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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ラミネートフィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B65D65/02 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019144522
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021024624
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501244200
【氏名又は名称】株式会社KALBAS
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 賢二
(72)【発明者】
【氏名】輿石 侑実
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-119977(JP,U)
【文献】実公昭60-000931(JP,Y2)
【文献】特開2019-043608(JP,A)
【文献】特開2001-240074(JP,A)
【文献】特開平09-132249(JP,A)
【文献】特開2016-166036(JP,A)
【文献】実開昭61-062067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 67/00-79/02
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆対象体の表裏面を覆うラミネートフィルムであって、
前記被覆対象体に重畳する重畳部と、前記重畳部から面方向における外側に延在し、前記被覆対象体に重畳しない非重畳部と、を有する表裏一対のフィルムによって前記被覆対象体を覆うものとされ、
前記一対のフィルムの一端部同士に連なる折曲部を備え、
前記非重畳部は、前記一対のフィルムが接着されてなる接着部と、前記接着部よりも前記重畳部側に配され、前記接着部を前記重畳部から分離可能にする分離部と、を備え、
前記接着部は、接着部材にて接着されてなる部位であり、前記接着部材が、前記一対のフィルムにおいて最も外側の端部を接着するように、前記一対のフィルムの前記一端部の内側面同士と前記折曲部の内側面とを接着し、また前記一対のフィルムの前記一端部とは反対側の他端部の内側面同士を接着していることを特徴とするラミネートフィルム。
【請求項2】
前記フィルムは、高融点樹脂からなり、
前記フィルムは、前記接着部において、前記高融点樹脂よりも融点が低い低融点樹脂からなる接着部材にて接着されていることを特徴とする請求項1に記載のラミネートフィルム。
【請求項3】
前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部が、前記接着部の外縁に沿って連なってなるものとされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネートフィルム。
【請求項4】
前記分離部は、厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って連なってなるものとされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネートフィルム。
【請求項5】
前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って、正面視ジグザグ状となる形で連なってなるものとされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネートフィルム。
【請求項6】
前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って、正面視波状となる形で連なってなるものとされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネートフィルム。
【請求項7】
前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って連なってなるものとされ、
前記貫通部または前記凹部は、
前記接着部の外縁に沿って正面視直線状をなす直線部と、
前記直線部から傾斜して延伸する傾斜部と、からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネートフィルム。
【請求項8】
前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って正面視帯状に配されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラミネートフィルムとして、特許文献1に記載のものが知られている。具体的には、内側面の全面にホットメルト接着剤層を有する2枚のフィルムを、ホットメルト接着剤層同士を向かい合わせて、その間に印刷物を挿入せしめ、加熱により互いに貼り合せてなるラミネートフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3176977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今では、資源を有効利用することや環境汚染を防止すること等の観点から、ラミネートフィルムは、樹脂や紙等の素材ごとに容易に分別できることが望まれる。しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ホットメルト接着剤層がフィルムの内側面の全面に設けられているため、印刷物の表裏面に対し、フィルムの内側面の全面がホットメルト接着層を介して接着してしまう。すると、印刷物からホットメルト接着層及びフィルムを上手く分離して、素材ごとに分別することができない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、素材ごとに容易に分別することができる実用的なラミネートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被覆対象体の表裏面を覆うラミネートフィルムであって、前記被覆対象体に重畳する重畳部と、前記重畳部から面方向における外側に延在し、前記被覆対象体に重畳しない非重畳部と、を有する表裏一対のフィルムによって前記被覆対象体を覆うものとされ、前記非重畳部は、前記一対のフィルムが接着されてなる接着部と、前記接着部よりも前記重畳部側に配され、前記接着部を前記重畳部から分離可能にする分離部と、を備えることに特徴を有する。
【0007】
このようなラミネートフィルムによると、非重畳部が分離部を備えることで、接着部を重畳部から分離し、ラミネートフィルムから被覆対象体を取り出すことができる。また、フィルムのうち接着が行われていない部分(重畳部)と、接着が行われた接着部と、被覆対象体とを分離することが可能となるので、各部の素材ごとに分別することができ、資源を再利用することができる。なお、表裏一対のフィルムには、それぞれ分離されたフィルムの他、1枚のフィルムを折り返して表裏一対にて被覆対象体を覆うものも含むことができる。
【0008】
上記構成において、前記フィルムは、高融点樹脂からなり、前記フィルムは、前記接着部において、前記高融点樹脂よりも融点が低い低融点樹脂からなる接着部材にて接着されているものとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、高融点樹脂からなるフィルムのうち接着が行われていない部分(重畳部)と、低融点樹脂からなる接着部材にて接着されている接着部と、例えば紙等からなる被覆対象体とを分離して、素材ごとに分別することができる。また、被覆対象体の表裏面をフィルムで覆ったラミネートフィルムを作成する際に、低融点樹脂の融点と高融点樹脂の融点の間の温度で接着部(低融点樹脂)を加熱して接着部材を溶融させて、一対のフィルムを容易に溶着することができる。
【0009】
上記構成において、前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部が、前記接着部の外縁に沿って連なってなるものとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、接着部を重畳部から分離するときに、複数の貫通部が接着部の外縁に沿って裂けることで分離部を破断させることができる。これにより、接着部が重畳部から分離しやすくなる。
【0010】
上記構成において、前記分離部は、厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って連なってなるものとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、接着部を重畳部から分離するときに、複数の凹部が接着部の外縁に沿って裂けることで分離部を破断させることができる。これにより、接着部が重畳部から分離しやすくなる。また、接着部を重畳部から分離しない場合には、分離部を通して水や油等の液体がラミネートフィルムの内部側(被覆対象体側)に侵入してしまうことを防ぐことができる。
【0011】
上記構成において、前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って、正面視ジグザグ状となる形で連なってなるものとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、分離部において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部または凹部が裂けたときは、接着部の外縁に沿って分離部が破断しやすくなる。
【0012】
上記構成において、前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って、正面視波状となる形で連なってなるものとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、分離部において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部または凹部が裂けたときは、接着部の外縁に沿って分離部が破断しやすくなる。
【0013】
上記構成において、前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って連なってなるものとされ、前記貫通部または前記凹部は、前記接着部の外縁に沿って正面視直線状をなす直線部と、前記直線部から傾斜して延伸する傾斜部と、からなることとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、分離部において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部または凹部が裂けたときは、接着部の外縁に沿って真っ直ぐに分離部が破断しやすくなる。
【0014】
前記分離部は、厚み方向に貫通した複数の貫通部または厚み方向に凹状をなす複数の凹部が、前記接着部の外縁に沿って正面視帯状に配されてなることとすることができる。このようなラミネートフィルムによると、分離部において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部または凹部が裂けたときは、接着部の外縁に沿って分離部が破断しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、素材ごとに容易に分別することができる実用的なラミネートフィルムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係るラミネートフィルムを正面から視た図
図2図1のII―II線断面
図3】重畳部の左側に配された非重畳部の一部を拡大した図
図4】実施形態2に係るラミネートフィルムを正面から視た図
図5】実施形態3に係るラミネートフィルムの断面図(図1のII―II線断面に相当する図)
図6】変形例1に係るラミネートフィルムの非重畳部の一部を拡大した図
図7】変形例2に係るラミネートフィルムの非重畳部の一部を拡大した図
図8】変形例3に係るラミネートフィルムの非重畳部の一部を拡大した図
図9】変形例4に係るラミネートフィルムの非重畳部の一部を拡大した図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図3によって説明する。本実施形態では、例えば、JIS規格に規定されるA4サイズの印刷紙に文字や図形が印刷された印刷物(被覆対象体)1の表裏面を覆うラミネートフィルム100について説明する。尚、印刷物1における長手方向をX方向、短手方向をY方向とし、X方向及びY方向がなすXY平面に垂直に交わる方向をZ方向として各図を説明する。また、図2に示すZ方向において、上側を表側とし、下側を裏側とする。
【0018】
図1は、印刷物1をラミネートした状態のラミネートフィルム100を表側から視た図(正面から視た図)である。ラミネートフィルム100は、X方向を長手とする長方形状をなしており、印刷物1よりもX方向の長さ及びY方向の長さが長いシート状である。図2に示すように、ラミネートフィルム100は、1枚のフィルム10が印刷物1を覆う形で折曲部10Cにて半分に折り曲げられてなる。ラミネートフィルム100は、印刷物1の表側の面(表面)を覆う表側フィルム10Aと、印刷物1の裏側の面(裏面)を覆う裏側フィルム10Bと、を備え、これら表裏一対のフィルム10A,10Bによって印刷物1を覆うものとされる。
【0019】
フィルム10の素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリウレタン及びアイオノマー等の樹脂のうち、1種あるいは2種以上を混合したものを採用することができる。このうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。尚、フィルム10は、光を透過する透明フィルムとするが、これに限られず、光の一部を遮光する半透明若しくは不透明フィルムであってもよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、表側フィルム10Aは、印刷物1の表面に重畳する重畳部11Aと、重畳部11Aから、X方向及びY方向がなすXY平面(面方向)における外側に延在し、印刷物1に重畳しない非重畳部12Aと、を備える。重畳部11Aは、印刷物1の大きさと同じく、正面視、A4サイズの大きさの長方形状をなした部分である。非重畳部12Aは、重畳部11Aを囲むように枠状をなした部分である。尚、裏側フィルム10Bについても、表側フィルム10Aと同様の構成とされている。即ち、裏側フィルム10Bは、重畳部11B及び非重畳部12Bを備える。
【0021】
非重畳部12A,12Bは、一対のフィルム10A,10Bが接着部材30にて接着されてなる接着部13を備える。接着部13は、非重畳部12A,12Bにおいて接着部材30に重畳する部分である。尚、図1では、接着部13が設けられた部分を複数のドットで示している。接着部材30は、一対のフィルム10A,10Bにおいて、XY平面における最も外側の端部を接着している。接着部材30と印刷物1との間には、空間Sが設けられている。空間Sは、後述する貫通部15を通してラミネートフィルム100の外部と連通している。
【0022】
印刷物1の表裏面を覆うラミネートフィルム100を作成する際は、まず、折曲部10Cにて折り曲げられる前の状態の平面状の1枚のフィルム10に対し、長手方向中央位置よりも左右いずれかに偏った位置に印刷物1を配した後に、フィルム10を折曲部10Cで折り曲げて、印刷物1の表裏面を一対のフィルム10A,10Bで覆う。次に、接着部13となる部分の内部に予め設けられた接着部材30を加熱して溶融した後に、当該接着部13となる部分を冷却して硬化させることで、一対のフィルム10A,10Bにおいて、XY平面における最も外側の端部を接着する。従って、一対のフィルム10A,10Bは、接着部材30によって溶着されているともいえる。
【0023】
接着部材30の素材としては、フィルム10の素材として採用される樹脂(高融点樹脂)よりも融点が低い樹脂(低融点樹脂)を採用することができる。例えば、接着部材30の素材としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリウレタン及びアイオノマー等の樹脂のうち、1種あるいは2種以上を混合したものを採用することができる。このうち、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
【0024】
また、非重畳部12A,12Bは、接着部13よりもXY平面における内側(重畳部11A,11B側)に配され、接着部13を重畳部11A,11Bから分離可能にする分離部14を備える。分離部14は、非重畳部12A,12Bにおいて、接着部材30に重畳しない部分であり、接着部材30と印刷物1との間の空間Sを表裏側から囲む部分である。
【0025】
分離部14は、Z方向(非重畳部12A,12Bの厚み方向)に貫通した複数の貫通部15を備える。図3では、重畳部11Aの左側において、Y方向に延在した接着部13及び分離部14の一部を拡大して示している。重畳部11Aの左側において、貫通部15は、接着部13の外縁13Dに沿って、Y方向に直線状をなしている。そして、接着部13のXY平面における内側において、接着部13の外縁13Dに沿って複数の貫通部15がY方向に一直線上に並ぶ形で連なることで、分離部14が構成されている。
【0026】
尚、図1に示すように、重畳部11Aの右側に配された非重畳部12Aにおいても、接着部13のXY平面における内側にて、Y方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部15がY方向に一直線上に並ぶ形で連なっている。一方、重畳部11Aの上側及び下側に配された非重畳部12Aにおいては、接着部13のXY平面における内側にて、X方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部15がX方向に一直線上に並ぶ形で連なっている。
【0027】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態において、印刷物1の表裏面を覆うラミネートフィルム100は、印刷物1に重畳する重畳部11A,11Bと、重畳部11A,11Bから面方向における外側に延在し、印刷物1に重畳しない非重畳部12A,12Bと、を有する表裏一対のフィルム10A,10Bによって印刷物1を覆うものとされ、非重畳部12A,12Bは、一対のフィルム10A,10Bが接着されてなる接着部13と、接着部13よりも重畳部11A,11B側に配され、接着部13を重畳部11A,11Bから分離可能にする分離部14と、を備える。
【0028】
このようなラミネートフィルム100によると、非重畳部12A,12Bが分離部14を備えることで、接着部13を重畳部11A,11Bから分離し、ラミネートフィルム100から印刷物1を取り出すことができる。また、一対のフィルム10A,10Bのうち接着が行われていない部分(重畳部11A,11B)と、接着が行われた接着部13と、印刷物1とを分離することが可能となるので、各部の素材ごとに分別することができ、資源を再利用することができる。
【0029】
また、一対のフィルム10A,10Bは、高融点樹脂からなり、一対のフィルム10A,10Bは、接着部13において、高融点樹脂よりも融点が低い低融点樹脂からなる接着部材30にて接着されている。このようなラミネートフィルム100によると、高融点樹脂からなる一対のフィルム10A,10Bのうち接着が行われていない部分(重畳部11A,11B)と、低融点樹脂からなる接着部材30にて接着されている接着部13と、例えば紙等からなる印刷物1とを分離して、素材ごとに分別することができる。また、印刷物1の表裏面をフィルム10で覆ったラミネートフィルム100を作成する際に、低融点樹脂の融点と高融点樹脂の融点の間の温度で接着部13(低融点樹脂)を加熱して接着部材30を溶融させて、一対のフィルム10A,10Bを容易に溶着することができる。
【0030】
また、分離部14は、厚み方向に貫通した複数の貫通部15が、接着部13の外縁に沿って連なってなるものとされる。このようなラミネートフィルム100によると、接着部13を重畳部11A,11Bから分離するときに、複数の貫通部15が接着部13の外縁に沿って裂けることで分離部14を破断させることができる。これにより、接着部13が重畳部11A,11Bから分離しやすくなる。
【0031】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図4によって説明する。本実施形態では、上記実施形態とは非重畳部の構成が異なるラミネートフィルム200を例示する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0032】
ラミネートフィルム200は、1枚のフィルムが印刷物1を覆う形で折曲部210Cにて半分に折り曲げられてなる。表側フィルム210Aは、印刷物1の表面に重畳する重畳部11Aと、重畳部11Aから、X方向及びY方向がなすXY平面(面方向)における外側に延在し、印刷物1に重畳しない非重畳部212Aと、を備える。非重畳部212Aは、重畳部11Aを囲むように正面視コの字状の形が左右反転した形(逆コの字状)をなした部分である。
【0033】
具体的には、非重畳部212Aは、正面視、重畳部11Aの上側、左側、及び下側を囲むように設けられており、重畳部11Aの右側(折曲部210C側)には設けられていない。従って、重畳部11Aの右側においては、接着部13や分離部14が設けられておらず、印刷物1の右側の端部が折曲部210Cに当接または近接している。このような構成によると、印刷物1の表裏面をラミネートフィルム200で覆う際に、印刷物1の右側の端部を折曲部210Cに当接させて位置決めをしながら、逆コの字状の非重畳部212Aにて表裏一対のフィルムを接着することができる。これにより、印刷物1の表裏面をラミネートフィルム200で覆う際に、印刷物1がずれて、印刷物1の上下側の端部や左側の端部が非重畳部212A側に移動し、分離部14と重畳したり、接着部13に挟み込まれるように接着されてしまったりすることを防ぐことができる。
【0034】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図5によって説明する。本実施形態では、上記実施形態とは分離部の構成が異なるラミネートフィルム300を例示する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0035】
ラミネートフィルム300のフィルム310において、非重畳部312A,312Bは、一対のフィルム310A,310Bが接着部材30にて接着されてなる接着部13と、接着部13よりもXY平面における内側(重畳部11A,11B側)に配され、接着部13を重畳部11A,11Bから分離可能にする分離部314と、を備える。分離部314は、非重畳部312A,312Bにおいて、接着部材30に重畳しない部分であり、接着部材30と印刷物1との間の空間Sを表裏側から囲む部分である。空間Sは、後述する凹部315を通してラミネートフィルム300の外部側と連通していない。
【0036】
分離部314は、Z方向(非重畳部312A,312Bの厚み方向)に凹状をなす複数の凹部315を備える。複数の凹部315が接着部13の外縁に沿って連なって配されていることで、分離部314が構成されている。表側フィルム310Aに設けられた凹部315は、表側フィルム310Aの表面側から裏面側に向けて所定の深さで窪むことで凹状をなしている。凹部315の窪みの深さは、表側フィルム310Aの厚みの5割よりも深くすることができ、より好ましくは、表側フィルム310Aの厚みの7~9割程に達する深さとすることができ、さらに好ましくは、表側フィルム310Aの厚みの9割程の深さとすることができる。尚、表側フィルム310Aにおける構成は、裏側フィルム310Bに設けられた凹部315ついても同様の構成とする。
【0037】
このようなラミネートフィルム300によると、接着部13を重畳部11A,11Bから分離するときに、複数の凹部315が接着部13の外縁に沿って裂けることで分離部314を破断させることができる。これにより、接着部13が重畳部11A,11Bから分離しやすくなる。また、接着部13を重畳部11A,11Bから分離しない場合には、分離部314(複数の凹部315)を通して水や油等の液体がラミネートフィルム300の内部側(印刷物1側)の空間Sに侵入してしまうことを防ぐことができる。
【0038】
<変形例1>
次に、本発明の変形例1を図6によって説明する。本変形例では、上記実施形態とは分離部の構成が異なるラミネートフィルムを例示する。なお、本変形例では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0039】
図6では、重畳部11の左側に配された非重畳部412の一部を拡大して示している。非重畳部412は、接着部13と、接着部13を重畳部11から分離可能にする分離部414と、を備える。分離部414は、非重畳部412の厚み方向に貫通した複数の貫通部415を備える。
【0040】
重畳部11の左側において、複数の貫通部415は、接着部13の外縁13Dに沿って、Y方向に正面視ジグザグ状となる形で連なっている。具体的には、貫通部415は、第1貫通部415Eと、第2貫通部415Fと、を備える。第1貫通部415Eは、上方に向かうほど接着部13側に近づく形で傾斜した直線状をなしており、第2貫通部415Fの中央やや上側部分から、左上方に向けて延在する形で設けられている。第2貫通部415Fは、上方に向かうほど重畳部11側に近づく形で傾斜した直線状をなしており、第1貫通部415Eの中央やや上側部分から、右上方に向けて延在する形で設けられている。これら第1貫通部415Eと第2貫通部415Fとが接着部13の外縁13Dに沿って交互に複数並ぶことで、複数の貫通部415が枝分かれした分枝状(正面視ジグザグ状)となる形で連なり、分離部414を構成する。
【0041】
このようなラミネートフィルムによると、分離部414において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部415が裂けたときは、接着部13の外縁13Dに沿って分離部414が破断しやすくなる。
【0042】
尚、重畳部11の右側に配された非重畳部においても、Y方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部415がY方向に正面視ジグザグ状となる形で連なっている。一方、重畳部11の上側及び下側に配された非重畳部においては、X方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部415がX方向に正面視ジグザグ状となる形で連なっている。
【0043】
また、本変形例では、分離部414は、非重畳部412の厚み方向に貫通した複数の貫通部415が連なってなるものとしたが、これに限られず、非重畳部412の厚み方向に凹状をなす複数の凹部が正面視ジグザグ状となる形で連なってなるものとしてもよい。
【0044】
<変形例2>
次に、本発明の変形例2を図7によって説明する。本変形例では、上記実施形態及び変形例とは分離部の構成が異なるラミネートフィルムを例示する。なお、本変形例では、上記実施形態及び変形例と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0045】
図7では、重畳部11の左側に配された非重畳部512の一部を拡大して示している。非重畳部512は、接着部13と、接着部13を重畳部11から分離可能にする分離部514と、を備える。分離部514は、非重畳部512の厚み方向に貫通した複数の貫通部515を備える。
【0046】
重畳部11の左側において、複数の貫通部515は、接着部13の外縁13Dに沿って、Y方向に正面視波状となる形で連なっている。具体的には、貫通部515は、第1貫通部515Eと、第2貫通部515Fと、を備える。第1貫通部515Eは、Y方向における中央部が接着部13側に近づく形で円弧状をなしており、隣り合う2つの第2貫通部515FのY方向における端部を跨ぐ形で設けられている。第2貫通部515Fは、第1貫通部515Eよりもやや重畳部11側に配され、Y方向における中央部が重畳部11側に近づく形で円弧状をなしており、隣り合う2つの第1貫通部515EのY方向における端部を跨ぐ形で設けられている。これら第1貫通部515Eと第2貫通部515Fとが互いに向かい合う形で、接着部13の外縁13Dに沿って交互に複数並ぶことで、複数の貫通部515が正面視波状となる形で連なり、分離部514を構成する。
【0047】
このようなラミネートフィルムによると、分離部514において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部515が裂けたときは、接着部13の外縁13Dに沿って分離部514が破断しやすくなる。
【0048】
尚、重畳部11の右側に配された非重畳部においても、Y方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部515がY方向に正面視波状となる形で連なっている。一方、重畳部11の上側及び下側に配された非重畳部においては、X方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部515がX方向に正面視波状となる形で連なっている。
【0049】
また、本変形例では、分離部514は、非重畳部512の厚み方向に貫通した複数の貫通部515が連なってなるものとしたが、これに限られず、非重畳部512の厚み方向に凹状をなす複数の凹部が連なってなるものとしてもよい。
【0050】
<変形例3>
次に、本発明の変形例3を図8によって説明する。本変形例では、上記実施形態及び変形例とは分離部の構成が異なるラミネートフィルムを例示する。なお、本変形例では、上記実施形態及び変形例と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0051】
図8では、重畳部11の左側に配された非重畳部612の一部を拡大して示している。非重畳部612は、接着部13と、接着部13を重畳部11から分離可能にする分離部614と、を備える。分離部614は、非重畳部612の厚み方向に貫通した複数の貫通部615を備える。
【0052】
重畳部11の左側において、複数の貫通部615は、接着部13の外縁13Dに沿って連なっている。具体的には、貫通部615は、第1貫通部615Eと、第2貫通部615Fと、を備える。第1貫通部615Eは、接着部13の外縁13Dに沿って正面視平行な直線状をなす直線部615E1と、直線部615E1の上端及び下端から重畳部11側に傾斜して延伸する2つの傾斜部615E2と、を備える。2つの傾斜部615E2間の距離は、重畳部11側に向かうほど大きくなる。第2貫通部615Fは、第1貫通部615Eよりもやや重畳部11側に配されている。第2貫通部615Fは、接着部13の外縁13Dに対し正面視平行な直線状をなす直線部615F1と、直線部615F1の上端及び下端から接着部13側に傾斜して延伸する2つの傾斜部615F2と、を備える。2つの傾斜部615F2間の距離は、接着部13側に向かうほど大きくなる。第1貫通部615Eは、隣り合う2つの第2貫通部615Fの傾斜部615F2を跨ぐ形で設けられている。第2貫通部615Fは、隣り合う2つの第1貫通部615Eの傾斜部615E2を跨ぐ形で設けられている。第2貫通部615Fの傾斜部615F2の延長線上には、その隣に位置する第1貫通部615Eの直線部615E1が配されており、第1貫通部615Eの傾斜部615E2の延長線上には、その隣に位置する第2貫通部615Fの直線部615F1が配されている。第1貫通部615E及び第2貫通部615Fは、互いに向かい合う形で、接着部13の外縁13Dに沿って交互に複数並んで連なり、分離部614を構成する。
【0053】
このようなラミネートフィルムによると、分離部614において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部615が裂けたときは、接着部13の外縁13Dに沿って真っ直ぐに分離部614が破断しやすくなる。
【0054】
尚、重畳部11の右側に配された非重畳部においても、Y方向に延在した接着部13の外縁に沿って複数の貫通部615がY方向に連なっている。一方、重畳部11の上側及び下側に配された非重畳部においては、X方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部615がX方向に連なっている。
【0055】
また、本変形例では、分離部614は、非重畳部612の厚み方向に貫通した複数の貫通部615が連なってなるものとしたが、これに限られず、非重畳部612の厚み方向に凹状をなす複数の凹部が連なってなるものとしてもよい。
【0056】
<変形例4>
次に、本発明の変形例2を図9によって説明する。本変形例では、上記実施形態及び変形例とは分離部の構成が異なるラミネートフィルムを例示する。なお、本変形例では、上記実施形態及び変形例と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0057】
図9では、重畳部11の左側に配された非重畳部712の一部を拡大して示している。非重畳部712は、接着部13と、接着部13を重畳部11から分離可能にする分離部714と、を備える。分離部714は、非重畳部712の厚み方向にドット状に貫通した複数の貫通部715を備える。
【0058】
重畳部11の左側において、複数の貫通部715は、接着部13の外縁13Dに沿って、Y方向に正面視帯状となるように配されている。このようなラミネートフィルムによると、分離部714において、適度な強度を保つことができると共に、貫通部715が裂けたときは、接着部13の外縁13Dに沿って分離部714が破断しやすくなる。
【0059】
尚、重畳部11の右側に配された非重畳部においても、Y方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部715がY方向に正面視帯状となるように配されている。一方、重畳部11の上側及び下側に配された非重畳部においては、X方向に延在した接着部13の外縁に沿って、複数の貫通部715がX方向に正面視帯状となるように配されている。
【0060】
また、本変形例では、分離部714は、非重畳部712の厚み方向に貫通した複数の貫通部715が正面視帯状に配されてなるものとしたが、これに限られず、非重畳部712の厚み方向に凹状をなす複数の凹部が正面視帯状に配されてなるものとしてもよい。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0062】
(1)上記実施形態以外にも、被覆対象体及びラミネートフィルムの形状は適宜変更可能である。上記実施形態では、被覆対象体は、JIS規格に規定されるA4サイズの印刷紙に文字や図形が印刷された印刷物とし、ラミネートフィルムは、当該印刷物よりもX方向の長さ及びY方向の長さが長い長方形状としたが、これに限られない。例えば、被覆対象体は、JIS規格に規定されるA4サイズ以外のサイズの印刷物であってもよく、JIS規格に規定されていないサイズの印刷物であってもよい。また、被覆対象体は、長方形状の印刷物に限らず、正方形状、円形状、多角形状、又は不定形状の印刷物であってもよい。さらに、被覆対象体は、印刷紙からなる印刷物に限らず、印刷紙以外の平面状の平面状体や、高さを有する立体形状をなす構造体であってもよい。ラミネートフィルムは、これら平面状体や構造体よりも一回り大きい形状であればよい。
【0063】
(2)上記実施形態以外にも、接着部材の構成は適宜変更可能である。上記実施形態では、接着部材は、加熱後、冷却されることにより一対のフィルムを溶着するものとしたが、これに限られない。例えば、接着部材は、粘着性の粘着テープであってもよく、水や空気等と反応して溶融・硬化することにより一対のフィルムを接着するものであってもよい。
【0064】
(3)上記実施形態以外にも、ラミネートフィルムの構成は適宜変更可能である。上記実施形態では、ラミネートフィルムは、1枚のフィルムを折り返して表裏一対にて被覆対象体を覆うものとしたが、これに限られない。例えば、ラミネートフィルムは、それぞれ分離された2枚のフィルムを備え、当該2枚のフィルムが有する非重畳部において、接着部によって接着されてなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…印刷物(被覆対象体)、10…フィルム、10A,210A,310A…表側フィルム、10B,210B,310B…裏側フィルム、11A,11B…重畳部、12A,12B,212A,312A,312B,412,512,612,712…非重畳部、13…接着部、13D…外縁、14,314,414,514,614,714…分離部、15,415,515,615,715…貫通部、315…凹部、30…接着部材、100,200,300…ラミネートフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9