(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電力システムの適応状態推定
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240327BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2022543130
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2021050741
(87)【国際公開番号】W WO2021144390
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン,シャオミン
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-016775(JP,A)
【文献】特開2011-024286(JP,A)
【文献】Andre Teixeira et al.,Cyber Security Analysis of State Estimators in Electric Power Systems,49th IEEE Conference on Decision and Control (CDC) [online],IEEE,2011年,pp. 5991 - 5998,Retrieved from the Internet : <URL: https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=5717318>,<DOI: 10.1109/CDC.2010.5717318>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態推定器を用いて、パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定すること(301)と、
前記状態推定器を用いて、前記状態推定値に基づいて勾配を計算すること(303)と、
前記状態推定器を用いて、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列と、ニュートン法に基づいて第2の利得行列とを計算すること(307)と、
前記状態推定器を用いて、前記状態推定値の補正値を計算するために、
前記ガウス・ニュートン法を用いて前記状態推定値が収束するかどうかを判定することにより、前記第1の利得行列または前記第2の利得行列のいずれかを選択すること(309)と、
前記状態推定器を用いて、前記状態推定値の前記補正値を計算すること(311)と、
前記状態推定器を用いて、前記状態推定値を更新すること(313)と、
前記状態推定器を用いて、更新された前記状態推定値が収束しているかどうかを判定すること(317)とを備える、方法。
【請求項2】
更新された前記状態推定値が収束していないと判定された場合、前記第1の
利得行列および前記第2の利得行列を反復的に計算すること(307)と、前記第1の
利得行列または前記第2の
利得行列のいずれかを選択すること(309)と、前記状態推定値の前記補正値を計算すること(311)と、更新された前記状態推定値が収束していると判定されるまで、前記状態推定値を更新すること(313)とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記勾配を計算した後に、前記状態推定器を用いて、前記状態推定値が収束しているかどうかを判定することをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
更新された前記状態推定値が収束していると判定することは、前記補正値のノルムを計算することと、前記ノルムが所与の閾値を下回っているかどうかを判定することとを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の利得行列または前記第2の利得行列のいずれかを選択することは、前記第2の利得行列が正定値であると判定することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記補正値を計算した後に、オーバーシュートを防止するために、前記状態推定器を用いて補正サイズを制限することをさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
【数1】
【請求項8】
前記状態推定器を用いて、収束した前記状態推定値を使用して、前記パワーグリッドデータが偽データを含むかどうかを判定することをさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
状態推定システムであって、
命令のセットを実行するように構成された処理デバイスを含む状態推定器を備え、前記命令は、
パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、
前記状態推定値に基づいて勾配を計算することと、
ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列と、ニュートン法に基づいて第2の利得行列とを計算することと、
前記状態推定値の補正値を計算するために、
前記ガウス・ニュートン法を用いて前記状態推定値が収束するかどうかを判定することにより、前記第1の利得行列または前記第2の利得行列のいずれかを選択することと、
前記状態推定値の前記補正値を計算することと、
前記状態推定値を更新することと、
更新された前記状態推定値が収束しているかどうかを判定することとに有効である、状態推定システム。
【請求項10】
前記パワーグリッドの特性に対応する前記パワーグリッドデータを、前記状態推定器に送信するように構成された複数のローカルコントローラをさらに備える、請求項9に記載の状態推定システム。
【請求項11】
前記処理デバイスは、更新された前記状態推定値が収束していないと判定すると、前記第1の
利得行列および前記第2の利得行列を反復的に計算し、前記第1の
利得行列または前記第2の
利得行列のいずれかを選択し、前記状態推定値の前記補正値を計算し、更新された前記状態推定値が収束していると判定されるまで、前記状態推定値を更新するように構成されている、請求項9または10に記載の状態推定システム。
【請求項12】
前記処理デバイスは、前記勾配を計算した後に、前記状態推定値が収束しているかどうかを判定するように構成されている、請求項9~11のいずれか1項に記載の状態推定システム。
【請求項13】
更新された前記状態推定値が収束していると判定するために、前記処理デバイスは、前記補正値のノルムを計算し、前記ノルムが所与の閾値を下回っているかどうかを判定するように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の状態推定システム。
【請求項14】
前記第1の利得行列または前記第2の利得行列のいずれかを選択するために、前記処理デバイスは、前記第2の利得行列が正定値であると判定するように構成されている、請求項9~13のいずれか1項に記載の状態推定システム。
【請求項15】
前記処理デバイスは、前記補正値を計算した後に、オーバーシュートを防止するために補正サイズを制限するように構成されている、請求項9~14のいずれか1項に記載の状態推定システム。
【請求項16】
【数2】
【請求項17】
前記処理デバイスは、収束した前記状態推定値を使用して、前記パワーグリッドデータが偽データを含むかどうかを判定するように構成されている、請求項9~16のいずれか1項に記載の状態推定システム。
【請求項18】
非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体上のコンピュータプログラ
ムであって、前記コンピュータプログラ
ムは、前記状態推定器の処理デバイスに、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、概して、正常なおよび非常に不良な測定品質条件の両方の下での電力システムにおける状態推定に関する。状態推定は、電力システムの監視、リスク分析、制御、および最適化にとって、必須かつ基本的な機能である。状態推定を実行するために、センサ測定値またはデバイスステータスなどのデータが、電力システムの構成要素から収集される。場合によっては、収集されたデータの品質は、いくつか例を挙げると、悪意のあるデータ注入または誤動作センサ等の粗悪な偽データによって損なわれる。粗悪な偽データは、状態推定値が収束することを妨げる可能性がある。既存の状態推定システムには、いくつかの欠点および不都合がある。収束率および偽データ検出精度の向上を含む、まだ対処されていないニーズが残っている。たとえば、状態推定値が収束しない場合、偽データの検出および除去を行うことは不可能である。したがって、任意のデータエラー条件の下で状態推定について100%またはほぼ100%の収束率を達成することは、電力システム制御において連続した状況認識を維持するのに重要である。当技術分野におけるこれらおよび他の欠点を考慮すると、本明細書に開示される固有の装置、方法、システムおよび技法に対して大きなニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
説明的な実施形態の開示
本開示の非限定的で例示的な実施形態、それを作製および使用する態様およびプロセスを明確に、簡潔に、かつ正確に説明する目的で、ならびにその実践、作製および使用を可能にするために、図に示されるものを含む特定の例示的な実施形態が参照され、それを説明するために特定の言語が使用される。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定はそれによって生じず、本開示は、本開示の利益とともに当業者が思い付くであろう例示的な実施形態のそのような変更、修正、およびさらに別の適用を含み、保護することを理解されたい。
【0003】
開示の概要
本開示は、状態推定器を用いて、複数のローカルコントローラから受信したパワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、状態推定器を用いて、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列を計算することと、状態推定器を用いて、第1の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、状態推定器を用いて、ニュートン法に基づいて第2の利得行列を計算することと、状態推定器を用いて、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、状態推定器を用いて、第2の利得行列を反復的に再計算し、状態推定値が収束するまで、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することとを備える方法に関する。
【0004】
種々の実施形態は、好ましくは、以下の特徴を実装してもよい。
好ましくは、第1の利得行列に基づいて状態推定値を更新すること、および第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することは、加重最小二乗法にも基づく。
【0005】
【0006】
【0007】
好ましくは、方法はさらに、状態推定器を用いて第2の利得行列を選択することを備え、第2の利得行列を選択することは、第2の利得行列が正定値であると判定することに応答する。
【0008】
好ましくは、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することは、第2の利得行列に基づいて補正値を計算することと、補正値を状態推定値に加算することとを含む。
【0009】
好ましくは、状態推定値は、補正値のノルムが第1の収束閾値未満であるとき、または状態推定値に基づく勾配が第2の収束閾値未満であるときに、収束する。
【0010】
好ましくは、オーバーシュートを防止するために、第2の利得行列に基づいて計算される補正サイズが制限される。
【0011】
好ましくは、方法はさらに、状態推定値に基づいてパワーグリッドから偽データを除去することと、偽データを伴わないパワーグリッドデータに基づいて、第2の状態推定値を計算することと、第2の利得行列を反復的に再計算し、状態推定値が収束するまで、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、パワーグリッドデータが偽データを含まないと判定することと、状態推定値をパワーグリッド制御システムに送信することとを備える。
【0012】
好ましくは、方法はさらに、複数の回路遮断器ステータスを含むパワーグリッドデータを受信することと、複数の回路遮断器ステータスが偽データを含むと判定することと、複数の回路遮断器ステータスから偽データを除去することによって、複数の回路遮断器ステータスを更新することとを備え、状態推定値を決定することは、更新された複数の回路遮断器ステータスに基づく。
【0013】
また、本開示は状態推定システムに関し、状態推定システムは、パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータを送信するように構成された複数のローカルコントローラと、状態推定器とを備え、状態推定器は、命令のセットを実行するように構成された処理デバイスを含み、命令は、複数のローカルコントローラから受信したパワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列を計算することと、第1の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、ニュートン法に基づいて第2の利得行列を計算することと、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、第2の利得行列を反復的に再計算し、状態推定値が収束するまで、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することとに有効である。
【0014】
種々の実施形態は、好ましくは、以下の特徴を実装してもよい。
好ましくは、第1の利得行列に基づいて状態推定値を更新すること、および第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することは、加重最小二乗法にも基づく。
【0015】
【0016】
【0017】
好ましくは、処理デバイスはさらに、第2の利得行列が正定値であると判定することに応答して、第2の利得行列を選択するのにさらに有効な命令のセットを実行するように構成されている。
【0018】
好ましくは、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することは、第2の利得行列に基づいて補正値を計算することと、補正値を状態推定値に加算することとを含む。
【0019】
好ましくは、状態推定値は、補正値のノルムが第1の収束閾値未満であるとき、または状態推定値に基づく勾配が第2の収束閾値未満であるときに、収束する。
【0020】
好ましくは、オーバーシュートを防止するために、第2の利得行列に基づいて計算される補正サイズが制限される。
【0021】
好ましくは、処理デバイスは命令のセットを実行するように構成され、命令はさらに、パワーグリッドデータから偽データを除去することと、偽データを伴わないパワーグリッドデータに基づいて第2の状態推定値を計算することと、第2の利得行列を反復的に再計算し、第2の状態推定値が収束するまで、第2の利得行列に基づいて第2の状態推定値を更新することと、パワーグリッドデータが偽データを含まないと判定することと、第2の状態推定値をパワーグリッド制御システムに送信することとに有効である。
【0022】
好ましくは、処理デバイスはさらに、命令のセットを実行するように構成され、命令はさらに、複数の回路遮断器ステータスを含むパワーグリッドデータを受信することと、複数の回路遮断器ステータスが偽データを含むと判定することと、複数の回路遮断器ステータスから偽データを除去することによって、複数の回路遮断器ステータスを更新することとに有効であり、状態推定値を決定することは、更新された複数の回路遮断器ステータスに基づく。
【0023】
また、本開示は、状態推定器を用いて、パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、状態推定器を用いて、状態推定値に基づいて勾配を計算することと、状態推定器を用いて、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列と、ニュートン法に基づいて第2の利得行列とを計算することと、状態推定器を用いて、状態推定値の補正値を計算するために、第1の利得行列または第2の利得行列のいずれかを選択することと、状態推定器を用いて、状態推定値の補正値を計算することと、状態推定器を用いて状態推定値を更新することと、状態推定器を用いて、更新された状態推定値が収束しているかどうかを判定することとを備える方法に関する。
【0024】
種々の実施形態は、好ましくは、以下の特徴を実装してもよい。
好ましくは、更新された状態推定値が収束していないと判定された場合、方法は、第1の行列および第2の利得行列を反復的に計算することと、第1の行列または第2の行列のいずれかを選択することと、状態推定値の補正値を計算することと、更新された状態推定値が収束していると判定されるまで、状態推定値を更新することとを備える。
【0025】
好ましくは、方法はさらに、勾配を計算した後に、状態推定器を用いて、状態推定値が収束しているかどうかを判定することを備える。
【0026】
好ましくは、更新された状態推定値が収束していると判定することは、補正値のノルムを計算することと、ノルムが所与の閾値を下回っているかどうかを判定することとを含む。
【0027】
好ましくは、第1の利得行列または第2の利得行列のいずれかを選択することは、第2の利得行列が正定値であると判定することを含む。
【0028】
好ましくは、方法はさらに、補正値を計算した後に、状態推定器を用いて、オーバーシュートを防止するために補正サイズを制限することを備える。
【0029】
【0030】
好ましくは、方法はさらに、状態推定器を用いて、収束した状態推定値を使用して、パワーグリッドデータが偽データを含むかどうかを判定することを備える。
【0031】
本開示はまた、命令のセットを実行するように構成された処理デバイスを含む状態推定器を含む状態推定システムに関し、命令は、
パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、状態推定値に基づいて勾配を計算することと、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列と、ニュートン法に基づいて第2の利得行列を計算することと、状態推定値の補正値を計算するために、第1の利得行列または第2の利得行列のいずれかを選択することと、状態推定値の補正値を計算することと、状態推定値を更新することと、更新された状態推定値が収束しているかどうかを判定することとに有効である。
【0032】
種々の実施形態は、好ましくは、以下の特徴を実装してもよい。
好ましくは、状態推定システムはさらに、パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータを状態推定器に送信するように構成された複数のローカルコントローラを備える。
【0033】
好ましくは、処理デバイスは、更新された状態推定値が収束していないと判定し、処理デバイスは、第1の行列および第2の利得行列を反復的に計算し、第1の行列または第2の行列のいずれかを選択し、状態推定値の補正値を計算し、更新された状態推定値が収束していると判定されるまで、状態推定値を更新するように構成されている。
【0034】
好ましくは、処理デバイスは、勾配を計算した後に、状態推定値が収束しているかどうかを判定するように構成されている。
【0035】
好ましくは、更新された状態推定値が収束していると判定するために、処理デバイスは、補正値のノルムを計算し、ノルムが所与の閾値を下回っているかどうかを判定するように構成されている。
【0036】
好ましくは、第1の利得行列または第2の利得行列のいずれかを選択するために、処理デバイスは、第2の利得行列が正定値であると判定するように構成されている。
【0037】
好ましくは、処理デバイスは、補正値を計算した後に、オーバーシュートを防止するために補正サイズを制限するように構成されている。
【0038】
【0039】
好ましくは、処理デバイスは、パワーグリッドデータが偽データを含むかどうかを判定するために、収束した状態推定値を使用するように構成されている。
【0040】
本開示の例示的な実施形態は、偽データ検出軽減システムのための固有のシステム、方法、技法および装置を含む。本開示のさらに別の実施形態、形態、目的、特徴、利点、態様および利益は、以下の説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図2】例示的な偽データ軽減プロセスを示すフローチャートである。
【
図3】例示的な偽データ軽減プロセスの例示的な状態推定プロセスを示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示す例示的な状態推定プロセスの複数の事例の結果を示すグラフである。
【
図5】
図3に示す例示的な状態推定プロセスの結果の、従来の状態推定プロセスとの比較結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
説明的な実施形態の詳細な説明
図1を参照すると、例示的なパワーグリッド100が示されている。パワーグリッド100は、状態推定器150およびパワーグリッド制御システム160を含むことを理解されたい。状態推定器150は、送電システム、配電システム、工業オートメーションシステム、または複数の収集されたデータに基づいて状態推定値を生成するように構成された別のタイプのシステムを含む、さまざまな用途において実装され得る。状態推定器150は、数例を挙げると、エネルギー管理システム、配電管理システム、高度配電管理システム、またはマイクログリッド制御システム等のパワーグリッド制御システム160に組み込むことが可能である。グリッド100のトポロジは説明の目的で示されており、本開示の限定として意図されていないことを理解されたい。パワーグリッド100は単線図で示されているが、グリッド100は、単相電力、多相電力または直流電力を伝送するように構成されてもよい。
【0043】
グリッド100は、電力を生成し、生成した電力を結合された負荷に供給するように構成されている。グリッド100は、発電システム110と、送電網120と、変電所130と、配電網140と、状態推定器150とを含む。
【0044】
発電システム110は、AC電源111と、昇圧変圧器113と、回路遮断器117を含む複数の制御可能デバイスと、複数のセンサ119と、遠隔端末装置(RTU)115とを含む。交流電源111は、交流電力を生成して、生成した電力を出力するように構成されている。変圧器113は、生成された電力を交流電源111から受け取り、その電力の電圧を昇圧し、その電力を送電網120に出力するように構成されている。回路遮断器117は、交流電源111を送電網120から選択的に絶縁するように構成されている。
【0045】
複数のセンサ119は、発電システム110の電気的特性を測定するように構成され、数例を挙げると、電圧センサ、電圧変圧器、電流センサ、および変流器を含み得る。RTU115は、複数のセンサ119、複数の制御可能デバイス、および状態推定器150と通信するように構成されている。RTU115は、複数のセンサ119から測定値を受信し、制御可能デバイスからデバイスステータスを受信し、受信したデータを状態推定器150に送信することができる。RTU115によって受信される測定値は、数例を挙げると、電圧位相角、電圧の大きさ、電力注入、および電力潮流を含み得る。デバイスステータスは、一例を挙げると、発電システム110の回路遮断器ごとの開閉ステータスを含み得る。特定の実施形態では、いずれかのRTUを、データを受信し、状態推定器150と通信するように構成された別のタイプのローカルコントローラと置き換えることができる。
【0046】
送電網120は、変圧器113から、変電所130を含む複数の変電所に交流電力を伝送するように構成されている。ネットワーク120は、伝送線121などの複数の伝送線と、回路遮断器123などの複数の制御可能デバイスと、電送バス125とを含む。特定の実施形態では、送電網120は、数例を挙げると、バス電圧の大きさ、バス電圧の位相角、および電力潮流などのネットワーク120の電気的特性を測定するように構成された複数のセンサを含む。送電網120はまた、複数のセンサから測定値を受信し、複数の制御可能デバイスからデバイスステータスを受信し、受信したデータを状態推定器150に送信するように構成された、RTU等のコントローラを含んでもよい。
【0047】
変電所130は、送電網120から交流電力を受け取り、受け取った電力の電圧を降圧し、修正された交流電力を配電網140に出力するように構成されている。変電所130は、降圧変圧器131と、配電バス133と、回路遮断器135などの複数の制御可能デバイスと、複数のセンサ138と、RTU139とを含む。降圧変圧器131は、送電網120から交流電力を受け取り、受け取った電力の電圧を降圧し、修正された電力を配電バス133に出力するように構成されている。回路遮断器135は、配電バス133から配電網140を選択的に隔離するように構成されている。
【0048】
複数のセンサ138は、変電所130の電気的特性を測定するように構成され、数例を挙げると、電圧センサ、電圧変圧器、電流センサ、および変流器を含み得る。RTU139は、複数のセンサ138、複数の制御可能デバイス、および状態推定器150と通信するように構成されている。RTU139は、複数のセンサ138から測定値を受信し、複数の制御可能デバイスからデバイスステータスを受信し、受信したデータを状態推定器150に送信することができる。RTU139から受信された測定値は、数例を挙げると、電圧位相角、電圧の大きさ、電力注入、および電力潮流を含み得る。デバイスステータスは、一例を挙げると、変電所130の回路遮断器ごとの開閉状態を含み得る。
【0049】
配電網140は、変電所130から受け取った交流電力を、複数の結合された負荷に伝送するように構成されている。ネットワーク140は、配電線147および143などの複数の配電線と、回路遮断器141などの複数の制御可能デバイスと、配電バス145とを含む。特定の実施形態では、配電網140は、数例を挙げると、バス電圧の大きさ、バス電圧の位相角、および電力潮流などのネットワーク140の電気的特性を測定するように構成されたセンサを含む。配電網140は、複数のセンサから測定値を受信し、複数の制御可能デバイスからデバイスステータスを受信し、受信したデータを状態推定器150に送信するように構成された、RTUなどのコントローラも含み得る。
【0050】
状態推定器150は、RTU115およびRTU139から測定値およびデバイスステータスデータを受信するように構成されている。特定の実施形態では、状態推定器150は、いくつか例を挙げると、インテリジェント電子デバイス、プログラマブル論理コントローラ、保護リレー、フェーザ測定ユニット、またはマイクログリッドコントローラといった、パワーグリッド100の他のデバイスからデータを受信するように構成されている。
【0051】
状態推定器150は、RTU115および139から受信したデータを使用して、パワーグリッドトポロジとしても知られる、グリッド100の制御可能デバイスによって隔離されていないパワーグリッド100の部分を判定するように構成されている。受信したデータおよびパワーグリッドトポロジを使用して、状態推定器150は、一例を挙げると、複数のノード電圧の大きさおよび位相角といった、パワーグリッド100の複数の状態を推定するように構成されている。
【0052】
パワーグリッド100の状態を推定するために、状態推定器150は、以下で詳細に説明される式および行列の組を使用して、一連の状態推定値を決定する。初期状態推定値を決定した後に、状態推定器は、更新された状態推定値が収束するまで、状態推定値を反復的に更新する。状態推定値の値を更新するために、状態推定器150は、状態推定値の前の値に加算される補正値を計算する。補正値は、ガウス・ニュートン法またはニュートン法のいずれかを使用して計算される利得行列を使用して計算され得る。状態推定器150は、関連する利得行列の数値特性に基づいて、どの方法を使用するかを決定する。以下でより詳細に説明するように、状態推定器150は、ガウス・ニュートン法を使用して補正の第1のセットを計算し、次に、状態推定値が収束するまで、ニュートン法を使用して残りの補正値を計算することができる。以下により詳細に示すように、初期補正セットを計算するためにガウス・ニュートン法を使用し、次に残りの補正セットについてニュートン法を使用すると、いずれかの方法を単独で使用する場合と比較して、収束の可能性が高くなる。
【0053】
状態推定器150が複数の状態を推定すると、状態推定器150は、複数の推定された状態を使用して、RTU115またはRTU139などのデータソースから受信された偽データを識別し、複数の状態を推定するために使用されるデータのセットから偽データを除去し、偽データを使用することなく複数の推定状態を再び推定し、パワーグリッド制御システム160で使用するために、変換された状態推定値を出力するように構成されている。偽データは、数例を挙げると、誤動作しているセンサから受信されたデータ、またはサイバー侵入者から受信されたデータを含み得る。偽データは、単一の偽データ点または複数の偽データ点を含み得る。
【0054】
状態推定器150は、入出力デバイス151と、処理デバイス153と、メモリデバイス155とを含む。状態推定器150は、スタンドアロンデバイス、組み込みシステム、または状態推定器150に関して説明された機能を実行するように構成された複数のデバイスでもよい。たとえば、状態推定器150はリモートサーバでもよい。
【0055】
入出力デバイス151は、状態推定器150が、RTU115および139を含む複数の外部デバイスと通信することを可能にする。たとえば、異なる実施形態における入出力デバイス151は、数例を挙げると、ネットワークアダプタ、ネットワーククレデンシャル、インターフェース、またはポート(たとえば、USBポート、シリアルポート、パラレルポート、アナログポート、デジタルポート、VGA、DVI、HDMI(登録商標)、FireWire、CAT5、イーサネット(登録商標)、ファイバ、または任意の他のタイプのポートもしくはインターフェース)を含み得る。入出力デバイス151は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアで構成される。入出力デバイス151は、これらのアダプタ、クレデンシャル、またはデータを受信するための第1のポートおよびデータを送信するための第2のポートなどのポートのうちの2つ以上を含むと考えられる。
【0056】
処理デバイス153は、プログラマブルタイプ、専用のハードワイヤード状態マシン、またはそれらの組合せでもよい。デバイス153は、いくつか例を挙げると、複数のプロセッサ、算術論理演算装置(ALU)、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含み得る。複数の処理ユニットを有する処理デバイス153の形態については、分散処理、パイプライン処理、または並列処理を適宜使用可能である。処理デバイス153は、本明細書で説明する動作のみを専用に実行するものでもよい、または1つ以上の追加のアプリケーションで利用されてもよい。図示の形態では、処理デバイス153は、メモリデバイス155に記憶されたプログラミング命令(ソフトウェアまたはファームウェアなど)に従ってプロセスを実行し、データを処理するプログラム可能な種類である。代替的または追加的に、プログラミング命令は、ハードワイヤードロジックまたは他のハードウェアによって少なくとも部分的に定義される。処理デバイス153は、入出力デバイス151または他の場所から受信した信号を処理し、所望の出力信号を提供するのに適した任意のタイプの1つ以上の構成要素から構成され得る。そのような構成要素は、デジタル回路、アナログ回路、または両方の組合せを含み得る。
【0057】
メモリデバイス155は、いくつか例を挙げると、固体の種類、電磁の種類、光学の種類、またはこれらの形態の組合せ等の1つ以上のタイプであり得る。さらに、メモリデバイス155は、揮発性、不揮発性、一時的、非一時的、またはこれらのタイプの組合せであってもよく、メモリデバイス155の一部またはすべては、数例を挙げると、ディスク、テープ、メモリスティック、またはカートリッジなどのポータブルな種類でもよい。加えて、メモリデバイス155は、一例を挙げると、プログラミング命令を記憶することに加えて、またはその代わりに、入出力デバイス151に対して送受信される信号を表すデータなど、処理デバイス153によって操作されるデータを記憶することができる。
【0058】
パワーグリッド制御システム160は、収束した状態推定値を受信し、グリッド100を動作させるのに有効な収束した状態推定値を使用して、パワーグリッド制御アプリケーションを実行するように構成されている。パワーグリッド制御アプリケーションは、数例を挙げると、偶発性分析、最適電力潮流、経済的配分、ボルト/バール制御、またはネットワークスイッチングなどのリアルタイム制御アプリケーションを含み得る。また、グリッド100の構成要素の前述の特徴のいずれかまたは全ては、本明細書に開示される他の構成要素に存在し得ることを理解されたい。
【0059】
図2を参照すると、パワーグリッドのための例示的な偽データ軽減プロセス200を示すフローチャートが示されている。プロセス200は、全体的または部分的に、本明細書に開示される例示的な状態推定器のうちの1つにおいて実装されてもよい。たとえば、プロセス200の1つ以上の態様の省略、さらに別の条件および動作の追加、または動作および条件の別個のプロセスへの再編成もしくは分離を含む、プロセス200に対する多くの変形および修正が考えられることを理解されたい。
【0060】
プロセス200は動作201において開始し、状態推定器は、パワーグリッドの電気的または物理的特性に対応するパワーグリッドデータを受信する。パワーグリッドデータは、数例を挙げると、オン/オフ回路遮断器ステータス、ならびに電圧位相角、電圧の大きさ、電力注入、および電力潮流を含む測定値を含み得る。パワーグリッドデータのソースは、複数のセンサおよび複数の回路遮断器を含み得る。
【0061】
プロセス200は動作203に進み、受信されたパワーグリッドデータを使用するパワーグリッドのトポロジ処理が実行される。たとえば、オン/オフ回路遮断器ステータスは、パワーグリッドトポロジを生成するために使用され得る。特定の実施形態では、状態推定器は、パワーグリッドの別の1つまたは複数のコントローラからパワーグリッドトポロジを受信し得る。
【0062】
プロセス200は動作205に進み、予備的な偽データ検出および除去が実行される。たとえば、偽データは、数例を挙げると、範囲または整合性チェックを実行することによって検出され得る。
【0063】
プロセス200は動作207に進み、状態推定器は、第1の状態推定値を決定し、次に、ガウス・ニュートン法に基づいて計算された一連の補正値を使用して、状態推定値が収束するまで状態推定値を反復的に更新することによって、パワーグリッドの複数の状態を推定しようとする。
【0064】
動作207中に状態推定値が収束する場合、プロセス200は動作211に進む。状態推定値が収束しない場合、プロセス200は動作209に進み、ガウス・ニュートン法とニュートン法との組合せを使用して、状態推定が実行される。状態推定値が収束すると、プロセス200は動作209に進む。
【0065】
動作211において、収束した状態推定値を使用して、パワーグリッドデータが偽データを含むかどうかを判定する。パワーグリッドデータが偽データを含むと判定された場合、偽データはパワーグリッドデータから除去され、プロセス200は動作207に戻り、パワーグリッドデータから偽データを差し引いたものを使用して、状態推定が再び実行される。動作207,209および211は、パワーグリッドデータが偽データを含まないと判定されるまで繰り返される。動作211は、状態推定器またはパワーグリッドの別のコントローラによって実行されてもよい。
【0066】
パワーグリッドデータが偽データを含まないと判定されると、プロセス200は動作213に進み、状態推定値が1つ以上のグリッド制御アプリケーションに送信される。パワーグリッド制御アプリケーションは、数例を挙げると、偶発性分析、最適電力潮流、経済的配分、ボルト/バール制御、またはネットワークスイッチングなどのリアルタイム制御アプリケーションを含み得る。
【0067】
図3を参照すると、
図2の動作209において実行される状態推定などの例示的な状態推定プロセス300を示すフローチャートが示されている。プロセス300は、本明細書で開示される例示的な状態推定器のうちの1つにおいて、全体的または部分的に実装され得る。たとえば、プロセス300の1つ以上の態様の省略、さらに別の条件および動作の追加、または動作および条件の別個のプロセスへの再編成もしくは分離を含む、プロセス300に対する多くの変形および修正が考えられることを理解されたい。
【0068】
プロセス300は動作301において開始し、状態推定器は、パワーグリッドデータを使用して初期状態推定値を決定する。状態推定値は、数例を挙げると、一組の式を使用して状態推定値を計算することによって判定され得る、または状態推定値は、一組の式を使用せずにパワーグリッドデータに基づいて判定され得る。状態推定値は、数例を挙げると、ノード電圧の大きさ、ノード電圧の位相角、電流、電力潮流、および変圧器タップを含み得る。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【数10】
プロセス300は次に動作309に進み、状態推定器は、補正値を計算するためにガウス・ニュートン法またはニュートン法のいずれか一方を選択する。ガウス・ニュートン法を用いることによって状態推定値が収束していない、あるいは収束しないだろうと状態推定器が判定する場合、状態推定器は、ニュートン法を選択してもよい。たとえば状態推定器は、ニュートン法のための利得行列が正定値であると判定したことに応じて、ニュートン法を選択してもよい。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
図4を参照すると、例示的な状態推定プロセス300の100の事例を示すグラフ400が示されている。グラフ400は、事例ごとに、解に収束するのに何回の反復が必要か、および反復の各々についてどの方法が使用されるかを示す。グラフ400は複数の列を含み、各列は複数のブロックを含む。各列は1つの完全な状態推定を表し、各ブロックは状態推定の1つの状態推定値を表す。状態推定の各状態推定値は、ガウス・ニュートン法またはニュートン法を使用して更新され得る。反復1として識別された各ブロックは、初期状態推定値である。たとえば、事例1は、ガウス・ニュートン法を使用して第1の反復を更新し、次に、ニュートン法を使用して残りの10個の状態推定値を更新し、その時点で最終状態推定値が収束する。
【0078】
図5を参照すると、従来の方法および
図3の例示的な状態推定プロセス300を使用するさまざまな複雑さの試験システムにおける、粗悪なデータエラーを有するシミュレートされた測定条件の下での状態推定を示す表500が示されている。表500は複数の行を含み、各行は、ある複雑さの試験システムに対応する。列503は、試験システムごとに実施された事例の数を示す。ステップのみを計算するためにガウス・ニュートン法を使用するシミュレートされた状態推定の結果を、列505および507に示す。補正のみを計算するためにニュートン法を使用するシミュレートされた状態推定値の結果を、列509および511に示す。例示的なプロセス300を用いたシミュレートされた状態推定値の結果を、列513および515に示す。
【0079】
図示した結果には、方法ごとの状態推定値が収束した事例の割合と、収束した状態推定値が安定した解を示した事例の割合とが含まれる。任意の2つの隣接するノード間の位相角差が90度未満である場合、収束した状態推定値は安定している。表500によって示されるように、例示的な状態推定プロセス300は、いずれかの従来の方法と比較して、有意に高い割合の事例において収束する。さらに、例示的な状態推定プロセス300は、いずれかの従来の方法と比較して、有意に高い割合の事例において安定した解決法に達した。
【0080】
次に、複数の例示的な実施形態についてさらに説明する。一実施形態は、状態推定器を用いて、複数のローカルコントローラから受信したパワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、状態推定器を用いて、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列を計算することと、状態推定器を用いて、第1の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、状態推定器を用いて、ニュートン法に基づいて第2の利得行列を計算することと、状態推定器を用いて、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、状態推定器を用いて、第2の利得行列を反復的に再計算し、状態推定値が収束するまで、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することとを備える方法である。
【0081】
【0082】
別の例示的な実施形態は、状態推定システムであり、状態推定システムは、パワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータを送信するように構成された複数のローカルコントローラと、状態推定器とを備え、状態推定器は、命令のセットを実行するように構成された処理デバイスを含み、命令は、複数のローカルコントローラから受信したパワーグリッドの特性に対応するパワーグリッドデータに基づいて、状態推定値を決定することと、ガウス・ニュートン法に基づいて第1の利得行列を計算することと、第1の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、ニュートン法に基づいて第2の利得行列を計算することと、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することと、第2の利得行列を反復的に再計算し、状態推定値が収束するまで、第2の利得行列に基づいて状態推定値を更新することとに有効である。
【0083】
【0084】
さまざまな実施形態からのさまざまな態様、特徴、プロセス、および動作は、反対のことが明示的に述べられていない限り、他の実施形態のいずれにおいても使用可能であると考えられる。図示された特定の動作は、非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体上でコンピュータプログラム製品を実行する処理デバイスを含むコンピュータによって実装可能であり、コンピュータプログラム製品は、処理デバイスに動作のうちの1つ以上を実行させる命令、または、他のデバイスに1つ以上の動作を実行するためのコマンドを発行させる命令を含む。
【0085】
本開示は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されているが、これは、例示的であって、性質が限定的ではないと考えられるべきであり、特定の例示的な実施形態のみが図示および説明されており、本開示の精神内に入る全ての変更および修正が保護されるのが望ましいことを理解されたい。上記の説明で用いられる「好ましい(preferable)」、「好ましくは(preferably)」、「好ましい(preferred)」、または「より好ましい(more preferred)」などの単語の使用は、そのように説明される特徴がより望ましい場合があることを示すが、それにもかかわらず、必要でなくてもよく、それを欠く実施形態は、本開示の範囲内であると考えることが可能であり、範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。請求項を読む際に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、または「少なくとも1つの部分(at least one portion)」などの単語が使用される場合、請求項において反対のことが具体的に述べられていない限り、請求項を1つの事項のみに限定する意図はないことが意図されている。「~の(of)」という用語は、別の事項との関連、または別の事項への接続、およびそれが使用される文脈によって通知される他の事項への帰属、または他の事項への接続を意味し得る。「~に結合される(coupled to)」、「~と結合される(coupled with)」などの用語は、間接的な接続および結合を含み、反対のことが明示的に示されていない限り、直接的な結合または接続をさらに含むが、必要とするわけではない。「少なくとも一部(at least a portion)」および/または「一部(a portion)」という用語が使用される場合、事項は、特に反対の記載がない限り、事項の一部および/または全体を含み得る。「~に基づく(based on)」という用語は、機能を実行するために特定された値を使用することを含む。