(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240327BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240327BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20240327BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240327BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240327BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240327BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240327BHJP
【FI】
G06T19/00 300B
A63F13/69
A63F13/53
A63F13/55
A63F13/79
G06F3/01 510
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2022036994
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】丸山 敦史
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/110276(WO,A1)
【文献】特開2018-074294(JP,A)
【文献】特開2007-328701(JP,A)
【文献】国際公開第2022/024195(WO,A1)
【文献】特開2018-116537(JP,A)
【文献】特開2004-274550(JP,A)
【文献】特開2020-205112(JP,A)
【文献】特開2022-036691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
A63F 13/69
A63F 13/53
A63F 13/55
A63F 13/79
G06F 3/01
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
制御部を備え、
前記制御部は、次の各ステップを実行するように構成され、
管理ステップでは、仮想空間における複数の領域と、前記領域それぞれに関連付けられた領域属性とを管理し、
アバター制御ステップでは、第1ユーザに対応する第1アバターを、前記領域のうちの1つである特定領域内に配置するように制御し、
決定ステップでは、前記特定領域内における前記第1アバターに関する表示の態様を、前記特定領域に関連付けられた領域属性に応じて決定し、ここで、
前記態様は、前記第1ユーザの保有するアイテムの中から、前記特定領域に関連付けられた領域属性と前記アイテムに関連付けられたアイテム属性との関係に基づいて、前記第1アバターと対応付けて表示させるアイテムを特定することで決定され、
前記アイテム属性とは、前記アイテムに関連付けられて管理される情報であり、
通知ステップでは、前記第1アバターに関する表示の態様が、前記特定領域に関連付けられた領域属性に応じて決定されなかった場合には、前記アイテムを購入可能なショップへの移動導線を前記第1ユーザに通知する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記決定ステップでは、前記第1ユーザの保有する前記アイテムの中に前記関係を満たす前記アイテムが含まれていない場合には、前記第1アバターに関する表示の態様を前記特定領域に関連付けられた領域属性に応じて決定しない、システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記アバター制御ステップでは、前記特定領域内に配置された第1アバターを、前記特定領域とは異なる領域から前記特定領域に配置するように制御し、
通知ステップでは、前記第1アバターを前記特定領域に配置する前に、前記第1ユーザの保有する前記アイテムの中に前記関係を満たす前記アイテム属性を有する前記アイテムが含まれていないこと、および、前記ショップへの移動導線を示す表示を含むように前記通知を実行する、システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
さらに、変更ステップでは、前記特定領域に関連付けられた前記領域属性を、別の領域属性へと変更し、
前記決定ステップでは、前記第1アバターが前記特定領域内に配置されている状態で前記領域属性が変更された場合に、前記別の領域属性に応じて前記態様が決定されなかった場合には、前記領域属性が前記別の領域属性へと変更された後に、前記通知を実行する、システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記決定ステップでは、前記第1ユーザ以外の第2ユーザに対応する第2アバターが前記特定領域内に配置されている状態で前記領域属性が
別の領域属性に変更され、且つ前記別の領域属性に応じて前記第2ユーザに対応するアバターの前記態様が決定されなかった場合には、前記第1ユーザに対して前記第2ユーザと一緒に前記ショップへ移動することを推奨する旨を含むように、前記通知を実行する、システム。
【請求項6】
情報処理システムであって、
制御部を備え、
前記制御部は、次の各ステップを実行するように構成され、
管理ステップでは、仮想空間における複数の領域と、前記領域それぞれに関連付けられた領域属性とを管理し、
アバター制御ステップでは、第1ユーザに対応する第1アバターを、前記領域のうちの1つである特定領域内に配置するように制御し、
決定ステップでは、前記特定領域内における前記第1アバターに関する表示の態様を、前記特定領域に関連付けられた領域属性に応じて決定し、前記第1ユーザの保有するアイテムの中から、前記特定領域に関連付けられた領域属性と前記アイテムに関連付けられたアイテム属性との関係に基づいて、前記第1アバターと対応付けて表示させるアイテムを特定することで前記態様を決定し、
さらに、領域生成ステップでは、複数の前記領域に基づいて新領域を生成し、
前記新領域の領域属性は、複数の前記領域のうち少なくとも2つの領域に関連付けられた領域属性を含み、
前記第1アバターと対応付けて表示させる前記アイテムの前記アイテム属性が、前記2つの領域に関連付けられた領域属性の双方と前記関係を満たす場合には、前記2つの領域に関連付けられた領域属性の何れか一方が前記関係を満たす場合とは異なる特別な態様となるように、前記態様を決定する、システム。
【請求項7】
情報処理システムであって、
制御部を備え、
前記制御部は、次の各ステップを実行するように構成され、
管理ステップでは、仮想空間における複数の領域と、前記領域それぞれに関連付けられた領域属性とを管理し、
アバター制御ステップでは、第1ユーザに対応する第1アバターを、前記領域のうちの1つである特定領域内に配置するように制御し、
決定ステップでは、前記特定領域内における前記第1アバターに関する表示の態様を、前記特定領域に関連付けられた領域属性に応じて決定し、
表示制御ステップでは、前記特定領域内に配置された第1アバターを、別の領域へ配置するための操作をユーザから受け付けた場合、前記別の領域に関連付けられた領域属性に応じて特定される前記表示の態様を前記第1ユーザに視認可能な態様で表示させ、
前記アバター制御ステップでは、前記表示の態様に関する承認を前記第1ユーザから受け付けたことに応じて、前記第1アバターを前記別の領域へ配置するようさらに制御する、システム。
【請求項8】
プログラムであって、
請求項1~請求項7の何れか1つに記載の情報処理システムにおける各ステップを、コンピュータに実行させる、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想空間内に、ユーザに対応するアバターを配置するように制御する技術が知られている。例えば、特許文献1では、仮想の部屋を含む仮想空間が各ユーザに提供され、ユーザが、アバターを操作して他のユーザの仮想の部屋を訪問することのできる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仮想空間においては、アバターが配置される領域に応じて、アバターに関する表示を適切な態様とすることが望ましい場合がある。
【0005】
本開示では上記事情に鑑み、ユーザの利便性を向上し得るゲームを実行する技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、制御部を備える。制御部は、次の各ステップを実行するように構成される。管理ステップでは、仮想空間における複数の領域と、領域それぞれに関連付けられた領域属性とを管理する。アバター制御ステップでは、第1ユーザに対応する第1アバターを、領域のうちの1つである特定領域内に配置するように制御する。決定ステップでは、特定領域内における第1アバターに関する表示の態様を、特定領域に関連付けられた領域属性に応じて決定する。
【0007】
本開示によれば、ユーザの利便性を向上し得るゲームを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置2の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
【
図4】領域R毎の情報を管理する、領域管理テーブルT1の概要図である。
【
図5】各ユーザが保有するアイテムをユーザ毎に管理する、アイテム管理テーブルT2の概要図である。
【
図6】第1ユーザに対応する視野5a、および、第1ユーザに視認されるコーディネート選択画面6の一例を示すイメージ図である。
【
図7】第1ユーザに対応する視野5bおよび視野5cの一例を示すイメージ図である。
【
図8】第2ユーザに対応する視野7aおよび視野7bの一例を示すイメージ図である。
【
図9】第1ユーザに対応する視野5dおよび第3ユーザに対応する視野8の一例を示すイメージ図である。
【
図10】変形例を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ゲームの説明
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示す情報処理システム1では、情報処理装置2および複数のゲーム装置3が通信ネットワーク11を介して互いに通信可能に接続され、ゲーム装置3においてゲームが実行される。
【0014】
本実施形態に係るゲームは、情報処理システム1にて実行されるオンラインのゲームである。このゲームでは、ゲーム装置3のユーザは、1または複数のプレイヤキャラクタを仮想ゲーム空間で活動させたり、プレイヤキャラクタを、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと対戦させたりする。また、キャラクタは、オブジェクトの一例である。
【0015】
上記のようなゲームは、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用ゲーム機、仮想現実(以下、VR(Virtual Reality)という)用ヘッドセットを備えるOculus VR(登録商標)などのVRゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの電子機器であるゲーム装置3を用いて実行される。
【0016】
2.情報処理システム1の概要
図1に示されるように、情報処理システム1は、情報処理装置2および複数のゲーム装置3にて構成される。情報処理装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム装置3の(下記のアカウント情報ごとの)ゲームデータの管理を行う。情報処理装置2は、例えばサーバにより構成される。複数のゲーム装置3それぞれは、互いに同じ構成を有する。なお、本実施形態において、システムとは、1つまたはそれ以上の装置または構成要素からなるものである。したがって、例えば後述の情報処理装置2やゲーム装置3単体であっても情報処理システム1の一例となりうる。
【0017】
ゲーム装置3は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置3は、通信ネットワーク11を介して、情報処理装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。各ユーザには、ゲーム装置3に対応づけて、識別情報およびパスワードを含むアカウント情報が、ユーザごとに割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時、ゲーム装置3から情報処理装置2に送信され、情報処理装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0018】
ユーザ認証を経て、情報処理装置2とゲーム装置3との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置3は、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)を情報処理装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をディスプレイ4aおよびスピーカ4bに出力しながら、ゲームを進行させる。
【0019】
2.1 ハードウェア構成
以下、
図1を参照して、情報処理システム1の各ハードウェア構成について説明する。
【0020】
<情報処理装置2>
図1に示されるように、情報処理装置2は、通信部21、記憶部22および制御部23を有する。通信部21および記憶部22は、通信バス20を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0021】
通信部21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク11を介して各ゲーム装置3と通信可能に接続される、いわゆるネットワークインターフェースである。情報処理装置2が通信部21を介して受信する主な情報としては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、クエスト実行要求、オートプレイの実行/終了の要求、アカウント情報、ゲームデータなどが挙げられる。情報処理装置2が通信部21を介して送信する主な情報としては、ゲームプログラムをゲーム装置3が受信したことを確認するための情報、ガチャにて得られたゲーム媒体に関する情報などが挙げられる。
【0022】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成される。記憶部22には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムやゲームに関する各種データなどが記憶されている。
【0023】
具体的には例えば、記憶部22は、ユーザDBや抽選リストなどを記憶している。ユーザDBには、ゲームをプレイするユーザの識別番号ごとに、ユーザ名、ユーザランク、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに関するステータス等の情報、仮想ゲーム空間内にて使用可能な消費媒体の額、パラメータに関する情報などが、対応付けられて記憶されている。抽選リストは、一般にガチャと呼ばれる抽選処理に用いるものであって、選択対象となるゲーム媒体に関する情報を複数含む。抽選リストには、ゲーム媒体に関する情報(名称、能力パラメータ、レアリティ、レベルなど)と、抽選による選択割合とが、対応づけられている。また能力パラメータとは、例えば、ゲーム媒体がプレイヤキャラクタの場合、戦力、HP、攻撃力、防御力、賢さ、または速さなどを含む。
【0024】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置である情報処理装置2の動作を制御する。特に、制御部23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、自装置である情報処理装置2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、後述の各機能部が実行されうる。なお、制御部23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0025】
制御部23によって実行される情報処理として、例えば、課金の決済処理、ユーザアカウントの認証処理、ガチャの抽選選択処理などが挙げられる。課金の決済処理は、例えばゲーム中のパラメータを所定量回復するために必要な課金の要求に基づいて実行される。ユーザアカウントの認証処理は、例えばゲーム装置3から受信したユーザの識別情報を用いて実行される。ガチャの抽選選択処理は、ガチャの抽選要求に伴って、抽選リストの中から、ゲーム媒体ごとの選択確率に基づいて1以上のゲーム媒体を抽選により選択する処理である。ガチャの抽選選択処理によれば、選択したゲーム媒体に関する情報と、抽選要求の送信元となる操作を行ったユーザの識別情報とが、ユーザDBにて関連付けられ、これにより、当該ユーザには、自身でガチャを引いた結果当選したゲーム媒体が付与される。
【0026】
ここで、上記をさらに補足すると、「ゲーム媒体」とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、プレイヤキャラクタとして使用するキャラクタの名称、プレイヤキャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(武器、防具、道具)などが含まれる。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による直接購入やクエストクリアの他、ガチャと呼ばれる抽選方法によって入手することができる。入手したゲーム媒体は、そのゲーム媒体を所有することとなったユーザの識別情報と対応づけて、ユーザDBに記憶され管理される。さらに、「ガチャ」とは、情報処理装置2にて、抽選リストの中から、所定の選択割合に基づき任意のゲーム媒体を抽選により選択する方法である。選択された任意のゲーム媒体は、ユーザのゲーム装置3に付与される。「ガチャで選択したゲーム媒体を、ユーザに付与する/ユーザが所有する」とは、「抽選処理で選択されたゲーム媒体を、ユーザを示す識別情報と関連づける/関連づけられている」ことと同義である。
【0027】
<ゲーム装置3>
ゲーム装置3には、ディスプレイ4a、スピーカ4bおよび入力デバイス4cが外部接続または内蔵される。また、ゲーム装置3は、通信部31、記憶部32、制御部33、グラフィック処理部34a、オーディオ処理部34bおよび操作部34cを有する。通信部31、記憶部32、グラフィック処理部34a、オーディオ処理部34bおよび操作部34cは、通信バス30を介して制御部33と電気的に接続されている。
【0028】
通信部31は、ゲーム装置3と情報処理装置2との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク11に通信可能に接続される、いわゆるネットワークインターフェースである。ゲーム装置3が通信部31を介して受信する主な情報としては、アカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報、ガチャ実行要求、クエスト実行要求などが挙げられる。ゲーム装置3が通信部31を介して送信する主な情報としては、ダウンロード要求情報に応じて情報処理装置2から送られてきた新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたゲーム媒体に関する情報などが挙げられる。
【0029】
記憶部32は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部32には、情報処理装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、自装置であるゲーム装置3のアカウント情報、ユーザ情報などが格納されている。なお、ユーザ情報は、情報処理装置2の記憶部22で記憶するユーザDBの少なくとも一部の情報である。ユーザDBでユーザ情報のマスタを管理し、ゲーム装置3の記憶部32は、このマスタの少なくとも一部の情報が情報処理装置2から配信され、これを記憶する。
【0030】
制御部33は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置であるゲーム装置3の動作を制御する。特に、制御部33は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、自装置であるゲーム装置3に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部32に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部33によって具体的に実現されることで、後述の各機能部が実行されうる。なお、制御部33は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部33を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0031】
特に、制御部33は、自装置であるゲーム装置3のユーザによる入力デバイス4cの操作に従って、ゲームを実行するように構成される。具体的には、制御部33は、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを記憶部32から読み出すか、または情報処理装置2から受信したデータを用いて、2次元または3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部34aによって処理されることにより、ディスプレイ4aには処理後のゲーム画像が逐次表示される。換言すると、制御部33は、ゲームの実行にあたり、自装置であるゲーム装置3のユーザの操作などに応じてディスプレイ4aの表示制御およびスピーカ4bの音声出力制御を行うように構成される。
【0032】
グラフィック処理部34aは、制御部33から出力されるゲーム画像情報に従って、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部34aは、例えば液晶型であるディスプレイ4aと接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ4a上に表示される。オーディオ処理部34bは、スピーカ4bと接続され、制御部33の指示に従ってゲーム音声を再生および合成すると、これをスピーカ4bから出力させる。操作部34cは、入力デバイス4cと接続され、操作入力に関するデータを入力デバイス4cとの間で送受信する。ユーザは、入力デバイス4cを操作することで、ゲーム装置3に操作信号を入力する。なお、入力デバイス4cは、ディスプレイ4aと一体化されたタッチパネル、外付けのゲームパッド、マウスやキーボード、音声を入力するマイク、表情または身体の動作のトラッキングを行う撮像装置、身体の動作のトラッキングを行うモーションキャプチャ装置等の総称である。
【0033】
2.2 機能構成
続いて、
図2を参照して、情報処理システム1の情報処理装置2における各機能構成について説明する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置2の機能構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御部23は、記憶部22に記憶された各種プログラムを実行することにより、管理部230、アバター制御部231、決定部232、通信制御部233、通知部234、変更部235、領域生成部236、受付部237、および表示制御部238として機能する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、制御部23に含まれる各機能部として実行されうる。
【0035】
管理部230は、管理ステップとして、種々の情報を管理するように構成される。一例として、管理部230は、領域Rの1つである特定領域R1および別の領域R2と、これらに関連付けられた領域属性AT1とを管理する。特に、管理部230は、記憶部22に記憶される、領域管理テーブルT1とアイテム管理テーブルT2とを管理する。領域R、領域属性AT1、領域管理テーブルT1、およびアイテム管理テーブルT2については、後に詳述する。
【0036】
アバター制御部231は、アバター制御ステップとして、仮想空間においてアバターを制御するように構成される。一例として、アバター制御部231は、アバターを特定領域R1または別の領域R2に配置するように制御する。アバターとは、仮想空間におけるユーザの分身として、ユーザに操作されるオブジェクトである。
【0037】
決定部232は、決定ステップとして、仮想空間におけるアバターに関する表示の態様を決定するように構成される。一例として、決定部232は、特定領域R1または別の領域R2における、アバターに関する表示の態様を決定する。
【0038】
通信制御部233は、通信制御ステップとして、ユーザ間のインタラクションを制御するように構成される。一例として、通信制御部233は、第1ユーザに対応する第1アバターAV1と、第2ユーザに対応する第2アバターAV2とを介して、第1ユーザと第2ユーザの間におけるインタラクションを制御する。
【0039】
通知部234は、通知ステップとして、ユーザに対して種々の通知を実行するように構成される。通知の方法は特に限定されず、例えば、通知部234は、表示制御部238を介してゲーム装置3のディスプレイ4aに通知を表示させてもよく、スピーカ4bから音を出してもよく、入力デバイス4cを振動させてもよい。通知部234による通知は、一部のユーザに対して継続的に行われてもよく、入力デバイス4cを介したユーザからの入力により解除されてもよい。
【0040】
変更部235は、変更ステップとして、仮想空間における領域Rの領域属性AT1を変更するように構成される。一例として、変更部235は、特定領域R1に関連付けられた領域属性AT1を、別の領域属性AT1へと変更する。
【0041】
領域生成部236は、領域生成ステップとして、種々の情報に基づいて領域Rを生成するように構成される。一例として、領域生成部236は、複数の領域Rに基づいて、新たな領域Rである新領域R3を生成する。
【0042】
受付部237は、受付ステップとして、種々の情報を受け付けるように構成される。一例として、受付部237は、ユーザのアカウント情報、ゲームデータ、ユーザからの入力等を、情報処理装置2の記憶部22、ゲーム装置3、または他の外部装置から受け付ける。本実施形態では、受付部237が受け付けた種々の情報は、記憶部22に記憶されるものとして説明する。
【0043】
表示制御部238は、表示ステップとして、記憶部32に記憶された種々の情報またはこれらを含む画面等を、視認可能な態様でゲーム装置3のディスプレイ4aに表示させる。一例として、表示制御部238は、画面、画像(例えば、静止画または動画)、アイコン、テキスト等といった、ヒトが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものを生成してもよいし、例えばディスプレイ4aに視覚情報を表示させるためのレンダリング情報を生成し、これを送信するようにしてもよい。
【0044】
3.情報処理システム1の動作の流れ
本節では、前述した情報処理システム1の動作の流れについて説明する。
【0045】
3.1 情報処理の概要
図3は、情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図に沿って、情報処理の流れを概説する。
【0046】
まず、管理部230は、仮想空間における複数の領域Rと、領域Rそれぞれに関連付けられた領域属性AT1とを管理する(アクティビティA001)。具体的には、管理部230は、記憶部22に記憶されている複数の領域Rを管理し、領域Rそれぞれに関連付けられた領域属性AT1を管理する。
【0047】
領域Rとは、仮想空間の中の一区分である。領域Rは、例えば、ユーザがアバターを介して移動可能な、連続的な仮想空間の範囲のことを指す。具体的には例えば、壁と天井と床とで囲まれた仮想の部屋、ユーザが視認可能または不可能な境界線で囲まれた仮想の街またはフィールド等である。本実施形態において、例えば、管理部230は、領域Rとして、第1ユーザの自室、部署A執務室(特定領域R1の一例)、運動場(特定領域R1とは別の領域R2の一例)等を管理する。
【0048】
領域属性AT1とは、領域Rそれぞれに設定される属性である。領域属性AT1は、例えば、領域Rの印象を表す属性であり、領域Rの雰囲気を統一するため、領域Rの使用目的をユーザに伝えるため、または、ユーザが領域Rから想起し得る印象を限定するために設定される。本実施形態において、管理部230は、第1ユーザの自室の領域属性AT1を「カジュアル」、部署A執務室の領域属性AT1を「フォーマル」、運動場の領域属性AT1を「スポーツ」として管理する。
【0049】
次に、アバター制御部231は、第1ユーザに対応する第1アバターAV1を、第1ユーザの自室内に配置するように制御する(アクティビティA002)。
【0050】
次に、受付部237は、入力デバイス4cによる入力を介して、第1アバターAV1のコーディネートの設定を第1ユーザから受け付ける(アクティビティA003)。具体的には、受付部237は、1以上の領域属性AT1それぞれに対する、アイテムの組み合わせの選択入力を第1ユーザから受け付ける。アイテムは、例えば、表示制御部238がアバターと対応付けて表示させる衣服、装飾品、髪型、化粧、表情、ペット等である。
【0051】
次に、受付部237は、入力デバイス4cによる入力を介して、第1ユーザの自室から、部署A執務室へと第1アバターAV1を移動させるための入力を、第1ユーザから受け付ける(アクティビティA004)。
【0052】
次に、決定部232は、部署A執務室内における第1アバターAV1に関する表示の態様を、部署A執務室に関連付けられた領域属性AT1に応じて決定する(アクティビティA005)。具体的には例えば、決定部232は、「フォーマル」の領域属性AT1に対して予め設定されたアイテムの組み合わせを、部署A執務室における第1アバターAV1のコーディネートとして決定する。
【0053】
次に、通知部234は、第1ユーザに、アクティビティA005において決定された第1アバターAV1のコーディネートの通知をする(アクティビティA006)。具体的には、通知部234は、通信部21を介して、ディスプレイ4aに通知を表示させるための信号を、ゲーム装置3に送信する。通知は、例えば、決定された態様で第1アバターAV1を表示させてよいか否かを、第1ユーザに確認する内容を含む。
【0054】
アクティビティA006において、通知された第1アバターAV1のコーディネートに対する第1ユーザの否認を受け付けた場合には、処理がアクティビティA005に戻る。具体的には、入力デバイス4cを介した第1ユーザの選択入力に応じて、決定部232が第1アバターAV1のコーディネートを再度決定する。
【0055】
一方で、アクティビティA006において、第1アバターAV1のコーディネートに対する第1ユーザの承認を受け付けた場合には、処理が次に進む。すなわち、アバター制御部231は、第1ユーザに対応する第1アバターAV1を、領域Rのうちの1つである部署A執務室内に配置するように制御する(アクティビティA007)。
【0056】
次に、アバター制御部231は、さらに、第1ユーザ以外の第2ユーザに対応する第2アバターAV2を、部署A執務室内に配置するように制御する(アクティビティA008)。すなわち、この時点で部署A執務室内には、第1アバターAV1と、第2アバターAV2とがともに配置されていることとなる。
【0057】
次に、表示制御部238は、第2ユーザに対応する視野において、第1アバターAV1を、決定された態様で表示させる(アクティビティA009)。具体的には、表示制御部238は、部署A執務室内に配置された第1アバターAV1を、アクティビティA005において決定されたアイテムと対応付けた態様で、第2ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示させる。ここで、アクティビティA006~アクティビティA009の処理を他の観点から記載すると、通知部234は、第1アバターAV1を前記第1ユーザ以外の第2ユーザの視野において表示させる前に、第1ユーザに通知をする。
【0058】
次に、通信制御部233は、第1ユーザと第2ユーザとの間における、第1アバターAV1および第2アバターAV2を介したインタラクションを制御する。具体的には例えば、通信制御部233は、通信部21を介して、第1ユーザのゲーム装置3と第2ユーザのゲーム装置3との間における通話を制御する。例えば、第1ユーザのゲーム装置3における入力デバイス4cを介して入力された音声が、第2ユーザのゲーム装置3におけるスピーカ4bを介して再生される。なお、その逆についても同様である。
【0059】
次に、変更部235は、特定の時刻になったことが判定された場合に(アクティビティA011)、部署A執務室の領域属性AT1を変更する(アクティビティA012)。具体的には、変更部235は、部署A執務室に対して設定された時刻に応じて、領域属性AT1を、「フォーマル」から「カジュアル」へと変更する。続いて、管理部230は、部署A執務室に関連付けられた領域属性AT1を「カジュアル」として管理する。部署A執務室に対して設定される時刻は、例えば、現実の任意の場所の時刻、仮想空間において設定される標準時刻等である。なお、特定の時刻になったことが判定されなかった場合には、アクティビティA011から、後述するアクティビティA015までの処理は省略される。
【0060】
次に、決定部232は、第1アバターAV1が部署A執務室内に配置されている状態で領域属性AT1が変更された場合に、第1ユーザによる入力によらずに、別の領域属性AT1に応じて、態様を決定する(アクティビティA013)。具体的には、決定部232は、変更後の領域属性AT1である「カジュアル」に応じて、第1アバターAV1のコーディネートを決定する。例えば、決定部232は、「カジュアル」の領域属性AT1に対して予め設定されたアイテムの組み合わせを、第1アバターAV1のコーディネートとして決定する。
【0061】
次に、通知部234は、第1ユーザに、アクティビティA013において決定された第1アバターAV1のコーディネートの通知をする(アクティビティA014)。アクティビティA014の処理の内容は、アクティビティA006において説明した内容と同様であるため、省略する。
【0062】
アクティビティA014において、第1アバターAV1のコーディネートに対する第1ユーザの承認を受け付けた場合には、次の処理へと進む。すなわち、表示制御部238は、第2ユーザに対応する視野において、第1アバターAV1を、決定された態様で表示させる(アクティビティA015)。具体的には、表示制御部238は、部署A執務室内に配置された第1アバターAV1を、アクティビティA013において決定されたアイテムと対応付けた態様で、第2ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示させる。
【0063】
次に、受付部237は、入力デバイス4cによる入力を介して、部署A執務室から、運動場へと第1アバターAV1を移動させるための入力を、第1ユーザから受け付ける(アクティビティA016)。なお、上記の入力を受け付けなかった場合には、後述のアクティビティA017以降の処理は省略される。
【0064】
次に、決定部232は、第1ユーザによる入力によらずに、運動場に関連付けられた領域属性AT1に応じて、運動場内における第1アバターAV1に関する表示の態様を決定する(アクティビティA017)。具体的には例えば、決定部232は、「スポーツ」の領域属性AT1に対して予め設定されたアイテムの組み合わせを、運動場における第1アバターAV1のコーディネートとして決定する。
【0065】
次に、通知部234は、第1ユーザに、アクティビティA017において決定された第1アバターAV1のコーディネートの通知をする(アクティビティA018)。アクティビティA018の処理の内容は、アクティビティA006において説明した内容と同様であるため、省略する。
【0066】
アクティビティA018において、第1アバターAV1のコーディネートに対する第1ユーザの承認を受け付けた場合には、次の処理へと進む。すなわち、アバター制御部231は、部署A執務室内に配置された第1アバターAV1を、運動場内に配置するように制御する(アクティビティA019)。
【0067】
次に、表示制御部238は、運動場内に配置されている第3ユーザに対応する視野において、第1アバターAV1を、決定された態様で表示させる(アクティビティA020)。具体的には、表示制御部238は、運動場内に配置された第1アバターAV1を、アクティビティA017において決定されたアイテムと対応付けた態様で、第3ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示させる。
【0068】
以上をまとめると、情報処理システム1は、制御部23を備える。制御部23は、次の各部を備える。管理部230は、仮想空間における複数の領域Rと、領域Rそれぞれに関連付けられた領域属性AT1とを管理する。アバター制御部231は、第1ユーザに対応する第1アバターAV1を、領域Rのうちの1つである特定領域R1内に配置するように制御する。決定部232は、特定領域R1内における第1アバターAV1に関する表示の態様を、特定領域R1に関連付けられた領域属性AT1に応じて決定する。
【0069】
これによれば、ユーザの利便性を向上し得るゲームを実現することができる。特に、特定領域R1の印象に合わせて、アバターに関する表示の態様が自動的に決定されることで、ユーザが表示の態様を毎回設定する必要がなくなり、ユーザフレンドリーである。
【0070】
また、第2ユーザに対応する視野において、決定された態様の第1アバターAV1を表示させることで、第1ユーザは、特定領域R1の印象に適合した態様で第1アバターAV1を第2ユーザに視認させることができる。これにより、ユーザ同士のコミュニケーションを促すことが可能な情報処理システム1を実現することができる。
【0071】
また、特定領域R1の印象に適合した態様で表示されるアバターを介した、ユーザ同士のインタラクションを実行することで、より円滑なユーザ同士のコミュニケーションが可能な情報処理システム1を実現することができる。
【0072】
また、特定領域R1から別の領域R2へとアバターの移動が実行される場合に、ユーザの入力によらずにアバターに関する表示の態様が決定されることで、ユーザの利便性がより向上する。ユーザは、領域Rの移動の度にアバターに関する表示の態様を決定する必要がなくなるため、ユーザが仮想空間においてアバターを操作する際に感じるストレスを低減させることができる。
【0073】
また、第1アバターAV1を第2ユーザの視野において表示させる前に第1ユーザに通知をすることで、第1ユーザが望まない表示の態様で第1アバターAV1が第2ユーザに視認されることを防ぐことができる。これにより、よりユーザフレンドリーとなり、ユーザが仮想空間においてアバターを操作する際に感じるストレスを、さらに低減させることができる。
【0074】
また、特定領域R1に関連付けられた領域属性AT1が変化した場合に、ユーザの入力によらずにアバターに関する表示の態様が決定されることで、ユーザの利便性がより向上する。アバターに関する表示の態様が領域Rの状況に応じて自動的に決定されることで、仮想空間においてユーザが感じる違和感を低減することができ、より現実に近い体験をユーザに提供することができる。
【0075】
また、特定領域R1に対して設定された時刻に応じて領域属性AT1を変更することで、時刻の変化によって領域Rの状況が変化したことを、ユーザに印象づけることができる。例えば、職場または学校において休み時間になったこと、職場の就業時間が終了したこと等をユーザに認識させることができ、仮想空間における生活に緩急を与えることができる。また、時刻に応じてアバターに関する表示の態様が変わることで、ユーザ同士の会話が促され、ユーザ同士のより円滑なコミュニケーションが可能となる。
【0076】
3.2 情報処理の詳細
上記概説された情報処理の詳細部分を、図を用いて説明する。
【0077】
<領域管理テーブルT1>
図4は、領域R毎の情報を管理する、領域管理テーブルT1の概要図である。領域管理テーブルT1は、情報として、識別子T11と、領域名T12と、管理者ユーザT13と、領域属性T14(AT1)と、属性制御情報T15と、公開範囲T16とを有する。
【0078】
識別子T11は、領域Rを識別するために、領域R毎に1対1に付される固有の情報である。
【0079】
領域名T12は、各領域Rの名称に関する情報である。
図4においては、ダイキの部屋、部署A執務室、運動場等が例示されている。
【0080】
管理者ユーザT13は、領域Rを管理するユーザを識別する情報である。例えば、管理者ユーザT13は、領域名T12、領域属性T14(AT1)、属性制御情報T15、および公開範囲T16を設定可能なユーザの情報である。
【0081】
領域属性T14(AT1)は、領域Rそれぞれに設定される属性に関する情報である。領域属性T14(AT1)は、具体的には例えば、フォーマル、カジュアル、アーバン、モダン、クール、スタイリッシュ、クラシック、エレガンス、トラディショナル、ボヘミアン、シック、アンティーク、ビンテージ、レトロ、インダストリアル、ナチュラル、カントリー、シンプル、ポップ、キュート、ミニマル、スポーツ、ロック等の、印象を表す属性である。また、領域属性AT1は、具体的には例えば、北欧、アジアン、和風、ミッドセンチュリー等の現実の地域、年代、または文化等の様式を表す属性である。
【0082】
属性制御情報T15は、領域属性AT1の制御に関する情報である。具体的には例えば、変更部235が領域属性AT1を変更する条件に関する情報である。
図4の例では、部署A執務室は、特定の時刻に領域属性AT1が切り替わるように制御される。例えば、部署A執務室の領域属性T14(AT1)は、9時~18時の間は「フォーマル」として設定され、18時~翌9時の間は「カジュアル」として設定されるように制御される。
【0083】
公開範囲T16は、領域Rの公開範囲に関する情報である。公開範囲T16は、具体的には例えば、非公開、特定のグループ等の一部のメンバーのみに公開、情報処理システム1を利用するユーザ全員に公開等が設定可能である。
【0084】
<アイテム管理テーブルT2>
図5は、各ユーザが保有するアイテムをユーザ毎に管理する、アイテム管理テーブルT2の概要図である。アイテム管理テーブルT2は、情報として、識別子T21と、アイテム名T22と、アイテム属性T23(AT2)と、大カテゴリT24と、中カテゴリT25とを有する。
図5の例では、第1ユーザが保有するアイテムを管理するアイテム管理テーブルT2を示す。
【0085】
識別子T21は、アイテムを識別するために、アイテム毎に1対1に付される固有の情報である。
【0086】
アイテム名T22は、アイテムの名称に関する情報である。
図5においては、家Tシャツ、星Tシャツ、猫トレーナー等が例示されている。
【0087】
アイテム属性T23(AT2)は、アイテムに関連付けられて管理される情報である。具体的には例えば、アイテム属性T23(AT2)は、領域属性T14(AT1)と対応して管理される情報である。
図5の例に示すように、管理部230は、1つのアイテムに対して、2つ以上のアイテム属性AT2を関連付けて管理することができる。
【0088】
アバターに関する表示の態様は、第1ユーザの保有するアイテムの中から、特定領域R1に関連付けられた領域属性AT1とアイテム属性AT2との関係に基づいて、第1アバターAV1と対応付けて表示させるアイテムを特定することで決定される。
図4および
図5の例を用いて説明すると、ダイキの部屋(領域Rの一例)においては、領域属性AT1である「カジュアル」に一致するアイテム属性AT2を有するアイテムが特定される。例えば、「カジュアル」のアイテム属性AT2を有するアイテムである、家Tシャツ、星Tシャツ、猫トレーナー等が特定される。これにより、領域Rの印象に適合したアイテムの組み合わせが自動的に特定され、ユーザの利便性がより向上する。
【0089】
大カテゴリT24および中カテゴリT25は、アイテムを分類するカテゴリに関する情報である。中カテゴリT25は、大カテゴリT24をさらに細かく分類するカテゴリである。例えば、大カテゴリが「服装」であれば、中カテゴリはトップス、ボトムス、セット服等となる。なお、不図示ではあるが、トップスを、「ワイシャツ」、「ブラウス」、「ジャケット」等、ボトムスを、「パンツ」、「スカート」等、セット服を、「ワンピース」、「ドレス」等としてさらに細分化することもできる。
【0090】
<コーディネートの設定>
図6は、第1ユーザに対応する視野5a、および第1ユーザに視認されるコーディネート選択画面6の一例を示すイメージ図である。
【0091】
視野5aは、領域50(第1ユーザの自室)に仮想的に配置された、第1アバターAV1の視野(すなわち、第1ユーザに対応する視野)である。視野5aは、具体的には例えば、第1ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示される画面である。視野5aは、領域50(第1ユーザの自室)内に仮想的に配置される表示ウィンドウ51、領域名501、設定内容表示502、仮想オブジェクト503等を含む。
【0092】
領域名501には、領域50の名称が表示される。設定内容表示502には、例えば、領域管理テーブルT1の領域属性T14(AT1)に対応する情報が表示される。
図6の例では、領域50(第1ユーザの自室)の領域属性AT1が「カジュアル」に設定されていることが表示されている。
【0093】
仮想オブジェクト503は、領域50(第1ユーザの自室)内に仮想的に配置される仮想の物体である。仮想オブジェクト503は、例えば、家具、家電、内装、飲食物、建造物、乗り物、動植物、気象現象によって生じる物体、アバター以外のキャラクタ等である。
図6の例では、仮想オブジェクト503は、領域50(第1ユーザの自室)内に置かれた姿見であり、第1ユーザに対応する、第1アバターAV1の現在の表示の態様が示される。
【0094】
例えば、仮想オブジェクト503は、それぞれの仮想オブジェクト503に関連付けられた機能を有するように制御されてもよい。
図6の例では、第1ユーザによる、仮想オブジェクト503(この例では、姿見)の前に第1アバターAV1を移動させる操作に応じて、第1アバターAV1のコーディネートを設定するための表示ウィンドウ51が表示される。
【0095】
表示ウィンドウ51は、領域50(第1ユーザの自室)内に表示される、仮想的な画面である。
図6の例では、表示ウィンドウ51は、タブ511と、操作ボタン512と、アバタープレビュー513とを含む。受付部237は、第1ユーザによる、タブ511と操作ボタン512との選択入力を介して、第1アバターAV1のコーディネートの設定を受け付ける。第1ユーザは、タブ511を切り替えることで、領域属性AT1毎のコーディネートを設定することができる。アバタープレビュー513には、領域属性AT1ごとに設定された、第1アバターAV1に関する表示の態様が、第1ユーザに視認可能な態様で表示される。
【0096】
コーディネート選択画面6は、第1アバターAV1と対応づけて表示させるアイテムの組み合わせの選択入力を、第1ユーザから受け付ける画面である。
図6の例では、コーディネート選択画面6は、「カジュアル」のタブ511が選択された状態で、「服装」の操作ボタン512が第1ユーザによって選択されることで表示された画面である。
【0097】
コーディネート選択画面6は、アバタープレビュー60と、操作ボタン61と、アイテム表示エリア62と、アイテム63とを含む。アイテム表示エリア62には、第1ユーザによって保有されるアイテム63が表示される。
図6の例では、第1ユーザが保有する、「カジュアル」の領域属性AT1を有するアイテムのうち、大カテゴリが「服装」かつ中カテゴリが「トップス」であるアイテムが表示されている。アバタープレビュー60には、第1ユーザによって選択されたアイテム63が、第1アバターAV1に対応付けられた態様で表示される。
【0098】
コーディネート選択画面6または表示ウィンドウ51において、「決定」の操作ボタン61または操作ボタン512が第1ユーザによって選択されることで、第1アバターAV1のコーディネートが設定される。また、例えば、「ショップ」の操作ボタン61が第1ユーザによって選択されたことに応じ、第1ユーザがアイテムを購入可能な画面が表示される。
【0099】
<特定領域R1への移動>
図7は、第1ユーザに対応する視野5bおよび視野5cの一例を示すイメージ図である。視野5bおよび視野5cの説明は、上述の視野5aの説明と同様であるため、省略する。視野5bおよび視野5cは、領域50(第1ユーザの自室)内に仮想的に配置される、表示ウィンドウ52、領域名501、設定内容表示502、および仮想オブジェクト503を含む。
【0100】
図7の例では、仮想オブジェクト503は、領域50(第1ユーザの自室)と他の領域Rとを繋ぐドアである。視野5bの例では、第1ユーザによる、仮想オブジェクト503(この例では、ドア)の前に第1アバターAV1を移動させる操作に応じて、表示ウィンドウ52が表示される。
【0101】
表示ウィンドウ52は、領域50(第1ユーザの自室)内に表示される、仮想的な画面である。視野5bの例では、表示ウィンドウ52は、操作ボタン521を含む。受付部237は、第1ユーザによる操作ボタン512との選択入力を介して、移動先である領域Rの指定を受け付ける。例えば、表示制御部238は、第1ユーザがよく利用する領域Rを移動先の候補として表示させる。また、例えば、第1ユーザによる「移動先一覧」の操作ボタン521の選択に応じて、表示制御部238は、移動可能な領域Rの検索画面を表示させる。
【0102】
決定部232は、「部署A執務室」の操作ボタン521が第1ユーザによって選択され、移動先として部署A執務室が選択されたことに応じて、第1アバターAV1のコーディネートを決定する。続いて、通知部234は、例えば視野5cにおける表示ウィンドウ52の態様で、決定されたコーディネートを第1ユーザに通知する。視野5cの例では、表示ウィンドウ52は、操作ボタン521と、アバタープレビュー522と、表示名プレビュー523とを含む。
【0103】
アバタープレビュー522には、第1アバターAV1の部署A執務室における表示の態様が、第1ユーザに視認可能な態様で表示される。視野5cの例では、部署A執務室の領域属性AT1である「フォーマル」に対応付けて設定された、第1アバターAV1のコーディネートが表示されている。
【0104】
例えば、「OK」の操作ボタン521の選択を介して、第1ユーザによる承認を受け付けた場合に、アバター制御部231は、第1アバターAV1を部署A執務室に配置するように制御する。一方で、「選び直す」の操作ボタン521の選択を介して、第1ユーザによる否認を受け付けた場合には、第1アバターAV1の移動は実行されない。代わりに、表示制御部238がコーディネート選択画面6を表示させ、続いて受付部237が第1ユーザから「フォーマル」の領域属性AT1に対応するコーディネートの選択を受け付ける。
【0105】
表示名プレビュー523には、部署A執務室において第1アバターAV1に対応して表示される、第1ユーザの名称の表示態様が、第1ユーザに視認可能な態様で表示される。視野5cの例では、表示名プレビュー523には、第1ユーザの名称が「佐藤 大樹」として表示されることが示されている。例えば、「表示名設定」の操作ボタン521が第1ユーザに選択されることで、受付部237が名称の表示態様の設定を受け付けることができる。
【0106】
<特定領域R1における第1アバターAV1の表示>
図8は、第2ユーザに対応する視野7aおよび視野7bの一例を示すイメージ図である。第2ユーザとは、第1ユーザ以外のユーザである。例えば、第2ユーザに対応する第2アバターAV2(図示せず)は、領域70(部署A執務室)に仮想的に配置されている。視野7aおよび視野7bは、具体的には例えば、第2ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示される画面である。視野7aおよび視野7bは、領域70(部署A執務室)内に仮想的に配置される、領域名701、設定内容表示702、仮想オブジェクト703、および第1アバターAV1を含む。
【0107】
領域名701には、領域70の名称が表示される。設定内容表示702には、例えば、領域管理テーブルT1の領域属性T14(AT1)および属性制御情報T15に対応する情報が表示される。視野7aの例では、時計の仮想オブジェクト703が午前9時を表しており、領域70(部署A執務室)の領域属性AT1が「フォーマル」に設定されている。一方で、視野7bの例では、時計の仮想オブジェクト703が午後18時過ぎを表しており、領域70(部署A執務室)の領域属性AT1が「カジュアル」に設定されている。例えば、視野7aおよび視野7bにおいて、仮想オブジェクト703は、領域70(部署A執務室)内に仮想的に配置される、机、椅子、時計等の家具である。
【0108】
視野7aおよび視野7bにおいて、第1アバターAV1は、アイテムAV1aおよび表示名AV1bを含む。具体的には、第1アバターAV1には、アイテムAV1aおよび表示名AV1bが対応付けて表示される。視野7aおよび視野7bの例において、アイテムAV1aは、第1アバターAV1の髪型および服装である。アイテムAV1aおよび表示名AV1bは、事前に第1ユーザによって設定された態様で表示される。視野7aにおいては、「フォーマル」の領域属性AT1に対応したアイテムAV1aが、第1アバターAV1の一部として表示されている。視野7bにおいては、「カジュアル」の領域属性AT1に対応したアイテムAV1aが、第1アバターAV1の一部として表示されている。
【0109】
出力音71は、第1ユーザが、第1アバターAV1を介して発話した内容を示している。
図8の例では、出力音71は、第2ユーザのゲーム装置3におけるスピーカ4bから出力される音であり、視野7aには含まれない。この例に示すように、通信制御部233は、複数のユーザ間におけるアバターを介したインタラクションを制御する。インタラクションは、例えば、通話、文字によるチャット、画像(例えば、静止画または動画)によるリアクション、アバターのジェスチャ、アバターの表情等を介した、ユーザ同士のコミュニケーションである。
【0110】
<別の領域R2への移動>
図9は、第1ユーザに対応する視野5dおよび第3ユーザに対応する視野8の一例を示すイメージ図である。
【0111】
視野5dは、例えば、第1ユーザによって、運動場に第1アバターAV1を移動させるための入力がされたことに応じて、第1ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示される画面である。視野5dの説明は、上述の視野5cの説明と同様であるため、省略する。視野5dの例では、アバタープレビュー522には、運動場の領域属性AT1である「スポーツ」に対応付けて設定された、第1アバターAV1のコーディネートが表示されている。視野5dの例では、表示名プレビュー523には、第1ユーザの名称が「ダイキ」として表示されることが示されている。
【0112】
第3ユーザとは、第1ユーザでも第2ユーザでもないユーザである。例えば、第3ユーザに対応する第3アバターAV3(図示せず)は、領域80(運動場)に仮想的に配置されている。視野8は、具体的には例えば、第3ユーザのゲーム装置3におけるディスプレイ4aに表示される画面である。視野8は、領域80(運動場)内に仮想的に配置される、領域名801、設定内容表示802、仮想オブジェクト803、および第1アバターAV1を含む。
【0113】
領域名801には、領域80の名称が表示される。設定内容表示702には、例えば、領域80の領域属性AT1が表示される。視野8の例では、領域80(運動場)の領域属性AT1が「スポーツ」に設定されていることが表示されている。例えば、視野8において、仮想オブジェクト803は、領域80(運動場)内に仮想的に配置される、テニスコートのネット等の建造物である。
【0114】
視野8において、第1アバターAV1は、アイテムAV1aおよび表示名AV1bを含む。具体的には、第1アバターAV1には、アイテムAV1aおよび表示名AV1bが対応付けて表示される。視野8の例において、アイテムAV1aは、第1アバターAV1の髪型、服装、および装飾品である。視野8の例では、「スポーツ」の領域属性AT1に対応したアイテムAV1aが、第1アバターAV1の一部として表示されている。
【0115】
[その他]
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような変形例を採用してもよい。
【0116】
一変形例において、ユーザが移動可能な連続的な仮想空間の範囲内に、複数の領域Rが存在してもよい。例えば、その場所に設定された目的、仮想の住所、表示の態様の違い等によって識別されるエリアが、領域Rとされてもよい。具体的には例えば、1つの連続的な仮想空間(例えば、街または部屋)の中において、イベント会場に設定されたエリア、特定の権利を有するユーザのみが入れるエリア、カーペットの色等で他と区別されるエリア等であってよい。
【0117】
一変形例において、アバターのコーディネートは、ユーザの選択によって設定されなくてもよい。例えば、
図6の表示ウィンドウ51において、「おまかせ」の操作ボタン512が第1ユーザによって選択されることで、手持ちのアイテムの中から、推奨されるアイテムの組み合わせが特定されてもよい。
【0118】
一変形例において、アバターに関する表示とは、アバターの服装等に限らず、以下の例であってもよい。例えば、アバターに関する表示は、アバターを表示させるための表示枠の態様、アバターを輝かせる等の特殊効果、アバターに対応付けて表示させる表示名の態様(例えば、文字のフォント、大きさ、色、背景色)等であってもよい。ユーザの選択によって、これらの表示の態様が、領域属性AT1毎に設定可能であってよい。また、アバターは、人間に限定される必要はなく、例えば、動物、空想上の生物、これらをモチーフにしたキャラクタ等であってもよい。一例において、アバターの肌の色、目の色、髪の色、表情等がユーザによって選択可能であってもよい。
【0119】
一変形例において、ユーザは、情報処理システム1において複数のアカウントを保有してもよい。この例において、領域属性AT1と、特定のアカウントとを関連付ける設定が、ユーザによって行われてもよい。例えば、領域属性AT1が「フォーマル」の領域Rにおいては、仕事用のアカウントに紐づけて設定された「フォーマル」のコーディネートが表示されてもよい。または、例えば、ユーザの職場の領域Rにおいては、仕事用のアカウントに紐づけて設定された、領域属性AT1毎のコーディネートが表示されてもよい。
【0120】
一変形例において、アバターに関する表示の態様は、特定領域R1に関連付けられた領域属性AT1と、別の領域R2に関連付けられた領域属性AT1との関係に応じて決定されてもよい。具体的には例えば、ユーザによって「カジュアル」の領域Rから「フォーマル」の領域Rへとアバターの移動が行われた場合、移動後のアバターが一定時間輝く、アバターが特別な装飾品を身に付ける等の態様としてよい。これにより、ユーザに特別感を与えることができる。また、ユーザ同士の会話のきっかけを作ることができ、ユーザ同士のより円滑なコミュニケーションが可能となる。
【0121】
また、別の一変形例において、アバターに関する表示の態様は、変更前と変更後の領域属性AT1の関係性に基づいて決定される。具体的には例えば、領域Rの領域属性AT1が「カジュアル」から「フォーマル」変更された場合、変更後のアバターが一定時間輝く、アバターが特別な装飾品を身に付ける等の態様としてよい。これにより、ユーザに特別感を与えることができる。また、ユーザ同士の会話のきっかけを作ることができ、ユーザ同士のより円滑なコミュニケーションが可能となる。
【0122】
上記の実施形態では、特定の時刻になった場合に、変更部235が特定領域R1に関連付けられた領域属性AT1を変形する例について説明したが、以下の変形例としてもよい。例えば、変更部235は、特定領域R1に対して設定された環境情報IFに基づいて、領域属性AT1を変更してよい。環境情報IFとは、領域内の環境を定義するための情報であり、かつ、ユーザが、ユーザ自身の五感によって認識可能な情報である。例えば、環境情報IFは、領域Rに設定された天気、気温、聴覚情報もしくは触覚情報、または領域Rに設置されている仮想オブジェクトの種類等であってよい。ここで、聴覚情報とは、アバターを領域R内に配置させている間に、ゲーム装置3のスピーカ4bから出力される音楽または効果音に関する情報であってよい。また、触覚情報とは、アバターを領域R内に配置させている間に、入力デバイス4cから出力される振動等に関する情報であってよい。例えば、
図4に示すように、領域Rの1つであるKanaの部屋は、領域R内に設定された家具オブジェクトの属性に応じて領域属性AT1を変更するように制御される。アバターに関する表示の態様が、領域Rの状況に応じて自動的に決定されることで、より現実に近い体験をユーザに提供することができ、ユーザの仮想空間における体験がより楽しくなる。
【0123】
一変形例において、決定されたコーディネートの通知(
図3におけるアクティビティA006、アクティビティA014、およびアクティビティA018)のうち1以上が省略されてもよい。
図8の例のように、特定の時刻に応じて特定領域R1の領域属性AT1が変更される場合、その旨が特定領域R1への移動前に、第1ユーザに通知されてもよい。例えば、通知部234が、領域属性AT1の変更が実行される時間帯、変更後の領域属性AT1を第1ユーザに通知し、続いて受付部237がコーディネートの設定を第1ユーザから受け付けてもよい。
【0124】
一変形例において、領域Rの領域属性AT1が変更された場合であっても、アバターに関する表示の態様を変えないことをユーザが選択可能であってもよい。例えば、部署A執務室において、昼休みの時間帯だけ領域属性AT1が「カジュアル」に設定されていた場合、ユーザは、アイテム属性AT2が「フォーマル」のアイテムを表示させ続けることを選択することもできる。一例において、変更後の領域属性AT1に対応する、ユーザの手持ちアイテムがない場合に、その旨が領域Rへの移動前にユーザに通知されてよい。その場合において、表示制御部238は、ユーザがアイテムを購入可能なショップへの移動導線(例えば、移動を受け付けるボタン、リンク等)を表示してよい。ここで、ショップとは、アイテム購入が可能な画面であってもよく、ユーザがアバターを操作して商品を見て回ることが可能な領域Rの1つであってもよい。
【0125】
また、別の変形例において、領域属性AT1の変更に応じてアバターに関する表示の態様が変更されなかったユーザに対して、通知部234がその旨を後から通知してもよい。例えば、ユーザの自室へのアバターの移動が実行された後に、上記の通知がなされてもよい。さらに、別の変形例において、通知部234は、アバターに関する表示の態様が変更されなかった他のユーザが存在した場合に、他のユーザと一緒にアイテムの買い物に行くことを推奨する旨を、ユーザに通知してもよい。
【0126】
一変形例において、さらに、領域生成部236が、複数の領域Rに基づいて新領域R3を生成してもよい。新領域R3の領域属性AT1は、複数の領域Rのうち少なくとも1つの領域Rに関連付けられた領域属性AT1に基づいて決定される。
図10は、変形例を説明するためのイメージ図である。視野5eは、領域Rの1つである領域55(Kanaの部屋)に仮想的に配置された第1アバターAV1の視野(すなわち、第1ユーザに対応する視野)である。領域55(Kanaの部屋)には、さらに、第2ユーザに対応する第2アバターAV2と、第3ユーザに対応する第3アバターAV3が配置されている。
【0127】
出力音54aは、第1ユーザのゲーム装置3におけるスピーカ4bから出力された、第2ユーザが発話した音声の内容を示し、入力音54bは、第1ユーザが発話し、入力デバイス4c入力した音声の内容を示している。視野5eの例では、第1ユーザと第2ユーザの通話により、2人の部屋を合成することが決定された場面を表している。表示ウィンドウ9は、第1ユーザに対応する視野に表示されるウィンドウである。表示ウィンドウ9には、生成された新しい部屋に移動する旨が表示されている。表示ウィンドウ9についての他の説明は、
図7における表示ウィンドウ52の説明と同様であるため、省略する。
【0128】
視野5fは、新領域R3である領域56(新しい部屋)に仮想的に配置された第1アバターAV1の視野(すなわち、第1ユーザに対応する視野)である。生成された領域56(新しい部屋)に関する情報は、管理部230によって管理されてよい。領域56(新しい部屋)の領域属性AT1は、元の部屋の領域属性AT1である「カジュアル」および「スポーツ」のうちの何れか1つが採用されてもよい。視野5fの例に示すように、領域56(新しい部屋)の領域属性AT1には、「カジュアル」および「スポーツ」を合成した「スポーツカジュアル」が採用されてもよい。これにより、仮想空間において、ユーザ同士が集まることがより容易になる。また、ユーザの仮想空間における体験がより楽しくなる。
【0129】
上記の例のように、複数の領域属性AT1を合成して生成された領域属性AT1が、新領域R3に対して設定可能であってよい。新領域R3の領域属性AT1が「スポーツカジュアル」である場合、「スポーツ」、「カジュアル」、または「スポーツカジュアル」のアイテム属性AT2を有するアイテムが、アバターに対応付けて表示されてよい。一例において、ユーザが、アバターのコーディネートを「スポーツカジュアル」のアイテムのみの組み合わせで設定した場合、新領域R3におけるアバターの表示が特別な態様にされてもよい。特別な態様は、例えば、アバターが一定時間輝く、アバターとともにファッション上級者の証であるマークが表示される、服装アイテムに協賛企業のロゴ等が表示される等であってよい。特別なアイテムが表示された場合、ユーザがそのアイテムを保有することが可能であってもよい。
【0130】
一変形例において、アバターに関する表示の態様は、さらに、前記第1ユーザが前記第1アバターを介して行った行動の履歴に基づいて決定されてよい。例えば、ユーザが、就業時間の開始直前に、自室から勤務先の領域Rへと移動した場合に、アバターの服装や髪型が乱れた態様(例えば、スーツの上着からシャツがはみ出している、スーツのズボンからシャツがはみ出している、アバターが汗をかいて服にしみができている等の態様)で表示されてもよい。この場合、ユーザに対応付けて管理される、仮想空間における行動予定(例えば、現実の時刻に対応するスケジュールの情報)と、実際にユーザが行動した時刻とに基づいて、アバターに関する表示の態様が決定されてもよい。これにより、仮想空間における体験に不自由さを敢えて残すことができ、より現実に近い体験をユーザに提供することができる。また、ユーザ同士のコミュニケーションのきっかけを作ることができる。
【0131】
別の一例として、特定領域R1および別の領域R2のそれぞれに対応付けられた気候の情報(例えば、天気、気温、湿度等の情報)に基づいて、移動先である別の領域R2における、アバターに関する表示の態様が決定されてもよい。例えば、特定領域R1に設定された気温が閾値以上であり、別の領域R2に設定された気温が閾値以下である場合に、アバターが別の領域R2に移動してから一定の時間、アバターが汗をかいて服にしみができている態様で表示されてよい。一例において、領域Rに対応付けられる気候の情報は、現実の気候の情報と関連付けられていてもよい。
【0132】
一変形例において、特定領域R1から別の領域R2への移動は、ユーザがアバターを操作することによって行われてもよい。具体的には、ユーザに操作されるアバターが、仮想空間において、街の中を歩く、電車やバス等に乗る等の行動を行い、現実世界における移動が再現されてもよい。一例として、ユーザに操作されるアバターが、特定領域R1から別の領域R2へと移動する際に、街である領域Rを経由してもよい。この例において、街である領域Rに設定された気温が閾値以上であり、領域Rにおいてユーザがアバターを走らせる操作をした場合に、アバターが別の領域R2に移動してから一定の時間、アバターが汗をかいて服にしみができている態様で表示されてよい。
【0133】
実施形態の一側面は、情報処理方法であってもよい。その情報処理方法は、情報処理システム1の各ステップを備える。また、実施形態の別の一側面は、プログラムであってもよい。そのプログラムは、情報処理システム1における各ステップを、コンピュータに実行させる。
【0134】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理システムにおいて、前記アバター制御ステップでは、さらに、前記第1ユーザ以外の第2ユーザに対応する第2アバターを、前記特定領域内に配置するように制御し、さらに、表示ステップでは、前記第2ユーザに対応する視野において、前記第1アバターを、決定された態様で表示させる、もの。
前記情報処理システムにおいて、さらに、通信制御ステップでは、前記第1ユーザと前記第2ユーザとの間における、前記第1アバターおよび前記第2アバターを介したインタラクションを制御する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記アバター制御ステップでは、前記特定領域内に配置された第1アバターを、前記特定領域とは別の領域内に配置するように制御し、前記決定ステップでは、前記第1ユーザによる入力によらずに、前記別の領域に関連付けられた領域属性に応じて前記態様を決定する、もの。
前記情報処理システムにおいて、さらに、通知ステップでは、前記第1アバターを、前記第1ユーザ以外の第2ユーザの視野において表示させる前に、前記第1ユーザに通知をし、ここで前記通知は、決定された態様で前記第1アバターを表示させてよいか否かを、前記第1ユーザに確認する内容を含む、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記態様は、前記特定領域に関連付けられた領域属性と、前記別の領域に関連付けられた領域属性との関係に応じて決定される、もの。
前記情報処理システムにおいて、さらに、変更ステップでは、前記特定領域に関連付けられた前記領域属性を、別の領域属性へと変更し、前記決定ステップでは、前記第1アバターが前記特定領域内に配置されている状態で前記領域属性が変更された場合に、前記第1ユーザによる入力によらずに、前記別の領域属性に応じて、前記態様を決定する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記変更ステップでは、前記特定領域に対して設定された時刻に応じて、前記領域属性を変更する、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記変更ステップでは、前記特定領域に対して設定された環境情報に基づいて、前記領域属性を変更し、ここで前記環境情報とは、前記領域内の環境を定義するための情報であり、かつ、ユーザが、前記ユーザ自身の五感によって認識可能な情報である、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記態様は、変更前と変更後の領域属性の関係性に基づいて決定される、もの。
前記情報処理システムにおいて、さらに、領域生成ステップでは、複数の前記領域に基づいて新領域を生成し、前記新領域の領域属性は、複数の前記領域のうち少なくとも1つの領域に関連付けられた領域属性に基づいて決定される、もの。
前記情報処理システムにおいて、前記態様は、前記第1ユーザの保有するアイテムの中から、前記特定領域に関連付けられた領域属性とアイテム属性との関係に基づいて、前記第1アバターと対応付けて表示させるアイテムを特定することで決定され、ここで前記アイテム属性とは、前記アイテムに関連付けられて管理される情報である、もの。
プログラムであって、前記情報処理システムにおける各ステップを、コンピュータに実行させる、もの。
もちろん、この限りではない。
【0135】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された開示とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 :情報処理システム
11 :通信ネットワーク
2 :情報処理装置
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :制御部
230 :管理部
231 :アバター制御部
232 :決定部
233 :通信制御部
234 :通知部
235 :変更部
236 :領域生成部
237 :受付部
238 :表示制御部
3 :ゲーム装置
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :制御部
34a :グラフィック処理部
34b :オーディオ処理部
34c :操作部
4a :ディスプレイ
4b :スピーカ
4c :入力デバイス
5a :視野
5b :視野
5c :視野
5d :視野
5e :視野
5f :視野
50 :領域
501 :領域名
502 :設定内容表示
503 :仮想オブジェクト
51 :表示ウィンドウ
511 :タブ
512 :操作ボタン
513 :アバタープレビュー
52 :表示ウィンドウ
521 :操作ボタン
522 :アバタープレビュー
523 :表示名プレビュー
53 :領域
54a :出力音
54b :入力音
55 :領域
551 :仮想オブジェクト
56 :領域
6 :コーディネート選択画面
60 :アバタープレビュー
61 :操作ボタン
62 :アイテム表示エリア
63 :アイテム
7a :視野
7b :視野
70 :領域
701 :領域名
702 :設定内容表示
703 :仮想オブジェクト
71 :出力音
8 :視野
80 :領域
801 :領域名
802 :設定内容表示
803 :仮想オブジェクト
9 :表示ウィンドウ
91 :操作ボタン
92 :アバタープレビュー
93 :表示名プレビュー
AT1 :領域属性
AT2 :アイテム属性
AV1 :第1アバター
AV1a :アイテム
AV1b :表示名
AV2 :第2アバター
AV2a :アイテム
AV2b :表示名
AV3 :第3アバター
AV3a :アイテム
AV3b :表示名
IF :環境情報
R :領域
R1 :特定領域
R2 :別の領域
R3 :新領域
T1 :領域管理テーブル
T11 :識別子
T12 :領域名
T13 :管理者ユーザ
T14 :領域属性
T15 :属性制御情報
T16 :公開範囲
T2 :アイテム管理テーブル
T21 :識別子
T22 :アイテム名
T23 :アイテム属性
T24 :大カテゴリ
T25 :中カテゴリ