録し、G’に対するG”の比(G”/G’)を計算した。
【0040】
[フォトレジストフィルムのしわ試験]
調製された複合体サンプルを巻いて、長さ30m及び幅300mmを有するスリットロールにし、23℃~27度の温度で1時間、置いた。その後、スリットロールから、長さ5mの複合体フィルムを引き出し、複合体フィルムのPE保護フィルムを剥がした。3m~5mの引き出されたフォトレジストフィルムの表面を裸眼で観察した。長さ10mm以上及び幅1mm以上を有するしわの数を記録した。
【0041】
[フォトレジストフィルムの100グリッド接着試験]
ASTM D3359に従って、以下の方法でフォトレジストフィルムの100グリッド接着試験を行った。1.6mmの厚さを有する銅張積層板(モデル:CCP-308,Chang Chun Prastics Co.,Ltd.)を準備した。銅張積層板の銅箔は35μmの厚さを有する。銅張積層板を、#320不織布ブラシ車と#600不織布ブラシ車を用いるブラシ研磨に付した。銅張積層板の銅箔の表面の温度は50℃に調節した。調製された複合体フィルムの表面上のPE保護フィルムを剥がした。PET保護フィルムを伴うフォトレジストフィルムを、フォトレジストフィルムが銅張積層板の銅箔の表面に面するように銅箔の表面上に積み重ね、ラミネーターで積層させて、サンプルが提供された。積層温度は80℃であり、積層圧は3.0kg/cm2であり、積層速度は2.0mm/分であった。サンプル上のPETフィルムを剥がし、サンプルのフォトレジストフィルムを、刀による1mm~1.2mmの間隔を有する10×10の正方形の100個のグリッドに切断した。3M Companyが製造する透明なテープ(モデル:3M Transparent 600)をグリッドのフォトレジストフィルムの表面に接着させた。回路基板と45°の角度で、テープを素早く剥がした。すべてのグリッドに対する、フォトレジストフィルムが剥がされたグリッドの数を計算し、百分率で記録した。
【0042】
[樹脂流動試験]
1.6mmの厚さを有する銅張積層板を準備した。銅張積層板の銅箔は35μmの厚さを有する。銅張積層板を、#320不織布ブラシ車と#600不織布ブラシ車を用いるブラシ研磨に付した。銅張積層板の銅箔の表面の温度は50℃に調節した。調製された複合体フィルムの表面上のPE保護フィルムを剥がした。PET保護フィルムを伴うフォトレジストフィルムを、フォトレジストフィルムが銅張積層板の銅箔の表面に面するように銅箔の表面上に積み重ね、ラミネーターで積層させて、サンプルが提供された。積層温度は80℃であり、積層圧は3.0kg/cm2であり、積層速度は2.0mm/分であった。フォトレジストフィルムの端から樹脂が流出したかを確認するために、積層中に裸眼で観察した。樹脂が流出すれば、樹脂流動が発生したと決定した。
【0043】
3.2.フォトレジストフィルムの調製及び試験
3.2.1.カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーの合成
[合成実施例1]
共重合モノマーとして、15gのメタクリル酸、60gのメチルメタクリレート、及び25gのブチルアクリレートを、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a1を調製した。0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gの酢酸エチルに溶解させて、溶液b1を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、80gの酢酸エチルをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a1をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。溶液b1をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を十分に行った。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、55,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーA(以下、ポリマーAと呼ぶ)を得た。
【0044】
[合成実施例2]
共重合モノマーとして、15gのメタクリル酸、65gのメチルメタクリレート、及び20gのブチルアクリレートを、0.43gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a2を調製した。0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gの酢酸エチルに溶解させて、溶液b2を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、80gの酢酸エチルをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a2をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。溶液b2をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を十分に行った。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、65,000の重量平均分子量と45重量%の固形分を有するカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーB(以下、ポリマーBと呼ぶ)を得た。
【0045】
[合成実施例3]
共重合モノマーとして、20gのメタクリル酸、40gのメチルメタクリレート、及び40gの2-エチルヘキシルアクリレートを、0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルと混合して、溶液a3を調製した。0.5gのアゾビスイソヘプチルニトリルを20gの酢酸エチルに溶解させて、溶液b3を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計及びピペットを備えたフラスコを準備し、80gの酢酸エチルをフラスコに加え、70℃に加熱した。溶液a3をフラスコに3時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、2時間攪拌した。溶液b3をフラスコに0.5時間で一定速度で滴下し、フラスコ中の溶液を70℃の温度で維持し、5時間攪拌した。その後、フラスコ中の溶液を90℃に加熱し、5時間攪拌して、反応を十分に行った。反応が終了した後、得られた結果物を室温に冷却することで、55,000の重量平均分子量と50重量%の固形分を有するカルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーC(以下、ポリマーCと呼ぶ)を得た。
【0046】
3.2.3.フォトレジストフィルムの調製
以下の実施例及び比較例で用いた原料に関する情報を以下の表1に示す。
【0047】
【0048】
表2-1~表2-3に示す比率に従って成分を混合し、均一に混合するように1時間攪拌することで、樹脂組成物を得た。表2-1~表2-3に示す被覆条件及び乾燥条件に従って、Kodaira巻線型ロッドを用いて保護フィルムとして機能するPETフィルムの上に樹脂組成物を被覆した。オーブン中で被覆された樹脂組成物を乾燥した。その後、乾燥された樹脂組成物の表面を、保護フィルムとして機能するPEフィルムで覆われた。それによって、実施例1~9及び比較例1~5の保護フィルムで覆われたフォトレジストフィルム(すなわち、複合体フィルム)が得られた。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
3.2.4.フォトレジストフィルムの試験
剪断損失弾性率G”及び剪断貯蔵弾性率G’の試験、しわ試験、100グリッド接着試験及び樹脂流動試験を含む、前記の試験方法に従って、実施例1~9及び比較例1~5のフォトレジストフィルムを試験した。その結果を表3-1~表3-3に記す。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
表3-1~表3-3に示されるように、本願発明のフォトレジストフィルムは、低い剥離率を示す。このことは、本願発明のフォトレジストフィルムが回路基板との良好な接着を有することを意味する。本願発明のフォトレジストフィルムはまた、しわが観察されなかったため、良好な外観を有する。加えて、本願発明のフォトレジストフィルムの操作中に、樹脂流動が発生しなかった。このことは、操作性が良好であることを意味する。それに対して、比較例1と2に示されるように、30℃での剪断貯蔵弾性率G’に対する30℃での剪断損失弾性率G”の比が0.50未満である場合、フォトレジストフィルムの接着は低く、100グリッド試験で顕著により高い剥離率を示す。また、比較例3~5に示されるように、30℃での剪断貯蔵弾性率G’に対する30℃での剪断損失弾性率G”の比が10.40を超える場合、フォトレジストフィルムは、しわが存在するために劣った外観を有する。30℃での剪断貯蔵弾性率G’に対する30℃での剪断損失弾性率G”の比が10.50を超える場合(比較例3と4)、フォトレジストフィルムは更に、操作中の樹脂流動の問題を有した。このことは、フォトレジストフィルムの操作性が劣っており、従って実際の使用には適していないことを意味する。
【0057】
前記の実施例は、本願発明の原理及び効果を説明し、その発明的特徴を示す。当業者は、記載された発明の開示及び提案に基づいて、様々な変更及び交換を行うことができる。従って、本願発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲で定義されたものである。