(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 29/00 20060101AFI20240327BHJP
B66B 25/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B66B29/00 B
B66B25/00 A
(21)【出願番号】P 2023137141
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅昭
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-035326(JP,A)
【文献】特開2002-087750(JP,A)
【文献】特開2008-013344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 29/00
B66B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステップと、
前記複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、
前記チェーンを走行させるモータと、
前記チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、
前記チェーンが走行を開始してから
予め設定された設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、
前記設定時間は、1秒~2秒であり、
前記モータに供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する、マンコンベヤ。
【請求項2】
複数のステップと、
前記複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、
前記チェーンを走行させるモータと、
前記チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、
前記チェーンが走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、
前記モータに供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する、マンコンベヤであって、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が前記設定速度以上であることを検出した後に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定減速度以上に減速したことを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する
、マンコンベヤ。
【請求項3】
複数のステップと、
前記複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、
前記チェーンを走行させるモータと、
前記チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、
前記チェーンが走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、
前記モータに供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する、マンコンベヤであって、
前記モータへ供給する電力の周波数を変更するインバータを備え、
前記処理部は、前記設定期間において、前記モータへ供給する電力の周波数を一定にする基準制御を実行し、
前記処理部は、前記設定期間後において、前記速度検出部の検出に基づいて、前記チェーンの走行速度が一定となるように、前記モータへ供給する電力の周波数を変更する周波数制御を実行する
、マンコンベヤ。
【請求項4】
複数のステップと、
前記複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、
前記チェーンを走行させるモータと、
前記チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、
前記チェーンが走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、
前記モータに供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する、マンコンベヤであって、
乗降部の人を検出する第1人検出部と、
前記乗降部のうち、前記第1人検出部で人を検出する領域よりも、前記ステップに近い領域の人を検出する第2人検出部と、を備え、
前記処理部は、前記チェーンの走行が停止する状態で前記第1人検出部が人を検出した場合に、前記チェーンの走行を開始し、
前記処理部は、前記設定期間を、前記チェーンの走行が開始してから、前記第2人検出部が人を検出するまでの期間とする
、マンコンベヤ。
【請求項5】
複数のステップと、
前記複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、
前記チェーンを走行させるモータと、
前記チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、
前記チェーンが走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、
前記モータに供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する、マンコンベヤであって、
前記マンコンベヤの運転開始の指示データが入力される入力部と、
乗降部の人を検出する人検出部と、を備え、
前記処理部は、前記チェーンの走行が停止する状態で前記入力部に前記指示データが入力された場合に、前記チェーンの走行を開始し、且つ、前記チェーンの伸びの判定を実行し、
前記処理部は、前記チェーンの走行が停止する状態で前記人検出部が人を検出した場合に、前記チェーンの走行を開始し、且つ、前記チェーンの伸びの判定を実行しない
、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、複数のステップと、複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、チェーンを走行させるモータと、チェーンの伸びを判定する処理部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、チェーンローラの通過が検出され、処理部は、当該検出の出力信号に基づいて、チェーンの伸びの異常を判定している。
【0003】
ところで、特許文献1に係るマンコンベヤにおいては、チェーンの走行速度が変化した場合には、チェーンの伸びを正確に判定することができない。そこで、チェーンの走行速度に基づいて、チェーンの伸びの異常を判定することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、チェーンの走行速度に基づいて、チェーンの伸びの異常を判定することができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
マンコンベヤは、
複数のステップと、
前記複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、
前記チェーンを走行させるモータと、
前記チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、
前記チェーンが走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、
前記モータに供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する。
【0007】
[2]
また、[1]のマンコンベヤにおいては、
前記処理部は、前記設定期間に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が前記設定速度以上であることを検出した後に、前記速度検出部が前記チェーンの走行速度が設定減速度以上に減速したことを検出した場合に、前記チェーンの伸びの異常と判定する、
という構成でもよい。
【0008】
[3]
また、[1]又は[2]のマンコンベヤは、
前記モータへ供給する電力の周波数を変更するインバータを備え、
前記処理部は、前記設定期間において、前記モータへ供給する電力の周波数を一定にする基準制御を実行し、
前記処理部は、前記設定期間後において、前記速度検出部の検出に基づいて、前記チェーンの走行速度が一定となるように、前記モータへ供給する電力の周波数を変更する周波数制御を実行する、
という構成でもよい。
【0009】
[4]
また、[1]~[3]の何れか1つのマンコンベヤは、
乗降部の人を検出する第1人検出部と、
前記乗降部のうち、前記第1人検出部で人を検出する領域よりも、前記ステップに近い領域の人を検出する第2人検出部と、を備え、
前記処理部は、前記チェーンの走行が停止する状態で前記第1人検出部が人を検出した場合に、前記チェーンの走行を開始し、
前記処理部は、前記設定期間を、前記チェーンの走行が開始してから、前記第2人検出部が人を検出するまでの期間とする、
という構成でもよい。
【0010】
[5]
また、[1]~[4]の何れか1つのマンコンベヤは、
前記マンコンベヤの運転開始の指示データが入力される入力部と、
乗降部の人を検出する人検出部と、を備え、
前記処理部は、前記チェーンの走行が停止する状態で前記入力部に前記指示データが入力された場合に、前記チェーンの走行を開始し、且つ、前記チェーンの伸びの判定を実行し、
前記処理部は、前記チェーンの走行が停止する状態で前記人検出部が人を検出した場合に、前記チェーンの走行を開始し、且つ、前記チェーンの伸びの判定を実行しない、
という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】同実施形態に係るステップ及びチェーンの斜視図
【
図4】同実施形態に係る支持部及び張力付与部の正面図
【
図5】同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図
【
図6】同実施形態に係るマンコンベヤの要部正面図(奥側の欄干部の要部正面図)
【
図8】チェーンの伸びが正常な場合における時間と速度との関係図
【
図9】チェーンの伸びが異常な場合における時間と速度との関係図
【発明を実施するための形態】
【0012】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0013】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0014】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、
図1~
図9を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベヤの構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤの構成を限定するものではない。
【0015】
図1及び
図2に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人(乗客)を搬送する搬送部3と、搬送部3を第2方向D2で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理部6とを備えていてもよい。
【0016】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「前後方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「幅方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0017】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0018】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2に離れる一対の無端環状のチェーン7,7と、一対のチェーン7,7にそれぞれ連結される連結軸8と、一対のチェーン7,7の間に配置され、連結軸8に回転可能に接続されることによって、チェーン7に接続される複数のステップ9とを備えていてもよい。
【0019】
これにより、ステップ9は、チェーン7と共に走行し、また、チェーン7に対して、第2横方向D2を軸にして回転可能に接続されている。なお、チェーン7は、駆動部5に駆動されることによって、回転して走行する。
【0020】
チェーン7は、例えば、本実施形態のように、互いに回転可能に接続されるリンク7aと、リンク7aに回転可能に接続されるローラ7bとを備えていてもよい。即ち、本実施形態においては、チェーン7は、ローラチェーンとしている。なお、チェーン7は、斯かる構成に限られない。
【0021】
ステップ9は、例えば、本実施形態のように、ステップ本体9aと、ステップ本体9aに回転可能に接続されるローラ9bとを備えていてもよい。また、ステップ本体9aは、例えば、本実施形態のように、人に乗られる踏面部9cと、湾曲状に形成される蹴上部9dと、連結軸8に回転可能に連結される連結部9eとを備えていてもよい。
【0022】
欄干部4は、例えば、回転して走行する無端環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。なお、例えば、手摺ベルト4aが駆動部5の駆動によって走行し、手摺ベルト4aの走行は、ステップ9の走行と同期してもよい。
【0023】
構造体2は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1のそれぞれの端部に配置される機械室2aを備えていてもよい。マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、機械室2aを上方から覆うように、構造体2に取り付けられる床プレート1aを備えていてもよい。これにより、床プレート1aは、搬送部3に乗り降りするために、搬送部3の第1横方向D1の各端部に配置される乗降部1bを構成している。
【0024】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、チェーン7の第1横方向D1の第1端部が巻き掛けられる回転可能なスプロケット(「駆動スプロケット」ともいう)10と、チェーン7の第1横方向D1の第2端部を支持する支持部11と、スプロケット10を回転させるモータ12と、モータ12の駆動をスプロケット10に伝達させる伝達部13とを備えていてもよい。
【0025】
伝達部13は、例えば、本実施形態のように、スプロケット10と一体となって回転する回転体13aと、モータ12の駆動軸と回転体13aとにそれぞれ巻き掛けられる無端環状の伝達体13bとを備えていてもよい。これにより、モータ12の駆動は、スプロケット10に伝達される。
【0026】
特に限定されないが、
図3に示すように、スプロケット10は、例えば、同軸となるように、回転体13aに固定されていてもよい。これにより、スプロケット10は、回転体13aと一体となって第2横方向D2を軸にして回転する。また、スプロケット10は、例えば、本実施形態のように、チェーン7のローラ7bを引っ掛ける複数の歯10aを備えていてもよい。
【0027】
図4に示すように、構造体2は、例えば、複数の枠材2bで構成されるトラス構造又はケタ構造としてもよい。支持部11は、例えば、本実施形態のように、チェーン7(
図4においては、ローラ7bのみ図示している)をガイドするガイド部11aを備えていてもよい。なお、斯かる構成に限られず、支持部11は、例えば、チェーン7が巻き掛けられ、第2横方向D2を軸にして回転可能なスプロケット(従動スプロケット)としてもよい。
【0028】
マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、支持部11を第1横方向D1へガイドするガイド機構14と、チェーン7に張力を付与する張力付与部15とを備えていてもよい。ガイド機構14は、例えば、本実施形態のように、支持部11に固定されるローラ14aと、構造体2に固定され、ローラ14aを第1横方向D1へガイドするために、第1横方向D1へ沿って延びるレール14bとを備えていてもよい。
【0029】
張力付与部15は、例えば、本実施形態のように、支持部11に第1横方向D1の弾性復元力を加える弾性部15aを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、弾性部15aは、弦巻バネとし、張力付与部15は、支持部11に固定されて第1横方向D1へ延びる連結部15bと、連結部15bに固定されて弾性部15aの第1端を保持する第1保持部15cと、構造体2の枠材2bに固定されて弾性部15aの第2端を保持する第2保持部15dとを備えている、という構成でもよい。
【0030】
これにより、弾性部15aが第1横方向D1へ圧縮の弾性変形をすることによって、第1横方向D1(具体的には、
図4における左方向)の弾性復元力が、支持部11に加えられるため、チェーン7に張力を付与することができる。なお、斯かる構成に限られず、張力付与部15は、弾性部15aが支持部11に第1横方向D1の弾性復元力を加えることによって、チェーン7に張力を付与する、という構成であればよい。
【0031】
図5に示すように、処理部6は、例えば、各部から各情報(データ)を取得する取得部6aと、各情報を記憶する記憶部6bと、各情報を演算する演算部6cと、各部を制御する制御部6dとを備えていてもよい。なお、本明細書においては、記憶とは、例えば、削除指示の入力によって削除されるまで記憶し続ける場合だけでなく、例えば、演算部6cの演算に用いるために一時的に記憶し、削除指示の入力に関係なく演算終了後に削除される場合も含む。
【0032】
処理部6は、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部6c、制御部6d)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部6a、記憶部6b)、各種インターフェイス等を備えるコンピュータとしてもよい。これにより、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理部6の各部6a~6dが実現される。
【0033】
また、処理部6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理部6の各部6a~6dは、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0034】
マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、各種情報が入力される入力部16と、各種情報が出力される出力部17とを備えていてもよい。また、マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、チェーン7の走行速度を検出する速度検出部18と、マンコンベヤ1に乗る人を検出する人検出部19,20と、モータ12に供給する電力の周波数を変更するインバータ21とを備えていてもよい。
【0035】
速度検出部18は、例えば、回転体13aの外周の歯を検出するセンサ(例えば、近接センサ、光電センサ)としてもよく、また、例えば、回転体13a又はスプロケット10の回転を検出するセンサ(例えば、エンコーダ)としてもよく、また、例えば、ステップ9に接することによって回転するローラの回転を検出するセンサ(例えば、エンコーダ)としてもよい。また、速度検出部18は、例えば、チェーン7に接することによって回転するローラの回転を検出するセンサ(例えば、エンコーダ)としてもよい。
【0036】
このように、速度検出部18は、例えば、回転体13aの回転速度、スプロケット10の回転速度、ステップ9の走行速度を検出することによって、間接的にチェーン7の走行速度を検出してもよく、また、例えば、チェーン7の走行速度を検出することによって、直接的にチェーン7の走行速度を検出してもよい。
【0037】
入力部16は、特に限定されないが、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)、タッチパネル等としてもよい。入力部16は、例えば、
図6に示すように、マンコンベヤ1の運転開始(チェーン7及びステップ9の走行開始)の指示データが入力される運転開始入力部16aと、ステップ9の走行方向(チェーン7の回転方向)の指示データが入力される走行方向入力部16bとを備えていてもよい。
【0038】
運転開始入力部16aは、例えば、チェーン7及びステップ9の走行を開始する指示である運転開始指示データと、チェーン7及びステップ9の走行を停止する運転停止指示データとが入力されてもよい。特に限定されないが、運転開始入力部16aは、例えば、本実施形態のように、欄干部4のカバー部4cに配置され、鍵を差すことによって回転操作可能なキーロックスイッチとしてもよい。
【0039】
走行方向入力部16bは、例えば、ステップ9を第1方向(上方向)に走行する指示である第1方向指示データと、ステップ9を第2方向(下方向)に走行する指示である第2方向指示データとが入力されてもよい。特に限定されないが、走行方向入力部16bは、例えば、本実施形態のように、欄干部4のカバー部4cに配置され、鍵を差すことによって回転操作可能なキーロックスイッチとしてもよい。
【0040】
出力部17は、特に限定されないが、例えば、情報を表示する表示部17a(例えば、電光掲示板、表示灯)、情報を音で発する発音部(例えば、ブザー、スピーカ)、外部(例えば、中央監視盤、監視センター等)へ信号を出力する信号出力部等としてもよい。
【0041】
人検出部19,20は、マンコンベヤ1に乗る人を検出するために、例えば、乗降部1bに人が存在するか否かを検出してもよい。そして、
図6及び
図7に示すように、人検出部19,20は、例えば、乗降部1bの人を検出する第1人検出部19と、乗降部1bのうち、第1人検出部19で人を検出する領域よりも、ステップ9に近い領域(第1横方向D1の内方の領域)の人を検出する第2人検出部20とを備えていてもよい。
【0042】
人検出部19,20は、例えば、本実施のように、欄干部4の内部に配置される光電センサとしてもよい。
図7において、2点鎖線は、人検出部19,20が人を検出する領域を示している。なお、斯かる構成に限られず、人検出部19,20は、例えば、乗降部1bの上方及び側方から撮像するカメラとしてもよく、また、例えば、乗降部1bの下方から人の荷重を検出するロードセルとしてもよい。
【0043】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1の制御について説明する。なお、以下の内容は、マンコンベヤ1の制御等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤ1の制御を限定するものではない。
【0044】
<自動運転制御>
処理部6は、例えば、本実施形態のように、自動運転制御を実行してもよい。例えば、自動運転制御は、以下のような制御としてもよい。
【0045】
まず、チェーン7及びステップ9の走行が停止する状態で、運転開始入力部16aに、運転開始指示データが入力された場合に、又は、第1人検出部19が人を検出した場合に、処理部6は、チェーン7及びステップ9の走行を開始する。そして、第2人検出部20が最後に人を検出した後に、所定時間(例えば、ステップ9が1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、処理部6は、チェーン7及びステップ9の走行を停止する。
【0046】
したがって、運転開始入力部16aへの入力によって、最初のチェーン7及びステップ9の走行の開始が行われ、その後は、第1人検出部19の検出によって、チェーン7及びステップ9の走行の開始が行われる。なお、チェーン7及びステップ9の走行が開始された後に、第2人検出部20が所定時間(例えば、20秒~30秒)だけ人を検出しなかった場合には、処理部6は、チェーン7及びステップ9の走行を停止する。
【0047】
<走行速度制御>
処理部6は、例えば、本実施形態のように、チェーン7及びステップ9の走行速度を制御するために、基準制御と周波数制御とを切り替えて実行してもよい。例えば、基準制御及び周波数制御は、以下のような制御としてもよい。
【0048】
処理部6は、例えば、チェーン7及びステップ9が走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間において、基準制御を実行する。基準制御においては、処理部6は、例えば、インバータ21を制御することによって、モータ12へ供給する電力の周波数を一定にする。
【0049】
これにより、モータ12へ供給する電力の周波数に起因して、チェーン7及びステップ9の走行速度は、変化しない。なお、基準制御が実行されている場合には、搬送負荷が変化することによって、チェーン7及びステップ9の走行速度は、変化する。例えば、搬送する人が多いほど、即ち、搬送負荷が大きいほど、チェーン7及びステップ9の走行速度は、遅くなる。
【0050】
そして、処理部6は、例えば、設定期間後において、周波数制御を実行する。周波数制御においては、処理部6は、例えば、インバータ21を制御することによって、モータ12へ供給する電力の周波数を変える。これにより、回転体13a及びスプロケット10の回転速度が変わるため、チェーン7及びステップ9の走行速度は、変わる。
【0051】
そして、処理部6は、例えば、速度検出部18の検出に基づいて、チェーン7及びステップ9の走行速度が一定となるように、モータ12へ供給する電力の周波数を変更するフィードバック制御を行う。したがって、設定期間後において、チェーン7及びステップ9の走行速度を定格速度で一定にすることができる。
【0052】
<チェーン7の伸び判定>
次に、チェーン7の伸びに伴い発生する事象について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。なお、
図8及び
図9においては、時間T0から時間T1までの設定期間には、基準制御が実行され、そして、ステップ9に人が乗っていない状況を示している。
【0053】
チェーン7の伸びが正常である(伸びが殆ど無い)場合には、チェーン7の走行が停止している状態において、張力付与部15は、チェーン7に張力を適切に付与している。これにより、チェーン7の走行が開始するときから、チェーン7に張力が常に付与されているため、
図8に示すように、チェーン7の走行速度は、定格速度V0になるまで、徐々に速くなる。
【0054】
一方で、チェーン7の伸びが異常である(伸びが大きい)場合には、チェーン7の走行が停止している状態において、張力付与部15は、チェーン7に張力を適切に付与できていない。これにより、チェーン7の走行が開始してから、チェーン7に張力が加わるまで、モータ12にかかる負荷が小さくなる。
【0055】
したがって、
図9に示すように、チェーン7の走行速度は、定格速度V0よりも大きい設定速度V1よりも、速くなる。なお、設定速度V1は、特に限定されないが、例えば、定格速度V0の110%~120%としてもよい。
【0056】
その後、チェーン7に張力が加わらない状態から加わる状態に変化することによって、モータ12にかかる負荷(トルク)は、急激に大きくなる。これにより、チェーン7の走行速度は、設定減速度V2以上に減速する。なお、設定減速度V2は、特に限定されないが、例えば、定格速度V0の10%~20%としてもよい。その後、チェーン7の走行速度は、定格速度V0になるまで、徐々に速くなる。
【0057】
このように、チェーン7の伸びが異常である(伸びが大きい)場合には、上記のような事象が発生する。それに対して、処理部6は、例えば、チェーン7の伸びの判定を実行してもよい。例えば、チェーン7の伸びの判定は、以下のような制御としてもよい。
【0058】
処理部6は、例えば、設定期間に、第1要件及び第2要件を満たした場合に、チェーン7の伸びの異常と判定してもよい。第1要件は、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを検出することであり、第2要件は、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定減速度V2以上に減速したことを検出することである。これにより、チェーン7の走行速度に基づいて、チェーン7の伸びの異常を正確に判定することができる。
【0059】
なお、処理部6がチェーン7の伸びの異常を判定した場合には、例えば、出力部17は、当該情報(チェーン7の伸び異常)を出力してもよい。例えば、表示部17aは、当該情報を表示してもよく、また、例えば、出力部17は、外部(例えば、中央監視盤、監視センター等)へ当該情報を出力してもよい。
【0060】
また、モータ12へ供給する電力の周波数が変化すると、チェーン7の走行速度が変化するため、チェーン7の伸びの判定を実行する設定期間において、処理部6は、基準制御を実行している。これにより、モータ12へ供給する電力の周波数に起因して、チェーン7の走行速度が、変化しないため、チェーン7の走行速度に基づいて、チェーン7の伸びの異常を正確に判定することができる。
【0061】
また、設定期間において、モータ12へ供給する電力の周波数が一定であるため、ステップ9に人が乗った場合に、搬送負荷が変化するため、搬送負荷の変化に起因して、チェーン7の走行速度が変化することになる。そこで、処理部6は、設定期間を、チェーン7の走行が開始してから、第2人検出部20が人を検出するまでの期間としてもよい。これにより、搬送負荷が変化することによってチェーン7の伸びの異常が誤判定されることを抑制することができる。
【0062】
以上より、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、
複数のステップ9と、
前記複数のステップ9が接続される無端環状のチェーン7と、
前記チェーン7を走行させるモータ12と、
前記チェーン7の走行速度を検出する速度検出部18と、
前記チェーン7が走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、前記チェーン7の伸びを判定する処理部6と、を備え、
前記モータ12に供給される電力の周波数は、前記設定期間において、一定であり、
前記処理部6は、前記設定期間に、前記速度検出部18が前記チェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを検出した場合に、前記チェーン7の伸びの異常と判定する、
という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、チェーン7が伸びた場合には、チェーン7の走行が開始されてから、チェーン7に張力が加わるまで、モータ12にかかる負荷が小さくなる。それに対して、設定期間に、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを検出した場合に、チェーン7は、伸びの異常と判定される。これにより、チェーン7の走行速度に基づいて、チェーン7の伸びの異常を判定することができる。
【0064】
また、マンコンベヤ1においては、本実施形態のように、
前記処理部6は、前記設定期間に、前記速度検出部18が前記チェーン7の走行速度が前記設定速度V1以上であることを検出した後に、前記速度検出部18が前記チェーン7の走行速度が設定減速度V2以上に減速したことを検出した場合に、前記チェーン7の伸びの異常と判定する、
という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、チェーン7が伸びた場合には、チェーン7の走行が開始し、チェーン7に張力が加わらない状態から加わる状態に変化することによって、モータ12にかかる負荷が急激に大きくなる。それに対して、設定期間に、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定減速度V2以上に減速したことを検出した場合に、チェーン7は、伸びの異常と判定される。これにより、チェーン7の走行速度に基づいて、チェーン7の伸びの異常を正確に判定することができる。
【0066】
また、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、
前記モータ12へ供給する電力の周波数を変更するインバータ21を備え、
前記処理部6は、前記設定期間において、前記モータ12へ供給する電力の周波数を一定にする基準制御を実行し、
前記処理部6は、前記設定期間後において、前記速度検出部18の検出に基づいて、前記チェーン7の走行速度が一定となるように、前記モータ12へ供給する電力の周波数を変更する周波数制御を実行する、
という構成でもよい。
【0067】
斯かる構成によれば、設定期間において、基準制御が実行されるため、モータ12へ供給する電力の周波数は、一定である。これにより、モータ12へ供給する電力の周波数に起因して、チェーン7の走行速度が変化しないため、チェーン7の走行速度に基づいて、チェーン7の伸びの異常を正確に判定することができる。
【0068】
そして、設定期間後において、周波数制御が実行されるため、速度検出部18の検出に基づいて、モータ12へ供給する電力の周波数は、変更される。これにより、設定期間後において、チェーン7の走行速度を一定にすることができる。
【0069】
また、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、
乗降部1bの人を検出する第1人検出部19と、
前記乗降部1bのうち、前記第1人検出部19で人を検出する領域よりも、前記ステップ9に近い領域の人を検出する第2人検出部20と、を備え、
前記処理部6は、前記チェーン7の走行が停止する状態で前記第1人検出部19が人を検出した場合に、前記チェーン7の走行を開始し、
前記処理部6は、前記設定期間を、前記チェーン7の走行が開始してから、前記第2人検出部20が人を検出するまでの期間とする、
という構成が好ましい。
【0070】
斯かる構成によれば、モータ12に供給される電力の周波数が、設定期間において、一定であるため、ステップ9に人が乗った場合に、搬送負荷が変化するため、搬送負荷の変化に起因して、チェーン7の走行速度は、変化してしまう。それに対して、設定期間は、チェーン7の走行が開始してから、第2人検出部20が人を検出するまでの期間とされる。これにより、搬送負荷が変化することによってチェーン7の伸びの異常が誤判定されることを抑制することができる。
【0071】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0072】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、設定期間に、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを検出した後に、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定減速度V2以上に減速したことを検出した場合に、チェーン7の伸びの異常と判定する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理部6は、設定期間に、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを検出しただけで、チェーン7の伸びの異常と判定する、という構成でもよい。
【0073】
(B)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、設定期間において、モータ12へ供給する電力の周波数を一定にする基準制御を実行し、設定期間後において、モータ12へ供給する電力の周波数を変更する周波数制御を実行する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理部6は、設定期間及び設定期間後に拘わらず、常に、モータ12へ供給する電力の周波数を一定にする基準制御を実行する、という構成でもよい。
【0074】
(C)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、自動運転制御を実行し、人検出部19,20の検出に基づいて、チェーン7の走行の開始及び停止を繰り返す、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0075】
例えば、処理部6は、常に、チェーン7の走行速度を一定となるように、チェーン7を走行させる、という構成でもよい。また、例えば、処理部6は、常に、モータ12へ供給する電力の周波数を一定にして、チェーン7を走行させる、という構成でもよい。また、例えば、処理部6は、人検出部19,20の検出に基づいて、チェーン7の走行速度を定格速度と低速度で繰り返す(チェーン7の走行を停止しない)、という構成でもよい。
【0076】
(D)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1は、インバータ21を備えており、インバータ21を介して、モータ12へ電力を供給する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、モータ12へ商用電力を直接に供給し、モータ12に供給する電力の周波数は、一定である、という構成でもよい。
【0077】
(E)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、設定期間を、チェーン7の走行が開始してから、第2人検出部20が人を検出するまでの期間とする、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理部6は、設定期間を、チェーン7の走行が開始してから、予め設定された設定時間(例えば、1秒~2秒)が経過するまでの期間とする、という構成でもよい。
【0078】
(F)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1は、チェーン7に張力を付与するために、チェーン7に弾性復元力を加える弾性部15aを有する張力付与部15を備える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、弾性部15aを備えておらず、スプロケット10及び支持部11は、チェーン7に張力が付与されるように、適切な位置に配置されている、という構成でもよい。
【0079】
(G)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、チェーン7の走行が開始された場合に、常に、チェーン7の伸びの判定を実行する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0080】
例えば、モータ12に供給される電力の周波数が、設定期間において、一定であるため、ステップ9に人が乗った場合に、搬送負荷が変化するため、搬送負荷の変化に起因して、チェーン7の走行速度は、変化してしまう。そして、チェーン7の走行が停止する状態で入力部16の運転開始入力部16aに運転開始の指示データが入力された場合には、ステップ9に人が乗る可能性は、低い。一方で、チェーン7の走行が停止する状態で人検出部19,20が人を検出した場合には、ステップ9に人が乗る可能性は、高い。
【0081】
そこで、マンコンベヤ1は、例えば、
前記マンコンベヤ1の運転開始の指示データが入力される入力部16(具体的には、運転開始入力部16a)と、
乗降部1bの人を検出する人検出部(具体的には、第1人検出部19)と、を備え、
前記処理部6は、前記チェーン7の走行が停止する状態で前記入力部16に前記指示データが入力された場合に、前記チェーン7の走行を開始し、且つ、前記チェーン7の伸びの判定を実行し、
前記処理部6は、前記チェーン7の走行が停止する状態で前記人検出部19が人を検出した場合に、前記チェーン7の走行を開始し、且つ、前記チェーン7の伸びの判定を実行しない、
という構成でもよい。
【0082】
斯かる構成によれば、チェーン7の走行が停止する状態で入力部16に指示データが入力された場合に、チェーン7の伸びの判定が、実行されるため、チェーン7の伸びの異常を適切に判定することができる。また、チェーン7の走行が停止する状態で人検出部19が人を検出した場合には、チェーン7の伸びの判定が、実行されないため、搬送負荷が変化することによってチェーン7の伸びの異常が誤判定されることを抑制することができる。
【0083】
(H)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、各設定期間のそれぞれの速度に基づいて、チェーン7の伸びの判定を実行する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理部6は、複数の設定期間の平均速度に基づいて、チェーン7の伸びの判定を実行する、という構成でもよい。
【0084】
(I)また、マンコンベヤ1においては、処理部6は、直近の少なくとも一つの設定期間の速度に基づいて、チェーン7の伸びの異常となる(例えば、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを検出する)時期を予測する、という構成でもよい。斯かる構成によれば、例えば、チェーン7へ付与する張力を調整する時期を把握することができる。
【0085】
(J)また、マンコンベヤ1においては、処理部6は、設定期間に、速度検出部18がチェーン7の走行速度が設定速度V1以上であることを所定時間(例えば、1秒~2秒)だけ検出し続けた場合に、チェーン7の伸びの異常と判定するだけでなく、チェーン7の走行を停止する、という構成でもよい。斯かる構成によれば、例えば、チェーン7の伸び以外の異常(例えば、チェーン7の破断)である虞がある場合に、チェーン7の走行を停止させることができる。
【0086】
(K)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示したシステム、方法、プログラム、及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0087】
1…マンコンベヤ、1a…床プレート、1b…乗降部、2…構造体、2a…機械室、2b…枠材、3…搬送部、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、5…駆動部、6…処理部、6a…取得部、6b…記憶部、6c…演算部、6d…制御部、7…チェーン、7a…リンク、7b…ローラ、8…連結軸、9…ステップ、9a…ステップ本体、9b…ローラ、9c…踏面部、9d…蹴上部、9e…連結部、10…スプロケット、10a…歯、11…支持部、11a…ガイド部、12…モータ、13…伝達部、13a…回転体、13b…伝達体、14…ガイド機構、14a…ローラ、14b…レール、15…張力付与部、15a…弾性部、15b…連結部、15c…第1保持部、15d…第2保持部、16…入力部、16a…運転開始入力部、16b…走行方向入力部、17…出力部、17a…表示部、18…速度検出部、19…第1人検出部、20…第2人検出部、21…インバータ、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向
【要約】
【課題】 チェーンの走行速度に基づいて、チェーンの伸びの異常を判定することができるマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤは、複数のステップと、複数のステップが接続される無端環状のチェーンと、チェーンを走行させるモータと、チェーンの走行速度を検出する速度検出部と、チェーンが走行を開始してから設定時間が経過するまでの設定期間に、チェーンの伸びを判定する処理部と、を備え、モータに供給される電力の周波数は、設定期間において、一定であり、処理部は、設定期間に、速度検出部がチェーンの走行速度が設定速度以上であることを検出した場合に、チェーンの伸びの異常と判定する。
【選択図】
図5