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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】展示ケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/00 20060101AFI20240327BHJP
   A47F 11/10 20060101ALI20240327BHJP
   A47F 7/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A47F3/00 F
A47F11/10
A47F7/00 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020061986
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021159214
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの公開
(73)【特許権者】
【識別番号】518248000
【氏名又は名称】株式会社Circumo
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-159381(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217699(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00
A47F 7/00
A47F 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀を展示する展示ケースであって、
前記刀が収容される展示空間が設けられたケース本体を備え、
前記ケース本体は、前記刀を照射する照明部を有し、
前記照明部は、前記刀の刃文を照射するスポットライト型の刃文照明部と、前記刀の地鉄を照射する地鉄照明部と、を含み、
前記地鉄照明部は、前記刃文照明部に対して、前記ケース本体の前後方向の何れかに隣接して設けられ、前記刀の長さ方向に沿って延びることで、前記刀の全体を照射可能に構成され、
前記刃文照明部及び前記地鉄照明部を個別に調光可能に構成されている、展示ケース。
【請求項2】
前記刃文照明部は、その照射部位を可変可能に構成されている、請求項1に記載の展示ケース。
【請求項3】
前記刃文照明部は、光源が設けられ、調光可能に構成された刃文照明部本体と、前記刃文照明部本体に連結されたブラケットと、を有し、
前記刃文照明部本体と前記ブラケットとは、その相対角度を調整可能なジョイントにより連結され、
前記刃文照明部本体は、前記ケース本体に設けられ、前記刀の長さ方向に沿って延びるレール部に、前記ブラケットを介して取付けられることで、前記長さ方向にスライド可能に構成されている、請求項2に記載の展示ケース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刀の展示に用いられる展示ケースに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象の物品を、その美観を高めた状態で展示することのできる展示ケースに関する発明が、種々提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、内部鑑賞可能な収納具において、少なくとも鑑賞面を防災扉によって閉鎖自在に構成した展示ケースが記載されている。
【0004】
この展示ケースには、古美術品や刀、陶磁器、古文書、宝飾品等を展示可能であり、鑑賞面を防火扉によって構成していることで、火災時に展示されている対象の物品を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-26210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の展示ケースは、各対象物品を、上下方向に形成された各段に配置していくため、特定の対象物品が上段の陰に入り、光量不足に伴って美観が損なわれる、という問題があった。
加えて、設置スペースを広く取る必要があり、設置できる場所が制限されるという問題があった。
【0007】
特に、刀は、その照明の当たり方が見栄えに大きく影響することから、特許文献1に記載の展示ケースは、刀の展示に適していない、という問題があった。
【0008】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、刀を見栄えよく展示することができ、利便性に優れた展示ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、刀を展示する展示ケースであって、
前記刀を収容するケース本体を備え、
前記ケース本体は、前記刀を照射する照明部を有し、
前記照明部は、前記刀の刃文を照射する刃文照明部を含む。
【0010】
本発明によれば、照明部が、刀の刃文を照射する刃文照明部を含むことで、刀の美観を決定づける部分である刃文を十分に照らすことができ、刀を見栄えよく展示することが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記照明部は、前記刀の地鉄を照射する地鉄照明部を含む。
【0012】
このような構成とすることで、刀の見どころとして、刃文に並んで重要な地鉄を、刃文と同様に十分に照らすことができ、刀をさらに見栄えよく展示することが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記刃文照明部及び前記地鉄照明部を個別に調光可能に構成されている。
【0014】
このような構成とすることで、鑑賞目的等に応じて、刃文と地鉄の見栄えのバランスを自在に調整でき、本展示ケースの利便性が向上する。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記地鉄照明部は、前記刀の全体を照射可能に構成されている。
【0016】
このような構成とすることで、刀の全長に亘って変化していく地鉄の繊細な模様を、明確に視認することができ、刀をさらに見栄えよく展示することが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記刃文照明部は、その照射部位を可変可能に構成されている。
【0018】
このような構成とすることで、鑑賞目的等に応じて、刃文の適切な位置に刃文照明部を照射し、刃文の見栄えを自在に調整でき、本展示ケースの利便性が向上する。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、前記刀を前記ケース本体の中空で支持する刀支持部を有する。
【0020】
このような構成とすることで、鑑賞時に妨げとなるものが減り、刀を浮いたように展示することが可能となる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記刀支持部は、前記展示空間に突出する刀支持部本体と、前記刀と前記刀支持部本体との接触部位を可変させる可変機構と、を含む。
【0022】
このような構成とすることで、展示する刀の大きさに合わせて、適切な位置で、安定して刀を支持することができ、本展示ケースの利便性が向上する。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記刀支持部本体は、前記ケース本体に対して着脱可能に取付けられる。
【0024】
このような構成とすることで、本展示ケースを、刀以外の物品を展示するケースとしても用いることができ、本展示ケースの利便性が向上する。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記可変機構は、前記刀支持部本体を、前記刀の長さ方向に沿ってスライドさせることにより前記接触部位を可変させるスライド機構である。
【0026】
このような構成とすることで、支持する位置の調整を、フレキシブルかつ容易に行うことができ、本展示ケースの利便性が向上する。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記刀支持部は、前記刀の傾斜角を調整する傾斜角調整機構を含む。
【0028】
このような構成とすることで、鑑賞目的や照明部による光の当たり方等に応じて、刀全体の見栄えを、その傾斜角により調整でき、本展示ケースの利便性が向上する。
【0029】
本発明の好ましい形態では、前記刀支持部は、前記刀のズレを防止するズレ防止部を含む。
【0030】
このような構成とすることで、例えば、ケース本体に振動が加わった場合であっても、刀の展示態様を安定的に維持することが可能となる。
【0031】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、前記展示空間の底面を構成する土台部を有し、前記土台部は、前記ケース本体に着脱可能に設けられている。
【0032】
このような構成とすることで、必要に応じて土台部を取外し、この土台部を異なる形状や素材を有する土台部を取り付ける事で、ケースの意匠(見た目)を刀等の展示対象に合わせて変更することが可能となる。
【0033】
本発明の好ましい形態では、前記土台部は、その表面に装飾面を含む。
【0034】
このような構成とすることで、展示空間の雰囲気を装飾面により演出することができ、刀と併せて、展示空間全体で優れた美観を発揮することが可能となる。
【0035】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、前記刀の付属品を収容する付属品収容空間を有する。
【0036】
このような構成とすることで、例えば刀の鑑定書等の証書類や白鞘といった、刀を展示した際に余る備品を収容でき、これらの紛失を防ぐことが可能となる。
【0037】
本発明の好ましい形態では、前記土台部は、前記付属品収容空間の上面を覆って設けられている。
【0038】
このような構成とすることで、付属品を外部から隠すことができ、展示空間をシンプルな印象とし、より刀に集中して鑑賞可能な状態とすることが可能となる。
【0039】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、展示空間を調湿する調湿部材を収容する調湿部材収容部を有する。
【0040】
このような構成とすることで、展示空間の急激な湿度変化を抑え、湿度変化による刀の表面状態への影響を抑制することが可能となる。
【0041】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体を壁面に設置可能とする壁掛け用部材が設けられる。
【0042】
このような構成とすることで、刀を展示しつつ、展示場の床面のスペースを有効活用することが可能となる。また、特に、床面積の小さい小部屋等、従来では床面に載置することによる展示が出来なかった場所においても、省スペースで設置可能となる。
【0043】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体をその載置面に沿って移動可能とする支持脚部が設けられる。
【0044】
このような構成とすることで、本展示ケースの展示場所を容易に変更することが可能となる。
【0045】
本発明の好ましい形態では、ケース本体は、前記刀の情報を表示する刀情報表示部を有し、前記刀情報表示部は、前記ケース本体に着脱可能に設けられる。
【0046】
このような構成とすることで、展示する刀の種類の変更等に合わせて、適切な刀情報表示部に自在に変更することができ、例えば、複数台展示ケースを並べた際に、どのような刀が展示されているか、刀に詳しくない人でも容易に視認できるようになる等、本展示ケースの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、刀を見栄えよく展示することができ、利便性に優れた展示ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の実施形態1に係る展示ケースの概略斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る展示ケースを示す図であって、(a)概略斜視図、(b)底面側から見た照明部を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る展示ケースの正面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る展示ケースの概略斜視図である。
図5】本発明の実施形態1に係る展示ケースの概略斜視図である。
図6】本発明の実施形態1に係る展示ケースにおける刀支持部の概略斜視図である。
図7】本発明の実施形態1に係る展示ケースにおける刀支持部のPP´線断面図である。
図8】本発明の実施形態1に係る展示ケースの設置例を示す概略斜視図である。
図9】本発明の実施形態1に係る展示ケースの設置例を示す概略斜視図である。
図10】本発明の実施形態2に係る展示ケースを説明するための図である。
図11】本発明の実施形態2に係る展示ケースを説明するための図である。
図12】本発明の実施形態2に係る展示ケースを説明するための図である。
図13】本発明の実施形態3に係る展示ケースを説明するための図である。
図14】本発明の実施形態3に係る展示ケースを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る展示ケースについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係る展示ケースを示す。
【0050】
<実施形態1>
以下、図1図9を用いて、実施形態1に係る展示ケースXについて説明する。
なお、以下説明の便宜上、ケース本体1の調光部1aが設けられている側を前方、蓋部1cが設けられている側を後方、土台部Cの長辺方向を幅方向と称することとする。
【0051】
図1図5に示すように、展示ケースXは、刀K(図8及び図9参照)が収容される展示空間Sが設けられたケース本体1と、半透明な開閉扉2と、を備えている。
【0052】
ケース本体1は、側面視において断面略コ字状に構成され、開閉扉2は、平面視において断面略コ字状に構成されている。これにより、展示ケースXは、全体として略直方体状に構成されている。
【0053】
また、ケース本体1は、刀Kを照射する照明部Aと、刀Kを展示空間Sの中空で支持する刀支持部Bと、展示空間Sの底面を構成する土台部Cと、刀Kの情報を表示する刀情報表示部Dと、展示空間Sを調湿する調湿部材(図示せず)を収容する調湿部材収容部Eと、刀Kの付属品(図示せず)を収容する付属品収容空間Fと、を有している。
【0054】
照明部Aは、特に図2に示すように、ケース本体1の上部であって、刀支持部Bや土台部Cに対向するように設けられ、刀Kの刃文を照射するスポットライト型の刃文照明部A1と、刀Kの地鉄を照射するシーリングライト型の地鉄照明部A2と、を含む。
なお、図2(a)は、ケース本体1を底面側からみた概略斜視図であり、開閉扉2は省略している。また、図2(b)は、図2(a)の矢印pから見た平面図である。
【0055】
刃文照明部A1は、本実施形態においては2つ設けられ、その照射部位を可変可能に構成されている。
即ち、刃文照明部A1には、光源が設けられた略円筒状の刃文照明部本体A1aと、刃文照明部本体A1aに連結されたブラケットA1bと、が設けられている。そして、刃文照明部本体A1aとブラケットA1bとは、例えば、ユニバーサルジョイントやボールジョイント等無段階で相対角度を調整可能なジョイント(図示せず)により連結されることで、照射方向を任意に設定可能に構成されている(矢印a1)。また、ブラケットA1bが、幅方向に延びるレール部rに取付けられることで、刃文照明部本体A1aが、幅方向に沿ってスライド可能に構成されている(矢印a2)。
なお、刃文照明部A1の数は2つに限られず、ケース本体1の大きさ等に合わせて、任意に変更可能である。
【0056】
地鉄照明部A2は、レール部rの後方に、幅方向に沿って設けられることで、刀K全体を照射可能に構成されている。
なお、地鉄照明部A2の位置はこれに限定されず、レール部rの前方に設けられていても良い。
【0057】
刀支持部Bは、それぞれ幅方向に一対設けられた、第一刀支持部Baと、第二刀支持部Bbと、を含む。また、第一刀支持部Baと第二刀支持部Bbとは、それぞれケース本体1の後方側から展示空間Sに向けて突出して構成され、特に図3に示すように、幅方向に沿ってスライド可能に構成されている(矢印a3)。
なお、第一刀支持部Baは、第二刀支持部Bbよりも、その突出長さが長く構成されている。これにより、第一刀支持部Baに支持される刀Kが、第二刀支持部Bbに支持される刀Kの陰に入る事態が防止され、何れの刀Kに対しても偏りなく照明を当てることができる。
【0058】
土台部Cは、略長方形状の板状体であり、その表面に装飾面C1を含む。
なお、本実施形態においては、装飾面C1に漆装飾を施した例を示したが、装飾の態様は、これに限定されず、任意のデザインを描画したり、壁紙を貼り付けたりしても良い。
【0059】
刀情報表示部Dは、略長方形状の薄板状体であり、ケース本体1の下部に設けられている。刀情報表示部Dが表示する情報としては、例えば、展示空間Sに展示される刀Kの名称や製造年月日、製作者の名前等が挙げられる。
【0060】
調湿部材収容部Eは、特に図2図4で示すように、ケース本体1の上部に一対設けられ、調湿部材収容部Eの底面は、調湿部材収容部Eの内部と展示空間Sとを連通させる複数の連通孔が形成された、通気用床面E1として構成されている。
なお、調湿部材としては、例えばシリカゲル等の調湿剤や、小型の調湿器等が挙げられる。
【0061】
付属品収容空間Fは、特に図5で示すように、ケース本体1の下部に設けられ、上方に向かって開口している。
なお、付属品としては、例えば刀の鑑定書等の証書類や白鞘といった、刀Kを展示した際に余る備品等が挙げられる。
【0062】
ケース本体1の他の構成について詳述すれば、ケース本体1には、その上部に調光部1aが設けられ、その側方に開閉扉2と連結される一対のヒンジ部1bが設けられている。
調光部1aには、刃文照明部A1の輝度を段階的に調整する刃文照明部用調光ダイヤルl1と、刃文照明部用調光ダイヤルl1による調光を可能とするための調光ダイヤル用電源部l2と、地鉄照明部A2のON・OFFを切り替える地鉄照明部用スイッチl3と、により構成されている。
なお、地鉄照明部A2も、例えば地鉄照明部用スイッチl3をダイヤル式とすることで、刃文照明部A1と同様に、輝度を段階的に調整可能な構成としても良い。
【0063】
また、ケース本体1には、特に図4に示すように、その背面に、調湿部材収容部Eの出入り口を覆う一対の蓋部1cと、壁掛け用部材Yを取付け可能な(矢印a4)一対の壁掛け用部材取付け部1dと、調光部1aに電力を供給するための電源部1eと、が設けられている。
また、ケース本体1には、特に図2に示すように、その底面の四隅に、ゴム脚1fが設けられている。
また、ケース本体1には、その中央正面に、刀支持部Bが挿通される、幅方向に細長の挿通孔1gが、上下方向に2つ設けられている。
なお、蓋部1cは、小ねじnにより、ケース本体1に着脱可能に設けられている(矢印a5)。また、壁掛け用部材Yとしては、例えばテレビを壁掛けする際に一般的に用いられ、壁面に設けられたプレートと着脱可能に構成されたブラケットが好適に用いられる。
【0064】
図5に示すように、土台部Cは、付属品収容空間Fの開口を覆って設けられ、小ねじnにより、ケース本体1に着脱可能に設けられている(矢印a6)。
また、刀情報表示部Dは、例えば磁着により、ケース本体1に対して着脱可能に設けられている(矢印a7)。
さらに、開閉扉2は、ヒンジ部1bを軸として回動させることにより、自在に開閉可能に構成されている(矢印a8)。
なお、ケース本体1と開閉扉2とは、ヒンジ部1bが設けられていない側の側部で、例えば磁着可能に構成することで、閉状態を安定的に保持することができる。
【0065】
以下、図6及び図7を用いて、刀支持部Bについて詳述する。
なお、図6及び図7においては、第一刀支持部Baについて詳述するが、第二刀支持部Bbは、展示空間Sへの突出長さ(刀支持部本体B1の長さ)が異なる点を除いて第一刀支持部Baと同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0066】
図6に示すように、第一刀支持部Baは、刀Kと接触する刀支持部本体B1と、刀Kと刀支持部本体B1との接触部位を可変させる可変機構B2と、を含む。
なお、図6(b)は、図6(a)の分解斜視図である。
【0067】
刀支持部本体B1には、略細長棒状の刀支持部本体主部B1aと、刀Kの傾斜角を調整する傾斜角調整機構B1bと、刀Kのズレを防止するズレ防止部B1cと、が設けられている。
【0068】
傾斜角調整機構B1bは、刀支持部本体主部B1aの先端側に、刀支持部本体主部B1aが延びる方向に沿って複数設けられた位置決め孔hと、基端を位置決め孔hに挿通させることにより刀支持部本体主部B1aに取付けられる(矢印a9)、略円柱状のストッパー部材jと、により構成されている。
【0069】
ストッパー部材jは、刀支持部本体主部B1aの先端に設けられたストッパー部材jが示すように、一方のストッパー部材jの基端を、他方のストッパー部材jの先端に設けられた孔に挿通させることで(矢印a10)、複数のストッパー部材jを積み上げ、その高さを調整することができる。
これにより、刀Kの刀身幅に合わせて、先端側のストッパー部材jが鑑賞の障害とならない程度の高さとすることによる刀Kの見易さと、ストッパー部材jによる刀Kの保持力と、を柔軟に調整することができる。
なお、高さの調整をより柔軟に行うために、図6に示すように、高さの異なるストッパー部材jを複数設けておくことが好ましい。
【0070】
ズレ防止部B1cは、弾性素材により形成された略長方形状かつ可撓性の板状体であり、刀支持部本体主部B1aの延びる方向に間隔をあけて取付けられた複数のストッパー部材jの間に、その両端部を湾曲させて配置される(矢印a11)。
なお、ズレ防止部B1cが弾性素材により形成されることにより、刀Kとの間で高い摩擦力を発揮し、効果的に刀Kの位置のズレが防止される。
【0071】
可変機構B2には、刀支持部本体主部B1aの基端に設けられた一対のホイールB2aと、ケース本体1の内部に、幅方向に亘って架設され、かつ上下方向に間隔を空けて設けられた一対のレール部B2b(図7参照)と、が設けられている。
【0072】
一対のホイールB2aは、刀支持部本体主部B1aの延びる方向を軸として、回転自在に設けられている。
【0073】
図7は、刀Kを支持した状態の刀支持部Bを、ケース本体1の内部と共に、図6(a)のPP´線断面で示す断面図である。また、図7(b)は、傾斜角調整機構B1bにより、図7(a)から刀Kの傾斜角を調整した状態の図である。
【0074】
図7に示すように、一対のホイールB2aが、一対のレール部B2bに挟持される態様で一対のレール部B2bに取付けられることで、可変機構B2は、刀支持部本体B1を、幅方向に沿ってスライド可能なスライド機構となされている。
【0075】
また、図7(a)から、基端側のストッパー部材jを、より後方の位置決め孔hに移動させることで、図7(b)に示すように、刀Kの傾斜角が、図7(a)と比較して大きくなる。
このように、傾斜角調整機構B1bは、複数の位置決め孔hでもってストッパー部材jの取付け位置を変更することで、刀Kの傾斜角を調整可能な構成となされている。
【0076】
なお、刀支持部Bは、図7(c)に示すような構成とすることもできる。
即ち、図7(c)において、刀支持部Bには、一対のホイールB2a及び一対のレール部B2bが設けられていない。
また、挿通孔1gは、刀支持部本体主部B1aの基端の形状に合わせて段付き形状となされ、刀支持部本体主部B1aの基端が、僅かに隙間が空くように、挿通孔1gに嵌合させられる。
さらに、刀支持部本体主部B1aの基端には、一対のホイールB2aの回転軸の代わりに、小ねじnが挿通され、小ねじnは、挿通孔1gを後方から覆うように設けられている固定用板mの、ネジ穴m1に螺合させられている。
固定用板mのネジ穴m1は、挿通孔1gと連通しており、幅方向に亘って複数設けられている。
【0077】
これにより、適宜小ねじnとネジ穴m1との螺合状態を解消し、刀支持部Bを幅方向にスライドさせ、他のネジ穴m1に小ねじnを螺合させることで、刀支持部Bを任意の位置に移動及び固定させることができる。
【0078】
図8及び図9は、ケース本体1の設置例を示す図である。
なお、図8及び図9では、刀Kとして刀身を展示している例を示すが、これに限られず、刀身と鞘を合わせた刀全体を展示しても良いし、鞘のみを展示しても良い。
【0079】
ケース本体1は、図8に示すように、任意の台や床面に、ゴム脚1fを介して設置することができる。
なお、ゴム脚1fは、例えば磁着やネジ留め等により、ケース本体1に着脱可能に設けられており、図9に示す態様で設置する場合、適宜ケース本体1から取り外して設置することができる。
【0080】
また、ケース本体1は、壁掛け用部材取付け部1dに、例えば上記したブラケット等の壁掛け用部材Yを取付けることができる。
これにより、図9(a)に示すように、壁掛け用部材Yを取付け可能な壁面プレート(図示せず)を介して、ケース本体1を任意の壁面に取付けることができる。
さらに、壁掛け用部材Yを介して、基端にキャスターが設けられた支持脚部Zを取付けることで、図9(b)に示すように、ケース本体1をその載置面に沿って移動可能とすることができる。また、支持脚部Zとして、パイプのスライド等により高さ調整を可能なものを用いることで、ケース本体1を見やすい高さに自由に調整できる。
なお、支持脚部Zは、必ずしも、壁掛け用部材Yを介して取付けるものである必要はなく、例えばケース本体1の底面に直接固定されていても良いし、キャスターのみを支持脚部Zとして、ケース本体1に設ける構成としても良い。
【0081】
本実施形態によれば、照明部Aが、刀Kの刃文を照射する刃文照明部A1を含むことで、刀Kの美観を決定づける部分である刃文を十分に照らすことができ、刀Kを見栄えよく展示することが可能となる。
【0082】
また、地鉄照明部A2により、刀Kの見どころとして、刃文に並んで重要な地鉄を刃文と同様に十分に照らすことができ、刀Kをさらに見栄えよく展示することが可能となる。
【0083】
また、調光部1aにより、刃文照明部A1及び地鉄照明部A2を個別に調光可能に構成されていることで、鑑賞目的等に応じて、刃文と地鉄の見栄えのバランスを自在に調整でき、展示ケースXの利便性が向上する。
【0084】
また、地鉄照明部A2が刀Kの全体を照射可能に構成されていることで、刀Kの全長に亘って変化していく地鉄の繊細な模様を、明確に視認することができ、刀Kをさらに見栄えよく展示することが可能となる。
【0085】
また、刃文照明部A1がその照射部位を可変可能に構成されていることで、鑑賞目的等に応じて、刃文の適切な位置に刃文照明部A1を照射し、刃文の見栄えを自在に調整でき、展示ケースXの利便性が向上する。
【0086】
また、ケース本体1が刀Kを展示空間Sの中空で支持する刀支持部Bを有することで、鑑賞時に妨げとなるものが減り、刀Kを浮いたように展示することが可能となる。
【0087】
また、刀支持部Bが、刀Kと接触する刀支持部本体B1と、刀Kと刀支持部本体B1との接触部位を可変させる可変機構B2と、を含むことで、展示する刀Kの大きさに合わせて、適切な位置で、安定して刀Kを支持することができ、展示ケースXの利便性が向上する。
【0088】
また、可変機構B2が、刀支持部本体を、刀Kの長さ方向に沿ってスライドさせることにより接触部位を可変させるスライド機構であることで、支持する位置の調整を、フレキシブルかつ容易に行うことができ、展示ケースXの利便性が向上する。
【0089】
また、刀支持部Bが刀の傾斜角を調整する傾斜角調整機構B1bを含むことで、鑑賞目的や照明部Aによる光の当たり方等に応じて、刀K全体の見栄えを、その傾斜角により調整でき、展示ケースXの利便性が向上する。
【0090】
また、刀支持部Bが刀のズレを防止するズレ防止部B1cを含むことで、例えば、ケース本体1に振動が加わった場合であっても、刀Kの展示態様を安定的に維持することが可能となる。
【0091】
また、ケース本体1が展示空間Sの底面を構成する土台部Cを有し、土台部Cがケース本体1に着脱可能に設けられていることで、必要に応じて土台部Cを取外し、この土台部Cを異なる形状や素材を有する土台部Cを取り付ける事で、ケース本体1の意匠(見た目)を刀K等の展示対象に合わせて変更することが可能となる。
【0092】
また、土台部Cが、その表面に装飾面C1を含むことで、展示空間Sの雰囲気を装飾面C1により演出することができ、刀Kと併せて、展示空間S全体で優れた美観を発揮することが可能となる。
【0093】
また、ケース本体1が刀Kの付属品を収容する付属品収容空間Fを有することで、例えば刀Kの鑑定書等の証書類や白鞘といった、刀Kを展示した際に余る備品を収容でき、これらの紛失を防ぐことが可能となる。
【0094】
また、土台部Cが付属品収容空間Fの上面を覆って設けられていることで、付属品を外部から隠すことができ、展示空間Sをシンプルな印象とし、より刀Kに集中して鑑賞可能な状態とすることが可能となる。
【0095】
また、ケース本体が、展示空間Sを調湿する調湿部材を収容する調湿部材収容部Eを有することで、展示空間Sの急激な湿度変化を抑え、湿度変化による刀Kの表面状態への影響を抑制することが可能となる。
【0096】
また、壁掛け用部材取付け部1dを介して、ケース本体1を壁面に設置可能とする壁掛け用部材Yが設けられることで、刀Kを展示しつつ、展示場の床面のスペースを有効活用することが可能となる。また、特に、床面積の小さい小部屋等、従来では床面に載置することによる展示が出来なかった場所においても、省スペースで設置可能となる。
【0097】
また、壁掛け用部材Yを介して、ケース本体1をその載置面に沿って移動可能とする支持脚部Zが設けられる、展示ケースXの展示場所を容易に変更することが可能となる。
【0098】
また、刀Kの情報を表示する刀情報表示部Dが、ケース本体1に着脱可能に設けられることで、展示する刀Kの種類の変更等に合わせて、適切な刀情報表示部Dに自在に変更することができ、例えば、複数台展示ケースXを並べた際に、どのような刀が展示されているか、刀に詳しくない人でも容易に視認できるようになる等、展示ケースXの利便性が向上する。
【0099】
<実施形態2>
以下、図10図12を用いて、実施形態2に係る展示ケースXについて説明する。
実施形態2では、実施形態1と比較して、刀支持部Bの構成が、刀支持部B´として変更されている。
なお、実施形態2において、実施形態1と基本的に同一の構成要素については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
【0100】
図10は、本実施形態に係る展示ケースXを説明するための図であって、図10(a)は、刀支持部B´の拡大斜視図、図10(b)は、刀支持部B´を取付けた際のケース本体1の概略斜視図である。
【0101】
刀支持部B´は、それぞれ幅方向に一対設けられた、第一刀支持部Ba´と、第二刀支持部Bb´と、を含む。また、第一刀支持部Ba´と第二刀支持部Bb´とは、それぞれケース本体1の後方側から展示空間Sに向けて突出し、第一刀支持部Baは、第二刀支持部Bbよりも、その突出長さが長く構成されている。
【0102】
なお、以下、第一刀支持部Ba´について詳述するが、第二刀支持部Bb´は、展示空間Sへの突出長さ(刀支持部本体B1´の長さ)が異なる点、側面視で略コ字状である構成を除いて第一刀支持部Ba´と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0103】
図10(a)に示すように、刀支持部B´は、刀Kと接触する刀支持部本体B1´と、刀Kと刀支持部本体B1´との接触部位を可変させる可変機構B2´と、を含む。
【0104】
刀支持部本体B1´には、側面視で略E字状の刀支持部本体主部B1a´と、刀Kのズレを防止するズレ防止部B1cと、が設けられている。
ズレ防止部B1cは、刀支持部本体主部B1a´の先端部の突起と略中央の突起との間に、その両端部を湾曲させて配置される。
なお、刀支持部本体B1´にも、刀支持部本体B1と同様に、位置決め孔hとストッパー部材jとによる傾斜角調整機構B1bを設けても良い。
【0105】
可変機構B2´には、刀支持部本体主部B1a´の後方側端面から突出する一対の位置決め突起B2a´と、ケース本体1に設けられた位置決め孔B2b´と、が設けられている。
【0106】
位置決め孔B2b´は、一対の位置決め突起B2a´の間隔と同様の間隔で一対設けられ、この一対の位置決め孔B2b´が、幅方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0107】
可変機構B2´をこのような構成とすることで、一対の位置決め突起B2a´を挿通させる一対の位置決め孔B2b´を適宜選択し、一対の刀支持部B´の間隔を変更することができる。
【0108】
図11は、本実施形態に係る展示ケースXの図10(b)の正面図である。
なお、図11において、開閉扉2は省略している。
【0109】
図11に示す展示ケースXでは、図10(b)と比較して、一対の刀支持部B´が、それぞれ隣接する内側の一対の位置決め孔B2b´に取付けられることで、一対の刀支持部B´の間隔が狭くなっている。
【0110】
なお、刀支持部B´は、図12に示すような構成とすることもできる。
即ち、図12(a)において、刀支持部B´は、一対の位置決め突起B2a´の代わりに、一対のネジ穴B2c´が、後方端面に設けられている。
また、位置決め孔B2b´は、ケース本体1を、後方に向かって貫通する貫通孔として形成されている。
これにより、図12(b)に示すように、一対のネジ穴B2c´と一対の位置決め孔B2b´とを連通させ、ケース本体1の後方から小ねじnを挿通させる(矢印a12)ことで、位置決め孔B2b´を介して、小ねじnとネジ穴B2c´とを螺合させ、刀支持部B´をケース本体1に固定する。
【0111】
刀支持部B´の位置を変更したい場合、小ねじnとネジ穴B2c´とを螺合状態を解消し、一対のネジ穴B2c´と他の一対の位置決め孔B2b´との連通、小ねじnとネジ穴B2c´との螺合を行う。
【0112】
本実施形態によれば、刀支持部B´が、刀Kと接触する刀支持部本体B1´と、刀Kと刀支持部本体B1´との接触部位を可変させる可変機構B2´と、を含むことで、展示する刀Kの大きさに合わせて、適切な位置で、安定して刀Kを支持することができ、展示ケースXの利便性が向上する。
【0113】
また、刀支持部本体B1´がケース本体1に対して着脱可能に取付けられることで、展示ケースXを、刀K以外の物品を展示するケースとしても用いることができ、展示ケースXの利便性が向上する。
【0114】
<実施形態3>
以下、図13及び図14を用いて、展示ケースXの実施形態3について説明する。
実施形態3では、実施形態1及び2と比較して、ケース本体1及び地鉄照明部A2それぞれの構成が、ケース本体1´及び地鉄照明部A2´として変更されている。
なお、実施形態3において、実施形態1及び2と基本的に同一の構成要素については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
【0115】
図13は、本実施形態に係る展示ケースXの概略斜視図である。
【0116】
図13に示すように、ケース本体1´は、実施形態1及び2に係るケース本体1と比較して、その幅方向の長さが短く、よりコンパクトに構成されている。
【0117】
図14は、本実施形態に係る展示ケースXを説明するための図であって、図14(a)は、正面図、図14(b)は、図14(a)の矢印pから見た平面図である。
なお、図14(a)において、開閉扉2は省略している。
【0118】
図14に示すように、地鉄照明部A2´は、実施形態1及び2に係る地鉄照明部A2と比較して、スポットライト型の地鉄照明部本体A2a´が設けられている。
そして、地鉄照明部本体A2a´は、刃文照明部A1と同様に、ブラケットA1bと、相対角度を調整可能なジョイント(図示せず)により連結され、ブラケットA1bは、レール部rに取付けられている。
これにより、地鉄照明部A2´は、その照射方向を任意に設定可能かつ、幅方向に沿ってスライド可能に構成されている。
【0119】
本実施形態によれば、展示ケースXを任意の場所に載置する際の省スペース化が図れ、また、より安価に製造することが可能となる。
なお、本実施形態において、刀支持部Bを刀支持部B´としても良いし、実施形態1及び2に記載した構成は、当然に採用することができる。この他、刃文照明部A1を白色灯、地鉄照明部A2´を暖色灯にする等、照明の色の種類を異なるものとしても良い。
【0120】
なお、上述の各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0121】
X 展示ケース
1 ケース本体
S 展示空間
A 照明部
A1 刃文照明部
A2 地鉄照明部
B 刀支持部
Ba、Ba´ 第一刀支持部
Bb、Bb´ 第二刀支持部
B1、B1´ 刀支持部本体
B2、B2´ 可変機構
C 土台部
C1 装飾面
D 刀情報表示部
E 調湿部材収容部
E1 通気用床面
F 付属品収容空間
2 開閉扉
Y 壁掛け用部材
Z 支持脚部
K 刀
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14