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特許7460854動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置、教示装置、制御装置、ロボットシステム、及び方法
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  • 特許-動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置、教示装置、制御装置、ロボットシステム、及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置、教示装置、制御装置、ロボットシステム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20240326BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 U
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023531539
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2022003626
(87)【国際公開番号】W WO2023145083
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】新村 星太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 豪
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-019841(JP,A)
【文献】特開平11-077571(JP,A)
【文献】特開2019-195852(JP,A)
【文献】特開平07-136977(JP,A)
【文献】国際公開第2006/137239(WO,A1)
【文献】特開昭61-040609(JP,A)
【文献】特開2010-052106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/18 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置であって、
前記機能を有効とする前記ツールを、第1の前記ツールから第2の前記ツールに切り換えるツール切換部と、
前記ロボットを識別する情報に応じて、所定の前記動作モードを設定して固定する動作モード設定部と、を備える、装置。
【請求項2】
前記ツール切換部は、
前記第2のツールが接続されたことを示す信号に応じて、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換えるか、又は、
複数の前記ツールが同時に接続されたことを示す信号を受け付けたときに、該複数のツールの前記機能を一時的に無効にする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ツール切換部は、前記装置が起動されたときに前記信号を取得する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ツールには、予め定められた優先順位が与えられ、
前記ツール切換部は、前記優先順位が最上位である前記第2のツールが接続されたことを示す前記信号を受け付けたときに、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換える、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置であって、
前記機能を有効とする前記ツールを、第1の前記ツールから第2の前記ツールに切り換えるツール切換部を備え、
前記ツール切換部は、前記第2のツールが接続されたことを示す信号に応じて、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換え
前記第1のツール又は第3の前記ツールは、前記第2のツールの前記機能によって選択された前記動作モードを実行するための入力に応じて、該選択された動作モードによる動作を前記ロボットに実行させるための指令を、前記ロボットを制御する制御装置に送信する、装置。
【請求項6】
ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置であって、
前記機能を有効とする前記ツールを、第1の前記ツールから第2の前記ツールに切り換えるツール切換部を備え、
前記第2のツールは、該第2のツールが接続されたことを示す信号を前記ツール切換部に送信し、
前記ツール切換部は、前記第2のツールから前記信号を受け付けたときに、前記機能を有効とする前記ツールを該第2のツールに切り換える、装置。
【請求項7】
前記信号は、前記第2のツールを識別する情報を含み、
前記ツール切換部は、前記識別する情報に基づいて前記第2のツールを識別し、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ツール切換部は、複数の前記ツールが同時に接続されたことを示す信号を受け付けたときに、該複数のツールの前記機能を一時的に無効にする、請求項5~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ツール切換部は、前記装置が起動されたときに前記信号を取得する、請求項5~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ツールには、予め定められた優先順位が与えられ、
前記ツール切換部は、前記優先順位が最上位である前記第2のツールが接続されたことを示す前記信号を受け付けたときに、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換える、請求項5~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ツールは、
前記動作モードを選択するための物理スイッチを有するモード切換装置と、
前記ロボット又は該ロボットの周辺機器の制御装置と、
前記ロボットを動作させ、該ロボットに所定の動作を教示する教示装置と、
前記制御装置又は前記周辺機器に指令を与える上位コントローラと、の少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記動作モードは、
前記ロボットに所定の動作を教示する教示モードと、
前記所定の動作を確認するために該ロボットに該所定の動作を試行させる動作確認モードと、
前記所定の動作のための動作プログラムに従って前記ロボットを動作させる自動運転モードと、の少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ロボットを識別する情報に応じて、前記教示モード、前記動作確認モード、及び前記自動運転モードのいずれの動作も実行可能となる任意動作モードを設定する動作モード設定部をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換える入力を受け付ける入力受付部をさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記入力を受け付けるための画像データを生成する画像生成部をさらに備え、
前記入力受付部は、前記画像データを通して前記入力を受け付ける、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置であって、
前記機能を有効とする前記ツールを、第1の前記ツールから第2の前記ツールに切り換えるツール切換部を備え、
前記第1のツールは、前記動作モードを選択するためのモード切換装置、前記ロボット又は該ロボットの周辺機器の制御装置、該ロボットに所定の動作を教示する教示装置、及び、該制御装置又は該周辺機器に指令を与える上位コントローラ、のうちの1つである一方、前記第2のツールは、該モード切換装置、該制御装置、該教示装置、及び該上位コントローラ、のうちの他の1つであり、
前記ツール切換部は、
前記第2のツールが接続されたことを示す信号に応じて、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換えるか、又は、
前記第1のツールと前記第2のツールが同時に接続されたことを示す信号を受け付けたときに、該第1のツールと該第2のツールの前記機能を一時的に無効にする、装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の装置を備える、前記ロボットの教示装置又は制御装置。
【請求項18】
ロボットと、
前記ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールと、
請求項1~16のいずれか1項に記載の装置と、を備える、ロボットシステム。
【請求項19】
ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える方法であって、
プロセッサが、
前記機能を有効とする前記ツールを、第1の前記ツールから第2の前記ツールに切り換え、
前記第2のツールが接続されたことを示す信号に応じて、前記機能を有効とする前記ツールを前記第2のツールに切り換え
前記第1のツール又は第3の前記ツールは、前記第2のツールの前記機能によって選択された前記動作モードを実行するための入力に応じて、該選択された動作モードによる動作を前記ロボットに実行させるための指令を、該ロボットを制御する制御装置に送信する、方法。
【請求項20】
ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える方法であって、
プロセッサが、前記機能を有効とする前記ツールを、第1の前記ツールから第2の前記ツールに切り換え、
前記第2のツールは、該第2のツールが接続されたことを示す信号を前記プロセッサに送信し、
前記プロセッサは、前記第2のツールから前記信号を受け付けたときに、前記機能を有効とする前記ツールを該第2のツールに切り換える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置、教示装置、制御装置、ロボットシステム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの動作モードを切り換える機能を有するツールが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-77571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロボットの動作モードを選択する機能を実行するツールを備えたロボットシステムを構築又は改変するときに、該機能を有効とするツールを変更したい場合がある。従来、このように機能を有効とするツールを変更するために、ソフトウェアの追加又は設定変更等が必要となり、その結果、ロボットシステムの構築又は改変等に掛かる作業が煩雑化していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、ロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える装置は、機能を有効とするツールを、第1のツールから第2のツールに切り換えるツール切換部を備える。
本開示の他の態様においてロボットの動作モードを選択する機能を有するツールを切り換える方法は、プロセッサが、機能を有効とするツールを、第1のツールから第2のツールに切り換える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、オペレータは、ソフトウェアの追加又は設定変更することなく、動作モードを選択する機能を有効とするツールを簡単に切り換ることができる。その結果、ロボットシステムの構築又は改変等に掛かる作業を簡単化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るロボットシステムの概略図である。
図2図1に示すロボットシステムのブロック図である。
図3図1に示すモード切換装置の概略図である。
図4】運転モードを選択するためのモード選択画像データの一例を示す。
図5】ツールを切り換える入力をするための画像データの一例を示す。
図6図1に示すロボットシステムの他の機能を表すブロック図である。
図7】ツールを切り換える入力をするための画像データの他の例を示す。
図8】他の実施形態に係るロボットシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1及び図2を参照して、一実施形態に係るロボットシステム10について説明する。ロボットシステム10は、ロボット12、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20を備える。
【0009】
本実施形態においては、ロボット12は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース22、旋回胴24、下腕部26、上腕部28、手首部30、及びエンドエフェクタ32を有する。ロボットベース22は、作業セルの床、又は無人搬送車(AGV)の上に固定される。旋回胴24は、鉛直軸周りに回動可能となるようにロボットベース22に設けられている。下腕部26は、水平軸周りに回動可能となるように旋回胴24に設けられ、上腕部28は、下腕部26の先端部に回動可能に設けられている。手首部30は、上腕部28の先端部に、互いに直交する2つの軸周りに回動可能に設けられている。
【0010】
エンドエフェクタ32は、手首部30の先端部(いわゆる、手首フランジ)に着脱可能に取り付けられる。エンドエフェクタ32は、ロボットハンド、溶接トーチ、又はレーザ加工ヘッド等であって、ワークに対して所定の作業(ワークハンドリング、溶接、又はレーザ加工等)を行う。
【0011】
ロボットベース22、旋回胴24、下腕部26、上腕部28、及び手首部30には、複数のサーボモータ34(図2)がそれぞれ設けられている。サーボモータ34は、制御装置14からの指令に応じて、ロボット12の各可動コンポーネント(すなわち、旋回胴24、下腕部26、上腕部28、及び手首部30)を駆動軸周りにそれぞれ回動させる。こうして、ロボット12は、制御装置14からの指令に応じて動作し、エンドエフェクタ32を任意の目的位置へ移動させる。
【0012】
制御装置14は、ロボット12の動作を制御する。具体的には、制御装置14は、プロセッサ40、メモリ42、I/Oインターフェース44、入力装置46、及び表示装置48を有するコンピュータである。プロセッサ40は、CPU又はGPU等を有し、メモリ42、I/Oインターフェース44、入力装置46、及び表示装置48とバス50を介して通信可能に接続され、これらコンポーネントと通信しつつ、ロボット制御機能を実現するための演算処理を行う。
【0013】
メモリ42は、RAM又はROM等を有し、各種データを一時的又は恒久的に記憶する。I/Oインターフェース44は、例えば、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、光ファイバコネクタ、又はHDMI(登録商標)端子を有し、プロセッサ40からの指令の下、外部機器との間でデータを有線又は無線で通信する。
【0014】
入力装置46は、押しボタン、キーボード、マウス、又はタッチパネル等を有し、オペレータからの入力データを受け付ける。表示装置48は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を有し、プロセッサ40からの指令の下、各種データを視認可能に表示する。なお、入力装置46及び表示装置48は、制御装置14の筐体に一体に組み込まれてもよいし、又は、制御装置14の筐体とは別体として該筐体に外付けされてもよい。
【0015】
教示装置16は、ロボット12に所定の動作を教示する。具体的には、教示装置16は、例えば、教示ペンダント又はタブレット型端末装置等の携帯型コンピュータであって、プロセッサ60、メモリ62、I/Oインターフェース64、入力装置66、及び表示装置68を有する。なお、プロセッサ60、メモリ62、I/Oインターフェース64、入力装置66、及び表示装置68の構成は、上述のプロセッサ40、メモリ42、I/Oインターフェース44、入力装置46、及び表示装置48と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0016】
入力装置66及び表示装置68は、図1に示すように、教示装置16の筐体16aに一体に組み込まれている。入力装置66は、緊急停止ボタン66aを含む。緊急停止ボタン66aは、ロボット12を緊急停止させるためのものである。プロセッサ60は、メモリ62、I/Oインターフェース64、入力装置66、及び表示装置68とバス70を介して通信可能に接続され、これらコンポーネントと通信しつつ、教示機能を実現するための演算処理を行う。
【0017】
教示装置16のプロセッサ60は、入力装置66への入力データに応じて、制御装置14を介してロボット12のサーボモータ34へ教示指令CMtを送り、該教示指令CMtに従って、該ロボット12をジョグ動作させることができるように構成されている。オペレータは、入力装置66を操作することでロボット12に所定の動作を教示し、プロセッサ60は、教示された該所定の動作をロボット12に実行させる動作プログラムPGを生成する。
【0018】
上位コントローラ18は、制御装置14に指令を与えて該制御装置14を制御する。具体的には、上位コントローラ18は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、又はデスクトップ型PC等のコンピュータであって、プロセッサ80、メモリ82、I/Oインターフェース84、入力装置86、及び表示装置88を有する。なお、プロセッサ80、メモリ82、I/Oインターフェース84、入力装置86、及び表示装置88の構成は、上述のプロセッサ40、メモリ42、I/Oインターフェース44、入力装置46、及び表示装置48と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0019】
プロセッサ80は、メモリ82、I/Oインターフェース84、入力装置86、及び表示装置88とバス90を介して通信可能に接続され、これらコンポーネントと通信しつつ、上位制御機能を実現するための演算処理を行う。例えば、プロセッサ80は、予め策定された生産管理スキームに従って、制御装置14へ指令を送り、該制御装置14の制御の下でロボット12を動作させることで、所定の作業を遂行する。
【0020】
モード切換装置20は、制御装置14がロボット12を動作させる複数の動作モードOMのうちの1つを選択する機能FCを有する。図3に、モード切換装置20の一例を示す。モード切換装置20は、筐体100、物理スイッチ102、緊急停止ボタン104、プログラム実行ボタン108、及び物理キー106を有する。筐体100は、中空であって、その内部にモード切換装置20の機能を実現する電子部品(LSI等)を収容する。物理スイッチ102は、ロボット12の複数の動作モードOMのうちの1つを選択するためのものであって、筐体100の外部に露出するように該筐体100に回転可能に設けられている。
【0021】
本実施形態においては、動作モードOMは、教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3を含む。教示モードOM1は、オペレータが教示装置16を用いてロボット12に所定の動作を教示することで、ロボット12の動作プログラムPGを作成する動作モードOMである。この教示モードOM1の間、オペレータは、教示装置16の入力装置66を操作することで制御装置14に教示指令CMtを与え、該教示指令CMtに従って、制御装置14は、ロボット12をジョグ動作させる。
【0022】
オペレータは、ロボット12をジョグ動作させることで、該ロボット12に、ワークに対する作業を実行するときにエンドエフェクタ(又は、TCP)を位置決めする複数の教示点TP、及び該複数の教示点TPによって画定される、エンドエフェクタ(又は、TCP)の移動経路MPを教示する。こうして、オペレータは、この教示モードOM1において、ワークに対する作業を実行するための所定の動作をロボット12に教示する。
【0023】
より具体的には、教示モードOM1においては、オペレータは、ロボット12に所定の動作を教示するために、該ロボット12を第1の速度V1で動作させる。制御装置14のプロセッサ40は、教示指令CMtに従ってロボット12を動作させるとき、該ロボット12(例えば、エンドエフェクタ32)の移動速度を、第1の速度V1以下に制限する。例えば、第1の速度V1は、V1=250[mm/sec]に設定される。
【0024】
一方、動作確認モードOM2は、教示モードOM1で教示した所定の動作を確認するために、ロボット12に該所定の動作を試行させる動作モードOMである。具体的には、オペレータは、上述の教示モードOM1における教示の途中で生成された未完の動作プログラムPG’を試験的にロボット12に実行させることで、該ロボット12に教示した動作(つまり、動作プログラムPG’の適否)を確認する。
【0025】
オペレータは、この動作確認モードOM2において、教示装置16の入力装置66を操作することで制御装置14に動作確認指令CMvを与え、該動作確認指令CMvに従って、制御装置14は、ロボット12に教示した所定の動作の確認のために、該ロボット12を、この時点で作成された動作プログラムPG’に従って、第1の速度V1よりも速い第2の速度V2(>V1)で動作させる。
【0026】
ここで、教示モードOM1では、上述のようにロボット12(エンドエフェクタ32)の移動速度が制限されるので、目的とするロボット12の移動軌跡、及び実行する作業のサイクルタイムを確認することができない。そこで、動作確認モードOM2では、ロボット12に教示した動作(具体的には、動作プログラムPG’に従ったロボット12の動作)の確認のために、プロセッサ40は、動作確認指令CMvに従って、より高速の第2の速度V2でロボット12を動作させる。
【0027】
第2の速度V2は、例えば、動作プログラムPG’に規定された速度である。オペレータは、動作確認モードOM2で試行したロボット12の動作を確認し、再度、教示モードOM1を実行し、動作プログラムPG’に規定されている教示点TP(又は移動経路MP)等を追加又は修正する。
【0028】
このような教示の結果、プロセッサ60は、ワークに対する作業を実行するための正式な動作プログラムPGを生成し、生成した該動作プログラムPGを、制御装置14に提供する。動作プログラムPGには、教示された教示点TP及び移動経路MPとともに、ロボット12の速度V3等の動作条件が規定されている。
【0029】
なお、制御装置14のプロセッサ40が教示モードOM1及び動作確認モードOM2でロボット12を動作させている間は、教示装置16以外のツール(つまり、制御装置14、上位コントローラ18、モード切換装置20)の入力装置(入力装置46、66、86)から動作プログラムPG(又はPG’)の実行を指令することが禁止される。
【0030】
自動運転モードOM3は、例えば、作業セル内でロボット12にワークに対する実際の作業を実行させるために、動作プログラムPGに従ってロボット12を自動で動作させる動作モードOMである。本実施形態においては、オペレータは、モード切換装置20のプログラム実行ボタン108、又は上位コントローラ18の入力装置86を操作することで、制御装置14に自動運転開始指令CMaを与える。
【0031】
該自動運転開始指令CMaに応じて、制御装置14のプロセッサ40は、自動運転モードOM3を開始し、動作プログラムPGに従ってロボット12を、動作プログラムPGに規定されている速度V3で、自動で動作させる。この速度V3は、上述の速度V2以上(V3≧V2)となり得る。その一方で、教示装置16の入力装置66から自動運転開始指令CMaを制御装置14へ送信することが禁止される。また、自動運転モードOM3の間は、教示装置16の入力装置66から制御装置14へ教示指令CMt及び動作確認指令CMvを送信することも禁止される。
【0032】
以上のような通信を行うために、制御装置14のI/Oインターフェース44は、ロボット12の各サーボモータ34、教示装置16のI/Oインターフェース64、上位コントローラ18のI/Oインターフェース84、及び、モード切換装置20(具体的には、物理スイッチ102、緊急停止ボタン104、及びプログラム実行ボタン108)と、有線又は無線で通信可能に接続されている。
【0033】
再度、図3を参照して、物理スイッチ102は、上述した教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3のうちの1つを選択する。本実施形態においては、筐体100に、「AUTO」、「T1」、及び「T2」が表示されており、物理スイッチ102は、筐体100に対して回転することで、これら「AUTO」、「T1」、又は「T2」を選択できるようになっている。
【0034】
ここで、「AUTO」は、自動運転モードOM3に対応し、「T1」は、教示モードOM1に対応し、「T2」は、動作確認モードOM2に対応している。オペレータは、物理スイッチ102を手動で回転させることで、制御装置14に実行させる運転モードOMを、「AUTO」(自動運転モードOM3)、「T1」(教示モードOM1)、及び「T2」(動作確認モードOM2)の中から選択できるようになっている。なお、図3は、物理スイッチ102によって「AUTO」(自動運転モードOM3)が選択されている状態を示している。
【0035】
オペレータが物理スイッチ102によって「T1」(教示モードOM1)を選択すると、モード切換装置20は、教示モード選択指令CM1を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、教示モードOM1に移行する。その結果、オペレータは、教示装置16を用いて、教示モードOM1として制御装置14を介してロボット12を第1の速度V1で動作させ、ロボット12に動作を教示することが可能となる。
【0036】
また、オペレータが物理スイッチ102によって「T2」(動作確認モードOM2)を選択すると、モード切換装置20は、動作確認モード選択指令CM2を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、動作確認モードOM2に移行する。その結果、オペレータは、教示装置16を用いて、動作確認モードOM2として制御装置14を介してロボット12を第2の速度V2で動作させ、ロボット12に教示した動作を確認すること(例えば、動作プログラムPG’の動作確認)が可能となる。
【0037】
一方、オペレータが物理スイッチ102によって「AUTO」(自動運転モードOM3)を選択すると、モード切換装置20は、自動運転モード選択指令CM3を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、自動運転モードOM3に移行する。その結果、オペレータは、モード切換装置20のプログラム実行ボタン108、又は上位コントローラ18を操作して、動作プログラムPGに従ってロボット12を自動運転させることが可能となる。
【0038】
物理キー106は、物理スイッチ102に形成された鍵穴102aに挿抜可能であって、該物理キー106を鍵穴102aに挿入すると、物理スイッチ102が回転可能になり、これにより、オペレータは、該物理スイッチ102を操作可能になる。その一方で、物理キー106が鍵穴102aから抜去されると、物理スイッチ102の回転が規制され、該物理スイッチ102が操作不能となる。
【0039】
プログラム実行ボタン108は、制御装置14に自動運転モードOM3を開始させることができる。具体的には、オペレータは、物理スイッチ102によって「AUTO」を選択した状態で、プログラム実行ボタン108を操作する。そうすると、モード切換装置20は、自動運転モード選択指令CM3に続いて、自動運転開始指令CMaを制御装置14へ送信する。
【0040】
制御装置14のプロセッサ40は、自動運転モード選択指令CM3に応じて、動作モードOMを自動運転モードOM3に移行する。これにより、プロセッサ40は、自動運転開始指令CMaを受け付け可能な状態となる一方、教示指令CMt及び動作確認指令CMvの受け付けを禁止する。自動運転モードOM3への移行後に自動運転開始指令CMaを受け付けると、プロセッサ40は、上述のように動作プログラムPGに従ってロボット12を自動運転させる。
【0041】
緊急停止ボタン104は、ロボット12を緊急停止させるためのものである。例えば、制御装置14のプロセッサ40が、自動運転モードOM3でロボット12を自動運転しているとき(又は、動作確認モードOM2で動作プログラムPG’に従ってロボット12を動作させているとき)に、オペレータが緊急停止ボタン104を押すと、モード切換装置20は、緊急停止指令CMsを制御装置14に与える。
【0042】
該緊急停止指令CMsに応じて、制御装置14は、例えば、各サーボモータ34への指令(電流指令)を停止するか、又は、各サーボモータ34の回転シャフトを制動するブレーキ機構を作動させることで、ロボット12を緊急停止させる。上述のように、モード切換装置20は、制御装置14によってロボット12を動作させる動作モードOM(すなわち、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3)を選択する機能FCを有している。
【0043】
教示装置16は、モード切換装置20と同様に、ロボット12の動作モードOMを選択する機能FCを有する。具体的には、教示装置16のプロセッサ60は、動作モードOMの選択を受け付けるためのモード選択画像データ200を生成し、表示装置68に表示する。図4に、モード選択画像データ200の一例を示す。
【0044】
モード選択画像データ200は、オペレータに動作モードOMを選択可能とするためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であって、T1ボタン画像データ202、T2ボタン画像データ204、及びAUTOボタン画像データ206を含む。T1ボタン画像データ202、T2ボタン画像データ204、及びAUTOボタン画像データ206は、それぞれ、教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3に対応している。
【0045】
オペレータは、教示装置16の入力装置66を操作することで、T1ボタン画像データ202、T2ボタン画像データ204、又はAUTOボタン画像データ206を画像上でクリックすることで、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3を選択することができるようになっている。
【0046】
具体的には、プロセッサ60は、入力装置66から、モード選択画像データ200においてT1ボタン画像データ202を選択する入力IPmを受け付けると、教示モード選択指令CM1を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、教示モードOM1に移行する。
【0047】
また、プロセッサ60は、入力装置66からT2ボタン画像データ204を選択する入力IPmを受け付けると、動作確認モード選択指令CM2を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、動作確認モードOM2に移行する。一方、プロセッサ60は、入力装置66からAUTOボタン画像データ206を選択する入力IPmを受け付けると、自動運転モード選択指令CM3を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、自動運転教示モードOM3に移行する。また、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転教示モードOM3の間に、オペレータが緊急停止ボタン66aを押すと、プロセッサ60は、緊急停止指令CMsを制御装置14に送信し、ロボット12の動作を緊急停止させる。
【0048】
上位コントローラ18は、教示装置16と同様に、ロボット12の動作モードOMを選択する機能FCを有する。上位コントローラ18のプロセッサ80は、教示装置16と同様にモード選択画像データ200を生成し、表示装置88に表示する。プロセッサ80は、入力装置86から、T1ボタン画像データ202、T2ボタン画像データ204、又はAUTOボタン画像データ206を選択する入力IPmを受け付けると、教示モード選択指令CM1、動作確認モード選択指令CM2、又は自動運転モード選択指令CM3を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転教示モードOM3に移行する。
【0049】
また、本実施形態においては、制御装置14も、教示装置16と同様に、ロボット12の動作モードOMを選択する機能FCを有する。一例として、制御装置14の入力装置46は、上述の物理スイッチ102を含んでもよい。この場合、オペレータは、該物理スイッチ102を操作することで、「AUTO」(自動運転モードOM3)、「T1」(教示モードOM1)、又は「T2」(動作確認モードOM2)を選択し、これにより、制御装置14が実行する動作モードOMを、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転教示モードOM3に移行する。
【0050】
他の例として、制御装置14のプロセッサ40は、教示装置16と同様にモード選択画像データ200を生成し、表示装置48に表示する。プロセッサ40は、入力装置46から、T1ボタン画像データ202、T2ボタン画像データ204、又はAUTOボタン画像データ206を選択する入力IPmを受け付けると、教示モード選択指令CM1、動作確認モード選択指令CM2、又は自動運転モード選択指令CM3を制御装置14に送信し、制御装置14が実行する動作モードOMを、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転教示モードOM3に移行する。
【0051】
なお、制御装置14のプロセッサ40、教示装置16のプロセッサ60、又は上位コントローラ18のプロセッサ80は、モード選択画像データ200を表示装置48、68又は88に表示する前に、オペレータから、機能FCを使用可能とするためのデジタルキーDKの入力IPdを受け付けてもよい。
【0052】
デジタルキーDKは、例えば、パスワード、又はオペレータの識別情報(社員番号等)であり得る。プロセッサ40、60又は80は、入力装置46、66又は86を通して入力IPdを受け付けたときに、モード選択画像データ200を表示装置48、68又は88に表示し、オペレータが動作モードOMを選択可能とする。この場合において、プロセッサ40、60又は80は、デジタルキーDKを入力するためのデジタルキー画像データ(図示せず)を生成し、モード選択画像データ200の前に表示装置48、68又は88に表示してもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態においては、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20の各々が、ロボット12の動作モードOM(教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転教示モードOM3)を選択する機能FCを有している。したがって、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20は、それぞれ、動作モードOMを選択する機能FCを有するツール14、16、18及び20を構成する。
【0054】
なお、図2に示すロボットシステム10は、ロボット12の周囲を取り囲む安全柵をさらに備えてもよい。オペレータが安全柵の内側にいる場合に、動作モードOMとして、教示モードOM1又は動作確認モードOM2を選択し、オペレータが安全柵の外側にいる場合に、動作モードOMとして自動運転モードOM3を選択し、安全柵内外で動作モードOMを切り分けて使うようにしてもよい。
【0055】
ここで、機能FCを各々有する複数のツール14、16、18及び20がロボットシステム10に接続された場合、作業の安全性の観点から、1つのツール14、16、18又は20の機能FCのみを有効とする一方で、その他のツール14、16、18又は20の機能FCを無効とする必要があり得る。
【0056】
本実施形態においては、教示装置16のプロセッサ60は、機能FCを有効とするツール14、16、18又は20を、これら複数のツール14、16、18及び20の間で切り換える。具体的には、プロセッサ60は、図5に示す画像データ210を生成し、表示装置68に表示する。このように、本実施形態においては、プロセッサ60は、画像データ210を生成する画像生成部112(図2)として機能する。
【0057】
図5に示す例では、画像データ210は、ツール切換画像データ212、及び動作モード表示画像データ214を含む。ツール切換画像データ212は、機能FCを有効とするツールを、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20の間で切り換えるためのものである。
【0058】
ツール切換画像データ212には、ロボットシステム10に接続されているツールとして、「制御装置」(制御装置14)、「教示装置」(教示装置16)、「上位コントローラ」(上位コントローラ18)、及び「モード切換装置」(モード切換装置20)が選択的に表示され、オペレータは、入力装置66を操作することによって、ツール切換画像データ212において、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、又はモード切換装置20に切り換えることができるようになっている。
【0059】
なお、プロセッサ60は、ロボットシステム10において互いに接続されたツール14、16、18又は20を識別する情報IDeを取得してもよい。例えば、図1に示すように、ロボットシステム10において、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20が接続されたとする。
【0060】
この場合、教示装置16のプロセッサ60は、ロボットシステム10に制御装置14が接続されたことを示す信号Sと、教示装置16が接続されたことを示す信号Sと、上位コントローラ18が接続されたことを示す信号Sと、モード切換装置20が接続されたことを示す信号Sとを、該制御装置14、該教示装置16、該上位コントローラ18、及び該モード切換装置20からそれぞれ取得する。
【0061】
この場合において、信号Sは、制御装置14を識別する情報IDe1(例えば、識別番号)を付帯情報として含み、信号Sは、教示装置16を識別する情報IDe2(例えば、識別番号)を付帯情報として含み、信号Sは、上位コントローラ18を識別する情報IDe3を付帯情報として含み、信号Sは、モード切換装置20を識別する情報IDe4を付帯情報として含んでもよい。
【0062】
教示装置16のプロセッサ60は、取得した信号S、S、S及びSに付帯されている識別情報IDe1、IDe2、IDe3、IDe4によって識別されるツール(つまり、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20)を、ツール切換画像データ212に選択的に表示する。
【0063】
動作モード表示画像データ214は、ツール切換画像データ212に表示されているツール(図5に示す例では、教示装置16)で選択可能な動作モードOM(図5に示す例では、「AUTO」:自動運転モードOM3、「T1」:教示モードOM1、及び「T2」:動作確認モードOM2)を表示する。
【0064】
例えば、複数のツール14、16、18及び20で選択可能な動作モードOMのデータベースがメモリ62に予め格納されてもよい。この場合において、プロセッサ60は、ツール切換画像データ212に表示されているツール14、16、18又は20で選択可能な動作モードOMを該データベースから読み出し、動作モード表示画像データ214に表示してもよい。
【0065】
代替的には、ツール14、16、18及び20で選択可能な動作モードOMの情報は、上述した信号S、S、S及びS(例えば、識別情報IDe1、IDe2、IDe3、IDe4)に含まれ、プロセッサ60は、選択可能な動作モードOMの情報を、該信号S、S、S及びSから取得してもよい。
【0066】
例えば、オペレータが、入力装置66を操作して、ツール切換画像データ212においてモード切換装置20を指定する入力IPsをしたとする。この場合、プロセッサ60は、入力装置66から該入力IPsに応じた信号SIPを受け付け、該信号SIPに応じて、機能FCを有効とするツールを、モード切換装置20に切り換える。
【0067】
より具体的には、プロセッサ60は、信号SIPに応じて、モード切換装置20の機能FCのみを有効とする一方、その他のツールである制御装置14、教示装置16及び上位コントローラ18の機能FCを無効とする指令CMfを、制御装置14に送信する。制御装置14のプロセッサ40は、該指令CMfを受けると、モード切換装置20の機能FCによって送信される教示モード選択指令CM1、動作確認モード選択指令CM2、又は自動運転モード選択指令CM3を受け付け可能となる。
【0068】
その一方で、プロセッサ40は、制御装置14、教示装置16、及び上位コントローラ18の機能FCによって送信される教示モード選択指令CM1、動作確認モード選択指令CM2、又は自動運転モード選択指令CM3を拒絶する。こうして、ツール切換画像データ212で指定されたモード切換装置20の機能FCのみが有効となって、モード切換装置20で動作モードOMを選択可能になる一方、制御装置14、教示装置16及び上位コントローラ18の機能FCが無効となって、これら制御装置14、教示装置16及び上位コントローラ18で動作モードOMを選択できなくなる。
【0069】
一方、オペレータが、ツール切換画像データ212において教示装置16(又は上位コントローラ18)を指定する入力IPsをしたとする。この場合、プロセッサ60は、入力装置66から該入力IPsに応じた信号SIPを受け付け、該信号SIPに応じて、機能FCを有効とするツールを、教示装置16(又は上位コントローラ18)に切り換える。そして、プロセッサ60(又は80)は、図4に示すモード選択画像データ200を生成して表示装置68(又は88)に表示し、該モード選択画像データ200を通して動作モードOMを選択する入力IPmを受け付け可能となる。
【0070】
このように、本実施形態においては、プロセッサ40は、所定の信号SIPに応じて、機能FCを有効とするツールを、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20の間で切り換える。したがって、プロセッサ40は、機能FCを有効とするツールを、第1のツール(例えば、制御装置14、教示装置16、又は上位コントローラ18)から第2のツール(例えば、モード切換装置20)に切り換えるツール切換部114(図2)として機能する。
【0071】
また、本実施形態においては、プロセッサ40は、入力装置66を介して、機能FCを有効とするツールを第2のツール(例えば、モード切換装置20)に切り換える入力IPsを受け付け、該入力IPsの信号SIPに応じて、機能FCを有効とするツールを、第1のツールから第2のツールに切り換えている。したがって、プロセッサ40は、入力IPsを受け付ける入力受付部116(図2)として機能する。
【0072】
ここで、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20に、予め定められた優先順位が与えられる場合がある。例えば、産業用ロボットの安全規格上、モード切換装置20の機能FCを最優先すべき場合がある。この場合、モード切換装置20に最上位の優先順位が与えられることになる。
【0073】
このような場合において、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20が互いに接続されると、教示装置16のプロセッサ60は、上述のように、接続を示す信号S、S、S及びSを、該制御装置14、該教示装置16、該上位コントローラ18、及び該モード切換装置20からそれぞれ取得する。
【0074】
次いで、プロセッサ60は、モード切換装置20の接続を示す信号Sから、最上位の優先順位が付与されているモード切換装置20が接続されたことを認識する。なお、プロセッサ60は、制御装置14、教示装置16、及び上位コントローラ18が起動(つまり、電源ONに)される毎に、接続を示す信号S、S、S及びSを収集してもよい。
【0075】
そして、プロセッサ60は、ツール切換部114として機能して、接続されている制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20のうち、機能FCを有効とするツールを、優先順位が最上位であるモード切換装置20に自動で切り換える。このように、プロセッサ60は、優先順位が最上位であるモード切換装置20が接続されたことを示す信号Sを受け付けたときに、機能FCを有効とするツールを、該モード切換装置20に自動で切り換える。
【0076】
他の例として、制御装置14に、教示装置16及び上位コントローラ18が接続されており、例えば教示装置16の機能FCが有効とされていたとする。この状態で、制御装置14に優先順位が最上位であるモード切換装置20が新たに接続された場合、プロセッサ60は、モード切換装置20の接続を示す信号Sを受け付け、ツール切換部114として機能して、機能FCを有効とするツールを、教示装置16からモード切換装置20に自動で切り換える。
【0077】
なお、複数のツール14、16、18、20のうち、最上位の優先順位のみが、モード切換装置20に与えられてもよい。この場合において、優先順位が最上位であるモード切換装置20が制御装置14に接続されていない場合は、オペレータは、制御装置14、教示装置16又は上位コントローラ18を操作して、図5に示す画像データ210を通して、機能FCを有効とするツールを、制御装置14、教示装置16及び上位コントローラ18の間で任意に切り換えることができる。
【0078】
代替的には、複数のツール14、16、18及び20の各々に、優先順位が付与されてもよい。例えば、優先順位1位がモード切換装置20に与えられ、優先順位2位が教示装置16に与えられ、優先順位3位が上位コントローラ18に与えられ、優先順位4位が制御装置14に与えられ得る。
【0079】
この場合、プロセッサ40は、接続を示す信号S、S、S及びSを受け付けたときに、接続されているツール14、16、18及び20の中で、機能FCを有効とするツールを、優先順位に従って自動で切り換える。ツール14、16、18及び20に対して如何なる優先順位を与えるかは、オペレータによって任意に定められ得る。
【0080】
なお、上述のように最上位の優先順位が与えられたモード切換装置20が制御装置14に接続されているとき(つまり、信号Sを受け付けたとき)に、オペレータが制御装置14、教示装置16又は上位コントローラ18を操作して、図5に示す画像データ210を通してモード切換装置20以外のツール(すなわち、制御装置14、教示装置16又は上位コントローラ18)を指定する入力IPsをした場合、プロセッサ60は、モード切換装置20以外のツールの機能FCを有効にできない旨を表す警告信号SALを生成してもよい。
【0081】
例えば、プロセッサ60は、「モード切換装置以外のツールでは動作モードを選択する機能を使用できません」という画像データ又は音声データの警告信号SALを生成し、表示装置68、又は教示装置16に設けられたスピーカ(図示せず)を通して、出力してもよい。代替的には、プロセッサ60は、警告信号SALを生成する代わりに(又は、警告信号SALを生成するとともに)、上述の緊急停止指令CMsを制御装置14に送信し、ロボット12の動作を停止させてもよい。
【0082】
以上のように、本実施形態においては、プロセッサ60が、画像生成部112、ツール切換部114、及び入力受付部116として機能して、ロボット12の動作モードOM(教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3)を選択する機能FCを有するツール14、16、18、20を切り換えている。
【0083】
したがって、画像生成部112、ツール切換部114、及び入力受付部116は、ツール14、16、18、20を切り換える装置110(図2)を構成する。つまり、本実施形態においては、装置110(画像生成部112、ツール切換部114、及び入力受付部116)の機能が、教示装置16に実装され、該教示装置16のプロセッサ60が、装置110の機能を実行する。例えば、装置110は、プロセッサ60が実行するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールとして、教示装置16に実装される。
【0084】
上述のように、本実施形態においては、ツール切換部114は、機能FCを有効とするツールを、第1のツール(例えば、制御装置14、教示装置16、又は上位コントローラ18)から第2のツール(例えば、モード切換装置20)に切り換えている。この構成によれば、例えばロボットシステム10を構築又は改変する場合において、オペレータは、ソフトウェアの追加又は設定変更することなく、動作モードOMを選択する機能FCを有効とするツール14、16、18、20を簡単に切り換えることができる。その結果、ロボットシステム10の構築又は改変等に掛かる作業を簡単化できる。
【0085】
また、本実施形態においては、動作モードOMは、教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3を含む。この構成によれば、オペレータは、安全性に関連する教示モードOM1、動作確認モードOM2及び自動運転モードOM3を選択する機能FCを、ツール14、16、18及び20の間で切り換えることができるので、自身の安全性を確保しつつ、ロボット12の教示、動作確認、及び自動運転を実行できる。
【0086】
また、本実施形態においては、ツール14、16、18、20は、ロボット12を制御する制御装置14と、該ロボット12を動作させて該ロボット12に所定の動作を教示する教示装置16と、制御装置14に指令を与える上位コントローラ18と、物理スイッチ102を有するモード切換装置20とを含む。この構成によれば、オペレータは、作業に応じて、機能FCを有効とするツールを、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、及びモード切換装置20の間で任意に切り換えることができる。
【0087】
また、本実施形態においては、入力受付部116は、機能FCを有効とするツール14、16、18、20を切り換える入力IPsを受け付けている。この構成によれば、オペレータは、機能FCを有効とするツール14、16、18又は20を任意に指定することができる。
【0088】
また、本実施形態においては、入力IPsを受け付けるための画像データ210(図5)を生成する画像生成部112をさらに備え、入力受付部116は、画像データ210を通して入力IPsを受け付けている。この構成によれば、オペレータは、画像データ210を視認しつつ、機能FCを有効とするツール14、16、18又は20を簡単に指定できる。
【0089】
また、本実施形態においては、ツール切換部114は、第2のツール(例えば、モード切換装置20)が装置110(つまり、教示装置16)に接続されたことを示す信号(例えば、信号S)に応じて、機能FCを有効とするツールを、該第2のツールに切り換えている。この構成によれば、第2のツール(モード切換装置20)の接続時に、機能FCを有効とするツールを第2のツールに自動で切り換えることができる。
【0090】
また、本実施形態においては、ツール切換部114は、装置110(すなわち、教示装置16)が起動されたときに(つまり、電源ON)、信号S、S、S及びSを取得している。この構成によれば、装置110の起動時に信号S、S、S及びSから第2のツール(例えば、モード切換装置20)の接続の有無を認識し、機能FCを有効とするツールを該第2のツールに自動で切り換えることができる。
【0091】
また、本実施形態においては、複数のツール16、18及び20には、予め定められた優先順位が与えられ、ツール切換部114は、複数のツール16、18及び20のうち、優先順位が最上位であるツール(モード切換装置)20が装置110に接続されたことを示す信号Sを受け付けたときに、機能FCを有効とするツールを、優先順位が最上位であるツール20に自動で切り換えている。
【0092】
この構成によれば、例えば安全規格の観点からモード切換装置20の機能FCを最優先すべき場合において、該モード切換装置20を制御装置14に接続したときに、機能FCを有効にするツールを、該モード切換装置20に自動で切り換えることができる。したがって、作業の安全性を確実に確保できる。
【0093】
次に、図6を参照して、ロボットシステム10の他の機能について説明する。図6に示すロボットシステム10においては、ロボット12は、オペレータと協働で作業を実行可能な協働ロボットであって、力センサ36をさらに備える。力センサ36は、例えば、手首部30とエンドエフェクタ32との間、又は、ロボットベース22と作業セルの床との間に設けられ、ロボット12に加えられた外力Fを検出する。
【0094】
一方、プロセッサ40は、検出された外力Fが所定の閾値Fthを超えた場合(F>Fth)にロボット12の動作を緊急停止させる。これにより、仮に、ロボット12の動作中に該ロボット12とオペレータとが接触したとしても、ロボット12を自動で緊急停止させ、オペレータの安全を確保できる。
【0095】
このようなロボット12においては、オペレータが教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3を手動で選択せずに、これら動作モードOM1、OM2及びOM3のいずれかの動作をロボット12に直接実行させたとしても、オペレータの安全を確保でき得る。本実施形態においては、教示装置16のプロセッサ60は、ロボット12の接続を認識したときに、制御装置14が、教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3のいずれの動作も実行可能となる任意動作モードOM4を設定する。
【0096】
具体的には、協働ロボットとしてのロボット12が制御装置14に接続されたとき、該制御装置14のプロセッサ40は、ロボット12が接続されたことを示す信号Sを取得する。この信号Sは、例えば、ロボット12を識別する情報IDr(例えば、ロボット12の識別番号)を、付帯情報として含んでもよい。
【0097】
教示装置16のプロセッサ60は、制御装置14から信号Sを取得し、該信号S(識別情報IDr)から、ロボット12が協働ロボットであることを認識できる。これに応じて、プロセッサ60は、任意動作モードOM4を設定する。具体的には、プロセッサ60は、任意動作モード設定指令CM4を制御装置14に送信する。
【0098】
制御装置14のプロセッサ40は、任意動作モード設定指令CM4を受け付けると、ロボット12の動作モードOMを、任意動作モードOM4に設定する。この任意動作モードOM4においては、プロセッサ40は、上述の教示指令CMt、動作確認指令CMv、及び自動運転開始指令CMaのいずれも受け付け可能な状態となり、受け付けた教示指令CMt、動作確認指令CMv、又は自動運転開始指令CMaに応じて、教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3のいずれの動作もロボット12に実行させることができる状態となる。
【0099】
この任意動作モードOM4においては、オペレータは、ツール14、16、18又は20の機能FCを使用して動作モードOMを手動で選択することなく、教示指令CMt、動作確認指令CMv、又は自動運転開始指令CMaを制御装置14に与え、与えた教示指令CMt、動作確認指令CMv、又は自動運転開始指令CMaに応じた動作をロボット12に実行させることができる。
【0100】
例えば、オペレータが、任意動作モードOM4の間に、教示装置16の入力装置66を操作して、モード選択画像データ200(図4)で「T1」(教示モードOM1)を選択することなく(換言すれば、教示モード選択指令CM1を制御装置14に送信することなく)、ロボット12をジョグ動作させるための教示指令CMtを制御装置14に与えたとする。この場合、制御装置14のプロセッサ40は、受け付けた教示指令CMtに応じて、ロボット12をジョグ動作させる。
【0101】
続いて、オペレータが、教示装置16の入力装置66を操作して、モード選択画像データ200で「T2」(動作確認モードOM2)を選択することなく(換言すれば、動作確認モード選択指令CM2を制御装置14に送信することなく)、未完の動作プログラムPG’の動作をロボット12に試行させるための動作確認指令CMvを制御装置14に与えたとする。この場合、制御装置14のプロセッサ40は、ロボット12のジョグ動作を終了し、受け付けた動作確認指令CMvに応じて、動作プログラムPG’の試行動作を開始する。
【0102】
続いて、オペレータが、教示装置16の入力装置66を操作して、モード選択画像データ200で「AUTO」(自動運転モードOM3)を選択することなく(換言すれば、自動運転モード選択指令CM3を制御装置14に送信することなく)、自動運転開始指令CMaを制御装置14に与えたとする。この場合、制御装置14のプロセッサ40は、動作プログラムPG’の試行動作を終了し、受け付けた自動運転開始指令CMaに応じて、動作プログラムPGに従ってロボット12を自動運転させる。
【0103】
このように、本実施形態においては、教示装置16のプロセッサ60は、ロボット12が装置110に接続されたことを示す信号Sを取得し、該信号Sに付帯されたロボット12(協働ロボット)を識別する情報IDrに応じて、制御装置14が、教示モードOM1、動作確認モードOM2、及び自動運転モードOM3のいずれの動作も実行可能となる任意動作モードOM4を設定する。
【0104】
したがって、プロセッサ60は、任意動作モードOM4を設定する動作モード設定部118(図6)として機能する。この動作モード設定部118は、プロセッサ60が実行するコンピュータプログラム(例えば、ソフトウェア)により実現される機能モジュールとして、教示装置16に実装され得る。動作モード設定部118は、上述の画像生成部112、ツール切換部114、及び入力受付部116とともに、装置110を構成する。
【0105】
なお、任意動作モードOM4を設定したとき、プロセッサ60は、図7の画像データ210に示すように、任意動作モードOM4を表す「任意動作モード」という画像データを、ツール切換画像データ212に表示してもよい。そして、プロセッサ60は、動作モード表示画像データ214において、このときに制御装置14のプロセッサ40がロボット12に実行させている動作モードOM(図7に示す例では、「T1」:教示モードOM1)を表示してもよい。
【0106】
ここで、プロセッサ60は、任意動作モードOM4の間に、最上位の優先順位が与えられているツール20が装置110に接続されたことを認識したときに、該ツール20の機能FCを有効としてもよい。例えば、図6に示すロボットシステム10において、制御装置14が任意動作モードOM4を実行しているときに、最上位の優先順位が与えられたモード切換装置20が該制御装置14に接続されたとする。
【0107】
この場合、教示装置16のプロセッサ60は、モード切換装置20の接続を示す信号Sを、制御装置14を通して取得し、これにより、装置110(つまり、教示装置16)にモード切換装置20が接続されたことを認識できる。そして、プロセッサ60は、任意動作モードOM4としてこの時点で実行していたロボット12の動作(例えば、ジョグ動作)を終了し、ツール切換部114として機能して、モード切換装置20の機能FCを有効とする。
【0108】
これにより、オペレータは、モード切換装置20の物理スイッチ102を操作することで、動作モードOMを選択可能になる。そして、プロセッサ60は、ロボット12の動作モードOMを、任意動作モードOM4から、モード切換装置20によって選択された動作モードOM(例えば、自動運転モードOM3)に移行する。その結果、協働ロボットとしてのロボット12を、オペレータが手動で選択した教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3で動作させることができる。
【0109】
以上のように、本実施形態においては、動作モード設定部118は、ロボット12を識別する情報IDrに応じて、任意動作モードOM4を設定する。この構成によれば、例えば、緊急停止可能なロボット12(協働ロボット)に、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3のいずれの動作を任意に実行させることができる。これにより、オペレータの安全を確保しつつ、ロボット12の教示及び自動運転を任意に実行できる。
【0110】
また、本実施形態においては、プロセッサ60は、任意動作モードOM4の間に最上位の優先順位が与えられているツール20が装置110に接続されたことを認識したときに、該ツール20の機能FCを有効としている。この構成によれば、緊急停止可能なロボット12に対しても、オペレータは、ツール20の機能FCを通して、実行する動作モードOMを任意に選択できる。これにより、オペレータの作業の安全性をさらに高めることができる。
【0111】
なお、本実施形態においては、ロボット12が、協働ロボットである場合について述べた。しかしながら、ロボット12は、協働ロボットに限定されず、オペレータの安全性が確保できる如何なるタイプのロボットであってもよい。例えば、ロボット12は、寸法が比較的小型(例えば、オペレータよりも小型)であるロボット、又は、最大動作速度若しくは最大動作トルクが低く設定されているロボットであってもよい。
【0112】
このような安全性の高いロボット12の場合、仮に、オペレータが近くにいる状態で該ロボット12が動作確認モードOM2又は自動運転モードOM3を実行したとしても、オペレータの安全を確保でき得る。したがって、この場合、教示装置16のプロセッサ60は、制御装置14から、このような安全性の高いロボット12の信号S(例えば、識別情報IDr)を受け付けたとき、該信号Sに応じて、任意動作モードOM4を設定してもよい。
【0113】
また、上述したような協働ロボット又は安全性の高いロボットの場合、図6に示すロボットシステム10は、オペレータの安全を確保するための安全柵自体が不要となるので、該安全柵を省略することがある。しかしながら、よりオペレータの安全を確保するために、安全柵を設けて、安全柵の内外でロボットの動作モードOMを切り分けるようにロボットシステム10を変更したい場合があり得る。このようなロボットシステムにおいて、最上位の優先順位が与えられているツール20が装置110に接続されたときに、プロセッサ60が該ツール20の機能FCを有効とすることで、オペレータは、ソフトウェアの追加又は設定変更することなく、ロボットシステム10の構築又は改変等に掛かる作業を簡単化できる。
【0114】
次に、図8を参照して、他の実施形態に係るロボットシステム120について説明する。ロボットシステム120は、ロボット12A及び12B、制御装置14A、14B及び14C、教示装置16、上位コントローラ18、モード切換装置20、周辺機器122、並びに、通信ネットワーク124を備える。
【0115】
ロボット12A及び12Bの構成は、上述のロボット12と同様であり、また、制御装置14A、14B及び14Cの構成は、上述の制御装置14と同様であるので、重複する説明を省略する。周辺機器122は、例えば、ベルトコンベア、又は無人搬送車(AGV)等であって、ロボット12A及び12Bの周囲に配置されて、該ロボット12A及び12Bの作業を補助する。
【0116】
制御装置14A、14B及び14Cは、それぞれ、ロボット12A、ロボット12B、及び周辺機器122の動作を制御する。通信ネットワーク124は、例えば、イントラネット等のLAN、又はインターネットであって、制御装置14A、14B及び14C、並びに上位コントローラ18を、互いに通信可能に接続する。
【0117】
例えば、上位コントローラ18は、第1の建物内に設置される一方、ロボット12A及び12B、制御装置14A、14B及び14C、教示装置16、モード切換装置20、並びに周辺機器122は、第1の建物とは別の第2の建物内(つまり、製造ライン)に設置される。
【0118】
上位コントローラ18は、予め策定された生産管理スキームに従って、通信ネットワーク124を通して制御装置14A、14B及び14Cに指令を与え、ロボット12A、ロボット12B、及び周辺機器122を個々に動作させることによって、所定の作業を遂行する。制御装置14A、14B及び14C、教示装置16、上位コントローラ18、並びにモード切換装置20の各々は、機能FCを有するツールを構成する。
【0119】
上述の装置110(つまり、画像生成部112、ツール切換部114、入力受付部116、動作モード設定部118)は、制御装置14A、14B及び14C、教示装置16、並びに上位コントローラ18のうちのいずれに実装されてもよい。この場合、制御装置14A、14B若しくは14C、教示装置16、又は上位コントローラ18のプロセッサ40、60又は80が、装置110として機能する。
【0120】
例えば、装置110が制御装置14Aに実装され、該制御装置14Aのプロセッサ40が、ツール切換部114として機能して、機能FCを有効とするツールを、モード切換装置20に切り換えたとする。この場合、制御装置14A及び14Bは、それぞれ、モード切換装置20の機能FCによって選択されている動作モードOM(つまり、「T1」(教示モードOM1)、「T2」(動作確認モードOM2)、又は「AUTO」(自動運転モードOM3))で、ロボット12A及び12Bをそれぞれ動作させる。
【0121】
すなわち、この場合、オペレータは、機能FCが有効となっているモード切換装置20によって、ロボット12A及び12Bの動作モードOMを一括で選択できる。なお、ロボットシステム120から制御装置14Cを省略し、上位コントローラ18が周辺機器122に直接的に指令を与えて、該周辺機器122を制御してもよい。
【0122】
なお、上述の実施形態において、機能FCを各々有する複数のツール14(14A、14B、14C)、16、18、20が装置110に同時に接続された場合に、ツール切換部114は、該複数のツールの機能FCを一時的に無効にしてもよい。例えば、図8に示すロボットシステム120において、装置110が制御装置14Aに実装され、且つ、該制御装置14Aに、制御装置14B及び14C、教示装置16、並びに上位コントローラ18が接続されたとする。
【0123】
制御装置14Aのプロセッサ40は、制御装置14Bが接続されたことを示す信号SC_Bと、制御装置14Cが接続されたことを示す信号SC_Cと、教示装置16が接続されたことを示す信号Sと、上位コントローラ18が接続されたことを示す信号Sとを、該制御装置14B及び14C、該教示装置16、並びに該上位コントローラ18からそれぞれ取得する。
【0124】
制御装置14Aのプロセッサ40は、これら信号SC_B、SC_C、S及びSから、制御装置14B及び14C、教示装置16、並びに上位コントローラ18が、制御装置14A(つまり、装置110)に同時に接続されたことを認識できる。このとき、制御装置14Aのプロセッサ40は、ツール切換部114として機能して、これら制御装置14B及び14C、教示装置16、並びに上位コントローラ18の機能FCを、一時的に無効にする。
【0125】
その結果、オペレータは、制御装置14B若しくは14C、教示装置16、又は上位コントローラ18の入力装置46、66又は86を操作してロボット12A及び12Bの動作モードOMを選択することが禁止される。このとき、制御装置14Aのプロセッサ40は、制御装置14B若しくは14C、教示装置16、又は上位コントローラ18の入力装置46、66又は86を通して機能FCを使用するための入力IPmを受け付けたとき、機能FCが無効となっていることを示す警告信号を生成してもよい。
【0126】
その後、オペレータは、制御装置14Aの入力装置46を操作して、図5の画像データ210に表示されているツール切換画像データ212を通して、機能FCを有効とするツールを、制御装置14A、14B若しくは14C、教示装置16、又は上位コントローラ18に切り換える入力IPsを制御装置14Aに与える。
【0127】
そうすると、制御装置14Aのプロセッサ40は、ツール切換部114として機能して、入力IPsの信号SIPに応じて、機能FCを有効とするツールを、制御装置14A、14B若しくは14C、教示装置16、又は上位コントローラ18(つまり、第2のツール)に切り換え、オペレータは、該第2のツール14A、14B、14C、16又は18の機能FCを用いて、ロボット12A及び12Bの動作モードOMを選択可能となる。
【0128】
なお、制御装置14B及び14C、教示装置16、並びに上位コントローラ18の機能FCを一時的に無効にしている間に、最上位の優先順位が与えられたモード切換装置20が制御装置14Aに接続されたことを示す信号Sを受け付けたとき、制御装置14Aのプロセッサ40は、機能FCを有効とするツールを、優先順位が最上位のモード切換装置20に自動で切り換えてもよい。
【0129】
代替的には、制御装置14B及び14C、教示装置16、並びに上位コントローラ18に加えて、モード切換装置20が制御装置14Aに同時に接続されたときに、制御装置14Aのプロセッサ40は、制御装置14B及び14C、教示装置16、上位コントローラ18、並びにモード切換装置20の機能FCを一時的に無効にしてもよい。
【0130】
以上のように、本実施形態においては、ツール切換部114は、ツール14(14A、14B、14C)、16、18、20が装置110に同時に接続された場合に、該複数のツールの機能FCを一時的に無効している。この構成によれば、複数のツール14(14A、14B、14C)、16、18、20で動作モードOMを選択することを確実に防止し、以って、オペレータの安全を確保することができる。
【0131】
なお、上述の実施形態においては、機能FCを有するツールとして、物理的な機器である制御装置14(14A、14B、14C)、教示装置16、上位コントローラ18、モード切換装置20を例示した。しかしながら、これに限らず、機能FCを有するツールとして、如何なるタイプの機器がロボットシステム10又は120(つまり、装置110)に接続されてもよい。
【0132】
また、機能FCを有するツールは、物理的な機器に限らず、ソフトウェアであってもよい。例えば、図1及び図2に示すロボットシステム10において、他のコンピュータ150(図示せず)が制御装置14に接続され、該コンピュータ150に、ソフトウェアとしての複数のツールA及びBがインストールされる。
【0133】
これらツールA及びBの各々は、ソフトウェア上で機能FCを実行することができるように構成されている。オペレータは、コンピュータ150の入力装置(キーボード等)を操作して、ツールA又はBをコンピュータ150上で起動し、該ツールA又はBの機能FCを用いて、動作モードOMを選択できるようになっている。
【0134】
この場合において、ツール切換部114は、機能FCを有効とするツールを、制御装置14、教示装置16、上位コントローラ18、モード切換装置20、ツールA、及びツールBの間で切り換える。例えば、装置110が教示装置16に実装されている場合において、教示装置16のプロセッサ60は、図5に示す画像データ210を生成し、該画像データ210のツール切換画像データ212において、「制御装置」(制御装置14)、「教示装置」(教示装置16)、「上位コントローラ」(上位コントローラ18)、「モード切換装置」(モード切換装置20)、「ツールA」及び「ツールB」を選択的に表示してもよい。
【0135】
そして、オペレータは、入力装置66を操作することによって、ツール切換画像データ212において、教示装置16、上位コントローラ18、モード切換装置20、ツールA、又はツールBに切り換えることができるように構成されてもよい。このように、機能FCを有するツールは、物理的な機器に限らず、ソフトウェアから構成されてもよい。
【0136】
なお、上述の実施形態においては、教示装置16が、ロボット12(又は、ロボット12A及び12B)の動作を教示する機能を実行する場合について述べた。しかしながら、これに限らず、ロボット教示機能が、例えば、制御装置14(又は、制御装置14A、14B又は14C)に実装されてもよい。
【0137】
また、上述の実施形態において、2つ以上の教示装置16、上位コントローラ18、又はモード切換装置20が、制御装置14に接続されてもよい。また、装置110から、入力受付部116及び画像生成部112を省略することもできる。例えば、上述したようにツール14(14A、14B、14C)、16、18、20に優先順位が付与されている場合、プロセッサ40は、オペレータからの入力IPsを受け付けることなく、該優先順位に従って、機能FCを有効とするツールを、複数のツール14(14A、14B、14C)、16、18、20の間で切り換えることができる。
【0138】
なお、上述のロボットシステム10においては、装置110(つまり、画像生成部112、ツール切換部114、入力受付部116、動作モード設定部118)が、教示装置16に実装される場合について述べた。しかしながら、これに限らず、装置110の機能は、例えば、制御装置14又は上位コントローラ18に実装されてもよい。この場合、制御装置14又は上位コントローラ18のプロセッサ40又は80が、装置110として機能する。
【0139】
例えば、図6に示す実施形態において、装置110の機能が制御装置14に実装され、制御装置14に、機能FCを有するツール16、18及び20が接続されていないとする。このときに、制御装置14に、協働ロボットとしてのロボット12が接続されると、制御装置14のプロセッサ40は、動作モード設定部118として機能して、上述の任意動作モードOM4を設定する。
【0140】
この任意動作モードOM4の間に、例えば、機能FCを有していない他の教示装置16’が制御装置14に接続されたとすると、プロセッサ40は、任意動作モードOM4を継続し、教示装置16’からの教示指令CMt、動作確認指令CMv、又は自動運転開始指令CMaに従って、ロボット12に、ジョグ動作、試行動作、又は自動運転を実行させてもよい。
【0141】
一方、任意動作モードOM4の間に、機能FCを有するツール16、18又は20が制御装置14に接続された場合、プロセッサ40は、接続されたツール16、18又は20の機能FCを有効としてもよい。例えば、任意動作モードOM4の間に、機能FCを有する教示装置16が制御装置14に接続されたとする。
【0142】
この場合、制御装置14のプロセッサ40は、教示装置16が接続されたことを示す信号Sを取得し、ツール切換部114として機能して、該信号Sに応じて教示装置16の機能FCを有効とする。これにより、オペレータは、教示装置16を操作することで、機能FCによってロボット12の動作モードOMを選択可能となる。なお、任意動作モードOM4の間に、上述の優先順位がそれぞれ与えられた複数のツール16、18及び20が制御装置14に接続された場合、プロセッサ40は、優先順位が最上位のツール20の機能FCを有効としてもよい。
【0143】
反対に、機能FCによって選択された動作モードOM(例えば、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3)の間に、該機能FCを有するツール16、18又は20が制御装置14から取り外された場合、制御装置14のプロセッサ40は、運転モードOMを、教示モードOM1、動作確認モードOM2又は自動運転モードOM3から、任意動作モードOM4に自動で切り換えてもよい。
【0144】
なお、協働ロボットとしてのロボット12と協働作業を実行するとき、オペレータは、ロボット12の任意の部位(例えば、エンドエフェクタ32)に外力Fを加えてもよい。この場合、制御装置14のプロセッサ40は、上述の力センサ36が検出した外力Fの検出データを取得し、該検出データに基づいて、該外力Fの大きさとその方向とを求める。
【0145】
そして、プロセッサ40は、検出された外力Fに従ってロボット12を動作させて、エンドエフェクタ32を、加えられた外力Fの方向へ移動させる(いわゆる、ダイレクトティーチ機能DT)。こうして、ロボット12は、オペレータが加えた外力Fの方向へエンドエフェクタ32を移動させ、これにより、オペレータと協働で作業を実行する。
【0146】
プロセッサ40、60又は80は、協働ロボットとしてのロボット12を識別する情報IDrを取得したときに、動作モード設定部118として機能して、上述の任意動作モードOM4の代わりに、所定の動作モードOMを設定して固定してもよい。一例として、プロセッサ40、60又は80は、情報IDrに応じて、ダイレクトティーチモードOM5を設定してもよい。
【0147】
このダイレクトティーチモードOM5は、制御装置14のプロセッサ40に上述のダイレクトティーチ機能DTを実行させる動作モードOMである。よって、オペレータは、このダイレクトティーチモードOM5において、ロボット12に外力Fを加えることで該ロボット12を任意の方向へ移動可能となる。
【0148】
具体的には、プロセッサ40、60又は80は、協働ロボットとしてのロボット12が制御装置14に接続されたとき、上述の信号Sを制御装置14から取得し、動作モード設定部118として機能して、信号Sに付帯された情報IDrに応じて、ダイレクトティーチモード設定指令CM5を制御装置14に与える。制御装置14のプロセッサ40は、ダイレクトティーチモード設定指令CM5を受け付けると、ロボット12の動作モードOMを、ダイレクトティーチモードOM5に設定し、ロボット12の動作モードOMを該ダイレクトティーチモードOM5に固定する。
【0149】
こうして、プロセッサ40は、ダイレクトティーチ機能DTを実行可能な状態となる。なお、プロセッサ40、60又は80は、ダイレクトティーチモードOM5の間に、最上位の優先順位が与えられているツール20が装置110に接続されたことを認識したときに、該ツール20の機能FCを有効とし、動作モードOMを、機能FCによって教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3に切り換え可能となってもよい。
【0150】
反対に、機能FCによって選択された動作モードOM(例えば、教示モードOM1、動作確認モードOM2、又は自動運転モードOM3)の間に、該機能FCを有するツール16、18又は20が制御装置14から取り外された場合、制御装置14のプロセッサ40は、運転モードOMを、教示モードOM1、動作確認モードOM2又は自動運転モードOM3から、ダイレクトティーチモードOM5に自動で切り換えてもよい。
【0151】
また、図6に示す実施形態において、装置110の機能が制御装置14に実装され、制御装置14に、機能FCを有するツール16、18及び20が接続されていないとする。このときに、制御装置14に、協働ロボットとしてのロボット12が接続されると、制御装置14のプロセッサ40は、動作モード設定部118として機能して、上述のダイレクトティーチモードOM5を設定してもよい。
【0152】
このダイレクトティーチモードOM5の間に、例えば、機能FCを有していない他の教示装置16’が制御装置14に接続されたとすると、プロセッサ40は、運転モードOMを、ダイレクトティーチモードOM5から任意動作モードOM4に自動で切り換えてもよい。この場合、プロセッサ40は、任意動作モードOM4として、教示装置16’からの教示指令CMt、動作確認指令CMv、又は自動運転開始指令CMaに従って、ロボット12に、ジョグ動作、試行動作、又は自動運転を実行させてもよい。
【0153】
反対に、任意動作モードOM4の間に教示装置16’が制御装置14から取り外された場合、制御装置14のプロセッサ40は、運転モードOMを、任意動作モードOM4からダイレクトティーチモードOM5に自動で切り換えてもよい。
【0154】
なお、動作モードOMは、上述した教示モードOM1、動作確認モードOM2、自動運転モードOM3、任意動作モードOM4、及びダイレクトティーチモードOM5に限定されない。例えば、動作モードOMは、ロボット12を通常速度よりも高速で動作させる高速動作モード、ロボット12を通常速度よりも低速で動作させて教示点TP(又は移動経路MP)の位置決め精度を高める高精度動作モード、ロボット12の消費電力を低減する省エネ動作モード等、如何なる動作モードを含んでもよい。
【0155】
また、ロボット12は、垂直多関節ロボットに限らず、例えば、水平多関節ロボット、又はパラレルシンクロボット等、如何なるタイプのロボットであってもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0156】
10 ロボットシステム
12 ロボット
14 制御装置
16 教示装置
18 上位コントローラ
20 モード切換装置
40,60,80 プロセッサ
102 物理スイッチ
110 装置
112 画像生成部
114 ツール切換部
116 入力受付部
118 動作モード設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8