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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240326BHJP
【FI】
G01M99/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022504352
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007730
(87)【国際公開番号】W WO2021177235
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020035263
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】手塚 淳一
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-028513(JP,A)
【文献】特開2016-200523(JP,A)
【文献】堀口 光敏,小型誘導電動機の機械損の測定法,電学論,2006年,第126巻10号,1415-1416頁
【文献】小峯 孝之 他4名,高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究,東洋電機技報,2019年,第140号,11-19頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M13/00-13/045,99/00
H02K17/00-17/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電動機を制御する制御装置であって、
前記誘導電動機への電力の供給を遮断する電力遮断部と、
前記電力遮断部が前記誘導電動機への電力の供給を遮断した後に、連続的に前記誘導電動機の回転速度を取得する速度取得部と、
取得された回転速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部と、
前記誘導電動機の主軸の慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得部と、
取得された回転速度と算出された加速度と取得された慣性モーメントとに基づいて前記誘導電動機の機械損を算出する機械損算出部と、
算出された機械損を出力する出力部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
算出された機械損について、回転速度の増加に対する機械損の増加率が所定値よりも大きくなる変化を検出する検出部をさらに備え、
前記出力部は、所定値よりも大きくなる変化が検出されたことを示す信号を出力する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記検出部は、機械損の増加率が所定値よりも大きくなる回転速度を検出し、
前記出力部は、検出された回転速度を示す信号を出力する請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
誘導電動機を制御する制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記誘導電動機への電力の供給を遮断する電力遮断部、
前記電力遮断部が前記誘導電動機への電力の供給を遮断した後に、連続的に前記誘導電動機の回転速度を取得する速度取得部、
取得された回転速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部、
前記誘導電動機の主軸の慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得部、
取得された回転速度と算出された加速度と取得された慣性モーメントとに基づいて前記誘導電動機の機械損を算出する機械損算出部、
算出された機械損を出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、誘導電動機を有する工作機械が知られている。誘導電動機は、例えば、その比較的広い低出力特性により、主軸の回転に用いられる。
【0003】
ところで、主軸の機械的な摩擦が大きいことに起因して、誘導電動機の無負荷起動時において、比較的大きな発熱が発生することがある。また、主軸の機械的な摩擦が大きいことに起因して、誘導電動機の出力仕様通りの加工ができないことがある。このような状態を検出するために、例えば、モータの劣化状態を検査する工作機械が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-200523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の工作機械では、主軸モータへの動力が遮断された後、慣性で回転するモータの停止までの時間を計測している。また、特許文献1に記載の工作機械では、計測された時間が、予め定められたしきい値の時間間隔から外れるか否かを判別している。これにより、モータの劣化を容易に検出することができる。特に、誘導電動機において、機械損の状況を容易に出力できることは有用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、誘導電動機を制御する制御装置であって、前記誘導電動機への電力の供給を遮断する電力遮断部と、前記誘導電動機の回転速度を取得する速度取得部と、取得された回転速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部と、前記誘導電動機の主軸の慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得部と、取得された回転速度と算出された加速度と取得された慣性モーメントとに基づいて前記誘導電動機の機械損を算出する機械損算出部と、算出された機械損を出力する出力部と、を備える制御装置に関する。
【0007】
(2)また、本開示は、誘導電動機を制御する制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記誘導電動機への電力の供給を遮断する電力遮断部、前記誘導電動機の回転速度を取得する速度取得部、取得された回転速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部、前記誘導電動機の主軸の慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得部、取得された回転速度と算出された加速度と取得された慣性モーメントとに基づいて前記誘導電動機の機械損を算出する機械損算出部、算出された機械損を出力する出力部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、誘導電動機において、機械損の状況を容易に出力できる制御装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る制御装置を含む制御システムを示す概略構成図である。
図2】一実施形態の制御装置によって制御される誘導電動機の入力と出力との関係を示す模式図である。
図3】一実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態の制御装置の速度取得部によって取得される誘導電動機の回転速度と、時刻との関係を示すグラフである。
図5】一実施形態の制御装置の加速度算出部によって算出される誘導電動機の加速度と、時刻との関係を示すグラフである。
図6】一実施形態の制御装置の出力部によって出力される回転速度と機械損との関係の一例を示すグラフである。
図7】一実施形態の制御装置の出力部によって出力される回転速度と機械損との関係の一例を示すグラフである。
図8】一実施形態の制御装置の出力部によって出力される回転速度と機械損との関係の一例を示すグラフである。
図9】一実施形態の制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係る制御装置1及びプログラムについて、図1から図9を参照して説明する。
本実施形態の制御装置1及びプログラムを説明するのに先立って、制御装置1を含む制御システム100の構成について説明する。
【0011】
制御システム100は、例えば、図1に示すように、産業機械10と、制御装置1と、を備える。制御システム100は、例えば、予め定められた加工プログラムに従って、ワークWを加工するシステムである。
【0012】
産業機械10は、例えば、工作機械である。産業機械10は、載置台Tに載置されているワークWを加工する。産業機械10は、誘導電動機11と、工具12と、を備える。なお、産業機械10とは、例えば、工作機械、産業用ロボット、サービス用ロボット、鍛圧機械及び射出成形機といった様々な機械を含む機械をいう。
【0013】
誘導電動機11は、例えば、主軸(図示せず)を駆動する電動機である。誘導電動機11は、通電時には、回転磁界の発生により、主軸を軸心周りに回転させる。一方、誘導電動機11は、電源遮断後には、慣性によって停止まで、主軸を軸心周りに回転させる(以下、電源遮断後の回転を「フリーラン」ともいう)。
【0014】
工具12は、例えば、実際にワークWを除去加工する器具である。工具12は、主軸に配置される。工具12は、例えば、誘導電動機11の主軸に装着される。そして、工具12は、誘導電動機11のトルクを用いてワークWを加工する。
【0015】
制御装置1は、産業機械10を制御する装置である。制御装置1は、例えば、誘導電動機11の動作をサーボ制御する装置である。制御装置1は、誘導電動機11の動作(回転速度)を制御することにより、所望の形状にワークWを加工させる。
【0016】
次に、誘導電動機11の機械損の算出方法についてより詳しく説明する。
誘導電動機11は、例えば、図2に示すように、電力の入力(供給)に対して、動力を出力する。このとき、誘導電動機11における損失は、入力と出力との差で求められる。すなわち、(損失)=(入力)-(出力)で求められる。
【0017】
そして、損失は、銅損と、鉄損と、機械損との和で求められる。すなわち、(損失)=(銅損)+(鉄損)+(機械損)で求められる。
ここで、銅損は、電流によって生じる損失である。また、鉄損は、磁束変化によって生じる損失である。
【0018】
誘導電動機11は、永久磁石を有していない。そのため、誘導電動機11では、電力遮断により、銅損及び鉄損が共に0になる。すなわち、誘導電動機11では、(損失)=(機械損)となり、(機械損)=-(出力)となる。そして、動力遮断により機械損のみで減速停止する際のある区間における平均損失P[W]は、主軸の慣性モーメントJ[kgm]を用いて

【数1】
とあらわされる。ここで、N(1/min)は、上記ある区間の開始時刻t(sec)における開始速度である。また、Nは、上記ある区間の終了時刻t(sec)における終了速度である。
また、減速停止する際のある角速度ω[rad/s]における角加速度a[rad/s]を用いると、その角速度ω[rad/s]における機械損L[W]は
L=J・a・ω
を算出することで求められる。
【0019】
次に、本実施形態の制御装置1及びプログラムについて説明する。
本実施形態に係る制御装置1は、例えば、図3に示すように、電力遮断部101と、速度取得部102と、加速度算出部103と、慣性モーメント取得部107と、機械損算出部104と、検出部105と、出力部106と、を備える。
【0020】
電力遮断部101は、例えば、CPUが動作することにより実現される。電力遮断部101は、誘導電動機11への電力の供給を遮断する。電力遮断部101は、例えば、所定のタイミングにおいて、誘導電動機11への電源部(図示せず)からの電力供給を遮断する。具体的には、電力遮断部101は、産業機械10に対して、誘導電動機11への電力供給を遮断する指令を送出することで、産業機械10に誘導電動機11への電力供給を遮断させる。
【0021】
速度取得部102は、例えば、CPUが動作することにより実現される。速度取得部102は、誘導電動機11の回転速度を取得する。速度取得部102は、例えば、誘導電動機11に設けられるセンサ(図示せず)から角速度を示す出力信号を取得することで、誘導電動機11の回転速度を取得する。速度取得部102は、例えば、図4に示すような、時刻t0で電力を遮断した際における、誘導電動機11の回転速度を取得する。
【0022】
加速度算出部103は、例えば、CPUが動作することにより実現される。加速度算出部103は、取得された回転速度に基づいて加速度を算出する。加速度算出部103は、例えば、取得された回転速度を微分することで加速度を算出する。加速度算出部103は、例えば、図5に示すような、時刻t0で電力を遮断した際における、誘導電動機11の機械損による加速度を算出する。
【0023】
慣性モーメント取得部107は、例えば、CPUが動作することにより実現される。慣性モーメント取得部107は、誘導電動機11の主軸の慣性モーメントについて、外部から取得する。
【0024】
機械損算出部104は、例えば、CPUが動作することにより実現される。機械損算出部104は、取得された回転速度と算出された加速度と、取得された慣性モーメントとに基づいて誘導電動機11の機械損を算出する。機械損算出部104は、例えば、図6に示すような、機械損と、回転速度(周波数)との関係を算出する。
【0025】
なお、誘導電動機11の摩擦等が変化する突発的な事象が発生したと考えられる場合、機械損算出部104は、図7に示すような、機械損と、回転速度(周波数)との関係を算出する。この例において、機械損算出部104は、回転速度v1において、他の回転速度に比べて高い機械損の変化率を算出する。すなわち、機械損算出部104は、回転速度v1において、回転速度の増加に対する機械損の増加率について、比較的高い機械損の増加率を算出する。
【0026】
また、誘導電動機11のベアリング(図示せず)の潤滑が適切な状態でない場合、機械損算出部104は、図8に示すような、機械損と、回転速度(周波数)との関係を算出する。この例において、機械損算出部104は、回転速度v2において、他の回転速度に比べて高い機械損の変化率を算出する。すなわち、機械損算出部104は、回転速度v2において、回転速度の増加に対する機械損の増加率について、比較的高い機械損の増加率を算出する。
【0027】
検出部105は、例えば、CPUが動作することにより実現される。検出部105は、算出された機械損について、速度の増加に対する機械損の増加率が所定値よりも大きくなる変化を検出する。また、検出部105は、増加率が所定よりも大きくなる回転速度を検出する。検出部105は、例えば、図6の例では、所定値よりも大きくなる増加率の変化を検出しない。検出部105は、例えば、図7の例では、回転速度v1における機械損の増加を所定値よりも大きくなる増加率の変化として検出する。検出部105は、例えば、図8の例では、回転速度v2における機械損の増加を所定値よりも大きくなる増加率の変化として検出する。
【0028】
出力部106は、例えば、CPUが動作することにより実現される。出力部106は、算出された機械損を出力する。出力部106は、例えば、機械損算出部104によって算出された回転速度(周波数)と機械損との関係をディスプレイ等の表示装置(図示せず)に表示させる信号として出力する。また、出力部106は、所定値よりも大きくなる変化が検出されたことを示す信号を出力する。出力部106は、例えば、所定値よりも大きくなる変化が検出されたことを示す信号を表示や音声等の信号として出力する。また、出力部106は、検出された回転速度を示す信号を出力する。出力部106は、例えば、検出された回転速度v1を示す信号を出力する。また、出力部106は、例えば、検出された回転速度v2を示す信号を出力する。
【0029】
次に、制御装置1の動作について説明する。
まず、電力遮断部101は、誘導電動機11への電力の供給を遮断する(ステップS1)。次いで、速度取得部102は、誘導電動機11の回転速度を経時的に取得する(ステップS2)。次いで、加速度算出部103は、取得された回転速度に基づいて加速度を算出する(ステップS3)。また、慣性モーメント取得部107は、誘導電動機11の主軸の慣性モーメントを取得する(ステップS4)。次いで、機械損算出部104は、取得された回転速度と、算出された加速度と、取得された慣性モーメントとに基づいて、機械損を算出する(ステップS5)。
【0030】
次いで、検出部105は、回転速度の増加と機械損との関係において、所定値以上の増加率となる回転速度を検出する(ステップS6)。所定値以上の増加率が検出された場合(ステップS6:YES)、処理は、ステップS7に進む。一方、所定値以上の増加率が検出されない場合(ステップS6:NO)、検出部105は、信号を出力しない。そして、処理は、ステップS8に進む。
【0031】
ステップS7において、検出部105は、検出されたことを示す信号を出力部106に送る。また、検出部105は、検出された回転速度を示す信号を出力部106に送る。そして、処理は、ステップS8に進む。
【0032】
ステップS8において、出力部106は、算出された機械損を出力する。また、出力部106は、検出部105からの信号を受信している場合に、所定値以上の増加率が検出されたことを示す信号と、検出された回転速度を示す信号とを出力する。
【0033】
次に、プログラムについて説明する。
制御装置1に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0034】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、表示プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0035】
以上、一実施形態に係る制御装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(1) 誘導電動機11を有する産業機械10を制御する制御装置1であって、誘導電動機11への電力の供給を遮断する電力遮断部101と、誘導電動機11の回転速度を取得する速度取得部102と、取得された回転速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部103と、誘導電動機11の主軸の慣性モーメントを取得する慣性モーメント取得部107と、取得された回転速度と算出された加速度と取得された慣性モーメントとに基づいて誘導電動機11の機械損を算出する機械損算出部104と、算出された機械損を出力する出力部106と、を備える。これにより、誘導電動機11において、機械損の状況を容易に出力できる。したがって、誘導電動機11の無負荷動作時の振動や発熱が大きい場合に、主軸Mの機械的な異常の有無を容易に判別できる。また、主軸Mに異常がある場合に、要因を切り分けて分析を容易にすることができる。
【0036】
(2) 制御装置1は、算出された機械損について、回転速度の増加に対する機械損の増加率が所定値よりも大きくなる変化を検出する検出部105をさらに備え、出力部106は、所定値よりも大きくなる変化が検出されたことを示す信号を出力する。これにより、誘導電動機11の機械損の異常について、算出された機械損とともに出力することができる。
【0037】
(3) 検出部105は、機械損の増加率が所定値よりも大きくなる回転速度を検出し、出力部106は、検出された回転速度を示す信号を出力する。これにより、異常の詳細についても出力することができる。したがって、想定される不具合の種類について、予測可能な情報を提供することができる。
【0038】
以上、本開示の制御装置及びプログラムの好ましい一実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、速度取得部102は、電力供給の遮断後に動作するとしたが、これに制限されない。速度取得部102は、常時、誘導電動機11の回転速度を取得していてもよい。
【0039】
また、上記実施形態において、機械損の増加率に基づいて、想定される異常の要因について出力する要因出力部(図示せず)をさらに備えてもよい。要因出力部は、例えば、図7に示すような場合、摩擦等が変化する突発的な事象が発生したと考えられることを示す信号を出力部106に送信してもよい。また、要因出力部は、例えば、図8に示すような場合、ベアリングの潤滑が適切な状態でなく、高速域で損失が増加していることを示す信号を出力部106に送信してもよい。出力部106は、要因出力部から取得した信号を出力してもよい。
【0040】
また、上記実施形態において、検出部105は、機械損の増加率が所定値よりも大きくなる回転速度について、領域として検出してもよい。出力部106は、検出された回転速度の領域を示す信号を出力してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 制御装置
10 産業機械
11 誘導電動機
12 工具
101 電力遮断部
102 速度取得部
103 加速度算出部
104 機械損算出部
105 検出部
106 出力部
107 慣性モーメント取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9