IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特許-携帯端末 図1
  • 特許-携帯端末 図2
  • 特許-携帯端末 図3
  • 特許-携帯端末 図4
  • 特許-携帯端末 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20240327BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240327BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
H04M1/00 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020158784
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052403
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐武 優
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-165896(JP,A)
【文献】特開2015-226396(JP,A)
【文献】特開2016-082739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H04M 1/00
H04M 1/24-1/82
H04M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末であって、
前記携帯端末が特定装置上に配置されている状況において、前記特定装置との無線を利用した無線動作を実行するための無線部と、
加速度センサと、
ユーザへの報知を実行する報知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記無線部による前記無線動作が開始された後に、前記無線動作の状態が正常状態から異常状態に変化する場合において、前記加速度センサの出力値により示される変動が所定の基準値以下となるときに、前記無線動作の前記異常状態を示す報知を前記報知部に実行させる、携帯端末。
【請求項2】
前記無線部は、ワイヤレス充電における受電である前記無線動作を実行するための受電コイルである、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記出力値は、前記無線動作の状態が前記正常状態から前記異常状態に変化する場合に前記加速度センサから出力された値である、請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記無線動作の状態が前記正常状態から前記異常状態に変化した後に、前記無線動作の状態が前記正常状態に戻る場合、前記報知部による前記報知を停止する、請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記出力値は、前記特定装置上に配置されている前記携帯端末を持ち上げる方向における加速度を示す値である、請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、携帯端末が特定装置上に配置されている状況において、特定装置との無線を利用した動作を実行可能な携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末を非接触充電する給電装置が開示されている。給電装置は、LEDと、制御回路と、を備える。制御回路は、携帯端末が給電装置上に配置されていない場合に、待機中である旨を示すLEDを点灯する。また、制御回路は、携帯端末が給電装置上に配置される場合、携帯端末の非接触充電を開始し、待機中である旨を示すLEDに代えて、携帯端末が給電装置上に配置された旨を示すLEDを点灯する。
【0003】
また、NFCタグと無線通信を実行可能な携帯端末が存在する。携帯端末は、NFCタグとの無線接続を確立すると、NFCタグからNFCタグ内の所定の情報を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-27074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、給電装置を利用した非接触充電(即ち、ワイヤレス充電)では、給電装置に対して携帯端末の位置を調整することが必要である。このため、ユーザの知らない間に、携帯端末の位置が変わると、ワイヤレス充電が失敗する可能性がある。また、NFCタグとの無線通信においても、携帯端末の位置が変わると、無線接続が失敗する可能性がある。
【0006】
本明細書では、ユーザが知らない間に無線動作の状態が正常状態から異常状態に変化したことをユーザに報知するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する携帯端末は、前記携帯端末が特定装置上に配置されている状況において、前記特定装置との無線を利用した無線動作を実行するための無線部と、加速度センサと、ユーザへの報知を実行する報知部と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記無線部による前記無線動作が開始された後に、前記無線動作の状態が正常状態から異常状態に変化する場合において、前記加速度センサの出力値により示される変動が所定の基準値以下となるときに、前記無線動作の前記異常状態を示す報知を前記報知部に実行させる。
【0008】
例えば、加速度センサの出力値により示される変動が比較的に大きい場合には、ユーザが無線動作の停止を目的として、携帯端末を特定装置上から遠ざけた(例えば、持ち上げる)可能性が高いと推測される。一方、加速度センサの出力値により示される変動が比較的に小さい場合は、例えば、携帯端末が特定装置上を少しずれる場合である。この場合の原因は、例えば、ユーザが知らない間にユーザの服等が携帯端末に当たることであると推測される。上記の構成では、携帯端末は、ユーザが知らない間に携帯端末の位置が変わった可能性が高いと推測される場合に、異常状態を示す報知を実行する。ユーザが知らない間に無線動作の状態が正常状態から異常状態に変化したことをユーザに報知することができる。
【0009】
また、前記無線部は、ワイヤレス充電における受電である前記無線動作を実行するための受電コイルであってもよい。
【0010】
上記の構成では、ユーザが知らない間に携帯端末のワイヤレス充電が正常に実行されている正常状態から携帯端末のワイヤレス充電が正常に実行されない異常状態に変化したことをユーザに報知することができる。
【0011】
また、前記出力値は、前記無線動作の状態が前記正常状態から前記異常状態に変化する場合に前記加速度センサから出力された値であってもよい。
【0012】
上記の構成では、無線動作の状態が正常状態から異常状態に変化するタイミングで取得した加速度センサの出力値が利用される。これにより、報知の精度を高めることができる。
【0013】
また、前記制御部は、前記無線動作の状態が前記正常状態から前記異常状態に変化した後に、前記無線動作の状態が前記正常状態に戻る場合、前記報知部による前記報知を停止してもよい。
【0014】
上記の構成では、ユーザは、報知の停止を認識して、無線動作の状態が異常状態から正常状態に戻ったことを知ることができる。
【0015】
また、前記出力値は、前記特定装置上に配置されている前記携帯端末を持ち上げる方向における加速度を示す値であってもよい。
【0016】
一般的に、ユーザが無線動作を停止しようとする場合には、ユーザは、携帯端末を持ち上げる。携帯端末を持ち上げる方向における加速度の変動が所定の基準値以下であるにも関わらず、無線動作の状態が異常状態に変化する場合には、ユーザが携帯端末を持ち上げていないにも関わらず、無線動作の状態が異常状態に変化した可能性が高い。携帯端末を持ち上げる方向における加速度を利用することで、ユーザへの報知の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施例の携帯端末とワイヤレス充電器との外観を示す図である。
図2】第1実施例の携帯端末とワイヤレス充電器との構成を示すブロック図である。
図3】第1実施例の異常判定処理を示すフローチャートである。
図4】ユーザが知らない間に携帯端末のワイヤレス充電が停止した場合の加速度センサの出力値を示すグラフである。
図5】ユーザが実行した意図した動作により携帯端末のワイヤレス充電が停止した場合の加速度センサの出力値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例)
図面を参照して、実施例の携帯端末10を説明する。携帯端末10は、携帯型の端末装置である。携帯端末10は、2次元バーコード等の各種情報コードに記録されたデータを読み取るための情報コード読取装置(いわゆるバーコードハンディターミナル)である。例えば、携帯端末10は、所定エリア内に存在する荷物や商品等に付された情報コードに記録された情報を読み取る。携帯端末10は、所定のエリア内での作業に従事するユーザにより携帯される。変形例では、携帯端末10は、情報コード読取装置に限らず、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットPC、RFID(Radio Frequency Identificationの略)、リーダライタ等であってもよい。
【0019】
図1に示すように、ユーザは、携帯端末10をワイヤレス充電器40上に配置する。これにより、携帯端末10は、ワイヤレス充電によりワイヤレス充電器40から給電されて充電される。なお、図1には、XYZ座標系が示されている。Z軸方向は、携帯端末10がワイヤレス充電器40上に配置された状態において、携帯端末10を持ち上げる方向(即ち、ワイヤレス充電器40の表面に直交する方向)を示す。X軸およびY軸方向は、水平方向を示す。
【0020】
ワイヤレス充電器40は、WPC(Wireless Power Consortiumの略)により策定されたワイヤレス充電の国際標準規格であるQi規格に基づくワイヤレス充電を実行可能な装置である。
【0021】
(携帯端末10の構成;図1図2
携帯端末10は、情報コード取得部12と、表示部14と、操作部16と、メモリ18と、受電コイル20と、バッテリ22と、加速度センサ24と、報知部26と、制御部28と、を備える。
【0022】
情報コード取得部12は、バーコードや二次元コード等の各種情報コードを取得可能な装置である。情報コード取得部12は、例えば、CCD(Charge-Coupled Deviceの略)方式におけるCCDセンサ等を含む。なお、情報コードを取得する方式は、CCD方式に限らず、例えば、レーザ方式、ペン方式であってもよい。
【0023】
表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。例えば、表示部14は、情報コード取得部12により取得された情報コードに記録されている情報を表示することができる。表示部14は、液晶表示器である。変形例では、表示部14は、タッチパネル式のディスプレイであってもよい。
【0024】
操作部16は、複数のキーを備える。ユーザは、複数のキーを操作することにより、様々な指示を携帯端末10に入力することができる。変形例では、表示部14と操作部16は、両者の機能を併せ持つタッチパネルとして構成されていてもよい。
【0025】
メモリ18は、RAM、ROMや不揮発性メモリ等を含む。また、メモリ18は、各種情報(例えば、プログラム)を記憶している。
【0026】
受電コイル20は、Qi規格に準拠したワイヤレス充電における受電を実行可能なコイルである。受電コイル20は、ワイヤレス充電器40からの送電を受けると、起電力が発生して、電流が流れる。そして、当該電流がバッテリ22に流れることにより、バッテリ22が充電される。
【0027】
バッテリ22は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。バッテリ22に充電されている電力により、携帯端末10が動作する。
【0028】
加速度センサ24は、携帯端末10に内蔵されている。加速度センサ24は、例えば、圧電型センサ、静電容量型センサやピエゾ抵抗型センサ等である。加速度センサ24は、携帯端末10のX軸方向とY軸方向とZ軸方向における加速度を検出して出力する。例えば、携帯端末10がワイヤレス充電器40上に配置されている状態で、携帯端末10が持ち上げられると、加速度センサ24は、Z軸方向において、重力加速度を示す出力値と異なる出力値を出力する。
【0029】
報知部26は、ユーザへの報知を実行する装置である。報知部26は、様々な音(例えば、様々な報知音、メッセージ音声等)を出力可能なスピーカである。変形例では、報知部26は、スピーカに限られず、光を発することができるライト、携帯端末10を振動させることができる振動装置等であってもよい。
【0030】
制御部28は、上記の各部12-26と電気的に接続されており、これらの各部12-26を制御することができる。制御部28は、携帯端末10のメモリ18に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。
【0031】
(ワイヤレス充電器40の構成;図1図2
ワイヤレス充電器40は、送電コイル42と、電源部44と、メモリ46と、制御部48と、を備える。
【0032】
送電コイル42は、Qi規格に準拠したワイヤレス充電における送電を実行可能なコイルである。送電コイル42は、数十kHzから数百kHz付近の周波数の電磁波を利用した電磁誘導方式により送電する。電磁誘導方式とは、送電コイル42が発生させる磁場の変化に伴って生じる電磁誘導により、受電コイル20に起電力を発生させて送電する方式である。送電コイル42は、受電コイル(例えば20)が送電コイル42から所定範囲内に配置される場合に、受電コイルに送電可能である。
【0033】
電源部44は、外部電源からワイヤレス充電器40に電力を供給するための装置である。電源部44は、コンセントに差し込み可能なプラグを含む。電源部44がコンセントに差し込まれると、電源部44を介して、ワイヤレス充電器40に電力が供給される。変形例では、電源部44は、ワイヤレス充電器40に内蔵されるバッテリであってもよい。バッテリは、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池であってもよい。
【0034】
制御部48は、上記の各部42-46と電気的に接続されており、これらの各部42-46を制御することができる。制御部48は、ワイヤレス充電器40のメモリ46に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。
【0035】
(異常検知処理;図3
図3を参照して、ワイヤレス充電の異常な停止を検知して、異常な停止をユーザに報知するための異常検知処理について説明する。異常検知処理は、携帯端末10の電源がオンされることをトリガとして実行される。
【0036】
S2では、携帯端末10の制御部28は、ワイヤレス充電が開始されたのか否かを監視する。例えば、制御部28は、受電コイル20からバッテリ22への電流を検知するセンサ(図示省略)が所定値以上の電流を検知すると、ワイヤレス充電が開始されたと判断する。制御部28は、ワイヤレス充電が開始されたと判断する場合(S2でYES)に、S4に進む。なお、変形例では、制御部28は、受電コイル20の受電後に、受電コイル20を介して、送電コイル42からQi規格に準拠した所定の信号を受信する場合に、ワイヤレス充電が開始されたと判断してもよい。
【0037】
S4では、制御部28は、加速度センサ24から出力値を取得することを開始する。制御部28は、加速度センサ24から出力値を取得すると、当該出力値をメモリ18に記憶する。即ち、加速度センサ24の出力値の履歴が記憶される。
【0038】
S6では、制御部28は、ワイヤレス充電が停止したか否かを監視する。具体的には、制御部28は、センサ(図示省略)が受電コイル20からバッテリ22に所定値以上の電流が継続して流れていることを検知する場合に、ワイヤレス充電が停止していないと判断する。一方、制御部28は、センサが受電コイル20からバッテリ22に流れる電流が所定値未満となることを検知する場合に、ワイヤレス充電が停止したと判断する。制御部28は、ワイヤレス充電が停止したと判断する場合(S6でYES)に、S8に進む。なお、変形例では、制御部28は、ワイヤレス充電の実行中に、受電コイル20を介して、送電コイル42からQi規格に準拠した特定の信号を定期的に受信しており、当該特定の信号の定期的な受信が停止する場合に、ワイヤレス充電が停止したと判断してもよい。
【0039】
ここで、ワイヤレス充電が停止する状況として、例えば、ユーザが携帯端末10を持ち上げる状況が想定される。この場合、受電コイル20が送電コイル42から所定範囲外に移動するために、受電コイル20が送電コイル42からの送電を受けることができず、ワイヤレス充電が停止する。また、他の状況として、例えば、ユーザが知らない間に、ユーザの服等が携帯端末10に当たり、携帯端末10がワイヤレス充電器40上を少しずれて携帯端末10の位置が変わる状況が想定される。この場合も、受電コイル20が送電コイル42から所定範囲外に移動するために、ワイヤレス充電が停止する。さらに、他の状況として、例えば、ユーザが知らない間に、ワイヤレス充電器40の電源部44がコンセントから外れる状況も想定される。この場合は、送電コイル42への給電が停止して、ワイヤレス充電が停止する。
【0040】
S8では、制御部28は、メモリ18に記憶されている出力値の履歴のうち、Z軸方向における最新の出力値を利用して、加速度センサ24の出力値により示される変動(例えば、出力値の絶対値)が所定の基準値以下であるか否かを監視する。所定の基準値は、予めメモリ18に記憶されている。基準値は、例えば、3m/sである。また、最新の出力値は、S6でYESと判断されたタイミングにおける1つの出力値を含む2つ以上の出力値(例えば、当該タイミングの前後における2つ以上の出力値)である。なお、変形例では、当該タイミングにおける1つの出力値のみでもよい。制御部28は、Z軸方向における出力値により示される変動が基準値以下であると判断する場合(S8でYES)に、S10に進む。一方、制御部28は、Z軸方向における出力値により示される変動が基準値未満であると判断する場合(S8でNO)に、S2の監視に戻る。
【0041】
S10では、制御部28は、ワイヤレス充電が停止したことを示す報知音を報知部26に出力させる。
【0042】
S12では、制御部28は、ワイヤレス充電が再開したか否かを監視する。例えば、ユーザにより携帯端末10の位置が調整されて、受電コイル20が送電コイル42から所定範囲内に移動した場合や、ワイヤレス充電器40の電源部44がコンセントに再び差し込まれた場合に、ワイヤレス充電が再開する。制御部28は、ワイヤレス充電が再開したと判断する場合(S12でYES)、S14に進む。一方、制御部28は、ワイヤレス充電が再開していないと判断する場合(S12でNO)、S16に進む。
【0043】
S14では、制御部28は、報知部26による報知を停止する。ユーザは報知の停止を認識して、ワイヤレス充電の再開を知ることができる。制御部28は、S14の後に、S6の監視に戻る。
【0044】
S16では、制御部28は、S10において報知音を報知部26に出力させてから、所定期間が経過したか否かを監視する。制御部28は、所定期間が経過したと判断する場合(S16でYES)、S2の監視に戻る。一方、制御部28は、所定期間が経過していないと判断する場合(S16でNO)、S12の監視に戻る。
【0045】
(効果)
携帯端末10は、ワイヤレス充電が停止した場合(S6でYES)において、Z軸方向における加速度を示す出力値の変動が基準値以下であると判断するとき(S8でYES)に、ワイヤレス充電が停止したことを示す報知音を出力する(S10)。例えば、加速度センサ24の出力値により示される変動が比較的に大きい場合には、ユーザがワイヤレス充電の停止を目的として、携帯端末10をワイヤレス充電器40上から遠ざけた(例えば、持ち上げた)可能性が高いと推測される。一方、加速度センサ24の出力値により示される変動が比較的に小さい場合は、例えば、携帯端末10がワイヤレス充電器40上を少しずれる場合である。この場合の原因は、例えば、ユーザが知らない間にユーザの服等が携帯端末10に当たることであると推測される。上記の構成では、携帯端末10は、ユーザが知らない間に携帯端末10の位置が変わった可能性が高いと推測される場合に、ワイヤレス充電が停止したことを示す報知を実行する。ユーザが知らない間にワイヤレス充電が停止したことをユーザに報知することができる。
【0046】
例えば、S8において、メモリ18に記憶されている出力値の履歴のうち、Z軸方向における最新の出力値ではない過去の出力値により示される変動が所定の基準値以下であるか否かを判断する比較例が想定される。この比較例では、ワイヤレス充電が実際に停止したタイミングよりも過去のタイミングの出力値が利用されるため、報知の精度が悪化する可能性がある。これに対して、本実施例では、最新の出力値、即ち、ワイヤレス充電が実際に停止したタイミングに近いタイミングの出力値が利用される。比較例と比較して、報知の精度を高めることができる。なお、変形例として、上記の比較例を採用してもよい。
【0047】
また、本実施例では、加速度センサ24により出力されるZ軸方向における出力値が利用される。ユーザが知らない間にワイヤレス充電が停止する状況は、例えば、ユーザの服等が携帯端末10に当たり携帯端末10が少しずれる状況である。図4は、その状況におけるXYZ軸方向における出力値を示すグラフである。図4に示すように、Z軸方向における出力値は、XY軸方向における出力値と比較して変動が小さい。また、ワイヤレス充電器40の電源部44がコンセントから外れる場合も、図4と同様の出力値を示す。また、図5は、ユーザが携帯端末10を持ち上げてワイヤレス充電が停止する状況におけるXYZ軸方向における出力値を示すグラフである。図5に示すように、XY軸方向における出力値の変動が比較的小さく、Z軸方向における出力値は、図4における出力値よりも大きい。図4および図5に示すように、Z軸方向における加速度を示す出力値の変動が所定の基準値以下であるにも関わらず、ワイヤレス充電が停止する場合には、ユーザが携帯端末10を持ち上げていないにも関わらず、ワイヤレス充電が停止した可能性が高い。Z軸方向における加速度を利用することで、ユーザへの報知の精度を高めることができる。
【0048】
(対応関係)
携帯端末10と、ワイヤレス充電器40と、加速度センサ24と、報知部26と、制御部28が、それぞれ、「携帯端末」と、「特定装置」と、「加速度センサ」と、「報知部」と、「制御部」の一例である。受電コイル20が、「無線部」と「受電コイル」の一例である。ワイヤレス充電が、「無線動作」の一例である。ワイヤレス充電が実行されている状態と、ワイヤレス充電が実行されている状態が、それぞれ、「正常状態」と、「異常状態」の一例である。ワイヤレス充電が停止したことを示す報知が、「無線動作の異常状態を示す報知」の一例である。Z軸方向における加速度が、「特定装置上に配置されている携帯端末を持ち上げる方向における加速度」の一例である。
【0049】
以上、実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0050】
(変形例1)
変形例1の携帯端末10は、ワイヤレス充電の充電効率が所定値以下となった場合に報知音を報知部26に出力させる構成であってもよい。具体的には、制御部28は、図3のS6に替えて、ワイヤレス充電の充電効率が低下したのか否かを監視する。例えば、制御部28は、ワイヤレス充電を開始した直後に受電コイル20に流れる電流の基準電流値と、現時点で受電コイル20に流れる電流の現電流値と、の差分が所定値以上である場合に、充電効率が低下したと判断する。制御部28は、充電効率が低下したと判断する場合に、S10において、報知音を報知部26に出力させる。本変形例では、充電効率が低下していない状態と、充電効率が低下した状態が、それぞれ、「正常状態」、「異常状態」の一例である。
【0051】
(変形例2)
変形例2の携帯端末10は、NFC通信を実行可能な通信装置との間に確立される無線接続の状態に関する報知を実行する構成であってもよい。この場合、携帯端末10は、NFCフォーラムデバイスを備えていてもよい。制御部28は、図3のS2に替えて、NFCフォーラムデバイスと通信装置との間に無線接続が確立されたか否かを監視する。制御部28は、無線接続が確立されたと判断する場合に、S4で、加速度センサ24から出力値を取得することを開始する。また、制御部28は、S6に替えて、無線接続が切断されたか否かを監視する。制御部28は、無線接続が切断されたと判断する場合に、S10において、報知音を報知部26に出力させる。なお、他の変形例では、制御部28は、S6に替えて、無線接続の通信強度が低下したのか否かを監視してもよい。例えば、制御部28は、無線接続の通信強度が所定値以下である場合に、無線接続の通信強度が低下したと判断する。制御部28は、無線接続の通信強度が低下したと判断する場合に、S10において、報知音を報知部26に出力させてもよい。変形例2では、無線接続が、「無線動作」の一例である。上記の通信装置と、NFCフォーラムデバイスが、それぞれ、「特定装置」、「無線部」の一例である。変形例2では、無線接続が確立されている状態と、無線接続が切断された状態が、それぞれ、「正常状態」と、「異常状態」の一例である。また、他の変形例では、通信強度が所定値よりも大きい状態と、通信強度が所定値以下である状態が、それぞれ、「正常状態」と、「異常状態」の一例である。
【0052】
(変形例3)
変形例3の携帯端末10は、図3のS12からS16の処理を実行しない構成であってよい。本変形例では、「前記報知を停止する」ことを省略可能である。
【0053】
(変形例4)
「出力値」は、Z軸方向における加速度を示す値に限らず、例えば、X軸またはY軸方向における加速度、XYZ軸方向における加速度を利用して算出された値(例えば、平均値)であってもよい。
【0054】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0055】
10 :携帯端末
12 :情報コード取得部
14 :表示部
16 :操作部
18、46:メモリ
20 :受電コイル
22 :バッテリ
24 :加速度センサ
26 :報知部
28、48:制御部
40 :ワイヤレス充電器
42 :送電コイル
44 :電源部
図1
図2
図3
図4
図5