(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】比例ソレノイドバルブを用いる熱源装置、制御方法、プログラム、記録媒体、制御装置、および給湯装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240327BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20240327BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20240327BHJP
【FI】
F16K31/06 310F
F23K5/00 301D
F24H15/212
(21)【出願番号】P 2020028965
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】望月 進介
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-116912(JP,A)
【文献】特開2006-077601(JP,A)
【文献】実公昭47-001665(JP,Y1)
【文献】特開2020-016301(JP,A)
【文献】特表2014-519714(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105782546(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06 - 31/11
F23K 5/00 - 5/22
H01F 7/10 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させるバーナと、
比例ソレノイドの励磁によって弁開度が制御され、前記バーナに供給する燃料ガスを通過させる比例ソレノイドバルブと、
前記比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成し、該駆動電流を前記比例ソレノイドに流す駆動部と、
弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させ、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、熱源装置。
【請求項2】
さらに、前記燃料ガスの燃焼熱を被加熱流体に熱交換する熱交換器と、
前記被加熱流体の温度を検出する温度センサと、
を備え、前記制御部は、前記被加熱流体の検出温度を受け、前記弁開度を制御することを特徴とする、請求項1に記載の熱源装置。
【請求項3】
さらに、前記制御部は、
逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部と、
を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱源装置。
【請求項4】
燃料ガスの制御に比例ソレノイドバルブを用いる制御方法であって、
前記比例ソレノイドバルブを駆動する駆動電流を生成する工程と、
前記比例ソレノイドバルブを通過した燃料ガスを燃焼させる工程と、
弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させる工程と、
前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する工程と、
を含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項5】
前記燃料ガスの燃焼熱を被加熱流体に熱交換する工程と、
前記被加熱流体の温度を検出し、前記被加熱流体の検出温度により前記弁開度を制御する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する工程と、
順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する工程と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する工程と、
極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
コンピュータにより実現するプログラムであって、
比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成するための制御情報を生成する機能と、
バーナに着火させ、比例ソレノイドバルブを通過した燃料ガスを燃焼させる工程と、
弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させる制御情報を生成する機能と、
前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御情報を生成する機能と、
を前記コンピュータにより実現するプログラム。
【請求項8】
さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する機能と、
順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する機能と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する機能と、
極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する機能と、
を前記コンピュータにより実現する請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
励磁によって弁開度を制御する比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成し、該駆動電流を前記比例ソレノイドに流す駆動部と、
バーナに着火し、比例ソレノイドバルブを通過した燃料ガスを燃焼させ、弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させ、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、
極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部と、
を備えることを特徴とする、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載された熱源装置、請求項4ないし請求項6の何れかの請求項に記載された制御方法、請求項7または請求項8に記載されたプログラム、請求項9に記載の記録媒体、請求項10または請求項11に記載された制御装置の何れかを備えて給水を加熱し、設定温度に加熱した給湯温度で温水を給湯することを特徴とする、給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はたとえば、燃料ガスの制御に比例ソレノイドバルブを用いる熱源装置、制御方法、プログラム、制御装置および給湯装置の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
給水を加熱して給湯する給湯装置に用いられる熱源装置では、給湯需要に応じて燃料ガスの供給量を制御する比例バルブが用いられる。この比例バルブには比例ソレノイドの励磁によりバルブ開度を制御する比例ソレノイドバルブが知られている。
比例ソレノイドバルブの開度制御にはたとえば、PWM(pulse width modulation:パルス幅変調)方式による制御が用いられる。
この比例ソレノイドバルブのPWMによる制御に関し、サスペンション制御装置では通電電流の大きさに関係無く、ディザ振動の周期を加減する制御が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、比例ソレノイドバルブでは、ソレノイドに流す駆動電流を増加させて特定の弁開度に到達させた場合の駆動電流と、該駆動電流を減少させて特定の弁開度に到達させた場合の駆動電流に差が生じる。また、駆動電流を増加させて特定の駆動電流に到達させた場合の弁開度と、該駆動電流を減少させて特定の駆動電流に到達させた場合の弁開度に差が生じる。つまり、駆動電流と弁開度にはヒステリシスが存在し、同一の駆動電流であってもその増減方向で弁開度に相違が生じ、同一の弁開度であっても駆動電流に相違が生じる。
【0005】
斯かる比例ソレノイドバルブを燃料制御に用いた給湯装置では燃焼状態に変化を来す、出湯温度がずれる、製造ラインで燃料制御の初期設定に時間を要すなどの課題がある。
バーナにはたとえば、異なる二つのバーナ部を備え、給湯需要が小の場合には一方のバーナ部のみを燃焼させ(一段燃焼)、給湯需要が中の場合には他方のバーナ部のみを燃焼させ(二段燃焼)、給湯需要が増大した場合には二つのバーナ部を同時に燃焼させる(三段燃焼)燃焼形態の選択が可能なものがある。このような給湯需要の増減に対応するために比例ソレノイドバルブで燃料制御を行うと、一段燃焼、二段燃焼、または三段燃焼のそれぞれにヒステリシスが存在する。このヒステリシスは、同一駆動電流で弁開度に相違を生じさせるため、燃焼で発生するCO値、NOx値にも差違が生じる、つまり燃焼状態が変化するという課題がある。この燃焼状態の変化は、燃焼ガス量が少ないたとえば、一段燃焼において著しい。
ヒステリシス特性が出湯温度に影響し、給湯需要に対する出湯温度にずれを生じさせるという課題がある。
また、製造ラインでヒステリシス特性の影響を軽減させるための二次圧設定に手間取り、設定に相当な時間を要するという課題がある。
斯かるヒステリシスの要因は比例ソレノイドバルブが持つ磁化特性、とりわけ残留磁気にある。磁性体を用いる場合、この残留磁気の影響を無視することができない。
【0006】
この磁気とソレノイドの励磁を考察すると、比例ソレノイドが残留磁気と同方向に励磁されるタイミングでは生成磁力に残留磁気が加わるのに対し、比例ソレノイドが残留磁気と反対方向に励磁されるタイミングでは生成磁力の一部が残留磁気で相殺されてしまうという課題がある。
発明者は、熱源装置に対する比例ソレノイドバルブが持つ課題に対し、残留磁気の影響を軽減するには比例ソレノイドに交番磁界を生成させればよく、斯かる交番磁界を生じさせる駆動電流であってもそのレベルによって所望の弁開度が得られるとの知見を得た。
そこで、本開示の目的は上記課題や知見に鑑み、比例ソレノイドバルブに対する残留磁気の影響を低減ないし回避することによって、燃料制御における制御特性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の熱源装置の一側面によれば、燃料ガスを燃焼させるバーナと、比例ソレノイドの励磁によって弁開度が制御され、前記バーナに供給する燃料ガスを通過させる比例ソレノイドバルブと、前記比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成し、該駆動電流を前記比例ソレノイドに流す駆動部と、弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させ、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御部とを備える。
この熱源装置において、さらに、前記燃料ガスの燃焼熱を被加熱流体に熱交換する熱交換器と、前記被加熱流体の温度を検出する温度センサとを備え、前記制御部は、前記被加熱流体の検出温度を受け、前記弁開度を制御してよい。
この熱源装置において、前記制御部は、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御するパルス幅制御部とを備えてよい。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の制御方法の一側面によれば、燃料ガスの制御に比例ソレノイドバルブを用いる制御方法であって、前記比例ソレノイドバルブを駆動する駆動電流を生成する工程と、前記比例ソレノイドバルブを通過した燃料ガスを燃焼させる工程と、弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させる工程と、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する工程とを含む。
この制御方法において、前記燃料ガスの燃焼熱を被加熱流体に熱交換する工程と、前記被加熱流体の温度を検出し、前記被加熱流体の検出温度により前記弁開度を制御する工程とを含んでよい。
この制御方法において、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する工程と、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する工程と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する工程と、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する工程とを含んでよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、コンピュータにより実現するプログラムであって、比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成するための制御情報を生成する機能と、バーナに着火させ、比例ソレノイドバルブを通過した燃料ガスを燃焼させる工程と、弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させる制御情報を生成する機能と、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御情報を生成する機能とを前記コンピュータにより実現する。
このプログラムにおいて、さらに、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転させる極性反転部を含む順方向パルスを生成する機能と、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する機能と、極性反転部を除く前記順方向パルスのデューティ比を制御する機能と、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比を制御する機能とを前記コンピュータにより実現する。
上記目的を達成するため、本開示の記録媒体の一側面によれば、前記プログラムを格納している。
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の制御装置の一側面によれば、励磁によって弁開度を制御する比例ソレノイドを励磁する駆動電流を生成し、該駆動電流を前記比例ソレノイドに流す駆動部と、バーナに着火し、比例ソレノイドバルブを通過した燃料ガスを燃焼させ、弁体の移動より速い周期で前記駆動電流の極性を反転させ、前記駆動電流の電流レベルによって弁開度を制御する制御部とを備える。
この制御装置において、前記制御部は、逆方向の前記駆動電流の極性を順方向に反転さ
せる極性反転部を含む順方向パルスを生成し、順方向の前記駆動電流の極性を逆方向に反
転させる極性反転部を含む逆方向パルスを生成する論理回路と、極性反転部を除く前記順
方向パルスのデューティ比、または、極性反転部を除く前記逆方向パルスのデューティ比
を制御するパルス幅制御部とを備えてよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の給湯装置の一側面によれば、前記熱源装置、前記制御方法、前記プログラム、前記記録媒体、または、前記制御装置の何れかを用いて、給水を加熱し、設定温度に加熱した給湯温度で温水を給湯する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 比例ソレノイドバルブにおける残留磁気の影響を軽減ないし回避でき、電流レベルの増加方向と減少方向における駆動電流に対する弁開度の差が小さく、駆動電流に対して燃料ガスの供給量に生じる差異を防止できる。
(2) 燃焼状態の変化が抑制され、安定した燃焼状態を得ることができる。
(3) 燃料ガスの増加方向と減少方向での出湯温度のずれを防止できる。
(4) 製造ラインにおいて、比例ソレノイドバルブ通過後のガス二次圧の設定が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る給湯装置を示す図である。
【
図3】
図2のIII -III 線で切断したバルブユニットの切断端面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線で切断したバルブユニットの切断端面図である。
【
図8】比例ソレノイドバルブの制御システムを示す図である。
【
図9】比例ソレノイドバルブの弁機構を示す図である。
【
図10】比例ソレノイドバルブの弁駆動機構を示す図である。
【
図11】比例ソレノイドバルブの制御を示すフローチャートである。
【
図12】比例ソレノイドバルブの制御を示すフローチャートである。
【
図13】PWM制御による駆動電流の極性反転、レベル制御および吸引力の生成を示す図である。
【
図14】第2の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブの制御システムを示す図である。
【
図15】第3の実施の形態に係るバルブユニットおよび制御システムを示す図である。
【
図16】極性反転を伴わない駆動電流による比例ソレノイドバルブの出力特性を示す図である。
【
図17】極性反転を伴う駆動電流による比例ソレノイドバルブの出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る給湯装置を示している。
図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示が限定されるものではない。
この給湯装置2は本開示の熱源装置の一例である。この給湯装置2は、筐体4に給湯ポート6、給水ポート8、燃料ガスポート10、ドレンポート12、排気口14を備える。筐体4は建造物のたとえば、壁面に設置される。
【0015】
給湯ポート6には、温水HWを需要箇所に供給する温水供給管16が接続される。給水ポート8には、給水Wを供給するための図示しない水道管などの給水管18が接続される。燃料ガスポート10には燃料ガスGを供給するガス管20が接続される。ドレンポート12は、燃焼熱の熱交換によって生じるドレンDの排出に用いられる。排気口14には熱交換後の燃焼排気を排出させる。
【0016】
筐体4の中央には燃焼室22が設置される。この燃焼室22にはバーナ24、イグナイタ26、点火プラグ27、フレームロッド28、給気ファン30、一次熱交換器32、二次熱交換器34、ドレン受け36が設置されている。バーナ24はたとえば、バーナ面が異なる第1および第2のバーナ部24-1、24-2を備え、バーナ部24-1のみの燃焼、バーナ部24-2のみの燃焼、バーナ部24-1、24-2の同時燃焼が可能である。給湯需要が生じたとき、イグナイタ26および点火プラグ27によりバーナ24の燃料ガスGに点火し、フレームロッド28はバーナ24の燃料ガスGの燃焼を検出する。
【0017】
給気ファン30はバーナ24の燃焼時に燃焼用空気を燃焼室22に取り込む。一次熱交換器32は上流側の燃焼排気の主として顕熱と給水Wとを熱交換し、給水Wを加熱する。二次熱交換器34は下流側の燃焼排気の主として潜熱と給水Wとを熱交換し、給水Wを加熱する。この二次熱交換器34は、一次熱交換器32に対して給水Wの上流側に設置され、連結管35で一次熱交換器32と直列に接続されている。ドレン受け36は、二次熱交換器34の熱交換によって生じたドレンDを受け止め、ドレンタンク38に至る。このドレンタンク38に溜められたドレンDは、ドレン排出管40からドレンポート12に至る。
【0018】
燃料ガスポート10に供給される燃料ガスGは、ガス供給管42よりバルブユニット44に導かれ、ガス供給管42-1からバーナ部24-1、ガス供給管42-2からバーナ部24-2に至る。バルブユニット44は、燃料ガスGを供給状態または遮断状態に切り替える元弁機能、給湯需要に応じて燃料ガスGの供給を調整する比例弁機能、バーナ部24-1、24-2に対する燃料ガスGの供給切替えを行う切替弁機能を備える。
【0019】
給水ポート8と二次熱交換器34の間には給水Wを二次熱交換器34に給水する給水管46が備えられる。この給水管46には温度センサ48、水量センサ50、混合水制御弁52が設置されている。温度センサ48は給水Wの温度を検出する。水量センサ50は、給水管46に流れる給水量を検出する。混合水制御弁52は、一次熱交換器32および二次熱交換器34で加熱された温水HWと給水Wの混合を制御する。
【0020】
給湯ポート6と一次熱交換器32の間には一次熱交換器32側に出湯管54、給湯ポート6側に給湯管56が備えられる。出湯管54には温度センサ58が設置される。この出湯管54および給湯管56の間には水制御弁60が設置され、水制御弁60と混合水制御弁52の間にはバイパス管62が接続されている。水制御弁60は温水HWの出湯量を制御する。給湯管56には温度センサ64が設置されている。
【0021】
水量センサ50から検出水量、温度センサ48から給水温度を表す検出温度、温度センサ58から出湯温度を表す検出温度、温度センサ64から給湯温度を表す検出温度が制御装置66に取り込まれる。制御装置66はこれらの検出情報を取得してバルブユニット44により燃焼ガス量を制御し、設定温度に制御された給湯温度での給湯を実現する。
【0022】
図2は、バルブユニット44の正面、
図3は
図2のIII -III 線で切断した切断端面、また、
図4は2のIV-IV線で切断した切断端面を示している。
図2ないし
図4に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示が限定されるものではない。
【0023】
このバルブユニット44はバルブユニット筐体67に入側ポート68および第1および第2の出側ポート70-1、70-2を備え、入側ポート68側に電磁バルブ72、出側ポート70-1側に電磁バルブ74、出側ポート70-2側に電磁バルブ76を設置し、電磁バルブ72と電磁バルブ74、76の間に比例ソレノイドバルブ78を備える。
【0024】
このバルブユニット44によれば、
図5に示すように、電磁バルブ72および一方の電磁バルブ74を開状態に制御すれば、出側ポート70-1が選択される。この状態で、比例ソレノイドバルブ78の弁開度を制御すれば、出側ポート70-1から出る燃料ガス量が制御される。
【0025】
また、
図6に示すように、電磁バルブ72および双方の電磁バルブ74、76を開状態に制御し、双方の出側ポート70-1、70-2が選択される。この状態で、比例ソレノイドバルブ78の弁開度を制御すれば、双方の出側ポート70-1、70-2から出る燃料ガス量が制御される。
【0026】
<給湯制御>
図7は、給湯装置2の給湯制御を示している。この給湯制御の制御工程には、給湯需要の発生(S101)、電磁バルブ72、74、76の開弁(S102)、バーナ24の着火(S103)、水量による燃料ガス量の制御(S104)、設定温度に給湯温度を制御(S105)、給湯需要の終了判定(S106)、電磁バルブ72、74、76の閉弁(S107)、バーナ24の消火(S108)などが含まれる。
【0027】
給湯需要の発生(S101): 給湯需要は温水供給管16に接続されているたとえば、給湯バルブの開栓などによって生じる。この給湯需要は給水管18からの給水Wを促す。この給水Wは水量センサ50によって検出され、この水量センサ50の検出出力が制御装置66に取り込まれる。
【0028】
電磁バルブ72、74、76の開弁(S102): 給湯需要の発生を契機に制御装置66は、電磁バルブ72、74、76を開弁する。この結果、燃料ガスGがバーナ24に流れる。
バーナ24の着火(S103): 給湯需要の発生を契機に制御装置66はイグナイタ26を起動し、点火プラグ27によりバーナ24に着火する。
【0029】
水量による燃料ガス量の制御(S104): 水量センサ50の検出水量、温度センサ48などの検出信号が燃料ガス量の制御信号として制御装置66に取り込まれる。制御装置66は、バルブユニット44の比例ソレノイドバルブ78の開度を制御する。
設定温度に給湯温度を制御(S105): 制御装置66は初期設定またはユーザーにより所望の給湯温度を設定することができる。温度センサ48、58、64の検出温度、水量センサ50の検出水量を受け、制御装置66は、設定温度に給湯温度を制御し、給湯する。
【0030】
給湯需要の終了判定(S106): 給湯量は水量センサ50で検出され、水量センサ50の検出水量により制御装置66は給湯需要の終了を判定する。
電磁バルブ72、74、76の閉弁(S107): 給湯需要の終了を契機に制御装置66は、電磁バルブ72、74、76を閉弁する。したがって、バーナ24への燃料ガスGの供給が停止される。
バーナ24の消火(S108): バーナ24への燃料ガスGの供給停止により、バーナ24は消火となる。
【0031】
図8は、バルブユニット44の制御システム102を示している。
図8において、
図2ないし
図6と同一部分には同一符号を付してある。
この制御システム102において、比例ソレノイドバルブ78は通路108に導入される燃料ガスGの比例制御に用いられる。弁室110には入側ポート112-1および出側ポート112-2が形成されている。通路108は電磁バルブ72と電磁バルブ74、76(
図4)の間に形成されている。この通路108に流入する燃料ガスGは入側ポート112-1から弁室110に導かれ、弁室110から弁機構114を経て出側ポート112-2より通路108に流れる。
【0032】
弁機構114は弁座116および弁体118を備える。弁座116は弁室110の壁面に固定され、弁体118は弁座116の弁座面に対して直交方向に移動する。
弁体118の中心軸上に形成された軸部120には支持部材122によりダイヤフラム124が取り付けられている。弁室110の内壁の間にはダイヤフラム124の外縁が支持されている。したがって、弁体118は弁室110に上下動可能にダイヤフラム124によって支持されており、燃料ガスGの圧力が弁室110内に作用すると、ダイヤフラム124の膨出で弁体118が引き下げられる。
【0033】
弁体118に対して可動磁極126が設置され、この可動磁極126と弁体118の軸部120が接している。つまり、可動磁極126がプランジャを構成する。この可動磁極126は、比例ソレノイド128に挿入され、弁体118の中心軸方向に移動可能である。比例ソレノイド128にはコイル130を挟んでヨーク132が設置されている。コイル130はコイルボビン134に巻回されて比例ソレノイド128に設置されている。したがって、ヨーク132は可動磁極126に対して固定磁極を構成する。
【0034】
ヨーク132側には支持フレーム136が固定され、この支持フレーム136にはダイヤフラム124の膨出を許容する空間部138が形成されている。ヨーク132には支持部材140が固定されており、この支持部材140はスプリング支持部142を備える。可動磁極126にはスプリング挿入部144が形成され、このスプリング挿入部144とスプリング支持部142との間にコイル状のスプリング146が設置されている。したがって、スプリング146の復元力が可動磁極126に作用する。
【0035】
制御装置66はたとえば、駆動部148および制御部150を備え、駆動電流idの生成、極性反転およびレベル制御を行う。駆動部148は、制御部150の制御により駆動電流idを生成し、この駆動電流idを比例ソレノイド128に流す。制御部150はたとえば、コンピュータを備え、制御信号Sinとしてたとえば、温度センサ、水量センサなどの各種センサの検出出力を受け、比例ソレノイドバルブ78を制御するための情報処理を行う。この情報処理には、
(a) 駆動電流idの生成のための制御
(b) 弁体118の移動より速い周期による駆動電流idの極性反転
(c) 駆動電流idの電流レベルによる弁開度の制御
などが含まれる。
【0036】
<弁機構114>
図9は、比例ソレノイドバルブ78の弁機構114を拡大して示している。弁座116は弁室110に保持枠151により固定され、弁座116と弁室110の内壁面の間はOリング152によって封止されている。
弁体118は円錐状面部154を備え、この円錐状面部154と弁座116の弁口部156とで弁機能を果たす。
【0037】
弁室110には弁体118に対向し、弁体118の中心軸上にたとえば、円形の凹部158が形成されている。この凹部158に対向し、弁体118の径大面部には凸部160が形成されている。弁体118が移動した際、凸部160が弁室110側の凹部158に進入し、弁体118の移動を許容する。
【0038】
<弁駆動機構162による吸引力Fの生成>
図10は、比例ソレノイドバルブ78の弁駆動機構162を示している。弁駆動機構162は、駆動電流idの励磁によって弁体118を上下方向に駆動する。
比例ソレノイド128に駆動電流idが流れると、比例ソレノイド128に磁界φが発生する。これによって可動磁極126およびヨーク132(固定磁極)が磁化され、可動磁極126およびヨーク132には互いに異なる磁極N、磁極Sが生成され、この磁極N-Sによる吸引力Fを受け、可動磁極126は吸引力Fの方向に移動する。駆動電流idの方向に関係なく、可動磁極126およびヨーク132には互いに異なる磁極N、磁極Sが生成されるので、磁極N-Sによる吸引力Fが働く。
【0039】
<駆動電流idの極性反転>
駆動電流idを一定の周期で極性を反転させると、可動磁極126およびヨーク132には磁極N、磁極Sの極性が反転するも、両者間には同方向の吸引力Fが作用する。この結果、極性に関係なく、駆動電流idの電流レベルに応じた弁開度が得られる。
駆動電流idの反転により、可動磁極126およびヨーク132の着磁方向が反転するため、残留磁気が反転電流によって相殺され、残留磁気による影響を除くことができる。
【0040】
<比例ソレノイドバルブ78の制御>
図11は、比例ソレノイドバルブ78の制御の一例を示している。この制御には駆動電流idの生成(S201)、駆動電流idの極性反転(S202)、駆動電流idの電流レベル制御(S203)などが含まれる。
駆動電流idの生成(S201): 制御装置66は、比例ソレノイド128に流す駆動電流idを生成する。
【0041】
駆動電流idの極性反転(S202): 制御装置66は、弁体118の移動速度より速い周期で駆動電流idの極性を反転させる。弁体118の移動は駆動電流idの電流レベルの変動に依存し、駆動電流idの極性反転は弁体118の移動速度により速い周期たとえば、ディザ周期Tdの1/2の周期で行う。
駆動電流idの電流レベル制御(S203): 制御装置66は、駆動電流idの電流レベルを制御し、電流レベルに応じた弁開度に弁機構114を制御する。
【0042】
図12は、この制御工程における駆動電流idの極性反転およびレベル制御の一例を示している。この制御工程には制御信号Sinの入力(S301)、順方向パルスのデューティ比の算出(S302)、逆方向パルスのデューティ比の算出(S303)、順方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S304)、逆方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S305)、弁開度の制御(S306)などが含まれる。
制御信号Sinの入力(S301): 制御装置66は、弁機構114の弁開度を制御するための制御信号Sinを受ける。この制御信号Sinの信号レベルによって弁開度が制御される。
【0043】
順方向パルスのデューティ比の算出(S302): 制御装置66は、後述する極性制御パルスPsw1(極性反転部)を除く順方向パルスのデューティ比を算出する。
逆方向パルスのデューティ比の算出(S303): 制御装置66は、後述する極性制御パルスPsw2(極性反転部)を除く逆方向パルスのデューティ比を算出する。
【0044】
順方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S304): 制御装置66は、比例ソレノイド128に流す順方向の駆動電流idを生成するための順方向パルスを生成する。この順方向パルスには、先頭部に極性反転部として、弁体118の移動より速く駆動電流idの電流方向を反転させるための極性制御パルスPsw1が含まれる。この極性制御パルスPsw1は、他の順方向パルスよりパルス幅が大きく、高デューティ比パルスとなっている。順方向パルスにおける極性反転部は、逆方向の駆動電流idの極性を順方向の駆動電流idに切り替えるために用いられる。
【0045】
逆方向パルスの生成(算出したデューティ比によるパルス制御の実行)(S305): 制御装置66は、比例ソレノイド128に流す逆方向の駆動電流idを生成するための逆方向パルスを生成する。この逆方向パルスには、先頭部に極性反転部として、弁体118の移動より速く駆動電流idの電流方向を反転させるための極性制御パルスPsw2が含まれる。この極性制御パルスPsw2は、他の逆方向パルスよりパルス幅が大きく、高デューティ比パルスとなっている。逆方向パルスにおける極性反転部は、順方向の駆動電流idの極性を逆方向の駆動電流idに切り替えるために用いられる。
弁開度の制御(S306): 制御装置66は、制御信号Sinの信号レベルに応じて駆動電流idの電流レベルを制御し、弁開度を制御する。
【0046】
<駆動電流idの極性反転、そのレベル制御および吸引力F>
図13のAは、順方向パルスの一例である順方向PWMパルスを示している。この順方向パルスは、ディザ周期Tdの1/2(=Td/2)の期間で生成され、先頭部に極性反転部として極性制御パルスPsw1が含まれる。極性制御パルスPsw1は、逆方向の駆動電流idを順方向に切り替える極性反転期間を短くするために一定のパルス幅を有する。
これに対し、極性制御パルスPsw1を除く順方向PWMパルスのデューティ比は制御信号Sinによって制御される。
図13のAでは説明の都合上、一定のデューティ比としているが、弁開度に応じて異なるデューティ比に制御される。
【0047】
図13のBは、逆方向パルスの一例である逆方向PWMパルスを示している。この逆方向パルスは、ディザ周期Tdの1/2(=Td/2)の期間で生成され、先頭部に極性反転部として極性制御パルスPsw2が含まれる。極性制御パルスPsw2は、順方向の駆動電流idを逆方向に切り替える極性反転期間を短くするために一定のパルス幅を有する。この実施の形態では、極性制御パルスPsw1、Psw2は同一パルス幅である。
これに対し、極性制御パルスPsw2を除く逆方向PWMパルスのデューティ比は制御信号Sinによって制御される。
図13のBでは説明の都合上、一定のデューティ比としているが、弁開度に応じて異なるデューティ比に制御される。
【0048】
図13のCは、順方向または逆方向に流れる駆動電流idを示している。駆動電流idは
、ディザ周期Tdの2分の1の周期ごとに
極性制御パルスPsw1と極性制御パルスPsw2が交互に生成されることで、逆方向の駆動電流idから順方向の駆動電流id
、さらに順方向の駆動電流idから逆方向の駆動電流id
への切り替え
が繰り返される。
この極性反転を伴う駆動電流idは、順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスのデューティ比に依存し、その電流レベルが制御される。
【0049】
図13のDは、可動磁極126およびヨーク132(固定磁極)に作用する吸引力Fを示している。比例ソレノイド128は、極性反転を伴い且つレベル制御された駆動電流idによって励磁され、可動磁極126およびヨーク132が磁化される。ディザ周期Tdの2分の1の周期ごとに異なる磁極対に反転するが、可動磁極126およびヨーク132間に生じる吸引力Fは、駆動電流idのレベルに依存する。
【0050】
<第1の実施の形態の効果>
第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) ディザ周期Tdの2分の1周期(=Td/2)で駆動電流idの極性を反転させて比例ソレノイド128による可動磁極126およびヨーク132間の磁極を反転させるので、残留磁気を相殺できる。この極性反転は、弁機構114の開閉より速い周期で行われるので、弁開度の制御に影響しない。
(2) 極性反転の時間間隔において、駆動電流idは順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスのデューティ比により電流レベルを制御するので、駆動電流idの極性反転に影響されることなく、駆動電流idの電流レベルによって弁機構114の弁開度を制御できる。
【0051】
〔第2の実施の形態〕
図14は、第2の実施の形態に係る比例ソレノイドバルブ78の制御システム102を示している。
図14の構成において、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
駆動部148には、電源164、駆動ブリッジ回路166、順方向駆動回路168-1、逆方向駆動回路168-2が含まれる。電源164は駆動電流idの電流源を構成する。
駆動ブリッジ回路166は、Pch-FET(Pチャネル-電界効果トランジスタ)171、172、Nch-FET(Nチャネル-電界効果トランジスタ)173、174を含む。
【0052】
順方向駆動回路168-1は、制御部150から順方向PWMパルスを受け、駆動ブリッジ回路166から比例ソレノイド128に順方向の駆動電流idを流す。これに対し、逆方向駆動回路168-2は、制御部150から逆方向PWMパルスを受け、駆動ブリッジ回路166から比例ソレノイド128に逆方向の駆動電流idを流す。つまり、ディザ周期Tdの半周期(=Td/2)でPch-FET172およびNch-FET173の導通により順方向の駆動電流idが比例ソレノイド128に流れ、ディザ周期Tdの次の半周期(=Td/2)でPch-FET171およびNch-FET174の導通により逆方向の駆動電流idが比例ソレノイド128に流れる。
【0053】
制御部150は制御回路176、パルス発生部178、PWM生成部180、論理回路182を備える。制御回路176はマイクロコンピュータで構成され、プロセッサ184、記憶部186、入出力部(I/O)188を備える。プロセッサ184は、記憶部186にある制御プログラムを実行し、制御信号Sinに応じたパルス幅制御などの制御を実行する。
斯かる制御および制御情報には、
a)駆動電流idを生成するための制御情報
b)弁体118の移動より速い周期で駆動電流idの極性を反転させる制御情報
c)駆動電流idの電流レベルによって弁開度を制御する制御情報
d)極性制御パルスを除く順方向パルスのデューティ比の算出
e)極性制御パルスを除く逆方向パルスのデューティ比の算出
f)逆方向の駆動電流idの極性を順方向に切り替える制御パルスを含む順方向パルスの生成(算出したパルス制御の実行)
g)順方向の駆動電流idの極性を逆方向に切り替える制御パルスを含む逆方向パルスの生成(算出したパルス制御の実行)
が含まれる。
【0054】
記憶部186は本開示のプログラムを格納する記録媒体の一例である。この記憶部186にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子が用いられ、各種制御情報の生成や記憶に用いられる。
I/O188は、制御信号Sinの取込みや制御情報の生成を行う。
パルス発生部178は、一定周期のクロックパルスを生成し、このクロックパルスの分周または倍周により一定周期のパルスを生成する。
【0055】
PWM生成部180には順方向PWMパルス生成機能および逆方向PWMパルス生成機能を備え、制御信号Sinの信号レベルに応じたデューティ比を持つ順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスを生成し、論理回路182に出力する。
論理回路182は、パルス発生部178からディザ周期Tdの2分の1の周期に同期する制御パルスを受け、Td/2に同期して順方向PWMパルスと逆方向PWMパルスを出力する。順方向PWMパルスは順方向駆動回路168-1に提供され、逆方向PWMパルスは逆方向駆動回路168-2に提供される。
【0056】
<第2の実施の形態の効果>
第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) ディザ周期Tdの2分の1周期(=Td/2)で駆動電流idの極性を反転させて比例ソレノイド128による可動磁極126およびヨーク132間の磁極を反転させるので、残留磁気を相殺でき、ヒステリシス特性を改善できる。
(2) 極性反転の時間間隔において、駆動電流idは順方向PWMパルスまたは逆方向PWMパルスのデューティ比により電流レベルを制御でき、駆動電流idの極性反転に影響されることなく、駆動電流idの電流レベルによって弁機構114の弁開度の制御性を高めることができる。
【0057】
(3) 比例ソレノイドバルブ78における残留磁気の影響を軽減ないし回避できるので、燃料ガスGの増加方向と減少方向における駆動電流idに対する弁開度の差が小さく、燃料ガスGの増減の差異を防止できる。
(4) 燃焼状態の変化が抑制され、燃焼状態を安定化できる。
(5) 給湯制御の制御性が高められ、燃料ガスGの増加方向と減少方向での出湯温度のずれを防止できる。
(6) 製造ラインにおいて、比例ソレノイドバルブ通過後のガス二次圧の設定が容易になり、給湯装置2の生産効率を高めることができる。
【0058】
〔第3の実施の形態〕
図15は、第3の実施の形態に係るバルブユニット44および制御システム200を示している。
図15の構成において、
図8および
図14と同一部分には同一符号を付してある。
第2の実施の形態(
図14)では制御装置66に駆動部148および制御部150を備えている。これに対し、第3の実施の形態の制御システム200ではバルブユニット筐体67の内部に比例ソレノイドバルブ78とともに駆動部148および制御部150を設置している。そして、このバルブユニット44の外部に制御装置66を備えている。
【0059】
制御装置66はたとえば、コンピュータで構成され、プロセッサ202、記憶部204およびI/O206を備える。プロセッサ202は記憶部204に格納されている給湯制御プログラムなどを実行する。この情報処理には水量センサ50、温度センサ48、58、64などの検出情報を用いる給湯温度などの制御が含まれる。
この制御装置66において、プロセッサ202と既述のプロセッサ184を共用し、記憶部204と既述の記憶部186を共用し、I/O206はI/O188を共用させてよい。
【0060】
<第3の実施の形態の効果>
第3の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) バルブユニット44に比例ソレノイドバルブ78の制御機能を一体化でき、制御装置66のコンパクト化を図ることができるとともに、メンテナンスを容易化できる。
【0061】
〔実験結果〕
図16は、横軸に時間、縦軸に比例ソレノイドバルブ78のガス二次圧を取り、極性切替えを伴わない駆動電流idで駆動した比例ソレノイドバルブ78の出力特性を示している。
極性反転を伴わない駆動電流idで比例ソレノイド128を励磁した場合には、一方向の駆動電流idで励磁されるため、残留磁気の影響を除くことができない。つまり、残留磁気と同方向となる駆動電流idでは、磁化が強調されるのに対し、残留磁気と逆方向となる駆動電流idでは、残留磁気の相殺のために、駆動電流idによる磁化が損なわれる。この結果、制御信号Sinと弁開度によるガス二次圧との間のヒステリシスhの影響が顕著になる。
【0062】
図17は、同様に、横軸に時間、縦軸に比例ソレノイドバルブ78のガス二次圧を取り、極性切替えを伴う駆動電流idで駆動した比例ソレノイドバルブ78の出力特性を示している。
極性反転を伴う駆動電流idで比例ソレノイド128を励磁した場合には、極性反転によって駆動電流idで残留磁気が相殺され、残留磁気の影響がない駆動電流idと弁開度によるガス二次圧の関係が得られる。この結果、制御信号Sinと弁開度との間のヒステリシスhの影響は無視できる程度に改善されている。
【0063】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、PWM制御を例示しているが、比例ソレノイドバルブ78の制御をPWM制御以外の制御を用いてもよい。
(2) 駆動電流idの反転周期をディザ周期Tdの2分の1に設定しているが、弁体118の移動速度より速ければよく、実施例の周期に限定されない。
(3) 上記実施の形態では、順方向パルスまたは逆方向パルスに含まれる極性反転部に極性制御パルスを例示しているが、この極性制御パルスは、PWM制御で生成されるパルスの他、PWM制御と別個に生成される極性反転パルスを用いてもよい。この極性反転パルスは、駆動電流idの極性反転に最適な極性反転タイミングを含む周期を備え、且つ最適な時間幅に設定されたパルス幅を備えればよい。
(4) 第1の実施の形態では熱源装置の一例として、給湯装置を例示しているが、この給湯装置に代え、追焚き給湯装置、暖房給湯装置などでもよい。
【0064】
以上説明したように、本発明の構成の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、駆動電流によって可動磁極と固定磁極(ヨーク)の磁極関係を反転させて残留磁気を相殺でき、残留磁気の影響を受けない磁力によって弁機構を駆動でき、比例ソレノイドバルブのヒステリシス特性を改善できるので、比例ソレノイドバルブを用いた熱源装置での燃料制御、給湯制御などの制御性を改善できる。
【符号の説明】
【0066】
G 燃料ガス
2 給湯装置
4 筐体
6 給湯ポート
8 給水ポート
10 燃料ガスポート
12 ドレンポート
14 排気口
16 温水供給管
18 給水管
20 ガス管
22 燃焼室
24 バーナ
24-1、24-2 バーナ部
26 イグナイタ
27 点火プラグ
28 フレームロッド
30 給気ファン
32 一次熱交換器
34 二次熱交換器
35 連結管
36 ドレン受け
38 ドレンタンク
40 ドレン排出管
42 ガス供給管
42-1、42-2 ガス供給管
44 バルブユニット
46 給水管
48 温度センサ
50 水量センサ
52 混合水制御弁
54 出湯管
56 給湯管
58 温度センサ
60 水制御弁
62 バイパス管
64 温度センサ
66 制御装置
67 バルブユニット筐体
68 入側ポート
70-1、70-2 出側ポート
72 電磁バルブ
74、76 電磁バルブ
78 比例ソレノイドバルブ
102、200 制御システム
108 通路
110 弁室
112-1 入側ポート
112-2 出側ポート
114 弁機構
116 弁座
118 弁体
120 軸部
122 支持部材
124 ダイヤフラム
126 可動磁極
128 比例ソレノイド
130 コイル
132 ヨーク
134 コイルボビン
136 支持フレーム
138 空間部
140 支持部材
142 スプリング支持部
144 スプリング挿入部
146 スプリング
148 駆動部
150 制御部
151 保持枠
152 Oリング
154 円錐状面部
156 弁口部
158 凹部
160 凸部
162 弁駆動機構
164 電源
166 駆動ブリッジ回路
168-1 順方向駆動回路
168-2 逆方向駆動回路
171、172 Pch-FET
173、174 Nch-FET
176 制御回路
178 パルス発生部
180 PWM生成部
182 論理回路
184、202 プロセッサ
186、204 記憶部
188、206 入出力部(I/O)