(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/516 20060101AFI20240327BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20240327BHJP
【FI】
H01R13/516
H01R24/38
(21)【出願番号】P 2020153579
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006162(JP,A)
【文献】特開2018-107036(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173688(WO,A1)
【文献】特開平04-229577(JP,A)
【文献】特開2012-069272(JP,A)
【文献】特開2006-049081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0298658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/40-13/533
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
内導体と誘電体を外導体で包囲した形態
であり、前記ハウジングに対して後方から挿入されるシールド端子とを備え、
前記ハウジングは、前記シールド端子の前端部を間隔を空けて包囲するフード部を有し、
前記ハウジングには、前記フード部内において前記シールド端子の外周面に対して弾性的に当接する弾性当接部が形成
され、
前記ハウジングには、前記ハウジングに収容された前記シールド端子を前止まり状態に保持するストッパが形成され、
前記シールド端子の外周面には、前記弾性当接部からの弾性押圧力を前記シールド端子に対する前方への移動力に変換する傾斜面が形成され、
前記弾性当接部の弾性押圧力によって、前記シールド端子が前記ストッパに当接する状態に保持されているシールドコネクタ。
【請求項2】
前記シールド端子には、前記ストッパに当接する前止まり部が形成され、
前記ハウジングには、前記シールド端子が前記ハウジングに対して適正な向きで挿入されたときにのみ、前記前止まり部を収容する溝部が形成されている請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記弾性当接部が、前記シールド端子の外周面に対して線接触状態で当接している請求項1又は請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記弾性当接部が、前記フード部の奥端面よりも後方の範囲のみに配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記シールド端子の外周面を弾性的に押圧した状態で前記シールド端子を抜止めするランスが形成され、
前記弾性当接部は、前記ランスによる弾性押圧方向と交差する方向から前記シールド端子を押圧するように配置されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外導体と誘電体と内導体を一体的に組み付けた電気接続子と、コネクタハウジングとを有するシールドコネクタが開示されている。電気接続子はコネクタハウジングの収容部内に収容されている。電気接続子の前端部の外周面と、コネクタハウジングのフード部の内周面との間には、相手側コネクタの筒状嵌合部を嵌合させるための空間が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタハウジングと電気接続子の組み付け部分では、寸法公差の範囲内で隙間が空くことが避けられない。そのため、電気接続子の前端部がフード部内でガタ付きを生じ、相手側コネクタとの嵌合に支障を来すことが懸念される。
【0005】
本開示のシールドコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジング内におけるシールド端子のガタ付きを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールドコネクタは、
内導体と誘電体を外導体で包囲した形態のシールド端子と、
前記シールド端子を収容するハウジングとを備え、
前記ハウジングは、前記シールド端子の前端部を間隔を空けて包囲するフード部を有し、
前記ハウジングには、前記シールド端子の外周面に対して弾性的に当接する弾性当接部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハウジング内におけるシールド端子のガタ付きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1のシールドコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、シールドコネクタの平断面図である。
【
図4】
図4は、シールドコネクタの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のシールドコネクタは、
(1)内導体と誘電体を外導体で包囲した形態のシールド端子と、前記シールド端子を収容するハウジングとを備え、前記ハウジングは、前記シールド端子の前端部を間隔を空けて包囲するフード部を有し、前記ハウジングには、前記シールド端子の外周面に対して弾性的に当接する弾性当接部が形成されている。本開示の構成によれば、ハウジングの弾性当接部が、シールド端子の外周面を弾性的に保持するので、ハウジング内においてシールド端子がガタ付きを生じることを抑制することができる。
【0010】
(2)前記ハウジングには、前記ハウジングに収容された前記シールド端子を前止まり状態に保持するストッパが形成され、前記シールド端子の外周面には、前記弾性当接部からの弾性押圧力を前記シールド端子に対する前方への移動力に変換する傾斜面が形成されていることが好ましい。この構成によれば、弾性当接部の弾性押圧力によって、シールド端子をストッパに当接する状態に保持することができる。
【0011】
(3)(2)において、前記シールド端子には、前記ストッパに当接する前止まり部が形成され、前記ハウジングには、前記シールド端子が前記ハウジングに対して適正な向きで挿入されたときにのみ、前記前止まり部を収容する溝部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、前止まり部は、シールド端子がハウジングに対して不適切な向きで挿入されることを防止するための誤挿入防止機能を兼ね備える。したがって、前止まり部とは別に専用の誤挿入防止部を形成する場合に比べると、シールド端子の形状を簡素化することができる。
【0012】
(4)前記弾性当接部が、前記シールド端子の外周面に対して線接触状態で当接していることが好ましい。この構成によれば、シールド端子をハウジングから抜き取る過程で、弾性当接部とシールド端子との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。
【0013】
(5)前記弾性当接部が、前記フード部の奥端面よりも後方の範囲のみに配置されていることが好ましい。この構成によれば、相手側コネクタの筒状嵌合部がフード部内に嵌入したときに、弾性当接部が筒状嵌合部と干渉することを防止できる。
【0014】
(6)前記ハウジングには、前記シールド端子の外周面を弾性的に押圧した状態で前記シールド端子を抜止めするランスが形成され、前記弾性当接部は、前記ランスによる弾性押圧方向と交差する方向から前記シールド端子を押圧するように配置されていることが好ましい。この構成によれば、ランスは、弾性当接部とは異なる方向からシールド端子のガタ付きを抑制する機能を兼ね備えているので、弾性当接部の数を削減することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のシールドコネクタを具体化した実施例1を、
図1~
図5を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、前後の方向については、
図3~5における左方を前方と定義する。上下の方向については、
図1,2,4にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、
図3における上方、下方を、左方、右方と定義する。
【0016】
本開示のシールドコネクタは、合成樹脂製のハウジング10と、シールド端子30とを組み付けて構成されている。
図1~4に示すように、ハウジング10は、全体として前後方向に貫通した筒状をなし、端子収容部11と、端子収容部11の前端に連なるフード部17とを有する単一部品である。
【0017】
図3,4に示すように、端子収容部11は、端子収容部11の前端側部位を構成する第1収容室12と、端子収容部11の後端側部位を構成する第2収容室13とを有する。
図4に示すように、第1収容室12を構成する上壁部には、上下方向(ハウジング10に対するシールド端子30の取り付け方向と交差する方向)へ弾性変位可能なランス14が形成されている。第2収容室13の高さ寸法は、第1収容室12の高さ寸法よりも大きく、第2収容室13の幅寸法は、第1収容室12の幅寸法よりも大きい。
【0018】
第1収容室12を構成する下壁部には、左右一対の溝部15が形成されている。溝部15は、端子収容部11に対するシールド端子30の挿入方向と平行に前後方向に延びている。溝部15の前端部には、後方に面するストッパ16が形成されている。溝部15の後端は、第1収容室12の後面に開口し、第2収容室13内と連通している。
【0019】
フード部17は、端子収容部11の前端の外周部から前方へ角筒状に片持ち状に延出した形態である。フード部17の高さ寸法は、第1収容室12の高さ寸法よりも大きく、フード部17の幅寸法は、第1収容室12の幅寸法よりも大きい。フード部17は、奥端面18を有している。奥端面18は、ハウジング10を前方から見た正面視において、第1収容室12(端子収容部11)の前端の開口部を包囲する形態である。
図1,2,4に示すように、フード部17の奥端面18には、ランス14とランス14の撓み空間を金型成形する工程で生じた型抜き空間19が開口している。型抜き空間19の開口位置は、第1収容室12の開口縁における上縁の左右方向中央部である。
【0020】
図1,3に示すように、ハウジング10には、左右対称な一対の弾性当接部20が形成されている。弾性当接部20は、シールド端子30を弾性的に保持するための部位であり、端子収容部11と一体に形成されている。弾性当接部20は、フード部17の奥端面18の一部を凹ませた収容凹部22内に収容されている。収容凹部22は、第1収容室12内と連通している。弾性当接部20は、収容凹部22の後端面から斜め前方へ片持ち状に延出した形態である。左右一対の弾性当接部20は、両弾性当接部20の互いに対向する内面20S同士が前方に向かって次第に接近するように傾斜している。
図5に示すように、弾性当接部20の内面20Sは、第1収容室12の内側面に対して滑らかに連なっている。弾性当接部20の前端20Fの位置は、前後方向において、フード部17の奥端面18よりも後方の位置である。
【0021】
図2,3,5に示すように、左右両弾性当接部20の内面20Sの前端縁は、上下方向に延びる当接縁20Eとなっている。左右両弾性当接部20の内面20S同士の対向間隔は、当接縁20Eにおいて最小である。左右両弾性当接部20は、その内面20S同士を離隔させる方向(左右方向)へ弾性変位し得るようになっている。弾性当接部20の弾性変位方向は、端子収容部11に対するシールド端子30の挿入方向と交差する方向であり、ランス14の弾性変位方向と交差する方向でもある。
図5に示すように、弾性当接部20が弾性変形していない自由状態にあるときに、左右両当接縁20E同士の間隔は、第1収容室12の左右方向の幅寸法よりも狭い。
【0022】
シールド端子30は、左右一対の金属製の内導体31と、一対の内導体31を収容する合成樹脂製の誘電体33と、内導体31及び誘電体33を包囲する外導体34とを備えている。左右一対の内導体31は、シールド電線50を構成するツイストペア線51の前端部に接続されている。
【0023】
外導体34は、角筒状をなす金属製のインナシェル35と、インナシェル35の一部を包囲する金属製のアウタシェル36とを組み付けて構成されている。インナシェル35は、インナシェル35の前端側部位を構成する筒状接続部37と、インナシェル35の後端側部位を構成する筒状収容部38とを有する単一部品である。筒状収容部38内には、誘電体33が収容されている。内導体31の前端のタブ32は、誘電体33の前面から突出し、筒状接続部37によって包囲されている。
【0024】
筒状接続部37の上下方向の高さ寸法は筒状収容部38の高さ寸法よりも大きく、筒状接続部37の左右方向の幅寸法は筒状収容部38の幅寸法よりも大きい。筒状接続部37の外形寸法と筒状収容部38の外形寸法との寸法差によって、筒状接続部37の後端と筒状収容部38の前端との間には、傾斜面39が全周にわたって形成されている。傾斜面39は、高さ寸法と幅寸法が前方に向かって次第に大きくなるようなテーパ状をなしている。
【0025】
アウタシェル36は、前後両端面が解放された箱形をなす。アウタシェル36は、アウタシェル36の前端側部位を構成する外嵌部40と、アウタシェル36の後端側部位を構成する圧着部41とを有する単一部品である。外嵌部40は、インナシェル35の筒状収容部38に対して外嵌した状態で固着されている。外嵌部40は、外嵌部40を構成する左右両側板部から下方へ延出した形態の一対の前止まり部42を有する(
図3,4参照)。インナシェル35の筒状接続部37と傾斜面39は、アウタシェル36(外嵌部40)の前端よりも前方へ突出している。外嵌部40の幅寸法と筒状接続部37の幅寸法は、同じ寸法に設定されている。アウタシェル36の圧着部41は、シールド電線50の外周面のシールド層52に対して導通可能に固着されている。
【0026】
シールド端子30の前端側領域は、インナシェル35の筒状接続部37によって構成されている。つまり、筒状接続部37は、インナシェル35の前端側部位を構成すると同時に、シールド端子30の前端部を構成している。シールド端子30の後端側領域は、端子本体部43として機能する。端子本体部43は、内導体31のうちタブ32よりも後方の部位と、誘電体33と、アウタシェル36と、筒状収容部38とによって構成されている。端子本体部43の外面には、外嵌部40の一部を切り欠いた形態の係止凹部44が形成されている。係止凹部44においては、インナシェル35の筒状収容部38の一部が、受圧面45として露出している。
【0027】
シールド端子30の筒状接続部37の幅寸法と端子本体部43の幅寸法は、同じ寸法に設定されている。筒状接続部37の幅寸法は、左右一対の弾性当接部20が弾性変形していない自由状態において、左右両当接縁20E同士の対向間隔よりも大きい寸法である。
【0028】
シールド端子30は、ハウジング10に対し、ハウジング10の後方から端子収容部11に挿入することによって取り付けられる。このとき、ハウジング10に対するシールド端子30の向きが、上下反転した不適切な向きや、左右に90°転向した不適切な向きである場合には、前止まり部42がハウジング10の後端面と干渉するので、シールド端子30を端子収容部11内に挿入することはできない。
【0029】
ハウジング10に対するシールド端子30の向きが適正であれば、前止まり部42が溝部15に進入するので、ハウジング10に対するシールド端子30の挿入が支障なく行われる。シールド端子30を挿入する過程では、ランス14が、外導体34の上面との干渉によって上方へ弾性変位する。シールド端子30の挿入過程では、外導体34が、第1収容室12を通過する際に弾性当接部20に対して弾性的に摺接する。詳細には、筒状接続部37の前端が弾性当接部20の内面20Sに摺接し、筒状接続部37の左右両外側面が当接縁20Eに摺接する。この間、弾性当接部20は、左右方向へ弾性変位させられる。
【0030】
シールド端子30が所定の挿入位置に到達すると、前止まり部42がストッパ16に突き当たることによってシールド端子30が前止まりされる。これと同時に、弾性復帰したランス14が係止凹部44に係止することによって、シールド端子30がハウジング10に対して抜止め状態に保持される。このとき、ランス14が受圧面45を弾性的に押圧するので、シールド端子30は、第1収容室12の下壁部に押し付けられる。このランス14の弾性押圧作用により、シールド端子30はハウジング10に対して上下方向へのガタ付きを抑制される。
【0031】
シールド端子30が所定の挿入位置に到達すると、筒状接続部37の後端が当接縁20Eを通過し、傾斜面39が当接縁20Eに接触した状態となる。この状態でも、弾性当接部20は左右方向へ弾性的に拡開変形しているので、当接縁20Eは、弾性当接部20の弾性復元力によって傾斜面39を弾性的に押圧する。ここで、傾斜面39は、ハウジング10に対するシールド端子30の挿入方向(前後方向)、及び弾性当接部20の弾性変位方向(左右方向)の両方向に対して傾斜している。したがって、弾性当接部20から傾斜面39に付与された左右方向の弾性押圧力は、シールド端子30に対して前方への押込力に変換される。この前方への押込力によって前止まり部42がストッパ16に押し付けられるので、シールド端子30は、ハウジング10に対して前後方向へのガタ付きを抑制される。
【0032】
本実施例1のシールドコネクタは、内導体31と誘電体33を外導体34で包囲した形態のシールド端子30と、シールド端子30を収容するハウジング10とを備えている。ハウジング10は、シールド端子30の前端部を間隔を空けて包囲するフード部17を有する。ハウジング10には、シールド端子30の外周面に対して弾性的に当接する弾性当接部20が形成されている。この構成によれば、ハウジング10の弾性当接部20が、シールド端子30の外周面を弾性的に保持するので、ハウジング10内においてシールド端子30がガタ付きを生じることを抑制することができる。
【0033】
ハウジング10には、ハウジング10に収容されたシールド端子30を前止まり状態に保持するストッパ16が形成されている。シールド端子30の外周面には、弾性当接部20からの弾性押圧力をシールド端子30に対する前方への移動力に変換する傾斜面39が形成されている。この構成によれば、弾性当接部20の弾性押圧力によって、シールド端子30をストッパ16に当接する状態に保持することができる。
【0034】
シールド端子30には、ストッパ16に当接する前止まり部42が形成されている。ハウジング10には、シールド端子30がハウジング10に対して適正な向きで挿入されたときにのみ、前止まり部42を収容する溝部15が形成されている。前止まり部42は、シールド端子30がハウジング10に対して不適切な向きで挿入されることを防止するための誤挿入防止機能を兼ね備える。したがって、前止まり部42とは別に専用の誤挿入防止部を形成する場合に比べると、シールド端子30の形状を簡素化することができる。
【0035】
弾性当接部20の当接縁20Eが、シールド端子30の外周面に対して、面接触状態ではなく、線接触状態で当接している。この構成によれば、シールド端子30をハウジング10から抜き取る過程において、弾性当接部20とシールド端子30との間に生じる摩擦抵抗は、面接触状態の場合に比べと低減することができる。
【0036】
弾性当接部20は、フード部17の奥端面18よりも後方の範囲のみに配置されている。この構成によれば、相手側コネクタ(図示省略)の筒状嵌合部がフード部17内に嵌入したときに、弾性当接部20が筒状嵌合部と干渉することを防止できる。
【0037】
ハウジング10には、シールド端子30の外周面(受圧面45)を弾性的に押圧した状態でシールド端子30を抜止めするランス14が形成されている。弾性当接部20は、ランス14による弾性押圧方向と交差する左右方向からシールド端子30を押圧するように配置されている。ランス14が、弾性当接部20とは異なる方向からシールド端子30のガタ付きを抑制する機能を兼ね備えているので、弾性当接部20の数を削減することができる。
【0038】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、弾性当接部の数が2つ(一対)であるが、弾性当接部の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
上記実施例1では、シールド端子に、弾性当接部からの弾性押圧力をシールド端子に対する前方への移動力に変換する傾斜面が形成されているが、シールド端子はこのような傾斜面を有しない形態であってもよい。
上記実施例1では、前止まり部が、シールド端子をハウジングに対して不適切な向きで挿入させないようにするための誤挿入防止機能を兼ね備えるが、前止まり部とは別に専用の誤挿入防止部を設けてもよい。
上記実施例1では、弾性当接部がシールド端子の外周面に対して線接触状態で当接するが、弾性当接部は、シールド端子の外周面に対して点接触状態で当接してもよく、面接触状態で当接してもよい。
上記実施例1では、弾性当接部が、フード部の奥端面よりも後方の範囲のみに配置されているが、弾性当接部の少なくとも一部が、フード部の奥端面よりも前方に配置されていてもよい。
上記実施例1では、ランスがシールド端子のガタ付きを抑制する機能を兼ね備えているが、ランスは、シールド端子のガタ付きを抑制する機能を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ハウジング
11…端子収容部
12…第1収容室
13…第2収容室
14…ランス
15…溝部
16…ストッパ
17…フード部
18…フード部の奥端面
19…型抜き空間
20…弾性当接部
20E:弾性当接部の当接縁
20F:弾性当接部の前端
20S:弾性当接部の内面
22…収容凹部
30…シールド端子
31…内導体
32…タブ
33…誘電体
34…外導体
35…インナシェル
36…アウタシェル
37…筒状接続部(外導体の前端部)
38…筒状収容部
39…傾斜面
40…外嵌部
41…圧着部
42…前止まり部
43…端子本体部
44…係止凹部
45…受圧面
50…シールド電線
51…ツイストペア線
52…シールド層