(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】評価システムおよび評価装置
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20240327BHJP
G01R 29/26 20060101ALI20240327BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G01R29/08 D
G01R29/26 E
G01R31/28 P
G01R31/28 L
(21)【出願番号】P 2020042397
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝村 俊介
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜也
(72)【発明者】
【氏名】徳永 英晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵治
(72)【発明者】
【氏名】野添 研治
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-237099(JP,A)
【文献】特開2007-316054(JP,A)
【文献】特許第7253724(JP,B2)
【文献】特開2013-246043(JP,A)
【文献】特開2014-240775(JP,A)
【文献】特開2000-74969(JP,A)
【文献】特開2005-241645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0276614(US,A1)
【文献】野添研治;勝村俊介;徳永英晃;小林恵治;井上竜也,「車載LANのESD対策」,2017 第27回RCJ信頼性シンポジウム発表論文集,2017年11月,pp. 27-30,ISSN 1349-6379
【文献】“車載LAN(Ethernet)のESD対策”,パナソニックインダストリー株式会社,2018年10月29日,https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/p2
【文献】畑山仁,「高速シリアルI/F物理層で使用する測定器」,RFワールド,CQ出版株式会社,2019年05月01日,No. 46,pp. 46-59,特に、第54頁左欄第8行~第14行
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/00-29/26
G01R 31/28-31/3193
G01R 13/99-13/42
G01R 23/16-23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象内のノイズの伝搬を評価する評価装置と、前記評価装置に接続されたプローブと、を備えた評価システムであって、
前記プローブは、
印加電圧と前記印加電圧により内部を流れる電流とが比例しない非線形特性を示す
前記測定対象
に対して前記測定対象の外部から入力されたノイズである入力信号
が前記測定対象内を伝搬し前記測定対象の測定領域から出力される出力信号を、該測定領域に対して非接触で検知し、
前記評価装置は、
前記出力信号と、前記プローブ
の周波数と強度との関係を表す周波数特性であるゲイン特性によって表されるゲインの逆数および前記プローブの周波数と位相との関係を表す周波数特性である位相特性によって表される位相の逆位相の少なくとも一方である補正
係数と、の畳み込み積分により、前記出力信号の時間変化を示すノイズ波形を計算する計算部、
を備える、
評価システム。
【請求項2】
前記入力信号は、
前記非線形特性を示す電気的または電磁的な動作である非線形動作
を前記測定対象にさせる、閾値以上の強度の
電圧である、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記評価装置は、
前記ノイズ波形に含まれる、
予め設定された評価対象外の周波数領域の成分である特定周波数成分を減衰させる減衰部、
を更に備える、
請求項1
または請求項
2に記載の評価システム。
【請求項4】
前記評価装置は、
前記測定対象に含まれる複数の前記測定領域の各々の、前記ノイズ波形
の振幅によって表されるノイズの強度
を示す画像を表示装置に表示する出力制御部、
を更に備える、
請求項1~請求項
3の何れか1項に記載の評価システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、
前記測定対象の画像に
前記測定対象に含まれる複数の前記測定領域の各々の前記ノイ
ズの強
度を示す画像を重ねた画像を、前記表示装置に表示する、
請求項
4に記載の評価システム。
【請求項6】
測定対象内のノイズの伝搬を評価する評価装置であって、
印加電圧と前記印加電圧により内部を流れる電流とが比例しない非線形特性を示す前記測定対象に対して前記測定対象の外部から入力されたノイズである入力信号が前記測定対象内を伝搬し前記測定対象の測定領域から出力される出力信号を、該測定領域に対して非接触で検知するプローブ
の周波数と強度との関係を表す周波数特性であるゲイン特性によって表されるゲインの逆数および前記プローブの周波数と位相との関係を表す周波数特性である位相特性によって表される位相の逆位相の少なくとも一方である補正
係数と、出力信号と、の畳み込み積分により、前記出力信号の時間変化を示すノイズ波形を計算する計算部、
を備え
る、
評価装置。
【請求項7】
前記入力信号は、
前記非線形特性を示す電気的または電磁的な動作である非線形動作
を前記測定対象にさせる、閾値以上の強度の
電圧である、
請求項
6に記載の評価装置。
【請求項8】
前記評価装置は、
前記ノイズ波形に含まれる、
予め設定された評価対象外の周波数領域の成分である特定周波数成分を減衰させる減衰部、
を更に備える、
請求項
6または請求項
7に記載の評価装置。
【請求項9】
前記測定対象に含まれる複数の前記測定領域の各々の、前記ノイズ波形
の振幅によって表されるノイズの強度
を示す画像を表示装置に表示する出力制御部、
を更に備える、
請求項
6~請求項
8の何れか1項に記載の評価装置。
【請求項10】
前記出力制御部は、
前記測定対象の画像に
前記測定対象に含まれる複数の前記測定領域の各々の前記ノイズの強度を示す画像を重ねた画像を、前記表示装置に表示する、
請求項
9に記載の評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、評価システムおよび評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器を構成するプリント基板などの測定対象内のノイズ伝搬を可視化するシステムが知られている。例えば、ノイズを模擬した入力信号を測定対象に印加し、測定対象からの出力信号を検知することで、入力信号が測定対象内でどのように伝搬しているかを可視化するシステムが知られている。そして、可視化結果を用いて、測定対象の電磁環境適合性(EMC:ElectroMagnetic Compatibility)を評価する方法が知られている。ここで、可視化結果には、印加した入力信号とは異なる要素に起因する信号成分が含まれる場合がある。そこで、印加した入力信号の伝搬経路を高精度に可視化する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、既知の識別信号で変調した高周波信号を測定対象に印加し、測定対象から発生する高周波信号を復調した信号が該識別信号を含む場合に、該高周波信号が印加された高周波信号に対する出力信号であると判別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、測定対象が非線型特性を示す場合には、測定対象から出力された高周波信号を復調することが出来ず、測定対象内のノイズ伝搬について、正確な評価結果を得る事が困難な場合があった。
【0006】
本開示は、非線形特性を示す測定対象内のノイズ伝搬について、より正確な評価結果を得ることができる、評価システムおよび評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態の評価システムは、測定対象内のノイズの伝搬を評価する評価装置と、評価装置に接続されたプローブと、を備える。プローブは、印加電圧と前記印加電圧により内部を流れる電流とが比例しない非線形特性を示す前記測定対象に対して前記測定対象の外部から入力されたノイズである入力信号が前記測定対象内を伝搬し前記測定対象の測定領域から出力される出力信号を、該測定領域に対して非接触で検知する。評価装置は、計算部を備える。計算部は、前記出力信号と、前記プローブの周波数と強度との関係を表す周波数特性であるゲイン特性によって表されるゲインの逆数および前記プローブの周波数と位相との関係を表す周波数特性である位相特性によって表される位相の逆位相の少なくとも一方である補正係数と、の畳み込み積分により、前記出力信号の時間変化を示すノイズ波形を計算する。
【発明の効果】
【0008】
非線形特性を示す測定対象内のノイズ伝搬について、より正確な評価結果を得ることができる、評価システムおよび評価装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る評価システムの一例の概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る入力信号の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る評価装置のハードウェア構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る評価装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図5A】
図5Aは、実施形態に係るプローブの周波数特性の一例の説明図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態に係るプローブの周波数特性の一例の説明図である。
【
図6】
図6は、従来のノイズ波形の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るノイズ波形の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るノイズ波形の一例を示す模式図である。
【
図9A】
図9Aは、実施形態に係るノイズ強度分布図の説明図である。
【
図9B】
図9Bは、実施形態に係るノイズ強度分布図の説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る評価装置で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる評価システムおよび評価装置の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の評価システム1の一例の概略構成図である。
【0012】
評価システム1は、評価装置2と、プローブ3と、ノイズ注入器4と、支持部5と、駆動機構6と、位置コントローラ7と、を備える。評価装置2と、プローブ3および位置コントローラ7とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0013】
評価システム1は、評価装置2と、プローブ3と、を少なくとも備える構成であればよい。このため、評価システム1は、ノイズ注入器4、支持部5、駆動機構6、および位置コントローラ7、の少なくとも1つを備えない構成であってもよい。
【0014】
評価装置2は、測定対象8内のノイズ伝搬を評価する装置である。評価装置2の詳細は後述する。
【0015】
測定対象8とは、評価システム1によって評価される対象の一例であり、非線形特性を示す。非線形特性を示す、とは、印加電圧に対して比例的に動作しない特性を意味する。言い換えると、非線形特性を示す、とは、電圧印加により内部抵抗変化が生じることで、内部を流れる電流が印加電圧に比例しない特性を意味する。
【0016】
測定対象8は、非線形特性を示す非線形領域を1または複数備える。非線形領域とは、非線形動作する閾値以上の強度の電圧印加により、非線形特性を示す領域である。非線形動作とは、非線形特性を示す電気的または電磁的な動作である。なお、測定対象8の全領域が、非線形特性を示す非線形領域であってもよい。また、測定対象8に含まれる複数の非線形領域が非線形動作する電圧の強度は、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
【0017】
なお、測定対象8によっては、印加電圧が非線形動作する閾値を超えた後に低下する、スナップバック特性を示すものもある。このため、スナップバック特性を示す測定対象8については、該低下し始める電圧を、“非線形動作する閾値”とみなすものとする。
【0018】
測定対象8は、非線形特性を示す対象であればよい。測定対象8は、例えば、電子機器を構成する電子部品である。電子部品は、非線形特性を示す。電子部品は、例えば、ダイオード、トランジスタ、などである。また、測定対象8は、例えば、所定の配線パターンが形成されたプリント基板上に各種電子部品が実装されたプリント回路板などであってもよい。
【0019】
プローブ3は、測定対象8が有する測定領域9から出力される出力信号を、該測定領域9に対して非接触で検知する。測定領域9は、プローブ3によって出力信号が検知される領域である。測定領域9および出力信号の詳細は後述する。
【0020】
プローブ3により検知された出力信号は、評価装置2に入力される。プローブ3は、電界を測定可能なプローブ、および、磁界を測定可能なプローブ、の何れであってもよい。また、プローブ3は、電界および磁界の双方を測定可能なプローブであってもよい。なお、評価システム1に用いるプローブ3の構成および性能は、評価システム1による評価目的などに応じて適宜決定すればよい。
【0021】
プローブ3は、支持部5を介して駆動機構6に支持されている。駆動機構6は、プローブ3を測定対象8に対して非接触な状態で維持する。非接触な状態とは、測定対象8の板面の厚み方向(矢印Z方向)に間隔を隔てて位置した状態を意味する。また、駆動機構6は、測定対象8に対して非接触な状態を維持したまま、プローブ3を測定対象8の板面に沿って移動させる。
【0022】
測定対象8の板面とは、測定対象8を構成するプリント基板の板面に沿った二次元平面である。本実施形態では、この二次元平面が、矢印X方向および矢印Y方向から構成される場合を一例として説明する。以下では、この二次元平面を、XY平面と称して説明する場合がある。矢印X方向および矢印Y方向は、互いに直交する方向である。上記矢印Z方向は、矢印X方向および矢印Y方向に対して直交する方向である。本実施形態では、Z方向は、プローブ3と測定対象8とが近付く方向および離れる方向に対して平行である場合を一例として説明する。
【0023】
駆動機構6は、位置コントローラ7に電気的に接続されている。位置コントローラ7は、評価装置2によって制御される。位置コントローラ7は、評価装置2による制御に基づいて駆動機構6を制御する。駆動機構6の制御によって、支持部5を介して駆動機構6に支持されたプローブ3が、測定対象8から矢印Z方向に間隔を隔てた状態で、XY平面に沿って走査される。
【0024】
なお、プローブ3が指向性を有する場合がある。この場合、駆動機構6は、Z軸方向を回転軸としてプローブ3を回転駆動させてもよい。
【0025】
プローブ3がXY平面に沿って走査されることで、プローブ3によって検知される測定領域9が変化する。
【0026】
測定領域9とは、上述したように、測定対象8における、プローブ3によって出力信号が検知される領域である。言い換えると、測定領域9とは、測定対象8における、評価システム1が評価対象とする領域である。測定対象8は、1または複数の測定領域9を有する。
【0027】
例えば、測定領域9は、測定対象8に沿ったXY平面における所定の測定範囲内に、予め複数設定されている。具体的には、測定対象8に沿ったXY平面について、矢印X方向に等間隔でn列、矢印Y方向に等間隔でm行、の測定領域9が予め設定されている。nおよびmの値、測定領域9の間隔、並びに測定領域9の位置は、評価システム1による評価目的などに応じて適宜決定すればよい。
【0028】
なお、測定対象8におけるXY平面に沿った全領域が、1または複数の測定領域9によって占められていてもよい。また、測定対象8におけるXY平面に沿った全領域の内の一部の領域が、1または複数の測定領域9によって占められていてもよい。
【0029】
ノイズ注入器4は、測定対象8に入力信号を入力するための装置である。
【0030】
入力信号とは、測定対象8に対して印加される信号である。言い換えると、入力信号は、測定対象8に対して外部から侵入するノイズに相当する。すなわち、入力信号は、ノイズを模擬した信号である。入力信号は、例えば、パルス状の信号、正弦波の信号、などであるが、これらに限定されない。
【0031】
図2は、入力信号50の一例を示す模式図である。本実施形態では、入力信号50が、
図2に示す、パルス状の入力信号50である形態を一例として説明する。
図2中、横軸は時間を示し、縦軸は信号の強度を示す。例えば、入力信号50は、所定強度のピークを示す高周波成分H1を含む高周波期間P1と、該高周波成分H1の後に徐々に振幅が減衰していく期間である減衰期間P2と、から構成される。なお、入力信号50は、
図2に示す形態に限定されない。
図2には、入力信号50の減衰期間P2に、高周波期間P1から定常期間Q2に向かって徐々に振幅が減衰していく振幅期間Q1と、振幅が略定常状態となる定常期間Q2と、を含む形態を一例として示した。
【0032】
本実施形態では、ノイズ注入器4は、測定対象8が非線形動作する閾値以上の強度の入力信号を、測定対象8に入力することが好ましい。詳細には、ノイズ注入器4は、測定対象8に含まれる何れかの非線形領域に伝搬したときの信号の強度が、該非線形領域が非線形動作する閾値以上の強度となる入力信号を、測定対象8に入力することが好ましい。
【0033】
図1に戻り説明を続ける。ノイズ注入器4は、入力信号を発生する機器であればよい。例えば、ノイズ注入器4は、ESD(ElectroStatic Discharge)ガン、プローブに接続された信号入力装置、などである。
【0034】
ノイズ注入器4は、電源線または信号線等のハーネス12に入力信号50を印加する。ハーネス12は、コネクタ10を介して測定対象8に接続されている。このため、ノイズ注入器4から印加された入力信号は、ハーネス12およびコネクタ10を介して測定対象8に印加される。なお、ハーネス12は、コネクタ10を介さずに測定対象8に接続されていてもよい。この場合、例えば、ハーネス12を測定対象8にはんだ付けした構成とすればよい。
【0035】
なお、ノイズ注入器4は、バルクカレントインジェクション(BCI)プローブなどにより、ハーネス12を介して測定対象8へ入力信号50を印加してもよい。また、ノイズ注入器4は、DPI(Direct Power Injection)法により、入力信号50を測定対象8へ直接印加してもよい。例えば、ノイズ注入器4は、電気配線を介して測定対象8へ入力信号50を直接印加してもよい。また、ノイズ注入器4は、ACカップリングのコンデンサを経由して、ハーネス12へ入力信号50を直接印加してもよい。ハーネス12への入力信号50の印加方法は限定されない。例えば、カップリングクランプなどを用いて、ハーネス12へ入力信号50を印加してもよい。なお、ノイズ注入器4は、測定対象8に入力信号50を直接印加してもよい。
【0036】
ノイズ注入器4によって入力信号が測定対象8に印加されると、印加された入力信号は測定対象8内を伝搬する。測定対象8内を伝搬した入力信号は、プローブ3の位置する測定領域9に伝搬することで、プローブ3によって出力信号として検知される。
【0037】
出力信号とは、測定対象8に入力信号を印加または入力したときに、該測定対象8の測定領域9から出力される信号である。言い換えると、出力信号とは、測定対象8に侵入したノイズを模擬した入力信号が該測定対象8内を伝搬し、測定領域9から出力した信号である。出力信号は、例えば、磁界あるいは電界である。本実施形態では、出力信号は、あるタイミングで出力された信号強度を示す情報である。このため、出力信号の時間変化が、測定領域9のノイズ波形を示すものとなる。
【0038】
プローブ3は、測定対象8への入力信号50に対して測定領域9から出力される出力信号を、該測定領域9に対して非接触で検知する。なお、入力信号50に対して測定領域9から出力される出力信号とは、測定対象8に入力信号50が入力されたときに、該入力信号の入力によって測定領域9から出力される出力信号を意味する。
【0039】
本実施形態では、評価装置2とノイズ注入器4とを、別体として構成した形態を一例として説明する。しかし、評価装置2とノイズ注入器4とをデータまたは信号授受可能に接続した構成であってもよい。この場合、評価装置2の制御によって、ノイズ注入器4による入力信号の強度や印加タイミングなどを制御してもよい。また、評価装置2とノイズ注入器4とを一体的に構成してもよい。
【0040】
次に、評価装置2について詳細に説明する。まず、評価装置2のハードウェア構成を説明する。
【0041】
図3は、評価装置2のハードウェア構成図の一例である。
【0042】
評価装置2は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、およびI/F20D等がバス20Eにより相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0043】
CPU20Aは、本実施形態の評価装置2を制御する演算装置である。ROM20Bは、CPU20Aによる処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM20Cは、CPU20Aによる処理に必要なデータを記憶する。I/F20Dは、データを送受信するためのインターフェースである。
【0044】
本実施形態の評価装置2で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM20B等に予め組み込んで提供される。なお、本実施形態の評価装置2で実行されるプログラムは、評価装置2にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
【0045】
図4は、評価装置2の構成の一例を示す模式図である。
【0046】
評価装置2は、プローブ3から受信した出力信号を用いて、測定対象8内のノイズ伝搬を評価する。評価装置2は、例えば、オシロスコープに適用することができる。また、評価装置2は、出力信号の受信と後述するノイズ波形の計算をリアルタイムで行うリアルタイムオシロスコープに適用することも可能である。
【0047】
評価装置2は、制御部30と、表示装置32と、を備える。制御部30と表示装置32とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0048】
表示装置32は、各種の情報を表示する。表示装置32は、例えば、公知のLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)などである。
【0049】
制御部30は、受信部30Aと、計算部30Bと、減衰部30Cと、出力制御部30Dと、位置制御部30Eと、を備える。
【0050】
受信部30A、計算部30B、減衰部30C、出力制御部30D、および位置制御部30Eの一部またはすべては、例えば、CPU20Aなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0051】
なお、制御部30は、少なくとも計算部30Bを備えた構成であればよく、受信部30A、計算部30B、減衰部30C、出力制御部30D、および位置制御部30Eの全てを備えた形態に限定されない。本実施形態では、制御部30が、受信部30A、計算部30B、減衰部30C、出力制御部30D、および位置制御部30Eを備えた形態を一例として説明する。
【0052】
評価装置2は、CPU20AがROM20Bから処理内容に応じた制御プログラムを読み出してRAM20Cに展開し、実行することにより、計算部30Bの機能を実現する。同様にして、受信部30A、出力制御部30D、および位置制御部30Eの機能が実現されてもよい。あるいは、それぞれ異なるハードウェア回路によって、各部の機能が実現されてもよい。
【0053】
受信部30Aは、プローブ3から出力信号を時間経過に沿って順次受信する。受信部30Aは、プローブ3から順次受信した出力信号を、計算部30Bへ順次出力する。
【0054】
計算部30Bは、プローブ3に対応する補正係数を用いて、受信部30Aから受信した出力信号を補正し、出力信号の時間変化を示すノイズ波形を計算する。
【0055】
ここで、プローブ3は、特有の周波数特性を有する。周波数特性は、例えば、ゲイン特性および位相特性の少なくとも一方によって表される。
【0056】
図5Aおよび
図5Bは、あるプローブ3の周波数特性40の一例の説明図である。
図5Aは、あるプローブ3のゲイン特性40Aの一例を示す線図である。
図5A中、横軸は周波数を示し、縦軸は強度を示す。
図5Bは、あるプローブ3の位相特性40Bの一例を示す線図である。
図5B中、横軸は周波数を示し、縦軸は位相を示す。
【0057】
図5Aおよび
図5Bに示すように、プローブ3の種類や製造元などにより、プローブ3は特有の周波数特性40を示す。このため、プローブ3で検知されて評価装置2へ出力される出力信号が、測定領域9から出力された信号とは異なる信号となる場合がある。
【0058】
このため、プローブ3で検知された出力信号を補正せずに用いた場合、入力信号50の示す波形とは異なる波形のノイズ波形が得られる場合があった。
【0059】
図6は、従来のノイズ波形600の一例を示す模式図である。従来のノイズ波形600には、入力信号50の高周波成分H1に対応する高周波成分H1’が含まれる。しかし、従来のノイズ波形600の減衰期間P2’には、
図2に示す入力信号50の減衰期間P2に含まれていた振幅期間Q1が消失したものとなる。
【0060】
図4に戻り説明を続ける。そこで、計算部30Bは、プローブ3に対応する補正係数を用いて、受信部30Aから受信した出力信号を補正し、補正後の出力信号の時間変化を示すノイズ波形を計算する。
【0061】
補正係数とは、プローブ3の周波数特性40の逆特性である。具体的には、補正係数は、プローブ3のゲイン特性40Aによって表されるゲインの逆数、および、プローブ3の位相特性40Bによって表される位相の逆位相、の少なくとも一方である。
【0062】
計算部30Bは、プローブ3の周波数特性40を予め記憶する。計算部30Bは、受信部30Aから受付けた出力信号と、プローブ3の周波数特性40の逆特性と、の畳み込み積分により、ノイズ波形を計算する。なお、計算部30Bは、プローブ3の周波数特性40の逆特性である補正係数を予め記憶し、ノイズ波形の計算に用いてもよい。
【0063】
図7は、計算部30Bが計算したノイズ波形60の一例を示す模式図である。本実施形態の計算部30Bで計算されたノイズ波形60には、入力信号50の高周波成分H1に対応する高周波成分H1’が含まれる。また、本実施形態の計算部30Bで計算されたノイズ波形60には、入力信号50の減衰期間P2に含まれていた振幅期間Q1(
図2参照)に対応する減衰期間P2’が含まれる。このため、計算部30Bは、より正確なノイズ波形60を計算することができる。
【0064】
図4に戻り説明を続ける。減衰部30Cは、ノイズ波形60に含まれる、特定周波数成分を減衰させる。特定周波数成分とは、特定の周波数領域の成分である。特性周波数成分の周波数領域は、例えば、測定対象8の評価対象外の周波数領域である。特定周波数成分の周波数領域は、測定対象8や評価内容などに応じて、適宜設定すればよい。
【0065】
減衰部30Cは、ノイズ波形60に含まれる、予め設定された周波数領域の特定周波数成分を減衰させる。
図8は、特定周波数成分を減衰されたノイズ波形62の一例を示す模式図である。
【0066】
例えば、減衰部30Cは、
図7に示すノイズ波形60に含まれる高周波成分H1’を減衰させる。この処理により、減衰部30Cは、高周波成分H1’を減衰されたノイズ波形62を生成する(
図8参照)。例えば、ユーザが、ノイズ波形60に含まれる減衰期間P2’の成分を評価することを希望する場合がある。この場合、減衰部30Cは、ユーザ所望の周波数成分を含むノイズ波形62を提供することができる。
【0067】
なお、特定周波数成分は、予め定めた周波数領域の成分であればよく、高周波成分に限定されない。
【0068】
図4に戻り説明を続ける。出力制御部30Dは、ノイズ波形60の強度の分布を表示装置32へ表示する制御を行う。ノイズ波形60の強度の分布とは、測定対象8に含まれる複数の測定領域9の各々のノイズの強度の分布である。各測定領域9のノイズの強度は、測定領域9のノイズ波形60の振幅によって表される。例えば、制御部30では、プローブ3をXY平面に沿って走査することで、測定対象8における複数の測定領域9の各々のノイズ波形60を計算する。そして、出力制御部30Dは、ノイズ波形60の強度の分布を表示装置32へ表示する。
【0069】
例えば、出力制御部30Dは、ノイズ波形60の強度の分布を示す画像を生成し、表示装置32へ表示する制御を行う。出力制御部30Dは、例えば、測定対象8に含まれる測定領域9の各々を、ノイズ波形60の強度に応じた濃淡、および、ノイズ波形60の強度に応じた色などで表した画像を生成する。そして、出力制御部30Dは、生成した画像を、表示装置32へ表示する制御を行う。
【0070】
この表示する制御により、表示装置32は、ノイズ波形60の強度の分布を表示する。これにより、評価装置2は、測定対象8におけるノイズの伝搬経路、およびノイズの強度分布を可視化することができる。
【0071】
また、出力制御部30Dは、測定対象8の画像に、ノイズ波形60の強度の分布を示す画像を重ねた画像を、表示装置32へ表示する制御を行ってもよい。例えば、出力制御部30Dは、測定対象8の二次元平面画像上に、ノイズ波形60の強度の分布を示す画像を重ねた画像を生成する。出力制御部30Dは、測定対象8の二次元平面画像を予め記憶し、上記重ねた画像の生成に用いればよい。また、出力制御部30Dは、図示を省略するカメラで撮影された、測定対象8の二次元平面画像の画像データを取得し、上記重ねた画像の生成に用いればよい。なお、測定対象8の二次元平面画像の画像データ取得タイミングは、限定されない。
【0072】
なお、表示装置32は、評価装置2とは別体として構成されていてもよい。例えば、表示装置32は、ネットワークなどの通信網を介して接続された外部の表示装置であってもよい。
【0073】
図9Aおよび
図9Bは、ノイズ強度分布図の説明図である。ノイズ強度分布図は、ノイズ波形60の強度の分布を示す表示画像である。
【0074】
図9Aには、測定対象8の二次元平面画像の一例を示した。
図9Bには、測定対象8の二次元平面画像上に、ノイズ波形60の強度の分布を示す画像を重ねた重畳画像の一例を示した。
図9B中、密度の高い網掛けで表した領域ほど、ノイズ強度の大きい領域である事を示す。
【0075】
図9Aに示す例では、測定対象8は、コネクタ10に接続する配線パターン21と、配線パターン21のコネクタ10に接続されない側の端付近に位置する電子部品24と、電子部品24の付近に位置する電子部品25と、配線パターン21の周囲に位置する電子部品22と、電子部品24の周囲に位置する電子部品23と、を有する。電子部品22は、例えば基板グランドの一部である。
図9Bにおいては、配線パターン21に対応する領域の網掛けの密度が最も高く、電子部品24に対応する領域の網掛けの密度が次に高い。また、
図9Bにおいては、電子部品25に対応する領域、配線パターン21の周辺領域および電子部品24の周辺領域では、網掛けの密度が低くなっている。
【0076】
出力制御部30Dは、例えば、
図9Bに示すノイズ強度分布図を生成し、表示装置32へ表示する。これにより、ノイズ伝搬のしやすさが、配線パターン21において最も高く、電子部品24において次に高く、電子部品25、配線パターン21の周辺および電子部品24の周辺において低くなることを、ユーザに対して容易に提供することができる。
【0077】
また、
図9Bでは、配線パターン21の周辺領域、電子部品24の周辺領域、電子部品25に対応する領域、電子部品22に対応する領域、および電子部品23に対応する領域の網掛けの密度がほぼ同じになっている。
【0078】
このため、例えば、
図9Aおよび
図9Bを視認したユーザは、配線パターン21の周辺領域、電子部品24の周辺領域、電子部品25、電子部品22、および電子部品23とでは、ノイズ伝搬のしやすさがほぼ同等であることを、容易に把握することができる。このように、出力制御部30Dは、ノイズ伝搬のしやすさを直観的に理解することが可能なノイズ強度分布図を生成し、表示装置32へ表示することができる。
【0079】
なお、評価装置2は、上記処理を繰り返し実行することで、時系列に沿った評価タイミングごとの、ノイズ波形60の強度の分布を得ることができる。このため、出力制御部30Dは、時系列に沿った評価タイミングの各々に対応するノイズ強度分布図(
図9B参照)を表示装置32へ表示する制御を行う。
【0080】
この表示する制御により、表示装置32は、時系列に沿った評価タイミングごとの、ノイズ波形60の強度の分布を表示することができる。これにより、評価装置2は、測定対象8におけるノイズの伝搬経路、およびノイズの強度分布を、時系列的に可視化することができる。このため、ユーザは、評価タイミングの異なる複数のノイズ強度分布図を比較して確認することができ、ノイズの強度分布などの時間変化を容易に確認することができる。
【0081】
図4に戻り説明を続ける。次に、位置制御部30Eについて説明する。位置制御部30Eは、位置コントローラ7に位置制御信号を出力する、位置コントローラ7は、位置制御部30Eから受付けた位置制御信号に応じた位置に、プローブ3を移動させるように、駆動機構6を制御する。このため、支持部5を介して駆動機構6に支持されたプローブ3が、測定対象8から矢印Z方向に間隔を隔てた状態で、XY平面に沿って走査される。プローブ3の走査によって、測定対象8における測定領域9の位置を変更することができる。このため、評価装置2では、測定対象8における複数の測定領域9の各々のノイズ波形60を計算することができる。
【0082】
次に、本実施形態の評価装置2で実行される処理の流れを説明する。
図10は、本実施形態の評価装置2で実行される処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
【0083】
受信部30Aが、プローブ3から出力信号を受信する(ステップS100)。
【0084】
計算部30Bは、プローブ3に対応する補正係数を用いて、ステップS100で受信した出力信号を補正し、出力信号の時間変化を示すノイズ波形60を計算する(ステップS102)。
【0085】
出力制御部30Dは、ステップS102で計算されたノイズ波形60の強度の分布を表示装置32へ表示する制御を行う(ステップS104)。この表示する制御により、表示装置32は、ノイズ波形60の強度の分布を表示する。そして、本ルーチンを終了する。
【0086】
なお、ステップS102でノイズ波形60を計算した後に、減衰部30Cが該ノイズ波形60に含まれる特定周波数成分を減衰させる減衰処理を行ってもよい。この場合、出力制御部30Dは、減衰処理後のノイズ波形60の強度の分布を表示装置32へ表示する制御を行えばよい。
【0087】
以上説明したように、本実施形態の評価システム1は、評価装置2と、評価装置2に接続されたプローブ3と、を備える。プローブ3は、非線形特性を示す測定対象8が有する測定領域9から、測定対象8への入力信号50に対して出力される出力信号を、該測定領域9に対して非接触で検知する。評価装置2の計算部30Bは、プローブ3に対応する補正係数を用いて出力信号を補正し、補正後の出力信号の時間変化を示すノイズ波形60を計算する。
【0088】
ここで、プローブ3の種類や製造元などにより、プローブ3は特有の周波数特性40を示す。このため、プローブ3で検知されて評価装置2へ出力される出力信号が、測定領域9から出力された信号とは異なる信号となる場合がある。このため、プローブ3で検知された出力信号を補正せずに用いた場合、入力信号50の示す波形とは異なる波形のノイズ波形が得られる場合があった。
【0089】
また、既知の識別信号で変調した高周波信号を測定対象に印加し、測定対象から発生する高周波信号を復調した信号が該識別信号を含む場合に、該高周波信号が印加された高周波信号に対する出力信号であると判別する技術が開示されている。このような従来技術では、測定対象8に含まれる部品などから発生した回路動作に起因する出力信号を排除し、印加した入力信号に対応する出力信号を抽出することができる。しかし、このような従来技術では、測定対象8が非線形特性を示す場合、測定対象から出力された高周波信号を復調することが出来ず、測定対象内のノイズ伝搬について、正確な評価結果を得る事が困難な場合があった。
【0090】
また、実際の環境で生じるノイズは正弦波ではなく方形波や、三角波である場合もある。方形波や三角波は正弦波の重ね合わせで表すことができる。言い換えると、方形波および三角波は複数の周波数の信号を含む。そこで、複数の周波数を有する信号が入力されたときに実際に出力される1つのノイズ波形を求める方法が考えられる。例えば、複数の周波数を有する入力信号に対して出力される出力信号と、該入力信号のゲインおよび位相と、を畳み込み積分することで、ノイズ波形を計算する方法が考えられる。しかし、この方法では、測定対象8が非線形特性を示す場合、該畳み込み積分によるノイズ波形の計算が困難となる場合があった。
【0091】
一方、本実施形態の評価システム1では、計算部30Bは、非線形特性を示す測定対象8が有する測定領域9から出力される出力信号を、プローブ3に対応する補正係数を用いて補正し、補正後の出力信号の時間変化を示すノイズ波形60を計算する。このため、本実施形態に係る評価システム1では、非線形特性を示す測定対象8内のノイズ伝搬について、より正確な評価結果を得ることができる。
【0092】
従って、本実施形態の評価システム1では、非線形特性を示す測定対象8内のノイズ伝搬について、より正確な評価結果を得ることができる。
【0093】
(変形例)
なお、上記実施形態では、計算部30Bは、受信部30Aから受付けた出力信号と、プローブ3の周波数特性40の逆特性と、の畳み込み積分により、ノイズ波形60を計算する形態を一例として説明した。すなわち、上記実施形態では、計算部30Bが、出力信号の受信とノイズ波形60の計算をリアルタイムで連続して行う形態を一例として説明した。
【0094】
しかし、計算部30Bは、受信部30Aから受付けた出力信号の時間変化を示すノイズ波形(第1ノイズ波形と称する)を生成した後に、該ノイズ波形を周波数特性40の逆特性である補正係数を用いて補正することで、ノイズ波形60を計算してもよい。
【0095】
この場合、第1ノイズ波形からノイズ波形60を計算する計算処理を、評価装置2に接続された外部装置で実行してもよい。外部装置は、例えば、例えばPC(パーソナル・コンピュータ)である。この場合、評価装置2と外部装置とを、データまたは信号を授受可能に接続した構成とすればよい。そして、外部装置で、第1ノイズ波形からノイズ波形60を計算する計算処理を実行してもよい。
【0096】
また、出力制御部30Dを、この外部装置に設けた構成としてもよい。この場合、出力制御部30Dは、外部装置に接続された表示装置に、ノイズ波形60を出力すればよい。
【0097】
なお、リアルタイム性および高速表示性の観点では、評価装置2の計算部30Bが、出力信号と、プローブ3の周波数特性40の逆特性と、の畳み込み積分により、ノイズ波形60を計算することが好ましい。そして、この観点では、評価装置2の出力制御部30Dが、ノイズ波形60を表示装置32へ表示することが好ましい。
【0098】
以上、本開示の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態および変形例は、発明の範囲および要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0099】
1 評価システム
2 評価装置
3 プローブ
8 測定対象
9 測定領域
30B 計算部
30C 減衰部
30D 出力制御部
32 表示装置