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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】フレキソ印刷版の改善された作製方法
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/055 20060101AFI20240326BHJP
   B41N 1/00 20060101ALI20240326BHJP
   B41M 1/04 20060101ALI20240326BHJP
   G03F 7/34 20060101ALI20240326BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20240326BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B41C1/055
B41N1/00
B41M1/04
G03F7/34
G03F7/00 502
G03F7/20 511
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022579899
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 US2021070872
(87)【国際公開番号】W WO2022020837
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】16/936,802
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ボールドウィン、カイル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスト、ライアン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント、ローリー エー.
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/055
B41N 1/00
B41M 1/04
G03F 7/34
G03F 7/00
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続液体界面印刷によって光硬化構造を作製する方法であって、
a)液体光硬化性組成物をリザーバに提供する工程であって、前記光硬化性組成物は、
i)1種以上のバインダ樹脂と、
ii)1種以上のモノマーと、
iii)光開始剤と、を含み、
前記光硬化性組成物を選択的に架橋及び硬化させるために化学線源が使用され、前記リザーバは、前記光硬化性組成物を硬化させるために使用される化学線の波長(複数可)に対して実質的に透明な底部を備え、前記化学線源(複数可)は、前記リザーバの前記透明な底部を通って化学線を照射するように位置決めされる、工程と、
b)基板を含むキャリア版を提供する工程であって、前記基板は、前記構造が形成される表面を提供し、前記リザーバは、前記キャリア版の下にある、工程と、
c)前記基板を前記リザーバ内の前記液体光硬化性組成物と接触させる工程と、
d)前記リザーバの前記透明な底部の下で、前記液体光硬化性組成物を化学線に選択的に露光させる工程であって、前記化学線が、前記リザーバ内の前記液体光硬化性組成物の選択された領域を架橋及び硬化する、工程と、
e)前記化学線が前記光硬化性組成物を連続的に架橋及び硬化させる間、前記リザーバから前記キャリア版を離して、前記キャリア版が前記リザーバから引き出されるのと同時に、前記キャリア版上に前記光硬化構造を形成する工程と、を含み、
前記光硬化構造は、レリーフ像印刷版に結合するためのバッキング層を含み、
前記バッキング層は、圧縮性又は弾性バッキング層を提供するための格子又は一連の開口部を備え、前記格子は、圧縮性、弾性率、及び変位性の所望の特性を提供するように最適化される、方法。
【請求項2】
前記基板は、前記光硬化構造が形成される前記基板の前記表面上にフォトポリマーの硬化層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリア版は、架橋及び硬化された光硬化性組成物の層が連続的に形成されるにつれて、前記光硬化構造を前記リザーバから離れて移送する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程c)及びd)は、前記光硬化構造の形成が完了するまで繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記格子の開口部の形状及びサイズ、並びに前記開口部の配置及び密度が制御され、前記バッキング層は、中実領域と、その上に取り付け可能なレリーフ像印刷版の特徴を反映する高ラインスクリーン及び/又は格子開口部との両方を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記光硬化構造は、前記バッキング層上に形成されたレリーフ像印刷層を更に含み、前記工程c)及びd)が繰り返されて前記バッキング層及び前記レリーフ像印刷層の両方を形成し、前記バッキング層は、中実領域と、その上に形成された前記レリーフ像印刷層の特徴を反映する高ラインスクリーン及び/又は格子開口部との両方を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記光硬化性組成物は、前記バッキング層及び前記レリーフ像印刷層の両方を生成するように最適化される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記レリーフ像印刷層は、複数の印刷ドットを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記バッキング層の厚さは、約0.015~約0.125インチである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記バッキング層及び前記レリーフ像印刷層の合計厚さは、約0.045~約0.250インチである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記液体光硬化性組成物は、光重合防止剤を更に含み、前記光重合防止剤は、p-メトキシフェノール、ヒドロキノン、並びにアルキル及びアリール置換ヒドロキノン及びキノン、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、銅レジネート、ナフタルアミン、β-ナフトール、塩化第一銅、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、シュウ酸、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン及びジニトロベンゼン、p-トルキノン、クロラニル、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光硬化構造は、前記光硬化構造の前記層(複数可)の平面内及び/又は前記層(複数可)の厚さにわたる深さの関数として変化する特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記光硬化構造の特性の変化は、前記光硬化構造を作製するプロセス中に前記リザーバ内の配合組成物を変化させることによって達成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光硬化構造は、前記光硬化構造のX-Y平面内及び/又は前記光硬化構造のZ方向(厚さ)にわたる位置の関数として制御された化学的及び/又は物理的特性を含み、前記制御は、
h)前記光硬化性組成物の架橋及び硬化に影響を与えるために使用される化学線源の種類及び/又は前記線の波長(複数可)、
i)前記化学線の放射照度(強度)、
j)前記化学線のエネルギー密度(線量)、
k)フラッド、移動床、又は移動ランプ源を含む露光の種類、
l)前記光硬化性組成物の温度、及び
m)前記光硬化性組成物の前硬化及び/又は後硬化、からなる群から選択される1つ又は複数の硬化条件変数の変動によって確立される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
なる硬化フォトポリマー特性が、前記構造の前記層(複数可)の前記X-Y平面にわたって又は前記Z厚さにわたって不連続又は連続勾配で達成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
なる硬化フォトポリマー特性は、前記構造の前記層(複数可)のX-Y平面内又はZ厚さにわたってセグメント化又はブロックパターンで達成される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記バインダ樹脂が、ポリマー又はオリゴマー骨格に沿ってブロックで又はランダムに分布した重合性部分で官能化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記バインダ樹脂は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、マレイン酸塩、フマル酸塩、マレイミド、ビニルエーテル、N-ビニルアミド、及びビニルエステルに部分的又は全体的に基づくコポリマーを含み、重合性二重結合がコポリマー鎖に懸垂している、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
能化バインダ樹脂は、前記光硬化性組成物中の反応性可塑剤、相溶化剤、及び/又は重合性マトリックス成分として使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記官能化バインダ樹脂が、前記光硬化構造の1つ以上の層において使用され、前記1つ以上の層は、レリーフ印刷層、フロア層、及びバッキング層からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
3次元印刷によって光硬化構造を作製する方法であって、
a)液体光硬化性組成物を3次元プリンタのリザーバに提供する工程であって、前記液体光硬化性組成物は、
i)バインダ樹脂と、
ii)モノマーと、
iii)光開始剤と、を含む、工程と、
b)基板を含むキャリア版を提供する工程であって、前記基板は、前記光硬化構造が形成される表面を提供する、工程と、
c)前記3次元プリンタを使用して、印刷された光硬化性組成物を化学線に露光しながら前記液体光硬化性組成物を前記基板上に印刷して、前記印刷された光硬化性組成物を硬化させて、前記光硬化構造を形成する工程と、を含み、
前記光硬化構造が、レリーフ像印刷版に結合するためのバッキング層を含み、
前記バッキング層は、圧縮性又は弾性バッキング層を提供する格子又は一連の開口部を備え、前記格子は、圧縮性、弾性率、及び変位性の所望の特性を提供するように最適化される、方法。
【請求項22】
前記基板が、前記光硬化構造が形成される前記基板の表面上にフォトポリマーの硬化層を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記格子の開口部の形状及びサイズ、並びに前記開口部の配置及び密度が制御され、前記バッキング層が、中実領域と、その上に取り付け可能なレリーフ像印刷版の特徴を反映する高ラインスクリーン及び/又は格子開口部との両方を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記光硬化構造が、前記バッキング層上に形成されたレリーフ像印刷層を更に含み、前記工程が繰り返されて前記バッキング層及び前記レリーフ像印刷層の両方を形成し、前記バッキング層が、中実領域と、その上に形成された前記レリーフ像印刷層の特徴を反映する高ラインスクリーン及び/又は格子開口部との両方を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記光硬化性組成物が、前記バッキング層及び前記レリーフ像印刷層の両方を生成するように最適化される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記レリーフ像印刷層は複数の印刷ドットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記バッキング層の厚さは、約0.015~約0.125インチである、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記バッキング層と前記レリーフ像印刷層との合計厚さが、約0.045~約0.250インチである、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、一体型バッキング層を含むカスタマイズ可能なレリーフ刷版構造を有するフレキソレリーフ像印刷版を取り付けるためのカスタマイズ可能なバッキング層を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量部数のために使用される印刷方法である。フレキソ印刷版は、紙、板紙材料、段ボール、フィルム、ホイル、及び積層体を含む様々な基板上での印刷に用いられる。
【0003】
フレキソ印刷版は、開口領域より上に隆起した画像要素を有するレリーフ版である。概して、版は、やや柔らかく、かつ印刷シリンダに巻き付けるのに十分な可撓性があり、また、100万枚を超えるコピーを印刷するのに十分な耐久性がある。かかる版は、版の耐久性及び版を容易に作製することができることに主に基づいて、プリンタに多くの利点を提供する。製造業者によって供給される典型的なフレキソ印刷版は、支持層、1つ以上の未露光の光硬化性層、任意選択的に、保護層又はスリップフィルム、及び多くの場合、保護カバーシートの順で作製された、多層物品である。
【0004】
支持層は、版の支持を支援する。支持層は、紙、セルロースフィルム、プラスチック、若しくは金属など透明材料又は不透明材料から形成され得る。好ましい材料としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミドなど合成ポリマー材料から作製されるシートが挙げられる。1つの広く使用されている支持層は、ポリエチレンテレフタレートの可撓性フィルムである。
【0005】
光硬化性層は、既知のポリマー、モノマー、開始剤、反応性及び/又は非反応性希釈剤、充填剤、並びに染料のいずれかを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「光硬化性」は、化学線に反応して重合、架橋、又は任意の他の硬化(curing)若しくは硬化(hardening)反応を受け、その結果、材料の未露光部分が、露光(硬化)部分から選択的に分離及び除去されて、硬化物の3次元レリーフパターンを形成できる組成物を指す。これらの光硬化性材料の例は、欧州特許出願第0 456 336 A2号及び同第0 640 878 A1号(Gossら)、英国特許第1,366,769号、米国特許第5,223,375号(Berrierら)、同第3,867,153号(MacLahan)、同第4,264,705号(Allen)、同第4,323,636号、同第4,323,637号、同第4,369,246号、及び同第4,423,135(全てChenら)、同第3,265,765号(Holdenら)、同第4,320,188号(Heinzら)、同第4,427,759号(Gruetzmacherら)、同第4,622,088号(Min)、並びに同第5,135,827号(Bohmら)に開示されており、これらのそれぞれの対象は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
光硬化性材料は、一般に、化学線の1つ以上の波長への露光によって開始されるラジカル重合によって架橋(硬化)及び硬化する。本明細書で使用するとき、「化学線」は、光硬化性層を重合、架橋、又は硬化できる放射線を指す。化学線としては、例えば、特に紫外線(UV)及び紫色波長領域における、増幅光(例えば、レーザー)、及び非増幅光が挙げられる。化学線源としては、例えば、様々な種類のドープされた又はドープされていない水銀ランプ及び電球、キセノンランプ、可視光源、発光ダイオード(LED)、レーザー源、及び太陽光が挙げられ得る。
【0007】
スリップフィルムは、感光性重合体を塵から保護し、かつその取り扱い易さを向上させる薄い層である。従来の(「アナログ」)版作製プロセスでは、スリップフィルムは、硬化プロセスに使用される波長のUV光に対してほぼ透明である。プリンタは、カバーシートを印刷版ブランクから剥離して、ネガをスリップフィルム層の上に配置する。次いで、版及びネガに、ネガを通して紫外線によってフラッド露光させる。光に露出された領域が硬化(cure)又は硬化(harden)し、未露光領域を除去(現像)して、レリーフ画像を印刷版上に作成する。
【0008】
「デジタル」つまり「コンピューター・トゥ・プレート」プロセスでは、レーザーは、電子データファイルに格納された画像によって導かれ、デジタル(すなわち、レーザーアブレーション可能な)マスキング層においてその場でネガを作製するために使用される。このマスキング層は一般に、放射線不透過性材料を含むように改変されたスリップフィルムである。レーザアブレート可能な層の一部分は、選択された波長及び出力のレーザーでマスキング層をレーザー放射線に露光することによってアブレートされて、その場でネガを作製する。レーザーアブレーション可能な層の例は、例えば、米国特許第5,925,500号(Yangら)並びに同第5,262,275号及び同第6,238,837号(Fan)に開示されており、これらのそれぞれの対象は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
フレキソ印刷版を形成するための加工工程は、典型的には、
1)デジタル「コンピューター・トゥ・プレート」刷版用のマスクアブレーション、又は従来のアナログ刷版用のネガ作製であり得る、画像生成と、
2)光硬化性層内にフロア層を形成し、レリーフの深さを確立するための背面露光と、
3)マスクで覆われていない光硬化性層の部分を選択的に架橋及び硬化させ、それによってレリーフ像を作製する、マスク(又はネガ)を通した前面露光と、
4)溶媒(水を含む)又は熱現像により未露光フォトポリマーを除去する現像と、
5)必要に応じて、後露光及び/又は不粘着化と、を含む。
【0010】
輸送及び取り扱い中の損傷から光硬化性印刷要素を保護するために、除去可能なカバーシートが提供されてもよい。カバーシートは印刷要素の加工前に除去され、感光面が、像様式で化学線に露光される。化学線への像様露光時に、露光領域では、重合、したがって光重合性層の不溶化が生じる。好適な現像剤溶媒(又は代替的に熱現像)による処理は、光重合性層の未露光領域を除去し、フレキソ印刷に使用され得る印刷レリーフ面を残す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「背面露光」という用語は、レリーフを担持する、又は最終的にレリーフを担持することになる反対側の、光重合性層の化学線への全体的な露光を指す。この工程は、典型的に、透明支持層を通して達成され、かつ光硬化性層の支持側上の光硬化材料の浅い層、すなわち「フロア」を作成するために使用される。フロアの目的は、概して、光硬化性層の感度を高めること、及びレリーフの深さを確立することである。
【0012】
短時間(すなわち、以降の像様露光工程と比較して短時間)の背面露光工程の後、光硬化性層と接触し、それを通って化学線が方向付けられる、マスク又はネガを通じて像様露光が実施される。
【0013】
得られた表面は、典型的には印刷される画像を再現する複数のドットを含むレリーフパターンを有する。レリーフ像の現像後、得られたフレキソレリーフ像印刷要素が印刷機に取り付けられ、印刷が開始されてよい。
【0014】
シート状ポリマーの代替として、フレキソ印刷要素は、液体フォトポリマー樹脂から作製することができ、未硬化樹脂が印刷要素の非画像領域から回収され、追加印刷版の作製に使用され得るという利点を有する。液体フォトポリマー樹脂は、シート状ポリマーと比較して可撓性の点で更なる利点を有し、これにより、機械設定を変更するだけで、あらゆる必要なプレートゲージの生成を可能にする。
【0015】
版は、典型的には、ガラスプレート上に液体光重合性樹脂の層を配置することによって形成されるが、基板及び/又はカバーフィルムによってガラスプレートから分離されている。化学光(すなわち、UV光)は、ネガを通って樹脂層に対して方向付けられる。その結果、液体樹脂は選択的に架橋及び硬化され、ネガ上に像を反映させる印刷像面を形成する。化学線に露光されると、液体フォトポリマー樹脂は重合し、液体状態から固体状態に変化して、隆起したレリーフ像を形成する。プロセスの完了後、非架橋液体樹脂は刷版から回収(recovered)(すなわち、回収(reclaimed))され、プロセス中で再利用されて、追加の版を作製できる。
【0016】
液体フォトポリマー樹脂から印刷版を生成するための様々なプロセスが開発されており、例えば、Kojimaらへの米国特許第5,213,949号、Strongらへの米国特許第5,813,342号、Longらへの米国特許出願公開第2008/0107908号、Gushらへの米国特許第3,597,080号であり、これらの各々の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
液体製版プロセスにおける典型的な工程は、
(1)キャスティングと、
(2)回収と、
(3)洗浄と、
(4)後露光と、
(5)乾燥と、
(6)不粘着化と、を含む。
【0018】
キャスティング及び露光工程では、写真用ネガをガラスプラテン上に配置し、露光ユニット内のネガの上にカバーフィルムを配置する。次いで、真空によって空気を全て除去し、それによってネガフィルム又はカバーフィルムのしわを除去できる。その後、液体フォトポリマーの層及び裏材シート(すなわち、ポリエステル又はポリエチレンテレフタレートの薄層)をカバーフィルム及びネガの頂部に適用する。裏材シートは、片面がコーティングされて、液体フォトポリマーと結合し、露光後に版の裏面として機能してよい。次いで、上及び/又は下の化学線源(すなわち、UV光)が使用されて、フォトポリマーを化学線に露光させて、ネガに覆われていない領域内の液体フォトポリマー層を架橋及び硬化させる。上の化学線源が使用されて、刷版のフロア層を形成し(すなわち、背面露光)、その一方では、下の化学線源が使用されて、ネガを通ってフォトポリマーを化学線に露光させて、レリーフ像を作製する。
【0019】
露光の完了後、刷版は露光ユニットから除去され、化学線に露光されなかったフォトポリマー(すなわち、ネガで覆われたフォトポリマー)は、更なる使用のために回収される。この「回収」工程は、典型的には、刷版の表面上に残っている液体フォトポリマーを圧搾すること、真空吸引すること、ないしは別の方法で除去することを含む。
【0020】
ステレオリソグラフィは、レリーフ像印刷版を作製するために使用される別のプロセスであり、積層プロセスを含む。フォトポリマーの各層は、硬化され、持ち上げられ、より多くの樹脂で埋め戻され、再度硬化される。このプロセスは、必要な厚さ及び版特性が達成されるまで、何度も繰り返される。
【0021】
3次元印刷もまた、例えば、Bryantらに付与された米国特許第10,429,736号に記載されているように、レリーフ像印刷版を作成するために提案されており、この米国特許の主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
圧縮性レリーフ像印刷版の使用、又は圧縮性バッキング層上へのレリーフ像印刷版の取り付けは、その層が変形及び圧縮することを可能にする。代替的なアプローチは、印刷版をより柔らかくすることを含み、これは、特に、粗い又は不均一なストック上で、あるいは不均一なインプレッション及び/又は版胴を有する印刷機上で印刷するときに、必要とされる印刷インプレッション圧力下で文字の望ましくない成長をもたらし得る。
【0023】
圧縮性レリーフ像印刷版及び/又は圧縮性バッキング層は、特に、不均一で変形可能な表面を有する波形ストック又は同様の基材の印刷において、大きな有用性が見出されている。そのような基材では、印刷版は、不均一な表面に適合し、その上にインクのコーティングを均一に送達するように、可撓性でなければならない。しかしながら、版が柔らかすぎたり可撓性が高すぎたりすると、版上の像は、版を基板と接触させるために使用される圧力下で歪み、したがって、所望の忠実度で画像を転写しない。
【0024】
圧縮性印刷版もまた、以下の点で有用である。
a)フォームの圧縮性による弛み、歪み、及び機械ゲージ変動を克服するために約0.5~5ミルの範囲のウェブ厚を有する幅広ウェブ(セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル及び紙のフィルム)上の印刷、
b)背景印刷において均一で一定の色調を有する安全紙(小切手、証券及び証券用紙)の印刷、及び
c)インク塗布の均一性が適切な発色に重要である多色印刷(4色印刷)。
【0025】
圧縮性印刷版はまた、より長い寿命を有する。各印刷動作における版への機械的衝撃は、レリーフを徐々に摩耗させ、次第に印刷の鮮明さを失わせる。圧縮性層は、機械的衝撃を吸収し、レリーフ印刷表面を比較的影響を受けないようにし(最小限の平坦化又は歪み)、より長い版寿命をもたらす。
【0026】
高デュロメータ(すなわち、硬い)版は、それ自体、印刷プロセス中に変形可能な基板を損傷することが多い。しかしながら、より高いデュロメータ硬度の版は、ベース圧縮性層と組み合わせて、潜在的に、これらの問題の両方を解決することができる。このようにして、歪んだ画像を提供しないかなり硬い版を使用することができ、バッキング層の圧縮性を利用して、版を曲げて撓ませ、それによって不均一な基板の全ての領域に接触させることができる。
【0027】
典型的な圧縮性層は、発泡材料、多くの場合、ポリウレタン又は他の熱可塑性材料からなり、これらは、テープ又は他の感圧接着剤を使用して、硬化した画像担持印刷版の裏面に積層することができる。
【0028】
それでも残る問題は、バッキング材料(すなわち、圧縮性発泡体層)を版の裏に固定することが困難であることである。接着剤を均一に塗布することは困難である。更に、発泡材料は、版への取り付け中に伸長し、版が曲げられたときに座屈を引き起こすという問題を呈する。
【0029】
多くの場合、印刷版は、圧縮性層が固定される前に、既に完全に露光され現像されている。圧縮性層は別の工程で形成され、次に接着剤又はある種のタイコート層で前処理されて、圧縮性層を印刷版に積層する。
【0030】
バッキング材料の例は、例えば、Grupeらの米国特許第3,903,794号、Rodriguezの米国特許第4,303,721号、Feeleyの米国特許第4,574,697号、Rather,Sr.らの米国特許第5,325,776号に記載されており、これらのそれぞれの主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
しかしながら、これらの先行技術の複合材料及び発泡材料の多くは、変形性の欠如、又はそれらが容易に変形可能である場合には、元の寸法に十分に迅速かつ繰り返し回復するのに十分な弾性の欠如のいずれかを被る。
【0032】
これらの問題を補償するために、複製されているコピーの中間諧調部分を印刷するために複合材料及び発泡材料を使用することが一般的に行われているが、粒子の粗い又は不完全な(素抜け)外観なしにベタを複製するのに十分な濃度及び厚さ精度を欠いているので、ベタ部分には使用されない。加えて、これらの複合材料は、構築することが困難であり得る。
【0033】
したがって、従来技術の欠点を克服する、フレキソレリーフ像印刷版のための改善されたカスタマイズ可能な圧縮バッキング層が技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0034】
本発明の目的は、フレキソ印刷版のための改善されたバッキング層を提供することである。
【0035】
本発明の更に別の目的は、バッキング層の作製プロセスを合理化することである。
【0036】
本発明の別の目的は、フレキソ印刷版のためのカスタマイズ可能なバッキング層を提供することである。
【0037】
本発明の更に別の目的は、格子構造を有するカスタマイズ可能なバッキング層を提供することである。
【0038】
本発明の目的は、連続液体界面3D生成方法を使用して、かかるカスタマイズ可能なバッキング層を生成することである。
【0039】
本発明の更に別の目的は、カスタマイズされたバッキング層と、同じ光硬化性組成物から作製されたレリーフ像印刷層とをオールインワン構成として含む構造を生成することである。
【0040】
本発明の更に別の目的は、印刷、製造、及び/又は保管中に印刷版の有益な特性を達成するためにその場で形成されたバッキング層の物理的及び化学的特性が調整される3D製造方法を使用して、カスタマイズ可能なバッキング層を生成することである。
【0041】
本発明の更に別の目的は、光硬化性組成物の組成の変化及び/又はバッキング層の形成中の硬化条件の変化を介して、硬化されたフォトポリマー特性を選択的に変化させることによって、又はバッキング層中の深さ若しくは位置の関数として勾配をつけることによって、その場で形成されたバッキング層の物理的及び化学的特性を調整することである。
【0042】
そのために、一実施形態において、本発明は、概して、連続液体界面印刷によって光硬化構造を作製する方法に関し、本方法は、
a)液体光硬化性組成物をリザーバに提供することであって、光硬化性組成物は、
i)バインダ樹脂と、
ii)1種以上のモノマーと、
iii)光開始剤パッケージと、を含み、
リザーバは、透明な底部を含み、化学線源は、透明な底部を通って化学線を照射して液体光硬化性組成物を選択的に架橋及び硬化させるように位置決めされる、ことと、
b)基板を含むキャリア版を提供することであって、当該基板は、構造が形成される表面を提供し、リザーバは、キャリア版の下にある、ことと、
c)基板をリザーバ内の液体光硬化性組成物と接触させることと、
d)リザーバの透明な底部の下で、液体光硬化性組成物を化学線に選択的に露光させることであって、化学線が、リザーバ内の液体光硬化性組成物の選択された領域を架橋及び硬化する、ことと、
e)化学線が光硬化性組成物を連続的に架橋及び硬化させる間、リザーバからキャリア版を離して、キャリア版がリザーバから引き出されるのと同時に、キャリア版上に光硬化構造を形成することと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、連続液体界面積層造形法を使用して、フレキソ印刷版用のカスタマイズされた圧縮性バッキング層を作製する改善された方法に関する。更に、本発明はまた、カスタマイズされたバッキング層及びレリーフ印刷層構造をオールインワン構成として作製する方法に関する。
【0044】
積層造形、及び好ましい実施形態では3D印刷方法を使用することによって、本発明の発明者らは、材料のデュロメータ及び格子の密度の両方を制御して様々な印刷基材に最適なバッキング層を生成することができる格子構造を含むバッキング層を生成することができることを発見した。したがって、格子構造は、樹脂の物理的特性と組み合わせて、特定の用途のための圧縮性、弾性率及び変位性の所望の特性を有する最適化されたカスタムバッキング層を生成するように組み合わせることができる。
【0045】
接着性発泡体又は固体のいずれかの従来技術のバッキング層とは対照的に、本明細書に記載される本発明は、印刷版の特定の要件に基づいて、異なる密度を有する版の異なる領域の圧縮性をカスタマイズする方法を提供する。例えば、単一の版内で、バッキング層は、レリーフ像印刷版の特徴を反映する最適化された領域を有する3D印刷バッキング層を生成するために、ベタ領域及びハイラインスクリーンの両方を含んでもよい。
【0046】
バッキング層の目標特性は、用途によって変化し得る既存の発泡体又はテープの性能に適合することができる。例えば、様々な特性が必要とされる場合があり、したがって、より薄い版用途に対して波形版を印刷するために最適化することができる。換言すれば、同じ光硬化性組成物を使用して、バッキング層に異なる目標特性を作り出し、その上に取り付けられたレリーフ像印刷版の特徴を反映するカスタムバッキング層を生成することができる。
【0047】
バッキング層の特性は、固体インク濃度及びドットゲインを含む印刷性能によって主に決定される。構造が独特であるので、目標特性は、上述した従来技術の材料とは異なり得る。
【0048】
バッキング層のマクロ的な目標特性は2つである。第1に、硬化されたフォトポリマーに付加的に形成される初期UV硬化性樹脂、第2に、結果として生じる格子構造である。得られる物理的性能変数には、デュロメータ、弾性率、伸長、及び伸びを含む樹脂特性、温度、ランプタイプの選択、硬化波長、放射照度、及び総エネルギー密度を含むUV硬化条件、後硬化技術、格子層の厚さ、並びに密度及び構造を含む格子構造自体が挙げられる。
【0049】
本明細書に記載されるバッキング層にはいくつかの選択肢があり、オールインワン格子ベース及び版表面構造、並びに適切な手段によって様々な版構造に結合又は適用することができる別個の格子ベースを含む。
【0050】
バッキング層のデュロメータ及び密度は、圧縮性材料の硬化の時間及び持続時間を調整することによって、積層造形中に調整することができる。バッキング層の圧縮性材料の特性は、所望の圧縮性能をもたらすように最適化することができる。
【0051】
本発明の実施形態の1つのファミリーにおいて、バッキング層を構成する硬化フォトポリマー組成物の化学的特性及び結果として生じる物理的特性は、バッキング層の平面内のX-Y位置の関数として、及び/又はバッキング層の平面に直交するZ位置において、すなわち、層の深さ/高さの関数として、制御及び変更される。特性差は、バッキング層内の連続的又は不連続的な一連の副層として、及び/又はバッキング層の平面にわたる又は厚さにわたる連続的勾配によって順次配置されてもよい。
【0052】
本発明は、積層造形プロセス中に時間の関数として光硬化性材料の組成を変化させることによって、平面内又は平面に直交する位置の関数としてバッキング層の組成を制御する1つ又は複数の方法を想定する。
【0053】
本発明は更に、光硬化構造内のX-Y及び/又はZ位置の関数として硬化条件を変化させることによって、バッキング層を構成する光硬化構造及び/又はオールインワン構成の特性を制御する1つ以上の方法を想定する。このような硬化条件は、以下のような変数を含み得る。
a)光硬化性組成物の架橋及び硬化を実行するために使用される化学線源の種類及び/又は放射線の波長(複数可)、
b)化学線の放射照度(強度)、
c)化学線のエネルギー密度(線量)、
d)フラッド、移動床、又は移動ランプ源を含む露光の種類、
e)周囲ガス条件(すなわち、周囲空気中の酸素含有量)、
f)光硬化性組成物の温度、及び
g)光硬化性組成物の前硬化及び/又は後硬化。
【0054】
他の変数も当業者にとって既知であり、光硬化構造の化学的及び/又は物理的特性を達成するために最適化及び制御することができる。
【0055】
好ましい一実施形態では、バッキング層を構成する格子のマクロ的設計は、バッキング層のX-Y平面内及びバッキング層のZ垂直方向(すなわち、厚さにわたる)内で連続的(例えば、等方性)であってもよい。この種の実施形態は、記載される積層造形プロセスを通じて形成される等方性発泡体タイプの層に類似するバッキング層を含むことができる。
【0056】
本発明の他の好ましい実施形態は、必要に応じて、1つ以上のバッキング層を含み、ここで、格子のマクロ的構造は、バッキング層のX-Y平面内及び/又はバッキング層のZ垂直方向内で異方性であってもよい。そのような実施形態の一例では、微孔質バッキング層の孔のサイズ及び密度は、バッキング層の厚さにわたって系統的に変化して、レリーフ層に固定されたより剛性の高い外層とより可撓性の高い上層とを提供し得る。そのような実施形態の更に別の例では、バッキング層は、垂直ピラーのアレイを備えてもよく、ピラーの形状、数、及び/又は直径は、バッキング層の厚さにわたる位置の関数として変化してもよい。
【0057】
本発明の更に別の実施形態において、バッキング層の密度、構造、及び組成は、バッキング層のX-Y平面にわたって調整され得る。例えば、版バッキングの前縁、後縁、及び/又は側縁は、印刷プロセス中により高い機械的衝撃を受ける版の部分におけるエネルギーの吸収/散逸を調整するために、より高い又は低い耐久性及び/又は弾性を有するように設計されてもよい。
【0058】
緩衝バッキング層の表面は、連続部分と、格子構造であってもよい開放セルレリーフ部分とを含むことができる。他の表面構成は、突出部を含んでもよく、緩衝バッキング層は、突出部がフレキソ印刷版の底部に係合するように、又は逆に、突出部が印刷シリンダの表面に係合するように取り付けられてもよい。一実施形態において、突出部は、印刷シリンダ表面に係合し、フレキソ印刷版表面に対して本質的に反転される。
【0059】
一実施形態において、本明細書に記載されるように、本発明は、連続液体界面法を使用してフレキソレリーフ像画像印刷版用の圧縮性バッキング層を作製する改善された方法を提供することを対象とする。よって、一実施形態において、本発明は、概して、連続液体界面印刷によって光硬化構造を作製する方法に関し、本方法は、
a)液体光硬化性組成物をリザーバに提供することであって、光硬化性組成物は、
i)バインダ樹脂と、
ii)1種以上のモノマーと、
iii)光開始剤と、を含み、
リザーバは、透明な底部を含み、化学線源は、透明な底部を通って化学線を照射して液体光硬化性組成物を選択的に架橋及び硬化させるように位置決めされる、ことと、
b)基板を含むキャリア版を提供することであって、当該基板は、構造が形成される表面を提供し、リザーバは、キャリア版の下にある、ことと、
c)基板をリザーバ内の液体光硬化性組成物と接触させることと、
d)リザーバの透明な底部の下で、液体光硬化性組成物を化学線に選択的に露光させることであって、化学線が、リザーバ内の液体光硬化性組成物の選択された領域を架橋及び硬化する、ことと、
e)化学線が光硬化性組成物を連続的に架橋及び硬化させる間、リザーバからキャリア版を離して、キャリア版がリザーバから引き出されるのと同時に、キャリア版上に光硬化構造を形成することと、を含む。
【0060】
連続液体界面生成のプロセスは、固体物体を作製するために光重合を使用する積層造形の方法である。あるいは、本明細書に記載の連続液体界面法を使用して、硬化中に光硬化性組成物の特性を調整して、バッキング層の独特の構造及びレリーフ像印刷層のレリーフ構造の両方を生成することによって、オールインワンのバッキング層及びレリーフ像印刷版構造を生成することができる。
【0061】
連続プロセスは、液体フォトポリマーのリザーバから開始され、リザーバの底部は化学線に対して透明である。フレキソ印刷版が構築される版であるキャリア版は、最初に液体光硬化性組成物と直接接触しており、その後、重合が起こるにつれて、バッキング層(又はバッキング層及びレリーフ印刷層を含むオールインワン構造)をリザーバから引き出す。化学線源は、リザーバの透明な底部を通って照射し、液体光硬化性樹脂を選択的に架橋及び硬化して所望の構造を形成する。光硬化構造がリザーバの基部に選択的に形成されるとき、キャリア版は、光硬化構造をリザーバの基部から離れるように移動させる。液体光硬化性組成物は、光硬化構造が完全に形成されるまで、リザーバの基部で重合され続ける。
【0062】
リザーバの基部は、光硬化性組成物中に存在する重合防止剤に対して半透過性である表面を含む。光硬化性組成物と非重合材料との架橋によって生成された固形物が少なくとも部分的に重なり合う、リザーバ内に形成された勾配が存在する。生じた重合の量及びリザーバ内に存在する未硬化の光硬化性組成物の量によって画定される鮮明な界面は存在しない。
【0063】
リザーバは、本質的に固定されている、又は動かせないが、キャリア版は、光硬化構造の製造中にリザーバから離れる。本質的に固定されている、又は動かせないとは、光硬化構造の製造中に重合した光硬化性組成物の連続的な生成を妨害しない、わずかな動きしか生じ得ないことを意味する。妨害された場合、重合は継続し得るが、開裂線が形成され得る。これは、例えば、バッキング層及びレリーフ像印刷層を含むオールインワン光硬化構造の製造において望ましい場合がある。よって、所定の開裂線は、更なる連続形成が進行する前に望ましいと見なされる位置に形成され得る。
【0064】
化学線源は、リザーバの下に位置し、リザーバの透明な底部を照射する。光硬化性組成物のこの架橋及び硬化には任意の従来の化学線源、例えば、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光灯、電子閃光装置、LED、及び写真用投光ランプなどが使用され得る。一般的には使用されないが、電子ビーム又は他の電離放射線源を単独で、又はUV/可視放射線源と組み合わせて任意選択的に使用して、光硬化性組成物を硬化させることができる。
【0065】
キャリア版の表面での重合材料の形成は連続的であり、重合材料は、構造の形成が完了するまで、リザーバ内の光硬化性組成物と常時接触している。上述したように、得られた光硬化構造は、所望のパターン及び密度の格子構造を含むように、上述した方法で最適化されたバッキング層であってもよい。あるいは、得られる光硬化構造は、一体型レリーフ像印刷構造と共にバッキング層を含むオールインワン構成であってもよい。加えて、任意ではあるが好ましくは、光硬化構造は、バッキング層とレリーフ像印刷構造との間にレリーフの深さを確立するフロア層を含んでもよく、フロア層の構造、特性、及び厚さは、上述の方法で最適化されてもよい。
【0066】
一実施形態では、バッキング層は、圧縮性又は弾性バッキング層を提供するための格子又は一連の開口部を備える。格子内の開口部の形状及びサイズ、並びにバッキング層を構成する格子内の開口部の配置及び密度の両方を制御して、所望の結果を達成することができる。
【0067】
光硬化性組成物は、概して、1種以上の光開始剤及び1種以上の重合防止剤と組み合わせて、1種以上の樹脂、結合剤、及び/又は可塑剤を含む。一実施形態において、光硬化性組成物は、格子バッキング層及び凸版印刷層のオールインワン構造を生成又は制御するように最適化される。この場合、光硬化性組成物は、その特性が格子バッキング層及びレリーフ像印刷層の両方としての使用に適するように最適化されるように選択される。
【0068】
本発明における使用に適した樹脂は、典型的には、付加重合性エチレン性不飽和化合物である。光硬化性組成物は、単一の樹脂又は樹脂の混合物を含有してもよく、樹脂は典型的には反応性モノマー、特にアクリレート及びメタクリレートである。かかる反応性単量体としては、これらに限定されないが、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール-200ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノール-Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール-200ジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール-600ジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノール-Aジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ウレタンメタクリレート、又はアクリレートオリゴマーなどが挙げられ、これらを光重合性組成物に加えて、硬化生成物を改質することができる。例えば、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、及びテトラヒドロフルフリルアクリレートを含むモノアクリレート、並びに対応するメタクリレートもまた、本発明の実践において使用することができる。本発明のいくつかの実施形態において、例えば、ビニルエステル、ビニルエーテル、N-ビニルアミド、マレイミド、フマル酸塩、マレイン酸塩のタイプ、及び当業者に公知の他のタイプから選択されるモノマーを含む、1種以上の他のエチレン性不飽和モノマー及び/又はオリゴマーが使用され得る。概して、1種以上の樹脂が、光硬化性組成物の少なくとも20重量%の量で存在することが好ましい。
【0069】
アクリルコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー、及び当業者に公知の他のポリマーなどの結合剤が、本発明の組成物において更に使用可能である。特に好適なバインダ材料としては、1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリル、ブタジエン/スチレン、熱可塑性ブロックコポリマー、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーなど、及びコポリマーなど共役ジオレフィン炭化水素の天然又は合成ポリマーが挙げられる。概して、スチレンブロックコポリマーは、光硬化性組成物の少なくとも5重量%の量で存在することが好ましい。
【0070】
一実施形態において、バインダ樹脂は、ポリマー又はオリゴマー骨格に沿ってブロックで又はランダムに分布した重合性部分で官能化されている。この場合、バインダ樹脂は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、マレイン酸塩、フマル酸塩、マレイミド、ビニルエーテル、N-ビニルアミド、及びビニルエステルに部分的又は全体的に基づくコポリマーを含み、重合性二重結合がコポリマー鎖に懸垂している。
【0071】
官能化バインダ樹脂は、光硬化性組成物中の反応性可塑剤、相溶化剤、及び/又は重合性マトリックス成分として使用される。加えて、官能化バインダ樹脂が光硬化構造の1つ以上の層において使用される場合、1つ以上の層は、レリーフ印刷層、フロア層、及びバッキング層からなる群から選択される。
【0072】
光硬化性組成物はまた、任意選択的に、相溶性可塑剤を含有する。適切な可塑剤としては、ジアルキルフタレート、アルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレン共重合体、水素化重質ナフテン油、水素化重質パラフィン油、及びポリイソプレンが挙げられるが、これらに限定されない。他の有用な可塑剤としては、オレイン酸、及びラウリン酸等が挙げられる。用いられる場合、可塑剤は、一般的に、光硬化性組成物の全固形物の重量に対して少なくとも5重量%の量で存在する。
【0073】
光硬化性組成物で使用する光開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンゾインイソブチルエーテルなどベンゾインアルキルエーテルが挙げられる。別のクラスの光開始剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン及び2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどのジアルコキシアセトフェノンである。更に別のクラスの光開始剤は、カルボキシル基に直接結合した少なくとも1つの芳香核を有するアルデヒド及びケトンカルボニル化合物である。これらの光開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、o-メトキシベンゾフェノン、アセナフテンキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α-フェニルブチロフェノン、p-モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4-モルホリノベンゾフェノン、4’-モルホリノデオキシベンゾフェノン、p-ジアセチルベンゼン、4-アミノベンゾフェノン、4’-メトキシアセトフェノン(4'-methoxyacetopherione)、ベンズアルデヒド、α-テトラロン、9-アセチルフェナントレン、2-アセチルフェナントレン、10-チオキサントン(10-thioxanthenone)、3-アセチルフェナントレン、3-アセチルインドール(3-acetylindone)、9-フルオレノン、1-インダノン、1,3,5-トリアセチルベンゼン、チオキサンテン-9-オン、キサンテン-9-オン、7-H-ベンズ[de]-アントラセン-7-オン、1-ナフトアルデヒド、4,4.degree.-ビス(ジメチルアミノ)-ベンゾフェノン、フルオレン-9-オン、1’-アセトナフトン、2’-アセトナフトン、2,3-ブタンジオン、アセトナフテン、ベンズ[a]アントラセン7,12ジオンなどが挙げられる。トリフェニルホスフィン及びトリオトリルホスフィンなどのホスフィンも光開始材として使用することができる。フリーラジカル型及びカチオン型の光重合開始剤の両方が使用され得る。概して、光開始剤(複数可)は、光硬化性組成物の少なくとも0.1重量%の量で存在することが好ましい。
【0074】
いくつかの実施形態において、水素原子供与体相乗剤が、光開始剤の効率を増加させるために使用され得る。当業者に公知のこのような相乗剤としては、アミン、アミド、アルキルエーテル、チオエーテル、チオールなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、光増感剤を1種以上の光開始剤と組み合わせて使用して、特定の波長の化学線に露光されたときの特定の光開始剤の効率を改善することができる。
【0076】
一実施形態では、光硬化性組成物は重合防止剤を含む。光硬化性組成物で使用する重合防止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ヒドロキノン、並びにアルキル及びアリール置換ヒドロキノン及びキノン、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、銅レジネート、ナフタルアミン、β-ナフトール、塩化第一銅、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、シュウ酸、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン及びジニトロベンゼン、p-トルキノン、並びにクロラニルが挙げられる。場合によっては、光重合性組成物中にBHTなど重合防止剤又は類似の重合防止剤を含むことが望ましいこともあるが、光重合性樹脂の画像性を損なわないような量及び他の添加剤との組み合わせでのみ、BHT及び他の類似の重合防止剤を使用するように注意しなければならない。使用される場合、重合防止剤は、約0.05~約5重量%の量で光硬化性組成物に使用されてよい。
【0077】
様々な染料及び/又は着色剤もまた本発明の実践において任意に使用することができるが、染料及び/又は着色剤の含有は、本発明の利点を達成するために必要ではない。適切な着色剤は、「窓染料」と称され、これは、組成物中に存在する開始剤が活性化可能であるスペクトル領域内の化学線を吸収しない。これらの着色剤としては、例えば、CI109赤色染料、メチレンバイオレット(CI Basic Violet5)、「Luxol」が挙げられる。ファストブルーMBSN(CI Solvent Blue 38)、「Pontacyl」ウールブルーBL(CI Acid Blue 59又はCI 50315)、「Pontacyl」ウールブルーGL(CI Acid Blue 102又はCI 50320)、ビクトリアピュアブルーBO(CI Basic Blue 7又はCI 42595)、ローダミン3 GO(CI Basic Red 4)、ローダミン6 GDN(CI Basic Red I又はCI 45160)、1,1’-ジエチル-2,2’-シアニンヨウ化物、フクシン染料(CI 42510)、カルコシドグリーンS(CI 44090)、アンスラキノンブルー2 GA(CI Acid Blue 58)、及びSolvaperm Red BB(ソルベントレッド195)などが挙げられる。
【0078】
所望の最終特性に応じて、オゾン劣化防止剤、充填剤又は補強剤、UV吸収剤など他の添加剤はまた、光硬化性組成物中に含まれてよい。かかる添加物は、概して、当技術分野でよく知られている。しかしながら、これらの他の添加剤の使用により光硬化性組成物の架橋特性を確実に損なわないようにするために注意する必要がある。
【0079】
好適な充填剤及び/又は補強剤としては、光硬化性組成物を硬化させるために使用される波長で本質的に透明であり、化学線を散乱させない、不混和性、重合性、又は非重合性の有機又は無機充填剤又は補強剤が挙げられ、例えば、ポリスチレン、有機親和性シリカ、ベントナイト、シリカ、粉末ガラス、コロイド状炭素、並びに様々な種類の染料及び顔料が挙げられる。かかる材料は、エラストマー組成物の所望の特性によって量を変動させて使用される。充填剤は、エラストマー層の強度を向上させる際に、粘着性を低減させる際に、更に着色剤として有用である。
【0080】
連続液体界面3D法を使用して、本明細書に記載の圧縮性バッキング層を製造することによって、得られる構造は、25~95、好ましくは約45~約70、より好ましくは約50~約65のショアA硬度を有する。得られた構造は、好ましくは50%を超える弾性伸びを有する。
【0081】
別の実施形態において、本発明はまた、概して、3次元印刷によって光硬化構造を作製する方法に関し、当該方法は、
a)液体光硬化性組成物を3次元プリンタのリザーバに提供することであって、液体光硬化性組成物は、
i)バインダ樹脂と、
ii)モノマーと、
iii)光開始剤と、を含む、ことと、
b)基板を含むキャリア版を提供することであって、基板は、光硬化構造が形成される表面を提供する、ことと、
c)3次元プリンタを使用して、印刷された光硬化性組成物を化学線に露光しながら光硬化性組成物を基板上に印刷して、印刷された光硬化性組成物を硬化させて、光硬化構造を形成することと、を含む。
【0082】
バッキング層及びレリーフ像印刷層の硬度は、各層が硬化後に所望の相対硬度を有するように各層の組成を調整することによって制御される。これは、例えば、光重合中に起こる架橋の量を制御することによって達成することができる。ポリマー組成物中の架橋の量は、その硬度に直接比例し、異なる不飽和度を有するポリマーを選択又は作製することによって架橋の量を調節するように制御することができる。ポリマー組成物内の不飽和度が高いほど、より多くの架橋ポリマーがいったん硬化され、したがってより硬くなる。レリーフ像フレキソ印刷版を構成する硬化フォトポリマー樹脂の異なる程度の硬度、並びに他の所望の物理的及び化学的特性を達成するこの方法及び他の方法は、当業者に周知である。
【0083】
本発明の光硬化性層は、少なくともいくつかの化学線波長領域において架橋(硬化)し、それによって硬化するはずである。本明細書で使用される場合、化学線は、露光部分の化学変化を生じさせることができる放射線である。化学線としては、例えば、特にUV及び赤外波長領域における増幅(例えば、レーザー)光及び非増幅光が挙げられる。本発明の光硬化性材料を硬化させるための好ましい化学線波長領域は、約250nm~約450nm、より好ましくは約300nm~約400nm、更により好ましくは約320nm~約380nmである。化学線の1つの好適な源はUVランプであるが、他の源も当業者に一般的に知られている。
【0084】
本明細書に記載の光硬化構造は、通常の液体フォトポリマーが伝統的に処理されるように処理することができ、未露光のフォトポリマー層を除去するために、回収、洗浄、後露光、乾燥、及び光仕上げの工程を含む。
【0085】
一実施形態では、バッキング層の厚さは約0.015~約0.125インチであり、バッキング層とレリーフ像印刷層とを含むオールインワン構造の厚さは約0.045~約0.250インチである。
【0086】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0087】
本明細書で使用する場合、用語「約」とは、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、及び依然として更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書に記載される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0088】
本明細書で使用する場合、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図で示されるように、別の要素又は特徴部に対する1つの要素又は機構の関係を説明するための説明を容易にするために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0089】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」とは、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上のその他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0090】
本明細書で使用するとき、特定の要素又は化合物に関し、「実質的に含まない」又は「本質的に含まない」とは、上記で定義されていない場合、所与の元素又は化合物が、浴分析のための金属めっきの当業者に周知である通常の分析手段によって検出されないことを意味する。このような方法としては、典型的には、原子吸光分光法、滴定法、UV-Vis分析法、二次イオン質量分析法、及びその他の一般的に利用可能な分析方法が挙げられる。
【0091】
最後に、以下の「特許請求の範囲」は、本明細書に記載される本発明の一般的な特徴及び具体的な特徴の全て、並びに言語の問題としてその間にあり得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することを意図していることも理解されたい。