IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパスメディカルシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図1
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図2
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図3
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図4
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図5
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図6
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図7
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図8
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図9
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図10
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図11
  • 特許-医療機器用リプロセッサ、ボトル 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】医療機器用リプロセッサ、ボトル
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B1/12 510
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022576919
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002315
(87)【国際公開番号】W WO2022157947
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 祥子
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/216023(WO,A1)
【文献】特開2009-136449(JP,A)
【文献】特開2010-057793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体が検知範囲の中にあることを検知するセンサ
前記液体が入ったボトルが配置されるトレーと、
を備え、
底面と、上面と、前記底面から前記上面へ向かう第1方向に延びる第1側面と、前記上面から前記第1方向の逆方向に延び前記第1側面に交差する第2方向において前記第1側面から間隔をあけて配置された第2側面と、前記第1側面の前記上面の側と前記第2側面の前記底面の側とを接続する接続面と、を備える前記ボトルが、前記トレーに配置された状態において、
前記センサは、前記第1側面と前記第2側面との一方と他方の内の、前記一方および前記接続面が前記検知範囲の中になり、かつ前記他方が前記検知範囲の外になる位置に配置される、
ことを特徴とする医療機器用リプロセッサ。
【請求項2】
前記他方は、前記第1側面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項3】
前記他方は、前記検知範囲の外の、前記センサの前記第2方向に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項4】
前記接続面は、前記検知範囲の中の、前記センサの前記第1方向に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項5】
リプロセッサ本体をさらに備え、
前記トレーは、前記リプロセッサ本体に対して開閉可能であり、
前記センサは、前記トレーを閉じた状態において、前記第2側面が前記検知範囲の中になるように、前記リプロセッサ本体に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項6】
前記センサの検知結果が入力されるプロセッサをさらに備え、
前記ボトルは、未使用状態において、医療機器の複数工程分の再生処理に使われる量の前記液体が入っており、
nを0以上の整数とすると、前記ボトルが前記トレーに配置された状態において、前記液体が前記接続面に接触する状態から接触しない状態に移行した時点で、n以上かつ(n+1)未満の再生処理工程が可能な量の前記液体が前記ボトル内に残っている高さ位置に、前記接続面が設けられ、
前記プロセッサは、前記検知結果が、前記液体が検知される状態から検知されない状態に移行したときに、前記医療機器の再生処理可能工程数が残りn工程であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項7】
ユーザに告知するための告知デバイスをさらに備え、
前記プロセッサは、前記医療機器の再生処理可能工程数が残りn工程であると判定したときに、再生処理可能工程数が残りn工程であることを告知させるように前記告知デバイスを制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項8】
前記医療機器を収容し、前記液体により前記医療機器を再生処理する洗浄槽をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項9】
前記医療機器は、内視鏡である、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項10】
前記ボトルをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機器用リプロセッサ。
【請求項11】
底面と、上面と、前記底面から前記上面へ向かう第1方向に延びる第1側面と、
前記上面から前記第1方向の逆方向に延び前記第1側面に交差する第2方向において前記第1側面から間隔をあけて配置された第2側面と、
前記第1側面の前記上面の側と前記第2側面の前記底面の側とを接続する接続面と、を備え、
検知範囲の中にある液体を検知するセンサを備える医療機器用リプロセッサにセットされたセット状態において、
前記第1側面と前記第2側面との一方と他方の内の、前記一方および前記接続面が前記検知範囲の中になり、かつ前記他方が前記検知範囲の外になる位置に配置される、
ことを特徴とするボトル。
【請求項12】
前記他方は、前記第1側面である、
ことを特徴とする請求項11に記載のボトル。
【請求項13】
前記他方は、前記セット状態において、前記検知範囲の外の、前記センサの前記第2方向に配置される、
ことを特徴とする請求項11に記載のボトル。
【請求項14】
前記接続面は、前記セット状態において、前記検知範囲の中の、前記センサの前記第1方向に配置される、
ことを特徴とする請求項11に記載のボトル。
【請求項15】
医療機器を再生処理するための液体が入っており、前記液体が検知範囲の中にあることを検知するセンサを備える医療機器用リプロセッサにセットされるボトルであって、
第1内壁面と、
前記第1内壁面に接続される段差内壁面と、
を備え、
前記ボトルが前記医療機器用リプロセッサにセットされた状態において、
前記第1内壁面は、重力方向に沿って配置され、前記検知範囲の外にあり、
前記段差内壁面は、前記重力方向と交差する角度で前記第1内壁面の上側に接続され、前記検知範囲の中にある、
ことを特徴とするボトル。
【請求項16】
前記ボトルが前記医療機器用リプロセッサにセットされた状態において、前記第1内壁面とは異なる水平方向位置で、前記重力方向に沿って配置された第2内壁面をさらに備え、
前記段差内壁面は、下側に配置された前記第1内壁面と上側に配置された前記第2内壁面とを接続する面である、
ことを特徴とする請求項15に記載のボトル。
【請求項17】
前記ボトルが前記医療機器用リプロセッサにセットされた状態において、
前記重力方向に沿って配置された、前記検知範囲の外にある第2内壁面と、
下側の前記第1内壁面と上側の前記第2内壁面との間に設けられ、前記第1内壁面および前記第2内壁面から突出する凸形状壁と、
をさらに備え、
前記段差内壁面は、前記凸形状壁の下側の内壁面である、
ことを特徴とする請求項15に記載のボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用リプロセッサ、および医療機器用リプロセッサにセットされるボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル内の液体の残量を検知する技術は、従来より提案されている。
【0003】
例えば、日本国特開2016-020224号公報には、ハンドソープ等の洗浄剤や消毒液等の内容液を、エアーポンプから供給されるエアーによって吐出する電動ディスペンサが記載されている。この電動ディスペンサは、ディスペンサ本体にセンサ部を備える。センサ部は、例えば光電センサ等の非接触式のセンサを備える。センサ部は、容器本体に収容された内容液の残量を、内容液の液位または重量により検出する。
【0004】
医療機器用リプロセッサは、例えば内視鏡などの医療機器を再生処理するための装置である。医療機器用リプロセッサには、医療機器を再生処理(例えば、洗浄/消毒)するための液体を入れたボトルがセットされる。医療機器用リプロセッサには、医療機器の再生処理を1工程行う毎にボトル内の液体が1工程分ずつ減っていく第1のタイプと、ボトルがセットされるとボトル内の全液体を医療機器用リプロセッサ内に取り込み、複数工程の医療機器の再生処理に用いる第2のタイプとがある。医療機器用リプロセッサが第1のタイプである場合、ボトル内の液体の残量を検知するためにセンサが設けられる。
【0005】
センサは、交換されるボトルに設けるよりも、医療機器用リプロセッサ側に設ける方が、ランニングコストの点で好ましい。医療機器用リプロセッサ側に設けるセンサとして、ボトル内の液体とは非接触のセンサ、例えば、ボトルに近接した位置から、ボトル内の液面の高さを非接触に検知する静電容量式センサが一般的に使用される。
【0006】
しかし、センサが医療機器用リプロセッサに設けられていると、医療機器用リプロセッサに対するセンサの取り付け位置の差、医療機器用リプロセッサにボトルを収納するときの収納位置の差、センサ個体毎の感度差、ボトルに入っている液体の種類に応じたセンサの感度差、などにより、検知される液面の高さがばらつく。すると、医療機器の再生処理をあと何工程行えるかを正確に把握できず、例えば1工程分の液体がボトル内にあるにも係わらず、残液として廃棄され無駄になる場合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、液体が入ったボトルと、液体があることを検知するセンサとの相対位置にばらつきがあっても、ボトル内の液体の残量をより正確に検知できる医療機器用リプロセッサ、および医療機器用リプロセッサにセットされるボトルを提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による医療機器用リプロセッサは、体が検知範囲の中にあることを検知するセンサと、前記液体が入ったボトルが配置されるトレーと、を備え、底面と、上面と、前記底面から前記上面へ向かう第1方向に延びる第1側面と、前記上面から前記第1方向の逆方向に延び前記第1側面に交差する第2方向において前記第1側面から間隔をあけて配置された第2側面と、前記第1側面の前記上面の側と前記第2側面の前記底面の側とを接続する接続面と、を備える前記ボトルが、前記トレーに配置された状態において、前記センサは、前記第1側面と前記第2側面との一方と他方の内の、前記一方および前記接続面が前記検知範囲の中になり、かつ前記他方が前記検知範囲の外になる位置に配置される。
【0009】
本発明の一態様によるボトルは、底面と、上面と、前記底面から前記上面へ向かう第1方向に延びる第1側面と、前記上面から前記第1方向の逆方向に延び前記第1側面に交差する第2方向において前記第1側面から間隔をあけて配置された第2側面と、前記第1側面の前記上面の側と前記第2側面の前記底面の側とを接続する接続面と、を備え、検知範囲の中にある液体を検知するセンサを備える医療機器用リプロセッサにセットされたセット状態において、前記第1側面と前記第2側面との一方と他方の内の、前記一方および前記接続面が前記検知範囲の中になり、かつ前記他方が前記検知範囲の外になる位置に配置される。
【0010】
本発明の一態様によるボトルは、医療機器を再生処理するための液体が入っており、前記液体が検知範囲の中にあることを検知するセンサを備える医療機器用リプロセッサにセットされるボトルであって、第1内壁面と、前記第1内壁面に接続される段差内壁面と、を備え、前記ボトルが前記医療機器用リプロセッサにセットされた状態において、前記第1内壁面は、重力方向に沿って配置され、前記検知範囲の外にあり、前記段差内壁面は、前記重力方向と交差する角度で前記第1内壁面の上側に接続され、前記検知範囲の中にある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡リプロセッサおよび内視鏡の外観の一例を示す斜視図。
図2】上記第1の実施形態の内視鏡リプロセッサの内部構成の一例を示す図。
図3】上記第1の実施形態において、外装を外した状態のリプロセッサ本体の内部構成の一部を背面側から示す斜視図。
図4】上記図3における、ボトルとセンサの配置部分を拡大して示す図。
図5】上記第1の実施形態において、トレーを引き出した状態において、センサがボトルと離れている様子を示す図。
図6】上記第1の実施形態において、トレーを閉じた状態において、センサがボトルと近接している様子を示す図。
図7】上記第1の実施形態において、ボトルの段差内壁面がセンサの検知範囲の中にあり、薬液の液面が段差内壁面よりも高い位置にあるときの様子を示す図。
図8】上記第1の実施形態において、ボトルとセンサの重力方向の位置がずれていても、ボトルの段差内壁面がセンサの検知範囲の中にあり第1内壁面が検知範囲の外にあれば、薬液の液面が段差内壁面の高さまで下がったところでセンサがオンからオフになる様子を説明するための図。
図9】上記第1の実施形態におけるボトルを背面側から示す斜視図。
図10】上記第1の実施形態において、センサの検知結果に基づき、プロセッサが告知デバイスを制御して告知する作用を示すフローチャート。
図11】本発明の第2の実施形態において、段差内壁面を、ボトルの所定高さ位置に設けた凸形状壁の下側の内壁面とした構成例を、他の異なる構成例と対比して示す図表。
図12】上記第2の実施形態の変形例におけるセンサの配置を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
なお、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜、同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、1つの図面内における、各要素の長さの関係、各要素の長さの比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、複数の図面の相互間においても、互いの長さの関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
[第1の実施形態]
【0014】
図1から図10は本発明の第1の実施形態を示したものであり、図1は内視鏡リプロセッサ1および内視鏡200の外観の一例を示す斜視図、図2は内視鏡リプロセッサ1の内部構成の一例を示す図である。
【0015】
本実施形態では、医療機器が内視鏡200であり、医療機器用リプロセッサが内視鏡リプロセッサ1である例を説明する。ただし、医療機器は、内視鏡200に限定されず、処置具、医療器具、医療器具の部品などであっても構わない。従って、医療機器用リプロセッサは、内視鏡リプロセッサ1に限定されない。
【0016】
内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡200または内視鏡付属品を再生処理する装置である。ここで、再生処理は、水によるすすぎ、有機物等の汚れを落とす洗浄、所定の微生物を無効化する消毒、全ての微生物を排除または死滅させる滅菌、またはこれらの2つ以上の任意の組み合わせの何れであってもよく、特定の処理に限定されない。
【0017】
図1に示すように、内視鏡リプロセッサ1は、リプロセッサ本体2とトップカバー3とを備えている。トップカバー3は、例えば図示しない蝶番を用いてリプロセッサ本体2の上部に接続され、リプロセッサ本体2に対して開閉自在となっている。
【0018】
トップカバー3がリプロセッサ本体2に閉じている状態において、リプロセッサ本体2とトップカバー3とは例えばラッチ8により固定される。ラッチ8は、リプロセッサ本体2およびトップカバー3の互いに対向する位置に配設される。
【0019】
図1中のリプロセッサ本体2の前面かつ左半部の上部に、洗剤/アルコールトレー11が配設されている。リプロセッサ本体2の前面は、内視鏡リプロセッサ1の操作者が近接する面である。リプロセッサ本体2の前面の反対側を、以下では背面と呼ぶ。洗剤/アルコールトレー11は、リプロセッサ本体2の前方(前面の方向)へ引き出し自在である。
【0020】
洗剤/アルコールトレー11には、洗剤タンク11aと、アルコールタンク11bとが収納されている。洗剤タンク11aは、内視鏡200を洗浄する際に用いられる洗浄剤が貯留されている。洗浄剤は、濃縮洗剤であり、水により所定の濃度に希釈される。濃縮洗剤を希釈する水は、例えば、後述する給水フィルタ17により濾過処理がされた水道水である。アルコールタンク11bは、洗浄/消毒後の内視鏡200を乾燥する際に用いられるアルコールが貯留されている。洗剤/アルコールトレー11をリプロセッサ本体2の前方へ引き出せば、洗剤タンク11aに洗浄剤を補充でき、アルコールタンク11bにアルコールを補充できる。
【0021】
洗剤/アルコールトレー11には、2つの窓部11mが設けられている。操作者は、一方の窓部11mから洗剤タンク11a内の洗浄剤の残量を確認でき、他方の窓部11mからアルコールタンク11b内のアルコールの残量を確認できる。
【0022】
図1中のリプロセッサ本体2の前面かつ右半部の上部に、ボトル100を収容するトレー12が設けられている。トレー12は、リプロセッサ本体2に対して開閉可能である。トレー12をリプロセッサ本体2の前方へ引き出せば、ボトル100をトレー12に収容し、またはトレー12から取り出すことができる。ボトル100を収容したトレー12を閉じることで、内視鏡リプロセッサ1にボトル100がセットされる。
【0023】
ボトル100には、内視鏡200を消毒するための液体である薬液103(図7図8等参照)が入っている。未使用状態のボトル100には、内視鏡200の複数工程分の再生処理(消毒)に使われる量の薬液103が入っている。なお、以下では、ボトル100に入っている液体が、内視鏡200を消毒するための液体(薬液103)である例を説明するが、この例に限定されない。ボトル100に入っている液体は、内視鏡200等を再生処理するための液体であればよく、内視鏡200等を洗浄するための液体、内視鏡200等の乾燥を補助するための液体などでも構わない。
【0024】
ボトル100は、内部の薬液103を取り出すためのノズル100nを備えている。本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡200の再生処理を1工程行う毎に、ボトル100内の薬液103が1工程分ずつ減っていくタイプである。
【0025】
ボトル100は、例えば、第1の薬液が入った第1のボトル101と、第2の薬液が入った第2のボトル102と、を含む。なお、ボトル100は、1つのボトル、または3つ以上のボトルから構成されていても構わない。
【0026】
リプロセッサ本体2の前面のトレー12の上部に、サブ操作パネル13が配設されている。サブ操作パネル13には、表示デバイス、および指示釦等が配設されている。表示デバイスは、表示パネル等を備え、例えば洗浄/消毒時間を表示する。指示釦は、例えば、薬液103を加温する操作ボタンを含む。表示デバイスは、ユーザへの告知に用いることもでき、サブ操作パネル13は告知デバイスを兼ねる。
【0027】
リプロセッサ本体2の上面かつ前面側のトップカバー3が覆わない部分、例えば角部に、メイン操作パネル25が設けられている。メイン操作パネル25は、リプロセッサ本体2の洗浄/消毒に関する設定スイッチ類が配設されている。設定スイッチの例は、洗浄/消毒動作を開始するためのスタートスイッチ、洗浄/消毒のモードを選択するための選択スイッチ等である。メイン操作パネル25は、表示パネル等の表示デバイスを備えていてもよく、ユーザに告知するための告知デバイスを兼ねることができる。
【0028】
リプロセッサ本体2の下部に、ペダルスイッチ14が配設されている。操作者がペダルスイッチ14を踏み込むと、閉じられているトップカバー3を、リプロセッサ本体2の上方へ開くことができる。
【0029】
リプロセッサ本体2の上面かつ背面側のトップカバー3が覆わない部分、例えば角部に、給水ホース接続口31が配設されている。給水ホース接続口31には、給水ホース31aの一端が接続される。給水ホース31aの他端は、水道蛇口5(図2参照)に接続される。水道蛇口5から出る水道水が、給水ホース31aおよび給水ホース接続口31を経由して、リプロセッサ本体2に供給される。なお、給水ホース接続口31に、水道水中の比較的大きい異物を除去するメッシュフィルタが配設されていてもよい。
【0030】
図2に示すように、給水ホース接続口31は、給水管路9の一端と連通している。給水管路9の他端は、三方電磁弁10に接続されている。給水管路9の中途には、給水ホース接続口31側から順に、給水電磁弁15と、逆止弁16と、給水フィルタ17とが設けられている。
【0031】
給水電磁弁15は、電気制御により開閉し、水道水の通過/遮断を制御する。逆止弁16は、給水管路9内の水道水が給水電磁弁15から給水フィルタ17の方向へ流れるのを許容し、その逆方向へ流れるのを阻止する逆流防止弁である。給水フィルタ17は、水道水中の異物、雑菌等を除去して、水道水を濾過するフィルタである。給水フィルタ17は、例えば、定期的に交換できるカートリッジタイプの濾過フィルタである。
【0032】
三方電磁弁10は、内部に弁を備え、流液管路18の一端と接続されている。三方電磁弁10は、内部の弁を動作させることにより、給水循環ノズル24の連通先を、給水管路9と流液管路18との何れかに切り替える。具体的に、三方電磁弁10の内部の弁を一方に切り替えることで、給水循環ノズル24が、給水管路9と連通され、かつ流液管路18から遮断される。また、三方電磁弁10の内部の弁を他方に切り替えることで、給水循環ノズル24が、流液管路18と連通され、かつ給水管路9から遮断される。
【0033】
また、流液管路18の他端側には、流液ポンプ19が設けられている。流液ポンプ19は、液体のみを移送できる、液体の移送能力に優れた非自吸式のポンプである。
【0034】
リプロセッサ本体2は、トップカバー3を開いたときにアクセス可能な上部に、洗浄槽4を備えている。洗浄槽4は、内視鏡200を収容し、洗浄剤および薬液103などにより内視鏡200を洗浄および消毒する。
【0035】
洗浄槽4には、循環口56が配設されている。循環口56は、循環管路20の一端に接続されている。循環管路20の他端は、2つに分岐している。循環管路20の他端の2つの分岐の一方は、流液管路18の他端と連通する。循環管路20の他端の2つの分岐の他方は、チャンネル管路21の一端と連通する。
【0036】
チャンネル管路21は、管路の中途において、一端側から順に、チャンネルポンプ26、チャンネルブロック27、およびチャンネル電磁弁28が設けられている。チャンネルポンプ26は、自吸式のポンプにより構成され、液体と気体との何れも、非自吸式ポンプよりも高圧で移送できる。
【0037】
チャンネル管路21は、チャンネルブロック27とチャンネル電磁弁28の間において、ケース用管路30の一端に接続される。ケース用管路30の他端は、洗浄ケース6と接続される。ケース用管路30の中途には、リリーフ弁36が設けられている。
【0038】
チャンネル管路21の他端は、送気送水/鉗子口用ポート33と連通する。送気送水/鉗子口用ポート33には、内視鏡200の送気/送水チャンネル202および鉗子チャンネル201(図1参照)などがチューブを用いて接続される。また、図示しないが、チャンネル管路21の他端は、図示しない鉗子起上用ポートにも連通する。
【0039】
洗浄槽4内の送気送水/鉗子口用ポート33よりも高い位置に、漏水検知コネクタ32が設けられている。漏水検知コネクタ32は、漏水検知管路を経由して図示しない漏水検知ポンプに接続される。
【0040】
洗剤ノズル22は、洗浄剤管路39の一端と接続されている。洗浄剤管路39の他端は、洗剤タンク11aに接続されている。洗浄剤管路39の中途には、洗剤用ポンプ40が設けられている。洗剤用ポンプ40は、高圧の自吸式のポンプにより構成され、洗剤タンク11aから洗浄槽4へ洗浄剤を汲み上げる。
【0041】
アルコールタンク11bは、アルコール管路41の一端と接続されている。アルコール管路41の他端は、チャンネルブロック27に接続されている。チャンネルブロック27は、アルコール管路41をチャンネル管路21に連通する。
【0042】
アルコール管路41の中途には、アルコール供給ポンプ42と電磁弁43とが設けられている。アルコール供給ポンプ42は、高圧の自吸式のポンプにより構成され、アルコールタンク11bから洗浄槽4へアルコールを汲み上げる。
【0043】
チャンネルブロック27には、エア管路44の一端がさらに接続されている。チャンネルブロック27は、エア管路44をチャンネル管路21に連通する。エア管路44の他端は、エアポンプ45に接続されている。エアポンプ45は、気体を移送できる自吸式ポンプにより構成され、エア管路44へ空気を供給する。エア管路44の中途には、逆止弁47と、エアフィルタ46とが設けられている。エアフィルタ46は、定期的に交換される。
【0044】
洗浄槽4の底部には、排水口55が設けられている。排水口55には、切替弁57が配設されている。切替弁57は、排水管路59の一端、および薬液回収管路61の一端と接続されている。薬液回収管路61の他端は、薬液タンク58に接続される。
【0045】
排水管路59の中途には、排水ポンプ60が設けられている。排水ポンプ60は、非自吸式のポンプにより構成される。排水管路59の他端は、不図示の排水ホースを経由して外部排水口へ接続される。
【0046】
切替弁57を開閉して、排水口55と排水管路59が連通し、かつ排水口55と薬液回収管路61が遮断されるように切り替える。これにより、洗浄槽4内の洗浄液/消毒液等を、外部排水口から排出できる。
【0047】
切替弁57を開閉して、排水口55と薬液回収管路61が連通し、かつ排水口55と排水管路59が遮断されるように切り替える。これにより、洗浄槽4内の薬液103を、薬液タンク58に回収できる。
【0048】
薬液タンク58は、薬液チューブ62の一端にも接続されている。薬液チューブ62の他端は、トレー12に収容されたボトル100のノズル100nに接続されている。ボトル100内には、ノズル100nと接続され、薬液103を吸引するための吸上げチューブ100tが設けられている。また、ボトル100には、薬液103が吸引される際の空気穴が設けられていてもよい。薬液チューブ62の中途には、吸引ポンプ66が設けられている。吸引ポンプ66を動作することで、薬液103がボトル100から薬液タンク58へ供給される。このとき第1のボトル101に入った第1の薬液と、第2のボトル102に入った第2の薬液とを、薬液タンク58内において混合してもよい。なお、ボトル100が3つ以上のボトルから構成されている場合、それぞれのボトルに入った薬液を薬液タンク58内において混合してもよい。
【0049】
また、薬液タンク58内には、薬液管路64の一端部分が収容されている。薬液タンク58内に収容された薬液管路64の一端に、吸引フィルタ63が設けられている。薬液管路64の他端は、薬液ノズル23に接続されている。薬液管路64の中途に、薬液ポンプ65が設けられている。薬液ポンプ65は、高圧の自吸式のポンプにより構成される。薬液ポンプ65を動作させると、薬液タンク58から薬液103が汲み上げられ、薬液ノズル23を経由して洗浄槽4へ供給される。なお、薬液チューブ62を薬液ノズル23に接続して、ボトル100から洗浄槽4へ薬液103を直接供給するように構成してもよい。
【0050】
洗浄槽4の底面には、例えば2つの超音波振動子52と、ヒータ53と、温度検知センサ53aと、が配設されている。超音波振動子52は、後述するプロセッサ70の制御に基づき、洗浄槽4内の液体を攪拌する。ヒータ53は、プロセッサ70の制御に基づき、洗浄槽4内の液体を加熱する。温度検知センサ53aは、洗浄槽4内の液体の温度を検知して、検知結果をプロセッサ70へ出力する。
【0051】
薬液103が消毒液である場合には、消毒効果を最も高くできる所定の温度(適正温度)がある。プロセッサ70は、温度検知センサ53aにより検知された温度に基づき、ヒータ53による薬液103の加熱をコントロールすることで、洗浄槽4内の薬液103の温度を適正温度に調整する。適正温度に調整された薬液103により、洗浄槽4に収容された内視鏡200を効果的に消毒できる。さらに、洗浄槽4内に貯留された液体はリプロセッサ本体2内を循環するために、適正温度に調整された薬液103により、リプロセッサ本体2内の各管路を効果的に消毒できる。
【0052】
内視鏡リプロセッサ1は、電源71と、電源71に電気的に接続されるプロセッサ70とを備える。電源71は、外部のACコンセントから電力が供給され、プロセッサ70を含む内視鏡リプロセッサ1内の各回路へ供給する。
【0053】
プロセッサ70は、CPUおよびメモリ等を有し、メモリから読み込んだソフトウェアをCPUに実行させることにより、内視鏡リプロセッサ1に係る各処理を行うように構成されている。なお、メモリに記憶されているソフトウェアは、アップデート可能となっている。ただし、プロセッサ70は、この構成に限定されず、例えば各処理を行う電子回路により構成されていても構わない。また、プロセッサ70が、各処理を行う回路部を備えるFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を有して構成されていてもよい。
【0054】
プロセッサ70は、メイン操作パネル25、サブ操作パネル13、温度検知センサ53a、後述するセンサ68等から各種の信号が入力され、メイン操作パネル25およびサブ操作パネル13と、上述した各ポンプおよび各電磁弁と、を含む内視鏡リプロセッサ1内の各回路を制御し、駆動する。
【0055】
プロセッサ70が実行するソフトウェアは、例えば、給水管路9を洗浄/消毒する給水管路洗浄/消毒プログラム、内視鏡リプロセッサ1内の全管路内を洗浄/消毒する全管路洗浄/消毒プログラム、送気送水/鉗子口用ポート33を経由して内視鏡200のチャンネルを洗浄/消毒する内視鏡洗浄/消毒プログラム、ボトル100内の薬液103の残量を検知して告知する薬液残量検知プログラムなどを含む。
【0056】
プロセッサ70の電源がオンされて、例えば薬液残量検知プログラムが実行されると、センサ68の検知結果に基づきボトル100内の薬液103の残量を判定し、残量が所定量以下になったと判定したときに、メイン操作パネル25またはサブ操作パネル13等の告知デバイスを制御して、薬液103の残量をユーザに告知する。
【0057】
図3は、外装を外した状態のリプロセッサ本体2の内部構成の一部を背面側から示す斜視図、図4は、図3におけるボトルとセンサの配置部分を拡大して示す図である。
【0058】
リプロセッサ本体2は、外装の内部にシャーシ81が設けられている。シャーシ81には左右一対のレール82が設けられている。レール82は、トレー12の水平方向の移動を案内し、トレー12が引き出し可能となるようにする。この構造により、トレー12は、リプロセッサ本体2の前面の方向へ移動されることで引き出され、リプロセッサ本体2の背面の方向へ移動されることで閉じられる。
【0059】
トレー12内には、上述したように例えば2つのボトル、すなわち第1のボトル101および第2のボトル102が、取り出し可能に収容される。第1のボトル101には、内部の薬液を取り出すためのノズル101nが設けられている。第2のボトル102には、内部の薬液を取り出すためのノズル102nが設けられている。
【0060】
トレー12の背面側の面には、センサ用孔12aが設けられている。リプロセッサ本体2内のセンサ用孔12aに対向する位置に、センサ68が設けられている。センサ68は、薬液103が検知範囲68s(図7図8等参照)の中にあることを、薬液103と非接触に検知する。センサ68を下記に説明するように配置することで、センサ68は、ボトル100内の薬液103の残量を、ボトル100の側面から検知するレベルセンサとして機能する。
【0061】
センサ68の具体例は、静電容量式センサである。ただし、センサ68として、光センサなどの他の非接触式のセンサを用いても構わない。また、センサ68としてどの種類のセンサを用いるかに応じて、ボトル100を構成するのに適した素材が異なることはいうまでもない。例えば、センサ68として静電容量式センサを用いる場合には、ボトル100は非金属の素材、例えばプラスチックなどにより形成されることが望ましい。また、センサ68として反射式光センサを用いる場合には、ボトル100を形成する素材として、光透過性を有する素材を用いる。
【0062】
本実施形態においては、第1のボトル101内に入っている第1の薬液の有無を検出するための第1のセンサ68aと、第2のボトル102内に入っている第2の薬液の有無を検出するための第2のセンサ68bと、が設けられている。
【0063】
第1のボトル101と第2のボトル102とは形状や大きさが異なっても構わないし、1工程の再生処理に用いられる第1の薬液の量と第2の薬液の量とは一般に異なる。このために、第1のセンサ68aと第2のセンサ68bとは、異なる高さ位置に配置されていても構わない。
【0064】
また、第1の薬液と第2の薬液とは種類が異なるために、センサによる感度も一般的に異なる。このために、第1のセンサ68aと第2のセンサ68bとは、異なる感度のセンサを用いてもよいし、異なる作動原理のセンサを用いても構わない。
【0065】
センサ用孔12aは、第1のセンサ68a用と第2のセンサ68b用とに2つ設けても良いし、第1のセンサ68aおよび第2のセンサ68bに共通する大きさのものを1つだけ設けても構わない。
【0066】
図5は、トレー12を引き出した状態において、センサ68がボトル100と離れている様子を示す図、図6は、トレー12を閉じた状態において、センサ68がボトル100と近接している様子を示す図である。
【0067】
トレー12を引き出した状態にすると、図5に示すように、センサ68はボトル100と離れた位置になる。このときには、センサ68の検知範囲68s内にボトル100内の薬液103はない。
【0068】
一方、トレー12を閉じると、図6に示すように、センサ68がボトル100に近接して、センサ68の検知範囲68s内にボトル100が入る。このときにはセンサ68は、ボトル100内の薬液103の有無を検出することが可能となる。
【0069】
センサ68によるボトル100内の薬液103の有無の検出について、図7も参照してより詳細に説明する。図7は、ボトル100の段差内壁面100bがセンサ68の検知範囲68sの中にあり、薬液103の液面103aが段差内壁面100bよりも高い位置にあるときの様子を示す図である。
【0070】
ボトル100は、第1内壁面100aと、段差内壁面100bと、第2内壁面100cとを備えている。ここに、内壁面は、ボトル100を構成する所定の肉厚の壁部の内側の面、つまり、薬液103に接する面である。
【0071】
ボトル100がトレー12に正しく収容され、トレー12が正しく閉じられ、ボトル100が内視鏡リプロセッサ1にセットされた状態において、ボトル100およびセンサ68は次のように配置される。
【0072】
第1内壁面100aは、重力方向Gに沿って配置される。第2内壁面100cは、第1内壁面100aと異なる水平方向位置で、重力方向Gに沿って配置される。段差内壁面100bは、重力方向Gと交差する角度で、一端側が第1内壁面100aの上側に接続され、他端側が第2内壁面100cの下側に接続される。従って、段差内壁面100bは、ボトル100の側面に設けられた段差である。また、段差内壁面100bは、下側に配置された第1内壁面100aと上側に配置された第2内壁面100cとを接続する面である。
【0073】
段差内壁面100bは、内視鏡リプロセッサ1にセットされた状態のボトル100における、次の位置に設けられている。nを0以上の整数とすると、薬液103が段差内壁面100bに接触する状態から接触しない状態に移行した時点で、n以上かつ(n+1)未満の内視鏡200の再生処理工程が可能な量の薬液103がボトル100内に残っている高さ位置に、段差内壁面100bが設けられている。
【0074】
第1内壁面100aおよび第2内壁面100cは、重力方向Gに沿って配置されていれば、面に沿う方向が重力方向Gと同一でなくても構わず、やや傾いていてもよい。言い換えれば、第1内壁面100aに垂直な方向は重力方向Gと直交していてもよいが、直交していなくても構わない。同様に、第2内壁面100cに垂直な方向は重力方向Gと直交していてもよいが、直交していなくても構わない。また、第1内壁面100aおよび第2内壁面100cは、重力方向Gに沿って配置されていれば、平面であるに限らず、曲面であってもよい。
【0075】
段差内壁面100bが重力方向Gと交差する角度として、重力方向Gと直交する角度を選ぶと、液面103aが段差内壁面100bより低くなっても、段差内壁面100b上に薬液103の液滴が残ってしまい、センサ68により薬液103があると検知される可能性がある。そこで、段差内壁面100bは、第2内壁面100cとの接続部分から第1内壁面100aとの接続部分へ向けて下り傾斜をなすように、重力方向Gと直交に近い角度θで交差するとよい。このときに図7に示す角度θは、θ>90°となる。
【0076】
センサ68は、第1内壁面100aが検知範囲68sの外にあり、かつ、段差内壁面100bが検知範囲68sの中にあるように配置される。より詳しくは、第1内壁面100aに薬液103が接していても接していなくても、センサ68は薬液103を検知しない。また、検知範囲68sの中にある段差内壁面100bに薬液103が接している場合、センサ68は薬液103を検知する。一方、段差内壁面100bに薬液103が接していない場合、センサ68は薬液103を検知しない。
【0077】
以下では適宜、センサ68が薬液103を検知する場合にオンとなり、センサ68が薬液103を検知しない場合にオフとなるものとして説明する。ただし、検知結果とオン/オフとの対応関係を入れ替えて、センサ68が薬液103を検知する場合にオフとなり、センサ68が薬液103を検知しない場合にオンとなるように構成しても勿論構わない。
【0078】
図8は、ボトル100とセンサ68の重力方向Gの位置がずれていても、ボトル100の段差内壁面100bがセンサ68の検知範囲68sの中にあり第1内壁面100aが検知範囲68sの外にあれば、薬液103の液面103aが段差内壁面100bの高さまで下がったところでセンサ68がオンからオフになる様子を説明するための図である。
【0079】
図8のA欄およびB欄は、ボトル100が内視鏡リプロセッサ1にセットされた状態を示し、何れも第1内壁面100aがセンサ68の検知範囲68sの外にある。
【0080】
図8のA欄は、センサ68の中心軸の高さL1が段差内壁面100bよりも高く、センサ68の検知範囲68s内の下側に段差内壁面100bの少なくとも一部が含まれている配置例を示している。
【0081】
また、図8のB欄は、センサ68の中心軸の高さL2が段差内壁面100bよりも低く、センサ68の検知範囲68s内の上側に段差内壁面100bの少なくとも一部が含まれている配置例を示している。
【0082】
図8のA欄およびB欄の何れの配置であっても、センサ68は、ボトル100の側面に設けられた段差である段差内壁面100bより上方に薬液103の液面103aがある場合はオンとなって薬液103を検知し、段差である段差内壁面100bより下方に薬液103の液面103aがある場合はオフとなって薬液103を検知しない。
【0083】
従って、検知範囲68s内に段差内壁面100bが入っていて、第1内壁面100aが検知範囲68sの外にあれば、センサ68とボトル100との重力方向Gの位置がずれても、ほぼ同一の残量になった時点でセンサ68がオンからオフに移行する。これにより、センサ68とボトル100との重力方向Gの位置がずれても、センサ68がオンからオフに移行した時点のボトル100内の薬液103の残量を正確に検知できる。
【0084】
図9は、ボトル100を背面側から示す斜視図である。
第1のボトル101の背面には、第1内壁面100aに対応する第1内壁面101aと、段差内壁面100bに対応する段差内壁面101bと、第2内壁面100cに対応する第2内壁面101cとが設けられている。
第2のボトル102の背面には、第1内壁面100aに対応する第1内壁面102aと、段差内壁面100bに対応する段差内壁面102bと、第2内壁面100cに対応する第2内壁面102cとが設けられている。
上述したように、1工程の再生処理に用いられる第1の薬液の量と第2の薬液の量とは一般に異なるために、第1のボトル101の底面からの段差内壁面101bの高さと、第2のボトル102の底面からの段差内壁面102bとは、異なっても構わない。
【0085】
図10は、センサ68の検知結果に基づき、プロセッサ70が告知デバイスを制御して告知する作用を示すフローチャートである。
【0086】
プロセッサ70は、上述したように、センサ68、メイン操作パネル25、およびサブ操作パネル13を含む内視鏡リプロセッサ1内の各回路に接続されている。
【0087】
内視鏡リプロセッサ1の電源がオンされると、プロセッサ70は、図10に示す処理を行う。
【0088】
プロセッサ70は、センサ68から検知結果を取得して(ステップS1)、薬液103が検知されたか否かを判定する(ステップS2)。
【0089】
ここで、薬液103が検知されていると判定した場合には、内視鏡200の再生処理をn工程以上行える薬液103が入っているボトル100が、トレー12に正しく収容され、トレー12が正しく閉じられていることになる。この場合、ステップS1およびステップS2のループ期間毎にステップS1へ戻って、センサ68から検知結果を取得する。
【0090】
ステップS2において、薬液103が検知されていないと判定した場合には、プロセッサ70は、メイン操作パネル25、またはサブ操作パネル13に告知表示を行う(ステップS3)。
【0091】
例えば、ボトル100を交換してトレー12を閉じたすぐ後に告知表示が行われた場合、トレー12が正しく閉じられていないか、ボトル100がトレー12に正しく収容されていないか、トレー12に収容されたボトル100が正しい薬液103が入っているボトルでないか、の何れかの可能性があるとして、ユーザは各状態を再確認できる。
【0092】
また、使用中のボトル100について、検知結果が、薬液103が検知される状態(オン)から検知されない状態(オフ)に移行したときに、プロセッサ70は、内視鏡200の再生処理可能工程数が残りn工程であると判定する。プロセッサ70は、内視鏡200の再生処理可能工程数が残りn工程であると判定したときに、再生処理可能工程数が残りn工程であることを告知させるように、メイン操作パネル25またはサブ操作パネル13を制御する。
【0093】
ここで、nが1以上である場合の告知表示の一例は、「内視鏡の残り再生処理工程数はnです。」である。特に、nが1である場合には、「内視鏡の再生処理工程は、次が最後です」などの告知表示を行ってもよい。また、nが0である場合の告知表示の一例は、「ボトル内の薬液がなくなりました。ボトルを交換して下さい。」である。これらの例に限定されず、適切な告知表示を行うとよい。
【0094】
また、ここではサブ操作パネル13またはメイン操作パネル25等の表示デバイスにより告知表示を行う例を示したが、スピーカなどの音声デバイスを告知デバイスとして用いて、ブザーや音声により告知を行って構わないし、表示および音声により告知を行ってもよい。
【0095】
ステップS3で告知を行ったら、処理を終了するか否かを判定する(ステップS4)。ここで終了しないと判定した場合には、ステップS1へ戻って、センサ68から検知結果を取得する。
【0096】
従って、例えばボトル100を交換したすぐ後にステップS3の告知表示が行われた場合、ステップS1へ戻ってセンサ68から検知結果を取得することで、正しい薬液103が入っているボトル100がトレー12に正しく収容され、トレー12がリプロセッサ本体2に正しく閉じられたか否かを、検知結果に基づき確認できる。
【0097】
一方、ステップS4において、終了すると判定した場合には、処理がエンドとなる。
【0098】
なお、上述ではトレー12にボトル100を収容して、トレー12を開閉することによりボトル100を内視鏡リプロセッサ1にセットする例を説明したが、ボトル100をセットするのにトレー12を用いなくても構わない。例えば、ボトル100を収容する凹形状部を内視鏡リプロセッサ1に設けて、ボトル100を内視鏡リプロセッサ1に対して直接セットするように構成してもよい。この場合でも、セットされた状態のボトル100の各内壁面とセンサ68との位置関係が、上述したようになっていれば良い。
【0099】
また、上述ではボトル100内に入った薬液103の残量をセンサ68により検出する例を述べたが、これに限らず、その他の液体の残量をセンサにより検出するようにしても構わない。例えば、洗剤タンク11a内の洗浄剤の残量をセンサにより検出しても良いし、アルコールタンク11b内のアルコールの残量をセンサにより検出するようにしても構わない。このように、センサにより残量を検出する対象となる液体は、薬液103に限定されない。
【0100】
このような第1の実施形態によれば、ボトル100をセットした状態において、第1内壁面100aが検知範囲68sの外にあり、段差内壁面100bが検知範囲68sの中にあるようにセンサ68を配置したために、ボトル100とセンサ68との相対位置が検知範囲68sの大きさにより許容される範囲内でばらついたとしても、ボトル100内の薬液103の残量が一定量であることを正確に検知できる。
【0101】
ボトル100をトレー12に収容するように構成し、トレー12を閉じた状態において、段差内壁面100bが検知範囲68sの中にあるようにセンサ68を配置したために、センサ68により薬液103が検知されれば、トレー12が正しく閉じられていると判定できる。従って、センサ68を、トレー12の開閉状態を検知するセンサとして兼用することも可能となる。
【0102】
n以上かつ(n+1)未満の内視鏡200の再生処理工程が可能な量の薬液103がボトル100内に残っている高さ位置に、段差内壁面100bを設けたために、内視鏡200の再生処理可能工程数が残りn工程であることを確実に判定できる。
【0103】
さらに、内視鏡200の再生処理可能工程数が残りn工程であると判定したときに告知するようにしたために、ユーザはボトル100の交換時期を正確に認識することが可能となる。従って、ユーザは、ボトル100を交換する準備を効率的に行うことできる。
【0104】
医療機器が内視鏡200である場合に、医療機器用リプロセッサとして、内視鏡200の再生処理に適した内視鏡リプロセッサ1を得ることができる。
【0105】
こうして、ボトル100内の薬液103の残量を正確に検知できない場合に生ずる次の再生処理工程を保証できない薬液103の残量を、少なくできる。その結果、薬液103の無駄な廃棄を抑制できる。
[第2の実施形態]
【0106】
図11は本発明の第2の実施形態を示したものであり、段差内壁面100bを、ボトル100Aの所定高さ位置に設けた凸形状壁100dの下側の内壁面とした構成例を、他の異なる構成例と対比して示す図表である。
【0107】
この第2の実施形態において、上述の第1の実施形態と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0108】
本実施形態のボトル100Aは、凸形状壁100dが突出して設けられている。凸形状壁100dは、ボトル100Aが内視鏡リプロセッサ1にセットされた状態において、下側の第1内壁面100aと上側の第2内壁面100cとの間から突出されている。
【0109】
段差内壁面100bは、凸形状壁100dの下側の内壁面となっていて、第1内壁面100aと接続されている。また、凸形状壁100dの上側の内壁面100eは、第2内壁面100cと接続されている。
【0110】
また、第2内壁面100cは、例えば、第1内壁面100aと同一の水平方向位置で、重力方向Gに沿って配置されている。この配置では、第2内壁面100cは、センサ68の検知範囲68sの外にある。
【0111】
本実施形態の構成では、トレー12に設けられたセンサ用孔12a′が、凸形状壁100dを嵌め入れる孔を兼ねている。
【0112】
図11のA欄は、正しい薬液103(図示省略)が入ったボトル100Aがトレー12に収容され、トレー12が閉じられたときの状態を示している。
【0113】
正しい薬液103が入ったボトル100Aには、センサ用孔12a′に対応する位置に凸形状壁100dが設けられている。トレー12を閉じると、凸形状壁100dがセンサ用孔12a′に嵌め合って、段差内壁面100bがセンサ68の検知範囲68sの中に入る。すると、センサ68がオフからオンになり、プロセッサ70は、正しい薬液103が入った正しいボトル100Aが、内視鏡リプロセッサ1に正しくセットされたことを判定できる。
【0114】
図11のB欄は、正しい薬液103とは異なる液体(図示省略)が入ったボトル100Xがトレー12に収容され、トレー12が閉じられたときの状態を示している。
【0115】
正しい薬液103とは異なる液体が入ったボトル100Xは、例えば、正しい薬液103が入ったボトル100Aと異なる位置に凸形状壁100Xdが設けられている。ボトル100Aと異なる形状のボトル100Xは、場合によってはトレー12に収容できない。仮にボトル100Xをトレー12に収容できて、トレー12を閉じることができた場合でも、凸形状壁100Xdはセンサ用孔12a′に嵌め合う位置にない。
【0116】
このために、ボトル100X内の液体はセンサ68の検知範囲68sの中に入らず、プロセッサ70は、ボトル100Xが内視鏡リプロセッサ1にセットされたことを判定できない。
【0117】
このように、内部に入っている液体の種類に応じてボトルの形状を異ならせ、収容するボトルに応じた位置にトレー12のセンサ用孔12a′およびセンサ68を設けることにより、ボトル100X内の正しい薬液103とは異なる液体が、内視鏡200の再生処理に用いられるのを防止できる。
【0118】
図11のC欄は、正しい薬液103とは異なる液体(図示省略)が入ったボトル100Yがトレー12に収容され、トレー12が閉じられたときの状態を示している。
【0119】
正しい薬液103とは異なる液体が入ったボトル100Yは、例えば、正しい薬液103が入ったボトル100Aのような凸形状壁100dが設けられていない。こうしたボトル100Yは、全体的な寸法がほぼ同一であれば、トレー12に収容して、トレー12を閉じることは可能である。
【0120】
ただし、ボトル100Y内の液体はセンサ68の検知範囲68sの中に入らず、プロセッサ70は、ボトル100Yが内視鏡リプロセッサ1にセットされたことを判定できない。
【0121】
このように、正しい薬液103とは異なる液体が入ったボトル100Yに、凸形状壁100dが設けられていない場合にも、ボトル100Y内の液体が内視鏡200の再生処理に用いられるのを防止できる。
【0122】
図12は、第2の実施形態の変形例におけるセンサ68の配置を示す図である。
【0123】
図11に示した例では、センサ68が水平方向に配置され、検知範囲68sはセンサ68の水平方向にあった。これに対して、図12は、センサ68が垂直方向の上向きに配置され、検知範囲68sはセンサ68の上側にある。トレー12のセンサ用孔12a″は、垂直方向に配置されたセンサ68を受け入れる形状に形成されている。
【0124】
このような配置でも、検知範囲68sの中に段差内壁面100bがあり、検知範囲68sの外に第1内壁面100aがあれば、上述と同様の作用および効果を奏する。
【0125】
さらに、センサ68の配置は、水平方向および垂直方向に限定されず、斜め方向であっても構わない。こうした垂直方向または斜め方向のセンサ68の配置は、上述した第1の実施形態の構成にも同様に適用できる。
【0126】
このような第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、ボトル100Aに凸形状壁100dを設け、段差内壁面100bを凸形状壁100dの下側の内壁面としたために、凸形状壁100dがトレー12のセンサ用孔12aに嵌め合うことで、正しい薬液103が入っているボトル100Aが、内視鏡リプロセッサ1に正しくセットされたことを、センサ68の検知結果に基づき判定できる。その結果、正しい薬液103とは異なる液体が内視鏡200の再生処理に用いられるのを防止できる。
【0127】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12