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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ファンユニット、及び、空気処理装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/63 20180101AFI20240327BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240327BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240327BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20240327BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/52
F24F7/007 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021173406
(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公開番号】P2023063107
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 崇浩
(72)【発明者】
【氏名】塩山 一裕
(72)【発明者】
【氏名】野内 義照
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114295(JP,A)
【文献】特開2015-206572(JP,A)
【文献】特開2010-255875(JP,A)
【文献】特開2020-186822(JP,A)
【文献】特開2021-055922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン(33,34)と、
所定の風量(Q1,Q2,Q3)を得るための前記ファン(33,34)の回転数を求め、当該回転数で前記ファン(33,34)を駆動するコントローラ(36)と、を備え、
前記所定の風量が、第1風量(Q1)と、前記第1風量(Q1)とは異なる第2風量(Q2)とを含み、前記第2風量(Q2)が、前記第1風量(Q1)よりも大きい値であり、
前記コントローラ(36)は、前記第1風量(Q1)を得るために予め求めた第1回転数(N1)と、前記第1風量(Q1)及び前記第2風量(Q2)の関係と、に基づいて、前記第2風量(Q2)を得るための第2回転数(N2)を求め、
前記コントローラ(36)は、前記第1回転数(N1)を用いて求めた前記第2回転数(N2)が所定の第1閾値を超える場合、前記第2回転数(N2)を調整するために前記第1閾値から徐々に回転数を増加させながら前記ファン(33,34)を回転させ、前記ファン(33,34)の電力値が所定の第2閾値となったとき、当該第2閾値における前記ファン(33,34)の回転数を、正式な第2回転数(N2)とする調整を行う、ファンユニット。
【請求項2】
ファン(33,34)と、
所定の風量(Q1,Q2,Q3)を得るための前記ファン(33,34)の回転数を求め、当該回転数で前記ファン(33,34)を駆動するコントローラ(36)と、を備え、
前記所定の風量が、第1風量(Q1)と、前記第1風量(Q1)とは異なる第2風量(Q2)とを含み、前記第2風量(Q2)が、前記第1風量(Q1)よりも大きい値であり、
前記コントローラ(36)は、前記第2風量(Q2)を得るために求めた第2回転数(N2)が所定の第1閾値を超える場合、前記第2回転数(N2)を調整するために前記第1閾値から徐々に回転数を増加させながら前記ファン(33,34)を回転させ、前記ファン(33,34)の電力値が所定の第2閾値となったとき、当該第2閾値における前記ファン(33,34)の回転数を、正式な第2回転数(N2)とする調整を行う、ファンユニット。
【請求項3】
前記コントローラ(36)は、前記第1回転数(N1)に、前記第1風量(Q1)と前記第2風量(Q2)との関係に基づく係数(d、e)を掛けることによって、前記第2回転数(N2)を求める、請求項1に記載のファンユニット。
【請求項4】
前記コントローラ(36)は、前記第1風量(Q1)について予め取得した、前記ファン(33,34)の回転数と電力値とが関連付けられたデータに基づき、前記第1回転数(N1)を求める、請求項1又は3に記載のファンユニット。
【請求項5】
前記コントローラ(36)は、前記ファン(33,34)を回転させ、前記ファン(33,34)の電力値を算出し、前記ファン(33,34)の回転数及び算出した電力値と、前記データとに基づいて、前記第1回転数(N1)を求める、請求項4に記載のファンユニット。
【請求項6】
前記コントローラ(36)は、前記ファン(33,34)の電力値が前記第2閾値に達する前に、前記ファン(33,34)の回転数が、前記第1回転数(N1)を用いて求められた前記第2回転数(N2)に達したとき、当該回転数を、正式な第2回転数(N2)とする調整を行う、請求項1及び3~5のいずれか1項に記載のファンユニット。
【請求項7】
前記コントローラ(36)は、前記ファン(33,34)の電力値が前記第2閾値に達する前に、前記ファン(33,34)の回転数が、前記第2風量(Q2)を得るために求めた前記第2回転数(N2)に達したとき、当該回転数を、正式な第2回転数(N2)とする調整を行う、請求項2に記載のファンユニット。
【請求項8】
報知部(25a)をさらに備え、
前記コントローラ(36)は、求められた前記第1回転数(N1)と前記データとに基づいて前記第1風量(Q1)を得るための目標電力値(Wt)を求め、前記第1回転数(N1)で前記ファン(33,34)を駆動したときに算出した電力値(Wa)と、前記目標電力値(Wt)とに基づいて前記第1風量(Q1)への到達度を求め、前記到達度が所定の判定値(T1,T2)以下の場合に風量不足の情報を前記報知部(25a)に報知させる、請求項4に記載のファンユニット。
【請求項9】
前記コントローラ(36)は、前記到達度の大きさに応じて報知の内容を変化させる、請求項8に記載のファンユニット。
【請求項10】
前記所定の風量が、前記第1風量(Q1)及び前記第2風量(Q2)とは異なる第3風量(Q3)を含み、
前記コントローラ(36)は、前記第1回転数(N1)と、前記第1風量(Q1)及び前記第3風量の関係と、に基づいて、前記第3風量(Q3)を得るための第3回転数(N3)を求める、請求項13~6、8、及び9のいずれか1項に記載のファンユニット。
【請求項11】
前記コントローラ(36)は、前記ファンユニットの運用中、所定時間ごとに前記第1回転数(N1)及び前記第2回転数(N2)を求める処理を行う、請求項13~6、及び8~10のいずれか1項に記載のファンユニット。
【請求項12】
前記第2風量(Q2)として任意の風量の入力を受け付ける入力部(25b)を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のファンユニット。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載されたファンユニットと、
全熱交換器(32)と、を備え、
前記ファンユニットのファン(33,34)が、排気ファン(33)と給気ファン(34)とを含み、
前記給気ファン(34)が、室外から前記全熱交換器(32)を通って室内に吹き出される空気流を生成し、
前記排気ファン(33)が、室内から前記全熱交換器(32)を通って室外に排出される空気流を生成する、空気処理装置。
【請求項14】
前記ファンユニットのコントローラ(36)は、前記排気ファン(33)及び前記給気ファン(34)で生成された空気流が前記全熱交換器(32)を通過する第1運転モードと、前記排気ファン(33)及び前記給気ファン(34)の少なくとも一方で生成された空気流が前記全熱交換器(32)を通過しない第2運転モードとを実行可能であり、
前記コントローラ(36)は、一方の運転モードにおける前記排気ファン(33)及び前記給気ファン(34)の風量を得るために予め求めた回転数と、前記一方の運転モードにおける風量及び他方の運転モードにおける風量の関係と、に基づいて、前記他方の運転モードにおける前記排気ファン(33)及び前記給気ファン(34)の風量を得るための回転数を求める、請求項13に記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファンユニット、及び、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンを用いて空気流を生成し、室内や室外に空気を吹き出す換気装置や空気調和機等の空気処理装置が知られている。この種の空気処理装置は、複数の風量レベル(タップ)でファンのモータを制御することによって、各タップに応じた風量一定制御が行われる。また、この種の空気処理装置は、接続されるダクトの長さ、径、曲数等によって機外の抵抗が変動するので、空気処理装置の据付後、所定の風量を得るためのファンの回転数をタップ毎に決定し、決定した回転数でファンを制御することで風量一定制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-114295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、タップ毎に必要な風量を出すためのファンの回転数を決定するには、予め、風量と機外の抵抗とに応じたファンの回転数と運転電力との関係式を求めておき、空気処理装置の据付後、試運転の段階で、前記関係式を用いることによってファンの運転電力が目標値となるようにファンの回転数を変化させ、所定の風量を得ることができるファンの回転数を求める作業が行われていた。しかしながら、前記関係式を求めるには、多くの運転データの取得や係数の設定が必要であるため、複数のタップ毎に前記関係式を求めることは非常に煩雑となる。そのため、タップの数を増してきめ細かい風量の制御を行うことが困難となっていた。
【0005】
本開示は、複数のタップについて風量に応じたファンの回転数を容易に決定することができるファンユニット及び空気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示のファンユニットは、
ファンと、
所定の風量を得るための前記ファンの回転数を求め、当該回転数で前記ファンを駆動するコントローラと、を備え、
前記所定の風量が、第1風量と、前記第1風量とは異なる第2風量とを含み、
前記コントローラは、前記第1風量を得るために予め求めた第1回転数と、前記第1風量及び前記第2風量の関係と、に基づいて、前記第2風量を得るための第2回転数を求める。
【0007】
上記構成の空気処理装置によれば、第2風量を得るための第2回転数は、第1風量を得るための第1回転数を用いて求めることができるので、第2回転数を求めるために多くの運転データの取得や係数の設定等が不要となり、第2回転数を容易に決定することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記コントローラは、前記第1回転数に、前記第1風量と前記第2風量との関係に基づく係数を掛けることによって、前記第2回転数を求める。
この構成によれば、第2回転数を簡単に求めることができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記コントローラは、前記第1風量について予め取得した、前記ファンの回転数と電力値とが関連付けられたデータに基づき、前記第1回転数を求める。
【0010】
(4)好ましくは、前記コントローラは、前記ファンを回転させ、前記ファンの電力値を算出し、前記ファンの回転数及び算出した電力値と、前記データとに基づいて、前記第1回転数を求める。
このような構成によって、第1風量を得るためのファンの第1回転数を、ファンを回転させたときの回転数及び電力値を用いて求めることができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記第2風量が、前記第1風量よりも大きい値であり、
前記コントローラは、前記第1回転数を用いて求められた前記第2回転数が所定の第1閾値を超える場合、前記第2回転数を調整するために、前記第1閾値から徐々に回転数を増加させながら前記ファンを回転させる。
この構成によれば、第1回転数を用いて求められた第2回転数でそのままファンを運転することによって負荷の限度を超えてしまうのを抑制することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記コントローラは、前記ファンの回転数を前記第1閾値から徐々に増加させる場合に、前記ファンの電力値が所定の第2閾値となったとき、当該第2閾値における前記ファンの回転数を、正式な第2回転数とする調整を行う。
上記構成によれば、例えば、ファンの電力値が最大許容電力となる手前の第2閾値を予め設定しておくことで、最大許容電力に達しない状態でファンによる風量を可及的に第2風量に近づけることができる。
【0013】
(7)好ましくは、前記コントローラは、前記ファンの電力値が前記第2閾値に達する前に、前記ファンの回転数が、前記第1回転数を用いて求められた前記第2回転数に達したとき、当該回転数を、正式な第2回転数とする調整を行う。
この構成によれば、ファンの電力値が第2閾値に達する前に、ファンの回転数が第1回転数から算出した第2回転数に達した場合は、その回転数を第2回転数として適用することで、適切な第2風量を得ることができる。
【0014】
(8)好ましくは、ファンユニットが、報知部をさらに備え、
前記コントローラは、求められた第1回転数と前記データとに基づいて前記第1風量を得るための目標電力値を求め、前記第1回転数で前記ファンを駆動したときに算出した電力値と、前記目標電力値とに基づいて第1風量への到達度を求め、前記到達度が所定の判定値以下の場合に風量不足の情報を前記報知部に報知させる。
この構成によれば、求められた第1回転数でファンを駆動しても第1風量に達しない場合には、風量不足であることをユーザやサービスマン等に知らせることができる。
【0015】
(9)好ましくは、前記コントローラは、前記到達度の大きさに応じて報知の内容を変化させる。
このような構成によって、風量不足の程度をユーザやサービスマン等に知らせることができる。
【0016】
(10)好ましくは、前記所定の風量が、前記第1風量及び前記第2風量とは異なる第3風量を含み、
前記コントローラは、前記第1回転数と、前記第1風量及び前記第3風量の関係と、に基づいて、前記第3風量を得るための第3回転数を求める。
このような構成によって、第1風量以外の他の複数の風量を得るための回転数をそれぞれ簡単に求めることができる。
【0017】
(11)好ましくは、前記コントローラは、前記ファンユニットの運用中、所定時間ごとに前記第1回転数及び前記第2回転数を求める処理を行う。
ファンユニットを運用していると、例えばフィルターの目詰まりによって圧力損失が変化し、次第に所定の風量を得ることが困難となる場合がある。したがって、空気処理装置の運用中、所定時間ごと(例えば、500時間ごと)に第1回転数及び第2回転数を求める処理を行うことで、最適な風量を維持することができる。
【0018】
(12)好ましくは、前記ファンユニットは、前記第2風量として任意の風量の入力を受け付ける入力部を有する。
このような構成によって、ユーザの要望等に応じた第2風量でファンユニットを運転することができる。
【0019】
(13)本開示の空気処理装置は、
上記(1)~(12)のいずれかに記載のファンユニットと、
全熱交換器と、を備え、
前記ファンユニットのファンが、排気ファンと給気ファンとを含み、
前記給気ファンが、室外から前記全熱交換器を通って室内に吹き出される空気流を生成し、
前記排気ファンが、室内から前記全熱交換器を通って室外に排出される空気流を生成する。
このように空気処理装置が排気ファンと給気ファンとを備えている場合、それぞれのファンについて所定の風量を得るための回転数を求める必要があるため、第2回転数を簡単に決定することができる本開示の手法を採用することがより有効となる。
【0020】
(14)好ましくは、前記ファンユニットのコントローラは、前記排気ファン及び前記給気ファンで生成された空気流が前記全熱交換器を通過する第1運転モードと、前記排気ファン及び前記給気ファンの少なくとも一方で生成された空気流が前記全熱交換器を通過しない第2運転モードとを実行可能であり、
前記コントローラは、一方の運転モードにおける前記排気ファン及び前記給気ファンの風量を得るために予め求めた回転数と、前記一方の運転モードにおける風量及び他方の運転モードにおける風量の関係と、に基づいて、前記他方の運転モードにおける前記排気ファン及び前記給気ファンの風量を得るための回転数を求める。
上記構成によれば、第1運転モードと第2運転モードとでは、空気処理装置内の空気の通路が変化し、圧力損失も変化する。そのため、一方の運転モードにおけるファンの回転数を用いて、他方の運転モードにおけるファンの回転数を求めることで、複数の運転モードについて風量を得るためのファンの回転数を簡単に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の第1の実施形態に係る空気処理装置の概略的な構成図である。
図2】空気処理装置の内部を上方から見た概略的な平面説明図である。
図3図2のA-A線における概略的な断面説明図である。
図4図2のB-B線における概略的な断面説明図である。
図5】第2運転モードを行う空気処理装置を上方から見た概略的な平面説明図である。
図6】コントローラのブロック図である。
図7】ファンの風量と機外静圧との関係を示すグラフである。
図8】第1タップのファンの回転数を決定する手順を説明するグラフである。
図9】第1タップのファンの回転数を決定する手順を示すフローチャートである。
図10】風量不足確認処理の手順を示すフローチャートである。
図11】第2タップのファンの回転数を決定する手順を示すフローチャートである。
図12】調整処理の手順を示すフローチャートである。
図13】調整処理の手順を説明するグラフである。
図14】調整処理の手順を説明するグラフである。
図15】本開示の第2の実施形態におけるファンの風量と機外静圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る空気処理装置の概略的な構成図である。
本実施形態の空気処理装置は、換気装置12である。この換気装置12は、部屋Rの天井裏のスペースS3に設置されている。ただし、換気装置12は、部屋Rの壁、床の上、天井の下等に設置されていてもよい。空気処理装置は、換気装置12以外に、ファンによって空気流を生成し空気を処理(温度調整・湿度調整等)する空気調和機又は外気処理機等であってもよい。
【0023】
図2は、空気処理装置の内部を上方から見た概略的な平面説明図である。図3は、図2のA-A線における概略的な断面説明図である。図4は、図2のB-B線における概略的な断面説明図である。
換気装置12は、室内空間S1の換気を行う。換気装置12は、ダクト45a~45dを介して室外空間S2及び室内空間S1と接続されている。
【0024】
換気装置12は、略直方体の箱形状を有するケーシング31を有する。ケーシング31内には、全熱交換器32と、排気ファン33と、給気ファン34と、開閉機構35とが収容されている。ケーシング31の側面には、コントローラ36を収容した電装品箱37が設けられている。ケーシング31には、還気取入口41、排気吹出口42、外気取入口43、及び、給気吹出口44が形成されている。
【0025】
還気取入口41は、室内空間S1からの空気(還気)RAをケーシング31内に取り入れるために用いられる。排気吹出口42は、ケーシング31内に取り入れられた還気RAを、排気EAとして室外空間S2に排出するために用いられる。外気取入口43は、室外空間S2からの空気(外気)OAをケーシング31内に取り入れるために用いられる。給気吹出口44は、ケーシング31内に取り入れられた外気OAを、給気SAとして室内空間S1に供給するために用いられる。
【0026】
図1に示すように、外気取入口43と排気吹出口42とは、それぞれダクト45a,45bを介して室外空間S2に繋がっている。還気取入口41と給気吹出口44とは、ダクト45c,45dを介して室内空間S1に繋がっている。
【0027】
図2及び図3に示すように、ケーシング31の内部において、還気取入口41から取り入れられた還気RAは全熱交換器32を通過し、排気EAとして排気吹出口42から室外空間S2へ排気される。以下、この空気の流れを「第1の空気流F1」ともいう。図2及び図4に示すように、外気取入口43から取り入れられた外気OAは全熱交換器32を通過し、給気SAとして給気吹出口44から室内空間S1へ供給される。以下、この空気の流れを「第2の空気流F2」ともいう。
【0028】
全熱交換器32は、第1の空気流F1と、第2の空気流F2とがほぼ直交するように通過する公知の直交型の全熱交換器である。第1の空気流F1における空気と第2の空気流F2における空気とは、全熱交換器32を通過する過程で顕熱及び潜熱が交換(全熱交換)される。
【0029】
図2図4に示すように、ケーシング31の内部は、全熱交換器32によって室内空間S1側と室外空間S2側との2つの領域に区画されている。図2及び図3に示すように、ケーシング31内には、全熱交換器32よりも第1の空気流F1の上流側に上流側排気風路46aが形成され、全熱交換器32よりも第1の空気流F1の下流側に下流側排気風路46bが形成されている。上流側排気風路46aと下流側排気風路46bとによって、室内空間S1(図1参照)と室外空間S2(図1参照)とを全熱交換器32を経由して連通させる第1排気風路46が構成される。
【0030】
図2及び図4に示すように、ケーシング31内には、全熱交換器32よりも第2の空気流F2の上流側に上流側給気風路47aが形成され、全熱交換器32よりも第2の空気流F2の下流側に下流側給気風路47bが形成されている。上流側給気風路47aと下流側給気風路47bとによって、室内空間S1と室外空間S2とを全熱交換器32を経由して連通させる給気風路47が構成されている。
【0031】
図3及び図4に示すように、上流側排気風路46aと下流側給気風路47bとの間には、区画壁51が設けられている。下流側排気風路46bと上流側給気風路47aとの間には、区画壁52が設けられている。
【0032】
図2及び図3に示すように、下流側排気風路46bにおいて、排気吹出口42の近傍には排気ファン33が配置されている。この排気ファン33が駆動されることによって第1の空気流F1が生成され、室内空間S1からの還気RAが第1排気風路46を通り排気EAとして室外空間S2に排出される。排気ファン33は、モータを有する。本実施形態のモータは、例えば直流モータである。
【0033】
図2及び図4に示すように、下流側給気風路47bにおいて、給気吹出口44の近傍には給気ファン34が配置されている。この給気ファン34が駆動されることによって第2の空気流F2が生成され、室外空間S2の外気OAが給気風路47を通り、給気SAとして室内空間S1に供給される。給気ファン34は、モータを有する。本実施形態のモータは直流モータである。以下の説明において、「排気ファン33及び給気ファン34の回転数」とは、実質的にモータの回転数を意味し、「排気ファン33及び給気ファン34に印加する電圧」とは、実質的にモータに印加する電圧を意味する。
【0034】
図5は、第2運転モードを行う空気処理装置を上方から見た概略的な平面説明図である。
図2及び図5に示すように、本実施形態のケーシング31内には、第2排気風路49と、開閉機構35とが設けられている。第2排気風路49は、還気取入口41と排気吹出口42との間に形成され、両者を連通している。第2排気風路49と、上流側排気風路46a及び全熱交換器32とは、隔壁54によって区画されている。第2排気風路49は、室内空間S1と室外空間S2とを全熱交換器32を経由せずに連通している。第2排気風路49の下流側は、下流側排気風路46bと合流している。
【0035】
開閉機構35は、第1排気風路46と第2排気風路49とを切り替えて開閉する排気用ダンパ(排気用開閉機構)56を有している。排気用ダンパ56は、例えば、隔壁54に揺動自在に取り付けられている。排気用ダンパ56は、図示していないモータによって駆動される。排気用ダンパ56は、第1態様(図2参照)と、第2態様(図5参照)とに切り替えられる。第1態様は、第1排気風路46を開いて還気取入口41と連通させ、第2排気風路49を還気取入口41に対して閉じる態様である。第2態様は、第2排気風路49を開いて還気取入口41と連通させ、第1排気風路46を還気取入口41に対して閉じる態様である。
【0036】
本実施形態の換気装置12は、全熱交換換気モード(第1運転モード)と、普通換気モード(第2運転モード)とを実行可能である。全熱交換換気モードでは、図2に示すように排気用ダンパ56が第1態様に切り替えられ、外気取入口43から給気風路47を通る第2の空気流F2と、還気取入口41から第1排気風路46を通る第1の空気流F1とが、ともに全熱交換器32を通過し、両者の空気流の間で顕熱及び潜熱の交換が行われる。そのため、室内空間S1における温度及び湿度の変化を抑制することができる。
【0037】
これに対して、普通換気モードでは、図5に示すように排気用ダンパ56が第2態様に切り替えられ、還気取入口41から第2排気風路49を通る空気流(第3の空気流)F3と、外気取入口43から給気風路47を通る第2の空気流F2との間で顕熱及び潜熱の交換が行われない。そのため、夏の早朝等の室温より外気温が低いときに、室内空間S1の熱い空気を室外に排出し、涼しい外気を室内空間S1に取り入れることができる。
【0038】
図1に示すように、換気装置12は、リモートコントローラ25と、コントローラ36とを備えている。リモートコントローラ25は、換気装置12の運転開始/運転停止の操作や、送風の強弱等の操作を行うために用いられる。リモートコントローラ25は、コントローラ36に有線又は無線で通信可能に接続されている。ユーザは、リモートコントローラ25を使用することによって、遠隔で換気装置12を操作することができる。リモートコントローラ25には、運転の設定等を入力するための入力ボタン等の入力部25bと、運転の設定内容やエラーの発生状況等の表示(報知)を行う表示部25a(図6参照)とが設けられている。
【0039】
図6は、コントローラのブロック図である。
コントローラ36は、CPU等のプロセッサ38a、RAM、ROM等のメモリ38bを備えたマイクロコンピュータ等からなる制御部38を有する。制御部38は、メモリ38bにインストールされたプログラムをプロセッサ38aが実行することによって、所定の機能を発揮する。特に、コントローラ36は、排気ファン33、給気ファン34、及び開閉機構35の動作を制御することによって、前述した全熱交換換気モードと、普通換気モードとを切り替えて実行する。メモリ38bには、制御に必要な各種データが記憶されている。メモリ38bには、後述するように排気ファン33及び給気ファン34の回転数を決定するために用いられる各種データが記憶されている。なお、制御部38は、FPGAやASIC等の集積回路を備えたものであってもよい。
【0040】
コントローラ36は、排気ファン33及び給気ファン34(以下、単に「ファン33,34」ともいう)を駆動する駆動回路39を有している。駆動回路39は、電源40の交流電圧を直流電圧に変換してファン33,34に印加する。駆動回路39がファン33,34に印加する電圧は、制御部38によって制御される。
【0041】
駆動回路39には、ファン33,34を流れる電流値を検出する電流計等の電流検出器61が接続される。ファン33,34には、回転数を検出する回転数検出器62が設けられる。制御部38は、電流検出器61で検出された電流値と、回転数検出器62で検出された回転数とを取得する。制御部38は、目標の風量に対応するファン33,34の目標回転数と、回転数検出器62で検出された実際のファン33,34の回転数とを比較し、両者が一致するように駆動回路39からファン33,34に印加される電圧を制御する。制御部38は、ファン33,34を流れる電流値とファン33,34に印加する電圧とからファン33,34に供給される電力を求めることができる。したがって、制御部38及び電流検出器61は、駆動されているファン33,34の電力値を検出する検出部を構成する。以下、この検出部によって検出された実際のファン33,34の電力値のことを「運転電力」ともいう。回転数検出器62で検出された実際のファン33,34の回転数を「運転回転数」ともいう。
【0042】
本実施形態のコントローラ36は、ファン33,34の風量一定制御を行う。具体的に、コントローラ36は、一定の風量の空気流を生成するために、給気ファン34及び排気ファン33を所定の回転数で駆動する。なお、本実施形態のファン33,34及びコントローラ36は、本開示のファンユニットを構成する。
【0043】
換気装置12は、据付環境等に依存するダクトの長さ、径、及び形状(曲数)によって圧力損失(送風抵抗)が変化する。そのため、換気装置12において所定の風量で風量一定制御を行うには、換気装置12を部屋に据え付けた後、通常運転を行う前に、所定の風量を得るためのファン33,34の回転数を求め、通常運転の際に、求めた回転数でファン33,34を運転する必要がある。そのため、本実施形態のコントローラ36は、例えば、換気装置12を据え付けた後の試運転において、所定の風量を得ることができる各ファン33,34の回転数を決定する機能を有している。
【0044】
[ファンの回転数の決定方法]
図7は、ファンの風量と機外静圧との関係を示すグラフである。
以下、所定の風量で風量一定制御を行うことができるファン33,34の回転数を決定する方法について説明する。以下の説明では、「第1風量Q1」と「第2風量Q2」との2つの風量について、それぞれ風量一定制御を行うためのファン33,34の回転数(第1、第2回転数)N1,N2を求めることとする。図7には、第1、第2風量Q1,Q2を示す風量線、ダクト45a~45d等による圧力損失を示す抵抗曲線Lr、ファン33,34の第1、第2回転数N1,N2における風量-機外静圧の特性曲線、及び、ファン33,34の運転が許容される最大の電力(最大許容電力)における風量-機外静圧の特性曲線Lpが示されている。
【0045】
本実施形態では、第1風量Q1を得るためのファン33,34の制御を「第1タップ」といい、第2風量Q2を得るためのファン33,34の制御を「第2タップ」という。したがって、コントローラ36が第1タップでファン33,34を制御することによって当該ファン33,34が第1回転数N1で駆動され、第1風量Q1の空気流が生成される。コントローラ36が、第2タップでファン33,34を制御することによって当該ファン33,34が第2回転数N2で駆動され、第2風量Q2の空気流が生成される。なお、一般に、所定の風量を得るためのファン33,34の制御は、風量が小さい順にLタップ、Mタップ、Hタップ等と呼ばれる。本実施形態の第1タップと第2タップとは、例えば、MタップとHタップに相当するものである。
【0046】
本実施形態では、第1タップの制御によるファン33,34の回転数N1の決定と、第2タップの制御によるファン33,34の回転数N2の決定とが異なる方法で行われる。以下、それぞれの方法について説明する。なお、以下の説明による回転数の決定は、排気ファン33と給気ファン34とのそれぞれについて行われる。排気ファン33と給気ファン34との回転数の決定は、同時に行ってもよいし異なるタイミングで行ってもよい。
【0047】
(第1タップのファン33,34の回転数N1の決定手順)
図8は、第1タップのファン33,34の回転数を決定する手順を説明する概略的なグラフである。図9は、第1タップのファン33,34の回転数を決定する手順を示すフローチャートである。
第1タップのファン33,34の回転数N1を決定するにあたり、コントローラ36は、第1タップの初期回転数でファン33,34を駆動する(ステップS1)。この初期回転数は、予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。コントローラ36の制御部38は、駆動回路39を制御し、駆動回路39は、ファン33,34の回転数が初期回転数となるように、ファン33,34に電圧を印加する。
【0048】
次いで、コントローラ36は、回転数検出器62で検出された現在のファン33,34の運転回転数で、第1風量Q1を得ることができるファン33,34の目標電力を算出する(ステップS2)。例えば、目標電力Wtは、次の関係式(1)を用いて算出することができる。
Wt=a×Na+b×Na+c … (1)
【0049】
ただし、Naは回転数検出器62で検出されたファン33,34の運転回転数、a~cは所定の係数である。ファン33,34の運転回転数Naには、ファン33,34の動作が安定した後の回転数、例えば所定時間(10秒等)における回転数の平均値が採用される。上記の式(1)やこれに用いられる所定の係数a~cは、ファン33,34の試験運転によって取得された回転数や電力値等の運転データから導き出されたものであり、ファン33,34の回転数と電力値とが関連付けられたデータの1つである。これらのデータは、コントローラ36のメモリ38bに記憶されている。
【0050】
次いで、コントローラ36は、現在のファン33,34の運転電力を取得する(ステップS3)。現在の運転電力は、例えば、駆動回路39がファン33,34に印加している電圧と、電流検出器61で検出された電流値とを用いて算出される。ファン33,34の現在の運転電力は、ファン33,34の動作が安定した後の運転電力であり、例えば所定時間(10秒等)における運転電力の平均値が採用される。
【0051】
次いで、コントローラ36は、現在のファン33,34の運転電力が、目標電力Wtを含む所定の範囲内にあるか否かを判断する(ステップS4)。例えば、コントローラ36は、算出された目標電力Wtに所定の係数を掛けることによって目標電力Wtの上限値Wtmaxと下限値Wtminとを求め、次式(2)のように、現在のファン33,34の運転電力Waが上限値Wtmaxと下限値Wtminとの間にあるか否かを判断する。
Wtmin≦Wa≦Wtmax … (2)
目標電力Wtの上限値Wtmaxと下限値Wtminは、第1風量Q1を得るために許容される電力値の範囲であり、任意に設定することができる。目標電力Wtの上限値Wtmaxと下限値Wtminとを求めるための係数は、予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。
【0052】
コントローラ36は、ステップS4における判断が肯定的(Yes)であるときは、ステップS5に処理を進め、否定的(No)であるときは、処理をステップS6に進める。コントローラ36は、ステップS4における判断が否定的であるとき、ステップS6において、ファン33,34を駆動する回転数を修正する。例えば、コントローラ36は、次式(3)のように、現在の運転電力Waと目標電力Wtとの比率を用いて現在の回転数Naを修正し、修正後の回転数Na’でファン33,34を駆動する。
Na’=(Na/2×Wt/Wa+1)×2 … (3)
【0053】
その後、コントローラ36は、ステップS4の条件が満たされるまで、ステップS2~S4の処理を繰り返し行う。なお、上記の式(1)~(3)は一例であり、適宜変更することが可能である。
【0054】
図8には、最初の回転数(初期回転数)をNaで示し、1回目の修正を行った後の回転数をNa’で示し、2回目の修正を行った後の回転数をNa”で示している。図8は、2回目の修正を行った後の回転数Na”でステップS4の条件が満たされ、当該回転数Na”が正式な第1タップの回転数N1として決定された例を示している。なお、ステップS4の条件が満たされない状態が継続するのを抑制するため、例えばステップS6の処理が所定回数に達した場合には、ステップS4を回避してステップS5に移行してもよい。
【0055】
コントローラ36は、ステップS4における判断が肯定的であるとき、ステップS5において、現在の回転数(例えば2回目の修正を行った後の回転数Na”;図8参照)が、所定の上限値と下限値との範囲内にあるか否かを判断する。この上限値と下限値とは、第1風量Q1を得るために許容される回転数の範囲であり、任意に設定することができる。上限値及び下限値は、予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。
【0056】
コントローラ36は、ステップS5の判断が肯定的(Yes)であるとき、ステップS7に処理を進める。コントローラ36は、ステップS7において、現在の回転数Na”を正式な第1タップの回転数N1としてメモリ38bに記憶し(図8参照)、ステップS11に処理を進める。
【0057】
コントローラ36は、ステップS5における判断が否定的(No)であるとき、さらに、現在の回転数Na”が、所定の下限値未満であるか否かを判断する(ステップS8)。コントローラ36は、ステップS8の判断が肯定的(Yes)であるとき、ステップS9に処理を進め、所定の下限値を第1タップの回転数N1としてメモリ38bに記憶し、ステップS11に処理を進める。コントローラ36は、ステップS8の判断が否定的(No)であるとき、ステップS10に処理を進め、所定の上限値を第1タップの回転数N1としてメモリ38bに記憶し、ステップS11に処理を進める。
【0058】
コントローラ36は、ステップS11において風量不足の確認処理を実行する。例えば、上記のステップS10のように、第1タップの回転数N1が所定の上限値に制限された状態で決定されると、決定された第1タップの回転数N1でファン33,34を駆動したとしても第1風量Q1を得られず風量不足となる可能性がある。ステップS11では、このような風量不足の有無を検出し、ユーザやサービスマンに報知する。
【0059】
図10は、風量不足確認処理の手順を示すフローチャートである。
コントローラ36は、図10のステップS21において、決定した回転数N1における現在のファン33,34の運転電力Waと目標電力Wtとを算出し、さらに、現在の運転電力Waと目標電力Wtとの比率(Wa/Wt)を算出する。この比率は、目標電力Wtに対する運転電力Waの到達度を意味し、同時に、目標値である第1風量Q1に対する現在の風量の到達度を意味する。
【0060】
次いで、コントローラ36は、ステップS22において、算出した比率(Wa/Wt)と所定の第1判定値T1とを比較し、次式(4)のように、当該比率(Wa/Wt)が第1判定値T1以下であるか否かを判断する。
Wa/Wt≦T1 … (4)
【0061】
第1判定値T1は、予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。第1判定値T1は、例えば、0.6~0.8の範囲内の値、好ましくは0.7とすることができる。
コントローラ36は、ステップS22の判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS23に処理を進め、否定的(No)である場合、処理を終了する。
【0062】
コントローラ36は、ステップS23において、当該比率(Wa/Wt)と、所定の第2判定値T2とし比較し、次式(5)のように、当該比率(Wa/Wt)が第2判定値T2以下であるか否かを判断する。
Wa/Wt≦T2 … (5)
【0063】
所定の第2判定値T2は、予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。第2判定値T2は、第1判定値T1よりも小さい値であり、例えば、0.1~0.3の範囲内の値、好ましくは0.2とすることができる。
【0064】
ステップS23における判断が肯定的(Yes)である場合、言い換えると、当該比率(Wa/Wt)が第2判定値T2以下である場合、コントローラ36は、リモートコントローラ25の表示部25a(図6参照)に風量不足の「警報」を意味するコードを表示させる。ステップS23における判断が否定的(No)である場合、言い換えると、当該比率(Wa/Wt)が第2判定値T2を超え、第1判定値T1以下である場合、コントローラ36は、リモートコントローラ25の表示部25aに風量不足の「注意報」を意味するコードを表示させる。このように、第1風量Q1に対する現在の風量の到達度に応じて警報又は注意報の報知を行うことで、実際にファン33,34によって生成することができる風量をユーザやサービスマン等に認識させることができる。風量が不足している場合、そのままの状態で運転を行うこともできるし、圧力損失を低減させて第1タップによる風量を第1風量Q1に近づける措置を行う等の対応を行うこともできる。
【0065】
以上の手順により、第1タップで制御するファン33,34の回転数N1が決定されると、通常運転の際に、コントローラ36が第1タップでファン33,34を制御することによって、第1風量Q1による風量一定制御を行うことができる。
【0066】
(第2タップのファン33,34回転数の決定手順)
以上の手順で第1タップにおけるファン33,34の回転数が求められると、コントローラ36は、第2タップのファン33,34の回転数N2を決定する処理を開始する。図11は、第2タップのファンの回転数を決定する手順を示すフローチャートである。
【0067】
コントローラ36は、上記のように決定された第1タップの回転数N1を用いて第2タップの仮の回転数を算出する(ステップS31)。具体的に、コントローラ36は、次式(6)に示すように、第1タップの回転数N1に所定の係数dを掛けることによって第2タップの仮の回転数Ntを算出する。
Nt=N1×d … (6)
【0068】
この係数dは、予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。この係数dは、第1風量Q1と第2風量Q2との関係を第1回転数N1と第2回転数N2との関係に換算することによって得たものである。
【0069】
次いで、コントローラ36は、算出した第2タップの仮の回転数Ntが所定の上限値と下限値との範囲内にあるか否かを判断する(ステップS32)。所定の上限値(第1閾値)は、当該上限値でファン33,34を回転させたとしても、その運転電力が最大許容電力を超えない回転数である。上限値は、ファン33,34を回転させた際に運転電力が最大許容電力を超えてしまう可能性のある回転数から所定回転数下げた回転数である。所定の下限値は、第2風量Q2を得るために許容される最低限の回転数である。所定の上限値と下限値とは、いずれも予めコントローラ36のメモリ38bに記憶されている。コントローラ36は、ステップS32の判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS33に処理を進め、否定的(No)である場合、ステップS34に処理を進める。
【0070】
ステップS33において、コントローラ36は、算出した第2タップの仮の回転数Ntを正式な第2タップの回転数N2としてメモリ38bに記憶し、処理を終了する。この場合、Nt=N2となるため、実質的に上記の式(6)によって第2タップの回転数N2が直接求められることになる。
【0071】
ステップS34において、コントローラ36は、算出した第2タップの仮の回転数Ntが、所定の下限値未満であるか否かを判断する。コントローラ36は、ステップS34の判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS35に処理を進め、否定的(No)である場合、ステップS36に処理を進める。ステップS34の判断が否定的(No)である場合とは、第2タップの仮の回転数Ntが所定の上限値(第1閾値)を超えた場合を意味する。
【0072】
コントローラ36は、ステップS35において、算出した第2タップの仮の回転数Ntではなく、所定の下限値を正式な第2タップの回転数N2としてメモリ38bに記憶し、処理を終了する。
【0073】
以上のようにステップS33及びS35の処理によって第2タップのファン33,34の回転数N2が決定される場合、当該回転数N2を求めるためにファン33,34を運転する必要がなく、演算のみによって当該回転数N2を求めることができるため、より短時間且つ少ないエネルギー消費で回転数N2の決定処理を行うことができる。
【0074】
コントローラ36は、ステップS36において、第2タップの仮の回転数Nt(第1回転数N1から算出された第2回転数N2)を調整して、正式な回転数N2を決定するための処理(以下、単に「調整処理」ともいう)を実行する。ファン33,34は、図7の特性曲線Lpに示すように、供給することができる最大の電力(最大許容電力)が定められており、この最大許容電力まではファン33,34の回転数を高めることが可能である。したがって、本実施形態では、算出された第2タップの仮の回転数Ntが、ステップS32の所定の上限値(第1閾値)を超えた場合には、ファン33,34を駆動して運転電力が最大許容電力に近づくまで回転数を上昇させ、運転回転数を第2タップの仮の回転数Ntに近づける調整が行われる。
【0075】
図12は、調整処理の手順を示すフローチャートである。図13及び図14は、調整処理の手順を説明するグラフである。特に図13は、第2タップの仮の回転数Ntにおける風量-機外静圧の特性曲線が、最大許容電力における特性曲線よりも小さい場合を示し、図14は、第2タップの仮の回転数Ntにおける風量-機外静圧の特性曲線が、最大許容電力における特性曲線よりも大きい場合を示している。
【0076】
コントローラ36は、図11のステップS32で用いた上限値に、所定の増分αを加えることによって調整に用いる回転数(以下、「調整回転数」ともいう)を算出する(図12のステップS41)。所定の増分αはステップS32の上限値(第1閾値)に加えてファン33,34を駆動させたとしても、後述する所定の第2閾値を超えない値に設定されている。所定の増分αは、最大許容電力と後述する所定の第2閾値との差分よりも小さい値に設定してもよい。次いで、コントローラ36は、算出した調整回転数でファン33,34を駆動する(ステップS42)。さらに、コントローラ36は、現在の運転電力を取得する(ステップS43)。
【0077】
コントローラ36は、現在の運転電力が、所定の第2閾値未満であるか否かを判断する(ステップS44)。この第2閾値は、最大許容電力より所定量低い電力値に相当する。したがって、運転電力が第2閾値を超えると、最大許容電力を超える可能性がある。コントローラ36は、ステップS44における判断が肯定(Yes)である場合には、ステップS45に処理を進める。
【0078】
コントローラ36は、ステップS45において、調整回転数が、図11のステップS31で算出した第2タップの仮の回転数Nt以上であるか否かを判断する。コントローラ36は、ステップS45における判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS46に処理を進める。ステップS46において、コントローラ36は、現在の調整回転数を正式な第2タップの回転数N2としてメモリ38bに記憶し、処理を終了する。なお、ステップS46において、コントローラ36は、現在の調整回転数ではなく、第2タップの仮の回転数Ntを正式な第2タップの回転数N2としてもよい。
【0079】
コントローラ36は、ステップS45における判断が否定的(No)である場合、処理をステップS47に進める。コントローラ36は、ステップS47において、現在の調整回転数にさらに増分αを加えて調整回転数を更新したうえで、ステップS42に処理を戻し、上記のステップS42~45の処理を繰り返し行う。図13には、上限値に対して2回増分αを加えることによって調整回転数がステップS44、S45の条件を満たし、当該調整回転数を正式な第2タップの回転数N2に決定した例を示している。
【0080】
一方、ステップS44の判断が否定的である場合、言い換えると、調整回転数でファン33,34を回転させたときの運転電力が第2閾値以上である場合、コントローラ36は、ステップS48に処理を進める。ステップS48では、コントローラ36は、現在の運転電力が第2閾値であるか否かを判断する。ステップS48の判断が肯定的(Yes)である場合、コントローラ36は、ステップS46に処理を進め、前述したように現在の調整回転数を第2タップの回転数N2としてメモリ38bに記憶し、処理を終了する。
【0081】
ステップS48の判断が否定的(No)である場合、現在の運転電力が第2閾値を超え、さらに最大許容電力を超えている可能性もある。そのため、コントローラ36は、ステップS49に処理を進め、現在の調整回転数ではなく1つ前(直前)の調整回転数を第2タップの回転数N2としてメモリ38bに記憶し、処理を終了する。これにより、決定した第2タップの回転数N2でファン33,34を運転したときに、運転電力が最大許容電力を超えてしまうことを抑制することができる。なお、上述のように、所定の増分αを、最大許容電力と第2閾値との差分よりも小さく設定すると、調整処理中に、調整回転数で運転したファン33,34の運転電力が最大許容電力を超えてしまうのを抑制することができる。
【0082】
図14には、上限値(第1閾値)に対して2回増分αを加えた調整回転数によってファン33,34を駆動し、その運転電力が第2閾値に達することによって当該調整回転数を正式な第2タップの回転数N2に決定(ステップS48,S46)した例を示している。
【0083】
以上のように、本実施形態では、第2タップの仮の回転数Ntが所定の上限値(第1閾値)を超えた場合には、当該上限値から所定の増分αずつ回転数を上昇させ、運転電力が最大許容電力に近づいた段階で、調整回転数を用いて正式な第2タップの回転数N2を決定している。つまり、第2タップの回転数N2を調整する処理を行っている。そのため、最大許容電力を超えるような運転電力でファン33,34が駆動されることもなく、許容される電力の範囲内でファン33,34による風量を第2風量Q2に近づけることができる。
【0084】
以上の手順によって第2タップの回転数N2が決定されると、コントローラ36は、通常運転の際に、第2タップでファン33,34を駆動することにより、第2風量Q2による風量一定制御を行うことができる。
【0085】
[第2の実施形態]
上記の第1の実施形態では、コントローラ36が、第1タップの回転数N1と第2タップの回転数N2とを決定する例について説明した。第2の実施形態では、コントローラ36が、第1タップ及び第2タップに加え、第3風量Q3を得るための第3タップの回転数N3を決定する例について説明する。
【0086】
図15は、第2の実施形態におけるファンの風量と機外静圧との関係を示すグラフである。第3風量Q3は、第1及び第2風量Q2よりも小さい。例えば、第1、第2風量Q1,Q2がそれぞれMタップ、Hタップである場合、第3風量Q3は、Lタップに相当する。本実施形態において、コントローラ36は、第3タップのファン33,34の回転数N3を、第2タップのファン33,34の回転数N2と同様の手法により決定する。上述したように、第2タップのファン33,34の回転数N2は、第1タップのファン33,34の回転数N1に所定の係数dを掛けることにより求められる。したがって、第3タップのファン33,34の回転数N3も、次式(7)に示すように、第1タップのファン33,34の回転数N1に所定の係数(第2係数)eを掛けることによって求めることができる。
Nt(=N3)=N1×e … (7)
【0087】
より詳しくは、式(7)によって第3タップの仮の回転数Ntを求め、この仮の回転数Ntを用いて、図11及び図12と同様の手順を行うことによって、正式な第3タップの回転数N3を求めることができる。ただし、第3風量Q2は第1風量Q1よりも小さく、第3風量で最大許容電力に到ることは考えられないので、図11のステップS36における調整処理に代えて、ステップS32における上限値を第3タップの回転数N3とする処理を行えばよい。
【0088】
本実施形態において、第3風量Q3は、第1風量Q1よりも大きく第2風量Q2よりも小さくてもよい。
【0089】
[他の実施形態]
上記第1の実施形態において、コントローラ36は、図11のステップS36における調整処理に代えて、ステップS32の上限値を第2タップの回転数N2に決定することができる。第1の実施形態において、コントローラ36は、ステップS31における式(6)の演算のみにより(図11のステップS32、S34~S36を省略して)第2タップのファン33,34の回転数N2を決定してもよい。同様に、上記第2の実施形態において、コントローラ36は、式(7)の演算のみによって第3タップのファン33,34の回転数N3を決定してもよい。
【0090】
上記実施形態において、第2タップの回転数N2を求めるための第2閾値に代えて、ファン33,34の最大許容電力が閾値(第3閾値)に設定されていてもよい。この場合、第1閾値から徐々に回転数を増加させた調整回転数でファン33,34を回転させ、ファン33,34の運転電力が第3閾値以上となったときに、その直前の調整回転数を正式な第2回転数N2とすることができる。なお、この処理は、最大許容電力との関係で第2閾値を設定している上記第1の実施形態の処理と実質的に同一である。
【0091】
上記実施形態において、コントローラ36は、第1~第3タップのファン33,34の回転数N1~N3を求めた後、さらにその回転数N1~N3に所定の係数を掛けることによって、第1~第3風量Q1~Q3を複数段階に調整できるように構成されていてもよい。例えば、求められた回転数N1~N3に所定の係数を掛けることで、第1~第3風量Q1~Q3の全体を所定量だけアップ又はダウンさせることができる。コントローラ36のメモリ38bには、調整の段階に応じた係数が予め記憶される。
【0092】
上記実施形態において、換気装置12は、ユーザやサービスマン等が第2、第3風量Q2,Q3を任意に入力することができるように構成されていてもよい。第2、第3風量Q2,Q3の入力は、例えば、リモートコントローラ25の入力部25bを用いて行うことができる。コントローラ36には、第2、第3風量Q2,Q3の入力値に応じて係数d、e(式(6)、(7)参照)を変換するための変換式又は変換テーブルが記憶されており、入力された第2、第3風量Q2、Q3に応じた係数d、eの変換値を用いて第2、第3回転数N2,N3を算出することができる。
【0093】
上記第2の実施形態では、コントローラ36が、第3タップのファン33,34の回転数N3を演算により求めているが、第1タップのファン33,34の回転数N1と同様に、ファン33,34を回転させながら求める方法を採用してもよい。
【0094】
上記実施形態では、コントローラ36が、第1タップのファン33,34の回転数N1と、所定の係数d、eとを用いて第2、第3タップのファン33,34の回転数N2,N3を決定しているが、同様の手順によってさらなる別のタップ(第4タップ、第5タップ等)のファン33,34の回転数を決定してもよい。
【0095】
上記実施形態の換気装置12は、全熱交換換気モード(第1運転モード)と普通換気モード(第2運転モード)との2つの運転モードを実行可能であり、これらの運転モードは互いに空気の流路が異なるため、圧力損失(送風抵抗)も異なっている。このように異なる運転モードを有する換気装置12においては、一方の運転モードで用いるファン33,34の回転数を、例えば上記実施形態で説明した方法で求め、この一方の運転モードで用いるファン33,34の回転数に、所定の係数を掛けることによって他方の運転モードで用いるファン33,34の回転数を求めてもよい。
【0096】
上記実施形態では、換気装置12を据え付けた後、試運転の際に、第1~第3風量Q1~Q3を得るためのファン33,34の回転数N1~N3を決定することについて説明した。ただし、これに限定されることなく、他のタイミングでファン33,34の回転数N1~N3を決定することも可能である。例えば、換気装置12を据え付け、運用を開始した後、所定の時間(例えば、500時間)が経過する度にファン33,34の回転数を決定することができる。
【0097】
上記実施形態では、風量不足が確認された後、リモートコントローラ25の表示部25aに風量不足である旨の情報(注意報、警報)が表示されるようになっていたが、報知の形態は表示に限定されるものではない。例えば、リモートコントローラ25にスピーカー、ブザー、ランプ等を設けておき、これらを用いて音や光等によって風量不足を報知してもよい。風量不足の程度の段階についても、注意報及び警報の2段階ではなく、1段階又は3段階以上の報知を行ってもよい。
【0098】
上記実施形態では、換気装置12が、第2排気風路49を備えていたが、これに加えて又は代えて、全熱交換器32を通らない第2給気風路を備えていてもよい。この場合、外気取入口43から取り入れた空気を、全熱交換器32を通さずに給気吹出口44から吹き出すことができる。さらに、この場合、普通換気モード(第2運転モード)の際に、第2給気風路を用いることができる。
【0099】
上記実施形態では、空気処理装置12として換気装置を示したが、これに限定されない。例えば、本開示は、空気処理装置12としての空気調和機、冷凍庫、冷蔵庫、外気処理機等に適用することができる。
【0100】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の空気処理装置12(ファンユニット)は、ファン(排気ファン33及び給気ファン34)と、所定の風量を得るための前記ファン33,34の回転数を求め、当該回転数でファン33,34を駆動するコントローラ36と、を備える。所定の風量は、第1風量Q1と、第1風量Q1とは異なる第2風量Q2を含む。コントローラ36は、第1風量Q1を得るために予め求めた第1回転数N1と、第1風量Q1及び第2風量Q2の関係と、に基づいて、第2風量Q2を得るための第2回転数N2を求める。
【0101】
したがって、上記実施形態では、コントローラ36が、第2風量Q2を得るための第2回転数N2を、第1風量Q1を得るための第1回転数N1を用いて求めるので、第2回転数N2を求めるために多くの運転データの取得や係数の設定等が不要となり、第2回転数N2を容易に決定することができる。上記実施形態では、第2回転数N2を求めるためにファン33,34を運転する必要がなく、演算のみによって第2回転数N2を求めることができるため、より短時間且つ少ないエネルギー消費で第2回転数N2を決定することができる。第2風量が小さい風量である場合、運転電力も小さくなるため、第1回転数N1と同じ方法で第2回転数N2を求めようとするとファン33,34を回転させたときの風量制御の精度が悪くなる。この点、本実施形態では、第2風量を得るための第2回転数N2を演算のみによって求めることができるため、第2風量が小さくても精度よく第2回転数N2を決定することができる。従来の方法では、風量や機外静圧が小さい場合、関係式を求める場合に用いる運転電力の変化量が小さくなるため、誤差が大きくなり、正確な風量一定制御が行えないという問題があったが、上記実施形態では、第1回転数N1に係数をかけて第2風量を得るための第2回転数N2を求めているので、第2風量が小さい場合であっても簡単に第2回転数N2を決定することができる。
【0102】
(2)上記実施形態では、コントローラ36が、第1回転数N1に、第1風量Q1と第2風量Q2との関係に基づく係数dを掛けることによって第2回転数N2を求める。そのため、第2回転数N2を簡単に求めることができる。
【0103】
(3)上記実施形態では、コントローラ36は、第1風量Q1について予め取得した、ファン33,34の回転数と電力値とが関連付けられたデータ、例えば上記の式(1)等のデータに基づき、第1回転数N1を求める。さらに、コントローラ36は、ファン33,34を回転させ、ファン33,34の電力値を算出し、ファン33,34の回転数及び算出した電力値と、前記データとに基づいて、第1回転数N1を求める。これにより、第1風量Q1を得るためのファン33,34の第1回転数N1を、ファン33,34を回転させたときの回転数及び電力値を用いて求めることができる。
【0104】
(4)上記実施形態では、第2風量Q2が、第1風量Q1よりも大きい値であり、コントローラ36は、第1回転数N1を用いて求められた第2回転数N2(仮の第2回転数Nt)が所定の第1閾値を超える場合、第2回転数N2を調整するために、第1閾値から徐々に回転数を増加させながらファン33,34を回転させる。上記のように、第1回転数N1を用いて第2回転数N2(Nt)を求め、その第2回転数N2(Nt)でファン33,34を駆動すると、当該ファン33,34の負荷が限度を超え、過大な電力が供給されてしまう可能性がある。上記実施形態の空気処理装置12は、ファン33,34の負荷が限度に達しないような回転数の第1閾値を予め設定しておき、第1回転数N1を用いて求められた第2回転数N2(Nt)が当該第1閾値を超える場合には、当該第1閾値を始点として徐々に回転数を増加させた調整回転数でファン33,34を駆動し、正式な第2回転数N2を求める。これにより、第1回転数N1を用いて求められた第2回転数N2(Nt)でファン33,34を運転することによって負荷の限度を超えてしまうという不都合を解消することができる。
【0105】
(5)上記実施形態では、コントローラ36は、ファン33,34の回転数を第1閾値から徐々に増加させる場合に、ファン33,34の電力値が所定の第2閾値となったとき、当該第2閾値におけるファン33,34の回転数(調整回転数)を、正式な第2回転数N2とする調整を行う。例えば、ファン33,34の電力値が最大許容電力となる手前の第2閾値を予め設定しておき、第1閾値から徐々にファン33,34の回転数を増加させた調整回転数で運転した場合に、ファン33,34の電力値が第2閾値となると、その第2閾値におけるファン33,34の回転数を、正式な第2回転数N2として適用する。これにより、最大許容電力に達しない状態でファン33,34による風量を可及的に第2風量Q2に近づけることができる。
【0106】
(6)上記実施形態において、コントローラ36は、ファン33,34の電力値が第2閾値に達する前に、ファン33,34の回転数が、第1回転数N1を用いて求められた第2回転数N2(Nt)に達したとき、当該回転数を、正式な第2回転数N2とする調整を行う。このように、ファン33,34の電力値が第2閾値に達する前に、ファン33,34の回転数が第1回転数N1から算出した第2回転数N2(Nt)に達した場合は、その回転数を第2回転数N2として適用することで、適切な第2風量Q2を得ることができる。
【0107】
(7)上記実施形態において、空気処理装置12(ファンユニット)が、報知部25a(リモートコントローラ25の表示部25a)をさらに備え、コントローラ36は、求められた第1回転数N1と、第1風量Q1について予め取得したファン33,34の回転数と電力値とが関連付けられたデータと、に基づいて第1風量Q1を得るための目標電力値を求め、第1回転数N1でファン33,34を駆動したときに算出した電力値と、目標電力値とに基づいて第1風量Q1への到達度を求め、到達度が所定の判定値T1,T2以下の場合に風量不足の情報を報知部25aに報知させる。このように、求められた第1回転数N1でファン33,34を駆動しても第1風量Q1に達しない場合には、風量不足であることをユーザやサービスマン等に知らせることができる。
【0108】
(8)上記実施形態において、コントローラ36は、第1風量Q1の到達度の大きさに応じて、「注意報」、「警報」等のように報知の内容を変化させる。そのため、風量不足の程度をユーザやサービスマン等に知らせることができる。
【0109】
(9)上記実施形態において、所定の風量が、第1風量Q1及び第2風量Q2とは異なる第3風量Q3を含み、コントローラ36は、第1回転数N1と、第1風量Q1及び第3風量Q3の関係と、に基づいて、第3風量Q3を得るための第3回転数N3を求める。これにより、第1風量Q1以外の他の複数の風量Q2,Q3を得るための回転数をそれぞれ簡単に求めることができる。
【0110】
(10)上記実施形態において、コントローラ36は、空気処理装置12(ファンユニット)の運用中、所定時間ごとに第1回転数N1及び第2回転数N2を求める処理を行う。空気処理装置12を運用していると、例えばフィルターの目詰まりによって圧力損失が変化し、次第に所定の風量を得ることが困難となる場合がある。したがって、空気処理装置12の運用中、所定時間毎(例えば、500時間毎)に第1回転数N1及び第2回転数N2を求める処理を行うことで、最適な風量を維持することができる。
【0111】
(11)上記実施形態において、空気処理装置12は、第2風量Q2として任意の風量の入力を受け付ける入力部25bを有する。これによってユーザの要望等に応じた第2風量Q2で空気処理装置12を運転可能となる。
【0112】
(12)上記実施形態において、空気処理装置12は、上記のファンユニットと、全熱交換器32と、を備え、ファンユニットのファン33,34が、排気ファン33と給気ファン34とを含み、給気ファン34が、室外から全熱交換器32を通って室内に吹き出される空気流を生成し、排気ファン33が、室内から全熱交換器32を通って室外に排出される空気流を生成する。このように空気処理装置12が排気ファン33と給気ファン34とを備えている場合、それぞれのファン33,34について所定の風量を得るための回転数を求める必要があるため、第2回転数N2を簡単に決定することができる上記実施形態の手法を採用することがより有効となる。
【0113】
(13)上記実施形態において、ファンユニットのコントローラ36は、排気ファン33及び給気ファン34で生成された空気流が全熱交換器32を通過する第1運転モード(全熱交換換気モード)と、排気ファン33及び給気ファン34の少なくとも一方で生成された空気流が全熱交換器32を通過しない第2運転モード(普通換気モード)とを実行可能である。コントローラ36は、一方の運転モードにおける排気ファン33及び給気ファン34の風量を得るために予め求めた回転数と、一方の運転モードにおける風量及び他方の運転モードにおける風量の関係と、に基づいて、他方の運転モードにおける排気ファン33及び給気ファン34の風量を得るための回転数を求める。第1運転モードと第2運転モードとでは、空気処理装置12内の空気の通路が変化し、圧力損失も変化する。そのため、一方の運転モードにおけるファン33,34の回転数を用いて、他方の運転モードにおけるファン33,34の回転数を求めることで、複数の運転モードについて所定の風量を得るためのファン33,34の回転数を簡単に決定することができる。
【0114】
(14)上記実施形態の空気処理装置12(ファンユニット)は、ファン33,34と、所定の風量を得るためのファン33,34の回転数を求め、当該回転数でファン33,34を駆動するコントローラ36と、を備える。コントローラ36は、求められた回転数が所定の第1閾値を超える場合、当該回転数を調整するために、第1閾値から徐々に回転数を増加させながらファン33,34を回転させる。
【0115】
上記実施形態のように、コントローラ36が所定の風量を得るための回転数を求め、その回転数でファン33,34を駆動すると、当該ファン33,34の負荷が限度を超え、過大な電力が供給される場合がある。そのため、ファン33,34の負荷が限度に達しないような回転数の第1閾値を予め設定しておき、求めた回転数が当該第1閾値を超える場合には、当該回転数を調整するために、コントローラ36が、当該第1閾値を始点として徐々に回転数を増加させた調整回転数でファン33,34を駆動する。これにより、最初に求めた回転数でファン33,34を運転することによって負荷の限度を超えてしまうという不都合を解消することができる。
【0116】
なお、上記(14)の特徴においては、コントローラ36が、調整前の回転数をどのような方法で求めてもよい。例えば、コントローラ36は、調整前の回転数を上記実施形態の第2、第3回転数N2,N3と同様の方法(演算のみで求める方法)で求めもよいし、上記実施形態の第1回転数N1と同様の方法(ファンを駆動させて求める方法)で求めもよい。
【0117】
(15)上記(14)の空気処理装置12では、コントローラ36は、ファン33,34の回転数を第1閾値から徐々に増加させる場合に、ファン33,34の電力値が所定の第2閾値となったとき、当該第2閾値におけるファン33,34の回転数(調整回転数)を、正式な回転数とする調整を行う。例えば、ファン33,34の電力値が最大許容電力となる手前の第2閾値を予め設定しておき、第1閾値から徐々にファン33,34の回転数を増加させた調整回転数で運転した場合に、ファン33,34の電力値が第2閾値となると、その第2閾値におけるファン33,34の回転数を、正式な回転数とする調整を行う。これにより、最大許容電力に達しない状態でファン33,34による風量を可及的に所定の風量に近づけることができる。
【0118】
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0119】
12 :換気装置(空気処理装置)
25a :表示部(報知部)
25b :入力部
32 :全熱交換器
33 :排気ファン
34 :給気ファン
36 :コントローラ
N1 :第1回転数
N2 :第2回転数
N3 :第3回転数
Q1 :第1風量
Q2 :第2風量
Q3 :第3風量
T1 :第1判定値
T2 :第2判定値
Wa :運転電力
Wt :目標電力
d :係数
e :係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15