(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】口腔ケア用具のハンドル
(51)【国際特許分類】
A46B 7/04 20060101AFI20240326BHJP
A61C 17/22 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A46B7/04
A61C17/22 C
(21)【出願番号】P 2023197984
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】香嶋 郁美
(72)【発明者】
【氏名】和田 行紀
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/138074(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/006277(WO,A1)
【文献】特開2021-023802(JP,A)
【文献】特開平02-071710(JP,A)
【文献】実開昭60-074637(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 5/00
A46B 7/04
A61C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア用のヘッドを着脱できる口腔ケア用具のハンドルであって、
前記ヘッドを装着するための装着部を軸方向の一端部に有する筒状の外装体と、
前記外装体内を移動可能に配置されている移動体と、を備え、
前記外装体及び前記移動体は、前記移動体を一次成形品として前記外装体を二次成形品とする二色成形によって、互いに非相溶性の樹脂材料によって形成されているものであり、
前記装着部に前記ヘッドを装着する際に前記ヘッドに押し込まれることによって前記移動体が前記外装体内を軸方向の他端部側に向かって移動可能に構成されており、
前記装着部から前記ヘッドを脱離させる際に前記外装体の前記一端部側に前記移動体を移動させるための操作部を前記移動体が有している
口腔ケア用具のハンドル。
【請求項2】
前記移動体は、前記ヘッドが前記装着部に装着されている状態における装着位置と、前記ヘッドが前記装着部に装着されていない状態における脱離位置と、の間を移動可能に構成されており、
二色成形によって形成されている前記外装体及び前記移動体によって、当該移動体を前記装着位置及び前記脱離位置に保持する保持機構が構成されている
請求項1に記載の口腔ケア用具のハンドル。
【請求項3】
前記外装体は、軸方向における両端が開放されており、軸方向における前記一端部に前記装着部を備え、軸方向における前記他端部に前記操作部が突出する開口を備える
請求項1又は2に記載の口腔ケア用具のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア用のヘッドを着脱できる口腔ケア用具のハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッド交換式の歯ブラシが記載されている。特許文献1に記載されている歯ブラシは、ヘッドを取り付けるハンドル体がスライド機構を備えている。スライド機構は、付勢ばねを有する嵌合解除部を備えている。スライド機構を操作することによって、ヘッドとハンドル体との嵌合を解除できる。スライド機構は、付勢ばねの付勢力によって機能するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているようなハンドルでは、ハンドルを製造する際にスライド機構のような機構を組み立てる作業が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための口腔ケア用具のハンドルは、口腔ケア用のヘッドを着脱できる口腔ケア用具のハンドルであって、前記ヘッドを装着するための装着部を軸方向の一端部に有する筒状の外装体と、前記外装体内を移動可能に配置されている移動体と、を備え、前記外装体及び前記移動体は、前記移動体を一次成形品として前記外装体を二次成形品とする二色成形によって、互いに非相溶性の樹脂材料によって形成されているものであり、前記装着部に前記ヘッドを装着する際に前記ヘッドに押し込まれることによって前記移動体が前記外装体内を軸方向の他端部側に向かって移動可能に構成されており、前記装着部から前記ヘッドを脱離させる際に前記外装体の前記一端部側に前記移動体を移動させるための操作部を前記移動体が有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ヘッドを取り外しできるハンドルを製造する際の作業を軽減したハンドルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、口腔ケア用具のハンドルの一実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のハンドルにおけるヘッドが脱離した状態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図1のハンドルが備える保持機構を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1のハンドルが備える保持機構を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のハンドルを製造する成形装置を示す模式図である。
【
図7】
図7は、変更例のハンドルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、口腔ケア用具のハンドルの一実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、口腔ケア用具90は、口腔ケア用のヘッド91と、ハンドル10とを有している。ヘッド91は、ハンドル10に対して着脱可能に構成されている。口腔ケア用具90は、ハンドル10にヘッド91を装着させた状態で使用される。
【0009】
図1は、ハンドル10にヘッド91が装着されている状態を示す。
図2は、ハンドル10からヘッド91が脱離している状態を示す。以下では、ハンドル10にヘッド91が装着されている状態を装着状態ということもある。また、ハンドル10からヘッド91が脱離している状態を脱離状態ということもある。
【0010】
<ヘッド>
図1に示すように、ヘッド91は、口腔ケア部92と挿入部93とを備えている。
口腔ケア部92の一例は、歯ブラシである。その他、口腔ケア部92としては、例えば、歯間ブラシ、歯間ピック、デンタルフロスのホルダ、舌磨き用ブラシ、歯鏡、ステインクリーナー、綿棒等が挙げられる。
【0011】
挿入部93は、ハンドル10に取り付けることができるように構成されている。挿入部93をハンドル10に取り付けることによって、ヘッド91をハンドル10に固定することができる。挿入部93の形状は例えば円柱状であるが、挿入部93の形状は円柱状に限定されず、後述する外装体20の装着部22に取り付けることができる形状を適宜採用できる。
【0012】
<ハンドル>
ハンドル10は、口腔ケア用具90の使用者が握る柄である。
図1及び
図2に示すように、ハンドル10は、外装体20と移動体30とを備えている。外装体20は筒状である。移動体30は、外装体20の内部を外装体20の軸方向に沿って移動できる。
【0013】
外装体20及び移動体30は、二色成形によって形成されている。移動体30が一次成形品である。外装体20が二次成形品である。外装体20及び移動体30は、互いに非相溶性の樹脂材料によって形成されている。外装体20と移動体30とは融着していない。
【0014】
本明細書における二色成形とは、以下のように一次成形品及び二次成形品を得る方法である。まず、熱可塑性樹脂である第1樹脂を一次成形品の金型に射出することによって、一次成形品を成形する。次に、二次成形品の金型に一次成形品をセットする。続いて、熱可塑性樹脂である第2樹脂を二次成形品の金型に射出することによって、二次成形品を成形する。
【0015】
〔外装体〕
外装体20は、筒状である。
筒状とは、断面環状の周壁を備えている構造体である。上記「環状」という用語は、ループ、すなわち端部のない連続形状を形成する任意の構造を指すことがある。「環状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖った又は丸い角を有する多角形等が挙げられる。外装体20は、例えば円筒状である。外装体20は、円筒状に限定されず、円形以外の上記環状の形状を有する筒状であってもよい。
【0016】
図3に示すように、外装体20は、中空形状である。外装体20の内部を収容部21という。外装体20は、軸方向における両端が開放されている。
図1及び
図2に示すように、外装体20の軸方向における一端側の端部(以下、「一端部」ともいう。)に、ヘッド91の挿入部93が挿入されることによって、外装体20に挿入部93が取り付けられる。具体的には、外装体20の一端部の内径が、挿入部93の外径と略等しく構成されているか、もしくは、挿入部93の外径よりも若干小さく構成されていることによって、外装体20の一端部に挿入部93が圧入される。この状態で、外装体20に挿入部93が固定される。外装体20に挿入部93が固定されることによって、ハンドル10にヘッド91が固定される。挿入部93を挿入できる外装体20における一端部を、装着部22という。外装体20の軸方向における他端側の端部(以下、「他端部」ともいう。)のことを、開口24という。
【0017】
〔移動体〕
図1~
図3に示すように、移動体30は、例えば柱状である。一例として、移動体30は、中実の柱状である。移動体30は、中空の柱状であってもよい。
【0018】
移動体30は、例えば円柱状である。移動体30の断面形状は、円形に限定されず、楕円形、及び、尖った又は丸い角を有する多角形等であってもよい。
図1~
図3に示すように、移動体30の軸方向における一端側の端部は、ヘッド受部32として機能する。ヘッド受部32は、外装体20の収容部21に配置されている。移動体30の軸方向における他端側の端部は、外装体20の他端側の端部の開口24から突出する露出端部31として機能する。
【0019】
ハンドル10では、一次成形品としての移動体30が、二次成形品としての外装体20に覆われるように配置されている。
移動体30は、外装体20内を移動可能に配置されている。外装体20及び移動体30は、外装体20の収容部21を移動体30が摺動できるように構成されている。移動体30が摺動できればよく、収容部21において移動体30と外装体20とが接していない部分があってもよい。
【0020】
図1に示すように、ハンドル10は、装着状態において、ヘッド91の挿入部93における他端側の端部とヘッド受部32とが接するように構成されている。例えば、装着状態において、挿入部93の端面とヘッド受部32の端面とが接触するように構成されている。これに限らず、例えば、挿入部93及びヘッド受部32は、凹部及び凸部のような相補的な形状を有していてもよい。
【0021】
ここで、ハンドル10が装着状態である場合の移動体30の位置を装着位置という。ハンドル10が脱離状態である場合の移動体30の位置を脱離位置という。
図3には、脱離位置の移動体30を実線で表示し、装着位置の移動体30を二点鎖線で表示している。
【0022】
また、外装体20における装着部22から開口24に向かう方向を第1方向D1という。外装体20における開口24から装着部22に向かう方向を第2方向D2という。第1方向D1は、軸方向のうち一方向に対応し、第2方向D2は、軸方向のうち第1方向D1とは反対の方向に対応する。
図1~
図5には、第1方向D1及び第2方向D2を示す矢印を表示している。
【0023】
移動体30は、装着位置と脱離位置との間を移動できる。装着位置は、脱離位置と比較して、移動体30が第2方向D2に移動した位置である。脱離位置は、装着位置と比較して、移動体30が第1方向D1に移動した位置である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、ハンドル10は、移動体30が装着位置にある場合には、移動体30が脱離位置にある場合と比較して、外装体20から露出端部31が露出している部分が長くなるように構成されている。すなわち、
図1に示すように、装着位置においては、露出端部31が外装体20の開口24から突出している。
図2に示すように、脱離位置においては、露出端部31が外装体20の開口24から突出している長さが短くなっている。なお、脱離位置において、露出端部31の全てが外装体20の収容部21に収容されていてもよい。
【0025】
ハンドル10は、移動体30が脱離位置にある場合には、ヘッド受部32から外装体20における装着部22側の端までの長さが、ヘッド91の挿入部93よりも短くなっている。
【0026】
<保持機構>
ハンドル10は、移動体30を装着位置及び脱離位置に保持する保持機構40を備えていてもよい。保持機構40の一例は、二色成形によって形成されている外装体20及び移動体30によって、形成されている。
図1~
図3には、保持機構40を模式的に示している。
【0027】
保持機構40の一例を説明する。
図4及び
図5に示すように、保持機構40は、噛合部43と、第1保持部41と、第2保持部42とによって構成されている。
【0028】
第1保持部41及び第2保持部42は、移動体30が備えている。第1保持部41及び第2保持部42は、移動体30の表面に形成されている。第1保持部41は、第2保持部42よりも、露出端部31に近い位置に形成されている。
【0029】
噛合部43は、外装体20が備えている。噛合部43は、第1保持部41及び第2保持部42と噛み合うことのできる形状を有している。
保持機構40は、第1保持部41と噛合部43とが噛み合うことによって、移動体30を脱離位置に保持することができるように構成されている。
【0030】
保持機構40は、第2保持部42と噛合部43とが噛み合うことによって、移動体30を装着位置に保持することができるように構成されている。
図4及び
図5に示すように、例えば、第1保持部41及び第2保持部42は、窪みとして移動体30に形成されている。この場合に噛合部43は、窪みに嵌まることのできる凸部として外装体20の内面に形成されている。保持機構40は、移動体30を装着位置及び脱離位置に保持することができるものであれば、上記形状に限らず採用できる。
【0031】
上記の「移動体30を保持する」とは、移動体30に作用する力の大きさが規定のしきい値よりも小さければ、移動体30に力が作用しても、噛合部43と第1保持部41又は第2保持部42との噛み合いが解消されないことを意味する。例えば、保持機構40の形状によって、上記規定のしきい値を調整できる。上記規定のしきい値は、ヘッド91を装着したハンドル10が口腔ケアのために使用される場合に作用しうる力の上限よりも大きい値に設定されることが好ましい。
【0032】
<ハンドルの製造方法>
ハンドル10の製造方法の一例を説明する。
ハンドル10の製造方法は、一次成形工程と二次成形工程とを備えている。
【0033】
一次成形工程では、第1樹脂による一次成形品である移動体30を得る。
二次成形工程では、移動体30を覆うように二次成形品である外装体20を得る。二次成形工程では、第1保持部41に噛み合っている状態として噛合部43を成形する。
【0034】
図6は、二次成形工程を行う成形装置110を例示している。
成形装置110は、例えば射出成型装置である。成形装置110は、外装体20の金型を備えている。
図6には、外装体20の金型として第1金型111及び第2金型112を例示している。第1金型111及び第2金型112によって、外装体20を成形するキャビティ113が形成されている。金型は、キャビティ113に第2樹脂を供給するスプルー114を備えている。当該第2樹脂は、一次成形品の移動体30に対して非相溶性の樹脂である。
【0035】
図6に示すように、外装体20の金型は、一次成形品である移動体30の第2保持部42に嵌まる保持機構成形部115を有している。第1保持部41は、キャビティ113に配置されている。こうした金型によれば、第1保持部41に噛み合っている状態として噛合部43を成形できる。
【0036】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
図2に示すような脱離状態のハンドル10に対してヘッド91の挿入部93を装着部22に挿入すると、挿入部93とヘッド受部32との接触によって、移動体30を第1方向D1に押す力が移動体30に作用する。これによって、移動体30が第1方向D1に移動する。すなわち、ハンドル10は、装着部22にヘッド91を装着する際にヘッド91に押し込まれることによって移動体30が外装体20内を軸方向の他端部側に向かって移動可能に構成されている。移動体30が第1方向D1に移動することで、移動体30が脱離位置から装着位置に移動する。移動体30が装着位置に移動すると、
図1に示すように露出端部31が外装体20から突出する。
【0037】
また、上記のように移動体30が脱離位置から第1方向D1に移動すると、第1保持部41と噛合部43との噛み合いが解消される。移動体30が第1方向D1にさらに移動することで移動体30が装着位置まで移動すると、
図4に示すように、第2保持部42と噛合部43とが噛み合わせられる。この結果として、移動体30が装着位置に保持される。
【0038】
なお、噛合部43が第1保持部41と第2保持部42との間に位置している際には、噛合部43が一時的に変形する。具体的には、第1保持部41又は第2保持部42と噛み合っていない状態の噛合部43は、移動体30の移動方向に対して交差する方向に、移動体30から離れるように変形する。
図4には、移動中に変形している状態の噛合部43を二点鎖線で例示している。
【0039】
図1に示すような装着状態のハンドル10において露出端部31を第2方向D2に押し込むことによって移動体30を移動させる力を加えると、挿入部93とヘッド受部32との接触によって、ヘッド91を第2方向D2に押す力がヘッド91に作用する。これによって、ヘッド91が第2方向D2に移動する。ヘッド91が第2方向D2に移動することで、
図2に示すようにヘッド91が装着部22から脱離できる。本実施形態のハンドル10において移動体30の露出端部31は、「装着部からヘッドを脱離させる際に外装体の一端部側に移動体を移動させるための操作部」に対応する。すなわち、開口24は、軸方向における他端部において操作部が突出する開口である。
【0040】
このようにヘッド91を装着部22から脱離させるとき、移動体30は、装着位置から脱離位置に移動する。移動体30が装着位置から第2方向D2に移動すると、第2保持部42と噛合部43との噛み合いが解消される。移動体30が第2方向D2にさらに移動することで移動体30が脱離位置まで移動すると、
図5に示すように、第1保持部41と噛合部43とが噛み合わせられる。この結果として、移動体30が脱離位置に保持される。
【0041】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態のハンドル10は、ヘッド91を着脱するための機構を二色成形による成形品によって実現している。具体的には、ヘッド91を着脱できるハンドル10が二色成形によって形成した外装体20及び移動体30によって構成されている。
【0042】
二次成形品である外装体20を成形した時点でヘッド91を着脱するための機構が備わっている本実施形態のハンドル10によれば、ヘッドを着脱するための機構を組み立てる作業を要するハンドルと比較して、ハンドル10を製造する際の作業を軽減できる。
【0043】
(2)上記のヘッドを着脱するための機構を組み立てる作業を要するハンドルでは、各部材について寸法のばらつきを考慮する必要があるため、設計及び製造に際して要求される精度が高い、という事情がある。
【0044】
これに対して本実施形態のハンドル10によれば、ヘッド91を着脱するための機構を二色成形による成形品によって実現しているため、設計及び製造に際して要求される精度が過度に高くなりにくい。これによって、高い製造効率を実現できる。
【0045】
(3)二色成形による成形品によって、移動体30を保持する保持機構40を機能させることができる。
(4)本実施形態のハンドル10は、露出端部31と装着部22とが、ハンドル10の軸方向において一方の端部と他方の端部に配置されている。このため、操作部としての露出端部31がヘッド91から離れた位置にある。本実施形態のハンドル10では露出端部31を押し込むことでヘッド91を取り外すことができる。このとき、操作部としての露出端部31がヘッド91から離れていることによって、ヘッド91を取り外す際に使用者の手が汚れにくい。このため、衛生的にヘッド91を取り外すことができる。
【0046】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・上記実施形態では、軸方向における両端が開放されている外装体20を例示した。外装体としては、装着部とは反対側の端部、すなわち他端部が開放されていなくてもよい。この場合の構成の一例を
図7を用いて説明する。
【0048】
図7は、変更例のハンドル210を示す。ハンドル210は、外装体220と移動体230とを備えている。ハンドル210について、上記実施形態におけるハンドル10と共通の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0049】
外装体220は、装着部22とは反対側の端部に、移動体230が第1方向D1に移動することを規制する終端部225を備えている。終端部225は、例えば、筒状の外装体220において装着部22とは反対側の端部を閉塞する壁である。外装体220は、軸方向において収容部21と終端部225との間に、収容部21から突出した露出端部31が露出する窓部226を備えている。
【0050】
図7は、収容部21から露出端部31が突出している状態、すなわち移動体230が装着位置にある状態を示している。装着状態では、例えば、
図7に示すように、移動体230の露出端部31における端が終端部225に接している。装着位置にある移動体230が第2方向D2に移動すると、移動体230の露出端部31における端と終端部225とが離れる。したがって、脱離状態では、移動体230の露出端部31における端と終端部225とが離れている。こうした変更例のハンドル210によれば、ハンドル210における軸方向の長さが脱離状態と装着状態とで変動しない。
【0051】
移動体230は、操作部233を備えている。操作部233は、装着位置にある移動体230を脱離位置に移動させるために移動体230を収容部21に押し込む際に使用者が移動体230に力を加えることを補助できるように構成されている。操作部233は、「装着部からヘッドを脱離させる際に外装体の一端部側に移動体を移動させるための操作部」に対応する。
【0052】
図7に示すように、操作部233は、窓部226から覗く位置に形成されている。操作部233は、例えば、突起である。操作部233は、突起に限らず、ハンドル210を使用する使用者の指との摩擦が生じる形状であればよい。例えば、操作部233は、凹み、窪み、溝、シボ等の形状、上記形状を二つ以上組み合わせた形状でもよい。
【0053】
・
図7を参照して説明した上記変更例では、装着位置にある移動体230の露出端部31における端が終端部225に接している構成を例示した。
これに替えて、装着位置にある移動体230の露出端部31の端が終端部225から第2方向D2に離れた位置に配置されていてもよい。すなわち、装着位置にある移動体230の露出端部31と終端部225との間に隙間があってもよい。装着位置にある移動体230の露出端部31と終端部225との間に隙間があれば、ハンドルの使用者は当該隙間に指を入れることができる。これによって、上記実施形態におけるハンドル10と同様に、露出端部31を第2方向D2に押し込むことができる。この場合には、操作部233は、省略してもよい。この場合には、露出端部31が「装着部からヘッドを脱離させる際に外装体の一端部側に移動体を移動させるための操作部」に対応する。
【0054】
・ハンドル10は、外装体20の周方向に沿う移動体30の相対的な向きを規定する構成を備えていてもよい。外装体20の周方向に沿う移動体30の相対的な向きを規定する構成の一例は、外装体20及び移動体30が備えているキー及びキー溝である。
【0055】
・ハンドル10は、外装体20の周方向に沿う挿入部93の相対的な向きを規定する構成を備えていてもよい。外装体20の周方向に沿う挿入部93の相対的な向きを規定する構成を備えていることによって、ハンドル10は、ハンドル10に対するヘッド91の相対的な向きを規定することができる。
【0056】
当該構成は、例えば、挿入部93及び装着部22によって構成されている。当該構成の一例は、キー及びキー溝である。
当該構成は、例えば、挿入部93及びヘッド受部32によって構成されていてもよい。当該構成の一例は、外装体20の周方向に沿う移動体30の相対的な向きを規定する構成を備えているハンドル10において、外装体20に対して挿入部93が回り止めされるように挿入部93及びヘッド受部32が有している相補的な形状である。挿入部93及びヘッド受部32が有している相補的な形状の一例は、挿入部93の端部がヘッド受部32に向けて突出している形状、及び当該形状が嵌まるようにヘッド受部32の端部が凹んでいる形状である。または、ヘッド受部32の端部が挿入部93に向けて突出している形状、及び当該形状が嵌まるように挿入部93の端部が凹んでいる形状である。
【0057】
・上記実施形態では、装着状態において、ヘッド91の挿入部93における端部とヘッド受部32とが接するように構成されているハンドル10を例示した。ハンドルとしては、ヘッド91を装着する際とヘッド91を脱離する際にヘッド91の端部とヘッド受部32とが接すればよく、装着状態においてヘッド91の端部とヘッド受部32とが接していることは必須の要件ではない。すなわち、装着状態において、ヘッド91の挿入部93における端部とヘッド受部32とが離れていることで隙間が形成されていてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、保持機構40を備えているハンドル10を例示した。ハンドル10が保持機構40を備えていることは必須の要件ではない。
・外装体20及び移動体30とは別の部材を外装体20及び移動体30と組み合わせることによって、移動体30を保持する機構が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…ハンドル
20…外装体
21…収容部
22…装着部
24…開口
30…移動体
31…操作部としての露出端部
32…ヘッド受部
40…保持機構
90…口腔ケア用具
91…ヘッド
【要約】
【課題】口腔ケア用のヘッドを取り外しできる口腔ケア用具のハンドルを製造する際の作業を軽減したハンドルを提供する。
【解決手段】口腔ケア用具90のハンドル10は、口腔ケア用のヘッド91を装着するための装着部22を軸方向の一端部に有する筒状の外装体20と、外装体20内を移動可能に配置されている移動体30と、を備えている。外装体20及び移動体30は、移動体30を一次成形品として外装体20を二次成形品とする二色成形によって、互いに非相溶性の樹脂材料によって形成されている。ハンドル10は、装着部22にヘッド91を装着する際にヘッド91に押し込まれることによって移動体30が外装体20内を軸方向の他端部側に向かって移動可能に構成されている。移動体30は、装着部22からヘッド91を脱離させる際に外装体20の一端部側に移動体30を移動させるための操作部として露出端部31を有している。
【選択図】
図1