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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】遷移金属化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20240326BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240326BHJP
   C07F 17/00 20060101ALI20240326BHJP
   C07F 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F10/00 510
C07F17/00
C07F7/00 Z
C07F7/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022553124
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2021002733
(87)【国際公開番号】W WO2021187780
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0032573
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ランファ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソンギョン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ウォン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、テホ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-007692(JP,A)
【文献】特表2019-515997(JP,A)
【文献】特開2001-031694(JP,A)
【文献】NEW TITANIUM AND ZIRCONIUM SANDWICH AND HALF-SANDWICH COMPLEXES CONTAINING THE C5Me4CH2CH2CH=CH2(Cp=) LIGAND,Polyhedron,1996年,Vol.15, No.3,pp.489-499
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/00-4/82
C08F10/00
C07F17/00
C07F 7/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)互いに異なる下記化学式2で表される化合物と、下記化学式3で表される化合物とのいずれか1つを溶媒に溶解する段階と、(2)前記段階(1)で得られた溶液に下記化学式4で表される化合物を添加した後、撹拌下で反応させる段階と、(3)前記段階(2)で得られた反応混合物に、下記化学式2で表される化合物と、下記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加した後、撹拌下で反応させる段階とを含む、下記化学式1で表される遷移金属化合物の調製方法:
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
[化学式4]
MX
前記化学式1~4において、Mはそれぞれ、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、またはC6-20アリールアミドであり、
~RおよびR~R10はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、もしくは置換または非置換のC3-20ヘテロアリールであり、
前記R~RおよびR~R10はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。
【請求項2】
前記Mがそれぞれ、ジルコニウムまたはハフニウムであり、前記Xがそれぞれハロゲンもしくは置換または非置換のC1-20アルキルであり、前記R~RおよびR~R10がそれぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、もしくは置換または非置換のC6-20アリールである、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-6、1-8~1-10、1-13~1-18、1-20~1-22で表される遷移金属化合物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法:
[化学式1-1]
[化学式1-2]
[化学式1-3]
[化学式1-4]
[化学式1-5]
[化学式1-6]
[化学式1-8]
[化学式1-9]
[化学式1-10]
[化学式1-13]
[化学式1-14]
[化学式1-15]
[化学式1-16]
[化学式1-17]
[化学式1-18]
[化学式1-20]
[化学式1-21]
[化学式1-22]
【請求項4】
前記化学式2で表される化合物が、下記化学式2-1~2-6で表される化合物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法:
[化学式2-1]
[化学式2-2]
[化学式2-3]
[化学式2-4]
[化学式2-5]
[化学式2-6]
【請求項5】
前記化学式3で表される化合物が、下記化学式3-1~3-6、3-8、および、3-9で表される化合物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法:
[化学式3-1]
[化学式3-2]
[化学式3-3]
[化学式3-4]
[化学式3-5]
[化学式3-6]
[化学式3-8]
[化学式3-9]
【請求項6】
前記溶媒が、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、および酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含み得る、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【請求項7】
前記化学式4で表される化合物がZrClまたはHfClである、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【請求項8】
前記段階(2)において、反応温度30℃~120℃であり、反応時間が1時間~24時間である、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【請求項9】
前記段階(3)において、反応温度30℃~80℃であり、反応時間が1時間~24時間である、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【請求項10】
前記化学式2で表される化合物対前記化学式3で表される化合物のモル比が10:1~1:10の範囲である、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【請求項11】
(4)前記段階(3)で得られた反応混合物から、フィルターにより未反応物および/または不純物を除去する段階をさらに含む、請求項1に記載の遷移金属化合物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属化合物の調製方法に関するものである。具体的に、本発明は、オレフィン重合用触媒の調製に使用され得る、非ブリッジ(non-bridged)型の非対称ビスシクロペンタジエニル(biscyclopentadienyl;bisCp)基を有する遷移金属化合物の調製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系重合体は、実生活において買い物袋、ビニールハウス、漁網、タバコ包装紙、ラーメン包装袋、ヨーグルトボトル、バッテリーケース、自動車バンパー、内装材、靴底、洗濯機などの素材として多様に使用される。
【0003】
従来、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびエチレン-αオレフィン共重合体のようなポリオレフィン系重合体とこれらの共重合体は、チタン化合物とアルキルアルミニウム化合物からなるチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒のような不均一系触媒によって調製された。
【0004】
最近では、触媒活性が非常に高い均一系触媒であるメタロセン触媒を用いたポリオレフィンの調製方法が研究されている。メタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物に、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合された化合物として、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。この際、リガンドの形態と中心金属の種類によって様々な分子構造を有する。
【0005】
不均一系触媒であるチーグラー・ナッタ触媒が、活性点である金属成分が不活性である固体表面に分散され活性点の性質が均一ではないことに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する1つの化合物であるため、すべての活性点が同じ重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。
【0006】
一般的に、メタロセン触媒は、それ自体だけでは重合触媒としての活性がないため、メチルアルミノキサンなどの助触媒とともに用いられる。助触媒の作用によってメタロセン触媒が陽イオンに活性化すると同時に、助触媒は、メタロセン触媒に配位していない陰イオンとして不飽和となった陽イオン活性種を安定化させ、各種オレフィン重合に活性を有する触媒系を形成する。
【0007】
このようなメタロセン触媒は、共重合が容易であり、触媒の対称性により重合体の立体構造を調節することができ、これにより調製された高分子は、分子量分布が狭く共単量体の分布が均一であるという長所を持つ。
【0008】
このようなメタロセン触媒の調製に用いられる遷移金属化合物の一つである非ブリッジ型の非対称ビスシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物は、やや複雑な段階を経て調製される。
【0009】
例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルトリメチルシラン(pentamethylcyclopentadienyltrimethylsilane)を出発物質として使用して、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド(pentamethylcyclopentadienylzirconium trichloride)状のメタルソースを合成し、これに異なる形状に置換されたシクロペンタジエニル基を導入する、多少複雑な方法を用いて、非ブリッジ型の非対称ビスシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物を調製する(非特許文献1を参照)。
【0010】
このような従来の調製方法は、調製過程が複雑で副産物の発生も多いという欠点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Journal of Organometallic Chemistry, 340 (1988) 37-40
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、より簡単な方法により非ブリッジ型の非対称ビスシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物の調製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を達成するための一具体例により、(1)互いに異なる下記化学式2で表される化合物と、下記化学式3で表される化合物とのいずれか1つを溶媒に溶解する段階と、(2)段階(1)で得られた溶液に下記化学式4で表される化合物を添加した後、撹拌下で反応させる段階と、(3)段階(2)で得られた反応混合物に、下記化学式2で表される化合物と、下記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加した後、撹拌下で反応させる段階とを含む、下記化学式1で表される遷移金属化合物の調製方法が提供される。
【0014】
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
[化学式4]
MX
【0015】
前記化学式1~4において、Mはそれぞれ、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。
【0016】
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、またはC6-20アリールアミドである。
【0017】
~RおよびR~R10はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、または置換または非置換のC1-20シリルである。
【0018】
前記R~RおよびR~R10はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。
【0019】
具体的に、前記化学式1~4において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Xはそれぞれハロゲンもしくは置換または非置換のC1-20アルキルであり、R~RおよびR~R10はそれぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC -20アルケニル、もしくは置換または非置換のC6-20アリールであり得る。
【0020】
好ましくは、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-24で表される遷移金属化合物のうちの少なくとも1つである。
【0021】
[化学式1-1]
[化学式1-2]
[化学式1-3]
[化学式1-4]
[化学式1-5]
[化学式1-6]
[化学式1-7]
[化学式1-8]
[化学式1-9]
[化学式1-10]
[化学式1-11]
[化学式1-12]
[化学式1-13]
[化学式1-14]
[化学式1-15]
[化学式1-16]
[化学式1-17]
[化学式1-18]
[化学式1-19]
[化学式1-20]
[化学式1-21]
[化学式1-22]
[化学式1-23]
[化学式1-24]
【0022】
好ましくは、前記化学式2で表される化合物が、下記化学式2-1~2-6で表される化合物のうちの少なくとも1つである。
【0023】
[化学式2-1]
[化学式2-2]
[化学式2-3]
[化学式2-4]
[化学式2-5]
[化学式2-6]
【0024】
好ましくは、前記化学式3で表される化合物が、下記化学式3-1~3-9で表される化合物のうちの少なくとも1つである。
【0025】
[化学式3-1]
[化学式3-2]
[化学式3-3]
[化学式3-4]
[化学式3-5]
[化学式3-6]
[化学式3-7]
[化学式3-8]
[化学式3-9]
【0026】
ここで、溶媒は、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、および酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含み得る。
【0027】
好ましくは、前記化学式4で表される化合物がZrClまたはHfClである。
【0028】
好ましくは、前記段階(2)において、反応温度は 30℃~120℃であり、反応時間は1時間~24時間である。
【0029】
また、前記段階(3)において、反応温度は 30℃~80℃であり、反応時間は1時間~24時間である。
【0030】
好ましくは、前記化学式2で表される化合物が段階(1)で使用され、前記化学式3で表される化合物が段階(3)で使用され得る。
【0031】
また、前記化学式2で表される化合物対前記化学式3で表される化合物のモル比が10:1~1:10の範囲であり得る。
【0032】
本発明の一具体例による調製方法は、(4)前記段階(3)で得られた反応混合物から、フィルターにより未反応物および/または不純物を除去する段階をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0033】
本発明の具体例による遷移金属化合物の調製方法により、非ブリッジ型の非対称ビスシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物を容易に調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0035】
本発明の一具体例により、(1)互いに異なる下記化学式2で表される化合物と、下記化学式3で表される化合物とのいずれか1つを溶媒に溶解する段階と、(2)段階(1)で得られた溶液に下記化学式4で表される化合物を添加した後、撹拌下で反応させる段階と、(3)段階(2)で得られた反応混合物に、下記化学式2で表される化合物と、下記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加した後、撹拌下で反応させる段階とを含む、下記化学式1で表される遷移金属化合物の調製方法が提供される。
【0036】
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
[化学式4]
MX
【0037】
前記化学式1~4において、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。具体的に、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり得る。
【0038】
Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、またはC6-20アリールアミドである。具体的に、Xはそれぞれハロゲンもしくは置換または非置換のC1-20アルキルであり得る。より具体的に、Xはそれぞれ塩素であり得る。
【0039】
~RおよびR~R10はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、もしくは置換または非置換のC1-20シリルである。なお、R~RおよびR~R10はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。具体的に、R~RおよびR~R10はそれぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC -20アルケニル、または置換または非置換のC6-20アリールであり得る。
【0040】
本発明の好ましい具体例において、前記化学式1~4において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Xはそれぞれハロゲンもしくは置換または非置換のC1-20アルキルであり、R~RおよびR~R10はそれぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC -20アルケニル、もしくは置換または非置換のC6-20アリールであり得る。
【0041】
好ましくは、本発明の一具体例による調製方法により調製される前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-24で表される遷移金属化合物のうちの少なくとも1つである。
【0042】
[化学式1-1]
[化学式1-2]
[化学式1-3]
[化学式1-4]
[化学式1-5]
[化学式1-6]
[化学式1-7]
[化学式1-8]
[化学式1-9]
[化学式1-10]
[化学式1-11]
[化学式1-12]
[化学式1-13]
[化学式1-14]
[化学式1-15]
[化学式1-16]
[化学式1-17]
[化学式1-18]
[化学式1-19]
[化学式1-20]
[化学式1-21]
[化学式1-22]
[化学式1-23]
[化学式1-24]
【0043】
段階(1)
前記段階(1)において、互いに異なる前記化学式2で表される化合物と、前記化学式3で表される化合物とのいずれか1つを溶媒に溶解する。
【0044】
好ましくは、前記化学式2で表される化合物が、下記化学式2-1~2-6で表される化合物のうちの少なくとも1つであり得る。
【0045】
[化学式2-1]
[化学式2-2]
[化学式2-3]
[化学式2-4]
[化学式2-5]
[化学式2-6]
【0046】
また、前記化学式3で表される化合物が、下記化学式3-1~3-9で表される化合物のうちの少なくとも1つであり得る。
【0047】
[化学式3-1]
[化学式3-2]
[化学式3-3]
[化学式3-4]
[化学式3-5]
[化学式3-6]
[化学式3-7]
[化学式3-8]
[化学式3-9]
【0048】
ここで、溶媒は、ヘキサン、ペンタンのような脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒、アセトンおよび酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含み得る。好ましくは、前記溶媒がトルエンであり得るが、これに特に制限されない。
【0049】
前記化学式2で表される化合物と、前記化学式3で表される化合物とのいずれか1つを溶媒に溶解する際、温度および溶解時間は特に制限されない。例えば、-78℃~30℃の温度、好ましくは-40℃~10℃の温度、より好ましくは約-30℃の温度にて前記化学式2で表される化合物と、前記化学式3で表される化合物とのいずれか1つを溶媒に添加し、10分~17時間、好ましくは20分~10時間、より好ましくは約1時間それを撹拌して溶解させ得る。


【0050】
段階(2)
段階(2)において、前記段階(1)で得られた溶液に、前記化学式4で表される化合物を添加した後、撹拌下で反応させる。
【0051】
好ましくは、前記化学式4で表される化合物が、ZrClまたはHfClである。
【0052】
化学式4で表される化合物を添加する際の温度は、 78℃~30℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、化学式4で表される化合物を添加する際の温度は 40℃~30℃であり得る。最も好ましくは、化学式4で表される化合物を添加する際の温度は常温であり得る。
【0053】
化学式4で表される化合物を添加した後、温度を-30℃~120℃の範囲、より好ましくは0℃~80℃の範囲、最も好ましくは常温~60℃に徐々に上げて、1時間~24時間、好ましくは5時間~20時間、より好ましくは約17時間撹拌下で反応させる。
【0054】
段階(3)
段階(3)において、前記段階(2)で得られた反応混合物に、前記化学式2で表される化合物と前記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加した後、撹拌下で反応させる。
【0055】
前記化学式2で表される化合物と前記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加する際の温度は、 78℃~30℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、前記化学式2で表される化合物と前記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加する際の温度は、 40℃~30℃であり得る。最も好ましくは、前記化学式2で表される化合物と前記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加する際の温度は、常温であり得る。
【0056】
前記化学式2で表される化合物と前記化学式3で表される化合物とのうち他の1つを添加した後、温度を 30℃~80℃の範囲、より好ましくは0℃~60℃の範囲、最も好ましくは常温まで徐々に上げ、1時間~24時間、好ましくは1時間~10時間、より好ましくは約4時間撹拌下で反応させる。
【0057】
本発明の好ましい具体例による調製方法において、前記化学式2で表される化合物が段階(1)で使用され、前記化学式3で表される化合物が段階(3)で使用され得る。
【0058】
また、前記化学式2で表される化合物対前記化学式3で表される化合物のモル比が、10:1~1:10の範囲であり得る。好ましくは、該2つの化合物のモル比が5:1~1:5である。より好ましくは、該2つの化合物のモル比が1.2:1~1:1.2である。
【0059】
段階(4)
本発明の一具体例による調製方法は、(4)前記段階(3)で得られた反応混合物から、フィルターにより未反応物および/または不純物を除去する段階をさらに含み得る。
【0060】
未反応物および/または不純物を除去するフィルターは特に限定されないが、セライトフィルターを用いることが好ましい。
【0061】
(実施例)
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を例示するためのものであるのみ、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
前記化学式2-1のリチウムペンタメチルシクロペンタジエニド(lithium pentamethylcyclopentadienide)(100mg(0.70mmol、1.2eq.)を 30℃にてトルエン20mlに溶解した。これをゆっくり撹拌しながら、塩化ジルコニウム(ZrCl)137mg(0.59mmol、1.0eq.)を加えた後、60℃にて17時間撹拌した。反応混合物の温度を常温に下げた後、前記化学式3 1のリチウムn プロピルシクロペンタジエニド67mg(0.59mmol、1.0eq.)を添加した。これを常温にて4時間撹拌して反応させた。セライトフィルターにより塩化リチウム(LiCl)を除去した後、生成物を乾燥して、前記化学式(1 1)の化合物((ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド)((pentamethylcyclopentadienyl)(n-propylcyclopentadienyl) zirconium dichloride)208mg(収率:72%)を得た。
【0063】
H NMRにより、前記化学式1 1の化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): 6.03-6.01 (m, 2H), 5.95-5.93 (m, 2H), 2.58 (t, 2H), 2.02 (s, 15H), 1. 62-1.51 (m, 2H), 0.92 (t, 3H).
【0064】
(実施例2)
前記化学式2 1のリチウムペンタメチルシクロペンタジエニド(lithium pentamethylcyclopentadienide)135mg(0.95mmol、1.2eq.)を 30℃にてトルエン20mlに溶解した。これをゆっくり撹拌しながら、塩化ハフニウム(HfCl)253mg(0.79mmol、1.0eq.)を加えた後、60℃にて17時間撹拌した。反応混合物の温度を常温に下げた後、前記化学式3 1のリチウムn プロピルシクロペンタジエニド(lithium n-propylcyclopentadienide)180mg(0.79mmol、1.0eq.)を添加した。これを常温にて4時間撹拌して反応させた。セライトフィルターにより塩化リチウム(LiCl)を除去した後、生成物を乾燥して、前記化学式1 13の化合物((ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド)((pentamethylcyclopentadienyl)(n-propylcyclopentadienyl) hafnium dichloride)227mg(収率:58%)を得た。
【0065】
H NMRにより前記化学式1 13の化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): 5.95-5.92 (m, 2H), 5.89-5.86 (m, 2H), 2.60 (t, 2H), 2.07 (s, 15H), 1. 60-1.51 (m, 2H), 0.92 (t, 3H).
【0066】
本発明の具体例による遷移金属化合物の調製方法により、非ブリッジ型の非対称ビスシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物を容易に調製し得る。また、本発明の具体例による遷移金属化合物の調製方法により調製された遷移金属化合物は、オレフィン重合用触媒の調製に使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の具体例による遷移金属化合物の調製方法により、非ブリッジ型の非対称ビスシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物を容易に調製することができる。