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特許7460759固体の液体における分散に使用されるインペラアセンブリ及び当該インペラアセンブリを使用した固液混合装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】固体の液体における分散に使用されるインペラアセンブリ及び当該インペラアセンブリを使用した固液混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/271 20220101AFI20240326BHJP
   B01F 27/111 20220101ALI20240326BHJP
   B01F 27/93 20220101ALI20240326BHJP
   B01F 27/091 20220101ALI20240326BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20240326BHJP
   B01F 35/53 20220101ALI20240326BHJP
【FI】
B01F27/271
B01F27/111
B01F27/93
B01F27/091
B01F23/53
B01F35/53
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022515627
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 CN2021071151
(87)【国際公開番号】W WO2021159900
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】202010085377.7
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522091287
【氏名又は名称】深▲せん▼市尚水智能股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shangshui Smartech Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石橋
(72)【発明者】
【氏名】白淑娟
(72)【発明者】
【氏名】李統柱
(72)【発明者】
【氏名】欧全勲
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110394082(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109600995(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F27/00-27/96
B01F 23/53
B01F 35/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体と液体の混合装置用インペラアセンブリであって、インペラ本体と、インペラ本体の内側に軸から外側へ均等に分布された複数の混合ブレードと、インペラ本体の外側に半径方向沿って外側へ、円周方向に設置された少なくとも2層以上のバッフルとを含み、隣接する2層のバッフルのうちの1つの層が混合装置のチャンバーと固定接続され、もう1つの層がインペラ本体と固定接続され、且つ少なくとも1ペアの隣接するバッフルが以下の条件を満たす:前記隣接するバッフルの対向する2つの表面の任意の高さの断面において対応する曲線が滑らかな曲線であり、且つ少なくとも1つの表面が対応する曲線の全てが軸心を中心とした同じ円の上にあることではなく、
1つのグループの隣接する二層のバッフルの対向する2つの表面は、任意の高さの断面において対応する曲線が円周方向に周期的に起伏のある波状構造を有し、
前記バッフルの上端と前記バッフルの上端に対向するチャンバー又はインペラ本体の表面との間には隙間があり、当該バッフル上端の隙間と隣接するバッフルの間の隙間が一緒に懸濁液がインペラの内側から外側へ流れるための湾曲したチャンネルを形成する、
ことを特徴とする固体と液体の混合装置用インペラアセンブリ。
【請求項2】
前記バッフル上端と前記バッフルの上端に対向するチャンバー又はインペラ本体の表面との間の隙間の大きさが1~10mmであることを特徴とする請求項に記載のインペラアセンブリ。
【請求項3】
前記隣接する2層のバッフルの間の最小隙間が1~5mmであることを特徴とする請求項に記載のインペラアセンブリ。
【請求項4】
バッフルの表面には、複数の貫通穴又は貫通溝が設けられて、前記貫通穴又は貫通溝と、前記バッフル上端の隙間と隣接するバッフルの間の隙間が一緒に懸濁液が内側から外側へ流れるための湾曲したチャンネルを形成することを特徴とする請求項又は請求項に記載のインペラアセンブリ。
【請求項5】
バッフルの貫通穴の直径又は貫通溝の幅が1~5mmであることを特徴とする請求項に記載のインペラアセンブリ。
【請求項6】
少なくとも1つのバッフルは、断面が円、楕円、又はその他の閉じた滑らかな曲線で囲まれた形状である複数のシリンダーが間隔をおいて配列された櫛状の構造であることを特徴とする請求項1に記載のインペラアセンブリ。
【請求項7】
ほぼインペラ本体の半径方向に沿って、最も外層バッフルの外側に配置された複数の排出ブレードがさらに含まれ、前記排出ブレードが前記インペラ本体と固定接続され、インペラ本体と同期回転することを特徴とする請求項1に記載のインペラアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のインペラアセンブリを含むことを特徴とする固液混合用混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体と液体を混合する装置に使用されるインペラアセンブリに関し、特に超微細粉末と液体を混合して高粘度又は高濃度の懸濁液を生成する装置におけるインペラアセンブリ及び当該インペラアセンブリを使用した固液混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超微粉末を少量の液体に混合・分散させて高濃度の混合液を得るには、分解、浸透、分散を含む3つの段階に分けられる。第一段階では、ブレードなどの構造物の攪拌により、大きな粉末の塊が比較的細かい粉末状態に分解される。次に、粉末状の固体は液体と接触し、固体粒子の表面は液体に完全に浸透される。最後に、分散段階では、浸透段階を経て形成された懸濁液は再び分散されて、懸濁液中の粉末粒子の均一な分布が製造要求を満たすようにさせる。この段階では、主に強力な剪断力を利用して、懸濁液中の存在可能な塊の分解及び粒子凝集体の分散を達成する。粉末技術やナノ技術の発展に伴い、粉末の粒径が小さくなり、比表面積が大きくなり、粉末の表面が大量のガスを吸収するため、粉末粒子を液体に完全に浸透させることが困難になり、液体中の粉末粒子の不均一な分布、さらには凝集が起こりやすく、また、超微粉末の粒子は凝集しやすく、このような凝集物の分散も困難になる。分散効果を強化するために、一般的に、ブレードの数を増やしたり、ブレードの面積を増やしたり、特殊なブレード形状を採用したりして、インペラ本体のブレードを改良する。より良い分散効果を得るためには、比較的高速で回転し、隙間が小さい固定子と回転子モジュールを使用する必要がある。
【0003】
固定子と回転子モジュールは多くの種類があり、固定子と回転子の間の隙間は固定値にしてもよく、溝や突起の存在により変化してもよい。固定子と回転子の間の隙間が固定値である場合、高い剪断強度を得るためには、隙間を小さく設計する必要があり、これにより、分散ゾーンの体積が非常に小さくなり、流量が一定である場合、分散ゾーンでの懸濁液の滞留時間が非常に短くなり、分散効果が十分ではないため、隙間を少し大きく設計して剪断強度と滞留時間のバランスを取ることしかできないため、これはまた分散効果の改善を制限した。
【0004】
CN110394082Aには既存装置の作動に存在する問題を改良したインペラアセンブリが開示され、当該発明に記載されるインペラアセンブリは二層バッフル構造を採用し、最内層バッフルには外層とずれた小さな孔が設けられ、バッフルにはローレット又は溝が設けられているが、このような構造により、分散効果は優れているが、小さな隙間と十分な滞留時間のバランスを取ることが難しいという問題がある。
【0005】
固定子と回転子に多くの溝や突起を設計すると、小さな隙間を維持する同時に、より大きな分散ゾーンの体積が得られて、理論的には、滞留時間を延長して分散効果を向上するのに有益である。しかし、本発明の発明者は、シミュレーション計算などの一連の研究を通じて、従来技術で使用されている四角い溝構造(図1a)では分散体積を効果的に増加できず、その理由は、図1bに示すように、溝内の流体は相対流量が比較的遅く、渦巻きが発生する恐れがあり、この領域の流体は、受けている剪断力が弱く、滞留時間が長いため、この部分の体積は有効な分散体積ではなく、さらに「デッドゾーン」とさえ言え、むしろ不均一な分散を引き起こす可能性がある。また、渦巻きはエネルギー損失を引き起こし、分散効率を低下させる場合もある。
【0006】
したがって、固体(粉末)と液体を混合する分野、特に液体と超微粉を混合して高粘度及び高濃度の懸濁液を形成する分野では、多層バッフルによって形成された固定子と回転子のモジュールは優れた解決策ではあるが、従来技術では、小さな隙間と十分な滞留時間を両立させることは困難であり、分散効果には一定の制限があり、また、バッフルに溝を設けるいくつかの解決策は、分散効果の改善に役立たず、逆に、分散の不均一と分散効率の低下を引き起こす恐れもある。本発明によって解決される技術的問題は、固定子と回転子モジュールの構造を改善して、小さな隙間と十分な滞留時間を両立させ、懸濁液中の粒子に均一且つ強力な剪断作用を与えて、粒子凝集体を効率的に分散さることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、懸濁液中の凝集体をより迅速に分解できて得られた均一に分散された懸濁液、特に、超微粉と液体混合して高粘度又は高濃度の懸濁液を生成する調製に使用されるインペラアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、インペラ本体と、インペラ本体の内側に軸から外側へ均等に分布された複数の混合ブレードと、インペラ本体の外側に半径方向沿って外側へ、円周方向に配置された二層以上のバッフルとを含み、2層の隣接するバッフルの1つの層が混合装置のチャンバーと固定接続され、もう1つの層がインペラ本体と固定接続され、且つ隣接するバッフルの少なくとも1ペアが以下の条件を満たす:前記隣接するバッフルにおける対向する2つの表面は任意の高さの断面において対応する曲線が滑らかな曲線であり、且つ少なくとも1つの表面が対応する曲線の全てが軸心を中心とした同じ円の上にあることではないことを特徴とする固体と液体の混合装置用インペラアセンブリを設計した。
【0009】
この形態では、設置された隣接する一ペアのバッフルは、インペラ本体が回転すると、バッフルの間の隙間が変化する(図2a)。これにより、最小隙間を小さくすると同時に、大きな分散体積を確保できる。また、流体は滑らかな曲面に沿って速度方向を良好的に変化できるので、流路は幅が変わっても、渦巻きや「デッドゾーン」が発生せずに、層流運動と均一な速度グラジェントが維持できる(図2b)。したがって、この新しく設計された固定子と回転子の構造は、小さな隙間と十分な滞留時間を両立させ、分散効果を改善するのに有益であり、しかも、渦巻きがないことにより、高い分散効率も保証できる。
【0010】
それだけでなく、隙間が滑らかに小さくなる場合、懸濁液でキャビテーションを効果的に引き起こし、多くのマイクロバブルを生成し(発明特許CN110235528Aを参照)、粒子凝集体の分散に役立つ。
【0011】
一部の実施形態では、少なくとも1つのグループの隣接するバッフルの対向する表面の1つは、円周方向に周期的に起伏のある波状構造に設定される。一方では、前記波状起伏のある表面により、流体は方向を継続的に変えるようにガイドされると同時に、比較的均一な速度グラジェントを維持されて、且つこのような波状の構造により、バッフル間の平均隙間を増やし、分散体積を増やし、滞留時間の延長に有益である。もう一方では、対向する波状起伏のある表面は、幅が継続的に変化する流路を形成し、流路の幅が減少し続けると、流体の流動速度は増加し続け、静圧は減少し続け、静圧が十分に低いレベルまでに低下すると、キャビテーションを引き起こし、多くマイクロバブルが生成されて、懸濁液中の粒子凝集体に強い衝撃を与え、分散効果を改善するのに有益である。
【0012】
特に、インペラ本体は円錐台状に設計できて、このようにすることで、円錐台状本体の上部で粉末と液体は混合されて、その後、両者から形成された懸濁液は、下向きに流れる過程でブレードによって継続的に加速され、最終的に分散ゾーンに到達して、強力な剪断により分散されるので、粉末の浸透と分散に有益である。
【0013】
さらに、高い剪断強度を確保するために、隣接する2層のバッフルの間の最小隙間は1~5mmである。懸濁液が多層バッフルをスムーズに通過できるように、バッフル上端とそれに対向するチャンバー又はインペラの表面との間の隙間が1~10mmである。また、懸濁液の流量を増加させるために、バッフル表面に貫通穴又は貫通溝を設けることができ、貫通穴の直径又は貫通溝の幅は1~5mmである。
【0014】
特に、貫通溝の高さがバッフル全体の高さに近づくか又は一致っする場合、バッフルの断面は、円形、楕円形などの閉じた滑らかな曲線で囲まれた形状を、所定の隙間で配列して形成された櫛状の構造になる。この場合、懸濁液はバッフルをよりスムーズに通過するので、流量の上昇に有益であり、同時に、このような構造は、渦巻きや「デッドゾーン」を形成することなく、流体が均等に速度方向を変更するようにガイドできて、依然として良好な分散効果を維持できる。
【0015】
また、多層バッフルを通過した後の懸濁液を排出するために、ほぼインペラ本体の半径方向に沿って最も外層バッフルの外側に複数の排出ブレードをさらに設置でき、当該排出ブレードは当該インペラ本体と固定接続され、インペラ本体と同期に回転する。
【発明の効果】
【0016】
本発明を含む固液混合装置を使用すると、以下の有益な効果が得られる。
【0017】
1.互いに相対的に移動する2つの隣接するバッフルは、次の特性を持つ構造に設計されている。2つの対向する表面は任意の高さの断面において対応する曲線が滑らかな曲線であり、且つ少なくとも1つの表面が対応する曲線の全てが軸心を中心とした同じ円の上にあることではない。このように、2つのバッフルが相対的に移動する場合、両者の間の隙間は継続的に変化し、最小の隙間を非常に小さく維持できると同時に、分散ゾーンの体積を効果的に増やし、十分な滞留時間が保証され、良好な分散効果が得られる。
【0018】
2.バッフルの表面を滑らかな曲面に設計することで、流体が均等に速度方向を変更するようにガイドでき、流路の幅が変化しても、渦巻きや「デッドゾーン」を形成することなく、良好な分散効果と分散効率を保証した。
【0019】
3.2つの隣接するバッフルの隙間が滑らかに小さくなると、流路内の懸濁液の速度が上昇し続け、それにより静圧が低下し続け、静圧が十分に低いレベルに低下すると、キャビテーションが発生し、多くのマイクロバブルが生成され、懸濁液中の粒子の凝集体に強い衝撃を与えるので、分散効果の改善に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】従来技術における固定子と回転子の構造の流路の概略図;
図1b】従来技術における固定子と回転子の構造が簡略化された流れ場シミュレーション概略図;
図2a】本発明の固定子と回転子の構造の流路の概略図;
図2b】本発明の固定子と回転子の構造の簡略化された流れ場シミュレーション概略図;
図3a】本発明一実施形態のインペラアセンブリの概略図;
図3b】本発明一実施形態のインペラアセンブリの断面図;
図4a】本発明一実施形態のインペラアセンブリの概略図;
図4b】本発明一実施形態のインペラアセンブリの断面図;
図4c】本発明一実施形態を含む混合装置における湾曲した流路の概略図;
図5a】本発明一実施形態のインペラアセンブリの概略図;
図5b】本発明一実施形態のインペラアセンブリの断面図;
図6a】本発明一実施形態のインペラアセンブリの概略図;
図6b】本発明一実施形態のインペラアセンブリの断面図;
図7a】本発明一実施形態のインペラアセンブリの概略図;
図7b】本発明一実施形態のインペラアセンブリの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、原理、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下は、図面及び実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
本発明の内容に記載されているように、本発明に記載の特定の実施形態を用いて本発明を説明するが、本発明は、本発明に記載の方法以外の方式でも実施でき、当業者は、本発明の含意に違反しないことに基づいて同様の促進を行うことができるため、本発明は、以下に開示される特定の実施形態によって限定されない。
【0023】
本出願はインペラ部品を備えた様々な混合装置、特に固液混合用の混合装置に適用できる。具体的には混合装置のチャンバー内に構成される。
【0024】
図3は本出願によって提供されるインペラアセンブリ10の概略図である。図3aを参照すると、インペラアセンブリ10には、インペラ本体101と、インペラ本体101の内側に軸から外側へ伸びる均等に分布された複数の混合ブレード102と、インペラ本体101の外側に半径方向に沿って外側へ、円周方向に順次に内層並びに外層バッフル103の2層のバッフルを含み、ここで、2つのバッフル103うちの内層のバッフルは混合装置のチャンバー105と固定接続され、且つその内面と外面の両方が円周方向に周期的に起伏のある波状構造1031を持ち、外側バッフルは、インペラ本体101と固定接続され、且つ内面は、円周方向に周期的に起伏のある波状構造1031を持つ。同じバッフル103の場合、前記インペラ本体101に近い側が内面であり、反対側が外面であることを理解されたい。外層バッフルがインペラ本体101と同期回転する場合、内層バッフルと外層バッフルが相対的に移動し、内層バッフルと外層バッフルの2つの対向する表面の任意の高さの断面において対応する曲線が滑らかな曲線である。図2bの流れ場シミュレーション概略図に示すように、前記バッフル103の波状起伏のある表面により、バッフル103の間の懸濁液はバッフルによって限定された隙間内を流れる時に継続的に方向を変えるようにガイドされると同時に、比較的均一な速度グラジェントを維持して、内層バッフルと外層バッフルの相対的な動きの下で、一方では、流路内の懸濁液に対して均一な強い剪断力が生成され、懸濁液を繰り返し剪断、摩擦、圧搾し、且つ前記波状構造1031を持つ対向する表面の間によって限定された隙間の大きさは、連続的且つ均一に変化し、即ち連続的に減少した後、連続的に増加し、そしてまた連続的に減少するように周期的に変化することで、渦巻きや「デッドゾーン」を形成することなく、バッフル103間の平均隙間を効果的に増やして、分散体積を増やし、これは前記流路内の懸濁液の滞留時間を延長し、分散効果をより十分にするのに有益である。もう一方では、波状起伏のある表面は、幅が継続的に変化する流路を形成し、懸濁液が流路内を流れる時に懸濁液の速度が絶えずに変化することで、流体の静圧も絶えずに変化するようになって、静圧が十分に低いレベルに低下すると、キャビテーションを引き起こし、多くのマイクロバブルが生成され、懸濁液中の粒子凝集体に強い衝撃を与えるので、分散効果を改善するのに有益である。
【0025】
図3の実施形態では、インペラ本体101と固定接続されるのは内層バッフルであってもよく、即ち、内層バッフルと外側バッフルのうちの1つだけをインペラ本体101に固定して、2つのバッフルがそれぞれ移動と静止を維持さえできれば、すべてが本出願の保護範囲に含まれることを理解されたい。
【0026】
懸濁液が前記隙間によって形成される流路内で高い剪断強度を受けることを確保するために、隣接する内層バッフルと外層バッフルの間の最小隙間は1~5mmであってもよい。
【0027】
また、多層バッフル103を通過した後の懸濁液を排出するために、ほぼインペラ本体101の半径方向に沿って最外層バッフルの外側に配置された複数の排出ブレード104がさらに含まれ、当該排出ブレード104は当該インペラ本体101と固定接続され、インペラ本体101と同期に回転してもよい。インペラ本体101にある混合ブレード102は、インペラ本体101の下部で水平方向に所定の距離を延び、図3に示すように、排出ブレード104と混合ブレード102は、インペラ本体101の下部で水平方向に伸びる部分が一体に接続されている。この固定接続の設計は、懸濁液の攪拌、ガイド、加速に良好な役割を果たし、懸濁液をより高速に投げ出すことができる。同時に、混合ブレード102と排出ブレード104は一体に接続され、インペラアセンブリ10全体の構造が単純化される。
【0028】
なお、図3に示す連続した波状の曲線は概略図であり、本出願の制限を構成するものではなく、内層と外層のバッフルの対向する2つの表面は任意の高さの断面で対応する曲線が滑らかな曲線であるすべてが本出願の保護範囲内にある。
【0029】
図4は、本出願の実施形態によって提供されるインペラアセンブリ10の概略図であり、図4aを参照すると、図3に示すインペラアセンブリとの違いは、前記インペラ本体101が円錐台状であってもよく、このようにすると、粉末と液体の混合は、円錐台形の本体の上部で実行でき、その後、両者から形成された懸濁液は、下向きに流れる過程で混合ブレード102に駆動されて継続的に加速し、最終的に分散ゾーンに到達して、強力に剪断及び分散されるので、粉末の浸透と分散に有益である。図4bに示される隙間は、図3に示される実施形態と一致している。
【0030】
図4cを参照すると、混合装置におけるインペラ本体101の相対位置で、バッフル103の上端とチャンバー105又はインペラ本体101上の対応する表面との間に隙間があり、当該バッフル103の上端の隙間は隣接するバッフル103の間の隙間とともに、懸濁液がインペラ本体101の内側から外側に流れる湾曲したチャネルを形成し、懸濁液が前記湾曲したチャネル内を流れるときに強い剪断作用を受けている。湾曲した流路を通過した後、懸濁液は、前記外層バッフル及びチャンバーによって限定された空間内に到達し、排出ブレード104の作用下で排出される。
【0031】
懸濁液が多層バッフル103をスムーズに通過できることを保証するために、前記バッフル103の上端とチャンバー105又はインペラ本体101上の対応する表面との間の隙間の大きさは1~10mmである。
【0032】
他の実施形態では、複数の貫通穴又は貫通溝1032が、内側及び外側バッフルの表面に設けられ、前記貫通穴又は貫通溝1032及び前記バッフル103の上端とチャンバー105又はインペラ本体101に対応する表面間の隙間と隣接するバッフル103間の隙間はともに、懸濁液がインペラ本体101の内側から外側に流れるための湾曲したチャネルを形成する。貫通孔1032の直径又は貫通溝1032の幅が大きいほど、懸濁液が多層バッフルを通過しやすくなり、湾曲したチャネル内の平均滞留時間が短いほど、分散効果は低くなり、したがって、好ましくは、分散効果を考慮しながら懸濁液の流量を増やすために、貫通穴1032の直径又は貫通溝1032の幅は1~5mmである。
【0033】
図5は本出願によって提供されるもう一つのインペラアセンブリ10の概略図である。インペラ本体101の外側には、その半径方向に沿って外側へ、円周方向に内層と外層の2つの層のバッフル103が順次に設けられている。外層バッフルは、内面が円周方向に沿って周期的に起伏のある波状構造1031を有し、インペラ本体101と固定接続されて(図5aを参照)、内層バッフルの表面の貫通溝1032の高さが外層バッフルの高さに近く、内層バッフルはほとんどの高さでの断面が円形を所定の隙間で配列した不連続な曲線に設定し、このようにすると、内層バッフルの表面は断面における対応する曲線は不連続で滑らかな曲線である。このとき、本実施形態のバッフル構造は、所定の隙間に配列された複数の同一のシリンダーによって形成される櫛形構造として理解でき、シリンダー間の間隔は1~5mmである。前記櫛形構造の表面は滑らかで、懸濁液が当該構造を通過するときに速度損失が小さく、前記設定により、懸濁液の流路が増加され、懸濁液は内層バッフルをよりスムーズに通過するので、流量を増やすのに有利であり、同時に、このような構造はまた、流体が速度方向を均等に変更するようにガイドして、渦巻きや「デッドゾーン」を形成することなく、依然として良好な分散効果を維持できることを理解されたい。なお、内層バッフルの上端となるフランジ1033は、外側バッフルよりわずかに高く、混合装置のチャンバー105と固定接続されていることに留意されたい。前記貫通溝1032の長手方向の高さがバッフル103全体の高さに近いか、さらに一致する場合、バッフル103はほとんどの高さでの複数の断面が楕円形又は他の閉じた滑らかな曲線に囲まれた形状からなるシリンダーが所定の隙間に配列された櫛状の構造であってもよく、典型的には、楕円柱、円錐などによって形成された櫛形の構造があり、前記円柱の表面が滑らかである限り、本出願の保護範囲内にある。もちろん、前記内層バッフルの櫛状構造は、インペラ本体101と固定接続でき、外側バッフルは、チャンバーと固定接続するが、この場合、内層バッフルの固定接続はフランジ1033がなくてもできる。
【0034】
なお、図5に示す実施形態は内層バッフルが必ずしも前記櫛形構造ではない、前記内と外は、ただインペラ本体に対する記載であり、内側のバッフルの表面が波状構造1031であり、外層バッフルが前記櫛状構造であるなどの代替形式であってもよい。
【0035】
前述の2層バッフルのインペラアセンブリに加えて、他のいくつかの実施形態では、本出願によって提供されるインペラアセンブリ10は、インペラ本体101の外側に半径方向に沿って外側へ、円周方向において順次より多くのバッフルを設置している。図6aを参照すると、インペラ本体101の外側には、その半径に沿って外側へ円周方向において順次に内側、中間、及び外側のバッフルが設けられている。ここで、内層バッフル及び外層バッフルは、混合装置のチャンバー105と固定接続されて動かず、且つ滑らかな表面を有し、中層バッフルの内面と外面の両方は、円周方向に周期的に起伏のある波状構造1031を持っており、且つインペラ本体101と固定接続され、インペラ本体101と同期に回転し、中層バッフルと内層バッフル、中層バッフルと外層バッフルの間によってそれぞれ限定された隙間を図6bに示すように、明らかに、前記波状構造1031の表面及び滑らかな表面によって限定された隙間の大きさも連続的且つ均一に変化するものであり、最小隙間を小さく保つことで、高い剪断強度を維持でき、そして、中層バッフルの内面と内層バッフル、中層バッフルの外面と外層バッフルの間にいずれも前記隙間が形成され、バッフル103間の分散ゾーンの体積を大幅に増加させて十分な滞留時間を確保し、それにより良好な分散効果が得られる。好ましくは、前記最小隙間が1~5mmである。同時に、2つの隣接するバッフル103の間の隙間が滑らかに小さくなる場合、流路内の懸濁液の速度が変化し続けて、静圧が変化し続け、静圧が十分に低くなると、キャビテーションを引き起こし、多くのマイクロバブルが生成され、懸濁液中の粒子の凝集体に強い衝撃を与えるので、分散効果の改善に有益である。内層バッフルの外面及び外層バッフルの内面は、いずれも波状構造1031を有するか又は部分的に有する場合でも、上記の効果を依然として有することを理解されたい。
【0036】
図7は、本出願の実施形態によって提供されるインペラアセンブリ10の概略図であり、図7aを参照すると、これは、図6に示す実施形態との違いは、中層バッフルが図5の実施形態に示す内層バッフルと同じであり、内層バッフルと外層バッフルは、混合装置のチャンバー105と固定接続されて静止状態を保ち、中層バッフルはインペラと固定接続されて同期回転して、懸濁液の流路を増加した。図bは、本実施形態の3層バッフルの間の隙間によって形成された懸濁液の流路であり、これにより2つの隣接するバッフルの間の隙間は均一で連続的に変化するので、最小隙間を小さく保って高い剪断強度を維持できると同時に、分散ゾーンの体積を大幅に増加して十分な滞留時間を確保でき、それにより良好な分散効果が得られ、また、絶えず変化す流路の幅も、キャビテーションを引き起こし、多くのマイクロバブルが生成されて、懸濁液中の粒子凝集体に強い衝撃を与えることができて、分散効果を改善するのに有益である。
【0037】
上記は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の精神及び原理の範囲内で行われるいかなる修正、同等の置換及び改善も、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0038】
インペラアセンブリ10 インペラ本体101 混合ブレード102 バッフル103 波状構造1031 貫通溝1032 フランジ1033 排出ブレード104 チャンバー105
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b