(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】衝撃吸収体
(51)【国際特許分類】
F16F 7/12 20060101AFI20240327BHJP
B60R 21/045 20060101ALI20240327BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240327BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F16F7/12
B60R21/045 332
F16F15/02 Z
F16F7/00 B
F16F7/00 J
(21)【出願番号】P 2020197186
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】船戸 隆文
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-52802(JP,A)
【文献】特開2013-216170(JP,A)
【文献】特表2001-525039(JP,A)
【文献】特開2009-63013(JP,A)
【文献】特開2008-302791(JP,A)
【文献】特開2015-214067(JP,A)
【文献】国際公開第2020/241666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/12
B60R 21/045
F16F 15/02
F16F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のブロー成形体で構成された衝撃吸収体であって、
前記ブロー成形体は、前面と、前記前面に対向する後面と、前記前面と前記後面を連結する中間面を備え、
前記中間面は、互いに対向する一対の側面と、前記一対の側面を連結する一対の連結面を備え、
前記ブロー成形体は、前記前面、前記後面、及び一対の前記連結面を通る環状のパーティングラインを備え、
前記側面は、横溝リブ及び凸状屈曲部を備え、
前記凸状屈曲部は、前記ブロー成形体の外側に向かって凸状に屈曲する部位であり、
前記凸状屈曲部は、溝内部位と、溝外部位を備え、
前記溝内部位は、前記横溝リブが局所的に浅くなった部位であり、
前記溝外部位は、前記横溝リブの外側において、前記横溝リブに非平行に延びる部位であり、
前記溝外部位の一端が前記溝内部位に隣接する、衝撃吸収体。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収体であって、
前記溝外部位の一端が前記溝内部位に連結されている、衝撃吸収体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の衝撃吸収体であって、
前記溝外部位は、前記横溝リブに非平行に延びる縦溝リブの縁によって構成される、衝撃吸収体。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の衝撃吸収体であって、
前記横溝リブを第1横溝リブとし、前記溝内部位を第1溝内部位とすると、
前記側面は、第2横溝リブを備え、
前記凸状屈曲部は、第2溝内部位を備え、
第2溝内部位は、第2横溝リブが局所的に浅くなった部位であり、
前記溝外部位の一端が第1溝内部位に隣接し、前記溝外部位の他端が第2溝内部位に隣接する、衝撃吸収体。
【請求項5】
請求項4に記載の衝撃吸収体であって、
第1及び第2溝内部位は、前記前面からの距離が互いに異なる、衝撃吸収体。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載の衝撃吸収体であって、
前記凸状屈曲部は、前記連結面の少なくとも一方に到達するように設けられる、衝撃吸収体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収体に関する。衝撃吸収体としては、車両構成部材に内設することにより、衝突時等の当該車両の搭乗員に対する衝撃を吸収するためのニーボルスターやバンパーアブソーバーなどが例示される。ニーボルスターは、車両の前部座席に座る乗員の膝の前方に設置され、車両が正面衝突した際にニーボルスターが塑性変形することによって乗員の膝を保護する機能を有する。バンパーアブソーバーは、対人事故において、歩行者の脚部に対して与える負荷を小さくして、歩行者の損害値を軽減することが可能なバンパー構造に用いられる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブロー成形体で構成された衝撃吸収体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような衝撃吸収体では、衝撃吸収体が塑性変形する際に衝撃を吸収するが、衝撃吸収体の連結面が「>」状に変形せずに蛇腹状に変形すると、
図1の変形量-荷重のグラフでの点線で示すように、変形例の増大に伴って荷重が過度に増大する。このため、特許文献1では、側溝リブ内に設けられた側溝壁に脆弱箇所を設けて破壊を誘発し、「>」状変形が起こりやすくしている。
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、脆弱箇所が設けられた部位では「>」状変形が起こりやすいが、脆弱箇所から離れた位置では「>」状変形が起こりにくく、衝撃の加わり方によっては蛇腹変形になってしまう場合があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、蛇腹変形が抑制可能な衝撃吸収体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、中空のブロー成形体で構成された衝撃吸収体であって、前記ブロー成形体は、前面と、前記前面に対向する後面と、前記前面と前記後面を連結する中間面を備え、前記中間面は、互いに対向する一対の側面と、前記一対の側面を連結する一対の連結面を備え、前記ブロー成形体は、前記前面、前記後面、及び一対の前記連結面を通る環状のパーティングラインを備え、前記側面は、横溝リブ及び凸状屈曲部を備え、前記凸状屈曲部は、前記ブロー成形体の外側に向かって凸状に屈曲する部位であり、前記凸状屈曲部は、溝内部位と、溝外部位を備え、前記溝内部位は、前記横溝リブが局所的に浅くなった部位であり、前記溝外部位は、前記横溝リブの外側において、前記横溝リブに非平行に延びる部位であり、前記溝外部位の一端が前記溝内部位に隣接する、衝撃吸収体が提供される。
【0008】
本発明の衝撃吸収体を構成するブロー成形体は、横溝リブに非平行に延びる溝外部位の一端が溝内部位に隣接するように構成しているので、溝内部位での「>」状変形と溝外部位での「>」状変形が連動して起こりやすい。このため、横溝リブ内にのみ脆弱箇所を設けるような形態に比べて、蛇腹変形が一層抑制される。また、パーティングラインは比較的剛性が高いので、中間面の周方向に環状のパーティングラインが設けられる場合、パーティングラインが「>」状変形を妨げる虞があるが、本発明のブロー成形体では、前面、後面、及び一対の連結面を通るようにパーティングラインが設けられるので、パーティングラインによって「>」状変形が妨げられにくい。このため、本発明の衝撃吸収体は、衝撃が加わったときに、「>」状変形されやすく、蛇腹変形が起こることが抑制される。その結果、変形量-荷重の関係が、
図1の実線で示す理想状態のようになりやすい。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の衝撃吸収体であって、前記溝外部位の一端が前記溝内部位に連結されている、衝撃吸収体である。
好ましくは、前記記載の衝撃吸収体であって、前記溝外部位は、前記横溝リブに非平行に延びる縦溝リブの縁によって構成される、衝撃吸収体である。
好ましくは、前記記載の衝撃吸収体であって、前記横溝リブを第1横溝リブとし、前記溝内部位を第1溝内部位とすると、前記側面は、第2横溝リブを備え、前記凸状屈曲部は、第2溝内部位を備え、第2溝内部位は、第2横溝リブが局所的に浅くなった部位であり、前記溝外部位の一端が第1溝内部位に隣接し、前記溝外部位の他端が第2溝内部位に隣接する、衝撃吸収体である。
好ましくは、前記記載の衝撃吸収体であって、第1及び第2溝内部位は、前記前面からの距離が互いに異なる、衝撃吸収体である。
好ましくは、前記記載の衝撃吸収体であって、前記凸状屈曲部は、前記連結面の少なくとも一方に到達するように設けられる、衝撃吸収体である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】衝撃吸収体1の変形量と荷重の関係を示すグラフである。実線は理想的な状態を示し、点線は、蛇腹変形が起きたときに変形量の増大に伴って荷重が過度に増大する状態を示す。
【
図2】衝撃吸収体1をニーボルスターとして車両に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
1.衝撃吸収体1の取り付け例
まず、
図2を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体1の取り付け例について説明する。
図2は、後述する衝撃吸収体1をニーボルスターとして自動車100に取り付けた状態を示す。
【0013】
図2に示す自動車100は、ドライバー101を含む乗員のための前部座席102を備える乗員車室103を有して構成しており、メータ104がハンドル105の側面に位置している。ハンドル105は、ステアリングコラム(図示せず)と接続しており、そのステアリングコラムを支持するステアリングサポートメンバが車体内壁面に支持されて車幅方向に設けられる。本実施形態の衝撃吸収体1は、ステアリングコラムの両側にステアリングコラムを挟んで運転席側に取り付けられる。但し、ステアリングコラムの両脇のスペースは、他の車両構成部材(メータ104、ナビ装置、空調機器等)の設置スペースとの関係で、縦長となるため、その縦長のスペースにおいてドライバー101の各々の膝106に隣接するように衝撃吸収体1が取り付けられる。これにより、自動車100が衝撃を受けた場合に、ドライバー101の膝106が各々の衝撃吸収体1に接触し、衝撃吸収体1により衝撃を吸収し、膝106に加わる衝撃を低減することにしている。なお、
図2には、運転席側の衝撃吸収体1を示したが、助手席側にも運転席側と同様に、助手席に乗員した乗員者の膝に隣接するように肘受け部材が取り付けられることになる。
【0014】
2.衝撃吸収体1の構成
図3に示す衝撃吸収体1は、荷重の入力によって変形し、衝撃を吸収する。衝撃吸収体1は、中空のブロー成形体2で構成される。ブロー成形体2は、ブロー成形によって形成される中空の構造体であり、
図5に示すように、内部に中空部2aを有する。ブロー成形体2の肉厚は、例えば、0.1~8mmであり、2~6mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
図3~
図7に示すように、ブロー成形体2は、前面3と、後面4と、中間面5を備える。前面3と後面4は、対向する。中間面5は、前面3と後面4の間に配置され、前面3と後面4を連結する。以下、後面4側が車両に取り付けられ、前面3側に荷重が入力されると想定して説明を行う。
【0016】
中間面5は、一対の側面6と一対の連結面7を備える。一対の側面6は、対向する。一対の連結面7は、一対の側面6を連結する。好ましくは、一対の側面6は、右面6rと左面6lで構成され、一対の連結面7は、上面7uと下面7bで構成される。上面7uは、右面6rと左面6lの上端において右面6rと左面6lを連結する。下面7bは、右面6rと左面6lの下端において右面6rと左面6lと連結する。上面7u、右面6r、下面7b、左面6lが周方向にこの順に連結されて環状の中間面5が構成される。
【0017】
ブロー成形体2は、開閉可能な一対の金型を用いて形成されるために、ブロー成形体2には金型のパーティング面に対応した位置に環状のパーティングラインPLが形成される。本実施形態では、パーティングラインPLは、前面3、後面4、及び一対の連結面7を通るように設けられる。パーティングラインPLは剛性が高いので、パーティングラインPLを側面6に設けると、右面6rと左面6lが互いに離れるように「>」状に変形する「>」状変形がパーティングラインPLによって妨げられる虞があるが、本実施形態でゃ、パーティングラインPLは側面6を通らないので、パーティングラインPLによって「>」状変形が妨げられることがない。このため、衝撃が加わったときにブロー成形体2がスムーズに「>」状変形しやすく、右面6rと左面6lがそれぞれ蛇腹状になる蛇腹変形が抑制される。
【0018】
図3~
図4に示すように、ブロー成形体2は、側面6に横溝リブ8及び凸状屈曲部10を備える。横溝リブ8は、側面6からパーティングラインPLに向かって(つまり中空部側へ)凹んでいる。横溝リブ8を設けることによって、ブロー成形体2の耐荷重が高められる。前面3に対する横溝リブ8の長手方向の角度は、例えば45~90度であり、60~90度が好ましい。この角度は、具体的には例えば、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。横溝リブ8は、右面6rと左面6lのそれぞれに1~5本設けられることが好ましく、2~4本設けられることがさらに好ましい。本実施形態では、横溝リブ8は、右面6rと左面6lのそれぞれに3本設けられている。
図5に示すように、横溝リブ8は、横溝リブ8の長手方向に垂直な断面が円弧状であることが好ましい。
【0019】
図5に示すように、横溝リブ8の幅Wr1は、例えば10~50mmであり、20~40mmが好ましく、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。横溝リブ8の深さDr1は、例えば、5~40mmであり、10~30が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、本願明細書では、幅、深さ、角度などは、別段の規定がない限り、平均値を意味する。
【0020】
凸状屈曲部10は、ブロー成形体2の外側に向かって凸状に屈曲する部位である。凸状屈曲部10は、溝内部位11と、溝外部位12を備える。
図6に示すように、溝内部位11は、横溝リブ8が局所的に浅くなった部位である。
図4に示すように、溝外部位12は、横溝リブ8の外側において、横溝リブ8に非平行に延びる部位であり、溝外部位12の一端が溝内部位11に隣接する。溝外部位12の一端を溝内部位11に隣接させると、溝内部位11での「>」状変形と溝外部位12での「>」状変形が連動して起こりやすくなる。
【0021】
特許文献1のように横溝リブ内にのみ脆弱箇所を設けると、脆弱箇所から離れた位置では「>」状変形が起こりにくく、衝撃の加わり方によっては蛇腹変形になってしまう場合があったが、本実施形態のように凸状屈曲部10を設けると、溝内部位11での「>」状変形と溝外部位12での「>」状変形が連動する結果、比較的広い範囲に渡って「>」状変形が誘起されるので、蛇腹変形の発生がより一層抑制される。
【0022】
溝外部位12の一端は、溝内部位11に連結されていることが好ましい。この場合、溝内部位11での「>」状変形と溝外部位12での「>」状変形がより一層連動しやすくなる。一方、溝内部位11での「>」状変形と溝外部位12での「>」状変形が連動可能な範囲であれば、溝外部位12の一端と溝内部位11の間に隙間が空いていてもよい。この隙間をGとすると、隙間Gは、例えば、0.1~15mmであり、具体的には例えば、0.1、1、2、3、4、5、10、15mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。別の表現では、G/Wr1は、例えば、0.01~0.5であり、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
前面3に対する溝外部位12の長手方向の角度は、例えば0~60度であり、0~45度が好ましい。この角度は、具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。溝外部位12の少なくとも一部において上記角度が上記範囲内であればよく、溝外部位12の全体についての上記角度の平均が上記範囲内であることが好ましく、溝外部位12の全体について上記角度が上記範囲内であることが好ましい。
【0024】
また、横溝リブ8の長手方向に対する溝外部位12の長手方向の角度は、例えば45~90度であり、60~90度が好ましい。この角度は、具体的には例えば、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0025】
一例では、溝外部位12は、横溝リブ8に非平行に延びる縦溝リブ13の縁13aで構成される。縦溝リブ13は横溝リブ8に繋がっていることが好ましい。
図7に示すように、縁13aは、ブロー成形体2の外側に向かって凸となっており、縁13aによって、細長い溝外部位12が構成される。溝外部位12は、縦溝リブ13の縁13aで構成する代わりに、段差形状の縁や山形状の稜線で構成してもよい。何れの場合も、細長い溝外部位12が構成される。
【0026】
縦溝リブ13の幅Wr2は、例えば1~50mmであり、5~40mmが好ましく、具体的には例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。縦溝リブ13の深さDr2は、例えば、5~40mmであり、10~30が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
図4に示すように、側面6に複数の横溝リブ8が設けられている場合、溝外部位12の一端及び他端に隣接する横溝リブ8(第1及び第2横溝リブ8a,8b)の両方に溝内部位11(第1及び第2溝内部位11a,11b)が設けられることが好ましい。この場合、溝外部位12の一端が溝内部位11aに隣接し、溝外部位12の他端が溝内部位11bに隣接することが好ましい。このような構成では、より広い範囲において、「>」状変形を連動させることができる。一例では、隣接する横溝リブ8a,8bを縦溝リブ13で連結し、縦溝リブ13の一端を溝内部位11aに隣接させ、縦溝リブ13の他端を溝内部位11bに隣接させることによって、上記構成を実現することができる。
【0028】
溝内部位11a,11bは、前面3からの距離が互いに異なることが好ましい。ブロー成形体2の側面6の全体で同時に「>」状変形が起きると、その直後にブロー成形体2が受けることができる荷重が極端に低下してしまう場合があるが、前面3からの距離が互いに異なるように溝内部位11a,11bを設けると、溝内部位11a,11bで「>」状変形が誘起されるタイミングがずれやすいので、荷重の極端な低下が抑制される。
【0029】
また、
図4に示すように、側面6に3つ以上の横溝リブ8が設けられている場合、隣接する3つの横溝リブ8のそれぞれに溝内部位11(11a~11c)が設けられていることが好ましい。便宜上、中央の横溝リブ8を横溝リブ8aとし、その両側の横溝リブ8をそれぞれ横溝リブ8b,8cとする。各隣接する2つ横溝リブ8の間に溝外部位12(12a,12b)が設けられていることが好ましい。また、連結面7に最近接の横溝リブ8と連結面7の間にも溝外部位12(12c,12d)が設けられていることが好ましい。
【0030】
凸状屈曲部10は、一対の連結面7(上面7uと下面7b)の間の少なくとも一部の領域に設けられていればよいが、凸状屈曲部10が設けられている領域が広いほど、広い範囲において「>」状変形が連動しやすいので、蛇腹変形をより効果的に抑制することができる。このため、凸状屈曲部10は、一対の連結面7の少なくとも一方に到達していることが好ましく、両方に到達することがさらに好ましい。また、到達していない場合、一対の連結面7の間の距離をD1とし、凸状屈曲部10の端と連結面7の間の距離をD2とすると、D2/D1は、例えば1~30%であり、具体的には例えば、1、5、10、15、20、25、30%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 :衝撃吸収体
2 :ブロー成形体
2a :中空部
3 :前面
4 :後面
5 :中間面
6 :側面
6l :左面
6r :右面
7 :連結面
7b :下面
7u :上面
8 :横溝リブ
8a~8c:第1~第3横溝リブ
10 :凸状屈曲部
11 :溝内部位
11a~11c:第1~第3溝内部位
12 :溝外部位
12a~12d:第1~第4溝外部位
13 :縦溝リブ
13a :縁
100 :自動車
101 :ドライバー
102 :前部座席
103 :乗員車室
104 :メータ
105 :ハンドル
106 :膝
PL :パーティングライン