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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/42 20060101AFI20240327BHJP
   D06F 33/30 20200101ALI20240327BHJP
【FI】
D06F37/42 A
D06F33/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019132753
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021016472
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】川邉 慶久
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104674508(CN,A)
【文献】特開2018-138858(JP,A)
【文献】特開2007-044271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/42
D06F 33/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置されたドラムと、
前記筐体に開閉可能に設けられたドアをドアロック状態またはロック解除状態に切り替えるドアロック装置と、
前記ドアロック装置を制御する駆動回路に対して供給される操作信号を出力する制御部と、
前記制御部から前記駆動回路に対して前記操作信号が供給される際の経路上に配置されており、前記ドラムの回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に前記制御部からの操作信号に基づいた前記駆動回路の動作を許可し、且つ、前記ドラムの回転数が前記所定回転数を越える場合に前記制御部からの操作信号に基づいた前記駆動回路の動作を禁止する複数の安全回路と
前記複数の安全回路と、前記制御部からの操作信号を受け付け且つその操作信号を前記駆動回路に供給する操作受付部とを有する安全基板を備え、
前記複数の安全回路は、それぞれ、
前記制御部からの操作信号に基づいた前記駆動回路の動作を許可するか否かを判定するための前記所定回転数に対応した閾値を設定する閾値設定部と、
前記駆動回路への給電ラインの断接状態を切り替える駆動電源遮断部とを有し、
前記複数の安全回路が直列に構成されており、前記複数の安全回路の全てが許可した場合に、前記操作受付部が受け付けた操作信号に応じて前記駆動回路に給電して動作させ、
前記複数の安全回路は、それぞれ、
前記ドラムの回転数を検出する回転数検出部を更に有しており、
前記複数の回転数検出部の一部が、回転パルスの立ち下がりを検知するアクティブL型であり、前記複数の回転数検出部の他が、回転パルスの立ち上がりを検知するアクティブH型であることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記安全回路は、前記ドラムの回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に、前記駆動回路に対して駆動電源を供給することにより前記制御部から前記駆動回路の動作を許可し、且つ、前記ドラムの回転数が前記所定回転数を越えた場合に、前記制御部から前記駆動回路に対して駆動電源を供給しないことにより前記駆動回路の動作を禁止することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記安全回路が、ハードウェアによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記安全回路が、前記制御部とは別異の回路基板によって構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばドアの開放を阻止するためのドアロック装置を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機はドアの開放を阻止するためのドアロック装置を有するものが一般的である。ドアロック装置は、制御部からの制御信号に従ってドアのロックおよびロック解除を行う。制御部は、洗濯機の動作を制御するためのプログラムを記憶しており、そのプログラムにしたがってドアロック装置を制御する。
【0003】
従来のドアロック装置の制御について、図5に基づいて説明する。ドアロック装置106Aは、ドアを係止する係止部118の位置を係止位置及び解除位置のいずれかに切り替えるために、駆動装置としてのソレノイド118aを含む駆動回路131を有している。駆動回路131は、制御部120からの操作信号を受け付ける操作受付部151に接続される。制御部120は、操作受付部151に対して、ソレノイド118aを駆動するためのソレノイド電源を供給すると共に、ドアロック信号またはロック解除信号を供給する。
【0004】
よって、従来の洗濯機において、ドラムの回転数が所定回転数を超える場合、制御部120から操作受付部151に対して、ソレノイド電源及びドアロック信号が供給されたときに、その操作信号に基づいて駆動回路131が動作して、ドアロック状態に切り替えられる。その後、ドラムの回転数が所定回転数以下になると、制御部120から操作受付部151に対して、ソレノイド電源及びロック解除信号が供給されて、その操作信号に基づいて駆動回路131が動作して、ロック解除状態に切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-33512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗濯機では、仮に、ドアロック状態においてプログラムの不具合や電気的外乱などによる誤動作により、制御部120から操作受付部151に対して、ソレノイド電源及びロック解除信号が供給された場合、ドラムの回転数が所定回転数を超えているにもかかわらず、ドアロック状態が誤って解除されてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、プログラムの不具合や電気的外乱などによる誤動作により、ドアロック状態が誤って解除されるのを防止できる洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の洗濯機は、筐体内に配置されたドラムと、前記筐体に開閉可能に設けられたドアをドアロック状態またはロック解除状態に切り替えるドアロック装置と、前記ドアロック装置を制御する駆動回路に対して供給される操作信号を出力する制御部と、前記制御部から前記駆動回路に対して前記操作信号が供給される際の経路上に配置されており、前記ドラムの回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に前記制御部からの操作信号に基づいた前記駆動回路の動作を許可し、且つ、前記ドラムの回転数が前記所定回転数を越える場合に前記制御部からの操作信号に基づいた前記駆動回路の動作を禁止する複数の安全回路と、前記複数の安全回路と、前記制御部からの操作信号を受け付け且つその操作信号を前記駆動回路に供給する操作受付部とを有する安全基板を備え、前記複数の安全回路は、それぞれ、前記制御部からの操作信号に基づいた前記駆動回路の動作を許可するか否かを判定するための前記所定回転数に対応した閾値を設定する閾値設定部と、前記駆動回路への給電ラインの断接状態を切り替える駆動電源遮断部とを有し、前記複数の安全回路が直列に構成されており、前記複数の安全回路の全てが許可した場合に、前記操作受付部が受け付けた操作信号に応じて前記駆動回路に給電して動作させ、前記複数の安全回路は、それぞれ、前記ドラムの回転数を検出する回転数検出部を更に有しており、前記複数の回転数検出部の一部が、回転パルスの立ち下がりを検知するアクティブL型であり、前記複数の回転数検出部の他が、回転パルスの立ち上がりを検知するアクティブH型であることを特徴とする。
本発明の洗濯機において、前記安全回路は、前記ドラムの回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に、前記駆動回路に対して駆動電源を供給することにより前記制御部から前記駆動回路の動作を許可し、且つ、前記ドラムの回転数が前記所定回転数を越えた場合に、前記制御部から前記駆動回路に対して駆動電源を供給しないことにより前記駆動回路の動作を禁止することが好適である。
【0012】
本発明の洗濯機において、前記安全回路が、ハードウェアによって構成されていることが好適である。
【0013】
本発明の洗濯機において、前記安全回路が、前記制御部とは別異の回路基板によって構成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗濯機は、ドラムの回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に制御部からの操作信号に基づいた駆動回路の動作を許可し、且つ、ドラムの回転数が所定回転数を越える場合に制御部からの操作信号に基づいた駆動回路の動作を禁止する安全回路を備えている。これにより、ドラムの回転数が所定回転数を越える場合、安全回路が制御部からの操作信号に基づいた駆動回路の動作を禁止しているため、プログラムの不具合や電気的外乱などによる誤動作により、制御部から操作信号が駆動回路に供給されて、その操作信号によりドアロック状態が解除されるのを防止できる。
【0015】
本発明の洗濯機では、複数の安全回路の全てが許可した場合に限り、制御部からの操作信号に基づいた駆動回路の動作が許可されるため、複数の安全回路の何れかが万一誤動作しても、ドアロック状態が解除されるのを確実に防止できる。
【0016】
本発明の洗濯機では、複数の安全回路が直列に構成されており、複数の安全回路の全てが許可した場合に、駆動回路が給電により動作する。そのため、ドアロック状態が解除されるのを、給電停止によって確実に防止できる。
【0017】
本発明の洗濯機では、複数の安全回路に対して回転数検出部をそれぞれ設け、かつ、アクティブL型とアクティブH型を併用することで、パルスエッジの検知を確実に行うことができる。
【0018】
本発明の洗濯機では、安全回路がハードウェアによって構成されているため、プログラムの不具合によりドアロック状態が解除されるのを防止できる。
【0019】
本発明の洗濯機では、安全回路が制御部とは別異の回路基板によって構成されているため、物理的に別基板とすることで、回路設計や安全性適否の認定の便が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機100の模式的な断面図である。
図2図1の洗濯機100の制御ブロック図である。
図3図1の洗濯機100の回路図である。
図4図1の洗濯機100のドアロック動作を説明する図である。
図5】従来の洗濯機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の洗濯機100について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る洗濯機100の模式的な断面図である。
【0022】
図1に示すように、洗濯機100では、箱形状の筐体1の内部に、略円筒形状の外槽2が配置され、外槽2の内部に、洗濯物を収容するための略円筒形状のドラム4が前後方向に延伸する主軸5により軸支されている。外槽2の前面に形成された衣類投入口2aは、ドア6により開閉され、ドア6が開放された状態でドラム4内に洗濯物の出し入れが可能となっている。
【0023】
ドラム4は、水平方向の沿った回転軸の周りを回転可能である。ドラム4の周面には、多数の通液孔4aが穿設されており、洗浄やすすぎ時に外槽2内に供給された溶剤は、通液孔4aを通してドラム4内へ流入し、遠心脱液時にドラム4内で洗濯物から吐き出された溶剤は、通液孔4aを通して外槽2側へと飛散する。
【0024】
主軸5は、外槽2の背面壁に装着された軸受5aによって回転自在に支承され、さらに後方に突出した主軸5の先端には、主プーリ8が取り付けられている。筐体1の底部には、モータ9が設置され、モータ9の回転軸に、モータプーリ10が取り付けられている。モータプーリ10の回転動力は、タイミングベルト11を介して主プーリ8に伝達される。これにより、モータ9が駆動されると、モータ9の回転速度が所定の減速比で減速された回転速度で、ドラム4が主軸5を中心に回転する。
【0025】
外槽2の背面壁の上部には、給液バルブ12aが設けられた給液管12が接続されており、給液バルブ12aが開放されると、溶剤が給液管12を介して外槽2へと供給される。外槽2の底部に設けられた排液口には、排液バルブ16aが設けられた排液管16が接続されており、排液バルブ16aが開放されると、外槽2内の溶剤が排液管16を通して機外へと排出される。
【0026】
筐体1の前面には、ドア6の開放を阻止するためのドアロック装置6Aが設置されている。ドアロック装置6Aは、ドラム4の回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に、ドア6の開放が可能であるロック解除状態となるように制御され、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合に、ドア6の開放が不可能であるドアロック状態となるように制御される。
【0027】
図2は、本実施形態の洗濯機100の制御ブロック図である。洗濯機100の制御部20は、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、洗濯機100の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。洗濯機100の運転動作は、制御部20によって制御される。
【0028】
ドアロック装置6Aは、係止部18を有しており、係止部18は、ドアロック状態においてドア6の開放を阻止するためにドア6を係止する係止位置に配置されると共に、ロック解除状態においてドア6の開放を可能とするためにドア6を係止しない解除位置に配置される。
【0029】
ドアロック装置6Aは、係止部18の位置を係止位置及び解除位置のいずれかに切り替えるために、駆動装置としてのソレノイド18aを含んでいる。
【0030】
ドアロック装置6Aは、洗濯機100の制御部20から供給される操作信号(ソレノイド電源、及び、ドアロック信号またはロック解除信号)により制御される。
【0031】
具体的には、ドアロック装置6Aは、制御部20からソレノイド電源及びドアロック信号が供給された場合に、ソレノイド18aにより係止部18を係止位置に移動させてドアロック状態に切り替えられる。ドアロック装置6Aは、制御部20からソレノイド電源及びロック解除信号が供給された場合に、ソレノイド18aにより係止部18を解除位置に移動させてロック解除状態に切り替えられる。
【0032】
洗濯機100は、安全基板30と、ドアロック装置6Aを制御する駆動回路33とを有している。駆動回路31は、ソレノイド18aを駆動するための回路であり、制御部20からの操作信号に基づいて動作する。
【0033】
安全基板30は、2つの安全回路50,50aと、制御部20からの操作信号を受け付ける操作受付部51とを有している。安全基板30は、洗濯機電源及びソレノイド電源に接続される。
【0034】
2つの安全回路50,50aは、それぞれ、ドアロックが解除されるべきでない状態でドアロック装置6Aによりドアロックが解除されるのを防止するための回路である。
【0035】
具体的には、2つの安全回路50,50aは、それぞれ、ドラム4の回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可し、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合に、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を禁止する。
【0036】
本実施形態では、安全基板30において、ソレノイド電源と操作受付部51との間に2つの安全回路50,50aが直列に配置されており、操作受付部51は、2つの安全回路50,50aを介してソレノイド電源に接続される。制御部20は、ソレノイド18aを制御するときに、操作信号であるソレノイド電源を操作受付部51に供給するが、2つの安全回路50,50aの両方が、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可した場合に限り、ソレノイド電源は、駆動回路31に供給される。
【0037】
ソレノイド電源が駆動回路31に供給される状態において、操作受付部51が制御部20からのドアロック信号またはロック解除信号の操作信号を受け付けた場合、その操作信号が駆動回路31に供給されて、その操作信号に基づいた駆動回路31の動作(ドアロックまたはロック解除)が実施される。
【0038】
これに対して、ソレノイド電源が駆動回路31に供給されない状態において、操作受付部51が制御部20からのドアロック信号またはロック解除信号の操作信号を受け付けたとしても、その操作信号は駆動回路31に供給されず、その操作信号に基づいた駆動回路31の動作(ドアロックまたはロック解除)は実施されない。
【0039】
安全回路50は、回転数検出部53と、閾値設定部54と、駆動電源遮断部55とを有している。回転数検出部53と駆動電源遮断部55との間には、フォトカプラ58が配置される。
【0040】
回転数検出部53は、回転センサ56からの検出信号に基づいて、ドラム4の回転数に応じたパルス信号を出力する。回転数検出部53から出力されるパルス信号の間隔は、ドラム4の回転数が高くなると短くなり、ドラム4の回転数が低くなると長くなる。そのため、回転数検出部53から出力されるパルス信号の間隔の変化に基づいて、ドラム4の回転数の変化を検知することができる。
【0041】
上述したように、ドアロック装置6Aは、ドラム4の回転数が所定回転数以下の場合にロック解除状態に切り替えられ、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合にドアロック状態に切り替えられる。
【0042】
そのため、ドラム4の回転数が所定回転数であるときのパルス信号の間隔を閾値tとすると、パルス信号の間隔が閾値t以上の場合に、ロック解除状態に切り替えられ、パルス信号の間隔が閾値tより短い場合に、ドアロック状態に切り替えられることになる。
【0043】
閾値設定部54は、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可するか否かを判定するための閾値を設定する。具体的には、閾値設定部54は、ドラム4の回転数が所定回転数であるときのパルス信号の間隔を示した閾値tを設定する。
【0044】
駆動電源遮断部55は、ソレノイド電源から駆動回路31への給電ラインの断接状態を切り替える。具体的には、駆動電源遮断部55は、ドラム4の回転数が所定回転数以下の場合に、ソレノイド電源を駆動回路31に供給するように電源を遮断しないと共に、ドラム4の回転数が所定回転数を超える場合に、ソレノイド電源を駆動回路31に供給しないように電源を遮断する。
【0045】
安全基板30に形成された安全回路50,50aの具体的な構成について、図3に基づいて説明する。
【0046】
安全回路50は、Dフリップフロップ60と、トランジスタ61,62,63とを有している。Dフリップフロップ60は、回転パルス信号の立ち上がり(アップエッジ)をトリガーとする。
【0047】
Dフリップフロップ60は、D端子、CK端子、Q端子、Q’端子、CLR端子、PR端子を有している。D端子とPR端子は、定格電源Vccの電圧源64に接続される。CK端子は、フォトカプラ58を介して、回転数検出部53に接続される。
【0048】
Q端子には、抵抗65の一端が接続され、抵抗65の他端は、コンデンサ66の一端が接続される。コンデンサ66の他端は接地される。Q’端子は、トランジスタ61のベースに接続される。
【0049】
トランジスタ62のコレクタは、定格電源Vccの電圧源68に接続されると共に、Dフリップフロップ60のCLR端子に接続される。トランジスタ62のエミッタは接地される。トランジスタ62のベースは、抵抗65とコンデンサ66との間にある接続点Pに接続される。
【0050】
トランジスタ63のコレクタは、トランジスタ62のベースに接続され、トランジスタ63のエミッタは接地される。トランジスタ63のベースは、CK端子に接続される。
【0051】
安全回路50において、閾値設定部54は、トランジスタ63と、抵抗65と、コンデンサ66とを含んでいる。そのため、閾値設定部54では、抵抗65の抵抗値及びコンデンサ66の容量値により決定されるRC時定数を、閾値tとして設定する。トランジスタ63は、閾値設定部54のコンデンサ66を放電し、閾値設定部54をリセットするために使用される。
【0052】
安全回路50において、駆動電源遮断部55は、閾値設定部54と、Dフリップフロップ60と、トランジスタ61,62とを含んでいる。
【0053】
安全回路50aは、安全回路50と同様に、回転数検出部53aと、閾値設定部54と、駆動電源遮断部55とを有している。安全回路50aの回転数検出部53aは、回転センサ56aからの検出信号に基づいて、ドラム4の回転数に応じたパルス信号を出力する。
【0054】
安全回路50aは、安全回路50と同様に、Dフリップフロップ60と、トランジスタ61a,62,63とを有している。安全回路50aでのDフリップフロップ60及びトランジスタ61a,62,63の接続方法は、安全回路50と同様であり、同一の部分については詳細な説明を省略する。
【0055】
安全回路50と安全回路50aとで異なる点について説明すると、安全回路50のトランジスタ61のコレクタは、ソレノイド電源に接続され、トランジスタ61のエミッタは、安全回路50aのトランジスタ61aのコレクタに接続される。安全回路50aのトランジスタ61aのエミッタは、操作受付部51に接続される。
【0056】
安全回路50では、Dフリップフロップ60のCK端子は、フォトカプラ58を介して回転数検出部53aに接続されるのに対して、安全回路50aでは、Dフリップフロップ60のCK端子は、フォトカプラ58を介しないで、回転数検出部53aに接続される。
【0057】
洗濯機100のドアロック動作について、図3及び図4に基づいて説明する。
【0058】
洗濯機100においてドラム4が回転駆動されると、安全回路50の回転数検出部53と安全回路50aの回転数検出部53aとは、それぞれ、ドラム4の回転数を検出して、検出した回転数に応じた回転パルス信号を出力する。
【0059】
まず、安全回路50について説明すると、回転数検出部53により検出された回転パルス信号が、フォトカプラ58によりHiとLoとが反転した状態で、Dフリップフロップ60のクロック入力であるCK端子に入力される。すると、回転パルス信号の立ち上がりに同期して、D端子の状態がQ端子およびその反転出力であるQ’端子に出力される。
【0060】
図4(a)及び図4(b)に示すように、初期状態において、Dフリップフロップ60は、回転パルス信号のLoであり、D端子の信号状態を記憶して、Q端子がLoになり、Q’端子は逆値のHiになる。これにより、フリップフロップ60のQ’端子からのHi出力でトランジスタ61がオンとなる。よって、ソレノイド電源は、駆動回路31に接続される。
【0061】
その後、Dフリップフロップ60は、回転パルス信号の立ち上がり(アップエッジ)をトリガーとして、D端子の信号状態を記憶して、Q端子がHiになり、Q’端子は逆値のLoになると共に、トランジスタ63は、瞬間的にオンになって、閾値設定部54をリセットする。これにより、フリップフロップ60のQ’端子からのLo出力でトランジスタ61がオフとなる。よって、ソレノイド電源から駆動回路31への給電ラインが遮断される。
【0062】
給電ラインが遮断された後、次のトリガーが入るまでに閾値設定部54で設定された閾値t以上の時間が掛かると、図4(a)に示すように、トランジスタ62がONになってCLR端子に入力され、Q端子及びQ’端子の状態がクリアされて、Q端子がLoになり、Q’端子がHiになる。このため、トランジスタ61がオンになり、ソレノイド電源からの電流が、トランジスタ61のコレクタからエミッタへと流れる。
【0063】
これに対して、次のトリガーが入るまでの時間が閾値設定部54で設定された閾値tより短い場合、図4(b)に示すように、トランジスタ62がONに変化しないため、Q’端子はLoに維持される。これにより、Dフリップフロップ60のQ’端子からのLo出力で、トランジスタ61がオフに維持される。このため、ソレノイド電源からの電流は、トランジスタ61のコレクタからエミッタへと流れない。
【0064】
同様に、安全回路50aについて説明すると、回転数検出部53aにより検出された回転パルス信号が、HiとLoとが反転しない状態で、Dフリップフロップ60のクロック入力であるCK端子に入力される。すると、回転パルス信号の立ち上がりに同期して、D端子の状態がQ端子およびその反転出力であるQ’端子に出力される。
【0065】
安全回路50aにおいて、回転パルス信号がDフリップフロップ60のCK端子に入力された後の動作は、安全回路50と同様であり、その詳細説明は省略する。
【0066】
上述したように、安全回路50,50aでは、ドラム4の回転数が所定回転数以下の場合、パルス信号のアップエッジをトリガーとして、トランジスタ61,61aをオフにし、ソレノイド電源を所定時間遮断する。その後、所定時間が経過するまでに次のパルス信号のアップエッジがない場合、所定時間が経過したときにソレノイド電源を遮断しない状態に復帰する。そのため、ソレノイド電源が駆動回路31に供給される状態に切り替わるため、その状態で、制御部50からロック解除信号が供給された場合、駆動回路31は、ロック解除状態への切り替えを実施する。
【0067】
これに対して、安全回路50,50aでは、ドラム4の回転数が所定回転数を超える場合、パルス信号のアップエッジをトリガーとして、トランジスタ61,61aをオフにし、ソレノイド電源を所定時間遮断する。その後、所定時間が経過するまでに、次のパルス信号のアップエッジをトリガーとして、トランジスタ61,61aをオフにし、ソレノイド電源を所定時間遮断する。そのため、ソレノイド電源を遮断する状態が継続されるため、その状態で、制御部50からロック解除信号が供給されたとしても、駆動回路31は、ロック解除状態への切り替えを実施しない。
【0068】
本実施形態の洗濯機100は、筐体1内に配置されたドラム4と、筐体1に開閉可能に設けられたドア6をドアロック状態またはロック解除状態に切り替えるドアロック装置6Aと、ドアロック装置6Aを制御する駆動回路31に対して供給される操作信号を出力する制御部20と、ドラム4の回転数が予め定めた所定回転数以下の場合に制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可し、且つ、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合に制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を禁止する安全回路50,50aとを備える。
【0069】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、ドラム4の回転数が所定回転数以下の場合に制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可し、且つ、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合に制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を禁止する安全回路50,50aを備えている。これにより、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合、安全回路50,50aが制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を禁止しているため、プログラムの不具合や電気的外乱などによる誤動作により、制御部20から操作信号が駆動回路31に供給されて、その操作信号によりドアロック状態が解除されるのを防止できる。
【0070】
本実施形態の洗濯機100において、安全回路50,50aを複数備えており、複数の安全回路50,50aの全てが許可した場合に、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作が許可される。
【0071】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、複数の安全回路50,50aの全てが許可した場合に限り、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作が許可されるため、複数の安全回路50,50aの何れかが万一誤動作しても、ドアロック状態が解除されるのを確実に防止できる。
【0072】
本実施形態の洗濯機100において、複数の安全回路50,50aと、制御部20からの操作信号を受け付け且つその操作信号を駆動回路31に供給する操作受付部51とを有する安全基板30を備え、複数の安全回路50,50aは、それぞれ、制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可するか否かを判定するための所定回転数に対応した閾値tを設定する閾値設定部54と、駆動回路31への給電ラインの断接状態を切り替える駆動電源遮断部55とを有し、複数の安全回路50,50aが直列に構成されており、複数の安全回路50,50aの全てが許可した場合に、操作受付部51が受け付けた操作信号に応じて駆動回路31に給電して動作させる。
【0073】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、複数の安全回路50,50aが直列に構成されており、複数の安全回路50,50aの全てが許可した場合に、駆動回路31が給電により動作する。そのため、ドアロック状態が解除されるのを、給電停止によって確実に防止できる。
【0074】
本実施形態の洗濯機100において、複数の安全回路50,50aは、それぞれ、ドラム4の回転数を検出する回転数検出部53,53aを更に有しており、回転数検出部53が、回転パルスの立ち下がりを検知するアクティブL型であり、回転数検出部53aが、回転パルスの立ち上がりを検知するアクティブH型である。
【0075】
これにより、本実施形態の洗濯機100では、複数の安全回路50,50aに対して、回転数検出部53,53aをそれぞれ設け、かつ、アクティブL型とアクティブH型を併用することで、パルスエッジの検知を確実に行うことができる。
【0076】
本実施形態の洗濯機100において、安全回路50,50aが、ハードウェアによって構成されている。
【0077】
本実施形態の洗濯機100では、安全回路50,50aがハードウェアによって構成されているため、プログラムの不具合によりドアロック状態が解除されるのを防止できる。
【0078】
本実施形態の洗濯機100において、安全回路50,50aが、制御部20とは別異の回路基板によって構成されている。
【0079】
本実施形態の洗濯機100では、安全回路50,50aが制御部20とは別異の回路基板によって構成されているため、物理的に別基板とすることで、回路設計や安全性適否の認定の便が向上する。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0081】
例えば、上記実施形態では、水平方向に沿った回転軸の周りを回転可能なドラム4を有する洗濯機100について説明したが、本発明は、水平方向に対して傾斜する回転軸の周りを回転可能なドラム4を有する洗濯機に適用可能である。また、本発明は、鉛直方向に沿った回転軸の周りを回転可能な洗濯槽(ドラム)を有する縦型洗濯機に適用可能である。
【0082】
上記実施形態では、2つの安全回路50,50aを有する場合を説明したが、安全回路の数は、任意である。本発明の洗濯機は、1つまたは3つ以上の安全回路を有してよい。
【0083】
上記実施形態において、安全回路50,50aの例を説明したが、安全回路50,50aの具体的な構成は、任意である。よって、安全回路50,50aは、ドラム4の回転数が所定回転数以下の場合に制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を許可し、且つ、ドラム4の回転数が所定回転数を越える場合に制御部20からの操作信号に基づいた駆動回路31の動作を禁止するものであればよい。
【0084】
上記実施形態において、ドアロック装置6Aは、係止部18を駆動する駆動装置としてソレノイド18aを有しているが、駆動装置は、それに限られない。ドアロック装置6Aにおいて、例えば駆動装置としてのモータにより係止部18を駆動してよい。
【0085】
上記実施形態では、2つの安全回路50,50aにおいて、回転数検出部53がアクティブL型であり、回転数検出部53aがアクティブH型であり、回転数検出部53により検出された回転パルス信号がフォトカプラ58によりHiとLoとが反転されることで、回転パルス信号の立ち上がり(アップエッジ)をトリガーとする同一種類のDフリップフロップ60を使用しているが、安全回路50において、回転数検出部53がアクティブL型であり、回転数検出部53により検出された回転パルス信号に対して、回転パルス信号の立ち下がり(ダウンエッジ)をトリガーとするDフリップフロップ60を使用してよい。
【符号の説明】
【0086】
1 筐体
4 ドラム
6 ドア
6A ドアロック装置
20 制御部
30 安全基板
31 駆動回路
50,50a 安全回路
51 操作受付部
53,53a 回転数検出部
54 閾値設定部
55 駆動電源遮断部
100 洗濯機
図1
図2
図3
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図5