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  • 特許-コロナウイルス感染症の治療方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】コロナウイルス感染症の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4178 20060101AFI20240326BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K31/4178
A61K31/4164
A61K31/53
A61K31/573
A61P11/00
A61P31/14
A61P43/00 121
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022540923
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 US2021025807
(87)【国際公開番号】W WO2021203100
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】63/004,781
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/145,886
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519278468
【氏名又は名称】ヴェル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、ミッチェル・エス
(72)【発明者】
【氏名】バーネット、ケスター・ギャリー
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/222385(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/109059(WO,A1)
【文献】J Med Chem,2012年,55(16),7285-7289
【文献】Cancer Res,2018年,78(13_Supplement),Abstract 679
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4178
A61K 31/4164
A61K 31/53
A61K 31/573
A61P 11/00
A61P 31/14
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療するための製剤であって、
治療有効量の下記の式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤。
【化1】
式中、
Aは、フェニル、インドリル、またはインダゾリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールまたはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である。
【請求項2】
請求項1に記載の製剤であって、
Aは、フェニルまたはインドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である、製剤
【請求項3】
請求項1に記載の製剤であって、
Aは、フェニルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である、製剤
【請求項4】
請求項1に記載の製剤であって、
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である、製剤
【請求項5】
請求項1に記載の製剤であって、
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合であり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である、製剤
【請求項6】
治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療するための製剤であって、
治療有効量の下記の式VIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製
【化2】
式中、
Xは、結合またはNHであり;
Qは、NHであり;
Aは、フェニル、インドリル、またはインダゾリル環であり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される。
【請求項7】
請求項6に記載の製剤であって、
Xは、結合である、製剤
【請求項8】
請求項6に記載の製剤であって、
Xは、NHである、製剤
【請求項9】
請求項6に記載の製剤であって、
Xは、結合であり;
Qは、NHであり;
Aは、インドリル環であり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される、製剤
【請求項10】
治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療するための製剤であって、
治療有効量の下記の式VII(c)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製
【化3】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~4である。
【請求項11】
治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療するための製剤であって、
治療有効量の下記の式17yaで表される化合物を含有する製
【化4】
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の製剤であって、
前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、MERS-CoV、またはSARS-CoV-2によって引き起こされる、製剤
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載の製剤であって、
前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2によって引き起こされる、製剤
【請求項14】
請求項13に記載の製剤であって、
SARS-CoV-2感染症に罹患した前記対象は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高い、製剤
【請求項15】
請求項13または14に記載の製剤であって、
プラセボで治療した患者集団と比較して死亡率を低下させる、製剤
【請求項16】
請求項13または14に記載の製剤であって、
プラセボで治療した患者集団と比較して罹患率を減少させる、製剤
【請求項17】
請求項16に記載の製剤であって、
プラセボで治療した患者集団と比較して、呼吸不全、ICUの入院日数、若しくは人工呼吸器の使用日数を減少させるか、または、臨床改善のためのWHO順序尺度を改善する、製剤
【請求項18】
請求項13または14に記載の製剤であって、
プラセボで治療した患者集団と比較して、60歳超の対象における死亡率または呼吸不全を減少させる、製剤
【請求項19】
請求項13または14に記載の製剤であって、
レムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与と組み合わせた場合に、プラセボで治療した患者集団と比較して、死亡率または呼吸不全を減少させる、製剤
【請求項20】
請求項13または14に記載の製剤であって、
2次治療と併用される製剤
【請求項21】
請求項20に記載の製剤であって、
前記2次治療は、レムデシビル、デキサメタゾン、若しくは他のコルチコステロイド、または、レムデシビルとコルチコステロイドとの組み合わせの投与を含む、製剤
【請求項22】
請求項20に記載の製剤であって、
前記2次治療は、免疫系または宿主細胞因子を調節する薬剤の投与を含み、
前記薬剤は、デキサメタゾン若しくは他のコルチコステロイド、トシリズマブを含むIL-6阻害剤、インターフェロン、IL-1阻害剤、または、バリシチニブを含むキナーゼ阻害剤を含む、製剤
【請求項23】
請求項20に記載の製剤であって、
前記2次治療は、抗体療法を含み、
前記抗体療法は、高力価COVID-19回復期血漿療法、静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)、または、カシリビマブとイミディマブとの組み合わせ、バムラニビマブ、若しくはバムラニビマブとエテセビマブとの組み合わせの投与を含むモノクローナル抗体療法を含む、製剤
【請求項24】
請求項20に記載の製剤であって、
前記2次治療は、ファビピラビル、ロピナビル、リトナビル、レムデシビル、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、ノイラミニダーゼ阻害剤、アマンタジン、リマンタジン、血球凝集素阻害剤、リバビリン、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、ジドブジン、ジダノシン、ペラミビル、ザルシタビン、スタブジン、ファムシクロビル、オセルタミビル、ザナミビル、及びバラシクロビルのうちの少なくとも1つの投与を含む第2の抗ウイルス療法を含む、製剤
【請求項25】
請求項20に記載の製剤であって、
前記2次治療は、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、イベルメクチン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、またはアンジオテンシン受容体結合剤(ARB)のうちの少なくとも1つの投与を含む、製剤
【請求項26】
請求項13または14に記載の製剤であって、
前記化合物は、1~100mgの量で投与される、製剤
【請求項27】
請求項13または14に記載の製剤であって、
前記化合物は、4~90mgの量で投与される、製剤
【請求項28】
請求項13または14に記載の製剤であって、
前記化合物は、4~45mgの量で投与される、製剤
【請求項29】
請求項1~14のいずれかに記載の製剤であって、
前記製剤は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する、製剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月3日出願の米国特許仮出願第63/004、781号及び2021年2月4日出願の米国特許仮出願第63/145、886号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、細胞骨格破壊活性を有する化合物を使用してコロナウイルス感染症を治療する方法、並びに、細胞骨格破壊活性を有する化合物と薬学的に許容される賦形剤及び/または追加の細胞骨格破壊化合物とを含有する製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
過去20年間、2002~2003年の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、2012年の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、2014~2016年のエボラ出血熱などの様々なウイルス性伝染病が、深刻な世界的な公衆衛生上の危険をもたらした。2019年11月17日、中国の武漢で、新型のウイルス性の急性重症呼吸器疾患が発生した。2020年2月、世界保健機関(WHO)は、2019年に初めて発見されたクロナウイルス感染症を「COVID-19」と命名した。この疾患を引き起こすコロナウイルスは、SARS-CoVと類似していたため、最終的には国際委ウイルス分類委員会(ICTV)によってSARS-CoV-2と命名された。COVID-19(SARS-CoV-2)は、2020年3月31日の時点で、世界中で804、061人以上の感染者数及び39、074人の死者数を数え、パンデミック(世界的大流行)が宣言されている。2021年3月までに、これらの数字は、世界中で、128、109、427人の感染者数及び2、800、279人の死者数(3%)に増加し、103、307、591人の回復(97%)が確認された。SARS-CoV-2に対するワクチンは、2020年12月に米国で承認され始め、2021年3月までに米国で3つの緊急時使用許可(EUA)を取得したが、集団免疫にはまだ至っていない。世界中でソーシャルディスタンス及び予防接種の努力が続けられているにもかかわらず、現在、世界中で約10万人の重症患者を含む518、201人の現感染者数(アクティブケース)が依然として存在する。
【0004】
コロナウイルスは、エンベロープを持つポジティブセンスの一本鎖RNAウイルスである。コロナウイルスは、鳥や哺乳類、特にそれらの呼吸器系や消化器系に感染する。コロナウイルスは、突然変異率や組換え率が高いため、動物から動物へ、または、動物からヒトへの宿主移動が頻繁に発生する。コウモリは、重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行時に、自然宿主として特定された。
【0005】
SARS-CoV-2は、エンベロープを持ち、分節のない、ポジティブセンスの一本鎖RNAウイルスであり、異常に大きなRNAゲノム、ヌクレオカプシド、及び、スパイク(S)タンパク質と呼ばれる表面から突出した棍棒状の突起を有する。SARS-CoV-2は、SARS-CoVやMERS-CoVを含むベータコロナウイルス属に分類される。これらのウイルスは、呼吸器及び呼吸器外の臨床症状を伴う様々な重度の伝染病の原因となっており、感染力が高く、死亡率は10~35%である。コロナウイルススーパーファミリー(コロナウイルス科)には、大きなRNAゲノムを有するいくつかのヒト病原体、例えばインフルエンザやウイルス性脳炎が含まれ、それらは、α、β、δ、及びγコロナウイルスファミリーに分類され、さらに、A、B、C、及びD系統に分類される。SARS-CoV-2は、B系統のβコロナウイルスである。
【0006】
SARS-CoV-2の臨床スペクトルは、無症状から、人工呼吸器と集中治療室(ICU)の補助とを必要とする呼吸不全を伴う肺炎を特徴とする臨床状態、敗血症、敗血症性ショック、及び多臓器不全まで様々である。中国CDCの臨床所見では、2019~2020年にSARS-CoV-2に感染した中国人集団における以下の疾患分類、並びに、軽度、重度、及び重篤の割合が報告されており、他の感染集団においても同様と思われる。(1)軽度疾患(81%):微熱、咳(乾性)、咽頭痛、鼻づまり、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの上気道ウイルス感染の症状。呼吸困難などのより深刻な疾患の徴候は見られない。(2)重症(14%):呼吸困難、呼吸頻度は30回/分以上、血中酸素飽和度(SpO2)は93%以下、PaO2/FiO2比またはP/F[酸素の血圧(酸素分圧、PaO2)と供給酸素割合(吸入酸素割合、FiO2)との比]が300未満、及び/または、24~48時間以内の画像検査で肺浸潤は50%超。(3)重症(5%):呼吸不全、敗血症性ショック、及び/または多臓器不全。場合によっては、「サイトカインストーム」と呼ばれる免疫系の異常な過剰反応が起こる。サイトカインストームは、発熱や多臓器不全を特徴とする急性全身性炎症症候群として臨床的に現れる。サイトカイン及びケモカインはウイルス感染によって誘導され、炎症反応(例えば、NLRP3インフラマソームの活性化)を過剰に活性化し、それによって、敗血症性ショックや広範囲の組織損傷を引き起こす。
【0007】
2021年3月現在のCOVID-19の疾患スペクトラムと薬剤療法は、以下のように要約される。COVID-19の有望な治療薬クラスとしては、抗体療法、抗ウイルス療法、及び抗炎症療法が挙げられる。感染初期では、疾患の重症度は比較的低く、治療は、ウイルスの細胞侵入の阻害(抗体療法)、またはウイルス複製の阻害(抗ウイルス療法)に焦点が合わせられる。より重症な症例では、患者は肺感染症を伴うので、その場合は、抗炎症療法の追加が推奨される。例えば、本稿執筆時点では、入院患者に対しては、レムデシビル(抗ウイルス剤)とデキサメタゾン(抗炎症剤)の投与が標準治療として一般的に実施されるが、重症化リスクの高い軽度から中等度の非入院患者には抗ウイルス療法のみが実施される。肺感染症を呈した場合、肺感染症は重症急性呼吸器症候群(SARS)に進行する可能性があり、その場合、人工呼吸器または体外式膜型人工肺(ECMO)などによる酸素補給が必要となる。COVID-19感染のこの後期SARS相では、圧倒的な炎症反応が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至る呼吸器系損傷の主因であり、そのため、有効性データが限られており、抗ウイルス剤の有効性に関するエビデンスが少なく、かつSARSにおける抗体の有望な有効性データがない抗炎症療法の使用が必要とされる。
【0008】
複数の緊急時使用許可(EUA)が承認されたにもかかわらず、COVID-19の初期症状やSARSに対する薬剤療法の有効性は低く、疾患の全過程における薬剤療法が、依然として、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない臨床的ニーズ)として残されている。残念ながら、SARSの主要な治療法は、重症感染症患者に対する支持療法と酸素療法にとどまっている。酸素療法が無効である呼吸不全の症例では、人工呼吸器またはECMOが必要とされ、一方、敗血症性ショックの管理には血行力学的補助が不可欠である。SARS-CoV-2感染者の全死亡率は3~4%であり、WHO重症度スコアが4を超える患者では40%にも達する。そこで、2021年3月の時点で利用可能な現在の薬剤療法を、有望な治療薬クラスとして考察する。例えば、抗ウイルス剤として承認されているのはレムデシビルのみであり、その効果が非常に限定されているのに対して、デキサメタゾンは、EUA抗炎症剤として推奨されている。さらに、緊急使用許可(EUA)の下で使用可能な他の新規な及び再目的化された一連の治療法が急速に発展しており、それらを以下に簡単に要約する。さらに、ヒドロキシクロロキンなどの多くの薬剤が、間接的なエビデンスや症例研究に基づいて広く使用されるようになったが、後に無作為化臨床試験によって反論された。このカテゴリの他の薬剤としては、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、イベルメクチン、ACEI/ARB、及びアジスロマイシンなどの抗菌剤が挙げられる。
【0009】
回復期血漿療法、静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)(以下では論じない;詳細については、PMID:33087047を参照されたい)、及び、中和抗体療法(カシリビマブ+イムデビマブ、バンラニビマ、バムラニビマブ+エテセビマブ)などの抗体療法は、ウイルスのスパイク(S)タンパク質に結合して中和することによって細胞侵入を阻止することを意図しており、それによって細胞受容体及び補助受容体への結合を遮断してウイルスの細胞内への侵入を阻害するので、感染初期に最も効果的である考えられる。いずれの抗体療法もFDAの承認を受けていないが、いくつかはEUAを取得し、2020年8月には回復期血漿療法が、2020年11月にはカシリビマブ+イムデビマブ(併用投与の場合にEUAを取得)及びバムラニビマブの単独療法の両方が、そして、2021年2月にはバムラニビマブ+エテセビマブが、EUAを取得した。疾患の早い段階で投与することで、高力価COVID-19回復期血漿の輸血が臨床的に有益となる可能性があるとFDAは指摘した。また、カシリビマブ+イムデビマブ(REGEN-COVTM;SARS-CoV-2ウイルスのスパイク(S)タンパク質受容体結合ドメイン(RBD)の非重複エピトープに結合する2つの組換え型ヒトモノクローナル抗体)は、成人、及び12歳以上で体重40kg以上の小児患者であって、SARS-CoV-2ウイルスの直接検査で陽性結果と判定され、重症COVID-19への進行及び/または入院のリスクが高い患者における、軽度から中等度のCOVID-19の治療薬としてEUAを取得した。2021年3月23日、リジェネロン社(Regeneron)は、非入院の感染症患者集団(n=4、567)についての臨床第3相試験データを発表し、この併用療法が、非入院COVID-19患者の入院または死亡を70%減少させたことを示唆した。これにより、外来での使用がさらに支持されることになった(https://investor.regeneron.com/news-releases/news-release-details/phase-3-trial-shows-regen-covtm-casirivimab-imdevimab-antibody)。バムラニビマブ単剤療法(SARS-CoV-2のSタンパク質のRBDにも結合し、Sタンパク質のヒトACE2(細胞表面タンパク質)受容体との結合を阻害する組換え型中和ヒトIgG1κモノクローナル抗体)は、REGEN-COVと同様の効能でEUAを取得した。また、バムラニビマブ+エテセビマブ(これらはSタンパク質のRBD中の、別個であるが互いに重複したエピトープと結合する;両方の抗体を併用することにより、ウイルス耐性のリスクを低減できると期待される)の併用療法も、他の合成中和抗体と同様の効能で、EUAを取得した。モノクローナル中和抗体を用いた治療の有益性は、COVID-19の入院患者では観察されておらず、高流量酸素または人工呼吸器を必要とするCOVID-19の入院患者に実施した場合に、臨床転帰を悪化させる可能性がある。概要としては、いずれの抗体療法もFDAの承認を受けていないが、それらのいくつかは、進行リスクの高い患者の初期感染に使用するためにEUAを取得している。
【0010】
特定の入院している成人及び小児のCOVID-19患者集団は、FDAが承認した唯一の治療法である抗ウイルス剤レムデシビル(ベクルリーとして承認)の候補者である。レムデシビルは、SARS-CoV-2のRNAポリメラーゼを阻害する静注用のヌクレオチドプロドラッグである。2020年10月22日、FDAは、ベクルリー(レムデシビル)を、入院を要する成人患者及び小児患者(12歳以上、体重40kg以上)のCOVID-19の治療に使用することを承認した。ベクルリーは、病院内で、または入院治療に匹敵する救急処置を提供可能な医療施設でのみ投与してよい。今回の承認には、2020年5月1日に発表されたEUAに基づきベクルリーの使用が承認された全集団は含まれていない。EUAによる小児集団へのアクセスは、認可を受けた医療提供者による緊急使用のために継続される。EUAは、体重が3.5kg以上40kg未満の小児入院患者、または12歳未満で体重が3.5kg以上の小児入院患者に対して、COVID-19が疑われるまたは検査で確認された場合の治療を許可している。COVID-19患者に対する治療アルゴリズムは依然として不明確であるが、いくつかの試験は、レムデシビルが、酸素補給中の低酸素症患者(ACTT-1研究)及び人工呼吸器を使用していない重症患者(SIMPLE研究)において死亡率を減少させるという有益性を示唆している。しかし、レムデシビルは、人工呼吸器を使用している患者では、死亡率の有意な減少が認められなかった(PMID:33204761)。したがって、2021年1月現在、NIH(国立衛生研究所)は、人工呼吸器またはECMOを必要とする入院患者に対しては、ベクルリーの単剤療法または併用療法ではなく、デキサメタゾンの単剤療法を推奨している。
【0011】
COVID-19の重症患者には、損傷のほとんどが肺における免疫過剰反応に起因するので、デキサメタゾン(デキサメタゾンの同等の代替薬、すなわち、コルチコステロイドも許容される)の使用が最も適している。EUAによるデキサメタゾンの使用は継続されているものの(2021年3月)、リカバリー(RECOVERY)無作為化臨床試験では、デキサメタゾン投与の28日目の死亡率のわずかな改善が全入院患者で認められただけであった(デキサメタゾンで22.9%、通常治療で25.7%)。しかし、酸素補給の必要性の高いサブグループ(PMID:32678530)では、転帰が改善された。同様に、治療の推奨は酸素補給の必要性によって層別化されており、侵襲的人工呼吸器またはECMOを使用する入院患者に対しては、デキサメタゾン単剤療法が、NIHによって強く推奨されている。非侵襲人工呼吸器を使用する入院患者には、デキサメタゾン単剤療法、または、デキサメタゾンとレムデシビルとの併用療法が推奨される。一方、酸素補給で入院している患者には、レムデシビルの単剤療法、デキサメタゾンの単剤療法、または、デキサメタゾンとレムデシビルと併用療法が推奨される。しかしながら、デキサメタゾンは、酸素補給を必要としない入院患者または入院していない患者には推奨されない。これまでのところ、すべての推奨は限られたエビデンスに基づいており、世界保健機関(WHO)の推奨は、国立衛生研究所(NIH)の推奨とは大きく異なっている。例えば、WHOは、疾患の重症度にかかわらずレムデシビルを推奨していないが、WHOは重症なまたは重篤なCOVID-19に対しては、コルチコステロイドの全身投与に同意している。
【0012】
他の未承認の抗炎症療法としては、IL-6阻害薬(トシリズマブ)、インターフェロン、IL-1阻害薬、キナーゼ阻害剤の投与などが挙げられるが、2021年2月の時点で、NIH(www.covid19treatmentguidelines.nih.gov)は、データが不十分であると指摘しているか、または、これらの薬剤の通常的な使用を推奨していない。例外として、関節リウマチにおける承認を取得しているJAK阻害剤「バリシチニブ」は、2020年11月現在、軽度・中等度・重度のCOVID-19の入院患者に対するレムデシビルとの併用について、EUAを取得している。EUAは、この併用療法について、酸素補給、侵襲的人工呼吸器、または体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする入院中の2歳以上の成人患者または小児患者において、COVID-19が疑われるか検査で確認された場合の治療のために、医療提供者が緊急に使用するためとしている。
【0013】
このように、SARS-CoV-2の薬剤療法は限られたデータに基づいており、現在の薬剤の効果は、SARSの初期感染の進行防止や死亡率の低下に限られている。したがって、SARS-CoV-2の薬剤療法の改善は、現在の世界的なパンデミックに対してだけでなく、将来のウイルスの流行やパンデミックに対しても、またはSARS-CoV感染症が風土病となった場合にも、緊急に必要とされる。本発明は、SARS-CoV-2だけでなく、過炎症性肺感染症を一般的に引き起こし、新規の治療法及び既存の治療法を用いても高い罹患率及び死亡率を伴うコロナウイルス科に由来する将来の流行病及びパンデミックを治療することを意図する。ウイルスは、宿主の細胞機構を制御してウイルスの複製及び集合を行い、細胞から放出(排出)して感染性のウイルス粒子(ビリオン)を拡散させる効率的な機構を有している。ウイルス粒子が細胞膜から侵入し、小胞体やゴルジ体でRNAの複製(核)やウイルスの集合が行われる細胞内位置に到達し、その後、新たに生成されたウイルス粒子が細胞膜まで戻って細胞外に出ていくまでの空間的距離を考えると、ウイルスの最も重要な初期の仕事が、宿主の内部輸送システムである細胞骨格の乗っ取りであることは驚くにはあたらない。細胞骨格は、マイクロフィラメント(アクチン)、微小管(チューブリン)、及び中間フィラメントの3種類の主要なタンパク質フィラメントからなる。ウイルスの複製及びトラフィッキング(輸送)に関与する主要なものは、細胞内輸送に関与する2つの主要なフィラメント系である微小管及びマイクロフィラメントである。
【0014】
微小管は、細胞の形状、輸送、運動性、及び細胞分裂に重要である。微小管は、αチューブリン及びβチューブリンのヘテロ二量体サブユニットが重合してできた動的な長極性線維/フィラメントであり、正端は細胞膜に位置し、負端は微小管形成中心(MTOC)で核に面している。MTOCからは、微小管線維が、核領域から細胞の周辺に向かって放射状に伸びている。微小管は動的ネットワークシステムであり、αチューブリンサブユニット及びβチューブリンサブユニットのヘテロ二量体を結合させて成長ポリマー鎖を形成する急速な重合と、その後、ポリマー鎖を分解及び収縮させる急速な脱重合(αチューブリンサブユニット及びβチューブリンサブユニットのヘテロ二量体の除去)を行う。微小管のこの「動的な」成長と収縮の能力は、絶えず変化する細胞の輸送要求に応える。ウイルスのような巨大分子は、特殊なモータータンパク質(キネシンやダイニン)と結合する。キネシンやダイニンは、列車の車両のように、ウイルスの積荷を微小管の軌道に乗せて運び、細胞内の様々な区画に運ぶために長距離を移動する。
【0015】
ヒトや動物のコロナウイルスの多くはコウモリに由来し、ほとんどの真核細胞は微小管を有しているので、コロナウイルスの複製には、種を超えて保存されている微小管依存性が存在すると考えられる。さらに、ウイルスは、微小管結合モチーフ、またはキネシンやダイニンのモチーフと相補的な類似のアミノ酸配列を進化させて、輸送相互作用を成功させたのかもしれない。マウス肝炎ウイルスCoVなどのコロナウイルスは、ニューロン拡散に微小管を使用し、ネコ感染性腹膜炎ウイルス(FIPV)は、微小管によってMTOCに向けて輸送される。ブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)では、感染後に、αチューブリンサブユニット及びβチューブリンサブユニットの両方のアップレギュレーションが起こる。したがって、細胞内輸送を阻害し、ウイルスと宿主との相互作用を破壊することを目的として、薬剤標的として細胞骨格ネットワークに焦点を合わせることは、コロナウイルス感染症を治療するための有効な方法であると考えられる。
【0016】
ウイルスは、偏性細胞内寄生体であるため、膜輸送、核内輸送及び核外輸送、及び遺伝子発現は、細胞機構のみに依存している。ウイルス粒子は、細胞表面から細胞内に侵入し、細胞内のウイルス転写及び複製部位に移動する。集合及び放出間に、サブウイルスの核タンパク質複合体、及びウイルス粒子は、細胞膜から放出するために細胞表面に戻ってくる。大きな分子の拡散は細胞質では厳しく制限されているので、ウイルスは、宿主のATP加水分解分子モータを使用して、細胞内ハイウェイである微小管に沿って移動する。
【0017】
微小管は、αチューブリン及びβチューブリンのヘテロ二量体からなる細胞骨格フィラメントであり、形状維持、小胞輸送、細胞運動、及び分裂などの幅広い細胞機能に関与する。チューブリンは、微小管の主要な構造要素であり、様々な抗ウイルス剤の標的として検証されている。ウイルスは細胞内の輸送ソースとして微小管を一般的に使用するので、細胞内の微小管-チューブリン平衡を妨げることができる化合物があれば、ウイルスの治療に有効である。細胞内の微小管-チューブリン平衡を妨げる他の化合物、例えばパクリタキセルやビンブラスチンなどは、それらの毒性によって使用が制限される。
【0018】
細胞骨格、特に微小管成分を標的とする薬剤は、癌や炎症に対する重要な治療薬である。これらの化合物の臨床活性は、微小管フィラメントを構成するαチューブリン及びβチューブリンのヘテロ二量体上のこれらの化合物が結合する位置によって決定される。αチューブリン及びβチューブリンのサブユニット上の3つの主要な結合部位は、タキサン、ビンカアルカロイド、及びコルヒチン結合部位として同定されている。このような薬剤は、一般的に、微小管安定化剤(例えば、タキサン)と、微小管不安定化剤または解重合剤(例えば、ビンカアルカロイドやコルヒチン)との2つの主要カテゴリに分類される。
【0019】
コルヒチンは治療指数が低く、無毒性量、毒性量、及び致死量を明確に区別できない。代謝的には、コルヒチンは、P糖タンパク質(P-gp;薬剤耐性1(MDR1)タンパク質の別名でも知られる)を介して排出される。薬剤間相互作用は、CYP3A4及びP糖タンパク質阻害剤間でよく見られ、コルヒチンの血中濃度を毒性レベルまで上昇させ、コルヒチン中毒及び死亡を引き起こす可能性がある。コルヒチンをP-gpまたは強力なCYP3A4阻害剤と共に投与した場合、たとえ承認された治療用量でも、命を脅かす致死的な毒性が観察されている。コルヒチンの承認された治療用量では、骨髄抑制、播種性血管内凝固、並びに、腎、肝、循環、及び中枢神経系の細胞障害などの重篤な毒性が観察されている。観察されたこれらの重篤な有害事象は、コルヒチンの臨床使用を制限する。
【0020】
細胞培養におけるDENV及びZIKVに対するコンブレタスタチン、コルヒチン、及びコルヒチンの誘導体、並びに、それらの選択されたプロドラッグの抗ウイルス活性を、低μM及びμM以下の濃度で観察した。多くの生物学的に活性な天然物と同様に、タキサン類の主要な問題は、その親油性、及び水溶液系への不溶解性である。このことは、クレモフォアELやTween80などの乳化剤を臨床製剤に使用することにつながり、その結果、重篤な過敏反応につながる。
【0021】
ノコダゾールは、駆虫剤のスクリーニングで同定された合成化合物である。ノコダゾールは、遊離したチューブリンヘテロ二量体に結合して、それらが微小管に取り込まれるのを防ぐため、微小管脱重合剤として使用することができる。しかし、ノコダゾールは、バイオアベイラビリティが低く、毒性が高いため、臨床的には使用されていない。
【0022】
細胞内輸送をマスターするための細胞及びウイルスの解決策は、微小管を含む組織化されたネットワークまたはフィラメントである。細胞は、長期間の正常な生理機能のために微小管を必要とし、ウイルスは、宿主細胞の生理機能に完全に依存する偏性細胞内寄生体である。したがって、すべてではないとしてもほとんどのウイルスのライフサイクルが、効率的な複製のために微小管を必要とすることは、驚くにはあたらない。微小管上のウイルス結合部位は、抗ウイルス療法の新たな標的を提供するであろう。本出願の発明は、ウイルスの細胞内輸送、複製、及び放出を防止するために、細胞骨格の微小管を妨げる新規な方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0024】
【化1】
【0025】
式中、
Aは、フェニル、インドリル、またはインダゾリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールまたはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である。
【0026】
本発明の一実施形態では、本方法で使用される上記の式Iで表される化合物において、
Aは、フェニルまたはインドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である。
【0027】
本発明の別の実施形態では、本方法で使用される上記の式Iで表される化合物において、
Aは、フェニルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態では、本方法で使用される上記の式Iで表される化合物において、
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態では、本方法で使用される上記の式Iで表される化合物において、
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキルのうちの少なくとも1つで置換され;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合であり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~3である。
【0030】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式VIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0031】
【化2】
【0032】
式中、
Xは、結合またはNHであり;
Qは、NHであり;
Aは、フェニル、インドリル、またはインダゾリル環であり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される。
【0033】
別の実施形態では、本方法で使用される上記の式VIIで表される化合物において、Xは、NHである。
【0034】
さらに別の実施形態では、本方法で使用される上記の式VIIで表される化合物において、
Xは、結合であり;
Qは、NHであり;
Aは、インドリル環であり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される。
【0035】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式VII(c)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0036】
【化3】
【0037】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~4である。
【0038】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式17yaで表される化合物を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0039】
【化4】
【0040】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明は、コロナウイルス科ウイルスによって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療する方法を提供する。本発明の一実施形態は、本発明は、SARS-CoV、MERS-CoV、またはSARS-CoV-2によって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、本発明は、COVID-19によって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療する方法を提供する。
【0041】
本発明の一実施形態は、コロナウイルスによって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV、MERS-CoV、またはSARS-CoV-2によって引き起こされるコロナウイルス感染症を治療する方法を提供する。本発明の好ましい実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療する方法を提供する。本発明のさらなる実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、呼吸不全及び/または死亡率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、死亡率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、罹患率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、罹患率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、呼吸不全、ICUの入院日数、若しくは人工呼吸器の使用日数を減少させるか、または、臨床改善のためのWHO順序尺度を改善する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸器症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、呼吸不全、ICUの入院日数、若しくは人工呼吸器の使用日数を減少させるか、または、臨床改善のためのWHO順序尺度を改善する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、60歳超の患者の死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重度急性呼吸器症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、60歳超の患者の死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者をレムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与と組み合わせて治療した場合に、死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸器症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を、レムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与と組み合わせて治療した場合に、死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本明細書で使用するとき、死亡率、罹患率、呼吸不全、ICUの入院日数、人工呼吸器の使用日数などの減少は、プラセボで治療した患者(または患者集団)と比較して減少することを意味する。同様に、臨床改善のためのWHO順序尺度の改善は、プラセボで治療した患者(または患者集団)と比較した改善を意味する。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態では、本方法は、少なくとも1つの追加治療(2次治療)をさらに含む。本方法の一実施形態は、ノイラミニダーゼ阻害剤、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、または血球凝集素阻害剤の投与などの第2の抗ウイルス療法をさらに含む。本方法の一実施形態は、免疫系または宿主細胞因子を調節する薬剤の投与を含む追加治療をさらに含む。免疫系または宿主細胞因子を調節する薬剤としては、例えば、デキサメタゾンまたは他のコルチコステロイド、IL-6阻害剤、例えばトシリズマブ、インターフェロン、IL-1阻害剤、またはキナーゼ阻害剤、例えばバリシチニブが挙げられる。本発明のさらに別の実施形態では、本方法は、抗体療法をさらに含む。抗体療法としては、例えば高力価COVID-19回復期血漿療法、静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)、または、カシリビマブとイメビマブとの組み合わせ、バムラニビマブ、若しくはバムラニビマブとエテセビマブとの組み合わせの投与などのモノクローナル抗体療法を含む。本方法の一実施形態は、レムデシビル及び/またはデキサメタゾン、または他のコルチコステロイドの投与などの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、トシリズマブの投与などの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、バリシチニブなの投与どの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、高力価COVID-19回復期血漿療法などの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)などの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、カシリビマブとイムディビマブとの組み合わせの投与などの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、バムラニビマブの投与などの追加治療をさらに含む。本方法の一実施形態は、バムラニビマブとエテセビマブとの組み合わせの投与などの追加治療をさらに含む。本方法のさらに別の実施形態は、ファビピラビル、ロピナビル、リトナビル、レムデシビル、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、ジドブジン、ジダノシン、ペラミビル、ザルシタビン、スタブジン、ファムシクロビル、オセルタミビル、ザナミビル、及びバラシクロビルのうちの少なくとも1つの投与を含む第2の抗ウイルス療法を含む。本方法のさらに別の実施形態は、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、イベルメクチン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、またはアンジオテンシン受容体結合剤(ARB)のうちの少なくとも1つの投与を含む2次治療を含む。
【0043】
本発明の実施形態は、本発明の化合物を約1~100mgの量で投与する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の化合物を約4~90mgの量で投与する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の化合物を約9~18mgの量で投与する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の化合物を約4~45mgの量で投与する方法を提供する。本方法のさらに別の実施形態では、本発明の化合物を含有する製剤は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
発明と見なされる主題は、明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、構成及び動作方法の両方に関して、また、その目的、特徴、及び利点と共に、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことによって最もよく理解されるであろう。
【0045】
図1図1は、1日ごとの、臨床改善のためのWHO順序尺度の平均値を示す(0=ベースライン)。平均曲線下面積は、化合物17ya治療群では153、プラセボ治療群では182であった。
【発明を実施するための形態】
【0046】
微小管に基づく高分子細胞内輸送は、ウイルス複製の重要な側面である。ウイルスに感染すると、ウイルスタンパク質が発現してこれらの微小管ネットワークの構造を変化させ、感染性のウイルス粒子(ビリオン)を複製して拡散させる。微小管は、感染を促進するだけでなく、ウイルスによって能動的に操作される。さらに、細胞骨格破壊剤は、ウイルス感染を抑制する。
【0047】
理論に限定されるものではないが、本発明は、一部には、チューブリンが、アルファコロナウイルス及びベータコロナウイルスのSARS-CoVスパイクSタンパク質の細胞質ドメインと相互作用するという事実に基づいている。微小管脱重合を引き起こす薬剤の投与によって、感染性ウイルスの力価を低下させることができる。これは主に、Sタンパク質-微小管輸送の障害に起因して集合部位に存在するSタンパク質が減少するため、及び、Sタンパク質自体のウイルス粒子への取り込み過程がチューブリン依存性であるためである。さらに、微小管輸送の破壊は、表面スパイクSタンパク質の少ないこれらの不完全に集合したウイルス粒子の細胞外への排出を阻害し、感染力を低下させる。微小管解重合剤は、ウイルスの複製サイクルにとって重要な微小管輸送を阻害することにより、コロナウイルス感染症の治療に有効であると考えられる。
【0048】
本発明は、特許請求の範囲に記載の化合物の細胞骨格破壊活性による細胞内微小管輸送ネットワークの遮断に基づいた、抗ウイルス療法に関する。これに限定しないが毒性などの従来技術の欠点を克服する目的で、本方法は、ウイルス感染細胞内、または好ましくはウイルスによって標的化される細胞内で、特異的に活性化される化合物を対象とする。理論に限定されるものではないが、本発明は、ウイルスが宿主細胞機構に依存して複製を成功させていることに基づいている。例えば、コロナウイルスは、その複製サイクル中に、宿主の分泌経路を利用する。分泌経路での小胞輸送は、そのほとんどが、微小管とそれに対応するモータータンパク質によって媒介される。微小管が破壊されると、複製が減少して放出される感染性粒子の量が減少し、それにより、ウイルス収量が減少する。その結果、ウイルス量が減少し、抗ウイルス療法が確立される。そこで、本発明者らは、新規な、即効性の抗ウイルス化合物のニーズに対応するために、以下に示す化合物の投与によってウイルス感染症を治療する方法を提案した。
【0049】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、αチューブリン及びβチューブリンの「コルヒチン結合部位」に結合し、低ナノモル濃度でチューブリン重合を阻害する、経口で生物学的に利用可能な非コルヒチン分子である。これらのコルヒチン結合部位阻害剤(CBSI)は広範な構造を有するが、一般的に、主な構成要素として、インドリル、フェニル、またはインダゾリルのA環(式Iの左端の環)、A環とB環との間の直接結合またはアミノリンカー(X)、イミダゾールまたはベンズイミダゾールのB環、B環とC環との間のメタノンリンカー(Y)(式Iの右端の環)、及び、置換フェニルC環を有する。本方法で使用される化合物は、P-gp、MRP、及びBCRPを含むMDRの基質でもないし、CYP3A4でもない。また、本方法で使用される化合物は、βI、βIII、及びβIV-チューブリンアイソフォームの転写を減少させる(Li 2012)。さらに、本発明の方法で使用される化合物は、顕著な神経毒性、好中球減少、または骨髄抑制を引き起こさず、忍容性が良好であるため、安全性が高い。
【0050】
さらに、本発明に包含される方法は、全身性抗ウイルス剤として細胞毒性濃度未満の濃度で投与できるように、微小管動態に影響を与えることができる化合物を使用する。これは、抗ウイルス薬として使用されるコルヒチン及び他のチューブリン重合不安定化剤が高い全身毒性を有することに対して著しく対照的である。
【0051】
本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0052】
【化1】
【0053】
式中、
Aは、フェニル、インドリル、またはインダゾリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾール、チアゾール、またはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合、NH、(C~C)アルキル、O、またはSであり;
Yは、結合、-C=O、-C=S、SO、SO、またはSであり;
mは、1~3である。
【0054】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式IIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0055】
【化5】
【0056】
式中、
Bは、イミダゾール、チアゾール、またはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
nは、1~3であり;
mは、1~3である。
【0057】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式IIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0058】
【化6】
【0059】
式中、
Bは、イミダゾール、チアゾール、またはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
nは、1~3である。
【0060】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式IVで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0061】
【化7】
【0062】
式中、
A環は、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Bは、イミダゾールまたはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
mは、1~4である。
【0063】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式IV(a)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0064】
【化8】
【0065】
式中、
Bは、イミダゾールまたはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Xは、結合またはNHであり;
Yは、-C=Oであり;
nは、1~2であり;
mは、1~4である。
【0066】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式Vで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0067】
【化9】
【0068】
式中、
Bは、イミダゾールまたはベンズイミダゾールであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-ハロ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、ヒドロキシル、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され:
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~3である。
【0069】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式VIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0070】
【化10】
【0071】
式中、
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Qは、SまたはNHであり;
nは、1~3である。
【0072】
好ましくは、式VIで表される化合物の変数は、
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
Qは、NHであり;
nは、1~3である。
【0073】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の表1Aに記載の式VIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0074】
【表1A】
【0075】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の式VIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0076】
【化11】
【0077】
式中、
Xは、結合、NH、またはSであり;
Qは、NHであり;
Aは、フェニル、インドリル、またはインダゾリル環であり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される。
【0078】
式VIIで表される化合物の例としては、これに限定しないが、(2-(フェニルアミノ)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノール(5e)、(2-(フェニルアミノ)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノール塩酸塩(5He)、及び、(2-(1H-インドール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノール(17ya)が挙げられる。
【0079】
好ましくは、式VIIで表される化合物の変数は、
Xは、結合であり;
Qは、NHであり;
Aは、インドリル環であり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される。
【0080】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の式VII(a)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0081】
【化12】
【0082】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~4である。
【0083】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の式VII(b)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0084】
【化13】
【0085】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~4である。
【0086】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の式VII(c)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0087】
【化3】
【0088】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~4である。
【0089】
式VII(c)で表される化合物の例としては、これに限定しないが、(2-(1H-インドール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(17ya)が挙げられる。
【0090】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の式17yaで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0091】
【化4】
【0092】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の表1B-1~表1B-12に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0093】
【表1B-1】
【0094】
【表1B-2】
【0095】
【表1B-3】
【0096】
【表1B-4】
【0097】
【表1B-5】
【0098】
【表1B-6】
【0099】
【表1B-7】
【0100】
【表1B-8】
【0101】
【表1B-9】
【0102】
【表1B-10】
【0103】
【表1B-11】
【0104】
【表1B-12】
【0105】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XIIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0106】
【化14】
【0107】
式中、
Zは、Oであり;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
mは、1~4の整数であり;
nは、1~4の整数である。
【0108】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XIVで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0109】
【化15】
【0110】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
mは、1~4の整数であり;
nは、1~4の整数である。
【0111】
式XIVの化合物の非限定的な例としては、(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12aa)、(4-フルオロフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12af)、(2-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ba)、(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ca)、(4-フルオロフェニル)(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12cb)、(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12da)、(4-フルオロフェニル)(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12db)、(4-ヒドロキシ-3、5-ジメトキシフェニル)(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12dc)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12fa)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12fb)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-ヒドロキシ-3、5-ジメトキシフェニル)メタノン(12fc)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ga)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12gb)、(2-(3、4-ジメトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ha)、(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12jb)、(2-(4-ブロモフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12la)、及び、(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12pa)が挙げられる。
【0112】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XIVaで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0113】
【化16】
【0114】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
は、水素、直鎖状または分岐状、アルキル、アリール、CHPh、ベンジル、ハロアルキル、アミノアルキル、OCHPh、SO-アリール、-(C=O)-アリール、またはOHであり、任意選択で、水素、ヒドロキシル、脂肪族直鎖または分枝鎖C~C10炭化水素、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、アルキル-CN、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、COOH、C(O)Ph、C(O)-アルキル、C(O)O-アルキル、C(O)H、C(O)NH、-OC(O)CF、OCHPh、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、メシルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、NHC(O)-アルキル、尿素、アルキル-尿素、アルキルアミド(例えば、アセトアミド)、ハロアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C~Cシクロアルキル、アリールアルキル、及びそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つで置換され;
mは、1~4の整数であり;
nは、1~4の整数である。
【0115】
式XIVaの化合物の非限定的な例としては、(4-フルオロフェニル)(2-フェニル-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11af)、(4-フルオロフェニル)(2-(4-メトキシフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11cb)、(4-フルオロフェニル)(1-(フェニルスルホニル)-2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11db)、(2-(4-クロロフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(11fb)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11ga)、(2―(4―(ジメチルアミノ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H―イミダゾール―4―イル)(4―フルオロフェニル)メタノン(11gb)、(2-(3、4-ジメトキシフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11ha)、(2―(4―(ベンジルオキシ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H―イミダゾール―4―イル)(4―フルオロフェニル)メタノン(11jb)、(2―(4―(ジメチルアミノ)フェニル)-1-((4―メトキシフェニル)スルホニル)-1H―イミダゾール―4―イル)(4―フルオロフェニル)メタノン(12gba)、(1―ベンジル―2―(p―トリル)-1H―イミダゾール―4―イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12daa)、(1―メチル―2―(p―トリル)-1H―イミダゾール―4―イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11dab)、及び、(4-フルオロフェニル)(2-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11cba)が挙げられる。
【0116】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XVで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0117】
【化17】
【0118】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
nは、1~4である。
【0119】
式XVの化合物の非限定的な例としては、(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12aa)、(2-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ba)、(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ca)、(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12da)、(3、4、5-トリメトキシフェニル)(2-(3、4、5-トリメトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12ea)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12fa)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ga)、(2-(3、4-ジメトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ha)、(2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ia)、(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ja)、(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ka)、(2-(4-ブロモフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12la)、及び、(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12pa)が挙げられる。
【0120】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XVIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0121】
【化18】
【0122】
式中、
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
は、I、Br、Cl、またはFであり;
nは、1~4である。
【0123】
式XVIの化合物の非限定的な例としては、(4-フルオロフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12af)、(4-フルオロフェニル)(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12cb)、(4-フルオロフェニル)(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12db)、(4-フルオロフェニル)(2-(3、4、5-トリメトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12eb)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12fb)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12gb)、及び、(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12jb)が挙げられる。
【0124】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XVIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0125】
【化19】
【0126】
式中、
は、H、O-(C~C)アルキル、I、Br、Cl、F、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、アミノ(C~C)アルキル、OCHPh、OH、CN、NO、-NHCO-(C~C)アルキル、COOH、C(O)O-(C~C)アルキル、またはC(O)Hであり;
及びRは、互いに独立して、H、O-アルキル、I、Br、Cl、F、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、アミノ(C~C)アルキル、OCHPh、OH、CN、NO、-NHCO-(C~C)アルキル、COOH、C(O)O-(C~C)アルキル、またはC(O)Hであり;
mは、1~4である。
【0127】
式XVIIの化合物の非限定的な例としては、(2-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ba)、(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ca)、(4-フルオロフェニル)(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12cb)、(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12da)、(4-フルオロフェニル)(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12db)、(4-ヒドロキシ-3、5-ジメトキシフェニル)(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12dc)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12fa)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12fb)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリヒドロキシフェニル)メタノン(13fa)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ga)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12gb)、(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12jb)、(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ka)、(2-(4-ブロモフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12la)、及び、(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12pa)が挙げられる。
【0128】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式12fbで表される化合物XVII、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0129】
【化20】
【0130】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式12cbで表される化合物XVII、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0131】
【化21】
【0132】
上記の化合物の非限定的な例としては、(4-メトキシフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(12aba)、(2-フェニル-1H-イミダゾール-1-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12aaa)、2-フェニル-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール(10a)、2-(4-ニトロフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール(10x)、及び、2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール(10j)が挙げられる。
【0133】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XIXで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0134】
【化22】
【0135】
式中、
Wは、C=O、C=S、SO、またはS=Oであり;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
、R、及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
mは、1~4であり;
nは、1~4であり;
qは、1~4である。
【0136】
式XIXの化合物の非限定的な例としては、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11gaa)、(2-(4-ブロモフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11la)、(4-フルオロフェニル)(2-(4-メトキシフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11cb)、(2-(4-クロロフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(11fb)、(4-フルオロフェニル)(2-フェニル-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11af)、(4-フルオロフェニル)(1-(フェニルスルホニル)-2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(11db)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11ga)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(11gb)、(2-(3、4-ジメトキシフェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(11ha)、(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1-(フェニルスルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(11jb)、及び、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(12gba)が挙げられる。
【0137】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式11cbで表される化合物XIX、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0138】
【化23】
【0139】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式11fbで表される化合物XIX、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0140】
【化24】
【0141】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XXで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0142】
【化25】
【0143】
式中、
は、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つである。
【0144】
式XXの化合物の非限定的な例としては、(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12aa)、(2-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ba)、(2-(4-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ca)、(2-(p-トリル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12da)、(2-(4-クロロフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12fa)、(2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ga)、(2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ia)、(2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ja)、(2-(4-ヒドロキシフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12ka)、(2-(4-ブロモフェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12la)、及び、(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12pa)が挙げられる。
【0145】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式12daで表される化合物XX、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0146】
【化26】
【0147】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式12faで表される化合物XX、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0148】
【化27】
【0149】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XXIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0150】
【化28】
【0151】
式中、
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
Qは、NHであり;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
mは、1~4である。
【0152】
本方法の一実施形態では、式XXIの化合物のA環は、置換された5-インドリルである。別の実施形態では、置換基は、-(C=O)-アリールである。別の実施形態では、上記アリールは、3、4、5-(OCH-Phである。別の実施形態では、式XXIの化合物のA環は、3-インドリルである。別の実施形態では、式XXIの化合物のA環は、5-インドリルである。別の実施形態では、式XXIの化合物のA環は、2-インドリルである。式XXIの化合物の非限定的な例としては、(5-(4-(3、4、5-トリメトキシベンゾイル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インドール-2-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(15xaa)、(1-(フェニルスルホニル)-2-(1-(フェニルスルホニル)-2-(3、4、5-トリメトキシベンゾイル)-1H-インドール-5-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(16xaa)、(2-(1H-インドール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(17ya)、(2-(1H-インドール-2-イル)チアゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(62a)、及び、(2-(1H-インドール-5-イル)チアゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(66a)が挙げられる。
【0153】
本発明のコロナウイルス感染症を治療する方法の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの式XXIの化合物を使用し、そのようなものとしては、(2-(1H-インドール-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン、(2-(1H-インドール-2-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン、(2-(1H-インドール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(17ya)、(2-(1H-インドール-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン、(2-(1H-インドール-5-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン、(2-(1H-インドール-6-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン、及び、(2-(1H-インドール-7-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノンが挙げられる。
【0154】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XXIaで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0155】
【化29】
【0156】
式中、
Wは、C=O、C=S、SO、またはS=Oであり;
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換され;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
及びRは、互いに独立して、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つであり;
mは、1~4であり;
qは、1~4である。
【0157】
式XXIaの化合物の非限定的な例としては、(1-(フェニルスルホニル)-2-(1-(フェニルスルホニル)-2-(3、4、5-トリメトキシベンゾイル)-1H-インドール-5-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(16xaa)、及び、(1-(フェニルスルホニル)-2-(1-(フェニルスルホニル)-1H-インドール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(17yaa)が挙げられる。
【0158】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式XXIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0159】
【化30】
【0160】
式中、
Aは、インドリルであり、任意選択で、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、O-(C~C)アルキル、O-(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルキルアミノ、アミノ(C~C)アルキル、F、Cl、Br、I、CN、-CHCN、NH、ヒドロキシル、OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-(C1~C4)アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-(C~C)アルキル、C(O)H、-C(O)NH、またはNOのうちの少なくとも1つで置換される。
【0161】
本方法の一実施形態では、式XXIIの化合物のA環は、置換された5-インドリルである。別の実施形態では、置換基は、-(C=O)-アリールである。別の実施形態では、上記アリールは、3、4、5-(OCH-Phである。別の実施形態では、式XXIIの化合物のA環は、3-インドリルである。式XXIIの化合物の非限定的な例としては、(5-(4-(3、4、5-トリメトキシベンゾイル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インドール-2-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(15xaa)、及び、(2-(1H-インドール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(17ya)が挙げられる。
【0162】
また、本発明は、治療を必要とする対象におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、治療有効量の下記の式17yaで表される化合物XXI若しくは化合物XXII、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、若しくは異性体を含有する製剤を上記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0163】
【化31】
【0164】
本方法の一実施形態では、式XIII~XVIの化合物のR及びRは、水素である。R及びRが水素である式XIII~XVIの化合物の非限定的な例としては、(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12aa)、(4-メトキシフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12ab)、(3-メトキシフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12ac)、(3、5-ジメトキシフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12ad)、(3、4-ジメトキシフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12ae)、(4-フルオロフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12af)、(3-フルオロフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)メタノン(12ag)、(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)(p-トリル)メタノン(12ah)、及び、(2-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)(m-トリル)メタノン(12ai)が挙げられる。
【0165】
本方法の一実施形態では、式XIIで表される化合物において、PはHであり、Qは、
【0166】
【化32】
【0167】
である。
【0168】
別の実施形態では、Wは、C=Oである。別の実施形態では、式XVIIIで表される化合物のWは、C=Oである。WがC=Oである式XVIIIで表される化合物の非限定的な例としては、(4-メトキシフェニル)(2-フェニル-1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(12aba)、及び、(2-フェニル-1H-イミダゾール-1-イル)(3、4、5-トリメトキシフェニル)メタノン(12aaa)が挙げられる。
【0169】
本方法の一実施形態では、本発明の化合物は、純粋な(E)異性体である。別の実施形態では、本発明の化合物は、純粋な(Z)異性体である。別の実施形態では、本発明の化合物は、(E)異性体と(Z)異性体との混合物である。一実施形態では、本発明の化合物は、純粋な(R)異性体である。別の実施形態では、本発明の化合物は、純粋な(S)異性体である。別の実施形態では、本発明の化合物は、(R)異性体と(S)異性体との混合物である。
【0170】
また、本発明の化合物は、実質的に等量の立体異性体を含むラセミ混合物の形態で存在することができる。別の実施形態では、本発明の化合物は、それに対応する立体異性体を実質的に含まない(すなわち、実質的に純粋な)立体異性体を得るために、既知の手法を用いて、調製または他の方法で単離することができる。本明細書で使用するとき、「実質的に純粋な」という用語は、立体異性体が、1つの異性体において少なくとも約95%純粋であることを指す。あるいは、立体異性体の純度は、少なくとも約98%、より好ましくは少なくとも約99%であり得る。
【0171】
また、本発明の化合物は、水和物の形態であってもよく、これは、化合物が、非共有分子間力によって結合した化学量論的または非化学量論的な量の水をさらに含むことを意味する。
【0172】
本発明は、本発明の方法で使用される化合物の「薬学的に許容される塩」を含み、これは、本発明の化合物と酸または塩基との反応によって製造することができる。特定の化合物、特に、酸性基または塩基性基を有する化合物は、塩、好ましくは薬学的に許容される塩の形態であってもよい。本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的にまたは他の点で望ましくない遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸で形成される。他の塩は、当業者に知られており、本発明による使用に容易に適合させることができる。
【0173】
本発明の方法で使用される化合物のアミンの好適な薬学的に許容可能な塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。一実施形態では、アミンの無機塩の例としては、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、塩化物、半硫酸塩、臭化水素塩、塩酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホネート(ヒドロキシエタンスルホネート)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、硝酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、スルホン酸塩(アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ハロゲン置換アルキルスルホン酸塩、ハロゲン置換アリールスルホン酸塩)、スルホン酸塩、及びチオシアン酸塩が挙げられる。
【0174】
アミンの有機塩の例としては、これに限定しないが、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸クラスの有機酸が挙げられ、それらの例としては、酢酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アルゲン酸塩、アルカンカルボン酸塩、置換アルカンカルボン酸塩、アルギネート、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルフォン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、エデテト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、桂皮酸塩、ジカルボン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホネート、二塩酸塩、デカン酸塩、エナント酸塩、エタンスルホン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、フッ化物、ガラクツロン酸、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルセプト酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、フッ化水素酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メチレンビス(β-オキシナフトエート)、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチルブロミド、メチルニトラート、メチルスルホン酸塩、一カリウムマレイン酸塩、ムチン酸塩、モノカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、ナプシル酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、ピクリン酸塩、フェニル安息香酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、ペクチン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ポリガラクチュレート、ピルビン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、ステアリン酸塩、スルファニル酸塩、亜酢酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、テレフタル酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、トリハロ酢酸塩、トリエトヨウ化物、トリカルボン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩が挙げられる。
【0175】
カルボン酸またはヒドロキシルの無機塩の例としては、アンモニウム、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム)、亜鉛、バリウム、コリン、及び四級アンモニウムが挙げられる。
【0176】
カルボン酸またはヒドロキシルの有機塩の例としては、アルギニン、有機アミン、例えば、脂肪族有機アミン、脂環式有機アミン、芳香族有機アミン、ベンザチン、t-ブチルアミン、ベンタミン(N-ベンジルフェネチルアミン)、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リジン、メチルアミン、メグラミン、N-メチル-D-グルカミン、N、N´-ジベンジルエチレンジアミン、ニコチンアミド、有機アミン、オルニチン、ピリジン、ピコリル、ピペラジン、プロカイン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トロメタミン、及び尿素が挙げられる。
【0177】
代表的な塩としては、これに限定しないが、フッ化水素塩、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、ホウ酸塩、硝酸、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、またはメシル酸塩が挙げられる。好ましい塩としては、フッ化水素塩、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、またはメシル酸塩が挙げられる。より好ましい塩としては、塩酸、酢酸塩、またはマレイン酸塩が挙げられる。
【0178】
塩は、従来の手段によって、例えば、塩が不溶性である溶媒または媒体中で、または減圧下で除去されるかまたは凍結乾燥によって除去される水などの溶媒中で、生成物の遊離塩基または遊離酸形態を1以上の当量の適切な酸または塩基と反応させることによって、または、既存の塩のイオンを別のイオンまたは適切なイオン交換樹脂と交換することによって形成することができる。
【0179】
本発明の方法で使用される化合物は、米国特許第8、592、465号、同8、822、513号、同9、029、408号、同9、334、242号、同9、447、049号、同10、301、285号、及び、米国公開第2020/24270号に記載された方法を用いて合成することができる。上記の特許文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
医薬組成物
【0181】
本発明の方法は、薬学的に許容される担体及び本明細書に記載された少なくとも1つの化合物を含有する医薬組成物を投与することを含む。一般的に、本発明の医薬組成物は、化合物またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含み得る。「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、任意の適切なアジュバント(補助剤)、担体、賦形剤、香味剤、または安定剤を指し、固体形態または液体形態で医薬製剤に使用することができる。そのような形態としては、これに限定しないが、錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、また乳濁液が挙げられる。
【0182】
疾患状態を治療するための方法及び投薬計画において使用される化合物の量は、年齢、体重、性別、患者の医学的状態、疾患の種類、疾患の重症度、投与経路、投与頻度、及び、使用される特定の化合物を含む様々な因子に依存する。したがって、投薬計画は多様であり得るが、標準的な方法を用いてルーチン的に決定することができる。
【0183】
一般的に、本発明の製剤は、アジュバント、担体及び/または賦形剤と共に、約0.01~99重量%の少なくとも1つの化合物、好ましくは約20~75重量%の活性化合物を含有する。個々のニーズは異なり得るが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技術の範囲内である。一般的な1日投与量としては、約2~200mgまたは約1~100mgの化合物が挙げられ、好ましい1日投与量としては、約4~90mgの化合物が挙げられ、最も好ましい投与量としては、約4~80mgの化合物が挙げられる。他の好ましい投与量としては、約4~45mg、または約9~18mgの量の抗ウイルス化合物が挙げられる。あるいは、投与量は、約0.01~150mg/kg体重、好ましくは約1~100mg/kg体重、より好ましくは約2~50mg/kg体重が適切であり得る。1日投与量は、1日あたり1回から4回に分けて投与され得る。本発明の化合物の投与のための治療計画は、当業者であれば容易に決定することができる。すなわち、投与頻度や投与量は、好ましくは副作用を最小限に抑えながら、ルーチンの最適化によって確立することができる。
【0184】
上記の用量よりも低い用量または高い用量が必要となる場合がある。特定の患者に対する特定の投与量及び治療計画は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、疾患、状態または症状の重症度及び経過、疾患、状態または症状に対する患者の性向、及び治療する医師の判断を含む様々な因子に依存し得る。
【0185】
患者の状態が改善されると、必要に応じて、化合物、組成物または製剤の維持量が投与され得る。その後、投与量、投与頻度、またはその両方は、症状の関数として、症状が所望のレベルまで緩和されたときに改善された状態が維持されるレベルまで減少させる。しかしながら、患者は、疾患症状の再発時に、長期的に断続的な治療を必要とする場合がある。
【0186】
本発明の方法は、「追加の治療剤」を含み得る。「追加の治療剤」としては、これに限定しないが、免疫療法剤(例えば、インターフェロン)、治療ワクチン、抗線維化剤、コルチコステロイドやNSAIDなどの抗炎症剤、β2アドレナリン作動薬やキサンチン(例えば、テオフィリン)などの気管支拡張薬、粘液溶解剤、抗ムスカリン薬、抗ロイコトリエン薬、細胞接着阻害剤(例えば、ICAMアンタゴニスト)、抗酸化剤(例えば、N-アセチルシステイン)、サイトカインアゴニスト、サイトカインアンタゴニスト、肺表面活性剤及び/または抗微生物剤、及び抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン)が挙げられる。また、本発明の方法は、遺伝子置換療法と組み合わせて実施してもよい。
【0187】
本発明の方法は、コロナウイルス感染に関連する感染症または疾患を治療するために、他の抗ウイルス療法と組み合わせて実施してもよい(例えば、併用療法)。本発明の方法と組み合わせて使用することが考えられる適切な抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、及び他の抗ウイルス剤が挙げられる。適切なNRTIの例としては、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)、アバカビル(1592U89)、アデホビルジピボキシル[ビス(POM)-PMEA]、ロブカビル(BMS-180194)、BCH-I0652、エムトリシタビン[(-)-FTC]、β-L-FD4(「β-L-D4C」、β-L-2´、3´-ジクレオキシ-5-フルオロシチデンとも呼ばれる)、DAPD((-)-β-D-2、6-ジアミノ-プリンジオキソラン)、及びロデノシン(FddA)が挙げられる。代表的な適切なNNRTIとしては、ネビラピン(BI-RG-587)、デラビラジン(U-90152BHAP)、エファビレンツ(DMP-266)、PNU-142721、AG-1549、MKC-442(1-(エトキシメチル)-5-(1-メチルエチル)-6-(フェニルメチル)-(2、4(1H、3H)-ピリミジンジオン))、並びに、(+)カラノリドA(NSC-675451)及びカラノリドBが挙げられる。代表的な適切なプロテアーゼ阻害剤としては、サキナビル(Ro 31-8959)、リトナビル(ABT-538)、インジナビル(MK-639)、ネルフィナビル(AG-1343)、アンプレナビル(141W94)、ラシナビル(BMS-234475)、DMP-450、BMS-2322623、ABT-378、及びAG-1549が挙げられる。他の抗ウイルス剤としては、ヒドロキシウレア、リバビリン、IL-2、IL-12、ペンタフシド、及びイッサムプロジェクト(Yissum Project)番号11607が挙げられる。
【0188】
他の抗ウイルス剤としては、これに限定しないが、ノイラミニダーゼ阻害剤、血球凝集素阻害剤、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、及び、デキサメタゾンなどの免疫系や宿主細胞因子を調節する薬剤が挙げられる。例としては、これに限定しないが、ファビピラビル、ロピナビル、リトナビル、レムデシビル、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、ジドブジン、ジダノシン、ペラミビル、ザルシタビン、スタブジン、ファムシクロビル、オセルタミビル、ザナミビル、及びバラシクロビルが挙げられる。本方法の実施形態は、レムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与などの追加療法をさらに含む。本方法の実施形態は、カシリビマブとイムディビマブとの組み合わせの投与などの追加療法をさらに含む。本方法の実施形態は、バムラニビマブの投与などの追加療法をさらに含む。
【0189】
コロナウイルス感染症を治療する本方法は、他の治療法をさらに含むことができる。例えば、本方法は、ノイラミニダーゼ阻害剤、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、または血球凝集素阻害剤の投与などの第2の抗ウイルス療法を含むことができる。本方法に含まれる他の治療法としては、デキサメタゾンなどの免疫系や宿主細胞因子を調節する薬剤、コルチコステロイド、トシリズマブなどのIL-6阻害薬、インターフェロン、IL-1阻害薬、または、バリシチニブなどのキナーゼ阻害剤の投与が挙げられる。本方法は、抗体療法、例えば、高力価COVID-19回復期血漿療法、静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)、または、カシリビマブとイミディマブとの組み合わせ、バムラニビマブ、若しくはバムラニビマブとエテセビマブとの組み合わせの投与を含むモノクローナル抗体療法をさらに含み得る。本方法は、トシリズマブやバリシチニブの投与をさらに含み得る。本方法は、高力価COVID-19回復期血漿療法、静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)、カシリビマブとイミディマブとの組み合わせの投与、バムラニビマブの投与、または、バムラニビマブとエテセビマブとの組み合わせの投与などの追加療法をさらに含み得る。本方法は、ファビピラビル、ロピナビル、リトナビル、レムデシビル、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、ノイラミニダーゼ阻害剤、アマンタジン、リマンタジン、血球凝集素阻害剤、リバビリン、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、ジドブジン、ジダノシン、ペラミビル、ザルシタビン、スタブジン、ファムシクロビル、オセルタミビル、ザナミビル、またはバラシクロビルのうちの少なくとも1つの投与を含む第2の抗ウイルス療法を含み得る。本方法は、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、イベルメクチン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、またはアンジオテンシン受容体結合剤(ARB)のうちの少なくとも1つの投与を含む2次治療を含み得る。
【0190】
固体単位剤形は、従来型のものを用いることができる。固体形態は、例えば化合物及び担体を含む通常のゼラチンタイプなどのカプセルなどであり得る。担体としては、これに限定しないが、潤滑剤や不活性充填剤、例えば、ヒマシ油及びその類似物質、ラクトース、スクロース、またはコーンスターチなどが挙げられる。製剤は、ラクトース、スクロース、またはコーンスターチなどの従来の錠剤基剤と、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、コーンスターチ、ポテトスターチ、またはアルギン酸などの崩壊剤、及び、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤とを組み合わせて錠剤化され得る。
【0191】
また、錠剤やカプセルなどは、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤、第二リン酸カルシウムなどの賦形剤、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び、スクロース、ラクトース、サッカリンなどの甘味料を含み得る。単位剤形がカプセルである場合、上記の種類の材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含み得る。
【0192】
本発明の製剤は、錠剤やカプセルなどを製造するために、脂肪油、ヒマシ油、または他の類似の油などの液体担体と、低温、室温、または高温で混合することができる。
【0193】
コーティングとして、または単位剤形の物理的形態を変更するために、様々な他の材料が使用され得る。例えば、錠剤は、セラック、砂糖、またはその両方でコーティングされ得る。シロップの場合、有効成分に加えて、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルやプロピルパラベン、着色剤、及び、チェリーやオレンジフレーバーなどの香料を含み得る。
【0194】
経口治療投与の場合、本発明の製剤は、賦形剤を含み、錠剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップなどの形態で使用され得る。このような組成物及び製剤は、活性化合物を少なくとも0.1%の量で含有するべきである。これらの組成物中の化合物のパーセンテージは、当然ながら変更することができ、好都合には、単位剤形の重量の約2~60%であり得る。このような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、適切な用量が得られるような量である。本発明による代表的な組成物は、経口単位剤形が約1~100mgの活性化合物を含有するように調製され、好ましい経口組成物は、1~50mgの活性化合物を含有する。
【0195】
本発明の製剤は、不活性希釈剤または吸収可能な可食性担体と共に経口投与してもよいし、または硬質または軟質のシェルカプセル内に封入してもよいし、または圧縮して錠剤にしてもよいし、または食事の食品に直接組み込んでもよい。好ましい製剤は、経口製剤である。
【0196】
注射に適した医薬品形態としては、無菌水性溶液または分散液、及び、無菌注射用溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が挙げられる。いずれの場合も、その医薬品形態は、滅菌されている必要があり、容易に注射できる程度に流動性である必要がある。また、その医薬品形態は、製造及び保存の条件下で安定的であり、かつ、細菌や真菌などの微生物の汚染作用に抗して保存する必要がある。担体は、溶媒または分散媒体であり得、そのようなものとしては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、及び植物油が挙げられる。
【0197】
また、本発明の方法で使用される化合物または医薬組成物は、これらの材料を、薬学的なアジュバント、担体、または賦形剤と共に、生理学的に許容される希釈剤中に溶解または懸濁させた溶液または懸濁液によって、注射可能な用量で投与され得る。このようなアジュバント、担体、及び/または賦形剤としては、これに限定しないが、界面活性剤及び他の薬学的または生理学的に許容される成分の添加を伴うまたは伴わない、水や油などの滅菌液が挙げられる。例示的な油は、石油、動物、植物、または合成由来のものであり、例えば、ピーナッツ油、大豆油、または鉱油である。一般的に、水、生理食塩水、水性デキストロース及びそれに関連する糖溶液、及びグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが、特に注射用溶液に好適な液体担体である。
【0198】
また、製剤は、非経口的に投与してもよい。これらの製剤の溶液または懸濁液は、水中で、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合して調製することができる。分散液は、油中で、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で調製することもできる。例示的な油は、石油、動物、植物、または合成起源のものであり、例えば、ピーナッツ油、大豆油、または鉱油である。一般的に、水、生理食塩水、水性デキストロース及びそれに関連する糖溶液、及びグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが、特に注射用溶液に好適な液体担体である。これらの製剤は、通常の保存及び使用条件下では、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有している。
【0199】
エアロゾルとして使用するためには、製剤は、溶液または懸濁液であってよく、適切な噴射剤、例えば、プロパン、ブタン、またはイソブタンなどの炭化水素噴射剤と共に、従来のアジュバントと共に、加圧されたエアゾール容器中に包装され得る。また、製剤は、ネブライザやアトマイザなどを使用して非加圧形態で投与してもよい。
【0200】
本発明の方法において製剤を投与する場合、製剤は、全身的にまたは連続的に投与され得る。製剤の投与は、化合物または医薬組成物をウイルス感染部位に送達するのに有効な任意の方法を用いて行われる。投与方法の例としては、これに限定しないが、本発明の化合物または組成物を、経口、局所、経皮、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腔内、膀胱内、眼内、動脈内、病変内、または、鼻、咽喉、若しくは気管支などの粘膜へ投与することが挙げられる。
【0201】
生物学的活性
【0202】
本発明は、上記の化合物及び製剤を使用したコロナウイルス感染症の治療方法及び抗ウイルス製剤に関する。本発明の化合物及び製剤は、微小管の重合を阻害することによって、コロナウイルス感染症を治療することができる。本発明の製剤は、任意選択で、コロナウイルス感染症の治療に有用な活性を有するか、特定の製剤の化合物または用量に関連する副作用に対処するか、あるいは、成分の放出を遅延または延長させる、有用な活性を有する追加の活性成分を含み得る。
【0203】
特に、本発明の方法は、コロナウイルス科のスーパーファミリーを含むウイルスによって引き起こされる感染症を治療するために使用することができる。また、本発明の方法は、これに限定しないが、例えば、SARS、MERS-CoV、またはCOVID-19などのウイルスによって引き起こされる感染症を治療するために使用することができる。好ましくは、本発明の方法は、SARS-CoV、MERS-CoV、またはCOVID-19によって引き起こされるウイルス感染症を治療する。より好ましくは、本発明の方法は、COVID-19(SARS-CoV-2)によって引き起こされるウイルス感染症を治療する。
【0204】
本発明の方法は、SARS-CoV、MERS-CoV、またはSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症、特にSARS-CoV-2感染症を治療するために使用することができる。本発明の方法は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症患者を治療するために使用することができる。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、死亡率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、死亡率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、罹患率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸窮迫症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、罹患率を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染に罹患した患者を治療することにより、呼吸不全、ICUの入院日数、または人工呼吸器の使用日数を減少させるか、あるいは、臨床改善のためのWHO順序尺度を改善する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸器症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、呼吸不全、ICUの入院日数、または人工呼吸器の使用日数を減少させるか、あるいは、臨床改善のためのWHO順序尺度を改善する方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、60歳超の患者における死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重度急性呼吸器症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を治療することにより、60歳超の患者における死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、SARS-CoV-2感染症の患者を、レムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与と組み合わせて治療することにより、死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。本発明の別の実施形態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または重症急性呼吸器症候群(SARS)のリスクが高いSARS-CoV-2感染症の患者を、レムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与と組み合わせて治療することにより、死亡率または呼吸不全を減少させる方法を提供する。
【0205】
本発明は、治療を必要とする患者におけるコロナウイルス感染症を治療する方法であって、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、または異性体を、コロナウイルス感染症を治療するための治療有効量で含有する製剤を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。本方法で用いられる化合物は、化合物12db、化合物11cb、化合物11fb、化合物12da、化合物12fa、化合物12fb、化合物12cb、化合物55、化合物66a、または化合物17yaのうちの少なくとも1つを含む。特定の方法では、本方法で用いられる化合物は、化合物17yaを含む。
【0206】
本明細書で使用するとき、「対象」または「患者」という用語は、特に断らない限り、これに限定しないが、ヒト、他の霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ラット、マウス、及び他の齧歯類を含む任意の哺乳動物患者を指す。特に、患者はヒトであり、患者は、男性のみであってもよいし、女性のみであってもよい。
【0207】
本明細書に記載の化合物及び製剤を投与するとき、製剤は、ウイルス感染が存在する特定の部位に全身的にまたは直接的に投与することができる。製剤の投与は、化合物または医薬組成物をウイルス感染部位に送達するのに有効な任意の方法を用いて行うことができる。製剤の投与方法としては、これに限定しないが、経口、局所、経皮、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腔内または膀胱内注入、眼内、動脈内、病変内、または粘膜への投与が挙げられる。粘膜としては、鼻、のど、気管支などの粘膜が挙げられる。好ましくは、製剤は、経口投与される。製剤の投与は、追加の抗ウイルス化合物または製剤、または化合物または用量に関連する副作用に対処するために用いられる治療と、同時にまたは連続して行うことができる。
【0208】
化合物17yaによるCOVID-19の治療は、プラセボによる治療と比較して有意な生物学的利点があった。例えば、化合物17ya治療群の患者の少なくとも約30~100%が呼吸不全を起こさずに生存し続けることができ(主要評価項目)、プラセボ治療群と比較して生存率が高かった(既存の標準治療は、レムデシビル、デキサメタゾン、回復期血漿など)。例えば、化合物17yaは、治療開始後60日までに死亡した患者の割合を、プラセボ治療群の30%(6/20)から、化合物17ya治療群の5%(1/19)に減少させた。死亡率の減少は、化合物17ya治療群で、約82%であった。したがって、化合物17yaによる治療は、プラセボ治療群と比較して、化合物17ya治療群の死亡率を約30~100%減少させることが期待される。試験期間中の治療失敗率(死亡または呼吸不全と定義)は、試験開始後15日目では、プラセボ治療群が35%であったのに対して、化合物17ya治療群は15.8%であった。治療が進むにしたがって減少率は改善し、試験開始後29日目では、治療失敗率は、プラセボ治療群では約30%であったのに対して、化合物17ya治療群は10.5%であった。この結果は、化合物17ya治療群は、プラセボ治療群と比較して、試験開始後15日目の治療失敗率が55%減少し、試験開始後29日目の治療失敗率が65%減少したことを示す。したがって、化合物17yaは、治療中に治療失敗率を約30~100%減少させることが期待される。COVID-19の患者の治療では、他の成功尺度も観察された。
【0209】
化合物17yaによる治療は、人工呼吸器の使用日数は、プラセボ治療群の平均5.4日から化合物17yaの治療群の1.6日に減少した。プラセボ治療群では、人工呼吸器の使用日数は、化合物17ya治療群の約3.4倍であった。結果として、化合物17yaによる治療は、プラセボで治療群と比較して、人工呼吸器の使用日数を約30~100%減少させることが期待される。化合物17yaで治療した患者は、ICUの入院日数に関しても減少が観察された。ICUの入院日数は、プラセボ治療群では平均9.6日だったが、化合物17ya治療群では約3日だった。プラセボ治療群のICUの入院日数は、化合物17ya治療群の3.2倍であった。したがって、化合物17yaによる治療は、プラセボで治療群と比較して、ICUの入院日数を約30~100%減少させることが期待される。
【0210】
試験依頼者(ヴェル社(Veru, Inc))は、本試験で得られたデータの事後サブグループ分析を実施した。この分析から、以下の追加的な観察がなされた。
【0211】
(1)化合物17ya治療群では、酸素補給を順守しなかった患者が1人いた。この患者は、本試験の標準治療を順守しなかった。この患者を分析から除外した集団(MITT集団)の主要評価項目の分析では、29日目のプラセボ治療群の失敗率が30%(表2と同じ)であったのに対し、化合物17ya治療群の失敗率は5.6%(表2よりも低い)であった。これは、治療失敗が81%減少したことを示す。
【0212】
(2)COVID-19の患者では、高齢患者は若年患者と比較して死亡及び呼吸不全のリスクが高いことがよく認識されている。高リスク集団である60歳超の患者を対象とした治療失敗の分析の結果、プラセボ治療群(4/8または50%)と比較して、化合物17ya治療群(1/11または9%)では、統計的に有意な(p値=0.0456(カイ二乗検定))、かつ、臨床的に意味のある、治療失敗の減少が認められた(表3参照)。
【0213】
(3)COVID-19の患者における有害な臨床転帰のリスク因子は、発症時の疾患の重症度である。このリスク因子を評価するために、ベースライン時のWHO重症度スコアが5以上であった患者について分析した。この分析の結果、上記の高リスク集団において、プラセボ(6/13または46%)と比較して、化合物17ya治療群(1/10または10%)では、臨床的に意味のある、死亡率の減少(78%)が認められた(表4参照)。
【0214】
(4)評価対象患者のICU入院日数を分析したところ、プラセボ治療群と比較して(9.55日;20例)、化合物17ya治療群では、統計学的に有意な(p値0.0469(t検定))、かつ臨床的に意味のあるICU入院日数の短縮が認められた(3日;18例)(表5参照)。
【0215】
(5)また、治験中のICU入院日数が3日以上であった患者の割合(p値=0.0390(カイ二乗検定))は、プラセボ治療群(11/20または55%)の方が、化合物17ya治療群(4/18または22%)と比べて、統計学的に有意に高かった(表6参照)。
【0216】
(6)本試験では、患者は、標準治療を受けることが許可された。試験時の標準治療には、緊急使用許可に基づくレムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与による治療が含まれる。この試験では、レムデシビルまたはデキサメタゾンの投与を受けなかった患者は、11名であった(化合物17ya治療群が6人、プラセボ治療群が5人)。認められた標準治療を受けた患者の分析を行った。具体的には、ICUの入院日数及び人工呼吸器の使用日数を、治療群間で比較した。この集団では、標準治療を受けた患者のうち、化合物17ya治療群ではICUへの入院や人工呼吸器を必要とした患者はおらず、死亡例もなかった。プラセボ治療群では、53%(8/16)が平均9.5日間のICU入院を必要とし、20%(3/15)が平均3.9日間の人工呼吸器の使用を必要とし、27%(4/15)が試験中に死亡した。
【0217】
全体として、治験依頼者は、化合物17yaが、ITT集団及び事後の高リスクサブグループの分析における死亡率の減少及びICU入院日数の減少において統計的に有意な観察を伴うこの小規模な、概念実証、第2相試験において、臨床的に非常に意味のある結果を示していると提案している。この試験で測定したすべてのパラメータは、プラセボ治療群と比較して化合物17ya治療群の臨床的に意味のある結果を示すこと、並びに、この小規模試験ではいくつかのパラメータは統計学的有意に達しなかったが、プラセボ治療群と比較して化合物17ya治療群には有益性を示さないパラメータが存在しなかったことに留意することが重要である。
【0218】
安全性:安全性についての総体的な結論は次のとおりである。(1)本試験では、治療に関連する重篤な有害事象は認められなかった。(2)本試験では、治療に関連する有害事象は認められなかった。本試験においていずれかの治療群で2例以上に認められた治療中に発生した有害事象は、実施例1に示す。また、本試験で認められた、治療中に発生した重篤な有害事象についても実施例1に示した。本試験で認められた重篤な有害事象において、化合物17yaに対する不均衡は認められなかった。全体として、化合物17yaは、この患者集団において忍容性が高く、化合物17ya治療群では、臨床的に関連した安全性は認められなかった。
【0219】
本試験では、レムデシビル及びデキサメタゾンの使用は、患者の転帰に有意な影響を与えなかった。上記の臨床試験の目的における「有意な転帰」は、治療失敗(死亡または呼吸不全)の減少、治療成功(呼吸不全なしで生存)の増加、死亡(全死因死亡)の減少、ICU入院日数の減少、人工呼吸器の必要とする日数(使用日数)の減少、または人工呼吸器を必要とする患者の減少、あるいは、さらなる分析によって明らかになる可能性のある患者の転帰のさらなる改善であり得る。
【0220】
これらのデータを考慮すると、本発明の化合物は、他のタイプのコロナウイルスの患者の治療にも有効であることが期待される。
【0221】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に説明するために提示される。しかしながら、これらは、本発明の広範な範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0222】
実施例
【0223】
以下に示す実施例は、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0224】
材料及び方法:
【0225】
インビトロでのチューブリン重合アッセイ。ウシ脳チューブリン(0.4mg、純度>97%)(米国コロラド州デンバー、サイトスケルトン社(Cytoskeleton))を10μMの試験化合物と混合し、pH6.9の一般的なチューブリン緩衝液(80mMのPIPES、2.0mMのMgCl2、0.5mMのEGTA、及び1mMのGTP)100μL中でインキュベートした。340nmの波長での吸光度を、SYNERGY4マイクロプレートリーダ(米国バーモント州ウィヌースキ、バイオテック・インストゥルメント社(Bio-Tek Instruments))によって、20分間にわたって1分ごとにモニタした。チューブリン重合のために、分光光度計を37°Cにセットした。
【0226】
実施例1
COVID-19の患者の治療
【0227】
有効性:本実施例では、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスクが高い約40人のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の入院患者を対象とした、臨床試験(COVID-19試験)である第2相、二重盲検、プラセボ対照、概念実証試験の結果を示す。本試験の主要評価項目は、29日目に、生存しておりかつ呼吸不全を呈していない患者の割合であった。主な副次評価項目としては、15日目及び22日目に、生存しておりかつ呼吸不全を呈していない患者の割合、全死亡率、集中治療室(ICU)の入院日数、及び、人工呼吸器の使用日数などが挙げられる。本試験の治療意図(ITT)集団における有効性の観察結果の概要は、以下のとおりである。提示されたp値は、レスポンダ分析についてはカイ二乗分析、連続変数についてはt検定によるものである。なお、第2相試験ではαは設定していないが、本試験のような小規模試験では、αは一般的に0.1に設定される。したがって、p値が0.1未満の場合は、統計的に有意であると見なされる。
【0228】
このプロトコルでは、レスポンダ分析を採用した。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスクが高いCOVID-19感染症の39例の入院患者を、20例のプラセボ治療群と、19例の治療群(化合物17yaで治療した群)との2つの群に分けた。治療群には、18mgの化合物17yaを含有する粉末充填カプセルを、退院するまで毎日、最大で21日間にわたって経口投与した。
【0229】
これらの入院患者は、15日目、22日目、及び29日目に、呼吸不全を呈せずに生存していればレスポンダと見なされた。ノンレスポンダは、分析日の前に死亡したか、または、分析日に呼吸不全を呈していた患者である。患者が退院/死亡した後、レスポンダ/ノンレスポンダの状態を確定するために、15日目、22日目、及び29日目に、並びに、試験の安全性追跡調査において、患者が生存しているかどうか、及び、呼吸不全のエビデンスがないかどうかを電話で確認した。例えば、患者が8日目に死亡した場合、その患者は、15日目、22日目、及び29日目においてノンレスポンダとなる。15日目に呼吸不全が認められたが、22日目及び29日目には呼吸不全が認められなかった場合、その患者は、15日目にはノンレスポンダとなるが、22日目及び29日目にはノンレスポンダとならない。この分析では、「全死因死亡率」を評価し、死亡した人はすべてノンレスポンダとした。また、評価日である15日目、22日目、または29日目に退院した患者、または、評価日における、臨床改善のためのWHO順序尺度がグレード0~4であった患者をレスポンダとし、評価日前に死亡した患者、または、評価日における、臨床改善のためのWHO順序尺度がグレード5~8であった患者をノンレスポンダとした。
【0230】
主要評価項目:化合物17yaは、レスポンダ、すなわち死亡したまたは呼吸不全を呈した患者の割合を減少させた。治療失敗率は、15日目では、プラセボ治療群が35.0%(7/20)であったのに対して、化合物17ya治療群は、15.8%(3/19)であり(p値=0.1697)、29日目では、プラセボ治療群が30.0%(6/20)であったのに対して、化合物17ya治療群は10.5%(2/19)であった(p値=0.1322)。表2を参照されたい。これは、化合物17ya治療群は、プラセボ治療群と比較して、15日目の治療失敗率が約55%減少し、29日目の治療失敗率が約65%減少したことを意味する。
【0231】
【表2】
【0232】
化合物17yaは、治療開始後60日までに死亡した患者の割合を、プラセボ治療群の30%(6/20)から、化合物17ya治療群の5%(1/19)に減少させた。これは、化合物17ya治療群は、死亡率が約82%減少したことを示す。
【0233】
化合物17yaは、人工呼吸器の使用日数を、プラセボ治療群の平均5.4日から化合物17ya治療群の1.6日に減少させた。これは、プラセボ治療群の人工呼吸器の使用日数が、化合物17ya治療群と比較して3.4倍高いことを示す。表3を参照されたい。
【0234】
化合物17yaは、ICU入院日数を、プラセボ治療群の平均9.6日から化合物17ya治療群の3.0日に減少させた。これは、プラセボ治療群のICU入院日数が、化合物17ya治療群と比較して3.2倍高いことを示す。表3を参照されたい。
【0235】
【表3】
【0236】
図1は、1日ごとの、臨床改善のためのWHO順序尺度の平均値を示す(0=ベースライン)。平均曲線下面積は、化合物17ya治療群では153、プラセボ治療群では182であった。これは、プラセボ治療群は化合物17ya治療群よりも罹病率が高いことを示し、化合物17ya投与による臨床的改善を示唆する。
【0237】
本試験は、IND審査の過程で受領したFDAのコメントに基づきサンプルサイズが制限されていたため、試験依頼者(ヴェル社(Veru, Inc))は、本試験で得られたデータの事後サブグループ分析を実施した。この分析から、以下の追加的な観察がなされた。
【0238】
化合物17ya治療群では、酸素補給を順守しなかった患者が1人いた。この患者は、本試験の標準治療を順守しなかった。この患者を分析から除外した集団(MITT集団)の主要評価項目の分析では、29日目のプラセボ治療群の失敗率が30%(表2と同じ)であったのに対し、化合物17ya治療群の失敗率は5.6%(表2よりも低い)であった。これは、治療失敗が81%減少したことを示す。
【0239】
COVID-19の患者では、高齢患者は若年患者と比較して死亡及び呼吸不全のリスクが高いことがよく認識されている。高リスク集団である60歳超の患者を対象とした治療失敗の分析の結果、プラセボ治療群(4/8または50%)と比較して、化合物17ya治療群(1/11または9%)では、統計的に有意な(p値=0.0456(カイ二乗検定))、かつ、臨床的に意味のある、治療失敗の減少が認められた。
【0240】
【表4】
【0241】
COVID-19の患者における有害な臨床転帰のリスク因子は、発症時の疾患の重症度である。このリスク因子を評価するために、ベースライン時のWHO重症度スコアが5以上であった患者について分析した。この分析の結果、上記の高リスク集団において、プラセボ(6/13または46%)と比較して、化合物17ya治療群(1/10または10%)では、臨床的に意味のある、死亡率の減少(78%)が認められた。
【0242】
【表5】
【0243】
評価対象の患者のICU入院日数を分析したところ、プラセボ治療群と比較して(9.55日;20例)、化合物17ya治療群では、統計学的に有意な(p値=0.0469(t検定))、かつ、臨床的に意味のある、ICU入院日数の減少が認められた(3日;18例)。
【0244】
【表6】
【0245】
また、治験中のICU入院日数が3日以上であった患者の割合(p値=0.0390(カイ二乗検定))は、プラセボ治療群(11/20または55%)の方が、化合物17ya治療群(4/18または22%)と比べて、統計学的に有意に高かった。
【0246】
【表7】
【0247】
本試験では、患者は、標準治療を受けることが許可された。試験時の標準治療には、緊急使用許可に基づくレムデシビル及び/またはデキサメタゾンの投与による治療が含まれる。この試験では、レムデシビルまたはデキサメタゾンの投与を受けなかった患者は、11名であった(化合物17ya治療群が6人、プラセボ治療群が5人)。認められた標準治療を受けた患者の分析を行った。具体的には、ICUの入院日数及び人工呼吸器の使用日数を、治療群間で比較した。この集団では、標準治療を受けた患者のうち、化合物17ya治療群ではICUへの入院や人工呼吸器を必要とした患者はおらず、死亡例もなかった。プラセボ治療群では、53%(8/16)が平均9.5日間のICU入院を必要とし、20%(3/15)が平均3.9日間の人工呼吸器の使用を必要とし、27%(4/15)が試験中に死亡した。
【0248】
全体として、治験依頼者は、化合物17yaが、ITT集団及び事後の高リスクサブグループの分析における死亡率の減少及びICU入院日数の減少において統計的に有意な観察を伴うこの小規模な、概念実証、第2相試験において、臨床的に非常に意味のある結果を示していると提案している。この試験で測定したすべてのパラメータは、プラセボ治療群と比較して化合物17ya治療群の臨床的に意味のある結果を示すこと、並びに、この小規模試験ではいくつかのパラメータは統計学的有意に達しなかったが、プラセボ治療群と比較して化合物17ya治療群には有益性を示さないパラメータが存在しなかったことに留意することが重要である。
【0249】
安全性:安全性についての総体的な結論は次のとおりである。(1)本試験では、治療に関連する重篤な有害事象は認められなかった。(2)本試験では、治療に関連する有害事象は認められなかった。(3)本試験において、いずれかの治療群で2例以上に認められた治療中に発生した有害事象は、下記の表4に示すとおりである。本試験で認められた重篤な有害事象において、化合物17yaに対する不均衡は認められなかった。
【0250】
【表8】
【0251】
本試験で認められた治療中に発生した重篤な有害事象は、下記の表5に示すとおりである。本試験で認められた重篤な有害事象において、化合物17yaに対する不均衡は認められなかった。
【0252】
【表9】
【0253】
全体として、化合物17yaは、この患者集団において忍容性が高く、化合物17ya治療群では、臨床的に関連した安全性は認められなかった。
【0254】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に記載されたすべての特徴、及び/または、そのように開示された任意の方法またはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴及び/またはステップの少なくともいくつかが互いに矛盾する組み合わせを除き、任意の組み合わせで上記の態様のいずれかと組み合わせてもよい。本明細書では好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変更、追加及び置換などを行うことができることは当業者には明らかであり、したがって、これらは、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含まれると見なされる。
図1