(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】冷却プレート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240326BHJP
B23K 20/12 20060101ALI20240326BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H05K7/20 N
B23K20/12 360
B23K1/00 330H
(21)【出願番号】P 2022546618
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 KR2021000047
(87)【国際公開番号】W WO2021157873
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0012771
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンゴン
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-042819(JP,A)
【文献】特開2010-194545(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195283(WO,A1)
【文献】特開2011-238728(JP,A)
【文献】国際公開第2012/169012(WO,A1)
【文献】特開2019-114682(JP,A)
【文献】特開2010-105019(JP,A)
【文献】特開2006-324647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
B23K 20/12
B23K 1/00
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却本体及び前記冷却本体に結合される冷却カバーの
うちのいずれか
一方に冷却流路部が形成されるステップと、
前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップと、
前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップとを含み、
前記冷却本体と前記冷却カバーは、摩擦攪拌接合により結合され
、
前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップは、
前記冷却本体及び前記冷却カバーのうちの前記冷却流路部が形成されていない他方と前記冷却流路部との間にシート部材が挿入されるステップと、
前記シート部材と前記冷却流路部の端部とがガスシールドろう付け(gas shielded brazing)処理されるステップとを含む、
冷却プレートの製造方法。
【請求項2】
前記冷却本体及び前記冷却本体に結合される冷却カバーのいずれかに冷却流路部が形成されるステップは、
前記冷却本体の一面に冷却流体収容部が凹設されるステップと、
前記冷却流体収容部が凹設された面に複数の流路陥没部が互いに離隔して凹設されるステップとを含み、
前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップは、
前記シート部材が複数の前記流路陥没部間に形成される複数の流路突出部の端部に被せられるように配置されるステップと、
前記冷却本体の冷却流体収容部に位置する支持突出部から突設される結合突出部が、前記冷却カバーに貫設される結合貫通孔に挿入結合されるステップと、
前記シート部材と複数の前記流路突出部の前記端部がガスシールドろう付け(gas shielded brazing)処理されるステップとを含む、
請求項
1に記載の冷却プレートの製造方法。
【請求項3】
前記冷却本体及び前記冷却本体に結合される冷却カバーのいずれかに冷却流路部が形成されるステップは、
前記冷却カバーの一面に複数の流路陥没部が互いに離隔して凹設されるステップと、
前記冷却本体の一面に冷却流体収容部が凹設されるステップとを含み、
前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップは、
前記シート部材が前記冷却流体収容部に被せられるように配置されるステップと、
前記冷却本体の冷却流体収容部に位置する挿入突出部が、前記冷却カバーに貫設される結合貫通部に挿入結合されるステップと、
前記シート部材と複数の前記流路陥没部間に形成される複数の流路突出部の端部がガスシールドろう付け処理されるステップとを含む、
請求項
1に記載の冷却プレートの製造方法。
【請求項4】
前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップは、
前記冷却本体に凹設された冷却流体収容部を囲むカバー結合部と、前記冷却カバーの外周を形成する本体結合部が接触するステップと、
前記カバー結合部と前記本体結合部が同時に加熱及び接合されるステップとを含み、
前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップの後に、
前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分に形成されるビーズ(bead)が除去されるステップと、
前記冷却カバー及び前記冷却本体が応力除去熱処理(stress relief heat treatment)されるステップとをさらに含み、
前記ビーズは、ミリング(milling)処理されて除去される、
請求項
1に記載の冷却プレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却プレート及びその製造方法に関し、より具体的には、冷却プレートを構成する本体とカバーの形状変形を最小限に抑えることのできる冷却プレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル交流送電システム又はフレキシブルAC伝送システム(FACTS, Flexible AC Transmission System)は、交流電力系統に電力電子制御技術を導入し、電力系統の柔軟性を増大させる運営技術である。
【0003】
具体的には、フレキシブル交流送電システムは、電力用半導体スイッチング素子を用いて送電電力を制御する。このようなフレキシブル交流送電システムは、送電線路の設備利用率を最大化し、送電容量を増大させ、電圧変動を最小限に抑えることができる。
【0004】
フレキシブル交流送電システムにおいて、電力の保存及び入出力は、コンデンサ素子により達成される。前記コンデンサ素子は、スイッチング素子により制御される。具体的には、スイッチング素子は、コンデンサ素子への電流の入出力などを制御する。
【0005】
一般に、スイッチング素子は、半導体電力電子素子であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で形成される。フレキシブル交流送電システムが作動すると、IGBTは、多量の制御情報を演算し、演算した制御情報に基づいてコンデンサ素子を制御する。
【0006】
よって、フレキシブル交流送電システムの作動が持続すればするほど、IGBTは多量の熱を発生するようになる。よって、過熱によるIGBTの爆発を防止するために、適切な放熱作業が行われなければならない。
【0007】
ここで、IGBTを冷却するための構成において、冷却水の流動又はサブモジュールの作動に応じて発生する振動により連通状態が解除されると、冷却のための流体によりサブモジュールが破損する恐れがある。さらに、前記流体により感電事故などが発生する恐れもある。
【0008】
特許文献1は、超高圧直流送電システムのモジュール冷却装置を開示している。具体的には、前記送電システムを構成する各モジュールに備えられるヒートシンクの周辺に貫通部及びルーバープレートを形成することにより、ヒートシンクの内部空間と外部の空気流動を可能にしたモジュール冷却装置を開示している。
【0009】
しかし、上記先行技術文献は、各モジュールに供給された冷却水が流出することを防止する方法を提示するに止まっているという限界がある。すなわち、各モジュールに供給される冷却水が流動する全経路において、冷却水が任意に流出することを防止する方法を提示していない。
【0010】
特許文献2は、高電圧バッテリサブモジュールを開示している。具体的には、複数の高電圧バッテリセルの枠に備えられるフレーム同士が接触し、高電圧バッテリセルの表面が空気に直接露出することにより冷却される構造のバッテリサブモジュールを開示している。
【0011】
しかし、上記先行技術文献は、冷却水などを用いる水冷(water cooling)方式ではなく、空冷(air cooling)方式であるという点で、サブモジュールに適用することは困難である。すなわち、上記先行技術文献においては、冷却のための冷却流体の任意流出に関する問題が生じない。
【0012】
また、これらの先行技術文献は、冷却流体を供給するための構成を安定して支持する方法を提示していないという限界が共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2015/099469号
【文献】韓国公開特許第10-2017-0022765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題を解決できる構造のサブモジュールを提供することを目的とする。
【0015】
まず、冷却プレートを構成する本体とカバーを漏水の心配がないように密閉結合する構造の冷却プレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、冷却プレートを構成する本体とカバーを結合するための追加部材を必要としない構造の冷却プレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
さらに、本体とカバーが結合された後に、冷却プレートを密閉するための追加部材を必要としない構造の冷却プレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
さらに、本体とカバーが結合される際に、異なる熱膨張係数により歪みなどが発生しない構造の冷却プレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
さらに、本体とカバーが結合された後に、内部の空間を流動する流体による渦流の発生を最小限に抑えることのできる構造の冷却プレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
さらに、本体とカバーが結合された後に、残留する応力を最小限に抑えることのできる構造の冷却プレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明は、内部に空間が形成される冷却本体と、前記空間を密閉するように、前記冷却本体に結合される冷却カバーと、前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面のいずれか一面に備えられ、前記空間において冷却流体が流動する流路を形成する冷却流路部とを含み、前記冷却本体と前記冷却カバーは、摩擦攪拌接合(FSW, Friction Stir Welding)により結合される冷却プレートを提供する。
【0022】
また、前記冷却プレートの前記冷却本体は、前記冷却カバーに面した一面から陥没し、前記空間を形成する冷却流体収容部と、前記冷却流体収容部と前記冷却本体の外部を連通させるように、前記冷却本体に貫設される流入口及び流出口とを含み、前記流入口及び前記流出口は、前記冷却流体収容部に連通するようにしてもよい。
【0023】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却流路部は、前記冷却カバーに備えられ、前記冷却流体収容部の内部には、前記冷却カバーに向かって突設される挿入突出部が備えられ、前記冷却カバーの内部には、貫設されて前記挿入突出部が挿入結合されるように構成される結合貫通部が備えられるようにしてもよい。
【0024】
さらに、前記冷却プレートの前記挿入突出部は、一方向に延設され、前記結合貫通部は、前記一方向に延設されるようにしてもよい。
【0025】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却流路部は、前記冷却本体に備えられ、前記冷却流体収容部の内部には、前記冷却カバーに向かって突設される支持突出部が備えられ、前記冷却カバーが前記冷却流体収容部に結合されると、前記冷却流体収容部に面した前記冷却カバーの一面は、前記支持突出部に接触するようにしてもよい。
【0026】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却本体は、前記冷却カバーに面した前記支持突出部の一面から突設される結合突出部を含み、前記冷却カバーの内部には、結合貫通孔が貫設され、前記冷却カバーが前記冷却本体に結合されると、前記結合突出部が前記結合貫通孔に挿入結合されるようにしてもよい。
【0027】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却本体は、前記空間を囲み、結合される前記冷却カバーが接触するカバー結合部を含み、前記冷却カバーは、前記冷却カバーの外側縁部を形成し、前記カバー結合部に接触する本体結合部を含み、前記カバー結合部と前記本体結合部は、同時に加熱及び接合されるようにしてもよい。
【0028】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却流路部は、前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面の他の一面に向かって突設され、一方向に延設される流路突出部を含み、前記流路突出部は、複数備えられ、複数の流路突出部は、互いに離隔して配置され、前記流路突出部が離隔される空間には、前記冷却流体が流動する流路陥没部が形成されるようにしてもよい。
【0029】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面の他の一面に面した前記流路突出部の端部は、前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面の他の一面に接触するようにしてもよい。
【0030】
さらに、前記冷却プレートの前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面の他の一面に面した前記流路突出部の端部は、前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面の他の一面から所定距離離隔され、前記流路突出部の端部が離隔することにより形成される空間には、前記流路突出部の端部、及び前記冷却カバーと前記冷却本体が対向する各面の他の一面にそれぞれ接触するシート部材が備えられるようにしてもよい。
【0031】
また、本発明は、冷却本体及び前記冷却本体に結合される冷却カバーのいずれかに冷却流路部が形成されるステップと、前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップと、前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップとを含み、前記冷却本体と前記冷却カバーは、摩擦攪拌接合により結合される、冷却プレートの製造方法を提供する。
【0032】
さらに、前記冷却プレートの製造方法の前記冷却本体及び前記冷却本体に結合される冷却カバーのいずれかに冷却流路部が形成されるステップは、前記冷却本体の一面に冷却流体収容部が凹設されるステップと、前記冷却流体収容部が凹設された面に複数の流路陥没部が互いに離隔して凹設されるステップとを含むようにしてもよい。
【0033】
さらに、前記冷却プレートの製造方法の前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップは、シート部材が複数の前記流路陥没部間に形成される複数の流路突出部の端部に被せられるように配置されるステップと、前記冷却本体の冷却流体収容部に位置する支持突出部から突設される結合突出部が、前記冷却カバーに貫設される結合貫通孔に挿入結合されるステップと、前記シート部材と複数の前記流路突出部の前記端部がガスシールドろう付け(gas shielded brazing)処理されるステップとを含むようにしてもよい。
【0034】
さらに、前記冷却プレートの製造方法の前記冷却本体及び前記冷却本体に結合される冷却カバーのいずれかに冷却流路部が形成されるステップは、前記冷却カバーの一面に複数の流路陥没部が互いに離隔して凹設されるステップと、前記冷却本体の一面に冷却流体収容部が凹設されるステップとを含むようにしてもよい。
【0035】
さらに、前記冷却プレートの製造方法の前記冷却カバーが前記冷却本体に被せられるように配置されるステップは、シート部材が前記冷却流体収容部に被せられるように配置されるステップと、前記冷却本体の冷却流体収容部に位置する挿入突出部が、前記冷却カバーに貫設される結合貫通部に挿入結合されるステップと、前記シート部材と複数の前記流路突出部の前記端部がガスシールドろう付け処理されるステップとを含むようにしてもよい。
【0036】
さらに、前記冷却プレートの製造方法の前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップは、前記冷却本体に凹設された冷却流体収容部を囲むカバー結合部と、前記冷却カバーの外周を形成する本体結合部が接触するステップと、前記カバー結合部と前記本体結合部が同時に加熱及び接合されるステップとを含むようにしてもよい。
【0037】
さらに、前記冷却プレートの製造方法は、前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップの後に、前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分に形成されるビーズ(bead)が除去されるステップをさらに含み、前記ビーズは、ミリング(milling)処理されて除去されるようにしてもよい。
【0038】
さらに、前記冷却プレートの製造方法は、前記冷却本体と前記冷却カバーが接触した部分が結合されるステップの後に、前記冷却カバー及び前記冷却本体が応力除去熱処理(stress relief heat treatment)されるステップをさらに含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0040】
まず、冷却本体の内部には、冷却流体が流動する空間である冷却流体収容部が形成される。冷却カバーは、冷却流体収容部に被せられ、冷却流体収容部を密閉するように冷却本体に結合される。
【0041】
冷却本体と冷却カバーが接触する縁部は、摩擦攪拌接合方法で結合される。すなわち、前記縁部は、同時に溶融及び接合されて冷却本体と冷却カバーが結合される。
【0042】
よって、冷却流体収容部は、流入口及び流出口のみに連通する。よって、冷却流体収容部を流動する冷却流体が任意に流出することが防止される。
【0043】
また、前述したように、冷却本体と冷却カバーは、摩擦攪拌接合方法で結合される。前記方法により、冷却本体のカバー結合部と冷却カバーの本体結合部は、同時に溶融及び接合されて結合される。
【0044】
よって、冷却本体と冷却カバーを結合させるために別途の金属部材などを必要としない。
【0045】
さらに、前述したように、冷却本体と冷却カバーは、摩擦攪拌接合方法で結合される。カバー結合部と本体結合部は、それら自体が溶融及び接合され、冷却本体と冷却カバーが結合される。
【0046】
よって、冷却本体と冷却カバー間の隙間を密閉するためのOリング(O-ring)などの別途部材を必要としない。
【0047】
さらに、前述したように、冷却本体と冷却カバーは、摩擦攪拌接合方法で結合される。冷却本体と冷却カバーは、接触する縁部が同時に溶融及び接合されて結合される。冷却本体と冷却カバーは、同じ素材で形成され、同じ熱膨張係数を有する。
【0048】
よって、冷却本体と冷却カバーを結合する際に、冷却本体又は冷却カバーと熱膨張係数が異なる追加部材を必要としない。よって、冷却本体と冷却カバーが結合されても、歪みなどが発生しない。
【0049】
さらに、冷却流路部を形成する流路突出部の端部と冷却本体又は冷却流体間には、シート部材が備えられる。シート部材は、ガスシールドろう付け方法で溶融されるので、流路突出部の前記端部と冷却本体又は冷却流体を結合させることができる。
【0050】
よって、流路突出部の前記端部と冷却本体又は冷却流体が接触した状態が維持される。よって、余剰空間において発生する渦流による圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0051】
さらに、前述したように、冷却本体と冷却カバーは、同じ素材で形成され、摩擦攪拌接合方法で結合される。よって、冷却本体と冷却カバーが同じ熱膨張係数を有するので、溶接作業により発生する熱応力を最小限に抑えることができる。
【0052】
さらに、冷却本体と冷却カバーが結合された後に、冷却プレートは、応力除去熱処理される。
【0053】
よって、冷却本体と冷却カバーが結合された後に、冷却プレートに残留する応力を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明の実施形態によるサブモジュールを含むモジュール型マルチレベルコンバータを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態によるサブモジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図2のサブモジュールに備えられるバルブ組立体を示す斜視図である。
【
図4】
図3のバルブ組立体に結合される防爆フレーム部の結合関係を示す部分分解斜視図である。
【
図5】
図3のバルブ組立体に結合される防爆フレーム部の結合関係を示す、他の角度から見た分解斜視図である。
【
図6】
図3のバルブ組立体に結合される冷却プレートの一実施形態による冷却本体部と冷却カバーが分離された状態を示す概略図である。
【
図7】
図3のバルブ組立体に結合される冷却プレートの他の実施形態による冷却本体部と冷却カバーが分離された状態を示す概略図である。
【
図8】
図3のバルブ組立体に結合される冷却プレートの一実施形態による冷却本体部と冷却カバーの結合状態を示す断面図である。
【
図9】
図3のバルブ組立体に結合される冷却プレートの他の実施形態による冷却本体部と冷却カバーの結合状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施形態による冷却プレートに備えられるシート部材を示す概念図である。
【
図11】
図6又は
図7の冷却本体部と冷却カバー間にシート部材が備えられた状態を示す概念図である。
【
図12】
図6又は
図7の冷却本体部と冷却カバーが結合された状態を示す概念図である。
【
図13】本発明の実施形態による冷却プレートを製造する方法を示すフローチャートである。
【
図14】
図13のステップS100の具体的なステップを示すフローチャートである。
【
図15】
図13のステップS200の具体的なステップを示すフローチャートである。
【
図16】
図13のステップS300の具体的なステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるサブモジュールについて詳細に説明する。
【0056】
以下の説明においては、本発明の特徴を明確にするために、一部の構成要素についての説明を省略することもある。
【0057】
1.用語の定義
以下の説明における「通電」とは、少なくとも1つの部材間で電流などの電気的信号が伝達される状態を意味する。一実施形態において、前記通電状態は、導線などにより形成される。
【0058】
以下の説明における「連通」とは、少なくとも1つの部材が流体疎通可能に連結された状態を意味する。一実施形態において、前記連通状態は、配管などにより達成される。
【0059】
以下の説明における「冷却流体」とは、他の部材と熱交換することのできる任意の流体を意味する。一実施形態において、冷却流体として水(water)が備えられる。
【0060】
以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」については、
図1及び
図3に示す座標系を参照されたい。よって、以下の説明においては、バルブ組立体200がコンデンサ組立体100の前方に位置するものと前提して説明する。
【0061】
2.本発明の実施形態によるモジュール型マルチレベルコンバータ(Modular Multilevel Converter)1の構成についての説明
図1に、本発明の実施形態によるモジュール型マルチレベルコンバータ1を示す。モジュール型マルチレベルコンバータ1は、STACOM(Static Synchronous Compensator)として機能する。
【0062】
すなわち、モジュール型マルチレベルコンバータ1は、一種の静止型無効電力補償装置であり、電気又は電力の送配電時に損失電圧を補充して安定性を向上させる機能を果たす。
【0063】
本発明の実施形態によるマルチレベルコンバータ1は、複数のサブモジュール(Sub Module)10と、フレーム20とを含む。
【0064】
サブモジュール10は、前述したモジュール型マルチレベルコンバータ1の機能を実質的に行う。サブモジュール10は、複数備えられる。サブモジュール10が備えられる数に応じて、モジュール型マルチレベルコンバータ1の容量が増加する。
【0065】
各サブモジュール10は、通電可能に接続される。一実施形態において、各サブモジュール10は、直列に接続される。
【0066】
同図に示す実施形態において、サブモジュール10は、計6つ備えられ、左右方向に互いに所定距離離隔して配置される。備えられるサブモジュール10の数は変更してもよい。
【0067】
サブモジュール10は、フレーム20により支持される。同図に示す実施形態において、サブモジュール10は、1つの層を形成するフレーム20により支持される。
【0068】
フレーム20は、モジュール型マルチレベルコンバータ1の骨格を形成する。フレーム20は、サブモジュール10を上側又は下側から支持する。
【0069】
サブモジュール10についての詳細な説明は後述する。
【0070】
フレーム20は、剛性が高い素材で形成される。一実施形態において、フレーム20は、鋼鉄素材で形成される。また、フレーム20の形状がH-Beamの形態に形成されることにより、フレーム20の軸方向の剛性がさらに補強される。
【0071】
フレーム20は、複数備えられる。複数のフレーム20は、互いに積層される。フレーム20により支持されるサブモジュール10も、複数の層となるように配置される。よって、モジュール型マルチレベルコンバータ1の容量が増加する。
【0072】
同図に示す実施形態において、フレーム20は、垂直フレーム21と、水平フレーム22と、支持部23と、固定フレーム24とを含む。
【0073】
垂直フレーム21は、フレーム20の上下方向の骨格を形成する。垂直フレーム21は、上下方向に延設される。垂直フレーム21の上端部及び下端部には、結合板が備えられる。前記結合板は、四角形の板状に形成される。前記結合板は、地面に結合されるか、垂直積層された他のフレーム20の結合板に結合される。
【0074】
同図に示す実施形態において、垂直フレーム21は、前側の左側及び右側、並びに後側の左側及び右側にそれぞれ備えられる。よって、垂直フレーム21は、計4つ備えられる。垂直フレーム21の数は変更してもよい。
【0075】
垂直フレーム21は、水平フレーム22に結合される。水平フレーム22により、垂直フレーム21は、所定の角度を維持することができる。
【0076】
水平フレーム22は、フレーム20の前後方向の骨格を形成する。水平フレーム22は、前後方向に延設される。水平フレーム22の前端部は、前方に配置される垂直フレーム21に結合される。水平フレーム22の後端部は、後方に配置される垂直フレーム21に結合される。
【0077】
よって、垂直フレーム21の前後方向の変形、及び水平フレーム22の上下方向の変形を最小限に抑えることができる。
【0078】
同図に示す実施形態において、水平フレーム22は、左側及び右側にそれぞれ備えられる。よって、水平フレーム22は、計2つ備えられるが、その数は変更してもよい。
【0079】
水平フレーム22には、支持部23が結合される。水平フレーム22は、支持部23の左端部及び右端部を支持する。
【0080】
支持部23は、サブモジュール10を下側から支持する。支持部23は、水平フレーム22に結合される。具体的には、支持部23の左端部は、左側に備えられる水平フレーム22に結合される。支持部23の右端部は、右側に備えられる水平フレーム22に結合される。
【0081】
支持部23は、複数のビーム(beam)部材を含む。各ビーム部材は、H-Beamの形態に形成される。複数のビーム部材は、互いに所定距離だけ離隔され、前後方向に連続して配置される。
【0082】
支持部23の上側には、サブモジュール10が装着される。後述するように、支持部23の上側には、レール組立体400のレールユニット420が固定結合される。また、レールユニット420には、サブモジュール10のカートユニット410が摺動可能に結合される。
【0083】
固定フレーム24は、水平フレーム22と所定の角度をなして延びる。
【0084】
一実施形態において、固定フレーム24は、左側の水平フレーム22から右側の水平フレーム22まで延びる。また、一実施形態において、固定フレーム24は、水平フレーム22に対して垂直に延びる。
【0085】
3.本発明の実施形態によるサブモジュール10の構成についての説明
図1に示すように、本発明の実施形態によるモジュール型マルチレベルコンバータ1は、サブモジュール10を含む。サブモジュール10は、モジュール型に形成され、モジュール型マルチレベルコンバータ1に追加することもでき、除外することもできる。
【0086】
すなわち、モジュール型マルチレベルコンバータ1に備えられるサブモジュール10の数は変更してもよい。このようにして、モジュール型マルチレベルコンバータ1の容量を変化させる。
【0087】
図2~
図5に示すように、同図に示す実施形態によるサブモジュール10は、コンデンサ組立体100と、バルブ組立体200と、防爆フレーム部300と、レール組立体400と、離脱防止部500と、冷却プレート600とを含む。
【0088】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるサブモジュール10の各構成について詳細に説明するが、冷却プレート600については別項で説明する。
【0089】
(1)コンデンサ(capacitor)組立体100についての説明
コンデンサ組立体100は、内部にコンデンサ素子(図示せず)を含む。コンデンサ組立体100は、バルブ組立体200に通電可能に接続される。コンデンサ組立体100の内部のコンデンサ素子(図示せず)は、バルブ組立体200のスイッチング(switching)動作により充電又は放電される。
【0090】
よって、コンデンサ素子(図示せず)は、サブモジュール10に入力される電力エネルギーを蓄積することができる。コンデンサ素子(図示せず)に蓄積された電力エネルギーは、サブモジュール10の各構成を駆動するための電源として用いられる。
【0091】
また、前記電力エネルギーは、サブモジュール10が通電可能に接続される外部の電力系統に無効電力として供給される。
【0092】
同図に示す実施形態において、コンデンサ組立体100は、バルブ組立体200の後方に連結される。これは、コンデンサ組立体100よりも、バルブ組立体200をメンテナンスしなければならない状況が頻繁に発生することに起因する。すなわち、後述するように、バルブ組立体200のみ前方に容易に分離されるようにするためである。
【0093】
コンデンサ組立体100は、レール組立体400により支持される。具体的には、コンデンサ組立体100は、レール組立体400のカートユニット410に装着される。一実施形態において、コンデンサ組立体100は、カートユニット410に固定結合される。
【0094】
後述するように、カートユニット410は、レールユニット420に沿って前方又は後方に摺動する。よって、コンデンサ組立体100も、カートユニット410と共に前方又は後方に摺動する。
【0095】
同図に示す実施形態において、コンデンサ組立体100は、バルブ組立体200より大きいサイズを有するように形成される。これは、コンデンサ組立体100の内部に実装されるコンデンサ素子(図示せず)の大きさに起因する。すなわち、コンデンサ組立体100の大きさは、コンデンサ素子(図示せず)の大きさに応じて変更される。
【0096】
コンデンサ組立体100は、コンデンサハウジング110と、コンデンサコネクタ120とを含む。
【0097】
コンデンサハウジング110は、コンデンサ組立体100の外形を形成する。コンデンサハウジング110の内部には、所定の空間が形成される。前記空間には、コンデンサ素子(図示せず)が実装される。実装されるコンデンサ素子(図示せず)は、コンデンサコネクタ120によりバルブ組立体200に通電可能に接続される。
【0098】
コンデンサハウジング110は、剛性を有する素材で形成される。不測の原因で内部に収容されるコンデンサ素子(図示せず)が爆発しても、隣接するサブモジュール10やバルブ組立体200などに影響を与えないようにするためである。
【0099】
コンデンサハウジング110の下側は、カートユニット410に結合される。
【0100】
コンデンサハウジング110の前側は、コンデンサコネクタ120によりバルブ組立体200に通電可能に連結される。
【0101】
コンデンサコネクタ120は、コンデンサ組立体100とバルブ組立体200を通電可能に接続する。コンデンサコネクタ120は、コンデンサ素子(図示せず)及びバルブ組立体200のバルブコネクタ220に通電可能に接続される。
【0102】
コンデンサ組立体100又はバルブ組立体200が互いに向かって摺動すると、コンデンサコネクタ120は、バルブコネクタ220にスライドして挿入結合される。このようにして、コンデンサコネクタ120とバルブコネクタ220の通電状態が形成される。
【0103】
前述した結合方法により、コンデンサ組立体100とバルブ組立体200の通電状態が容易に形成又は解除される。
【0104】
同図に示す実施形態において、コンデンサコネクタ120は、バルブ組立体200に面したコンデンサ組立体100の一側、すなわち前側に形成される。コンデンサコネクタ120は、コンデンサハウジング110の前側から所定距離だけ突設される板状に形成される。
【0105】
コンデンサコネクタ120の形状は、バルブコネクタ220に通電可能に結合されるものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0106】
コンデンサコネクタ120は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、コンデンサコネクタ120は、左側に備えられる第1コンデンサコネクタ121と、右側に備えられる第2コンデンサコネクタ122とを含む。
【0107】
第1コンデンサコネクタ121は、左側に備えられるバルブコネクタ220にスライドして通電可能に結合される。また、第2コンデンサコネクタ122は、右側に備えられるバルブコネクタ220にスライドして通電可能に結合される。
【0108】
(2)バルブ(valve)組立体200についての説明
バルブ組立体200は、サブモジュール10が外部の電源又は負荷に通電可能に接続される部分である。また、バルブ組立体200は、コンデンサ組立体100に通電可能に接続され、電力エネルギーが入力又は出力される。
【0109】
バルブ組立体200は、内部に複数のスイッチングモジュール(switching module)を備える。一実施形態において、前記スイッチングモジュールは、IGBT330で形成される。
【0110】
また、バルブ組立体200は、内部に前記スイッチングモジュールを制御するための制御ボード(Control Board)を備える。一実施形態において、前記制御ボードは、プリント基板(PCB, Printed Circuit Board)で形成される。
【0111】
同図に示す実施形態において、バルブ組立体200は、コンデンサ組立体100の前方に位置する。これは、バルブ組立体200のメンテナンスが、コンデンサ組立体100のメンテナンスに比べて、より頻繁に行われることに起因する。
【0112】
バルブ組立体200は、レール組立体400により支持される。具体的には、バルブ組立体200は、レール組立体400のカートユニット410に装着される。一実施形態において、バルブ組立体200は、カートユニット410に固定結合される。
【0113】
後述するように、カートユニット410は、レールユニット420に沿って前方又は後方に摺動する。よって、バルブ組立体200も、カートユニット410と共に前方又は後方に摺動する。
【0114】
同図に示す実施形態において、バルブ組立体200は、バルブカバー部210と、バルブコネクタ220と、入力バスバー230と、バイパススイッチ240と、出力バスバー250と、絶縁ハウジング260とを含む。
【0115】
バルブカバー部210は、バルブ組立体200の外形の一部を形成する。具体的には、バルブカバー部210は、バルブ組立体200の左側及び右側の外面を形成する。
【0116】
バルブカバー部210は、絶縁ハウジング260に被せられるように構成される。バルブカバー部210により、絶縁ハウジング260の内部に実装されるプリント基板などが外部に任意に露出しなくなる。
【0117】
バルブカバー部210は、ネジ部材などの締結部材により絶縁ハウジング260に固定結合される。
【0118】
バルブカバー部210は、プリント基板又はIGBT330から発生する電磁ノイズ(noise)成分を遮蔽するように構成される。一実施形態において、バルブカバー部210は、アルミニウム(Al)素材で形成される。
【0119】
バルブカバー部210には、複数の貫通孔が形成される。前記貫通孔は、絶縁ハウジング260の内部空間と外部を連通させる。前記貫通孔から空気が流入し、プリント基板又はIGBT330を冷却する。
【0120】
バルブカバー部210は、レール組立体400のカートユニット410に通電可能に接続される。このようにして、バルブカバー部210が接地(grounding)され、不要な通電が発生しなくなる。
【0121】
バルブカバー部210において、防爆フレーム部300に面する方向を「内側」と定義する。また、防爆フレーム部300において、バルブカバー部210に面する方向を「外側」と定義する。
【0122】
バルブカバー部210の内側には、絶縁ハウジング260が位置する。
【0123】
バルブコネクタ220は、バルブ組立体200とコンデンサ組立体100を通電可能に接続する。バルブコネクタ220は、コンデンサ組立体100に面したバルブ組立体200の一側、すなわち同図に示す実施形態における後側に位置する。
【0124】
バルブコネクタ220は一方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に延設される。
【0125】
バルブコネクタ220の一側、すなわち同図に示す実施形態における前側は、出力バスバー250に通電可能に連結される。同図に示す実施形態において、バルブコネクタ220の前記一側は、出力バスバー250に螺合される。
【0126】
バルブコネクタ220の他側、すなわち同図に示す実施形態における後側は、コンデンサコネクタ120に通電可能に連結される。
【0127】
バルブコネクタ220は、互いに所定距離だけ離隔して配置される1対の板部材で構成される。すなわち、同図に示す実施形態において、各バルブコネクタ220は、外側及び内側にそれぞれ備えられ、対向して配置される。
【0128】
1対の板部材が前記所定距離だけ互いに離隔して配置されることにより形成される空間には、コンデンサコネクタ120がスライドして挿入又は排出される。
【0129】
コンデンサ組立体100に面した1対の板部材の一端部、すなわち同図に示す実施形態における後端部は、外側に丸く形成される。このようにして、前記スライド結合及び排出を容易に行うことができる。
【0130】
1対の板部材は、それぞれ複数のバー(bar)部材を含む。同図に示す実施形態において、1対の板部材は、上下方向に積層形成される4つのバー部材を含む。その数は変更してもよい。
【0131】
バルブコネクタ220は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、バルブコネクタ220は、上下方向に互いに所定距離だけ離隔して2つ配置される。また、バルブコネクタ220は、2つ備えられる各出力バスバー250にそれぞれ備えられ、計4つ備えられる。
【0132】
バルブコネクタ220の数は、バルブ組立体200とコンデンサ組立体100の通電状態を形成することができるものであれば、いかなる数に変更してもよい。
【0133】
入力バスバー(busbar)230は、サブモジュール10を外部の電源又は負荷に通電可能に接続する。
【0134】
同図に示す実施形態において、入力バスバー230は、防爆フレーム部300の前方に所定距離だけ突設される。入力バスバー230の前側は、外部の電源又は負荷に通電可能に連結される。入力バスバー230の前記前側は、バイパススイッチ(bypass switch)240に通電可能に連結される。
【0135】
また、入力バスバー230の後側は、通電バスバー320に通電可能に連結される。
【0136】
入力バスバー230は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、入力バスバー230は、上方に位置する第1入力バスバー231と、下方に位置する第2入力バスバー232とを含む。
【0137】
第1入力バスバー231は、第1通電バスバー321に通電可能に接続される。よって、第1入力バスバー231は、第1IGBT331に通電可能に接続される。
【0138】
第2入力バスバー232は、第2通電バスバー322に通電可能に接続される。よって、第2入力バスバー232は、第2IGBT332に通電可能に接続される。
【0139】
第1入力バスバー231及び第2入力バスバー232は、それぞれ外部の電源又は負荷に通電可能に接続される。また、第1入力バスバー231及び第2入力バスバー232は、バイパススイッチ240に通電可能に接続される。
【0140】
バイパススイッチ240は、サブモジュール10の構成要素のいずれかに問題が生じた場合に、モジュール型マルチレベルコンバータ1から当該サブモジュール10を除外するように構成される。
【0141】
具体的には、バイパススイッチ240は、当該サブモジュール10の第1入力バスバー231と第2入力バスバー232を電気的に短絡させることができる。よって、当該サブモジュール10の第1入力バスバー231及び第2入力バスバー232のいずれか一方に流入する電流は、他方を介して流出する。
【0142】
よって、当該サブモジュール10は、導線(wire)として機能し、モジュール型マルチレベルコンバータ1から電気的に除外される。
【0143】
バイパススイッチ240は、防爆フレーム部300の前方において、第1入力バスバー231と第2入力バスバー232間に位置する。バイパススイッチ240は、第1入力バスバー231及び第2入力バスバー232に通電可能に接続される。
【0144】
出力バスバー250は、IGBT330とコンデンサ組立体100を通電可能に接続する。
【0145】
同図に示す実施形態において、出力バスバー250は、コンデンサ組立体100に向かう方向、すなわち後方に所定距離だけ突設される。出力バスバー250の後側には、バルブコネクタ220が通電可能に結合される。一実施形態において、バルブコネクタ220は、出力バスバー250に螺合される。
【0146】
出力バスバー250の後側は、IGBT330に通電可能に連結される通電バスバー320に通電可能に連結される。
【0147】
出力バスバー250は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、出力バスバー250は、2つ備えられ、互いに所定距離だけ離隔して配置される。前記所定距離は、第1コンデンサコネクタ121と第2コンデンサコネクタ122が離隔した距離と同じである。
【0148】
絶縁ハウジング260は、内部にプリント基板を収容する。また、絶縁ハウジング260は、通電バスバー320に通電可能に接触し、プリント基板とIGBT330を通電可能に接続する。よって、プリント基板で演算された制御信号に応じてIGBT330が作動する。
【0149】
絶縁ハウジング260は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、絶縁ハウジング260は、2つ備えられ、防爆フレーム部300の左側及び右側にそれぞれ備えられる。
【0150】
絶縁ハウジング260の外側、すなわち防爆フレーム部300から遠い側の一側は、バルブカバー部210により遮蔽される。同図に示す実施形態において、バルブカバー部210は、左側に位置する絶縁ハウジング260の左側、及び右側に位置する絶縁ハウジング260の右側にそれぞれ備えられる。
【0151】
絶縁ハウジング260は、プリント基板又はIGBT330から発生する電磁ノイズを遮蔽する。絶縁ハウジング260は、アルミニウム素材で形成される。
【0152】
よって、バルブカバー部210及び絶縁ハウジング260により、プリント基板又はIGBT330から発生する電磁ノイズが外部に任意に流出しなくなる。
【0153】
絶縁ハウジング260の内部には、所定の空間が形成される。前記空間には、絶縁レイヤ270及びプリント基板が位置する。
【0154】
絶縁ハウジング260は、導電性素材で形成される。よって、絶縁ハウジング260の内部に収容されるプリント基板から発生する電磁ノイズは、絶縁ハウジング260を介して外部の抵抗に接地される。同様に、絶縁ハウジング260に隣接して備えられるIGBT330から発生する電磁ノイズも、絶縁ハウジング260を介して外部の抵抗に接地される。
【0155】
(3)防爆フレーム部300についての説明
本発明の実施形態によるサブモジュール10は、防爆フレーム部300を含む。防爆フレーム部300は、内部にIGBT330などのスイッチング素子を収容する。
【0156】
また、本発明の実施形態による防爆フレーム部300は、収容されたIGBT330が爆発した場合に、隣接するIGBT330が損傷することを防止する。さらに、本発明の実施形態による防爆フレーム部300は、前記爆発により発生するガスなどが容易に排出されるように形成される。
【0157】
図2~
図5に示すように、防爆フレーム部300は、バルブ組立体200に備えられる。これは、スイッチング素子として機能するIGBT330がバルブ組立体200に備えられることに起因する。
【0158】
よって、防爆フレーム部300は、バルブ組立体200に含まれるとも言える。
【0159】
以下、
図4及び
図5を参照して、本発明の実施形態による防爆フレーム部300について詳細に説明する。
【0160】
同図に示す実施形態において、防爆フレーム部300は、ケースユニット310と、通電バスバー320と、IGBT330とを含む。
【0161】
ケースユニット310は、防爆フレーム部300の外形を形成する。ケースユニット310には、通電バスバー320及び冷却プレート600が結合される。
【0162】
ケースユニット310の内部には、所定の空間が形成される。前記空間には、IGBT330が収容される。
【0163】
ケースユニット310の外側、すなわち冷却プレート600から遠い側の一側には、絶縁ハウジング260が結合される。
【0164】
ケースユニット310は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、ケースユニット310は、2つ備えられる。各ケースユニット310は、対称となる形状に形成される。以下、一方のケースユニット310について説明するが、他方のケースユニット310も同じ構造であることが理解されるであろう。
【0165】
各ケースユニット310は、それらの間に所定の空間を形成するように結合される。前記所定の空間には、IGBT330及び冷却プレート600が位置する。
【0166】
ケースユニット310の外側、すなわちバルブカバー部210に近い側には、通電バスバー320が結合される。通電バスバー320は、ケースユニット310と絶縁ハウジング260間に位置する。
【0167】
ケースユニット310の内側、すなわち各ケースユニット310が対向する側には、冷却プレート600が結合される。すなわち、冷却プレート600は、各ケースユニット310間に位置する。
【0168】
ケースユニット310の内側、すなわち冷却プレート600に近い側には、IGBT330が位置する。すなわち、IGBT330は、ケースユニット310と冷却プレート600間に位置する。
【0169】
ケースユニット310と、通電バスバー320、IGBT330及び冷却プレート600との結合のために、締結部材(図示せず)が備えられる。
【0170】
また、ケースユニット310と、絶縁ハウジング260及びバルブカバー部210も、締結部材(図示せず)により結合される。
【0171】
一実施形態において、締結部材(図示せず)は、ネジ部材で形成される。
【0172】
ケースユニット310は、絶縁性素材で形成される。また、ケースユニット310は、耐熱性、耐圧性及び耐摩耗性を有する素材で形成される。一実施形態において、ケースユニット310は、合成樹脂素材で形成される。
【0173】
同図に示す実施形態において、ケースユニット310は、上下方向に延設される。これは、後述するように、IGBT330が複数備えられ、上下方向に配置されることに起因する。
【0174】
ケースユニット310は、突出部311と、接地棒貫通孔312とを含む。また、ケースユニット310の内部には、IGBT収容部(図示せず)が形成され、IGBT330が収容される。
【0175】
突出部311は、ケースフレーム310aの上側から突設される。突出部311は、複数形成される。複数の突出部311は、互いに所定距離離隔して形成される。
【0176】
同図に示す実施形態において、突出部311は、ケースフレーム310aの上側の前側及び後側から上方に突設される。各突出部311は、前後方向の同一線上に位置する。
【0177】
突出部311には、接地棒貫通孔312が貫設される。
【0178】
接地棒貫通孔312には、接地棒ユニット(図示せず)が貫通結合される。接地棒貫通孔312は、突出部311に貫設される。同図に示す実施形態において、接地棒貫通孔312は、前後方向に貫設される。
【0179】
接地棒貫通孔312は、接地棒ユニット(図示せず)の形状に応じて形成される。同図に示す実施形態において、接地棒ユニット(図示せず)が円筒状であるので、接地棒貫通孔312は、円形の断面を有するように形成される。
【0180】
前述したように、突出部311は、前側及び後側にそれぞれ形成される。接地棒貫通孔312は、複数の突出部311のそれぞれに貫設される。
【0181】
各突出部311に形成される接地棒貫通孔312は、同じ中心軸を有するように形成される。また、接地棒貫通孔312は、接地突出部(図示せず)と同じ中心軸を有するように形成される。
【0182】
IGBT収容部(図示せず)は、IGBT330を収容する。IGBT収容部(図示せず)は、ケースユニット310の内部に形成される所定の空間により規定される。IGBT収容部(図示せず)は、冷却プレート600に面したケースユニット310の一側から所定距離だけ凹設される。
【0183】
IGBT収容部(図示せず)は、複数形成される。同図に示す実施形態において、IGBT収容部(図示せず)は、突出部311に近い側の一側に形成される第1IGBT収容部と、突出部311から遠い側の他側に形成される第2IGBT収容部とを含む。
【0184】
これは、IGBT330が、第1IGBT331と、第2IGBT332とを含むように、2つ備えられることに起因する。すなわち、第1IGBT収容部には、第1IGBT331が収容され、第2IGBT収容部には、第2IGBT332が収容される。
【0185】
前述したように、ケースユニット310は、2つ備えられ、互いに結合される。1つのケースユニット310に2つのIGBT収容部(図示せず)が形成されるので、各防爆フレーム部300には、計4つのIGBT330が収容されることが理解されるであろう。
【0186】
各IGBT収容部の形状は、それに収容される各IGBT331、332の形状に応じて決定される。また、第1IGBT収容部及び第2IGBT収容部は、互いに対応する形状に形成される。
【0187】
第1IGBT収容部と第2IGBT収容部間には、隔壁部が形成される。ケースユニット310と冷却プレート600が結合されると、冷却プレート600に面した隔壁部の一面は、冷却プレート600に接触する。
【0188】
通電バスバー320は、バルブ組立体200に供給された電流をコンデンサ組立体100に供給する。また、通電バスバー320は、プリント基板とIGBT330を通電可能に接続する。
【0189】
通電バスバー320は、入力バスバー230に通電可能に接続される。入力バスバー230に供給された電力エネルギーは、通電バスバー320に供給される。
【0190】
通電バスバー320は、出力バスバー250に通電可能に接続される。通電バスバー320に供給された電力エネルギーは、出力バスバー250に供給される。
【0191】
通電バスバー320は、プリント基板及びIGBT330とそれぞれ通電可能に接続される。プリント基板又はIGBT330で演算された制御信号は、他の構成要素に伝達される。
【0192】
通電バスバー320は、第1通電バスバー321と、第2通電バスバー322とを含む。
【0193】
第1通電バスバー321は、第2通電バスバー322の上方に位置し、第1入力バスバー231及び出力バスバー250に通電可能に接続される。第2通電バスバー322は、第1通電バスバー321の下方に位置し、第2入力バスバー232及び出力バスバー250に通電可能に接続される。
【0194】
同図に示す実施形態において、通電バスバー320は、ケースユニット310と絶縁ハウジング260間に位置する。
【0195】
通電バスバー320は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に延設される。通電バスバー320の前記一方向の両端部、すなわち前端部及び後端部は、ケースユニット310に対して所定の角度で折り曲げられて形成される。一実施形態において、前記所定の角度は直角である。
【0196】
よって、通電バスバー320がケースユニット310に結合されると、通電バスバー320は、ケースユニット310の前側、左側又は右側、及び後側を覆う。
【0197】
通電バスバー320は、通電可能な素材で形成される。また、通電バスバー320は、剛性の高い素材で形成される。一実施形態において、通電バスバー320は、鉄を含む素材で形成される。
【0198】
よって、IGBT収容部(図示せず)に収容されるIGBT330が爆発しても、ケースユニット310を覆う通電バスバー320により、ケースユニット310の損傷又は形状変形を最小限に抑えることができる。
【0199】
一実施形態において、ケースユニット310、通電バスバー320、絶縁ハウジング260及び冷却プレート600は螺合される。
【0200】
IGBT330は、サブモジュール10に流入又は流出する電流を制御する。一実施形態において、IGBT330は、スイッチング素子として機能する。
【0201】
IGBT330は、IGBT収容部(図示せず)に収容される。IGBT330は、冷却プレート600に面接触する。
【0202】
具体的には、冷却プレート600とIGBT330が対向する各面が接触する。よって、IGBT330から発生する熱が冷却プレート600に伝達されるので、IGBT330が冷却される。
【0203】
IGBT330は、通電バスバー320に通電可能に接続される。通電バスバー320を介して、IGBT330が作動するための電力エネルギーが供給される。
【0204】
また、IGBT330で演算された制御信号は、通電バスバー320を介して他の構成要素、例えばプリント基板、コンデンサ素子(図示せず)などに伝達される。
【0205】
IGBT330は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、IGBT330は、突出部311に近い側である上側に配置される第1IGBT331と、突出部311から遠い側である下側に配置される第2IGBT332とを含む。
【0206】
前述したように、ケースユニット310は、2つ備えられる。よって、同図に示す実施形態において、IGBT330は、左側及び右側の各ケースユニット310にそれぞれ2つずつ備えられ、計4つ備えられる。
【0207】
(4)本発明の実施形態によるレール組立体400についての説明
本発明の実施形態によるサブモジュール10は、レール組立体400を含む。レール組立体400は、バルブ組立体200及びコンデンサ組立体100を摺動可能に支持する。
【0208】
また、本発明の実施形態によるレール組立体400は、バルブ組立体200及びコンデンサ組立体100が任意に離脱することを防止するように構成される。
【0209】
以下、
図2~
図5を参照して、本発明の実施形態によるレール組立体400について詳細に説明する。
【0210】
同図に示す実施形態において、レール組立体400は、カートユニット410と、レールユニット420とを含む。
【0211】
カートユニット410は、コンデンサ組立体100及びバルブ組立体200を摺動可能に支持する。カートユニット410は、コンデンサ組立体100及びバルブ組立体200を下側から支持する。
【0212】
コンデンサ組立体100及びバルブ組立体200は、カートユニット410に装着された状態で、カートユニット410と共に前方又は後方に摺動する。
【0213】
コンデンサ組立体100及びバルブ組立体200は、別途の締結部材(図示せず)により、カートユニット410にそれぞれ結合される。
【0214】
カートユニット410は、複数備えられる。複数のカートユニット410は、コンデンサ組立体100とバルブ組立体200をそれぞれ支持する。
【0215】
カートユニット410は、レールユニット420に摺動可能に結合される。カートユニット410は、レールユニット420に沿って前方又は後方に摺動する。
【0216】
カートユニット410は、コンデンサ組立体100とバルブ組立体200が連結される方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に延設される。
【0217】
カートユニット410の延設長さは、コンデンサ組立体100及びバルブ組立体200の前後方向の長さに応じてそれぞれ決定される。よって、カートユニット410とカートユニット410の延設長さは、互いに異なる。
【0218】
(5)本発明の実施形態による離脱防止部500についての説明
本発明の実施形態によるサブモジュール10は、離脱防止部500を含む。離脱防止部500は、コンデンサ組立体100又はバルブ組立体200が装着されたカートユニット410がレールユニット420から任意に離脱することを防止する。
【0219】
同図に示す実施形態において、離脱防止部500は、カートユニット410に回転可能に結合される。離脱防止部500は、レールユニット420に接触した状態で、カートユニット410と共に摺動する。
【0220】
また、離脱防止部500は、レールユニット420にも備えられる。上記例において、離脱防止部500は、カートユニット410に面したレールユニット420の一面から所定距離だけ陥没した溝で形成される。
【0221】
カートユニット410が摺動することにより、カートユニット410に回転可能に結合される離脱防止部500も移動する。カートユニット410がレールユニット420に備えられる離脱防止部500に隣接するように移動すると、カートユニット410に備えられる離脱防止部500は、レールユニット420に備えられる離脱防止部500に挿入される。
【0222】
よって、カートユニット410は、レールユニット420の端部に向かって移動しなくなる。上記構造により、カートユニット410がレールユニット420から任意に離脱しなくなる。
【0223】
4.本発明の実施形態による冷却プレート600についての説明
本発明の実施形態によるサブモジュール10は、冷却プレート600を含む。冷却プレート600は、IGBT330と熱交換してIGBT330を冷却するように構成される。一実施形態において、冷却プレート600は、IGBT330に面接触する。
【0224】
以下、
図5~
図12を参照して、本発明の実施形態による冷却プレート600について詳細に説明する。
【0225】
冷却プレート600は、防爆フレーム部300に結合される。具体的には、冷却プレート600は、複数のケースユニット310間に位置し、複数のケースユニット310にそれぞれ結合される。
【0226】
同図に示す実施形態において、冷却プレート600は、上下方向の長さが前後方向の長さより長く形成される。これは、冷却プレート600が上下方向に配置される第1IGBT331及び第2IGBT332を同時に冷却できるようにするためである。
【0227】
同図に示す実施形態において、冷却プレート600は、直方体の板状に形成される。冷却プレート600の形状は、IGBT330に接触してIGBT330を冷却することのできるものであれば、いかなる形態に形成されてもよい。
【0228】
冷却プレート600は、熱伝導性の高い素材で形成される。一実施形態において、冷却プレート600は、アルミニウム(Al)素材で形成される。
【0229】
同図に示す実施形態において、冷却プレート600は、冷却本体610と、冷却カバー620と、冷却流路部630と、離隔空間部640と、シート部材650とを含む。
【0230】
冷却本体610は、冷却プレート600の外形を形成する。同図に示す実施形態において、冷却本体610は、上下方向の長さが前後方向の長さより長い長方形の板状に形成される。冷却本体610の形状は変更してもよい。
【0231】
冷却本体610の内部には、所定の空間が形成される。前記所定の空間は、外部に連通する。外部から流入する冷却流体は、冷却本体610の内部の前記所定の空間を流動し、その後冷却本体610の外部に流出する。
【0232】
冷却本体610は、IGBT330に接触して熱交換する。冷却本体610の内部を流動する冷却流体は、IGBT330から熱が伝達され、その後冷却本体610の外部に排出される。
【0233】
冷却本体610は、外部に連通する。この連通は、流入口611及び流出口612により達成される。
【0234】
冷却本体610は、流入口611と、流出口612と、冷却流体収容部613と、挿入突出部614と、支持突出部615と、結合突出部616と、カバー結合部617とを含む。
【0235】
流入口611は、冷却本体610の内部と外部を連通させる。流入口611を介して、外部から供給される冷却流体が冷却本体610の内部に流入する。一実施形態において、流入口611は、冷却本体610に貫設される。
【0236】
流入口611は、冷却流体収容部613に連通する。流入口611を通過した冷却流体は、冷却流体収容部613に流入する。
【0237】
同図に示す実施形態において、流入口611は、冷却本体610の上側に位置する。また、流入口611は、流出口612の前方に位置する。流入口611の位置は、冷却本体610の内部と外部を連通させることのできるものであれば、いかなる位置に変更してもよい。
【0238】
流出口612は、冷却本体610の内部と外部を連通させる。流出口612を介して、冷却本体610の内部空間を循環してIGBT330と熱交換した冷却流体が冷却本体610の外部に流出する。一実施形態において、流出口612は、冷却本体610に貫設される。
【0239】
流出口612は、冷却流体収容部613に連通する。冷却流体収容部613を流動する冷却流体は、流出口612から外部に流出する。
【0240】
同図に示す実施形態において、流出口612は、冷却本体610の上側に位置する。また、流出口612は、流入口611の後方に位置する。流出口612の位置は、冷却本体610の内部と外部を連通させることのできるものであれば、いかなる位置に変更してもよい。
【0241】
冷却流体収容部613は、流入口611から冷却本体610の内部に流入する冷却流体が流動する空間である。冷却流体収容部613は、流入口611に連通する。流入する冷却流体は、冷却流体収容部613を流動してIGBT330と熱交換する。
【0242】
冷却流体収容部613は、冷却本体610の一面から所定距離だけ凹設される。具体的には、冷却流体収容部613は、冷却カバー620に面した一面から所定距離だけ凹設される。
【0243】
冷却流体収容部613を流動して熱交換した冷却流体は、流出口612から冷却本体610の外部に流出する。冷却流体収容部613は、流出口612に連通する。
【0244】
図6に示す実施形態において、冷却流体収容部613には、冷却流路部630が形成される。冷却流体収容部613の内部に流入する冷却流体は、冷却流路部630に沿って流動し、その後流出口612から冷却本体610の外部に流出する。冷却流体が上記流動過程中にIGBT330と熱交換することについては前述した通りである。
【0245】
上記実施形態において、冷却流体収容部613には、支持突出部615が形成される。支持突出部615は、冷却本体610に結合される冷却カバー620を支持するように構成される。
【0246】
支持突出部615は、冷却本体610が延びる方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に延設される。支持突出部615は、冷却流体収容部613の左右方向の中心を通るように配置される。
【0247】
冷却本体610に冷却カバー620が結合されると、支持突出部615は、冷却本体610に面した冷却カバー620の一面に接触する。よって、冷却カバー620が予め設定された位置を逸脱して冷却流体収容部613の内部に挿入されることが防止される。
【0248】
上記実施形態において、支持突出部615には、結合突出部616が突設される。結合突出部616は、冷却カバー620に形成される結合貫通部621に挿入結合される。このようにして、冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられる位置に正確に配置される。
【0249】
同図に示す実施形態において、結合突出部616は、支持突出部615の中心部分に位置する。一実施形態において、結合突出部616と支持突出部615は、同じ中心軸を有するように配置される。また、同図に示す実施形態において、結合突出部616は、円形の断面を有する円筒形に形成される。
【0250】
結合突出部616の位置及び形状は、結合貫通孔622の位置及び形状に応じて変更される。
【0251】
カバー結合部617は、冷却本体610に結合される冷却カバー620が接触する部分である。具体的には、冷却カバー620が冷却本体610に結合されると、カバー結合部617は、本体結合部623に接触する。
【0252】
カバー結合部617は、冷却流体収容部613を囲む面と定義される。すなわち、カバー結合部617は、冷却流体収容部613を挟んで対向する2対の面である。言い換えれば、カバー結合部617は、冷却本体610の内周面と定義される。
【0253】
同図に示す実施形態において、カバー結合部617は、冷却流体収容部613を上側、下側、前側及び右側から囲むように形成される。カバー結合部617の形状は、冷却流体収容部613及び本体結合部623の形状に応じて変更される。
【0254】
本発明の実施形態による冷却プレート600は、カバー結合部617と本体結合部623が接触し、その後摩擦攪拌接合方法で冷却本体610と冷却カバー620が結合される。その詳細については後述する。
【0255】
カバー結合部617の各角部は、面取りされる。すなわち、各カバー結合部617が互いに連結される角部は、丸く形成される。このようにして、冷却流体が冷却流体収容部613の内部で円滑に流動することができる。
【0256】
図7に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却カバー620に形成される。よって、本実施形態による冷却本体610は、前述した実施形態による冷却本体610とは差異がある。
【0257】
具体的には、本実施形態による冷却本体610は、支持突出部615及び結合突出部616の代わりに挿入突出部614を含む。
【0258】
流入口611、流出口612及びカバー結合部617の構造及び機能は前述した実施形態と同一であるので、以下では挿入突出部614を中心に説明する。
【0259】
挿入突出部614は、冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合される冷却カバー620に結合される。よって、冷却本体610と冷却カバー620が安定して結合される。
【0260】
冷却本体610に冷却カバー620が結合されると、挿入突出部614は、冷却本体610に面した冷却カバー620の一面に接触する。冷却カバー620の前記一面には、冷却流路部630の中心部分に結合貫通部621が貫設される。挿入突出部614は、結合貫通部621に貫挿される。
【0261】
よって、冷却カバー620は、冷却流体収容部613を密閉するように、冷却本体610に結合される。
【0262】
挿入突出部614は、冷却本体610が延びる方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に延設される。挿入突出部614は、冷却流体収容部613の左右方向の中心を通るように配置される。
【0263】
挿入突出部614の位置及び形状は、結合貫通部621の位置及び形状に応じて変更される。
【0264】
冷却カバー620は、冷却流体収容部613に被せられるように、冷却本体610に結合される。冷却カバー620は、冷却カバー620に面した冷却流体収容部613の一側を密閉するように構成される。
【0265】
冷却カバー620は、冷却本体610に固定結合される。本発明の実施形態による冷却プレート600において、冷却カバー620は、摩擦攪拌接合方法で冷却本体610に結合される。その詳細については後述する。
【0266】
冷却カバー620は、冷却流体収容部613に対応する形状の断面を有するように形成される。同図に示す実施形態において、冷却流体収容部613は、上下方向の長さが前後方向の長さより長く形成される。よって、冷却カバー620の形状も、上下方向の長さが前後方向の長さより長く形成される。
【0267】
冷却カバー620は、板状に形成される。冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合されると、冷却カバー620の外面と冷却本体610の外面は同一平面上に位置する。
【0268】
冷却カバー620は、結合貫通部621と、結合貫通孔622と、本体結合部623とを含む。
【0269】
図6に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却本体610に形成される。本実施形態において、冷却カバー620は、結合貫通孔622と、本体結合部623とを含む。
【0270】
結合貫通孔622は、冷却カバー620に貫設される。冷却カバー620が冷却本体610に結合されると、結合貫通孔622に結合突出部616が貫挿される。よって、冷却カバー620と冷却本体610の結合方向が正確に合致する。
【0271】
結合貫通孔622は、結合突出部616により密閉される。よって、冷却流体収容部613を流動する冷却流体が任意に流出することが防止される。
【0272】
同図に示す実施形態において、結合貫通孔622は、冷却カバー620の中心部分に位置する。また、結合貫通孔622は、円形の断面を有するように形成される。結合貫通孔622の位置及び形状は、結合突出部616の位置及び形状に応じて変更される。
【0273】
本体結合部623は、冷却カバー620が冷却本体610に接触する部分である。具体的には、冷却カバー620が冷却本体610に結合されると、本体結合部623は、カバー結合部617に接触する。
【0274】
本体結合部623は、冷却カバー620の外周面と定義される。すなわち、本体結合部623は、冷却カバー620の外側において各方向に対向する2対の面である。
【0275】
同図に示す実施形態において、本体結合部623は、冷却カバー620の上側、下側、前側及び右側に位置する各面と定義される。
【0276】
本発明の実施形態による冷却プレート600は、カバー結合部617と本体結合部623が接触し、その後摩擦攪拌接合方法で冷却本体610と冷却カバー620が結合される。その詳細については後述する。
【0277】
本体結合部623の各角部は、面取りされる。すなわち、各本体結合部623が互いに連結される角部は、丸く形成される。上記形状は、カバー結合部617の形状に応じて変更される。
【0278】
図7に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却カバー620に形成される。よって、本実施形態による冷却カバー620は、前述した実施形態による冷却本体610とは差異がある。
【0279】
具体的には、本実施形態による冷却カバー620は、結合貫通孔622の代わりに結合貫通部621を含む。
【0280】
本体結合部623の構造及び機能は前述した実施形態と同一であるので、以下では結合貫通部621を中心に説明する。
【0281】
結合貫通部621は、冷却カバー620に貫設される。冷却カバー620が冷却本体610に結合されると、結合貫通部621には、挿入突出部614が挿入結合される。
【0282】
挿入突出部614は、結合貫通部621を密閉するように挿入結合される。よって、冷却流体収容部613が密閉されるので、冷却流体収容部613を流動する冷却流体が任意に流出することが防止される。
【0283】
同図に示す実施形態において、結合貫通部621は、冷却カバー620の延設方向、すなわち上下方向に延設される。また、結合貫通部621は、冷却カバー620の前後方向の中心部分を通るように位置する。結合貫通部621の位置及び形状は、挿入突出部614の位置及び形状に応じて変更される。
【0284】
冷却流路部630は、冷却流体収容部613に流入する冷却流体が流動する流路である。流入口611から流入する冷却流体は、冷却流路部630に沿って冷却流体収容部613の内部を流動し、その後流出口612から外部に流出する。
【0285】
冷却流路部630は、流入口611に連通する。流入口611から流入する冷却流体は、冷却流路部630に沿って流動する。
【0286】
冷却流路部630は、流出口612に連通する。冷却流路部630に沿って流動する冷却流体は、流出口612から流出する。
【0287】
冷却流路部630は、冷却本体610又は冷却カバー620に形成される。その詳細については後述する。
【0288】
冷却流路部630は、流路突出部631と、流路陥没部632とを含む。
【0289】
流路突出部631は、冷却流路を形成するための壁体として機能する。流路突出部631は、複数形成される。複数の流路突出部631は、互いに離隔して配置される。
【0290】
複数の流路突出部631が離隔することにより形成される空間は、流路陥没部632と定義される。冷却流体収容部613に流入する冷却流体は、流路突出部631によりガイドされ、流路陥没部632に沿って流動する。
【0291】
複数の流路突出部631はつながっている。すなわち、複数の流路突出部631は、単一の流路突出部631が冷却流体収容部613の上下方向及び前後方向に往復することにより形成されるものと解される。
【0292】
流路突出部631の一端部は、流入口611に隣接するように位置する。流入口611から流入する冷却流体は、流路突出部631に沿って流路陥没部632によりガイドされる。
【0293】
流路突出部631の他端部は、流出口612に隣接するように位置する。流路陥没部632に沿って冷却流体収容部613を流動する冷却流体は、流出口612にガイドされる。
【0294】
流路突出部631が互いに離隔することにより形成される空間は、流路陥没部632と定義される。流路陥没部632は、流入する冷却流体が流動する空間である。流路陥没部632は、流路突出部631に囲まれるように形成され、流路陥没部632を流動する冷却流体は、流路突出部631によりガイドされる。
【0295】
流路陥没部632は、流入口611に連通する。流入口611から流入する冷却流体は、流路陥没部632を流動し、冷却流体収容部613の内部を流動する。
【0296】
流路陥没部632は、流出口612に連通する。流路陥没部632を流動する冷却流体は、流出口612から冷却プレート600の外部に流出する。
【0297】
流路陥没部632は、つながって形成される。すなわち、流路陥没部632は、冷却流体収容部613の内部で流入口611と流出口612を連通させる。
【0298】
同図に示す実施形態において、流路突出部631は、冷却流体収容部613の上下方向に往復するジグザグ(zigzag)状に形成される。よって、流路突出部631間に形成される流路陥没部632も、冷却流体収容部613の上下方向に往復するジグザグ状に形成される。
【0299】
流路突出部631及び流路陥没部632の形状は、冷却流体が流動してIGBT330と熱交換することのできるものであれば、いかなる形状に形成されてもよい。
【0300】
図6に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却本体610に形成される。上記実施形態において、流路突出部631は、冷却流体収容部613が陥没することにより形成される面から所定距離だけ突設される。
【0301】
すなわち、流路突出部631は、冷却カバー620に対向して冷却流体収容部613を覆う冷却本体610の一面から突設される。流路陥没部632は、流路突出部631間に形成される空間により形成される。
【0302】
他の実施形態において、流路陥没部632は、冷却カバー620に対向して冷却流体収容部613を覆う冷却本体610の一面から凹設される。上記実施形態において、流路突出部631は、流路陥没部632間に形成される突出部と定義される。
【0303】
ここで、支持突出部615及び結合突出部616は、冷却流路部630の内側、すなわち冷却本体610の中心部分に位置する。また、冷却カバー620に面した流路突出部631の端部は、冷却流体収容部613に面した冷却カバー620の一面に接触する。
【0304】
図7に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却カバー620に形成される。上記実施形態において、流路突出部631は、冷却本体610に面した冷却カバー620の一面から突設される。流路陥没部632は、流路突出部631間に形成される空間により形成される。
【0305】
他の実施形態において、流路陥没部632は、冷却本体610に面した冷却カバー620の一面から凹設される。上記実施形態において、流路突出部631は、流路陥没部632間に形成される突出部と定義される。
【0306】
ここで、結合貫通部621は、冷却流路部630の内側、すなわち冷却カバー620の中心部分に位置する。また、冷却本体610に面した流路突出部631の端部は、冷却カバー620に対向して冷却流体収容部613を覆う冷却本体610の一面に接触する。
【0307】
離隔空間部640は、冷却本体610と冷却カバー620が結合されたときに、冷却本体610又は冷却カバー620の一面と流路突出部631の端部間に形成される空間である。
【0308】
図8に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却本体610に形成される。上記実施形態において、離隔空間部640は、冷却カバー620に面した流路突出部631の端部と、冷却流体収容部613に面した冷却カバー620の一面間の空間と定義される。
【0309】
図9に示す実施形態において、冷却流路部630は、冷却カバー620に形成される。上記実施形態において、離隔空間部640は、冷却本体610に面した流路突出部631の端部と、冷却カバー620に面した冷却本体610の一面間の空間と定義される。
【0310】
理解を助けるために、離隔空間部640も冷却プレート600が含むものとして説明した。しかし、離隔空間部640が形成されると、冷却流体収容部613に流入する冷却流体が冷却流路部630に沿って流動できなくなる恐れがある。
【0311】
すなわち、冷却流体が流入口611と、冷却流路部630と、流出口612とを含む流路を円滑に流動することができず、一部の冷却流体が離隔空間部640に残留する状況が発生する。
【0312】
よって、冷却プレート600の内部を冷却流体が円滑に流動するためには、離隔空間部640が生成されないことが好ましい。
【0313】
よって、
図10及び
図11に示すように、本発明の実施形態による冷却プレート600は、離隔空間部640が形成されることを防止するために、シート部材650を含む。
【0314】
シート部材650は、離隔空間部640に位置し、離隔空間部640を埋めるように構成される。流路突出部631の端部が冷却本体610又は冷却カバー620に接触した状態を維持し、冷却流体が任意に残留することを防止する。
【0315】
シート部材650は、冷却流体収容部613に収容される。冷却流体収容部613に収容されるシート部材650は、その外周面がカバー結合部617に接触する。
【0316】
図6及び
図8に示す実施形態において、シート部材650は、冷却カバー620に面した流路突出部631の端部と、冷却流体収容部613に面した冷却カバー620の一面間に位置する。
【0317】
すなわち、冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合される前に、シート部材650が流路突出部631に被せられるように冷却流体収容部613に収容される。
【0318】
図7及び
図9に示す実施形態において、シート部材650は、冷却流体収容部613に面した流路突出部631の端部と、冷却カバー620に対向して冷却流体収容部613を覆う冷却本体610の一面間に位置する。
【0319】
すなわち、冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合される前に、シート部材650が冷却カバー620に対向して冷却流体収容部613を覆う一面に被せられるように冷却流体収容部613に収容される。
【0320】
冷却流体収容部613に収容されるシート部材650は、溶融されて流路突出部631の前記端部に結合される。一実施形態において、シート部材650は、ガスシールドろう付け方法で溶融される。このようにして、離隔空間部640が埋められる。
【0321】
シート部材650は、ガスシールドろう付け方法で溶融されるので、異なる部材を接合することのできるものであれば、いかなる素材で形成されてもよい。
【0322】
シート部材650は、冷却流体収容部613の形状に対応する形状に形成される。同図に示す実施形態において、冷却流体収容部613は、上下方向の長さが前後方向の長さより長く形成される。
【0323】
よって、シート部材650は、上下方向の長さが前後方向の長さより長く形成される。
【0324】
シート部材650は、複数備えられる。
図10に示す実施形態において、シート部材650は、第1シート部材650aと、第2シート部材650bとを含む。複数のシート部材650が備えられると、離隔空間部640がより効果的に埋められる。
【0325】
複数のシート部材650は、異なる厚さを有するように形成される。
図10に示す実施形態において、第1シート部材650aは、第2シート部材650bより厚く形成される。
【0326】
シート部材650の内部には、シート貫通孔651が形成される。シート貫通孔651には、冷却本体610の結合突出部616が貫挿される。
【0327】
同図に示す実施形態において、シート貫通孔651は、円形の断面を有し、シート部材650の中心部分に位置する。シート貫通孔651の位置及び形状は、結合突出部616の位置及び形状に応じて変更される。
【0328】
シート部材650が溶融され、その後冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合される。カバー結合部617と本体結合部623が接触する各縁部は、摩擦攪拌接合方法で結合される。
【0329】
よって、
図12に示すように、カバー結合部617と本体結合部623が接触する各縁部には、ビーズが生成される。前記ビーズは、ミリング作業などにより除去される。
【0330】
5.本発明の実施形態による冷却プレート600の製造方法についての説明
本発明の実施形態による冷却プレート600は、摩擦攪拌接合方法で形成される。
【0331】
摩擦攪拌接合は、母材(basic material)である冷却本体610及び冷却カバー620自体を溶融させて結合させる。よって、摩擦攪拌接合は、冷却本体610や冷却カバー620の素材とは異なる、溶接のための他の素材の材料を用いなくても、冷却本体610と冷却カバー620を結合させることができる。
【0332】
また、摩擦攪拌接合は、Oリングなどの密閉のための部材を用いなくても、冷却本体610と冷却カバー620を密閉結合することができる。よって、密閉のための部材により冷却流路部630が塞がることや、密閉のための部材が破損、摩耗して冷却流体が流出することが防止される。
【0333】
以下、
図13~
図16を参照して、本発明の実施形態による冷却プレート600の製造方法について詳細に説明する。
【0334】
図13に示す実施形態において、冷却プレート600の製造方法は、冷却本体610及び冷却本体610に結合される冷却カバー620のいずれかに冷却流路部630が形成されるステップS100と、冷却カバー620が冷却本体610に被せられるように配置されるステップS200と、冷却本体610と冷却カバー620が接触した部分が結合されるステップS300と、冷却本体610と冷却カバー620が接触した部分に形成されるビーズが除去されるステップS400と、冷却カバー620及び冷却本体610が応力除去熱処理されるステップS500とを含む。
【0335】
(1)冷却本体610及び冷却本体610に結合される冷却カバー620のいずれかに冷却流路部630が形成されるステップS100についての説明
冷却本体610と冷却カバー620が対向する面のいずれかに冷却流路部630が形成されるステップS100である。
【0336】
以下、
図14を参照して、本ステップについて詳細に説明する。
【0337】
前述したように、本発明の実施形態による冷却プレート600は、冷却本体610及び冷却カバー620のいずれかに冷却流路部630が形成される。
【0338】
まず、冷却本体610に冷却流路部630が形成されるステップS110について説明する。
【0339】
冷却カバー620に面した冷却本体610の一面に、冷却流体収容部613が所定距離だけ凹設される(S111)。冷却流体収容部613が凹設される前記所定距離は、冷却流路部630の流路突出部631が突出する長さより長く形成される。
【0340】
よって、冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合されると、冷却本体610の外面と冷却カバー620の外面が同一平面上に位置する。
【0341】
また、複数の流路陥没部632は、冷却流体収容部613が凹設された冷却本体610の面から所定距離だけ凹設される(S112)。複数の流路陥没部632は互いに連通する。
【0342】
複数の流路陥没部632は、互いに離隔して配置される。複数の流路陥没部632が互いに離隔して形成される隔壁により、複数の流路突出部631が規定される。
【0343】
言い換えれば、複数の流路突出部631は、冷却流体収容部613が凹設された冷却本体610の面から所定距離だけ突設される。複数の流路突出部631は、互いにつながっている。
【0344】
複数の流路突出部631は、互いに離隔して配置される。複数の流路突出部631が互いに離隔することにより形成される空間により、複数の流路突出部631が規定される。
【0345】
次に、冷却カバー620に冷却流路部630が形成されるステップS120について説明する。
【0346】
冷却本体610に面した冷却カバー620の一面に、複数の流路陥没部632が所定距離だけ凹設される(S121)。複数の流路陥没部632は互いに連通する。
【0347】
複数の流路陥没部632は、互いに離隔して配置される。複数の流路陥没部632が互いに離隔して形成される隔壁により、複数の流路突出部631が規定される。
【0348】
言い換えれば、複数の流路突出部631は、冷却本体610に面した冷却カバー620の一面から所定距離だけ突設される。複数の流路突出部631は、互いにつながっている。
【0349】
複数の流路突出部631は、互いに離隔して配置される。複数の流路突出部631が互いに離隔することにより形成される空間により、複数の流路突出部631が規定される。
【0350】
また、冷却カバー620に面した冷却本体610の一面に、冷却流体収容部613が所定距離だけ凹設される(S122)。冷却流体収容部613が凹設される前記所定距離は、冷却流路部630の流路突出部631が突出する長さより長く形成される。
【0351】
よって、冷却カバー620が冷却流体収容部613に被せられるように冷却本体610に結合されると、冷却本体610の外面と冷却カバー620の外面が同一平面上に位置する。
【0352】
前述した複数の流路陥没部632が所定距離だけ凹設されるステップS121と、冷却流体収容部613が所定距離だけ凹設されるステップS122の順序は変更してもよい。
【0353】
(2)冷却カバー620が冷却本体610に被せられるように配置されるステップS200についての説明
冷却カバー620が冷却本体610に形成される冷却流体収容部613に被せられるように、冷却本体610に配置されるステップS200である。
【0354】
以下、
図15を参照して、本ステップについて詳細に説明する。
【0355】
前述したように、流路突出部631の端部と冷却本体610間、又は流路突出部631の端部と冷却カバー620間には、離隔空間部640が形成される。
【0356】
よって、冷却流体の円滑な流動のために、離隔空間部640を埋めるための作業が先行することが好ましい。
【0357】
まず、冷却本体610に冷却流路部630が形成される場合に、冷却カバー620が冷却本体610に被せられるように配置されるステップS210について説明する。
【0358】
シート部材650が複数の流路突出部631の端部に被せられるように配置される(S211)。複数の流路突出部631は、凹設された複数の流路陥没部632間に形成される隔壁により規定されることについては前述した通りである。
【0359】
複数の流路突出部631は、冷却カバー620に向かって突設されるので、シート部材650は、冷却カバー620に面した複数の流路突出部631の端部に被せられるように配置される。
【0360】
ここで、シート部材650は、冷却流体収容部613に対応する形状を有するように形成される。よって、シート部材650が冷却流体収容部613に収容されると、シート部材650の外周面は、カバー結合部617に接触する。
【0361】
シート部材650が配置され、その後冷却カバー620が冷却流体収容部613及びシート部材650に被せられるように冷却本体610に配置される(S212)。ここで、冷却本体610の支持突出部615から冷却カバー620に向かって突設される結合突出部616は、冷却カバー620に貫設される結合貫通孔622に貫通結合される。
【0362】
また、冷却流体収容部613に収容される冷却カバー620の本体結合部623は、冷却本体610のカバー結合部617に接触する。冷却流体収容部613に面した冷却カバー620の一面は、シート部材650に接触する。
【0363】
流路突出部631の端部に接触するシート部材650が溶融され、シート部材650と流路突出部631の端部が結合される(S213)。この溶融は、ガスシールドろう付け方法で行われる。
【0364】
よって、流路突出部631の端部と冷却カバー620間に形成される離隔空間部640が埋められる。
【0365】
図示していないが、シート部材650は、冷却流体収容部613に面した冷却カバー620の一面にも結合される。この結合も、ガスシールドろう付け処理により達成される。
【0366】
次に、冷却カバー620に冷却流路部630が形成される場合に、冷却カバー620が冷却本体610に被せられるように配置されるステップS220について説明する。
【0367】
シート部材650が冷却流体収容部613に被せられるように配置される(S221)。具体的には、シート部材650は、冷却カバー620に面して冷却流体収容部613を覆う一面に被せられるように配置される。
【0368】
シート部材650が冷却流体収容部613に被せられるように配置されると、シート部材650の外周面は、カバー結合部617に接触する。
【0369】
シート部材650が配置され、その後冷却カバー620が冷却流体収容部613及びシート部材650に被せられるように冷却本体610に配置される(S222)。ここで、冷却本体610の冷却流体収容部613に位置する挿入突出部614は、冷却カバー620に貫設される結合貫通部621に挿入結合される。このようにして、結合貫通部621が密閉される。
【0370】
また、冷却流体収容部613に収容される冷却カバー620の本体結合部623は、冷却本体610のカバー結合部617に接触する。冷却流体収容部613に面した流路突出部631の端部は、シート部材650に接触する。
【0371】
流路突出部631の前記端部に接触するシート部材650が溶融され、シート部材650と流路突出部631の端部が結合される(S223)。この溶融は、ガスシールドろう付け方法で行われる。
【0372】
よって、流路突出部631の端部と冷却本体610間に形成される離隔空間部640が埋められる。
【0373】
図示していないが、シート部材650は、冷却カバー620に面した冷却流体収容部613を覆う一面にも結合される。この結合も、ガスシールドろう付け処理により達成される。
【0374】
(3)冷却本体610と冷却カバー620が接触した部分が結合されるステップS300についての説明
冷却本体610と冷却カバー620が摩擦攪拌接合方法で結合されるステップS300である。前述したように、摩擦攪拌接合は、冷却本体610と冷却カバー620を結合するための別途の金属材料を必要としない。
【0375】
すなわち、摩擦攪拌接合は、冷却本体610及び冷却カバー620自体を溶融させて冷却本体610と冷却カバー620を結合させる。
【0376】
以下、
図16を参照して、本ステップについて詳細に説明する。
【0377】
前述した過程により、冷却カバー620は、冷却流体収容部613及びシート部材650に被せられるように配置される。
【0378】
よって、冷却カバー620の本体結合部623と、冷却本体610のカバー結合部617が接触する(S310)。前述したように、冷却カバー620は、冷却流体収容部613と同じ形状に形成される。
【0379】
よって、冷却カバー620は、冷却流体収容部613に嵌合され、本体結合部623とカバー結合部617の接触状態が安定して維持される。
【0380】
ここで、冷却本体610の外面と冷却カバー620の外面は、同一平面上に位置するように配置される。
【0381】
次に、カバー結合部617と本体結合部623が同時に加熱されて接合される(S320)。具体的には、カバー結合部617と本体結合部623が接触する縁部は、摩擦攪拌接合方法で同時に溶融されて接合される。このようにして、冷却カバー620により冷却流体収容部613が密閉される。
【0382】
上記過程は、カバー結合部617と本体結合部623が接触する各縁部に連続して行われる。
【0383】
また、図示していないが、結合突出部616と結合突出部616が挿入結合される結合貫通孔622も、摩擦攪拌接合方法で同時に溶融及び接合される。
【0384】
同様に、挿入突出部614と挿入突出部614が挿入結合される結合貫通部621も、摩擦攪拌接合方法で同時に溶融及び接合される。
【0385】
(4)冷却本体610と冷却カバー620が接触した部分に形成されるビーズが除去されるステップS400についての説明
冷却本体610のカバー結合部617と冷却カバー620の本体結合部623が摩擦攪拌接合方法で接合されることにより発生するビーズが除去されるステップS400である。
【0386】
また、
図12に示すように、摩擦攪拌接合により溶融及び接合されたカバー結合部617と本体結合部623の境界にはビーズが形成される。前記ビーズにより、カバー結合部617と本体結合部623の境界周辺は、他の部分より突出する。
【0387】
よって、本ステップにおいては、前記ビーズを除去するための作業が行われる。一実施形態において、前記ビーズは、ミリング加工処理されて除去される。
【0388】
前述したように、結合突出部616と結合貫通孔622も、摩擦攪拌接合方法で溶融及び接合される。よって、結合突出部616の外周、及び結合貫通孔622の内周の周辺も、ミリング加工処理され、形成されるビーズが除去される。
【0389】
また、前述したように、挿入突出部614と結合貫通部621も、摩擦攪拌接合方法で溶融及び接合される。よって、挿入突出部614の外周、及び結合貫通部621の内周の周辺も、ミリング加工処理され、形成されるビーズが除去される。
【0390】
(5)冷却カバー620及び冷却本体610が応力除去熱処理されるステップS500についての説明
摩擦攪拌接合方法で結合される冷却本体610及び冷却カバー620を熱処理し、結合により発生する応力を除去するステップS500である。
【0391】
摩擦攪拌接合方法で溶融及び接合されたカバー結合部617及び本体結合部623には、高温の熱による熱応力が残留する。
【0392】
また、前述したように、結合突出部616及び結合貫通孔622や、挿入突出部614及び結合貫通部621も、摩擦攪拌接合方法で溶融及び接合されるので、高温の熱による熱応力が残留する。
【0393】
よって、本ステップにおいては、各結合部位に残留する熱応力を除去するための処理が行われる。
【0394】
応力除去熱処理は、金属材料などの内部に残留する熱応力を除去するものであれば、いかなる形態で行われてもよい。一実施形態において、応力除去熱処理は、アニーリング(annealing)の形態で行われる。
【0395】
以上、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載される本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で本発明の様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。