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特許7460791位置決めおよび安定化構造およびそれを組み込んだシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】位置決めおよび安定化構造およびそれを組み込んだシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2022558257
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 AU2020051081
(87)【国際公開番号】W WO2021189095
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】2020900953
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】16/865,480
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/865,526
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イアン・アンドリュー・ロウ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0367423(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0338130(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0307282(US,A1)
【文献】中国実用新案第205958850(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0335632(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0243145(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0258065(US,A1)
【文献】特表2015-522381(JP,A)
【文献】特表2016-503699(JP,A)
【文献】特表2012-511341(JP,A)
【文献】特表2014-533185(JP,A)
【文献】特表2014-534030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイシステムであって、
ヘッドマウントディスプレイユニットと、
使用時に前記ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持するような構成および配置された位置決めおよび安定化構造と、を備え、
前記位置決めおよび安定化構造が、
ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、
前記ヘッドマウントディスプレイユニットに接続された前方端と、前記前方端と反対側の後方端とを有する構成になっていると共に、前記後部支持構造を前記ヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するように配置された少なくとも1つのコネクタであって、前記後部支持構造が前記少なくとも1つのコネクタの前記後方端に取り外し可能に接続されている少なくとも1つのコネクタと、を備え、
前記少なくとも1つのコネクタは、該少なくとも1つのコネクタの長さの少なくとも一部に沿って剛性を有し、
前記少なくとも1つのコネクタは、使用中ユーザのフランクフォート水平に沿って、または前記フランクフォート水平に平行に延在するように構成され、
前記後部支持構造が、ユーザの頭部に接触する前にフープの形状である三次元形状を有し、
前記フープは、使用時に頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する前記後頭骨の一部分に沿って前記ユーザの頭部に係合するように構成および配置された後頭部分と、ユーザの頭頂骨に近接するように構成および配置された頭頂部分とを備えるフープの形状になっている、ヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項2】
前記フープが、使用時に頭頂骨に近接して前記ユーザの頭部に係合するようになっている頭頂部分を備える、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項3】
前記フープが、前記フープの長さの少なくとも一部分に沿って弾性的に伸張可能である、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項4】
前記フープが、前記フープの長さの少なくとも一部分に沿って可撓性を有する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコネクタが、前記後部支持構造を前記ヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された対向側頭コネクタを備え、前記対向側頭コネクタが、前記ユーザの頭部の両側に配置され、前記ユーザの頭部の側頭領域に沿って延在するようになっている、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項6】
前記対向側頭コネクタの各々は、側頭アームを含み、前記側頭アームの各々は、該側頭アームの全長に沿って剛性を有する、請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項7】
各側頭アームを形成する剛性材料は、繊維材料内に封入されている、請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項8】
前記対向側頭コネクタの各々の側頭アームの前記後方端が、前記ユーザの上耳底点に、または上耳底点の後方に配置されるように構成されている、請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項9】
前記対向側頭コネクタの少なくとも1つが、様々なサイズの頭部にフィットするように前記位置決めおよび安定化構造を調節するための調節機構をさらに備える、請求項8に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項10】
前記調節機構が、前記側頭アームの前記後方端と前記後部支持構造との間の接続部に配置される、請求項9に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項11】
前記後部支持構造が、前記側頭アームに接続する接続タブを備え、前記調節機構が、前記接続タブの有効長の調節を可能にする、請求項10に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項12】
前記側頭アームの前記後方端が、前記接続タブを受容するように配置されたアイレットを含み、前記調節機構が、前記接続タブを前記側頭アームに締結するための取り外し可能な締結構成を備える、請求項11に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項13】
前記取り外し可能な締結構成が、前記接続タブの自由端を前記接続タブの近位部分に固定するように配置される、請求項12に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコネクタが、概して矢状面の方向に延在して前記後部支持構造を前記ヘッドマウントディスプレイユニットの上縁領域に接続する前額支持コネクタをさらに備える、請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項15】
前記前額支持コネクタがストラップを備える、請求項14に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項16】
前記前額支持コネクタの前記ストラップが、前記ストラップの長さの少なくとも一部分に沿って弾性的に伸長可能である、請求項15に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項17】
前記前額支持コネクタの前記ストラップが、前記ストラップの長さの少なくとも一部分に沿って可撓性を有する、請求項15に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項18】
前記前額支持コネクタが、異なるサイズの頭部にフィットするように前記位置決めおよび安定化構造を調節するための調節機構をさらに備える、請求項15に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項19】
前記調節機構が、前記前額支持コネクタの前記ストラップの有効長を調節する、請求項18に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項20】
前記調節機構が、前記前額支持コネクタの外表面に配置され、ユーザの矢状面に概ね沿って延在するように構成されている。請求項19に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項21】
前記前額支持コネクタが、前記前額支持コネクタの一部分を剛性化する前額支持リジダイザをさらに備える、請求項14に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項22】
前記前額支持リジダイザが、前記ユーザの頭部の前頭部分に位置する前記前額支持コネクタの一部分を剛性化する、請求項21に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項23】
前記前額支持コネクタが、前記頭頂部分に直接接続されている、請求項14に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項24】
前記後部支持構造と前記対向側頭コネクタとを架橋するための1つ以上の追加リジダイザをさらに備える、請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項25】
各側頭アームの後方端に接続された伸長リジダイザを更に備え、
各伸長リジダイザは、前記頭頂部分に沿って少なくとも部分的に延びており、
前記伸長リジダイザは、調整可能な接続ストラップを使用して互いに接続されている、
請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項26】
前記ヘッドマウントディスプレイユニットは、前記ヘッドマウントディスプレイユニットが前記動作位置にあるときに前記ユーザが視認できるディスプレイと、前記ユーザの顔と対向する関係となるように構築および配置されたユーザインターフェース構造と、を格納するハウジングを備え、前記ユーザインターフェース構造が、前記ディスプレイ付近に延在し、前記ディスプレイへの視認開口を画定する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項27】
前記後頭部分が、使用時に前記接合部のすぐ上の前記後頭骨の前記一部分に沿って係合するように構成および配置される、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つのコネクタの後方端に接続された伸長リジダイザを更に備え、
前記伸長リジダイザは、前記後部支持構造の前記頭頂部分および/または前記後頭部分に沿って少なくとも部分的に延びている、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項29】
ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持する位置決めおよび安定化構造であって、
ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、
前記ヘッドマウントディスプレイユニットに接続するように構成された前方端と、前記前方端と反対側の後方端とを有する構成になっていると共に、前記後部支持構造を前記ヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するように配置された少なくとも1つのコネクタであって、前記後部支持構造が前記少なくとも1つのコネクタの前記後方端に取り外し可能に接続されている少なくとも1つのコネクタと、を備え、
前記少なくとも1つのコネクタは、該少なくとも1つのコネクタの長さの少なくとも一部に沿って剛性を有し、
前記少なくとも1つのコネクタは、使用中ユーザのフランクフォート水平に沿って、または前記フランクフォート水平に平行に延在するように構成され、
前記後部支持構造が、ユーザの頭部に接触する前にフープの形状である三次元形状を有し、
前記フープは、使用時に頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する前記後頭骨の一部分に沿って前記ユーザの頭部に係合するように構成および配置された後頭部分と、ユーザの頭頂骨に近接するように構成および配置された頭頂部分とを備えるフープの形状になっている、位置決めおよび安定化構造。
【請求項30】
前記フープが、前記フープの長さの少なくとも一部分に沿って弾性的に伸張可能である、請求項29に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項31】
前記少なくとも1つのコネクタが、前記後部支持構造を前記ヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された対向側頭コネクタを備え、前記対向側頭コネクタが、前記ユーザの頭部の両側に配置され、前記ユーザの頭部の側頭領域に沿って延在するようになっている、請求項29に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項32】
前記対向側頭コネクタのそれぞれは、該対向側頭コネクタの長さの少なくとも一部に沿って剛性を有する、請求項31に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項33】
前記少なくとも1つのコネクタが、概して矢状面の方向に延在して前記後部支持構造を前記ヘッドマウントディスプレイユニットの上縁領域に接続する前額支持コネクタをさらに備える、請求項31に記載の位置決めおよび安定化構造。
【請求項34】
前記後頭部分が、使用時に前記接合部のすぐ上の前記後頭骨の前記一部分に沿って係合するように構成および配置される、請求項29に記載の位置決めおよび安定化構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2020年3月27日に出願されたオーストラリア国仮出願第2020900953号、2020年5月4日に出願された米国出願第16/865,480号及び2020年5月4日に出願された米国出願第16/865,526号それぞれの恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【0002】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0003】
本技術は、ヘッドマウントディスプレイユニットを保持するための位置決めおよび安定化構造と、ディスプレイユニットおよび位置決めおよび安定化構造を含む関連ヘッドマウントディスプレイアセンブリと、に関する。本技術は、仮想現実ヘッドマウントディスプレイの使用における特定用途を見出すものであり、本明細書ではその文脈で説明される。ただし、本技術は、より広い用途を有し得、拡張現実ディスプレイを含む他のヘッドマウントディスプレイ構成においても使用され得るということを理解されたい。
【背景技術】
【0004】
何らかの先行技術が本明細書において言及された場合、かかる言及は、先行技術が豪州またはその他の国において当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成すると認めることにはならないものと理解されたい。
【0005】
仮想現実ヘッドマウントディスプレイは、ユーザが、十分に没入した仮想環境体験を得ることを可能にするとともに、通信、トレーニング、医療ならびに外科診療、エンジニアリング、およびテレビゲーム等の分野において幅広い用途を有する。
【0006】
仮想現実ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの顔の前で動作位置に保持されるように配置されたディスプレイユニットを含むシステムまたはアセンブリとして提供されるのが典型的である。このディスプレイユニットは、ディスプレイと、ユーザの顔と対向関係となるように構築および配置されたユーザインターフェース構造と、を格納する筐体を含むのが典型的である。ユーザインターフェース構造は、ディスプレイ付近に延在し、ディスプレイへの視認開口を画定し得る。ユーザインターフェース構造は、ユーザの顔と係合し得るとともに、ユーザの快適性を図るクッションを含み得、かつ/または軽く封止してディスプレイからの周囲光を遮断し得る。
【0007】
ディスプレイユニットを正しい動作位置に保持するために、ヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの頭部に配置される位置決めおよび安定化構造をさらに備える。これまでは、これらの位置決めおよび安定化構造が、ディスプレイユニットを動作位置に維持するために張力下でユーザの頭部に適用されるのが典型的であるストラップまたは伸長可能な剛性構造体から形成されてきた。かかるシステムは、ユーザの顔に締め付け圧力を与える傾向があり、それにより、局所的な応力点におけるユーザの不快感が生じ得る。また、これまでのシステムは、幅広の適用頭部サイズを許容するための調節が困難であり得る。さらに、ディスプレイユニットおよび関連付けられた位置決めおよび安定化構造は、重くて清掃しにくいことが多く、そのために、システムの快適性および使いやすさがさらに制限されてしまっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、上記の欠点のない改良されたシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の一態様は、使用時にユーザの頭部の領域に接触するように配置された後部支持構造と、使用時にユーザの頭部の両側に配置され、使用時にユーザの頭部の側部領域に沿って延在して後部支持構造をディスプレイユニットに相互接続する対向側頭コネクタと、を含む、ヘッドマウントディスプレイユニット用の位置決めおよび安定化構造に関する。
【0010】
いくつかの形態においては、後部支持構造が、後頭部分と頭頂部分とを有するフープを含む。いくつかの形態においては、このフープ、または後頭部分および頭頂部分のうちの少なくとも一方が、その長さの少なくとも一部分に沿って弾性的に伸長可能であり得る。いくつかの形態においては、このフープが、その長さの少なくとも一部分に沿って可撓性を有する。後部支持構造がフープである、いくつかの形態においては、後頭部分が、(その箇所が頭部の後頭領域と接触した結果、)上方移動に抵抗してユーザの頭の低い位置に伸び得、そのために、システムにアンカーを提供する。いくつかの形態においては、このフープが、略直立面(かかる直立面は、一例として、冠状面がある)に配向される。
【0011】
いくつかの形態においては、後部支持構造が、ユーザの上耳底点の後方に配置される。
【0012】
いくつかの形態においては、側頭コネクタが、その長さの少なくとも一部分に沿って剛性を有する。いくつかの形態においては、側頭コネクタが、ディスプレイユニットに接続された前方端と、後部支持構造に接続された後方端と、を有する側頭アームを各々備える。いくつかの形態においては、側頭アームが剛性を有する。いくつかの形態においては、側頭アームの後方端は、ユーザの上耳底点の後方に配置される。
【0013】
いくつかの形態においては、側頭コネクタの少なくとも1つが、様々なサイズの頭部にフィットするように位置決めおよび安定化構造を調節するための調節機構をさらに備える。いくつかの形態においては、この調節機構が、側頭アームの後方端と後部支持構造との間の接続部に配置されている。
【0014】
いくつかの形態においては、後部支持構造が、側頭アームに接続する接続タブを備え、調節機構が、接続タブの有効長の調節を可能にする。いくつかの形態においては、側頭アームの後方端が、接続タブを受容するように構成されたアイレットを組み込み、調節機構は、接続タブを側頭アームに締結するための取り外し可能な締結構成を備える。いくつかの形態においては、この取り外し可能な締結構成が、接続タブの自由端を接続タブの近位部分に戻して固定するように構成され得る。この取り外し可能な締結構成は、摩擦、干渉、スナップ、または他の機械的固定構成を可能にするクリップまたはリテーナなど、他の形態をとり得る。
【0015】
いくつかの形態においては、位置決めおよび安定化構造が、概して矢状面の方向に延在して後部支持構造をディスプレイユニットの上縁領域に接続する前額支持コネクタをさらに含み得る。いくつかの形態においては、この前額支持コネクタがストラップを備え得る。いくつかの形態においては、前額支持コネクタのストラップが、その長さの少なくとも一部分に沿って弾性的に伸張可能であり得る。いくつかの形態においては、前額支持コネクタのストラップが、その長さの少なくとも一部分に沿って可撓性を有し得る。
【0016】
いくつかの形態においては、前額支持コネクタが、様々なサイズの頭部にフィットするように位置決めおよび安定化構造を調節するための調節機構をさらに含み得る。いくつかの形態においては、前額支持コネクタがその形態であるときに、この調節機構が前額支持コネクタのストラップの有効長を調節し得る。
【0017】
いくつかの形態においては、前額支持コネクタが、前額支持コネクタの一部分に剛性を提供する前額支持リジダイザをさらに備える。いくつかの形態においては、この前額支持リジダイザが、ユーザの頭部の前頭領域沿いに位置する前額支持コネクタの一部分に剛性を提供する。前額支持リジダイザの範囲および位置決めは、ディスプレイユニットの正しい位置決めを支援し、ユーザの頬骨に印加される圧力を軽減し得る。いくつかの形態においては、前額支持リジダイザが、前額支持コネクタのストラップなど、前額支持コネクタの他の構成要素上で(角度的または並進的に)調節可能であり得、ヘッドマウントディスプレイユニットの細かい位置決めを可能にし得るとともに、ユーザの快適性およびフィット性の改善を支援し得る。
【0018】
いくつかの形態においては、位置決めおよび安定化構造が、後部支持構造と側頭コネクタとを架橋し得る追加リジダイザをさらに含む。いくつかの形態においては、これらの追加リジダイザが、システムをさらに安定化および支持するために、後部支持構造付近でのディスプレイユニットの移動を抑制することを支援し得る。いくつかの形態においては、これらの追加リジダイザが、後部支持構造への側頭コネクタの接続部におけるヒンジの動きを制限し得る。いくつかの形態においては、これらの追加リジダイザが、ディスプレイユニットを正しい動作位置にさらに係留するために、後部支持構造の後頭領域に沿っても延在し得る。いくつかの形態においては、これらの追加リジダイザが、快適性、調節可能性、およびフィット性をさらに支援するために、前額支持コネクタの他の構成要素上で(角度的または並進的に)調節可能であり得る。
【0019】
いくつかの形態においては、位置決めおよび安定化構造が、位置決めおよび安定化構造を取り外すことなくディスプレイユニットを非動作位置に移動できるように、ディスプレイユニットの上方移動、例えば上方枢動を可能にし得る(例えば、跳ね上げ式)。いくつかの形態においては、この枢動構成が、前額支持コネクタにおける解放機構を提供し、かつ/または側頭コネクタにおいて制限付きヒンジ領域を提供し得る。
【0020】
上記何らかの形態の位置決めおよび安定化構造は、フードもしくは他のヘッドウェアに、一体化されるか、取り外し可能に接続されるかして組み込まれ得る。位置決めおよび安定化構造は、音声や触覚(触知)刺激またはフィードバックなど、内部に組み込まれた他の構成要素も含み得る。
【0021】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットと、使用時にユーザの顔の上の動作位置にヘッドマウントディスプレイユニットを保持するような構成および配置された位置決めおよび安定化構造と、を含むヘッドマウントディスプレイシステムに関する。位置決めおよび安定化構造は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、後部支持構造をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された少なくとも1つのコネクタと、を含む。後部支持構造は、使用時に後頭骨に沿って(例えば、頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する後頭骨の一部分に沿って)ユーザの頭部に係合するように構成および配置された後頭部分を備えるフープの形状になっている。
【0022】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持するための位置決めおよび安定化構造に関する。位置決めおよび安定化構造は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、後部支持構造をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された少なくとも1つのコネクタと、を含む。後部支持構造は、使用時に後頭骨に沿って(例えば、頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する後頭骨の一部分に沿って)ユーザの頭部に係合するように構成および配置された後頭部分を備えるフープの形状になっている。
【0023】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持するための位置決めおよび安定化構造に関する。位置決めおよび安定化構造は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、後部支持構造をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された対向側頭コネクタと、を含む。対向側頭コネクタは、ユーザの頭部の両側に配置され、ユーザの頭部の側部領域に沿って延在するようになっている。後部支持構造は、使用時に後頭骨に沿って(例えば、頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する後頭骨の一部分に沿って)ユーザの頭部に係合するように構成および配置された後頭部分を備えるフープの形状になっている。
【0024】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットと、使用時にユーザの顔の上の動作位置にヘッドマウントディスプレイユニットを保持するような構成および配置された位置決めおよび安定化構造と、を含むヘッドマウントディスプレイシステムに関する。位置決めおよび安定化構造は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、後部支持構造をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された少なくとも1つのコネクタと、を含む。少なくとも後部支持構造は、ユーザの頭部の後部領域に適合するように構成された織物材料を含む。
【0025】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持するための位置決めおよび安定化構造に関する。位置決めおよび安定化構造は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造と、後部支持構造をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された少なくとも1つのコネクタと、を含む。少なくとも後部支持構造は、ユーザの頭部の後部領域に適合するように構成された織物材料を備える。
【0026】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットと、使用時にユーザの顔の上の動作位置にヘッドマウントディスプレイユニットを保持するような構成および配置された位置決めおよび安定化構造と、を含むヘッドマウントディスプレイシステムに関する。位置決めおよび安定化構造体は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造体と、後部支持構造体をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された対向側頭コネクタと、を含み、対向側頭コネクタは、ユーザの頭部の両側に配置され、ユーザの頭部の側部領域に沿って延在するようになっている。少なくとも後部支持構造は、ユーザの頭部の後部領域に適合するように構成された織物材料を含む。
【0027】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持するための位置決めおよび安定化構造に関する。位置決めおよび安定化構造体は、ユーザの頭部の後部領域に接触するようになっている後部支持構造体と、後部支持構造体をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された対向側頭コネクタと、を含み、対向側頭コネクタは、ユーザの頭部の両側に配置され、ユーザの頭部の側部領域に沿って延在するようになっている。少なくとも後部支持構造は、ユーザの頭部の後部領域に適合するように構成された織物材料を含む。
【0028】
本技術の一態様は、ヘッドマウントディスプレイユニットをユーザの顔の上の動作位置に保持するための位置決めおよび安定化構造に関する。位置決めおよび安定化構造は、ユーザの頭部の領域に接触するようになっている後部支持構造と、後部支持構造をヘッドマウントディスプレイユニットに相互接続するような構成および配置された少なくとも1つのコネクタまたはストラップと、を含む。
【0029】
位置決めおよび安定化構造および/またはヘッドマウントディスプレイユニットは、ユーザの顔のより敏感な領域(前額、目の下の上頬)からの接触力を、印加される力に対抗するのにより適した領域に分散させるのを支援するように構成され得る。例えば、後部支持構造は、ユーザの頭部の後部に均一かつぴったりと係合するように、例えば、後頭骨上ではあるが首筋肉の上方に係留するように、かつ/またはヘッドマウントディスプレイユニットの負荷を快適かつ持続可能な方法でより良好に支持するように1つ以上の部分において高い剛性を有するように、十分に可撓性があり得る。例えば、後部支持構造は、ユーザの頭部の形状および/またはサイズに合わせて調節できるように、通気性および可撓性のあるストラップ材料(例えば、織物)から作製され得、このストラップ材料のある部分は、安定性を維持し、ヘッドマウントディスプレイユニットを介して患者の顔の一部分に印加される力の一部分を相殺するのに役立つように、剛性化され、かつ/または剛性部分が追加され(例えば、縫合され、積層され、クリップ留めされ、ポケット内に挿入され、オーバーモールドされ、かつ/または所定位置に超音波溶接され)得る。
【0030】
一実施例においては、位置決めおよび安定化構造および/またはヘッドマウントディスプレイユニットが、それらの力を後部支持部および/もしくは少なくとも1つのコネクタもしくはストラップに効果的に伝達することで、ならびに/または、ヘッドマウントディスプレイユニットからの力を、ヘッドマウントディスプレイユニットに沿って、ならびに/または後部支持構造および/もしくは少なくとも1つのコネクタもしくはストラップに沿ってさらに均等に分散させるだけで、協働して患者の前額および/もしくは頬骨に印加される力を低減するように構成され得る。これは、ヘッドマウントユニットがユーザの顔/額を滑り落ちるのを防ぐなどの目的で、快適性および/または安定性を加える方法で行われる。
【0031】
本技術の別の態様は、上記何らかの形態の位置安定化構造と、それに接続されたディスプレイユニットと、を含むヘッドマウントディスプレイシステムまたはアセンブリに関する。
【0032】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0033】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0034】
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】上耳底点点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。フランクフォート水平の大まかな位置が示されている。冠状面も記載される。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
図1B】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。
図1C】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。記載されている例示的な骨は、前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎、下顎、頭頂骨、側頭骨、および後頭部分を含む。
図2A】本技術の第1の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図2B】本技術の第1の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図2C】本技術の第1の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図2D】本技術の一実施例に係る、図2A図2Cのヘッドマウントディスプレイアセンブリの側頭アームの断面図である。
図2E】本技術の別の実施例に係る、図2A図2Cのヘッドマウントディスプレイアセンブリの側頭アームの断面図である。
図3A】本技術の第2の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図3B】本技術の第2の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図3C】本技術の第2の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図4A】本技術の第3の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図4B】本技術の第3の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図4C】本技術の第3の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、正面図、および上面図である。
図5】本技術の第4の実施例に係る使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図である。
図6A】本技術の第4の実施例の変形例に係る、使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、背面図、および上面図である。
図6B】本技術の第4の実施例の変形例に係る、使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、背面図、および上面図である。
図6C】本技術の第4の実施例の変形例に係る、使用中のヘッドマウントディスプレイアセンブリの側面図、背面図、および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0037】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0038】
図2A図2Cは、本技術の第1の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムまたはアセンブリ10用の支持部を示す。ヘッドマウントディスプレイシステム10は、ヘッドマウントディスプレイユニット12と、使用時にユーザの顔の上の動作位置にディスプレイユニット12を維持または保持するための位置決めおよび安定化構造14(支持および安定化構造とも称される)と、を備える。
【0039】
ディスプレイユニット12は、ユーザの顔と対向関係となるように構築および配置されたユーザインターフェース構造13を含む。ユーザインターフェース構造13は、ディスプレイユニットハウジング22によって格納されるディスプレイ付近に延在する。ユーザインターフェース構造13は、ディスプレイ付近に延在し、ディスプレイへの視認開口を画定し得る。ユーザインターフェース構造13は、ユーザの眼の周りに延在し、例えば、ユーザの鼻、頬、および/または前額に沿ってユーザの顔と係合(例えば、軽く封止)し得る。
【0040】
以下に記載のとおり、本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの眼のあたりを完全に密閉しているという知覚を提供しつつ、すなわち、仮想現実ヘッドマウントディスプレイの使用時に完全に没頭させつつも、バランスのとれたシステムを提供するように、すなわち、ユーザの頭部および/または顔に沿った任意の1点で過度にきつくならないような構成および配置される。すなわち、本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの頭部のより広い範囲に圧力を分散させて、ホットスポットまたは局所的な応力点を低減するような構成および配置されることにより、より均一なフィット感を提供する。
【0041】
また、本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの頭部への適合性を高め、快適性のための緩衝を可能にするような構成および配置された軟質で可撓性(例えば、弾性)のある材料(例えば、織物と発泡体の複合材などの通気性材料)を備える。加えて、本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの頭部に装着した状態で調節しやすくし、広いフィット範囲を実現するためのシンプルな調節機構を備える。
【0042】
図2A図2Cに示す実施例においては、位置決めおよび安定化構造14が、ユーザの頭部の領域に接触するようになっている(例えば、ユーザの頭頂部分に位置付け可能な)後部支持構造16(後部支持フープとも称される)と、後部支持構造16をヘッドマウントディスプレイユニット12に相互接続するような構成および配置された少なくとも1つのコネクタと、を備える。図示された実施例においては、この少なくとも1つのコネクタが、後部支持フープ16を、ユーザの頭部のそれぞれの側に配置された対向側頭コネクタ18であって、ディスプレイユニット12のディスプレイユニットハウジング22のそれぞれの後縁領域20に相互接続する対向側頭コネクタ18と、ユーザの前頭骨を横切って延在する前額支持コネクタ24であって、後部支持フープ16をディスプレイユニットハウジング22の上縁領域21に相互接続する前額支持コネクタ24と、を備える。ただし、後部支持構造16をヘッドマウントディスプレイユニット12に相互接続するために設けられるコネクタは増減し得ることを理解されたい。
【0043】
対向側頭コネクタ18の各々は、側頭アーム26を備える。各側頭アーム26は、ディスプレイユニットハウジング22のそれぞれの後縁領域20に取り付けられた前方端28と、側頭アーム26を後部支持フープ16に接続するための取り外し可能な結合部の一部を形成する後方端30と、を含む。
【0044】
各側頭アーム26は、リジダイザ32と、織物構成要素34と、後部支持フープ16に接続するために後方端30に配置されたタブ36と、を備える。一実施例においては、側頭アーム26の各々の一部分が、使用時に、上耳底点に近接する、すなわちユーザの耳の上にあるユーザの頭部の領域と接触している。一実施例においては、側頭アーム26が、使用時に、頭部のフランクフォート水平面に概ね沿うか平行に、かつユーザの頬骨の上方に延在するように配置される。
【0045】
一形態においては、リジダイザ32が、各側頭アーム26の織物構成要素34内に封入され得る。例えば、図2Dは、リジダイザ32を封入するように構成されたカバーの形態の織物構成要素34の一実施例を示す。この実施例においては、織物構成要素34が、使用時に患者の顔に接触するようになっている軟質の顔接触面35を提供できるリジダイザ32の片側に配置された顔接触側を含む。いくつかの代替形態においては、リジダイザ32が、織物構成要素34に縫い付けまたは他の方法で取り付けられ(例えば、オーバーモールドされ)得るか、この織物構成要素が、熱処理(例えば、熱処理)によって選択的に剛性化できる材料から作製され得る。例えば、図2Eは、使用時に患者の顔に接触するようになっている柔らかい顔接触面35を提供できるリジダイザ32の顔接触側に取り付けられた織物構成要素34の一例を示す。一実施例においては、織物構成要素34が、最大限の快適性を実現するためにユーザの頭部に対して緩衝するようリジダイザ32を優しく支持する織物材料または織物と発泡体の複合材(例えば、外側織物層および内側発泡体層を含む多層構造などの通気性材料)を備え得る。リジダイザ32により、ユーザが各側頭アーム26を装着していなくても、各側頭アーム26が使用時の形状および構成を保持することができる。使用前に側頭アーム26を使用中の状態に維持することにより、ユーザが位置決めおよび安定化構造14を装着している間の歪みを防止または制限し得、ユーザがディスプレイシステム10を速やかに装着または着用できるようにし得るというという利点がある。
【0046】
一実施例においては、リジダイザ32が、ハイトレル(熱可塑性ポリエステルエラストマー)などの剛性材料から作製できる。そのように、リジダイザ32(または側頭コネクタ18または側頭アーム26)は、その長さの少なくとも一部に沿って剛体である。各側頭アーム26のリジダイザ32の剛性、すなわち非伸張性が、使用中の側頭アーム26の伸長または変形の大きさを制限する。この構成は、側頭アーム26によって張力をより効果的、すなわち直接的に変換できるという利点がある。一実施例において、リジダイザ32は、後部支持フープ16および/または接続ストラップ42(例えば、弾性および/または繊維材料から形成される)よりも剛性が高くてもよい。その結果、対向する各側頭コネクタ18の側頭アーム26は、後部支持フープ16および/または接続ストラップ42よりも剛性が高いなど、位置決めおよび安定化構造14の他の部分よりも剛性が高くてもよい。側頭アーム26(または側頭コネクタ18)はその長さの少なくとも一部に沿って位置決めおよび安定化構造14の他の部分より剛性が高く、例えば、後部支持フープ16および/または接続ストラップ42より剛性が高くてもよい。例えば、リジダイザ32(または側頭コネクタ18または側頭アーム26)とは対照的に、後部支持フープ16および/または接続ストラップ42は、所望の長さに伸縮可能であり得る、すなわち、その長さの少なくとも一部に沿って弾性的に伸長可能であり得る。
【0047】
一実施例において、リジダイザ32は、ユーザの顔に沿って上下に垂直に曲げ変形に耐えるために構造的に剛性または剛性を有しても良いが、ユーザの顔に向かって、またはユーザの顔から離れて曲げ変形を可能にしてもよい(例えば、様々な顔の幅に合わせて調整する)。一実施例において、リジダイザ32は、ねじれあ時の変形に耐えるように構造的に剛性または剛性を有し得る。 一実施例において、リジダイザ32は、予め形成された形状を維持するために構造的に剛性または剛性を有し得る。
【0048】
一実施例においては、リジダイザ32が、レバーアーム、すなわち後部支持フープ16付近を枢動する手段を形成する。後部支持フープ16は、位置決めおよび安定化構造14にアンカーポイントを提供できるという利点がある。リジダイザ32は、前額支持コネクタ24がユーザの鼻を基準にディスプレイユニット12の位置を昇降できるように、後部支持フープ16のアンカーポイント付近で関節接合し得る。この構成は、ユーザの頭部上でディスプレイユニット12を安定させるためにクランプ圧力の大きさを最小化できるという利点がある。
【0049】
一実施例においては、側頭アーム26の厚さおよび/または幅が、その長さの少なくとも一部分に沿って変化し得、例えば、側頭アーム26は、接続を容易にし、負荷を分散させるために、その長さ沿いに、より広い部分およびより狭い部分を含み得る。
【0050】
図示された実施例においては、後部支持構造またはフープ16が、(図6Bの実施例に示す後部支持フープ316のリング状形状と同様の)リング状形状を有するフープの形状になっており、ユーザの頭頂部分など、ユーザの頭部の後部の形状にフィットまたは適合する3次元輪郭曲線を有するように構成されている。後部支持フープ16は、使用時にユーザの頭の頭頂骨に近接するようになっている頭頂部分または頭頂ストラップ部分38と、使用時にユーザの頭の後頭骨に近接するようになっている後頭部分または後頭ストラップ部分40と、を備える。一実施例においては、後頭部分40が、使用時に後頭骨の一部分に沿って、例えば、頸筋が付着する接合部に隣接するか、またはその付近の後頭骨の一部分に沿って配置されるのが好ましく、頭頂部分38が、使用時に前頭面の後方に配置されるのが好ましい。一実施例においては、後頭部分40が、頸筋が後頭骨に付着する接合部のすぐ上の後頭骨の一部分沿いに位置決めされるようになっている。この接合部は、外後頭隆起(EOP)とも称され得る。ただし、ユーザの頭部上における後頭部分40の正確な位置は、使用されているユーザの頭部のサイズおよび形状に応じて変わり得、例えば、後頭部分40は、頸筋が付着する後頭骨の部分に隣接するか、その真上または真下に位置し得る。一実施例においては、後頭部分40が、頸筋が付着する接合部付近の後頭骨の下または下に配置され得る。後部支持フープ16のこのフープ状配置(例えば、円形または卵形または部分的に円形/卵形またはC字形)により、ユーザの頭部の後部または後部隆起のあたりに位置決めおよび安定化構造14が係留され、これにより、ユーザの頭部の前部で重量(すなわち、ディスプレイユニット)を保持するための効果的な支持構造が提供される。後部支持フープ16は、弾性材料から形成され得、その弾性は、フープを伸ばし、後部支持フープ16を所定の位置にしっかりと保持する目的で使用され得る。
【0051】
後部支持フープ16は、対向する接続ストラップまたはタブ42をさらに備える。ストラップ42は、調節可能であり、後部支持フープ16とディスプレイユニット12のディスプレイユニットハウジング22との間の距離を変更するように動作する。ストラップ42の各々は、使用時に、それぞれの側頭アーム26のタブ36のアイレット44に通される。それぞれの側頭コネクタ18のタブ36を通る各ストラップ42の長さは、ストラップ42をそれぞれのアイレット44に通して多少引っ張ることによって調節され得る。ストラップ42は、タブ36のアイレット44を通過した後、例えば、快適性およびフィット性(例えば、締め付け)を実現するためのストラップの微調節または極微調節を可能にするフックアンドループ式締結手段を用いて自身に固定され得る。そのため、後部支持フープ16とディスプレイユニットハウジング22との間の距離は、様々な頭部サイズにフィットするように調節され得る。かかる調節可能ストラップ配置により、システムがユーザの頭部に装着されている間に調節することも可能であり、ユーザは、例えば、ストラップ42を引っ張って後方に締め付けることできる。
【0052】
一実施例においては、後部支持フープ16および/またはストラップ42の厚さおよび/または幅が、その長さの少なくとも一部分に沿って変わり得る。例えば、後部支持ループ16は、側頭アーム26への接続を容易にし、負荷を分散させるために、その長さ沿いに、より広い部分およびより薄い部分、例えばストラップ42に隣接する幅広の部分を含み得る。また、ストラップ42は、それぞれの側頭アーム26のアイレット44に通しやすいように、その自由端沿いでより薄くあり得る。
【0053】
一実施例においては、後部支持フープ16が、概して垂直方向に配向、すなわち、冠状面に概して平行な垂直面に配置されている。後部支持フープ16のこの配置は、後部支持フープ16をユーザの頭頂部分において適切に配向して、接続ストラップ42によって印加される横方向、すなわち水平の張力を支持し、使用時にユーザの頭部の前でディスプレイユニット12の重量を支える。
【0054】
後部支持フープ16および接続ストラップ42は、ユーザの頭部の形状に適合させるのを支援するために、弾性および/または織物材料から形成され得る。後部支持フープ16および接続ストラップ42は、例えば、伸長力を提供する。また、ユーザの頭部の後ろにあるかかる弾性材料により、位置決めおよび安定化構造14がユーザの頭部に留まっている間に、誰かと話すためにディスプレイユニット12を移動させてユーザの目から離すなど、ディスプレイユニット12を使用時に持ち上げてユーザの顔から離しやすくなり得る。例えば、支持フープ16は、ネオプレン材料や他の織物発泡体複合材(例えば、外側織物層および内側発泡体層を含む多層構造などの通気性材料)、またはスペーサ布であり得る。織物は、ディスプレイユニット12をユーザの頭部で安定させるための柔らかい支持構造を提供することができ、最大限の快適性を実現するために位置決めおよび安定化構造14がユーザの頭部に対して緩衝できるという利点がある。
【0055】
位置決めおよび安定化構造14の前額支持コネクタ24は、ユーザの頭部の矢状面に概ね沿うかまたは平行に延在するように配置された前額支持ストラップ48を含む。前額支持ストラップ48は、ディスプレイユニットハウジング22の上縁領域21と後部支持フープ16の頭頂部分38との間を接続するようになっている。一実施例においては、ストラップ48を、溶接するなど、頭頂部分38に調節不能に接続することができるとともに、ストラップ48を、調節機構50によってディスプレイユニットハウジング22に調節可能に接続することができる。
【0056】
前額支持ストラップ48は、前額支持コネクタ24の寸法管理ができるように調節可能である。図2Cに最も良好に示すとおり、前額支持ストラップ48の端部またはタブ部54は、使用時に、ディスプレイユニット12の上縁領域21にある前額支持孔52に通される。前額支持ストラップ48は、ディスプレイユニット12の孔52を通過した後に、例えば、快適性およびフィット性(例えば、締め付け)を実現するためのストラップの微調節または極微調節を可能にするフックおよびループ締結手段を用いて自身に固定され得る。一実施例においては、前額支持ストラップ48が、織物発泡体複合材(例えば、外側織物層および内側発泡体層を含む多層構造などの通気性材料)など、後部支持フープ16および/または接続ストラップ42と同様の材料を備え得る。
【0057】
前額支持コネクタ24は、ディスプレイユニット12の重量を支える。ディスプレイユニット12の上縁領域21と後部支持フープ16の頭頂部分38との間の前額支持ストラップ48の長さは、孔52を通してストラップ48を多少引っ張ることによって調節され得る。そのため、前額支持ストラップ48を、ユーザの顔に対してディスプレイユニット12を傾けるか持ち上げるように調節するなど、ユーザの鼻を基準にディスプレイユニット12の位置を昇降させるよう調節することができる。この調節により、ディスプレイユニットハウジング22をユーザの鼻から離し、顔、鼻、および/または頬に感じられる圧力を緩和することができる。前額支持コネクタ24は、ディスプレイユニット12を、ユーザの頭部上で下方または横方向に摺動しないよう適所に固定する。
【0058】
一実施例においては、前額支持ストラップ48の厚さおよび/または幅が、その長さの少なくとも一部分に沿って変わり得、例えば、前額支持ストラップ48は、接続を容易にし、負荷を分散させるために、その長さ沿いに、より広い部分およびより薄い部分を含み得る。
【0059】
一実施例においては、調節機構50が、使用時にユーザの前頭骨領域と接触しないように位置決めされる。
【0060】
代替実施例においては、位置決めおよび安定化構造14が、前額支持コネクタ24/前額支持ストラップ48を含まない。例えば、図4A図4Cの実施例を参照されたい。
【0061】
図3A図3Cは、本技術の第2の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムまたはアセンブリ110用の支持部を示す。図3A図3Cにおいて、同様の参照番号は図2A図2Cと同様の部品を示しており、ディスプレイユニット112、ユーザインターフェース構造113、位置決めおよび安定化構造114、後部支持フープ116、側頭コネクタ118、後縁領域120、ディスプレイユニットハウジング122、前額支持コネクタ124、側頭アーム126、頭頂部分138、後頭部分140、接続ストラップ142、前額支持ストラップ148、調節機構150、前額支持孔152、端部154など、100を加えることによって実施例間での区別が可能となる。図3Cを参照すると、前額支持コネクタ124は、前額支持リジダイザ156をさらに備え得る。前額支持リジダイザ156は、ユーザの鼻および頬の上のディスプレイユニット112をさらに安定化および支持すること、すなわち、ユーザの鼻および頬への圧力を緩和することができる。前額支持リジダイザ156は、上縁領域121に接続して、位置決めおよび安定化構造114の寸法調節用に前額支持ストラップ148の端部またはタブ部154を受容するための前額支持孔152の少なくとも一部を形成することができる。図示のとおり、前額支持ストラップ148は、快適性確保および負荷分散のために前額支持リジダイザ156の下に配置される。
【0062】
いくつかの形態においては、調節機構150が、バイザーを使用時位置から収納位置、すなわち非使用時位置へと容易に持ち上げるための角度調節機構(非図示)をさらに備え得る。
【0063】
一実施例においては、システムが、1つ以上の構成要素をディスプレイユニットから位置決めおよび安定化構造へと再分配するように、例えば、重量をディスプレイユニットから位置決めおよび安定化構造へと再分配するような構成および配置され得る。例えば、前額支持リジダイザ156および/または前額支持ストラップ148を使用して、バッテリやハードドライブ記憶装置など、1つ以上の非場所的な必須の電気構成要素を少なくとも部分的に支持し、重量をユーザの頭部の前部から中央寄りの位置へとずらすこと、すなわち、ディスプレイユニットの重量を相殺することができる。代替例では、ディスプレイユニットからの1つまたは複数の構成要素が、重量を再分配するために、後部支持フープ116および/または側頭コネクタ118によって少なくとも部分的に支持され得る。
【0064】
図4A図4Cは、本技術の第3の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムまたはアセンブリ210用の支持部を示す。図4A図4Cにおいて、同様の参照番号は図2A図2Cと同様の部品を示しており、ディスプレイユニット212、ユーザインターフェース構造213、位置決めおよび安定化構造214、後部支持フープ216、側頭コネクタ218、後縁領域220、ディスプレイユニットハウジング222、側頭アーム226、頭頂部分238、後頭部分240、接続ストラップ242など、200を加えることによって実施例間での区別が可能となる。第3の実施例においては、ヘッドマウントディスプレイアセンブリ210用の支持部が、前額支持部を備えていない。すなわち、ディスプレイユニット212が、位置決めおよび安定化構造214により、前額支持コネクタも前額支持ストラップもなしで支持される。
【0065】
図5は、本技術の第4の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムまたはアセンブリ310用の支持部を示す。図5において、同様の参照番号は図2A図2Cと同様の部分を示しており、ディスプレイユニット312、ユーザインターフェース構造313、位置決めおよび安定化構造314、後部支持フープ316、側頭コネクタ318、ディスプレイユニットハウジング322、前額支持コネクタ324、側頭アーム326、リジダイザ332、頭頂部分338、後頭部分340、前額支持ストラップ348など、300を加えることによって実施例間での区別が可能となる。第4の実施例においては、ヘッドマウントディスプレイシステム310用の支持部が、対向側頭コネクタ318を備え、その各々が、伸長リジダイザ358を有する側頭アーム326を有する。各伸長リジダイザ358は、使用時にディスプレイユニット312の支持を強化するために、それぞれの側頭アーム326から後部支持フープ316まで伸長し得る。各伸長リジダイザ358は、後部支持フープ316の一部分に沿って延在し得、頭頂部分338および後頭部分340の一方または両方の内部にまで延在し得る。例えば、各伸長リジダイザ358は、頭頂部分338および後頭部分340の両方の内部にまで延在する、図5に示すようなY字形状を備え得る。代替として、各伸長リジダイザ358は、頭頂部分338および後頭部分340のうちの一方の内部までのみ延在し得、例えば、下記の図6Aに示すように後頭部分340沿いにのみ延在し得る。図5の実施例においては、リジダイザ358の伸長アームの頭頂部分および後頭部分が、後部支持フープ316のそれぞれの部分を支持するために、ユーザの頭部の頭頂骨および後頭骨に対して近位に位置決めされた後部支持フープ316の頭頂部分338および後頭部分340に沿って設けられている。
【0066】
伸長リジダイザ358は、側頭コネクタ318の長さを増やして、後部支持フープ316付近に生成されるレバーアームモーメントを増やす。第1の実施例と第2の実施例と比較すると、使用時に、大きい方のレバーアームが、慣性モーメントをユーザの頭部のさらに後方へと延ばす。こうして、ディスプレイユニット312を支持するために前額支持コネクタ324に印加される張力を低減することにより、ユーザに提供する快適性を高めることができる。
【0067】
加えて、リジダイザ358の伸長したアームが、ディスプレイユニット312の重量と、位置決めおよび安定化構造314において誘発された張力によって印加される締結力と、を受けて、ユーザの頭部でさらに均一に圧力が分散し得る。
【0068】
リジダイザ358の伸長したアームは、前額支持コネクタ324に張力を印加するときに、位置決めおよび安定化構造314の後部支持フープ316がユーザの頭部で垂直上方に移動するのを防ぐのに役立つ。リジダイザ358の伸長したアームは、ユーザの頭部の対応後頭骨に沿って(例えば、頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する後頭骨の一部分に沿って)、後部支持フープ316の後頭部分340をより効果的に固定することができる。
【0069】
図6A図6Cは、図5の第4の実施例の変形例を示す。この実施例においては、側頭アーム326の各々が、付勢された伸長リジダイザ360を備える。各々の付勢された伸長リジダイザ360は、使用時に、それぞれの側頭アーム326から後部支持フープ316の後頭部分340まで、すなわち、概してJ字形態となるように伸長して、ディスプレイユニット312の支持を強化し得る。
【0070】
付勢された伸長リジダイザ360は、位置決めおよび安定化構造314をしっかりと係留するために、後頭骨の一部分に沿って、例えば、頸筋が後頭骨に付着する接合部に隣接する後頭骨の一部分に沿って伸長し、ユーザの鼻および頬の上方でディスプレイユニット312を支持するようになっている。
【0071】
図6Aおよび図6Bに最も良好に示すとおり、後頭および側頭調節機構362、364が、側頭アーム326および付勢された伸長リジダイザ360に設けられ得る。中間調節機構362は、付勢された伸長リジダイザ360の対向アーム間の後頭部分の中間領域付近に取り付けることができる。一実施例においては、中間調節機構362が、付勢された伸長リジダイザ360の対向アームのそれぞれの後方端368の対向孔363に通されるストラップの形態であり得る(図6Bを参照)。リジダイザ360の対向アーム間の距離は、孔363を通してストラップ362を多少引っ張ることによって制御することができる。
【0072】
側頭調節機構364は、ユーザの頭部の側頭領域に沿って側頭アーム326上に配置することができる。側頭調節機構364は調節可能であり、付勢された伸長リジダイザ360とディスプレイユニットハウジング322との間の距離を変えるように動作可能である。
【0073】
上記のヘッドマウントディスプレイシステムは、快適性、フィット範囲、使いやすさ、システムアーキテクチャ、医療環境での使用性、および製造可能性を高めるような構成および配置された本技術の代替例となる。
【0074】
本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、長時間の使用による顔に紋痕や痛みを最小限に抑えて快適性を高める。例えば、快適性は、不快になりやすい領域への負荷を回避または最小化し、その負荷を快適に取り除ける領域に再分散させること、例えば、鼻梁および鼻の側面への負荷を回避または最小化し、その負荷を頭部の上部および/または後部へと印加または再分散させることにより、負荷がすべての接触面上で最適化される広域負荷分散を提供することによって達成され得る。快適性は、接触が不可避である顔の領域における設計および材料選択によって負荷が均等に分散する局所的負荷分散を提供することによっても達成され得、例えば、眼の周辺の接触点は、負荷を均等に分散させ、痛点/顔の紋痕を回避する適合材料を備え得る。加えて、システム全体の重量が少ない方が、システムを正しい構成で位置付け、維持するための張力が小さいことから、快適性は、重量を最小限に抑えることによっても達成され得る。この点に関して、本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、フィット範囲、快適性、および正しい構成を達成するための最低限の設計(例えば、ロープロファイル)、例えば、堅牢かつ軽量の材料の機能および使用を達成するために構成要素のサイズおよび数を最小化するように最適化された構成要素を提供する。
【0075】
本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、快適性、使いやすさ、およびコストを犠牲にすることなく、フィット範囲または全体的なフィット性を高める。フィット範囲は、例えば、幾何学的形状および材料の選択ならびに調節機構で以て調節可能性を提供することによって達成され得る。位置決めおよび安定化構造の構成要素は、所望の力対変位を提供するように設計され得るとともに、そのように材料が選択され得、例えば、ストラップは、所定の力の下で所望の長さに伸長し得る。位置決めおよび安定化構造および関連するストラップのサイズを手動で調節および設定することができ、構成要素についても、ストラップの片手調節や、磁気クリップの代替使用による接続など、使いやすさを最大限に高めながらサイズを最小化できるなど、調節機構は単純性を提供する。また、調節機構は、最適な材料および最小限の構成要素で以て、調節機構の嵩を低減する最小限のサイズおよび重量を提供する。さらに、所望される市場の最適な人体計測範囲に調節範囲がフィットするように設計され得る人体計測により、フィット範囲の拡大が達成され得る。
【0076】
本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、手間のかからないシンプルなセットアップソリューションと器用性しきい値の低いソリューションとを用いて使い勝手を高める。例えば、手間のかからないセットアップは、伸縮性材料を含む自己調節ソリューション、または何度か微調整するだけで正確なフィット感が得られ得る単純な機械的作動で以て達成され得る。また、このシステムは、例えば、調節を誘導するための機構(例えば、磁石)および調節を設定するための係止機構(例えば、クリップ)など、使い勝手を高める(すなわち、set and forget(設定後は操作不要))ための調節および係止ソリューションを含み得る。さらに、このシステムは、不器用なユーザおよび/または最低限の視力しかないユーザが着用したときに調節できるように、使いやすさを提供する。
【0077】
本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、快適性、フィット範囲、および使い勝手を最大限に高めつつコストを最小限に抑えられるよう、構成要素の位置を最適化する強化されたシステムアーキテクチャを提供する。例えば、このシステムは、電気的および/または機械的構成要素が快適性の観点から理想的な箇所に位置付けられる優れた重量配分を提供し得る。このシステムはまた、電気構成要素、顔接触クッション、ストラップ、および/またはイヤホンを嗜好に基づいて選択できるなど、ユーザの嗜好に基づいて構成要素を選択またはアップグレードできるように、モジュール性も備え得る。
【0078】
本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、医療環境における使用性を高める。例えば、このシステムは、医療環境における再利用のために洗浄可能であり、かつ/または生体適合性要件に合格した選択材料に対して生体適合性を有し得、かつ/またはそれらの選択材料で洗浄可能であり得る。
【0079】
本技術の実施例に係るヘッドマウントディスプレイシステムは、高品質および機能性を維持しながら、低コストで大量生産可能なソリューションを提供することによって、製造可能性を高める。
【0080】
下記の特許請求の範囲および本技術の実施例に関する上記の説明においては、文脈が表現言語または必要な含意を理由に別様に要求する場合を除き、「備える(comprise)」という語または「備えている(comprising)」などの変形は、包括的な意味で、すなわち、述べられた特徴の存在を指定する目的で使用されるが、本技術の種々の実施例におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0081】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素または実施例を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0082】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0083】
ヘッドマウントディスプレイシステム 10
ディスプレイユニット 12
ユーザインターフェース構造 13
位置決めおよび安定化構造 14
後部支持フープ 16
側頭コネクタ 18
後縁領域 20
上縁領域 21
ディスプレイユニットハウジング 22
前額支持コネクタ 24
側頭アーム 26
前方端 28
後方端 30
リジダイザ 32
織物構成要素 34
顔接触面 35
タブ 36
頭頂部位 38
後頭部位 40
接続ストラップ 42
アイレット 44

調節機構 50
前額支持穴 52
タブ部 54
ヘッドマウントディスプレイシステム 110
ディスプレイユニット 112
ユーザインターフェース構造 113
位置決めおよび安定化構造 114
後部支持フープ 116
側頭コネクタ 118
後縁領域 120
上縁領域 121
ディスプレイユニットハウジング 122
前額支持コネクタ 124
側頭アーム 126
頭頂部位 138
後頭部位 140
接続ストラップ 142
前額支持ストラップ 148
調節機構 150
前額支持穴 152
タブ部 154
前額支持リジダイザ 156
ヘッドマウントディスプレイシステム 210
ディスプレイユニット 212
ユーザインターフェース構造 213
位置決めおよび安定化構造 214
後部支持フープ 216
側頭コネクタ 218
後縁領域 220
ディスプレイユニットハウジング 222
側頭アーム 226
頭頂部位 238
後頭部位 240
接続ストラップ 242
ヘッドマウントディスプレイシステム 310
ディスプレイユニット 312
ユーザインターフェース構造 313
位置決めおよび安定化構造 314
後部支持フープ 316
側頭コネクタ 318
側頭コネクタ 318
ディスプレイユニットハウジング 322
前額支持コネクタ 324
側頭アーム 326
リジダイザ 332
頭頂部位 338
後頭部位 340
前額支持ストラップ 348
伸長リジダイザ 358
付勢された伸長リジダイザ 360
中間調節機構 362
穴 363
側頭調節機構 364
後方端 368
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C