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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】撮像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240326BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20240326BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240326BHJP
   H10K 39/32 20230101ALI20240326BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240326BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240326BHJP
   H10K 59/65 20230101ALI20240326BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09G3/3233
G09G3/20 691E
G09G3/20 680V
G09G3/20 680H
G09G3/20 680A
H01L27/146 E
H10K39/32
H04N25/70
H04N25/76
H10K59/65
H10K59/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023103934
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2022108179の分割
【原出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2023130390
(43)【公開日】2023-09-20
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2017090230
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直人
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-241827(JP,A)
【文献】特開2001-292276(JP,A)
【文献】特開2017-055448(JP,A)
【文献】特開平09-252433(JP,A)
【文献】特開2002-237923(JP,A)
【文献】特開2008-177738(JP,A)
【文献】特開2002-305297(JP,A)
【文献】特開2002-314756(JP,A)
【文献】特開2015-115789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315115(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
G09G 3/00-3/38
H01L 27/146
H10K 39/32
H04N 25/70
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面に撮像部と、
前記第1の面とは逆の第2の面に表示部と、を有する撮像表示装置であって、
前記表示部は、第1の画素を有し、
前記撮像部は、前記第1の面に照射された光を受光する光電変換素子と、第1のトランジスタと、を有し、
前記第1の画素は、前記第1の面とは逆の方向に光を放射する第1の発光素子と、前記第1の面とは逆の方向に光を放射する第2の発光素子と、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、を有し、
前記光電変換素子は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記光電変換素子は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続されておらず、
前記第2のトランジスタは、前記第1の発光素子に流れる電流を調整する機能を有し、
前記第3のトランジスタは、前記第2の発光素子に流れる電流を調整する機能を有し、
前記光電変換素子は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、出力線と電気的に接続されている撮像表示装置。
【請求項2】
第1の面に撮像部と、
前記第1の面とは逆の第2の面に表示部と、を有し、
前記表示部は、第1の画素を有し、
前記撮像部で撮像したデータを外部に出力する機能を有する撮像表示装置であって、
前記撮像部は、前記第1の面に照射された光を受光する光電変換素子を有し、
前記第1の画素は、前記第1の面とは逆の方向に光を放射する第1の発光素子と、前記第1の面とは逆の方向に光を放射する第2の発光素子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
前記光電変換素子は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記光電変換素子は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続されておらず、
前記第1のトランジスタは、前記第1の発光素子に流れる電流を調整する機能を有し、
前記第2のトランジスタは、前記第2の発光素子に流れる電流を調整する機能を有する撮像表示装置。
【請求項3】
第1の面に撮像部と、
前記第1の面とは逆の第2の面に表示部と、を有する撮像表示装置であって、
前記表示部は、第1の画素を有し、
前記撮像部は、前記第1の面に照射された光を受光する光電変換素子と、第1のトランジスタと、を有し、
前記第1の画素は、前記第1の面とは逆の方向に光を放射する第1の発光素子と、前記第1の面とは逆の方向に光を放射する第2の発光素子と、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、を有し、
前記光電変換素子は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記光電変換素子は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記光電変換素子は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続されておらず、
前記第1の発光素子は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2の発光素子は、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、出力線と電気的に接続されている撮像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、撮像表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装
置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を
一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、
表示装置、撮像装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
基板上に形成された酸化物半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されて
いる。例えば、酸化物半導体を有するオフ電流が極めて低いトランジスタを画素回路に用
いる構成の撮像装置が特許文献1に開示されている。
【0005】
また、撮像装置は表示装置とともに様々な電子機器に組み込まれており、撮像した画像を
その場で確認することができる。また、現実に撮像された画像と、サーバ等から取得した
文字情報やコンピュータグラフィックス(CG)などの付加データとを組み合わせて表示
する拡張現実(AR:Augmented Reality)と呼ばれる技術も使用され
ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-119711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
撮像装置で取得した画像データはアナログデータであるため、デジタルデータに変換され
て記録媒体や表示装置に伝送される。そして、表示装置では当該デジタルデータを再びア
ナログデータに変換して表示素子を駆動させる。そのため、撮像した画像をリアルタイム
で表示する場合であっても、表示装置で実際に表示されている画像には、現実との間に遅
延が生じている。
【0008】
また、AR表示において、付加データの表示にはサーバとの通信時間およびデータ処理時
間を要する。したがって、現実との整合性を得るためには、サーバとの通信の高速化の他
、サーバ負荷の縮小、高性能なデータ処理装置の適用が有効となる。
【0009】
また、ディスプレイをシースルー型にすることで、現実はディスプレイを透過する実像と
し、付加データのみをディスプレイに表示する方法も提案されている。しかし、視認者の
位置とディスプレイの位置関係が必ずしも一定ではないため、現実と付加データの表示の
位置調整が必要となる。たとえば、ディスプレイを正面から見た場合には、ある物体と文
字等の付加データとが重なるように表示できても、斜めからディスプレイを見た場合は、
その重なりにずれが生じてしまう。
【0010】
したがって、本発明の一態様では、撮像部で取得したアナログデータをデジタルデータに
変換せずに表示部に伝送することのできる撮像表示装置を提供することを目的の一つとす
る。または、AR表示に使用する付加データを高速に取得することのできる撮像表示装置
を提供することを目的の一つとする。または、AR表示において、現実と付加データの表
示の位置調整が不要な撮像表示装置を提供することを目的の一つとする。
【0011】
または、低消費電力の撮像表示装置を提供することを目的の一つとする。または、ノイズ
の少ない画像を撮像することができる撮像表示装置を提供することを目的の一つとする。
または、高感度の撮像が行える撮像表示装置を提供することを目的の一つとする。または
、信頼性の高い撮像表示装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な撮像表
示装置などを提供することを目的の一つとする。または、上記撮像表示装置の駆動方法を
提供することを目的の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供することを目的
の一つとする。
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、第1の面に撮像部を有し、第1の面とは逆の第2の面に表示部を有す
る撮像表示装置に関する。
【0014】
本発明の一態様は、第1の面に撮像部を有し、第1の面とは逆の第2の面に表示部を有し
、撮像部は、第1の面に照射された光を受光する光電変換素子を有し、表示部は、第1の
面とは逆の方向に光を放射する発光素子を有し、前記光電変換素子は、トランジスタのゲ
ートと電気的に接続され、前記発光素子は、前記トランジスタのソースまたはドレインの
一方と電気的に接続される撮像表示装置である。
【0015】
さらにデータ処理部を有する構成とすることができる。データ処理部は、被写体の種類を
推定するニューラルネットワークを有する。また、データ処理部は光電変換素子と発光素
子との間に設けることができる。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、第1の層と、第2の層と、第3の層と、を有し、第2の層
は、第1の層と第3の層との間に設けられ、第1の層は発光素子を有し、第2の層は第1
のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、第3の層は光電変換素子を有し、発
光素子は、第1のトランジスタと電気的に接続され、光電変換素子は、第2のトランジス
タと電気的に接続され、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとは電気的に接続さ
れている撮像表示装置である。
【0017】
さらに第4の層を有し、第4の層は、第2の層と第3の層との間に設けられ、第4の層は
第3のトランジスタを有し、第3のトランジスタと、第2のトランジスタとは電気的に接
続され、第1および第2のトランジスタはチャネル形成領域に金属酸化物を有し、第3の
トランジスタはチャネル形成領域にシリコンを有する構成とすることができる。
【0018】
金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、C
e、NdまたはHf)と、を有することが好ましい。
【0019】
光電変換素子は、セレンまたはセレンを含む化合物を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のト
ランジスタと、光電変換素子と、発光素子と、を有する撮像表示装置であって、第1のト
ランジスタのソースまたはドレインの一方には光電変換素子の一方の電極が電気的に接続
され、光電変換素子の一方の電極には第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方
が電気的に接続され、第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方には第3のトラ
ンジスタのゲートが電気的に接続され、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一
方には、発光素子の一方の電極が電気的に接続されている撮像表示装置である。
【0021】
さらに第4のトランジスタを有し、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方は
、第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第4のトラン
ジスタのソースまたはドレインの他方は、第3のトランジスタのゲートと電気的に接続さ
れている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様を用いることで、撮像部で取得したアナログデータをデジタルデータに変
換せずに表示部に伝送することのできる撮像表示装置を提供することができる。または、
AR表示に使用する付加データを高速に取得することのできる撮像表示装置を提供するこ
とができる。または、AR表示において、現実と付加データの表示の位置調整が不要な撮
像表示装置を提供することができる。
【0023】
または、低消費電力の撮像表示装置を提供することができる。または、ノイズの少ない画
像を撮像することができる撮像表示装置を提供することができる。または、高感度の撮像
が行える撮像表示装置を提供することができる。または、信頼性の高い撮像表示装置を提
供することができる。または、新規な撮像表示装置などを提供することができる。または
、上記撮像表示装置の駆動方法を提供することができる。または、新規な半導体装置など
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】撮像表示装置を説明する図。
図2】撮像表示装置のブロック図。
図3】被写体に関する情報表示の動作を説明するフローチャート。
図4】撮像表示装置の構成例を説明する図。
図5】撮像表示装置の構成例を説明する図。
図6】撮像表示装置が有する要素の電気的な接続を説明する図。
図7】画素回路とその他の回路の電気的な接続を説明する図。
図8】画素回路を説明する図およびタイミングチャート。
図9】画素回路を説明する図およびタイミングチャート。
図10】画素回路を説明する図およびタイミングチャート。
図11】画素回路を説明する図。
図12】画素回路を説明する図。
図13】画素回路を説明する図およびタイミングチャート。
図14】画素回路を説明する図およびタイミングチャート。
図15】表示部に表示される画像の例を説明する図。
図16】ニューラルネットワークで被写体のカテゴリーを推定する動作を説明する図。
図17】ニューラルネットワークの構成例を示す図。
図18】半導体装置の構成例を示す図。
図19】記憶回路の構成例を示す図。
図20】メモリセルの構成例を示す図。
図21】回路の構成例を示す図。
図22】半導体装置の動作を説明するタイミングチャート。
図23】撮像装置の画素の構成を説明する図。
図24】撮像装置の画素の構成を説明する図。
図25】撮像装置の画素の構成を説明する図。
図26】撮像装置の構成を説明する図。
図27】電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成
において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通
して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハ
ッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である撮像表示装置について、図面を参照して説明す
る。
【0027】
本発明の一態様は、撮像部と表示部を有する撮像表示装置である。当該撮像表示装置は、
第1面に撮像部を備え、第1面とは逆の第2面に表示部を備える。光を検知する面と光を
放出する面が逆向きとなるため、スマートグラス、望遠鏡、双眼鏡、単眼鏡、顕微鏡、暗
視スコープなどに適した構成となっている。
【0028】
当該撮像表示装置では、撮像部と表示部のそれぞれに画素を有し、撮像部の画素と表示部
の画素が電気的に接続されている。または、一つの画素に撮像部として機能する部分と表
示部として機能する部分を有しているともいえる。当該構成によって、撮像部で取得した
画像信号を表示部に直接入力することができる。したがって、データ変換にともなう遅延
時間をなくすことができ、撮像した画像を瞬時に表示することができる。
【0029】
図1は、本発明の一態様の撮像表示装置を説明する図である。撮像表示装置100は、撮
像部(IS)101と、表示部(DIS)102を有する。撮像部101と被写体105
との間にはレンズ103を設けてもよい。また、表示部102と視認者106との間には
レンズ104を設けてもよい。
【0030】
例えば、レンズ103は被写体105を撮像部101に縮小投影する機能を有する。また
、レンズ104は表示部102上に表示されている画像を視認者106に対して拡大投影
する機能を有する。なお、図1ではレンズ103、104をそれぞれ1枚の凸レンズで表
してあるが、構成および機能は任意であり、組み合わせレンズなどを用いてもよい。また
、表示部102と被写体105との間に光路を調整するミラーを設けてもよい。
【0031】
撮像部101の画素のそれぞれは、対応する表示部102の画素と一対一で電気的に接続
されている。したがって、撮像部101の画素で画像信号として取得したアナログデータ
は、デジタルデータに変換されることなく表示部102の画素に伝送され、表示が行われ
る。
【0032】
したがって、本発明の一態様の撮像表示装置では、現実の表示の遅延を極めて小さくする
ことができる。
【0033】
図2に撮像表示装置100のブロック図の一例を示す。撮像表示装置100は、撮像部1
01および表示部102のほか、データ処理部200を有する。データ処理部200は、
例えば、演算部(CPU)201と、画像処理部(GPU)202と、位置センサ(GP
S)203と、入出力部(I/O)204と、記憶部(MEM)205を有する。
【0034】
撮像部101、表示部102およびデータ処理部200の要素は互いに電気的に接続され
ており、必要に応じて信号およびデータの授受を行うことができる。なお、いずれかの要
素が他のいずれかの要素と電気的に接続していない場合もある。また、いずれかの要素の
機能を他の要素が有する場合がある。また、一つの要素の機能を複数の要素に分散する場
合もある。
【0035】
撮像部101は、画像データを撮像する機能を有し、CMOSイメージセンサなどの撮像
装置を用いることができる。表示部102は、画像データを表示する機能を有する。例え
ば、有機EL素子などの発光素子を用いた表示装置を用いることが好ましい。
【0036】
演算部201は、撮像表示装置100全体の動作に関わる演算を行う機能を有し、例えば
中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)などを
用いることができる。
【0037】
画像処理部202は、画像に関するデータ処理を行う機能を有し、例えば画像処理装置(
GPU:Graphics Processing Unit)などを用いることができ
る。また、画像処理部202は、画像を解析するためのニューラルネットワーク(NN)
207を有することができる。
【0038】
位置センサ203は、撮像表示装置100の位置を特定する機能を有し、例えば、GPS
(Global Positioning System)受信機を用いることができる
。さらに、ジャイロセンサ、加速度センサ、光センサ、温度センサなどを備えていてもよ
い。
【0039】
入出力部204は、外部から情報を取得する機能または外部に情報を出力する機能を有す
る。例えば、入出力部204は有線または無線のネットワークと接続することができ、当
該ネットワークを介してサーバ(SV)206と情報の入出力を行うことができる。また
、入出力部204には、取得した画像データと照合するための情報が記憶された媒体が接
続されてもよい。
【0040】
記憶部205は、撮像表示装置100に動作にかかわるプログラムや設定項目を保存する
機能を有する。また、撮像部101で撮像した画像データを保存する機能を有する。なお
、記憶部205の一部としても機能する、取り外し可能な記憶媒体(MEM)208を用
いてもよい。
【0041】
ここで、ニューラルネットワーク207では、撮像部101で撮像した被写体が建物であ
るか、植物であるか、人であるかなどのカテゴリーを推定する動作を行う。例えば、被写
体に関する情報をAR表示で得たい場合、従来では位置センサ203を用いて建物や道路
などの情報を得ることはできたが、位置によって特定されない被写体の情報を得ることは
困難であった。
【0042】
被写体の画像情報のみをサーバ206に送信して情報を得ようとした場合、サーバ206
側で被写体が何であるかカテゴリーから解析する必要がある。そのため、サーバ206側
の負担が大きくなり、検索に時間を要する。また、情報不足のため解析できない場合や、
解析のためにさらに情報を要求されることもあり得る。
【0043】
ニューラルネットワーク207でカテゴリーを推定し、画像データに加えてカテゴリーの
推定結果も送信することで、サーバ206での解析の負担を大幅に削減することができる
。また、位置センサ203で取得した情報も加えてサーバ206に送信してもよい。カテ
ゴリーの確定後にサーバ206に情報を送信することで、サーバ206から高速に検索結
果を得ることができる。
【0044】
したがって、本発明の一態様の撮像表示装置では、ニューラルネットワークを用いた被写
体のカテゴリー推定で、現実との整合性の高いAR表示を行うことができる。
【0045】
ここで、撮像表示装置100において、撮像部101での撮像動作および表示部102で
の表示動作が繰り返し行われているときに任意のタイミングでAR表示を行う動作の一例
図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、位置センサ203での位置情報の
取得、その他のセンサを備えている場合における各種環境情報の取得も撮像動作等と同時
に行われているものとする。
【0046】
まず、演算部201および画像処理部202等で撮像した画像から被写体を抽出し、画像
解析を行う。ここでは、画像の中の被写体の数、形状、色などの分類を行う(S1)。
【0047】
次に、情報表示を行う被写体を選択する(S2)。なお、画像中に含まれる全ての被写体
が選択されるように予め設定されていてもよい。
【0048】
次に、選択された被写体について、既に取得している被写体の位置情報等およびS1の画
像解析で得た情報を用いて、ニューラルネットワーク207で被写体のカテゴリーの推定
を行う(S3)。
【0049】
次に、被写体の画像、S3のカテゴリー推定に用いた情報、およびカテゴリーの推定結果
をサーバ206に送信し、サーバ206で被写体に関する情報の検索を行う(S4)。
【0050】
そして、サーバ206から被写体に関する情報を受信し(S5)、表示部102で当該情
報をAR表示する(S6)。
【0051】
情報表示を行う被写体を変更したい場合は、S2に戻り、再度被写体を選択する。
【0052】
次に、図4(A)乃至図7を用いて撮像表示装置100として適用できる構成例を説明す
る。図4(A)乃至図7で共通する要素の符号は同じとする。
【0053】
図4(A)に示す撮像表示装置110は、層111と、層112と、層113が順に積層
された構成を有する。撮像表示装置110では、撮像部101の要素を層111および層
112に設けることができる。また、表示部102の要素を層112および層113に設
けることができる。
【0054】
図4(C)は、撮像表示装置110の各層を説明する図である。層111は、フォトダイ
オードが設けられた領域153を有する。当該フォトダイオードは、シリコン基板を光電
変換層とするpn型フォトダイオードまたはpin型フォトダイオードを用いることが好
ましい。
【0055】
層112は、シリコン基板に設けられた領域151および領域152を有する。領域15
1および領域152は、シリコンをチャネル形成領域としたトランジスタを有する。なお
、領域152は複数であり、それぞれに異なる機能の回路を設けることができる。
【0056】
領域151は、撮像部101の画素回路(光電変換素子を除く)と、表示部102の画素
回路(表示素子を除く)が混在した構成を有する。領域152には、撮像部101の画素
回路または表示部102の画素回路の駆動回路や読み出し回路などを設けることができる
【0057】
層113は、表示素子が設けられた領域150を有する。当該表示素子には、有機EL層
を有する発光素子を用いることが好ましい。
【0058】
なお、領域153と、領域151と、領域150とは、ほぼ同じ面積となる。
【0059】
図6(A)は、撮像表示装置110における一つの画素を構成する要素の電気的な接続を
例示する図である。領域153は、光電変換素子161を有する。領域151は、トラン
ジスタ162a、162bを有する。領域150は表示素子163を有する。
【0060】
トランジスタ162a、162bは、撮像部101および表示部102の画素回路162
の一部の要素である。光電変換素子161、トランジスタ162a、162bおよび表示
素子163は、それぞれ領域153、領域151または領域150内においてマトリクス
状に配置される。
【0061】
光電変換素子161は、トランジスタ162a、162bと重なる領域を有するように配
置される。光電変換素子161の一方の電極は、トランジスタ162aのソースまたはド
レインの一方と電気的に接続される。
【0062】
トランジスタ162a、162bは、表示素子163と重なる領域を有するように配置さ
れる。トランジスタ162bのソースまたはドレインの一方は、表示素子163の一方の
電極と電気的に接続される。
【0063】
なお、画素回路162に相当する回路の詳細は後述するが、トランジスタ162aのソー
スまたはドレインの他方と、トランジスタ162bのゲートは電気的に接続される。
【0064】
また、図7(A)は、撮像表示装置110における画素回路162と領域152に設けら
れた回路152a、152b、152c、152dの電気的な接続を例示する図である。
なお、回路152a、152b、152c、152dは、画素回路162を駆動する機能
または画素回路162から信号を読み出す機能などを有することができる。
【0065】
回路152aは、撮像部101のロードライバとしての機能を有することができる。回路
152aは、配線を介して画素回路162の要素と電気的に接続される。回路152bは
、撮像部101のカラムドライバとしての機能を有することができる。また、回路152
bは、ノイズを除去するためのCDS(correlated double samp
ling)回路、およびA/Dコンバータの機能を有していてもよい。回路152bは、
配線を介して画素回路162の要素と電気的に接続される。
【0066】
回路152cは、表示部102のロードライバとしての機能を有することができる。回路
152cは、配線を介して画素回路162の要素と電気的に接続される。回路152dは
、表示部102のカラムドライバとしての機能を有することができる。回路152dは、
配線を介して画素回路162の要素と電気的に接続される。
【0067】
また、図4(D)の各層の説明図に示すように、層112における領域151の相対的な
面積を小さくすることで、層112における領域152の相対的な面積を大きくすること
ができる。このとき、領域152には、上述した駆動回路等を設けるほか、データ処理部
200が有するいずれかの要素または当該要素に含まれる一部の回路を設けてもよい。
【0068】
また、撮像表示装置100は、図4(B)に示す撮像表示装置120の構成であってもよ
い。撮像表示装置120は、撮像表示装置110と光電変換素子が異なる構成であり、層
115を有する。
【0069】
層115に設けられる光電変換素子は、セレンまたはセレンの化合物を有することが好ま
しい。セレン系材料を用いた光電変換素子では、アバランシェ増倍効果を利用することに
より、低照度時の光検出感度を高めることができる。また、光電変換層に有機半導体を用
いたフォトダイオードであってもよい。
【0070】
また、撮像表示装置100は、図5(A)に示す撮像表示装置130の構成であってもよ
い。撮像表示装置130は、層111と、層112と、層114と、層113が順に積層
された構成を有する。
【0071】
撮像表示装置130では、撮像部101の要素を層111、層112および層114に設
けることができる。また、表示部102の要素を層112、層114および層113に設
けることができる。
【0072】
図5(C)の各層の説明図に示すように、層114は領域154および領域155を有す
る。領域154および領域155は、金属酸化物をチャネル形成領域としたトランジスタ
を有する。なお、領域155は複数であり、それぞれに異なる機能の回路を設けることが
できる。
【0073】
領域154は、撮像部101の画素回路の要素(光電変換素子を除く)および表示部10
2の画素回路の要素(表示素子を除く)が混在した構成を有する。領域155には、撮像
部101の画素回路または表示部102の画素回路の駆動回路等を設けることができる。
【0074】
図6(B)は、撮像表示装置130における一つの画素を構成する要素の電気的な接続の
一例を説明する図である。領域153は、光電変換素子161を有する。領域151は、
トランジスタ165a、165b、および接続部166を有する。領域154は、トラン
ジスタ167a、167bを有する。領域150は、表示素子163を有する。
【0075】
トランジスタ165a、165b、167a、167bは、撮像部101および表示部1
02の画素回路167の一部の要素である。接続部166はシリコン基板に形成したスル
ーホール等とすることができる。
【0076】
光電変換素子161、トランジスタ165a、165b、トランジスタ167a、167
bおよび表示素子163は、それぞれ領域153、領域151、領域154または領域1
50内において、マトリクス状に配置される。
【0077】
光電変換素子161はトランジスタ165a、165bと重なる領域を有するように配置
される。光電変換素子161の一方の電極はトランジスタ167aのソースまたはドレイ
ンの一方と接続部166を介して電気的に接続される。
【0078】
トランジスタ165a、165bのいずれかは、トランジスタ167a、167bのいず
れかと重なる領域を有するように配置される。トランジスタ165aのゲートは、トラン
ジスタ167aのソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。
【0079】
トランジスタ167a、167bは、表示素子163と重なる領域を有するように配置さ
れる。トランジスタ167bのソースまたはドレインの一方は、表示素子163の一方の
電極と電気的に接続される。
【0080】
画素回路167に相当する回路の詳細は後述するが、トランジスタ167aのソースまた
はドレインの他方と、トランジスタ167bのゲートは電気的に接続される。
【0081】
また、図7(B)は、撮像表示装置130における画素回路167と、領域155に設け
られた回路155a、155bと、回路152e、152f、152g、152hとの電
気的な接続を例示する図である。なお、回路155a、155b、152e、152f、
152g、152hは、画素回路167を駆動する機能または画素回路167から信号を
読み出す機能などを有することができる。
【0082】
層114に設けられた回路155a、155bは、表示部102のロードライバとしての
機能を有することができる。回路155a、155bは、配線を介して層114に設けら
れた画素回路167の要素と電気的に接続することができる。
【0083】
層112に設けられた回路152hは、表示部102のカラムドライバとしての機能を有
することができる。回路152hは、配線を介して層114に設けられた画素回路167
の要素と電気的に接続することができる。
【0084】
層112に設けられた回路152e、152gは、撮像部101のロードライバとしての
機能を有することができる。回路152eは、配線を介して層112に設けられた画素回
路167の要素と電気的に接続することができる。回路152gは、配線を介して層11
4に設けられた画素回路167の要素と電気的に接続することができる。
【0085】
層112に設けられた回路152fは、撮像部101のカラムドライバとしての機能を有
することができる。また、回路152fは、ノイズを除去するためのCDS回路およびA
/Dコンバータの機能を有していてもよい。回路152fは、配線を介して層112に設
けられた画素回路167の要素と電気的に接続される。
【0086】
また、図5(D)の各層の説明図に示すように、層114における領域154の相対的な
面積を小さくすることで、層114における領域155の相対的な面積を大きくすること
ができる。このとき、領域155には、上述した駆動回路を設けるほか、データ処理部2
00が有するいずれかの要素または当該要素に含まれる一部の回路を設けてもよい。
【0087】
また、撮像表示装置100は、図5(B)に示す撮像表示装置140の構成であってもよ
い。撮像表示装置140は、撮像表示装置130と光電変換素子が異なる構成であり、セ
レンまたはセレンの化合物を有する光電変換素子が設けられた層115を有する。
【0088】
なお、上記では撮像部101および表示部102と電気的に接続される回路を領域152
または領域155に設ける形態を説明したが、当該回路は外付けのICチップ内に設けら
れていてもよい。
【0089】
上述した画素回路162または画素回路167として用いることができる画素回路の構成
例を図8(A)乃至図14(B)を用いて説明する。なお、図8(A)乃至図14(B)
において、共通した機能を有するトランジスタなどの要素の符号は同じとする。なお、厳
密には分離できないが、主に表示部102の画素として動作する部分を回路部102aと
する。
【0090】
図8(A)に示す画素回路171は、本発明の一態様の基本的な構成の一つである。画素
回路171は、電荷検出部NDの電位を光電変換素子で確定させ、電荷検出部NDの電位
に応じて表示素子を発光させる機能を有する。したがって、データ変換などのステップを
経ることなく撮像から表示までの動作を高速に行うことができる。
【0091】
画素回路171は、光電変換素子10と、トランジスタ51と、トランジスタ52と、ト
ランジスタ53と、表示素子11と、容量素子60と、を有する。
【0092】
なお、光電変換素子10は、図6(A)、(B)に示す光電変換素子161に相当する。
トランジスタ52は、図6(A)、(B)に示すトランジスタ162aまたはトランジス
タ167aに相当する。トランジスタ53は、図6(A)、(B)に示すトランジスタ1
62bまたはトランジスタ167bに相当する。表示素子11は、図6(A)、(B)に
示す表示素子163に相当する。
【0093】
トランジスタ51のソースまたはドレインの一方は、光電変換素子10の一方の電極(ア
ノード)と電気的に接続される。光電変換素子10の一方の電極は、トランジスタ52の
ソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ52のソースまたはド
レインの他方は、トランジスタ53のゲートと電気的に接続される。トランジスタ53の
ソースまたはドレインの一方は、表示素子11の一方の電極(アノード)と電気的に接続
される。トランジスタ53のゲートは、容量素子60の一方の電極と電気的に接続される
。なお、容量素子60を設けない構成とすることもできる。
【0094】
光電変換素子10の他方の電極(カソード)は、配線72と電気的に接続される。トラン
ジスタ51のゲートは、配線76と電気的に接続される。トランジスタ52のゲートは、
配線75と電気的に接続される。トランジスタ51のソースまたはドレインの他方は、配
線73と電気的に接続される。トランジスタ53のソースまたはドレインの他方は、配線
74と電気的に接続される。表示素子11の他方の電極(カソード)は配線86と電気的
に接続される。容量素子60の他方の電極は、配線77と電気的に接続される。
【0095】
配線72、73、74、77、86は、電源線としての機能を有することができる。例え
ば、配線73、77、86は低電位電源線、配線74は高電位電源線として機能させるこ
とができる。配線75、76は、各トランジスタのオンオフを制御する信号線として機能
させることができる。
【0096】
光電変換素子10には、低照度時の光検出感度を高めるためアバランシェ増倍効果を生じ
る光電変換素子を用いてもよい。アバランシェ増倍効果を生じさせるためには、比較的高
い電位HVDD(例えば10V以上であって、VDDより高い電位)が必要となる。した
がって、配線72は、電位HVDDを供給することのできる電源と電気的に接続されるこ
とが好ましい。なお、光電変換素子10は、アバランシェ増倍効果が生じない電位を印加
して使用することもできる。また、光電変換素子10として、アバランシェ増倍効果が生
じない素子を用いることもできる。
【0097】
トランジスタ51は、電荷検出部NDの電位を初期化する機能を有することができる。ト
ランジスタ52は、電荷検出部NDを制御する機能を有することができる。トランジスタ
53は、電荷検出部NDの電位に応じて表示素子11に流れる電流を制御する機能を有す
ることができる。
【0098】
なお、図8(B)に示す画素回路172のように、トランジスタ53のゲートにトランジ
スタ54のソースまたはドレインの一方を電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方
に容量素子60の一方の電極を電気的に接続した構成としてもよい。このとき、トランジ
スタ54のゲートには信号線として機能することができる配線87が電気的に接続される
【0099】
画素回路172の構成とすることで、電荷検出部NDの容量値を可変とすることができる
。したがって、低照度環境下ではトランジスタ54をオフとすることで、高感度の撮像を
行うことができる。また、高照度環境下ではトランジスタ54をオンとすることで、低感
度の撮像を行うことができる。
【0100】
なお、画素回路171、172では、配線74に供給する電位を可変とすることでも感度
を調整した撮像を行うことができる。特に、配線74に供給する電位を高めることで、表
示素子11の輝度を高めることができるため、暗視スコープなどの用途に適する。
【0101】
光電変換素子10に高電圧を印加する場合では、光電変換素子10と接続されるトランジ
スタには高耐圧のトランジスタを用いる必要がある。高耐圧のトランジスタには、例えば
、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)など
を用いることができる。具体的には、トランジスタ51およびトランジスタ52にOSト
ランジスタを適用することが好ましい。
【0102】
また、トランジスタ51およびトランジスタ52の低いオフ電流特性によって、電荷検出
部NDで電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。そのため、回路構成や動
作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ
方式を適用することができる。
【0103】
したがって、光電変換素子10に高電圧を印加する場合では、撮像表示装置130または
撮像表示装置140の構成を用いることが好ましい。なお、撮像表示装置130または撮
像表示装置140に画素回路171、172を適用する場合は、トランジスタ165a、
165bは不要となる。
【0104】
また、光電変換素子10に高電圧を印加しないで使用する場合は、トランジスタ51およ
びトランジスタ52にシリコンを活性層または活性領域に用いたトランジスタ(以下、S
iトランジスタ)を適用してもよい。したがって、撮像表示装置110または撮像表示装
置120の構成を用いることもできる。
【0105】
表示素子11としては、発光素子を用いることが好ましい。発光素子としては、有機物の
発光層を含む有機EL素子(OLED)などを用いることができる。有機EL素子はダイ
オード特性を示し、順方向バイアスを印加することで電流を流すことができる。また、当
該電流をトランジスタで調整することによって輝度を変化させることができる。
【0106】
次に、図8(C)のタイミングチャートを用いて、画素回路171、172の基本動作を
説明する。なお、以下に説明する一例の動作において、配線75、76には、”H”とし
てVDD、”L”としてGNDの電位が供給されるものとする。配線72、74には、V
DDの電位が供給されるものとする。配線73、77、86には、GNDの電位が供給さ
れるものとする。なお、各配線に上記以外の電位を供給する形態とすることもできる。
【0107】
時刻T1に配線76を”H”、配線75を”H”とし、電荷検出部NDの電位をリセット
電位(GND)に設定する(リセット動作)。このとき、トランジスタ53は非導通であ
るため、表示素子11は発光しない。
【0108】
時刻T2に配線76を”L”、配線75を”H”とすることで、電荷検出部NDの電位が
変化し始める(蓄積動作)。電荷検出部NDの電位は、光電変換素子10に入射した光の
強度に応じてGNDから最大でVDDまで変化する。
【0109】
時刻T3に配線75を”L”とし、電荷検出部NDの電位を確定させる。このとき、電荷
検出部NDの電位がトランジスタ53のしきい値電圧より大きければトランジスタ53は
導通し、電流値に応じて表示素子11は発光する(表示動作)。
【0110】
その後、一定期間表示を継続し、時刻T4で再度リセット動作を行う。上記動作を繰り返
すことで、撮像および表示の動作を高速に行うことができる。また、リセット動作時に適
度に黒表示が挿入されるため、動画像の残像などを低減することができる。
【0111】
なお、画素回路171、172を用いる場合は、上述したように簡単な制御で撮像および
表示が行えるため、シフトレジスタのような画素の選択回路なども不要であり、全ての画
素で同時にリセット動作、蓄積動作、表示動作を行うことができる。
【0112】
また、本発明の一態様は、図9(A)に示す画素回路173の構成であってもよい。画素
回路173は撮像データを画素の外部に出力することができる点が画素回路171と異な
る。
【0113】
画素回路173は、画素回路171の構成と、トランジスタ55と、トランジスタ56と
、を有する。トランジスタ55のゲートは、トランジスタ52のソースまたはドレインの
他方と電気的に接続される。トランジスタ55のソースまたはドレインの一方は、トラン
ジスタ56のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0114】
なお、トランジスタ55は、図6(B)に示すトランジスタ165aに相当する。トラン
ジスタ53は、図6(B)に示すトランジスタ165bに相当する。なお、トランジスタ
55、56を撮像表示装置110、120の領域151に設けることもできる。
【0115】
トランジスタ55のソースまたはドレインの他方は、配線79に電気的に接続される。ト
ランジスタ56のソースまたはドレインの他方は、配線71に電気的に接続される。トラ
ンジスタ56のゲートは配線78に電気的に接続される。
【0116】
配線79は、電源線としての機能を有することができる。例えば、配線79は高電位電源
線として機能させることができる。配線71は、画素から信号を出力する出力線としての
機能を有することができる。配線78は、トランジスタのオンオフを制御する信号線とし
て機能させることができる。
【0117】
トランジスタ55は、電荷検出部NDの電位に応じた信号を出力する機能を有することが
できる。トランジスタ56は、信号を読み出す画素を選択する機能を有することができる
【0118】
トランジスタ55は増幅特性が優れていることが望まれるため、オン電流が高いトランジ
スタであることが好ましい。したがって、トランジスタ55,56には、Siトランジス
タを適用することが好ましい。もちろん、トランジスタ55,56にOSトランジスタを
適用してもよい。
【0119】
次に、図9(B)のタイミングチャートを用いて、画素回路173の基本動作を説明する
。なお、以下に説明する一例の動作において、配線75、76、78には、”H”として
VDD、”L”としてGNDの電位が供給されるものとする。配線72、74,79には
、VDDの電位が供給されるものとする。配線73、77、86には、GNDの電位が供
給されるものとする。なお、各配線に上記以外の電位を供給する形態とすることもできる
【0120】
時刻T1乃至T3の動作は、図8(B)の説明を参照することができる。
【0121】
時刻T4に配線78を”H”とすることでトランジスタ56を導通させ、電荷検出部ND
の電位に応じた画像信号を配線71に出力する。
【0122】
その後、時刻T5で再度リセット動作を行う。上記動作を繰り返すことで、撮像および表
示の動作を高速に行うことができ、かつ画像データを外部に出力することができる。
【0123】
なお、画素回路173を用いる場合は、撮像用に画素を選択するロードライバ、およびカ
ラムドライバが必要となる。当該ロードライバおよびカラムドライバは、領域152など
に設けることができる。
【0124】
また、本発明の一態様は、図10(A)に示す画素回路174の構成であってもよい。画
素回路174は、撮像した画像とは異なる任意の画像を重ねて表示できる点が画素回路1
73と異なる。
【0125】
画素回路174は、画素回路173の構成と、トランジスタ57と、トランジスタ58と
、表示素子12と、を有する。
【0126】
トランジスタ57のソースまたはドレインの一方は、表示素子12の一方の電極と電気的
に接続される。トランジスタ57のゲートは、トランジスタ58のソースまたはドレイン
の一方と電気的に接続される。トランジスタ57のソースまたはドレインの他方は、配線
74と電気的に接続される。表示素子12の他方の電極は、配線86と電気的に接続され
る。トランジスタ58のソースまたはドレインの他方は、配線81と電気的に接続される
。トランジスタ58のゲートは、配線80と電気的に接続される。
【0127】
なお、トランジスタ57、58は、撮像表示装置110、120の領域151または撮像
表示装置130、140の領域154に設けることができる。表示素子12には表示素子
11と同様の素子を用いることができ、領域150に設けることができる。
【0128】
配線80、81は、信号線としての機能を有することができる。例えば、配線80はトラ
ンジスタ58のオンオフを制御する信号線として機能させることができる。配線81は、
画像信号を供給する信号線として機能させることができる。
【0129】
トランジスタ57は、配線81から供給される電位に応じて表示素子12に流れる電流を
制御する機能を有することができる。トランジスタ58は、任意の表示を行う画素を選択
する機能を有することができる。
【0130】
画素回路174を用いた撮像表示装置は、トランジスタ57、58および表示素子12を
用いて、任意の画像を表示することができるため、現実と情報を重ねて表示するAR表示
を行うことができる。
【0131】
次に、図10(B)のタイミングチャートを用いて、画素回路173の基本動作を説明す
る。なお、以下に説明する一例の動作において、配線75、76、78、80には、”H
”としてVDD、”L”としてGNDの電位が供給されるものとする。配線72、74,
79には、VDDの電位が供給されるものとする。配線73、77、86には、GNDの
電位が供給されるものとする。配線81には、任意の電位(画像信号)が供給されるもの
とする。なお、各配線に上記以外の電位を供給する形態とすることもできる。
【0132】
時刻T1の動作は、図8(B)の説明を参照することができる。
【0133】
時刻T2に配線76を”L”、配線75を”H”、配線80を”H”とすると、電荷検出
部NDの電位が変化し始める(蓄積動作)。電荷検出部NDの電位は、光電変換素子10
に入射した光の強度に応じてGNDから最大でVDDまで変化する。また、トランジスタ
57のゲートには配線81から供給される画像信号の書き込みが行われる。
【0134】
時刻T3に配線75を”L”、配線80を”L”とし、電荷検出部NDの電位を確定させ
る。このとき、電荷検出部NDの電位がトランジスタ53のしきい値電圧より大きければ
トランジスタ53は導通し、電流値に応じて表示素子11は発光する。また、トランジス
タ57のゲートの電位がトランジスタ57のしきい値電圧より大きければトランジスタ5
7は導通し、電流値に応じて表示素子12は発光する(表示動作)。
【0135】
時刻T4以降の動作は、図9(B)の説明を参照することができる。
【0136】
なお、画素回路174を用いる場合は、撮像用および表示用に画素を選択するロードライ
バ、およびカラムドライバが必要となる。当該ロードライバおよびカラムドライバは、領
域152、155などに設けることができる。
【0137】
また、本発明の一態様は、図11(A)に示す画素回路175の構成であってもよい。画
素回路175は、画素回路174から表示素子12を省いた構成であり、トランジスタ5
7のソースまたはドレインの他方を表示素子11の一方の電極と電気的に接続している。
【0138】
図10(A)に示す構成では、表示素子11と表示素子12のいずれか発光強度が高いほ
うが優位となって表示に現れる。したがって、表示素子12で任意の画像を表示するには
、表示素子11での表示を上書きするように発光強度を高めなければならない。図11
A)の構成であっても、配線81から表示素子11の元の表示を上書きするように信号を
入力することができるため、表示素子12を省くことができる。
【0139】
また、本発明の一態様は、図11(B)に示す画素回路176の構成であってもよい。画
素回路176は、図11(A)に示す構成と、トランジスタ59と、トランジスタ63と
、を有する。
【0140】
トランジスタ59のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ52のソースまたはド
レインの他方と電気的に接続される。トランジスタ59のソースまたはドレインの他方は
、トランジスタ53のゲートに電気的に接続される。トランジスタ59のゲートは、トラ
ンジスタ63のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ63の
ゲートは、配線85と電気的に接続される。トランジスタ63のソースまたはドレインの
他方は、配線82と電気的に接続される。
【0141】
配線82は、トランジスタ59のオンオフを制御する信号線として機能させることができ
る。配線85は、画素を選択する信号線として機能させることができる。なお、トランジ
スタ63を設けずに、トランジスタ59のゲートと配線82を電気的に接続する構成とす
ることもできる。
【0142】
トランジスタ59を非導通とすることで、撮像と同時の画像表示を停止することができる
。全ての画素でトランジスタ59を非導通とすれば、表示部102全体で配線81から供
給される任意の画像データの表示を行うことができる。また、配線71を介して外部に取
り出して加工したデータを配線81から供給して表示することもできる。例えば、撮像し
た画像の拡大表示や加工した表示などを行うことができる。
【0143】
また、画素を選択してトランジスタ59を非導通とすれば、選択した画素では撮像と同時
の画像表示を停止することができる。また、リセット期間にトランジスタ59を非導通と
すれば、トランジスタ53は非導通となり黒表示とすることができる。当該黒表示とした
画素を背景として、配線81から供給される任意の画像データの表示を行うことで、鮮明
なAR表示を行うことができる。
【0144】
なお、トランジスタ53のゲートにスイッチ(トランジスタ等)を介して低電位電源線を
電気的に接続すれば、リセット期間に限らず任意のタイミングでトランジスタ53を非導
通にすることができ、黒表示とすることができる。
【0145】
また、本発明の一態様は、図12(A)に示す画素回路177の構成であってもよい。画
素回路177は、各トランジスタにバックゲートを設けた構成である。バックゲートに定
電圧を印加することで、各トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。また、
フロントのゲートと同じ電位を印加して、オン電流およびオフ電流を制御してもよい。な
お、図12(A)では、全てのトランジスタにバックゲートを設ける構成を示しているが
、バックゲートを設けないトランジスタを有していてもよい。
【0146】
また、本発明の一態様は、図12(B)に示す画素回路178の構成であってもよい。画
素回路178は、電荷検出部NDを高電位にリセットして動作させることのできる構成の
一例である。
【0147】
画素回路178では光電変換素子10の接続の向きが逆となり、トランジスタ53がp-
ch型となる点が前述した画素回路と異なる。このとき、トランジスタ53は、Siトラ
ンジスタとすることが好ましい。また、画素回路178の動作では、配線72を低電位、
配線73を高電位とする。
【0148】
画素回路178では、電荷検出部NDの電位が光の強度が高いときは相対的に低くなり、
光の強度が低いときは相対的に高くなる。したがって、トランジスタ53をp-ch型と
し、電荷検出部NDの電位が低いときに表示素子11の発光が明るくなるように動作させ
る。
【0149】
また、本発明の一態様は、図13(A)に示す画素回路179の構成であってもよい。画
素回路179も電荷検出部NDを高電位にリセットして動作させることができる。
【0150】
画素回路179は、画素回路175の構成に加えて、トランジスタ62および容量素子6
4を有する。トランジスタ62のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ55のゲ
ートと電気的に接続される。容量素子64の一方の電極は、トランジスタ52のソースま
たはドレインの他方と電気的に接続される。容量素子64の他方の電極は、トランジスタ
55のゲートと電気的に接続される。また、画素回路175とは光電変換素子10の接続
の向きが逆となる。
【0151】
トランジスタ62のソースまたはドレインの他方は配線85と電気的に接続され、ゲート
は配線84と電気的に接続される。配線85は電源線としての機能を有することができ、
高電位を供給することができる。配線84はトランジスタ62のオンオフを制御する信号
線としての機能を有することができる。
【0152】
なお、光電変換素子10の一方の電極とトランジスタ52のソースまたはドレインの一方
とを接続する配線を電荷蓄積部RD1とする。また、トランジスタ52のソースまたはド
レインの他方と容量素子64とを接続する配線を電荷蓄積部RD2とする。
【0153】
次に、図13(B)のタイミングチャートを用いて、画素回路179の基本動作を説明す
る。なお、以下に説明する一例の動作において、配線75、76、78、80、84には
、”H”としてVDD、”L”としてGNDの電位が供給されるものとする。配線72、
77、85には、GNDの電位が供給されるものとする。配線73、74、79には、V
DDの電位が供給されるものとする。配線81には、任意の電位(画像信号)が供給され
るものとする。なお、各配線に上記以外の電位を供給する形態とすることもできる。
【0154】
時刻T1に配線76を”H”、配線75を”H”とし、電荷蓄積部RD1、RD2の電位
を第1のリセット電位(VDD)に設定する。このとき、容量素子64による容量結合に
より電荷検出部NDの電位は上昇するため、トランジスタ53は導通状態となる場合があ
り、表示素子11は発光することがある。
【0155】
時刻T2に配線75を”L”とし、時刻T3に配線76を”L”とすることで、電荷蓄積
部RD1の電位が変化し始める。電荷蓄積部RD1の電位は、光電変換素子10に入射し
た光の強度に応じてVDDから最小でGNDまで変化する。
【0156】
時刻T4に配線75を”H”、配線84を”H”とすると、電荷蓄積部RD2の電位は、
電荷蓄積部RD1の電位と同じになる。また、電荷検出部NDの電位は第2のリセット電
位に設定される。
【0157】
時刻T5に配線84を”L”とすると、容量素子64による容量結合により電荷検出部N
Dの電位は低下する。
【0158】
時刻T6に配線76を”H”とすると、電荷蓄積部RD1の電位は第1のリセット電位(
VDD)となる。換言すると、電荷蓄積部RD1、RD2の電位は、露光期間(時刻T3
から時刻T6までの間)に低下した分だけ上昇する。このとき、電荷検出部NDの電位は
、容量素子64による容量結合により電荷蓄積部RD1、RD2の電位の上昇に対応して
上昇する。つまり、電荷検出部NDは、露光期間を反映した電位となり、当該電位に応じ
て表示素子11は発光する。
【0159】
この動作では、光の強度が高いほど電荷蓄積部RD1、RD2の電位は露光期間に小さく
なるため、第1のリセット電位との差が大きくなる。そのため、電荷検出部NDの電位は
、光の強度が高いときは相対的に高く、光の強度が低いときは相対的に低くなる。
【0160】
したがって、トランジスタ53がn-ch型であっても、画素回路179は電荷検出部N
Dの電位が高いときに表示素子11の発光が明るくなるように動作させることができる。
【0161】
なお、T6はT1に対応し、上記動作を繰り返すことで撮像および表示の動作を高速に行
うことができる。
【0162】
また、本発明の一態様は、図14(A)に示す画素回路180の構成であってもよい。画
素回路180は、トランジスタ等の回路を構成する要素のノイズを相殺する相関二重サン
プリングを行うための画素回路の例である。なお、相関二重サンプリングを行うCDS回
路は、配線71と電気的に接続して設けられる。相関二重サンプリングは、配線71に取
り出された画像信号からリセット時の信号を減算することで行われる。
【0163】
画素回路180は、画素回路179の容量素子64がトランジスタ61に置き換わった構
成である。また、画素回路179とは光電変換素子の接続の向きが逆となる。トランジス
タ61のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ52のソースまたはドレインの他
方と電気的に接続される。トランジスタ61のソースまたはドレインの他方は、トランジ
スタ55のゲートと電気的に接続される。
【0164】
トランジスタ61のゲートは、配線83と電気的に接続される。配線83はトランジスタ
61のオンオフを制御する信号線としての機能を有することができる。
【0165】
なお、トランジスタ52のソースまたはドレインの他方とトランジスタ61のソースまた
はドレインの一方とを接続する配線を電荷蓄積部RDとする。
【0166】
次に、図14(B)のタイミングチャートを用いて、画素回路180の基本動作を説明す
る。なお、以下に説明する一例の動作において、配線75、76、78、80、84には
、”H”としてVDD、”L”としてGNDの電位が供給されるものとする。配線72、
74、79には、VDDの電位が供給されるものとする。配線73、77、85には、G
NDの電位が供給されるものとする。配線81には、任意の電位(画像信号)が供給され
るものとする。なお、各配線に上記以外の電位を供給する形態とすることもできる。
【0167】
時刻T1に配線76を”H”、配線75を”H”とし、電荷蓄積部RDの電位をリセット
電位(GND)に設定する(リセット動作)。
【0168】
時刻T2に配線76を”L”とすることで、電荷蓄積部RDの電位が変化し始める(蓄積
動作)。電荷蓄積部RDの電位は、光電変換素子10に入射した光の強度に応じてGND
から最大でVDDまで変化する。
【0169】
時刻T3に配線75を”L”とすると、電荷蓄積部RDの電位は確定する。
【0170】
時刻T4に配線78を”H”、配線84を”H”とすると、電荷検出部NDの電位はリセ
ット電位(GND)となり、配線71にはトランジスタ等のノイズ信号が含まれたリセッ
ト電位(GND)が読み出される。このとき、当該リセット電位(GND)はCDS回路
に格納される。また、時刻T4において、表示素子11は発光しない。
【0171】
時刻T5に配線84を”L”とし、時刻T6に配線83を”H”とすると、電荷検出部N
Dの電位は電荷蓄積部RDの電位となり、配線71にはトランジスタ等のノイズ信号が含
まれた画像信号電位が読み出される。また、時刻T5において、表示素子11は電荷検出
部NDの電位に応じて発光する。
【0172】
CDS回路では、トランジスタ等のノイズ信号が含まれた画像信号電位から先に格納した
トランジスタ等のノイズ信号が含まれたリセット電位(GND)を減算する動作が行われ
、正味の画像信号が取り出される。
【0173】
時刻T7に配線83を”L”とし、時刻T8に配線78を”L”とすることで、ノイズを
除去した画像データの取り出しが完了する。また、時刻T8は時刻T1に相当し、上記動
作を繰り返すことで、撮像および表示の高速動作、およびノイズを除去した画像データの
取り出しを行うことができる。
【0174】
なお、本発明の一態様として上記に示した画素回路171乃至180の構成は、任意に組
み合わせることができる。
【0175】
図15(A)、(B)、(C)は、表示部102に表示される画像の例を説明する図であ
る。例えば、図15(A)に示すような、丘に咲く花や空に浮かぶ飛行船を被写体として
撮像したとする。
【0176】
図15(B)は、時刻およびAR表示で被写体の情報を付加した例である。前述したよう
に、表示部で情報を付加して表示するには、背景の画像を上書きするような動作を行う。
背景の画像が暗色の場合には、明色で情報を表示すれば視認性は良好であるが、背景が明
色である場合には、情報表示の輝度を高くしても視認性を高めることが困難となる。
【0177】
このような場合には、背景色の補色を用いて情報を表示することが好ましい。例えば、「
Airship」や「Sunflower」の文字は、空の青に対する補色またはそれに
近いオレンジや黄色で表示することが好ましい。また、時刻の数字は、丘の緑に対する補
色またはそれに近い赤や紫で表示することが好ましい。
【0178】
また、画素回路176に示した構成を用いれば、選択した画素で撮像と同時の画像表示を
停止することができる。したがって、図15(C)に示すように、文字などの情報を表示
する領域の背景の撮像画像を非表示(黒表示)とし、情報を明色で表示することで視認性
を高めることができる。
【0179】
また、本発明の一態様の撮像表示装置では、シースルー型のディスプレイとは異なり、撮
像した画像にAR表示を付加できることから、視認者の位置に対してAR表示の位置調整
を行う必要はない。
【0180】
図15(A)に示すような被写体の情報をサーバから得る場合において、未知の被写体で
は、被写体の画像および周囲の情報をサーバにアップロードし、形状、色、場所、時刻な
どの情報と膨大なデータベースとの照合などを行って検索結果を得なければならない。し
たがって、サーバから情報を得る場合は、前述したように被写体のカテゴリーを絞り込ん
でからサーバでの検索を行うことが好ましい。
【0181】
このようなカテゴリーの絞り込みには、ニューラルネットワークを用いて推定を行うこと
が好ましい。
【0182】
図16は、ニューラルネットワークで被写体のカテゴリーを推定する動作を説明する図で
ある。入力データE乃至E(iは自然数)は、被写体の画像Pから抽出した形、色、
大きさなどの特徴の他、位置、時刻など撮像表示装置で取得できる情報に対応する。
【0183】
入力データE乃至Eは、入力層501のノードF乃至Fにそれぞれ入力され、重
みづけされた情報が中間層502の第1の層Gに入力される。ここで、中間層502は
、G乃至G(jは自然数)までの任意の層数を有する。また、中間層502の各層は
、任意のノード数を有する。そして、中間層502の最終層Gから出力された情報が出
力層503に入力される。出力層503は、被写体のカテゴリーの推定結果であるH
至H(kは自然数)のいずれか、または確率の高いカテゴリー推定結果のいくつかを出
力する。
【0184】
カテゴリーの推定結果であるH乃至Hは、被写体が自然物、人工物または生物である
かなどの大まかなカテゴリーから、被写体が特定される程度の詳細なカテゴリーまでの、
どのレベルであってもよい。
【0185】
そして、被写体の画像P、入力データE乃至Eおよびカテゴリーの推定結果をサーバ
505に送信し、被写体の情報を検索する。推定結果が詳細であるほどサーバ505での
検索に要するデータベースを絞り込めるため、検索時間を短くすることができる。
【0186】
ただし、撮像表示装置ではニューラルネットワークのチップ面積や処理速度に制限がある
ため、カテゴリーの推定は必要最小限とし、サーバ505と連携して利用することが好ま
しい。例えば、サーバ505が有するデータベースに情報がある前提において、被写体が
建物であるならば、カテゴリーが建物であるという推定結果と、画像と、位置情報があれ
ば十分に精度の高い情報を高速に得ることができる。また、被写体が人であるならば、カ
テゴリーが人(性別、身長、年齢などの情報を含む)であるという推定結果と、画像(顔
を含むことが好ましい)があれば個人を高速に特定することも可能である。
【0187】
次に、本発明の一態様に用いることのできるニューラルネットワークの構成例について、
図17(A)乃至(C)を用いて詳細を説明する。ニューラルネットワークNNは、ニュ
ーロン回路と、ニューロン回路間に設けられたシナプス回路によって構成される。
【0188】
図17(A)は、ニューラルネットワークNNを構成するニューロン回路NCとシナプス
回路SCの構成例である。シナプス回路SCには、入力データx乃至x(Lは自然数
)が入力される。また、シナプス回路SCは、重み係数w(kは1以上L以下の整数)
を記憶する機能を有する。重み係数wは、ニューロン回路NC間の結合の強さに対応す
る。
【0189】
シナプス回路SCに入力データx乃至xが入力されると、ニューロン回路NCには、
シナプス回路SCに入力された入力データxと、シナプス回路SCに記憶された重み係
数wとの積(x)を、k=1乃至Lについて足し合わせた値(x+x
+…+x)、すなわち、xとwを用いた積和演算によって得られた値が供給
される。この値がニューロン回路NCのしきい値θを超えた場合、ニューロン回路NCは
ハイレベルの信号yを出力する。この現象をニューロン回路NCの発火と呼ぶ。
【0190】
図17(B)にニューラルネットワークNNのモデルの一例を示す。ニューラルネットワ
ークNNは、ニューロン回路NCとシナプス回路SCを用いた階層型パーセプトロンの構
成を有し、入力層IL、隠れ層(中間層)HL、出力層OLを有する。
【0191】
入力層ILは隠れ層HLに対して、入力データx乃至xを出力することができる。隠
れ層HLは、隠れシナプス回路HS、隠れニューロン回路HNを有する。出力層OLは、
出力シナプス回路OS、出力ニューロン回路ONを有する。
【0192】
隠れニューロン回路HNには、入力データxと、隠れシナプス回路HSに保持された重
み係数wと、を用いた積和演算によって得られた値が供給される。そして、出力ニュー
ロン回路ONには、隠れニューロン回路HNの出力と、出力シナプス回路OSに保持され
た重み係数wを用いた積和演算によって得られた値が供給される。そして、出力ニュー
ロン回路ONから、出力データy乃至yが出力される。
【0193】
このように、所定の入力データが与えられたニューラルネットワークNNは、シナプス回
路SCに保持された重み係数と、ニューロン回路のしきい値θに応じた値を、出力データ
として出力する機能を有する。
【0194】
また、ニューラルネットワークNNは、教師データの入力によって教師あり学習を行うこ
とができる。図17(C)に、誤差逆伝播法を利用して教師あり学習を行うニューラルネ
ットワークNNのモデルを示す。
【0195】
誤差逆伝播法は、ニューラルネットワークの出力データと教師信号の誤差が小さくなるよ
うに、シナプス回路の重み係数wを変更する方式である。具体的には、出力データy
乃至yと教師データt乃至tに基づいて決定される誤差δに応じて、隠れシナプ
ス回路HSの重み係数wが変更される。また、隠れシナプス回路HSの重み係数w
変更量に応じて、さらに前段のシナプス回路SCの重み係数wが変更される。このよう
に、教師データt乃至tに基づいて、シナプス回路SCの重み係数を順次変更するこ
とにより、ニューラルネットワークNNの学習を行うことができる。
【0196】
図17に示すニューラルネットワークの構成は、図2におけるニューラルネットワーク2
07に用いることができる。また、ニューラルネットワーク207の学習には、上記の誤
差逆伝播法を用いることができる。
【0197】
なお、図17(B)、(C)には1層の隠れ層HLを示しているが、隠れ層HLの層数は
2以上とすることができる。隠れ層HLを2層以上有するニューラルネットワーク(ディ
ープニューラルネットワーク(DNN))を用いることにより、深層学習を行うことがで
きる。これにより、画像生成の精度を高めることができる。
【0198】
以上の説明の通り、本発明の一態様を用いることで被写体の情報を速やかに得ることがで
き、現実との整合性が良好なAR表示を行うことができる。
【0199】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0200】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したニューラルネットワークに用いることがで
きる半導体装置の構成例について説明する。
【0201】
ニューラルネットワークがハードウェアによって構成される場合、ニューラルネットワー
クにおける積和演算は、積和演算素子を用いて行うことができる。本実施の形態では、ニ
ューラルネットワーク207における積和演算素子として用いることができる半導体装置
の構成例について説明する。
【0202】
<半導体装置の構成例>
半導体装置600の構成の一例を図18に示す。図18に示す半導体装置600は、記憶
回路610(MEM)と、参照用記憶回路620(RMEM)と、回路630と、回路6
40と、を有する。半導体装置600は、さらに電流源回路650(CREF)を有して
いても良い。
【0203】
記憶回路610(MEM)は、メモリセルMC[i、j]、メモリセルMC[i+1、j
]で例示されるメモリセルMCを有する。また、各メモリセルMCは、入力された電位を
電流に変換する機能を有する素子を有する。上記機能を有する素子として、例えばトラン
ジスタなどの能動素子を用いることができる。図18では、各メモリセルMCがトランジ
スタTr11を有する場合を例示している。
【0204】
そして、メモリセルMCには、配線WD[j]で例示される配線WDから第1のアナログ
電位が入力される。第1のアナログ電位は、第1のアナログデータに対応する。そして、
メモリセルMCは、第1のアナログ電位に応じた第1のアナログ電流を生成する機能を有
する。具体的には、トランジスタTr11のゲートに第1のアナログ電位を供給したとき
に得られるトランジスタTr11のドレイン電流を、第1のアナログ電流とすることがで
きる。なお、以下、メモリセルMC[i、j]に流れる電流をI[i、j]とし、メモリ
セルMC[i+1、j]に流れる電流をI[i+1、j]とする。
【0205】
なお、トランジスタTr11が飽和領域で動作する場合、そのドレイン電流はソースとド
レイン間の電圧に依存せず、ゲート電圧としきい値電圧の差分によって制御される。よっ
て、トランジスタTr11は飽和領域で動作させることが望ましい。トランジスタTr1
1を飽和領域で動作させるために、そのゲート電圧、ソースとドレイン間の電圧は、飽和
領域で動作する範囲の電圧に適切に設定されているものとする。
【0206】
具体的に、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMC[i、j]に配線WD[
j]から第1のアナログ電位Vx[i、j]または第1のアナログ電位Vx[i、j]に
応じた電位が入力される。メモリセルMC[i、j]は、第1のアナログ電位Vx[i、
j]に応じた第1のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリ
セルMC[i、j]の電流I[i、j]は、第1のアナログ電流に相当する。
【0207】
また、具体的に、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMC[i+1、j]に
配線WD[j]から第1のアナログ電位Vx[i+1、j]または第1のアナログ電位V
x[i+1、j]に応じた電位が入力される。メモリセルMC[i+1、j]は、第1の
アナログ電位Vx[i+1、j]に応じた第1のアナログ電流を生成する機能を有する。
すなわち、この場合、メモリセルMC[i+1、j]の電流I[i+1、j]は、第1の
アナログ電流に相当する。
【0208】
そして、メモリセルMCは、第1のアナログ電位を保持する機能を有する。すなわち、メ
モリセルMCは、第1のアナログ電位を保持することで、第1のアナログ電位に応じた第
1のアナログ電流を保持する機能を有するといえる。
【0209】
また、メモリセルMCには、配線RW[i]、配線RW[i+1]で例示される配線RW
から第2のアナログ電位が入力される。第2のアナログ電位は、第2のアナログデータに
対応する。メモリセルMCは、既に保持されている第1のアナログ電位に、第2のアナロ
グ電位あるいは第2のアナログ電位に応じた電位を加算する機能と、加算することで得ら
れる第3のアナログ電位を保持する機能とを有する。そして、メモリセルMCは、第3の
アナログ電位に応じた第2のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、メモリセ
ルMCは、第3のアナログ電位を保持することで、第3のアナログ電位に応じた第2のア
ナログ電流を保持する機能を有するといえる。
【0210】
具体的に、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMC[i、j]に配線RW[
i]から第2のアナログ電位Vw[i、j]が入力される。そして、メモリセルMC[i
、j]は、第1のアナログ電位Vx[i、j]および第2のアナログ電位Vw[i、j]
に応じた第3のアナログ電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMC[i、j
]は、第3のアナログ電位に応じた第2のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわ
ち、この場合、メモリセルMC[i、j]の電流I[i、j]は、第2のアナログ電流に
相当する。
【0211】
また、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMC[i+1、j]に配線RW[
i+1]から第2のアナログ電位Vw[i+1、j]が入力される。そして、メモリセル
MC[i+1、j]は、第1のアナログ電位Vx[i+1、j]および第2のアナログ電
位Vw[i+1、j]に応じた第3のアナログ電位を保持する機能を有する。そして、メ
モリセルMC[i+1、j]は、第3のアナログ電位に応じた第2のアナログ電流を生成
する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMC[i+1、j]の電流I[i+
1、j]は、第2のアナログ電流に相当する。
【0212】
そして、電流I[i、j]は、メモリセルMC[i、j]を介して配線BL[j]と配線
VR[j]の間を流れる。電流I[i+1、j]は、メモリセルMC[i+1、j]を介
して配線BL[j]と配線VR[j]の間を流れる。よって、電流I[i、j]と電流I
[i+1、j]との和に相当する電流I[j]が、メモリセルMC[i、j]およびメモ
リセルMC[i+1、j]を介して配線BL[j]と配線VR[j]の間を流れることと
なる。
【0213】
参照用記憶回路620(RMEM)は、メモリセルMCR[i]、メモリセルMCR[i
+1]で例示されるメモリセルMCRを有する。メモリセルMCRには、配線WDREF
から第1の参照電位VPRが入力される。そして、メモリセルMCRは、第1の参照電位
VPRに応じた第1の参照電流を生成する機能を有する。なお、以下、メモリセルMCR
[i]に流れる電流をIREF[i]とし、メモリセルMCR[i+1]に流れる電流を
IREF[i+1]とする。
【0214】
そして、具体的に、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMCR[i]に配線
WDREFから第1の参照電位VPRが入力される。メモリセルMCR[i]は、第1の
参照電位VPRに応じた第1の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、
メモリセルMCR[i]の電流IREF[i]は、第1の参照電流に相当する。
【0215】
また、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMCR[i+1]に配線WDRE
Fから第1の参照電位VPRが入力される。メモリセルMCR[i+1]は、第1の参照
電位VPRに応じた第1の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモ
リセルMCR[i+1]の電流IREF[i+1]は、第1の参照電流に相当する。
【0216】
そして、メモリセルMCRは、第1の参照電位VPRを保持する機能を有する。すなわち
、メモリセルMCRは、第1の参照電位VPRを保持することで、第1の参照電位VPR
に応じた第1の参照電流を保持する機能を有すると言える。
【0217】
また、メモリセルMCRには、配線RW[i]、配線RW[i+1]で例示される配線R
Wから第2のアナログ電位が入力される。メモリセルMCRは、既に保持されている第1
の参照電位VPRに、第2のアナログ電位あるいは第2のアナログ電位に応じた電位を加
算し、加算することで得られる第2の参照電位を保持する機能を有する。そして、メモリ
セルMCRは、第2の参照電位に応じた第2の参照電流を生成する機能を有する。すなわ
ち、メモリセルMCRは、第2の参照電位を保持することで、第2の参照電位に応じた第
2の参照電流を保持する機能を有すると言える。
【0218】
具体的に、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMCR[i]に配線RW[i
]から第2のアナログ電位Vw[i、j]が入力される。そして、メモリセルMCR[i
]は、第1の参照電位VPRおよび第2のアナログ電位Vw[i、j]に応じた第2の参
照電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMCR[i]は、第2の参照電位に
応じた第2の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMCR
[i]の電流IREF[i]は、第2の参照電流に相当する。
【0219】
また、図18に示す半導体装置600では、メモリセルMCR[i+1]に配線RW[i
+1]から第2のアナログ電位Vw[i+1、j]が入力される。そして、メモリセルM
CR[i+1]は、第1の参照電位VPRおよび第2のアナログ電位Vw[i+1、j]
に応じた第2の参照電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMCR[i+1]
は、第2の参照電位に応じた第2の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場
合、メモリセルMCR[i+1]の電流IREF[i+1]は、第2の参照電流に相当す
る。
【0220】
そして、電流IREF[i]は、メモリセルMCR[i]を介して配線BLREFと配線
VRREFの間を流れる。電流IREF[i+1]は、メモリセルMCR[i+1]を介
して配線BLREFと配線VRREFの間を流れる。よって、電流IREF[i]と電流
IREF[i+1]との和に相当する電流IREFが、メモリセルMCR[i]およびメ
モリセルMCR[i+1]を介して配線BLREFと配線VRREFの間を流れることと
なる。
【0221】
電流源回路650は、配線BLREFに流れる電流IREFと同じ値の電流、もしくは電
流IREFに対応する電流を、配線BLに供給する機能を有する。そして、後述するオフ
セットの電流を設定する際には、メモリセルMC[i、j]およびメモリセルMC[i+
1、j]を介して配線BL[j]と配線VR[j]の間を流れる電流I[j]が、メモリ
セルMCR[i]およびメモリセルMCR[i+1]を介して配線BLREFと配線VR
REFの間を流れる電流IREFと異なる場合、差分の電流は回路630または回路64
0に流れる。回路630は電流ソース回路としての機能を有し、回路640は電流シンク
回路としての機能を有する。
【0222】
具体的に、電流I[j]が電流IREFよりも大きい場合、回路630は、電流I[j]
と電流IREFの差分に相当する電流ΔI[j]を生成する機能を有する。また、回路6
30は、生成した電流ΔI[j]を配線BL[j]に供給する機能を有する。すなわち、
回路630は、電流ΔI[j]を保持する機能を有すると言える。
【0223】
また、電流I[j]が電流IREFよりも小さい場合、回路640は、電流I[j]と電
流IREFの差分に相当する電流ΔI[j]の絶対値に相当する電流を生成する機能を有
する。また、回路640は、生成した電流ΔI[j]を配線BL[j]から引き込む機能
を有する。すなわち、回路640は、電流ΔI[j]を保持する機能を有すると言える。
【0224】
次いで、図18に示す半導体装置600の動作の一例について説明する。
【0225】
まず、メモリセルMC[i、j]に第1のアナログ電位に応じた電位を格納する。具体的
には、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位Vx[i、j]を差し引いた電位V
PR-Vx[i、j]が、配線WD[j]を介してメモリセルMC[i、j]に入力され
る。メモリセルMC[i、j]では、電位VPR-Vx[i、j]が保持される。また、
メモリセルMC[i、j]では、電位VPR-Vx[i、j]に応じた電流I[i、j]
が生成される。例えば第1の参照電位VPRは、接地電位よりも高い電位とする。具体的
には、接地電位よりも高く、電流源回路650に供給されるハイレベルの電位VDDと同
程度か、それ以下の電位であることが望ましい。
【0226】
また、メモリセルMCR[i]に第1の参照電位VPRを格納する。具体的には、電位V
PRが、配線WDREFを介してメモリセルMCR[i]に入力される。メモリセルMC
R[i]では、電位VPRが保持される。また、メモリセルMCR[i]では、電位VP
Rに応じた電流IREF[i]が生成される。
【0227】
また、メモリセルMC[i+1、j]に第1のアナログ電位に応じた電位を格納する。具
体的には、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位Vx[i+1、j]を差し引い
た電位VPR-Vx[i+1、j]が、配線WD[j]を介してメモリセルMC[i+1
、j]に入力される。メモリセルMC[i+1、j]では、電位VPR-Vx[i+1、
j]が保持される。また、メモリセルMC[i+1、j]では、電位VPR-Vx[i+
1、j]に応じた電流I[i+1、j]が生成される。
【0228】
また、メモリセルMCR[i+1]に第1の参照電位VPRを格納する。具体的には、電
位VPRが、配線WDREFを介してメモリセルMCR[i+1]に入力される。メモリ
セルMCR[i+1]では、電位VPRが保持される。また、メモリセルMCR[i+1
]では、電位VPRに応じた電流IREF[i+1]が生成される。
【0229】
上記動作において、配線RW[i]および配線RW[i+1]は基準電位とする。例えば
、基準電位として接地電位、基準電位よりも低いローレベルの電位VSSなどを用いるこ
とができる。あるいは、基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位を用いると、
第2のアナログ電位Vwを正負にしても、配線RWの電位を基準電位よりも高くできるの
で信号の生成を容易にすることができ、正負のアナログデータに対する積演算が可能にな
るので好ましい。
【0230】
上記動作により、配線BL[j]には、配線BL[j]に接続されたメモリセルMCにお
いてそれぞれ生成される電流を合わせた電流が、流れることとなる。具体的に図18では
、メモリセルMC[i、j]で生成される電流I[i、j]と、メモリセルMC[i+1
、j]で生成される電流I[i+1、j]とを合わせた電流I[j]が流れる。また、上
記動作により、配線BLREFには、配線BLREFに接続されたメモリセルMCRにお
いてそれぞれ生成される電流を合わせた電流が、流れることとなる。具体的に図18では
、メモリセルMCR[i]で生成される電流IREF[i]と、メモリセルMCR[i+
1]で生成される電流IREF[i+1]とを合わせた電流IREFが流れる。
【0231】
次いで、配線RW[i]および配線RW[i+1]の電位を基準電位としたまま、第1の
アナログ電位を入力することによって得られる電流I[j]と第1の参照電位を入力する
ことによって得られる電流IREFとの差分から得られるオフセットの電流Ioffse
t[j]を、回路630または回路640において保持する。
【0232】
具体的に、電流I[j]が電流IREFよりも大きい場合、回路630は電流Ioffs
et[j]を配線BL[j]に供給する。すなわち、回路630に流れる電流ICM[j
]は電流Ioffset[j]に相当することとなる。そして、当該電流ICM[j]の
値は回路630において保持される。また、電流I[j]が電流IREFよりも小さい場
合、回路640は電流Ioffset[j]を配線BL[j]から引き込む。すなわち、
回路640に流れる電流ICP[j]は電流Ioffset[j]に相当することとなる
。そして、当該電流ICP[j]の値は回路640において保持される。
【0233】
次いで、既にメモリセルMC[i、j]において保持されている第1のアナログ電位また
は第1のアナログ電位に応じた電位に加算するように、第2のアナログ電位または第2の
アナログ電位に応じた電位をメモリセルMC[i、j]に格納する。具体的には、配線R
W[i]の電位を基準電位に対してVw[i]だけ高い電位とすることで、第2のアナロ
グ電位Vw[i]が、配線RW[i]を介してメモリセルMC[i、j]に入力される。
メモリセルMC[i、j]では、電位VPR-Vx[i、j]+Vw[i]が保持される
。また、メモリセルMC[i、j]では、電位VPR-Vx[i、j]+Vw[i]に応
じた電流I[i、j]が生成される。
【0234】
また、既にメモリセルMC[i+1、j]において保持されている第1のアナログ電位ま
たは第1のアナログ電位に応じた電位に加算するように、第2のアナログ電位または第2
のアナログ電位に応じた電位をメモリセルMC[i+1、j]に格納する。具体的には、
配線RW[i+1]の電位を基準電位に対してVw[i+1]だけ高い電位とすることで
、第2のアナログ電位Vw[i+1]が、配線RW[i+1]を介してメモリセルMC[
i+1、j]に入力される。メモリセルMC[i+1、j]では、電位VPR-Vx[i
+1、j]+Vw[i+1]が保持される。また、メモリセルMC[i+1、j]では、
電位VPR-Vx[i+1、j]+Vw[i+1]に応じた電流I[i+1、j]が生成
される。
【0235】
なお、電位を電流に変換する素子として飽和領域で動作するトランジスタTr11を用い
る場合、配線RW[i]の電位がVw[i]であり、配線RW[i+1]の電位がVw[
i+1]であると仮定すると、メモリセルMC[i、j]が有するトランジスタTr11
のドレイン電流が電流I[i、j]に相当するので、第2のアナログ電流は以下の式1で
表される。なお、kは係数、VthはトランジスタTr11のしきい値電圧である。
【0236】
I[i、j]=k(Vw[i]-Vth+VPR-Vx[i、j]) (式1)
【0237】
また、メモリセルMCR[i]が有するトランジスタTr11のドレイン電流が電流IR
EF[i]に相当するので、第2の参照電流は以下の式2で表される。
【0238】
IREF[i]=k(Vw[i]-Vth+VPR) (式2)
【0239】
そして、メモリセルMC[i、j]に流れる電流I[i、j]と、メモリセルMC[i+
1、j]に流れる電流I[i+1、j]の和に相当する電流I[j]は、I[j]=Σ
I[i、j]であり、メモリセルMCR[i]に流れる電流IREF[i]と、メモリセ
ルMCR[i+1]に流れる電流IREF[i+1]の和に相当する電流IREFは、I
REF=ΣIREF[i]となり、その差分に相当する電流ΔI[j]は以下の式3で
表される。
【0240】
ΔI[j]=IREF-I[j]=ΣIREF[i]-ΣI[i、j] (式3
【0241】
式1、式2、式3から、電流ΔI[j]は以下の式4のように導き出される。
【0242】
ΔI[j]
=Σ{k(Vw[i]-Vth+VPR)-k(Vw[i]-Vth+VPR-Vx
[i、j])
=2kΣ(Vw[i]・Vx[i、j])-2kΣ(Vth-VPR)・Vx[i、
j]-kΣVx[i、j] (式4)
【0243】
式4において、2kΣ(Vw[i]・Vx[i、j])で示される項は、第1のアナロ
グ電位Vx[i、j]および第2のアナログ電位Vw[i]の積と、第1のアナログ電位
Vx[i+1、j]および第2のアナログ電位Vw[i+1]の積と、の和に相当する。
【0244】
また、Ioffset[j]は、配線RW[i]の電位を全て基準電位としたとき、すな
わち第2のアナログ電位Vw[i]を0、第2のアナログ電位Vw[i+1]を0とした
ときの電流ΔI[j]とすると、式4から、以下の式5が導き出される。
【0245】
Ioffset[j]=-2kΣ(Vth-VPR)・Vx[i、j]-kΣVx[
i、j] (式5)
【0246】
したがって、式3乃至式5から、第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値
に相当する2kΣ(Vw[i]・Vx[i、j])は、以下の式6で表されることが分
かる。
【0247】
2kΣ(Vw[i]・Vx[i、j])=IREF-I[j]-Ioffset[j]
(式6)
【0248】
そして、メモリセルMCに流れる電流の和を電流I[j]、メモリセルMCRに流れる電
流の和を電流IREF、回路630または回路640に流れる電流を電流Ioffset
[j]とすると、配線RW[i]の電位をVw[i]、配線RW[i+1]の電位をVw
[i+1]としたときに配線BL[j]から流れ出る電流Iout[j]は、IREF-
I[j]-Ioffset[j]で表される。式6から、電流Iout[j]は、2kΣ
(Vw[i]・Vx[i、j])であり、第1のアナログ電位Vx[i、j]および第
2のアナログ電位Vw[i]の積と、第1のアナログ電位Vx[i+1、j]および第2
のアナログ電位Vw[i+1]の積と、の和に相当することが分かる。
【0249】
なお、トランジスタTr11は飽和領域で動作させることが望ましいが、トランジスタT
r11の動作領域が理想的な飽和領域と異なっていたとしても、第1のアナログ電位Vx
[i、j]および第2のアナログ電位Vw[i]の積と、第1のアナログ電位Vx[i+
1、j]および第2のアナログ電位Vw[i+1]の積との和に相当する電流を、所望の
範囲内の精度で問題なく得ることができる場合は、トランジスタTr11は飽和領域で動
作しているものとみなせる。
【0250】
本発明の一態様により、アナログデータの演算処理をデジタルデータに変換せずとも実行
することができるので、半導体装置の回路規模を小さく抑えることができる。また、本発
明の一態様により、アナログデータの演算処理をデジタルデータに変換せずとも実行する
ことができるので、アナログデータの演算処理に要する時間を抑えることができる。また
、本発明の一態様により、アナログデータの演算処理に要する時間を抑えつつ、半導体装
置の低消費電力化を実現することができる。
【0251】
<記憶回路の構成例>
次いで、記憶回路610(MEM)と、参照用記憶回路620(RMEM)の具体的な構
成の一例について、図19を用いて説明する。
【0252】
図19では、記憶回路610(MEM)がy行x列(x、yは自然数)の複数のメモリセ
ルMCを有し、参照用記憶回路620(RMEM)がy行1列の複数のメモリセルMCR
を有する場合を例示している。
【0253】
記憶回路610は、配線RWと、配線WWと、配線WDと、配線VRと、配線BLとに接
続されている。図19では、配線RW[1]乃至配線RW[y]が各行のメモリセルMC
にそれぞれ接続され、配線WW[1]乃至配線WW[y]が各行のメモリセルMCにそれ
ぞれ接続され、配線WD[1]乃至配線WD[x]が各列のメモリセルMCにそれぞれ接
続され、配線BL[1]乃至配線BL[x]が各列のメモリセルMCにそれぞれ接続され
ている場合を例示している。また、図19では、配線VR[1]乃至配線VR[x]が各
列のメモリセルMCにそれぞれ接続されている場合を例示している。なお、配線VR[1
]乃至配線VR[x]は、互いに接続されていても良い。
【0254】
そして、参照用記憶回路620は、配線RWと、配線WWと、配線WDREFと、配線V
RREFと、配線BLREFとに接続されている。図19では、配線RW[1]乃至配線
RW[y]が各行のメモリセルMCRにそれぞれ接続され、配線WW[1]乃至配線WW
[y]が各行のメモリセルMCRにそれぞれ接続され、配線WDREFが一列のメモリセ
ルMCRにそれぞれ接続され、配線BLREFが一列のメモリセルMCRにそれぞれ接続
され、配線VRREFが一列のメモリセルMCRにそれぞれ接続されている場合を例示し
ている。なお、配線VRREFは、配線VR[1]乃至配線VR[x]に接続されていて
も良い。
【0255】
次いで、図19に示した複数のメモリセルMCのうち、任意の2行2列のメモリセルMC
と、図19に示した複数のメモリセルMCRのうち、任意の2行1列のメモリセルMCR
との、具体的な回路構成と接続関係とを、一例として図20に示す。
【0256】
具体的に図20では、i行j列目のメモリセルMC[i、j]と、i+1行j列目のメモ
リセルMC[i+1、j]と、i行j+1列目のメモリセルMC[i、j+1]と、i+
1行j+1列目のメモリセルMC[i+1、j+1]とを図示している。また、具体的に
図20では、i行目のメモリセルMCR[i]と、i+1行目のメモリセルMCR[i+
1]とを図示している。なお、iとi+1はそれぞれ1からyまでの任意の数で、jとj
+1はそれぞれ1からxまでの任意の数とする。
【0257】
i行目のメモリセルMC[i、j]と、メモリセルMC[i、j+1]と、メモリセルM
CR[i]とは、配線RW[i]および配線WW[i]に接続されている。また、i+1
行目のメモリセルMC[i+1、j]と、メモリセルMC[i+1、j+1]と、メモリ
セルMCR[i+1]とは、配線RW[i+1]および配線WW[i+1]に接続されて
いる。
【0258】
j列目のメモリセルMC[i、j]と、メモリセルMC[i+1、j]とは、配線WD[
j]、配線VR[j]、および配線BL[j]に接続されている。また、j+1列目のメ
モリセルMC[i、j+1]と、メモリセルMC[i+1、j+1]とは、配線WD[j
+1]、配線VR[j+1]、および配線BL[j+1]に接続されている。また、i行
目のメモリセルMCR[i]と、i+1行目のメモリセルMCR[i+1]とは、配線W
DREF、配線VRREF、および配線BLREFに接続されている。
【0259】
そして、各メモリセルMCと各メモリセルMCRとは、トランジスタTr11と、トラン
ジスタTr12と、容量素子C11と、を有する。トランジスタTr12は、メモリセル
MCまたはメモリセルMCRへの第1のアナログ電位の入力を制御する機能を有する。ト
ランジスタTr11は、ゲートに入力された電位に従って、アナログ電流を生成する機能
を有する。容量素子C11は、メモリセルMCまたはメモリセルMCRにおいて保持され
ている第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に応じた電位に、第2のアナログ電
位あるいは第2のアナログ電位に応じた電位を加算する機能を有する。
【0260】
具体的に、図20に示すメモリセルMCでは、トランジスタTr12は、ゲートが配線W
Wに接続され、ソースまたはドレインの一方が配線WDに接続され、ソースまたはドレイ
ンの他方がトランジスタTr11のゲートに接続されている。また、トランジスタTr1
1は、ソースまたはドレインの一方が配線VRに接続され、ソースまたはドレインの他方
が配線BLに接続されている。容量素子C11は、第1の電極が配線RWに接続され、第
2の電極がトランジスタTr11のゲートに接続されている。
【0261】
また、図20に示すメモリセルMCRでは、トランジスタTr12は、ゲートが配線WW
に接続され、ソースまたはドレインの一方が配線WDREFに接続され、ソースまたはド
レインの他方がトランジスタTr11のゲートに接続されている。また、トランジスタT
r11は、ソースまたはドレインの一方が配線VRREFに接続され、ソースまたはドレ
インの他方が配線BLREFに接続されている。容量素子C11は、第1の電極が配線R
Wに接続され、第2の電極がトランジスタTr11のゲートに接続されている。
【0262】
メモリセルMCにおいてトランジスタTr11のゲートをノードNとすると、メモリセル
MCでは、トランジスタTr12を介してノードNに第1のアナログ電位または第1のア
ナログ電位に応じた電位が入力され、次いでトランジスタTr12がオフになるとノード
Nが浮遊状態になり、ノードNにおいて第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に
応じた電位が保持される。また、メモリセルMCでは、ノードNが浮遊状態になると、容
量素子C11の第1の電極に入力された第2のアナログ電位または第2のアナログ電位に
応じた電位がノードNに与えられる。上記動作により、ノードNは、第1のアナログ電位
または第1のアナログ電位に応じた電位に、第2のアナログ電位または第2のアナログ電
位に応じた電位が加算されることで得られる電位となる。
【0263】
なお、容量素子C11の第1の電極の電位は容量素子C11を介してノードNに与えられ
るため、実際には、第1の電極の電位の変化量がそのままノードNの電位の変化量に反映
されるわけではない。具体的には、容量素子C11の容量値と、トランジスタTr11の
ゲート容量の容量値と、寄生容量の容量値とから一意に決まる結合係数を、第1の電極の
電位の変化量に乗ずることで、ノードNの電位の変化量を正確に算出することができる。
以下、説明を分かり易くするために、第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の
変化量に反映されるものとして説明を行う。
【0264】
トランジスタTr11は、ノードNの電位にしたがってそのドレイン電流が定まる。よっ
て、トランジスタTr12がオフになることでノードNの電位が保持されると、トランジ
スタTr11のドレイン電流の値も保持される。上記ドレイン電流には第1のアナログ電
位と第2のアナログ電位が反映されている。
【0265】
また、メモリセルMCRにおいてトランジスタTr11のゲートをノードNREFとする
と、メモリセルMCRでは、トランジスタTr12を介してノードNREFに第1の参照
電位または第1の参照電位に応じた電位が入力され、次いでトランジスタTr12がオフ
になるとノードNREFが浮遊状態になり、ノードNREFにおいて第1の参照電位また
は第1の参照電位に応じた電位が保持される。また、メモリセルMCRでは、ノードNR
EFが浮遊状態になると、容量素子C11の第1の電極に入力された第2のアナログ電位
または第2のアナログ電位に応じた電位がノードNREFに与えられる。上記動作により
、ノードNREFは、第1の参照電位または第1の参照電位に応じた電位に、第2のアナ
ログ電位または第2のアナログ電位に応じた電位が加算されることで得られる電位となる
【0266】
トランジスタTr11は、ノードNREFの電位にしたがってそのドレイン電流が定まる
。よって、トランジスタTr12がオフになることでノードNREFの電位が保持される
と、トランジスタTr11のドレイン電流の値も保持される。上記ドレイン電流には第1
の参照電位と第2のアナログ電位が反映されている。
【0267】
メモリセルMC[i、j]のトランジスタTr11に流れるドレイン電流を電流I[i、
j]とし、メモリセルMC[i+1、j]のトランジスタTr11に流れるドレイン電流
を電流I[i+1、j]とすると、配線BL[j]からメモリセルMC[i、j]および
メモリセルMC[i+1、j]に供給される電流の和は、電流I[j]となる。また、メ
モリセルMC[i、j+1]のトランジスタTr11に流れるドレイン電流を電流I[i
、j+1]とし、メモリセルMC[i+1、j+1]のトランジスタTr11に流れるド
レイン電流を電流I[i+1、j+1]とすると、配線BL[j+1]からメモリセルM
C[i、j+1]およびメモリセルMC[i+1、j+1]に供給される電流の和は、電
流I[j+1]となる。また、メモリセルMCR[i]のトランジスタTr11に流れる
ドレイン電流を電流IREF[i]とし、メモリセルMCR[i+1]のトランジスタT
r11に流れるドレイン電流を電流IREF[i+1]とすると、配線BLREFからメ
モリセルMCR[i]およびメモリセルMCR[i+1]に供給される電流の和は、電流
IREFとなる。
【0268】
<回路630・回路640・電流源回路の構成例>
次いで、回路630と、回路640と、電流源回路650(CREF)の具体的な構成の
一例について、図21を用いて説明する。
【0269】
図21では、図20に示すメモリセルMCとメモリセルMCRに対応した、回路630、
回路640、電流源回路650の構成の一例を示している。具体的に、図21に示す回路
630は、j列目のメモリセルMCに対応した回路630[j]と、j+1列目のメモリ
セルMCに対応した回路630[j+1]とを有する。また、図21に示す回路640は
、j列目のメモリセルMCに対応した回路640[j]と、j+1列目のメモリセルMC
に対応した回路640[j+1]とを有する。
【0270】
そして、回路630[j]および回路640[j]は、配線BL[j]に接続されている
。また、回路630[j+1]および回路640[j+1]は、配線BL[j+1]に接
続されている。
【0271】
電流源回路650は、配線BL[j]、配線BL[j+1]、配線BLREFに接続され
ている。そして、電流源回路650は、配線BLREFに電流IREFを供給する機能と
、電流IREFと同じ電流または電流IREFに応じた電流を、配線BL[j]および配
線BL[j+1]のそれぞれに供給する機能を有する。
【0272】
具体的に、回路630[j]および回路630[j+1]は、トランジスタTr24乃至
Tr26と、容量素子C22とをそれぞれ有する。オフセットの電流を設定する際に、回
路630[j]において、トランジスタTr24は、電流I[j]が電流IREFよりも
大きい場合に、電流I[j]と電流IREFの差分に相当する電流ICM[j]を生成す
る機能を有する。また、回路630[j+1]において、トランジスタTr24は、電流
I[j+1]が電流IREFよりも大きい場合に、電流I[j+1]と電流IREFの差
分に相当する電流ICM[j+1]を生成する機能を有する。電流ICM[j]および電
流ICM[j+1]は、回路630[j]および回路630[j+1]から配線BL[j
]および配線BL[j+1]に供給される。
【0273】
そして、回路630[j]および回路630[j+1]において、トランジスタTr24
は、ソースまたはドレインの一方が対応する配線BLに接続されており、ソースまたはド
レインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。トランジスタTr25は
、ソースまたはドレインの一方が配線BLに接続されており、ソースまたはドレインの他
方がトランジスタTr24のゲートに接続されている。トランジスタTr26は、ソース
またはドレインの一方がトランジスタTr24のゲートに接続されており、ソースまたは
ドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。容量素子C22は、第
1の電極がトランジスタTr24のゲートに接続されており、第2の電極が所定の電位が
供給される配線に接続されている。
【0274】
トランジスタTr25のゲートは配線OSMに接続されており、トランジスタTr26の
ゲートは配線ORMに接続されている。
【0275】
なお、図21では、トランジスタTr24がpチャネル型であり、トランジスタTr25
およびTr26がnチャネル型である場合を例示している。
【0276】
また、回路640[j]および回路640[j+1]は、トランジスタTr21乃至Tr
23と、容量素子C21とをそれぞれ有する。オフセットの電流を設定する際に、回路6
40[j]において、トランジスタTr21は、電流I[j]が電流IREFよりも小さ
い場合に、電流I[j]と電流IREFの差分に相当する電流ICP[j]を生成する機
能を有する。また、回路640[j+1]において、トランジスタTr21は、電流I[
j+1]が電流IREFよりも小さい場合に、電流I[j+1]と電流IREFの差分に
相当する電流ICP[j+1]を生成する機能を有する。電流ICP[j]および電流I
CP[j+1]は、配線BL[j]および配線BL[j+1]から回路640[j]およ
び回路640[j+1]に引き込まれる。
【0277】
なお、電流ICM[j]と電流ICP[j]とが、Ioffset[j]に相当する。ま
た、なお、電流ICM[j+1]と電流ICP[j+1]とが、Ioffset[j+1
]に相当する。
【0278】
そして、回路640[j]および回路640[j+1]において、トランジスタTr21
は、ソースまたはドレインの一方が対応する配線BLに接続されており、ソースまたはド
レインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。トランジスタTr22は
、ソースまたはドレインの一方が配線BLに接続されており、ソースまたはドレインの他
方がトランジスタTr21のゲートに接続されている。トランジスタTr23は、ソース
またはドレインの一方がトランジスタTr21のゲートに接続されており、ソースまたは
ドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。容量素子C21は、第
1の電極がトランジスタTr21のゲートに接続されており、第2の電極が所定の電位が
供給される配線に接続されている。
【0279】
トランジスタTr22のゲートは配線OSPに接続されており、トランジスタTr23の
ゲートは配線ORPに接続されている。
【0280】
なお、図21では、トランジスタTr21乃至Tr23がnチャネル型である場合を例示
している。
【0281】
また、電流源回路650は、配線BLに対応したトランジスタTr27と、配線BLRE
Fに対応したトランジスタTr28とを有する。具体的に、図21に示す電流源回路65
0は、トランジスタTr27として、配線BL[j]に対応したトランジスタTr27[
j]と、配線BL[j+1]に対応したトランジスタTr27[j+1]とを有する場合
を例示している。
【0282】
そして、トランジスタTr27のゲートは、トランジスタTr28のゲートに接続されて
いる。また、トランジスタTr27は、ソースまたはドレインの一方が対応する配線BL
に接続されており、ソースまたはドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続さ
れている。トランジスタTr28は、ソースまたはドレインの一方が配線BLREFに接
続されており、ソースまたはドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されて
いる。
【0283】
トランジスタTr27とトランジスタTr28とは、同じ極性を有している。図21では
、トランジスタTr27とトランジスタTr28とが、共にpチャネル型を有する場合を
例示している。
【0284】
トランジスタTr28のドレイン電流は電流IREFに相当する。そして、トランジスタ
Tr27とトランジスタTr28とはカレントミラー回路としての機能を有するため、ト
ランジスタTr27のドレイン電流は、トランジスタTr28のドレイン電流とほぼ同じ
値、またはトランジスタTr28のドレイン電流に応じた値となる。
【0285】
<半導体装置の動作例>
次いで、図20図21および図22を用いて、本発明の一態様に係る半導体装置600
の具体的な動作の一例について説明する。
【0286】
図22は、図20に示すメモリセルMC、メモリセルMCRと、図21に示す回路630
、回路640、電流源回路650の動作を示すタイミングチャートの一例に相当する。図
22では、時刻T01乃至時刻T04において、メモリセルMCおよびメモリセルMCR
に第1のアナログデータを格納する動作が行われる。時刻T05乃至時刻T10において
、回路630および回路640にオフセットの電流Ioffsetを設定する動作が行わ
れる。時刻T11乃至時刻T16において、第1のアナログデータと第2のアナログデー
タとの積和値に対応したデータを取得する動作が行われる。
【0287】
なお、配線VR[j]および配線VR[j+1]にはローレベルの電位VSSが供給され
るものとする。また、回路630に接続される所定の電位を有する配線は、全てハイレベ
ルの電位VDDが供給されるものとする。また、回路640に接続される所定の電位を有
する配線は、全てローレベルの電位VSSが供給されるものとする。また、電流源回路6
50に接続される所定の電位を有する配線は、全てハイレベルの電位VDDが供給される
ものとする。
【0288】
また、トランジスタTr11、Tr21、Tr24、Tr27[j]、Tr27[j+1
]、Tr28は飽和領域で動作するものとする。
【0289】
まず、時刻T01乃至時刻T02において、配線WW[i]にハイレベルの電位が与えら
れ、配線WW[i+1]にローレベルの電位が与えられる。上記動作により、図20に示
すメモリセルMC[i、j]、メモリセルMC[i、j+1]、メモリセルMCR[i]
においてトランジスタTr12がオンになる。また、メモリセルMC[i+1、j]、メ
モリセルMC[i+1、j+1]、メモリセルMCR[i+1]においてトランジスタT
r12がオフの状態を維持する。
【0290】
また、時刻T01乃至時刻T02では、図20に示す配線WD[j]と配線WD[j+1
]とに、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位を差し引いた電位がそれぞれ与え
られる。具体的に、配線WD[j]には電位VPR-Vx[i、j]が与えられ、配線W
D[j+1]には電位VPR-Vx[i、j+1]が与えられる。また、配線WDREF
には第1の参照電位VPRが与えられ、配線RW[i]および配線RW[i+1]には基
準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が
与えられる。
【0291】
よって、図20に示すメモリセルMC[i、j]のノードN[i、j]にはトランジスタ
Tr12を介して電位VPR-Vx[i、j]が与えられ、メモリセルMC[i、j+1
]のノードN[i、j+1]にはトランジスタTr12を介して電位VPR-Vx[i、
j+1]が与えられ、メモリセルMCR[i]のノードNREF[i]にはトランジスタ
Tr12を介して電位VPRが与えられる。
【0292】
時刻T02が終了すると、図20に示す配線WW[i]に与えられる電位はハイレベルか
らローレベルに変化し、メモリセルMC[i、j]、メモリセルMC[i、j+1]、メ
モリセルMCR[i]においてトランジスタTr12がオフになる。上記動作により、ノ
ードN[i、j]には電位VPR-Vx[i、j]が保持され、ノードN[i、j+1]
には電位VPR-Vx[i、j+1]が保持され、ノードNREF[i]には電位VPR
が保持される。
【0293】
次いで、時刻T03乃至時刻T04において、図20に示す配線WW[i]の電位はロー
レベルに維持され、配線WW[i+1]にハイレベルの電位が与えられる。上記動作によ
り、図20に示すメモリセルMC[i+1、j]、メモリセルMC[i+1、j+1]、
メモリセルMCR[i+1]においてトランジスタTr12がオンになる。また、メモリ
セルMC[i、j]、メモリセルMC[i、j+1]、メモリセルMCR[i]において
トランジスタTr12がオフの状態を維持する。
【0294】
また、時刻T03乃至時刻T04では、図20に示す配線WD[j]と配線WD[j+1
]とに、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位を差し引いた電位がそれぞれ与え
られる。具体的に、配線WD[j]には電位VPR-Vx[i+1、j]が与えられ、配
線WD[j+1]には電位VPR-Vx[i+1、j+1]が与えられる。また、配線W
DREFには第1の参照電位VPRが与えられ、配線RW[i]および配線RW[i+1
]には基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS
)/2が与えられる。
【0295】
よって、図20に示すメモリセルMC[i+1、j]のノードN[i+1、j]にはトラ
ンジスタTr12を介して電位VPR-Vx[i+1、j]が与えられ、メモリセルMC
[i+1、j+1]のノードN[i+1、j+1]にはトランジスタTr12を介して電
位VPR-Vx[i+1、j+1]が与えられ、メモリセルMCR[i+1]のノードN
REF[i+1]にはトランジスタTr12を介して電位VPRが与えられる。
【0296】
時刻T04が終了すると、図20に示す配線WW[i+1]に与えられる電位はハイレベ
ルからローレベルに変化し、メモリセルMC[i+1、j]、メモリセルMC[i+1、
j+1]、メモリセルMCR[i+1]においてトランジスタTr12がオフになる。上
記動作により、ノードN[i+1、j]には電位VPR-Vx[i+1、j]が保持され
、ノードN[i+1、j+1]には電位VPR-Vx[i+1、j+1]が保持され、ノ
ードNREF[i+1]には電位VPRが保持される。
【0297】
次いで、時刻T05乃至時刻T06において、図21に示す配線ORPおよび配線ORM
にハイレベルの電位が与えられる。図21に示す回路630[j]および回路630[j
+1]では、配線ORMにハイレベルの電位が与えられることで、トランジスタTr26
がオンになり、トランジスタTr24のゲートは電位VDDが与えられることでリセット
される。また、図21に示す回路640[j]および回路640[j+1]では、配線O
RPにハイレベルの電位が与えられることで、トランジスタTr23がオンになり、トラ
ンジスタTr21のゲートは電位VSSが与えられることでリセットされる。
【0298】
時刻T06が終了すると、図21に示す配線ORPおよび配線ORMに与えられる電位は
ハイレベルからローレベルに変化し、回路630[j]および回路630[j+1]にお
いてトランジスタTr26がオフになり、回路640[j]および回路640[j+1]
においてトランジスタTr23がオフになる。上記動作により、回路630[j]および
回路630[j+1]においてトランジスタTr24のゲートに電位VDDが保持され、
回路640[j]および回路640[j+1]においてトランジスタTr21のゲートに
電位VSSが保持される。
【0299】
次いで、時刻T07乃至時刻T08において、図21に示す配線OSPにハイレベルの電
位が与えられる。また、図20に示す配線RW[i]および配線RW[i+1]には基準
電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与
えられる。配線OSPにハイレベルの電位が与えられることにより、回路640[j]お
よび回路640[j+1]においてトランジスタTr22がオンになる。
【0300】
配線BL[j]に流れるI[j]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも小さい場
合、すなわちΔI[j]が正の場合、図20に示すメモリセルMC[i、j]のトランジ
スタTr28が引き込むことのできる電流と、メモリセルMC[i+1、j]のトランジ
スタTr28が引き込むことのできる電流との和が、トランジスタTr27[j]のドレ
イン電流より小さいことを意味する。よって、電流ΔI[j]が正の場合、回路640[
j]においてトランジスタTr22がオンになると、トランジスタTr27[j]のドレ
イン電流の一部がトランジスタTr21のゲートに流れ込み、当該ゲートの電位が上昇し
始める。そして、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[j]とほぼ等しくな
ると、トランジスタTr21のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジ
スタTr21のゲートの電位は、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[j]
、すなわちIoffset[j](=ICP[j])となるような電位に相当する。つま
り、回路640[j]のトランジスタTr21は、電流ICP[j]を流し得る電流源に
設定された状態であると言える。
【0301】
同様に、配線BL[j+1]に流れるI[j+1]が配線BLREFに流れる電流IRE
Fよりも小さい場合、つまり電流ΔI[j+1]が正の場合、回路640[j+1]にお
いてトランジスタTr22がオンになると、トランジスタTr27[j+1]のドレイン
電流の一部がトランジスタTr21のゲートに流れ込み、当該ゲートの電位が上昇し始め
る。そして、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[j+1]とほぼ等しくな
ると、トランジスタTr21のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジ
スタTr21のゲートの電位は、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[j+
1]、すなわちIoffset[j+1](=ICP[j+1])となるような電位に相
当する。つまり、回路640[j+1]のトランジスタTr21は、電流ICP[j+1
]を流し得る電流源に設定された状態であると言える。
【0302】
時刻T08が終了すると、図21に示す配線OSPに与えられる電位はハイレベルからロ
ーレベルに変化し、回路640[j]および回路640[j+1]においてトランジスタ
Tr22がオフになる。上記動作により、トランジスタTr21のゲートの電位は保持さ
れる。よって、回路640[j]は電流ICP[j]を流し得る電流源に設定された状態
を維持し、回路640[j+1]は電流ICP[j+1]を流し得る電流源に設定された
状態を維持する。
【0303】
次いで、時刻T09乃至時刻T10において、図21に示す配線OSMにハイレベルの電
位が与えられる。また、図20に示す配線RW[i]および配線RW[i+1]には基準
電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与
えられる。配線OSMにハイレベルの電位が与えられることにより、回路630[j]お
よび回路630[j+1]においてトランジスタTr25がオンになる。
【0304】
配線BL[j]に流れるI[j]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも大きい場
合、すなわちΔI[j]が負の場合、図20に示すメモリセルMC[i、j]のトランジ
スタTr28が引き込むことのできる電流と、メモリセルMC[i+1、j]のトランジ
スタTr28が引き込むことのできる電流との和が、トランジスタTr27[j]のドレ
イン電流より大きいことを意味する。よって、電流ΔI[j]が負の場合、回路630[
j]においてトランジスタTr25がオンになると、トランジスタTr24のゲートから
配線BL[j]に電流が流れ出し、当該ゲートの電位が下降し始める。そして、トランジ
スタTr24のドレイン電流が電流ΔI[j]とほぼ等しくなると、トランジスタTr2
4のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジスタTr24のゲートの電
位は、トランジスタTr24のドレイン電流が電流ΔI[j]、すなわちIoffset
[j](=ICM[j])となるような電位に相当する。つまり、回路630[j]のト
ランジスタTr24は、電流ICM[j]を流し得る電流源に設定された状態であると言
える。
【0305】
同様に、配線BL[j+1]に流れるI[j+1]が配線BLREFに流れる電流IRE
Fよりも大きい場合、つまり電流ΔI[j+1]が負の場合、回路630[j+1]にお
いてトランジスタTr25がオンになると、トランジスタTr24のゲートから配線BL
[j+1]に電流が流れ出し、当該ゲートの電位が下降し始める。そして、トランジスタ
Tr24のドレイン電流が電流ΔI[j+1]の絶対値とほぼ等しくなると、トランジス
タTr24のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジスタTr24のゲ
ートの電位は、トランジスタTr24のドレイン電流が電流ΔI[j+1]、すなわちI
offset[j+1](=ICM[j+1])の絶対値に等しくなるような電位に相当
する。つまり、回路630[j+1]のトランジスタTr24は、電流ICM[j+1]
を流し得る電流源に設定された状態であると言える。
【0306】
時刻T10が終了すると、図21に示す配線OSMに与えられる電位はハイレベルからロ
ーレベルに変化し、回路630[j]および回路630[j+1]においてトランジスタ
Tr25がオフになる。上記動作により、トランジスタTr24のゲートの電位は保持さ
れる。よって、回路630[j]は電流ICM[j]を流し得る電流源に設定された状態
を維持し、回路630[j+1]は電流ICM[j+1]を流し得る電流源に設定された
状態を維持する。
【0307】
なお、回路640[j]および回路640[j+1]において、トランジスタTr21は
電流を引き込む機能を有する。そのため、時刻T07乃至時刻T08において配線BL[
j]に流れる電流I[j]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも大きくΔI[j
]が負の場合、あるいは、配線BL[j+1]に流れる電流I[j+1]が配線BLRE
Fに流れる電流IREFよりも大きくΔI[j+1]が負の場合、回路640[j]また
は回路640[j+1]から過不足なく配線BL[j]または配線BL[j+1]に電流
を供給するのが難しくなる恐れがある。この場合、配線BL[j]または配線BL[j+
1]に流れる電流と、配線BLREFに流れる電流とのバランスを取るために、メモリセ
ルMCのトランジスタTr11と、回路640[j]または回路640[j+1]のトラ
ンジスタTr21と、トランジスタTr27[j]またはTr27[j+1]とが、共に
飽和領域で動作することが困難になる可能性がある。
【0308】
時刻T07乃至時刻T08においてΔI[j]が負の場合でも、トランジスタTr11、
Tr21、Tr27[j]またはTr27[j+1]における飽和領域での動作を確保す
るために、時刻T05乃至時刻T06において、トランジスタTr24のゲートを電位V
DDにリセットするのではなく、トランジスタTr24のゲートの電位を所定のドレイン
電流が得られる程度の高さに設定しておいても良い。上記構成により、トランジスタTr
27[j]またはTr27[j+1]のドレイン電流に加えてトランジスタTr24から
電流が供給されるため、トランジスタTr11において引き込めない分の電流を、トラン
ジスタTr21においてある程度引き込むことができるため、トランジスタTr11、T
r21、Tr27[j]またはTr27[j+1]における飽和領域での動作を確保する
ことができる。
【0309】
なお、時刻T09乃至時刻T10において、配線BL[j]に流れるI[j]が配線BL
REFに流れる電流IREFよりも小さい場合、すなわちΔI[j]が正の場合、時刻T
07乃至時刻T08において回路640[j]が電流ICP[j]を流し得る電流源に既
に設定されているため、回路630[j]においてトランジスタTr24のゲートの電位
はほぼ電位VDDのままとなる。同様に、配線BL[j+1]に流れるI[j+1]が配
線BLREFに流れる電流IREFよりも小さい場合、すなわちΔI[j+1]が正の場
合、時刻T07乃至時刻T08において回路640[j+1]が電流ICP[j+1]を
流し得る電流源に既に設定されているため、回路630[j+1]においてトランジスタ
Tr24のゲートの電位はほぼ電位VDDのままとなる。
【0310】
次いで、時刻T11乃至時刻T12において、図20に示す配線RW[i]に第2のアナ
ログ電位Vw[i]が与えられる。また、配線RW[i+1]には、基準電位として電位
VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられたままで
ある。具体的に、配線RW[i]の電位は、基準電位である電位VSSと電位VDDの間
の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[i]だけ高い電位とな
るが、以下説明を分かり易くするために、配線RW[i]の電位は電位Vw[i]である
と仮定する。
【0311】
配線RW[i]が電位Vw[i]になると、容量素子C11の第1の電極の電位の変化量
がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図20に示すメモリセル
MC[i、j]におけるノードNの電位はVPR-Vx[i、j]+Vw[i]となり、
メモリセルMC[i、j+1]におけるノードNの電位はVPR-Vx[i、j+1]+
Vw[i]となる。そして、上記の式6から、メモリセルMC[i、j]に対応する第1
のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[j]からIoffse
t[j]を差し引いた電流、すなわち、配線BL[j]から流れ出る電流Iout[j]
に反映されることが分かる。また、メモリセルMC[i、j+1]に対応する第1のアナ
ログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[j+1]からIoffset
[j+1]を差し引いた電流、すなわち、配線BL[j+1]から流れ出る電流Iout
[j+1]に反映されることが分かる。
【0312】
時刻T12が終了すると、配線RW[i]には、再度、基準電位である電位VSSと電位
VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
【0313】
次いで、時刻T13乃至時刻T14において、図20に示す配線RW[i+1]に第2の
アナログ電位Vw[i+1]が与えられる。また、配線RW[i]には、基準電位として
電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられたま
まである。具体的に、配線RW[i+1]の電位は、基準電位である電位VSSと電位V
DDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[i+1]だけ
高い電位となるが、以下説明を分かり易くするために、配線RW[i+1]の電位は電位
Vw[i+1]であると仮定する。
【0314】
配線RW[i+1]が電位Vw[i+1]になると、容量素子C11の第1の電極の電位
の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図20に示すメ
モリセルMC[i+1、j]におけるノードNの電位はVPR-Vx[i+1、j]+V
w[i+1]となり、メモリセルMC[i+1、j+1]におけるノードNの電位はVP
R-Vx[i+1、j+1]+Vw[i+1]となる。そして、上記の式6から、メモリ
セルMC[i+1、j]に対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和
値は、電流ΔI[j]からIoffset[j]を差し引いた電流、すなわち、Iout
[j]に反映されることが分かる。また、メモリセルMC[i+1、j+1]に対応する
第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[j+1]からIo
ffset[j+1]を差し引いた電流、すなわち、Iout[j+1]に反映されるこ
とが分かる。
【0315】
時刻T12が終了すると、配線RW[i+1]には、再度、基準電位である電位VSSと
電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
【0316】
次いで、時刻T15乃至時刻T16において、図20に示す配線RW[i]に第2のアナ
ログ電位Vw[i]が与えられ、配線RW[i+1]に第2のアナログ電位Vw[i+1
]が与えられる。具体的に、配線RW[i]の電位は、基準電位である電位VSSと電位
VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[i]だけ高
い電位となり、配線RW[i+1]の電位は、基準電位である電位VSSと電位VDDの
間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[i+1]だけ高い電
位となるが、以下説明を分かり易くするために、配線RW[i]の電位は電位Vw[i]
であり、配線RW[i+1]の電位は電位Vw[i+1]であると仮定する。
【0317】
配線RW[i]が電位Vw[i]になると、容量素子C11の第1の電極の電位の変化量
がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図20に示すメモリセル
MC[i、j]におけるノードNの電位はVPR-Vx[i、j]+Vw[i]となり、
メモリセルMC[i、j+1]におけるノードNの電位はVPR-Vx[i、j+1]+
Vw[i]となる。また、配線RW[i+1]が電位Vw[i+1]になると、容量素子
C11の第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮
定すると、図20に示すメモリセルMC[i+1、j]におけるノードNの電位はVPR
-Vx[i+1、j]+Vw[i+1]となり、メモリセルMC[i+1、j+1]にお
けるノードNの電位はVPR-Vx[i+1、j+1]+Vw[i+1]となる。
【0318】
そして、上記の式6から、メモリセルMC[i、j]とメモリセルMC[i+1、j]と
に対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[j]か
らIoffset[j]を差し引いた電流、すなわち、電流Iout[j]に反映される
ことが分かる。また、メモリセルMC[i、j+1]とメモリセルMC[i+1、j+1
]とに対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[j
+1]からIoffset[j+1]を差し引いた電流、すなわち、電流Iout[j+
1]に反映されることが分かる。
【0319】
時刻T16が終了すると、配線RW[i]および配線RW[i+1]には、再度、基準電
位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与え
られる。
【0320】
上記構成により、積和演算を小さな回路規模で行うことができる。また、上記構成により
、積和演算を高速で行うことができる。また、上記構成により、低消費電力で積和演算を
行うことができる。
【0321】
なお、トランジスタTr12、Tr22、Tr23、Tr25、またはTr26は、オフ
電流が極めて低いトランジスタを用いることが望ましい。トランジスタTr12にオフ電
流が極めて低いトランジスタを用いることにより、ノードNの電位の保持を長時間に渡っ
て行うことができる。また、トランジスタTr22およびTr23にオフ電流が極めて低
いトランジスタを用いることにより、トランジスタTr21のゲートの電位の保持を、長
時間に渡って行うことができる。また、トランジスタTr25およびTr26にオフ電流
が極めて低いトランジスタを用いることにより、トランジスタTr24のゲートの電位の
保持を、長時間に渡って行うことができる。
【0322】
オフ電流が極めて低いトランジスタとしてOSトランジスタを用いればよい。チャネル幅
で規格化したOSトランジスタのリーク電流は、ソースドレイン間電圧が10V、室温(
25℃程度)の状態で10×10-21A/μm(10ゼプトA/μm)以下とすること
が可能である。
【0323】
以上説明した半導体装置を用いることにより、ニューラルネットワーク207における積
和演算を行うことができる。
【0324】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0325】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像表示装置に用いることのできる光電変換素子、
表示素子、およびトランジスタについて、図面を参照して説明する。
【0326】
図23(A)は、図4(A)に示す撮像表示装置110が有する画素の断面を説明する図
である。層111は光電変換素子161としてフォトダイオードを有する。層112は、
画素回路162を構成するトランジスタ等を有する。層113は表示素子163として発
光素子を有する。
【0327】
層111に含まれるフォトダイオードはシリコンを光電変換層とするpn型フォトダイオ
ード、またはpin型フォトダイオードであり、層301、302、303を有する。
【0328】
例えば、層301はn型領域、層302はp型領域、層303はp型領域とすること
ができる。なお、層302をi型領域としてもよい。また、層302には、電源線と層3
01とを接続するための領域304が設けられる。例えば、領域304はp型領域とす
ることができる。
【0329】
pn型またはpin型フォトダイオードは、代表的には単結晶シリコンを用いて形成する
ことができる。また、pin接合型フォトダイオードは、非晶質シリコン、微結晶シリコ
ン、多結晶シリコンなどの薄膜を用いて形成してもよい。
【0330】
ここで、図23(A)では、層111と層112とを貼り合わせ工程で電気的な接続を得
る構成例を示している。
【0331】
層111の第1面には、絶縁層362、ならびに絶縁層362に埋設された領域を有する
ように導電層353および導電層354が設けられる。導電層353は、層303と電気
的に接続される。導電層354は、領域304と電気的に接続される。また、絶縁層36
2、導電層353および導電層354の表面は、それぞれが一致するように平坦化されて
いる。
【0332】
層112の第1面には、絶縁層361、ならびに絶縁層361に埋設された領域を有する
ように導電層351および導電層352が設けられる。導電層351は、電源線と電気的
に接続される。導電層352は、トランジスタ162aのソースまたはドレインと電気的
に接続される。また、絶縁層361、導電層351および導電層352の表面は、それぞ
れが一致するように平坦化されている。
【0333】
ここで、導電層351および導電層353は、主成分が同一の金属元素であることが好ま
しい。導電層352および導電層354は、主成分が同一の金属元素であることが好まし
い。また、絶縁層361および絶縁層362は、同一の成分で構成されていることが好ま
しい。
【0334】
例えば、導電層351、352、353、354には、Cu、Al、Sn、Zn、W、A
g、PtまたはAuなどを用いることができる。接合のしやすさから、好ましくはCu、
Al、W、またはAuを用いる。また、絶縁層361、362には、酸化シリコン、酸化
窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタンなどを用いることができる
【0335】
つまり、導電層351および導電層353の組み合わせと、導電層352および導電層3
54の組み合わせのそれぞれに、上記に示す同一の金属材料を用いることが好ましい。ま
た、絶縁層361および絶縁層362のそれぞれに、上記に示す同一の絶縁材料を用いる
ことが好ましい。当該構成とすることで、層111と層112の境を接合位置とする、貼
り合わせ工程を行うことができる。当該貼り合わせ工程によって、導電層351および導
電層353の組み合わせと、導電層352および導電層354の組み合わせのそれぞれの
電気的な接続を得ることができる。また、絶縁層361および絶縁層362の機械的な強
度を有する接続を得ることができる。
【0336】
金属層同士の接合には、表面の酸化膜および不純物の吸着層などをスパッタリング処理な
どで除去し、清浄化および活性化した表面同士を接触させて接合する表面活性化接合法を
用いることができる。または、温度と圧力を併用して表面同士を接合する拡散接合法など
を用いることができる。どちらも原子レベルでの結合が起こるため、電気的だけでなく機
械的にも優れた接合を得ることができる。
【0337】
また、絶縁層同士の接合には、研磨などによって高い平坦性を得たのち、酸素プラズマ等
で親水性処理をした表面同士を接触させて仮接合し、熱処理による脱水で本接合を行う親
水性接合法などを用いることができる。親水性接合法も原子レベルでの結合が起こるため
、機械的に優れた接合を得ることができる。
【0338】
層111と、層112を貼り合わせる場合、それぞれの接合面には絶縁層と金属層が混在
するため、例えば、表面活性化接合法および親水性接合法を組み合わせて行えばよい。
【0339】
例えば、研磨後に表面を清浄化し、金属層の表面に酸化防止処理を行ったのちに親水性処
理を行って接合する方法などを用いることができる。また、金属層の表面をAuなどの難
酸化性金属とし、親水性処理を行ってもよい。なお、上述した方法以外の接合方法を用い
てもよい。
【0340】
なお、同一のシリコン基板の第1の面にトランジスタ等を形成し、第1の面とは逆の面に
フォトダイオードを形成する構成であってもよい。
【0341】
層112は、シリコン基板370に設けられたSiトランジスタを有する。図23(A)
において、Siトランジスタはシリコン基板370に活性領域を有するプレーナー型の構
成を示しているが、図25(A)、(B)に示すように、シリコン基板370にフィン型
の半導体層を有する構成であってもよい。または、図25(C)に示すように、シリコン
薄膜の半導体層371を有するトランジスタであってもよい。半導体層371は、例えば
、シリコン基板370上の絶縁層372上に形成された単結晶シリコン(SOI(Sil
icon on Insulator))とすることができる。
【0342】
層113は、表示素子163として発光素子を有する。発光素子としては、自発光が可能
な素子を用いることができ、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に
含んでいる。例えば、LED、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0343】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型な
どがある。ここでは、層113の層112とは逆の方向に光を取り出すため、トップエミ
ッション型を用いる。光を取り出す側の電極333には、可視光を透過する導電膜を用い
る。また、光を取り出さない側の電極331には、可視光を反射する導電膜を用いること
が好ましい。
【0344】
電極331と電極333との間には、EL層332が設けられる。EL層332は少なく
とも発光層を有する。EL層332は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、
正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物
質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を含む層を
さらに有していてもよい。
【0345】
EL層332には低分子系化合物および高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無
機化合物を含んでいてもよい。EL層332を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸
着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することがで
きる。
【0346】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層332に陽極
側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層3
32において再結合し、EL層332に含まれる発光物質が発光する。
【0347】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層332に2種類以上の
発光物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色
の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例え
ば、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物
質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のう
ち、2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領
域の波長(例えば350nm乃至750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素
子を適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペク
トルは、緑色および赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好まし
い。
【0348】
EL層332は、一つの色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材
料を含む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層332におけ
る複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない
領域を介して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍
光発光層または燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且
ついずれの発光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の
作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。
【0349】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が
電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0350】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム
亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる
。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、
鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合
金、またはこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に
薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電膜として用いる
ことができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用
いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい
【0351】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングス
テン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、また
はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ラン
タン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケ
ル、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。
また銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金
は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接
して金属膜または金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このよ
うな金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また
、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀と
インジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜な
どを用いることができる。
【0352】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、イン
クジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形
成することができる。
【0353】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子
輸送性の高い物質、および電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、そ
れぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリ
マー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料と
して機能させることもできる。
【0354】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コ
ア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また、
12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用
いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、鉛
、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0355】
発光素子上には、保護層として可視光を透過する基板382が接着層381を介してもう
けられる。基板382としては、例えばガラス基板、樹脂フィルムなどを用いることがで
きる。
【0356】
接着層381としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型
接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤とし
てはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、
イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂
、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透
湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート
等を用いてもよい。
【0357】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化
カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いる
ことができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸
着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入す
ることを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0358】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し
効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジル
コニウム等を用いることができる。
【0359】
また、白色発光の発光素子を適用する場合には、発光素子上にR(赤)、G(緑)、B(
青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの着色層を設けることにより、カラ
ー画像を得ることができる。着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂
材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0360】
図23(B)は、図4(B)に示す撮像表示装置120が有する画素の断面を説明する図
である。層115は光電変換素子161としてフォトダイオードを有する。層112は、
画素回路162を構成するトランジスタ等を有する。層113は表示素子163として発
光素子を有する。撮像表示装置120は、撮像表示装置110とはフォトダイオードの構
成が異なる。層112および層113の構成は、撮像表示装置110の説明を参照できる
【0361】
層115に示すフォトダイオードはセレン系材料を光電変換層とするpn型フォトダイオ
ードであり、層391、392、393、394を有する。
【0362】
層391は共通電極に相当し、可視光に対して高い透光性を有する導電層を用いることが
好ましい。例えば、インジウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム-錫酸化物、
ガリウム-亜鉛酸化物、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物、またはグラフェンなどを用
いることができる。なお、層391を省く構成とすることもできる。
【0363】
層392、393は光電変換部である。層393としてはp型半導体であるセレン系材料
を用い、層392としてはn型半導体であるガリウム酸化物などを用いることが好ましい
【0364】
セレン系材料を用いた光電変換素子は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する
。当該光電変換素子では、アバランシェ増倍効果を利用することにより、入射される光量
に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。また、セレン系材料は
光吸収係数が高いため、光電変換層を薄膜で作製できるなどの生産上の利点を有する。セ
レン系材料の薄膜は、真空蒸着法またはスパッタ法などを用いて形成することができる。
【0365】
セレン系材料としては、単結晶セレンや多結晶セレンなどの結晶性セレン、非晶質セレン
、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)、または、銅、インジウム、ガリウム、セ
レンの化合物(CIGS)などを用いることができる。
【0366】
n型半導体は、バンドギャップが広く、可視光に対して透光性を有する材料で形成するこ
とが好ましい。例えば、亜鉛酸化物、ガリウム酸化物、インジウム酸化物、錫酸化物、ま
たはそれらが混在した酸化物などを用いることができる。また、これらの材料は正孔注入
阻止層としての機能も有し、暗電流を小さくすることもできる。
【0367】
層394は画素電極に相当し、低抵抗の金属層などを用いることが好ましい。例えば、ア
ルミニウム、チタン、タングステン、タンタル、銀またはそれらの積層を用いることがで
きる。
【0368】
層115は、層112上に形成することができる。層394は層112に設けられた導電
層351を介してトランジスタ162aのソースまたはドレインと電気的に接続される。
層391は、導電層395および層112に設けられた導電層352を介して電源線と電
気的に接続される。
【0369】
図24(A)は、図5(A)に示す撮像表示装置130が有する画素の断面を説明する図
である。層111は光電変換素子161としてフォトダイオードを有する。層112およ
び層114は、画素回路167を構成するトランジスタ等を有する。層113は表示素子
163として発光素子を有する。撮像表示装置130は、撮像表示装置110とは層11
4を有する点が異なる。層111、112および層113の構成は、撮像表示装置110
の説明を参照できる。
【0370】
層114は、OSトランジスタを有する。図24(A)において、OSトランジスタはセ
ルフアライン型の構成を示しているが、図25(D)に示すように、ノンセルフアライン
型のトップゲート型トランジスタであってもよい。
【0371】
トランジスタ167a、167bはともにバックゲート365を有する構成を示している
が、いずれかがバックゲートを有する形態であってもよい。バックゲート365は、図2
5(E)に示すように、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接
続する場合がある。または、バックゲート365にフロントゲートとは異なる固定電位を
供給することができる構成であってもよい。
【0372】
OSトランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ま
しくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができ
る。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAC-
OSなどを用いることができる。
【0373】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲル
マニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハ
フニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0374】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化
物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M
、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の
原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In
:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.
1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:
1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタ
リングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0375】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いる。例えば、半導体層は、キ
ャリア密度が1×1017/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下、さらに
好ましくは1×1013/cm以下、より好ましくは1×1011/cm以下、さら
に好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上のキャリア密
度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または
実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度
が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0376】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥
密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好まし
い。
【0377】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が
含まれると、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコ
ンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atom
s/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0378】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生
成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半
導体層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(二次イオン質量分析法によ
り得られる濃度)を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016
toms/cm以下にする。
【0379】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が
生じてキャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半
導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層におけ
る窒素濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)は、5×1018atoms/
cm以下にすることが好ましい。
【0380】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向
した結晶を有するCAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalli
ne Oxide Semiconductor、または、C-Axis Aligne
d and A-B-plane Anchored Crystalline Oxi
de Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含
む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最
も欠陥準位密度が低い。
【0381】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない
。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さな
い。
【0382】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC
-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合
膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層
構造を有する場合がある。
【0383】
以下では、非単結晶の半導体層の一態様であるCAC(Cloud-Aligned C
omposite)-OSの構成について説明する。
【0384】
CAC-OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以
下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構
成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が
偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm
以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状
ともいう。
【0385】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムお
よび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イッ
トリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲ
ルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、
タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含
まれていてもよい。
【0386】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-G
a-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物
(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸
化物(以下、InX2ZnY2Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)
とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする
。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4Z4(X4、Y4、および
Z4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状とな
り、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2Z2が、膜中に均一に分布した
構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0387】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2
またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体
である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比
が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第
2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0388】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場
合がある。代表例として、InGaO(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn
1+x0)Ga(1-x0)(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表
される結晶性の化合物が挙げられる。
【0389】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、
CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面において
は配向せずに連結した結晶構造である。
【0390】
一方、CAC-OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、G
a、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観
察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれ
モザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、
結晶構造は副次的な要素である。
【0391】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。
例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含ま
ない。
【0392】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1
主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0393】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム
、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン
、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネ
シウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部
に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とする
ナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成を
いう。
【0394】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成
することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスと
して、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれた
いずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素
ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ま
しくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0395】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひ
とつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに
、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域
のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0396】
また、CAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を
照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該
リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC-
OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nan
o-crystal)構造を有することがわかる。
【0397】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X
線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectro
scopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域
と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合
している構造を有することが確認できる。
【0398】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IG
ZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分で
ある領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域と、に互い
に相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0399】
ここで、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3
などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2Zn
Z2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化
物半導体としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2Z2、またはIn
X1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界
効果移動度(μ)が実現できる。
【0400】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2Z2、またはInO
が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが
主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なス
イッチング動作を実現できる。
【0401】
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性
と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用す
ることにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現するこ
とができる。
【0402】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは
、様々な半導体装置の構成材料として適している。
【0403】
OSトランジスタが形成される領域とSiトランジスタが形成される領域との間には、水
素の拡散を防止する機能を有する絶縁層385が設けられる。トランジスタ165a、1
65bの活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリングボンドを終
端する。一方、トランジスタ167a、167bの活性層である酸化物半導体層の近傍に
設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる
【0404】
絶縁層385により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ165a、165
bの信頼性を向上させることができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑
制されることでトランジスタ167a、167bの信頼性も向上させることができる。
【0405】
絶縁層385としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウ
ム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸
化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0406】
図24(B)は、図5(B)に示す撮像表示装置140が有する画素の断面を説明する図
である。層115は光電変換素子161としてフォトダイオードを有する。層112およ
び層114は、画素回路167を構成するトランジスタ等を有する。層113は表示素子
163として発光素子を有する。撮像表示装置140は、撮像表示装置120とは層11
4を有する点が異なる。層112、113、114、115の構成は、撮像表示装置11
0乃至130の説明を参照できる。
【0407】
図26(A)は、本発明の一態様の撮像表示装置の撮像部101上にカラーフィルタ等を
付加した例を示す断面図である。当該断面図では、3画素分の画素回路を有する領域の一
部を示している。光電変換素子161が形成される層111または層115上には、絶縁
層400が形成される。絶縁層400は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜など
を用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層してもよ
い。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層してもよい。
【0408】
絶縁層400上には、遮光層410が形成されてもよい。遮光層410は、上部のカラー
フィルタを通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層410には、アルミニウム、タ
ングステンなどの金属層を用いることができる。また、当該金属層と反射防止膜としての
機能を有する誘電体膜を積層してもよい。
【0409】
絶縁層400および遮光層410上には、平坦化膜として有機樹脂層420を設けること
ができる。また、画素別にカラーフィルタ430(カラーフィルタ430a、カラーフィ
ルタ430b、カラーフィルタ430c)が形成される。例えば、カラーフィルタ430
a、カラーフィルタ430bおよびカラーフィルタ430cに、R(赤)、G(緑)、B
(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カ
ラー画像を得ることができる。
【0410】
なお、光電変換素子161上にカラーフィルタを設ける場合、表示素子163上には同色
のカラーフィルタを設けることが好ましい。なお、光電変換素子161上のカラーフィル
タをベイヤー配列とした場合は、表示素子163上のカラーフィルタもベイヤー配列とす
るなど、両者とも同じ配列とする。
【0411】
カラーフィルタ430上には、可視光に対して透光性を有する絶縁層460などを設ける
ことができる。
【0412】
また、図26(B)に示すように、カラーフィルタ430の代わりに光学変換層450を
用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮
像装置とすることができる。
【0413】
例えば、光学変換層450に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば赤外線撮
像装置とすることができる。また、光学変換層450に近赤外線の波長以下の光を遮るフ
ィルタを用いれば遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層450に可視
光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる。
【0414】
また、光学変換層450にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる、放射線
の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の
放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンス現象により可視光線や紫外
光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子161で検知するこ
とにより画像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いて
もよい。
【0415】
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収し
て可視光や紫外光を発する物質を含む。例えば、GdS:Tb、GdS:P
r、GdS:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF、BaF、C
eF、LiF、LiI、ZnOなどを樹脂やセラミクスに分散させたものを用いること
ができる。
【0416】
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子161においては、X線等の放射線を電荷に直
接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
【0417】
また、図26(C)に示すように、カラーフィルタ430a、カラーフィルタ430bお
よびカラーフィルタ430c上にマイクロレンズアレイ440を設けてもよい。マイクロ
レンズアレイ440が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通り、光電
変換素子161に照射されるようになる。また、図26(B)に示す光学変換層450上
にマイクロレンズアレイ440を設けてもよい。
【0418】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0419】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る撮像表示装置を用いることができる電子機器の具体例を図27に示
す。
【0420】
図27(A)はスマートグラスであり、本体901の内部に本発明の一態様の撮像表示装
置902、対物レンズ903および接眼レンズ904を有する。ベルト905を用いて頭
部に固定し、外の映像に加えてAR表示で情報を見ることができる。また、外の映像を遮
断し、外部から入力された映像を見るヘッドマウントディスプレイとしても利用できる。
【0421】
図27(B)は双眼鏡であり、鏡筒911の内部に本発明の一態様の撮像表示装置912
、対物レンズ913および接眼レンズ914を有する。倍率の高い対物レンズ913を備
えており、遠方の被写体に対してもAR表示で情報を見ることができる。また、単眼鏡や
望遠鏡でも同様の構成とすることができる。
【0422】
図27(C)は暗視スコープであり、鏡筒921の内部に本発明の一態様の撮像表示装置
922、対物レンズ923および接眼レンズ924を有する。基本的には上記双眼鏡と同
様の構成であるが、赤外線照射装置925も備える。赤外線を被写体に照射することで、
闇夜でも視認性の高い撮像および表示を行うことができる。
【0423】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0424】
10 光電変換素子
11 表示素子
12 表示素子
C11 容量素子
C21 容量素子
C22 容量素子
Tr11 トランジスタ
Tr12 トランジスタ
Tr21 トランジスタ
Tr22 トランジスタ
Tr23 トランジスタ
Tr24 トランジスタ
Tr25 トランジスタ
Tr26 トランジスタ
Tr27 トランジスタ
Tr28 トランジスタ
51 トランジスタ
52 トランジスタ
53 トランジスタ
54 トランジスタ
55 トランジスタ
56 トランジスタ
57 トランジスタ
58 トランジスタ
59 トランジスタ
60 容量素子
61 トランジスタ
62 トランジスタ
63 トランジスタ
64 容量素子
71 配線
72 配線
73 配線
74 配線
75 配線
76 配線
77 配線
78 配線
79 配線
80 配線
81 配線
82 配線
83 配線
84 配線
85 配線
86 配線
87 配線
100 撮像表示装置
101 撮像部
102 表示部
102a 回路部
103 レンズ
104 レンズ
105 被写体
106 視認者
110 撮像表示装置
111 層
112 層
113 層
114 層
115 層
120 撮像表示装置
130 撮像表示装置
140 撮像表示装置
150 領域
151 領域
152 領域
152a 回路
152b 回路
152c 回路
152d 回路
152e 回路
152f 回路
152g 回路
152h 回路
153 領域
154 領域
155 領域
155a 回路
155b 回路
161 光電変換素子
162 画素回路
162a トランジスタ
162b トランジスタ
163 表示素子
165a トランジスタ
165b トランジスタ
166 接続部
167 画素回路
167a トランジスタ
167b トランジスタ
171 画素回路
172 画素回路
173 画素回路
174 画素回路
175 画素回路
176 画素回路
177 画素回路
178 画素回路
179 画素回路
180 画素回路
200 データ処理部
201 演算部
202 画像処理部
203 位置センサ
204 入出力部
205 記憶部
206 サーバ
207 ニューラルネットワーク
208 記憶媒体
301 層
302 層
303 層
304 領域
331 電極
332 EL層
333 電極
351 導電層
352 導電層
353 導電層
354 導電層
361 絶縁層
362 絶縁層
365 バックゲート
370 シリコン基板
371 半導体層
372 絶縁層
381 接着層
382 基板
385 絶縁層
391 層
392 層
393 層
394 層
395 導電層
400 絶縁層
410 遮光層
420 有機樹脂層
430 カラーフィルタ
430a カラーフィルタ
430b カラーフィルタ
430c カラーフィルタ
440 マイクロレンズアレイ
450 光学変換層
460 絶縁層
501 入力層
502 中間層
503 出力層
505 サーバ
600 半導体装置
610 記憶回路
620 参照用記憶回路
630 回路
640 回路
650 電流源回路
901 本体
902 撮像表示装置
903 対物レンズ
904 接眼レンズ
905 ベルト
911 鏡筒
912 撮像表示装置
913 対物レンズ
914 接眼レンズ
921 鏡筒
922 撮像表示装置
923 対物レンズ
924 接眼レンズ
925 赤外線照射装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27