(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】搬送機構
(51)【国際特許分類】
B25J 18/02 20060101AFI20240327BHJP
B25J 9/04 20060101ALI20240327BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B25J18/02
B25J9/04 B
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2019233404
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390038896
【氏名又は名称】バキュームプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利弘
(72)【発明者】
【氏名】北條 久男
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】実公昭54-017968(JP,Y2)
【文献】米国特許第05277097(US,A)
【文献】特開昭60-094286(JP,A)
【文献】特開2016-125589(JP,A)
【文献】特開2005-177886(JP,A)
【文献】国際公開第2004/099524(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを進退駆動する進退機構と、
最大回転半径の範囲内で前記進退機構を垂直軸廻りで回転させる回転機構と、
を有し、
前記進退機構は、
前記ワークを保持する進退アームと、
前記進退アームの駆動部と、
を有し、
前記進退アームは、複数の
第1リンクをピン結合した
第1長尺部材
と、複数の第2リンクをピン結合した第2長尺部材と、を有する長尺部材を含み、
前記複数の
第1リンクの各々は、
第1回転ストッパー
と、第1磁性体と、を含み、
前記複数の第2リンクの各々は、第2回転ストッパーと、第2磁性体と、を含み、
前記第1及び第2磁性体の少なくとも一方は第1磁石であり、
前記複数の
第1リンクのうち隣り合う2つのリンクの各々の前記
第1回転ストッパー同士の接触により、
前記2つの第1リンクの各々はピン廻りでの回転接線方向が鉛直下向きとなる回転が規制され、前記複数の第2リンクのうち隣り合う2つの第2リンクの各々の前記第2回転ストッパー同士の接触により、前記2つの第2リンクの各々はピン廻りでの回転接線方向が鉛直上向きとなる回転が規制されて、前記進退アームの直線部分が形成維持され、
前記進退アームの前記直線部分では、前記第1長尺部材と前記第2長尺部材とがその順で上下に重ね合わされ、前記複数の第2リンクの各々が対応する第1リンクと磁気結合されて、前記第2長尺部材では、前記直線部分に位置する第2リンクは、ピン廻りでの回転接線方向が鉛直下向きとなる回転が規制され、
前記駆動部は、
前記進退アームを進退駆動する進退駆動部と、
前記進退アームの後退時に、第1後退位置を通過する前記
第1長尺部材の前記複数の
第1リンクの一つに外力を付与して、前記2つの
第1リンクの各々の前記
第1回転ストッパー同士の接触を解除することにより、
前記2つの第1リンクの一方を対応する第2リンクから引き離して、前記長尺部材に非直線部分を形成して、前記
第1長尺部材を前記最大回転半径内に収まるように変形させる
第1変形駆動部と、
を含
み、
前記2つの第1リンクの一方から引き離された前記対応する第2リンクが自重により垂れ下がることで、前記第2長尺部材が前記最大回転半径内に収まるように変形され、
前記第1変形駆動部は、水平軸の周りに回転する回転体と、前記回転体の周方向に沿って配置された複数の第2磁石と、を含み、前記外力が磁気力である搬送機構。
【請求項2】
請求項
1において、
第2変形駆動部をさらに含み、前記第2変形駆動部は、前記第1長尺部材の後退方向で前記第1変形駆動部よりも
下流に、第2後退位置を通過する前記第1長尺部材の前記複数のリンクの一つに外力を付与して、前記第1長尺部材を許容高さ内でかつ前記最大回転半径内に収まるように変形させる搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば真空-大気置換室内に配置される搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
真空室にワークを搬入出する搬送機構は、ロードロックチャンバーとも称される真空-大気置換室内に配置される。真空-大気置換室は、大気圧に設定された状態で第1バルブが開放されて大気と連通されて、ワークを真空-大気置換室と外部との間で搬入出する。真空-大気置換室は、真空引きされた後に第2バルブが開放されて真空室と連通されて、ワークを真空-大気置換室と真空室との間で搬入出する。
【0003】
ワークを真空室と外部との間で搬入出させる搬送機構は、真空-大気置換室内に配置される。真空-大気置換室は真空引きされるため、容積を小さくすることが必要である。搬送機構は、ワークを進退させる進退機構と、その進退機構の向きを変更する回転機構が不可欠である。この搬送機構を真空-大気置換室に配置するためには、進退機構の回転半径を小さくする要求がある。このため、この種の搬送機構に用いられる進退機構は、フログレッグ型ロボット等、回転半径が小さい多関節ロボットで構成されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、多関節ロボットは、モーター制御される多関節を有するが故に、構造及び制御が複雑化し、高価格化が避けられない。
【0006】
本発明は、多関節ロボットよりも簡単な構造でありながら、ワークを進退させる進退機構の最大回転半径を小さくすることができる搬送機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、
ワークを進退駆動する進退機構と、
最大回転半径の範囲内で前記進退機構を垂直軸廻りで回転させる回転機構と、
を有し、
前記進退機構は、
ワークを保持して水平面内で進退させる進退アームと、
前記進退アームの駆動部と、
を有し、
前記進退アームは、複数のリンクをピン結合した長尺部材を含み、
前記複数のリンクの各々は、回転ストッパーを含み、
前記複数のリンクのうち隣り合う2つのリンクの各々の前記回転ストッパー同士の接触により、前記進退アームの直線部分が形成維持され、
前記駆動部は、
前記進退アームの前記直線部分を進退駆動する進退駆動部と、
前記進退アームの後退時に、第1後退位置を通過する前記長尺部材の前記複数のリンクの一つに外力を付与して、前記2つのリンクの各々の前記回転ストッパー同士の接触を解除することにより、前記長尺部材に非直線部分を形成して、前記長尺部材を前記最大回転半径内に収まるように変形させる変形駆動部と、
を含む搬送機構に関する。
【0008】
本発明の一態様によれば、ワークを保持する進退アームを含む進退機構を、回転機構により回転させて、進退アームの向きを変更することができる。進退アームを構成する長尺部材は、隣り合う2つのリンクの各々の回転ストッパー同士の接触により直線部分が形成維持され、その直線部分を進退させることでワークを受け渡しすることができる。変形駆動部は、進退アームの後退時に、第1後退位置を通過する長尺部材の複数のリンクの各一つに外力を付与して、隣り合う2つのリンクの各々の回転ストッパー同士の接触を解除することにより、長尺部材を最大回転半径内に収まるように変形させる。それにより、多関節ロボットを用いなくても、進退機構の最大回転半径を小さくでき、搬送機構の小型化が維持される。
【0009】
(2)本発明の一態様(1)では、前記進退アームは、複数の第1リンクをピン結合した第1長尺部材と、複数の第2リンクをピン結合した第2長尺部材と、を含み、前記進退アームの前記直線部分では、前記第1長尺部材と前記第2長尺部材とがその順で上下に重ね合わされて結合され、前記複数の第1リンクの各々は第1回転ストッパーを含み、前記複数の第2リンクの各々は第2回転ストッパーを含み、前記複数の第1リンクのうち隣り合う2つの第1リンクの各々の前記第1回転ストッパー同士の接触により、前記2つの第1リンクの各々はピン廻りでの回転接線方向が鉛直下向きとなる回転が規制され、前記複数の第2リンクのうち隣り合う2つの第2リンクの各々の前記第2回転ストッパー同士の接触により、前記2つの第2リンクの各々はピン廻りでの回転接線方向が鉛直上向きとなる回転が規制され、前記変形駆動部は第1変形駆動部を含み、前記第1変形駆動部は、前記進退アームの後退時に、前記第1後退位置を通過する前記第1長尺部材の前記2つの第1リンクの各々の前記第1回転ストッパー同士の接触を前記外力により解除して、前記2つの第1リンクの一方を対応する第2リンクから引き離し、前記2つの第1リンクの一方から引き離された前記対応する第2リンクが自重により垂れ下がることで、前記第2長尺部材が前記最大回転半径内に収まるように変形されても良い。進退アームを第1及び第2長尺部材の上下の積層構造とすると、進退アームの強度が増大する。それにより、進退方向に対する直交方向(上下方向及び左右方向)への撓みや曲がりが抑制される。
【0010】
(3)本発明の一態様(2)では、前記第1長尺部材の前記複数の第1リンクの各々は第1磁石を含み、前記第2長尺部材の前記複数の第2リンクの各々は磁性体を含むことができる。こうすると、前記複数の第2リンクの各々が対応する第1リンクと磁気結合されて、前記第2長尺部材は、前記直線部分に位置する第2リンクは、ピン廻りでの回転接線方向が鉛直下向きとなる回転が規制される。このようにして、上下積層構造の第1及び第2長尺部材同士を磁気結合により連結することができる。なお、第1長尺部材と第2長尺部材との結合は、磁気力に限らず、静電力等の他の外力であっても良く、あるいは凹凸の嵌合等による機械的に結合であってもよい。要は、直線部分では第1及び第2長尺部材同士の結合が維持され、この結合が第1変形駆動部により解除できるものであればよい。
【0011】
(4)本発明の一態様(3)では、前記第1変形駆動部は、水平軸の周りに回転する回転体と、前記回転体の周方向に沿って配置された複数の第2磁石と、を含み、前記外力を磁気力とすることができる。第1変形駆動部が外力として磁気力を第1リンクに付与すると、第1リンクは回転体に巻き付くように変形され、かつ、対応する第2リンクとの磁気結合が解除される。こうして、第1及び第2長尺部材が、最大半径内に止まるように変形される。
【0012】
(5)本発明の一態様(2)~(4)では、前記変形駆動部は第2変形駆動部をさらに含むことができる。前記第2変形駆動部は、前記第1長尺部材の後退方向で前記第1変形駆動部よりも上流に、第2後退位置を通過する前記第1長尺部材の前記複数のリンクの一つに外力を付与して、前記第1長尺部材を許容高さ内でかつ前記最大回転半径内に収まるように変形させることができる。こうすると、第1長尺部材は許容高さの範囲内でかつ最大回転半径に止まるように変形され、搬送機構の小型化が高さ方向でも維持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】マルチチャンバー型真空処理装置の概略図である。
【
図2】シングルチャンバー型真空処理装置の概略図である。
【
図3】回転機構と進退機構とを含む搬送機構の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る進退機構の概略正面図である。
【
図5】
図4に示す第1及び第2長尺部材の直線部分の平面図である。
【
図6】
図4に示す第1及び第2長尺部材を部分的に拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の開示において、提示された主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態や実施例を提供する。もちろんこれらは単なる例であり、限定的であることを意図するものではない。さらに、本開示では、様々な例において参照番号および/または文字を反復している場合がある。このように反復するのは、簡潔明瞭にするためであり、それ自体が様々な実施形態および/または説明されている構成との間に関係があることを必要とするものではない。さらに、第1の要素が第2の要素に「接続されている」または「連結されている」と記述するとき、そのような記述は、第1の要素と第2の要素とが互いに直接的に接続または連結されている実施形態を含むとともに、第1の要素と第2の要素とが、その間に介在する1以上の他の要素を有して互いに間接的に接続または連結されている実施形態も含む。また、第1の要素が第2の要素に対して「移動する」と記述するとき、そのような記述は、第1の要素及び第2の要素の少なくとも一方が他方に対して移動する相対的な移動の実施形態を含む。
【0015】
1.真空処理装置
先ず、本発明の搬送機構が好適に使用される真空処理装置について概説する。
図1はマルチチャンバー型真空処理装置を、
図2はシングルチャンバー型真空処理装置を示す。
図1において、ロードロックチャンバー1Aには複数例えば3つのゲートバルブ2A~2Cを介して連結された例えば3つの真空チャンバー3A~3Cが連結される。ロードロックチャンバー1Aには、ゲートバルブ2Dを開放することで大気と連通される。
図2において、ロードロックチャンバー1Bはゲートバルブ4を介して連結された真空チャンバー3が連結される。ロードロックチャンバー1Bには、ゲートバルブ4Bを開放することで大気と連通される。
【0016】
図1のロードロックチャンバー1Aと、
図2のロードロックチャンバー1Bとに、本発明の搬送機構が配置される。搬送機構は、ゲートバルブ2D,4Bを開放してワークをロードロックチャンバー1A,1Bに搬入する。大気-真空置換可能なロードロックチャンバー1A,1Bが真空引きされた後に、ゲートバルブ2A~2Cの一つまたはゲートバルブ4Aか開放され、搬送機構によりワークが真空チャンバー3A~3Cの一つまたは真空チャンバー3に搬入される。
図1では、真空チャンバー3Aで処理が終了したワークは、搬送機構により真空チャンバー3B,3Cに順次搬送されて全処理が終了される。全処理が終了されたワークは、真空-大気置換されるロードロックチャンバー1A,1Bを介して搬送機構により外部に搬出される。
【0017】
2.搬送機構
図3は、
図1のロードロックチャンバー1Aまたは
図2のロードロックチャンバー1Bに配置される搬送機構の概略図である。搬送機構5は、回転機構10と進退機構100とを含む。回転機構10は、ロードロックチャンバー1Aまたは1B内の最大回転半径R
MAXの範囲内で、進退機構100を垂直軸廻りで回転させる。搬送機構5は、ワークを移し替えるために進退機構100を昇降させる昇降機構(図示せず)を含むことができる。
【0018】
図4は、進退機構100の概略正面図である。
図4において、進退機構100は、ワークを保持して水平面内で進退させる進退アーム110と、進退アーム110を駆動する駆動部200とを含む。
図4において、進退アーム110は左方向に向けて前進駆動され、右方向に向けて後退駆動される。進退アーム110の前進方向の先端部には、ワークを保持する保持部の取付部111を設けることができる。
【0019】
2.1.長尺部材(第1及び第2長尺部材)
本実施形態では、進退アーム110は、長尺部材として、例えば第1長尺部材120と第2長尺部材130とを含む。第1長尺部材120は、複数の第1リンク121をピン122で連結してピン結合される。同様に、第2長尺部材130は、複数の第2リンク131をピン132で連結してピン結合される。第1及び第2長尺部材120、130の詳細について、
図5~
図7も参照して説明する。
図5~
図7に示すように、第1長尺部材120は、隙間を隔てて配置される一対の第1リンク121、121間に第1回転ストッパー123を有する。
図7に示すように、一対の第1リンク121、121と第1回転ストッパー123とは、それらに形成される各孔に挿通される連結軸部124により連結される。連結軸部124の例えば両端にCリング125等を装着して抜け止めされる。複数の第1リンク121のうち隣り合う2つの第1リンク121の各々の第1回転ストッパー123同士は、
図6に示すように鉛直軸と平行な端面である第1回転ストッパー面123A同士が接触する。第1回転ストッパー面123A同士の接触により、隣り合う2つの第1リンク121の各々はピン122の廻りで、
図6に示す回転接線Z1の方向が鉛直下向きとなる回転R1が規制される。こうして、第1回転ストッパー面123A同士が接触する複数の第1リンク121により、
図4に示すように第1長尺部材120には直線部分120Aが形成される。第1リンク121は、第1回転ストッパー面123Aに続く面取り部123Bを有する。隣り合う2つの第1リンク121の面取り部123B間には隙間が形成される。それにより、隣り合う2つの第1リンク121は、
図6に示す回転接線Z2の方向が鉛直上向きとなる回転R2が許容される。
【0020】
同様に、
図5~
図7に示すように、第2長尺部材130は、隙間を隔てて配置される一対の第2リンク131、131間に第2回転ストッパー133を有する。
図7に示すように、一対の第2リンク131、131と第2回転ストッパー133とは、それらに形成される各孔に挿通される連結軸部134により連結される。連結軸部134の例えば両端にCリング135等を装着して抜け止めされる。複数の第2リンク131のうち隣り合う2つの第2リンク131の各々の第2回転ストッパー133同士は、
図6に示すように鉛直軸と平行な端面である第2回転ストッパー面133A同士が接触する。第2回転ストッパー面133A同士の接触により、隣り合う2つの第2リンク131の各々はピン132の廻りで、
図6に示す回転接線Z2の方向が鉛直上向きとなる回転R2が規制される。第2リンク131は、第2回転ストッパー面133Aに続く面取り部133Bを有する。隣り合う2つの第2リンク131の面取り部133B間には隙間が形成される。それにより、隣り合う2つの第2リンク131は、
図6に示す回転接線Z1の方向が鉛直下向きとなる回転R1が許容される。
【0021】
図7に示すように、一対の第1リンク121、121間には、第1磁性体126が配置され、第1磁性体126は例えば一対の第1リンク121、121間に挟まれて支持される。同様に、一対の第2リンク131、131間には、第2磁性体136が配置され、第2磁性体136は例えば一対の第2リンク131、131間に挟まれて支持される。第1磁性体126及び第2磁性体136は、磁気吸引される関係にあり、その少なくとも一方が磁石である。本実施形態では、第1磁性体126を永久磁石で構成している。なお、第1及び第2回転ストッパー123、133は、非磁性体で構成することができる。
【0022】
本実施形態では、一対の第1リンク121、121及び一対の第2リンク131、131は磁性体で形成される。それにより、
図7に示すように、第1磁性体126及び第2磁性体136との間には、一対の第1リンク121、121及び一対の第2リンク131、131を介して磁力線の閉ループG1が形成される。こうして、第2長尺部材130にも、第1長尺部材120には直線部分120Aと磁気結合される領域に直線部分130Aが形成される(
図4参照)。第2長尺部材130の直線部分130Aでは、第1長尺部材120の直線部分120Aと磁気結合されることで、隣り合う2つの第2リンク131の各々はピン132の廻りで、
図6に示す回転接線Z1方向が鉛直下向きとなる回転R1が規制されるからである。
【0023】
2.2.駆動部
本実施形態では、進退アーム110の駆動部200として、進退駆動部210及び第1変形駆動部220を含み、必要により第2変形駆動部230を含むことができる。駆動部200は、
図8に示すように、進退アーム110の進退通路の例えば両側に支持板201、201を有する。この支持板201、201間に、進退駆動部210及び第1変形駆動部220を有し、必要により第2変形駆動部230を有することができる。なお、支持板201、201間には、
図4に示すように、進退アーム110の直線部分120A、130Aを案内する案内部として、上下一対の案内ローラー203~206を設けることができる。
【0024】
2.2.1.進退駆動部
図4及び
図8に示すように、進退駆動部210は、例えば、第1水平軸211の廻りに回転する一対の第1回転体212の周縁に複数のスプロケット歯213を有するスプロケットで構成される。
図5及び
図8に示すように、第2長尺部材130のピン132は一対の第2リンク131よりも外方に突出している。進退駆動部210のスプロケット歯213は、例えば第2長尺部材130のピン132と接触する。一対の第1回転体212は可逆回転され、第2長尺部材130のピン132を正逆方向に回転送りすることで、進退アーム110を進退駆動する。なお、進退駆動部210は、第1長尺部材120のピン122を回転送りするように構成しても良い。
【0025】
2.2.2.第1変形駆動部
図4及び
図8に示すように、第1変形駆動部220は、例えば、第2水平軸221の廻りに回転する一対の第2回転体222の間に、周方向で等間隔に複数の磁石(第2磁石)223を有する。本実施形態では、一対の第2回転体222は磁性体で形成される。それにより、
図9に示すように、一対の第2回転体222の間の第2磁石223と、第1長尺部材120の第1磁性体(第1磁石)126との間には、一対の第1リンク121、121及一対の第2回転体222を介して磁力線の閉ループG2が形成される。
図9に示す磁力線の閉ループG2は、
図7に示す磁力線の閉ループG1に打ち勝つように強力に形成される。
【0026】
それにより、第1変形駆動部220は、
図4の右方向に向けて後退駆動される進退アーム110の後退時に、第1後退位置P1を通過する第1長尺部材120の隣り合う2つの第1リンク121、121の各々の第1回転ストッパー123同士の接触を外力(磁気力)により解除して、第2回転体222に沿って第1長尺部材120に非直線部分120Bを形成する。それにより、第1長尺部材120が
図3に示す最大回転半径R
MAX内に収まるように変形される。
【0027】
隣り合う2つの第1リンク121、121のうちの一方である後退方向で下流の第1リンク121に第1変形駆動部220から磁気力が付与されると、その第1リンク121は、その第1リンク121に磁気吸引されていた対応する第2リンク131から引き離される。こうすると、対応する第2リンク131は、その自重により、
図6に示す鉛直下方に向かう回転接線Z1を有する回転R1の方向に回転されて垂れ下がる。こうして、第2長尺部材130もまた、
図3に示す最大回転半径R
MAX内に収まるように変形される。
【0028】
2.2.3.第2変形駆動部
図4に示すように、第2変形駆動部230は、例えば第1変形駆動部220と同様にして、第3水平軸231の廻りに回転する一対の第3回転体232の間に、周方向で等間隔に複数の磁石(第3磁石)233を有する。本実施形態では、一対の第3回転体232は磁性体で形成される。それにより、
図9と同様にして、一対の第3回転体232の間の第3磁石233と、第1長尺部材120の第1磁性体(第1磁石)126との間には、一対の第1リンク121、121及一対の第2回転体222を介して磁力線の閉ループが形成される。
【0029】
それにより、第2変形駆動部230は、
図4の上方向に向けて後退駆動される進退アーム110の後退時に、第2後退位置P2を通過する第1長尺部材120の隣り合う2つの第1リンク121、121の各々の第1回転ストッパー123同士の接触を外力(磁気力)により解除して、第3回転体232に沿って第1長尺部材120を
図4の左側に向くように変形させることができる。それにより、第1長尺部材120が、
図3に示す最大回転半径R
MAX内であって、かつ、ロードロックチャンバー1A,1Bの許容高さ内に収まるように変形される。なお、
図4において、下を向くように変形された第2長尺部材130を同様にして変形駆動させる追加の変形駆動部をさらに設けても良い。
【0030】
進退アーム110を第1及び第2長尺部材120、130の上下の積層構造とすると、進退アーム110の強度が増大する。それにより、進退方向に対する直交方向(上下方向及び左右方向)への撓みや曲がりが抑制される。ただし、進退アーム110は、必要とされる強度が担保される限り、長尺部材120により構成しても良い。長尺部材120は、第2長尺部材130の存在を必要とせずに直線部分120Aを、隣り合う2つの第1リンク121の回転ストッパー123同士の接触により形成できるからである。この場合、変形駆動部220は、進退アーム110(120)の後退時に、第1後退位置P1を通過する長尺部材120の複数のリンク121の各一つに外力を付与して、隣り合う2つのリンク121の各々の回転ストッパー123同士の接触を解除することにより、長尺部材120を最大回転半径RMAX内に収まるように変形させる。
【符号の説明】
【0031】
1A,1B…ロードロックチャンバー、5…搬送機構、10…回転機構、100…進退機構、110…進退アーム、120…第1長尺部材、120A…直線部分、120B…非直線部分、121…第1リンク、122…ピン、123…第1回転ストッパー、123A…第1ストッパー面、124…連結軸部、125…Cリング、126…第1磁性体(第1磁石)、130…第2長尺部材、130A…直線部分、130B…非直線部分、131…第2リンク、132…ピン、133…第2回転ストッパー、133A…第2ストッパー面、134…連結軸部、135…Cリング、136…第2磁性体、200…駆動部、210…進退駆動部、211…第1水平軸、212…第1回転体、213…スプロケット歯、220…第1変形駆動部、221…第2水平軸、222…第2回転体、223…第2磁石、230…第2変形駆動部、231…第3水平軸、232…第3回転体、233…第3磁石、G1,G2…磁力線の閉ループ、P1…第1後退位置、P2…第2後退位置、RMAX…最大回転半径