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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A63F1/06 A
A63F1/06 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020066837
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021159583
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼島 淳
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/221063(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0180250(US,A1)
【文献】特開2007-082687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲームテーブル装置、前記複数のゲームテーブル装置に接続されたサーバ、および、前記サーバに接続される管理端末を有するテーブルゲーム管理システムであって、
前記複数のゲームテーブル装置のそれぞれは、
参加者がベットするゲーム媒体が配置されるベット領域、および、当該ベット領域に配置された前記ゲーム媒体の情報を無線通信により読み取るアンテナ部、を有したゲームテーブルと、
前記アンテナ部が読み取ったゲーム媒体の情報に基づき、前記参加者に対するディーラーの勝敗を決定する勝敗決定部と、
を有し、
前記サーバは、
前記勝敗の履歴を、累積的に、前記ディーラーを識別するディーラー識別情報と対応付けて記憶する記憶部と、
前記勝敗の履歴に基づき、前記ディーラー識別情報ごとに、獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報を算出する獲得情報算出部と、
前記獲得情報が所定の設定範囲であるか否かを判別する判別部と、
を有し
前記管理端末は、前記ディーラー識別情報および時刻情報を含む検索条件を前記サーバへ要求し、
前記サーバは、前記要求に対して、前記検索条件に合致し前記ディーラー識別情報に前記獲得情報が対応付けられた獲得情報テーブルを生成し、検索結果として前記管理端末へ前記獲得情報テーブルのデータを応答し、
前記管理端末は、応答された前記データに基づく表示を行う、ことを特徴とするテーブルゲーム管理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記勝敗の履歴を、前記ゲームテーブルを識別するゲームテーブル識別情報と対応付けて記憶し、
前記獲得情報算出部は、前記勝敗の履歴に基づき、前記ゲームテーブル識別情報ごとの前記ディーラー側の獲得情報を算出し、
前記管理端末は、前記ゲームテーブル識別情報および前記時刻情報を含む検索条件を前記サーバへ要求し、
前記サーバは、前記要求に対して、前記検索条件に合致し前記ゲームテーブル識別情報に前記ディーラー側の獲得情報が対応付けられた獲得情報テーブルを生成し、前記検索結果として前記管理端末へ前記獲得情報テーブルのデータを応答し、
前記管理端末は、応答された前記データに基づく表示を行う、
することを特徴とする請求項1に記載のテーブルゲーム管理システム。
【請求項3】
前記複数のゲームテーブル装置のそれぞれは、さらに、前記ディーラーが確認するためのディーラーディスプレイを有し、
前記ディーラーディスプレイは、前記ベット領域に配置された前記ゲーム媒体から前記アンテナ部が読み取った有価価値の情報を、前記参加者毎に表示することを特徴とする請求項1または2に記載のテーブルゲーム管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
テーブルゲームの進行に関する情報を管理するテーブルゲーム管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードゲームやルーレット等のテーブルゲームに用いるチップに当該チップに関する情報等が記録されたRFIDを埋め込み、テーブルゲームへ参加する参加者がベットするチップや、ディーラーが参加者に配当として与えるチップを読み取るテーブルゲームシステムがある。例えば、特許文献1のように、参加者がベット領域にベットしたチップの合計額やディーラーが参加者に支払うためにベット領域に置いたチップを、ベット領域に配置したアンテナにより読み取り、ベットされたチップの合計額等をディスプレイに表示する等のディーラーの補助を行うようなテーブルゲーム管理システムが採用されつつある。
【0003】
上記のようなディーラーにより進行されるテーブルゲームでは、ベットフェーズ、ベット対象ゲームフェーズ、回収フェーズ、及び、支払いフェーズの4つのフェーズが繰り返し行われる。即ち、ディーラーは、参加者にベット対象となるベット対象ゲームへのベットを行わせた後にベットを締め切り、ベットの対象となるゲームを進行させてゲーム結果を決定し、ゲーム結果と一致しなかったベット対象へベットされたチップを回収し、ゲーム結果と一致したベット対象へベットした参加者に対してベット額とベット対象とに応じたチップの払い出しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開2017/0018140号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなテーブルゲームでは、ベットの対象となるゲームは、ディーラーやディーラーによって操作されるルーレット等のイベント装置によって進行される。したがって、テーブルゲーム管理システムは、出力されるベット対象ゲームのゲーム結果が正しいことが前提として機能するが、ディーラーが不正に協力した場合やイベント装置の故障などによりゲーム結果が正常に出力されない場合に、これらを検出できる機能が近年も止められている。
【0006】
そこで、本発明は、テーブルゲームにおける異常を検出することが可能なテーブルゲーム管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゲームテーブル管理システムは、
参加者がベットするゲーム媒体が配置されるベット領域、および、当該ベット領域に配置された前記ゲーム媒体の情報を無線通信により読み取るアンテナ部、を有したゲームテーブルと、
前記アンテナ部が読み取ったゲーム媒体の情報に基づき、前記参加者に対するディーラーの勝敗を決定する勝敗決定部と、
前記勝敗の履歴を、累積的に記憶する記憶部と、
前記勝敗の履歴に基づき、獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報を算出する獲得情報算出部と、
前記獲得情報が所定の設定範囲であるか否かを判別する判別部と、
を有していることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ゲームテーブル上で行われるテーブルゲームの勝敗の履歴がディーラーとゲームテーブルとに対応付けて累積的に記憶され、これに基づき勝率とが算出され、所定の設定範囲であるか否かが判別される。一般的に、テーブルゲームごとの理論的な勝率が存在しており、これを含む所定の設定範囲を予め定めておくことにより、設定範囲外の異常な勝率を抽出することが可能となる。その結果、ディーラーの不正やイベント装置の故障などによりゲーム結果が正常に出力されていない異常を検出することが可能となる。
【0009】
また、本発明のゲームテーブル管理システムにおいて、
前記記憶部は、前記勝敗の履歴を、前記ディーラーを識別するディーラー識別情報と対応付けて記憶し、
前記獲得情報算出部は、前記勝敗の履歴に基づき、前記ディーラー識別情報ごとの獲得情報を算出してもよい。
【0010】
上記構成によれば、ディーラーごとの勝率が算出されるため、ディーラーの不正をより正確に検出することが可能となる。
【0011】
また、本発明のゲームテーブル管理システムにおいて、
前記記憶部は、前記勝敗の履歴を、前記ゲームテーブルを識別するゲームテーブル識別情報と対応付けて記憶し、
前記獲得情報算出部は、前記勝敗の履歴に基づき、前記ゲームテーブル識別情報ごとの前記ディーラー側の獲得情報を算出してもよい。
【0012】
上記構成によれば、ゲームテーブルごとのディーラー側の勝率が算出されるため、ゲームテーブルの故障等の不備をより正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ゲームテーブル管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】ゲームテーブル管理システムの斜視図である。
図3】ゲームテーブル管理システムの上面図である。
図4】カードシューの斜視図およびカードシューの概略を示す機能ブロック図である。
図5】ディーラーディスプレイの表示の一例を示す図である。
図6】ゲーム媒体配置テーブルを示す図である。
図7】勝敗履歴テーブルを示す図である。
図8】ディーラー獲得情報テーブルを示す図である。
図9】ゲームテーブル獲得情報テーブルを示す図である。
図10】異常検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本実施形態のゲームテーブル管理システム1は、サーバ100と、サーバ100にデータ通信可能に接続されているゲームテーブル装置とを有している。ゲームテーブル管理システム1は、ゲーム結果、参加者へ支払った支払額、及び、参加者から回収した回収額等をサーバ100へ逐次送信するように構成されている。これにより、サーバ100において、テーブルゲームの収支情報を確認することが可能となる。図示しないが、ゲームテーブル管理システム1において、サーバ100に、複数のゲームテーブル装置が接続可能である。
【0015】
ゲームテーブル装置は、具体的に、図1及び図2に示すように、ゲームテーブル2と、制御部3と、ディーラーからの入力を受け付けるタッチパネル41を有したディーラーディスプレイ4と、カードシュー5と、共通ディスプレイ6と、を有している。制御部3は、ゲームテーブル2に設けられていてもよいし、ゲームテーブル2とは別に設けられていてもよい。カードシュー5は、カードを順次取り出し可能に構成されていると共に、ゲーム結果を決定可能にされている。即ち、ディーラーは、カードシュー5からカードを取り出すことによりゲームを進行させる。
【0016】
カードシュー5は、ディーラーがユーザにカードを配るためにカードシューからカードを取り出すイベントを実施したときに、カードへ照射した赤外線を受光することによってカードに描かれた情報を読み取る。カードシュー5は、読み取ったカードの画像について、画像認識処理などの処理を実行することにより、カードの数値やスートの種類を示すマークや絵柄などのカードの内容を特定する。カードシュー5は、このようなイベントが発生するごとに、特定したカードの内容等を含むイベント情報を制御部3へ送信する。
【0017】
尚、本実地形態では、ゲームとしてバカラを例示する。バカラは、ディーラーによって順次取り出されるカードに基づき、ゲームの進行および結果が一意に決定される。従って、制御部3は、カードシュー5が特定したカードの内容に基づいてゲーム結果を決定することが可能である。尚、カードシュー5自体がゲーム結果を決定し、そのゲーム結果を制御部3へ送信するものであってもよい。また、ベット対象ゲームは、バカラに限定されない。すなわち、ゲームテーブル管理システム1は、ベット対象ゲームがユーザやディーラーの選択によりゲームの進行や結果が可変であるような場合には、ベット対象ゲームの進行内容やベット対象ゲームのゲーム結果を読み取る構成、または、ベット対象ゲームの進行内容やベット対象ゲームのゲーム結果を入力する構成を有していてもよい。
【0018】
変形例として、例えば、図1に破線で示すように、ゲームテーブル装置は、ディーラーがゲームを実行する装置を操作して進行されるルーレット等のゲーム装置2Aを有していてもよい。ゲーム装置2Aは、複数人参加型のゲームがディーラーによって進行されるものであれば、機械的な動作によるゲーム、電気的な動作によるゲーム、機械的及び電気的な動作の組み合わせによるゲームの何れであってもよい。具体的に、ゲーム装置2Aは、ゲーム実行装置201Aと、結果決定装置202Aと、ベット装置210Aとを有している。本変形例では、ゲーム実行装置201Aは、ディーラーによって回転されるウィール上でボールが転動され、ボールがウィールに円環状に配列される複数のナンバーポケットのいずれかに停止することでゲーム結果が決定されるルーレットゲームを実行するルーレット装置を例示する。
【0019】
ウィールが有する複数のナンバーポケットには、例えば、「00」、「0」、「1」~「36」等の異なるマークが示されるとともに、赤または黒に色分けされている。すなわち、ベット対象は、数値、数値範囲、色となる。結果決定装置202Aは、ウィールの下方に配置され、ボールがいずれのナンバーポケットに収容されたかを判定するための装置である。尚、結果決定装置202Aについては既に公知であるため、ここでの詳細な説明は省略するが、各種センサを設けボールの投入やウィールの回転および停止を検出し、それらのタイミングを出力するものであってもよい。なお、説明は省略するが、ゲーム装置2には、ボール投入装置およびボール回収装置等が含まれる。ベット装置210Aは、ゲームに参加する参加者がベットを行うための装置である。ベット装置210Aは、各参加者がそれぞれベットを行うための複数の端末であってもよいし、参加者が共通のテーブルに設けられたベット領域にベットするものであってもよい。参加者に共通のベット装置210Aを用いる場合、ベット装置210Aはゲームテーブル2と同様のアンテナ部を有し、制御部3は、スキャン処理実行部31により、ベット対象ごとのゲーム媒体の情報を取得することが可能となる。そして、制御部3は、参加者がベットしたベット対象やベット額を、ベットされたゲーム媒体に紐づけられる参加者の識別情報によって認識する。
【0020】
制御部3は、ゲーム結果や、ゲームに基づく各参加者の勝敗を、共通ディスプレイ6に表示する。尚、ゲームは、バカラに限定されない。また、ゲームテーブル管理システム1は、参加者やディーラーの選択によりゲームの進行や結果が可変であるようなゲームである場合には、ゲームの進行内容やゲームの結果を読み取る構成、または、ゲームの進行内容やゲームの結果を入力する構成を有していてもよい。
【0021】
図2に示すように、ゲームテーブル2は、天板が略半円形状に形成されている。天板の円弧側に参加者が並んで位置する。天板の円弧側と反対側には、四角形状の切欠が形成されている。ディーラーは、この切欠箇所に位置してゲームを進行させる。ゲームテーブル2の天板には、薄板状で略扇状のゲーム媒体配置領域としてのゲームボード21が着脱可能に設けられている。テーブルゲームは、ゲームボード200上において進行される。即ち、ゲームボード200には、ディーラーがカードシュー5から取り出したカードが配置され、参加者によりベットされるゲーム媒体が配置される。また、ゲームテーブル2の上面には、ディーラーディスプレイ4と、カードシュー5と、共通ディスプレイ6とが配置される。また、図示しないが、制御部3がゲームテーブル2の外部から視認不可な位置に搭載されている。制御部3は、ディーラーディスプレイ4と、カードシュー5と、共通ディスプレイ6と通信可能にされている。
【0022】
ここで、ゲーム媒体の種類(属性)としては、チップやトークン、プラーク等の兌換ゲーム媒体や不換ゲーム媒体が存在し、通貨情報やゲームポイントのゲーム価値を電子データや外面形態で有し、このゲーム価値を外部から読み取り可能にされた構成が該当する。尚、外面形態とは、色や模様、文字、画像、形状等の外部から識別可能な形態である。また、兌換ゲーム媒体とは、カジノ等のゲーム場においてゲームに用いることが出来ると共に、直接通貨に交換可能なゲーム媒体を示す。兌換ゲーム媒体としては、例えば、ネゴティアブルプラーク(negotiable plaque)がある。また、不換ゲーム媒体とは、カジノ等のゲーム場においてベットに用いることが出来るが、直接通貨に交換不可能なゲーム媒体を示す。不換ゲーム媒体としては、例えば、ノンネゴティアブルプラーク(non-negotiable plaque)がある。例えば、ゲーム媒体の属性としては、『キャッシュ』、『ジャンケットキャッシュ』、『ジャンケットNN(non-negotiable)』、『プレミアムキャッシュ』、『プレミアムNN(non-negotiable)』等が挙げられる。ここで、『キャッシュ』はゲーム場側が参加者に発行する兌換ゲーム媒体を意味する。『ジャンケットキャッシュ』はジャンケット側が参加者に発行する兌換ゲーム媒体を意味する。『ジャンケットNN』はジャンケットが参加者に発行する不換ゲーム媒体を意味する。『プレミアムキャッシュ』はゲーム場側が重要参加者に発行する兌換ゲーム媒体を意味する。『プレミアムNN』はゲーム場側が重要参加者に発行する不換ゲーム媒体を意味する。
【0023】
また、ゲーム媒体は、樹脂等により形成されており、RFID用のICチップであるRFIDタグがその中心部に内蔵されている。ゲーム媒体は、RFIDタグに、有価価値として金額を記憶するがこの他に以下のような電子情報を記憶していてもよい。例えば、電子情報は、ゲーム媒体8に設定される識別情報、上述したような属性、金種、発行者、発行日、及び、有効期限等が挙げられる。識別情報とは、ゲーム媒体を一意に識別するための情報である。金種とは、ゲーム媒体に設定される金額が、何れ国の流通通貨単位であるか、を示す情報である。発行者とは、ゲーム媒体を発行する者を示す情報である。尚、発行者は、ゲーム媒体を参加者に渡す者を識別する情報であってもよい。例えば、カジノ等のゲーム場が参加者に直接にゲーム媒体を発行する場合には発行者はゲーム場となり、ゲーム場が発行したゲーム媒体がジャンケットを経由して参加者に渡される場合には発行者は当該ジャンケットを識別する情報となる。
【0024】
図1に示すように、ゲームテーブル2は、ゲーム媒体が配置されるゲームボード21と、ゲームボード21上に配置されたゲーム媒体の有価価値を無線通信により読み取るアンテナ部22とを有している。アンテナ部22は、ゲームボード21の下方に配置されている。
【0025】
図1及び図3に示すように、ゲームボード21は、参加者がベットする際にゲーム媒体を配置するための複数のベット領域210を有している。ベット領域210の数は、ゲームテーブル2に着席可能な参加者数に一致する。即ち、参加者毎に、1つのベット領域210を用いる。本実施形態では、ベット領域210の数は、5つであるがこれに限定されない。ベット領域210について、左側から順にベット領域211・212・213・214・215とする。
【0026】
各ベット領域210には、参加者がベットするゲーム媒体が配置される。本実施形態のゲームはバカラであり、各ベット領域210は、それぞれ、バンカー領域2101とプレイヤー領域2102とを有している。参加者は、バンカー側の勝利(以下単にバンカーとも称す)にベットする場合には所望のベット額に対応するゲーム媒体をバンカー領域2101に配置する。また、参加者は、プレイヤー側の勝利(以下単にプレイヤーとも称す)にベットする場合には所望のベット額に対応するゲーム媒体をプレイヤー領域2102に配置する。
【0027】
また、各ベット領域210は、サイドベットに用いるバンカーペア領域2103と、タイ領域2104と、プレイヤーペア領域2105と、を有している。参加者は、バンカー側が勝利し、かつ手札がペアであること(以下バンカーペアとも称す)にベットする場合には所望のベット額に対応するゲーム媒体をバンカーペア領域2103に配置する。また、参加者は、引き分けにベットする場合には所望のベット額に対応するゲーム媒体をタイ領域2104に配置する。参加者は、プレイヤー側が勝利し、かつ手札がペア(以下プレイヤーペアとも称す)であることにベットする場合には所望のベット額に対応するゲーム媒体をプレイヤーペア領域2105に配置する。
【0028】
このように、ベット領域210に設けられた各領域2101~2105がベット対象を示すことになる。以下、ベット領域210に設けられた各領域2101~2105をベット対象領域2100とも称す。また、ゲームボード21は、ディーラーが支払いや両替等で用いるディーラー領域2106と、ディーラーがコミッションの受け取りで使用可能なコミッション領域2107とを有している。
【0029】
図1図3には図示しないが、アンテナ部22は、上述したゲームボード21が有する複数の各領域2101~2105ごとに設けられたアンテナと、読取制御部とを有している。ゲームテーブル2にはゲーム媒体が配置される上述のゲーム媒体配置領域210が設けられており、アンテナ71は各ゲーム媒体配置領域210の下方に配置される。読取制御部は、データを情報処理に適した信号形態から、アンテナを介したデータ通信に適した信号形態に変換する変調機能と、データ通信の信号形態から情報処理の信号形態に変換する復調機能とを有している。アンテナ部22は、ゲーム媒体配置領域210に配置されたゲーム媒体の情報を取得し、ゲーム媒体の情報を更新する。これにより、各領域2101~2105ごとのゲーム媒体の情報の読み取りを可能にしている。
【0030】
図1に示すように、制御部3は、スキャン処理実行部31と、決定部32と、メモリ33とを有し、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)などのハードウェアによって構成されている。スキャン処理実行部31は、アンテナ部22を制御してゲームボード21の各領域ごとのゲーム媒体が有する情報を取得するスキャン処理を実行する。スキャン処理実行部31は、スキャン処理実行タイミングや何れのアンテナ部22が有する何れのアンテナを駆動させるかを指定可能にされている。すなわち、スキャン処理実行部31がスキャン処理を実行することによって、ゲームボード21上のいずれの領域に、どのようなゲーム媒体が配置されているのかを、識別可能に認識することが可能となる。メモリ33は、各種プログラムやデータ、アンテナ部22を介して取得したゲーム媒体の情報等が累積的に格納される。すなわち、ゲームボード21上のゲーム媒体がどのように動いたのかが記録されることになる。
【0031】
決定部32は、以下の機能を有している。具体的に、決定部32は、ゲーム結果取得部321と、勝敗決定部322と、を有している。ゲーム結果取得部321は、ゲームテーブル2上で進行されるベット対象ゲームのゲーム結果を取得する機能を有している。本実施形態では、カードシュー5から出力されるゲーム結果を受け付けて、ベット対象ゲームのゲーム結果を取得するものであるがこれに限定されない。例えば、タッチパネル41にディーラーがゲーム結果を入力するものであってもよい。
【0032】
勝敗決定部322は、ゲーム結果取得部321が取得したゲーム結果に基づいて、ディーラーと参加者とのいずれが勝利したのかが決定される。本実施形態では、勝敗決定部322は、メモリ33に蓄積されるゲーム媒体の情報に基づいて、ベット領域210のいずれのベット対象にゲーム媒体が配置されているのかを確定する。そして、勝敗決定部322は、ゲーム結果が当該ベット対象と一致する場合には、ディーラーの敗北(参加者の勝利)であると決定する。制御部3は、勝敗決定部322が決定したディーラーの勝敗を含むデータ(以下、勝敗データと称す)を、ディーラーを識別するディーラー識別情報およびゲームテーブル22を識別するゲームテーブル識別情報と対応付けて、サーバ100に送信する。なお、参加者が1ゲームにおいて、複数のベット対象にベットする場合、ベット対象ごとにそれぞれ勝敗データが生成される。
【0033】
サーバ100は、データベース101と、獲得情報算出部102と、抽出部103と、を有している。サーバ100は、逐次に受信する勝敗決定部322が決定した勝敗データを、ディーラー識別情報およびゲームテーブル識別情報と対応付けて、データベース101に累積的に記憶する。すなわち、サーバ100のデータベース101は記憶部として機能する。
【0034】
獲得情報算出部102は、データベース101に蓄積される勝敗データに基づいて、ディーラー識別情報ごとの獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報、および、ゲームテーブル識別情報ごとのディーラー側の獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報を算出する。すなわち、獲得情報算出部102は、データベース101からディーラー識別情報に対応付けられた勝敗データをそれぞれ抽出し、各ディーラーの獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報を算出する。また、獲得情報算出部102は、データベース101からゲームテーブル識別情報に対応付けられた勝敗データをそれぞれ抽出し、各ゲームテーブルでのディーラー側の獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報を算出する。このように、獲得情報算出部102は、獲得したゲーム媒体の価値を示す獲得情報を算出する機能を備えている。
【0035】
このように、本実施形態では、「獲得情報」とは、参加者とディーラーとの間でやり取りされたゲーム媒体の価値から算出される。すなわち、「獲得情報」とは、1ベットあたりにディーラーが獲得した平均のゲーム価値を示すものであるがこれに限定されない。例えば、「獲得情報」は、1ゲームあたりにディーラーが獲得した平均のゲーム価値であってもよい。また、例えば、「獲得情報」は、時間あたりにディーラーが獲得した平均のゲーム価値であってもよい。また、例えば、参加者とディーラーとの間での勝ち負けの数から算出される割合である勝率を示すものであってもよい。
【0036】
抽出部103は、獲得情報算出部102が算出した獲得情報が所定の設定範囲であるか否かを判定し、範囲外であるディーラー識別情報およびテーブルゲーム識別情報を抽出する。所定の設定範囲は、テーブルゲームごとの理論的な獲得情報に基づいて、ゲームテーブル2を管理する管理者等によりあらかじめ設定される。
【0037】
このように、テーブルゲーム管理システム1は、参加者がベットするゲーム媒体が配置されるベット領域210、および、当該ベット領域210に配置されたゲーム媒体の情報を無線通信により読み取るアンテナ部22、を有したゲームテーブル2と、アンテナ部22が読み取ったゲーム媒体の情報に基づき、参加者に対するディーラーの勝敗を決定する勝敗決定部322と、勝敗の履歴をディーラーを識別するディーラー識別情報およびゲームテーブル2を識別するゲームテーブル識別情報と対応付けて累積的に記憶するサーバ100と、勝敗の履歴に基づき、ディーラー識別情報ごとの獲得情報、および、ゲームテーブル識別情報ごとのディーラー側の獲得情報を算出する獲得情報算出部102と、獲得情報が所定の設定範囲の範囲外であるディーラー識別情報およびゲームテーブル2を抽出する抽出部103と、を有している。
【0038】
このように、ゲームテーブル上で行われるテーブルゲームの勝敗の履歴がディーラーとゲームテーブルとに対応付けて累積的に記憶され、ディーラーの獲得情報とゲームテーブルにおけるディーラー側の獲得情報とが算出され、所定の設定範囲の範囲外であるディーラーやゲームテーブルが抽出される。一般的に、テーブルゲームごとの理論的な獲得情報が存在しており、これを含む所定の設定範囲を予め定めておくことにより、設定範囲外の異常な獲得情報となったディーラーやゲームテーブルを抽出することが可能となる。その結果、ディーラーの不正やイベント装置の故障などによりゲーム結果が正常に出力されていない異常を検出することが可能となる。
【0039】
図4を参照して、カードシュー5について説明する。図4に示すように、カードシュー5は、保管部512と案内経路514と検出ユニット520と表示部516と制御基板530と、操作部550を有する。
【0040】
保管部512は、複数枚のゲーム用カードを積み重ねた状態で保管する。保管部512では、ゲーム用カードは、表側が下向きになるように保管されている。保管部512は、保管されているゲーム用カードの枚数を検出できるカード枚数検出センサ(図示せず)を有する。
【0041】
案内経路514は、保管部312から引き出されたゲーム用カードをカード排出端518まで案内する。
【0042】
表示部516は、ゲーム用カードの識別情報を表示する。ゲーム用カードの識別情報は、後述する制御基板530により識別される。ゲーム用カードの識別情報は、ゲーム用カードの固有の情報であり、スーツ情報と数値情報とを含む情報である。ゲーム用カードには、スーツ情報及び数値情報が描かれている。スーツ情報は、ハート、ダイヤモンド、クラブ、及びスペードからなる4種類の情報である。数値情報は、2~10の数字、J(JACK)、Q(QUEEN)、K(KING)、及びA(ACE)からなる13種類の情報である。
【0043】
検出ユニット520は、照射部522と受光部524とを有する。照射部522は、赤外線を発する。照射部522から発せられた赤外線は、ゲーム用カードに照射される。ゲーム用カードは、ディーラーによって手動で案内経路514を移動される。赤外線は、案内経路514に位置するゲーム用カードに向かって照射される。
【0044】
受光部524は、ゲーム用カードに照射された赤外線の反射光を受光する。受光部524は、長尺な複数の受光素子(図示せず)からなる。複数の受光素子は、列状に配列され、案内経路514を移動するゲーム用カードの長手方向に平行するように配置される。上述したように、ゲーム用カードには、スーツ情報及び数値情報が描かれており、反射光には、スーツ情報及び数値情報が含まれる。
【0045】
制御基板530は、制御部532と光源調整部534と光源駆動部536と受光変換部538と通信部540とを有する。
【0046】
制御部532は、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)などによって構成されている。光源調整部534は、照射部522から発する赤外線の発光量を調整する。光源駆動部536は、ゲーム用カードが案内経路514に位置する場合に赤外線を発する。受光変換部538は、受光部524で受光した反射光の光量をアナログ信号に変換し、アナログ/ディジタルコンバータ(図示せず)に出力する。制御部532は、デジタル信号から得られる画像データからゲーム用カードの識別情報に変換する。
【0047】
通信部540は、制御部3に通信可能に接続されている。通信部540は、ゲーム用カードの識別情報や引かれたカードがベット対象ゲームにおいて何枚目のカードであるか等を含む情報をイベント情報として制御部3に出力する。制御部3は、ゲーム用カードの識別情報に含まれるスーツ情報及び数値情報からゲームの進行を判断する。
【0048】
また、通信部540は、保管部512に保管されているゲーム用カードの枚数が、所定の枚数以下となった場合には、ゲーム用カードの補充を促すカード補充信号を制御部3に出力する。
【0049】
操作部550は、図示しない操作ボタンであり、外部からの操作を受け付け可能に構成されている。操作部550が外部からの操作を受け付けた場合、制御部532は、ベット対象ゲームの終了を示すイベント情報を生成し、通信部540により当該ベット対象ゲームの終了を示すイベント情報を制御部3(図1参照)に送信する。即ち、次にディーラーによりゲーム用カードが取り出された場合、制御部3へ送信されるイベント情報にはベット対象ゲームにおいて最初のカードである旨を示す情報が含まれる。
【0050】
上述したように、表示部516には、制御基板530によって識別されたゲーム用カードの識別情報が表示される。ディーラーは、表示部516に表示された識別情報が、カードシュー5から取り出したゲーム用カードの識別情報と一致するか否かを確認することができる。
【0051】
制御基板530は、検出ユニット520から出力されたアナログ信号に基づいてゲーム用カードの識別情報に変換する。しかしながら、検出ユニット520の状態や、ゲーム用カードの状態や、案内経路514の状態によっては、取り出したゲーム用カードの識別情報とは異なる情報に変換される場合もある。また、ゲーム用カードの識別情報に変換できずにエラーとなる場合もある。たとえば、ゲーム用カードの識別情報の変換は、ゲーム用カードに付着した汚れや、検出ユニット520の塵埃などの影響を受ける。
【0052】
このため、ディーラーは、表示部516に表示された情報が、実際に取り出したゲーム用カードの識別情報と一致するか否かを目視で確認する。表示部516に表示された識別情報が、実際に取り出したゲーム用カードの識別情報と異なる場合には、ディーラーは、タッチパネル41等を操作して、実際に取り出したゲーム用カードの識別情報を入力する。タッチパネル41等から入力されたゲーム用カードの識別情報は、真の識別情報として制御3に出力されてゲームの結果が判断される。このようにすることによりゲームの公正性を保つことができる。
【0053】
上述したカードシュー5は、検出ユニット520によって光学的にゲーム用カードの識別情報を取得する。近年では、RFIDタグを内蔵するゲーム用カードが使用される場合もある。RFIDタグにはゲーム用カードの識別情報が記憶されている。RFIDタグを内蔵したゲーム用カードを用いる場合には、RFIDタグを読み取るためのアンテナをカードシュー5やゲームテーブル2に設けて、RFIDタグからゲーム用カードの識別情報を読み出せばよい。
【0054】
さらに、RFIDタグを内蔵したゲーム用カードを用いる場合においても、RFIDタグからゲーム用カードの識別情報を読み出すとともに、光学的にゲーム用カードの識別情報を検出するようにしてもよい。双方の識別情報を比較することによって、真のゲーム用カードの識別情報を容易に判断できる。
【0055】
さらにまた、ゲームテーブル2には、監視用のカメラ(図示せず)を設けている場合もある。このような監視用のカメラによってゲーム用カードを撮影し、ゲーム用カードの識別情報を検出して比較するようにしてもよい。真のゲーム用カードの識別情報をさらに容易に判断することができる。
【0056】
ディーラーによって進行されるベット対象ゲームに従い、ゲームテーブル管理システム1は、4つのフェーズを繰り返し実行する。即ち、ゲームテーブル管理システム1は、ベットフェーズ、ベット監視フェーズ(ベット対象ゲームフェーズ)、回収フェーズ、及び、支払いフェーズを繰り返し実行する。以下、各フェーズにおけるディーラーディスプレイ4に表示される表示画面について説明する。ディーラーは、ディーラーディスプレイ4を確認しながら、タッチパネル41およびカードシュー5を操作して、ゲームテーブル2上でベット対象ゲームを進行させる。
【0057】
ディーラーディスプレイ4には、各フェーズにおいて、スキャン処理実行部31がスキャン処理を実行することによって取得したゲームテーブル2上のゲーム媒体の情報等が表示される。
【0058】
例えば、図5に示すように、ベットフェーズにおいて、ディーラーディスプレイ4には、ゲームテーブル2に着席する参加者ごとのベット領域211・212・213・214・215に対応する5つのベット表示領域420(ベット表示領域421・422・423・424・425)と、インジケーター画面426と、ベット確定ボタン430と、メッセージ画面431とが表示される。また、ディーラーディスプレイ4の左下部には、メインメニューボタン427、チップチェンジボタン428、ローリングボタン429が表示される。
【0059】
ディーラーディスプレイ4において、ベット表示領域421は、左端部に表示され、ベット領域211に配置されたゲーム媒体の有価価値の情報が表示される。ディーラーディスプレイ4において、ベット表示領域422・423・424は、上部に表示され、ベット領域212・213・214に配置されたゲーム媒体の有価価値の情報が表示される。ディーラーディスプレイ4において、ベット表示領域425は、右端部に表示され、ベット領域215に配置されたゲーム媒体の有価価値の情報が表示される。このように、ディーラーディスプレイ4に表示されるベット表示領域421・422・423・424・425の配置は、ディーラー側から見たゲームボード21におけるベット領域211・212・213・214・215の配置に対応したものとなっている。また、インジケーター画面426は、ディーラーディスプレイ4の中央部に表示される。また、メッセージ画面431は、インジケーター画面426の下方に表示される。また、ベット確定ボタン430は、ディーラーディスプレイ4の右下部に表示される。インジケーター画面426には、「Place Bets」と表示され、現在ベットフェーズであることが示される。
【0060】
ベット表示領域420(ベット表示領域421・422・423・424・425)は、それぞれ、プレイヤーベット表示領域4211と、バンカーベット表示領域4212と、プレイヤーペアベット表示領域4213と、タイベット表示領域4214と、バンカーペアベット表示領域4215と、を有している。プレイヤーベット表示領域4211には、プレイヤー領域2102に配置されているゲーム媒体の有価価値の合計値が表示される。バンカーベット表示領域4212には、バンカー領域2101に配置されているゲーム媒体の有価価値の合計値が表示される。プレイヤーペアベット表示領域4213には、プレイヤーペア領域2105に配置されているゲーム媒体の有価価値の合計値が表示される。タイベット表示領域4214には、タイ領域2104に配置されているゲーム媒体の有価価値の合計値が表示される。バンカーペアベット表示領域4215には、バンカーペア領域2103に配置されているゲーム媒体の有価価値の合計値が表示される。
【0061】
このように、ディーラーは、ディーラーディスプレイ4を確認することで、ゲームボード21において、各参加者が何れのベット対象にどれだけのベット額をベットしたのかを確認することができるようになっている。ディーラーディスプレイ4のベット確定ボタン430が表示されている領域がタッチされた場合、ベットが確定され、ベットフェーズからベット対象ゲームフェーズへ移行する。
【0062】
図示しないが、ベット対象ゲームフェーズ、回収フェーズ、及び、支払いフェーズにおいても、ベット領域210に配置されているゲーム媒体の情報が表示されるとともに、フェーズの移行を確定するための入力領域が設けられる。なお、回収フェーズにおいては、ディーラーディスプレイ4に、ゲーム媒体を回収すべきベット領域210が示される。また、支払いフェーズにおいては、配当を付与すべきベット領域210と付与するゲーム媒体の額が示される。
【0063】
図6を参照して、メモリ33に記憶されるゲーム媒体配置テーブルについて説明する。ゲーム媒体配置テーブルは、ゲームテーブル2上のゲーム媒体が配置される各領域に、どのようなゲーム媒体が配置されているかを示す情報が格納される。
【0064】
ゲーム媒体配置テーブルは、時刻欄と、従業員IDと、ディーラー領域欄と、ベット領域欄とを有している。時刻欄には、ゲームテーブル2上のゲーム媒体をスキャンした時刻が格納される。従業員ID欄には、ディーラーを識別するためのディーラー識別情報が格納される。このディーラー識別情報は、例えば、ディーラーがゲームを開始する前に、ゲームテーブル2に設けられた読取装置(不図示)によって、従業員が所持するICカードのICタグに記憶されるディーラー識別情報が読み込まれることによって取得される。
【0065】
ディーラー領域欄には、ディーラー領域2106に配置されるゲーム媒体を識別する識別するゲーム媒体識別情報が格納される。ここで、ゲーム媒体はサーバ100によって管理されており、ゲーム媒体識別情報に対応付けてゲーム媒体の有価価値情報、ゲーム媒体の発行者情報、および、ゲーム媒体の所有者情報等がサーバ100に格納されている。すなわち、制御部3がゲーム媒体の有価価値情報を参照したい場合には、サーバ100に問い合わせて当該ゲーム媒体の有価価値情報を得る。ベット領域欄は、各ベット対象ごとの項目を有し、いずれにどのゲーム媒体が配置されているのかが示されるよう、各ベット対象ごとの項目ごとにゲーム媒体識別情報が格納される。
【0066】
このように、スキャン処理実行部31によって、ゲーム媒体配置テーブルには、定期的(図6の例では、5秒ごと)にゲームテーブル上のゲーム媒体がスキャンされた結果を示すデータ(以下、ゲーム媒体配置データ)が累積的に格納される。勝敗決定部322は、所定のタイミングにおいて、参加者ごとにベット領域のいずれのベット対象にベットされているかをゲーム媒体配置テーブルを参照して決定し、ゲーム結果取得部321がカードシュー2から取得したゲーム結果と照らし合わせて参加者のベット対象ごとにディーラーの勝敗を決定する。
【0067】
図7を参照して、サーバ100のデータベース101に記憶される勝敗履歴テーブルについて説明する。勝敗履歴テーブルには、複数のゲームテーブル装置から逐次に送信される勝敗データが蓄積される。具体的に、勝敗履歴テーブルは、時刻欄と、従業員ID欄と、テーブルID欄と、会員ID欄と、ベット対象欄と、ゲーム結果欄と、勝敗欄とを、獲得値欄とを有している。各欄に格納される情報は、ゲームテーブル装置から送信される勝敗データに含まれる。
【0068】
時刻欄には、勝敗決定部322が勝敗を決定した時刻が格納される。従業員ID欄には、ディーラーを識別するディーラー識別情報が格納される。テーブルID欄には、ゲームテーブル2を識別するために割り振られたゲームテーブル識別情報が格納される。ゲームテーブル識別情報は、あらかじめメモリ33に格納される。会員ID欄には、参加者を識別する会員識別情報が格納される。この会員識別情報は、例えば、参加者がゲームに参加する前に、ゲームテーブル2の参加者席ごとに設けられた読取装置(不図示)によって、参加者が所持するICカードのICタグに記憶される会員識別情報が読み込まれることによって取得される。
【0069】
ベット対象欄には、参加者がベットしたベット対象が格納される。勝敗履歴テーブルの各データは、参加者がベットしたベット対象ごとに生成される。すなわち、ゲームテーブル装置は、参加者がベットしたベット対象ごとに勝敗データをサーバ100へ送信する。ゲーム結果欄には、参加者がベットしたベット対象ゲームのゲーム結果が格納される。勝敗欄には、勝敗決定部322が決定したベット対象ごとのディーラーの勝敗が格納される。獲得値欄には、参加者がベットしたベット対象ゲームのゲーム結果として、ディーラーが獲得したゲーム媒体のゲーム価値が格納される。参加者が勝利した場合には、マイナス値が格納される。
【0070】
図8を参照して、ディーラー獲得情報テーブルについて説明する。ディーラー獲得情報テーブルは、勝敗履歴テーブルに基づいて生成されるデータテーブルである。ディーラー獲得情報テーブルは、従業員ID欄と、総ベット回数欄と、勝利回数欄と、敗北回数欄と、勝率欄と、平均獲得値欄と、を有している。ディーラー獲得情報テーブルには、従業員ID欄に格納されるディーラー識別情報に対応付けて、当該ディーラー識別情報をキーに勝敗履歴テーブルから抽出したデータに基づいた値が各欄に格納される。具体的に、勝敗履歴テーブルから抽出したデータの総数が総ベット回数欄に格納される。また、勝敗履歴テーブルから抽出したデータのうち勝敗欄が勝利であるデータがカウントされ、勝利回数欄に格納される。また、勝敗履歴テーブルから抽出したデータのうち勝敗欄が敗北であるデータがカウントされ、敗北回数欄に格納される。また、総ベット回数欄、勝利回数欄、および、敗北回数欄の値から勝率が算出され、勝率欄に格納される。また、勝敗履歴テーブルの従業員IDごとの獲得値の合計値と、総ベット回数欄との値から平均の1ベットあたりの獲得値が算出され、平均獲得値欄に格納される。例えば、ディーラーの平均獲得値の設定値がマイナス15以上、15以下に設定されている場合、従業員IDが“083432”で示されるディーラーは平均値が“マイナス15.39”であるので、設定範囲外に判定される。すなわち、このディーラーを異常(例えば、ディーラーの不正)として検出することが可能となる。
【0071】
図9を参照して、ゲームテーブル獲得情報テーブルについて説明する。ゲームテーブル獲得情報テーブルは、勝敗履歴テーブルに基づいて生成されるデータテーブルである。ゲームテーブル獲得情報テーブルは、テーブルID欄と、総ベット回数欄と、勝利回数欄と、敗北回数欄と、勝率欄と、平均獲得値欄と、を有している。ゲームテーブル獲得情報テーブルには、テーブルID欄に格納されるゲームテーブル識別情報に対応付けて、当該ゲームテーブル識別情報をキーに勝敗履歴テーブルから抽出したデータに基づいた値が各欄に格納される。具体的に、勝敗履歴テーブルから抽出したデータの総数が総ベット回数欄に格納される。また、勝敗履歴テーブルから抽出したデータのうち勝敗欄が勝利であるデータがカウントされ、勝利回数欄に格納される。また、勝敗履歴テーブルから抽出したデータのうち勝敗欄が敗北であるデータがカウントされ、敗北回数欄に格納される。また、総ベット回数欄、勝利回数欄、および、敗北回数欄の値から勝率が算出され、勝率欄に格納される。また、勝敗履歴テーブルの従業員IDごとの獲得値の合計値と、総ベット回数欄との値から平均の1ベットあたりの獲得値が算出され、平均獲得値欄に格納される。例えば、ゲームテーブルの平均獲得値の設定値がマイナス15以上、15以下に設定されている場合、テーブルIDが“083432”で示されるゲームテーブルは平均値が“マイナス15.35”であるので、設定範囲外に判定される。すなわち、このゲームテーブルを異常(例えば、ゲーム装置の故障)として検出することが可能となる。
【0072】
なお、図示しないが、ディーラー獲得情報テーブル(図8参照)、および、ゲームテーブル獲得情報テーブル(図9参照)を生成するための、勝敗履歴テーブル(図7参照)の検索条件として、時刻情報を含めることができるものであってもよい。例えば、抽出対象となるデータについて、直近1週間以内等の期間を設定できるものであってもよい。また、抽出対象となるデータについて、深夜帯(0時から6時まで)等の時間帯を設定できるものであってもよい。
【0073】
図10を参照して、テーブルゲーム管理システム1における、ゲームテーブル装置の制御部3、サーバ100、および、管理端末等によって実行される異常検出処理について説明する。なお、管理端末は図示しないが、サーバ100自体であってもよいし、サーバ100にネットワークを介して接続される端末装置であってもよい。
【0074】
まず、ゲームテーブル装置の制御部3は、カードシュー2からのゲーム結果情報に基づいてゲーム結果を確定する(SQ11)。そして、制御部3は、ゲーム媒体配置テーブル(図6)を参照して得たゲーム媒体配置データに基づいて、参加者のベット対象ごとに勝敗を決定する(SQ12)。そして、制御部3は、ベット対象ごとに、時刻情報、ディーラー識別情報、ゲームテーブル識別情報、会員識別情報、ゲーム結果情報、および、勝敗情報を含めた勝敗データを生成し、サーバ100へ送信する(SQ13)。
【0075】
一方、サーバ100は、図示しない管理端末等からの設定要求(SR11)を受けると設定処理を実行する。管理端末からの設定要求には、正常な範囲として認定するための獲得情報の閾値である設定値や、勝敗履歴テーブル(図7参照)を参照してディーラー獲得情報テーブル(図8図9参照)を生成する際の検索条件が含まれる。上述したように、検索条件は、期間や時間帯を示すものであってもよい。サーバ100は、設定処理において、管理端末等からの設定要求に基づき、正常とする獲得情報の範囲を設定し(S11)、検索条件を設定する(S12)。
【0076】
サーバ100は、異常検出処理において、制御部3からの勝敗データを受け付ける。制御部3からの勝敗データを受け付けると、サーバ100は、勝敗履歴テーブル(図7参照)に勝敗データの情報を蓄積する(S13)。そして、サーバ100は、勝敗履歴テーブルから、ステップS12で設定された検索条件で勝敗データを抽出して、各獲得情報テーブル(図8図9)を更新する(S14)。なお、ステップS14以降の処理は、勝敗データを受信するごとに実行することに限定されず、所定の時間ごとに実行してもよいし、所定の勝敗データ数を受信するごとに実行してもよい。
【0077】
そして、サーバ100は、各獲得情報テーブル(図8図9)の各データについて、ステップS11で設定した範囲であるか否かを判定して範囲外のデータを抽出する(S15)。そして、サーバ100は、設定範囲外のデータ(異常データ)を検出したか否かを判定する(S16)。そして、サーバ100は、異常データを検出した場合(S16:YES)、ゲームテーブル識別情報、ディーラー識別情報、および、時刻情報等を含む異常通知を管理端末等へ送信し(S17)、処理をステップS13へ移行する。異常通知を受信した管理装置等は、ゲームテーブル識別情報、ディーラー識別情報、および、時刻情報等の異常通知に基づく異常情報をディスプレイに表示する(SR14)。サーバ100は、異常データを検出しない場合(S16:NO)、処理をステップS13へ移行する。
【0078】
また、各テーブルゲーム装置を撮像する撮像装置を設け、撮像データを時刻と対応付けて記憶するものであってもよい。これにより、異常が発生したゲームテーブル2を撮像データで確認することが可能となる。
【0079】
また、サーバ100は、管理端末等からの検索要求に基づき、その検索結果に応じたデータを管理端末等で表示可能な検索結果として応答する機能を有していてもよい。例えば、管理端末等で、特定のディーラーの獲得情報や、特定のゲームテーブルの獲得情報を参照したい場合、ディーラー識別情報、ゲームテーブル識別情報、および、期間等を含む検索条件をサーバ100へ要求する(SR12)。サーバ100は、これに対して、検索条件に合致する獲得情報テーブルを生成し、当該テーブルのデータを検索結果として管理端末等へ応答する。管理端末等では、受信した検索結果に基づいてディスプレイ等に表示する(SR13)。サーバ100は、このような外部からの特定の検索要求を受け付けるインターフェースを有していてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0081】
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁及び一般的公共機関や、特許、法律用語又は専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者等が本出願の技術的な内容及びその本質を簡易な調査で速やかに判定し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図示したものではない。また、本発明の目的及び本発明の特有の効果を十分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌して解釈されることが望まれる。
【0082】
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明及び表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各処理は、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各処理では、電気的又は磁気的な信号の送受信、記録等が行われる。各処理における処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字等で表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各処理における処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各処理を行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 テーブルゲーム管理システム
2 ゲームテーブル
3 制御部
4 ディーラーディスプレイ
5 カードシュー
6 共通ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10