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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】バイアス型コネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20240326BHJP
   H01R 13/6582 20110101ALI20240326BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20240326BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240326BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20240326BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/6582
H01R13/64
H01R12/71
H01R12/91
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197960
(22)【出願日】2022-12-12
(65)【公開番号】P2023086724
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】63/288,647
(32)【優先日】2021-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ ライアン バルデラ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク スタイヤー
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0203289(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0028302(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0250479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
H01R 12/70-12/75
H01R 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタアセンブリであって、
基板に取り付けられ、該基板との電気的接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタであって、該レセプタクルコネクタは、内部に位置付けられたコネクタを有するポートを画定するケージを含み、前記コネクタは、前記ポートと位置合わせされたカードスロットを含み、前記ポートは、内部に位置付けられた少なくとも1つのバイアス部材を含み、前記コネクタは、前記カードスロット内に位置付けられた接触部分を有する少なくとも1つの端子を含む、レセプタクルコネクタと、
前記ポート内に挿入されるように構成されたプラガブルトランシーバモジュールを含むプラグコネクタであって、前記プラガブルトランシーバモジュールは、前記少なくとも1つの端子の前記接触部分と係合するように構成された少なくとも1つの接触パッドを有するパドルカードを含む、プラグコネクタと、を備え、
前記少なくとも1つのバイアス部材は、前記接触パッドのスタブ長が所定の範囲内になるように、前記コネクタから離れる方向に前記プラガブルトランシーバモジュールをバイアスし、
前記レセプタクルコネクタは、前記基板との電気的接続を形成するために前記ケージのプロングが位置付けられる複数の開口部を有するベースプレートを更に含み、
前記少なくとも1つのバイアス部材は、前記ベースプレートと一体に形成され、
前記少なくとも1つのバイアス部材は、前記ベースプレートから少なくとも部分的に垂直に延在する、コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバイアス部材は、第1のバイアス部材と、第2のバイアス部材と、を含み、
前記第1のバイアス部材は、前記コネクタの第1の側に位置付けられ、前記第2のバイアス部材は、前記コネクタの第2の側に位置付けられる、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のバイアス部材及び前記第2のバイアス部材は、前記プラガブルトランシーバモジュールの遠位端の対向する側に接触するように構成されている、請求項2に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバイアス部材は、挿入方向に延在する第1のC字形区分と、反対方向に延在する、該第1のC字形区分と一体の第2のC字形区分と、を含む、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記レセプタクルコネクタは、該レセプタクルコネクタに対する前記プラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されたプラグモジュール停止部を更に含む、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記プラグモジュール停止部は、前記ケージと一体に形成されたケージラッチを含み、該ケージラッチは、前記少なくとも1つのバイアス部材によってプラガブルトランシーバから力が加えられたときに、前記プラグコネクタのハウジングに係合して前記プラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されている、請求項に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
基板に取り付けられ、該基板との電気的接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタであって、
ポートを画定するケージであって、前記ポートは、内部に位置付けられた少なくとも1つのバイアス部材と、接触部分を有する少なくとも1つの端子と、を含む、ケージを備え、
前記少なくとも1つのバイアス部材は、プラグコネクタの接触パッドのスタブが前記少なくとも1つの端子と係合されたときに所定の長さを有するように、前記プラグコネクタのプラガブルトランシーバモジュールを所定の位置まで付勢するように構成され
前記レセプタクルコネクタは、前記基板との電気的接続を形成するために前記ケージのプロングが位置付けられる複数の開口部を有するベースプレートを更に備え、
前記少なくとも1つのバイアス部材は、前記ベースプレートと一体に形成され、
前記少なくとも1つのバイアス部材は、前記ベースプレートから垂直に延在する、レセプタクルコネクタ。
【請求項8】
前記ポートは、内部に位置付けられたコネクタを有し、該コネクタは、前記ポートと位置合わせされたカードスロットを含み、
前記コネクタは、前記少なくとも1つの端子を含む、請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバイアス部材は、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材である、請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項10】
前記第1のバイアス部材は、前記ポートの第1の側に位置付けられ、前記第2のバイアス部材は、前記ポートの第2の側に位置付けられ、
前記第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材は、前記プラガブルトランシーバモジュールの対向する側に接触するように構成されている、請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバイアス部材は、S字形本体を有し、該S字形本体は、挿入方向に延在する第1のC字形区分と、反対方向に延在する、該第1のC字形区分と一体の第2のC字形区分と、を含む、請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項12】
前記レセプタクルコネクタは、該レセプタクルコネクタに対する前記プラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されたプラグモジュール停止部を更に備える、請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項13】
前記プラグモジュール停止部は、前記ケージと一体に形成されたケージラッチを含み、該ケージラッチは、前記少なくとも1つのバイアス部材によってプラガブルトランシーバから力が加えられたときに、前記プラグコネクタのハウジングに係合して前記プラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されている、請求項12に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項14】
前記レセプタクルコネクタは、実質的に剛性である突出要素を更に備え、該突出要素は、前記プラガブルトランシーバモジュールの前面から延在し、前記突出要素は、前記コネクタのハウジングの対向する部分に接触するように構成されている、請求項8に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項15】
前記突出要素は、異なる垂直平面上に第1の表面及び第2の表面を含む段付き本体を含み、前記第1の表面及び第2の表面は、傾斜延在部分によって分離され、
前記第1の表面及び第2の表面は、前記レセプタクルコネクタが配設される基板の上面に対して略平坦かつ平行であり、
前記突出要素は、前記プラガブルトランシーバモジュールの前記ハウジングと一体である、請求項14に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項16】
前記ケージの第1の内壁に位置付けられた第1の側壁突出部と、前記第1の内壁のものと反対側の、前記ケージの第2の内壁に位置付けられた第2の側壁突出部と、を更に備え、前記第1の側壁突出部及び前記第2の側壁突出部は、前記プラガブルトランシーバモジュールの一部分に接触して、前記ポート内での前記プラガブルトランシーバモジュールの更なる並進を制限するように構成されている、請求項に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項17】
前記第1の側壁突出部及び前記第2の側壁突出部は、前記ケージの前記第1の内壁及び前記第2の内壁上に形成された半円形のパンチアウトである、請求項16に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項18】
コネクタアセンブリであって、
基板に取り付けられ、該基板との電気的接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタであって、該レセプタクルコネクタは、ポートを画定するケージを含み、前記ポートは、内部に位置付けられた第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材を含み、コネクタは、接触部分を有する少なくとも1つの端子を含む、レセプタクルコネクタと、
前記ポートに挿入されるように構成されたプラガブルトランシーバモジュールを含むプラグコネクタであって、前記プラガブルトランシーバモジュールは、前記少なくとも1つの端子の前記接触部分と係合するように構成された少なくとも1つの接触パッドを有する回路を含む、プラグコネクタと、を備え、
前記第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材は、前記少なくとも1つの接触パッドのスタブ長が所定の長さを有するように、前記プラガブルトランシーバモジュールを所定の位置まで付勢するように構成され
前記レセプタクルコネクタは、前記基板との電気的接続を形成するために前記ケージのプロングが位置付けられる複数の開口部を有するベースプレートを更に含み、
前記第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材のうちの少なくとも1つは、前記ベースプレートと一体に形成され、
前記第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材のうちの少なくとも1つは、前記ベースプレートから垂直に延在する、コネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年12月12日に出願された「BIASED CONNECTOR SYSTEM(バイアス型コネクタシステム)」と題する米国特許仮出願第63/288,647号の利益及び優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、入出力(IO)コネクタの分野に関し、より具体的には、高いデータレート用途での使用に好適なIOコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
入出力(IO)コネクタは、レセプタクルに係合するプラグモジュールコネクタを有するように設計される。プラグモジュールコネクタは、レセプタクルコネクタ内の端子に係合する接触部を有するパドルカードを含む。高いデータレート(56Gbpsを超えるレートなど)では、既存の設計は、プラグモジュールコネクタとレセプタクルコネクタとの間のインターフェースが信号完全性性能に悪影響を及ぼす原因となる累積公差を有する。特に、この問題は、データレートが増加するにつれてより大きな問題となる。
【発明の概要】
【0004】
バイアス型コネクタシステム及びその構成要素の様々な実施形態が説明される。第1の態様では、コネクタアセンブリであって、基板に取り付けられ、基板との電気的接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタであって、レセプタクルコネクタは、内部に位置付けられたコネクタを有するポートを画定するケージを含み、コネクタは、ポートと位置合わせされたカードスロットを含み、ポートは、内部に位置付けられた少なくとも1つのバイアス部材を含み、コネクタは、カードスロット内に位置付けられた接触部分を有する少なくとも1つの端子を含む、レセプタクルコネクタと、ポート内に挿入されるように構成されたプラガブルトランシーバモジュールを備えるプラグコネクタであって、プラガブルトランシーバモジュールは、少なくとも1つの端子の接触部分と係合するように構成された少なくとも1つの接触パッドを有するパドルカードを含む、プラグコネクタと、を含み、少なくとも1つのバイアス部材は、接触パッドのスタブ長が所定の範囲内になるようにプラガブルトランシーバモジュールをコネクタから離れる方向にバイアスする、コネクタアセンブリが説明される。
【0005】
少なくとも1つのバイアス部材は、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材を含んでもよく、第1のバイアス部材は、コネクタの第1の側に位置付けられてもよく、第2のバイアス部材は、コネクタの第2の側に位置付けられる。第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材は、プラガブルトランシーバモジュールの遠位端の対向する側に接触するように構成されてもよい。
【0006】
レセプタクルコネクタは、基板との電気的接続を形成するためにケージのプロングが位置付けられる複数の開口部を有するベースプレートを更に含んでもよく、少なくとも1つのバイアス部材は、ベースプレートと一体に形成され、少なくとも1つのバイアス部材は、ベースプレートから少なくとも部分的に垂直に延在する。少なくとも1つのバイアス部材は、挿入方向に延在する第1のC字形区分と、反対方向に延在する、第1のC字形区分と一体の第2のC字形区分と、を含んでもよい。
【0007】
レセプタクルコネクタは、レセプタクルコネクタに対するプラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されたプラグモジュール停止部を更に含んでもよい。例えば、プラグモジュール停止部は、ケージと一体に形成されたケージラッチを含んでもよく、ケージラッチは、少なくとも1つのバイアス部材によってプラガブルトランシーバから力が加えられたときに、プラグコネクタのハウジングに係合してプラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されている。
【0008】
第2の態様では、基板に取り付けられ、基板との電気的接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタであって、レセプタクルコネクタは、ポートを画定するケージを備え、ポートは、内部に位置付けられた少なくとも1つのバイアス部材と、接触部分を有する少なくとも1つの端子と、を含み、少なくとも1つのバイアス部材は、プラグコネクタの接触パッドのスタブが、少なくとも1つの端子と係合したときに所定の長さを有するように、プラグコネクタのプラガブルトランシーバモジュールを所定の位置まで付勢するように構成されている、レセプタクルコネクタが説明される。
【0009】
ポートは、内部に位置付けられたコネクタを有してもよく、コネクタは、ポートと位置合わせされたカードスロットを含み、コネクタは、少なくとも1つの端子を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイアス部材は、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材であり、第1のバイアス部材はポートの第1の側に位置付けられ、第2のバイアス部材はポートの第2の側に位置付けられ、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材は、プラガブルトランシーバモジュールの対向する側に接触するように構成されている。
【0010】
レセプタクルコネクタは、基板との電気的接続を形成するためにケージのプロングが位置付けられる複数の開口部を有するベースプレートを更に含んでもよく、少なくとも1つのバイアス部材は、ベースプレートと一体に形成され、少なくとも1つのバイアス部材は、ベースプレートから垂直に延在する。少なくとも1つのバイアス部材は、S字形本体を有してもよく、S字形本体は、挿入方向に延在する第1のC字形区分と、反対方向に延在する、第1のC字形区分と一体の第2のC字形区分と、を含む。
【0011】
レセプタクルコネクタは、レセプタクルコネクタに対するプラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されたプラグモジュール停止部を更に含んでもよく、プラグモジュール停止部は、ケージと一体に形成されたケージラッチを含んでもよく、ケージラッチは、少なくとも1つのバイアス部材によってプラガブルトランシーバから力が加えられたときに、プラグコネクタのハウジングに係合してプラガブルトランシーバモジュールの逆並進を制限するように構成されている。
【0012】
レセプタクルコネクタは、実質的に剛性である突出要素を更に含んでもよく、突出要素は、プラガブルトランシーバモジュールの前面から延在し、突出要素は、コネクタのハウジングの対向する部分に接触するように構成されている。突出要素は、異なる垂直平面上の第1の表面及び第2の表面を含む段付き本体を有してもよく、第1の表面及び第2の表面は、傾斜延在部分によって分離され、第1の表面及び第2の表面は、レセプタクルコネクタが配設される基板の上面に対して略平坦かつ平行であり、突出要素は、プラガブルトランシーバモジュールのハウジングと一体である。
【0013】
レセプタクルコネクタは、ケージの第1の内壁に位置付けられた第1の側壁突出部と、第1の内壁のものと反対側の、ケージの第2の内壁に位置付けられた第2の側壁突出部と、を更に含んでもよく、第1の側壁突出部及び第2の側壁突出部は、プラガブルトランシーバモジュールの一部分に接触して、ポート内でのプラガブルトランシーバモジュールの更なる並進を制限するように構成されている。第1の側壁突出部及び第2の側壁突出部は、ケージの第1の内壁及び第2の内壁上に形成された半円形のパンチアウトであってもよい。
【0014】
第3の態様では、コネクタアセンブリであって、基板に取り付けられ、基板との電気的接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタであって、レセプタクルコネクタは、ポートを画定するケージを備え、ポートは、内部に位置付けられた第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材を含み、コネクタは、接触部分を有する少なくとも1つの端子を含む、レセプタクルコネクタと、ポート内に挿入されるように構成されたプラガブルトランシーバモジュールを備えるプラグコネクタであって、プラガブルトランシーバモジュールは、少なくとも1つの端子の接触部分と係合するように構成された少なくとも1つの接触パッドを有する回路を含む、プラグコネクタと、を含み、第1のバイアス部材及び第2のバイアス部材は、少なくとも1つの接触パッドのスタブ長が所定の長さを有するように、プラガブルトランシーバモジュールを所定の位置まで付勢するように構成されている、コネクタアセンブリが説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。更に、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【0016】
図1】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの後方斜視図である。
図2】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの側面斜視図である。
図3】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの側面斜視図である。
図4】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの前方斜視図である。
図5】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの部分側面斜視図である。
図6】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの側面図である。
図7】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの側面斜視図である。
図8】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの側面図である。
図9】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの前方斜視図である。
図10】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの拡大側面斜視図である。
図11】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの拡大側面斜視図である。
図12】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの拡大側面斜視図である。
図13】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの拡大側面斜視図である。
図14】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの断面斜視図である。
図15】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの断面斜視図である。
図16】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの断面斜視図である。
図17】本開示の様々な実施形態による、バイアス型コネクタシステムの概略図である。
図18】本開示の様々な実施形態による、レセプタクルコネクタが示されていないバイアス型コネクタシステムの拡大斜視図である。
図19】本開示の様々な実施形態による、レセプタクルコネクタが示されていないバイアス型コネクタシステムの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
バイアス型コネクタシステム、並びに関連する方法、装置などに関する様々な実施形態が説明される。コンピュータ、コンピューティングシステム、及びコンピューティング環境によって処理されるデータの量は増加し続けている。例えば、データセンタは、光ケーブル、銅ケーブル、並びに様々なコネクタ、ケーブルアセンブリ、及びそれらの間の終端を使用して相互接続された何百ものコンピューティング及びネットワーキングシステムを含み得る。これらの相互接続のデータスループットは高く、増加している。例として、多くのデータセンタが、10ギガビットイーサネット(10GbE)、25GbE、50GbE、及び100GbEのネットワークインターフェース及び相互接続の組み合わせを組み込んでいる。200GbE、400GbE、及び800GbEの相互接続技術も開発され展開されている。他の相互接続ソリューションは、56ギガビット/秒(Gb/s)及び112Gb/sのネットワークインターフェース及び相互接続に依存し、224Gb/sの相互接続技術が開発されている。多様なケーブルアセンブリがデータ相互接続に利用可能である。コネクタが使用されるデータ通信環境の要件に応じて、それぞれのケーブルアセンブリに対して様々な設計が存在する。
【0018】
例えば、従来のプラグモジュール配置は、端子と接触パッドとの間の適切な接続を確実に得るために十分なワイプを保証しながら、プラグモジュールとレセプタクルとの間の完全な係合を確実にするラッチシステムにおいて特定の公差を含むように設計されている。この公差は、プラグモジュールを位置付けることができ、依然としてパドルカード上のパッドを、データ通信のためにレセプタクルの端子と適切に係合させることができる、様々な位置が存在することを必要とする。この累積公差の結果として、パドルカードの接触パッドは、一般に、端子の接触部分との電気的接触が保証されるように長くされる。
【0019】
倍密度スモールフォームファクタプラガブル(small form-factor pluggable double density、SFP-DD)、コンパクトスモールフォームファクタプラガブル(compact small form-factor pluggable 、cSFP)、SFP+、クアッドスモールフォームファクタプラガブル(quad small form-factor pluggable、QSFP)、倍密度クアッドスモールフォームファクタプラガブル(quad small form-factor pluggable double density 、QSFP-DD)などを含む、多様なSFPプラガブルトランシーバモジュールが現在利用可能である。SFPプラガブルトランシーバモジュールは、1つ又は複数のパッケージ化された半導体回路デバイス又はチップを含むことが多い。SFPプラガブルトランシーバモジュールを有するアクティブ電気ケーブル(active electrical cable 、AEC)アセンブリは、例えば、信号リタイミングのためのパッケージ化された半導体チップを含み得る。AECアセンブリ半導体チップは、他の機能の中でも、データ信号の損失及びタイミングプレーンをリセットし、雑音を除去し、信号完全性を改善し得る。例えば、SFPプラガブルトランシーバモジュールを有するアクティブ光ケーブル(active optical cable、AOC)アセンブリは、光信号を電気信号に変換するためのパッケージ化された半導体チップを含み得る。AOC内の半導体チップは、送信機用光サブアセンブリ(transmitter optical subassemblies 、TOSA)によって送信された光信号を受信するように構成された受信機用光サブアセンブリ(receiver optical subassemblies、ROSA)を含み得る。ROSAは、光信号を変換して電気信号に戻すように構成されている。
【0020】
しかしながら、パドルカード上の電気接触部の追加の長さによって、一端で電気的に絶縁される導電性材料の「スタブ」又は短尺が生じる。スタブは信号をその上に伝搬させ、次いで信号はそこで反射して実際の伝送チャネルに戻される。スタブは、データ通信中に追加の雑音を引き起こす。より低いデータレートでは、スタブが無視され得るほど信号周波数が十分に低いことから、必要とされるスタブのサイズはあまり問題にならない。しかしながら、高いデータレート(例えば、112Gbps、224Gbpsなど)では、信号周波数は非常に高くなるので、スタブ長は信号完全性に著しい影響を及ぼす。しかしながら、管理されなければならない様々な要素が積み重なっているため、ラッチングシステムの公差を改善することは実際的でなく、よってスタブ長を低減することは困難であることが判明している。
【0021】
したがって、パドルカード上の接触パッドに係合する端子の接触部分が、接触パッドの縁部に向かってバイアスされ、ラッチシステムによって許容される公差範囲の1つの縁部に向かってバイアスされるように、レセプタクルに対するプラグモジュールの位置をバイアスするための様々な実施形態が本明細書で説明される。これにより、信号完全性に著しい影響が及ばなくなるように、スタブの結果的な長さを短くすることが可能になる。
【0022】
上記で概説した文脈において、スタブ長が所定の長さであるか、又はデータ通信に許容可能な(かつ実質的な信号干渉がない)所定の範囲内にあることを確実にするためのコネクタアセンブリの様々な実施形態が説明される。様々な実施形態において、コネクタアセンブリは、基板に取り付けられ、基板との電気接続を形成するように構成されたレセプタクルコネクタを含む。レセプタクルコネクタは、内部に位置付けられたコネクタを有するポートを画定するケージを含む。コネクタは、ポートと位置合わせされたカードスロットを含む。更に、ポートは、内部に位置付けられた少なくとも1つのバイアス部材を含む。コネクタは、例えば、カードスロット内に位置付けられた接触部分を有する少なくとも1つの端子を含んでもよい。
【0023】
コネクタアセンブリは、プラガブルトランシーバモジュールを有するプラグコネクタを更に含む。したがって、コネクタアセンブリは、ポート内に挿入されるように構成されている。様々な実施形態において、プラガブルトランシーバモジュールは、少なくとも1つの端子の接触部分と係合するように構成された少なくとも1つの接触パッドを有するパドルカードを含む。少なくとも1つのバイアス部材は、接触パッドのスタブ長が所定の長さになるように、又は、とりわけ224Gb/sなどの様々な速度としてデータ通信に対して許容可能であると考えられる所定の範囲内になるように、プラガブルトランシーバモジュールをコネクタから離れる方向にバイアス又は付勢し得る。
【0024】
ここで図面を参照すると、図1図9は、レセプタクルコネクタ100(又は「レセプタクル100」)と、プラグコネクタ200と、回路基板300と、を含むコネクタアセンブリ10の様々な斜視図である。具体的には、図1に関して、図1は、様々な実施形態によるコネクタアセンブリ10を示す後方斜視図である。図1は、図12に拡大して示されるコールアウト領域12を含む。同様に、図2は、側面から見た後方斜視図であり、レセプタクル100のケージ及びインシュレータが説明のために示されていない。図3は、図1及び図2と反対の側面から見たコネクタアセンブリ10の側面斜視図であり、ケージ103の上部及び側部、並びにプラグコネクタ200の上部は、説明のために示されていない。図4は、コネクタアセンブリ10の前方斜視図であり、ケージ103の上部及び側部は説明のために示されていない。
【0025】
概して、図1図4を参照すると、コネクタアセンブリ10は、レセプタクル100と、プラグコネクタ200と、を含む。レセプタクル100は、プラグコネクタ200と回路基板300並びに他の上流又は下流電子機器との間の通信を可能にするために、回路基板300又は他の基板に取り付けられるように構成されてもよい。
【0026】
他の構成要素の中でも、レセプタクル100は、プラグコネクタ200を受容するように構成されたポート106(図3を参照)を画定するケージ103を含む。レセプタクル100のケージ103の一部分が図1に示されているが、ケージ103は、説明のために図2図3図4図6図7、及び図9では省略されている。ケージ103は、いくつかの実施形態では、金属及び導電材料から形成されてもよく、したがって、ケージ103は、金属又は金属合金から形成されてもよい。絶縁体シールド又はダストシールド(図示せず)は、少なくとも部分的に、ケージ103の一部分の周囲に位置付けられてもよい。いくつかの実装形態では、ケージ103は、回路基板300との機械的結合、電気的結合、又は機械的及び電気的結合(接地を含む)のために下方に延在する、図10の拡大図に示される多数のプロング108を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プロング108は、ケージ103を回路基板300又はその接地トレースに接地するために導電性である。図3は、説明のためにその上部カバー202を除いたレセプタクル100を示す。
【0027】
図5は、コネクタアセンブリ10の前部の拡大部分断面図であり、図6図7図8及び図9は、コネクタアセンブリ10の前部の様々な側面図である。図1図9をまとめて参照すると、プラグコネクタ200は、ケーブル203の遠位端に位置付けられ得るプラガブルトランシーバモジュール206(「プラグモジュール206」とも呼ばれる)に取り付けられたケーブル203を含んでもよい。プラグモジュール206、又は少なくともその一部分は、理解され得るように、レセプタクル100のポート106に挿入され得る。プラグモジュール206は、後述するように、レセプタクル100内に位置付けられたコネクタと電気的に接続するために、ポート106内に挿入され、入れ子になり得る。更に、プラグモジュール206は、プラグコネクタ200のラッチシステムがレセプタクル100に係合するか、又はそこから解放されることを可能にするように構成されているラッチハンドル209を含む。しかしながら、プラグコネクタ200の代替実施形態は、ラッチハンドル209又はラッチシステムが取り付けられていないケーブル本体を含んでもよい。
【0028】
プラグモジュール206は、パドルカード215などの回路を内部に有し、保護するハウジング212を有する。例えば、ハウジング212は、パドルカード215の側面を遮蔽する第1の側壁218a及び第2の側壁218bを含んでもよい。パドルカード215は、レセプタクル100内のコネクタ112及び回路基板300などのそれぞれの構成要素との電気的接続を形成するための接触パッド221を含んでもよい。回路基板300は、例えば、レセプタクル100が取り付けられる、コンピューティング、ネットワーキング、又は関連システムのプリント回路基板(PCB)を含んでもよい。したがって、パドルカード215は、プラグコネクタ200とレセプタクル100との間のインターフェースの一部であってもよい。
【0029】
プラグコネクタ200のケーブル203は、任意の特定のタイプのケーブル又はケーブルアセンブリに限定されることを意図せず、ケーブル203は、光ファイバ、銅、又は他のタイプのケーブルとして具現化されてもよい。したがって、ケーブル203は、AEC、及びAOC、又は関連するタイプのケーブルの一例である。プラグモジュール206も代表的なものであり、本明細書で説明する概念は、SFP、SFP-DD、cSFP、SFP+、QSFP、QSFP-DD、及び関連するタイプのプラガブルモジュールを含む、種々のプラガブルモジュールに適用され得る。
【0030】
次に、レセプタクル100を参照すると、レセプタクル100は、ポート106と位置合わせされたカードスロット115を有するコネクタ112を含んでもよい。ポート106は、1つ以上のバイアス部材109a、109b(集合的に「バイアス部材109」)を更に含んでもよい。コネクタ112は、少なくとも部分的にカードスロット115内に位置付けられた接触部分を有する多数の端子121を含んでもよい。コネクタ112の端子121は、後述するように、パドルカード215の導電性接触パッド227に係合してもよい。
【0031】
プラグモジュール206を適切に位置付けるために、1つ以上のバイアス部材109a、109b(集合的に「バイアス部材109」)がケージ103内に位置してもよい。例えば、バイアス部材109は、プラグモジュール206のハウジング212の一部分に接触するために、ポート106に又はその内部に位置付けられる。様々な実施形態によれば、バイアス部材109は、ポート106を画定するケージ103の底壁に形成されてもよい。したがって、バイアス部材109は、いくつかの実施形態では、ケージ103の底面又は側面と一体であってもよい。例えば、ケージ103が単一の金属材料又は導電性材料から形成される実施形態では、一枚の板金を打ち抜き加工してバイアス部材109が形成されてもよい。
【0032】
プラグモジュール206がケージ103の中に完全に挿入されると、バイアス部材109は、プラグモジュール206のハウジング212に係合するか、ないしは別の方法で接触し得る。バイアス部材109は、図7に示される方向D1 にプラグモジュール206をバイアスする(例えば、押す、圧力又は力を加えるなど)。図示のように、プラグモジュール206は、挿入方向と反対の方向に、換言すれば、プラグモジュール206(より具体的には、そのパドルカード215)が嵌合されるコネクタ112から離れる方向にバイアスされ得る。換言すれば、1つ以上のバイアス部材109は、プラグモジュール206に対して、挿入方向とは反対の方向に、及び/又はプラグモジュール206が嵌合されるコネクタ112から離れる方向に力を加え得る。プラグモジュール206のレセプタクル100への挿入を阻止するようにバイアス部材109を作用させることは、そのような活動が挿入力を増加させる傾向を有し、力の過剰な行使によってプラグモジュール206又はレセプタクル100を損傷させる恐れがあるため、通常は望ましくない。しかしながら、予想されるプラグモジュール移動範囲の終端付近にバイアス部材109を配置することによって、挿入力への影響が実質的に軽減されることが確認されている。
【0033】
プラグモジュール206がケージ103のポート106から偶発的に引き戻されることを防止するために、特に、バイアス部材109がプラグモジュール206の前部に力を加える状態では、バイアス部材109によって引き起こされる逆並進は、いくつかの実施形態では、プラグモジュール停止部によって制限され得、プラグモジュール停止部は、プラグモジュール206のハウジング212に係合し、したがって、プラグモジュール206の後方移動を制限する、図10に示されるようなケージラッチ124であり得る。例えば、プラグモジュール206のハウジング212は、突出部、フック、又はケージラッチ124を捕捉するか、ないしは別の方法で係合する他のデバイスを含んでもよい。
【0034】
プラグモジュール206が過度に並進されないことを確実にするために、バイアス部材109によって引き起こされる並進は、図7図8、及び図18に示されるように、いくつかの実施形態では、突出要素233によって制限されてもよい。突出要素233は、プラグモジュール206の移動を制限するために、説明のために図18には示されていないコネクタ112のハウジングの対向する部分に接触してもよい。図18はまた、説明のために上部カバー202を除いたプラグコネクタ200を示す。突出要素233は、バイアス部材109によって処理されるよりも大きい力が1つ以上のバイアス部材109に加えられないことを確実にする、ハウジング212の前面230から突出する実質的に剛性のデバイスを含んでもよい。加えて、又は代替的に、バイアス部材109によって引き起こされるプラグモジュール206の移動は、ラッチシステムによって制限され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、突出要素233は、例えば、回路基板300に対して異なる垂直平面上又は高さに第1の表面236及び第2の表面239を有する、段付き本体を含む。第1の表面236及び第2の表面239は、結合されたときに第2の表面239がコネクタ112及びパドルカード215の下に位置付けられ得るように、垂直又は傾斜延在部分241によって分離され得る。第1の表面236及び第2の表面239は、回路基板300の上面に対して概ね平坦(かつ平行)であるが、傾斜延在部分241は、例えば、下向きに角度付けされてもよい。このサイズ決め及び位置決めは、パドルカード215及びコネクタ112の端子121が、結合して電気接続を形成するのに十分な空間を有することを可能にし得る。突出要素233は、上部カバー202又は他の適切な構成要素の突出部と位置合わせされ得る開口部244を含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、突出要素233は、プラグモジュール206のハウジング212と一体である。
【0036】
更に、ケージラッチ124及び突出要素233に加えて、又はそれらに関して代替的に、プラグモジュール206が過度に並進されないことを確実にするために、バイアス部材109によって引き起こされる並進は、図19に示されるように、側壁突出部139a、139b(集合的に「側壁突出部139」)によって制限されてもよい。図19は、コネクタアセンブリ10の前部のX-Y軸に沿った断面を示す。側壁突出部139は、例えば、ケージ103の内壁上に位置付けられてもよく、したがって、いくつかの実装形態では、ケージ103と一体であってもよい。例えば、側壁突出部139は、単一の金属片に形成されたパンチアウトを含んでもよい。図19に示されるように、側壁突出部139は、半円形であってもよいが、他の実装では、他の形状の突出部が採用されてもよい。一般的に、側壁突出部139は、プラグモジュール206がポート106内に過度に並進されないことを確実にするために、ハウジング212の前部(又は他の適切な部分)と接触する。突出要素233と同様に、側壁突出部139は、バイアス部材109によって処理されるよりも大きい力が1つ以上のバイアス部材109に加えられないことを確実にする、実質的に剛性のデバイスを含んでもよい。
【0037】
したがって、ポート内のプラグモジュール206の場所をより正確に制御することによって、端子の接触部分は、信頼性のある接続を依然として確保しながら、接触パッドの端部に向かって付勢され得、したがって、スタブ長は低減され得る。その結果、特に高データレートアプリケーション(例えば、112Gbps、224Gbpsなど)に対して、信号完全性性能が改善される。
【0038】
様々な実施形態において、バイアス部材109は、第1のバイアス部材109a及び第2のバイアス部材109bを含むが、本明細書に開示される実施形態は、1つ又は2つのバイアス部材109のみに限定されない。したがって、3つのバイアス部材109、4つのバイアス部材109などがあってもよい。少なくとも2つのバイアス部材109がある実施形態では、第1のバイアス部材109aは、ポート106の第1の側に位置付けられてもよく、第2のバイアス部材109bは、ポート106の対向する第2の側に位置付けられてもよい。図7の拡大図に示されるように、第1のバイアス部材109a及び第2のバイアス部材109bは、プラグモジュール206の遠位端の対向する側に接触するように位置付けられ、構成されてもよい。例えば、バイアス部材109は、プラグモジュール206の前面230に接触してもよい。しかしながら、バイアス部材109は、別様にポート106内に位置付けられてもよく、したがって、プラグモジュール206の他の部分に接触して、プラグモジュール206を方向D1 にバイアス又は付勢し得ることが理解される。
【0039】
レセプタクル100は、いくつかの実施形態では、ベースプレート130を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、ベースプレート130は、ケージ103と別個であってもよく、又は一体であってもよい。ベースプレート130は、回路基板300又は他の基板に接触してもよく、したがって、様々な実施形態では、実質的に平面又は平坦な表面を含んでもよい。ベースプレート130は、プラグモジュール206をポート106内に係合し、案内し、保持する多数の指部133を含んでもよい。指部133は、いくつかの実施形態では、ベースプレート130と一体に形成されてもよい。図10に示されるように、指部133は、プラグモジュール206のハウジング212のそれぞれの側壁218をバイアス又は付勢するように湾曲されてもよく、プラグモジュール206に確実かつぴったりとした嵌合を提供する。
【0040】
また、図10に示されるように、ベースプレート130は、多数のプロング開口部136を更に含んでもよい。ケージ103のプロング108は、例えば、プロング108が回路基板300に機械的及び/又は電気的に結合するように、プロング開口部136を通して位置付けられてもよい。指部133と同様に、バイアス部材109は、いくつかの実施形態では、ベースプレート130と一体に形成されてもよく、ベースプレート130の平面に対して垂直に延在してもよい。図6に示されるように、バイアス部材109は、後述するように、スタブ長が所定の距離であるか又は所定の距離範囲内であるように、プラグモジュール206のハウジング212をバイアス又は付勢するように湾曲していてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、バイアス部材109は、ステンレス鋼などの好適な材料から形成される場合、過度に剛性の接触点を提供することなく、プラグモジュール206をバイアス又は付勢するS字形である。
【0041】
この目的のために、様々な実施形態では、バイアス部材109はS字形であってもよい。例えば、バイアス部材109は、挿入方向に延在する第1のC字形区分と、挿入方向とは反対の方向に延在する、第1のC字形区分に結合され、第1のC字形区分と一体の第2のC字形区分と、を含んでもよい。しかしながら、本開示の様々な態様から逸脱することなく、バイアス部材109の他の好適な形状が用いられてもよいことが理解される。
【0042】
図16及び図17を参照すると、電気的性能を改善するために、端子接触点403の場所を、典型的にパドルカード215の接触パッド227の一端にあるビア406から離れる方向にシフトさせることが望ましい場合がある。加えて、接触パッド先端縁415が参考のために示されている。バイアス部材109は、端子接触点403をスタブ端部409に向かって、又はスタブ端部409から所定の距離だけ(又は距離の範囲内で)付勢するように構成されてもよい。研究では、スタブの結果的な長さ、スタブ長412の変動は、30%を上回って低減され得、スタブ長の量をより良好に予測するこの能力は、システム性能の改善及びデータ通信中の信号干渉の低減を可能にする。いくつかの実施形態では、スタブ長412は、接触パッド227上の端子121の所望の最小ワイプに等しい。
【0043】
理解され得るように、図示の実施形態は、プラグモジュールハウジングの前面に係合するように構成されたバイアス部材109を示しているが、このような構造は必須ではない。代替構造は、バイアス部材109をケージ103の屋根に、例えば、フランジが挿入されることが意図される最大深さに等しい点の近くに配置することを含む。更に、代替実施形態では、バイアス部材109は、プラグモジュールハウジング内に提供されるスロットと位置合わせされ得、その結果、バイアス部材109には、移動の終端付近でのみ遭遇する。
【0044】
上述の特徴、構造体、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の適切な方法で組み合わされてもよく、様々な実施形態で論じられる特徴は、可能であれば交換可能であってもよい。以下の説明では、本開示の実施形態を完全に理解するために、多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者は、本開示の技術的解決策が、特定の詳細のうちの1つ以上がなくても実施され得ること、又は他の方法、構成要素、材料などが用いられてもよいことを理解するであろう。他の例では、本開示の態様を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造体、材料、又は動作は詳細に図示されず、説明もされない。
【0045】
「上(on)」、「下(below )」、「上側(upper )」、「下側(lower )」などの相対的な用語は、ある構成要素と別の構成要素との相対的な関係を説明するために本明細書で使用されるが、これらの用語は、例えば、図面に示された例における方向として、本明細書で便宜上のみ使用される。デバイスが上下逆にされる場合、上述の「上側」構成要素は、「下側」構成要素になることを理解されたい。ある構造体が別の構造体の「上に」ある場合、その構造体は、別の構造体の上に一体に形成されること、又はその構造体が別の構造体の上に「直接的に」配設されること、又はその構造体が他方の構造体の上に、その他の構造体を介して「間接的に」配設されることが可能である。
【0046】
本明細書において、「1つの(a 、 an)」、「その(the )」、及び「該(said)」などの用語は、1つ以上の要素及び構成要素の存在を示すために使用される。「備える(comprise)」、「含む(include )」、「有する(have)」、「含有する(contain )」という用語及びそれらの変形は、オープンエンドであるように使用され、添付の「特許請求の範囲」において別段に指定されない限り、列挙された要素、構成要素などに加えて、追加の要素、構成要素などを含むことを意味する。
【0047】
「第1」、「第2」などの用語は、対象の数を限定するのではなく、標識としてのみ使用される。複数の構成要素が示されている場合、それらの構成要素は、適用可能な範囲で、「第1」の構成要素、「第2」の構成要素などと呼ばれ得ることが理解される。
【0048】
本開示の上述の実施形態は、本開示の原理の明確な理解のために記載された実施態様の可能な例にすぎない。本開示の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態に対して多くの変更及び修正を行うことができる。すべてのそのような修正及び変更は、本開示の範囲内で本明細書に含まれ、以下の「特許請求の範囲」によって保護されることが意図される。
図1
図2
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