(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】複合基板、複合基板作成方法、半導体デバイス、および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20240326BHJP
C30B 33/06 20060101ALI20240326BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240326BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20240326BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B33/06
H01L21/02 B
H01L21/02 C
H01L21/20
H01L21/324 X
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022108409
(22)【出願日】2022-07-05
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】202110765400.1
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ボニン・フアン
(72)【発明者】
【氏名】ユシ・ワン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0157395(US,A1)
【文献】国際公開第2021/092862(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0278233(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102664151(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0058542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00 - 35/00
H01L 21/20
H01L 21/02
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合基板であって、
第1の炭化ケイ素層であって、前記第1の炭化ケイ素層の材料は単結晶炭化ケイ素を含む、第1の炭化ケイ素層と、
前記第1の炭化ケイ素層に結合された第2の炭化ケイ素層であって、前記第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度が前記第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、第2の炭化ケイ素層と
を含み、
前記第1の炭化ケイ素層が、前記第2の炭化ケイ素層に直接結合され、
前記第1の炭化ケイ素層を前記第2の炭化ケイ素層に直接結合して形成された第1の結合層の厚さが5 nm以下である、
複合基板。
【請求項2】
複合基板であって、
第1の炭化ケイ素層であって、前記第1の炭化ケイ素層の材料は単結晶炭化ケイ素を含む、第1の炭化ケイ素層と、
前記第1の炭化ケイ素層に結合された第2の炭化ケイ素層であって、前記第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度が前記第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、第2の炭化ケイ素層と、
遷移層であって、前記遷移層は、前記第1の炭化ケイ素層と前記第2の炭化ケイ素層との間に配置され、前記第1の炭化ケイ素層と前記第2の炭化ケイ素層とは、前記遷移層を使用して結合される、遷移層と、
を含む、複合基板。
【請求項3】
前記第1の炭化ケイ素層を前記遷移層に結合することによって第2の結合層が形成され、前記第2の炭化ケイ素層を前記遷移層に結合することによって第3の結合層が形成され、
前記遷移層、前記第2の結合層、および前記第3の結合層の厚さの合計は100 nm以下である、請求項
2に記載の複合基板。
【請求項4】
前記第2の炭化ケイ素層から離れた前記第1の炭化ケイ素層の表面の粗さが0.5 nm以下である、請求項1
または2に記載の複合基板。
【請求項5】
前記第2の炭化ケイ素層の材料が、単結晶炭化ケイ素または多結晶炭化ケイ素を含む、請求項1
または2に記載の複合基板。
【請求項6】
前記第1の炭化ケイ素層の厚さは350μm以下であり、
かつ/または
前記第2の炭化ケイ素層の厚さは3000μm以下である、
請求項1
または2に記載の複合基板。
【請求項7】
複合基板作成方法であって、
単結晶炭化ケイ素インゴットに、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの後面から水素イオン注入を行うステップであって、その結果、注入されたイオンが予め設定された深さに達して、前記予め設定された深さで欠陥層を形成し、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面に面している前記欠陥層側に、第1の炭化ケイ素層が形成される、ステップと、
第1の複合構造を形成するために、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップであって、前記第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度は、前記第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、ステップと、
前記第1の複合構造で第1のアニーリング処理を行うステップであって、その結果、前記第1の炭化ケイ素層が前記欠陥層に沿って剥離されて第2の複合構造を形成し、前記第2の複合構造は、前記欠陥層から分離された損傷層と、結合された前記第1の炭化ケイ素層および前記第2の炭化ケイ素層とを含む、ステップと、
前記損傷層を除去して第3の複合構造を形成するために、前記第2の炭化ケイ素層から離れた前記第1の炭化ケイ素層の表面に表面処理を行う、ステップと、
前記第1の炭化ケイ素層への水素イオン注入によって生じた欠陥を修復するため、かつ前記複合基板を形成するために、前記第3の複合構造で第2のアニーリング処理を行うステップであって、前記第2のアニーリング処理のアニーリング温度は、前記第1のアニーリング処理のアニーリング温度より高い、ステップと
を含
み、
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合する前記ステップが、
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面または前記第2の炭化ケイ素層の前記前面に遷移層を形成する、ステップと、
前記遷移層を使用して、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を前記第2の炭化ケイ素層の前記前面に結合する、ステップと、をさらに含み、
前記複合基板が、前記第1の炭化ケイ素層と前記第2の炭化ケイ素層との間に配置された前記遷移層をさらに含む、
方法。
【請求項8】
複合基板作成方法であって、
単結晶炭化ケイ素インゴットに、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの後面から水素イオン注入を行うステップであって、その結果、注入されたイオンが予め設定された深さに達して、前記予め設定された深さで欠陥層を形成し、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面に面している前記欠陥層側に、第1の炭化ケイ素層が形成される、ステップと、
第1の複合構造を形成するために、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップであって、前記第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度は、前記第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、ステップと、
前記第1の複合構造で第1のアニーリング処理を行うステップであって、その結果、前記第1の炭化ケイ素層が前記欠陥層に沿って剥離されて第2の複合構造を形成し、前記第2の複合構造は、前記欠陥層から分離された損傷層と、結合された前記第1の炭化ケイ素層および前記第2の炭化ケイ素層とを含む、ステップと、
前記損傷層を除去して第3の複合構造を形成するために、前記第2の炭化ケイ素層から離れた前記第1の炭化ケイ素層の表面に表面処理を行う、ステップと、
前記第1の炭化ケイ素層への水素イオン注入によって生じた欠陥を修復するため、かつ前記複合基板を形成するために、前記第3の複合構造で第2のアニーリング処理を行うステップであって、前記第2のアニーリング処理のアニーリング温度は、前記第1のアニーリング処理のアニーリング温度より高い、ステップと
を含み、
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合する前記ステップが、
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を前記第2の炭化ケイ素層の前記前面に直接結合するステップ
を含む、方法。
【請求項9】
前記第3の複合構造に第2のアニーリング処理を行う前記ステップの前に、前記作成方法が、
前記第2の炭化ケイ素層から離れた前記第1の炭化ケイ素層の前記表面に、炭素保護膜を形成するステップをさらに含み、
前記第3の複合構造に前記第2のアニーリング処理を行う前記ステップの後で、前記作成方法が、
前記炭素保護膜を除去するステップをさらに含む、
請求項
7または8に記載の複合基板作成方法。
【請求項10】
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの格子方向が、<0001>格子方向から、0°以上かつ8°以下の範囲で偏向され、
かつ/または
水素イオン注入のエネルギーが100 keV以上であり、水素イオン注入のドーズ量は1e16 cm
-2以上であり、水素イオン注入の角度は5°以上かつ45°以下の範囲内である、
請求項
7または8に記載の複合基板作成方法。
【請求項11】
前記損傷層を除去するために、前記第2の炭化ケイ素層から離れた前記第1の炭化ケイ素層の表面に表面処理を行う前記ステップが、
前記損傷層を除去するために、湿式クリーニング、プラズマ活性化、高温アニーリング、化学的機械研磨、機械研磨、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング、またはイオンビーム斜入射研磨のうちの少なくとも1つを使用して、前記第2の炭化ケイ素層から離れた前記第1の炭化ケイ素層の前記表面に処理を行うステップを含む、
請求項
7または8に記載の複合基板作成方法。
【請求項12】
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合する前記ステップの前に、前記作成方法が、
前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面に表面処理を行うステップであって、その結果、前記単結晶炭化ケイ素インゴットの前記後面の粗さが0.5 nm以下になる、ステップ、
および/または
前記第2の炭化ケイ素層の前記前面に表面処理を行うステップであって、その結果、前記第2の炭化ケイ素層の前記前面の粗さが0.5 nm以下になる、ステップと、を含む、
請求項
7または8に記載の複合基板作成方法。
【請求項13】
前記第1のアニーリング処理の前記アニーリング温度が1000℃以上であり、前記第2のアニーリング処理の前記アニーリング温度が1200℃以上である、請求項
7または8に記載の複合基板作成方法。
【請求項14】
前記第1のアニーリング処理のアニーリング環境が、N
2、Ar、またはH
2のうちの少なくとも1つであり、
前記第2のアニーリング処理のアニーリング環境が、真空、N
2、Ar、またはC含有ガスのうちの少なくとも1つである、
請求項
7または8に記載の複合基板作成方法。
【請求項15】
複合基板とスイッチ機能アセンブリとを備える半導体デバイスであって、前記複合基板は、
第1の炭化ケイ素層であって、前記第1の炭化ケイ素層の材料は単結晶炭化ケイ素を含む、第1の炭化ケイ素層と、
前記第1の炭化ケイ素層に結合された第2の炭化ケイ素層であって、前記第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度が前記第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、第2の炭化ケイ素層とを含み、
前記第1の炭化ケイ素層が、前記第2の炭化ケイ素層に直接結合され、
前記第1の炭化ケイ素層を前記第2の炭化ケイ素層に直接結合して形成された第1の結合層の厚さが5 nm以下であり、
前記スイッチ機能アセンブリが前記複合基板に配置される、
半導体デバイス。
【請求項16】
複合基板とスイッチ機能アセンブリとを備える半導体デバイスであって、前記複合基板は、
第1の炭化ケイ素層であって、前記第1の炭化ケイ素層の材料は単結晶炭化ケイ素を含む、第1の炭化ケイ素層と、
前記第1の炭化ケイ素層に結合された第2の炭化ケイ素層であって、前記第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度が前記第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、第2の炭化ケイ素層と、
遷移層であって、前記遷移層は、前記第1の炭化ケイ素層と前記第2の炭化ケイ素層との間に配置され、前記第1の炭化ケイ素層と前記第2の炭化ケイ素層とは、前記遷移層を使用して結合される、遷移層と、
を含み、
前記スイッチ機能アセンブリが前記複合基板に配置される、
半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体技術の分野に関し、特に、複合基板、複合基板作成方法、半導体デバイス、および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)材料は、広いバンドギャップ、高い臨界破壊電界強度、および高い熱伝導性を特徴とする。したがって、SiCパワーデバイスは、高電圧および高温に耐え、スイッチング速度が速くかつスイッチングロスが少なく、航空および宇宙航空、スマートグリッド、鉄道輸送、新エネルギー発電、電動車両、工業用電源などの分野で幅広く使用されている。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、その一方で、SiC結晶が成長するときに、物理的気相輸送(physical vapor transport、PVT)成長方式の限界のために、プロセス条件のわずかな変動によって結晶内に多量の欠陥が生じる場合があり、インゴット全体の品質が要件を満たさなくなる。ゆえに、SiCインゴットの歩留まりを改善するのは困難であり、低品質のSiCインゴットが大量に生成される。他方では、SiCインゴットの切断、研削、および研磨のプロセス中に、結晶の応力の影響で、適格なSiCインゴットから大量の低水準SiCウェハが切り出される場合がある。
【0004】
このように、SiC結晶の成長方式および歩留まりの限界によって、SiCパワーデバイスの製造コストおよび販売価格は依然として高く、様々な分野でSiCパワーデバイスを促進かつ適用することについては制限が厳しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施形態は、SiC基板のコストが高いためにSiCパワーデバイスが高コストになる問題を解決するための、複合基板、複合基板作成方法、半導体デバイス、および電子デバイスを提供する。
【0006】
上記の目的を達成するために、本出願は、以下の技術的解決策を使用する。
【0007】
第1の態様によれば、複合基板が提供され、第1の炭化ケイ素層であって、第1の炭化ケイ素層の材料は単結晶炭化ケイ素を含む、第1の炭化ケイ素層と、第1の炭化ケイ素層に結合された第2の炭化ケイ素層であって、第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度が第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、第2の炭化ケイ素層とを含む。
【0008】
本出願のこの実施形態で提供される複合基板は、積み重ねて配置された第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層とを含み、第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層とは、同種の材料に属する。したがって、積み重ねて配置された異種材料を含む複合基板と比較して、本出願のこの実施形態における複合基板は、電気伝導性および熱伝導性が良好であり、単結晶炭化ケイ素基板と同様にエピタキシャル要件を満たすことができる。加えて、第2の炭化ケイ素層は、低品質な炭化ケイ素層である。言い換えると、本出願のこの実施形態における複合基板は低品質な炭化ケイ素を利用でき、低品質な炭化ケイ素の利用率を向上させ、複合基板のコストを効果的に削減することができる。
【0009】
可能な一実施形態では、第1の炭化ケイ素層は、第2の炭化ケイ素層に直接結合される。このように、第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層との間の距離が小さく、複合基板は電気伝導性および熱伝導性が良好になる。
【0010】
可能な一実施形態では、第1の炭化ケイ素層を第2の炭化ケイ素層に直接結合して形成された第1の結合層の厚さは5 nm以下である。第1の結合層が過度に厚いと、複合基板の電気伝導性および熱伝導性に影響を及ぼす場合がある。
【0011】
可能な一実施形態では、複合基板は遷移層をさらに含み、遷移層は、第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層との間に配置され、第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層とは、遷移層を使用して結合される。第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層とは、遷移層を使用して結合されるので、結合効果が良好で結合の困難性が低い。
【0012】
可能な一実施形態では、第2の結合層は、第1の炭化ケイ素層を遷移層に結合することによって形成され、第3の結合層は、第2の炭化ケイ素層を遷移層に結合することによって形成される。遷移層と、第2の結合層と、第3の結合層との厚さの合計は、100 nm以下である。遷移層と、第2の結合層と、第3の結合層との厚さの合計が過度に大きいと、複合基板の電気伝導性および熱伝導性に影響を及ぼす場合がある。
【0013】
可能な一実施形態では、第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面の粗さは、0.5 nm以下である。これにより、第1の炭化ケイ素層の前面のエピタキシャル層におけるエピタキシャル成長が容易になる。
【0014】
可能な一実施形態では、第1の炭化ケイ素層の材料は、N型炭化ケイ素を含む。
【0015】
可能な一実施形態では、第2の炭化ケイ素層の材料は、単結晶炭化ケイ素または多結晶炭化ケイ素を含む。様々な種類の炭化ケイ素が適用可能であり、その結果、複合基板のコストが削減される。
【0016】
可能な一実施形態では、第1の炭化ケイ素層の厚さは350μm以下である。これにより、資源の浪費を回避し、複合基板が過度に厚くなるのを防止することができる。
【0017】
可能な一実施形態では、第2の炭化ケイ素層の厚さは3000μm以下である。これにより、資源の浪費を回避し、複合基板が過度に厚くなるのを防止することができる。
【0018】
第2の態様によれば、複合基板作成方法が提供され、単結晶炭化ケイ素インゴットに、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面から水素イオン注入を行うステップであって、その結果、注入されたイオンが予め設定された深さに達して、予め設定された深さで欠陥層を形成し、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面に面している欠陥層側に第1の炭化ケイ素層が形成される、ステップと、第1の複合構造を形成するために、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップであって、第2の炭化ケイ素層の少なくとも一部の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層の欠陥密度より高い、ステップと、第1の複合構造で第1のアニーリング処理を行うステップであって、その結果、第1の炭化ケイ素層が欠陥層に沿って剥離されて第2の複合構造を形成し、第2の複合構造は、結合された第1の炭化ケイ素層および第2の炭化ケイ素層と、欠陥層から分離された損傷層とを含む、ステップと、損傷層を除去して第3の複合構造を形成するために、第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面に表面処理を行う、ステップと、第1の炭化ケイ素層への水素イオン注入によって生じた欠陥を修復するため、かつ複合基板を形成するために、第3の複合構造で第2のアニーリング処理を行うステップであって、第2のアニーリング処理のアニーリング温度は、第1のアニーリング処理のアニーリング温度より高い、ステップとを含む。
【0019】
本出願のこの実施形態で提供される複合基板作成方法によれば、注入欠陥層を形成するために、高品質な単結晶炭化ケイ素インゴットに水素イオン注入が行われ、その後、注入欠陥層が低品質の第2の炭化ケイ素層に結合される。結合された複合構造に対する高温アニーリングの作用で、低品質な第2の炭化ケイ素層および高品質な第1の炭化ケイ素層と、高品質な残りの単結晶炭化ケイ素インゴットとを含む複合構造が形成される。研磨された後は、残りの単結晶炭化ケイ素インゴットは、単結晶炭化ケイ素インゴットとして再使用されてもよい。複合構造は、表面研磨後および高温アニーリング後は、エピタキシャル用途用の複合基板として使用されてもよい。このようにして、本出願のこの実施形態で提供される複合基板作成方法によって得られた複合基板は、積み重ねて配置された第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層とを含み、第1の炭化ケイ素層と第2の炭化ケイ素層とは、同種の材料に属する。したがって、積み重ねて配置された異種材料を含む複合基板と比較して、本出願のこの実施形態における複合基板は、電気伝導性および熱伝導性が良好であり、単結晶炭化ケイ素基板と同様にエピタキシャル要件を満たすことができる。加えて、高品質な単結晶炭化ケイ素インゴットが水素イオン注入方式で切り出され、これによって切断ロスを効果的に削減し、歩留まり率および切断効率を向上させることができる。したがって、本出願のこの実施形態で提供される複合基板作成方法によれば、高品質な炭化ケイ素インゴットの利用率を向上させることができ、かつ複合基板の作成コストを効果的に削減することができる。複合基板内の第2の炭化ケイ素層は、低品質な炭化ケイ素層である。言い換えると、本出願のこの実施形態における複合基板は低品質な炭化ケイ素を利用でき、かつ低品質炭化ケイ素の利用率を向上させることができる。したがって、本出願のこの実施形態で提供される複合基板は、高品質な炭化ケイ素および低品質な炭化ケイ素の両方を利用でき、炭化ケイ素の全体的な利用率を大幅に向上させ、複合基板のコストを効果的に削減することができる。
【0020】
可能な一実施形態では、第3の複合構造に第2のアニーリング処理を行うステップの前に、当該作成方法は、第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面に、炭素保護膜を形成するステップをさらに含む。第3の複合構造に第2のアニーリング処理を行うステップの後に、当該作成方法は、炭素保護膜を除去するステップをさらに含む。第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面に炭素保護膜を形成することにより、その後の高温アニーリングプロセスにおける過度な高温による、第1の炭化ケイ素層の炭素の蒸発およびシリコンの析出を回避し、第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面が粗面化されるのを防止することができる。
【0021】
可能な一実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップは、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面または第2の炭化ケイ素層の前面に遷移層を形成するステップと、遷移層を使用して、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップとをさらに含む。複合基板は、第1の炭化ケイ素層と、第2の炭化ケイ素層との間に配置された遷移層をさらに含む。
【0022】
可能な一実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップは、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に直接結合するステップを含む。
【0023】
可能な一実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴットの格子方向は、<0001>格子方向から0°以上かつ8°以下の範囲で偏向される。このように、単結晶炭化ケイ素インゴットを使用して得られた第1の炭化ケイ素層の格子方向もまた、<0001>格子方向から0°以上かつ8°以下の範囲で偏向され、その結果、第1の炭化ケイ素層の表面における、後続のエピタキシャル成長の欠陥密度を低減することができる。
【0024】
可能な一実施形態では、水素イオン注入のエネルギーは100 keV以上であり、水素イオン注入のドーズ量は1e16 cm-2以上であり、水素イオン注入の角度は5°以上かつ45°以下の範囲内である。このように、形成された欠陥層は、完全に平坦な層構造になり得る。
【0025】
可能な一実施形態では、損傷層を除去するために、第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面に表面処理を行うステップは、損傷層を除去するために、湿式クリーニング、プラズマ活性化、高温アニーリング、化学的機械研磨、機械研磨、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング、またはイオンビーム斜入射研磨のうちの少なくとも1つを使用して、第2の炭化ケイ素層から離れた第1の炭化ケイ素層の表面に処理を行うステップを含む。
【0026】
可能な一実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップの前に、当該作成方法は、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面に表面処理を行うステップをさらに含み、その結果、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面の粗さは0.5 nm以下になる。これにより、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面が過度に粗いことによって、結合力が過度に小さくなるのを回避し、単結晶炭化ケイ素インゴットと第2の炭化ケイ素層との結合効果に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0027】
可能な一実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴットの後面を第2の炭化ケイ素層の前面に結合するステップの前に、当該作成方法は、第2の炭化ケイ素層の前面に表面処理を行うステップをさらに含み、その結果、第2の炭化ケイ素層の前面の粗さは0.5 nm以下になる。これにより、第2の炭化ケイ素層の前面が過度に粗いことによって、結合力が過度に小さくなるのを回避し、単結晶炭化ケイ素インゴットと第2の炭化ケイ素層との結合効果に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0028】
可能な一実施形態では、第1のアニーリング処理のアニーリング温度は1000℃以上であり、第2のアニーリング処理のアニーリング温度は1200℃以上である。
【0029】
可能な一実施形態では、第1のアニーリング処理のアニーリング環境は、N2、Ar、またはH2のうちの少なくとも1つであり、第2のアニーリング処理のアニーリング環境は、真空、N2、Ar、またはC含有ガスのうちの少なくとも1つである。
【0030】
第3の態様によれば、第1の態様および第1の態様の実施形態のうちのいずれか1つによる複合基板と、スイッチ機能アセンブリとを含む、半導体デバイスが提供される。スイッチ機能アセンブリは、複合基板上に配置される。
【0031】
第4の態様によれば、第3の態様による半導体デバイスと、プリント回路基板とを含む、電子デバイスが提供される。プリント回路基板は、半導体デバイスの複合基板に近接して配置され、半導体デバイスに電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本出願の一実施形態による、無停電電源システムの適用シナリオの図である。
【
図2】本出願の一実施形態による、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタの構造の概略図である。
【
図3】本出願の一実施形態による、複合基板作成プロセスの概略図である。
【
図4】本出願の一実施形態による、別の複合基板作成プロセスの概略図である。
【
図5A】本出願の一実施形態による、複合基板作成の概略フローチャートである。
【
図5B】本出願の一実施形態による、複合基板作成プロセスの概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態による、複合基板の構造の図である。
【
図7A】本出願の一実施形態による、別の複合基板作成の概略フローチャートである。
【
図7B】本出願の一実施形態による、別の複合基板作成プロセスの概略図である。
【
図8A】本出願の一実施形態による、別の複合基板の構造の図である。
【
図8B】本出願の一実施形態による、さらに別の複合基板の構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本出願の実施形態の添付の図面を参照して、本出願の実施形態の技術的解決策を説明する。記載されている実施形態が本出願の実施形態の一部にすぎず、全てではないことは、明らかである。
【0034】
以下の「第1」および「第2」という用語は単に説明を簡単にしようとするものであり、相対的重要性の表示または含意、あるいは示された技術的特徴の数量の暗示的な表示として理解されるべきではない。したがって、「第1の」、「第2の」などによって限定される特徴は、1つまたは複数の特徴を明示的または暗示的に含むことができる。本出願の説明では、別段の指定がない限り、「複数」は、2つまたは2つより多くを意味する。
【0035】
本出願の実施形態において、特に指定および限定しない限り、「電気的接続」という用語は、直接的な電気接続であってよく、あるいは中間誘電体を介した間接的な電気接続であってもよい。
【0036】
本出願の実施形態では、「例」、「例えば」などの語は、例、例示、または説明を与えることを表すために使用される。本出願の実施形態で「例」または「例えば」として説明されるどの実施形態または設計方式も、別の実施形態または設計方式よりも好ましいものまたはより多くの利点を有するものとして説明されてはいない。正確には、「例」または「例えば」などの単語の使用は、特定の方法で相対的な概念を提示することを意図されている。
【0037】
本出願の実施形態において、用語「および/または」は関連付けられた対象間の関連付け関係を記述し、3つの関係を示し得る。例えば、Aおよび/またはBは、Aのみが存在する場合、AとBの両方が存在する場合、およびBのみが存在する場合を示し得、AとBは単数であっても複数であってよい。文字「/」は通常、関連付けられた対象間の「または」関係を表す。
【0038】
本出願の実施形態において、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、本出願の異なる構成要素の構造および移動方向が相対的であることを説明するために使用される。このような表示は、構成要素が図面に示されている位置にあるときは適切である。しかしながら、構成要素の位置の説明に変更があれば、このような方向の表示はそれに従って変化する。
【0039】
本出願の実施形態において、「直接結合」という用語は、2つの物体の表面が直接結合されてから、結合プロセスを使用して結合されることを意味し、2つの物体は、はんだとして中間材を使用せずに結合される。
【0040】
本出願の実施形態において、単結晶炭化ケイ素インゴットの「後面」という用語は、単結晶炭化ケイ素インゴットの(
【数1】
)結晶面のことであり、単結晶炭化ケイ素インゴットの「前面」という用語は、単結晶炭化ケイ素インゴットの(0001)結晶面のことである。
【0041】
本出願の実施形態において、第2の炭化ケイ素層の「後面」という用語は、第2の炭化ケイ素層の(
【数2】
)結晶面のことであり、第2の炭化ケイ素層の「前面」という用語は、第2の炭化ケイ素層の(0001)結晶面のことである。
【0042】
本出願の実施形態において、「欠陥密度」という用語は、欠陥量を体積で割ることによって計算される。薄膜層の欠陥量は、例えば、光学顕微鏡で50倍から400倍の倍率で薄膜層を分析し、検出された欠陥の量を薄膜層の体積で割ることによって計算され得る。
【0043】
本出願の一実施形態は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、例えば、充電パイル、無停電電源システム(uninterruptible power system、UPS)、光起電力インバータ、またはモータ駆動電源であってよい。電子デバイスの特定の形態については本出願の実施形態では特に限定されない。
【0044】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor、MOSFET)デバイスは半導体デバイスであり、電力消費が小さい、性能が安定している、対放射線能力が高い、制御モードが簡便、小型、軽量、長寿命、対干渉能力が高い、動作周波数が高い、およびバイアスが容易などの利点がある。したがって、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタは、アナログ回路およびデジタル回路で広く使用されている。
【0045】
例えば、電子デバイスはUPSであり、UPSは、電気エネルギーを連続的に供給することが必要な、コンピュータなどの負荷に給電するように構成されたユニットである。
図1は、UPSおよびUPSの周辺構造の概略図である。UPSは、入力端と出力端とを備える。UPSの入力端は電源システムに接続され、UPSの出力端は負荷に接続されて、負荷に対する無停電給電を実施する。
【0046】
電源システムは、例えば、発電所、変電所、または送電線などであってもよい。電源システムが正常な状態のときは、電源システムによって供給された電力の一部はUPSを通じて負荷に送電され、かつ電源システムによって供給された電力の一部はUPSに貯蔵される。電源システムが異常な状態のときは、電源システムは負荷に送電することができない。この場合は、UPSに貯蔵された電力が負荷に伝送される。
【0047】
負荷は、電源システムによって供給された電力を消費する。例えば、負荷は、工場内の電気デバイスであってもよく、あるいはデータセンター内のサーバ、プロセッサ、またはメモリなどの通信デバイスであってもよい。
【0048】
UPSは、電源システムで供給している電気エネルギーが中断されたり止まったりしたときに、中断することなく直ちに給電するように構成された自動的なシステムである。電源システムによって供給された電力の電圧または周波数が変化した場合、または電源システムからの給電が瞬時に中断または変更された場合は、UPSが安定的に給電する。これにより、負荷データの破損、ロス、または消去の可能性、および制御デバイスの遮断または故障の可能性を低減する。
【0049】
UPSは、パワーデバイスおよび双方向スイッチなどのアセンブリを含み、前述したUPSの機能を実施するように構成される。前述したUPSでは、パワーデバイスとしてMOSFETデバイスが使用されてもよい。MOSFETデバイスがパワーデバイスとして使用されるときは、本出願のこの実施形態で提供される電子デバイスは、
図1に示すUPSに限定されず、パワーデバイスを使用する必要がある任意の電子デバイスが、本出願の実施形態の適用シナリオに属することを理解されたい。
【0050】
例えば、MOSFETデバイスの構造が
図2に示されている。MOSFETデバイスは、基板1と、半導体層2と、ウェル領域3と、ソース領域4と、接触領域5と、絶縁膜6と、ゲート(gate、G)と、ソース(source、S)と、層間絶縁膜7と、ドレイン(drain、D)とを含む。
【0051】
半導体層2と、ウェル領域3と、ソース領域4と、接触領域5と、絶縁膜6と、ゲートGと、ソースSと、層間絶縁膜7と、ドレインDとは、MOSFETデバイスのスイッチ機能アセンブリと呼ばれてもよい。その名前が意味するように、MOSFETデバイスのスイッチ機能アセンブリは、MOSFETデバイスのスイッチ機能を実施するように構成された構造の組み合わせであり、基板1は、MOSFETデバイスのスイッチ機能アセンブリを担持するように構成される。
【0052】
MOSFETデバイスの動作原理は以下の通りであり、ウェル領域3内にあって、かつソース領域4と半導体層2との間に配置された領域が、MOSFETデバイスの導電チャネルとして使用される。ゲートGの電圧がMOSFETデバイスの閾値電圧より大きいと導電チャネルがオンにされ、ソースSの電子が、ドレインDの電圧の影響を受けながらチャネルを通って流れ、基板1へと下方向に流れてドレインDに達し、ソース-ドレイン電流を形成する。ゲートGの電圧がMOSFETデバイスの閾値電圧より小さいと、導電チャネルがオフにされ、ソース-ドレイン電流がオフにされる。
【0053】
炭化ケイ素(SiC)材料は、広いバンドギャップ、高い臨界破壊電界強度、および高い熱伝導性を特徴とする。したがって、SiC材料を基板として使用したSiCパワーデバイスは、高電圧および高温に耐え、スイッチング速度が速くかつスイッチングロスが少なく、航空および宇宙航空、スマートグリッド、鉄道輸送、新エネルギー発電、電動車両、工業用電源などの分野で幅広く使用されている。
【0054】
SiC基板のコストが高いために炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスのコストが高く、また様々な分野でSiCパワーデバイスを促進および適用するための制限が厳しいという問題を解決するために、SiCホモエピタキシャル層を剥離する方法が提供される。
図3に示すように、単結晶SiCに対して透過性を有するレーザ光がSiCインゴットに照射され、内層に焦点が合わされて改質層を形成する。SiCウェハは、応力下で単結晶SiCインゴットを改質層に沿って切断することによって、単結晶SiCインゴットで形成される。
【0055】
SiCホモエピタキシャル層を剥離する方法により、SiCインゴットの切断ロスを効果的に削減し、SiCインゴットの切断効率を向上させ、SiC基板のコストを削減することができる。
【0056】
しかしながら、SiCホモエピタキシャル層を剥離する方法は、主にSiCインゴットの切断ロスの削減、およびSiCインゴットの切断効率の向上に注目しており、不適格なSiCインゴットおよびSiCウェハを有効利用することはできない。
【0057】
シリコン系異種集積SiC薄膜構造を作成する方法がさらに提供される。
図4に示すように、単結晶SiCにイオン注入を行うことによって欠陥層が形成される。注入面がシリコン基板に結合されて複合構造を形成し、次に、アニーリングによってSiCが剥離されて、欠陥層と、SiC単結晶薄膜と、シリコン基板とを含む複合構造が形成される。次に、複合構造内の欠陥層が除去され、SiC単結晶薄膜とシリコン基板とを含む複合基板が形成される。
【0058】
シリコン系異種集積SiC薄膜構造を作成する方法において、この技術は、SiC異種結合によるSiC基板作成コストの削減に主に注目している。しかしながら、SiC単結晶薄膜はシリコン(Si)基板に異種結合され、SiCとSiとはヘテロ接合を形成する。電流がパワーデバイス内で縦方向に伝送されるとき、電流はヘテロ接合と交差する必要があり、Siは熱伝導性が低い。結果として、複合基板は電気伝導性および熱伝導性に関しては性能が低い。加えて、SiCエピタキシープロセスの温度に制限されて、SiCエピタキシャル成長を行うことができない。
【0059】
前述の問題を解決するために、本出願の一実施形態は、複合基板作成方法をさらに提供する。この複合基板作成方法を使用して作成された複合基板は、不適格なSiCインゴットおよびSiCウェハが有効利用されない、複合基板の電気伝導および熱伝導の性能が低いといった前述の問題を解決でき、これによってSiC基板作成コストを削減し、SiCパワーデバイスのコストを削減し、様々な分野でのSiCパワーデバイスの適用を促進する。
【0060】
これ以降は、いくつかの例を使用して、本出願の本実施形態で提供される複合基板作成方法について説明する。
【0061】
実施例1
図5Aに示すように、本出願の本実施形態は、以下のステップを含む複合基板作成方法を提供する。
【0062】
ステップS10において、
図5Bに示すように、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1から、単結晶炭化ケイ素インゴット10に水素イオン注入を行い、その結果、注入されたイオンが予め設定された深さXに達して、予め設定された深さで欠陥層20を形成し、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に面している欠陥層20側に、第1の炭化ケイ素層11が形成される。
【0063】
具体的には、単結晶炭化ケイ素インゴット10内にあって、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に面している欠陥層20側に配置された部分が、第1の炭化ケイ素層11として使用される。
【0064】
いくつかの実施形態において、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は、<0001>格子方向から0°以上かつ8°以下の範囲で偏向される。
【0065】
例えば、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は、<0001>格子方向であって偏向はなく(または0°偏向している)、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から1°偏向され、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から2°偏向され、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から3°偏向され、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から4°偏向され、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から5°偏向され、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から6°偏向され、あるいは単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向は<0001>格子方向から7°偏向される。
【0066】
このようにして、単結晶炭化ケイ素インゴット10を使用して得られた第1の炭化ケイ素層11の格子方向もまた、<0001>格子方向から0°以上かつ8°以下の範囲で偏向され、第1の炭化ケイ素層11と、エピタキシャル成長させた半導体層との間には小さい格子不整合が存在し、その結果、第1の炭化ケイ素層11の表面における、後続のエピタキシャル成長の欠陥密度を低減することができる。
【0067】
完全に平坦な欠陥層20が確実に形成されるように、いくつかの実施形態では、水素イオン注入のエネルギーは100 keV以上である。いくつかの実施形態では、水素イオン注入のドーズ量は1e16 cm-2以上である。いくつかの実施形態では、水素イオン注入の角度は、5°以上かつ45°以下である。例えば、水素イオン注入の角度は、10°、20°、30°、または40°であってもよい。水素イオン注入のエネルギー、ドーズ量、および角度を調節することによって、欠陥層20の構造が調節され得る。
【0068】
言い換えれば、欠陥層20は、水素イオン注入を行うことによって、単結晶炭化ケイ素インゴット10の予め設定された深さXで形成される。欠陥層20は、単結晶炭化ケイ素インゴット10を2つの部分に分割する。欠陥層20に配置され、かつ単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に近接した部分は、第1の炭化ケイ素層11であり、欠陥層20に配置され、かつ単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1から離れた(単結晶炭化ケイ素インゴット10の前面a2に近接した)部分は、残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12である。
【0069】
研磨された後は、残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12は、次回に複合基板を作成するための単結晶炭化ケイ素インゴット10として使用することができる。当然ながら、残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12の厚さを第1の炭化ケイ素層11として使用できるのであれば、残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12は、第1の炭化ケイ素層11として直接使用することができる。
【0070】
予め設定された深さXを調節することによって、第1の炭化ケイ素層11の厚さを調節することができる。しかしながら、水素イオン注入プロセスでは、水素イオン注入のエネルギーを調節することによって、注入されたイオンが予め設定された深さに達するように調節されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、水素イオン注入のエネルギーが調節され、その結果、第1の炭化ケイ素層11の厚さは350μm以下になる。
【0072】
例えば、第1の炭化ケイ素層11の厚さは、300μm、250μm、200μm、150μm、または100μmになり得る。
【0073】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1と、単結晶炭化ケイ素インゴット10の前面a2とは、対向して配置されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1の粗さは、単結晶炭化ケイ素インゴット10の前面a2の粗さと等しい。
【0074】
例えば、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1の粗さは0.5 nm以下である。言い換えれば、第1の炭化ケイ素層11の後面の粗さは0.5 nm以下である。
【0075】
ステップS20において、
図5Bに示すように、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1と、第2の炭化ケイ素層30の前面b2とを結合して、第1の複合構造Q1を形成する。
【0076】
同様に、第2の炭化ケイ素層30の後面b1は、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に対向して配置される。いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の後面b1の粗さは、第2の炭化ケイ素層30の前面b2の粗さと等しい。
【0077】
例えば、第2の炭化ケイ素層30の前面b2の粗さは0.5 nm以下である。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の厚さは、3000μm以下である。
【0079】
例えば、第2の炭化ケイ素層30の厚さは、2500μm、2000μm、1500μm、1000μm、または500μmになり得る。
【0080】
第2の炭化ケイ素層30は、単結晶炭化ケイ素インゴット10を支持し担持できればよく、第2の炭化ケイ素層30が過度に厚いと、資源の浪費および複合基板の厚さの増加につながる場合がある。
【0081】
第2の炭化ケイ素層30の欠陥密度は、単結晶炭化ケイ素インゴット10の欠陥密度より高い。言い換えれば、第2の炭化ケイ素層30の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層11の欠陥密度より高い。
【0082】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の一部の欠陥密度は、単結晶炭化ケイ素インゴット10の欠陥密度より高い。
【0083】
言い換えれば、第2の炭化ケイ素層30の一部の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層11の欠陥密度より高い。
【0084】
いくつかの実施形態では、完全な第2の炭化ケイ素層30の欠陥密度は、単結晶炭化ケイ素インゴット10の欠陥密度より高い。
【0085】
言い換えれば、完全な第2の炭化ケイ素層30の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層11の欠陥密度より高い。
【0086】
これを考慮して、第2の炭化ケイ素層30と比較すると、単結晶炭化ケイ素インゴット10は、高品質(Pレベル)な炭化ケイ素構造であり、単結晶炭化ケイ素インゴット10と比較すると、第2の炭化ケイ素層30は、低品質(Dレベル)な炭化ケイ素構造である。
【0087】
いくつかの実施形態において、第2の炭化ケイ素層30の格子方向もまた、<0001>格子方向から0°以上かつ8°以下の範囲で偏向される。
【0088】
例えば、第2の炭化ケイ素層30の格子方向の偏向角は、単結晶炭化ケイ素インゴット10の格子方向の偏向角と同じである。
【0089】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の材料は、単結晶炭化ケイ素または多結晶炭化ケイ素を含む。
【0090】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1を第2の炭化ケイ素層30の前面b2に結合する方式では、いくつかの実施形態において、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1は、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に直接結合される。
【0091】
具体的には、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1は、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に対向して配置され、単結晶炭化ケイ素インゴット10は、第2の炭化ケイ素層30に直接結合される。
【0092】
第1の炭化ケイ素層11は、単結晶炭化ケイ素インゴット10から得られ、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1は、第1の炭化ケイ素層11の後面c1であることが理解されよう。したがって、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1は、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に直接結合される、つまり、第1の炭化ケイ素層11は、第2の炭化ケイ素層30に直接結合される。
【0093】
例えば、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1および第2の炭化ケイ素層30の前面b2で表面クリーニングおよび表面処理が行われ、その後、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に直接結合される。
【0094】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1および第2の炭化ケイ素層30の前面b2で表面処理を行う方法は、湿式クリーニング、活性化、化学的活性化、プラズマ活性化、および金属堆積などのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0095】
加えて、常温環境、高温環境、高電圧環境、通常電圧環境、または真空環境などの環境で、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1と、第2の炭化ケイ素層30の前面b2との直接結合が行われてもよい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0096】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が第2の炭化ケイ素層30の前面b2に直接結合されるプロセスにおいて、第1の結合層41が自然に形成されることが理解されよう。単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1を第2の炭化ケイ素層30の前面b2に結合する持続時間を制御することによって、第1の結合層41の厚さを制御することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層11を第2の炭化ケイ素層30に直接結合して形成された第1の結合層41の厚さは5 nm以下である。例えば、第1の結合層41の厚さは、1 nm、2 nm、3 nm、または4 nmであってもよい。
【0098】
第1の結合層41が過度に厚いと、複合基板の電気伝導性および熱伝導性に影響を及ぼす場合がある。したがって、第1の結合層41の厚さは5 nm以下になるように制御され、かつ第1の結合層41の厚さは、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が第2の炭化ケイ素層30の前面b2に確実に直接結合されるようにしながら、可能な限り低減される。
【0099】
これを考慮して、第1の複合構造Q1は、単結晶炭化ケイ素インゴット10と、第1の結合層41と、第2の炭化ケイ素層30とを含むことが理解されよう。
【0100】
いくつかの実施形態では、ステップS20が行われる前に、複合基板作成方法は、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に表面処理を行うステップをさらに含み、その結果、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1(第2の炭化ケイ素層30に結合された表面)の粗さが0.5 nm以下になる。
【0101】
いくつかの実施形態では、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1で、湿式クリーニング、プラズマ活性化、高温アニーリング、CMP、CP、機械研磨、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング、またはイオンビーム斜入射研磨プロセスのうちの1つ以上が行われる。
【0102】
これにより、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が過度に粗いことによって、結合力が過度に小さくなるのを回避し、単結晶炭化ケイ素インゴット10と第2の炭化ケイ素層30との結合効果に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、ステップS20が行われる前に、複合基板作成方法は、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に表面処理を行うステップをさらに含み、その結果、第2の炭化ケイ素層30の前面b2(単結晶炭化ケイ素インゴット10に結合された表面)の粗さが0.5 nm以下になる。
【0104】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の前面b2で、湿式クリーニング、プラズマ活性化、高温アニーリング、化学的機械研磨(chemical mechanical polishing、CMP)、化学的研磨(chemical polishing、CP)、機械研磨、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング、またはイオンビーム斜入射研磨プロセスのうちの1つ以上が行われる。
【0105】
これにより、第2の炭化ケイ素層30の前面b2が過度に粗いことによって、結合力が過度に小さくなるのを回避し、単結晶炭化ケイ素インゴット10と第2の炭化ケイ素層30との結合効果に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0106】
ステップS30において、
図5Bに示すように、第1の複合構造Q1で第1のアニーリング処理を行い、その結果、第1の炭化ケイ素層11が欠陥層20に沿って剥離されて、第2の複合構造Q2を形成する。
【0107】
第2の複合構造Q2は、欠陥層20から分離された損傷層21と、結合された第1の炭化ケイ素層11および第2の炭化ケイ素層30とを含む。損傷層21は、第2の炭化ケイ素層30から離れた、第1の炭化ケイ素層11の表面(第1の炭化ケイ素層11の前面c2)に配置される。
【0108】
第1のアニーリング処理、例えば、熱アニーリングプロセスが、第1の複合構造Q1で行われてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1の複合構造Q1に第1のアニーリング処理が行われるアニーリング温度は、例えば、1000℃以上であってもよい。例えば、第1のアニーリング処理のアニーリング温度は、1050℃、1100℃、または1150℃であってもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の複合構造Q1に第1のアニーリング処理が行われるアニーリング環境は、N2(窒素)、Ar(アルゴン)、またはH2(水素)のうちの少なくとも1つである。
【0111】
第1のアニーリング処理のアニーリング持続時間は、本出願のこの実施形態に限定されず、欠陥層20の厚さなどの要因に基づいて適切に決定され、その結果、欠陥層20は自然に亀裂が入って第2の複合構造Q2が得られる。
【0112】
ステップS40において、
図5Bに示すように、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に処理を行って、損傷層21を除去し、第3の複合構造Q3を形成する。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)で、湿式クリーニング、プラズマ活性化、高温アニーリング、CMP、CP、機械研磨、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング、またはイオンビーム斜入射研磨プロセスのうちの1つ以上が行われて、損傷層21を除去する。
【0114】
損傷層21は、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に処理を行って除去されてもよく、結合された第1の炭化ケイ素層11と第2の炭化ケイ素層30と(例えば、第1の炭化ケイ素層11と、第1の結合層41と、第2の炭化ケイ素層30と)を含む、第3の複合構造Q3が得られることが理解されよう。
【0115】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)の処理は、CMP、CP、または機械研磨プロセスのうちの少なくとも1つを含み、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)の粗さを低減する。
【0116】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面処理が行われた後は、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面の粗さは0.5 nm以下になる。
【0117】
具体的には、第1の炭化ケイ素層11の前面c2の粗さは、複合基板にエピタキシャル層が形成されると、第1の炭化ケイ素層11の前面c2の粗さの要件を満たす0.5 nm以下になる。
【0118】
ステップS50において、
図5Bに示すように、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に炭素保護膜50を形成する。
【0119】
炭素保護膜50は、スパッタリングプロセスによって、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に形成され得る。
【0120】
炭素保護膜50が過度に厚いと資源の浪費につながる場合があり、炭素保護膜50が過度に薄いと保護層を形成しない場合がある。いくつかの実施形態では、炭素保護膜50の厚さは、10 nm~50 nmである。例えば、炭素保護膜50の厚さは、20 nm、25 nm、30 nm、35 nm、または40 nmであってもよい。
【0121】
第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に炭素保護膜50を形成することにより、その後の高温アニーリングプロセスにおける過度な高温による、第1の炭化ケイ素層11の炭素の蒸発およびシリコンの析出を回避し、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)が粗面化されるのを防止することができる。
【0122】
ステップS60において、
図5Bに示すように、第3の複合構造Q3に第2のアニーリング処理を行って、第1の炭化ケイ素層11への水素イオン注入によって生じた欠陥を修復する。
【0123】
第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に炭素保護膜50が形成されるとき、つまり、複合基板作成方法がステップS50を含むときに、第3の複合構造Q3に第2のアニーリング処理が行われる、つまり、第3の複合構造Q3の表面の、炭素保護膜50で覆われた構造に処理が行われることが理解されよう。
【0124】
第2のアニーリング処理、例えば、熱アニーリングプロセスが第3の複合構造Q3で行われてもよい。第2のアニーリング処理のアニーリング温度は、第1のアニーリング処理のアニーリング温度より高い。
【0125】
いくつかの実施形態では、第3の複合構造Q3に第2のアニーリング処理が行われる際のアニーリング温度は、例えば、1200℃以上であってもよい。例えば、第2のアニーリング処理のアニーリング温度は、1250℃、1300℃、1350℃、または1400℃であってもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、第3の複合構造Q3に第2のアニーリング処理が行われる際のアニーリング環境は、常圧、真空、N2、Ar、またはC含有(carbon-containing)ガスのうちの少なくとも1つである。
【0127】
第2のアニーリング処理のアニーリング持続時間は、第1の炭化ケイ素層11で水素イオン注入によって生じた欠陥を修正できるのであれば、本出願のこの実施形態に限定されない。加えて、本明細書における修復される欠陥は、完全に修復されるか、またはある程度まで修復されてもよく、処理は実際の要件に基づいて行われてよい。
【0128】
ステップS70において、
図5Bに示すように、炭素保護膜50を除去して、複合基板100を得る。
【0129】
例えば、炭素保護膜50は、高温酸化またはプラズマ処理プロセスを使用して除去されてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、複合基板作成方法は、ステップS50を含まないことに留意されたい。具体的には、第3の複合構造Q3で第2のアニーリング処理が行われる前に炭素保護膜50が形成されず、第2のアニーリング処理は、第3の複合構造Q3に直接行われる。
【0131】
この方法では、複合基板作成方法はステップS70も含まない。したがって、ステップS60において、第3の複合構造Q3に第2のアニーリング処理が行われた後に、複合基板100が直接得られる場合があることが理解されよう。
【0132】
これ以降は、一例として特定の実施形態を使用して、この例で提供される複合基板作成方法について説明する。
【0133】
複合基板作成方法は、以下のプロセスを含む。
【0134】
水素イオン(H
+)注入は、N型単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1から、格子方向を<0001>格子方向から<
【数3】
>格子方向へ4°偏向させて行われて、後面a1の下の予め設定された深さXの位置で、欠陥層20を形成する。
【0135】
水素イオン注入の温度は室温であり、水素イオン注入のエネルギーは100 keVであり、水素イオン注入のドーズ量は1e17 cm-2であり、水素イオン注入の角度は7°である。
【0136】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面、および第2の炭化ケイ素層30の前面b2で、化学薬品を用いたクリーニングおよび乾燥が同じ仕様で行われる。次に、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1、および第2の炭化ケイ素層30の前面b2で、Ar、N2、またはO2(酸素)プラズマ活性化が行われる。常温および10-4ミリバールの真空環境で、
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が第2の炭化ケイ素層30の前面b2に直接結合されて、第1の複合構造Q1が形成される。
【0137】
結合圧力は5 kNであり、結合持続時間は30分である。
【0138】
第1の複合構造Q1は、高温アニーリング炉に入れられる。N2環境では、温度は20℃/秒の速度で1000℃まで上げられる。第1の複合構造Q1は、60分間アニーリングされてから、冷却後に炉から取り出される。単結晶炭化ケイ素インゴット10は、欠陥層20に沿って自動的に剥離されて、第2の複合構造Q2を形成する。
【0139】
第2の複合構造Q2は、欠陥層20から分離された損傷層21と、結合された第1の炭化ケイ素層11および第2の炭化ケイ素層30とを含む。損傷層21は、第2の炭化ケイ素層30から離れた、第1の炭化ケイ素層11の表面に配置される。剥離された表面が研磨された後で、残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12は、次回に複合基板を作成するための単結晶炭化ケイ素インゴット10として使用することができる。
【0140】
第2の複合構造Q2において、損傷層21を除去し、第1の炭化ケイ素層11の表面の粗さを0.5 nm以下にするために、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面で表面処理が行われて、第3の複合構造Q3が得られる。
【0141】
例えば、8000#の砥石車を使用して、表面の粗さが10 nmになるまで、表面に乾式研磨がまず行われる。次に、研削するために表面にCMPが行われて、第1の炭化ケイ素層11の表面の粗さは0.5 nm以下になる。
【0142】
第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面でスパッタリングが行われて、20 nmの炭素保護膜50を形成する。真空環境および1650℃のアニーリング環境で、第3の複合構造Q3は、30分間アニーリングされてから炉から取り出される。次に、エピタキシャル成長の要件を満たす複合基板を形成するために、酸素含有プラズマを使用して、炭素保護膜50が完全にエッチングされる。
【0143】
これを考慮して、
図6に示すように、本出願の一実施形態は、第1の炭化ケイ素層11と、第2の炭化ケイ素層30とを含む複合基板100を提供する。
【0144】
第1の炭化ケイ素層11は、前述した単結晶炭化ケイ素インゴット10を使用して作成される。第1の炭化ケイ素層11の材料は単結晶炭化ケイ素を含み、あるいは第1の炭化ケイ素層11は炭化ケイ素単結晶ウェハであることがわかる。
【0145】
第2の炭化ケイ素層30は第1の炭化ケイ素層11の後面c1側に配置され、第2の炭化ケイ素層30の前面b2は、第1の炭化ケイ素層11の後面c1に面し、第2の炭化ケイ素層30は、第1の炭化ケイ素層11に結合される。
【0146】
第2の炭化ケイ素層30の少なくとも一部の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層11の欠陥密度より高く、つまり、第1の炭化ケイ素層11と比較して、第2の炭化ケイ素層30は低品質な炭化ケイ素構造である。
【0147】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の材料は、単結晶炭化ケイ素または多結晶炭化ケイ素を含む。
【0148】
第2の炭化ケイ素層30の材料が、単結晶炭化ケイ素を含む場合は、第2の炭化ケイ素層30の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層11の欠陥密度よりやはり高くなることが理解されよう。
【0149】
いくつかの実施形態では、
図6に示すように、第1の炭化ケイ素層11は、第2の炭化ケイ素層30に直接結合される。第1の炭化ケイ素層11は、第2の炭化ケイ素層30に直接結合されて、第1の結合層41を形成する。
【0150】
実施例2
実施例1と比較すると、実施例2の違いは、第1の炭化ケイ素層11と第2の炭化ケイ素層30とが、遷移層42を使用して結合されることである。
【0151】
本出願のこの実施形態は、
図7Aに示すように、以下のステップを含む複合基板作成方法をさらに提供する。
【0152】
ステップS100において、
図7Bに示すように、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1から、単結晶炭化ケイ素インゴット10に水素イオン注入を行い、その結果、注入されたイオンが予め設定された深さXに達して、予め設定された深さで欠陥層20を形成し、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に面している欠陥層20側に、第1の炭化ケイ素層11が形成される。
【0153】
具体的には、単結晶炭化ケイ素インゴット10内にあって、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に面している欠陥層20側に配置された部分が、第1の炭化ケイ素層11として使用される。
【0154】
ステップS100は、例1のステップS10と同じになり得る。前述の関連説明を参照されたい。ここでは詳細を繰り返さない。
【0155】
ステップS200において、
図7Bに示すように、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1に遷移層42を形成する。
【0156】
あるいは、ステップS200は行われずに、次のステップS200’が行われる。
【0157】
あるいは、ステップS200とステップS200’とが同時に行われる。
【0158】
ステップS200’において、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に遷移層42を形成する。
【0159】
例えば、遷移層42は、スパッタリングプロセスを使用して形成されてもよい。
【0160】
遷移層42の材料は、例えば、SiO2(ケイ素酸化物)、Si3N4(窒化ケイ素)、またはAl2O3(酸化アルミニウム)などの絶縁媒体、あるいはSi(ケイ素)またはSiC(炭化ケイ素)、またはAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Pt(プラチナ)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Au(金)、およびCr(クロム)などの金属、あるいは前述した複数の材料を含む、複合多層材料などの導電性媒体を含み得る。
【0161】
ステップS300において、
図7Bに示すように、遷移層42を使用して、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1を第2の炭化ケイ素層30の前面b2に結合して、第1の複合構造Q1を形成する。
【0162】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が遷移層42に結合されると、第2の結合層43が自然に形成される。第2の炭化ケイ素層30の前面b2が遷移層42に結合されると、第3の結合層44が自然に形成される。
【0163】
これを考慮して、第1の複合構造Q1は、単結晶炭化ケイ素インゴット10と、第2の結合層43と、遷移層42と、第3の結合層44と、第2の炭化ケイ素層30とを含むことが理解されよう。
【0164】
いくつかの実施形態では、遷移層42と、第2の結合層43と、第3の結合層44との厚さの合計は、100 nm以下になり得る。例えば、遷移層42と、第2の結合層43と、第3の結合層44との厚さの合計は、90 nm、80 nm、70 nm、または60 nmになり得る。
【0165】
遷移層42と、第2の結合層43と、第3の結合層44との厚さの合計が過度に大きいと、複合基板の電気伝導性および熱伝導性に影響を及ぼす場合がある。したがって、遷移層42と、第2の結合層43と、第3の結合層44との厚さの合計は100 nm以下になるように制御され、かつ遷移層42と、第2の結合層43と、第3の結合層44との厚さの合計は、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が第2の炭化ケイ素層30の前面b2に安定的に結合されることを保証しながら、可能な限り低減される。
【0166】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1を第2の炭化ケイ素層30の前面b2に結合する持続時間を制御することによって、遷移層42と、第2の結合層43と、第3の結合層44との厚さの合計が制御され得ることが例1の説明からわかる。
【0167】
ステップS400において、
図7Bに示すように、第1の複合構造Q1に第1のアニーリング処理を行い、その結果、第1の炭化ケイ素層11が欠陥層20に沿って剥離されて、第2の複合構造Q2を形成する。
【0168】
第1の複合構造Q1に第1のアニーリング処理を行うプロセスについては、例1のステップS30の説明を参照されたい。得られた第2の複合構造Q2が、欠陥層20から分離された損傷層21と、第1の炭化ケイ素層11、遷移層42、および結合された第2の炭化ケイ素層30とを含んでいるところに違いがある。
【0169】
ステップS500において、
図7Bに示すように、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に処理を行って、損傷層21を除去し、第3の複合構造Q3を形成する。
【0170】
第1の炭化ケイ素層11の前面c2に処理を行うプロセスについては、例1のステップS40の説明を参照されたい。得られた第3の複合構造Q3が、第1の炭化ケイ素層11と、遷移層42と、結合された第2の炭化ケイ素層30とを含んでいるところに違いがある。
【0171】
ステップS600において、
図7Bに示すように、第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面(前面c2)に炭素保護膜50を形成する。
【0172】
ステップS600は、例1のステップS50と同じになり得る。関連説明を参照されたい。ここでは詳細を繰り返さない。
【0173】
ステップS700において、
図7Bに示すように、第3の複合構造Q3で第2のアニーリング処理を行って、第1の炭化ケイ素層11での水素イオン注入によって生じた欠陥を修復する。
【0174】
ステップS700は、例1のステップS60と同じになり得る。関連説明を参照されたい。ここでは詳細を繰り返さない。
【0175】
ステップS800において、
図7Bに示すように、炭素保護膜50を除去して、複合基板100を得る。
【0176】
ステップS800は、例1のステップS70と同じになり得る。関連説明を参照されたい。ここでは詳細を繰り返さない。得られた複合基板が遷移層42をさらに含み、遷移層42が、第1の炭化ケイ素層11の後面c1と、第2の炭化ケイ素層30の前面b2との間に配置されているところに違いがある。
【0177】
これ以降は、一例として特定の実施形態を使用して、この例で提供される複合基板作成方法について説明する。
【0178】
複合基板作成方法は、以下のプロセスを含む。
【0179】
水素イオン注入は、N型単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面から、格子方向を<0001>格子方向から<
【数4】
>格子方向へ4°偏向させて行われて、後面の下の予め設定された深さXの位置で、欠陥層20を形成する。
【0180】
水素イオン注入の温度は室温であり、水素イオン注入のエネルギーは200 keVであり、水素イオン注入のドーズ量は1e17 cm-2であり、水素イオン注入の角度は7°である。
【0181】
単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面、および第2の炭化ケイ素層30の前面b2で、化学薬品を用いたクリーニングおよび乾燥が同じ仕様で行われる。次に、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1、および第2の炭化ケイ素層30の前面b2で、Ar、N2、またはO2プラズマ活性化が行われる。スパッタリングプロセスによって、2 nmのPt層が、第2の炭化ケイ素層30の前面b2に堆積される。次に、500℃の高温かつN2環境で、プラチナ層を使用して、単結晶炭化ケイ素インゴット10の後面a1が第2の炭化ケイ素層30の前面b2に結合されて、第1の複合構造Q1が形成される。
【0182】
結合圧力は10 kNであり、結合持続時間は60分である。
【0183】
第1の複合構造Q1は、レーザ加熱および高速熱アニーリング方式でアニーリングするために、高温アニーリング炉に入れられる。N2を含む保護環境において、第1の複合構造Q1は、1100℃のアニーリング温度で60分間アニーリングされてから、冷却後に炉から取り出される。単結晶炭化ケイ素インゴット10は、欠陥層20に沿って自動的に剥離されて、第2の複合構造Q2を形成する。
【0184】
8000#の砥石車を使用して、表面の粗さが10 nmになるまで、表面に乾式研磨がまず行われる。次に、研削するために表面にCMPが行われて、第1の炭化ケイ素層11の表面の粗さは0.5 nm以下になる。
【0185】
第2の炭化ケイ素層30から離れた第1の炭化ケイ素層11の表面でスパッタリングが行われて、20 nmの炭素保護膜50を形成する。真空環境および1650℃のアニーリング環境で、第3の複合構造は、30分間アニーリングされてから炉から取り出される。次に、エピタキシャル成長の要件を満たす複合基板を形成するために、酸素含有プラズマを使用して、炭素保護膜50が完全にエッチングされる。
【0186】
これを考慮して、
図8Aに示すように、本出願の一実施形態は、第1の炭化ケイ素層11と、第2の炭化ケイ素層30と、遷移層42とを含む複合基板100を提供する。
【0187】
遷移層42は、第1の炭化ケイ素層11と、第2の炭化ケイ素層30との間に配置される。第1の炭化ケイ素層11と第2の炭化ケイ素層30とは、遷移層42を使用して結合される。
【0188】
例えば、
図8Bに示すように、第1の炭化ケイ素層11は、遷移層42に結合されて第2の結合層43を形成し、第2の炭化ケイ素層30は、遷移層42に結合されて第3の結合層44を形成する。
【0189】
本出願の実施形態で提供される複合基板作成方法によれば、高品質な単結晶炭化ケイ素インゴット10に水素イオン注入が行われて注入欠陥層20を形成し、その後、注入欠陥層が低品質の第2の炭化ケイ素層30に結合される。結合された複合構造に対する高温アニーリングの作用で、低品質な第2の炭化ケイ素層30および高品質な第1の炭化ケイ素層11と、高品質な残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12とを含む複合構造が形成される。研磨された後は、残りの単結晶炭化ケイ素インゴット12は、単結晶炭化ケイ素インゴット10として再使用されてもよい。複合構造は、表面研磨後および高温アニーリング後は、エピタキシャル用途用の複合基板として使用されてもよい。このようにして、本出願の実施形態で提供される複合基板作成方法によって得られた複合基板は、積み重ねて配置された第1の炭化ケイ素層11と第2の炭化ケイ素層30とを含み、第1の炭化ケイ素層11と第2の炭化ケイ素層30とは、同種の材料に属する。したがって、積み重ねて配置された異種材料を含む複合基板と比較して、本出願の実施形態における複合基板は、電気伝導性および熱伝導性が良好であり、単結晶炭化ケイ素基板と同様にエピタキシャル要件を満たすことができる。
【0190】
加えて、高品質な単結晶炭化ケイ素インゴット10が水素イオン注入方式で切り出され、これによって切断ロスを効果的に削減し、歩留まり率および切断効率を向上させることができる。したがって、本出願の実施形態で提供される複合基板作成方法によれば、高品質な炭化ケイ素インゴットの利用率を改善でき、コストが削減される。複合基板100内の第2の炭化ケイ素層30は、低品質な炭化ケイ素層である。言い換えると、本出願の実施形態における複合基板は低品質な炭化ケイ素を利用でき、かつ低品質な炭化ケイ素の利用率を向上させることができる。したがって、本出願の実施形態で提供される複合基板100は、高品質な炭化ケイ素および低品質な炭化ケイ素の両方を利用でき、炭化ケイ素の全体的な利用率を大幅に向上させ、複合基板のコストを効果的に削減することができる。
【0191】
前述の説明は、本出願の特定の実装形態にすぎず、本出願の保護範囲を限定するものではない。本出願で開示される技術的範囲内で当業者によって容易く考え出されるバリエーションや代替は、本出願の保護範囲に入るものとする。したがって、本出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0192】
1 基板
2 半導体層
3 ウェル領域
4 ソース領域
5 接触領域
6 絶縁膜
7 層間絶縁膜
10 単結晶炭化ケイ素インゴット
11 第1の炭化ケイ素層
12 残りの単結晶炭化ケイ素インゴット
20 欠陥層
21 損傷層
30 第2の炭化ケイ素層
41 第1の結合層
42 遷移層
43 第2の結合層
44 第3の結合層
50 炭素保護膜
Q1 第1の複合構造
Q2 第2の複合構造
Q3 第3の複合構造